説明

分析工程からスパッタリング工程を分離することによる有機及び無機の試料の定量的調査を可能にする方法及び装置

本発明は、a)分析される少なくとも一つの無機又は有機試料(3)を超高真空下で与え、b)少なくとも一つのコレクタ(5)を超高真空下で与え、c)前記試料(3)をイオン又は中性子衝撃(1)に供し、d)前記衝撃に供された試料(3)によって放出される粒子(2)を前記コレクタ(5)上に収集し、e)前記少なくとも一つのコレクタ(5)上に収集された粒子(6)を二次イオン質量分析等によって分析することを含む方法であって、前記工程は、試料粒子(2)の放出が分析工程から切り離されるように実施され、コレクタ(5)、試料(3)、又はそれらの両方が工程c)及び/又はd)中に互いに独立して移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機及び無機試料の定量的調査のための方法に関し、また、前記定量的調査を実施するための分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
表面分析技術のうち、二次イオン質量分析(SIMS)は十分に確立され、広く使用される技術である。
【0003】
SIMS技術は、イオン、典型的にはCs,Ga,Ar,O又はOの合焦されたビームによって生成された一次イオン衝撃にさらされた試料によって放出された二次イオンの検出に基づく。材料自体の特性である、スパッタリング現象とも称される一次イオン衝撃後に試料によって生成されるイオン放出は、次いで、質量分析によって分析される。
【0004】
特にその優れた感度、その高いダイナミックレンジ及びその良好な深さ分解能のため、SIMSは、試料を分析するための極めて強力な技術である。しかしながら、SIMSは、この技術が試料から放出された流束のイオン化された部分を使用するという事実によって重要な欠点を持つ。この欠点は、「マトリックス効果(matrix effect)」として知られ、それは、試料から放出された原子及び分子のイオン化確率が試料組成に強く依存することによる定量的問題である。例えば、金属試料又は半導体に対して、正及び負のイオンのイオン化確率は試料の電子仕事関数に指数関数的に依存している(「電子トンネルモデル」)。結果として、測定された信号の強度はまた、分析された試料の組成に大きく依存している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来技術の欠点を持たない分析方法及び装置を提供することを目的とする。
【0006】
特に、本発明は、感度が良く、定量化を可能にする分析方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、超高真空下で無機又は有機試料を分析するための方法に関し、この方法は、
a)分析される少なくとも一つの試料を超高真空下で与える工程、
b)少なくとも一つのコレクタを超高真空下で与える工程、
c)前記試料をイオン又は中性子(neutral)衝撃に供する工程、
d)前記衝撃に供された試料によって放出される粒子を前記コレクタ上に収集する工程、
e)前記少なくとも一つのコレクタ上に収集された粒子を分析する工程、
を含み、
前記工程は、試料粒子の放出が分析工程から切り離されるように実施される。
【0008】
特別な実施形態によれば、本発明は以下の特徴の一つ又はいずれかの組み合わせを含むことができる:
− 工程c)の前に、コレクタの清浄化工程が、希ガスイオン、クラスターイオン、金属イオン又は中性子で操作されるエッチングイオンガンによって実施される;
− 工程c)の前に、コレクタを処理する工程が実施され、前記処理工程はコレクタの表面の酸化、又は被覆、又はそれらの両方のいずれかを含む;
− コレクタの表面が酸化もしくは一種以上の元素から作られた層で被覆、又はそれらの両方のいずれかをされ、前記元素がアルミニウム(Al)、ヒ素(As)、バリウム(Ba)、ベリリウム(Be)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、炭素(C)、セリウム(Ce)、コバルト(Co)、銅(Cu)、ガドリニウム(Gd)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、金(Au)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、ランタン(La)、鉛(Pb)、リチウム(Li)、ルテチウム(Lu)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、モリブデン(Mo)、ネオジム(Nd)、ニッケル(Ni)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、カリウム(K)、ルテニウム(Re)、ロジウム(Rh)、ルビジウム(Rb)、ルテニウム(Ru)、サマリウム(Sa)、スカンジウム(Sc)、シリコン(Si)、銀(Ag)、ナトリウム(Na)、ストロンチウム(Sr)、タンタル(Ta)、テルル(Te)、テルビウム(Tb)、タリウム(Tl)、トリウム(Th)、タングステン(W)、ウラニウム(U)、イットリウム(Y)、及びジルコニウム(Zr)からなる群から選択される;
− コレクタの処理工程が物理蒸着(PVD)、電子線物理蒸着(EBPVD)、分子線エピタキシー(MBE)又は急速熱処理((Rapid Thermal Processing)RTP)によって実施される;
− コレクタが有機材料又は金属又は半導体材料から作られる;
− イオン衝撃が単原子イオン衝撃、クラスターイオン衝撃又は中性子衝撃である;
− コレクタ、試料、又はそれらの両方が工程c)及び/又はd)中に移動する;
− 工程c)及びd)を実施するために使用される第一分析装置、及び工程e)を実施するために使用される第二分析装置が、離れた場所に位置される;
− 工程e)が、スタティックSIMS(二次イオン質量分析)、ダイナミックSIMS,LEIS(低エネルギーイオン散乱)、RBS(ラザフォード後方散乱)、XPS(X線光電子分光法)、AES(オージェ電子分光法)、UPS(紫外光電子分光法)、電子マイクロプローブ、及び全蛍光X線からなる群から選択される分析方法によって実施される。
【0009】
また、本発明は、超高真空下で操作する分析装置において、分析される試料のイオン又は中性子衝撃中に放出される二次粒子を収集するための少なくとも一つのコレクタを含む装置に関する。
【0010】
特別な実施形態によれば、分析装置は以下の特徴の一つ又はいずれかの組み合わせを含むことができる:
− コレクタ、又は試料、又はそれらの両方がいかなる方向にも移動可能である;
− 円形開口部を有するダイヤフラムが、コレクタの露出表面を試料から好ましくは500μmの直径範囲まで放出された粒子に制限するように、好ましくはコレクタから約2mmの距離でコレクタの前に配置される;
− コレクタが有機材料又は金属又は半導体材料から作られた1インチウェハを含む;
− 分析装置は、コレクタの表面を酸化もしくは一種以上の元素から作られた層で被覆、又はそれらの両方のいずれかをするための手段が与えられており、前記元素がアルミニウム(Al)、ヒ素(As)、バリウム(Ba)、ベリリウム(Be)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、炭素(C)、セリウム(Ce)、コバルト(Co)、銅(Cu)、ガドリニウム(Gd)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、金(Au)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、ランタン(La)、鉛(Pb)、リチウム(Li)、ルテチウム(Lu)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、モリブデン(Mo)、ネオジム(Nd)、ニッケル(Ni)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、カリウム(K)、ルテニウム(Re)、ロジウム(Rh)、ルビジウム(Rb)、ルテニウム(Ru)、サマリウム(Sa)、スカンジウム(Sc)、シリコン(Si)、銀(Ag)、ナトリウム(Na)、ストロンチウム(Sr)、タンタル(Ta)、テルル(Te)、テルビウム(Tb)、タリウム(Tl)、トリウム(Th)、タングステン(W)、ウラニウム(U)、イットリウム(Y)、及びジルコニウム(Zr)からなる群から選択される;
− 分析手段は、スタティックSIMS(二次イオン質量分析)、ダイナミックSIMS,LEIS(低エネルギーイオン散乱)、RBS(ラザフォード後方散乱)、XPS(X線光電子分光法)、AES(オージェ電子分光法)、UPS(紫外光電子分光法)、電子マイクロプローブ、及び全蛍光X線からなる群において選択される;
− 分析装置は、以下の主要区域を全て超高真空下でさらに含む:
− 任意選択的に、装置と移動容器の間で、所望によりホルダー上に装着された、コレクタを移動するための移動容器に嵌合することができるドッキングステーション又はチャンバー;
− 好ましくはイオンエッチングを可能にするスパッタガンを備えた、コレクタを清浄化するための清浄化区域;
− 好ましくは流出セル(effusion cell)、電子線蒸着器、水晶微量てんびん、反射高速電子回折(RHEED)及び/又は残留ガス分析器(RGA)を備えた、コレクタを調製し、表面酸化し、被覆するための被覆・調製区域;
− 好ましくはフローティング低エネルギーイオンガン(FLIG)タイプのイオンガン、スパッタするイオンビームの視覚化を可能にする二次電子検出器、並びに試料及びコレクタのそれぞれに対する二つの高精度モータ駆動ステージを備えた、試料をスパッタし、さらにスパッタされた粒子をコレクタ上に蒸着するためのスパッタ蒸着区域;
の主要な区域を全て超高真空下でさらに含み、異なる区域の間のコレクタの移動が取扱い手段及び全ての前記区域に超高真空下で接続された移動管を使用してなされる;
− 分析装置は、コレクタ表面上に収集された材料を分析するための分析区域をさらに含む。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、古典的なSIMS分析の概略図である。
【0012】
【図2】図2は、本発明によるコレクタ上の試料粒子の蒸着の概略図である。
【0013】
【図3】図3は、本発明によるコレクタ上に蒸着された試料粒子の分析の概略図である。
【0014】
【図4】図4は、本発明による第一の好ましい実施形態の概略図である。
【0015】
【図5】図5は、本発明による第二の好ましい実施形態の概略図である
【0016】
【図6】図6は、本発明による分析装置の概略図である。
【0017】
【図7】図7は、金属元素の数についてのスパッタされた原子の数に関する利用収率によって特徴づけられる方法の感度の一例を表わす。
【0018】
【図8】図8は、正の二次イオンで記録されたPVC蒸着後のコレクタのスタティックSIMSスペクトルを表わす。
【0019】
【図9】図9は、正の二次イオンで記録されたPS蒸着後のコレクタのスタティックSIMSスペクトルを表わす。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1に表わされているように、一次イオン衝撃1の後の二次イオン質量分析(SIMS)では、試料ホルダー4上に置かれる、分析される試料3から放出(又はスパッタ)された二次粒子2(原子、分子、又はイオン)は、質量分析により直接分析される。
【0021】
本発明の独自性は、試料による粒子の放出を分析工程から分離することにある(図2及び3)。
【0022】
本発明によれば、イオン又は中性子の衝撃1下で放出された粒子2は、図2に表わされているように、超高真空(UHV)下でコレクタ5上に蒸着される。次いで、第二工程(図3)において、コレクタ5上に収集された粒子6(蒸着物)は、好適な技術、例えばスタティックSIMS、ダイナミックSIMS,LEIS(低エネルギーイオン散乱)、RBS(ラザフォード後方散乱)、XPS(X線光電子分光)、AES(オージェ電子分光)、UPS(紫外光電子分光)、電子マイクロプローブ、及び全蛍光X線を使用して、好適な分析装置によって分析される。
【0023】
好ましくは、分析は専用の装置で実施され、その装置は同じ実験室に置かれても置かれなくてもよく、本発明による方法の工程を実施する複数の装置を含む、より複雑な装置の一部であってもそうでなくてもよい。
【0024】
この技術における二つの重要なポイントはコレクタ5表面の調製及び清浄化(例えば蒸発、酸化などによる金属膜の蒸着による最適化)である。
【0025】
極めて希釈された蒸着物6に組み合わせたコレクタ5の調製は、続く分析パラメータ(分析される元素、分析モードなど)に対して選択される新しい十分に規定されたマトリックスの創成に相当する。
【0026】
一方、同じコレクタ5上に異なる試料から又は試料3の異なる層からスパッタ2された物質を蒸着することにより、この方法を、SIMSにおける前述のマトリックス効果を回避する強力なツールとする。実際、続く分析は、変化した未知の組成の異なるマトリックスの代わりに同じ十分に規定されたマトリックスで実施される。
【0027】
他方、コレクタ5表面の最適化は続く分析の収率の増大を可能にする。コレクタ5のこの続く分析に対してSIMSを使用する特定のケースでは、増強した二次イオン放出は、分析される元素及び分析モード(正の二次イオン、負の二次イオン、有機情報)に対してコレクタ5表面、従ってマトリックスを良好に選択することによって様々なSIMS分析モードで得られることができる。コレクタ処理の主なコンセプトはコレクタ5表面の化学的状態を変化することであり、それは蒸着がなされるマトリックスを変性し、二次イオン放出に有意に影響を与える。
【0028】
本発明の主な利点は、有機と無機の両方の試料に対して高い分析感度を維持しながら定量化を達成すること、及び/又は有機と無機の両方の試料に対して分析の感度を高めることを可能にすることである。さらに、一次衝撃1は分析から分離されているので、一次イオン又は中性子衝撃条件(衝撃エネルギー、入射角など)は自由に選択されることができ、従って、例えば最適な深さ分解能のために最適化されることができる。
【0029】
本発明による方法の利用収率(useful yield (UY))は、コレクタ5の分析時に検出される所定の元素「M」の全カウント数と試料3から最初にスパッタされた元素「M」の数との間の比によって規定される。UYは方法の両工程(即ちスパッタ蒸着工程と分析工程)に依存し、以下のように書かれることができる。
UY=γ・UYAnalysis (式1)
【0030】
係数γは、スパッタ蒸着工程に依存し、スパッタされた粒子の全数に対するコレクタ5に到達するスパッタされた粒子の比率、及びコレクタ5に付着する効率から構成される。UYAnalysisはコレクタ5の分析の利用収率である。UYAnalysisの高い値は、既に述べたように、コレクタ5の表面を最適化し、従って続く分析の収率を高めることによって達成される。コレクタ5のSIMS分析の特定のケースでは、コレクタ表面は、イオン化効率を高めるために、分析される元素の性質及び分析モード(正の二次イオン、負の二次イオン、有機情報)に対して選択されるだろう。
【0031】
結果として、スパッタされた物質2の不完全な収集による感度の初期損失(γ<1)、及び蒸着物6の一画分だけが使用されることが、補償されることができる。
【0032】
述べたように、試料3のスパッタリングのために使用されるイオン又は中性子衝撃1は自由に選択されることができる。それは単原子イオンもしくはクラスターイオン衝撃、又は中性子による衝撃であることができる。この衝撃1は、極めて低いエネルギーを有するイオンビームを使用して有利に実施されることができ、かくして深さ分解能を改良することができる。
【0033】
好ましい実施形態では、コレクタ5は例えば図4に示されるように可動である。コレクタ5の移動はいかなる方向の並進運動でも回転でもよい。さらに、この移動は、二次粒子2の収集時に連続的又は逐次的であることができる。この移動は、試料3からスパッタされた粒子2の好ましい方向に対してコレクタ5を適切に位置させることを可能にする。さらに、この移動は、収集された粒子6の流束が汚れていないコレクタ領域上に絶えず蒸着するので、単層以下の蒸着レベルを維持することを可能にする。さらに、それは、異なる別個の位置で試料3の異なる深さからスパッタ2された物質を蒸着させることによって、従って深さ情報を横方向の情報に変形することによって試料3の深さプロファイルを記録することを可能にする。
【0034】
別の好ましい実施形態(図5)では、試料3及び/又はコレクタ5は可動性であってもよく、分析時にいかなる方向にも、好ましくは横方向に又は回転して、互いに独立して移動する。
【0035】
別の好ましい実施形態では、コレクタ5は同じ試料の異なる層からの粒子、又は異なる試料からの粒子、又は異なる試料の異なる層からの粒子を含んでもよい。
【0036】
分析される試料3からスパッタされた物質2を収集するために使用されるコレクタ5はいかなる好適な形状を持ってもよい。好ましくは、それはプレートの形状を有する。さらに、それは例えば有機材料から作られた、又は金属もしくは半導体から作られた好適な材料から作られることができる。それは好ましくは1インチウェハであり、さらに好ましくはシリコン又はゲルマニウムから作られ、より好ましくは高純度である。
【0037】
好ましくは、コレクタ5は清浄な条件下でコレクタホルダー上に装着され、前記ホルダーは、本発明による方法の全体を通して使用される全ての装置に適合するように設計される。
【0038】
好ましくは、コレクタ5は試料表面の前の約2mmの距離に高精度モータ駆動ステージ(x,y,z回転)で位置決めされる。コレクタ表面の前の例えば100μmに装着された円形開口9を含むダイヤフラムプレート8は、コレクタ5の露出表面を例えば約500μmの直径に制限する。
【0039】
収集される粒子2の性質を考慮すると、コレクタ5はコレクタ5表面の化学的状態を変化するように処理されてもよく、それは収集される粒子2の蒸着が実施されるマトリックスを変性する。コレクタ5表面は酸化されてもよく、又は一種以上の元素(前記元素は酸化されてもされなくてもよい)で被覆されてもよい。従って、コレクタ5表面は正の二次イオン放出の増強のために高い仕事関数を有するか、もしくは負の二次イオン放出の増強のために低い仕事関数を有してもよく、又は表面は金もしくは銀で被覆されて有機情報のためのカチオン化を生成してもよい。
【0040】
高い仕事関数のために一般にコレクタ5のために、特にコレクタ5表面のために選択されることができる元素は、例えばプラチナ(Pt)、イリジウム(Ir)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、レニウム(Re)、金(Au)、ゲルマニウム(Ge)、コバルト(Co)、炭素(C)、ロジウム(Rh)、ベリリウム(Be)、テルル(Te)、シリコン(Si)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、銅(Cu)及びモリブデン(Mo)である。低い仕事関数のために一般にコレクタのために、特にコレクタ表面のために選択されることができる他の元素は、例えばタンタル(Ta)、銀(Ag)、アルミニウム(Al)、鉛(Pb)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、インジウム(In)、マンガン(Mn)、ジルコニウム(Zr)、ガリウム(Ga)、ハフニウム(Hf)、ヒ素(As)、マグネシウム(Mg)、ウラニウム(U)、タリウム(Tl)、ランタン(La)、スカンジウム(Sc)、トリウム(Th)、ルテチウム(Lu)、ネオジム(Nd)、ガドリニウム(Gd)、イットリウム(Y)、テルビウム(Tb)、セリウム(Ce)、リチウム(Li)、カルシウム(Ca)、ナトリウム(Na)、サマリウム(Sa)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、カリウム(K)、ルビジウム(Rb)及びセシウム(Cs)である。
【0041】
酸化、被覆、又は被覆されたコレクタ表面の酸化はいかなる好適な方法によっても実施されることができる。好ましくは、それは物理蒸着(PVD)、電子線物理蒸着(EBPVD)、分子線エピタキシー(MBE)又は急速熱処理(RTP)によってなされる。
【0042】
好ましくは、その表面の酸化又は被覆の前に、コレクタ5は清浄化される。二次粒子蒸着との質量干渉を与えうる汚染物質又は不純物質を回避するために、コレクタ5は調製され、それらの使用前に清浄化される。コレクタの最初の清浄化及び調製はクリーンルームで行われる。この方法では、汚染物質(混入物質、ダスト)は最小化される。好ましくは、マイクロエレトロニクスで使用されるものに近い清浄化プロトコルが使用される。例えば、クリーンルーム(ISOクラス4)の層流フード下では、ウェハはアセトン、エタノールで清浄化され、脱イオン水で洗浄される。ウェハは次いで、N−空気ガンによって又はHEPAフィルターを備えたクリーンルームオーブンで乾燥される。
【0043】
図6に概略的に示されているように、本発明による分析装置10は三つの主要な区域を含む。第一の区域では、コレクタ5の清浄化及び調製が行われ、第二の区域では、コレクタ5上の試料材料のスパッタ蒸着が実施され、第三の区域は装置自体の中の及び続く分析装置へのコレクタ5の移動に相当する。この配置は、本発明による方法の全ての工程を専用の別個のチャンバー内で最適な条件下で実施することを可能にする。
【0044】
分析装置10の全ての区域は超高真空(UHV)下にある。知覚できる再現性のある結果を得るために、材料は汚染物質を含まないようにすべきであり、従ってUHVを使用する。UHVは好適な手段によって、例えばターボ分子ポンプ及びイオンゲッターポンプによって作られることができる。
【0045】
コレクタ5表面上に収集6された材料の分析は、本発明による装置10自体で又は独立した分析装置で実施される。後者のケースでは、コレクタ5は装置10と独立した分析装置の間で真空条件下で移動されるだろう。従って、分析装置10は好適なドッキングステーション11、又は装置10と移動容器の間でコレクタ5を移動することができるコレクタ移動容器又は移動システムに適合するチャンバーをさらに含んでもよい。好ましくは、ドッキングステーションは、コレクタ5を含むUHV移動システム、又は分析する試料を含む試料ホルダー4、又はそれらの両方に適合するように設計される。
【0046】
分析装置10は、コレクタ5を分析装置の一つの区域から別の区域へ、例えば清浄及び処理チャンバーからスパッタ蒸着室へ移動するためのコレクタ取扱い手段を含む。取扱い手段は移動棒と真空管の内側のレール上を移動するキャリアを含んでもよい。
【0047】
コレクタ5は、コレクタ5表面のイオンエッチングを可能にするスパッタガンを備えた専用UHVチャンバー12におけるいかなる汚染物質からも清浄化される。スパッタガンは、希ガスイオン(例えばAr,Xe)、クラスターイオン(例えばC60,Ar)、又は金属イオンを含む好適なイオンで又は中性子で操作されることができる。
【0048】
コレクタ5は次いで被覆チャンバー13内に移動され、そこでそれは調製され、その表面が酸化又は被覆される。好ましくは、被覆チャンバー13は流出セル、電子線蒸着器、水晶微量てんびん、反射高速電子回折(RHEED)及び/又は残留ガス分析器(RGA)を備えている。好ましくは、チャンバー内の作用圧力は10−10mbarである。
【0049】
清浄化されかつ処理されたコレクタ5は次いで、UHVの下でスパッタ蒸着チャンバー14に移動され、そこで試料3のスパッタリング、さらにコレクタ5上のスパッタされた粒子2の蒸着が実施される。移動は試料取扱い手段及び移動管15を使用してなされる。
【0050】
スパッタ蒸着チャンバー14は、好ましくはフローティング低エネルギーイオンガン(FLIG)タイプのイオンガン(二次電子検出器がスパッタリングイオンビームの視覚化を可能にする)、及び試料とコレクタのそれぞれのための二つの高精度モータ駆動ステージを備えていることが好ましい。
【0051】
分析装置10は、分析工程時にコレクタ5又は試料3又はそれらの両方を移動又は回転するための手段を含む。これらの手段は高精度モータ駆動試料ホルダー4及びコレクタステージを含んでもよい。
【0052】
本発明による方法及び装置は、いかなる有機及び無機材料の分析、例えば半導体産業においてだけでなく被覆又は表面を使用する全ての産業においても使用又は製造される材料の分析のために使用されることができる。
【実施例】
【0053】
実施例1:無機試料
本発明による方法の利用収率に対して異なるコレクタ5表面(W,Ta,Al)を使用する影響を研究するために、OイオンによるGe試料のスパッタリングがモデルシステムとして使用された。
【0054】
利用収率についてのコレクタ5表面の影響を研究するために、低い仕事関数を有する二つの元素(タンタル(Ta)及びアルミニウム(Al))及び高い仕事関数を有する一つの元素(タングステン(W))が選択された。
【0055】
超高真空チャンバー(基準圧<10−8mbar)で異なる金属ペレット(Lesker,99.999%)から電子線物理蒸着(EB−PVD)によって1インチSiウェハ上に上述の元素の薄膜を蒸着した。蒸着源と基体の間の距離は、蒸着物の均一な厚さを達成するために約60cmであった。余分な加熱は適用しなかった。蒸着速度及び膜厚は水晶微量てんびんによって制御された。蒸着速度は1.0Å/s(即ち、約5×1015atoms/s/cm)に設定された。得られた膜厚は約100nmであった。
【0056】
上記のようにして得られた、薄膜を含むSiウェハの形のコレクタ5は、FLIGを備えたスパッタ蒸着室14中に導入された。分析される試料3はGeウェハであった。それは、超高真空(基準圧<10−8mbar)下で50nAのビーム電流及び60μmのスポット直径を有する、10keVのOイオンビームによってスパッタされた。ラスターサイズは150×150μmであった。スパッタされた物質2はコレクタ5上に蒸着され、それは単層以下の蒸着レベルを得るために蒸着工程時に絶えず回転していた。スパッタされた物質2の流束は汚れていないコレクタ領域上に絶えず蒸着するからである。試料3及び制限している開口9はスパッタ蒸着時に移動できなかった。
【0057】
スパッタされたGe原子の量は、Ge試料のスパッタリング時に生成されたクレータの表面形状測定(profilometry measurements)から計算された。衝撃時間及びコレクタ5の回転速度を考えると、蒸着あたりのスパッタされたGe原子の数が異なる実験に対して4.0×1013〜4.5×1013個の原子の範囲であることを誘導することができる。
【0058】
スパッタされたGeを有するコレクタ5は携帯可能なUHVスーツケース(基準圧<10−8mbar)中に導入され、SIMS装置に移された。SIMS測定はCameca SC−Ultra装置で実施された。560eVの衝撃エネルギー及び48°の入射角度を持つCs一次イオンビームが使用された。一次電流は20nAであり、ラスターサイズは500×500μmであった。分析は負の二次イオンモード(Geの検出)で実施された。
【0059】
各コレクタ5に対して、SIMS深さプロファイルはGe蒸着物6について実施された。検出されたGeの量は、バックグラウンド除去後にGe信号の積分により各コレクタ5について計算された。Geについての本発明による方法の利用収率UYは、Ge試料から最初にスパッタされたGe原子の数によって得られた全Geカウント数を割ることによって各コレクタ5について計算されることができる。
【0060】
図7は、金属コレクタの材料の関数として(負の二次イオンモードで)GeのUYの得られた値を示す。1.2×10−5の最も高い利用収率がAlコレクタに対して見出される。Taに対しては、4.2×10−6の値が得られる。最後に、Wに対しては、UYは2.0×10−6に低下する。
【0061】
式1によれば、本発明による利用収率は収集効率γ及びコレクタのSIMS分析の利用収率UYSIMSから構成される。単原子イオンについてのSIMS利用収率は装置ファクター及び考慮される二次イオンのイオン化確率に依存しているだけである。装置ファクターの可能な変動は、本ケースでは、バルクSi信号に対して検出された信号を正規化することによって除去されている。イオン化確率の挙動は電気トンネルモデルによって本ケース(金属コレクタ)においてモデル化されることができる。このモデルは基本的に、二次イオン化確率(β)とマトリックスの仕事関数(φ)の間に従属性があることを考える。負のイオン化について、モデルは以下のものを予測する:

式中、Aはイオン化される元素の電子親和力である。
【0062】
このモデルによれば、負のイオン化確率、従って利用収率は、マトリックスの仕事関数φが低下されるときに増大する。
【0063】
得られた利用収率の値はこのモデルと一致する:最も低い利用収率は最も高い仕事関数を有するコレクタ(タングステン、φ=4.55eV)に対して見出されるが、低い仕事関数コレクタ(タンタル、φTa=4.25eV、及びアルミニウム、φAl=4.28eV)に対してそれぞれ二倍及び六倍の高い値が得られる。
【0064】
放出された粒子の角度分布に依存して、スパッタされた粒子の10〜40%が、続くSIMSで分析される500μmフィールドでコレクタ5にヒットすることが実験結果及びシミュレーションからこれまで知られている。
【0065】
一次イオン衝撃でのGe(φGe=5.0eV)の伝統的な直接SIMS分析及びGe二次イオンの検出は8.6×10−6のSIMS利用収率に導く。この値は本発明による技術によって得られる利用収率の範囲にある。従って、本発明による方法では、スパッタ蒸着工程時の物質の損失(γ<1)が補償されることができ、又はコレクタ被覆の最適な仕事関数条件のおかげでコレクタの続く分析における高い利用収率によって克服さえすることができると結論づけることができる。
【0066】
実施例2:無機試料
アルミニウム、チタン、インジウム及びニッケル試料が実施例1と同じ方法で分析される。試料3はXeスパッタリングイオン衝撃1に供される。放出された物質2はSiコレクタ5上に収集される。
【0067】
コレクタ5は続いて、UHV条件下でCameca SC Ultra装置に移動され、正の二次イオンモードでダイナミックSIMSによって分析される。
【0068】
本発明による方法の利用収率は以下のように決定される:
UY(Al)=1.8×10−4
UY(Ti)=6.3×10−6
UY(In)=3.5×10−5
UY(Ni)=6.4×10−6
【0069】
実施例3:有機試料
ポリ塩化ビニル(PVC)で被覆されたシリコン基体が分析される。
【0070】
基体は、調整可能なスピード及び時間で二段階の回転を可能にする、CHEMATからのKW−4A装置で予備形成されたスピンコーティングによってポリ塩化ビニルで被覆される。THFにおける2重量%PVC溶液が、溶解のための超音波浴での加熱後に基体上に滴下される。次いで、試料の回転は700rpmのスピードで開始され、それを分散させて過剰物を除去する。その後、スピードは2500rpmに上昇させ、被覆を乾燥及び均一化する。最後に、試料は約30分間50℃でホットプレート上でアニールされる。
【0071】
コレクタ5(即ち、1インチシリコンウェハ)はイソプロパノール及びアセトンで超音波浴で清浄化され、次いで窒素流下で乾燥され、最後にホットプレート上でアニールされ、残っている溶剤を取り除く。
【0072】
清浄化されたコレクタ5は次いで、二次イオン放出を強化するために金層を被覆される。金被覆は分子線エピタキシー(MBE)チャンバー13において実施され、1.8nmの被覆を得る。
【0073】
上記のように薄膜を含むSiウェハの形のコレクタ5は、FLIGを備えたスパッタ蒸着室14中に導入された。分析されるPVC試料は、超高真空(基準圧力<10−8mbar)下で200pAのビーム電流で12.5keVのArイオンビームによってスパッタされた。ラスターサイズは500×500μmであった。全一次イオン線量は5×1012イオン/cmであり、それはスタティックな条件(イオン線量<10イオン/cm)で維持された。
【0074】
この分析では、コレクタ5は固定して位置され、一方、有機試料3は入射イオンビーム下で横方向に、そして前後に移動され、試料上にスパッタされる領域を増加した。コレクタ5は次いでより大きい線量(即ち、多量のスパッタされた物質)を受けることができる。7×7領域のマトリックスは関係する試料中にスパッタされる。
【0075】
コレクタプレート5上の有機蒸着物6は次いで、IONTOF ToF−SIMS III装置上のスタティックSIMS(TOF−SIMS)によって分析される。Arの一次イオンビームは10keVのエネルギー及び1pAの一次電流を持っていた。パルス幅は500nsであり、反復速度は150μsであり、ラスターサイズは80×80μmである。分析は負及び正の二次イオンモードで180秒間実施される。
【0076】
図8は、コレクタプレート5上に蒸着された収集物質6についての正の二次イオンモードで得られた質量スペクトルを示す。PVCの特性ピークはコレクタ表面5上の金被覆の存在によって増強される。
【0077】
実施例4:有機試料
ポリスチレン(PS)で被覆されたシリコン基体は、実施例3に記載されたように調製及び分析される。コレクタ5上の蒸着物質6の分析は、実施例2に記載された条件で実施される。
【0078】
図9は、コレクタプレート5上に蒸着された収集物質6についての正の二次イオンモードで得られた質量スペクトルを示す。PSの特性ピークはコレクタ表面5上の金被覆の存在によって増強される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超高真空下で無機又は有機試料を分析するための方法であって、この方法が、
a)分析される少なくとも一つの試料(3)を超高真空下で与える工程、
b)少なくとも一つのコレクタ(5)を超高真空下で与える工程、
c)前記試料(3)をイオン又は中性子衝撃(1)に供する工程、
d)前記衝撃に供された試料(3)によって放出される粒子(2)を前記コレクタ(5)上に収集する工程、
e)前記少なくとも一つのコレクタ(5)上に収集された粒子(6)を分析する工程、
を含み、
前記工程は、試料粒子(2)の放出が分析工程から切り離されるように実施され、コレクタ(5)、試料(3)、又はそれらの両方が工程c)及び/又はd)中に互いに独立して移動する、方法。
【請求項2】
工程c)の前に、希ガスイオン、クラスターイオン、金属イオン又は中性子で操作されるエッチングイオンガンによって実施されるコレクタ(5)の清浄化工程をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程c)の前に、コレクタ(5)を処理する工程をさらに含み、前記処理工程がコレクタ(5)の表面の酸化、又は被覆、又はそれらの両方のいずれかを含む、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
コレクタ(5)の表面が酸化もしくは一種以上の元素から作られた層で被覆、又はそれらの両方のいずれかをされ、前記元素がアルミニウム(Al)、ヒ素(As)、バリウム(Ba)、ベリリウム(Be)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、炭素(C)、セリウム(Ce)、コバルト(Co)、銅(Cu)、ガドリニウム(Gd)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、金(Au)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、ランタン(La)、鉛(Pb)、リチウム(Li)、ルテチウム(Lu)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、モリブデン(Mo)、ネオジム(Nd)、ニッケル(Ni)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、カリウム(K)、ルテニウム(Re)、ロジウム(Rh)、ルビジウム(Rb)、ルテニウム(Ru)、サマリウム(Sa)、スカンジウム(Sc)、シリコン(Si)、銀(Ag)、ナトリウム(Na)、ストロンチウム(Sr)、タンタル(Ta)、テルル(Te)、テルビウム(Tb)、タリウム(Tl)、トリウム(Th)、タングステン(W)、ウラニウム(U)、イットリウム(Y)、及びジルコニウム(Zr)からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
コレクタ(5)の処理工程が物理蒸着(PVD)、電子線物理蒸着(EBPVD)、分子線エピタキシー(MBE)又は急速熱処理(RTP)によって実施される、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
コレクタ(5)が有機材料又は金属又は半導体材料から作られる、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
イオン衝撃(1)が単原子イオン衝撃、クラスターイオン衝撃又は中性子衝撃である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
工程c)及びd)を実施するために使用される第一分析装置、及び工程e)を実施するために使用される第二分析装置が離れた場所に位置される、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
工程e)がスタティックSIMS(二次イオン質量分析)、ダイナミックSIMS,LEIS(低エネルギーイオン散乱)、RBS(ラザフォード後方散乱)、XPS(X線光電子分光法)、AES(オージェ電子分光法)、UPS(紫外光電子分光法)、電子マイクロプローブ、及び全蛍光X線からなる群から選択される分析方法によって実施される、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
超高真空下で操作する分析装置(10)において、分析される試料(3)のイオン又は中性子衝撃(1)中に放出される二次粒子(2)を収集するための少なくとも一つのコレクタ(5)を含むことを特徴とする装置(10)。
【請求項11】
コレクタ(5)、又は試料(3)、又はそれらの両方がいかなる方向にも移動可能である、請求項10に記載の装置(10)。
【請求項12】
円形開口部(9)を有するダイヤフラム(8)が、試料から放出された粒子に対するコレクタ(5)の露出表面を好ましくは500μmの直径範囲までに制限するように、好ましくはコレクタ(5)から約2mmの距離でコレクタ(5)の前に配置される、請求項10又は11に記載の装置(10)。
【請求項13】
コレクタ(5)が有機材料又は金属又は半導体材料から作られた1インチウェハを含む、請求項10〜12のいずれかに記載の装置(10)。
【請求項14】
コレクタ(5)の表面を酸化もしくは一種以上の元素から作られた層で被覆、又はそれらの両方のいずれかをするための手段が与えられており、前記元素がアルミニウム(Al)、ヒ素(As)、バリウム(Ba)、ベリリウム(Be)、ビスマス(Bi)、カドミウム(Cd)、セシウム(Cs)、カルシウム(Ca)、炭素(C)、セリウム(Ce)、コバルト(Co)、銅(Cu)、ガドリニウム(Gd)、ガリウム(Ga)、ゲルマニウム(Ge)、金(Au)、ハフニウム(Hf)、インジウム(In)、イリジウム(Ir)、ランタン(La)、鉛(Pb)、リチウム(Li)、ルテチウム(Lu)、マンガン(Mn)、マグネシウム(Mg)、モリブデン(Mo)、ネオジム(Nd)、ニッケル(Ni)、オスミウム(Os)、パラジウム(Pd)、プラチナ(Pt)、カリウム(K)、ルテニウム(Re)、ロジウム(Rh)、ルビジウム(Rb)、ルテニウム(Ru)、サマリウム(Sa)、スカンジウム(Sc)、シリコン(Si)、銀(Ag)、ナトリウム(Na)、ストロンチウム(Sr)、タンタル(Ta)、テルル(Te)、テルビウム(Tb)、タリウム(Tl)、トリウム(Th)、タングステン(W)、ウラニウム(U)、イットリウム(Y)、及びジルコニウム(Zr)からなる群から選択される、請求項10〜13のいずれかに記載の装置(10)。
【請求項15】
スタティックSIMS(二次イオン質量分析)、ダイナミックSIMS,LEIS(低エネルギーイオン散乱)、RBS(ラザフォード後方散乱)、XPS(X線光電子分光法)、AES(オージェ電子分光法)、UPS(紫外光電子分光法)、電子マイクロプローブ、及び全蛍光X線からなる群において選択される分析手段をさらに含む、請求項10〜14のいずれかに記載の装置(10)。
【請求項16】
請求項10〜15のいずれかに記載の装置(10)であって、
− 任意選択的に、装置(10)と移動容器の間で、所望によりホルダー上に装着された、コレクタ(5)を移動するための移動容器に嵌合することができるドッキングステーション又はチャンバー(11);
− 好ましくはイオンエッチングを可能にするスパッタガンを備えた、コレクタ(5)を清浄化するための清浄化区域(12);
− 好ましくは流出セル、電子線蒸着器、水晶微量てんびん、反射高速電子回折(RHEED)及び/又は残留ガス分析器(RGA)を備えた、コレクタ(5)を調製し、表面酸化し、被覆するための被覆・調製区域(13);
− 好ましくはフローティング低エネルギーイオンガン(FLIG)タイプのイオンガン、スパッタするイオンビームの視覚化を可能にする二次電子検出器、並びに試料及びコレクタのそれぞれに対する二つの高精度モータ駆動ステージを備えた、試料(3)をスパッタし、さらにスパッタされた粒子(2)をコレクタ(5)上に蒸着するためのスパッタ蒸着区域(14);
の主要な区域を全て超高真空下でさらに含み、異なる区域の間のコレクタ(5)の移動が、取扱い手段及び全ての前記区域に超高真空下で接続された移動管(5)を使用してなされる、装置(10)。
【請求項17】
コレクタ表面(5)上に収集された材料(6)を分析するための分析区域をさらに含む、請求項16に記載の装置(10)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2011−501114(P2011−501114A)
【公表日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−528398(P2010−528398)
【出願日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際出願番号】PCT/EP2008/063549
【国際公開番号】WO2009/047299
【国際公開日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【出願人】(505154532)
【Fターム(参考)】