説明

分析物、特にマイコトキシンの検証および定量分析のための装置および方法

本発明は、分析物の検証および定量分析のための装置および方法、ならびにマイコトキシンの検証および定量分析の用途に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析物(analyte)の検証および定量分析のための装置および方法、ならびにマイコトキシンの検証および定量分析のためのこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
生化学および医学では、分析は、しばしば、既知の量および位置に存在する分子(分子プローブ)と、検出すべき未知の分子(分子標的分子)との間の相互作用の検出に基づいて行われる。
【0003】
相互作用を検出するために、通常支持体に固定され、標的分子に接触するプローブは、試料溶液中に存在し、定められた条件下で温置される。この温置の結果、プローブと標的との間で特異的相互作用が起こり、これは種々の方法で検出することができる。検出は、標的分子はある一定のプローブ分子とのみ、特異的結合を形成することができるという事実に基づく。該結合は、明らかに、標的分子に対し特異的ではないプローブへの標的分子の結合より、安定である。特異的に結合していない標的分子は、洗浄により除去することができ、一方プローブは、特異的に結合した標的分子に固定している。
【0004】
現在のアッセイでは、試料を複数のプローブ上で平行して同時に分析できるような方法(D.J.Lockhart,E.A.Winzeler,Genomics,gene expression and DNA arrays;Nature2000,405,827−836)で、マトリックス(アレイ)を用いて、多様なプローブを物質ライブラリーの形態で支持体上に析出させる。
【0005】
次いで、標的とそのプローブとの間の特異的相互作用は、普通前記標的分子とプローブとの相互作用の前後およびその最中に導入されているマーカーのタイプに依存する多様な方法により、「マーカー」に基づいて検出することができる。典型的には、そのようなマーカーは蛍光集団であり、したがって、特異的標的−プローブ相互作用は、他の従来の検出方法と比べて高い空間分解能および少ない労力の蛍光−光学的方法、とりわけ質量感受性方法(A.Marshall,J.Hodgson,DNA Chips:An array of possibilities,Nature Biotechnology1998,16,27−31;G.Ramsay,DNA Chips:State of the art,Nature Biotechnology1998,16,40−44)で読み取ることができる。
【0006】
これに関連して、プローブ分子の支持体として、エバネッセント場バイオチップを使用することが特に有利である。エバネッセント場バイオチップは、導波層に接する媒質の光学的特性の変化を検出するために使用することができる光学的導波路を備える。光が導波層中を導波モードで移送される場合、光場は、媒質/導波路の界面で突然衰えることはないが、導波路に隣接する「検出媒質」中で指数関数的に減少する。この指数関数的に減少する光場を、エバネッセント場と言う。エバネッセント場内の導波路に接する媒質の光学的特性の変化を、適切な測定装置によって検出することができる。
【0007】
したがって、標的分子の導波路に固体化されたプローブへの特異的結合は、導波路/固定化材料の境界層の光学的特性の変化によって、検出することが可能である。
【0008】
エバネッセント場中の蛍光信号を検出することが好ましい。蛍光標識プローブ/標的分子の結合ペアは、エバネッセント場によって励起される。エバネッセント場バイオチップの例は、米国特許第5,959,292号明細書に掲載されている。
【0009】
支持体に固定化されたプローブの物質ライブラリーおよび標的分子の化学的性質に依存して、このアッセイ原理に基づき、たとえば、核酸と核酸との間の、タンパク質とタンパク質との間の、抗体と抗原との間の、および核酸とタンパク質との間の相互作用を調べることが可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
実用的に迅速な検出方法を容易にするために、ここ数年、化学センサーおよび/またはバイオセンサー装置を最小化すること、および、いつでも使用できる「カートリッジ」中の試料の定性的および/または定量的測定に必要なほとんど全ての試薬を完成させること、が試みられている。より具体的には、再生結果を即時送達することができる、役に立つ、安価で、保存可能で、操作が容易な使い捨てカセットを製造することを目的として、微小流体技術が使用される。
【0011】
カートリッジの保存性および移送性に関し、従来技術では、特に、全ての試薬がカセット内、適切な場合は別々のチャンバー内に、乾燥状態で供給される乾燥アッセイ技術を利用する。試料流体は、通常、1つのチャンバーから次のチャンバーへ、微小流体チャネルを使用して移送される。
【0012】
たとえば、国際公開第2005/088300号パンフレットには、血液分析のための一体化微小流体カートリッジであって、下部および上部本体部分で構成されたカートリッジが記載されている。両要素は、2つの部分を結合することによって閉じられるチャンバーとチャネルとで構成されている。試験カセットは、試料を調製するための1つ以上の前処理要素(前処理チャンバー)と、試料流体中の1つ以上の標的分子を認識するための1つ以上の多層乾式分析要素(検出チャンバー)と、前処理要素と多層乾式分析要素とをつなぐ1つ以上のチャネル(平均≦3mm)とを備える。前処理要素は、特に、乾燥剤を含んでもまたは含まなくてもよい、チャネルまたは(マイクロ/ナノ)パッドの形態のフィルター要素または多孔性要素である。試料は、先ず、前処理要素を通り、次いで多層乾式分析要素に導入される。多層乾式分析認識素子は、乾燥安定状態の標的分子の定性および定量分析用のプローブを持つ機能層を少なくとも1つ有する。この試薬層は、励起可能なプローブが、親水性ポリマーバインダー(ゼラチン、アガロース、その他)に、実質的に一様に分散されている吸水層で構成されている。検出は、多層乾式分析要素中にある、認識反応から光学的に励起可能な流体が拡散する検出層を照射し、透明窓を通る反射測光によって行う。試料は、毛管力または圧力を使用して移送する。この装置の欠点は、多層乾式分析要素の設計の複雑さと、分析物と検出試薬との混合が最適以下であることである。さらに、個々の反応ステップの正確な時間管理、特に容積および温置時間の管理が不可能であり、したがって、試験結果は、量的に再現性がない。参照は記載されていない。
【0013】
側方流動アッセイ(LFA)技術も、ここ数年、生化学分析で知られてきている。側方流動アッセイ(LFA)は、抗体−抗原反応の作用を利用する。さらに、分析すべき試料(溶液)は、毛管力によってセンサーの表面を横断させる。LFAを用いて分析物を検出するには、たとえば、直接競合イムノアッセイをニトロセルロース片上で行ってもよく、分析すべき試料は、毛管力により、ニトロセルロース片全体の中を通り抜けさせる。抗分析物抗体が固定化されている区域を、片分析の検出区域として使用する。マイコトキシン(たとえば、デオキシニバレノールを検出する)LFAの例として、対応するAccuScan読取り機を併用するNeogen,Lansing,MI,USAのリビールアッセイ(試験カセット)がある。カートリッジは読取り機に挿入され、該装置により、片分析の得られた範囲の画像が記録される。ラインが認識された時、読取り機は、得られた画像を翻訳し、判断を行う。該装置は、試験結果の主観的な翻訳を削除し、客観的で理解可能な文書を提供する。分析の記載は、容易におよび比較的迅速に行うことができ、いかなる複雑な読出し装置も必要としない。該方法は、定性的、またはよくても半定量的にしかマイコトキシンの検出が可能でなく、不都合である。
【0014】
国際公開第2007/079893号パンフレットには、マイコトキシンを迅速に検出する方法であって、空間的に分離された測定領域内の、マイコトキシンおよび/またはマイコトキシン用のプローブの固定化結合パートナーの支持物質ライブラリーを、薄い導波路層の表面に置くステップと、マイコトキシンと該マイコトキシンのプローブとを含有する試料を、固定化結合パートナーに接触させるステップと、該固定化結合パートナーと、マイコトキシンおよび/または該マイコトキシンの認識素子との反応を、エバネッセント場中、すなわち、導波路の界面での信号の変化に基づいて検出するステップとを含む方法が記載されている。該方法は、信号の検出の前に、蛍光標識された結合パートナーまたは試料または標識結合パートナーを含有する溶液を洗い流す手間を、限られた範囲内でまたは完全に省ける点で、特に有利である。これは、洗浄液も省くことができるので、分析にかかる時間を節約することができ、および手順を簡素化することもできる。信号強度は、試料中に存在するマイコトキシンの量の計算と同様に、適切なソフトウェアを用いてアッセイの記録された画像に基づいて測定する。しかし、従来技術では、定量分析の信頼性に関し、適切な参照方法は有利であることが開示されている。国際公開第2007/079893号パンフレットには、そのような参照方法は記載されていない。
【0015】
従来技術には、アッセイの較正用の測定領域を1個以上利用することが記載されている。たとえば、国際公開第01/13096号パンフレットには、パラメータが測定すべきセンサープラットホーム上に局所分布できるように、センサープラットホームを横切って分布された複数の試料容器において、同一の化学的または光学的パラメータ(たとえば、局所的に利用可能な励起光の強度)を参照するための測定領域を使用することが記載されている。前記測定領域の配置における参照用の測定領域の数および位置は、無作為である。
【0016】
欧州特許公開公報第A0093613号には、光学的導波路のエバネッセント場における蛍光励起に基づくセンサーによって試料流体中の標的分子を定量するためのアッセイを較正する方法が記載され、前記センサーは、試料中の分析物の存在の関数である量で使用される第一標識を特異的に結合する第一測定領域(範囲を測定)と、第二標識を結合する第二測定領域(範囲を較正)とを有し、ここで、この結合は、試料中の分析物の存在に影響されない。しかし、測定範囲および較正範囲は、類似する性質を持つ異なる結合ペアを利用する。アッセイ中、較正範囲内の第二標識の量により、濃度範囲内の所定の濃度の分析物に関して信号値を得る。両測定領域は、センサーの局所変異によって起こる可能性のある差を最小にするために、同じ基本的構造上に互いに近接して配置される。信号へのセンサーの非特異的効果を訂正するために、測定範囲の信号値を、それに近接して配置された較正範囲の信号値で割る。センサーの設計および励起ビームの方向は、詳細に定義されていない。
【0017】
国際公開第2004/023142号パンフレットには、光学的導波管のエバネッセント場内の蛍光励起に基づいて、センサーによって試料流体中の標的分子を定量するアッセイを較正する方法であって、前記光学的導波管上で、センサーの認識素子および参照分子(Cy5−BSA、BSA=ウシ血清アルブミン)が、それぞれ、エバネッセント場センサープラットホームに導かれた励起光の伝播の方向に対し直交方向に、離れて平行に交互に並ぶマイクロアレイ中の測定スポットおよび参照スポット中にスポットされる方法が記載されている。各測定スポットの信号強度を参照するため、該測定スポットのネット信号強度を、励起光の伝播方向に配置されている同じ列の隣接する参照スポットのネット信号強度の平均で割る。この参照により、利用可能な励起光強度の局所差が、光の伝播方向に対して直交方向に相殺され、両方とも、各マイクロアレイ内で、種々のマイクロアレイの間にある。
【0018】
従来技術に記載の参照方法を使用した場合、それらは、流体系のアッセイ物を参照するには不適切な結果となる。参照としてスポットされた、蛍光タンパク質を使用する場合、たとえば、蛍光の減衰またはアレイのスポッティング中の変動のような、センサーのレベルで起こる系の変動しか相殺できない。
【0019】
従来技術から、薄膜導波路(PWGバイオチップ、PWG=平板導波路)支持体上の空間的に離された測定領域(イムノアッセイ物)中の固定化結合パートナーの物質ライブラリーを使用する、安価で、保存可能、および操作が簡単な、分析物、特にマイコトキシンの定量分析のための方法を提供することが目的である。本発明のさらなる目的は、発生した信号の絶対測定方法、すなわち参照方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
この目的は、分析物、特にマイコトキシンの定性および/または定量分析アッセイを行うために必要な全ての試薬を乾燥状態で含む、微小流体カートリッジによる本発明に従って達成される。本発明のカートリッジは、チャネルによって互いにつながる空洞が挿入されている構造体を備える。本発明によれば、カートリッジは、マイコトキシンを含有する試料流体を導入するための少なくとも1つの入口と、少なくとも1つの試薬チャンバーと、少なくとも1つの検出チャンバーとを有する。試薬チャンバーは、試料流体のマイコトキシンと反応する、1個以上の標識マイコトキシンプローブと、参照抗原と反応する標識参照プローブとを乾燥状態で収容する。検出チャンバーの底面は、層(a)より低い屈折率を有し、光学格子が挿入されている光学的に透明な第二層(b)の上部ある光学的に透明な第一層(a)を含む薄膜導波路(PWGバイオチップ)で構成され、ここで、前記光学格子は、該光学格子により薄膜導波路に送り込まれる励起光の通路に対して垂直に配向されている。検出試薬は、マイコトキシンおよび/またはマイコトキシンプローブ用の固定化結合パートナーの物質ライブラリーの形態のマイコトキシンアッセイ物(イムノアッセイ物)、および固定化参照抗原を含む独立したコントロールアッセイ物を、空間的に離れた測定領域の列に置くことによって、薄膜導波路の表面に固定化される。アレイは、測定領域が光学格子に対し平行に列をなして配向されるように、PWGバイオチップに置かれる。コントロールアッセイ物の列は、マイコトキシンアッセイ測定領域の蛍光強度を、励起光の方向に隣接するコントロールアッセイ物測定領域の蛍光強度の平均で割ることによって、マイコトキシンアッセイ測定領域の参照蛍光強度を得ることができるように、励起光の方向に、イムノアッセイ物(図1参照)の各列の上下に配置されている。
【0021】
驚くべきことに、流体系中のイムノアッセイ物の参照は、公知の静的参照構想ではなく本発明の動的参照構想を使用することによって、大幅に改善されることになった。動的参照は、流体系中の変動(たとえば、チャネルにおける吸着、容積変動、パッド中の抗体の量の変量)およびPWGバイオチップ表面上での変動(たとえば、減衰、スポッティングにおける変量)の両方を相殺することができ、有利である。
【0022】
したがって、本発明の第一の主題は、試料流体中の分析物の検証および定量分析のためのカートリッジであって、チャネルによって互いにつながれた空洞が挿入されている構造体を含み、前記カートリッジは、少なくとも1つの分析物含有試料流体の導入口と、少なくとも1つの試薬チャンバーと、少なくとも1つの検出チャンバーとを有し、ここで、
a.試薬チャンバーは、乾燥状態で、試料流体の分析物と反応する1以上の標識分析物プローブと、参照抗原と反応する1以上の標識参照プローブとを収容し、
b.検出チャンバーの底面は、層(a)より低い屈折率を持つ光学的に透明な第二層(b)の上部にある、光学的に透明な第一層(a)を含む薄膜導波路であって、光学格子が、層(a)または(b)に挿入され、該光学格子によって薄膜導波路に送り込まれる励起光の通路に垂直に配向し、
c.分析物および/または分析物プローブ用の結合パートナーの物質ライブラリーの形態のイムノアッセイ物(ここで、結合パートナーは、空間的に分離された測定領域の列に固定されている)、および空間的に分離された測定領域の列に固定化された参照抗原を含む独立したコントロールアッセイ物は、前記薄膜導波路の表面に置かれ、および
d.特定の列は光学格子に平行に配向し、およびコントロールアッセイ物の列は、励起光の方向に、イムノアッセイ物の各列の上下に位置するカートリッジである。
【0023】
コントロールアッセイ物は、参照抗原の分子量が分析物の分子量と類似し、参照プローブの結合特性が分析物プローブの結合特性と類似(親和性、結合速度論)するように選択されることが好ましい。さらに、コントロールアッセイ物はイムノアッセイ物に対しいかなる交叉反応性も示してはならず、および抗原は試験マトリックス中に自然に存在してはならない。
【0024】
コントロールアッセイ物の分解挙動とイムノアッセイ物の分解挙動とは、製造バッチの較正曲線の長時間安定性を提供するように、類似するのがさらに有利である。
【0025】
本発明の特定の実施形態では、分析物はマイコトキシンである。
【0026】
国際公開第WO2007/079893号パンフレット(該公報の内容は参照により組み込まれる)に記載のイムノアッセイ物を使用するのが好ましい。
【0027】
マイコトキシン−タンパク質複合体、たとえば、マイコトキシン−BSA複合体の列を含むイムノアッセイ物が好ましい。
【0028】
コントロールアッセイ物の例として、試験マトリックス中に自然に存在しないマイコトキシンのアッセイ物がある。コントロールアッセイ物は、≦1000g/molの分子を検出するように選択するのが好ましい。フルオレセインのコントロールアッセイ物およびコントロール−タンパク質複合体、たとえば、フルオレセイン−BSAの列を、PWGバイオチップに置くのが特に好ましい。
【0029】
PWGバイオチップは、たとえば、五酸化タンタルの層で被覆されたガラス支持体で構成される。該層の厚さは、40〜160nm、好ましくは80〜160nm、特に好ましくは120〜160nm、特に非常に好ましくは155nmである。ガラス支持体は、格子深さが3〜60nm、好ましくは5〜30nm、特に好ましくは10〜25nm、特に非常に好ましくは18nmであり、格子周期が200〜1000nm、好ましくは220〜500nm、特に好ましくは318nmである光学格子を含有する。格子は単一周期を有する、すなわち、単回析であるのが好ましい。
【0030】
五酸化タンタル表面は、通常、単層の形態でリン酸ドデシルが被覆されている。分析物−タンパク質複合体、好ましくはマイコトキシン−BSA複合体、および参照抗原−タンパク質複合体、好ましくはフルオレセイン−BSA複合体は、この表面に固定化される。固定化は、通常、タンパク質複合体を、前記表面に置くことと、そこでタンパク質を、0.1〜5mg/ml、好ましくは0.2〜2mg/ml、特に好ましくは0.5〜1.5mg/ml、特に非常に好ましくは1mg/mlの濃度で吸着することを含む。
【0031】
タンパク質複合体は、以下の群から選択される1つ以上の方法を使用して置くことができる。生物的、生化学的または合成的認識素子を、圧力差、電位差または電磁ポテンシャルに曝露して、平行または交叉するマイクロチャネルに供給することによる、前記認識素子を持つ測定領域のインクジェットスポッティング、ピンまたはペンによる機械的スポッティング、マイクロコンタクトプリンティング、流体接触である。
【0032】
タンパク質複合体の固体化後まだ空いているPWGチップ表面の部分は、非特異的結合を抑えるために、BSAを用いる処理によって不動態化する。
【0033】
PWGバイオチップは、本発明のカートリッジの検出チャンバーの底面を構成し、前記カートリッジに組み込まれる。カートリッジは、チャンバーおよびチャネルが挿入されている構造体を構成し、チャンバーは、本体に、好ましくは、封止ユニットを当てることによって少なくとも片側上に形成されるように挿入されている。構造体は、入り口、検出チャンバーの底および場合によっては弁以外、封止ユニットによって、上面と底面とでシールされている。バイオチップは、バイオチップを保持する封止ユニットの前の適切な位置に位置決めするのが好ましい。封止ユニットとしては封止フィルムが好ましい。
【0034】
正確に決められた容積の試料流体を、チャネルおよびチャンバーに移送することが好ましく、これは、チャネルおよびチャンバーの設計および試料流体を移送する適切な手段を採用することによって、容易になる。同様に、ここでは、反応時間も正確に制御することができ、分析の再現性を改善する。チャンバーとチャネルとのマッチング設計により、空隙容積が少なく、および適切な場合は、固定化検出試薬との適切な接触を持つ最適な流れプロファイルが確保される。
【0035】
チャネルは、入口と、試薬チャンバーおよび検出チャンバーとを互いにつなぎ、直径が、通常0.1〜2.5mm、好ましくは0.5〜1.5mm、特に好ましくは1mmである。
【0036】
カートリッジの特定の実施形態では、試薬チャンバーは、分析物プローブおよび参照プローブ、特にマイコトキシンの抗体およびフルオレセインを収容する試薬パッドを有する。
【0037】
試薬パッドは、上澄液の必要な液体容積および該溶液中の個々の成分の濃度に関し、検出チャンバーの要件を満たすように選択される。
【0038】
試薬パッドは、通常、繊維状または多孔性材料、たとえば微粒子または細かい組織で構成され、その中には、試薬が(該パッドへの吸着、固定、分散、中に入れて乾燥させることによって)組み入れられている。試薬パッドは、ガラスまたはたとえばセルロースのようなポリマーで構成されるのが好ましい。たとえば、側方流動アッセイでも使用される試薬パッド、および種々の形態で市販されている試薬パッドが使用される。
【0039】
好ましい試薬チャンバーは、10〜100μlの液体容積が必要で、好ましくは20〜60μl、特に好ましくは40μlであり、分析物プローブおよび参照プローブは、そこに、10−7M〜10−10Mの濃度、好ましくはナノモル濃度で溶解している。
【0040】
この試薬チャンバーは、Pall社の極厚ガラスフィルタ(孔径:1μm、代表的な厚さ、1270μm(50ミル)、代表的な水の流速:30kPaで210ml/分/cm)で、互いの上面に重ねられた、適切な直径(通常、5〜10mm)を持つ2枚の円形フィルター片を有する試薬パッドを選択することによって、満たされる。得られた試薬パッドは、通常、蛍光標識プローブおよび通常含浸を支持するさらなる成分を含有する溶液、約100μlで含浸されている。含浸は、たとえば、乾燥または凍結乾燥によって行われる。
【0041】
試薬パッドは、通常、カートリッジ内で、約80μlの試料流体(たとえばマイコトキシン抽出物)で湿らせるようにして操作される。
【0042】
1〜10分の予備温置後、通常20〜60μlの溶液を検出チャンバーに移送する。
【0043】
容積の精密制御は、本発明において有利であるが、異なるカートリッジの間での変動は、本発明の参照方法によって相殺することができるので、必ずしも必要ではない。
【0044】
また、本発明は、本発明のカートリッジによる、分析物、特にマイコトキシンの検証方法に関する。
【0045】
本発明の第二の主題は、分析物の定量分析方法であって、
a.場合によっては、分析物をマトリックスから試料流体に抽出するステップと、
b.請求項1〜7のいずれかに記載のカートリッジでアッセイを行うステップであって、カートリッジに導入した後、該試料流体を試薬チャンバーに移送し、そこに置かれた標識されたプローブと混合または反応させるステップと、次いで
c.試料流体を検出チャンバーに移送し、分析物および/または標識されたプローブを、イムノアッセイ物およびコントロールアッセイ物と反応させるステップと、その後、
d.薄膜導波路を照射して、イムノアッセイ物およびコントロールアッセイ物の標識されたプローブを蛍光発光のために励起し、蛍光画像を撮るステップと、次いで、
e.コントロールアッセイ物に基づいてイムノアッセイ物の参照蛍光強度を計算するステップであって、前記イムノアッセイ物の測定領域の蛍光強度を、励起光の方向に隣接するコントロールアッセイ物の測定領域の蛍光強度の平均で割ることによって、各イムノアッセイ物の測定領域の参照蛍光強度を計算するステップと、
f.較正曲線に基づいて分析物のデータを計算および表示するステップとを含む方法である。
【0046】
マイコトキシンが固体マトリックス中に存在する場合、普通、本発明の方法の任意の第一ステップで、該固体マトリックスは押しつぶされ、次いで、マイコトキシンを適切な溶剤でマトリックスから抽出する。抽出剤の例として、メタノール、エタノールまたはアセトニトリルの水溶液がある。固体マトリクスの例として、コムギ、トウモロコシ、オオムギ、ライムギ、ピーナッツ、ヘーゼルナッツ、その他がある。抽出物が10%を超える非水性溶剤を含有する場合、普通、カートリッジを満たす前に、希釈ステップが必要である。適切な希釈後または直接、液体マトリックス(ミルク、果汁、ワイン、その他)を、カートリッジに加えることができる。
【0047】
さらなるステップで、使用者は、抽出物または試料溶液を、カートリッジに加え、カートリッジを密封する。次いで、カートリッジを、読取り機に挿入する。読取り機には、空気をカートリッジに吸い上げることによって、溶液を試料入口から反応チャンバーに移送するポンプが備えられ、反応チャンバーで、該溶液は、そこに置かれている試薬パッドを湿らせる。
【0048】
試薬パッドが濡らされると、抗体が抽出物の助けによって試薬パッドから取り出され、該抽出物と混合する。
【0049】
試薬パッド中の抽出物の温置時間は、好ましくは1〜20分、特に好ましくは3〜7分である。この時、ポンプは、もう一度、空気をカートリッジに吸い上げ、これによって、液体をPWGバイオチップの上にある検出チャンバーに動かす。再び、通常1〜100分、好ましくは5〜15分続く温置ステップを行う。
【0050】
該方法を行う間、カートリッジを、好ましくは20〜37℃、特に好ましくは25℃の温度に加熱するのが好ましい。
【0051】
標識された抗体のPWGバイオチップ上での温置の次に、レーザー光を光学格子に送り込む。PWGバイオチップの面積照射による励起により、標識された抗体が蛍光を発する。カメラおよび適切な蛍光フィルターを用いて、バイオチップ蛍光画像を記録する。
【0052】
次いで、読取り機のコンピュータに取付けられた画像分析ソフトウェアにより、マイコトキシンおよびコントロールのアッセイ物測定領域の蛍光強度を定量する。マイコトキシンのアッセイ物測定領域の参照蛍光強度は、マイコトキシンのアッセイ物測定領域の蛍光強度を、励起光の方向に隣接するコントロールのアッセイ物測定領域の蛍光強度の平均で割ることによって得る。マイコトキシンのアッセイ物測定領域の参照蛍光強度と、カートリッジにピペットで入れた溶液中のマイコトキシンの濃度との間の量的関係は、通常、記録較正曲線によって確立する。得られた数学的関係は、読取り機のコンピュータに保存する。
【0053】
試料を測定する場合、蛍光画像を記録した後に、参照蛍光強度を定量し、対応するマイコトキシン濃度を、較正曲線に基づいて計算する。次いで、マイコトキシンデータを、読取り機のスクリーン上に表示する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】マイコトキシンアレイの構造
【図2】カートリッジの設計
【図3】PWGバイオチップの側面図
【図4】PWGバイオチップの寸法
【発明を実施するための形態】
【0055】
本発明の装置および本発明の方法を以下の例および図面に基づいてさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0056】
カートリッジ(1)は、チャネルおよび空洞が導入されている構造体で構成されている。たとえば、本発明のカートリッジは、射出成形によって製造された。本体は、黒いポリオキシメチレン(POM)製のプレートで構成され、その中にチャネルおよびチャンバーが、ドリルで穴が開けられおよび平坦にされ、形成されている。
【0057】
カートリッジ(1)は、検出すべき分析物を含有する試料流体を、カートリッジ(1)の試料チャンバー、試薬パッドを有する試薬チャンバー(4)に入れるための入口(2)を備え、試料流体は、チャネル(3)を介して試薬チャンバーに移送され、さらに他のチャネル(3)を介して、PWGバイオチップ(6)を備える検出チャンバー(5)に移送される。
【0058】
反応チャンバー(4)には、試料流体のマイコトキシンに特異的な蛍光色素で標識された抗体、およびフルオレセインに特異的な標識抗体が、試薬パッドに含浸させられて、入っていた。
【0059】
PWGバイオチップ(6)および試薬パッドは両方とも、POMプレート中の2枚のポリオレフィンフィルムの間に保持され、該フィルムは、試験カセットを密封するための密封フィルムとしても作用した。上部密封フィルムの厚さは180μmであり、下部密封フィルムの厚さは80μmであった。
【0060】
下部フィルムは、PWGバイオチップ(6)の領域内に、PWGバイオチップ(6)の測定領域に自由に近づける窓を有していた。
【0061】
アッセイの開始時に、試料流体を、入口(2)を介して試料チャンバーに導入し、入口(2)には、適切な蓋による気密シールが備わっていた。決められた容量の空気を、入口で移送装置を用いてカートリッジ(1)に導入した。この容量の空気により、試料流体が動かされ、それにしたがって試薬チャンバー(4)に入り、試薬パッドを完全に濡らした。
【0062】
試薬チャンバー(4)が試料流体で満たされたことにより、抗体が溶解し、試料流体と混合し、前記試料流体(マイコトキシン−抗体複合体)中に存在するマイコトキシンと特異的な結合を形成した。試料流体中のマイコトキシンの量が増加するにしたがって、抗体の遊離結合部位が、ますます飽和し始めた。
【0063】
25℃の温度である滞留時間(10分)後、マイコトキシン−抗体複合体およびフルオレセインの抗体を含有する試料流体を、次のステップの検出チャンバー(5)に移送した。
【0064】
検出チャンバー(5)では、生化学的検出反応の経過および終点を検出した。
【0065】
検出チャンバー(5)は、試料流体で完全に満たされた。チャネル系全体は換気された。チャネル系全体の換気は、上部密封フィルムに付いている換気口を介して行った。
【0066】
検出チャンバー(5)は、PWGバイオチップ(6)を備えていた。図2にPWGバイオチップ(6)の平面図を、および図3にPWGバイオチップ(6)の側面図を示す。
【0067】
検出チャンバー(5)中のPWGバイオチップ(6)を、厚さ0.7mmの10mm×12mm(12.0±0.05mm×10.0±0.05mm×0.70±0.05mm)ガラス板(8)で構成した。Ta(五酸化タンタル)の薄い155nm導波層(9)を、PWGチップ(6)の片側に配置した。チップの測定領域を、中央に、10mm×6mmの長方形範囲で構成した。この測定領域に平行して、500μmの三日月形バンドが、励起光を送り込む格子(7)の幅で存在する。端部に対する格子(7)の位置の精度は±0.05mmであった。格子深さは18nmであり、格子周期は318nmであり、デューティーサイクルは0.5であった。
【0068】
リン酸ドデシルの単層を接着促進層(10)としてPWGバイオチップ(6)に置いた。接着促進層(10)は、光学格子(アレイ)に平行するスポットの列の形を取り、イムノアッセイ物(12)の形態で、吸着する方法で、それに滴下/固定化されたマイコトキシン−BSA複合体を含有していた。マイコトキシン−BSA複合体スポット(イムノアッセイ物(12))の各列の上下に、BSA−フルオレセインスポット(コントロールアッセイ物/参照スポット(11,13))の列が存在した(図1)。イムノアッセイ物(12)とコントロールアッセイ物との間の自由域は、BSA(14)でブロックした(不動態化)。
【0069】
検出チャンバー(5)では、マイコトキシン−抗体複合体および、適切な場合は、遊離の結合部位を有する抗体、さらにフルオレセインの抗体が、固定化分析物−BSA複合体のイムノアッセイ物(12)および、それぞれ、PWGバイオチップ(6)上のコントロールアッセイ物(11、13)に到達する。遊離の結合部位を有する抗体は、対応する固定化分析物−BSA複合体と特異的な結合を形成した。
【0070】
遊離の結合部位を有する抗体が溶液中に多く存在するほど、すなわち、試料流体中の対応する分析物の比率が低いほど、より多くの蛍光色素が標識された抗体が、PWGバイオチップと結合する。試料流体中の分析物で飽和された抗体は、溶液中に残った。
【0071】
電磁放射をPWGバイオチップ(6)に送り込むことによって、固定化分析物−BSA複合体に結合した抗体を励起することができ、蛍光色素で標識され、導波路のエバネッセント場で蛍光を発した。この場合、溶液中に存在する蛍光色素で標識された抗体は、励起されなかった。この方法で、試料流体中に存在するマイコトキシンを、間接的に定量した。マイコトキシンスポットの参照蛍光強度は、マイコトキシンスポットの蛍光強度を、参照スポットの蛍光強度の平均で割ることによって得た。
【0072】
マイコトキシンスポットの参照蛍光強度と、カートリッジにピペットで入れた溶液中のマイコトキシンの濃度との間の量的関係は、記録較正曲線によって確立した。得られた数学的関係は、読取り機のコンピュータに保存した。
【実施例1】
【0073】
PWGバイオチップでデオキシニバレノール(DON)を測定するためのカートリッジの作成
内部に光学格子(格子深さ:18nm)がインプリントされた、外形寸法:10mm×12mm、ガラス製で五酸化タンタルの層(155nm)を有する、24個のPWGバイオチップ(Unaxis,Liechtenstein)を浄化し、リン酸ドデシルで被覆した。デオキシニバレノールおよびウシ血清アルブミンの複合体(DON−BSA,Biopure,オーストリア)およびウシ血清アルブミンおよびフルオレセインの複合体(BSA−FITC,Sigma,ドイツ)を、Nanoplotter(Ge−SIM,ドイツ)型のスポッターを用いて、バイオチップに塗布した。いずれの場合も列が光学格子に平行に走るように、それぞれ16個のBSA−FITC複合体スポットおよびBSA−DON複合体スポットが交互に入れ替わる列の形態で、PWGバイオチップに塗布した。スポットを乾燥し、次いでBSA水溶液の霧に曝露した。PWGバイオチップを洗浄し、次いで乾燥した。PWGバイオチップを、両面粘着テープを使用してカートリッジ中に接着した。該カートリッジは、試料を受取る試料チャンバー、ガラス繊維パッドを有する試薬チャンバーおよびPWGバイオチップの検出チャンバーを含んでいた。チャンバーを、チャネルにより互いにつなげた。ガラス繊維材料を、デオキシニバレノールおよびフルオレセインに対するモノクローナル抗体を使用して、蛍光色素DY−647(Dyomics,ドイツ)を標識した抗体のナノモル濃度の溶液で含浸した。抗体は、BPS(=リン酸緩衝生理食塩水)、0.1%卵白アルブミン、0.05%Tweenおよび5%スクロースを含有する緩衝液に溶解していた。得られた試薬パッドを真空乾燥し、次いでカートリッジに印刷した。チャネルを密封するために、密封フィルムでカートリッジの両サイドを密封した。
【実施例2】
【0074】
DONの定量化のための標準曲線(較正曲線)の記録
0〜6000ppbの範囲の濃度でDONの溶液を調製し、17個の別々のカートリッジに、該溶液をそれぞれ200μl充填した。カートリッジを密封し、次いでMyToLab読取り機(Bayer Technology Services,ドイツ)に挿入した。読取り機を、装置の内部移送ユニットにより、挿入された流体が、先ず、カートリッジ、試薬パッドに移送され、5分間の予備温置時間の後、検出チャンバーに移送されるように設定した。温度は初めから終わりまで25℃に維持した。チップチャンバー中での10分の温置時間の後、レーザーをPWGバイオチップの光学格子に送り込んだ。それぞれ別々のPWGバイオチップの蛍光画像を、2〜3秒の集積時間で記録した。各DONスポットに関し得られた蛍光強度を、特定のDONスポットの上下に位置するBSA−FITCスポットの蛍光強度の平均で割った。この方法で、16個の参照DONスポット全ての蛍光強度の平均値を決定した。得られた、濃度依存性参照蛍光強度を、コンピュータプログラムOrigin7G(Origin Lab社,USA)を用いて、シグモイドフィットによって合わせた。
【実施例3】
【0075】
人工的に汚染されたコムギ試料中のDONの測定
コムギ穀粒をすりつぶし、得られた粉末を、乾燥させた既知量のDONの溶液で処理した。均質化した試料は、888mg/kg(ppb)のDONを含有していた。5gの粉末試料を、25mlの70%メタノールで、3分間激しく振盪することによって、抽出した。抽出物を放置し、上澄液を、緩衝液を使用し、1:3の比で希釈した。希釈抽出物を、7個の異なるカートリッジに加えた。次いで、カートリッジを、MyToLab読取り機で先に記載したように測定し、DONスポットの参照蛍光強度を決定した。ppb単位のDON濃度を、前記標準曲線に関連して決定し、1042、757、710、660、431、728および984ppbの値を得た。DON測定の平均は、760ppb、標準偏差27%であった。
【符号の説明】
【0076】
1 カートリッジ
2 入口
3 チャネル
4 試薬パッドを有する試薬チャンバー
5 検出チャンバー
6 PWGバイオチップ
7 格子
8 ガラス板
9 導波層
10 リン酸ドデシル/接着−促進層の単層
11 参照スポット/コントロールアッセイ物
12 マイコトキシン−BSA複合体スポット/イムノアッセイ物
13 参照スポット/コントロールアッセイ物
14 BSA

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料流体中の分析物の検証および定量分析のためのカートリッジであって、チャネルによって互いにつながれた空洞が挿入されている構造体を含み、
前記カートリッジは、少なくとも1つの分析物含有試料流体の導入口と、少なくとも1つの試薬チャンバーと、少なくとも1つの検出チャンバーと、を有し、ここで、
a.試薬チャンバーは、乾燥状態で、試料流体の分析物と反応する1以上の標識分析物プローブと、参照抗原と反応する1以上の標識参照プローブとを収容し、
b.検出チャンバーの底面は、層(a)より低い屈折率を持つ光学的に透明な第二層(b)の上部にある、光学的に透明な第一層(a)を含む薄膜導波路であって、光学格子が、層(a)または(b)に挿入され、該光学格子によって薄膜導波路に送り込まれる励起光の通路に垂直に配向し、
c.分析物および/または分析物プローブ用の結合パートナーの物質ライブラリーの形態のイムノアッセイ物、および空間的に分離された測定領域の列に固定化された参照抗原を含む独立したコントロールアッセイ物は、前記薄膜導波路の表面に置かれ、結合パートナーは、空間的に分離された測定領域の列に固定されており、
d.特定の列は光学格子に平行に配向し、およびコントロールアッセイ物の列は、励起光の方向に、イムノアッセイ物の各列の上下に位置する、カートリッジ。
【請求項2】
参照抗原の分子量は分析物の分子量と類似し、参照プローブの結合特性は分析物プローブの結合特性と類似し、コントロールアッセイ物はイムノアッセイ物といかなる交叉反応性も示さず、および参照抗原は試験マトリックス中に存在しないことを特徴とする、請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
分析物プローブは抗体である、請求項1又は2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
分析物はマイコトキシンである、請求項1〜3のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【請求項5】
参照抗原は、コントロールアッセイ物中で、1000g/mol以下である、請求項4に記載のカートリッジ。
【請求項6】
参照抗原はフルオレセインである、請求項4又は5に記載のカートリッジ。
【請求項7】
イムノアッセイ物は、マイコトキシン−タンパク質複合体を含有し、および/またはコントロールアッセイ物は、コントロール分子−タンパク質複合体を含有する、請求項4〜6のいずれか1つに記載のカートリッジ。
【請求項8】
分析物の定量分析方法であって、
a.場合によっては、分析物をマトリックスから試料流体に抽出するステップと、
b.請求項1〜7のいずれかに記載のカートリッジでアッセイを行うステップであって、カートリッジに導入した後、該試料流体を試薬チャンバーに移送し、そこに置かれた標識されたプローブと混合または反応させるステップと、次いで
c.試料流体を検出チャンバーに移送し、分析物および/または標識されたプローブを、イムノアッセイ物およびコントロールアッセイ物と反応させるステップと、その後、
d.薄膜導波路を照射して、イムノアッセイ物およびコントロールアッセイ物の標識されたプローブを蛍光発光のために励起し、蛍光画像を撮るステップと、次いで、
e.コントロールアッセイ物に基づいてイムノアッセイ物の参照蛍光強度を計算するステップであって、前記イムノアッセイ物の測定領域の蛍光強度を、励起光の方向に隣接するコントロールアッセイ物の測定領域の蛍光強度の平均で割ることによって、各イムノアッセイ物の測定領域の参照蛍光強度を計算するステップと、
f.較正曲線に基づいて分析物のデータを計算および表示するステップと、を含む方法。
【請求項9】
該方法を行う間、カートリッジを20〜37℃の温度に加熱する、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
ステップb.の反応が1〜20分かかり、および/またはステップc.の方法が1〜100分かかる、請求項8又は9に記載の方法。
【請求項11】
マイコトキシンの検証および定量分析のための、請求項1〜7のいずれか1つに記載のカートリッジ、および請求項8〜10のいずれか1つに記載の方法、の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−523549(P2012−523549A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503889(P2012−503889)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【国際出願番号】PCT/EP2010/001924
【国際公開番号】WO2010/115530
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(507362661)バイエル・クロップサイエンス・アクチェンゲゼルシャフト (4)
【氏名又は名称原語表記】BAYER CROPSCIENCE AG
【Fターム(参考)】