分析用の試料を調製するための方法、ラックおよび装置
固相抽出(SPE)装置において、SPEプレート(29)のすべてカラム(31)が液体(81)で満たされたならば、ニードル(47)はプッシャー部材(24)の係合用成形部(49)と協働して、上向き付勢されたシュー(23)と共にプレート(29)を押し下げて、容器(11)を囲繞する周縁スペーサ(13)にシール係合させる。同時に、弁(76)を適宜制御することにより真空(78)が印加され、全てのカラムの液体は同時にドレーン容器へ移される。次いで真空が釈放され、ニードル(47)は凹み(51)に係合してキャリッジ(20)を回収容器(12)の上方へ移動させ、そして同様の手続きが再開される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分析用の試料(サンプル)を調製するための方法に関する。
本発明は、また、例えば分光法による分析のための生物学的試料を調製するためのラックおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような調製をするための公知の方法によれば、プレートには大きな上部開口と狭い漏斗状の下部開口とを有する平行なカラムのアレー(典型的には8×12=96カラム)が設けられる。夫々のカラム内の或るレベルには静止相(又は、固相)が設けられる。
【0003】
いわゆる“固相抽出”法を形成する調製工程は、夫々、コンディショニング液をして静止相を通って流れさせることからなるコンディショニング工程と、試料を夫々のカラムに導入することからなる装入工程と、試料のうち分析に有用でない成分をカラムから除去するための一以上の洗浄工程と、最後に、各カラムの有用内容物を夫々の回収管(ウェル)内に移送することからなる溶離とを含む。その後、夫々の回収管の内容物は例えば分光法によって分析される。
【0004】
WO 00/50171-A1は分析用試料を調製するための装置を開示しており、この装置においては、カラムを備えたプレートは、ドレーン容器の上方と回収容器の上方との間で移動するべくフレーム内で摺動可能なキャリッジに搭載されている。コンディショニング工程と装入工程と洗浄工程はドレーン容器の上方で行われる。その後、キャリッジは回収容器の上方の位置へ移動せられ、そして回収工程が行われる。
【0005】
プレートはカラムを上方でシールする液密(気密)な隔膜で覆われている。この隔膜は各カラム毎に1つの貫通孔を備えた剛性のカバーによって位置決めされている。液体をカラムに移送すると共にカラムからその下にある容器へ移送するプロセスは次のように行われる:注入ニードルはカバーに係合して、プレートを付勢ばねに抗して下向きに押し、プレートの下縁がシール係合する位置に持ち来す;前記シール係合を維持するべく容器内に真空を印加すると、空のカラムを介しての真空の洩れは隔膜のお陰で阻止される;ニードルを液体源のところまで移動させる;液体源からニードルが属するシリンジ内へと液体を吸引する;選ばれたカラムの上方へニードルを戻す;ニードルを隔膜を通って下向きに移動させる;カラムに液体を注入する;ニードルが隔膜を貫通する位置にある間に液体が真空によって容器内へ吸引されるのを待つ(ニードルには液体がカラムから吸引されているときに空気がカラムに入るのを許容する長手方向外溝が設けてある);それからニードルをカラムから退却させる。このプロセスは、注入ヘッドに1以上のニードルが設けてある場合には、各カラム毎或いはカラム群毎に繰り返される。
【0006】
前記コンディショニング工程と装入工程と洗浄工程の1つが終わったならば、真空を釈放して、プレートが付勢ばねの作用により上向きに動くのを許容する。洗浄工程の後には、キャリッジはドレーン容器から回収容器の上方へと移動し、それから、プレートを下降させるサブ工程と、真空を定立するサブ工程と、液体を同時に下から吸引しながら次から次へとカラムに供給するサブ工程が繰り返される。
【0007】
典型的には、1本のニードルを使用する代わりに、プロセスの完結を出来るだけ早くするため、例えば整列した4本のニードルのアレーが使用される。
【0008】
しかしながら、手続き全体は比較的長い時間がかかる。更に、隔膜のうち先に穿孔された領域が最早液密(気密)ではなくなって、液体が現在供給されつつあるカラム以外の他のカラムに空気がかなり入るのを許容するので、現在操作中のカラムに対する真空の効率が低下するというリスクがある。
【0009】
1つの容器の上方から他の容器の上方へのキャリッジの移動は、ニードルをカバーの孔の1つへ挿入し、次いでニードルを水平に変位させて、キャリッジをラックのフレームの側方ガイド又は側方レール内へと摺動させることにより行われる。これは、そのような操作のためにニードルが貫通している孔に対応するカラムの汚染を生じさせるおそれがある。
【発明の開示】
【0010】
本発明の主たる目的は、上に列挙した従来技術の不都合の少なくとも1つを解消することにある。
本発明の他の目的は、分析用試料をより迅速に調製することを可能にすることにある。
本発明の更に他の目的は、分析用試料を調製する際のラックの操作をより安全にすることを可能にすることにある。
本発明の更に他の目的は、プレート(これは、通常、各試料調製後に廃棄される)およびその下の容器(試料が分光法による分析のために準備できた時には回収容器はラックから退却させる必要がある)の取り扱いを迅速かつ容易にすることにある。
【0011】
そこで、本発明は、分析用の試料を調製する方法を提供するもので、この方法は:
−少なくとも1つの可動式注入ニードルを用いて少なくとも1つの液体を可動プレートの個々のカラムに注入する工程と;
−前記少なくとも1つのニードルが前記プレートと少なくとも間接的な相互係合関係にあるときに前記少なくとも1つのニードルを移動(変位)させることにより前記プレートを少なくとも2つの作動位置の間で移動させる工程;
とを包含し、この方法の特徴は、前記相互係合は前記ニードルと前記カラムの外の係合用成形部との間で行われることからなる。
【0012】
本発明のこの観点によれば、プレート(或いは、例えばプレートを支持するキャリッジ)に対する機械的かつ生物学的に安全なニードルの相互係合が提供される。特殊な成形部を設けて、プレートの特殊な運動のために選択することができる。典型的には、下にある1つの容器から下にある他の容器へとプレートを水平に移動させるために、かつ、持ち上げられた位置から容器の上方の下降したシール位置へとプレートを移動させるために、異なる成形部を設ける。
【0013】
従って、本発明のこの観点によれば、ニードル、或いは典型的には例えば4本のニードルのアレーは、プレートをその作動位置と作動位置との間で動かすために充分に適切である(充分使用することができる)。
【0014】
本発明の他の観点によれば、本発明は、分析用の試料を調製する方法を提供するもので、この方法は:
−カラムが上向きに開口しているときに各カラムに液体を注入する工程と;
−前記プレートを下向きに移動させて下にある容器の上方でシール係合させる工程と;
−前記プレートを前記シール係合に保持すると共に、各カラム内に設けた静止相を通って全てのカラムから前記容器へと液体を吸引するべく、前記容器を真空にする工程と;
−前記真空を釈放して、前記プレートが上向きに移動して前記シール係合から脱するのを許容する工程;
とを包含する。
【0015】
この方法は隔膜を廃止し、その不完全なシール作用のリスクを解消するのを可能にする。全てのカラムには第2段階の終わりに液体が供給され、その後にのみ、カラムは一斉に下から真空にされる。これはより安全であるだけでなく、より迅速である。何故ならば、最早、カラムから注入ニードルを引っ込めてシリンジを液体源に戻す前に各カラムの内容物が吸引されるのを待つ必要がないからである。真空を印加する時間が非常に短くなるので真空の消費は低減する。
【0016】
本発明の第3の観点によれば、本発明は、分析用の試料を調製するためのラックを提供するもので、このラックは:
−フレームと;
−前記フレーム内に摺動可能に装着され、カラムの上部開口を通って試料を受け取るべく複数のカラムを有するプレートを備えた摺動アッセンブリと;
−キャリッジの下でフレーム内に装着された第1および第2の容器と;
−前記各容器を選択的に真空源に接続する手段;
とを備え、前記摺動アッセンブリは前記第1容器の上方の第1位置と前記第2容器の上方の第2位置との間で移動可能であり、その特徴は、前記摺動アッセンブリにはニードルのための係合手段が設けてあり、前記係合手段は前記カラムの外に配置されていることからなる。
【0017】
本発明の第4の観点によれば、本発明は、分析用の試料を調製するための装置を提供するもので、この装置は:
−前記第1の観点に基づくラックと;
−注入ユニット;
とを備え、この注入ユニットは:
a)少なくとも1つの注入ニードルを備えた注入ヘッドと;
b)前記注入ヘッドを三次元変位させるためのアクチュエータと;
c)前記ヘッドが、ニードルがプレートのカラムに整合(一致)する注入位置と、ニードルが係合用成形部に整合して次いで所定の変位だけプレートを駆動するプレート駆動位置、とに順次に持ち来されるように前記アクチュエータを制御するための制御手段;
とを備えている。
【0018】
本発明の更に他の利点や特徴は以下の非限定的な実施例の説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1〜7に示したように、ラック5はフレーム1を備え、このフレームは基部2とサブフレーム3で構成されている。基部2の方は、本発明の装置(図10)のテーブル又は底板61のような支持表面上に安息するようになった基板4と、基板4の夫々の長手方向端部から上向きに夫々延長する端板6を有する。
【0020】
端板6はコーナー補強部材7(図2)によって基板4に強固に固定されている。
【0021】
基板4の上面には2つの矩形の浅い凹み8が設けてあり、夫々の凹みは矩形の外周リブ9によって囲繞されており、これらのリブは基板4の短い中央線に沿って領域9mで互いに結合している。従って、これらの凹み8は矩形の細長形状の基板4の長手方向に沿って整列している。
【0022】
夫々の凹み8は、対応する容器(即ち、ドレーン容器11と回収容器12)を受け取りかつ位置決めするようになっている。容器11、12は、重力だけにより夫々の凹み8内に安定に位置決めすることができるように矩形である。
【0023】
基板4上には、更に、その上に自由に積み重ねること(堆積)により、2つの管状スペーサ部材13が設けてあり、各スペーサ部材は夫々いづれかの外周リブ9上に載置してある。管状スペーサ部材13は、基部2の2つの端板6の間およびコーナー補強部材7の間に一緒にぴったりと嵌合するような外側寸法を有する。従って、管状スペーサ部材は、自由に搭載してはあるが、勿論図1の右側部分に示したように分解のために上方へ持ち上げない限り、基板4に対して安定した位置にある。
【0024】
更に、各端板6にはハンドル14が夫々設けてある。
【0025】
サブフレーム3は基本的に2つの長手方向ガイドレール16で構成されており、これらは2つの端部横材17によって互いに強固に連結されている。図1又は図4に示したように、横材7は曲折した上縁18を有し、この上縁は端板6の対応する曲折した縁19上に安息するようになっている。上部サブフレーム3は単なる積み重ねにより(即ち、曲折縁18が端板6の曲折縁19に当接するに至るまで、サブフレーム3が2つの端板6の間および4つのコーナー補強部材7の間に嵌合するような、下向き運動により)基部2内に装着されるようになっている。図1および図4〜7に示したように、ガイドレール16は、それから、容器11、12および管状スペーサ13の上辺の上方所定距離のところで、基板4に平行に延長している。
【0026】
ラックは更に摺動アッセンブリ21を備えており、これは図1の左側部分に全体的に(但し一部は断面)示してあり、この摺動アッセンブリの一部は図1の右側部分に重複的に組立・分解状態で示してある。
【0027】
摺動アッセンブリ21はキャリッジ20を備えている。このキャリッジは: 基本的に矩形の外周壁(即ち、上から見て長方形に沿って延長する壁)の形状の本体22と;本体22の下縁に沿って延長する矩形のシュー23と;本体の上縁の近傍で矩形本体22の短い方の中央線に沿って延長するプッシャー部材24とで構成されている。本体22の短い方の(又は幅方向の)中央線は基板4の幅に平行である。
【0028】
シュー23はプランジャー26(図1には1つだけを示す)によって本体22に懸垂されており、これらのプランジャーは図1の最左部分に示したようにシュー23を本体22の下縁に衝当させるべくばね27によって上方へ付勢されている。シュー23は肩部28を有し(図1中央)、この肩部は本体22の中央開口内へと内向きに突出している。
【0029】
本体22のこの中央開口は、キャリッジ20内にいわゆる固相抽出プレート29(SPEプレート29)を収容するようになっている。この固相抽出プレートは、典型的にはプラスチック材料の単一部品であって、例えば8×12=96の中空カラム31(その幾つかは図1、特に図1Aおよび図1B、に示してある)のアレーを画成している。夫々のカラム31は、カラムの全断面積を占めるような比較的大きな上部開口32と、漏斗状部分33の先端のところの下部開口62(図1A)を有する。下部開口62はシュー23の下面とほぼ面一である。夫々のカラム31の中では、漏斗状部分33の先端を画成する肩部に静止固相34が衝当している。固相34の性質、構造および機能は、業界で周知である。プレート29は、また、外周スカート36を備えており、その下縁63はシュー23の肩部28の上面の凹みに嵌合したシール64に衝当している。
【0030】
部材24はSPEプレート29の上辺に安息しながら当接していると共に、キャリッジの本体22内で垂直に摺動運動するべく装着されている。このような垂直摺動運動のため、キャリッジの本体22の長手方向壁には夫々のノッチ37が設けてあり、プッシャー部材には側方肩部38(図9)が設けてある。これらの側方肩部は本体22の長手方向壁の内側面に係合しており、もって、プッシャー部材24がキャリッジ本体22の幅に沿って運動するのを阻止している。
【0031】
プッシャー部材24が下向きに付勢されている時には、それ自体はSPEプレート29を下向きに付勢している。スカート36の下縁63がシュー23の肩部28のシール64に衝当しているので、この下向きの運動は、シュー23がその下の管状スペーサ13に衝当するまでシュー23に伝えられる。
【0032】
夫々の管状スペーサ13には、その下部外周に沿って下部シール39が設けてあると共に、その上部外周に沿って上部シール41が設けてある。下部外周シール39は基板4の対応するリブ9と協働し、上部外周シール41はプッシャー部材24によって下向きに付勢されている時にシュー23の下面と協働する。更に、スカート36の下縁63とシール64との間には、少なくともプレート29がプッシャー24によって下向きに付勢されている時には、シール接触が確保される。従って、このような状況においては、基板4とプレート29との間には、カラム31を通る通路を除けば、かつ、各凹み8を真空源に選択的に接続するために基板4を貫通して設けた夫々のダクト42、43を除けば、閉鎖された空間が形成される。
【0033】
キャリッジ本体22の長手方向壁には、夫々、いづれかのガイドレール16の上縁に摺動衝当するように外部長手方向リブ44が設けてあり、このリブ44の下を延長する本体22の下部はガイドレール16とガイドレール16との間に嵌合している。
【0034】
従って、ここでも、摺動アッセンブリは単なる積み重ね(堆積)によりフレーム上に、より詳しくはガイドレール16とガイドレール16との間に、装着されている。更に、プレート29は、シュー23の肩部28に衝当するに至るまでは単なる積み重ねによりキャリッジ本体22内に装着されており、プッシャー部材24の方は積み重ねによりプレート29上に、かつ、ノッチ37内に装着されている。
【0035】
調製すべき試料のタイプに応じて、プレート29の異なる高さが存在する。図6と図9との対比から分かるように、本発明によれば異なる厚さのプッシャー部材24が設けられる。プレート29の高さが低い時には操作員はより厚いプッシャー部材を選ぶ。また、プレート・スカート36の下縁とシール64との間に距離フレーム73(図5および6)を挿入する可能性もある。
【0036】
摺動アッセンブリ21は2つの端部位置の間でガイドレール16上へと摺動するべく装着され、夫々の端部位置ではそれは2つの容器11、12の一方又は他方、および、対応する管状スペーサ13と夫々整合(一致)する。
【0037】
コンディショニング工程と装入工程と洗浄工程のための第1位置においては、摺動アッセンブリ21は容器11(これはドレーン容器であり、即ち、カラム31から流れ出る液体が後の廃棄のためにその中で混合される単純な槽である)の上方にある。
【0038】
他の端部位置においては、摺動アッセンブリ21は回収容器12(これにはプレート29の各カラム31毎に1つのウェル46が設けてある)の上方にある。夫々のウェルは上向きに開口していて、下向きに閉鎖されている。
【0039】
摺動アッセンブリ21は本発明の調製装置66(図10)の注入ヘッド48の注入ニードル47によって動かされるようになっている。
【0040】
図示した実施例では、注入ヘッド48にはラックの幅に平行な列に並んだ4本のニードル47が設けてある。隣り合うニードル間の間隔(これは調節可能である)は隣り合うカラム21間の間隔に対応する。キャリッジ20にはニードル47の先端のための係合手段が設けてある。このような係合手段は円錐形の複数の盲状(行き止まり)の凹み(切欠き)成形部49からなり、これらはプレート29の幅方向中央線(この中央線は隣り合う2列のカラム31の間を延長している)に対応するべくプッシャー部材24の上面の中央線に沿って設けてある。隣り合う凹み49間の間隔はヘッド48の隣り合うニードル47間の間隔に対応する。
【0041】
凹み49の列の両側には、プッシャー部材24を貫通する開口52の列が設けてある。夫々の開口52は前記中央線に近接する列のカラム31と整合している。
【0042】
本体22には、その2つの幅方向壁区間の各々の上縁に沿って、外向きに突出するフランジ53が設けてある。係合手段は、前記凹み49に加えて、2列に設けた凹み(切欠き)成形部51を備え、夫々の列は一方のフランジ53の上面に設けてある。ここでも、凹み51の相互間隔は注入ヘッド上のニードル47の間隔に等しい。凹み51は円錐形の上部入口と垂直な円柱形の下部出口とを有する貫通孔であり、この下部出口はその中でニードル47が摺動運動するに適当な直径を有する。
【0043】
図10は本発明の装置の典型的な配置を示す。注入ヘッド48は制御ユニット71によって制御されるXYZアクチュエータ69に搭載してあり、この制御ユニットはプログラム可能なコンピュータ手段に接続されている(或いは内蔵している)。注入ヘッドの運動空間の下方において、底板は2つのラック5(夫々のラックは図1〜9に対応する)を支持しており、これらのラックはそれらの長手方向がアクチュエータ69の運動方向Xに対応するように装着してある。底板61は更に1以上の液体源を収容する2つのラック67を支持している。制御ユニット71は注入ヘッド48に接続されており、各1本のニードル47に連携された複数のシリンジ68を制御するようになっている。この装置は、更に、1つのラック5毎に2つの空気弁76、77を収容した弁箱74(図11)を備えており、これらの空気弁はダクト42、43を、夫々、真空源78又は大気のいづれかに選択的に接続している。弁76、77は制御ユニット71によって制御される。制御ユニット71の作動を支配するプログラムは、アクチュエータ49とシリンジ68と弁箱74の組合された作動タイミングを決定する。
【0044】
図11〜15を参照するに、本発明のラックおよび装置の作動並びに方法の実施態様は以下の通りである。
【0045】
キャリッジ20がドレーン容器11の上方のその第1位置にあり(図11)、両方の凹み8内の真空が遮断されている(両方のダクト43、43は弁76、77によって大気に接続されている)ので、注入ヘッド48は、幾つかの液体源67のうちの選ばれた1つと、選ばれたカラム31の上方の位置と、おそらくは他の液体源の上方の洗浄位置との間で往復(シャットル)運動(矢印79)を行う。液体源67のところでは、ニードルはそれらのシリンジ68内へ液体を吸引する。プレート29の上方では、各ニードル47はそのシリンジの液体を夫々のカラム31内へと吐出する。この過程の間は、全てのカラム31は上方に開口している。
【0046】
毎回、ヘッド48は、前記プログラムに従い制御ユニット71によって制御されたアクチュエータ手段69によって、プレート29の上方と液体源67の上方との間で水平なX方向およびY方向に動かされ、それから液体を吸引しかつ吐出するためにニードル47を液体源67およびカラム31内に夫々浸漬させるべくZ方向へ動かされ、それから液体源67およびカラム31から出る上向き方向へ動かされる。プッシャー部材24の下に位置するカラムに供給する場合には、ニードル47は開口52を貫通して行う。
【0047】
全てのカラムに液体81が供給されると、注入ヘッドは4つの凹み49の上方へ動かされ、それからニードル47がプッシャー部材24の凹み49に係合する図9に示した状態が実現するまで下向き方向へ動かされる。それから、ニードル47は、シュー23がスペーサ13に衝当(図11)するまで、プレート29およびシュー23と共にプッシャー部材24を下向きに駆動する。同時に、すべてのカラムの頂部がなお開いている間に、弁77はダクト42を真空源78に接続するべく制御され、これにより容器11内に(従ってカラム31の下部内に)真空が印加され、全てのカラム31から容器内へと同時に液体を吸引する。図12においては、容器11および12はボス82上に支持されていると共に、切欠き8内に真空が存在する場合には真空が安全にプレート29の下側に到達するのを許容する幾らかの小さな横方向遊びを有することが明らかである。容器11の上方に真空が印加されるや否や、プレート29はその下面が受ける負圧に因りその下寄り位置に留まっているので、ニードルを上向きに動かすことができる。全てのカラム31には液体が入っているので真空は逃れることはできない。液体の抽出が完了したならば、真空は遮断され、ばね27(図1B)の付勢作用によりシュー23は上方へ戻る。同じ容器11の上方で第2の液体処理を行うか、或いは、それが容器11の上方で起こるべき最後の処理であった場合には、注入ヘッドを4つの凹み51の上方へ動かし、注入ヘッドを下降させてこれら4つの凹み51を通ってニードル47に係合させ(図1B)、注入ヘッドをX方向(基部2の長さ方向。図1Bの矢印72)へ移動させて(図12)キャリッジが回収容器12の上方に来るまでキャリッジ20を水平に駆動し、それからヘッド48を上方へ移動させてニードル47を凹み51から離脱させる。
【0048】
それから、すべてのカラムに液体が入る(図14)までカラムに液体を順次に供給し、プレート29を押し下げてシュー23とスペーサ13を介して基板4にシール係合させ(図15)、適当な制御(今回は弁77とダクト43を介して行う)によりプレート29の下の領域を真空78にし、そして真空を釈放するという手続きを再開する。今回は、各カラム31の内容物は夫々いづれかのウェル46(図1Aおよび図15)内に回収され、各ウェルの内容物は別々に分析される。ここでも、これは全てのカラム31が上方に開口している間に行われる。
【0049】
それから、プッシャー部材24、プレート29、シュー23付きのキャリッジ本体22、サブフレーム3、スペーサ13、容器11、12を積み下ろすことにより、ラック5を分解することができる。プレート29は通常廃棄することを意図しており、ウェルの内容物の分析するための容器12と他の部品は再使用のために洗浄することを意図している。
【0050】
前記成形部49は開口52と互い違いの関係にあって、角度が4つのカラム21の中心であるような仮想四角形の中心と一致するようになっている。
【0051】
成形部49と開口52との間には干渉は起こらない。凹み49の円錐形状は、ニードルに付着した液体がプレート29の操作時にカラムを汚染しないように、ニードルを開口52から(より一般的にはカラム31から)出来るだけ遠くに保つべく、ニードルの自己センタリングを行う。フランジ53上の凹み51も、また、この生物学的安全状態を遂行するためにカラムの上部開口から充分に遠い。下向きに開口しているので、凹み51は残留液体を自動的に排除する。
【0052】
凹み49、51は、操作応力は好ましくはキャリッジの噛み込みや固結のリスクを生じさせるべきではなく、かつ、ニードルの前回の作動位置から凹みまでのニードルの行程、並びに、凹みからニードルの次回の作動位置までの行程は出来るだけ短くなければならないということを考慮しながら、プログラムが各プレート操作毎に最も適切な凹みを選ぶことができるように充分多数ある。各種類の凹み49、51の数は1つの対応する注入ヘッド(図示せず)上で例えば8本のニードルを使用するのを許容する。
【0053】
本発明は前述した実施例に限定されない。例えば、キャリッジ20は異なる断面積を有するプレートを収容することができ、その結果、隣り合うカラム間の距離は場合により隣り合う凹み49間又は凹み51間の距離とは異なることができる。これは適当な制御プログラムにより作動時のニードル47間の距離を調節することにより対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は本発明のラックの長手方向断面図で、図の右側部分は部品の積み重ね・積み下ろしによるラックの組立・分解方法を示し、左側部分はラックが2つの異なる作動状態にあり、キャリッジが回収容器の上方にあるところを示し; 図1Aは図1の詳細の拡大図であり、 図1Bは、図1Aと同様であるが、プレートが持ち上げられた位置にあり、キャリッジが摺動運動できる状態にあるところを示す。
【図2】図2から図7はラックの順次6つの組立工程を夫々示す。
【図8】図8は摺動アッセンブリの部品の分解斜視図である。
【図9】図9はニードルと協働するプッシャー部材の斜視図である。
【図10】図10は、図1〜9に示した2つのラックと1つの注入ヘッド(アクチュエータ手段と制御手段を備えている)が組み込まれた本発明の調製装置の図である。
【図11】図11〜15は本発明の調製装置の順次複数の操作段階および本発明の方法の順次複数の段階を夫々示す略図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は分析用の試料(サンプル)を調製するための方法に関する。
本発明は、また、例えば分光法による分析のための生物学的試料を調製するためのラックおよび装置に関する。
【背景技術】
【0002】
このような調製をするための公知の方法によれば、プレートには大きな上部開口と狭い漏斗状の下部開口とを有する平行なカラムのアレー(典型的には8×12=96カラム)が設けられる。夫々のカラム内の或るレベルには静止相(又は、固相)が設けられる。
【0003】
いわゆる“固相抽出”法を形成する調製工程は、夫々、コンディショニング液をして静止相を通って流れさせることからなるコンディショニング工程と、試料を夫々のカラムに導入することからなる装入工程と、試料のうち分析に有用でない成分をカラムから除去するための一以上の洗浄工程と、最後に、各カラムの有用内容物を夫々の回収管(ウェル)内に移送することからなる溶離とを含む。その後、夫々の回収管の内容物は例えば分光法によって分析される。
【0004】
WO 00/50171-A1は分析用試料を調製するための装置を開示しており、この装置においては、カラムを備えたプレートは、ドレーン容器の上方と回収容器の上方との間で移動するべくフレーム内で摺動可能なキャリッジに搭載されている。コンディショニング工程と装入工程と洗浄工程はドレーン容器の上方で行われる。その後、キャリッジは回収容器の上方の位置へ移動せられ、そして回収工程が行われる。
【0005】
プレートはカラムを上方でシールする液密(気密)な隔膜で覆われている。この隔膜は各カラム毎に1つの貫通孔を備えた剛性のカバーによって位置決めされている。液体をカラムに移送すると共にカラムからその下にある容器へ移送するプロセスは次のように行われる:注入ニードルはカバーに係合して、プレートを付勢ばねに抗して下向きに押し、プレートの下縁がシール係合する位置に持ち来す;前記シール係合を維持するべく容器内に真空を印加すると、空のカラムを介しての真空の洩れは隔膜のお陰で阻止される;ニードルを液体源のところまで移動させる;液体源からニードルが属するシリンジ内へと液体を吸引する;選ばれたカラムの上方へニードルを戻す;ニードルを隔膜を通って下向きに移動させる;カラムに液体を注入する;ニードルが隔膜を貫通する位置にある間に液体が真空によって容器内へ吸引されるのを待つ(ニードルには液体がカラムから吸引されているときに空気がカラムに入るのを許容する長手方向外溝が設けてある);それからニードルをカラムから退却させる。このプロセスは、注入ヘッドに1以上のニードルが設けてある場合には、各カラム毎或いはカラム群毎に繰り返される。
【0006】
前記コンディショニング工程と装入工程と洗浄工程の1つが終わったならば、真空を釈放して、プレートが付勢ばねの作用により上向きに動くのを許容する。洗浄工程の後には、キャリッジはドレーン容器から回収容器の上方へと移動し、それから、プレートを下降させるサブ工程と、真空を定立するサブ工程と、液体を同時に下から吸引しながら次から次へとカラムに供給するサブ工程が繰り返される。
【0007】
典型的には、1本のニードルを使用する代わりに、プロセスの完結を出来るだけ早くするため、例えば整列した4本のニードルのアレーが使用される。
【0008】
しかしながら、手続き全体は比較的長い時間がかかる。更に、隔膜のうち先に穿孔された領域が最早液密(気密)ではなくなって、液体が現在供給されつつあるカラム以外の他のカラムに空気がかなり入るのを許容するので、現在操作中のカラムに対する真空の効率が低下するというリスクがある。
【0009】
1つの容器の上方から他の容器の上方へのキャリッジの移動は、ニードルをカバーの孔の1つへ挿入し、次いでニードルを水平に変位させて、キャリッジをラックのフレームの側方ガイド又は側方レール内へと摺動させることにより行われる。これは、そのような操作のためにニードルが貫通している孔に対応するカラムの汚染を生じさせるおそれがある。
【発明の開示】
【0010】
本発明の主たる目的は、上に列挙した従来技術の不都合の少なくとも1つを解消することにある。
本発明の他の目的は、分析用試料をより迅速に調製することを可能にすることにある。
本発明の更に他の目的は、分析用試料を調製する際のラックの操作をより安全にすることを可能にすることにある。
本発明の更に他の目的は、プレート(これは、通常、各試料調製後に廃棄される)およびその下の容器(試料が分光法による分析のために準備できた時には回収容器はラックから退却させる必要がある)の取り扱いを迅速かつ容易にすることにある。
【0011】
そこで、本発明は、分析用の試料を調製する方法を提供するもので、この方法は:
−少なくとも1つの可動式注入ニードルを用いて少なくとも1つの液体を可動プレートの個々のカラムに注入する工程と;
−前記少なくとも1つのニードルが前記プレートと少なくとも間接的な相互係合関係にあるときに前記少なくとも1つのニードルを移動(変位)させることにより前記プレートを少なくとも2つの作動位置の間で移動させる工程;
とを包含し、この方法の特徴は、前記相互係合は前記ニードルと前記カラムの外の係合用成形部との間で行われることからなる。
【0012】
本発明のこの観点によれば、プレート(或いは、例えばプレートを支持するキャリッジ)に対する機械的かつ生物学的に安全なニードルの相互係合が提供される。特殊な成形部を設けて、プレートの特殊な運動のために選択することができる。典型的には、下にある1つの容器から下にある他の容器へとプレートを水平に移動させるために、かつ、持ち上げられた位置から容器の上方の下降したシール位置へとプレートを移動させるために、異なる成形部を設ける。
【0013】
従って、本発明のこの観点によれば、ニードル、或いは典型的には例えば4本のニードルのアレーは、プレートをその作動位置と作動位置との間で動かすために充分に適切である(充分使用することができる)。
【0014】
本発明の他の観点によれば、本発明は、分析用の試料を調製する方法を提供するもので、この方法は:
−カラムが上向きに開口しているときに各カラムに液体を注入する工程と;
−前記プレートを下向きに移動させて下にある容器の上方でシール係合させる工程と;
−前記プレートを前記シール係合に保持すると共に、各カラム内に設けた静止相を通って全てのカラムから前記容器へと液体を吸引するべく、前記容器を真空にする工程と;
−前記真空を釈放して、前記プレートが上向きに移動して前記シール係合から脱するのを許容する工程;
とを包含する。
【0015】
この方法は隔膜を廃止し、その不完全なシール作用のリスクを解消するのを可能にする。全てのカラムには第2段階の終わりに液体が供給され、その後にのみ、カラムは一斉に下から真空にされる。これはより安全であるだけでなく、より迅速である。何故ならば、最早、カラムから注入ニードルを引っ込めてシリンジを液体源に戻す前に各カラムの内容物が吸引されるのを待つ必要がないからである。真空を印加する時間が非常に短くなるので真空の消費は低減する。
【0016】
本発明の第3の観点によれば、本発明は、分析用の試料を調製するためのラックを提供するもので、このラックは:
−フレームと;
−前記フレーム内に摺動可能に装着され、カラムの上部開口を通って試料を受け取るべく複数のカラムを有するプレートを備えた摺動アッセンブリと;
−キャリッジの下でフレーム内に装着された第1および第2の容器と;
−前記各容器を選択的に真空源に接続する手段;
とを備え、前記摺動アッセンブリは前記第1容器の上方の第1位置と前記第2容器の上方の第2位置との間で移動可能であり、その特徴は、前記摺動アッセンブリにはニードルのための係合手段が設けてあり、前記係合手段は前記カラムの外に配置されていることからなる。
【0017】
本発明の第4の観点によれば、本発明は、分析用の試料を調製するための装置を提供するもので、この装置は:
−前記第1の観点に基づくラックと;
−注入ユニット;
とを備え、この注入ユニットは:
a)少なくとも1つの注入ニードルを備えた注入ヘッドと;
b)前記注入ヘッドを三次元変位させるためのアクチュエータと;
c)前記ヘッドが、ニードルがプレートのカラムに整合(一致)する注入位置と、ニードルが係合用成形部に整合して次いで所定の変位だけプレートを駆動するプレート駆動位置、とに順次に持ち来されるように前記アクチュエータを制御するための制御手段;
とを備えている。
【0018】
本発明の更に他の利点や特徴は以下の非限定的な実施例の説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1〜7に示したように、ラック5はフレーム1を備え、このフレームは基部2とサブフレーム3で構成されている。基部2の方は、本発明の装置(図10)のテーブル又は底板61のような支持表面上に安息するようになった基板4と、基板4の夫々の長手方向端部から上向きに夫々延長する端板6を有する。
【0020】
端板6はコーナー補強部材7(図2)によって基板4に強固に固定されている。
【0021】
基板4の上面には2つの矩形の浅い凹み8が設けてあり、夫々の凹みは矩形の外周リブ9によって囲繞されており、これらのリブは基板4の短い中央線に沿って領域9mで互いに結合している。従って、これらの凹み8は矩形の細長形状の基板4の長手方向に沿って整列している。
【0022】
夫々の凹み8は、対応する容器(即ち、ドレーン容器11と回収容器12)を受け取りかつ位置決めするようになっている。容器11、12は、重力だけにより夫々の凹み8内に安定に位置決めすることができるように矩形である。
【0023】
基板4上には、更に、その上に自由に積み重ねること(堆積)により、2つの管状スペーサ部材13が設けてあり、各スペーサ部材は夫々いづれかの外周リブ9上に載置してある。管状スペーサ部材13は、基部2の2つの端板6の間およびコーナー補強部材7の間に一緒にぴったりと嵌合するような外側寸法を有する。従って、管状スペーサ部材は、自由に搭載してはあるが、勿論図1の右側部分に示したように分解のために上方へ持ち上げない限り、基板4に対して安定した位置にある。
【0024】
更に、各端板6にはハンドル14が夫々設けてある。
【0025】
サブフレーム3は基本的に2つの長手方向ガイドレール16で構成されており、これらは2つの端部横材17によって互いに強固に連結されている。図1又は図4に示したように、横材7は曲折した上縁18を有し、この上縁は端板6の対応する曲折した縁19上に安息するようになっている。上部サブフレーム3は単なる積み重ねにより(即ち、曲折縁18が端板6の曲折縁19に当接するに至るまで、サブフレーム3が2つの端板6の間および4つのコーナー補強部材7の間に嵌合するような、下向き運動により)基部2内に装着されるようになっている。図1および図4〜7に示したように、ガイドレール16は、それから、容器11、12および管状スペーサ13の上辺の上方所定距離のところで、基板4に平行に延長している。
【0026】
ラックは更に摺動アッセンブリ21を備えており、これは図1の左側部分に全体的に(但し一部は断面)示してあり、この摺動アッセンブリの一部は図1の右側部分に重複的に組立・分解状態で示してある。
【0027】
摺動アッセンブリ21はキャリッジ20を備えている。このキャリッジは: 基本的に矩形の外周壁(即ち、上から見て長方形に沿って延長する壁)の形状の本体22と;本体22の下縁に沿って延長する矩形のシュー23と;本体の上縁の近傍で矩形本体22の短い方の中央線に沿って延長するプッシャー部材24とで構成されている。本体22の短い方の(又は幅方向の)中央線は基板4の幅に平行である。
【0028】
シュー23はプランジャー26(図1には1つだけを示す)によって本体22に懸垂されており、これらのプランジャーは図1の最左部分に示したようにシュー23を本体22の下縁に衝当させるべくばね27によって上方へ付勢されている。シュー23は肩部28を有し(図1中央)、この肩部は本体22の中央開口内へと内向きに突出している。
【0029】
本体22のこの中央開口は、キャリッジ20内にいわゆる固相抽出プレート29(SPEプレート29)を収容するようになっている。この固相抽出プレートは、典型的にはプラスチック材料の単一部品であって、例えば8×12=96の中空カラム31(その幾つかは図1、特に図1Aおよび図1B、に示してある)のアレーを画成している。夫々のカラム31は、カラムの全断面積を占めるような比較的大きな上部開口32と、漏斗状部分33の先端のところの下部開口62(図1A)を有する。下部開口62はシュー23の下面とほぼ面一である。夫々のカラム31の中では、漏斗状部分33の先端を画成する肩部に静止固相34が衝当している。固相34の性質、構造および機能は、業界で周知である。プレート29は、また、外周スカート36を備えており、その下縁63はシュー23の肩部28の上面の凹みに嵌合したシール64に衝当している。
【0030】
部材24はSPEプレート29の上辺に安息しながら当接していると共に、キャリッジの本体22内で垂直に摺動運動するべく装着されている。このような垂直摺動運動のため、キャリッジの本体22の長手方向壁には夫々のノッチ37が設けてあり、プッシャー部材には側方肩部38(図9)が設けてある。これらの側方肩部は本体22の長手方向壁の内側面に係合しており、もって、プッシャー部材24がキャリッジ本体22の幅に沿って運動するのを阻止している。
【0031】
プッシャー部材24が下向きに付勢されている時には、それ自体はSPEプレート29を下向きに付勢している。スカート36の下縁63がシュー23の肩部28のシール64に衝当しているので、この下向きの運動は、シュー23がその下の管状スペーサ13に衝当するまでシュー23に伝えられる。
【0032】
夫々の管状スペーサ13には、その下部外周に沿って下部シール39が設けてあると共に、その上部外周に沿って上部シール41が設けてある。下部外周シール39は基板4の対応するリブ9と協働し、上部外周シール41はプッシャー部材24によって下向きに付勢されている時にシュー23の下面と協働する。更に、スカート36の下縁63とシール64との間には、少なくともプレート29がプッシャー24によって下向きに付勢されている時には、シール接触が確保される。従って、このような状況においては、基板4とプレート29との間には、カラム31を通る通路を除けば、かつ、各凹み8を真空源に選択的に接続するために基板4を貫通して設けた夫々のダクト42、43を除けば、閉鎖された空間が形成される。
【0033】
キャリッジ本体22の長手方向壁には、夫々、いづれかのガイドレール16の上縁に摺動衝当するように外部長手方向リブ44が設けてあり、このリブ44の下を延長する本体22の下部はガイドレール16とガイドレール16との間に嵌合している。
【0034】
従って、ここでも、摺動アッセンブリは単なる積み重ね(堆積)によりフレーム上に、より詳しくはガイドレール16とガイドレール16との間に、装着されている。更に、プレート29は、シュー23の肩部28に衝当するに至るまでは単なる積み重ねによりキャリッジ本体22内に装着されており、プッシャー部材24の方は積み重ねによりプレート29上に、かつ、ノッチ37内に装着されている。
【0035】
調製すべき試料のタイプに応じて、プレート29の異なる高さが存在する。図6と図9との対比から分かるように、本発明によれば異なる厚さのプッシャー部材24が設けられる。プレート29の高さが低い時には操作員はより厚いプッシャー部材を選ぶ。また、プレート・スカート36の下縁とシール64との間に距離フレーム73(図5および6)を挿入する可能性もある。
【0036】
摺動アッセンブリ21は2つの端部位置の間でガイドレール16上へと摺動するべく装着され、夫々の端部位置ではそれは2つの容器11、12の一方又は他方、および、対応する管状スペーサ13と夫々整合(一致)する。
【0037】
コンディショニング工程と装入工程と洗浄工程のための第1位置においては、摺動アッセンブリ21は容器11(これはドレーン容器であり、即ち、カラム31から流れ出る液体が後の廃棄のためにその中で混合される単純な槽である)の上方にある。
【0038】
他の端部位置においては、摺動アッセンブリ21は回収容器12(これにはプレート29の各カラム31毎に1つのウェル46が設けてある)の上方にある。夫々のウェルは上向きに開口していて、下向きに閉鎖されている。
【0039】
摺動アッセンブリ21は本発明の調製装置66(図10)の注入ヘッド48の注入ニードル47によって動かされるようになっている。
【0040】
図示した実施例では、注入ヘッド48にはラックの幅に平行な列に並んだ4本のニードル47が設けてある。隣り合うニードル間の間隔(これは調節可能である)は隣り合うカラム21間の間隔に対応する。キャリッジ20にはニードル47の先端のための係合手段が設けてある。このような係合手段は円錐形の複数の盲状(行き止まり)の凹み(切欠き)成形部49からなり、これらはプレート29の幅方向中央線(この中央線は隣り合う2列のカラム31の間を延長している)に対応するべくプッシャー部材24の上面の中央線に沿って設けてある。隣り合う凹み49間の間隔はヘッド48の隣り合うニードル47間の間隔に対応する。
【0041】
凹み49の列の両側には、プッシャー部材24を貫通する開口52の列が設けてある。夫々の開口52は前記中央線に近接する列のカラム31と整合している。
【0042】
本体22には、その2つの幅方向壁区間の各々の上縁に沿って、外向きに突出するフランジ53が設けてある。係合手段は、前記凹み49に加えて、2列に設けた凹み(切欠き)成形部51を備え、夫々の列は一方のフランジ53の上面に設けてある。ここでも、凹み51の相互間隔は注入ヘッド上のニードル47の間隔に等しい。凹み51は円錐形の上部入口と垂直な円柱形の下部出口とを有する貫通孔であり、この下部出口はその中でニードル47が摺動運動するに適当な直径を有する。
【0043】
図10は本発明の装置の典型的な配置を示す。注入ヘッド48は制御ユニット71によって制御されるXYZアクチュエータ69に搭載してあり、この制御ユニットはプログラム可能なコンピュータ手段に接続されている(或いは内蔵している)。注入ヘッドの運動空間の下方において、底板は2つのラック5(夫々のラックは図1〜9に対応する)を支持しており、これらのラックはそれらの長手方向がアクチュエータ69の運動方向Xに対応するように装着してある。底板61は更に1以上の液体源を収容する2つのラック67を支持している。制御ユニット71は注入ヘッド48に接続されており、各1本のニードル47に連携された複数のシリンジ68を制御するようになっている。この装置は、更に、1つのラック5毎に2つの空気弁76、77を収容した弁箱74(図11)を備えており、これらの空気弁はダクト42、43を、夫々、真空源78又は大気のいづれかに選択的に接続している。弁76、77は制御ユニット71によって制御される。制御ユニット71の作動を支配するプログラムは、アクチュエータ49とシリンジ68と弁箱74の組合された作動タイミングを決定する。
【0044】
図11〜15を参照するに、本発明のラックおよび装置の作動並びに方法の実施態様は以下の通りである。
【0045】
キャリッジ20がドレーン容器11の上方のその第1位置にあり(図11)、両方の凹み8内の真空が遮断されている(両方のダクト43、43は弁76、77によって大気に接続されている)ので、注入ヘッド48は、幾つかの液体源67のうちの選ばれた1つと、選ばれたカラム31の上方の位置と、おそらくは他の液体源の上方の洗浄位置との間で往復(シャットル)運動(矢印79)を行う。液体源67のところでは、ニードルはそれらのシリンジ68内へ液体を吸引する。プレート29の上方では、各ニードル47はそのシリンジの液体を夫々のカラム31内へと吐出する。この過程の間は、全てのカラム31は上方に開口している。
【0046】
毎回、ヘッド48は、前記プログラムに従い制御ユニット71によって制御されたアクチュエータ手段69によって、プレート29の上方と液体源67の上方との間で水平なX方向およびY方向に動かされ、それから液体を吸引しかつ吐出するためにニードル47を液体源67およびカラム31内に夫々浸漬させるべくZ方向へ動かされ、それから液体源67およびカラム31から出る上向き方向へ動かされる。プッシャー部材24の下に位置するカラムに供給する場合には、ニードル47は開口52を貫通して行う。
【0047】
全てのカラムに液体81が供給されると、注入ヘッドは4つの凹み49の上方へ動かされ、それからニードル47がプッシャー部材24の凹み49に係合する図9に示した状態が実現するまで下向き方向へ動かされる。それから、ニードル47は、シュー23がスペーサ13に衝当(図11)するまで、プレート29およびシュー23と共にプッシャー部材24を下向きに駆動する。同時に、すべてのカラムの頂部がなお開いている間に、弁77はダクト42を真空源78に接続するべく制御され、これにより容器11内に(従ってカラム31の下部内に)真空が印加され、全てのカラム31から容器内へと同時に液体を吸引する。図12においては、容器11および12はボス82上に支持されていると共に、切欠き8内に真空が存在する場合には真空が安全にプレート29の下側に到達するのを許容する幾らかの小さな横方向遊びを有することが明らかである。容器11の上方に真空が印加されるや否や、プレート29はその下面が受ける負圧に因りその下寄り位置に留まっているので、ニードルを上向きに動かすことができる。全てのカラム31には液体が入っているので真空は逃れることはできない。液体の抽出が完了したならば、真空は遮断され、ばね27(図1B)の付勢作用によりシュー23は上方へ戻る。同じ容器11の上方で第2の液体処理を行うか、或いは、それが容器11の上方で起こるべき最後の処理であった場合には、注入ヘッドを4つの凹み51の上方へ動かし、注入ヘッドを下降させてこれら4つの凹み51を通ってニードル47に係合させ(図1B)、注入ヘッドをX方向(基部2の長さ方向。図1Bの矢印72)へ移動させて(図12)キャリッジが回収容器12の上方に来るまでキャリッジ20を水平に駆動し、それからヘッド48を上方へ移動させてニードル47を凹み51から離脱させる。
【0048】
それから、すべてのカラムに液体が入る(図14)までカラムに液体を順次に供給し、プレート29を押し下げてシュー23とスペーサ13を介して基板4にシール係合させ(図15)、適当な制御(今回は弁77とダクト43を介して行う)によりプレート29の下の領域を真空78にし、そして真空を釈放するという手続きを再開する。今回は、各カラム31の内容物は夫々いづれかのウェル46(図1Aおよび図15)内に回収され、各ウェルの内容物は別々に分析される。ここでも、これは全てのカラム31が上方に開口している間に行われる。
【0049】
それから、プッシャー部材24、プレート29、シュー23付きのキャリッジ本体22、サブフレーム3、スペーサ13、容器11、12を積み下ろすことにより、ラック5を分解することができる。プレート29は通常廃棄することを意図しており、ウェルの内容物の分析するための容器12と他の部品は再使用のために洗浄することを意図している。
【0050】
前記成形部49は開口52と互い違いの関係にあって、角度が4つのカラム21の中心であるような仮想四角形の中心と一致するようになっている。
【0051】
成形部49と開口52との間には干渉は起こらない。凹み49の円錐形状は、ニードルに付着した液体がプレート29の操作時にカラムを汚染しないように、ニードルを開口52から(より一般的にはカラム31から)出来るだけ遠くに保つべく、ニードルの自己センタリングを行う。フランジ53上の凹み51も、また、この生物学的安全状態を遂行するためにカラムの上部開口から充分に遠い。下向きに開口しているので、凹み51は残留液体を自動的に排除する。
【0052】
凹み49、51は、操作応力は好ましくはキャリッジの噛み込みや固結のリスクを生じさせるべきではなく、かつ、ニードルの前回の作動位置から凹みまでのニードルの行程、並びに、凹みからニードルの次回の作動位置までの行程は出来るだけ短くなければならないということを考慮しながら、プログラムが各プレート操作毎に最も適切な凹みを選ぶことができるように充分多数ある。各種類の凹み49、51の数は1つの対応する注入ヘッド(図示せず)上で例えば8本のニードルを使用するのを許容する。
【0053】
本発明は前述した実施例に限定されない。例えば、キャリッジ20は異なる断面積を有するプレートを収容することができ、その結果、隣り合うカラム間の距離は場合により隣り合う凹み49間又は凹み51間の距離とは異なることができる。これは適当な制御プログラムにより作動時のニードル47間の距離を調節することにより対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】図1は本発明のラックの長手方向断面図で、図の右側部分は部品の積み重ね・積み下ろしによるラックの組立・分解方法を示し、左側部分はラックが2つの異なる作動状態にあり、キャリッジが回収容器の上方にあるところを示し; 図1Aは図1の詳細の拡大図であり、 図1Bは、図1Aと同様であるが、プレートが持ち上げられた位置にあり、キャリッジが摺動運動できる状態にあるところを示す。
【図2】図2から図7はラックの順次6つの組立工程を夫々示す。
【図8】図8は摺動アッセンブリの部品の分解斜視図である。
【図9】図9はニードルと協働するプッシャー部材の斜視図である。
【図10】図10は、図1〜9に示した2つのラックと1つの注入ヘッド(アクチュエータ手段と制御手段を備えている)が組み込まれた本発明の調製装置の図である。
【図11】図11〜15は本発明の調製装置の順次複数の操作段階および本発明の方法の順次複数の段階を夫々示す略図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析用の試料を調製する方法であって:
−少なくとも1つの可動式注入ニードルを用いて少なくとも1つの液体を可動プレートの個々のカラムに注入する工程と;
−前記少なくとも1つのニードルが前記プレートと少なくとも間接的な相互係合関係にあるときに前記少なくとも1つのニードルを移動させることにより前記プレートを少なくとも2つの作動位置の間で移動させる工程;
とを包含し、その特徴は、前記相互係合は前記ニードルと前記カラムの外の係合用成形部との間で行われることからなる方法。
【請求項2】
前記相互係合は、前記ニードルの先端と、前記プレートと駆動関係にある凹みとの間で行われることを特徴とする請求項1に基づく方法。
【請求項3】
前記プレートに異なる複数の運動をさせるため、前記相互係合はプレートに関し異なる複数の場所で夫々行われることを特徴とする請求項1又は2に基づく方法。
【請求項4】
前記プレートに異なる複数の運動をさせるため、前記相互係合は前記先端と異なる複数の凹みとの間で夫々行われることを特徴とする請求項2に基づく方法。
【請求項5】
前記相互係合は、前記ニードルと、前記プレートを支持するキャリッジとの間で行われ、この方法は下にある2つの容器の一方から他方へとキャリッジを水平に摺動させる工程を包含することを特徴とする請求項3に基づく方法。
【請求項6】
前記相互係合は前記キャリッジの摺動方向に対して横断方向の前記キャリッジの縁に沿って行われることを特徴とする請求項5に基づく方法。
【請求項7】
前記移動させる工程は付勢ばねに抗してプレートを下向きに移動させるべく行われ、前記相互係合はニードルの先端とプレート下降手段との間で行われ、前記ニードルは前記プレート下降手段を下向きに付勢するべく軸方向下向きに移動されることを特徴とする請求項3に基づく方法。
【請求項8】
前記相互係合は幾つかのカラムに整合して前記プレート下降手段に貫通形成した孔の外で行われることを特徴とする請求項7に基づく方法。
【請求項9】
請求項1から8のいづれかに基づく方法であって、
−カラムが上向きに開口しているときに前記少なくとも1つのニードルを用いて各カラムに液体を供給する工程と;
−前記プレートを下向きに移動させて下にある容器の上方でシール係合させる工程と;
−前記プレートを前記シール係合に保持すると共に、各カラム内に設けた静止相を通って全てのカラムから前記容器へと液体を吸引するべく、前記容器を真空にする工程と;
−前記プレートを前記シール係合から釈放するべく前記容器から真空を釈放する工程;
とを包含することを特徴とする方法。
【請求項10】
分析用の試料を調製する方法であって:
−カラムが上向きに開口しているときに各カラムに液体を注入する工程と;
−前記プレートを下向きに移動させて下にある容器の上方でシール係合させる工程と;
−前記プレートを前記シール係合に保持すると共に、各カラム内に設けた静止相を通って全てのカラムから前記容器へと液体を吸引するべく、前記容器を真空にする工程と;
−前記真空を釈放して、前記プレートが上向きに移動して前記シール係合から脱するのを許容する工程;
とを包含する方法。
【請求項11】
前記容器は各カラムに夫々対応する複数のウェルを有する回収容器であることを特徴とする請求項10に基づく方法。
【請求項12】
前記容器はドレーン容器であり、前記真空を釈放した後に前記プレートを回収容器の上方の位置に移動させ、そして、前記液体注入工程と、プレートを下向きに移動させてシール係合させる工程と、全てのカラムから同時に液体を吸引する工程と、真空を釈放する工程とを、前記回収容器の上方で、かつ、前記回収容器に対して繰り返すことを特徴とする請求項10に基づく方法。
【請求項13】
前記プレートの少なくとも1の移動は、注入ニードルを前記プレートに少なくとも間接的に係合させると共に、前記注入ニードルを移動させて前記プレートを前記1の移動へ駆動することにより行われることを特徴とする請求項10から12のいづれかに基づく方法。
【請求項14】
前記プレートの水平移動のためには、前記係合は、前記ニードルと、前記プレートを支持するキャリッジとの間で起こることを特徴とする請求項13に基づく方法。
【請求項15】
前記係合は、前記ニードルと、前記プレートの上方に装着されたプレート下降手段との間で起こることを特徴とする請求項13に基づく方法。
【請求項16】
前記液体注入工程は幾つかのカラムに整合して前記プレート下降手段に貫通形成した孔を通る液体注入を包含することを特徴とする請求項15に基づく方法。
【請求項17】
分析用の試料を調製するためのラックであって:
−フレームと;
−前記フレーム内に摺動可能に装着され、カラムの上部開口を通って試料を受け取るべく複数のカラムを有するプレートを備えた摺動アッセンブリと;
−摺動アッセンブリの下でフレーム内に装着された第1および第2の容器と;
−前記各容器を選択的に真空源に接続する手段;
とを備え、前記摺動アッセンブリは前記第1容器の上方の第1位置と前記第2容器の上方の第2位置との間で移動可能であり、その特徴は、前記摺動アッセンブリにはニードルのための係合手段が設けてあり、前記係合手段は前記カラムの外に配置されていることからなるラック。
【請求項18】
前記摺動アッセンブリは前記プレートを着脱可能に支持するキャリッジを備え、前記係合手段は前記キャリッジに設けてあることを特徴とする請求項17に基づくラック。
【請求項19】
前記キャリッジは本体を備え、前記本体はプレートの外周の少なくとも一部に沿って延長する上縁を有し、前記係合手段の少なくとも一部は前記上縁に設けてあることを特徴とする請求項18に基づくラック。
【請求項20】
前記係合手段は一列の凹みを備え、前記一列の凹みは、前記上縁に属しかつキャリッジの摺動方向に対して横断方向に延長する横断方向縁に沿っていることを特徴とする請求項19に基づくラック。
【請求項21】
前記キャリッジは本体とプッシャー部材を備え、前記本体内には前記プレートが付勢ばねに抗して限られた下向き運動をするように装着してあり、前記プッシャー部材は前記プレートの上方に衝当して垂直運動をするように装着してあると共に、前記プッシャー部材には前記係合手段の少なくとも一部が設けてあることを特徴とする請求項18に基づくラック。
【請求項22】
前記プッシャー部材には、当該プッシャー部材の下にある幾つかのカラムに整合する孔が設けてあることを特徴とする請求項21に基づくラック。
【請求項23】
前記プッシャー部材はプレートの中央線に沿って延長していることを特徴とする請求項21又は22に基づくラック。
【請求項24】
ラックは部品を順次に積み重ねることにより組立て、かつ、部品を順次に積み下ろすことにより分解するようになっており、もって、使用済みの容器およびプレートを迅速に抜き出し、かつ、新たな容器およびプレートを迅速に挿入できるようになっていることを特徴とする請求項18から23のいづれかに基づくラック。
【請求項25】
分析用の試料を調製するための装置であって:
−請求項17から24のいづれかに基づくラックと;
−注入ユニット;
とを備え、前記注入ユニットは:
イ)少なくとも1つの注入ニードルを備えた注入ヘッドと;
ロ)前記注入ヘッドを三次元変位させるためのアクチュエータと;
ハ)前記ヘッドが、ニードルがプレートのカラムに整合する注入位置と、ニードルが係合用成形部に整合して次いで所定の変位だけプレートを駆動するプレート駆動位置、とに順次に持ち来されるように前記アクチュエータを制御するための制御手段;
とを備えていることからなる装置。
【請求項1】
分析用の試料を調製する方法であって:
−少なくとも1つの可動式注入ニードルを用いて少なくとも1つの液体を可動プレートの個々のカラムに注入する工程と;
−前記少なくとも1つのニードルが前記プレートと少なくとも間接的な相互係合関係にあるときに前記少なくとも1つのニードルを移動させることにより前記プレートを少なくとも2つの作動位置の間で移動させる工程;
とを包含し、その特徴は、前記相互係合は前記ニードルと前記カラムの外の係合用成形部との間で行われることからなる方法。
【請求項2】
前記相互係合は、前記ニードルの先端と、前記プレートと駆動関係にある凹みとの間で行われることを特徴とする請求項1に基づく方法。
【請求項3】
前記プレートに異なる複数の運動をさせるため、前記相互係合はプレートに関し異なる複数の場所で夫々行われることを特徴とする請求項1又は2に基づく方法。
【請求項4】
前記プレートに異なる複数の運動をさせるため、前記相互係合は前記先端と異なる複数の凹みとの間で夫々行われることを特徴とする請求項2に基づく方法。
【請求項5】
前記相互係合は、前記ニードルと、前記プレートを支持するキャリッジとの間で行われ、この方法は下にある2つの容器の一方から他方へとキャリッジを水平に摺動させる工程を包含することを特徴とする請求項3に基づく方法。
【請求項6】
前記相互係合は前記キャリッジの摺動方向に対して横断方向の前記キャリッジの縁に沿って行われることを特徴とする請求項5に基づく方法。
【請求項7】
前記移動させる工程は付勢ばねに抗してプレートを下向きに移動させるべく行われ、前記相互係合はニードルの先端とプレート下降手段との間で行われ、前記ニードルは前記プレート下降手段を下向きに付勢するべく軸方向下向きに移動されることを特徴とする請求項3に基づく方法。
【請求項8】
前記相互係合は幾つかのカラムに整合して前記プレート下降手段に貫通形成した孔の外で行われることを特徴とする請求項7に基づく方法。
【請求項9】
請求項1から8のいづれかに基づく方法であって、
−カラムが上向きに開口しているときに前記少なくとも1つのニードルを用いて各カラムに液体を供給する工程と;
−前記プレートを下向きに移動させて下にある容器の上方でシール係合させる工程と;
−前記プレートを前記シール係合に保持すると共に、各カラム内に設けた静止相を通って全てのカラムから前記容器へと液体を吸引するべく、前記容器を真空にする工程と;
−前記プレートを前記シール係合から釈放するべく前記容器から真空を釈放する工程;
とを包含することを特徴とする方法。
【請求項10】
分析用の試料を調製する方法であって:
−カラムが上向きに開口しているときに各カラムに液体を注入する工程と;
−前記プレートを下向きに移動させて下にある容器の上方でシール係合させる工程と;
−前記プレートを前記シール係合に保持すると共に、各カラム内に設けた静止相を通って全てのカラムから前記容器へと液体を吸引するべく、前記容器を真空にする工程と;
−前記真空を釈放して、前記プレートが上向きに移動して前記シール係合から脱するのを許容する工程;
とを包含する方法。
【請求項11】
前記容器は各カラムに夫々対応する複数のウェルを有する回収容器であることを特徴とする請求項10に基づく方法。
【請求項12】
前記容器はドレーン容器であり、前記真空を釈放した後に前記プレートを回収容器の上方の位置に移動させ、そして、前記液体注入工程と、プレートを下向きに移動させてシール係合させる工程と、全てのカラムから同時に液体を吸引する工程と、真空を釈放する工程とを、前記回収容器の上方で、かつ、前記回収容器に対して繰り返すことを特徴とする請求項10に基づく方法。
【請求項13】
前記プレートの少なくとも1の移動は、注入ニードルを前記プレートに少なくとも間接的に係合させると共に、前記注入ニードルを移動させて前記プレートを前記1の移動へ駆動することにより行われることを特徴とする請求項10から12のいづれかに基づく方法。
【請求項14】
前記プレートの水平移動のためには、前記係合は、前記ニードルと、前記プレートを支持するキャリッジとの間で起こることを特徴とする請求項13に基づく方法。
【請求項15】
前記係合は、前記ニードルと、前記プレートの上方に装着されたプレート下降手段との間で起こることを特徴とする請求項13に基づく方法。
【請求項16】
前記液体注入工程は幾つかのカラムに整合して前記プレート下降手段に貫通形成した孔を通る液体注入を包含することを特徴とする請求項15に基づく方法。
【請求項17】
分析用の試料を調製するためのラックであって:
−フレームと;
−前記フレーム内に摺動可能に装着され、カラムの上部開口を通って試料を受け取るべく複数のカラムを有するプレートを備えた摺動アッセンブリと;
−摺動アッセンブリの下でフレーム内に装着された第1および第2の容器と;
−前記各容器を選択的に真空源に接続する手段;
とを備え、前記摺動アッセンブリは前記第1容器の上方の第1位置と前記第2容器の上方の第2位置との間で移動可能であり、その特徴は、前記摺動アッセンブリにはニードルのための係合手段が設けてあり、前記係合手段は前記カラムの外に配置されていることからなるラック。
【請求項18】
前記摺動アッセンブリは前記プレートを着脱可能に支持するキャリッジを備え、前記係合手段は前記キャリッジに設けてあることを特徴とする請求項17に基づくラック。
【請求項19】
前記キャリッジは本体を備え、前記本体はプレートの外周の少なくとも一部に沿って延長する上縁を有し、前記係合手段の少なくとも一部は前記上縁に設けてあることを特徴とする請求項18に基づくラック。
【請求項20】
前記係合手段は一列の凹みを備え、前記一列の凹みは、前記上縁に属しかつキャリッジの摺動方向に対して横断方向に延長する横断方向縁に沿っていることを特徴とする請求項19に基づくラック。
【請求項21】
前記キャリッジは本体とプッシャー部材を備え、前記本体内には前記プレートが付勢ばねに抗して限られた下向き運動をするように装着してあり、前記プッシャー部材は前記プレートの上方に衝当して垂直運動をするように装着してあると共に、前記プッシャー部材には前記係合手段の少なくとも一部が設けてあることを特徴とする請求項18に基づくラック。
【請求項22】
前記プッシャー部材には、当該プッシャー部材の下にある幾つかのカラムに整合する孔が設けてあることを特徴とする請求項21に基づくラック。
【請求項23】
前記プッシャー部材はプレートの中央線に沿って延長していることを特徴とする請求項21又は22に基づくラック。
【請求項24】
ラックは部品を順次に積み重ねることにより組立て、かつ、部品を順次に積み下ろすことにより分解するようになっており、もって、使用済みの容器およびプレートを迅速に抜き出し、かつ、新たな容器およびプレートを迅速に挿入できるようになっていることを特徴とする請求項18から23のいづれかに基づくラック。
【請求項25】
分析用の試料を調製するための装置であって:
−請求項17から24のいづれかに基づくラックと;
−注入ユニット;
とを備え、前記注入ユニットは:
イ)少なくとも1つの注入ニードルを備えた注入ヘッドと;
ロ)前記注入ヘッドを三次元変位させるためのアクチュエータと;
ハ)前記ヘッドが、ニードルがプレートのカラムに整合する注入位置と、ニードルが係合用成形部に整合して次いで所定の変位だけプレートを駆動するプレート駆動位置、とに順次に持ち来されるように前記アクチュエータを制御するための制御手段;
とを備えていることからなる装置。
【図1】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公表番号】特表2006−516727(P2006−516727A)
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501978(P2006−501978)
【出願日】平成16年2月2日(2004.2.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002028
【国際公開番号】WO2004/070390
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(505291387)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年2月2日(2004.2.2)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002028
【国際公開番号】WO2004/070390
【国際公開日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(505291387)
【Fターム(参考)】
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