説明

分析用デバイス駆動装置

【課題】微量の流体の混合攪拌において、従来に比べて短い時間であっても必要な加速度が得ることができる分析用デバイス駆動装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ターンテーブル(101)とで分析用デバイス(1)を挟持するクランパ(104a)と、クランパ(104a)をターンテーブル(101)に近接する方向に押圧する付勢手段(105)とを備えるとともに、分析用デバイス(1)とターンテーブル(101)には、それぞれ分析用デバイス(1)とターンテーブル(101)の中心を合わせる調芯用嵌合部(15,117)と、回転方向の移動を規制する回り止め用係合部(114,115)を設けて、分析用デバイス(1)のターンテーブル(101)でのスリップを低減したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物などから採取した試料液が入った分析用デバイスを、遠心力によって測定チャンバーに向かって移送して分析または遠心分離する分析用デバイス駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生物などから採取した液体を分析する方法として、液体流路を形成した分析用デバイスを用いて分析する方法が知られている。分析用デバイスは、回転装置を使って流体の制御をすることが可能であり、遠心力を利用して、試料液の希釈、溶液の計量、固体成分の分離、分離された流体の移送分配、溶液と試薬の混合等を行うことができるため、種々の生物化学的な分析を行うことが可能である。
【0003】
遠心力を利用して溶液を移送する特許文献1に記載の分析用デバイス50は、図17に示すように注入口51からピペットなどの挿入器具によって検体としての試料液を計量室52へ注入し、計量室52の毛細管力で試料液を保持した後、分析用デバイスの回転によって、試料液を分離室53へ移送するように構成されている。このような遠心力を送液の動力源とする分析用デバイスは、円盤形状にすることで送液制御を行うためのマイクロチャネルを放射状に配置でき、無駄な面積が発生しないため好ましい形状として用いられる。
【0004】
試料液と希釈液の混合攪拌は、この分析用デバイス50をセットしたターンテーブルを、同一回転方向に加減速あるいは正転、逆転することで行っている。
【特許文献1】特表平7−500910号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような従来の構成では、分析用デバイスの慣性力や、分析用デバイス駆動装置の応答性などが問題で、短時間で混合攪拌を行うに足りる加速度が十分に得られず、混合攪拌に長い時間を要しているのが現状である。
【0006】
このことは、微量の流体の混合の場合に特に顕著であり、十分な時間をかけても混合攪拌が不十分である場合が発生する。
そこで図18〜図20に示すように、分析用デバイス1がセットされるターンテーブル101に、分析用デバイス1の底部に突出して形成された回転支持部15を収容する環状溝102を形成し、セットした分析用デバイス1を、クランパ104によってターンテーブル101に押圧し、モータ70によってターンテーブル101を小刻みに正転、反転させて分析用デバイス1に混合攪拌を行うに足りる加速度を加える構造が考えられる。
【0007】
ここで、ターンテーブル101を小刻みに正転、反転させた場合に、ターンテーブル101と分析用デバイス1の間でスリップが発生することが分かった。しかし、分析用デバイス1をターンテーブル101の側に押さえ付ける付勢力を大きくして前記スリップを無くそうとした場合には、モータ70に対するスラスト方向の負荷が大きくなるため、このモータ70の寿命が短くなる問題がある。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、ターンテーブルを小刻みに正転、反転させて分析用デバイスに加速度を加える場合に、分析用デバイスをターンテーブルの側に押さえ付ける付勢力を大きくしなくても、ターンテーブルと分析用デバイスの間のスリップを解消できる分析用デバイス駆動装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1記載の分析用デバイス駆動装置は、試料液をセットした分析用デバイスがターンテーブルにセットされ、前記ターンテーブルを回動させて前記試料液を分析用デバイス内で移送して分析または遠心分離する分析用デバイス駆動装置であって、前記ターンテーブルとで前記分析用デバイスを挟持するクランパと、前記クランパを前記ターンテーブルに近接する方向に押圧する付勢手段とを備えるとともに、前記分析用デバイスと前記ターンテーブルには、それぞれ前記分析用デバイスと前記ターンテーブルの中心を合わせる調芯用嵌合部と、回転方向の移動を規制する回り止め用係合部を設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項2記載の分析用デバイス駆動装置は、請求項1において、前記ターンテーブルには、前記回り止め用係合部として、前記分析用デバイスの側の回り止め用係合部に係合する溝を等間隔に複数設けたことを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項3記載の分析用デバイス駆動装置は、請求項1において、前記ターンテーブルには、前記回り止め用係合部として、前記分析用デバイスの側の回り止め用係合部に係合する溝を等間隔に複数設け、前記溝と溝の間の仕切壁の内径が、前記分析用デバイスの底面中央に設けられ前記ターンテーブルの環状溝に収容される回転支持部の外径よりも大きく、前記分析用デバイスの回転支持部から外周側に突出した前記回り止め用係合部が前記ターンテーブルの前記溝に係合することを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項4記載の分析用デバイス駆動装置は、請求項3において、前記ターンテーブルの環状溝の底部に、前記分析用デバイスの回転支持部の先端が当接する滑り止めシートを設けたことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項5記載の分析用デバイス駆動装置は、請求項2または請求項3において、前記ターンテーブルの前記溝と溝の間の仕切壁の頂部が山形形状に成形されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
この構成によれば、セットされた分析用デバイスの回り止め用係合部がターンテーブルの回り止め用係合部に係合して、ターンテーブルにおける分析用デバイスのスリップを解消できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明の分析用デバイス駆動装置を各実施の形態を示す図1〜図16に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1〜図13は本発明の実施の形態1の分析用デバイス駆動装置を備えた分析装置を示す。
【0016】
図11〜図13は分析用デバイスを示す。
図11(a)(b)は分析用デバイス1の保護キャップ2を閉じた状態と開いた状態を示している。図12(a)(b)は分析用デバイス1の正面図と底面図を示している。図13は図11(a)における下側を上に向けた状態で分解した状態を示している。
【0017】
この分析用デバイス1は、微細な凹凸形状を表面に有するマイクロチャネル構造が片面に形成されたベース基板3と、ベース基板3の表面を覆うカバー基板4と、希釈液を保持している希釈液容器5と、試料液飛散防止用の保護キャップ2とを合わせた4つの部品で構成されている。分析用デバイス1の底面で前記カバー基板4には、分析用デバイス1の底部に突出して調芯用嵌合部としての回転支持部15が形成されている。保護キャップ2の内周部には回転支持部16が形成されており、保護キャップ2を閉じた分析用デバイス1では、回転支持部16が回転支持部15の外周に接するように形成されている。さらに、前記カバー基板4には、基端が回転支持部15に接続されて先端が外周に向かって延びる回り止め用係合部としての凸部114が形成されている。
【0018】
ベース基板3とカバー基板4は、希釈液容器5などを内部にセットした状態で接合され、この接合されたものに保護キャップ2が取り付けられている。
ベース基板3の上面に形成されている数個の凹部の開口をカバー基板4で覆うことによって、複数の収容エリアとその収容エリアの間を接続するマイクロチャネル構造の流路などが形成されている。11は希釈液容器収容部、23は分離キャビティ、28は溢流流路、29は溢流キャビティ、31はリファレンス測定チャンバー、33は毛細管キャビティ、34は連結流路、36は溢流キャビティ、37は毛細管流路、38は計量流路、40は測定チャンバー、41は連結流路である。
【0019】
収容エリアのうちの必要なものには各種の分析に必要な試薬が予め担持されている。保護キャップ2の片側は、ベース基板3とカバー基板4に形成された軸6a,6bに係合して開閉できるように枢支されている。検査しようとする試料液が血液の場合、毛細管力の作用する前記マイクロチャネル構造の各流路の隙間は、50μm〜300μmに設定されている。
【0020】
この分析用デバイス1を使用した分析工程の概要は、希釈液が予めセットされた分析用デバイス1に試料液を点着し、この試料液の少なくとも一部を前記希釈液で希釈した後に測定しようとするものである。
【0021】
この分析用デバイス1を、図5と図6に示す分析装置100のターンテーブル101にセットする。
ターンテーブル101の上面には環状溝102が形成されており、分析用デバイス1をターンテーブル101にセットした状態では分析用デバイス1のカバー基板4に形成された回転支持部15と保護キャップ2に形成された回転支持部16が環状溝102に係合してこれを収容している。
【0022】
ターンテーブル101に分析用デバイス1をセットした後に、ターンテーブル101を回転させる前に分析装置のドア103を閉じると、セットされた分析用デバイス1は、ドア103の側に設けられたクランパ104によって、ターンテーブル101の回転軸心上の位置が付勢手段としてのバネ105aの付勢力でターンテーブル101の側に押さえられて、分析用デバイス1は、回転駆動手段106によって回転駆動されるターンテーブル101と一体に回転する。107はターンテーブル101の回転中の軸心を示している。
【0023】
図7と図8(a)に示すようにターンテーブル101の環状溝102の内周には、等間隔に複数の溝115がターンテーブル101の側の回り止め用係合部として設けられている。図8(a)は図7のA−AA断面図、図8(b)は図7のB−BB断面図を示す。ターンテーブル101の溝115と溝115の間の仕切壁116の頂部は山形形状に成形されている。また、溝115と溝115の間の仕切壁116の内径R1が、分析用デバイス1の底面中央に設けられターンテーブル101の環状溝102に収容される回転支持部15の外径R2よりも大きい。
【0024】
図10は分析装置100の全体構成を示す。
この分析装置100は、ターンテーブル101を回転させるための回転駆動手段106と、分析用デバイス1内の溶液を光学的に測定するための光学測定手段108と、ターンテーブル101の回転速度や回転方向および光学測定手段の測定タイミングなどを制御する制御手段109と、光学測定手段108によって得られた信号を処理し測定結果を演算するための演算部110と、演算部110で得られた結果を表示するための表示部111とで構成されている。
【0025】
回転駆動手段106は、ターンテーブル101を介して分析用デバイス1を回転軸心107の回りに任意の方向に所定の回転速度で回転させるだけではなく、所定の停止位置で回転軸心107を中心に所定の振幅範囲、周期で左右に往復運動をさせて分析用デバイス1を揺動させることができるように構成されている。
【0026】
光学測定手段108には、分析用デバイス1の測定部に特定の波長光を照射するための光源112と、光源112から照射されたレーザー光のうち、分析用デバイス1を通過した透過光の光量を検出するフォトディテクタ113とを備えている。
【0027】
分析用デバイス1をターンテーブル101によって回転駆動して、注入口13から内部に取り込んだ試料液を、注入口13よりも内周にある前記回転軸心107を中心に分析用デバイス1を回転させて発生する遠心力と、分析用デバイス1内に設けられた毛細管流路の毛細管力を用いて、分析用デバイス1の内部で溶液を移送していくよう構成されている。
【0028】
図1〜図4は分析装置100における分析用デバイス駆動装置の詳細を示している。
セットされた分析用デバイス1に回転運動を与える第1の駆動手段71は、アウターロータ型の第1のモータ71aと、この第1のモータ71aの出力軸に取り付けられ前記分析用デバイス1がセットされる前記ターンテーブル101とで構成されている。ターンテーブル101の外周部には第1のギア部74が形成されている。
【0029】
回転駆動手段106は、第1の駆動手段71の他に、所定の停止位置でターンテーブル101を、回転軸心107を中心に所定の振幅範囲、周期で左右に往復運動をさせるために、第1の駆動手段71に選択的に係合し分析用デバイス1に往復運動を与える第2の駆動手段72と、第1の駆動手段71と第2の駆動手段72が係合する位置(図1(b))と係合しない位置(図1(a))に相対移動させる第3の駆動手段73が設けられている。この実施の形態では、第1の駆動手段71に対して第2の駆動手段72が移動している。
【0030】
第2の駆動手段72と第3の駆動手段73は、図2〜図4に示すように構成されている。
第1のモータ71aが取り付けられているシャーシ75には第2のモータ72aと第3のモータ73aなどが取り付けられている。シャーシ75に対して矢印76方向(図1(a),図2参照)にスライド自在に取り付けられた支持テーブル77には、支持軸78が取り付けられている。
【0031】
支持軸78にはレバー79が枢支されている。レバー79の前記ターンテーブル101の側の一端には、ターンテーブル101の第1のギア部74に噛合できる第2のギア部80が形成されている。レバー79の他端には、凹部81が形成されている。凹部81には、第2のモータ72aの出力軸82に取り付けられた偏芯カム83が係合している。なお、図4はレバー79を支持軸78から取り外して図示した平面図である。
【0032】
第2のモータ72aに通電すると、偏芯カム83を介してレバー79が実線位置と仮想線位置に揺動する。なお、レバー79は、つるまきバネ(図示せず)によって付勢して前記揺動時のレバー79のバックラッシュ(Backlash)が小さくなるように構成されている。
【0033】
第3の駆動手段73は、シャーシ75に取り付けられた前記第3のモータ73aと、第3のモータ73aの出力軸84に取り付けられたウォーム85と、シャーシ75に回転自在に取り付けられ前記ウォーム85に噛合したウォームホイール86と、支持テーブル77に形成され前記ウォームホイール86に噛合するラック87とで構成されている。ウォームホイール86とラック87との間のバックラッシュが小さくなるように、支持テーブル77とシャーシ75の間には引っ張りコイルバネ88が介装されている。
【0034】
検出スイッチ91が図1(b)に示すように支持テーブル77を検出するまで第3のモータ73aに通電してウォームホイール86を矢印89方向(図1(a)参照)に回転させると、ラック87がウォームホイール86に噛合している支持テーブル77が、ターンテーブル101に接近するようスライドして、図1(b)に示すように、レバー79の第2のギア部80がターンテーブル101の第1のギア部74に噛合し、この状態で第2のモータ72aが通電状態に維持されると、ターンテーブル101の接線方向にレバー79によってターンテーブル101が揺動駆動される。
【0035】
このように構成したため、ターンテーブル101に分析用デバイス1をセットすると、図6に示すように、ターンテーブル101の環状溝102の中央に調芯用嵌合部として形成された中央凸部117が分析用デバイス1の回転支持部15の内側に位置して、分析用デバイス1とターンテーブル101の中心を合わせる調芯用嵌合部として作用する。この際には、ターンテーブル101の環状溝102の内周に等間隔に形成されている溝115の何れかに、図6と図9に示すように分析用デバイス1の凸部114の先端114aが係合して、ターンテーブル101の周方向に分析用デバイス1がスリップしない状態になる。
【0036】
したがって、第2のモータ72aの回転数を高くて分析用デバイス1を短時間に正転逆転させたときに、バネ105aによるクランパ104の付勢力を大きくしなくても、分析用デバイス1がターンテーブル101の上で周方向にスリップするようなことが無く、分析用デバイス1内の微量の流体を攪拌するに十分な加速度を、短時間にして得ることができる。また、第1のモータ71aに作用するスラスト方向の力を小さく設定でき、第1のモータ71aの長寿命化を実現できる。
【0037】
また、溝115の数を多くすることによって、分析用デバイス1をターンテーブル101の環状溝102にセットする際に、ユーザが取り付け角度を気にしなくて済み、操作性が良好である。
【0038】
この実施の形態1では、ターンテーブル101に等間隔で多数の溝115を設けているため、ターンテーブル101のバランスも良好であり、バランスが悪くなり偏重心が発生して回転時に振動が発生するような事態を回避できる。また、ターンテーブル101の側ではなくて分析用デバイス1の側に等間隔で多数の溝115を設けて構成することもできるが、分析用デバイス1には保護キャップ2が設けられており、保護キャップ2に溝115を設けることが難しく、等間隔で多数の溝115をターンテーブル101の側に設けることが好ましい。
【0039】
また、ターンテーブル101の仕切壁116の内径R1を、分析用デバイス1の回転支持部15の外径R2よりも大きくしたため、仕切壁116の内径で分析用デバイス1の保護キャップ2の回転支持部16の移動を規制することができ、保護キャップ2の運転中の開き防止を実現できる。
【0040】
(実施の形態2)
図14は本発明の実施の形態2を示す。
この実施の形態2では、ターンテーブル101の環状溝102の底部に滑り止めシート118が貼り付けられている点だけが実施の形態1とは異なっている。
【0041】
このように構成したため、ターンテーブル101にセットした分析用デバイス1の回転支持部15の先端が滑り止めシート118に当接して、ターンテーブル101と分析用デバイス1とのがたつきがより低減され、ターンテーブル101を短時間に正転逆転させたときに発生する打撃音をより確実に低減できる。
【0042】
滑り止めシート118は、具体的には、高摩擦係数を得られやすいゴム材料であることが好ましい。また、摩擦力を向上させるため、滑り止めシート表面にシボ加工などの表面加工施すことが好ましい。シート材料の硬度は、パネルの沈み込みによる測定精度への影響を避けるため、高い硬度(硬度50〜90)のものを選ぶことが好ましい。
【0043】
(実施の形態3)
図15と図16は本発明の実施の形態3を示す。
実施の形態1の回転駆動手段106では、第2の駆動手段をターンテーブルの接線方向に揺動駆動させることにより分析用デバイスに往復運動を与える構成にしていたが、図15と図16に示す本発明の実施の形態3では、第2の駆動手段をターンテーブルの接線方向に往復駆動させるように構成した点が異なる。さらに第3の駆動手段の駆動源をソレノイドにした点だけが異なっている。
【0044】
以下、実施の形態1と相違する点について詳細にその動作について説明する。
図15と図16に示すように、第1のモータ71aが取り付けられているシャーシ75には、第2のモータ72aとソレノイド204および支持軸203a,203b、支持軸209などが取り付けられている。
【0045】
支持軸203a,203bには、レバー201が摺動可能にスペーサ210、締結部材212で枢支されている。レバー201の前記ターンテーブル101の側の辺は、第1のモータ71aのロータと平行になるように折り曲げられて成形されており、この折り曲げ辺201bの先端には、第1のモータ71aのロータと摩擦接触できるコルク、ブチルゴムなどでできた摩擦部材202が取り付けられている。またレバー201には、凹部211が形成され、第2のモータ72aの出力軸82に取り付けられた偏芯カム83が係合している。
【0046】
このように構成したため、第2のモータ72aに通電すると、偏芯カム83を介してレバー201が図15の矢印213のように往復運動する。
第3の駆動手段73は、シャーシ75に取り付けられたソレノイド204と、ソレノイド204と係合したレバー206と、中間部がシャーシ75に植接された支持軸209に枢支され一端が前記レバー206に植設された軸206bに係合するレバー205とで構成されている。なお、レバー205の他端205bは、レバー201の穴部214に挿入されて折り曲げ辺201bの先端に係合している。
【0047】
また、レバー205は、引っ張りコイルばね207によって図15(a)の矢印215の方向にレバー201の板ばねの作用を有する折り曲げ辺201bの先端を付勢している。
【0048】
このように構成したため、ソレノイド204に通電するとソレノイド204によりレバー206が移動すると同時にレバー205が図15(b)の矢印216のように支持軸209を回転軸として回転し、レバー201の折り曲げ辺201bの先端の板ばね形状部が復帰し、摩擦部材202が第1のモータ71aのロータに当接する。
【0049】
この状態で第2のモータ72aが通電状態に維持されると、ターンテーブル101の接線方向にレバー79によってターンテーブル101が揺動駆動されるので、第2のモータ72aの回転数を高くすることによって短い時間であっても分析用デバイス1内の微量の流体を攪拌するに十分な加速度を、短時間にして得ることができる。
【0050】
なお、上記の実施の形態では第1のモータ71aに対して第2の駆動手段72のレバー201を接近させたが、第2の駆動手段72のレバー201に対して第1のモータ71aを接近させて攪拌揺動したり、第1の駆動手段71と、第2の駆動手段72のレバー201とを互いに接近させて分析用デバイス1を攪拌揺動することもでき、第3の駆動手段73によってレバー201と第1のモータ71aが係合する位置と係合しない位置に、第1の駆動手段71と第2の駆動手段72を相対移動させることによって実現できると言える。
【0051】
なお、摩擦部材202を第1のモータ71aと係合するようにしたが、実施の形態1のようにレバー201の摩擦部材202をギア部材に変更し、ターンテーブル101あるいは第1のモータ71aに設けた第1のギア部74と係合するように構成しても実現できる。
【0052】
上記の各実施の形態では、試料液を分析用デバイス内で移送して分析する分析装置の場合を例に挙げて説明したが、試料液を分析用デバイス内で遠心分離するだけの分析用デバイス駆動装置であっても同様に実施できる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、生物などから採取した液体の成分分析に使用する分析用デバイスの混合攪拌を短時間で行うことができ、分析精度を維持して分析効率の向上に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態1における分析用デバイス駆動装置の第1の駆動手段と第2の駆動手段との係合が解除された状態の平面図と、第1の駆動手段と第2の駆動手段が係合した状態の平面図
【図2】同実施の形態の分析用デバイス駆動装置の斜視図
【図3】同実施の形態の分析用デバイス駆動装置の側面図
【図4】同実施の形態の第2の駆動手段のレバーを取り外した状態の平面図
【図5】同実施の形態の分析装置のドアを開放した状態の斜視図
【図6】分析用デバイスを分析装置にセットした状態の要部断面図
【図7】同実施の形態のターンテーブルの拡大平面図
【図8】図7のA−AA断面図とB−BB断面図
【図9】セットされた分析用デバイスの回り止め用係合部としての凸部114がターンテーブルの回り止め用係合部としての溝115に係合した状態を説明する拡大平面図
【図10】同実施の形態の分析装置のブロック図
【図11】同実施の形態の分析用デバイスの保護キャップを閉じた状態と開いた状態の外観斜視図
【図12】同実施の形態の分析用デバイスの正面図と底面図
【図13】同実施の形態の分析用デバイスの分解斜視図
【図14】本発明の実施の形態2におけるターンテーブルの拡大平面図と分析用デバイスをセットした運転中の拡大断面図
【図15】本発明の実施の形態3の分析用デバイス駆動装置の駆動前後を示す平面図
【図16】同実施の形態の分析用デバイス駆動装置の斜視図
【図17】特許文献1の分析用デバイスの一部切り欠き斜視図
【図18】本発明の課題を説明するための分析用デバイスの底面の斜視図
【図19】本発明の課題を説明するための分析用デバイスとターンテーブルの斜視図
【図20】本発明の課題を説明するためのターンテーブルに分析用デバイスをセットした運転中の断面図
【符号の説明】
【0055】
1 分析用デバイス
2 保護キャップ
3 ベース基板
4 カバー基板
5 希釈液容器
6a,6b 軸
11 希釈液容器収容部
13 注入口
15 回転支持部(分析用デバイスの側の調芯用嵌合部)
16 回転支持部
23 分離キャビティ
28 溢流流路
29 溢流キャビティ
31 リファレンス測定チャンバー
33 毛細管キャビティ
34 連結流路
36 溢流キャビティ
37 毛細管流路
38 計量流路
40 測定チャンバー
41 連結流路
71 第1の駆動手段
71a 第1のモータ
72 第2の駆動手段
72a 第2のモータ
73 第3の駆動手段
73a 第3のモータ
74 第1のギア部
75 シャーシ
76 支持テーブル77のスライド方向
77 支持テーブル
78 支持軸
79 レバー
80 第2のギア部
81 凹部
82 第2のモータ72aの出力軸
83 偏芯カム
84 第3のモータ73aの出力軸
85 ウォーム
86 ウォームホイール
87 ラック
88 引っ張りコイルバネ
90 第1のモータ71aのアウターロータ
100 分析装置
101 ターンテーブル
102 環状溝
103 ドア
104a クランパ
105b バネ(付勢手段)
106 回転駆動手段
107 回転軸心
108 光学測定手段
109 制御手段
110 演算部
111 表示部
112 光源
113 フォトディテクタ
114 凸部(分析用デバイス1の側の回り止め用係合部)
114a 凸部114の先端
115 溝(ターンテーブル101の側の回り止め用係合部)
116 仕切壁
117 中央凸部(ターンテーブル101の側の調芯用嵌合部)
118 滑り止めシート
201 レバー
201b 折り曲げ辺
202 摩擦部材
203a,203b 支持軸
204 ソレノイド
205 レバー
206b 軸
207 引っ張りコイルばね
209 支持軸
210 スペーサ
211 凹部
212 締結部材
214 レバー201の穴部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料液をセットした分析用デバイスがターンテーブルにセットされ、前記ターンテーブルを回動させて前記試料液を分析用デバイス内で移送して分析または遠心分離する分析用デバイス駆動装置であって、
前記ターンテーブルとで前記分析用デバイスを挟持するクランパと、
前記クランパを前記ターンテーブルに近接する方向に押圧する付勢手段と
を備えるとともに、前記分析用デバイスと前記ターンテーブルには、それぞれ前記分析用デバイスと前記ターンテーブルの中心を合わせる調芯用嵌合部と、回転方向の移動を規制する回り止め用係合部を設けた
分析用デバイス駆動装置。
【請求項2】
前記ターンテーブルには、前記回り止め用係合部として、前記分析用デバイスの側の回り止め用係合部に係合する溝を等間隔に複数設けた
請求項1記載の分析用デバイス駆動装置。
【請求項3】
前記ターンテーブルには、前記回り止め用係合部として、前記分析用デバイスの側の回り止め用係合部に係合する溝を等間隔に複数設け、
前記溝と溝の間の仕切壁の内径が、前記分析用デバイスの底面中央に設けられ前記ターンテーブルの環状溝に収容される回転支持部の外径よりも大きく、前記分析用デバイスの回転支持部から外周側に突出した前記回り止め用係合部が前記ターンテーブルの前記溝に係合する
請求項1記載の分析用デバイス駆動装置。
【請求項4】
前記ターンテーブルの環状溝の底部に、前記分析用デバイスの回転支持部の先端が当接する滑り止めシートを設けた
請求項3記載の分析用デバイス駆動装置。
【請求項5】
前記ターンテーブルの前記溝と溝の間の仕切壁の頂部が山形形状に成形されている
請求項2または請求項3記載の分析用デバイス駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2010−122020(P2010−122020A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295000(P2008−295000)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】