説明

分析用切片試料の作製方法及び作製装置

【課題】 多数の切片試料を、損傷や損失なく連続的に、しかも所定の姿勢で且つ所定の順序で容易に採取することが可能で、3次元構造分析の効率的実施を可能ならしめる分析用切片試料の作製方法及び作製装置を提供する。
【解決手段】 分析対象物を含む固体Sを切削用ナイフ42で切削することにより順次形成された切片試料Eを、同等の姿勢で液体Lの自由表面上に順次供給する。蠕動ポンプ61により液体Lにその自由表面に沿って流れる液流F1〜F4を形成する。この液流に従って切片試料Eを液体自由表面上の移動経路にて移動させ、その際に、切片試料Eの移動経路の幅を切片試料Eの短径より大きく且つ最長径より小さく設定しておく。そして、移動経路を移動してきた切片試料Eを、捕集手段12により試料台Pの上表面に貼り付けて捕集する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析対象物を含む固体を切削して切片試料を作製する方法及び装置に関するものである。切片試料は赤外線吸光分析器(IR)、X線光電子分光器(XPS)、走査型プローブ顕微鏡(SPM)、透過型電子顕微鏡(TEM)及び走査型電子顕微鏡(SEM)等の分析装置により2次元情報を取得するのに使用される。これらにより得られた2次元情報は、それらを繋ぎ合わせて3次元情報を構築するのに利用される。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子顕微鏡や光学顕微鏡で観察乃至撮影される切片試料を作製するための手段としてミクロトームが用いられている。ミクロトームでは、一般に、分析対象物を樹脂等に包埋した後にアームに固定し、このアームを上下運動させてダイヤモンドやガラスからなるナイフで薄片状に切削する。この切削により得られた切片は切削刃付のボートに張られた水面上に浮かぶので、この切片をメッシュ等ですくい取って透過型電子顕微鏡等の顕鏡試料として用いることができる。このようにして分析対象物を含む固体から切削で連続的に作製された切片試料の観察または撮影に基づき得られる2次元情報は、それらを繋ぎ合せて分析対象物の3次元構造を再構築される。この方法は、生物試料等における3次元構造解析に用いられている。また、薄片化された切片試料のみではなく、切削により切片が除去された残留物として得られるブロックも、分析用試料として用いることが可能であり、例えば光学顕微鏡や走査型電子顕微鏡の顕鏡試料として用いられる。
【0003】
連続切削により得られる複数の切片試料からの2次元情報に基づき分析対象物の3次元構造を再構築するためには、先ず分析対象物を含む固体の着目する3次元領域(分析対象物を含む領域)を一定の厚さずつ順次に切削(スライス)する。そして、こうして得られた多数の切片試料を順序よく取得することが必要である。ミクロトームを用いてこのような切片試料の連続捕集をすることは、多大な根気と労力を要する。しかも手動により切片試料を捕集するため、切片試料の一部を紛失したり、切片試料にしわが発生したりするなどの不都合が生ずるおそれがあり、また非効率であった。そして、このことが連続切片法による3次元構造解析を実行する上での高いハードルになっていた。
【0004】
一方、特許文献1には、ミクロトームを用いて作製されボートに張られた水面上に浮かんでいる切片試料を長尺テープに貼り付けて採取保持する方法が開示されている。
【特許文献1】特公平7−97069号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
而して、上記特許文献1に記載の方法では、長尺テープに切片試料を順序よく貼り付けるために、切削により固体から分離した切片が形成されると同時に、この切片を長尺テープ上に載せて水面から引き上げるようにしている。このように、自由水面上での切片試料の滞在時間が短い場合には、自由水面の表面張力による平坦化の作用を殆ど受けることなく長尺テープに貼り付けられることになる。切削により形成された時の切片は、一般には平坦ではなく屈曲状態にある。このため、切削と同時に長尺テープに貼り付けられる切片は、引き上げの際に急激な平坦化力を受けて割れなどの損傷を受けるおそれがあった。
本発明は、多数の切片試料を、損傷や損失なく連続的に、更には、所定の姿勢で且つ所定の順序で容易に採取することが可能な分析用切片試料の作製方法及び作製装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成する本発明の分析用切片試料の作製方法は、
分析対象物を含む固体を切削して切片試料を形成し、
液流を形成し、
形成された切片試料を前記液流によって搬送し、
搬送された前記切片試料を試料台上に捕集する
ことを特徴とする。
【0007】
より詳しくは、分析対象物を含む固体を切削して分析用の切片試料を作製する方法であって、
切削により順次形成された複数の切片試料を同等の姿勢で液体の自由表面上に順次供給し、
前記液体に該液体の自由表面に沿って流れる液流を形成し、
前記切片試料を前記自由表面上にて前記液流に従って移動させ、その際に、前記自由表面における前記切片試料の移動経路を設定し、該移動経路の幅を前記切片試料の短径より大きく且つ最長径より小さく設定しておき、
前記移動経路を移動してきた前記切片試料を試料台上に捕集することを特徴とする、分析用切片試料の作製方法、
である。
【0008】
本発明の一態様においては、前記切片試料の捕集を、前記液体中から前記自由表面を経て上向きに試料台を移動させ、該試料台の表面に前記切片試料を載せて貼り付けることで行う。本発明の一態様においては、前記切片試料を前記液体の自由表面上に供給する方向は、前記自由表面における前記切片試料の移動経路の方向と同一である。本発明の一態様においては、前記切片試料を前記自由表面上にて前記液流に従って移動させる際に、前記移動経路の幅を前記切片試料の短径と直交する方向の長径より小さく設定しておく。
【0009】
更に、上記の目的を達成する本発明の分析用切片試料作製装置は、
液体を収容するタンクと、
切削刃を有し、前記分析対象物を含む固体を切削するための切削手段と、
前記切削手段により形成された切片試料を搬送すべく、前記液体に液流を発生させるための液流発生手段と、
前記液流によって搬送された前記切片試料を試料台上に捕集する捕集手段と、
を備えることを特徴とする。
【0010】
より詳しくは、分析対象物を含む固体を切削して分析用の切片試料を作製する装置であって、
液体を収容するタンクと、
該タンクに配置された切削用ナイフ及び該ナイフにより切削されるように前記分析対象物を含む固体の運動を駆動する駆動部を含んでなる切削手段と、
前記液体に該液体の自由表面に沿って流れる液流を発生させるための液流発生手段と、
前記自由表面における前記切片試料の移動経路及びその幅を設定する移動経路設定手段と、
前記移動経路を移動してきた前記切片試料を捕集する捕集手段とを備えることを特徴とする、分析用切片試料の作製装置である。
【0011】
本発明の一態様においては、前記捕集手段は、前記切片試料を載せて貼り付ける試料台を保持するための試料台ホルダーと該試料台ホルダーを上下方向に移動させるホルダー移動手段とを備える。本発明の一態様においては、前記切削手段は前記切片試料を前記液体の自由表面上に供給し、その供給の方向は前記自由表面における前記切片試料の移動経路の方向と同一である。本発明の一態様においては、前記液流発生手段は、前記タンク内において前記液体を前記自由表面に沿って横向きに流し、タンク底部に向けて下向きに流し、前記タンク底部に沿って横向きに流し、更に前記自由表面に向けて上向きに流すような循環する前記液流を発生させるものである。本発明の一態様においては、前記液流発生手段は、前記タンク底部に設けられた蠕動ポンプを備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、切片試料を、損傷や損失なく容易に採取することができる。
【0013】
更には、移動経路を移動してきた切片試料に回転や順番の入れ替わりを生ずることなく捕集することができ、切片試料を損傷や損失なく連続的に所定の姿勢で採取することが可能となる。これにより、3次元構造分析の効率的実施が可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の分析用切片試料の作製方法及び作製装置の実施の形態を説明する。
【0015】
図1は本発明の分析用切片試料の作製装置の一実施形態を示す模式的断面図であり、図2はその平面図であり、図3及び図4はそれぞれ図1のA−A’断面図及びB−B’断面図である。
【0016】
これらの図において、タンク(ボート)2内に液体Lが収容されている。液体Lとしては、切片試料に対して表面張力に基づく浮力を作用させることができるもので且つ切片試料と化学反応などの反応を生じないものであれば、好ましく使用することができる。このような液体Lの体表例として水が挙げられる。
【0017】
作製装置は切削手段4を備えている。この切削手段4は、タンク2の上縁部に配置された切削用ナイフ41と切削の際の分析対象物を含む固体Sの運動を駆動する駆動部42とを含んでいる。駆動部42は、分析対象物を含む固体Sを把持して該固体Sを上下方向(X方向)及び水平方向(Y方向)にそれぞれ移動させることができる。切削に際しては、X方向の往復移動とY方向で切削用ナイフ(切削刃)41に近づく向きの間欠移動とを組み合わせた運動がなされる。これにより固体Sが順次切削され、形成された複数の切片試料Eが同等の姿勢で順次タンク内液体Lの自由表面上に供給される。このような切削手段4の構成及び動作は公知のミクロトームのものと同様である。
【0018】
作製装置は、また、液体Lにその自由表面に沿って流れる液流を発生させるための液流発生手段6を備えている。この液流発生手段6は、タンク内を循環する液流を発生させる。タンク2内において液体Lは自由表面に沿って横向きに流れ(矢印F1)、タンク底部に向けて下向きに流れ(矢印F2)、タンク底部に沿って横向きに流れ(矢印F3)、更に自由表面に向けて上向きに流(矢印F4)れる。このため、タンク2には液流路形成部材8が配置されており、上記液流は液流路形成部材8の周囲を循環する。液流発生手段6は、更に、タンク2の底部に設けられた蠕動ポンプ61を備えている。即ち、タンク2の底部はフレキシブルシート611からなっており、このフレキシブルシート611の上面と上記液流路形成部材8との間を通って循環する液流路が形成されている。フレキシブルシート611の下方には、不図示の駆動源に接続された駆動ローラ612及びフリーローラ613に巻き掛けられたベルト614が配置されている。ベルト614の外面には突起614’が形成されている。駆動ローラ612が回転すると、ベルト614が走行し、突起614’がフレキシブルシート611を上方へと押しながら移動する。これにより、フレキシブルシート611が液流路形成部材8の下面へと押しつけられる位置(突起614’とフレキシブルシート611との接触位置)が移動し、上記循環する液流が発生する。
【0019】
作製装置は、また、液体Lの自由表面における切片試料Eの移動経路及びその幅を設定する移動経路設定手段10を備えている。この移動経路設定手段10は、タンク2の上部において、液体Lの自由表面の一部を覆うように配置された1対の経路幅調整板101,102を有する。経路幅調整板101,102の互いに対向する直線状縁辺の間に、液体Lの自由表面における切片試料Eの移動経路103が形成される。経路幅調整板101,102には、それぞれ調整ネジ101’,102’が付設されている。タンク外において調整ネジ101’,102’を操作することで、経路幅調整板101,102を互いに接近させたり離隔させたりすることができ、経路幅調整板101,102間の間隔即ち移動経路幅Wを適宜に設定することができる。
【0020】
作製装置は、また、移動経路103を移動してきた切片試料Eを捕集する捕集手段12を備えている。この捕集手段12は、切片試料Eのそれぞれを載せて貼り付ける複数の試料台Pを保持するための試料台ホルダー121と該試料台ホルダーを上下方向に移動させるホルダー移動手段122とを備えている。ホルダー移動手段122は、試料台ホルダー121を下から支持する上下方向の駆動ネジ122’をタンク2の底部に設けられた雌ネジ122”と嵌合させることにより形成されている。タンク外において駆動ネジ122’を操作することで、試料台ホルダー121を上下に移動させることができ、試料台Pを上向きに移動させることができる。尚、タンク2内においては、駆動ネジ122’の周囲において試料台ホルダー121とタンク2の底部との間を接続するように配置されたベローズ123が設けられている。また、タンク2内には、複数の試料台Pの適切な上下方向の配列のためのガイドフレーム124が形成されている。
【0021】
次に、本実施形態の作製装置の動作即ち本発明の分析用切片試料の作製方法の一実施形態を説明する。
【0022】
先ず、分析対象物を含む固体Sを切削手段4の駆動部42により保持させる。この固体Sは、例えば公知の手法で分析対象物を樹脂等に包埋したものである。そして、駆動部42をX方向に往復移動させつつ、該往復移動の上死点近傍においてY方向に切削用ナイフ41の方へ向けて所要のピッチ(形成しようとする切片試料の厚さに相当する長さ)で間欠移動させる。やがて、切削用ナイフ41による固体Sの切削が開始される。この切削は、固体が下向きに移動する際に、切削用ナイフ41と接触することでなされる。切削により順次形成された切片試料Eは、同等の姿勢で液体Lの自由表面上に順次供給される。
【0023】
この切片試料供給の位置は液体Lの自由表面における切片試料Eの移動経路103の始点に相当し、ここから、切片試料Eは液体自由表面上にて液流に従って切削用ナイフ41から遠ざかる向きに移動する。この液体自由表面における切片試料Eの移動経路の方向(Y方向)は、切片試料Eが液体自由表面上に供給される方向と同一である。
【0024】
移動経路103の幅Wは、切片試料Eの短径及び最長径と特定の関係を持つように設定される。図5及び図6は、切片試料Sをその厚み方向に見た図であり、切片試料Eの短径d1、長径d2及び最長径d3を示す図である。即ち、短径d1は外径が最も小さくなるように特定方向に見た時の当該外径を指し、長径d2は該特定方向と直交する方向に見た時の外径を指し、最長径d3は外径が最も大きくなるように見た時の当該外径を指す。本発明においては、上記移動経路103の幅Wは、切片試料Eの短径d1より大きく且つ最長径d3より小さく設定されるのが好ましい。このようにすることで、移動経路103内での切片試料Eの180°以上の回転及び追い越しが阻止され、切片試料Eは反対向きになることなく揃った方向性を持って移動する。更に好ましくは、移動経路103の幅Wは、切片試料Eの短径d1より大きく且つ長径d2より小さく設定される。このようにすることで、移動経路103内での切片試料Eの許容回転角が更に小さくなり、切片試料Eは更に良好に揃った方向性を持って移動する。
【0025】
図7に、移動経路103における切片試料Eの移動の様子を示す。図7(a)は移動経路設定手段10の経路幅調整板101,102により移動経路幅Wを上記範囲内に設定した場合を示す。この場合には、図2の場合も同様であるが、切片試料Eは切削順に同一の方向性を持って同一方向に移動する。これに対して、比較のために示す図7(b)は移動経路設定手段を持たない従来タイプのものを示す。この場合には、切片試料Eは液体の自由表面上にて自由に移動できるので、蛇行したり、回転したりして、バラバラの姿勢で移動し、更に切削順の配列が不明になる。
【0026】
次に、移動経路103を移動してきた切片試料Eを捕集手段12により順次捕集する。この捕集に際しては、先ず、図1及び図8(a)に示されるように、積み重ねて配置された複数の試料台Pのうちの最上位置のものを、その上表面の一部(切削ナイフ4からの距離が大きい部分)が液体自由表面から露出するようにして、配置しておく。そこに切片試料Eが到達すると、図8(b)に示されるように、その先端部分が試料台Pの上表面に乗り上げる。次いで、ホルダー移動手段122により試料台ホルダー121を上昇させると、図8(c)に示されるように、切片試料Eは試料台Pの上表面に載せられて貼り付けられる。次いで、図8(d)に示されるように、切片試料Eの貼り付けられた試料台Pを採取する。この際、切片試料Eは液体Lの表面張力の作用により、皺なく平坦に試料台P上にて伸展している。その後、切片試料E付の試料台Pを自然乾燥させると、液体の蒸発に伴い、切片試料Eは試料台P上に隙間なく平坦かつ強固に貼り付き固定される。
【0027】
尚、上記切削手段4による切削での切片試料Eの形成と上記液流発生手段6による液流の発生と上記捕集手段12による切片試料Eの捕集とを、互いに関連づけて、次のように行うことができる。即ち、切削による切片試料Eの形成、移動経路103に沿った切片試料Eの移動、及び切片試料Eの捕集を、1つの試料台Pに貼り付ける所要個数毎に行うのである。この所要個数は、切片試料Eの長径と試料台PのY方向長さとに基づき、適宜設定することができる。1つの試料台Pに1つのみの切片試料Eを貼り付けるようにしてもよい。先ず、切削により形成される所要個数の切片試料Eが移動経路103に切削順に一列に並んだ後に、切削を停止する。そして、液流発生手段6により液流を発生させ、所要個数の切片試料Eの列を捕集手段12へと移動させる。この移動が完了した後に、液流発生を停止する。そして、捕集手段12により所要個数の切片試料Eを捕集する。このような操作は、顕微鏡観察下で行うことができる。
【0028】
以上の実施形態では、切削により形成された切片試料Eが屈曲状態にあっても、液体自由表面上にて移動経路103を移動して捕集されるまでに、液体Lの表面張力などに基づき液体自由表面上にて徐々に伸展せしめられる。よって、図9のa1に示すように、捕集の際には切片試料Eは損傷を受けることなく試料台Pの上表面に容易且つ確実に貼り付けることができる。その後、図9のa2に示すように試料台P上の切片試料Eを自然乾燥させると、水分の蒸発に伴い、切片試料Eは試料台P上に隙間なく平坦かつ強固に張り付き固定される。これに対して、従来の乾式で作製された切片の場合、図9のb1、b2に示すように、切片試料E’には皺やカールが発生する場合が多く、このため試料台P上に乗せたとき、試料台Pと切片試料E’との間に隙間が出来る。そのため、このような状態でIR測定をおこなった場合、スペクトルには干渉が生じ、満足な波形が得られなくなる。これを防ぐため、通常は切片を上方からプレスして整形することにより機械的に貼り付ける方法が用いられるが、この場合プレスにより、組織の変形や組成の拡散が生じてしまうため、正確な情報が得られなかった。
【0029】
以上のようにして捕集され試料台Pに貼り付けられた切片試料Eは、赤外線吸光分析器(IR)、X線光電子分光器(XPS)、走査型プローブ顕微鏡(SPM)、透過型電子顕微鏡(TEM)及び走査型電子顕微鏡(SEM)等の分析装置により2次元情報を取得するのに使用される。そして、こうして得られた2次元情報は、画像処理により、それらを繋ぎ合わせて3次元情報を構築するのに利用される。尚、試料台Pとしては、ガラスのような絶縁体やシリコンのような半導体や金属のような導電体から分析の種類に応じて適宜選択される。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の分析用切片試料の作製装置の一実施形態を示す模式的断面図である。
【図2】図1の作製装置の平面図である。
【図3】図1のA−A’断面図である。
【図4】図1のB−B’断面図である。
【図5】切片試料の短径、長径及び最長径を示す図である。
【図6】切片試料の短径、長径及び最長径を示す図である。
【図7】切片試料の移動の様子を示す図である。
【図8】捕集手段により切片試料を捕集する工程を示す図である。
【図9】捕集手段の違いによる切片試料の特徴を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
2 タンク(ボート)
4 切削手段
41 切削用ナイフ
42 分析対象物を含む固体の運動を駆動する駆動部
6 液流発生手段
61 蠕動ポンプ
611 フレキシブルシート
612 駆動ローラ
613 フリーローラ
614 ベルト
614’ 突起
8 液流路形成部材
10 移動経路設定手段
101,102 経路幅調整板
101’,102’ 調整ネジ
103 切片試料の移動経路
12 切片試料捕集手段
121 試料台ホルダー
122 ホルダー移動手段
122’ 駆動ネジ
122” 雌ネジ
123 ベローズ
124 ガイドフレーム
L 液体
S 分析対象物を含む固体
E 切片試料
E’ 乾式捕集した切片試料
P 試料台

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析用切片試料の作製方法であって、
分析対象物を含む固体を切削して切片試料を形成し、
液流を形成し、
形成された切片試料を前記液流によって搬送し、
搬送された前記切片試料を試料台上に捕集する
ことを特徴とする分析用切片試料の作製方法。
【請求項2】
分析対象物を含む固体を切削して分析用の切片試料を作製する方法であって、
切削により順次形成された複数の切片試料を同等の姿勢で液体の自由表面上に順次供給し、
前記液体に該液体の自由表面に沿って流れる液流を形成し、
前記切片試料を前記自由表面上にて前記液流に従って移動させ、その際に、前記自由表面における前記切片試料の移動経路を設定し、該移動経路の幅を前記切片試料の短径より大きく且つ最長径より小さく設定しておき、
前記移動経路を移動してきた前記切片試料を試料台上に捕集することを特徴とする分析用切片試料の作製方法。
【請求項3】
液体の自由表面を経て上向きに前記試料台を移動させ、該試料台の表面に前記切片試料を載せて、前記捕集を行うことを特徴とする、請求項1又は2に記載の分析用切片試料の作製方法。
【請求項4】
前記切片試料を前記液体の自由表面上に供給する方向は、前記自由表面における前記切片試料の移動経路の方向と同一であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の分析用切片試料の作製方法。
【請求項5】
前記切片試料を前記自由表面上にて前記液流に従って移動させる際に、移動経路の幅を前記切片試料の短径と直交する方向の長径より小さく設定しておくことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の分析用切片試料の作製方法。
【請求項6】
分析用切片試料の作製装置であって、
液体を収容するタンクと、
切削刃を有し、前記分析対象物を含む固体を切削するための切削手段と、
前記切削手段により形成された切片試料を搬送すべく、前記液体に液流を発生させるための液流発生手段と、
前記液流によって搬送された前記切片試料を試料台上に捕集する捕集手段と、
を備えることを特徴とする分析用切片試料の作製装置。
【請求項7】
分析対象物を含む固体を切削して分析用切片試料を作製する分析用切片試料の作製装置であって、
液体を収容するタンクと、
該タンクに配置された切削用ナイフ及び該ナイフにより切削されるように前記分析対象物を含む固体の運動を駆動する駆動部を含んでなる切削手段と、
前記液体に該液体の自由表面に沿って流れる液流を発生させるための液流発生手段と、
前記自由表面における前記切片試料の移動経路及びその幅を設定する移動経路設定手段と、
前記移動経路を移動してきた前記切片試料を試料台上に捕集する捕集手段とを備えることを特徴とする分析用切片試料の作製装置。
【請求項8】
前記捕集手段は、前記試料台を保持するための試料台ホルダーと該試料台ホルダーを上下方向に移動させるホルダー移動手段とを備えることを特徴とする、請求項6又は7に記載の分析用切片試料の作製装置。
【請求項9】
前記切削手段は前記切片試料を前記液体の自由表面上に供給し、その供給の方向は前記自由表面における前記切片試料の移動経路の方向と同一であることを特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の分析用切片試料の作製装置。
【請求項10】
前記液流発生手段は、前記タンク内において前記液体を前記自由表面に沿って横向きに流し、タンク底部に向けて下向きに流し、前記タンク底部に沿って横向きに流し、更に前記自由表面に向けて上向きに流すような循環する前記液流を発生させるものであることを特徴とする、請求項6〜9のいずれかに記載の分析用切片試料の作製装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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