説明

分析用液体容器

【課題】分析用液体容器のシール部に針を挿通する際に生じる外部への液漏れを防止する。
【解決手段】分析用液体が収容される分析用液体容器3であって、分析用液体を外部に導出可能にする開口部31aを有する容器本体31と、開口部31aを封止するシール部32と、シール部32の外側に設けられ、シール部32に液体導出針232を挿通するための案内をするとともに、液体導出針232がシール部32を挿通する際に液体導出針232の外側周面と略液密に接触するガイド部33とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析用液体を収容する分析用液体用器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
血液分析装置等の液体試料分析装置では、血液などの液体試料を試薬で希釈した後に、当該希釈後の試料を分析するものがある。そして、血液などの液体試料を希釈するための試薬は、専用の容器(以下、試薬容器という。)に収容され、分析装置本体に対して着脱可能に構成されている。
【0003】
ここで試薬容器が側壁又は底壁に開口部を備え、当該開口部をシール部によって封止されている容器の場合には、分析装置本体に設けられた試薬導出針を当該シール部に横から又は下から挿通することによって、試薬容器が分析装置本体に装着されて試薬が分析装置本体に供給される。
【0004】
しかしながら、側壁又は底壁に設けられたシール部に試薬導出針を挿入すると、当該シール部を試薬導出針が貫通するまでは、針内部の流路と挿通孔とが連通しないため、シール部の挿通孔から内部の試薬が試料導出針の外部に漏れ出てしまうという問題がある。また、試薬導出針を挿通した後においても、挿通孔と試薬導出針との間に間隙が生じることによって試薬が外部に漏れてしまうという問題もある。このように試薬が外部に漏れてしまうと試薬が無駄に消費されてしまうだけでなく、容器外部を試薬によって汚してしまう、或いは汚染の恐れがあるという問題がある。
【0005】
このとき、シール部を例えばゴム等の弾性部材で形成することによって、試薬導出針の貫通前及び貫通後において、試薬導出針とシール部とを密着させることによって漏れを防止するものも考えられている(特許文献1)。
【0006】
しかしながら、ゴム製のシール部に針を挿通させるには相当な力が必要となり、また針が挿通可能な構成にするためには、試薬容器の開口部及びシール部にある程度の大きさが必要となり、試薬容器が大型化してしまい、分析装置本体のコンパクト化を阻害してしまう。なお、ゴム製のシール部を薄く構成することによって上記の問題を解決することも考えられるが、そうするとシール部の弾性力が小さくなってしまい、試薬導出針と挿通孔との間の密着性が小さくなり、試薬が漏れ出てしまう恐れがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004−212377号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで本発明は、上記問題点を一挙に解決するためになされたものであり、分析用液体容器のシール部に針を挿通する際に生じる外部への液漏れを防止することをその主たる所期課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち本発明に係る分析用液体容器は、分析用液体が収容される分析用液体容器であって、分析用液体を外部に導出可能にする開口部が底壁又は側壁に形成された容器本体と、前記開口部を封止するシール部と、前記シール部の外側において当該シール部の周囲を覆うように設けられ、前記シール部に液体導出針を挿通するための案内をするとともに、前記液体導出針が前記シール部を挿通する際に前記液体導出針の外側周面と略液密に接触するガイド部とを具備することを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、シール部の外側にガイド部が設けられているので、液体導出針を確実にシール部に挿通することができる。また、ガイド部が液体導出針の外側周面と略液密に接触した状態において液体導出針がシール部に挿通されるので、挿通時又は挿通後に分析用液体容器の外部に分析用液体が漏れ出ることを防止することができる。
【0011】
このようなものであっては、シール部の径が液体導出針の径と略同一であるため、シール部が極めて小さい部品となることがあるため、その部品点数を削減するとともに、分析用液体容器をコンパクトに構成可能とするためには、前記容器本体、前記シール部及び前記ガイド部が一体成型により形成されていることが望ましい。
【0012】
液体導出針をシール部に挿通した直後から当該液体導出針に分析用液体を流通させるためには、前記容器本体が大気開放部を有し、前記液体導出針がシール部に挿通されると同時又はそれ以前に大気開放部により大気開放されるものであることが望ましい。また、このとき、液体導出針が挿通する際にシール部からの液漏れが生じやすいが、本発明では液体導出針の外側周面とガイド部が略液密に接触していることから液漏れを防止することができる。
【0013】
シール部がプラスチック製の膜である場合には、試薬導出針によってうまく突き破ることができない場合があり、容器内の分析用液体を確実に外部に導出できない場合がある。この問題を解決するためには、前記シール部が、前記容器本体の開口部に液密に圧入された概略ボール形状の密閉栓により構成されていることが望ましい。
【0014】
上記のとおりシール部を密閉栓で構成した場合、開栓後に試薬導出針の先端開口が密閉栓により塞がれてしまう恐れがある。これを防止するためには、前記試薬導出針の先端部形状が、前記試薬導出針によって前記密閉栓を開栓したときに、当該密閉栓により前記試薬導出針の先端開口が塞がれない形状であることが望ましい。
【発明の効果】
【0015】
このように構成した本発明によれば、分析用液体容器のシール部に針を挿通する際に生じる外部への液漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本実施形態である細胞数計測装置の構成を概略的に示す全体概略図である。
【図2】同実施形態に係る細胞数計測装置のカートリッジ装着を模式的に示す斜視図である。
【図3】同実施形態に係るカートリッジの斜視図である。
【図4】同実施形態に係るカートリッジの平面図である
【図5】血液定量位置にあるカートリッジのA−A線断面図である。
【図6】血液導入位置にあるカートリッジのA−A線断面図である。
【図7】同実施形態に係る血液定量部の部分拡大断面図及び部分拡大平面図である。
【図8】同実施形態に係るアパーチャ部分を示す拡大斜視図である。
【図9】同実施形態に係るフィルタ部を示す部分拡大断面図及び部分拡大平面図である。
【図10】同実施形態に係るカートリッジ本体を構成する各要部毎に分解した様子を示す斜視図である。
【図11】同実施形態に係る測定用流路の検出部近傍を示す模式的断面図である。
【図12】変形実施形態に係る分析用液体容器の断面図である。
【図13】変形実施形態に係るシール部、試薬導出針及びその開栓を示す図である。
【図14】変形実施形態に係るセラミックボールの圧入方法の一例を示す図である。
【図15】試薬導出針の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明に係る測定装置である細胞数計数装置の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
本実施形態に係る細胞数計測装置100は、図1及び図2に示すように、計測部本体10と、この計測部本体10に着脱自在に装着される液体試料分析用機器であるカートリッジ20を備えている。計測部本体10は、カートリッジ20を装着する装着部11と、カートリッジ20に設けられたスライド体202(後述)をスライドさせる駆動部12と、カートリッジ20の内部に被計測液である薄めた検体血液(以下単に希釈血液という。)を流通させるための液供給部13と、カートリッジ20から信号を取り出すためのコネクタ部14と、このコネクタ部14からの電気信号を検出して被計測液中に含まれる細胞数を演算する演算部15とを備えている。
【0019】
装着部11は、カートリッジ20の差し込み側端部である先端部の幅及び厚さよりも若干大きく形成され、カートリッジ20の差し込み側端部の形状に合わせて所定の奥行を有するように構成された溝状の凹部11a(図1参照)と、カートリッジ20が凹部11aに挿入した際に、カートリッジ20を把持する一部分(血液定量部22を含む。)を残して、カートリッジ20の大部分を覆うカバー体11b(図2参照)とを備えている。そして、凹部11aの奥部分には、カートリッジ20の先端部に形成された切欠部21(図3、図4等参照)に嵌合する突出部16が形成されており、この突出部16の表面上に、カートリッジ20に設けた電極28、29、221に接触して電気信号を受信するコネクタ部14の一部(導通部14a)が形成されている。
【0020】
駆動部12は、カートリッジ20のスライド体202に設けられた係止部202a(具体的に係止孔、図4参照)に係合する係止爪と、当該係合爪をスライド方向に移動させるラックアンドピニオン機構及びモータ等を用いたスライド移動機構を用いて構成されている(何れも不図示)。そして、駆動部12は、スライド体202を血液定量のために血液定量位置X(図5参照)及び定量された血液を試薬と混合して混合用流路25及び測定用流路26に導入するための血液導入位置Y(図6参照)との間でスライド移動させるものである。
【0021】
液供給部13は、吸入ポンプ及びバルブを主体として構成されている。この吸入ポンプは、カートリッジ20を前記装着部11に装着した際に、後述する測定用流路26の終端開口部Hに接続されて、ここを負圧にし、流路導入口24から定量された血液及び試薬を、混合用流路25及び測定用流路26内に吸引して導くものである。
【0022】
コネクタ部14は、装着部11の凹部11aの内側と電気的に導通する導通部14aを備えており、カートリッジ20の電極28に、カートリッジ装着時において接触し、前記電極28間に所定の電圧を印加し、その際に発生する電気抵抗の大きさに比例した電流量を電気信号として検出するものである。そして、この電気信号をリード線等の配線を介して演算部15に出力する。
【0023】
演算部15は、コネクタ部14から出力された電気信号をパルス信号に変換し、測定用流路26中に導入された希釈血液中の血球の数および血球の体積値として出力する電気回路(不図示)を備えている。そして、前述のように出力された血球の数および血球の体積についての信号は、ディスプレイ101等に出力される。
【0024】
次に、カートリッジ20の詳細な構成について図3〜図10を参照しつつ説明する。
【0025】
図3及び図4に示すように、カートリッジ20は原則的に1回限りの使い捨てのものであり、その挿入方向における先端側に断面略矩形状の切欠部21を備えると共に、この先端側から前記挿入方向について遠ざかる側の端部の略中央付近に、表面に開口した血液導入口22aを有する血液定量部22を備えている。また、このカートリッジ20は、前記血液定量部22により定量された血液を希釈するための試薬容器3が装着される試薬容器装着部23と、定量された血液及び試薬を導入する流路導入口24と、当該流路導入口24に連通して形成された混合用流路25と、当該混合用流路25により混合して形成された希釈血液に含まれる血球の数を演算するための測定用流路26とを備えている。
【0026】
血液定量部22は、図5及び図6に示すように、血液導入口22aに連続して形成された上流側毛細管流路22b及び上流側毛細管流路22bと空間S1(後述のスライド体202のスライド通路を形成する空間)を挟んで形成された下流側毛細管流路22cを有するカートリッジ本体201と、空間S1内にスライド可能に設けられ、上流側毛細管流路22b及び下流側毛細管流路22cを連通するとともに、血液導入口22aから導入された血液を定量する所定の流路容量を有する定量用毛細管流路22dが形成されたスライド体202とからなる。
【0027】
この構成において、スライド体202は、挿入方向側に形成された係止部202aに駆動部12の係止爪が係合されて、当該駆動部12により、定量用毛細管流路22dが上流側毛細管流路22b及び下流側毛細管流路22cに連通する血液定量位置X(図5)と、定量用毛細管流路22dにより定量された血液及び試薬を流路導入口24に導入するための血液導入位置Y(図6)との間でスライド移動する。
【0028】
特に図7上図に示すように、上流側毛細管流路22b、下流側毛細管流路22c及び定量用毛細管流路22dはそれぞれ等断面円形状をなす直線状流路であり、それら流路22b〜22dが同一方向(本実施形態では挿入方向と直交する上下方向)を向くように形成されている。また、上流側毛細管流路22b、定量用毛細管流路22d及び下流側毛細管流路22cは、この順に縮径するものである。つまり、上流側毛細管流路22bの径よりも定量用毛細管流路22dの径が小さく、定量用毛細管流路22dの径よりも下流側毛細管流路22cの径が小さく構成されている。これにより下流に行くに従って毛細管力を強くすることができ、確実に定量用毛細管流路22dに血液を導入することができる。なお、上流側毛細管流路22bの上流側は上流に行くに従って拡径する漏斗状をなすものであり、その上流側開口である血液導入口22aは、長孔状をなし、カートリッジ本体201の角部に形成されて、その上面及び側面に開口するように構成されている。これにより、血液導入口22aから血液を導入しやすくしている。
【0029】
また、図7下図に示すように、上流側毛細管流路22bと下流側毛細管流路22cとは平面視において同心円状に形成されており、上流側毛細管流路22bの下流側開口は空間S1(スライド通路)に開口しており、下流側毛細管流路22cの上流側開口は空間S1(スライド通路)に開口している。
【0030】
さらに、スライド体202が血液定量位置Xにある場合において、平面視において、上流側毛細管流路22bの下流側開口内に定量用毛細管流路22dの上流側開口が含まれ、定量用毛細管流路22dの下流側開口内に下流側毛細管流路22cの上流側開口が含まれる。本実施形態では、血液定量位置Xにある場合において、定量用毛細管流路22dは、上流側毛細管流路22b及び下流側毛細管流路22cと同心円状となるように位置する。
【0031】
ここで、定量用毛細管流路22dが血液で満たされたことを検出するために、図4及び図7に示すように、下流側毛細管流路22cの下流側に血液の到達の有無を検出するための液体センサ221が設けられている。この液体センサ221は、電極により構成されており、下流側毛細管流路22cの下流側開口の全部又は一部を塞ぐように設けられた液接触部221aと、この液接触部221aから引き出されたリード線221bと、このリード線221bを介して液接触部221aに電気的に導通するように切欠部21下方のカートリッジ表面に表出させた信号取出部221cとから構成されている。
【0032】
スライド体202がスライド可能に挿通されたスライド通路S1には、スライド体202が血液定量位置X及び血液導入位置Yの間をスライド移動する段階で、スライド通路S1の内壁面が定量用毛細管流路22dの上下開口に接触して、定量された血液がその内壁面に付着して減少することを防止する血液減少防止構造が形成されている。
【0033】
この血液減少防止構造は、図5及び図6等に示すように、上流側毛細管流路22bを形成する形成壁部201a及び試薬導入路L1を形成する形成壁部201bの間に設けられた上部間隙S11と、下流側毛細管流路22cを形成する形成壁部201c及び流路導入口24を形成する形成壁部201dとの間に設けられた下部間隙S12とを備えている。上部間隙S11により、定量用毛細管流路22dの上流側開口が、カートリッジ本体201の上壁面に接触しないように構成されている。同様にして、下部間隙S12により、定量用毛細管流路22dの下流側開口が、カートリッジ本体201の下壁面に接触しないように構成されている。
【0034】
また、このように構成することで、図7上図に示すように、スライド体202が血液定量位置Xにある状態で、血液導入口22aから導入された血液が、カートリッジ本体201とスライド本体202との間(スライド通路S1及びスライド体202の隙間)に侵入した場合に、侵入した血液が上部間隙S11及び下部間隙S12の端部で止まり、血液導入口22aから導入された血液を無駄なく上流側毛細管流路22b、定量用毛細管流路22d及び下流側毛細管流路22cに導くことができる。
【0035】
試薬容器装着部23は、分析用液体容器たる試薬容器3が着脱可能に装着されるものであり、図5及び図6に示すように、カートリッジ本体201の上面に設けられて試薬容器3を収容する容器収容部231と、当該容器収容部231の底壁から延出して設けられ、容器収容部231に収容された試薬容器3のシール部32を貫通する試薬導出針232とを備えている。試薬導出針232は、その内部流路が前記空間S1に開口する試薬導入路L1に連通している。
【0036】
ここで試薬容器3は、所定量の分析用液体たる試薬が収容されるものであり、図5に示すように、当該試薬を外部に導出可能にする開口部31aが底壁に形成された容器本体31と、その開口部31aを封止するシール部32と、このシール部32の外側に設けられた概略円筒状をなすガイド部33とを備えている。
【0037】
容器本体31は概略回転体形状をなすものであり、底壁が漏斗形状をなすものである。そして、開口部31aは、底壁の略中央部に形成されている。また、ガイド部33は、シール部32の周囲を覆うように設けられており、シール部32に試薬導出針232を挿通するための案内をするとともに、試薬導出針232がシール部32を挿通する際に試薬導出針232の外側周面と略液密に接触するものである。
【0038】
本実施形態の試薬容器3は、例えばポリプロプレン等の樹脂製であり、容器本体31、シール部32及びガイド部33が一体成型により形成されている。試薬容器3の上部は開口しており、この開口から試薬を収容した後にアルミフィルム等の封止フィルム34により密閉される。この封止フィルム34には、例えば樹脂チェックバルブからなる大気開放部341が設けられており、シール部32に試薬導出針232が挿通されると同時又はそれ以前に、図示しない通気針が挿通されて大気開放される。
【0039】
ガイド部33は、試薬導出針232がシール部32を挿通するまでに、試薬導出針232の外側周面と略液密に密着する。具体的には、試薬導出針232が先端から基端に行くに従って徐々に拡径するものであり、試薬導出針232をガイド部33に挿入するに従ってガイド部33の先端部が試薬導出針232の外側周面に変形しながら密着して嵌合することにより、試薬導出針232の外側周面と液密に接触するように構成されている(図6参照)。つまり、ガイド部33の内径は、試薬導出針232の基端部の外径よりも若干小さく形成されている。また、ガイド部33の軸方向長さは、試薬導出針232がシール部32に挿通する前に、ガイド部33の内側周面が、試薬導出針232の外側周面の周方向全体に略液密に接触する程度の長さである。このように試薬容器3にガイド部33を設けることによって、挿通時又は挿通後に試薬容器3の外部に試薬が漏れ出ることを防止することができる。
【0040】
混合用流路25は、図3及び図4に示すように、スライド通路S1に開口する流路導入口24に連続して形成されており、カートリッジ本体201内部において蛇行するように形成されている。試料導入口24は、スライド体202が血液導入位置Yにある状態において、定量用毛細管流路22dの下流側開口と連通する(図6参照)。この状態において、液供給部13の吸引により、当該定量用毛細管流路22d内部の血液と共に、試薬容器3に挿入された試薬導出針232に連通した試薬導入路L1から当該定量用毛細管流路22dを介して試薬が混合用流路25に導入される。そして、液供給部13のポンプの吸引、吐出動作により混合用流路25内において定量された血液と試薬とが混合されて希釈血液が生成される。
【0041】
液体試料流路である測定用流路26は、図3及び図4に示すように、混合用流路25の下流側出口に連通するように形成されており、その下流側出口から前記先端側に向かってカートリッジ本体201全体を二分するように直線的に伸びて構成される。この測定用流路26は、前記先端側の切欠部21付近で、流路26の対向する内壁が1mm程度の隙間を構成するように近接され、この隙間部分によってアパーチャ部27が形成されている。なお、アパーチャ部27を形成するための隙間の大きさは、計測対象である細胞(本実施形態においては血球)のサイズによって適宜定めることができる。
【0042】
そして、測定用流路26は、特に図8に示すように、このアパーチャ部27が形成された位置から下流に向かって2分岐する。そして、アパーチャ部27近傍の測定用流路26のうち、アパーチャ部27よりも上流側の流路26aでは、アパーチャ部27に向かって対向する内壁間距離を徐々に狭めるように構成され、下流側の流路26b、26cでは、アパーチャ部27から対向する内壁間距離を徐々に拡大するように構成されている。その他の部位ではほぼ同じ流路幅である。このように測定用流路26を形成することによって、アパーチャ部27を通過する希釈血液の流れが乱れることがなく、希釈血液中に含まれる血球が順序よくアパーチャ部27を通過することになる。
【0043】
なお、アパーチャ部27の上流側にはフィルタ部Fが形成されている。このフィルタ部Fは、図9に示すように、互いに所定間隔で配置された複数の柱部F1により形成されている。これら柱部F1は、赤血球、白血球、血小板などの血球が通過できるような間隔に規則正しく配置される。例えば、各柱部F1は、0.3mm径の円柱状をなし、これらの柱部F1が流路を遮る方向(流路方向に直行する方向)に例えば30〜60μm、好ましくは50μmの間隔で列状に配置されている。本実施形態では2列に配置してフィルタ部Fが形成されており、このフィルタ部Fによって、赤血球(球径8μm位)、白血球(球径10〜20μm位)、血小板(球径2〜3μm位)などはフィルタ部Fを通過することができ、径が50μm以上の埃や塵などの異物は、フィルタ部Fで留まる。これにより、異物が電極28、29には達することはないので、血液分析の測定精度を向上させることができる。
【0044】
アパーチャ部27より下流側の流路26b、26cについて述べておくと、これら流路26b、26cは、分岐した位置からそれぞれカートリッジ本体201の先端辺に沿って僅かに直線的に形成された後、折れ曲がってカートリッジ後端部に向かって直線状に進み、後端部から再度先端部に向かう。これを複数回繰り返してジグザグに形成される(図4参照)。このように測定用流路26は、複数回に分けてカートリッジ本体201の挿入方向についての端部側で折れ曲がるように構成され、カートリッジ本体201の略全面に亘って形成されている。これによって、カートリッジ本体201内部の限られた領域の中で、測定用流路26をできるだけ長く確保している。また、測定用流路26の最終端部は、カートリッジ本体201の表面(下面)に開口した開口部Hに連通しており、流路導入口24から導入された希釈血液は、測定用流路26内に含まれる空気を開口部Hから押し出すようにして測定用流路26内を進むように構成している。
【0045】
そして、図4に示すように、測定用流路26の分岐部分のアパーチャ部27より下流側の、アパーチャ部27を通過した希釈血液と接触する位置に、アパーチャ部27を挟むように一対の電極28(以下、第1の電極28とも言う)が配置されている。なお、この電極28は、測定用流路26の内壁に面するように形成された液接触部28aと、この液接触部28aから引き出されたリード線28bと、このリード線28bを介して液接触部28aに電気的に導通するように切欠部21上方のカートリッジ表面に表出させた信号取出部28cとから構成されている。
【0046】
また、前記第1の電極28における液接触部28aの下流側には、第2の電極29を設けている。第2の電極29は、液接触部28aからの流路容量が予め定めた一定容量となる下流側(具体的には測定用流路26の終端から所定距離上流側)に設けた液検出部29aと、この液検出部29aから引き出されたリード線29bと、このリード線29bの終端に連続し、前記信号取出部28cの側方に設けた検出信号出力部29cとから構成されており、希釈血液が液検出部29aに到達したことを検出する液面センサとして作用する。
【0047】
つまり、液接触部28aと接触した後に測定用流路26中を進む希釈血液が、この液検出部29aに接触すると電気信号が発生し、この電気信号は液検出部29aから引き出されたリード線29bを介して検出信号出力部29cに送られ、これによって希釈血液が測定用流路26内の所定の到達位置に到達したことが計測部本体10に伝わる。このように、希釈血液が測定用流路26内の前記所定位置に到達したことが検出された際に、液供給部13による希釈血液の供給を停止することで、希釈血液が流路終端の開口部Hに到達して溢れることを防止できるようにしてある。
【0048】
なお、第1の電極28の信号取出部28cと、第2の電極29の検出信号出力部29cとは、前述したように並んで配置されており、カートリッジ20を計測部本体10に装着した際に、この信号取出部28cおよび検出信号出力部29cが、コネクタ部14の導通部14aに電気的に接触するように構成されている。
【0049】
次に、カートリッジ本体201の内部構成の詳細について、図10を参照しつつ説明する。カートリッジ本体201は、図10に示すように、表面に有底溝41、42が形成された例えばPMMA製の基材40と、その基材40の表面(下面)上に接着シート50を介して貼り合わされるPET製のカバー部材たるフィルム60とから構成されている。
【0050】
基材40の先端側の略中央付近には、カートリッジ本体201の切欠き部21を形成する凹部が形成されるとともに、混合用流路25を形成する第1有底溝41及び測定用流路26を形成する第2有底溝42が形成されている。第1有底溝41は、基材表面(下面)に開口した幅4mm程度、深さ2mm程度の半円状溝であり、第2有底溝42は、基材表面(下面)に開口した幅、深さが1mm程度の凹溝である。また、第1有底溝41の始端においては、流路導入口24が設けられている。この流路導入口24に対応して、基材内部に形成された空間S1を介して、基材内部に試料導入路L1及び基材表面(溝が形成された表面とは反対の上面)に試薬容器装着部23が形成されている。また、第2有底溝42の始端は第1有底溝41の終端と連続している。また、前述した通り、アパーチャ部27が形成される位置の上流側付近においては、第2有底溝42の幅が徐々に狭められており、アパーチャ部27が形成される位置の下流側付近においては、第2有底溝42の幅が徐々に拡大されている。このような有底溝42及びフィルタ部Fの柱部F1は、基材表面より、マイクロマシニング加工やホットエンボス加工、光造型などの任意の加工方法によって形成されてもよいし、基材40を樹脂で構成する場合においては、精密射出成形等の手法により、予めこのような溝を有する形状に成形してもよい。
【0051】
またフィルム60は、基材表面の形状と略一致する形状に形成されており、基材表面に貼り合わされた際に、有底溝41、42の開口部を覆うことで混合用流路25及び測定用流路26を構成するとともに、第1有底溝42の終端に相当する位置に貫通孔61a、61bが形成されている。また、フィルム60には、基材40の切欠部21に対応する位置において切欠きが設けられておらず、基材40およびフィルム60を接合した際に、フィルム60の一部が切欠部21上方を覆うように構成される。なお、この切欠部21上方を覆うエリアは、第1の電極28の一部である信号取出部28c、第2の電極29の一部である検出信号出力部29c及び液体センサ221の一部である信号取り出し部221cが形成される。
【0052】
また、フィルム60の表面601の所定位置に微小量塗布された導電性金属としての銀(Ag)に、薄い炭素被膜(C)を施すことで前述の第1の電極28および第2の電極29が形成されている。これらの電極を各々構成する液接触部28aおよび液検出部29aは、前述のように、測定用流路26中を流れる希釈血液と接触することで電気的に導通し、さらに、液接触部28aおよび液検出部29aは、リード線28b、29bを介して各々信号取出部28cおよび検出信号出力部29cに電気的に接続されている。なお、液体センサ221も同様に形成される。
【0053】
また、フィルム60の表面601に形成される第1の電極28および第2の電極29は、スクリーン印刷やスパッタリング等の手法によって形成されている。もっとも、上述以外の手法により、これらの電極を形成することもできることは言うまでもなく、例えばフィルム60の裏面全体に銀および炭素の混合材料の層を堆積させ、エッチングや電気処理によって不要な部分の銀を除去または変質させるといった手法を用いても、これらの電極を形成することは可能である。この場合、前述のスクリーン印刷やスパッタリングによって形成された電極に比して、より膜厚の小さい電極を形成することができる。なお、液体センサ221も同様に形成される。
【0054】
また、基材40とフィルム60とを接合するための接着シート50は、フィルム60の貫通孔61a、61bと、液接触部28a、液検出部29a及び液接触部221aが形成された場所に対応する部分を除いて、基材40の表面全体を覆う、薄膜状の固形接着剤50で構成されている。図10中、符号51aは貫通孔61a、61bに対応した貫通孔であり、51bは液接触部28aに対応する矩形孔であり、51cは液検出部29aに対応する矩形孔であり、51dは液接触部221aに対応する矩形孔である。この固形接着剤50は、常温では固体であるが、所定温度程度以上に加熱すると溶融して粘着性が生じる性質を有している。そして、基材40とフィルム60との間に固形接着剤50を挟み込み、その状態で加熱することで基材40とフィルム60とを接合するようにしている。
【0055】
このように構成されたカートリッジ本体201において、フィルム60の接着面である表面601に設けられた第1の電極28の液接触部28aおよび第2の電極の液検出部29aは、図11に示すように、接着シート50とフィルム60の接着面601により形成された段状凹部7内に収容配置される構成となる。本実施形態では、フィルム60の表面601上に形成される電極(液接触部28aおよび液検出部29a)の厚さは0.015mm程度であり、接着シート50の厚さが0.1mm程度であることから、電極(液接触部28aおよび液検出部29a)は段状凹部7内に完全に収容されることになる。なお図11においては、上下逆に表した図を示している。
【0056】
しかしてカートリッジ本体201の断面略矩形状をなす測定用流路26の液接触部28aおよび液検出部29a近傍には、段状凹部7を臨む位置に突起部Tが設けられている。
【0057】
この突起部Tは、段状凹部7の開口前方において希釈血液が流通する段階で、当該希釈血液の流れに乱流を生じさせるものである。具体的に突起部Tは、測定用流路26において段状凹部7が形成された内壁面261(図11では上面)と対向する内壁面262(図11では下面)に形成されており、前記第1の電極28の液接触部28aおよび第2の電極29の液検出部29aに対向して設けられている。この突起部Tは、流路幅方向全体に亘って形成され、流路幅方向において等断面形状をなすものである。つまり、突起部Tは、基材40の有底溝42の底面に幅方向に亘って形成されている。本実施形態の突起部Tは、流路方向に沿った断面が概略台形状をなすものである。そして、突起部Tの頂面の少なくとも下流側端縁T1が段状凹部7の開口前方、つまり、段状凹部7が臨む流路範囲内に位置する。特に突起部Tの頂面の上流側端縁の位置は限定されないが、本実施形態では、段状凹部7の上流側端部の下方近傍に位置する場合を示している。
【0058】
<計測手順について>
次に、このような細胞数計測装置100を用いて、被計測液である希釈血液中の血球数および血球のサイズを計測する手順を、以下に説明する。
【0059】
まず、カートリッジ本体201の試薬容器装着部23内に試薬容器3を入れる。このとき、試薬容器装着部23の試薬導出針232はシール部32を挿通していない状態である。また、カートリッジ本体201に対するスライド体202の位置は、血液定量位置Xである。この状態で、カートリッジ20を計測部本体10に装着する。このときカバー体11bを閉めると、当該カバー体11bに設けられた通気針が試薬容器3の大気開放部341に挿通されると同時に試薬容器3が試薬容器装着部23に装着される。つまり、試薬導出針232がシール部32を挿通する。なお、このとき、カートリッジ本体201の表面に形成された信号取出部28c、検出信号出力部29cおよび信号取出部221cは、コネクタ部14の導通部14aと接触し、この導通部14aよりカートリッジ本体201の液体センサ221、第1の電極28および第2の電極29に対して所定の電圧を印加するように、微量な電流を供給する。
【0060】
その後、計測部本体10の外部に出ているカートリッジ本体201の血液導入口22aに血液を付着させる。そうすると上流側毛細管流路22b、定量用毛細管流路22d及び下流側毛細管流路22cの毛細管現象により付着された血液が内部に導入される。このとき下流側毛細管流路22cの下流側開口に設けられた液体センサ221からの検出信号を取得して、計測部本体10は下流側毛細管流路22cに血液が到達したかを判断する。下流側毛細管流路22cに血液が到達したと判断した場合に、計測部本体10は、スライド体202を血液定量位置Xから血液導入位置Yにスライドさせる。このとき、定量用毛細管流路22dの外部にある血液は、上流側毛細管流路22bを形成する形成壁部及び下流側毛細管流路22cを形成する形成壁部により擦り切られて、定量用毛細管流路22dに保持されている血液のみが血液導入位置Yに移動することになる。
【0061】
スライド体202を血液導入位置Yに移動した後、液供給部13が作動して、流路導入口24が負圧になり、定量用毛細管流路22d内部の血液及び試薬が混合用流路25内に吸引される。その後、液供給部13は、ポンプを吸引動作及び吐出動作することにより、混合用流路25内及び/又は試薬容器3内で血液及び試薬を混合する。混合後、液供給部13により希釈血液が測定用流路26内に吸引される。
【0062】
測定用流路26内に供給された希釈血液が、アパーチャ部27を通過して分岐し、一対の液接触部28aそれぞれに到達すると、コネクタ部14は、信号取出部28cを介して、これら液接触部28a間の電気抵抗値を電気信号として検出する。この電気信号は、アパーチャ部27を通過する希釈血液中の血球の数および体積(径)に基づいて変化する電気抵抗値に比例したパルス信号となっており、コネクタ部14はこの電気信号から所定時間の間(例えば第1の電極28の液接触部28aに到達した時点から第2の電極29の液検出部29aに到達するまでの間)にアパーチャ部27を通過した希釈血液中の血球の数および体積を算出し、ディスプレイ101等に出力する。
【0063】
また、測定用流路26内に供給された希釈血液が、第1の電極の液接触部28a、28aが設けられた位置を通過し、さらに、第2の電極の液検出部29a、29aが設けられた位置まで到達すると、検出信号出力部29c、28cを介して、第1の電極28間の電気抵抗値を電気信号として検出する。この電気信号がコネクタ部14において検出されると、演算を停止するとともに、切り替えバルブを作動させて、開口部Hを、液供給部13から切り替え、大気に連通させる。このことにより開口部Hを大気圧に戻し、希釈血液の吸引を停止する。
【0064】
このように、希釈血液中の血球の数を計測し終わると、カートリッジ20を装着部11より取り外し、希釈血液を収容した状態のカートリッジ20を焼却等の所定の処理によって廃棄する。
【0065】
<本実施形態の効果>
このように構成した本実施形態に係る細胞数計測装置100によれば、試薬容器3のシール部32の外側にガイド部33が設けられているので、試薬導出針232を確実にシール部32に挿通することができる。また、ガイド部33が試薬導出針232の外側周面と略液密に接触した状態において試薬導出針232がシール部32に挿通されるので、挿通時又は挿通後に試薬容器の外部に試薬が漏れ出ることを防止することができる。また、試薬容器3の容器本体31、シール部32及びガイド部33が一体成型により形成されているので、部品点数を削減するとともに、試薬容器3をコンパクトに構成可能にすることができる。
【0066】
<その他の変形実施形態>
なお、本発明は前記実施形態に限られるものではない。
【0067】
例えば前記実施形態の試薬容器3は、容器本体、シール部及びガイド部が一体成型により形成されているが、それらを図12に示すように別部品により構成し、それらを組み合わせることにより構成しても良い。具体的にはシール部32が設けられた開口部31aを形成する円筒部の外側周面にガイド部33を嵌合又は螺合させることにより、ガイド部33を設けるようにしても良い。なお、ガイド部の取り付け位置としては開口部を形成する円筒部以外であっても良い。
【0068】
また、容器本体31の開口部31aを封止するシール部32を、図13に示すように、密閉栓により構成しても良い。この密閉栓は、概略ボール形状をなすものであり、例えばジルコニア、アルミナ、チタン酸バリウム等の高密度のセラミックボールである。セラミックボール32の外径は、開口部31aの開口径よりも若干大きく、セラミックボール32を開口部31aに圧入することによって開口部31aが液密封止されるように構成されている。
【0069】
ここでこの試薬容器3に好適に用いられる試薬導出針232について説明する。この試薬導出針232は、上記の試薬容器3のセラミックボール32を下から押し上げることによって開口部31aを開放するものである。具体的に試薬導出針232の先端部形状は、セラミックボール32を押し出した後、当該セラミックボール32により試薬導出針232の先端開口が塞がれないような構成としている。具体的には図13に示すように、先端部が段形状に切り欠かれた略ハーフパイプ形状としている。また、試薬導出針232の内径は、セラミックボール32の外径よりも小さい。このように構成した試薬導出針232を試薬容器3のガイド部33に差し込むと、ハーフパイプ部232aがセラミックボール32を押し上げて開栓させるとともに、ハーフパイプ部232aが容器3内に突き出る。このとき、セラミックボール32が、試薬導出針232の切り欠き部(ハーフパイプ部232aの基端部)に嵌ったとしても、当該セラミックボール32によって、先端開口が塞がれて試薬の流れを阻害することは無い。これにより、血液検体と試薬との均一な混合を容易にすることができる。
【0070】
またこの試薬容器3におけるセラミックボール32の圧入方法の一例について図14を参照して説明する。まず容器本体31の開口部31a及びガイド部33に支持ロッドR1を差し込み、容器本体31の上部開口からセラミックボール32を投入する(図14(a))。この時、支持ロッドR1の先端は開口部31aの途中に位置している。また、投入されたセラミックボール32は、漏斗形状をなす底壁に沿って開口部31aの上端に位置する。その後、圧入ロッドR2を用いて、セラミックボール32を開口部31a内に押し込む。このときセラミックボール32は支持ロッドR1の先端に接触するまで開口部31a内に押し込まれる(図14(b))。なお、支持ロッドR1には、空気抜き孔R1hが形成されており、セラミックボール32の圧入時の空気を外部に逃がすように構成されている。その後、圧入ロッドR2及び支持ロッドR1を取り外すことによって容器本体31の開口部31aがセラミックボール32により封止される。その後、容器本体31内に試薬を収容し、上部開口を封止フィルム34により封止する。
【0071】
なお、試薬導出針232の先端部形状としては、その他、図15に示すように、試薬導出針232の先端部を軸方向に沿って両側から切り欠いた形状としても良い(図15(a))。また、試薬導出針232の先端部を側面視において湾曲形状に加工しても良い(図15(b))。つまり、試薬導出針232の先端部開口の開口縁が平面内に形成されず、凹凸面又は膨出湾曲面内に形成されるように構成しても良い。その他、試薬導出針232の先端部に複数の貫通孔232bを形成しておき、セラミックボール32により全ての孔が塞がれないように構成しても良い(図15(c))。
また、図13等においては、シール部32をセラミックボールにより構成しているが、封止フィルム34の大気開放部341を同様の構成としても良い。この場合、大気開放部341に設けられるセラミックボールの外径は、試薬導出針の内径よりも大きいことが望ましい。これにより、封止フィルム34を通気針を貫通させることによって生じ得る異物の混入等による誤計測を防止でき、また装置操作中に通気針で指先等を損傷して感染症に罹患する危険性を防止することができる。
【0072】
また、前記実施形態のガイド部は軸方向において等断面形状をなすものであったが、試薬導出針がシール部を挿通する際に液体導出針の外側周面と略液密に接触する構造であれば、先端に行くに従って縮径する先細り形状をなすものあっても良い。
【0073】
さらに、前記実施形態では開口部が試薬容器の底壁に形成されるものであったが、側壁に形成されるものであっても良い。
【0074】
その他、本発明は前記実施形態に限られず、その趣旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であるのは言うまでもない。
【符号の説明】
【0075】
3 ・・・分析用液体容器(試薬容器)
31 ・・・容器本体
31a・・・開口部
32 ・・・シール部
232・・・液体導出針(試薬導出針)
33 ・・・ガイド部
341・・・大気開放部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析用液体が収容される分析用液体容器であって、
分析用液体を外部に導出可能にする開口部が底壁又は側壁に形成された容器本体と、
前記開口部を封止するシール部と、
前記シール部の外側において当該シール部の周囲を覆うように設けられ、前記シール部に液体導出針を挿通するための案内をするとともに、前記液体導出針が前記シール部を挿通する際に前記液体導出針の外側周面と略液密に接触するガイド部とを具備する分析用液体容器。
【請求項2】
前記容器本体、前記シール部及び前記ガイド部が一体成型により形成されている請求項1記載の分析用液体容器。
【請求項3】
前記容器本体が大気開放部を有し、前記液体導出針がシール部に挿通されると同時又はそれ以前に大気開放部により大気開放されるものである請求項1又は2記載の分析用液体容器。
【請求項4】
前記シール部が、前記容器本体の開口部に液密に圧入された概略ボール形状の密閉栓により構成されている請求項1記載の分析用液体容器。
【請求項5】
前記試薬導出針の先端部形状が、前記試薬導出針によって前記密閉栓を開栓したときに、当該密閉栓により前記試薬導出針の先端開口が塞がれない形状である請求項4記載の分析用液体容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−180117(P2011−180117A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199363(P2010−199363)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000155023)株式会社堀場製作所 (638)
【Fターム(参考)】