説明

分析用試料を固定するときに電子的な一連の管理を提供する片手操作のシリンジ形状の装置

片手で操作可能なシリンジ形状の装置(以下、「シリンジ」)であり、シリンジは固体、ならびに懸濁液および液体内の固体の収集のために使用される繊維体またはフィラメントを送り出し、次いで後退させるためのプランジャを備え、シリンジはシリンジハウジングに埋め込まれたマイクロチップを備え、マイクロチップは、開始時点から最終の分析までの間、試料を追跡する電子的な一連の管理を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本文書は、2005年4月21日に提出された、整理番号05〜17の第60/673,745号の仮特許出願、および2005年4月21日に提出された、整理番号05〜18の第60/673,744号の仮特許出願に優先権を主張し、それらに含まれる要旨の全てを参照によって組み込む。
【0002】
本発明は、一般に分析用に試料を集めるのに使用されるシリンジ形状の装置に関する。より具体的には、本発明は分析用の試料を得るときに片手操作を可能にし、収集された試料の電子的な一連の管理を可能にする改善されたシリンジ形状の装置を提供する。
【背景技術】
【0003】
関連技術を述べる場合に、本発明は様々な異なる物質の試料を固定することが可能であることを考慮することが重要である。これらの物質は液体またはガスの形態の化学物質を含み、したがって固相マイクロ抽出(SPME)は、本発明の適用を見出す1つの領域である。しかし、SPMEは一般に、液体および蒸気から化学物質を抽出することに関連するが、本発明は固体および固体の懸濁液から試料を得ることもできる。
【0004】
SPMEは、クロマトグラフィまたはその他のメソッドによって分析する目的で化合物を試料抽出し、濃縮する技術として当業者に知られている。一般に、試料から分析物を抽出し、それらを分析するために送達するために繊維体が使用される。繊維体は、一般に分配または吸収によって分析物を捕捉し濃縮するのに使用されるポリマーまたは吸収剤で被覆された、融解石英または金属繊維体で作製されている。繊維体は、分析のための脱離または抽出をするためにクロマトグラフまたは分光計の試料導入口に移動される。SPEMに使用される繊維体は一般に、便宜のためにシリンジ形状の装置に保持される。繊維体は、シリンジ形状の装置から外側に延びる保護シースの壁の中で容易に保護され、移送される。
【0005】
SPME技術の説明に進む前に、本発明は試料を試料抽出し、濃縮し、移し、注入するためのシリンジ形状の装置を使用することに留意されたい。シリンジ形状の装置は、実際のシリンジのようにそのハウジング内に液体を収容しないが、本発明のハウジングは、ハンドル、プランジャ、および実際には上述の繊維体に関するシースである針様の突起を備えるシリンジの様相に構築される。したがって、本文書および特許請求の範囲で使用される用語「シリンジ」は、本明細書で後により完全に説明されるシリンジ形状の装置であり、実際のシリンジと誤解してはならない。
【0006】
SPMEに使用される現状のシリンジの欠点の1つは、通常、それを操作するのに両手が必要であることである。たとえば、第1の手はシリンジのシャフトを握り、第2の手は試料が採取された後に繊維体をシリンジに移動するためにプランジャを引き出す。したがって、試料を得るプロセスは両手を必要とする。したがって、片手のみで操作でき、第2の手をその他の仕事のために自由にすることができるシリンジを提供することは、SPMEのシリンジの最新技術よりも優れた利点となる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0007】
理解できるように、SPMEは考慮しなければならない本発明の唯一の用途ではない。固体および懸濁液内の固体からも試料を得るためにシリンジを使用することができることが本発明の別の態様であることが明白である。たとえば、液体およびガスから試料を集めるために使用される繊維体とは異なり、固体はフィラメント上に集めることができる。本発明のフィラメントは、固体をフィラメント上またはフィラメント内に集めることができるようにするキャビティ、孔、またはその他の同様の形状を有して設計される。本発明は開示されるような懸濁液内の固体を集める手段も提供する。
【0008】
試料はまた、開始時点から移送を介して最終の分析まで注意深く追跡する必要がある。繊維体またはフィラメントを有し、また試料の一連の管理を電子的に追跡する手段も含む上述のシリンジを提供することは、最新技術よりも優れた別の利点である。
【0009】
本発明は、片手で操作可能なシリンジ形状の装置(以下、「シリンジ(注射器、洗浄器、スポイト)」)であり、シリンジは固体、ならびに懸濁液および液体内の固体の収集のために使用される繊維体またはフィラメントを送り出し、次いで後退させるためのプランジャを備え、シリンジはシリンジハウジングに埋め込まれたマイクロチップを備え、マイクロチップは、試料を開始時点から最終の分析までの間、追跡する電子的な一連の管理を可能にする。
【0010】
本発明のこれらのおよびその他の目的、特徴、利点、および別の態様は、添付の図面と共に読めば、以下の詳細な説明を考慮することから当業者に明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の様々な要素が番号表示を与えられ、当業者が本発明を作製および使用できるように本発明が論じられる図面に参照を行う。以下の説明は本発明の原理の例示に過ぎず、添付の特許請求の範囲を狭めるものとして見なされるべきではないことを理解されたい。
【0012】
図1は、片手のみを使用して操作できるシリンジ10に関する本発明の第1の実施形態の立体斜視図として提供される。この図で見ることができる構成要素には、ハウジングまたはハンドル12、親指作動器14、接地キャップ26、およびフィラメントまたは繊維体(以下、総称して「繊維体(fiber)」と呼ばれる)用の外側ハウジングまたはシース28が含まれる。
【0013】
図2は、図1に示されるような本発明の第1の実施形態のワイヤフレームの斜視図として示される。この図で見ることができる構成要素には、ハウジングまたはハンドル12、親指作動器14、カム機構16、プランジャ18、ばね20、液体、蒸気、固体または懸濁液内の固体から分析される試料を得るために適したフィラメントまたは繊維体22、識別(ID)回路24、接地キャップ26、繊維体用の外側ハウジングまたはシース28、ID回路24の下側に配置された電極30が含まれる。
【0014】
図3は、図1からのシリンジ10の分解図の構成要素の全てを示すために提供されており、シリンジは、分析の試料を抽出し、移し、送達する場合に、片手操作できる。前述したように、構成要素には、ハウジングまたはハンドル12、親指作動器14、カム機構16、プランジャ18、ばね20、繊維体22、識別(ID)回路24、接地キャップ26、繊維体用の外側ハウジングまたは保護シース28が含まれる。繊維体クランプ32が繊維体をハンドル12内に固定するために設けられる。2つの別の構成要素はこの図では見ることができないが、それにもかかわらず示された構成要素に含まれることに留意されたい。これらの構成要素は、接地キャップ26内に配置された2つのシールである。
【0015】
片手のみを使用する第1の実施形態のシリンジ10の操作は、比較的簡単明瞭である。第1の実施形態では、使用者は、親指を親指作動器14の上に配置したまま、手の指の全てを使用してハンドル12を握る。あるいは、使用者は片方の手の人差し指と中指の間でハンドル12を握ることができる。次いで親指は、どちらの実施形態でもすぐに操作できる状態であるように親指作動器14の頂部に配置される。
【0016】
使用者は、シリンジ10を保持していない手を使用してその他の仕事を自由に行うことができる。これらの仕事には、試料が得られる間に試料の容器を固定し、試料の導入のために分析装置を準備し、別の装置を保持するなどのことが含まれる。したがって、使用者は空いた手を使って任意のその他の仕事を自由に行うことができ、一般には、そうでない場合に別の人によって行われる必要な仕事を自由に行いうることが直ちに明らかである。したがって、本発明は、使用者が試料を採取しながら複数の仕事を行うことを可能にするだけでなく、仕事を行うのに1人の人間しかいない状況で試料を採取可能にもする。
【0017】
以下に分かりやすくするために、用語「試料」が、本発明の繊維体を使用して試料抽出できる任意の物質の液体、固体、および懸濁液内の固体を指すことに留意されたい。
シリンジ10の操作のより詳細な説明が、本明細書に第1の実施形態に関して説明される。本発明のシリンジ10は、1回目に作動されたときに繊維体22を延長した位置に固定し、2回目に作動されたときに繊維体を固定解除および後退させるためのカムシステム(カミングシステム)を備える。ばね20は、カムシステムを上記に示すように機能させる必要がある。
【0018】
本発明への重要な洞察は、この第1の実施形態に使用されるばね20を、カム機構16が機能するのに必要な張力をもたらす任意の適切なばね様の装置に置き換えることができることである。同様に、ばね20およびカム機構16は、繊維体22を保護シース28から送り出し、その中に後退可能にするためのシステムとして機能するので、本発明の1つの態様は、このシステムが、繊維体を送り出し、後退させるこの機能をもたらす任意の同等の手段に取って代わることができることである。
【0019】
第1の実施形態について続けると、シリンジ10がすぐに使用できる場合に、繊維体22は、ハンドル12に装填され、繊維体クランプ32を介し固定される。たとえば、繊維体クランプ32は、小さなナットとすることができる。繊維体クランプ32はシールと共に、いかなる化学物質もハンドル12に進入することを防止する。繊維体クランプ32は、それが試料を固定するのに使用された後に、繊維体22を取り外し、交換することも可能にする。しかし、シリンジ10は、使い捨て可能な品目であることができるように十分に安価であることが想定される。それでもなお、所望であれば、繊維体22は交換でき、シリンジ10は再利用できることが想定される。
【0020】
使用者がシリンジ10を使用して試料をすぐに採取する状態にある場合、使用者は試料を吸収、吸着、静電荷によって繊維体に配置できるように、繊維体22を送り出した位置に固定しなければならない。使用者は、親指作動器14上で指(一般に親指)を使用する。親指作動器14は、カムシステムが、繊維体22を保護シース28内に後退することを妨げる点に、それが達するまでハンドル12内に摺動する。手順のこの時点では、使用者は、繊維体22を保護シース28から延出したままにするために、親指作動器14に指を置いたままにする必要はない。次いで、使用者は、当業者には知られるように適切な量の時間の間、繊維体22を試料の中に保持する。
【0021】
シリンジ10のこの第1の実施形態では、使用者は、カム機構16を繊維体22がその保護シース28内に後退できるようにする異なる位置に移動するために、親指作動器14を再び押し付ける。次いでシリンジ10は保管場所に移動され、または繊維体22によって吸収された試料が回収され、分析される化学分析ステーションに運ばれる。
【0022】
第1の実施形態に説明されるようなカムシステムは、異なる様式で操作されるように改良できることに留意すべきである。たとえば、カム機構は、親指によって作動することもできるが、ハンドル12の外側に達することができる固定解除部を備える。したがって、延出した繊維体22を解放することは、ハンドル12の側面に配置されたタブまたはその他の解放手段を移動することから構成される。
【0023】
繊維体22がその保護シース28から外側に延出した後に、試料を保持する容器にシリンジ10を取り付けることも可能であることに留意されたい。したがって、シリンジ10は、試料を吸収しながら「ハンズフリー」操作を可能にする。しかし、これは本発明の態様の選択肢の1つであり、第1の実施形態の必要条件ではない。
【0024】
試料が得られた後、繊維体22は保護シース28の内側に後退される。保護シース28は、繊維体22によって吸収された試料を保護するだけでなく、試料内の化学物質の近くにいる使用者またはその他の人も保護する。使用者は、親指作動器14を2度目に作動させることによって、カム機構16を解放し、保護シース28の内側に繊維体22を後退させる。
【0025】
上述の第1の実施形態は、試料を得ながら繊維体22をその保護シース28の外部の単一の所望の位置に固定するカムシステムを説明している。しかし、別の実施形態では、カムシステムは、繊維体22が保護シース28の外側の常に増加する長さで露出可能にする手段を組み込むことが想定される。したがって、1つの別の実施形態では、繊維体22が最大に送り出された長さに露出されるまで、繊維体22は親指作動器14が複数で作動すると事前設定の段階的に増加する長さを使用して露出できることが想定される。
【0026】
別の実施形態では、繊維体22は非段階的な増加の様式で任意の所望の非所定の長さに、繊維体の最大長さまで露出できることが予測される。したがって、繊維体22は親指作動器14がハンドル12に押し込まれた長さに正比例した長さに送り出されることが予見される。
【0027】
試料が得られた後に、今度は試料はたとえば分析装置または保管装置に安全に移動される。行うことのできる分析のタイプの例には、質量分析、イオン移動度分光測定、ガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィ、フローインジェクション分析などが含まれる。本発明にとって重要なことは、分析装置がシリンジ10を受ける注入口を備えることである。
【0028】
図4は、シリンジ10を受けるように設計された分析装置40の例示として提供される。分析装置それ自体は、本発明の要素ではない。しかし、図4に示された注入ポート42は、それがID回路24と通信するための図7に示された回路を含む点で関連性のあるものである。受けポート42は、2つの基準を満たす限り任意の所望の形状であることができる。第1に、注入ポート42は保護シース28を受ける孔46を有していなければならない。第2に、注入ポート42は、少なくとも2つの電極44がその上に配置できる表面を設けなければならず、その少なくとも2つの電極はシリンジ10の2つの電極30と電気的な接触ができなければならない。これらの2つの要件を超えて、分析装置40はそれ自身の必要によってのみ限定される。
【0029】
あるいは、シリンジ10は、ハンドル12をねじることによって受け口42に連結でき、それによって受け口に相補的な固定チャネルを設けることによってシリンジを受け口に機械的に固定する。この別の実施形態は、繊維体が分析装置40内に送り出された後に、試料をハンズフリーに送達できるようにする。
【0030】
本発明のこの第1の実施形態の別の重要な態様は、シリンジ10内にメモリを備えるマイクロチップを埋め込むことである。マイクロチップは、繊維体22によって吸収された試料を独自に識別するために使用される。したがって、マイクロチップおよびメモリは、以下に総称して識別(ID)回路24と呼ばれる。この第1の実施形態でのID回路24の正確な配置は、その繊維体の送り出しおよび後退の端部の付近であり、それによってID回路からデータを読み取り、またはそこにデータを書き込むことが可能な装置と電気的に接触して容易に配置できるようにする。図5は、1つの可能な配置の例として提供され、ID回路24は、シリンジ10のハンドル12の部分内に配置できる。より具体的には、ハンドル12のフランジ48は、それ自体の回路板に配置されたID回路24をその下に配置して有することができる。しかし、ID回路24の配置は、本発明の操作に著しく影響を与えずに変更可能であることに留意すべきである。ID回路24は、それが受け口42内の電気的な接触部と連絡できるように配置されることのみが重要である。
【0031】
ID回路24は、繊維体22に配置された試料を一連の管理を介して開始時点(試料が得られた)から最終的な分析および/または保管場所まで追跡できるようにする。電子的な一連の管理は、ID回路24に記憶されたデータから読み取り、そのデータに情報を加えることができる記録計器を使用することによって維持される。記録計器は、それ自体のインターフェースを有する自立型装置であることができ、またはインターフェースを提供するコンピュータなどの別の装置に連結できる。これは、記録計器が自立動作モードで動作でき、または連絡のための別の装置に依存することを意味する。したがって、この動作モードは、図4に示される分析装置40などの化学分析装置への任意の連結または分離から独立になっている。
【0032】
この第1の実施形態では、ID回路24は、試料の電子的な一連の管理を維持できるデータの記憶および読取りを可能にする任意のデジタル・メモリ・モジュールおよびI/O回路である。メモリは、電源が外されてもデータがメモリ内に安全に残るように、不揮発性であることが好ましい。不揮発性メモリを使用することにより、メモリ内にデータを保存するためにシリンジ10内にバッテリーを必要とすることが全くなくなる。
【0033】
本発明の別の実施形態では、ID回路24がさらに単純化され、メモリ・モジュールのみから構成されることが想定される。したがって、記録装置は全て、メモリと通信するための手段を設ける必要がある。
【0034】
本発明の第1の実施形態で使用されるメモリの性質を考慮する場合、その中に記憶されたデータは、記憶された後に消去できないことに留意されたい。したがって、古い情報を常に保持しながら新しい情報をメモリに加えることができる。メモリは、データを変更せずに所望されるように何度も読み取ることもできる。
【0035】
別の実施形態では、再使用可能なシリンジは、完全に消去できるメモリを使用するID回路24を備えることが想定される。メモリを消去することは選択的であることができず、それによって電子的な一連の管理の完全性に関する疑いを回避することが重要である。
【0036】
別の実施形態では、再使用可能なシリンジが、試料を集める交換可能な繊維体、および新しいID回路24を有することが想定される。繊維体22およびID回路24は、電子的な一連の管理の完全性をさらに確実にする単一のユニットである。
【0037】
第1の実施形態のメモリの別の重要な態様は、それがID回路24に関する独自のコードをその中に記憶していることである。各ID回路24に独自のコードを与えることによって、2つのID回路が同じコードを持つ可能性が全くなくなるので、電子的な一連の管理がさらに確実になる。したがって、シリンジが再利用可能である場合でも、新しい独自のコードが、ID回路24に使用されるメモリに関してさらに提供される必要がある。
【0038】
ID回路24のメモリにデータを記憶することは、適切な物理的および電気的な連結を使用して達成できる。不揮発性メモリにデータを記憶し、そこからデータを読み取るシステムおよび方法は、当業者によく知られており、したがってこれらの仕事を達成するための手段は、本発明に対して特に重要なものではない。それは、本発明に関して重要な、電子的な一連の管理の仕事に適用されるメモリの記憶および検索の技術の適用である。
【0039】
データがID回路24に記憶できる前に、物理的な連結がシリンジ10と記録計器の間になされるという、第1の実施形態の必要条件に関する1つの理由は、この工程がその中に記憶されたデータに対する望まれない改ざんを防止することである。したがって、ID回路24のメモリにデータを貯蔵するために無線周波数(RF)手段または赤外線(IR)の手段などのワイヤレスの手段を設けることは適切ではない。しかし、データを読み取るためのRFまたはIRの手段は受け入れることが可能であり、本発明の別の実施形態の範囲内にあると見なされるべきである。
【0040】
電子的な一連の管理を形成するためにID回路24の不揮発性メモリに記憶されたデータは、一般にそのような目的に有用であると見なされる情報から選択することができる。たとえば、そのような情報には、それに限定されるとは見なされるべきではないが、試料が採取された日時、試料が得られた場所、試料抽出、保管、または分析を行うオペレータに関する識別コード、および記録計器に関する独自の識別コードを含むことができる。
【0041】
ID回路24にデータを記憶し、そこからデータを読み取るのに使用される記録計器は、可搬または固定の装置であることができる。したがって、記録計器は、バッテリーで電源供給され、または壁のソケットからの電流から直接的に動作可能である。
【0042】
記録計器へのアクセスは、任意の便利なインターフェースによって提供できる。たとえば、コンピュータがUSBインターフェース、ファイヤワイヤ、または任意のその他の有線のアクセスプロトコルまたはハードウェア接続を介して、記録計器にアクセスをもたらし、そこからID回路24にアクセスをもたらすことができる。前記に示したように、ワイヤレスのアクセス手段は、別の実施形態でID回路24に記憶されたデータを読み取るために設けられる可能性がある。この場合、ID回路24は、その中に記憶されたデータを送信する手段も備えなければならない。
【0043】
記録計器は、コンピュータを介してアクセスする必要がないように、表示器およびキーボードも備えることができ、それによって本当の自立型装置になる。しかし、記録計器の寸法および複雑さは、コンピュータを介するアクセスをもたらすことによって低減する可能性が最も大きく、それによって記録計器それ自体にキーボードおよび表示器を必要とすることを回避する。
【0044】
記録計器の特別の型は、分析記録具(Analyzer Recording Instrument)と呼ばれている。分析記録具は、特定の分析装置にインターフェースを提供するように設計できる。第1の実施形態では、分析記録具は、それによって動作する特定の分析装置の特定の必要条件の全てを備えて予めプログラムされるように構成される。
【0045】
図6は、シリンジ10のID回路24にアクセスするのに使用できる電子回路の1つの可能性のある実施形態の電気回路図として提供される。電気回路は、第1の電気接続部50および第2の電気接続部52、ダイオード54、抵抗56、コンデンサ58、および不揮発性メモリ装置60を示す。
【0046】
図6の回路を補足するため、データにアクセスし、データを送りまたは取り込むためにID回路24が連結される記録計器に使用できる、電気回路の1つの可能な実施形態の電気回路図として、図7が提供される。図7は、第1の電気連結部70、第2の電気連結部72、I/O駆動チップ74、ダイオード76、およびマイクロコンデンサ78を示す。マイクロコントローラ78は、ライン80を介して、外部のコンピュータと連絡するための外部I/Oポートへのアクセス、または記録計器が独立の装置として作動している場合の内部のCPUへのアクセスを備える。
【0047】
ID回路24は、繊維体22によって吸収される試料の一連の管理をもたらすための用途を有するが、ID回路は別の装置に使用することもできる。たとえば、一般的な皮下シリンジ、空気またはその他のガス環境から試料を収集するためのフィルタ、および固体材料の試料を固定するためのプラグ試料装置(plug sample device)である。
【0048】
繊維体22が、液体、固体、または懸濁液内の固体を集めるためのフィラメントとして形成されるときに、さらなる説明を有する本発明のいくつかの態様は、繊維体22から始まる。懸濁液内の固体を集めることは図8に示される。図8は、懸濁液内の固体のしずく92をその上に配置して有するねじれワイヤ90を示す。懸濁液内の液体は、ねじれワイヤ90および次第に消えていく懸濁の液体の4つの図に示されるように、ねじれワイヤに残るすべてが懸濁液内にあった固体94になるまで蒸発される。固体は、ねじれワイヤ90のワイヤの間および周りに析出する。ねじれワイヤ90(それは繊維体22である)は、今度は保護シース28に後退できる。
【0049】
ねじれワイヤ90は、試料を集めるための唯一の代替の実施形態と見なされるべきではない。たとえば、網組みワイヤ、または貫通して開けられた穴を有するワイヤも、固体が配置できる所望のキャビティを提供することができる。
【0050】
液体、固体、および懸濁液内の固体を集めるための別のシステムが、図9に示されるようにウィスク(whisk、小さな繊維の束)100の使用によって例示される。図9は、ウィスク104の形状に配置された3つのワイヤ102を示す。説明される機能を達成する任意の適切なウィスク様の形状が、図9に示される設計に取って代わることができる。重要なことは、懸濁液内の固体は、液体内にウィスク104を配置し、ウィスクを引き出し、図8での液体に対して行われたものと同じように試料内の液体を蒸発させることによって得ることが可能である。
【0051】
本発明の最後の態様として、適切なウィスク104が以下の手順を使用して形成できる。3つのニチノールのワイヤが一端で共に溶接される。ワイヤの3つの緩んだ端部が、0.1524mm(0.006インチ)の内径を有するステンレス鋼チューブに挿入される。次いで、ワイヤを分離し、ウィスク104を形成するために、金属のスペーサが3つのワイヤの間に挿入される。ワイヤおよびチューブは、500℃で5分間オーブン内に配置される。次に、スペーサを取り外すことができ、今度は、3つのワイヤに誘起されたメモリ効果が所望の形状にウィスク104を維持する。次に3つのワイヤは、チューブから取り外され、シリンジ10に挿入されるホルダに連結される。
【0052】
上述の装置は、本発明の原理の適用を例示したものに過ぎないことを理解されたい。多くの変形および代替の装置が、本発明の趣旨および範囲から逸脱せずに当業者によって考案できる。添付の特許請求の範囲は、そのような変形および装置を包含することが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本発明の原理に従って教示されるような組み立てられたシリンジの立体斜視図である。
【図2】本発明の原理に従って教示されるような組み立てられたシリンジのワイヤフレーム斜視図である。
【図3】図1および図2に示されるようなシリンジに使用される構成要素の分解ワイヤフレーム斜視図である。
【図4】本発明のシリンジから試料を受け取るように設計された試料分析装置の受取り口の図として提供される。
【図5】シリンジのハンドルの部分の中のID回路配置の一例として提供される。
【図6】シリンジの本体に配置されたID回路のメモリにアクセスをもたらす回路の電気回路図である。
【図7】ID回路のメモリにアクセスをもたらす記録計器の回路の電気回路図である。
【図8】懸濁液内の固体のねじれフィラメント上での蒸発プロセスの図である。
【図9】固体および懸濁液内の固体の試料を得るためのウィスクを形成する3つのワイヤの図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析される物質の試料を得るために適したシリンジであって、前記シリンジは操作するために片手のみを必要とし、前記シリンジが、
分析される物質から試料を集めるために適した繊維体と、
前記繊維体を保護するための保護シースであって、前記繊維体を前記保護シースから引き出し、内側に後退させて戻すことができる、保護シースと、
前記繊維体を前記保護シースから送り出し後退させる送出後退手段を作動させるプランジャと、
前記プランジャに連結される親指作動器であって、それによって指が前記ハンドルを握って前記親指作動器を押したときに、前記プランジャを押して、それによって片手を使用して前記送出後退手段を操作する、親指作動器とから構成される、シリンジ。
【請求項2】
前記繊維体の前記送出後退手段がさらに、
ハンドルの内側に配置されたカム機構であって、前記繊維体を送り出された位置に固定するためであり、且つ前記繊維体が後退できるように前記繊維体を解放するためである、カム機構と、
前記カム機構に対して張力をもたらす張力手段とから構成される、請求項1に記載のシリンジ。
【請求項3】
前記カム機構がさらに固定位置を有し、前記繊維体を前記保護シースから送り出すために、前記親指作動器が1度目に押されたときに前記カム機構が前記張力手段によって張力状態の下に保持され、前記繊維体が前記送り出された位置に残りながら前記親指作動器が解放できる、請求項2に記載のシリンジ。
【請求項4】
前記カム機構がさらに固定解除位置を有し、前記親指作動器が2度目に押されたときに前記カム機構が張力状態から解放され、それによって前記繊維体が前記保護シース内に後退できる、請求項3に記載のシリンジ。
【請求項5】
前記カム機構がさらに固定解除位置を有し、前記ハンドルの側面の解放手段が作動されたときに前記カム機構が張力状態から解放され、それによって前記繊維体が前記保護シース内に後退できる、請求項3に記載のシリンジ。
【請求項6】
前記カム機構がさらに、前記繊維体が最大に送り出された長さに達するまで前記親指作動器の複数の作動に対応して、前記繊維体を段階的に増加する方法で送り出し可能にする手段を備える、請求項3に記載のシリンジ。
【請求項7】
前記カム機構がさらに、前記親指作動器が前記ハンドルに押し込まれる長さに正比例する非段階的な増加の長さに前記繊維体を送り出し可能にする手段を備える、請求項3に記載のシリンジ。
【請求項8】
前記シリンジがさらに、その表面に配置された識別(ID)回路を備え、当該ID回路が前記繊維体によって得られた試料の電子的な一連の管理を可能にする、請求項1に記載のシリンジ。
【請求項9】
前記シリンジがさらに、前記ID回路と連絡できるようにするために、外表面に少なくとも2つの電気な連結を備える、請求項8に記載のシリンジ。
【請求項10】
前記ID回路がさらに少なくとも1つのメモリ・モジュールを備え、前記メモリ・モジュールが不揮発性であり、それによって前記ID回路から電源が外された後もデータが保持できる、請求項9に記載のシリンジ。
【請求項11】
前記少なくとも1つのメモリ・モジュールがさらに、書き込みおよび読み取りのみが可能であり、消去ができないメモリを備え、それによって前記試料の前記電子的な一連の管理の完全性を確実にする、請求項10に記載のシリンジ。
【請求項12】
前記少なくとも1つのメモリ・モジュールがさらに、書き込み、読み取り、および消去が全て可能なメモリを備え、それによって前記少なくとも1つのメモリ・モジュールが再使用されると、前記試料の前記電子的な一連の管理の完全性を確実にする、請求項10に記載のシリンジ。
【請求項13】
前記システムがさらに記録計器を備え、前記記録計器が前記ID回路にデータを書き込み、そこからデータを読み取ることができる、請求項1に記載のシステム。
【請求項14】
前記記録計器に入力された命令に従って情報を前記ID回路に書き込み、そこから読み取ることができるように、前記記録計器が使用者に対するそれ自体のインターフェースを有する自立型装置である、請求項13に記載のシステム。
【請求項15】
前記記録計器が第2の装置に連結され、前記第2の装置に入力された命令に従って情報を前記ID回路に書き込み、そこから読み取ることができるように、前記第2の装置がインターフェースを提供する、請求項13に記載のシステム。
【請求項16】
前記記録計器がバッテリーまたは外部電源によって動力供給できる、請求項13に記載のシステム。
【請求項17】
前記システムがさらに、前記シリンジを前記記録計器に機械的に連結するための機械的な手段を備え、それによってハンズフリーな手順で前記記録計器に前記試料を移送できる、請求項13に記載のシステム。
【請求項18】
前記シリンジがさらにワイヤレス通信手段を備え、当該ワイヤレス通信手段が前記ID回路からデータを送信するためのみに使用できる、請求項1に記載のシリンジ。
【請求項19】
前記記録計器がさらに分析記録具から構成され、前記分析記録具が分析器に連結され、前記分析記録具が特定の分析器と共に動作するように特に設計され、それによって前記システムの動作を向上させる、請求項13に記載のシリンジおよび記録計器のシステム。
【請求項20】
前記記録計器がさらに、
I/Oドライバのデータ入力部および第1のダイオードの出力部に連結された、第1の電気的な接触部と、
前記I/Oドライバの接地入力部および前記第1のダイオードの入力部に連結された、第2の電気的な接触部と、
データ入力コネクタおよびデータ出力コネクタで前記I/Oドライバに連結された、マイクロコントローラであって、当該マイクロコントローラが内部CPUまたは外部連絡ポートに連絡するための手段も備える、マイクロコントローラとから構成される、請求項13に記載のシリンジおよび記録計器のシステム。
【請求項21】
前記カム機構に対して張力をもたらす前記張力手段がさらにばねを備える、請求項2に記載のシリンジ。
【請求項22】
操作しそれによって試料を得るために片手のみを必要とするシリンジを使用することによって、分析される物質の試料を得る方法であって、前記方法が、
(1)ハウジングを有するシリンジを提供する工程であって、前記ハウジングには、繊維体と、保護シースと、当該保護シースから前記繊維体を送り出し且つ後退させる送出後退手段のための作動手段用のプランジャと、当該プランジャに連結される親指作動器とが配置される、シリンジを提供する工程と、
(2)第1の手の指を使用して前記シリンジの前記ハウジングを握る工程と、
(3)前記親指作動器に前記第1の手の親指を配置する工程と、
(4)前記親指を使用して1度目に前記親指作動器を押す工程であって、それによって前記第1の手のみを使用して前記カム機構を作動させる、前記親指作動器を押す工程と、を含む方法。
【請求項23】
前記方法がさらに、
(1)ハンドルの内側に配置されたカム機構を使用する工程であって、前記繊維体を送り出された位置に固定するためであり、且つ前記繊維体が後退できるように前記繊維体を解放するためである、カム機構を使用する工程と、
(2)前記カム機構に対して張力をもたらすばねを使用する工程とを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記方法がさらに、前記親指を使用して2度目に前記親指作動器を押す工程をさらに含み、それによって前記カム機構を解放し、前記繊維体を前記保護シース内に後退させる、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記方法がさらに、
(1)前記カム機構に対して第1の固定位置を提供する工程と、
(2)前記親指作動器が前記1度目に押された場合に、前記繊維体を前記保護シースから送り出すために、前記ばねを使用して前記カム機構を張力状態の下に保持する工程と、
(3)前記親指作動器を解放しながら前記繊維体を前記送り出された位置に保つ工程とを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記方法がさらに、
(1)前記カム機構に対して固定解除位置を提供する工程と、
(2)前記親指作動器が前記2度目に押された場合に、前記カム機構を前記固定解除位置に移動することによって、前記ばねの前記張力を解放する工程と、
(3)前記繊維体を前記保護シース内に後退させる工程とを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記方法がさらに、
(1)前記親指作動器の複数の作動に対応して前記繊維体を段階的に増加して送り出す手段を設ける工程と、
(2)前記繊維体が最大に送り出された長さに達するまで複数の回数で前記親指作動器を作動させる工程とを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記方法がさらに、
(1)前記繊維体を非段階的な増加で送り出す手段を設ける工程と、
(2)前記親指作動器を作動させる工程とを含み、それによって前記繊維体を前記親指作動器が前記ハウジングに押し込まれた長さに正比例した長さに送り出す、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記方法がさらに、
(1)前記シリンジ内に識別(ID)回路を設ける工程と、
(2)前記ID回路に情報を記録する工程とを含み、それによって前記繊維体によって得られた試料の電子的な一連の管理を追跡できるようにする、請求項22に記載の方法。
【請求項30】
前記方法がさらに、
(1)前記ハウジングの外表面に前記ID回路への少なくとも2つの電気的な連結を設ける工程と、
(2)前記少なくとも2つの電気的な接続を介して前記ID回路に情報を記憶する工程とを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記方法がさらに、前記ID回路に少なくとも1つの不揮発性メモリ・モジュールを設ける工程を含み、前記ID回路から電源が外された後に、前記メモリ・モジュールが情報をその中に記憶して保持する、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記方法がさらに、
(1)限定されない回数で前記少なくとも1つの不揮発性メモリ・モジュールから読み取り可能にする工程と、
(2)メモリ容量に達するまで前記少なくとも1つの不揮発性メモリ・モジュールに書き込み可能にする工程と、
(3)前記少なくとも1つの不揮発性メモリ・モジュールからデータが消去されることを防止し、それによって前記試料の前記電子的な一連の管理の完全性を確実にする工程とを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記方法がさらに、
(1)限定されない回数で前記少なくとも1つの不揮発性メモリ・モジュールから読み取り可能にする工程と、
(2)メモリ容量に達するまで前記少なくとも1つの不揮発性メモリ・モジュールに書き込み可能にする工程と、
(3)前記メモリ・モジュールが再利用される場合に前記少なくとも1つの不揮発性メモリ・モジュールからの全てのデータを完全に消去できるようにし、それによって前記試料の前記電子的な一連の管理の完全性を確実にする工程とを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記方法がさらに、前記ID回路に書き込み、そこからデータを読み取る記録計器を設ける工程を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項35】
前記方法がさらに、自立型の記録計器を設ける工程を含み、前記記録計器に入力された命令に従って情報を前記ID回路に書き込み、そこから読み取ることができるように、前記記録計器がそれ自体のインターフェースを使用者に提供する、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記方法がさらに、
(1)前記記録計器を第2の装置に連結する工程と、
(2)前記第2の装置を前記記録計器へのインターフェースとして動作させる工程とを含み、前記第2の装置に入力された命令に従って情報を前記ID回路に書き込み、そこから読み取ることができる、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
前記方法がさらに、
(1)前記記録計器が、外部電源がないところで動作された場合にバッテリーを使用して前記記録計器に電源供給する工程と、
(2)前記外部電源が利用可能な場合に、外部を電源使用して前記記録計器に電源供給する工程とを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記方法がさらに、前記シリンジを前記記録計器に機械的に連結するための機械的手段を提供する工程を含み、それによって前記記録計器に前記試料を移送できるようにする、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
前記方法がさらに、
(1)ワイヤレス通信手段を設ける工程と、
(2)前記回路IDからデータのみを送信する工程とを含む、請求項29に記載の方法。
【請求項40】
前記方法がさらに、
(1)分析記録具を設ける工程と、
(2)前記分析記録具を化学分析装置に連結する工程とを含み、前記分析記録具が特定の化学分析装置と共に動作するように特に設計され、それによって前記システムの動作を向上させる、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
分析される物質の試料を得るために適したシリンジであって、前記シリンジは操作するために片手のみを必要とし、前記シリンジが、
分析される物質から試料を集めるために適した繊維体と、
前記繊維体を保護するための保護シースであって、前記繊維体を前記保護シースから引き出し、内側に後退させて戻すことができる、保護シースと、
前記繊維体を前記保護シースから送り出し、且つ後退させる送出後退手段を作動させるプランジャと、
前記プランジャに連結される親指作動器であって、それによって指が前記ハンドルを握り親指作動器を押したときに前記プランジャを押し、それによって片手を使用して前記送出後退手段を操作する、親指作動器と、
表面に配置された識別(ID)回路であって、当該ID回路が前記繊維体によって得られた試料の電子的な一連の管理を可能にする、ID回路とを備える、シリンジ。
【請求項42】
前記繊維体が、SPME繊維体と、ねじれワイヤと、網組みワイヤと、ウィスクを形成するワイヤとから構成される繊維体のグループから選択される、請求項41に記載のシリンジ。
【請求項43】
分析される物質の試料を得るために適したシリンジであって、前記シリンジは操作するために片手のみを必要とし、前記シリンジが、
分析される物質から試料を集めるために適した繊維体と、
前記繊維体を保護するための保護シースであって、前記繊維体を前記保護シースから引き出し、内側に後退させて戻すことができる、保護シースと、
前記繊維体を前記保護シースから送り出すプランジャと、
ハンドルの内側に配置されたカム機構であって、前記繊維体を送り出された位置に固定するためであり、且つ前記繊維体が後退できるように前記繊維体を解放するためである、カム機構と、
前記カム機構に対して張力をもたらす前記ハンドルの内側のばねと、
前記プランジャに連結される親指作動器であって、それによって指が前記ハンドルを握り前記親指作動器を押したときに前記プランジャを押し、それによって片手を使用して前記カム機構を操作する、親指作動器とを備える、シリンジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−537151(P2008−537151A)
【公表日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−507903(P2008−507903)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/015031
【国際公開番号】WO2007/040621
【国際公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【出願人】(592087647)ブリガム・ヤング・ユニバーシティ (34)
【氏名又は名称原語表記】BRIGHAM YOUNG UNIVERSITY
【Fターム(参考)】