説明

分析用試薬、乾式分析要素、および分析方法

【課題】 試料溶液中のアナライト(分析目標成分)の定性または定量分析を正確に行うことのできる分析用試薬、乾式分析要素、およびを提供する。
【解決手段】 試料溶液中のアナライトまたはアナライトから誘導される物質にオキシダーゼを作用させ酸化性物質を生成させ、前記酸化性物質を利用して発色性物質を発色させて前記アナライトを定性または定量分析するための分析用試薬において、前記分析用試薬が、少なくとも前記オキダーゼと尿酸酸化酵素とをともに含むことを特徴とする分析用試薬。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試料溶液中のアナライト(分析目標成分)の定性または定量分析を正確に行うことのできる分析用試薬、乾式分析要素、および分析方法に関し、特に生体試料中のアナライト(分析目標成分)の定性または定量分析を正確に行うことのできる分析用試薬、乾式分析要素、および分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
臨床検査において、血液等の生体試料に含まれるアナライト(分析目標成分)を定量するために、乾式分析要素を用いることが知られている。例えば特許文献1には、オキシダーゼの存在下で生成する過酸化水素を定量することにより、水性液体試料中のアナライトを定量し得る呈色試薬組成物を含有する層を光透過性水不透過性支持体の上に有する乾式多層分析要素が開示されている。特許文献1の乾式多層分析要素は、アナライトまたはアナライトから誘導される物質に特異的に作用して過酸化水素を生成するオキシダーゼ、過酸化水素分解酵素、フェロシアン化アルカリ、色原体を必須成分とする呈色試薬組成物を前記支持体の片面上の層に乾燥状態で保持したものである。
【0003】
図4に、特許文献1の乾式多層分析要素の断面図を示す。図4に示す乾式多層分析要素500は、コレステロールを定量するためのものであり、光透過性水不透過性支持体100の上に色原体含有層200、その上にフェロシアン化アルカリおよび酸化チタン微粒子を含む光反射層400、その上にコレステロースエステラーゼ、過酸化水素分解酵素(ペルオキシダーゼ)およびコレステロールオキシダーゼを含む試薬展開層520が設けられている。この乾式多層分析要素500を用いてコレステロールを検出するには、例えば血液を試薬展開層520に点着し、血液中の成分濃度に応じて発色する色原体の色濃度を、支持体側から反射測光法によって検出する。
測定原理は以下のようなものである。すなわち、リポプロテインを含む血清は、ほぼその容量に比例した拡がりをもって試薬展開層520中に浸透する。試薬展開層520において、血清中のリポプロテインに含まれるコレステロールエステルは、コレステロースエステラーゼによってコレステロールと脂肪酸とに加水分解される。生成したコレステロールはそこに存在するコレステロールオキシダーゼによって酸化され、過酸化水素が生成する。この過酸化水素はペルオキシダーゼにより水に変換される際に、フェロシアンイオンを酸化し、フェリシアンイオンを生成させる。このフェリシアンイオンは、色原体を有色色素に酸化して色素を形成し、その色素生成量は血清中のコレステロールに相関する。
【0004】
【特許文献1】特開昭63−48457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1に開示されているコレステロール測定用の乾式分析要素を用いてコレステロールを測定すると、生体試料中のコレステロールが実際の濃度よりも低値化することが問題となっていた。
本発明の目的は、試料溶液中のアナライトの定性または定量分析を正確に行うことのできる分析用試薬および乾式分析要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の反応系でコレステロールが低値化する要因について探索したところ、生体試料中に存在する尿酸が、コレステロールオキシダーゼによって生成された過酸化水素と、ペルオキシダーゼとの酵素反応を妨害し、さらに、還元性物質である尿酸がフェロシアンイオンの酸化反応を妨害して、これらの結果として、生体試料中のコレステロール量の分析結果に負誤差を与えることが明らかとなった。本発明は、このコレステロールオキシダーゼにより生成した過酸化水素が、尿酸により分解して負誤差に与えることに対して、尿酸にウリカーゼを作用させ、尿酸由来の過酸化水素を生成させることにより、コレステロールの低値化を防止できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明は以下の通りである。
(1) 試料溶液中のアナライトまたはアナライトから誘導される物質にオキシダーゼを作用させて酸化性物質を生成させ、前記酸化性物質を利用して発色性物質を発色させて前記アナライトを定性または定量分析するための分析用試薬において、前記分析用試薬が、少なくとも前記オキダーゼと尿酸酸化酵素とをともに含むことを特徴とする分析用試薬。
(2) 前記オキシダーゼがコレステロールオキシダーゼであることを特徴とする上記(1)に記載の分析用試薬。
(3) 試料溶液中のアナライトまたはアナライトから誘導される物質にオキシダーゼを作用させて酸化性物質を生成させ、前記酸化性物質を利用して発色性物質を発色させて前記アナライトを定性または定量分析するための乾式分析要素であって、前記オキシダーゼと尿酸酸化酵素とを含む試薬層を備えることを特徴とする乾式分析要素。
(4) 前記オキシダーゼがコレステロールオキシダーゼであることを特徴とする上記(3)に記載の乾式分析要素。
(5) 試料溶液中のアナライトまたはアナライトから誘導される物質に、尿酸酸化酵素の存在下でオキシダーゼを作用させて酸化性物質を生成させ、前記酸化性物質を利用して発色性物質を発色させて前記アナライトを定性または定量分析する分析方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、試料溶液中のアナライトの定性または定量分析の際に、尿酸酸化酵素によってその妨害物質となり得る尿酸を排除することができるので、アナライトの定性または定量分析を正確に行うことのできる分析用試薬、乾式分析要素および分析方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の分析用試薬は、いわゆるウェットケミストリーと呼ばれる方式を用いた複数の液体試薬を混合して分析する試薬キットの形態でもよいし、液体試薬を使用しないフィルム状の乾式分析要素の形態であってもよい。好ましくは、本発明の分析用試薬は分析を迅速且つ簡便に行える乾式分析要素の形態である。
本発明の分析用試薬の反応系としては、試料溶液中のアナライトまたはアナライトから誘導される物質にオキシダーゼを作用させ酸化性物質を生成させ、酸化性物質を利用して発色性物質を発色させる機構をもつものであれば、特に限定されない。
ここで、本明細書における「酸化性物質」とは、他の物質を酸化する作用を有する物質を意味する。また、「発色性物質」とは、電子の授受によって可視光を吸収することができる色素前駆体を意味する。
【0010】
また、本発明の分析用試薬は、オキシダーゼと尿酸酸化酵素(ウリカーゼ)とをともに含んでいる。例えば、本発明の分析用試薬が乾式分析要素の形態である場合は、オキシダーゼと尿酸酸化酵素とを含む試薬層を備えた形態であることが好ましい。
【0011】
本発明の分析用試薬によって分析可能なアナライトとしては、上記反応機構によって分析できるものであれば特に限定されないが、例えば、生体試料中のコレステロールを分析対象とすることができる。生体試料中のコレステロールを分析対象とする場合、オキシダーゼとしてコレステロールオキシダーゼを、酸化性物質として過酸化水素を、発色性物質としてロイコ色素を用いて測定することができる。このコレステロールの測定原理の一例を、図1を用いて説明する。
生体試料中においては、コレステロールはリポプロテインの内部に包含されている。リポプロテイン中のコレステロールは、遊離コレステロールとコレステロールエステルの形態で、ほぼ1:3の割合で存在している。そこで、図1に示すようにリポプロテインを例えば界面活性剤により、コレステロール+コレステロールエステル+タンパク質に分離する(反応1)。次に、生じたコレステロールエステルにコレステロールエステラーゼ(CE)を作用させ、脂肪酸と遊離コレステロールとに分離する(反応2)。これらの処理によって生じた遊離コレステロールを、コレステロールオキシダーゼ(CO)と接触させ、過酸化水素(酸化性物質)を生成させる(反応3)。この過酸化水素をペルオキシダーゼ(POD)の存在下で反応させることにより、フェロシアンイオン(Fe(CN)4−)を酸化してフェリシアンイオン(Fe(CN)3−)を生成させる。生成したFe(CN)3−により、ロイコ色素のような色原体を酸化して有色の色素を形成する(反応4)。この発色色素を定性分析するか、比色定量法により定量する。
【0012】
上記の反応系を用いてコレステロールを測定する場合、前述のように、生体試料中のコレステロール量の分析結果に負誤差を与えてしまうことが問題となっていた。負誤差を与える要因について本発明者らが検討したところ、生体試料中に含まれる尿酸が過酸化水素とペルオキシダーゼとに作用して、過酸化水素の酵素反応を妨害すること、さらには、尿酸がフェロシアンイオンの酸化反応(Fe(CN)64-→Fe(CN)63-)に対しても作用し、フェリシアンイオンの生成量を減じさせることが明らかとなった。そこで、本発明では、コレステロールオキシダーゼと尿酸酸化酵素(ウリカーゼ)とを共存させることで、生体試料中の尿酸をアラントインと過酸化水素に分解し、尿酸の還元反応に基づく悪影響を抑制し、かつ、尿酸由来の過酸化水素により、フェリシアンイオンの生成を起こさせ、尿酸の還元反応により減じたフェリシアンイオンを補償することができる。従って、本発明の分析用試薬は、上記機構により尿酸による負誤差を抑制することができ、アナライトの定性又は定量分析を正確に行うことができる。
【0013】
なお、生体試料における特定成分を分析する技術分野において、尿酸に対してウリカーゼを作用させることによって生体試料中の尿酸を排除できることについては既に知られている(例えば、特開昭60−209176号公報)。しかしながら、この特開昭60−209176号公報に記載の発明は、生体試料をウリカーゼによって前処理して予め尿酸を排除することで尿酸の影響を回避するものであるのに対し、本発明は、コレステロールオキシダーゼにより生成した過酸化水素が、尿酸により分解して負誤差に与えることに対して、尿酸にウリカーゼを作用させ、尿酸由来の過酸化水素を生成させることにより、尿酸による誤差を排除するものである。この点で本発明は特開昭60−209176号公報に記載の発明とは全く異なるものである。
なお、上記反応系においてウリカーゼを用いる際には、ウリカーゼを添加しすぎると、尿酸が専ら過酸化水素の生成に関与することになり、反対に正誤差を与えることがあるため、適正量のウリカーゼを提供することが重要である。ウリカーゼの適正な添加量は、生体試料に含まれるコレステロールおよび尿酸の推定量や、ロイコ色素の分散形態(例えば乳化分散と水分散ではフェリシアンイオンによる反応速度が異なる)等により適宜変更することができる。
【0014】
上記のコレステロールオキシダーゼ(COD,EC 1.1.3.6)、ウリカーゼ(EC 1.7.3.3)、コレステロールエステラーゼ(CE,EC 3.1.1.13)及びペルオキシダーゼ(POD,EC 1.11.1.7)は市販のものを使用することができる。
市販のコレステロールオキシダーゼとしては、例えば、東洋紡績(株)のCOO−311、旭化成(株)のCON、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社(F.Hoffmann-La Roche Ltd.)のCholesterol oxidase、天野エンザイム(株)のCHO−1等が挙げられる。ウリカーゼとしては、例えば、東洋紡績(株)のUAO−201、旭化成(株)のUODN、エフ・ホフマン・ラ・ロシュ社のUricase、オリエンタル酵母工業(株)のUricase、キッコーマン(株)のU−TE等が挙げられる。ペルオキシダーゼとしては、例えば、東洋紡績(株)のPEO−301等が挙げられる。コレステロールエステラーゼとしては、例えば、天野エンザイム(株)のCHE−2等が挙げられる。
ロイコ色素は、例えば、ロイコ色素の酸化によって色素を生成する組成物(例、米国特許4,089,747号明細書)等に記載のトリアリールイミダゾールロイコ色素、特開昭59−193352号公報等に記載のジアリールイミダゾールロイコ色素)等が挙げられる。これとは別に、酸化されたときに他の化合物とカップリングにより色素を生成する化合物を含む組成物(例えば4-アミノアンチピリン類とフェノール類又はナフトール類)などを使用することもできる。
【0015】
本発明の分析用試薬の一例として、図1に示す反応系によってコレステロールを測定する乾式分析要素を図2に基づいて説明する。
図2に示す乾式分析要素10は、支持体11上に、ロイコ色素等の発色性物質を含む発色層12が設けられており、この発色層12の上に、フェロシアンイオンを含む第1試薬層13が設けられている。さらに、この第1試薬層13の上には、コレステロールオキシダーゼ、コレステロールエステラーゼ、ペルオキシダーゼ、及びウリカーゼを含む第2試薬層14が設けられている。
【0016】
発色層12、第1試薬層13、及び第2試薬層14(以下、これらを「反応層」と総称する)は、水浸透性を高くするために、多孔性媒体からなる多孔性層とするか、親水性ポリマーバインダーからなる層とするのが好ましく、親水性ポリマーバインダーからなる層とするのがより好ましい。
【0017】
反応層を多孔性層とする場合、その多孔性媒体は繊維質であってもよいし、非繊維質であってもよい。繊維質材料としては、例えば濾紙、不織布、織物布地(例えば平織布地)、編物布地(例えばトリコット編物布地)、ガラス繊維濾紙等を用いることができる。非繊維質材料としては、特開昭49-53888号公報等に記載の酢酸セルロース等からなるメンブランフィルター、特開昭49-53888号公報、特開昭55-90859号公報、特開昭58-70163号公報等に記載の無機物又は有機物微粒子からなる連続空隙含有粒状構造物層等のいずれでもよい。特開昭61-4959号公報、特開昭62-116258号公報、特開昭62-138756号公報、特開昭62-138757号公報、特開昭62-138758号公報等に記載の部分接着された複数の多孔性層の積層物も好適である。
【0018】
多孔性層からなる反応層の厚さは特に制限されないが、塗布によって設ける場合には、1μm〜50μm程度が好ましく、より好ましくは2μm〜30μmの範囲が適当である。ラミネートによる積層など、塗布以外の方法による場合、厚さは数十μmから数百μmの範囲で大きく変化し得る。
【0019】
親水性ポリマーバインダーから反応層を形成する場合、親水性ポリマーバインダーの種類は、含有するロイコ色素や、酵素の種類又はその添加量等を考慮して適宜決めることができる。親水性ポリマーの具体例としては、ゼラチン及びこれらの誘導体(例えばフタル化ゼラチン)、セルロース誘導体(例えばヒドロキシエチルセルロース)、アガロース、アルギン酸ナトリウム、アクリルアミド共重合体、メタアクリルアミド共重合体、アクリルアミド又はメタアクリルアミドと各種ビニル性モニマーとの共重合体、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸と各種ビニル性モノマーとの共重合体等が挙げられる。
【0020】
親水性ポリマーバインダーで構成される反応層は、特公昭53-21677号公報、特開昭55-164356号公報、特開昭54-101398 号公報、特開昭61-292063 号公報等に記載の方法に従って、各酵素液と親水性ポリマーとを含む水溶液又は水分散液を、支持体若しくは他の層の上に塗布し乾燥することにより設けることができる。親水性ポリマーをバインダーとする場合、乾燥時の反応層の厚さは約2μm〜約50μmの範囲であることが好ましく、約4μm 〜約30μmの範囲であることがより好ましく、被覆量では約2g/m2〜約50g/m2の範囲であることが好ましく、約4g/m2〜約30g/m2の範囲であることがより好ましい。
【0021】
反応層には、塗布特性、拡散性、反応性、保存性等の諸性能の向上を目的として、酵素の活性化剤、補酵素、界面活性剤、pH緩衝剤組成物、微粉末、酸化防止剤、その他、有機物あるいは無機物からなる各種添加剤を加えることができる。反応層に含有させることができる緩衝剤の例としては、日本化学会編「化学便覧 基礎編」(東京、丸善(株)、1966年発行)1312-1320 頁、R.M.C. Dawson et al編、「Data for Biochemical Research」第2版(Oxford at the Clarendon Press,1969 年発行) 476-508 頁、「Biochemistry」5,467-477頁 (1966年) 、「Analytical Biochemistry」 104,300-310 頁 (1980年) に記載のpH緩衝剤系がある。pH緩衝剤の具体例として硼酸塩を含む緩衝剤;クエン酸又はクエン酸塩を含む緩衝剤;グリシンを含む緩衝剤;ビシン(Bicine)を含む緩衝剤;HEPES を含む緩衝剤;MES を含む緩衝剤などのグッド緩衝剤等がある。
【0022】
発色層12(図2)にロイコ色素等の発色性物質を含有させるには、発色性物質を親水性ポリマー中に分散させる方法又は乳化させる方法を用いることができる。発色性物質を乳化させる場合、発色性物質、界面活性剤、オイル等を親水性ポリマーに添加して、公知の乳化方法により乳化させることができる。一方、発色性物質を分散させる場合には、発色性物及び界面活性剤を親水性ポリマーに添加して公知の分散方法により分散させることができる。
発色層12における発色性物質の配合量としては、特に限定されず、検出すべきアナライトのモル量を考慮して、適宜設定することができる。
【0023】
第1試薬層13におけるフェロシアンイオンは、例えば、フェロシアン化カリウム等のフェロシアン化アルカリ金属塩の形態で含有させることができる。第1試薬層13におけるフェロシアンイオンの配合量としては、0.1〜3g/m2の範囲であることが好ましく、0.3〜1.0g/m2の範囲であることがより好ましい。
第1試薬層13の至適pHは、好ましくは4〜8の範囲であり、最も好ましいpH範囲は5〜7の範囲である。
【0024】
第2試薬層14におけるコレステロールオキシダーゼの配合量については、試薬が含まれる層における塗布量として、500〜32000U/mであることが好ましく、2000〜13000U/mであることがより好ましい。なお、ここでいうユニット(U)については、コレステロールオキシダーゼの場合、25℃で1分間あたり1μmolのコレステロールを酸化させるのに必要な酵素量を1Uとした。
また、第2試薬層14におけるウリカーゼの配合量については、試薬が含まれる層における塗布量として、10〜10000U/mであることが好ましく、100〜3500U/mであることがより好ましい。なおここでいうユニット(U)については、ウリカーゼの場合、25℃で1分間あたり1μmolの尿酸を酸化させるのに必要な酵素量を1Uとした。
【0025】
また、第2試薬層14には、アスコルビン酸オキシダーゼ(ASO)を含有させてもよい。アスコルビン酸オキシダーゼとしては市販のものを使用することができ、例えば、ロシュ社、東洋紡績(株)より入手することができる。
第2試薬層14の至適pHは、好ましくは7〜9の範囲であり、より好ましいpH範囲は7.5〜8.5の範囲である。至適pHの調製には、必要に応じて緩衝剤などの試薬を用いることができる。
【0026】
支持体11としては、光透過性が高く、かつ水に対しては不透過性の支持体を用いることが好ましい。光透過性かつ水不透過性の支持体は従来の乾式分析要素に用いられる公知のものを用いることができる。その具体例としては、ポリエチレンテレフタレート、ビスフエノールAのポリカルボネート、ポリスチレン、セルロースエステル(例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等)等のポリマーからなる厚さ約50μmから約1mm、好ましくは約80μmから約300μmの範囲の透明な、例えば、波長約200nmから約900nmの範囲内の少なくとも一部の範囲の波長の電磁輻射線を透過させる、平滑平面状の支持体を用いることができる。支持体の表面には公知の下塗層又は接着層を設けることができる。
【0027】
さらに、本発明の乾式分析要素は、上記で挙げた層のほかに、展開層、反射層、接着層、下塗り層等の機能層を設けることができる。機能層としては、例えば特開昭49-53888号公報、特開昭51-40191号公報、及び特開昭55-164356号公報、特開昭61-4959号公報に記載のものを本発明に適用可能である。
【0028】
本発明の乾式分析要素には、反射層を設けることができる。反射層は、光反射性又は光吸収性を有する微粒子または微粉末(以下、単に微粒子という)が少量の被膜形成能を有する親水性ポリマーバインダーに分散保持されている水透過性または水浸透性の層である。反射層は発色性物質の検出可能な変化(色変化、発色等)を支持体11(図1)側から反射測光する際に、供給された水性液体の色、特に試料が全血である場合のヘモグロビンの赤色等、を遮蔽する機能も有する。
光反射性を有する微粒子の例としては、二酸化チタン微粒子(ルチル型、アナターゼ型またはブルカイト型の粒子径が約0.1μmから約1.2μmの微結晶粒子等)、硫酸バリウム微粒子、アルミニウム微粒子または微小フレーク等を挙げることができ、光吸収性微粒子の例としては、カーボンブラック、ガスブラック、カーボンミクロビーズ等を挙げることができ、これらのうちでは二酸化チタン微粒子、硫酸バリウム微粒子が好ましい。 特に好ましいのは、アナターゼ型二酸化チタン微粒子である。
なお、図2に示す乾式分析要素10においては、第1試薬層13と発色層12との間に反射層を設けてもよいし、第1試薬層13に光反射性又は光吸収性を有する微粒子を添加することにより、第1試薬層13自体に反射層の機能を持たせることもできる。
【0029】
本発明の乾式分析要素には展開層を設けることができる。展開層は、供給される液体の量にほぼ比例した面積に液体を展開する、いわゆる計量作用を有する層である。展開層としては、例えば、特開昭55−164356、特開昭57−66359号の各公報等に記載の織物展開層(例えば、ブロード、ポプリン等の平織物)、特開昭60−222769号公報等に記載の編物展開層(例えば、トリコット編、ダブルトリコット編、ミラニーズ編等)、特開昭57−148250号公報に記載の有機ポリマー繊維パルプ含有抄造紙からなる展開層、特公昭53−21677号公報、米国特許第3,992,158号明細書等に記載のメンブランフイルタ(ブラッシュポリマー層)、ポリマーミクロビーズ、ガラスミクロビーズ、珪藻土が親水性ポリマーバインダーに保持されてなる連続微空隙含有多孔性層等の非繊維等方的多孔性展開層、特開昭55−90859号公報に記載のポリマーミクロビーズが水で膨潤しないポリマー接着剤で点接触状に接着されてなる連続微空隙含有多孔性層(三次元格子状粒状構造物層)からなる非繊維等方的多孔性展開層等を用いることができる。
なお、図2に示す乾式分析要素10において、第2試薬層14の上に展開層を設けてもよいし、第2試薬層14を多孔性物質によって形成することにより、第2試薬層14に展開層の機能を持たせることもできる。展開層の機能を有する第2試薬層14を形成するには、第1試薬層13の上に多孔性物質(例えば、編み物布地等)による展開層を形成し、この展開層に、第2試薬層14に用いる酵素液等をしみ込ませる等の方法により行うことができる。
【0030】
本発明の乾式分析要素の層構成は、図2に示す形態に限定されず、公知の多種の乾式分析要素と同様の層構成を適用することができる。
例えば、本発明の乾式分析要素は図3に示すに示す形態でもよい。図3に示す乾式分析要素30は、支持体11上に、ロイコ色素等の発色性物質を含む発色層12が設けられており、この発色層12の上に、コレステロールエステラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ、ウリカーゼ、及びフェロシアンイオンを含む試薬層31が設けられている。このような形態においても、コレステロールオキシダーゼとウリカーゼとをともに含むので、尿酸による負誤差を防止し、正確にコレステロールの分析を行うことができる。
また、図2及び図3に示す乾式分析要素では、試薬層と発色層とを別々に設けた形態を例示したが、本発明はこれに限定されず、支持体上にロイコ色素とその他の酵素とフェロシアンイオンとを含む単一の層を設けた形態でもよい。
【0031】
本発明の乾式分析要素は前述の各特許公報に記載の公知の方法により調製することができる。本発明の乾式分析要素は、製造、包装、輸送、保存、測定操作等の観点から、一辺約10mmから約30mmの正方形またはほぼ同サイズの円形等の小片に裁断し、特公昭57-28331、実開昭56-142454、特開昭57-63452、実開昭58-32350、特表昭58-501144号の各公報等に記載のスライド枠に収めて化学分析スライドとして用いることが好ましい。使用目的によっては、長いテープ状でカセットまたはマガジンに収めて用いたり、又は小片を開口のあるカードに貼付または収めて用いたり、あるいは裁断した小片をそのまま用いることなどもできる。
【0032】
本発明の乾式分析要素は前述の各特許公報等に記載の操作と同様の操作によりアナライトの定性または定量分析ができる。具体的な分析方法としては、まず、例えば約2μL〜約30μL、好ましくは4〜15μLの範囲の血漿、血清、尿などの水性液体試料液を最上層に点着する。次いで、点着した乾式分析要素を約20℃〜約45℃の範囲の一定温度で、好ましくは約30℃〜約40℃の範囲内の一定温度で1〜10分間インキュベーションする。乾式分析要素内の発色又は変色を支持体側から反射測光し、予め作成した検量線を用いて比色測定法の原理により検体中のアナライトの量を求めることができる。点着する生体試料の量、インキュベーション時間及び温度を一定にすることにより、定量分析を高精度に実施できる。
【0033】
測定操作は特開昭60-125543、同60-220862、同61-294367、同58-161867号の各公報などに記載の化学分析装置により極めて容易な操作で高精度の定量分析を実施できる。なお、目的や必要精度によっては、目視により発色の度合いを判定して、定性または半定量的な測定を行ってもよい。
本発明によって分析可能な試料溶液としては、特に限定されないが、特に生体組織等から採取される生体試料や、生体試料を培養した培養物等に適用することができる。生体試料としては、例えば、血液、尿、ずい液等が挙げられる。
【0034】
以上では、本発明の分析用試薬が乾式分析要素の形態である場合について説明したが、本発明の分析用試薬は上記のような形態に限定されず、例えば、複数の試薬液を備えた液体試薬キットの形態であってもよい。分析用試薬が液体試薬を用いた試薬キットの形態である場合は、複数の液体試薬のうち1つの液体試薬中に、オキシダーゼと尿酸酸化酵素とを含むようにする。この場合のオキシダーゼ及び尿酸酸化酵素の配合量は、上記の乾式分析要素と同様の数値とすることができる。
【実施例】
【0035】
以下、実施例により本発明をさらに説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
以下の手順により、図2に示す乾式分析要素10を作製した。
支持体11として、ゼラチン下塗りされている180μmのポリエチレンテレフタレ−ト無色透明平滑フィルムを用いて、このフィルム上に下記組成の発色層塗布液−1を塗布し乾燥して、発色層12を形成した。なお、乾燥後の発色層12の厚さは30μmとした。
(発色層用塗布液−1)
ゼラチン 25.0g/m
界面活性剤 0.8g/m
ロイコ色素 0.5g/m
N,N−ジメチルラウリルアミド 7.5g/m
ステアリルアルコール 1.1g/m
ここで、界面活性剤は、α-オレフィンスルホン酸ナトリウム(OS-14、日光ケミカル社製)を、ロイコ色素は、2−(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ジメチルアミノフェニル)−5−フェネチルイミダゾール酢酸塩を用いた。
【0036】
次に、発色層12の上に、下記組成の第1試薬層用塗布液−1を乾燥後の厚さが5μmになるように塗布し、乾燥して、第1試薬層13を形成した。
(第1試薬層用塗布液−1)
ゼラチン 3.3g/m
二酸化チタン 0.9g/m
界面活性剤 0.3g/m
フェロシアン化カリウム 0.7g/m
ここで、界面活性剤は、ポリオキシ(2−ヒドロキシ)プロピレンノニルフェニルエーテル(Surfactant 10G、オーリン社製)を用いた。
【0037】
次に、第1試薬層13上に、約30g/mの供給量で水を全面に供給して湿潤させた後50デニール相当のポリエチレンテレフタレート紡績糸を36ゲージ編みしたトリコット編み物布地を軽く圧力をかけて積層し、乾燥させた。上記布地上に、ウリカーゼ量を表1のように変化させた下記組成の第2試薬層用塗布液−1を塗布、乾燥し、第2試薬層14を形成して、乾式分析要素を作製した。
【0038】
(第2試薬層用塗布液−1)
リン酸1K 0.3g/m
リン酸2K 5.1g/m
界面活性剤1 0.5g/m
界面活性剤2 1.1g/m
デオキシコール酸 3.7g/m
スクロース 4.7g/m
メトロース90SH100 0.3g/m
ウリカーゼ 表1記載
ペルオキシダーゼ 46000U/m
コレステロールオキシダーゼ 4300U/m
コレステロールエステラーゼ 2500U/m
ASO 14000U/m
【0039】
界面活性剤1は、ポリオキシ(2−ヒドロキシ)プロピレンノニルフェニルエーテル(Surfactant 10G、オーリン社製)を、界面活性剤2は、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(HS240、日本油脂製)を用いた。ASOとはアスコルビン酸オキシダーゼを意味し、ここではロシュ社製のアスコルビン酸オキシダーゼを用いた。また、ウリカーゼは東洋紡績(株)のUAO−201を、ペルオキシダーゼは東洋紡績(株)のPEO−301を、コレステロールオキシダーゼはロシュ社のCholesterol oxidaseを、コレステロールエステラーゼは天野エンザイム(株)のCHE−2を用いた。
【0040】
【表1】

【0041】
上記の乾式分析要素を12mmX13mm四方のチップに切断し、スライド枠(特開昭57−63452号公報に記載)に収めて、本発明に従うコレステロール測定用乾式スライド(1-1)〜(1-5)を作製した。
【0042】
[比較例1]
ウリカーゼを添加しないこと以外は、実施例1と同様にしてコレステロール測定用乾式スライド(A)を作製した。
【0043】
[測定例1]
ウリカーゼ添加による尿酸の影響改良の効果を確認するために下記測定液を調整した。 下記測定液は、コレステロールを一定濃度で含有し、尿酸を異なる濃度で含有するものであり、下記添加量の尿酸水溶液及び人血清900μLに精製水を加えて総和で1000μLとなるように調製したものである。
なお、ここで用いたコレステロールは、血清として日水製薬(株)より入手した。また、尿酸は、和光純薬工業(株)の尿酸を用いた。
【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
各測定液を上記実施例1で作製したスライド(1-1)〜(1-5)及び比較例1で作製したスライド(A)に10μL点着した。その後、37℃にて6分間インキュベートし、505nmにおける反射濃度(ODr)を富士ドライケム5000(富士写真フイルム(株)製)により測定した。 その反射濃度をあらかじめ作成された検量線(反射濃度とコレステロール濃度(TCHO)の関係式)より、TCHO濃度に換算した。結果を表4、5に示す。
【0047】
【表4】

【0048】
【表5】

【0049】
以上より、実施例は、比較例に対して変化率が少なく、尿酸の影響が改善されていることが明らかとなった。特にウリカーゼの添加量が、1000U以上では(実施例1-2〜1-5)、改善効果が顕著であることがわかった。
【0050】
[実施例2]
以下の手順により、図2に示す乾式分析要素10を作製した。なお、使用した試薬等は特に記載がない限り実施例1と同様のものである。
支持体11として、ゼラチン下塗りされている180μmのポリエチレンテレフタレ−ト無色透明平滑フィルムを用いて、このフィルム上に下記組成の発色層塗布液−2を塗布し乾燥して、発色層12を形成した。なお、乾燥後の発色層12厚さは15μmとした。
(発色層用塗布液−2)
ゼラチン 14.0g/m
界面活性剤 1.0g/m
ロイコ色素 0.5g/m
【0051】
ここで、界面活性剤は、ポリオキシ(2−ヒドロキシ)プロピレンノニルフェニルエーテル(Surfactant 10G、オーリン社製)を、ロイコ色素は、2−(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ジメチルアミノフェニル)−5−フェネチルイミダゾール酢酸塩を用いた。
【0052】
次に、発色層12の上に、下記組成の第1試薬層用塗布液−2を乾燥後の厚さが5μmになるように塗布し、乾燥して、第1試薬層13を形成した。
(第1試薬層用塗布液−2)
ゼラチン 3.3g/m
二酸化チタン 0.9g/m
界面活性剤 0.3g/m
フェロシアン化カリウム 0.7g/m
ここで、界面活性剤は、ポリオキシ(2−ヒドロキシ)プロピレンノニルフェニルエーテル(Surfactant 10G、オーリン社製)を用いた。
【0053】
次に、第1試薬層13上に、約30g/mの供給量で水を全面に供給して湿潤させた後50デニール相当のポリエチレンテレフタレート紡績糸を36ゲージ編みしたトリコット編み物布地を軽く圧力をかけて積層し、乾燥させた。上記布地上に、ウリカーゼ量を表6のように変化させた下記組成の第1試薬層用塗布液−2を塗布、乾燥し、第2試薬層14を形成して、乾式分析要素を作製した。
【0054】
(第2試薬層用塗布液−2)
リン酸1K 0.3g/m
リン酸2K 5.1g/m
界面活性剤1 0.5g/m
界面活性剤2 1.1g/m
デオキシコール酸 3.7g/m
スクロース 4.7g/m
メトロース90SH100 0.3g/m
ウリカーゼ 表6記載
ペルオキシダーゼ 46000U/m
コレステロールオキシダーゼ 4300U/m
コレステロールエステラーゼ 2500U/m
ASO 14000U/m
【0055】
界面活性剤1は、ポリオキシ(2−ヒドロキシ)プロピレンノニルフェニルエーテル(Surfactant 10G、オーリン社製)を、界面活性剤2は、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(HS240、日本油脂製)を用いた。また、ウリカーゼ等は実施例1と同じものを用いた。
【0056】
【表6】

【0057】
上記の乾式分析要素を12mmX13mm四方のチップに切断し、スライド枠(特開昭57−63452号公報に記載)に収めて、本発明に従うコレステロール測定用乾式スライド(2-1)〜(2-3)を作製した。
【0058】
[比較例2]
ウリカーゼを添加しないこと以外は、実施例2と同様にしてコレステロール測定用乾式スライド(B)を作製した。
【0059】
[測定例2]
測定例1で調製した各測定液を実施例2で作製したスライド(2-1)〜(2-3)及び比較例2で作製したスライド(B)に10μL点着した。その後、37℃にて6分間インキュベートし、505nmにおける反射濃度(ODr)を富士ドライケム5000(富士写真フイルム(株)製)により測定した。その反射濃度をあらかじめ作成された検量線(反射濃度とコレステロール濃度(TCHO)の関係式)より、TCHO濃度に換算した。結果を表6、7に示す。
【0060】
【表7】

【0061】
【表8】

【0062】
以上より、実施例は、比較例に対して変化率が少なく、尿酸の影響が改善されていることが明らかとなった。特にウリカーゼの添加量が、500U以上では(実施例2-2、2-3)、改善効果が顕著であることがわかった。
【0063】
[実施例3]
以下の手順により、図3に示す乾式分析要素30を作製した。なお、使用した試薬等は特に記載がない限り実施例1と同様のものである。
支持体11として、ゼラチン下塗りされている180μmのポリエチレンテレフタレ−ト無色透明平滑フィルムを用いて、このフィルム上に下記組成の発色層塗布液−3を塗布し乾燥して、発色層12を形成した。なお、乾燥後の発色層12厚さは15μmとした。
(発色層用塗布液−3)
ゼラチン 14.0g/m
界面活性剤 1.0g/m
ロイコ色素 0.5g/m
【0064】
ここで、界面活性剤は、ポリオキシ(2−ヒドロキシ)プロピレンノニルフェニルエーテル(Surfactant 10G、 オーリン社製)を、ロイコ色素は、2−(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−4−(4−ジメチルアミノフェニル)−5−フェネチルイミダゾール酢酸塩を用いた。
【0065】
次に、上記発色層12の上に、約30g/mの供給量で水を全面に供給して湿潤させた後50デニール相当のポリエチレンテレフタレート紡績糸を36ゲージ編みしたトリコット編み物布地を軽く圧力をかけて積層し、乾燥させた。上記布地上に、ウリカーゼ量を表9のように変化させた下記組成の試薬層用塗布液を塗布し、乾燥して試薬層31を形成し、乾式分析要素を作製した。
【0066】
(試薬層用塗布液)
リン酸1K 0.3g/m
リン酸2K 5.1g/m
界面活性剤1 0.5g/m
界面活性剤2 1.1g/m
デオキシコール酸 3.7g/m
スクロース 4.7g/m
メトロース90SH100 0.3g/m
ウリカーゼ 表9記載
フェロシアン化カリウム 0.7g/m
ペルオキシダーゼ 46000U/m
コレステロールオキシダーゼ 4300U/m
コレステロールエステラーゼ 2500U/m
ASO 14000U/m
【0067】
界面活性剤1は、ポリオキシ(2−ヒドロキシ)プロピレンノニルフェニルエーテル(Surfactant 10G、オーリン社製)を、界面活性剤2は、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(HS240、日本油脂製)を用いた。また、ウリカーゼ等は実施例1と同じものを用いた。
【0068】
【表9】

【0069】
上記の乾式分析要素を12mmX13mm四方のチップに切断し、スライド枠(特開昭57−63452号公報に記載)に収めて、本発明に従うコレステロール測定用乾式スライド(3-1)〜(3-2)を作製した。
【0070】
[比較例3]
ウリカーゼを添加しないこと以外は、実施例3と同様にしてコレステロール測定用乾式スライド(C)を作製した。
【0071】
[測定例3]
測定例1で調製した各測定液を実施例3で作製したスライド(3-1)〜(3-2)及び比較例3で作製したスライド(C)に10μL点着した。その後、37℃にて6分間インキュベートし、505nmにおける反射濃度(ODr)を富士ドライケム5000(富士写真フイルム(株)製)により測定した。その反射濃度をあらかじめ作成された検量線(反射濃度とコレステロール濃度(TCHO)の関係式)より、TCHO濃度に換算した。結果を表10、11に示す。
【0072】
【表10】

【0073】
【表11】

【0074】
以上より、実施例は、比較例に対して変化率が少なく、尿酸の影響が改善されていることが明らかとなった。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の分析用試薬による血中コレステロールの測定原理を説明するための図である。
【図2】本発明の乾式分析要素の一形態を示す断面図である。
【図3】本発明の乾式分析要素の一形態を示す断面図である。
【図4】特許文献1の乾式多層分析要素を示す断面図である。
【符号の説明】
【0076】
11 支持体
12 発色層
13 第1試薬層
14 第2試薬層
10,30 乾式分析要素
31 試薬層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料溶液中のアナライトまたはアナライトから誘導される物質にオキシダーゼを作用させて酸化性物質を生成させ、前記酸化性物質を利用して発色性物質を発色させて前記アナライトを定性または定量分析するための分析用試薬において、前記分析用試薬が、少なくとも前記オキダーゼと尿酸酸化酵素とをともに含むことを特徴とする分析用試薬。
【請求項2】
前記オキシダーゼがコレステロールオキシダーゼであることを特徴とする請求項1に記載の分析用試薬。
【請求項3】
試料溶液中のアナライトまたはアナライトから誘導される物質にオキシダーゼを作用させて酸化性物質を生成させ、前記酸化性物質を利用して発色性物質を発色させて前記アナライトを定性または定量分析するための乾式分析要素であって、前記オキシダーゼと尿酸酸化酵素とを含む試薬層を備えることを特徴とする乾式分析要素。
【請求項4】
前記オキシダーゼがコレステロールオキシダーゼであることを特徴とする請求項3に記載の乾式分析要素。
【請求項5】
試料溶液中のアナライトまたはアナライトから誘導される物質に、尿酸酸化酵素の存在下でオキシダーゼを作用させて酸化性物質を生成させ、前記酸化性物質を利用して発色性物質を発色させて前記アナライトを定性または定量分析する分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−87325(P2006−87325A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−274824(P2004−274824)
【出願日】平成16年9月22日(2004.9.22)
【出願人】(000005201)富士写真フイルム株式会社 (7,609)
【Fターム(参考)】