説明

分析精度管理システム

【課題】精度管理の担当者の負担を軽減するとともに、主観が入る虞が少なく、高い分析精度を確保することができるようにする。
【解決手段】検体試料の間に精度管理試料を挿入し、各試料について順次、所定の分析項目に関する測定を行なう分析手段と、精度管理試料の測定結果に基づいて、検体試料の測定結果の精度の可否を判定する第1判定手段と、第1判定手段により可と判定された検体試料の測定結果を各分析項目の管理基準値と比較することにより精度の可否を判定する第2判定手段と、第1判定手段により可と判定された検体試料の測定結果について、ヒストグラムに基づき精度の可否を判定する第3判定手段と、第2判定手段及び第3判定手段により可と判定された検体試料の測定結果について、対応する患者の検歴に基づき精度の可否を判定する第4判定手段と、第4判定手段により可と判定された検体試料の測定結果を出力する出力手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、各種の検体試料の分析において、測定精度を管理するための分析精度管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、臨床検査等の分野では、血液、尿などの生体に由来する試料に含まれる物質の化学的或いは生物学的な特性(例えば、物質の濃度等)を測定するために、自動分析装置が用いられている。こうした自動分析装置では、検査対象となる試料(以下、適宜「検体試料」という。また、検体試料の採取対象となった生体を「患者」という場合がある。)を効率的に処理するべく、一定数の検体試料を測定単位として、順次バッチ処理で分析が行なわれる。
【0003】
こうした自動分析装置を用いて、多数の検体試料について測定を行なう際には、一定の期間若しくは一定の検体数についてその測定が所定の正確さの範囲で行なわれることを保証するために、精度管理の作業が行なわれている(例えば特許文献1〜4参照)。
【0004】
精度管理の手法としては、様々なものが知られている(例えば非特許文献1,2参照)。例としては、測定対象となる物質を既知の割合で含有する試料等、既知の特性を有する試料(以下、適宜「精度管理試料」という。)を用いる手法が挙げられる。精度管理試料を検体試料の間に挿入し、同様の分析法で測定して、その結果を記録しておく。得られた精度管理試料の測定結果が所定の精度管理基準を満たしているか否かを確認することにより、検体試料の測定精度を管理するという手法である。ここで、分析項目が複数の場合には、通常は分析項目毎に別個の精度管理試料が用意される。また、精度管理試料の挿入・測定の間隔は、通常は一定検体数毎や一定時間毎など、一定の間隔毎に行なわれる(例えば特許文献4参照)。
【0005】
一方、検体試料の測定結果に基づく精度管理も行なわれている。例えば、分析項目毎に精度管理の基準を設定し、個々の検体試料の測定結果がこの精度管理基準を満たしているか否かを確認する手法、多数の測定結果の統計処理の結果に基づいて、検体試料の測定精度を管理するという手法、個々の検体試料を同一検体の過去の分析結果と比較して、その結果に基づいて測定精度の管理を行なう手法等が挙げられる。
【0006】
【特許文献1】特許第3456162号明細書
【特許文献2】特許第3462995号明細書
【特許文献3】特開平9−251023号公報
【特許文献4】特開平8−220104号公報
【非特許文献1】日本臨床衛生検査技師会ライブラリーXV「臨床検査精度管理教本」、1998年、社団法人日本臨床衛生検査技師会 編集、株式会社近代出版 発行(特に第14〜94頁参照)
【非特許文献2】臨床病理学レビュー 特集第113号「臨床検査情報学」、2000年、日本臨床病理学会 学術研究委員会 臨床検査情報学専門部会 編集、臨床病理刊行会 発行(特に第4章「精度管理法」、第68〜85頁参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜4や非特許文献1,2に記載の技術に代表される従来の精度管理手法は、単独では高い分析精度を確保することが困難であり、十分な分析精度を得るためには、複数の手法を組み合わせて実施する必要があった。このため、精度管理の担当者の負担が大きいという課題があった。特に最近では、臨床検査の広まりや検査内容の多様化等によって、大量の検体試料について多数の分析項目の測定を行なう場合が多く、それが精度管理に伴う負担の増大を招いていた。
【0008】
また、従来の精度管理手法では、個々の精度管理に伴う判断を人間(精度管理の担当者等)が行なっていたため、判断結果に担当者の主観が入り易いという課題があった。このため、例えば、精度管理試料や検体試料の測定結果を精度管理基準に照らして確認する際に、測定結果が境界値付近にある場合などは、担当者等の主観によって判断結果が左右され、異常な結果を見逃してしまうおそれもあった。
【0009】
また、複数の精度管理手法を組み合わせて行なう場合、個々の精度管理におけるチェックの単位やそのタイミングに明確なつながりがないため、何れかの精度管理手法において管理基準を満たしていない検体試料についても、その測定結果が報告されてしまうおそれがあった。
【0010】
また、従来の分析精度の管理手法では、複数の分析項目がある場合でも、精度管理試料の挿入・測定は上述の様に一定の間隔で行なわれていた。しかしながら、臨床検査の対象となる分析項目は、分析依頼頻度のばらつき等により、一般的にその測定頻度にばらつきがある。それにも関わらず、全ての分析項目の精度管理試料を同一の間隔で挿入すると、測定頻度の高い分析項目に合わせて比較的短い間隔で精度管理試料を挿入する必要があるため、測定頻度の低い分析項目については必要以上に頻繁に精度管理試料を挿入することになってしまい、精度管理試料や試薬等が浪費されてしまうという課題があった。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものである。
即ち、本発明の目的は、精度管理の担当者の負担を軽減するとともに、その主観が入る虞が少なく、且つ、高い分析精度を確保することができる、優れた分析精度管理システムを提供することに存する。
【0012】
また、本発明の別の目的は、複数の分析項目について測定を行なう場合でも、精度管理試料や試薬等の浪費が少なく、効率的に精度管理を行なうことが可能な、優れた分析精度管理システムを提供することに存する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、複数の手法による精度管理を所定のフローに従い逐次実施することによって、精度管理の担当者の負担を軽減できるとともに、その主観が入る余地を排除し、且つ、高い分析精度を確保することが可能となることを見出した。また、各分析項目の測定頻度に応じた頻度で対応する精度管理試料を挿入することによって、精度管理試料や試薬等の浪費を防ぐことができ、効率的に精度管理を行なうことが可能となることを見出し、上記課題が効果的に解決されるとの知見を得て、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明の要旨は、患者由来の複数の検体試料の間に精度管理試料を挿入し、各試料について順次、所定の分析項目に関する測定を行なう分析手段と、該分析手段により得られた精度管理試料の測定結果に基づいて、検体試料の測定結果の精度の可否を判定する第1判定手段と、該第1判定手段により可と判定された検体試料の測定結果を、各分析項目の管理基準値と比較することにより、その精度の可否を判定する第2判定手段と、該第1判定手段により可と判定された検体試料の測定結果について、ヒストグラムに基づいて、その精度の可否を判定する第3判定手段と、該第2判定手段及び第3判定手段により可と判定された検体試料の測定結果について、対応する患者の検歴に基づき、その精度の可否を判定する第4判定手段と、該第4判定手段により可と判定された検体試料の測定結果を出力する出力手段とを備えたことを特徴とする、分析精度管理システムに存する(請求項1)。
【0015】
ここで、該第1判定手段、該第2判定手段、該第3判定手段、及び該第4判定手段のうち、少なくとも何れか一つの手段において否と判定された検体試料について、複数の検体試料の間に精度管理試料を挿入し、各試料について順次、所定の分析項目に関する再測定を行なう再検手段を更に備えることが好ましい(請求項2)。
【0016】
また、該分析手段が、各分析項目の測定頻度に応じた頻度で、対応する精度管理試料を挿入するとともに、該第1判定手段が、各精度管理試料の挿入頻度に基づいて、検体試料の測定結果の精度の可否の判定を行なうことが好ましい(請求項3)。
【0017】
また、該第1判定手段、該第2判定手段、該第3判定手段、及び該第4判定手段のうち、少なくとも何れか一つの手段により何れかの検体試料が否と判定された場合に、その旨及びそれらの検体試料に関する情報をシステム外に通知する通知手段を更に備えることが好ましい(請求項4)。
【0018】
また、本発明の別の要旨は、複数の検体試料の間に精度管理試料を挿入し、各試料について順次、所定の分析項目に関する測定を行なう分析手段と、該分析装置により得られた精度管理試料の測定結果に基づいて、検体試料の測定結果の精度の可否を判定する判定手段と、該判定手段により可と判定された検体試料の測定結果を出力する出力手段とを備え、該分析手段が、各分析項目の測定頻度に応じた頻度で、対応する精度管理試料を挿入するとともに、該判定手段が、各精度管理試料の挿入頻度に基づいて、検体試料の測定結果の精度の可否の判定を行なうことを特徴とする、分析精度管理システムに存する(請求項5)。
【発明の効果】
【0019】
本発明の分析精度管理システムによれば、精度管理の担当者の負担を軽減できるとともに、その主観が入る余地を排除し、且つ、高い分析精度を確保することが可能となる。
【0020】
また、複数の分析項目について測定を行なう場合でも、精度管理試料や試薬等の浪費を防ぐことができ、効率的に精度管理を行なうことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内であれば種々に変更して実施することができる。
【0022】
本発明の分析精度管理システムは、患者由来の検体試料について、所定の分析項目の測定を行なうとともに、その測定が一定の精度を満たしているかどうかの管理(精度管理)を行なうものである。
【0023】
本発明の分析対象となる「検体試料」は、患者由来の試料であれば特に制限されない。ここで「患者」とは、傷病の有無等に関わらず、検体試料の採取対象となる生体を広く指す概念であり、人間に限られるものではなく、他の動物等も含むものとする。検体試料は、患者から直接採取されたものに限られず、生物から分離された器官、組織等から採取されたものであってもよい。検体試料の例としては、血液、血清、尿、唾液、腹水、胸水、髄液等が挙げられる。
【0024】
なお、患者から採取された成分をそのまま検体試料として用いてもよいが、患者から採取された成分を他の成分と混合して、それを検体試料として用いてもよい。例としては、患者から採取した血液にヘパリン等の凝固防止因子を加え、これを検体試料として用いる場合や、患者から採取した成分を適当な溶剤に溶解又は分散させ、これを検体試料として用いる場合等が挙げられる。
【0025】
更には、生体由来の成分を含むものでなくても、生体内に導入することを目的とした成分(例えば透析液等)など、生体と何らかの関連を有する各種の成分を検体試料として、本発明を適用することが可能である。
【0026】
また、本発明において「精度管理試料」とは、検体試料の測定結果の精度管理の基準として用いられる、既知の特性を有する試料をいう。例としては、測定対象となる物質を既知の割合で含有する試料等が挙げられる。精度管理試料は、検体試料の種類や測定対象の分析項目に応じて適宜選択されることになる。
【0027】
なお、以下の記載では、「検体試料」と「精度管理試料」とを総称して、単に「試料」ということがある。
【0028】
また、本発明において「分析項目」とは、特に制限されるものではないが、例えば、検体試料中に含まれる各種成分の有無、濃度、反応の有無、反応速度等が挙げられる。
【0029】
分析項目の具体例としては、生化学検査、免疫血清学検査、血液学検査、内分泌検査、腫瘍関連検査、ウイルス学検査、薬毒物検査等が挙げられる。
【0030】
生化学検査としては、蛋白・膠質反応、生体色素、酵素、アイソザイム、窒素化合物、糖・有機酸、脂質、ビタミン、電解質、微量金属等が挙げられる。
【0031】
免疫血清学検査としては、感染症血清反応、蛋白、免疫グロブリン、補体、自己免疫関連等が挙げられる。
【0032】
血液学検査としては、血球計数、出血凝固検査等が挙げられる。
【0033】
内分泌検査としては、下垂体、甲状腺等に由来するホルモン等の内分泌成分等が挙げられる。
【0034】
ウイルス学検査としては、肝炎ウイルス関連検査等が挙げられる。
【0035】
薬毒物検査としては、抗てんかん剤、精神神経用剤、強心剤、気管支拡張剤等の検査が該当する。
【0036】
また、これらの分析項目について検査を行なう検査手法としては、比色法、電極法、UV法、酵素法、比濁法、免疫比濁法、ラテックス凝集比濁法、化学発光免疫測定法、酵素免疫測定法等の手法が挙げられる。
【0037】
以下、本発明の分析精度管理システムについて実施形態を挙げて説明するが、まず、分析精度管理システム全体の概要について説明した上で([I.分析精度管理システムの説明])、その後に、本発明の主な特徴となる精度管理手段の詳細([II.精度管理手段の説明])と、精度管理試料を用いた精度管理の詳細([III.精度管理試料を用いた精度管理の説明])について説明することにする。
【0038】
[I.分析精度管理システムの概要]
〔I−1.分析精度管理システムの構成〕
図1は、本発明の一実施形態に係る分析精度管理システム(以下適宜「本実施形態の分析精度管理システム」と略称する。)の構成を模式的に示す機能ブロック図である。
【0039】
図1に示す分析精度管理システム100は、検体試料供給部101と、分析搬送ライン102と、精度管理試料供給部103と、分析部104と、精度管理試料回収部105と、検体試料回収・再検試料ピックアップ部106と、再検搬送ライン107と、精度管理試料供給部108と、再検部109と、再検試料・精度管理試料回収部110と、ホストコンピュータ111とを備えている。
【0040】
検体試料供給部101は、分析対象となる検体試料を後述する分析搬送ライン102に供給するものである。検体試料は通常、個別に測定容器(試験管、バイアル、サンプルカップ等)に分注された状態で、連続的に供給される。測定容器への検体試料の分注は、別の分注機等を用いて予め行なっておいてもよいが、検体試料供給部101に分注機能を設け、供給直前に分注する構成としてもよい。各測定容器には通常、検体試料の番号及び分析項目が表示され、内部の検体試料及びその測定対象となる分析項目が特定できるようになっている。検体試料の入った測定容器の供給形態も任意であり、測定容器をそのまま一本ずつ分析搬送ライン102に供給する構成としてもよいが、測定容器を複数本ずつラック等に収容し、ラック単位で分析搬送ライン102に供給する構成としてもよい。なお、測定容器をラックに収容する場合には、各測定容器内の検体試料の番号及び分析項目を、測定容器ではなくラックに表示するようにしてもよい。
【0041】
分析搬送ライン102は、コンベア等の搬送手段を備え、検体試料供給部101から供給される検体試料の入った測定容器(又はその測定容器を収容したラック)を、連続的に搬送するものである。この分析搬送ライン102の搬送経路に沿って、後述の精度管理試料供給部103、分析部104、精度管理試料回収部105が順に設けられ、搬送経路の終点には、後述の検体試料回収・再検試料ピックアップ部106が設けられる。
【0042】
なお、検体試料供給部101と精度管理試料供給部103との間に分析待ちバッファを設け、後述する分析部104での処理の進行状況に応じて、搬送中の検体試料を待機させる構成としてもよい。
【0043】
精度管理試料供給部103は、精度管理試料を分析搬送ライン102に供給し、検体試料の間に挿入するものである。精度管理試料は各分析項目に対応して用意され、通常は検体試料と同様の測定容器に分注された状態で、必要に応じて更にラック等に収納され、分析搬送ライン102に供給される。ここで、分析項目毎に異なる精度管理試料を用いてもよいが、分析項目や精度管理試料の種類によっては、一種で複数の分析項目に対応できる精度管理試料を用いることも可能である。
【0044】
精度管理試料供給部103による精度管理試料の基本的な挿入手順は以下の通りである。検体試料は、後述の分析部104での分析順に従って、分析搬送ライン102により連続的に搬送されてくる。ここで、検体試料の分析は、所定数の検体試料からなるバッチを単位として行なわれる。精度管理試料供給部103は、分析搬送ライン102により搬送されてくる検体試料の個数をカウントし、その個数が所定数に達する毎に、検体試料間に精度管理試料を挿入する。挿入された二つの精度管理試料に挟まれた所定数の検体試料が一つのバッチを構成することになる。
【0045】
本実施形態の分析精度管理システム100の特徴の一つは、この精度管理試料供給部103による精度管理試料の挿入方法にあるが、それについては後出の[III.精度管理試料を用いた精度管理の説明]の欄で詳細に説明する。
【0046】
分析部104は、測定対象となる分析項目に応じた分析装置(図示せず)を備え、分析搬送ライン102によって搬送されてきた検体試料及び精度管理試料を取り込んで、所定の分析項目に関する測定を行ない、測定後の試料を再び分析搬送ライン102に送出するものである。分析装置の種類や台数は、測定対象となる分析項目に応じて選択される。分析装置の例としては、日立製作所製H7700、日本電子社製JCA−BM1650、アボット社製ARCHITECT、バイエル社製CENTAUR等が挙げられる。分析項目毎に別の分析装置を用いてもよいが、複数の分析項目の測定を一台の分析装置で行なうように構成してもよい。また、多数の検体試料を効率的に処理するため、同一の分析項目について複数台の分析装置を設け、分担して測定を行なうように構成することも可能である。この場合、検体試料をその種類に応じて複数の群に分類し(例えば、後述する主要項目検体試料(主要項目のみの測定を行なう検体試料)と全項目検体試料(主要項目及び少数項目の双方の測定を行なう検体試料)とに分類し)、それぞれ別の分析装置(例えば、主要項目検査用の分析装置と全項目検査用の分析装置)を用いて測定を行なうように構成してもよい。
【0047】
分析部104による検体試料及び精度管理試料の測定結果はホストコンピュータ111に送信され、後述する精度管理手段の処理を受ける。
【0048】
精度管理試料回収部105は、分析搬送ライン102によって分析部104から搬送されてきた測定済みの検体試料及び精度管理試料の中から、精度管理試料のみを選び出して回収し、システムから排出するものである。回収・排出された精度管理試料は、必要に応じて精度管理試料供給部103で再利用されることになる。
【0049】
検体試料回収・再検試料ピックアップ部106は、分析搬送ライン102によって分析部104から搬送されてきた測定済みの検体試料の中から、再検対象となる検体試料(これを以下「再検試料」という。)をピックアップし、再検搬送ライン107に供給するとともに、その他の検体試料を回収し、システムから排出するものである。具体的に、検体試料回収・再検試料ピックアップ部106は、後述する精度管理手段による分析結果をホストコンピュータ111から受信し、その判定結果に基づいて再検試料が存在するか否かを判断する。そして、再検試料が存在する場合には、分析搬送ライン102から搬送されてきた検体試料の測定容器の中から再検試料の測定容器を選び出し、再検搬送ライン107に供給するように構成される。検体試料の測定容器がラックに収容されている場合は、通常は再検対象となる検体試料を一度ラックから取り出して、別のラックに移し替えてから再検搬送ライン107に供給する。
【0050】
なお、分析部104と検体試料回収・再検試料ピックアップ部106との間に分析結果待ちバッファを設け、後述する精度管理手段での処理の進行状況に応じて、搬送中の検体試料を待機させる構成としてもよい。
【0051】
再検搬送ライン107は、上述の分析搬送ライン102と同様、コンベア等の搬送手段を備え、検体試料回収・再検試料ピックアップ部106から供給される再検試料の測定容器(又はその測定容器を収容したラック)を、連続的に搬送するものである。この再検搬送ライン107の搬送経路に沿って、後述の精度管理試料供給部108、再検部109が順に設けられ、搬送経路の終点には、後述の再検試料・精度管理試料回収部110が設けられる。
【0052】
なお、検体試料回収・再検試料ピックアップ部106と精度管理試料供給部108との間に再検待ちバッファを設け、後述する再検部109での処理の進行状況に応じて、搬送中の再検試料を待機させる構成としてもよい。
【0053】
精度管理試料供給部108は、精度管理試料を再検搬送ライン107に供給し、再検試料の間に挿入するものである。精度管理試料供給部108の構成や機能、精度管理試料の挿入手順等は、上述の精度管理試料供給部103について説明したものと基本的に同様である。
【0054】
再検部109は、測定対象となる分析項目に応じた分析装置(図示せず)を備え、再検搬送ライン107によって搬送されてきた再検試料及び精度管理試料を取り込んで、所定の分析項目に関する測定を行なうものである。再検部109の構成及び機能は、上述の分析部104と基本的に同様であるが、分析装置の台数等は、再検試料の発生頻度に応じて調整すればよい。
【0055】
再検部109による再検試料及び精度管理試料の測定結果はホストコンピュータ111に送信され、後述する精度管理手段の処理を受ける。
【0056】
再検試料・精度管理試料回収部110は、再検搬送ライン107によって再検部109から搬送されてきた測定済みの再検試料及び精度管理試料を回収し、システムから排出するものである。
【0057】
ホストコンピュータ111は、上記の各構成要素(検体試料供給部101、分析搬送ライン102、精度管理試料供給部103、分析部104、精度管理試料回収部105、検体試料回収・再検試料ピックアップ部106、再検搬送ライン107、精度管理試料供給部108、再検部109、再検試料・精度管理試料回収部110)に接続され、これらの構成要素の動作を制御するものである。
【0058】
また、ホストコンピュータ111は、分析部104による検体試料の測定結果、及び、再検部109による再検試料の測定結果の精度管理を行なう精度管理手段としても機能することになる。この精度管理手段については後述する。
【0059】
なお、上記の分析搬送ライン102、検体試料供給部101、精度管理試料供給部103、分析部104、精度管理試料回収部105、検体試料回収・再検試料ピックアップ部106は、分析手段112として機能することになる。
【0060】
また、上記の検体試料回収・再検試料ピックアップ部106、再検搬送ライン107、精度管理試料供給部108、再検部109、再検試料・精度管理試料回収部110は、再検手段113として機能することになる。
【0061】
〔I−2.分析精度管理システムの動作〕
図2は、本実施形態の分析精度管理システム100の動作を説明するフローチャートである。図2に示すように、分析精度管理システム100の動作は、ステップS101〜ステップS109からなる。
【0062】
まず、ステップS101では、検体試料供給部101が、分析対象となる検体試料を分析搬送ライン102に供給し、分析搬送ライン102がこれを連続的に搬送する。
【0063】
ステップS102では、精度管理試料供給部103が、精度管理試料を分析搬送ライン102に供給する。
【0064】
ステップS103では、分析部104が、分析搬送ライン102によって搬送されてきた検体試料及び精度管理試料について、所定の分析項目に関する測定を行なう。検体試料及び精度管理試料の測定結果は、ホストコンピュータ111に送られ、ホストコンピュータ111(後述の図3に示す精度管理手段200)による処理が行なわれる(後述の図4に示すフローチャート)。
【0065】
ステップS104では、精度管理試料回収部105が、分析搬送ライン102によって分析部104から搬送されてきた測定済みの試料の中から、精度管理試料を選び出して回収する。
【0066】
ステップS105では、後述する精度管理手段による処理の結果、再検が必要か否か(即ち、再検の対象となる検体試料があるか否か)が、ホストコンピュータ111から検体試料回収・再検試料ピックアップ部106に通知される。再検の必要があるとの通知を受けた場合、YESルートに進む。再検の必要がないとの通知を受けた場合、NOルートに進む。
【0067】
ステップS105でYESルートに進んだ場合、ステップS106では、検体試料回収・再検試料ピックアップ部106が、分析搬送ライン102によって分析部104から搬送されてきた測定済みの検体試料の中から、再検対象となる検体試料(再検試料)をピックアップし、再検搬送ライン107に供給するとともに、残りの検体試料を回収する。再検搬送ライン107に供給された再検試料は、再検搬送ライン107によって搬送される。
【0068】
ステップS107では、精度管理試料供給部108が、精度管理試料を再検搬送ライン107に供給する。
【0069】
ステップS108では、再検部109が、再検搬送ライン107によって搬送されてきた再検試料及び精度管理試料について、所定の分析項目に関する再測定を行なう。再検試料及び精度管理試料の測定結果は、ホストコンピュータ111に送られる。
【0070】
ステップS109では、再検試料・精度管理試料回収部110が、再検搬送ライン107によって再検部109から搬送されてきた測定済みの再検試料及び精度管理試料を回収する。
【0071】
一方、ステップS105でNOルートに進んだ場合、ステップS110では、検体試料回収・再検試料ピックアップ部106が、分析搬送ライン102によって分析部104から搬送されてきた測定済みの検体試料を回収する。
【0072】
[II.精度管理手段の説明]
本実施形態の分析精度管理システム100においては、上述の様に、分析部104による検体試料及び精度管理試料の測定結果、並びに、再検部109による再検試料及び精度管理試料の測定結果が、ホストコンピュータ111に送られる。そして、ホストコンピュータ111が、これらの測定結果に基づいて、検体試料及び再検試料の精度管理を行なう精度管理手段として機能する。分析精度管理システム100の特徴の一つであるこの精度管理手段について、以下にその詳細を説明する。
【0073】
なお、以下の説明では、分析部104により得られた検体試料の測定結果を対象とする場合について主に説明する。再検部109により得られた再検試料の測定結果を対象とする場合については、最後に異なる点のみを付言することにする。
【0074】
〔II−1.精度管理手段の構成〕
図3は、本実施形態の分析精度管理システム100が有する精度管理手段の構成を模式的に示す機能ブロック図である。図3に示す精度管理手段200は、第1判定手段201と、第2判定手段202と、第3判定手段203と、第4判定手段204と、出力手段205と、通知手段206とを備えている。
【0075】
第1判定手段201は、精度管理試料の測定結果に基づいて、検体試料の測定結果の精度の可否を判定するものである。
【0076】
第2判定手段202は、第1判定手段201により可と判定された検体試料の測定結果を、各分析項目の管理基準値と比較することにより、その精度の可否を判定するものである。
【0077】
第3判定手段203は、第2判定手段202により可と判定された検体試料の測定結果について、ヒストグラムに基づいて、その精度の可否を判定するものである。
【0078】
第4判定手段204は、第3判定手段203により可と判定された検体試料の測定結果について、対応する患者の検歴に基づき、その精度の可否を判定するものである。
【0079】
出力手段205は、第4判定手段204により可と判定された検体試料の測定結果を出力するものである。
【0080】
通知手段206は、第1判定手段201、第2判定手段202、第3判定手段203、及び第4判定手段204のうち、少なくとも何れか一つの手段により何れかの検体試料が否と判定された場合に、その旨及びそれらの検体試料に関する情報をシステムの外(システムの管理者)に通知するものである。
【0081】
また、図示はしないものの、ホストコンピュータ111が備える入出力インターフェース(キーボード、マウス等の入力手段や、ディスプレイ、プリンタ、記録装置等の出力手段)を用いることにより、システムの管理者(精度管理の担当者)が精度管理手段200との間で、必要な情報の入出力を行なうことができるように構成されている。
【0082】
また、ホストコンピュータ111が備える記録装置(ハードディスク、外部記録装置、記録媒体等)や、ホストコンピュータ111がアクセス可能なネットワーク上の記録装置等に、第1〜第4判定手段201〜204の処理に必要な情報(例えば、後述する各種の管理基準値や、各検体に対応する患者の過去の検査結果の履歴(以下「検暦」と略す場合がある。)等)が記録されており、これらの情報を用いて第1〜第4判定手段201〜204による処理が行なわれるようになっている。
【0083】
〔II−2.精度管理手段の動作〕
図4は、本実施形態の分析精度管理システム100が有する精度管理手段200による精度管理の処理手順を説明するフローチャートである。図4に示すように、精度管理手段200による処理手順は、ステップS201〜ステップS216からなる。
【0084】
なお、以下の精度管理の処理はバッチ単位で行なわれる。上述の様に、バッチの境界となる検体試料間には精度管理試料が挿入されるので、前後を精度管理試料に挟まれた一群の検体試料の測定結果が、一バッチを構成することになる(但し、後述する少数項目の精度管理試料は、必ずしも各バッチ間に挿入されるわけではない。これについては後出の[III.精度管理試料を用いた精度管理の説明]の欄で説明する。)。
【0085】
ステップS201では、精度管理手段200(ホストコンピュータ111)が、分析部104から一バッチ分の検体試料の測定結果及びその前後の精度管理試料の測定結果を取得し、そのバッチに対する精度管理の処理を開始する。
【0086】
ステップS202では、第1判定手段201が、各バッチの前後の精度管理試料の測定結果に基づいて、そのバッチに含まれる検体試料の測定結果の精度が許容範囲内であるか否かを判定する。判定の手法は特に制限されないが、例えば、各バッチの前後の精度管理試料の測定結果の差が所定の範囲内に収まっているか否か等を基準に行なう。
【0087】
第1判定手段201による判定の結果、そのバッチに含まれる検体試料の測定結果の精度が許容範囲内である(即ち「可」である)と判定された場合には、ステップS202のOKルートに進む。そして、必要に応じ、ステップS203において、各バッチの前後の精度管理試料の測定結果に基づいて、そのバッチに含まれる検体試料の測定結果の補正を行なった後、後述のステップS207に進む。
【0088】
一方、第1判定手段201による判定の結果、そのバッチに含まれる検体試料の測定結果の精度が許容範囲から外れている(即ち「否」である)と判定された場合には、ステップS202のNGルートに進む。そして、ステップS204において、通知手段206が、第1判定手段201による判定結果が「否」であった旨を表わすアラームを出力する。このアラームを受けて、システムの管理者が、そのバッチに含まれる検体試料の測定結果を補正することが出来るか否かを判断し(ステップS205)、補正できると判断した場合には(ステップS205のYESルート)、ホストコンピュータ111のインターフェースを通じて補正を行なう(ステップS206)。補正後は後述のステップS207に進み、その補正済みの測定結果を用いて処理が行なわれる。一方、検体試料の測定結果を補正できないと判断した場合には(ステップS205のNOルート)、システムの管理者は、ホストコンピュータ111のインターフェースを通じて再検の指示を入力する(後述のステップS216)。それによって、そのバッチに関する処理は終了する。
【0089】
ステップS207では、第2判定手段202が、第1判定手段201により可と判定されたバッチの個々の検体試料の測定結果を、各分析項目の管理基準値と比較することにより、その検体試料の測定結果の精度が許容範囲内であるか否かを判定する。
【0090】
第2判定手段202による判定の結果、そのバッチに含まれる検体試料の測定結果の精度が何れも許容範囲内である(即ち「可」である)と判定された場合(ステップS207のOKルート)には、後述のステップS209に進む。
【0091】
一方、第2判定手段202による判定の結果、そのバッチに含まれる何れかの検体試料の測定結果の精度が許容範囲から外れている(即ち「否」である)と判定された場合には、ステップS207のNGルートに進む。そして、ステップS208において、通知手段206が、第1判定手段201による判定結果が「否」であった旨のアラームを出力する。このアラームを受けて、システムの管理者が、ホストコンピュータ111のインターフェースを通じて再検の指示を入力する(後述のステップS216)。それによって、そのバッチに関する処理は終了する。
【0092】
ステップS209では、第3判定手段203が、第2判定手段202により可と判定されたバッチの検体試料の測定結果についてヒストグラムを求め、得られたヒストグラムに基づいて、そのバッチに含まれる検体試料の測定結果の精度が許容範囲内であるか否かを判定する。判定の具体的な手法は特に制限されないが、例えば、各バッチの検体試料の測定結果に基づいてヒストグラムを求め、その平均値、最頻値、標準偏差(SD)、正常値の上下限値、測定数等所定の範囲内に収まっているか否か等を基準に行なう。
【0093】
第3判定手段203による判定の結果、そのバッチに含まれる検体試料の測定結果の精度が許容範囲内である(即ち「可」である)と判定された場合(ステップS209のOKルート)には、後述のステップS213に進む。
【0094】
一方、第3判定手段203による判定の結果、そのバッチの検体試料の測定結果の精度が許容範囲から外れている(即ち「否」である)と判定された場合には、ステップS209のNGルートに進む。そして、ステップS210において、通知手段206が、第3判定手段203による判定結果が「否」であった旨のアラームを出力する。このアラームを受けて、システムの管理者が、そのバッチに含まれる検体試料の測定結果を補正することが出来るか否かを判断し(ステップS211)、補正できると判断した場合には(ステップS211のYESルート)、ホストコンピュータ111のインターフェースを通じて補正を行なう(ステップS212)。補正後は後述のステップS213に進み、その補正済みの測定結果を用いて処理が行なわれる。一方、検体試料の測定結果を補正できないと判断した場合には(ステップS211のNOルート)、システムの管理者は、ホストコンピュータ111のインターフェースを通じて再検の指示を入力する(後述のステップS216)。それによって、そのバッチに関する処理は終了する。
【0095】
ステップS213では、第4判定手段204が、第3判定手段203により可と判定されたバッチの個々の検体試料の測定結果について、対応する患者の検歴に基づき、その精度が許容範囲内であるか否かを判定する。判定の手法は特に制限されないが、例えば、個々の検体試料の測定結果と、それに対応する患者の過去の測定結果(例えば、前回検査時の測定結果、又は、前数回の測定結果の平均値)との差を求め、その差が所定の範囲内に収まっているか否か等を基準に行なう。
【0096】
第4判定手段204による判定の結果、そのバッチの全ての検体試料の測定結果の精度が許容範囲内である(即ち「可」である)と判定された場合(ステップS213のOKルート)、そのバッチの検体試料の測定結果は十分な精度管理を有する(即ち、本システムによる精度管理済みである)として、ステップS214において出力手段205からシステム外へと出力され、そのバッチに関する処理は終了する。出力された測定結果は次段の処理(印刷、報告等)に供されることになる。
【0097】
一方、第4判定手段204による判定の結果、そのバッチの何れかの検体試料の測定結果の精度が許容範囲から外れている(即ち「否」である)と判定された場合には、ステップS213のNGルートに進む。そして、ステップS215において、通知手段206が、第4判定手段204による判定結果が「否」であった旨のアラームを出力する。このアラームを受けて、システムの管理者が、ホストコンピュータ111のインターフェースを通じて再検の指示を入力する(後述のステップS216)。それによって、そのバッチに関する処理は終了する。
【0098】
なお、第1判定手段201及び第3判定手段203による判定の後、ステップS205及びS211のNOルートからステップS216に進んだ場合において、再検の指示がホストコンピュータ111に入力されると、そのバッチに含まれる検体試料が全て再検の対象となり、その旨がホストコンピュータ111から検体試料回収・再検試料ピックアップ部106に通知される。一方、第2判定手段202及び第4判定手段204による判定の後、ステップS208及びS215からステップS216に進んだ場合には、再検の指示がホストコンピュータ111に入力されると、精度判定結果が「否」であった検体試料のみが再検の対象となり、その旨がホストコンピュータ111から検体試料回収・再検試料ピックアップ部106に通知されることになる。検体試料回収・再検試料ピックアップ部106はその通知を受けて、分析搬送ライン102から送られてきた検体試料の中から再検試料を選択し、再検搬送ライン107に供給することになる。
【0099】
なお、精度管理手段200による再検試料の測定結果の精度管理の処理も、基本的には図4を用いて上に説明した手順と同様の手順で行なわれる。但し、ステップS216に進んだ場合、そのバッチに含まれる再検試料は通常、再び再検の対象となるのではなく、その処理はシステム管理者等の判断に委ねられることになる。
【0100】
以上説明したように、本実施形態の分析精度管理システム100によれば、分析手段112及び再検手段113により得られた検体試料及び再検試料の測定結果について、精度管理手段200によって、複数の異なる精度管理手段(第1〜第4判定手段201〜204)による精度管理処理を順次、自動的に行なうことができる。また、何れかの精度管理手段によって測定結果の精度が十分でないと判断された場合には、その旨がシステム外に通知され、システムの管理者がそれを受けて再検等の指示を出すことができる。従って、システムの管理者(精度管理の担当者)の負担を軽減できるとともに、その主観が入る余地を排除し、且つ、高い分析精度を確保することが可能となる。
【0101】
[III.精度管理試料を用いた精度管理の説明]
本実施形態の分析精度管理システム100は、精度管理試料供給部103,108が、各分析項目の測定頻度に応じた頻度で、対応する精度管理試料を挿入するとともに、第1判定手段201が、各精度管理試料の挿入頻度に基づいて、検体試料・再検試料の測定結果の精度の可否の判定を行なうことを、もう一つの特徴としている。以下、この特徴について詳細に説明する。
【0102】
なお、以下の説明では、分析部104により得られた検体試料の測定結果を対象とする場合について説明するが、再検部109により得られた再検試料の測定結果を対象とする場合も、その手順は基本的には同様である。
【0103】
まず、分析精度管理システム100の運用前に、分析項目をその測定頻度によって複数の群に分類する。分類の基準や群数は任意であるが、例えば、測定頻度の比較的多い分析項目を「主要項目」、測定頻度の比較的低い分析項目を「少数項目」と、二つの群に分類するのが、簡便且つ効率的である。以下はこの「主要項目」と「少数項目」という分類を前提として説明するが、分析項目の分類の基準や群数はこれに制限されるものではない。
【0104】
図5は、精度管理試料供給部103による精度管理試料の挿入方法を説明するための図である。図5において、符号301は個々の検体試料を表わし、符号302は複数の検体試料からなるバッチを表わし、符号303は主要項目の精度管理試料を表わし、符号304は少数項目の精度管理試料を表わし、矢印Fは分析搬送ライン102による検体試料301の搬送方向を表わす。
【0105】
検体試料301がその測定順に従って、分析搬送ライン102によって連続的に搬送されてくると、精度管理試料供給部103は、バッチ302の境界となる二つの検体試料301の間に精度管理試料を挿入する。ここで、主要項目の精度管理試料303については、従来の技術と同様、最初のバッチ302の前と、その後に続くバッチ302の境界毎に毎回(即ち、図中の矢印pで表わされるタイミングで)挿入するのに対し、少数項目の精度管理試料304については、より少ない頻度で挿入する。例えば、図5では、最初のバッチ302の前と、その後に続くバッチ302の境界三つ毎に(即ち、図中の矢印mで表わされるタイミングで)挿入している。
【0106】
図6(a),(b)は何れも、第1判定手段201による精度管理の手順を説明するための図であり、図6(a)は、主要項目についての精度管理の手順を説明するための図、図6(b)は、少数項目についての精度管理の手順を説明するための図である。図6(a),(b)において、符号dは個々の検体試料の測定結果を表わし、B1,B2,B3・・・はバッチを表わし、符号p1,p2,p3,p4・・・は主要項目の精度管理試料の測定結果を表わし、符号m1,m2・・・は少数項目の精度管理試料の測定結果を表わし、矢印Fは個々の測定結果が分析部104から精度管理手段200に到着する順序を表わしている。
【0107】
主要項目について精度管理を行なう場合、図6(a)に示すように、全てのバッチB1,B2,B3・・・の前後に主要項目の精度管理試料の測定結果p1,p2,p3,p4・・・が存在している。よって、例えばバッチB1についてはその前後の精度管理試料の測定結果p1,p2を用いて、バッチB2についてはその前後の精度管理試料の測定結果p2,p3を用いて、第1判定手段201による処理を行なうことが可能である。
【0108】
一方、少数項目について精度管理を行なう場合、全てのバッチB1,B2,B3・・・の前後に少数項目の精度管理試料の測定結果m1,m2・・・が存在している訳ではない。例えば、図5に示すタイミングで少数項目の精度管理試料を挿入した場合には、図6(b)に示すように、少数項目の精度管理試料の測定結果は3バッチおきにしか存在しない。よって、精度管理試料の測定結果が存在しない箇所(例えば、バッチB1とバッチB2との間や、バッチB2とバッチB3との間)については、その前の精度管理試料の測定結果(図ではm1。これを以下「実測値」という場合がある。)をコピーして(図ではそれぞれm1’,m1”。これを以下「コピー値」という場合がある。)、このコピー値m1’,m1”を用いて第1判定手段201による処理を行なう。
【0109】
ここで、例えばバッチB3については、コピー値m1”と実測値m2とを用いて第1判定手段201による判定が行なわれることになるが、ここで判定結果が「否」となった場合(即ち、十分な精度を備えていないと判定された場合)には、それ以前にコピー値m1’,m1”を用いて判定を行なった全てのバッチ(図ではバッチB1〜B3)の判定結果が「否」であったものと見なし、これらのバッチに含まれる測定結果を再検の対象とする。もし、先のバッチB1,B2の何れかが既にその後の処理段階(第2〜第4判定手段202〜204による精度の判定処理や、出力手段205による出力処理等)に進んでいる場合には、その処理を一旦して、対象となる検体試料を回収してから再検に供してもよいが、検体試料の元となるサンプルが多量に存在する場合には、同一のサンプルから別途検体試料を調製・分注し、それを用いて再検を行なってもよい。
【0110】
以上説明したように、本実施形態の分析精度管理システム100によれば、精度管理試料供給部103,108によって、各分析項目の測定頻度に応じた頻度で、対応する精度管理試料が挿入されるとともに、第1判定手段201によって、各精度管理試料の挿入頻度に基づいて、検体試料・再検試料の測定結果の精度の可否の判定が行なわれる。従って、複数の分析項目について測定を行なう場合でも、精度管理試料や試薬等の浪費を防ぐことができ、効率的に精度管理を行なうことが可能となる。
【0111】
[IV.その他]
本実施形態の分析精度管理システム100は、分析手段112(検体試料供給部101、分析搬送ライン102、精度管理試料供給部103、分析部104、精度管理試料回収部105及び検体試料回収・再検試料ピックアップ部106)及び再検手段113(検体試料回収・再検試料ピックアップ部106、再検搬送ライン107、精度管理試料供給部108、再検部109及び再検試料・精度管理試料回収部110)として、従来公知の各種の分析システムを用いるとともに、ホストコンピュータ111(精度管理手段200)として、CPU,RAM,ハードディスクや各種周辺機器等を備えた通常のコンピュータシステム(例えば各種ネットワークサーバ、ワークステーション、パーソナルコンピュータ等)を用いることにより、容易に実現することができる。
【0112】
通常、こうしたコンピュータシステムでは、CPUがハードディスク等に記憶されたコンピュータプログラムに従って各種の演算処理を実行するとともに、CPUの各種演算処理に必要なデータがRAMに適宜記憶・更新される。また、コンピュータシステムには更に各種の機器(キーボード、マウス等の入力機器、ディスプレイ、プリンタ等の出力機器、CD−ROMドライブ、フロッピー(登録商標)ディスクドライブ等の記憶媒体読取・書込装置、通信ネットワークとのインターフェースなど)が内蔵又は接続され、CPUの演算処理によって制御される。
【0113】
従って、ホストコンピュータ111を精度管理手段200として機能させるコンピュータプログラムを用いれば、このコンピュータプログラムをRAMに読み出して起動し、CPUで実行することにより、CPUの動作として、又はCPUとRAM,ハードディスク,各種周辺機器等との協動動作として、精度管理手段200の機能を実現させることができる。
【0114】
また、上述の分析手段112及び再検手段113の機能を分析システムに実現させるための制御手段として、ホストコンピュータ111を機能させるコンピュータプログラムを用いれば、このコンピュータプログラムをRAMに読み出して起動し、CPUにおいて実行することにより、このホストコンピュータ111が分析装置を制御することによって、分析手段112及び再検手段113の機能を実現させることができる。
【0115】
上述のコンピュータプログラムは、使用するコンピュータシステムの構成やオペレーティングシステムの種類・バージョン等に応じて、公知の各種のプログラム言語を用いて作成することが可能である。得られたコンピュータプログラムは、内蔵ハードディスクや外付けハードディスク等の記憶装置に記録しておいてもよいが、例えばCD−ROM、DVD−ROM、MOディスク等のコンピュータ読取可能な各種の記憶媒体に記録しておき、必要に応じて随時、コンピュータシステムが有する記憶媒体読取装置を通じて、これを直接、又はハードディスクにインストールして使用するのが好ましい。或いは、コンピュータシステムから情報通信ネットワークを通じてアクセス可能な外部記憶領域(他のコンピュータ等)に当該コンピュータプログラムを記録しておき、必要に応じて随時、前記の外部記憶領域から情報通信ネットワークを通じてこれを直接、又はハードディスクにインストールして使用するのが好ましい。
【0116】
以上、本発明の一実施形態に係る分析精度管理システム100について詳細に説明したが、本発明の実施の形態はこれに制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を加えて実施することが可能である。
【0117】
例えば、分析精度管理システム100を構成する各構成要素(検体試料供給部101、分析搬送ライン102、精度管理試料供給部103、分析部104、精度管理試料回収部105、検体試料回収・再検試料ピックアップ部106、再検搬送ライン107、精度管理試料供給部108、再検部109、再検試料・精度管理試料回収部110、ホストコンピュータ111)は、上述の組み合わせに限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、新たな構成要素の追加や、何れかの構成要素の削除・変更・分割、何れか二以上の構成要素の併合等を行なうことが可能である。
【0118】
このような変形の具体例としては、以下が挙げられる。
例えば、上述の様に、検体試料供給部101や検体試料回収・再検試料ピックアップ部106に、分注機を備えさせてもよい。
【0119】
また、上述のように、分析搬送ライン102や再検搬送ライン107上に、分析待ちバッファ、分析結果待ちバッファ、再検待ちバッファ等を追加してもよい。特に、分析対象となる検体試料の本数や分析項目が多い場合には、分析部104による分析に相当の時間を要するので、その結果が出るまで検体試料を待機させておくために、分析結果待ちバッファを設けることが好ましい。
【0120】
また、同じく分析搬送ライン102や再検搬送ライン107に沿って、何らかの異常が生じた場合に検体試料・再検試料等を強制排出する手段や、臨時に生じた検体試料を投入する手段等を追加してもよい。
【0121】
また、精度管理試料回収部105と検体試料回収・再検試料ピックアップ部106とを統合し、精度管理試料の回収と検体試料の回収と再検試料のピックアップとを並行して行なうように構成してもよい。
【0122】
また、検体試料回収・再検試料ピックアップ部106を変更し、再検試料の選出や再検搬送ライン107への移し変えを、手動で行なってもよい。
【0123】
また、再検に供される検体試料の本数が少ない場合等は、再検搬送ライン107上の精度管理試料供給部108を省略し、精度管理試料を手操作で挿入する構成としてもよい。
【0124】
また、再検手段113に相当する構成要素(検体試料回収・再検試料ピックアップ部106、再検搬送ライン107、精度管理試料供給部108、再検部109、再検試料・精度管理試料回収部110)を省略し、ホストコンピュータ111(精度管理手段200)及び分析手段112のみからなる分析精度管理システムとすることも可能である。この場合、分析搬送ライン102の終端に、検体試料回収・再検試料ピックアップ部106に替えて、検体試料を回収する手段(検体試料回収部)を設ければよい。これによって、システムの構成をより簡素なものとすることができる。
【0125】
また、一台のホストコンピュータ111に全ての構成要素の制御機能を併有させるのではなく、構成要素によっては別の制御端末(制御用コンピュータ)を設けてもよい。例えば、分析部104や再検部109については、専用の制御端末を設けて制御を行なうことが好ましい。また、これらの構成要素の制御機能と、精度管理手段200の機能とを、別のコンピュータで実現してもよい。更には、複数のコンピュータで各構成要素の制御機能や精度管理手段200の機能を分担する場合に、その上位に更に別の統括処理用のコンピュータを設ける等、階層構造のコンピュータシステムとして構成してもよい。
【0126】
また、精度管理手段200の構成(第1判定手段201、第2判定手段202、第3判定手段203、第4判定手段204、出力手段205、通知手段206)やその機能の連関等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、任意の変更が可能である。
【0127】
具体例としては、以下の変更が挙げられる。
まず、精度管理処理の順序は、図4を用いて説明した第1判定手段201、第2判定手段202、第3判定手段203、第4判定手段204の順序に制限されるものではなく、適宜変更してもよい。特に、第2判定手段202と第3判定手段203の判定の順序は、任意に入れ替えが可能である。即ち、第1判定手段201、第3判定手段203、第2判定手段202、第4判定手段204の順に判定を行なってもよい。
【0128】
また、通知手段206による通知(第1〜4判定手段201〜204による判定結果が「否」であった旨のアラート)のタイミングや、それに対して再検の指示を入力するタイミング等も、適宜変更することが可能である。
【0129】
また、通知手段206による通知(第1〜4判定手段201〜204による判定結果が「否」であった旨のアラート)の際に、判定結果が否であったバッチの検体試料の測定結果の情報や、対応する患者の情報等の各種の情報を、リスト形式で出力するように構成してもよい。これによって、システムの管理者(精度管理の担当者)が、より詳しい情報に基づいて精度管理の判断を行なうことが可能となる。
【0130】
また、上述の出力手段205や通知手段206を省略し、第1〜4判定手段201〜204による判定結果が「否」であった場合には、単に精度管理手段200による処理を停止するように構成してもよい。
【0131】
また、上述の分析精度管理システム100では、精度管理手段200における全ての判定(第1判定手段201、第2判定手段202、第3判定手段203、第4判定手段204による判定)が終了し、全ての判定において再検の必要がないとの判定結果が得られた場合に限り、分析後の検体試料を回収して次段の処理等に供していた(図2のステップS105のNOルート及びステップS110参照)。
【0132】
しかし、精度管理手段200の一部の判定手段(例えば、第1判定手段201及び第2判定手段202)による判定において再検の必要がないとの判定結果が得られた場合には、分析後の検体試料を暫定的に再検の必要がないものと見なして回収し、次段の処理等に供してもよい。その場合、継続して精度管理手段200による残りの判定手段(例えば、第3判定手段203及び第4判定手段204)による判定を行ない、そこで再検の必要があると判定された場合には、次段の処理等から検体試料を回収して再検に供し、或いは、検体試料の元となるサンプルが多量に存在する場合には、同一のサンプルから別途検体試料を調製・分注し、それを用いて再検を行なってもよい。
【0133】
また、上述の分析精度管理システム100は、上述の[II.精度管理手段の説明]の欄で説明した特徴(精度管理手段200に関する特徴)と、上述の[III.精度管理試料を用いた精度管理の説明]の欄で説明した特徴(精度管理試料の挿入頻度の調整に関する特徴)との双方を備えていたが、何れか一方の特徴を備えさせることも可能である。
【0134】
例えば、精度管理試料供給部103,108において、分析項目によって精度管理試料の挿入頻度を変えることなく、全ての分析項目の精度管理試料を同一のタイミングで(即ち、各バッチ間の境界毎に)挿入するように構成すれば、上述の[II.精度管理手段の説明]の欄で説明した特徴(精度管理手段200に関する特徴)のみを備えた分析精度管理システムを実現することが出来る。こうした構成により、上述の[II.精度管理手段の説明]の欄で説明した効果に加え、システムの簡素化を図ることが可能となる。
【0135】
また、精度管理手段200における第2〜4判定手段202〜204の何れかを省略すれば、上述の[III.精度管理試料を用いた精度管理の説明]の欄で説明した特徴(精度管理試料の挿入頻度の調整に関する特徴)のみを備えた分析精度管理システムを実現することが出来る。こうした構成により、上述の[III.精度管理試料を用いた精度管理の説明]の欄で説明した効果に加え、やはりシステムの簡素化を図ることが可能となる。
【0136】
但し、精度管理の効率化及び分析精度の向上の観点からは、分析精度管理システム100のように、上述の[II.精度管理手段の説明]の欄で説明した特徴(精度管理手段200に関する特徴)と[III.精度管理試料を用いた精度管理の説明]の欄で説明した特徴(精度管理試料の挿入頻度の調整に関する特徴)との双方を備える構成とすることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0137】
本発明の分析精度管理システムは、分析精度の管理が必要となる各種の分析分野、具体的には、生化学検査、免疫血清学検査、血液学検査、内分泌検査、腫瘍関連検査、ウイルス学検査、薬毒物検査等の分野において、好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0138】
【図1】本発明の一実施形態に係る分析精度管理システムの構成を模式的に示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る分析精度管理システムの動作を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明の一実施形態に係る分析精度管理システムの精度管理手段の構成を模式的に示す機能ブロック図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る分析精度管理システムの精度管理手段による精度管理の手順を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態に係る分析精度管理システムの分析手段による精度管理試料の挿入方法を説明するための図である。
【図6】(a),(b)は何れも、本発明の一実施形態に係る分析精度管理システムの第1判定手段による精度管理の手順を説明するための図であり、(a)は、主要項目についての精度管理の手順を説明するための図、(b)は、少数項目についての精度管理の手順を説明するための図である。
【符号の説明】
【0139】
100 分析精度管理システム
101 検体試料供給部
102 分析搬送ライン
103 精度管理試料供給部
104 分析部
105 精度管理試料回収部
106 検体試料回収・再検試料ピックアップ部
107 再検搬送ライン
108 精度管理試料供給部
109 再検部
110 再検試料・精度管理試料回収部
111 ホストコンピュータ(精度管理手段)
112 分析手段
113 再検手段
200 精度管理手段
201 第1判定手段
202 第2判定手段
203 第3判定手段
204 第4判定手段
205 出力手段
206 通知手段
301 検体試料
302 バッチ
303 主要項目の精度管理試料
304 少数項目の精度管理試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者由来の複数の検体試料の間に精度管理試料を挿入し、各試料について順次、所定の分析項目に関する測定を行なう分析手段と、
該分析手段により得られた精度管理試料の測定結果に基づいて、検体試料の測定結果の精度の可否を判定する第1判定手段と、
該第1判定手段により可と判定された検体試料の測定結果を、各分析項目の管理基準値と比較することにより、その精度の可否を判定する第2判定手段と、
該第1判定手段により可と判定された検体試料の測定結果について、ヒストグラムに基づいて、その精度の可否を判定する第3判定手段と、
該第2判定手段及び第3判定手段により可と判定された検体試料の測定結果について、対応する患者の検歴に基づき、その精度の可否を判定する第4判定手段と、
該第4判定手段により可と判定された検体試料の測定結果を出力する出力手段と
を備えたことを特徴とする、分析精度管理システム。
【請求項2】
該第1判定手段、該第2判定手段、該第3判定手段、及び該第4判定手段のうち、少なくとも何れか一つの手段において否と判定された検体試料について、複数の検体試料の間に精度管理試料を挿入し、各試料について順次、所定の分析項目に関する再測定を行なう再検手段を更に備えることを特徴とする、請求項1記載の分析精度管理システム。
【請求項3】
該分析手段が、各分析項目の測定頻度に応じた頻度で、対応する精度管理試料を挿入するとともに、
該第1判定手段が、各精度管理試料の挿入頻度に基づいて、検体試料の測定結果の精度の可否の判定を行なうことを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の分析精度管理システム。
【請求項4】
該第1判定手段、該第2判定手段、該第3判定手段、及び該第4判定手段のうち、少なくとも何れか一つの手段により何れかの検体試料が否と判定された場合に、その旨及びそれらの検体試料に関する情報をシステム外に通知する通知手段を更に備えることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項に記載の分析精度管理システム。
【請求項5】
複数の検体試料の間に精度管理試料を挿入し、各試料について順次、所定の分析項目に関する測定を行なう分析手段と、
該分析装置により得られた精度管理試料の測定結果に基づいて、検体試料の測定結果の精度の可否を判定する判定手段と、
該判定手段により可と判定された検体試料の測定結果を出力する出力手段とを備え、
該分析手段が、各分析項目の測定頻度に応じた頻度で、対応する精度管理試料を挿入するとともに、
該判定手段が、各精度管理試料の挿入頻度に基づいて、検体試料の測定結果の精度の可否の判定を行なうことを特徴とする、分析精度管理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−108136(P2007−108136A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−301907(P2005−301907)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(591122956)株式会社三菱化学ビーシーエル (45)
【Fターム(参考)】