分析結果管理の方法および装置
【課題】
センターに集計された過去の分析データと実際の分析データを照合することにより、試薬劣化などデータ異常の可能性を客観的に評価し、高信頼な分析を継続できる分析装置を提供する。
【解決手段】
分析装置による分析操作を実行する前に、セットされた試薬ボトルの識別コードに基づき過去の分析データ群をセンターから取得し、分析結果が出力されたときに分析データ群から統計評価した結果を表示し、分析結果の信頼性を評価する材料とする。
【効果】
センターに広域から集計された分析結果とその評価を材料にして、現在の分析結果を評価することができるので、試薬劣化などデータ異常の可能性を客観的に評価し、高信頼な分析結果を継続的に得ることができる。
センターに集計された過去の分析データと実際の分析データを照合することにより、試薬劣化などデータ異常の可能性を客観的に評価し、高信頼な分析を継続できる分析装置を提供する。
【解決手段】
分析装置による分析操作を実行する前に、セットされた試薬ボトルの識別コードに基づき過去の分析データ群をセンターから取得し、分析結果が出力されたときに分析データ群から統計評価した結果を表示し、分析結果の信頼性を評価する材料とする。
【効果】
センターに広域から集計された分析結果とその評価を材料にして、現在の分析結果を評価することができるので、試薬劣化などデータ異常の可能性を客観的に評価し、高信頼な分析結果を継続的に得ることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動化学分析装置あるいは自動免疫分析装置等において分析項目を分析する際に用いる試薬液に関連する分析結果の管理方法および管理装置に係り、特に複数の試薬液を扱う場合の分析結果管理の方法および装置に関する。一般に試薬を用いて分析を行う分析装置にも適用される。
【背景技術】
【0002】
生体試料を分析する場合には、その試料中の被検査分析項目に対応する試薬と試料を混合して反応液を得てその反応液の光学的特性を測定して分析項目の濃度を算出することが一般的である。分析項目に応じて反応ライン上の反応容器に試薬液を供給する方法には、試薬吸排ノズルを用いるピペッタによる方法と試薬流通管を用いるディスペンサによる方法がある。いずれの場合も、試薬劣化防止など、試薬を中心とした分析の高信頼化技術が必要となる。
【0003】
このような例として、特許文献1が知られている。この先行技術には、一度使用された試薬ボトルの識別コードを記録・管理し、劣化した試薬の継ぎ足しなどの試薬劣化事由を検出し警告する試薬管理方法が記載されている。すなわち、使用済の試薬ボトルの識別コードをメモリにストアしておき、同じボトルが再度分析装置の試薬ディスクにセットされたときにその使用を禁止している。
【0004】
【特許文献1】特開平9−26425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の先行技術によれば、試薬ボトルごとに分析可能回数を管理し、試薬の継ぎ足しなどにより発生する試薬の劣化に伴いデータ異常を防止することにより、より精度の高い分析管理が可能になる。
【0006】
しかし、分析装置の高い精度を維持・支援する手段としては、試薬ボトル管理に限られない。例えば、検量線を作成するために濃度既知の標準検体を分析するキャリブレーションにおいて、結果に不都合があれば、その検量線を用いる後続の検体検査に不都合が伝播し、分析の精度を阻害しうる。また、一連の検体検査内に一定間隔で濃度既知の検体(コントロール検体)を分析させ、その値が正しいばらつき範囲内に収まっているかをチェックする場合にも、このコントロール検体の分析結果判定に不都合があれば、同様に分析の精度を阻害しうる。更に一般検体分析(緊急検体も含む)においては、検体の特異性に起因する特異反応が起きる場合があり(特開平6−213893号公報参照)、この特異反応に対する判定を誤ると、やはり分析の精度を阻害しうる。
【0007】
これらについては、従来、全て当該施設内における当該装置での経験により、分析担当者が判定していた。例えば、キャリブレーションにおいては、前回のキャリブレーション結果とどれくらい乖離しているかにより分析の正否を判定し、コントロール検体の分析結果については前回までのコントロール検体の分析結果群から見たばらつき具合により分析の正否を判定する。また、一般検体における特異反応についてはその反応カーブを目視し、それまでの当該検査室における経験からこの正否を判定する。いずれにしても、その検査室内部の主観的な判断に依拠せざるを得ず、判断に客観性・一般性を導入することができなかった。
【0008】
本発明の目的は、他施設の分析装置をも含みうる複数分析装置から集計された過去の分析データと実際の分析データを照合することにより、試薬劣化などデータ異常の可能性を客観的に評価し、継続的に高信頼な分析を達成できる分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、分析装置の反応容器へ分析項目に応じた試薬を分注して分析するのに際し、あらかじめ複数分析装置から分析実績データを収集し判定支援センターに蓄積し、判定支援情報を該判定支援センターから取得できる状態にしておき、分析装置において試薬設置部に試薬液槽が設置されたらその試薬の識別情報に基づき該判定支援情報を取得し、その試薬を使用した分析における結果判定の支援材料として前記判定支援情報を利用するように構成したことを特徴とする。ここで、好ましくは、分析実績データとは、濃度変換される前の吸光度値,濃度値,濃度変換するための検量線のパラメータ(例えば検量直線の傾きなど)、これらに関する定性的判定情報(真偽値,文字列など判定を叙述する手段)を含み、判定支援情報とはこれら分析実績データそのもの、あるいはその加工情報(例えば、平均値・標準偏差値などの統計値)を含む。また、前記判定支援センターに直接接続されるのは分析装置に限られるものではなく、分析装置と同等の情報を入出力できる、例えば表示器と設定器を備えた端末機であってもよい。
【0010】
また、前記判定支援センターには、通信路を経由して試薬提供業者や装置提供業者を接続することにより、試薬特性や装置特性などの業者が有する情報を判定支援センターに提供して、分析装置の判定支援情報に利用する構成も考えられる。この場合、業者は逆に試薬や装置の利用状況を判定支援センターから取得できる。
【0011】
更に、分析装置における分析担当者が判定支援を受けるために、判定支援センターに存在する過去の分析実績データを検索・抽出して閲覧する構成が考えられる。また、分析担当者の質問を判定支援センターに送付することで、判定支援センターに接続されている業者や他の分析装置の分析担当者に問合せを行って回答を得て、質問者に該判定支援センターから回答する構成も考えられる。この場合、その質疑応答情報も該判定支援センターに蓄積して判定支援情報として利用されうる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、センターに広域から集計された分析結果とその評価を材料にして、現在の分析結果を評価することができるので、試薬劣化などデータ異常の可能性を客観的に評価し、高信頼な分析結果を継続的に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一実施例を説明する。図1は多項目化学分析装置の全体構成図である。図1において、検体を収容した多数の検体容器1が検体搬送ディスク2に配列されている。検体分注機構5の吸排ノズルは検体用シリンジポンプ7に接続されている。ポンプ7および分注機構5の動作は、インターフェイス4を介して各機構部の動作制御および測定データの演算をするマイクロコンピュータ3によって制御される。反応浴槽9に対して回転可能に設けられた反応テーブル17上には多数の反応容器6が配列され、反応ラインを形成している。反応浴槽9へは恒温液供給部10から摂氏37度に維持された恒温液が供給される。多波長光度計は光源14と多波長分光器15を備えており、光源14からの光ビームを反応容器6の列が横切るように反応テーブル17が回転移送される。使用済の反応容器6は洗浄機構19によって洗浄され再使用に供される。撹拌機構13は反応容器6に加えられた検体とその分析項目に対応する試薬液とを混合する。多波長分光器15によって得られる反応液に基づく測定信号は、A/Dコンバータ16によってアナログ信号からディジタル信号に変換され、マイクロコンピュータ3に入力される。
【0014】
第1試薬用の試薬ディスク26Aおよび第2試薬用の試薬ディスク26Bには、各分析項目に対応した多種の試薬ボトル12が円周に沿ってそれぞれ設置される。つまり、ディスク26A,26Bは選択的に回転可能な試薬ボトル収納部である。ディスク26Aの近傍にはバーコード読取装置23Aが、ディスク26Bの近傍にはバーコード読取装置23Bが配設される。試薬分注器は試薬分注ピペッタ8A,8Bおよび試薬用シリンジポンプ11を含む。これらのピペッタ8A,8Bは、吸入位置に停止された試薬ボトル12内の試薬液を吸排ノズル内に所定量吸入保持し、それらの吸排ノズルを反応容器列上に回動し試薬受入位置に停止している反応容器6に、保持していた試薬液を吐出する。この際に分注される試薬液は、各反応容器に割り当てられている分析項目に対応した種類のものである。
【0015】
それぞれの試薬ボトル12には、図2に示すようにその外壁にバーコードが印刷された試薬バーコードラベル22が貼付けされている。このバーコードとして表示される情報は、例えば、シーケンス番号からなる各ボトル固有の試薬ボトルコード,そのボトルのサイズ,その試薬液の有効期限,第1試薬か第2試薬か第3試薬かを示す試薬分注順番,その試薬液の最大分析可能回数,1回の分注使用量を示す試薬分注量,製造ロット番号などである。各試薬ボトル12からバーコード読取装置23A,23Bによって読み取られた試薬情報は、記憶部25又はマイクロコンピュータ3の各々対応するメモリエリアに記憶される。試薬ボトル12が試薬ディスク26A,26Bに収納されたのに伴って試薬情報がバーコード読取装置23A,23Bによって読み取られるが、その際に、各試薬ディスクに設けられている回転角検知部によって各試薬ボトルのセット位置を示す信号が出力され、インターフェイス4を介してマイクロコンピュータ3に入力される。試薬情報とボトルセット位置と分析項目は対応づけて記憶される。
【0016】
操作者は、CRT18の画面とキーボード21を使って各種情報を入力することができる。分析項目の測定結果は、プリンタ27およびCRT18に表示できる。フロッピーディスク24(フロッピーは登録商標)の情報はその読取装置によって読み取られ、記憶部25又はマイクロコンピュータ3の該当するメモリエリアに記憶される。フロッピーディスク24に記憶されている情報は、例えば次のものである。すなわち、5桁で表示される分析項目コード,その分析項目で共通に使用されるパラメータ,試薬ボトルごとに別々に記憶されるパラメータなどである。そのうち、分析項目で共通に使用されるパラメータとしては、光度計で使用する波長,サンプル量,キャリブレーション方法,標準液濃度,標準液本数,分析異常のチェック限界値、などである。また、試薬ボトルごとのパラメータとしては、試薬種別,試薬分注順番,試薬ボトルコード,試薬液容量,試薬分注量,最大分析可能回数,試薬製造年月日などである。
【0017】
記憶部25には、フロッピーディスク24から読み取られた情報の他に、分析装置の各機構部の動作条件,各分析項目の分析パラメータ,各試薬のボトル管理を行う判定論理,試薬ボトルから読み取られた最大分析可能回数,分析結果などが記憶される。試薬情報は試薬ボトルの納入時にメーカによって供されるフロッピーディスクによって提供される。
フロッピーディスクによって試薬情報が準備されない場合は、試薬ボトルに付属されている目視確認用紙に記載された情報を、操作者が画面とキーボード21を使用して分析装置に入力することもできる。
【0018】
検体容器1には、図3に示すようにその外壁にバーコードが印刷された検体バーコードラベル50が貼付けされている。このバーコードとして表示される情報は、例えば、検体を一意に決定する検体識別番号である。この番号は、バーコード読取装置28により読み取られ、検体搬送ディスク2の角度検知により、検体位置と検体識別番号が対応が認識される。一方、検体識別番号に対応した分析項目はあらかじめキーボード21とCRT18により入力され記憶されているので、先のバーコード読み取り時に結局検体位置と検体識別番号と分析項目が対応づけられて記憶される。また、検体識別番号の上位番号によりその検体が標準検体なのかコントロール検体なのか一般検体なのかが一般に識別可能となっている。
【0019】
自動分析装置全体の分析は以下のようにサンプリング,試薬分注,撹拌,測光,反応容器の洗浄,濃度換算等のデータ処理の順番に実施される。試料を入れた検体容器1は、検体ディスク2上に複数個設置されている。検体ディスク2は、コンピュータ3によりインターフェイス4を介して制御される。また、検体ディスク2は、検体容器1外壁のバーコード50をバーコード読取装置28で読ませて、検体と分析項目を対応づける。その後、分析される試料の順番に従って検体分注機構5のプローブの下まで回転移動し、所定の検体容器1の検体が、検体分注機構5に連結された検体用ポンプ7の動作により反応容器6の中に所定量分注される。検体を分注された反応容器6は、反応浴槽9の中を第1試薬添加位置まで移動する。移動した反応容器6には、試薬分注ピペッタ8の吸排ノズルに連結された試薬用ポンプ11の動作により試薬容器12から吸引された試薬が所定量加えられる。第1試薬添加後の反応容器6は、撹拌機構13の位置まで移動し、最初の撹拌が行われる。試薬ディスク26A,26Bに第4試薬までセットされている場合には、このような試薬の添加−撹拌が、第1〜第4試薬について行われる。
【0020】
内容物が撹拌された反応容器6は光源から発した光束を通過し、この時の吸光度が多波長分光器15により検知される。検知された吸光度信号はA/Dコンバータ16を経由して、インターフェイス4を介してコンピュータ3に入り、検体の濃度に変換される。濃度変換されたデータは、インターフェイス4を介してプリンタ27から印字出力され、CRT18の画面に表示される。測光の終了した反応容器6は、洗浄機構19の位置まで移動し、容器洗浄ポンプにより内部を排出後、洗浄液で洗浄され、次の分析に供される。
【0021】
本発明の一実施例は、以上説明した分析装置を1台以上、通信路により判定支援センターに接続して構成される。図4は、本発明の一実施例のシステムブロック図である。
【0022】
図4において、分析装置101Aは通信路103を介して判定支援センター100内の通信部102に接続されている。同様に複数の分析装置101B,101Cなどが接続される。分析装置101A内の機能ブロックを用いて分析装置における動作を説明する。分析装置に試薬ボトルが設置されると、試薬用のバーコード読取装置により試薬ボトルコードが認識される。このボトルコードは、判定支援情報を要求する目的で、通信部104により判定支援センターに送られる。要求には試薬ボトルの認識コードの代わりにその試薬液を特定するコードを用いてもよい。いずれのコードを使用しても、その試薬液の特性としての判定支援情報を要求することが目的である。判定支援センターでは、過去に多数の分析装置(本実施例では101A,101B,101C)が送ってきた分析実績データを蓄積部151に格納してある。分析装置からの要求に応じて、判定支援センターでは過去の分析実績データを用いて統計部150により試薬液に対応する各種分析実績データの平均値と標準偏差を算出する。算出対象は、標準検体のファクタ値,コントロール検体の濃度値,反応工程における特定時点の吸光度である。また、全反応工程の吸光度系列を規定数だけ任意抽出する。更に当該試薬液を過去に使用した時に検査技師がコメントした正否判定及び文章(非数字情報)も抽出する。算出した平均値・標準偏差及び前述した抽出情報を判定支援情報として、先に要求のあった分析装置101Aに送り返す。分析装置101Aはこれらをそれぞれファクタ用メモリ108,QC(Quality Control)値用メモリ109,反応曲線用メモリ107,コメントメモリ111に格納する。
【0023】
分析装置で分析が開始されると、前述の通り検体容器1の試料と試薬が反応容器6内で混合され反応が進行し、A/Dコンバータ16から出てくる吸光度信号は、その検体が一般検体やコントロール検体の場合には分析結果算出106で濃度値に変換される。また、標準検体の場合には分析結果算出106により検量線の傾きにあたるファクタ値に変換される。次に、判定部115により、検体が標準検体の場合にはファクタ用メモリ108内ファクタ値の平均値と標準偏差、検体がコントロール検体の場合にはQC値用メモリ109内濃度値の平均値と標準偏差、また、一般検体の場合には反応曲線用メモリ107内特定反応工程時点の吸光度の平均値と標準偏差、それぞれが取得される。取得された平均値と標準偏差、及び、分析結果算出106にある被判定値(変換された濃度値あるいは吸光度)を使用し、被判定値と平均値との差を標準偏差で割った値が閾値用メモリ110内の対応する閾値を超えていた場合には警告を発生させる。ここで、閾値用メモリ110内情報については、キーボード21,CRT18によりあらかじめ各種被判定値用にその閾値を設定しておく。
【0024】
発生した警告はCRT18上での表示または注意を喚起するためのブザーなどで報告される。また、プリンタ27に印字される分析結果の付帯情報として警告が印字される。更にコメントメモリ111内にある過去に当該試薬を使用したときのコメントを表示してオペレータの判定を支援する。コメントの中には、結果が良好と判定できなかった過去の経験とその理由などが文章で書かれているため、多様で客観的な見地で分析結果の判定をすることができる。
【0025】
これらの支援を受けて、分析の担当者は結果を検討し問題を解決する。問題解決事項を後の判定支援に利用するために残したい場合には、問題解決に関するコメントをキーボード21により入力する。分析結果算出106にある被判定値は、コメントがあればそれと一緒に通信部104,通信路103,通信部102を経由して、蓄積部151に蓄積され、後の判定支援に利用される。
【0026】
標準検体やコントロール検体が試薬メーカから提供されている場合には、その検体に特定の検体識別番号が割り振られ、他の一般検体の検体識別番号とは明確に区別される。このような検体識別番号が検体バーコード読取装置28により読み取られると、判定部115はその特定検体の検体識別番号と使用する試薬コードとが合わせて判定支援センターに送られ、判定支援情報の問合わが行われる。判定支援センターでは、当該試薬のファクタ値の中で特にその特定検体を使用した場合の値のみを抽出して、平均値・標準偏差を計算し、これを分析装置に送る。これにより、試薬の特性に加えて、特定検体の特性も加味した判定支援が可能になる。
【0027】
判定支援センターは、試薬提供業者160A,160Bとも通信路を介して接続されている。試薬提供業者は、提供する試薬の反応工程吸光度系列や提供する標準検体・コントロール検体の参考平均値・標準偏差をサンプルとして通信路経由で設定する。設定されたこれらデータは、検査室の選択により前述と同様に判定支援情報として利用できる。また、特定の反応に関して試薬提供業者としてのコメントを同様に判定支援センターの蓄積部151に蓄積し、判定支援情報として活用することもできる。更に、検査技師が判定に苦慮するデータと質問を判定支援センターに送り、試薬提供業者がこの質問を受信してこれに対する回答・助言をコメントとして書いて判定支援センターに送り、この回答・助言を質問元の分析装置が受信しこれを検査技師が検査結果判定に利用する。質問の宛先は試薬提供業者に限るものではなく、質問の宛先を他施設の検査技師にすれば、他施設の検査技師の知見を得ることができる。これら質疑応答の内容は、コメントとして蓄積部151に蓄積され、後の判定支援情報として活用できる。
【0028】
図5により、分析装置101と判定支援センター100間の情報の流れを説明する。分析装置101は、判定支援情報要求503を送信する。これを受信した判定支援センター100では、分析結果の評価を支援する情報である判定支援情報504を送り返す。また、分析装置は分析終了後に分析実績データ505を判定支援センター100に送る。この分析実績データ505には、分析結果,分析結果の評価結果と検査技師の氏名と検査施設の施設名のうち一部または全情報が含まれており、判定支援センターにより判定支援情報に変換される。また、判定支援センターの蓄積部にある分析実績データの一部または全部を検索するために、分析装置は判定支援センターに対して評価結果検索要求506を送信し、これに対して、判定支援センターは検索を行いその検索結果507を分析装置に返信する。
【0029】
図6は、判定支援センター100が管理する蓄積部151のデータ構造を示す。該蓄積部には、分析装置101から送信された分析実績データが分析装置101の識別IDである装置ID毎に格納される。管理装置数601は、判定支援センター100が管理している分析装置101の数を示す。この601の部分をヘッダ部と呼ぶ。
【0030】
装置ID602と装置タイプ603とPWD604とデータ数605は、それぞれ、装置を一意に識別するIDと分析装置の機種とパスワードと管理している分析実績データの数を示す。装置を一意に識別するIDとしては、装置のマイクロコンピュータが読み取ることのできる、製造毎に割付けられる装置固有番号を使用するが、分析装置とネットワーク接続する場合にそのアドレスが一意に決定される場合にはそのアドレスを装置IDとして用いることもできる。パスワードは正当に接続されるべき相手の分析装置と判定支援センターの2者のみが知りうる文字列であり、判定支援センターと分析装置とが接続される時点で通信路上で互いのパスワードを照合し、一致したときに始めて通信接続が確立される。一致しなかった場合には誤った分析装置あるいは判定支援センターへの接続であることから通信を遮断する。これにより誤った分析装置の情報を収集する危険や、故意による不正接続を防止する。
【0031】
PWD604にはこの他分析装置で情報発信する人や、判定支援センターにおける操作者の認証を行うための暗号鍵(公開鍵システム)を含めることができる。すなわち、ある送信者の送信内容について確かにその送信者であることを証明するために、その送信者のみが知りうる秘密鍵による暗号で送信内容物のハッシュ値(MD5などの手法による)を暗号化した証明文を送信内容物に添付し、受信側はその送信者の公開鍵で先の証明文を解読した値と送信内容物のハッシュ値が一致して初めて、送信者本人の送信物であることを確認できる。この暗号鍵により、分析装置側,判定支援センター側双方の人の認証ができるため、判定支援情報として広域に使用されるという使命と責任を着実に確認しながら正当な情報収集ができる。このような認証システムは後述する業者と判定支援センターとの間の通信においても適用できる。また、錯誤により誤った分析実績データの送信は、その錯誤が判明した時点で判定支援センターに削除を依頼することで、この責任を全うできる。
【0032】
以上の装置ID602,装置タイプ603,PWD604,データ数605からなるデータ領域をサブヘッダ部と呼ぶ。
【0033】
図6のデータ構造は、大きくヘッダ部,サブヘッダ部,分析実績データの3層から構成される。すなわち、前記ヘッダ部の下に複数の前記サブヘッダ部が存在し、そのサブヘッダ部各々に複数の分析実績データが存在する形となる。
【0034】
分析実績データは、種類によってその内容が異なるため、先頭にその種類を識別するためのIDとして検査ID606を設けている。該検査ID606を参照することにより、該分析実績データが標準検体に関するデータなのか、QC検体に関するデータなのか、一般検体に関するデータなのかを識別することができる。
【0035】
分析実績データの内容を説明する。日時607は、検体の分析を行った日時である。検体ID608は、標準検体やQC検体や一般検体毎に各検体を一意に識別するための識別子である。試薬ID609は、試薬提供業者内で試薬液を一意に識別するための識別子である。一分析項目に複数の試薬液を用いる場合には複数の識別子が入る。試薬提供業者ID610は、試薬の提供業者を一意に識別するための識別子である。項目名称611は、分析を行った項目の種類を示す。測定値612には測定結果が入り、標準検体の場合には検量線パラメータであるファクタ、その他の場合には濃度値となる。データアラーム613は、検体の分析中に分析装置が検出した警告(例えば試料不足など)を示す情報である。正否判定614は、分析結果の信頼性の判定結果である。分析結果の信頼性に異常が無い,異常がある,分からない、などの判定が入る。技師名615と施設名616は、分析結果の評価結果を元に分析結果の信頼性の判定614またはコメント617を分析装置に入力した検査技師の名称と分析を行った施設の施設名である。コメント617は、分析結果や判定、吸光度データに対する判定理由文や注釈文等である。吸光度データ618は、1反応工程における吸光度系列データである。なお、図6内に明示されていないが、検査IDが一般の場合には、その検体種別(血清,尿など)や、患者個人の属性情報(性別,年齢,喫煙有無など)を付加することもできる。
【0036】
検体が標準検体である場合、判定支援情報要求503は、検査種別602と試薬ID609と試薬提供業者ID610と標準検体ID608と項目名称611から構成され、判定支援情報504は、平均値と標準偏差と最新の3つの吸光度データから構成される。平均値と標準偏差は、標準検体の分析実績データの中で、試薬ID609と試薬提供業者ID610と標準検体ID608と項目名称611が一致するような分析実績データ群を統計母集団として計算した測定値612の平均値と標準偏差である。ただし、該平均値と該標準偏差の算出において、検索の対象となる分析実績データは正否判定614が「異常なし」であるデータとする。
【0037】
検体がコントロール検体である場合、判定支援情報要求503は、検査種別602と試薬ID609と試薬提供業者ID610とQC検体ID608と項目名称611から構成され、判定支援情報504は、平均値,標準偏差、最新の3つの吸光度データから構成される。平均値と標準偏差は、標準検体と同様の方法で求める。
【0038】
検体が一般検体である場合、判定支援情報要求503は、検査種別602,試薬ID609,試薬提供業者ID610,項目名称611,濃度範囲,判定に使用する吸光度値を示す吸光度系列内のインデックスから構成され、判定支援情報504は、平均値,標準偏差,最新の3つの吸光度データから構成される。平均値と標準偏差は、一般検体の分析実績データの中で、試薬ID609と試薬提供業者ID610と項目名称611が一致し、かつ、測定値612が前記濃度範囲に入るような分析実績データ群を統計母集団として、吸光度データ618内データ系列における前記インデックスで指定された場所の吸光度の平均値と標準偏差である。ただし、該平均値と該標準偏差の算出において、検索の対象となる分析実績データは正否判定614が「異常なし」であるデータとする。
【0039】
評価結果の検索においては、評価結果検索要求506に試薬ID609と試薬提供業者ID610とQC検体ID619と技師名615と分析が行われた期間を指定し、検索結果507として、指定された期間に特定の技師が行った測定値、吸光度データ、該結果に対するコメントを受信するものとする。また、評価結果検索要求506に検査IDと試薬IDと試薬提供業者IDを指定し、さらに分析が行われた期間と患者属性の一部または全部(性別,年齢,喫煙有無など)を指定し、検索結果507として、指定された期間における特定の性別,年齢,喫煙有無を指定した測定値,吸光度データ,該結果に対するコメントを取得してもよい。患者属性に関する情報は、分析装置の判定部115が、検体IDと個人の属性の対応に関する情報を所定のメモリから読み込み、評価結果検索要求506に指定する。
【0040】
図8は本発明の一実施例の業務フロー図である。分析を開始する前に分析装置の操作員は、判定支援のシステムが有効に動作するための準備として分析パラメータ設定(801),閾値設定(802),統計検査条件設定(803)を行う。分析パラメータ設定(801)では、フロッピーディスク24からの情報を読み取り、分析装置による分析操作の開始前に各種パラメータが取り込まれる。閾値設定(802)では、試薬毎更に標準検体やコントロール検体毎に統計的偏りの上限指数である閾値を設定する。また、判定条件設定(803)では、判定支援センターに要求する判定支援情報を絞る条件を設定する。例えば、標準検体については特定標準検体の統計値(平均値・標準偏差)を使用する、コントロール検体については特定コントロール検体の統計値を使用する、特定試薬を使った分析の吸光度については反応工程中、特定時点のポイントの吸光度の統計値を使用する、更に、判定支援に使用する情報として特定施設あるいは施設群の情報のみのデータから算出された統計値を使用する、特定検査技師の判定したデータのみから算出された統計値を使用する、などを指定する。
【0041】
次に、操作員は試薬ボトルを分析装置に設置し、そのバーコードを装置に読み込ませる(804)。すなわち、試薬ディスク26A,26Bにセットされた試薬ボトル12のバーコードをバーコード読取装置23Aによって読み取る。これにより、試薬ボトルコードを認識した分析装置は、判定支援センターに対して判定支援情報の要求を行い、判定支援センターから返信された判定支援情報を記憶する(805)。返信された判定支援情報が標準検体に関する情報で有る場合はファクタ用メモリに、QC検体に関する情報である場合はQC用メモリに、一般検体に関する情報である場合は反応曲線用メモリに、格納する。
【0042】
以上の準備を行った後に、操作員は分析装置に分析開始を指示する。分析装置が稼動し分析が行われると(806)、反応が終った検体から随時その分析結果算出が行われる(807)。その検体タイプが、標準検体であるならば判定支援情報の標準検体のファクタ値の平均値・標準偏差を(810)、コントロール検体であるならば判定支援情報のコントロール検体の濃度平均値・標準偏差を(809)、一般検体であるならば判定支援情報の反応工程中特定時点の吸光度の平均値・標準偏差を(808)、使用して判定を行う。判定の方法としては、807で得た被判定値と平均値との差を標準偏差で割った値を、ステップ802で入力した閾値と比較する。閾値を上回るようであれば平均値からの偏差が許容範囲外ということで警告を発生させる。これを全検体について繰り返す(811)。
【0043】
全ての分析が終了すると、検査の責任者は全検体の分析結果の正否を判定するためにレビュー画面を見る(812)。ステップ812では、分析結果がQC検体の分析結果である場合、QC値用メモリからQC値と平均値と標準偏差を読み込み、反応曲線用メモリから反応吸光度カーブのデータを読み込み表示部(112)に表示する。また、検体が標準検体である場合、ファクタ用メモリ(108)からファクタと平均値と標準偏差を読み込み、反応曲線用メモリから反応吸光度カーブのデータを読み込み表示部(112)に表示する。検体が一般検体である場合、反応曲線用メモリから反応吸光度カーブのデータを読み込み表示部(112)に表示する。本実施例では、反応吸光度カーブは検体分析により測定した反応吸光度カーブと判定支援センターから受信した反応吸光度カーブを重ねて表示する。また、各グラフの色を変えて表示するものとする。レビュー画面では、結果を判定支援情報とその判定と共に表示させ、最終判定及びコメントを入力する(813)。検体が標準検体であれば、ファクタの値と平均値の差の絶対値が標準偏差×閾値よりも小さければ正、大きければ否とする。検体がQC検体であれば、QC値と平均値の差の絶対値が標準偏差×閾値よりも小さければ正、大きければ否とする。また、表示部に表示された反応吸光度カーブのグラフも正否判断に使用する。正否判定後、検査技師は、分析結果の信頼性の判定とコメントと氏名と施設名をユーザインターフェースを介して分析装置に入力する。分析結果と検査技師が入力した評価結果は所定のメモリに格納する。特に、否の判定時には、キーボード21に対する入力により該判定結果と該評価結果に関する情報を表示部112に表示またはプリンタ27を使用して該判定結果と該評価結果に関する情報を印字することもできる。また、否の判定時には現行試薬の分注を中止することにより後続分析を停止する。警告によってこの停止を知らされた操作員が、具体的な原因究明作業を開始する。入力されたデータを後々の判定支援に活用したい場合には、各検体の分析結果と評価結果と分析を行った検査技師名と施設名に装置IDと装置タイプを加えたデータを分析実績データ504として判定支援センターに送信する(814)。
【0044】
図9を用いて判定支援センター側の処理フローを説明する。図9(A)は判定支援情報送信のフローである。判定支援センターは、分析装置から判定支援情報要求を受け取る(901)。この要求には、試薬ボトルコードが含まれる。判定支援情報として提供する情報は試薬液単位であるため、センターではこのボトルコードから試薬液コードを割り出し、これに基づいて判定支援情報を検索・算出する(902)。また、要求に判定支援情報を絞り込む条件が盛り込まれている場合には(例えば、特定の施設のデータのみから算出するなど)、検索の条件として適用する。計算された判定支援情報は、要求のあった分析装置に送られる(903)。
【0045】
図9(B)は分析装置から送られる分析実績データの処理フローである。分析装置から分析実績データを受信すると(904)、判定支援センターでは送り元通信アドレスから発信元分析装置のIDを算出し、この分析装置ID単位に分析実績データを蓄積部151に格納する(905)。このように装置ID単位に情報を格納することにより、顧客単位の装置の状況を容易に把握できる。例えば、装置内の試薬の状況(残量など)を分析装置が定期的に判定支援センターに報告すれば、その情報を装置ID単位に格納して、装置単位に試薬の状況把握(消費予測など)をすることも可能となる。
【0046】
図10にレビュー画面の一実施例を示す。このレビュー画面には、一検体毎にステップ807で算出した被判定値とその属性、及び、それに対応する判定支援情報が結果表示フレーム1001に表示される。図10の例では、標準検体の結果について使用した試薬,検体,計算されたファクタ値、が表示され、それに対して閾値を超えたか(否)、超えなかったか(正)の正否判定が表示される。また、参考情報として判定支援センターから取得した平均値と標準偏差値が表示される。更に、当該反応の反応過程における吸光度変化のカーブと共に判定支援センターから取得した過去の反応過程のサンプルカーブ群が重なって表示される。当該反応カーブは赤色で、その他のカーブは青色で描き、どれが当該反応のカーブかを明確にする。操作員は、この情報から結果が正しいか異常かを判定し、正否判定入力域1002にチェックマークで印付けする。異常と判定された場合には、再度検査が必要であれば更に再検のチェックマークに印付けする。また、異常・正常に関わらず今後の分析において判定支援として利用できると判断した場合にはコメント欄1003に今回のデータの特徴的な点,注意点などを書き残す。必要があれば、自ら(検査技師など分析担当者)の名前を入力域1004に入力し、施設名を入力域1005に入力し、送信ボタン1008を押す。これによって、以上のデータが判定支援センターに送信され、以降の判定支援情報として活用される。前の検体を再度確認する場合には「前へ」ボタン1007を、次の検体をレビューする場合には「次へ」ボタン1006を押す。ここでは、分析を行った順に分析結果等の情報を逐次表示しているが、分析を行った順や検体の種類毎に一覧リストとして表示することもできる。特に検体識別子,検体の種類(標準検体,コントロール検体,一般検体などの別),被判定情報,判定支援情報を一覧リストにすることにより、問題の傾向を一覧して把握することができる。
【0047】
図11に、評価結果の検索画面を示す。この画面によって、判定支援センター100にある判定支援情報を検索・表示することができる。該検索画面は、指定された期間に特定技師が行ったコントロール検体の反応吸光度カーブのグラフ1106と該グラフに対するコメント1107を同時に表示している。本画面に、ファクタの値を表示してもよい。また、標準検体または一般検体または緊急検体に関する同様の情報を表示してもよい。試薬ID1101と検体ID1102と検査技師名1103と検査期間1104と項目名称1110は、検索条件を入力する画面であり、検索1105は、検索の開始を要求するボタンである。
【0048】
上述した実施例によれば、判定支援センターが複数の分析装置から分析実績データを収集し、判定支援情報を分析装置へ送信し、該判定支援情報を分析結果の正否判定に使用することにより分析結果の信頼性を向上する。否の判定時には、信頼性上の問題を未然に防止することができる。更に、分析中に分析装置が警告を検出した場合、分析結果に警告を添付して分析を継続できるため装置が頻繁に停止することを抑制でき、また、分析後に警告を参照することにより分析結果の評価をより信頼性の高いものにすることができる。図11に示した検索画面では、熟練度の高い検査技師のコメントを参考に分析結果の評価を行うことができるため、分析結果の判定をより信頼性の高いものにできる。
【0049】
本発明における別の実施例を図12を用いて示す。図12は、通信ネットワークを利用した本発明の別の実施例である。前記一実施例では、分析装置と判定支援センターをネットワークを介して接続して、該分析装置と該判定支援センターで情報を共有することにより分析結果の信頼性を向上したが、別の実施例では、該ネットワークに試薬提供業者のサーバ(以下、試薬提供業者サーバと示す)と装置提供業者のサーバ(以下、装置提供業者サーバと示す)を接続し、判定支援サーバを介して該自動分析と該試薬提供業者サーバと該装置提供業者サーバ間で情報を共有することによりさらに分析結果の信頼性を向上する。図12に示す例では、装置提供業者が複数存在するため、判定支援センターの蓄積部では、図6に示した各分析実績データのデータ構造に装置提供業者IDが追加されたデータ構造を分析実績データとして管理する。判定支援センターは判定支援センターサーバ1201として実現されネットワーク1201に接続されている。また、分析装置101は直接モデム1205によってネットワーク1201に接続される場合や、病院サーバ1203とローカルなネットワーク1211を経由して接続される場合がある。前記一実施例では、分析装置が判定支援情報要求を送信することにより判定支援情報を受信した。また、分析装置が判定支援センターから分析実績データを判定支援センターに送信した。さらに、分析装置が評価結果検索要求を判定支援サーバ1201に送信し、検索結果を受信した。ここに示した判定支援センターとの情報の送受信は、前記一実施例と別の実施例において分析装置に限定されず、登録・表示用計算機1208でも実現できる。登録・表示用計算機1208はキーボード等の入力部と通信部を備えているため、入力部を介して分析結果と評価結果を受け付け、通信部を使用して該分析結果と該評価結果を判定支援センターサーバ1201に送信し、必要であれば応答を受信し、受信した情報を所定のメモリに格納する。ここで、入力部を介して登録・表示用計算機1208が受け付ける情報と判定支援センターサーバ1201に送信する情報は分析結果と評価結果の一方のみであってもよい。また、ネットワークを介して分析結果と評価結果等の情報を分析装置と共有し、共有している情報を判定支援センターに送信し、応答を受信した場合にはその内容を共有している情報に反映するようにしてもよい。試薬提供業者側もサーバとして実現されネットワーク1210に接続される。ネットワーク1210は施設内ネットワークでも実現できるし、また、広域ネットワークによっても実現できる。また、図12では装置提供業者もサーバ1207によってネットワークに接続されるため、装置提供業者から見た判定支援を行うことができる。
【0050】
図13は、装置提供業者を含めたシステムにおける情報の流れを示す情報関連図である。分析装置101は前述した通り、判定支援センターに判定支援情報要求503を発信し、その返信として判定支援情報504を受ける。また、分析装置は判定支援情報の原始情報として分析実績データ505を判定支援センターに提供する。また、分析装置101は、評価結果検索要求506を判定支援センターに送り、検索結果507を返信してもらい、判定支援情報の検索を行うことが出来る。判定支援センター100は、分析装置毎に、判定支援情報504と検索結果507の送信回数と分析実績データの受信回数を別々に管理し、管理している情報を対応する分析装置に送信する。該情報を受信した分析装置は受信した情報を表示部に表示する。
【0051】
試薬提供業者1302は、試薬の特性に関する情報である試薬特性情報1314を判定支援センターに送信する。本実施例では、試薬特性情報に試薬提供業者IDと試薬IDと反応吸光度カーブに関する情報を添付して送信するものとする。該情報を受信した判定支援センターでは、試薬提供業者IDと試薬ID毎に該情報を蓄積部151に格納する。分析装置からは該試薬提供業者IDと試薬IDを検索キーとして該情報を取得することができる。分析装置は、該情報を検体の分析結果と同一の画面に表示することもできる。また、試薬提供業者1302は、試薬の実績に関する情報の検索の要求である試薬実績情報検索要求1312を判定支援センターに送信し、その応答である検索結果1313を受信する。本実施例では、試薬実績情報検索要求に装置提供業者IDと装置タイプ603と試薬IDと試薬提供業者IDと標準検体IDを指定し、検索結果として試薬提供業者毎のファクタの値に関する平均値と標準偏差を受信するものとする。判定支援センター100は、試薬提供業者サーバ毎に、検索結果1313の送信回数と試薬特性情報の受信回数を別々に管理し、管理している情報を対応する試薬提供業者サーバに送信する。該情報を受信した試薬提供業者サーバは受信した情報を表示部に表示する。
【0052】
装置提供業者1304は、装置の特性に関する情報である装置特性情報1311を判定支援センターに送信する。本実施例では、装置特性情報として装置提供業者IDと装置タイプと各分析項目における装置特有の温度安定性に関する情報を添付して送信するものとする。該情報を受信した判定支援センターでは、装置提供業者IDと装置タイプ毎に該情報を蓄積部151に格納する。分析装置からは該装置提供業者IDと装置タイプを検索キーとして該情報を取得することができる。分析装置は、該情報を検体の分析結果と同一の画面に表示することもできる。また、装置提供業者1304は、装置の実績に関する情報の検索の要求である装置実績情報検索要求1309を判定支援センターに送信し、その応答である検索結果1310を受信する。本実施例では、装置実績情報検索要求に装置提供者IDと装置IDと試薬IDと試薬提供業者IDと標準検体IDの組みを調査したい分析装置タイプの数だけ指定し、検索結果として各装置タイプ毎のファクタの値に関する平均値と標準偏差を受信するものとする。また、評価結果検索要求1309に検査IDと試薬IDと試薬提供業者IDと装置提供業者IDと装置IDを指定し、検索結果1310として、指定された分析と試薬と否判定された結果及び評価を取得することができる。判定支援センター100は、装置提供業者サーバ毎に、検索結果1313の送信回数と装置特性情報の受信回数を別々に管理し、管理している情報を対応する装置提供業者サーバに送信する。該情報を受信した装置提供業者サーバは受信した情報を表示部に表示する。
【0053】
図7に判定支援センターの処理フローを示す。本処理フローでは、分析装置101または試薬提供業者1302または装置提供業者1304から受信したメッセージの種別を判定し、該種別毎の処理を行う。
【0054】
判定支援センターでは、分析装置あるいは業者よりネットワーク経由でメッセージを受け取るが(1401)、メッセージにはその種別を示すIDが添付されるので、このIDにより処理を振り分ける(1402)。メッセージが分析実績データ505または試薬特性情報1314または装置特性情報1311であればステップ1403へ遷移し、判定支援情報要求503であればステップ1404へ遷移し、評価結果検索要求1308または試薬実績情報検索1312または装置実績情報検索1309であればステップ1405へ遷移する。
【0055】
ステップ1403では、受信した情報を蓄積部151に格納する。ステップ1404では、指定されたID等を基に判定支援情報を算出する。ステップ1405では、指定されたID等をキーとして蓄積部151を検索して受信したメッセージに対応する応答メッセージを作成し、ステップ1406では、該応答メッセージを送信する。
【0056】
上述した別の実施例によれば、試薬提供業者が判定支援センターに設定した試薬の特性に関する情報を、分析装置が取得できるため、分析結果の判定の信頼性を向上することができる。試薬提供業者1302は自社が提供する試薬の分析に関する情報と他試薬提供業者が提供する試薬の分析に関する情報を比較することができるため、該試薬提供業者は比較の結果を基に試薬に関する改良検討などをすることができる。
【0057】
また、装置提供業者が判定支援センターに設定した装置の特性に関する情報を、分析装置が取得できるため、分析結果の判定の信頼性を向上することができる。装置提供業者1304は自社の装置タイプ毎の分析に関する実績を取得できるため、装置に関する改良検討などをすることができる。また、特定試薬を使用した時の特定装置において検出された評価コメントを収集し、装置に関する改良検討または使用上のノウハウ検討とその流布が可能となり、信頼性の高い検査を行うシステムを提供することができる。
【0058】
判定支援サーバにおいて、判定支援サーバが分析装置と試薬提供業者サーバと装置提供業者サーバから取得した情報量と分析装置と試薬提供業者サーバと装置提供業者サーバに提供した情報量を管理しているため、情報の取得量と提供量に応じた換金または課金を行うことができる。すなわち、情報の提供者(分析装置と試薬提供業者サーバと装置提供業者サーバ)に対して、その提供者が逆に享受した情報量(取得量)を課金する場合において、取得量の価値から提供量の価値を減額した部分の課金を行うことで、有益な情報の提供と蓄積を促進することができる。また、取得量と提供量を別々に管理することにより、或一定の提供量を満たした場合は、取得量に対して課金を行わない等のサービスを提供できる。これも、有益な情報の提供と蓄積を促進することに役立つ。取得量と提供量に関する情報は分析装置と試薬提供業者サーバと装置提供業者の表示部に表示されるため、表示されている情報を参考に情報の提供と取得を判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】一実施例の多項目化学分析装置の構成図。
【図2】試薬ボトル外壁の試薬情報の例。
【図3】検体容器外壁の検体情報の例。
【図4】一実施例のシステム構成図。
【図5】分析装置と判定支援センター間の情報関連図。
【図6】判定支援センターが管理する蓄積部のデータ構造図。
【図7】判定支援センターの処理フロー図。
【図8】分析装置側の業務フロー図。
【図9】判定支援センター側の動作フロー図。
【図10】レビュー画面の一実施例。
【図11】評価結果の検索画面の一実施例。
【図12】通信ネットワークを利用した一実施例のシステム構成図。
【図13】装置提供業者を含めた一実施例の情報関連図。
【符号の説明】
【0060】
3…マイクロコンピュータ、6…反応容器、8A,8B…試薬分注ピペッタ、12…試薬ボトル、17…反応テーブル、18…CRT、21…キーボード、23A,23B,28…バーコード読取装置、24…フロッピーディスク、26A,26B…試薬ディスク、27…プリンタ、100…判定支援センター、101A,101B,101C…分析装置、115…判定部、160A,160B…試薬提供業者。
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動化学分析装置あるいは自動免疫分析装置等において分析項目を分析する際に用いる試薬液に関連する分析結果の管理方法および管理装置に係り、特に複数の試薬液を扱う場合の分析結果管理の方法および装置に関する。一般に試薬を用いて分析を行う分析装置にも適用される。
【背景技術】
【0002】
生体試料を分析する場合には、その試料中の被検査分析項目に対応する試薬と試料を混合して反応液を得てその反応液の光学的特性を測定して分析項目の濃度を算出することが一般的である。分析項目に応じて反応ライン上の反応容器に試薬液を供給する方法には、試薬吸排ノズルを用いるピペッタによる方法と試薬流通管を用いるディスペンサによる方法がある。いずれの場合も、試薬劣化防止など、試薬を中心とした分析の高信頼化技術が必要となる。
【0003】
このような例として、特許文献1が知られている。この先行技術には、一度使用された試薬ボトルの識別コードを記録・管理し、劣化した試薬の継ぎ足しなどの試薬劣化事由を検出し警告する試薬管理方法が記載されている。すなわち、使用済の試薬ボトルの識別コードをメモリにストアしておき、同じボトルが再度分析装置の試薬ディスクにセットされたときにその使用を禁止している。
【0004】
【特許文献1】特開平9−26425号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の先行技術によれば、試薬ボトルごとに分析可能回数を管理し、試薬の継ぎ足しなどにより発生する試薬の劣化に伴いデータ異常を防止することにより、より精度の高い分析管理が可能になる。
【0006】
しかし、分析装置の高い精度を維持・支援する手段としては、試薬ボトル管理に限られない。例えば、検量線を作成するために濃度既知の標準検体を分析するキャリブレーションにおいて、結果に不都合があれば、その検量線を用いる後続の検体検査に不都合が伝播し、分析の精度を阻害しうる。また、一連の検体検査内に一定間隔で濃度既知の検体(コントロール検体)を分析させ、その値が正しいばらつき範囲内に収まっているかをチェックする場合にも、このコントロール検体の分析結果判定に不都合があれば、同様に分析の精度を阻害しうる。更に一般検体分析(緊急検体も含む)においては、検体の特異性に起因する特異反応が起きる場合があり(特開平6−213893号公報参照)、この特異反応に対する判定を誤ると、やはり分析の精度を阻害しうる。
【0007】
これらについては、従来、全て当該施設内における当該装置での経験により、分析担当者が判定していた。例えば、キャリブレーションにおいては、前回のキャリブレーション結果とどれくらい乖離しているかにより分析の正否を判定し、コントロール検体の分析結果については前回までのコントロール検体の分析結果群から見たばらつき具合により分析の正否を判定する。また、一般検体における特異反応についてはその反応カーブを目視し、それまでの当該検査室における経験からこの正否を判定する。いずれにしても、その検査室内部の主観的な判断に依拠せざるを得ず、判断に客観性・一般性を導入することができなかった。
【0008】
本発明の目的は、他施設の分析装置をも含みうる複数分析装置から集計された過去の分析データと実際の分析データを照合することにより、試薬劣化などデータ異常の可能性を客観的に評価し、継続的に高信頼な分析を達成できる分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、分析装置の反応容器へ分析項目に応じた試薬を分注して分析するのに際し、あらかじめ複数分析装置から分析実績データを収集し判定支援センターに蓄積し、判定支援情報を該判定支援センターから取得できる状態にしておき、分析装置において試薬設置部に試薬液槽が設置されたらその試薬の識別情報に基づき該判定支援情報を取得し、その試薬を使用した分析における結果判定の支援材料として前記判定支援情報を利用するように構成したことを特徴とする。ここで、好ましくは、分析実績データとは、濃度変換される前の吸光度値,濃度値,濃度変換するための検量線のパラメータ(例えば検量直線の傾きなど)、これらに関する定性的判定情報(真偽値,文字列など判定を叙述する手段)を含み、判定支援情報とはこれら分析実績データそのもの、あるいはその加工情報(例えば、平均値・標準偏差値などの統計値)を含む。また、前記判定支援センターに直接接続されるのは分析装置に限られるものではなく、分析装置と同等の情報を入出力できる、例えば表示器と設定器を備えた端末機であってもよい。
【0010】
また、前記判定支援センターには、通信路を経由して試薬提供業者や装置提供業者を接続することにより、試薬特性や装置特性などの業者が有する情報を判定支援センターに提供して、分析装置の判定支援情報に利用する構成も考えられる。この場合、業者は逆に試薬や装置の利用状況を判定支援センターから取得できる。
【0011】
更に、分析装置における分析担当者が判定支援を受けるために、判定支援センターに存在する過去の分析実績データを検索・抽出して閲覧する構成が考えられる。また、分析担当者の質問を判定支援センターに送付することで、判定支援センターに接続されている業者や他の分析装置の分析担当者に問合せを行って回答を得て、質問者に該判定支援センターから回答する構成も考えられる。この場合、その質疑応答情報も該判定支援センターに蓄積して判定支援情報として利用されうる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、センターに広域から集計された分析結果とその評価を材料にして、現在の分析結果を評価することができるので、試薬劣化などデータ異常の可能性を客観的に評価し、高信頼な分析結果を継続的に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の一実施例を説明する。図1は多項目化学分析装置の全体構成図である。図1において、検体を収容した多数の検体容器1が検体搬送ディスク2に配列されている。検体分注機構5の吸排ノズルは検体用シリンジポンプ7に接続されている。ポンプ7および分注機構5の動作は、インターフェイス4を介して各機構部の動作制御および測定データの演算をするマイクロコンピュータ3によって制御される。反応浴槽9に対して回転可能に設けられた反応テーブル17上には多数の反応容器6が配列され、反応ラインを形成している。反応浴槽9へは恒温液供給部10から摂氏37度に維持された恒温液が供給される。多波長光度計は光源14と多波長分光器15を備えており、光源14からの光ビームを反応容器6の列が横切るように反応テーブル17が回転移送される。使用済の反応容器6は洗浄機構19によって洗浄され再使用に供される。撹拌機構13は反応容器6に加えられた検体とその分析項目に対応する試薬液とを混合する。多波長分光器15によって得られる反応液に基づく測定信号は、A/Dコンバータ16によってアナログ信号からディジタル信号に変換され、マイクロコンピュータ3に入力される。
【0014】
第1試薬用の試薬ディスク26Aおよび第2試薬用の試薬ディスク26Bには、各分析項目に対応した多種の試薬ボトル12が円周に沿ってそれぞれ設置される。つまり、ディスク26A,26Bは選択的に回転可能な試薬ボトル収納部である。ディスク26Aの近傍にはバーコード読取装置23Aが、ディスク26Bの近傍にはバーコード読取装置23Bが配設される。試薬分注器は試薬分注ピペッタ8A,8Bおよび試薬用シリンジポンプ11を含む。これらのピペッタ8A,8Bは、吸入位置に停止された試薬ボトル12内の試薬液を吸排ノズル内に所定量吸入保持し、それらの吸排ノズルを反応容器列上に回動し試薬受入位置に停止している反応容器6に、保持していた試薬液を吐出する。この際に分注される試薬液は、各反応容器に割り当てられている分析項目に対応した種類のものである。
【0015】
それぞれの試薬ボトル12には、図2に示すようにその外壁にバーコードが印刷された試薬バーコードラベル22が貼付けされている。このバーコードとして表示される情報は、例えば、シーケンス番号からなる各ボトル固有の試薬ボトルコード,そのボトルのサイズ,その試薬液の有効期限,第1試薬か第2試薬か第3試薬かを示す試薬分注順番,その試薬液の最大分析可能回数,1回の分注使用量を示す試薬分注量,製造ロット番号などである。各試薬ボトル12からバーコード読取装置23A,23Bによって読み取られた試薬情報は、記憶部25又はマイクロコンピュータ3の各々対応するメモリエリアに記憶される。試薬ボトル12が試薬ディスク26A,26Bに収納されたのに伴って試薬情報がバーコード読取装置23A,23Bによって読み取られるが、その際に、各試薬ディスクに設けられている回転角検知部によって各試薬ボトルのセット位置を示す信号が出力され、インターフェイス4を介してマイクロコンピュータ3に入力される。試薬情報とボトルセット位置と分析項目は対応づけて記憶される。
【0016】
操作者は、CRT18の画面とキーボード21を使って各種情報を入力することができる。分析項目の測定結果は、プリンタ27およびCRT18に表示できる。フロッピーディスク24(フロッピーは登録商標)の情報はその読取装置によって読み取られ、記憶部25又はマイクロコンピュータ3の該当するメモリエリアに記憶される。フロッピーディスク24に記憶されている情報は、例えば次のものである。すなわち、5桁で表示される分析項目コード,その分析項目で共通に使用されるパラメータ,試薬ボトルごとに別々に記憶されるパラメータなどである。そのうち、分析項目で共通に使用されるパラメータとしては、光度計で使用する波長,サンプル量,キャリブレーション方法,標準液濃度,標準液本数,分析異常のチェック限界値、などである。また、試薬ボトルごとのパラメータとしては、試薬種別,試薬分注順番,試薬ボトルコード,試薬液容量,試薬分注量,最大分析可能回数,試薬製造年月日などである。
【0017】
記憶部25には、フロッピーディスク24から読み取られた情報の他に、分析装置の各機構部の動作条件,各分析項目の分析パラメータ,各試薬のボトル管理を行う判定論理,試薬ボトルから読み取られた最大分析可能回数,分析結果などが記憶される。試薬情報は試薬ボトルの納入時にメーカによって供されるフロッピーディスクによって提供される。
フロッピーディスクによって試薬情報が準備されない場合は、試薬ボトルに付属されている目視確認用紙に記載された情報を、操作者が画面とキーボード21を使用して分析装置に入力することもできる。
【0018】
検体容器1には、図3に示すようにその外壁にバーコードが印刷された検体バーコードラベル50が貼付けされている。このバーコードとして表示される情報は、例えば、検体を一意に決定する検体識別番号である。この番号は、バーコード読取装置28により読み取られ、検体搬送ディスク2の角度検知により、検体位置と検体識別番号が対応が認識される。一方、検体識別番号に対応した分析項目はあらかじめキーボード21とCRT18により入力され記憶されているので、先のバーコード読み取り時に結局検体位置と検体識別番号と分析項目が対応づけられて記憶される。また、検体識別番号の上位番号によりその検体が標準検体なのかコントロール検体なのか一般検体なのかが一般に識別可能となっている。
【0019】
自動分析装置全体の分析は以下のようにサンプリング,試薬分注,撹拌,測光,反応容器の洗浄,濃度換算等のデータ処理の順番に実施される。試料を入れた検体容器1は、検体ディスク2上に複数個設置されている。検体ディスク2は、コンピュータ3によりインターフェイス4を介して制御される。また、検体ディスク2は、検体容器1外壁のバーコード50をバーコード読取装置28で読ませて、検体と分析項目を対応づける。その後、分析される試料の順番に従って検体分注機構5のプローブの下まで回転移動し、所定の検体容器1の検体が、検体分注機構5に連結された検体用ポンプ7の動作により反応容器6の中に所定量分注される。検体を分注された反応容器6は、反応浴槽9の中を第1試薬添加位置まで移動する。移動した反応容器6には、試薬分注ピペッタ8の吸排ノズルに連結された試薬用ポンプ11の動作により試薬容器12から吸引された試薬が所定量加えられる。第1試薬添加後の反応容器6は、撹拌機構13の位置まで移動し、最初の撹拌が行われる。試薬ディスク26A,26Bに第4試薬までセットされている場合には、このような試薬の添加−撹拌が、第1〜第4試薬について行われる。
【0020】
内容物が撹拌された反応容器6は光源から発した光束を通過し、この時の吸光度が多波長分光器15により検知される。検知された吸光度信号はA/Dコンバータ16を経由して、インターフェイス4を介してコンピュータ3に入り、検体の濃度に変換される。濃度変換されたデータは、インターフェイス4を介してプリンタ27から印字出力され、CRT18の画面に表示される。測光の終了した反応容器6は、洗浄機構19の位置まで移動し、容器洗浄ポンプにより内部を排出後、洗浄液で洗浄され、次の分析に供される。
【0021】
本発明の一実施例は、以上説明した分析装置を1台以上、通信路により判定支援センターに接続して構成される。図4は、本発明の一実施例のシステムブロック図である。
【0022】
図4において、分析装置101Aは通信路103を介して判定支援センター100内の通信部102に接続されている。同様に複数の分析装置101B,101Cなどが接続される。分析装置101A内の機能ブロックを用いて分析装置における動作を説明する。分析装置に試薬ボトルが設置されると、試薬用のバーコード読取装置により試薬ボトルコードが認識される。このボトルコードは、判定支援情報を要求する目的で、通信部104により判定支援センターに送られる。要求には試薬ボトルの認識コードの代わりにその試薬液を特定するコードを用いてもよい。いずれのコードを使用しても、その試薬液の特性としての判定支援情報を要求することが目的である。判定支援センターでは、過去に多数の分析装置(本実施例では101A,101B,101C)が送ってきた分析実績データを蓄積部151に格納してある。分析装置からの要求に応じて、判定支援センターでは過去の分析実績データを用いて統計部150により試薬液に対応する各種分析実績データの平均値と標準偏差を算出する。算出対象は、標準検体のファクタ値,コントロール検体の濃度値,反応工程における特定時点の吸光度である。また、全反応工程の吸光度系列を規定数だけ任意抽出する。更に当該試薬液を過去に使用した時に検査技師がコメントした正否判定及び文章(非数字情報)も抽出する。算出した平均値・標準偏差及び前述した抽出情報を判定支援情報として、先に要求のあった分析装置101Aに送り返す。分析装置101Aはこれらをそれぞれファクタ用メモリ108,QC(Quality Control)値用メモリ109,反応曲線用メモリ107,コメントメモリ111に格納する。
【0023】
分析装置で分析が開始されると、前述の通り検体容器1の試料と試薬が反応容器6内で混合され反応が進行し、A/Dコンバータ16から出てくる吸光度信号は、その検体が一般検体やコントロール検体の場合には分析結果算出106で濃度値に変換される。また、標準検体の場合には分析結果算出106により検量線の傾きにあたるファクタ値に変換される。次に、判定部115により、検体が標準検体の場合にはファクタ用メモリ108内ファクタ値の平均値と標準偏差、検体がコントロール検体の場合にはQC値用メモリ109内濃度値の平均値と標準偏差、また、一般検体の場合には反応曲線用メモリ107内特定反応工程時点の吸光度の平均値と標準偏差、それぞれが取得される。取得された平均値と標準偏差、及び、分析結果算出106にある被判定値(変換された濃度値あるいは吸光度)を使用し、被判定値と平均値との差を標準偏差で割った値が閾値用メモリ110内の対応する閾値を超えていた場合には警告を発生させる。ここで、閾値用メモリ110内情報については、キーボード21,CRT18によりあらかじめ各種被判定値用にその閾値を設定しておく。
【0024】
発生した警告はCRT18上での表示または注意を喚起するためのブザーなどで報告される。また、プリンタ27に印字される分析結果の付帯情報として警告が印字される。更にコメントメモリ111内にある過去に当該試薬を使用したときのコメントを表示してオペレータの判定を支援する。コメントの中には、結果が良好と判定できなかった過去の経験とその理由などが文章で書かれているため、多様で客観的な見地で分析結果の判定をすることができる。
【0025】
これらの支援を受けて、分析の担当者は結果を検討し問題を解決する。問題解決事項を後の判定支援に利用するために残したい場合には、問題解決に関するコメントをキーボード21により入力する。分析結果算出106にある被判定値は、コメントがあればそれと一緒に通信部104,通信路103,通信部102を経由して、蓄積部151に蓄積され、後の判定支援に利用される。
【0026】
標準検体やコントロール検体が試薬メーカから提供されている場合には、その検体に特定の検体識別番号が割り振られ、他の一般検体の検体識別番号とは明確に区別される。このような検体識別番号が検体バーコード読取装置28により読み取られると、判定部115はその特定検体の検体識別番号と使用する試薬コードとが合わせて判定支援センターに送られ、判定支援情報の問合わが行われる。判定支援センターでは、当該試薬のファクタ値の中で特にその特定検体を使用した場合の値のみを抽出して、平均値・標準偏差を計算し、これを分析装置に送る。これにより、試薬の特性に加えて、特定検体の特性も加味した判定支援が可能になる。
【0027】
判定支援センターは、試薬提供業者160A,160Bとも通信路を介して接続されている。試薬提供業者は、提供する試薬の反応工程吸光度系列や提供する標準検体・コントロール検体の参考平均値・標準偏差をサンプルとして通信路経由で設定する。設定されたこれらデータは、検査室の選択により前述と同様に判定支援情報として利用できる。また、特定の反応に関して試薬提供業者としてのコメントを同様に判定支援センターの蓄積部151に蓄積し、判定支援情報として活用することもできる。更に、検査技師が判定に苦慮するデータと質問を判定支援センターに送り、試薬提供業者がこの質問を受信してこれに対する回答・助言をコメントとして書いて判定支援センターに送り、この回答・助言を質問元の分析装置が受信しこれを検査技師が検査結果判定に利用する。質問の宛先は試薬提供業者に限るものではなく、質問の宛先を他施設の検査技師にすれば、他施設の検査技師の知見を得ることができる。これら質疑応答の内容は、コメントとして蓄積部151に蓄積され、後の判定支援情報として活用できる。
【0028】
図5により、分析装置101と判定支援センター100間の情報の流れを説明する。分析装置101は、判定支援情報要求503を送信する。これを受信した判定支援センター100では、分析結果の評価を支援する情報である判定支援情報504を送り返す。また、分析装置は分析終了後に分析実績データ505を判定支援センター100に送る。この分析実績データ505には、分析結果,分析結果の評価結果と検査技師の氏名と検査施設の施設名のうち一部または全情報が含まれており、判定支援センターにより判定支援情報に変換される。また、判定支援センターの蓄積部にある分析実績データの一部または全部を検索するために、分析装置は判定支援センターに対して評価結果検索要求506を送信し、これに対して、判定支援センターは検索を行いその検索結果507を分析装置に返信する。
【0029】
図6は、判定支援センター100が管理する蓄積部151のデータ構造を示す。該蓄積部には、分析装置101から送信された分析実績データが分析装置101の識別IDである装置ID毎に格納される。管理装置数601は、判定支援センター100が管理している分析装置101の数を示す。この601の部分をヘッダ部と呼ぶ。
【0030】
装置ID602と装置タイプ603とPWD604とデータ数605は、それぞれ、装置を一意に識別するIDと分析装置の機種とパスワードと管理している分析実績データの数を示す。装置を一意に識別するIDとしては、装置のマイクロコンピュータが読み取ることのできる、製造毎に割付けられる装置固有番号を使用するが、分析装置とネットワーク接続する場合にそのアドレスが一意に決定される場合にはそのアドレスを装置IDとして用いることもできる。パスワードは正当に接続されるべき相手の分析装置と判定支援センターの2者のみが知りうる文字列であり、判定支援センターと分析装置とが接続される時点で通信路上で互いのパスワードを照合し、一致したときに始めて通信接続が確立される。一致しなかった場合には誤った分析装置あるいは判定支援センターへの接続であることから通信を遮断する。これにより誤った分析装置の情報を収集する危険や、故意による不正接続を防止する。
【0031】
PWD604にはこの他分析装置で情報発信する人や、判定支援センターにおける操作者の認証を行うための暗号鍵(公開鍵システム)を含めることができる。すなわち、ある送信者の送信内容について確かにその送信者であることを証明するために、その送信者のみが知りうる秘密鍵による暗号で送信内容物のハッシュ値(MD5などの手法による)を暗号化した証明文を送信内容物に添付し、受信側はその送信者の公開鍵で先の証明文を解読した値と送信内容物のハッシュ値が一致して初めて、送信者本人の送信物であることを確認できる。この暗号鍵により、分析装置側,判定支援センター側双方の人の認証ができるため、判定支援情報として広域に使用されるという使命と責任を着実に確認しながら正当な情報収集ができる。このような認証システムは後述する業者と判定支援センターとの間の通信においても適用できる。また、錯誤により誤った分析実績データの送信は、その錯誤が判明した時点で判定支援センターに削除を依頼することで、この責任を全うできる。
【0032】
以上の装置ID602,装置タイプ603,PWD604,データ数605からなるデータ領域をサブヘッダ部と呼ぶ。
【0033】
図6のデータ構造は、大きくヘッダ部,サブヘッダ部,分析実績データの3層から構成される。すなわち、前記ヘッダ部の下に複数の前記サブヘッダ部が存在し、そのサブヘッダ部各々に複数の分析実績データが存在する形となる。
【0034】
分析実績データは、種類によってその内容が異なるため、先頭にその種類を識別するためのIDとして検査ID606を設けている。該検査ID606を参照することにより、該分析実績データが標準検体に関するデータなのか、QC検体に関するデータなのか、一般検体に関するデータなのかを識別することができる。
【0035】
分析実績データの内容を説明する。日時607は、検体の分析を行った日時である。検体ID608は、標準検体やQC検体や一般検体毎に各検体を一意に識別するための識別子である。試薬ID609は、試薬提供業者内で試薬液を一意に識別するための識別子である。一分析項目に複数の試薬液を用いる場合には複数の識別子が入る。試薬提供業者ID610は、試薬の提供業者を一意に識別するための識別子である。項目名称611は、分析を行った項目の種類を示す。測定値612には測定結果が入り、標準検体の場合には検量線パラメータであるファクタ、その他の場合には濃度値となる。データアラーム613は、検体の分析中に分析装置が検出した警告(例えば試料不足など)を示す情報である。正否判定614は、分析結果の信頼性の判定結果である。分析結果の信頼性に異常が無い,異常がある,分からない、などの判定が入る。技師名615と施設名616は、分析結果の評価結果を元に分析結果の信頼性の判定614またはコメント617を分析装置に入力した検査技師の名称と分析を行った施設の施設名である。コメント617は、分析結果や判定、吸光度データに対する判定理由文や注釈文等である。吸光度データ618は、1反応工程における吸光度系列データである。なお、図6内に明示されていないが、検査IDが一般の場合には、その検体種別(血清,尿など)や、患者個人の属性情報(性別,年齢,喫煙有無など)を付加することもできる。
【0036】
検体が標準検体である場合、判定支援情報要求503は、検査種別602と試薬ID609と試薬提供業者ID610と標準検体ID608と項目名称611から構成され、判定支援情報504は、平均値と標準偏差と最新の3つの吸光度データから構成される。平均値と標準偏差は、標準検体の分析実績データの中で、試薬ID609と試薬提供業者ID610と標準検体ID608と項目名称611が一致するような分析実績データ群を統計母集団として計算した測定値612の平均値と標準偏差である。ただし、該平均値と該標準偏差の算出において、検索の対象となる分析実績データは正否判定614が「異常なし」であるデータとする。
【0037】
検体がコントロール検体である場合、判定支援情報要求503は、検査種別602と試薬ID609と試薬提供業者ID610とQC検体ID608と項目名称611から構成され、判定支援情報504は、平均値,標準偏差、最新の3つの吸光度データから構成される。平均値と標準偏差は、標準検体と同様の方法で求める。
【0038】
検体が一般検体である場合、判定支援情報要求503は、検査種別602,試薬ID609,試薬提供業者ID610,項目名称611,濃度範囲,判定に使用する吸光度値を示す吸光度系列内のインデックスから構成され、判定支援情報504は、平均値,標準偏差,最新の3つの吸光度データから構成される。平均値と標準偏差は、一般検体の分析実績データの中で、試薬ID609と試薬提供業者ID610と項目名称611が一致し、かつ、測定値612が前記濃度範囲に入るような分析実績データ群を統計母集団として、吸光度データ618内データ系列における前記インデックスで指定された場所の吸光度の平均値と標準偏差である。ただし、該平均値と該標準偏差の算出において、検索の対象となる分析実績データは正否判定614が「異常なし」であるデータとする。
【0039】
評価結果の検索においては、評価結果検索要求506に試薬ID609と試薬提供業者ID610とQC検体ID619と技師名615と分析が行われた期間を指定し、検索結果507として、指定された期間に特定の技師が行った測定値、吸光度データ、該結果に対するコメントを受信するものとする。また、評価結果検索要求506に検査IDと試薬IDと試薬提供業者IDを指定し、さらに分析が行われた期間と患者属性の一部または全部(性別,年齢,喫煙有無など)を指定し、検索結果507として、指定された期間における特定の性別,年齢,喫煙有無を指定した測定値,吸光度データ,該結果に対するコメントを取得してもよい。患者属性に関する情報は、分析装置の判定部115が、検体IDと個人の属性の対応に関する情報を所定のメモリから読み込み、評価結果検索要求506に指定する。
【0040】
図8は本発明の一実施例の業務フロー図である。分析を開始する前に分析装置の操作員は、判定支援のシステムが有効に動作するための準備として分析パラメータ設定(801),閾値設定(802),統計検査条件設定(803)を行う。分析パラメータ設定(801)では、フロッピーディスク24からの情報を読み取り、分析装置による分析操作の開始前に各種パラメータが取り込まれる。閾値設定(802)では、試薬毎更に標準検体やコントロール検体毎に統計的偏りの上限指数である閾値を設定する。また、判定条件設定(803)では、判定支援センターに要求する判定支援情報を絞る条件を設定する。例えば、標準検体については特定標準検体の統計値(平均値・標準偏差)を使用する、コントロール検体については特定コントロール検体の統計値を使用する、特定試薬を使った分析の吸光度については反応工程中、特定時点のポイントの吸光度の統計値を使用する、更に、判定支援に使用する情報として特定施設あるいは施設群の情報のみのデータから算出された統計値を使用する、特定検査技師の判定したデータのみから算出された統計値を使用する、などを指定する。
【0041】
次に、操作員は試薬ボトルを分析装置に設置し、そのバーコードを装置に読み込ませる(804)。すなわち、試薬ディスク26A,26Bにセットされた試薬ボトル12のバーコードをバーコード読取装置23Aによって読み取る。これにより、試薬ボトルコードを認識した分析装置は、判定支援センターに対して判定支援情報の要求を行い、判定支援センターから返信された判定支援情報を記憶する(805)。返信された判定支援情報が標準検体に関する情報で有る場合はファクタ用メモリに、QC検体に関する情報である場合はQC用メモリに、一般検体に関する情報である場合は反応曲線用メモリに、格納する。
【0042】
以上の準備を行った後に、操作員は分析装置に分析開始を指示する。分析装置が稼動し分析が行われると(806)、反応が終った検体から随時その分析結果算出が行われる(807)。その検体タイプが、標準検体であるならば判定支援情報の標準検体のファクタ値の平均値・標準偏差を(810)、コントロール検体であるならば判定支援情報のコントロール検体の濃度平均値・標準偏差を(809)、一般検体であるならば判定支援情報の反応工程中特定時点の吸光度の平均値・標準偏差を(808)、使用して判定を行う。判定の方法としては、807で得た被判定値と平均値との差を標準偏差で割った値を、ステップ802で入力した閾値と比較する。閾値を上回るようであれば平均値からの偏差が許容範囲外ということで警告を発生させる。これを全検体について繰り返す(811)。
【0043】
全ての分析が終了すると、検査の責任者は全検体の分析結果の正否を判定するためにレビュー画面を見る(812)。ステップ812では、分析結果がQC検体の分析結果である場合、QC値用メモリからQC値と平均値と標準偏差を読み込み、反応曲線用メモリから反応吸光度カーブのデータを読み込み表示部(112)に表示する。また、検体が標準検体である場合、ファクタ用メモリ(108)からファクタと平均値と標準偏差を読み込み、反応曲線用メモリから反応吸光度カーブのデータを読み込み表示部(112)に表示する。検体が一般検体である場合、反応曲線用メモリから反応吸光度カーブのデータを読み込み表示部(112)に表示する。本実施例では、反応吸光度カーブは検体分析により測定した反応吸光度カーブと判定支援センターから受信した反応吸光度カーブを重ねて表示する。また、各グラフの色を変えて表示するものとする。レビュー画面では、結果を判定支援情報とその判定と共に表示させ、最終判定及びコメントを入力する(813)。検体が標準検体であれば、ファクタの値と平均値の差の絶対値が標準偏差×閾値よりも小さければ正、大きければ否とする。検体がQC検体であれば、QC値と平均値の差の絶対値が標準偏差×閾値よりも小さければ正、大きければ否とする。また、表示部に表示された反応吸光度カーブのグラフも正否判断に使用する。正否判定後、検査技師は、分析結果の信頼性の判定とコメントと氏名と施設名をユーザインターフェースを介して分析装置に入力する。分析結果と検査技師が入力した評価結果は所定のメモリに格納する。特に、否の判定時には、キーボード21に対する入力により該判定結果と該評価結果に関する情報を表示部112に表示またはプリンタ27を使用して該判定結果と該評価結果に関する情報を印字することもできる。また、否の判定時には現行試薬の分注を中止することにより後続分析を停止する。警告によってこの停止を知らされた操作員が、具体的な原因究明作業を開始する。入力されたデータを後々の判定支援に活用したい場合には、各検体の分析結果と評価結果と分析を行った検査技師名と施設名に装置IDと装置タイプを加えたデータを分析実績データ504として判定支援センターに送信する(814)。
【0044】
図9を用いて判定支援センター側の処理フローを説明する。図9(A)は判定支援情報送信のフローである。判定支援センターは、分析装置から判定支援情報要求を受け取る(901)。この要求には、試薬ボトルコードが含まれる。判定支援情報として提供する情報は試薬液単位であるため、センターではこのボトルコードから試薬液コードを割り出し、これに基づいて判定支援情報を検索・算出する(902)。また、要求に判定支援情報を絞り込む条件が盛り込まれている場合には(例えば、特定の施設のデータのみから算出するなど)、検索の条件として適用する。計算された判定支援情報は、要求のあった分析装置に送られる(903)。
【0045】
図9(B)は分析装置から送られる分析実績データの処理フローである。分析装置から分析実績データを受信すると(904)、判定支援センターでは送り元通信アドレスから発信元分析装置のIDを算出し、この分析装置ID単位に分析実績データを蓄積部151に格納する(905)。このように装置ID単位に情報を格納することにより、顧客単位の装置の状況を容易に把握できる。例えば、装置内の試薬の状況(残量など)を分析装置が定期的に判定支援センターに報告すれば、その情報を装置ID単位に格納して、装置単位に試薬の状況把握(消費予測など)をすることも可能となる。
【0046】
図10にレビュー画面の一実施例を示す。このレビュー画面には、一検体毎にステップ807で算出した被判定値とその属性、及び、それに対応する判定支援情報が結果表示フレーム1001に表示される。図10の例では、標準検体の結果について使用した試薬,検体,計算されたファクタ値、が表示され、それに対して閾値を超えたか(否)、超えなかったか(正)の正否判定が表示される。また、参考情報として判定支援センターから取得した平均値と標準偏差値が表示される。更に、当該反応の反応過程における吸光度変化のカーブと共に判定支援センターから取得した過去の反応過程のサンプルカーブ群が重なって表示される。当該反応カーブは赤色で、その他のカーブは青色で描き、どれが当該反応のカーブかを明確にする。操作員は、この情報から結果が正しいか異常かを判定し、正否判定入力域1002にチェックマークで印付けする。異常と判定された場合には、再度検査が必要であれば更に再検のチェックマークに印付けする。また、異常・正常に関わらず今後の分析において判定支援として利用できると判断した場合にはコメント欄1003に今回のデータの特徴的な点,注意点などを書き残す。必要があれば、自ら(検査技師など分析担当者)の名前を入力域1004に入力し、施設名を入力域1005に入力し、送信ボタン1008を押す。これによって、以上のデータが判定支援センターに送信され、以降の判定支援情報として活用される。前の検体を再度確認する場合には「前へ」ボタン1007を、次の検体をレビューする場合には「次へ」ボタン1006を押す。ここでは、分析を行った順に分析結果等の情報を逐次表示しているが、分析を行った順や検体の種類毎に一覧リストとして表示することもできる。特に検体識別子,検体の種類(標準検体,コントロール検体,一般検体などの別),被判定情報,判定支援情報を一覧リストにすることにより、問題の傾向を一覧して把握することができる。
【0047】
図11に、評価結果の検索画面を示す。この画面によって、判定支援センター100にある判定支援情報を検索・表示することができる。該検索画面は、指定された期間に特定技師が行ったコントロール検体の反応吸光度カーブのグラフ1106と該グラフに対するコメント1107を同時に表示している。本画面に、ファクタの値を表示してもよい。また、標準検体または一般検体または緊急検体に関する同様の情報を表示してもよい。試薬ID1101と検体ID1102と検査技師名1103と検査期間1104と項目名称1110は、検索条件を入力する画面であり、検索1105は、検索の開始を要求するボタンである。
【0048】
上述した実施例によれば、判定支援センターが複数の分析装置から分析実績データを収集し、判定支援情報を分析装置へ送信し、該判定支援情報を分析結果の正否判定に使用することにより分析結果の信頼性を向上する。否の判定時には、信頼性上の問題を未然に防止することができる。更に、分析中に分析装置が警告を検出した場合、分析結果に警告を添付して分析を継続できるため装置が頻繁に停止することを抑制でき、また、分析後に警告を参照することにより分析結果の評価をより信頼性の高いものにすることができる。図11に示した検索画面では、熟練度の高い検査技師のコメントを参考に分析結果の評価を行うことができるため、分析結果の判定をより信頼性の高いものにできる。
【0049】
本発明における別の実施例を図12を用いて示す。図12は、通信ネットワークを利用した本発明の別の実施例である。前記一実施例では、分析装置と判定支援センターをネットワークを介して接続して、該分析装置と該判定支援センターで情報を共有することにより分析結果の信頼性を向上したが、別の実施例では、該ネットワークに試薬提供業者のサーバ(以下、試薬提供業者サーバと示す)と装置提供業者のサーバ(以下、装置提供業者サーバと示す)を接続し、判定支援サーバを介して該自動分析と該試薬提供業者サーバと該装置提供業者サーバ間で情報を共有することによりさらに分析結果の信頼性を向上する。図12に示す例では、装置提供業者が複数存在するため、判定支援センターの蓄積部では、図6に示した各分析実績データのデータ構造に装置提供業者IDが追加されたデータ構造を分析実績データとして管理する。判定支援センターは判定支援センターサーバ1201として実現されネットワーク1201に接続されている。また、分析装置101は直接モデム1205によってネットワーク1201に接続される場合や、病院サーバ1203とローカルなネットワーク1211を経由して接続される場合がある。前記一実施例では、分析装置が判定支援情報要求を送信することにより判定支援情報を受信した。また、分析装置が判定支援センターから分析実績データを判定支援センターに送信した。さらに、分析装置が評価結果検索要求を判定支援サーバ1201に送信し、検索結果を受信した。ここに示した判定支援センターとの情報の送受信は、前記一実施例と別の実施例において分析装置に限定されず、登録・表示用計算機1208でも実現できる。登録・表示用計算機1208はキーボード等の入力部と通信部を備えているため、入力部を介して分析結果と評価結果を受け付け、通信部を使用して該分析結果と該評価結果を判定支援センターサーバ1201に送信し、必要であれば応答を受信し、受信した情報を所定のメモリに格納する。ここで、入力部を介して登録・表示用計算機1208が受け付ける情報と判定支援センターサーバ1201に送信する情報は分析結果と評価結果の一方のみであってもよい。また、ネットワークを介して分析結果と評価結果等の情報を分析装置と共有し、共有している情報を判定支援センターに送信し、応答を受信した場合にはその内容を共有している情報に反映するようにしてもよい。試薬提供業者側もサーバとして実現されネットワーク1210に接続される。ネットワーク1210は施設内ネットワークでも実現できるし、また、広域ネットワークによっても実現できる。また、図12では装置提供業者もサーバ1207によってネットワークに接続されるため、装置提供業者から見た判定支援を行うことができる。
【0050】
図13は、装置提供業者を含めたシステムにおける情報の流れを示す情報関連図である。分析装置101は前述した通り、判定支援センターに判定支援情報要求503を発信し、その返信として判定支援情報504を受ける。また、分析装置は判定支援情報の原始情報として分析実績データ505を判定支援センターに提供する。また、分析装置101は、評価結果検索要求506を判定支援センターに送り、検索結果507を返信してもらい、判定支援情報の検索を行うことが出来る。判定支援センター100は、分析装置毎に、判定支援情報504と検索結果507の送信回数と分析実績データの受信回数を別々に管理し、管理している情報を対応する分析装置に送信する。該情報を受信した分析装置は受信した情報を表示部に表示する。
【0051】
試薬提供業者1302は、試薬の特性に関する情報である試薬特性情報1314を判定支援センターに送信する。本実施例では、試薬特性情報に試薬提供業者IDと試薬IDと反応吸光度カーブに関する情報を添付して送信するものとする。該情報を受信した判定支援センターでは、試薬提供業者IDと試薬ID毎に該情報を蓄積部151に格納する。分析装置からは該試薬提供業者IDと試薬IDを検索キーとして該情報を取得することができる。分析装置は、該情報を検体の分析結果と同一の画面に表示することもできる。また、試薬提供業者1302は、試薬の実績に関する情報の検索の要求である試薬実績情報検索要求1312を判定支援センターに送信し、その応答である検索結果1313を受信する。本実施例では、試薬実績情報検索要求に装置提供業者IDと装置タイプ603と試薬IDと試薬提供業者IDと標準検体IDを指定し、検索結果として試薬提供業者毎のファクタの値に関する平均値と標準偏差を受信するものとする。判定支援センター100は、試薬提供業者サーバ毎に、検索結果1313の送信回数と試薬特性情報の受信回数を別々に管理し、管理している情報を対応する試薬提供業者サーバに送信する。該情報を受信した試薬提供業者サーバは受信した情報を表示部に表示する。
【0052】
装置提供業者1304は、装置の特性に関する情報である装置特性情報1311を判定支援センターに送信する。本実施例では、装置特性情報として装置提供業者IDと装置タイプと各分析項目における装置特有の温度安定性に関する情報を添付して送信するものとする。該情報を受信した判定支援センターでは、装置提供業者IDと装置タイプ毎に該情報を蓄積部151に格納する。分析装置からは該装置提供業者IDと装置タイプを検索キーとして該情報を取得することができる。分析装置は、該情報を検体の分析結果と同一の画面に表示することもできる。また、装置提供業者1304は、装置の実績に関する情報の検索の要求である装置実績情報検索要求1309を判定支援センターに送信し、その応答である検索結果1310を受信する。本実施例では、装置実績情報検索要求に装置提供者IDと装置IDと試薬IDと試薬提供業者IDと標準検体IDの組みを調査したい分析装置タイプの数だけ指定し、検索結果として各装置タイプ毎のファクタの値に関する平均値と標準偏差を受信するものとする。また、評価結果検索要求1309に検査IDと試薬IDと試薬提供業者IDと装置提供業者IDと装置IDを指定し、検索結果1310として、指定された分析と試薬と否判定された結果及び評価を取得することができる。判定支援センター100は、装置提供業者サーバ毎に、検索結果1313の送信回数と装置特性情報の受信回数を別々に管理し、管理している情報を対応する装置提供業者サーバに送信する。該情報を受信した装置提供業者サーバは受信した情報を表示部に表示する。
【0053】
図7に判定支援センターの処理フローを示す。本処理フローでは、分析装置101または試薬提供業者1302または装置提供業者1304から受信したメッセージの種別を判定し、該種別毎の処理を行う。
【0054】
判定支援センターでは、分析装置あるいは業者よりネットワーク経由でメッセージを受け取るが(1401)、メッセージにはその種別を示すIDが添付されるので、このIDにより処理を振り分ける(1402)。メッセージが分析実績データ505または試薬特性情報1314または装置特性情報1311であればステップ1403へ遷移し、判定支援情報要求503であればステップ1404へ遷移し、評価結果検索要求1308または試薬実績情報検索1312または装置実績情報検索1309であればステップ1405へ遷移する。
【0055】
ステップ1403では、受信した情報を蓄積部151に格納する。ステップ1404では、指定されたID等を基に判定支援情報を算出する。ステップ1405では、指定されたID等をキーとして蓄積部151を検索して受信したメッセージに対応する応答メッセージを作成し、ステップ1406では、該応答メッセージを送信する。
【0056】
上述した別の実施例によれば、試薬提供業者が判定支援センターに設定した試薬の特性に関する情報を、分析装置が取得できるため、分析結果の判定の信頼性を向上することができる。試薬提供業者1302は自社が提供する試薬の分析に関する情報と他試薬提供業者が提供する試薬の分析に関する情報を比較することができるため、該試薬提供業者は比較の結果を基に試薬に関する改良検討などをすることができる。
【0057】
また、装置提供業者が判定支援センターに設定した装置の特性に関する情報を、分析装置が取得できるため、分析結果の判定の信頼性を向上することができる。装置提供業者1304は自社の装置タイプ毎の分析に関する実績を取得できるため、装置に関する改良検討などをすることができる。また、特定試薬を使用した時の特定装置において検出された評価コメントを収集し、装置に関する改良検討または使用上のノウハウ検討とその流布が可能となり、信頼性の高い検査を行うシステムを提供することができる。
【0058】
判定支援サーバにおいて、判定支援サーバが分析装置と試薬提供業者サーバと装置提供業者サーバから取得した情報量と分析装置と試薬提供業者サーバと装置提供業者サーバに提供した情報量を管理しているため、情報の取得量と提供量に応じた換金または課金を行うことができる。すなわち、情報の提供者(分析装置と試薬提供業者サーバと装置提供業者サーバ)に対して、その提供者が逆に享受した情報量(取得量)を課金する場合において、取得量の価値から提供量の価値を減額した部分の課金を行うことで、有益な情報の提供と蓄積を促進することができる。また、取得量と提供量を別々に管理することにより、或一定の提供量を満たした場合は、取得量に対して課金を行わない等のサービスを提供できる。これも、有益な情報の提供と蓄積を促進することに役立つ。取得量と提供量に関する情報は分析装置と試薬提供業者サーバと装置提供業者の表示部に表示されるため、表示されている情報を参考に情報の提供と取得を判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】一実施例の多項目化学分析装置の構成図。
【図2】試薬ボトル外壁の試薬情報の例。
【図3】検体容器外壁の検体情報の例。
【図4】一実施例のシステム構成図。
【図5】分析装置と判定支援センター間の情報関連図。
【図6】判定支援センターが管理する蓄積部のデータ構造図。
【図7】判定支援センターの処理フロー図。
【図8】分析装置側の業務フロー図。
【図9】判定支援センター側の動作フロー図。
【図10】レビュー画面の一実施例。
【図11】評価結果の検索画面の一実施例。
【図12】通信ネットワークを利用した一実施例のシステム構成図。
【図13】装置提供業者を含めた一実施例の情報関連図。
【符号の説明】
【0060】
3…マイクロコンピュータ、6…反応容器、8A,8B…試薬分注ピペッタ、12…試薬ボトル、17…反応テーブル、18…CRT、21…キーボード、23A,23B,28…バーコード読取装置、24…フロッピーディスク、26A,26B…試薬ディスク、27…プリンタ、100…判定支援センター、101A,101B,101C…分析装置、115…判定部、160A,160B…試薬提供業者。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークに接続された少なくとも1つの分析装置と該分析装置の情報を管理するサーバを有し、前記分析装置による分析結果を管理する方法において、
前記分析装置は、複数の分析項目の分析のために複数の試薬液槽の中から分析項目に応じた試薬液を反応容器に分注し分析を行い、当該分析結果を前記ネットワークを介して前記サーバへ送信し、
前記分析結果を前記サーバ内の記憶部に記憶し、記憶された複数の分析結果に基づき少なくとも分析結果の平均値及び標準偏差のうち何れかを求め、求めた結果を前記分析装置に送信することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項2】
請求項1記載の分析結果管理方法において、前記サーバより送信される少なくとも分析結果の平均値及び標準偏差のうち何れかに基づき前記分析装置による分析結果の良否を判定し、分析結果が異常と判定された場合、その旨警告出力または当該分析装置の試薬の分注処理を不動作にすることを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項3】
請求項1記載の分析結果管理方法において、前記サーバ内の記憶部に記憶される情報に対し、少なくとも装置種別及び分析日時を含む情報を検索キーとし、指定された検索キーに対応する情報を前記ネットワークを介して前記分析装置へ送信することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項4】
請求項1記載の分析結果管理方法において、前記分析装置は、当該分析装置による分析結果に対する検査技師による評価結果を受け付け、記憶部に記憶し、前記ネットワークを介して前記分析結果及び分析結果に対する評価結果をサーバへ送信し、前記サーバは、受信される分析結果及び当該分析結果に対する評価結果を分析装置に対応付けて前記サーバ内の記憶部に記憶することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項5】
請求項4記載の分析結果管理方法において、前記サーバが前記分析結果に対する評価結果を記憶する場合、少なくとも、当該評価結果を入力した検査技師を特定するための第1の識別子及び当該分析を行った分析装置が設置された施設を特定するための第2の識別子のうち何れかを前記評価結果と共に記憶することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項6】
請求項5記載の分析結果管理方法において、前記分析装置側から前記第1または第2の識別子を指定する情報が前記ネットワークを介して前記サーバへ送信された場合、当該指定された識別子に対応する前記評価結果及び対応する分析結果を、サーバ内の記憶部より読み出し、ネットワークを介して前記分析装置へ送信することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項7】
請求項5記載の分析結果管理方法において、1の分析装置より前記第1または第2の識別子と共に分析結果に対する問合せ情報がネットワークを介して前記サーバへ送信された場合、前記サーバは前記識別子に対応する分析装置へ当該問合せ情報を転送し、前記識別子に対応する分析装置からの前記問合せに対する回答を前記1の分析装置へ送信することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項8】
請求項1記載の分析結果管理方法において、前記サーバは前記分析装置による分析結果として反応吸光度に関する情報を前記記憶部に記憶し、当該反応吸光度に関する情報を各分析装置に配信し、各分析装置は受信した反応吸光度に関する情報と分析した検体の反応吸光度に関する情報を同一グラフ上に重ね合わせて表示することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項9】
請求項8記載の分析結果管理方法において、前記各分析装置は受信した反応吸光度に関する情報と分析した検体の反応吸光度に関する情報を異なる色を使って同一グラフ上に表示することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項10】
請求項1記載の分析結果管理方法において、前記サーバは、検体の分析結果と共に、検体が一般の患者の検体である場合には患者の属性情報を前記ネットワークを介して前記分析装置より収集し記憶することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項11】
請求項10記載の分析結果管理方法において、前記属性情報に暗号化を施して前記サーバ内に蓄積し、前記属性情報の送信元のみが前記属性情報を解読し読み出し可能とすることを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項12】
分析項目に応じた試薬液を用いて試料の分析を行う少なくとも1つの分析装置と、該分析装置の情報を管理するサーバとを、ネットワークを介して相互に接続する分析結果管理システムであって、前記サーバは、前記ネットワークを介して受信される前記分析装置による分析結果を記憶する記憶部と、記憶された複数の分析結果に基づき少なくとも分析結果の平均値及び標準偏差のうち何れかを求める手段と、求めた結果を分析装置に送信する手段を有することを特徴とする分析結果管理システム。
【請求項13】
請求項12記載の分析結果管理システムにおいて、前記分析装置は、前記サーバより送信される少なくとも分析結果の平均値及び標準偏差のうち何れかに基づき前記分析装置による分析結果の良否を判定し、分析結果が異常と判定された場合、その旨警告出力または当該分析装置の試薬の分注処理を不動作にする制御手段を有することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項14】
請求項12記載の分析結果管理方法において、前記サーバは、前記分析装置から送信される当該分析装置による分析結果に対する検査技師による評価結果を、前記分析結果と共に前記記憶部に分析装置毎に記憶することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項15】
請求項14記載の分析結果管理システムにおいて、前記サーバは、前記分析結果に対する評価結果を記憶する場合、少なくとも、当該評価結果を入力した検査技師を特定するための第1の識別子及び当該分析を行った分析装置が設置された施設を特定するための第2の識別子のうち何れかを前記評価結果と共に記憶することを特徴とする分析結果管理システム。
【請求項1】
ネットワークに接続された少なくとも1つの分析装置と該分析装置の情報を管理するサーバを有し、前記分析装置による分析結果を管理する方法において、
前記分析装置は、複数の分析項目の分析のために複数の試薬液槽の中から分析項目に応じた試薬液を反応容器に分注し分析を行い、当該分析結果を前記ネットワークを介して前記サーバへ送信し、
前記分析結果を前記サーバ内の記憶部に記憶し、記憶された複数の分析結果に基づき少なくとも分析結果の平均値及び標準偏差のうち何れかを求め、求めた結果を前記分析装置に送信することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項2】
請求項1記載の分析結果管理方法において、前記サーバより送信される少なくとも分析結果の平均値及び標準偏差のうち何れかに基づき前記分析装置による分析結果の良否を判定し、分析結果が異常と判定された場合、その旨警告出力または当該分析装置の試薬の分注処理を不動作にすることを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項3】
請求項1記載の分析結果管理方法において、前記サーバ内の記憶部に記憶される情報に対し、少なくとも装置種別及び分析日時を含む情報を検索キーとし、指定された検索キーに対応する情報を前記ネットワークを介して前記分析装置へ送信することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項4】
請求項1記載の分析結果管理方法において、前記分析装置は、当該分析装置による分析結果に対する検査技師による評価結果を受け付け、記憶部に記憶し、前記ネットワークを介して前記分析結果及び分析結果に対する評価結果をサーバへ送信し、前記サーバは、受信される分析結果及び当該分析結果に対する評価結果を分析装置に対応付けて前記サーバ内の記憶部に記憶することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項5】
請求項4記載の分析結果管理方法において、前記サーバが前記分析結果に対する評価結果を記憶する場合、少なくとも、当該評価結果を入力した検査技師を特定するための第1の識別子及び当該分析を行った分析装置が設置された施設を特定するための第2の識別子のうち何れかを前記評価結果と共に記憶することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項6】
請求項5記載の分析結果管理方法において、前記分析装置側から前記第1または第2の識別子を指定する情報が前記ネットワークを介して前記サーバへ送信された場合、当該指定された識別子に対応する前記評価結果及び対応する分析結果を、サーバ内の記憶部より読み出し、ネットワークを介して前記分析装置へ送信することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項7】
請求項5記載の分析結果管理方法において、1の分析装置より前記第1または第2の識別子と共に分析結果に対する問合せ情報がネットワークを介して前記サーバへ送信された場合、前記サーバは前記識別子に対応する分析装置へ当該問合せ情報を転送し、前記識別子に対応する分析装置からの前記問合せに対する回答を前記1の分析装置へ送信することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項8】
請求項1記載の分析結果管理方法において、前記サーバは前記分析装置による分析結果として反応吸光度に関する情報を前記記憶部に記憶し、当該反応吸光度に関する情報を各分析装置に配信し、各分析装置は受信した反応吸光度に関する情報と分析した検体の反応吸光度に関する情報を同一グラフ上に重ね合わせて表示することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項9】
請求項8記載の分析結果管理方法において、前記各分析装置は受信した反応吸光度に関する情報と分析した検体の反応吸光度に関する情報を異なる色を使って同一グラフ上に表示することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項10】
請求項1記載の分析結果管理方法において、前記サーバは、検体の分析結果と共に、検体が一般の患者の検体である場合には患者の属性情報を前記ネットワークを介して前記分析装置より収集し記憶することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項11】
請求項10記載の分析結果管理方法において、前記属性情報に暗号化を施して前記サーバ内に蓄積し、前記属性情報の送信元のみが前記属性情報を解読し読み出し可能とすることを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項12】
分析項目に応じた試薬液を用いて試料の分析を行う少なくとも1つの分析装置と、該分析装置の情報を管理するサーバとを、ネットワークを介して相互に接続する分析結果管理システムであって、前記サーバは、前記ネットワークを介して受信される前記分析装置による分析結果を記憶する記憶部と、記憶された複数の分析結果に基づき少なくとも分析結果の平均値及び標準偏差のうち何れかを求める手段と、求めた結果を分析装置に送信する手段を有することを特徴とする分析結果管理システム。
【請求項13】
請求項12記載の分析結果管理システムにおいて、前記分析装置は、前記サーバより送信される少なくとも分析結果の平均値及び標準偏差のうち何れかに基づき前記分析装置による分析結果の良否を判定し、分析結果が異常と判定された場合、その旨警告出力または当該分析装置の試薬の分注処理を不動作にする制御手段を有することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項14】
請求項12記載の分析結果管理方法において、前記サーバは、前記分析装置から送信される当該分析装置による分析結果に対する検査技師による評価結果を、前記分析結果と共に前記記憶部に分析装置毎に記憶することを特徴とする分析結果管理方法。
【請求項15】
請求項14記載の分析結果管理システムにおいて、前記サーバは、前記分析結果に対する評価結果を記憶する場合、少なくとも、当該評価結果を入力した検査技師を特定するための第1の識別子及び当該分析を行った分析装置が設置された施設を特定するための第2の識別子のうち何れかを前記評価結果と共に記憶することを特徴とする分析結果管理システム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2008−32751(P2008−32751A)
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−273294(P2007−273294)
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【分割の表示】特願2005−277038(P2005−277038)の分割
【原出願日】平成13年6月25日(2001.6.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月22日(2007.10.22)
【分割の表示】特願2005−277038(P2005−277038)の分割
【原出願日】平成13年6月25日(2001.6.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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