説明

分析結果読み取りデバイス及び分析を実行する方法

【課題】多孔質担持体に沿う流体の流量率は検査ごとに変動する場合がある。流対面が通常よりも速い速度で担持体に沿って移動したり、遅い速度で移動する。この結果読み取る時間の最適点は変動することになる。読み取り最適時間が決定できる方法を提供する。
【解決手段】液体移送担持体を用いて実行された分析の結果を読み取る分析結果読み取りデバイスであって、担持体の2つ以上の空間的に隔てられた領域のうちの少なくとも1つへ入射する光を発する少なくとも1つの光源と、2つの前記領域の各々から発する光を検出するように位置すると共に、各領域における液体サンプルの有無を表す信号を発生する光検出器と、計算回路とを備える。その計算回路は、信号に応答して担持体に沿う流体流についての流量率を計算し、この計算された流量率を上限及び下限と比較して、その計算された流量率が上限及び下限の範囲外にあるならば、分析結果を却下する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分析物の測定のための分析読み取りデバイスに関する。特に、流れ測定の光学的方法を用いる分析検査ストリップと共に使用する電子リーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
分析物の家庭内検査に適する分析デバイスは現在は広く商業的に入手可能である。妊娠ホルモンヒト漿膜性線刺激ホルモン(hCG)の測定について、この目的に適する1つの側流免疫分析デバイスは、CLEARBLUE(登録商標)の商標名の下にUnipathから販売されており、欧州特許EP291194号に開示されている。
【0003】
欧州特許EP291194号は免疫分析デバイスを開示し、このデバイスは、分析物について粒子標識付けされた結合試薬(この試薬は濡れた状態では可動自由である)を包含する多孔性担持体と、同一の分析物について標識付けされていない結合試薬とを含み、標識付けされていない結合試薬は、その下流側の検出領域又は検査領域に固定される。分析物を包含すると思われる液体サンプルを多孔性担持体上へ塗布し、その結果、液体サンプルは粒子標識付け結合試薬との干渉により分析物結合パートナー複合体を形成する。粒子標識は色付けされて、代表的には金又は染色ポリマー、例えばラテックス又はポリウレタンである。複合体はその後、検出領域へ移動して、検出又は観察されるべき分析物の存在の程度を表すように、固定された標識付けされていない特定の結合試薬を有する更なる複合体を形成する。生じる結合反応の特性に起因して、検査が開始された後に結果を読み取る目的で特定の時間が経過するのを待つ必要がある。これは可視的な準定量化型の検査には特に重要であり、検出領域又は読み取りラインが時間的に形成される。
【0004】
結果の適時化の様々な方法が商業的デバイスのために提案されてきており、これはユーザーに分析結果を読み取る前に特定の時間長に亘って待機するように指示することを含む。
【0005】
他の方法は、特定の期間が経過した後に生成された信号を含み、出願人の係属中の出願であるPCT/EP03/00274号に開示されたように、信号はユーザーへ分析結果を直ちに読み取るべきことを伝える。
【0006】
デバイスの調整及び適正作動の保証として、調整領域は一般に測定領域から下流側に設けられている。第1の標識付け試薬に結合できる第3の結合試薬は、この調整領域に固定されているので、分析物が存在しないときは、ユーザーは検査が適切に実行されたか点検できる。EP653625号は分析リーダーとの組み合わせで使用するために側流分析検査ストリップを開示し、粒子標識の結合の程度が光学的に判定される。米国特許US5580794号からは、一体型分析デバイス及び側流分析検査ストリップを与えて、反射測定を用いて結果を光学的に判定することも公知である。
【0007】
米国特許第5837546号は免疫測定デバイスを自動的に開始する方法を開示し、ここでは側流担持体に付加的な電極が設けられ、これは検査ストリップ上の液体の存在を検出し、検出電子機器を起動させる信号を発生する。側流型検査の特性、即ち標識付け粒子結合試薬の解放、担持体(代表的には多孔質)に沿う液体の流れ、及び検出領域における分析物複合体の捕捉を必要とする特性に起因して、多孔質担持体の特性を最適化することが望ましい。
【0008】
担持体の孔の寸法は重要な考慮事項であり、好ましくは1乃至12μmの間に選択される。担持体は通常はニトロセルローズであり、その孔の寸法は製造工程に部分的に起因して変動し得る。分析デバイスは、担持体と流体連通する芯を付加的に有してもよく、これは液体サンプルを集めるのに役立ち、また担持体は代表的には異なる材料の2つの部分を含む。ニトロセルローズは、分析ストリップのための担持体材料として典型的に使用されており、従来のストリップ材料、例えば紙を越える相当な利点を有する。というのは、その蛋白質を結合する本質的な能力が従来の感敏性を必要としないためである。分析を最適化する目的で、ニトロセルローズは使用に先立って多数の処理を受け、これはポリビニアルコールのような遮蔽試薬の使用と、標識試薬の解放を増大させる砂糖などの可溶性ガラスの使用とを含む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許第291194号明細書
【特許文献2】国際出願第03/00274号(国際公開03/058243号パンフレット)
【特許文献3】欧州特許第653625号明細書
【特許文献4】米国特許第5580794号明細書
【特許文献5】米国特許第5837546号明細書
【特許文献6】米国特許第6113885号明細書
【特許文献7】米国特許第6352862号明細書
【特許文献8】米国特許第6156271号明細書
【特許文献9】米国特許第5504013号明細書
【特許文献10】欧州特許第728309号明細書
【特許文献11】欧州特許第782707号明細書
【特許文献12】欧州特許第833145号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本願の発明者は多孔質担持体に沿う流体の流量率は検査ごとに変動することを観察した。或る場合には、担持体には溢れさせる傾向があり、即ち流体面が通常よりも速い速度で担持体に沿って移動する。逆に、或る場合には、流体面が通常よりも非常に遅い速度でキャリアに沿って移動し、即ち担持体は或る程度まで遮蔽されることに留意されたい。これらの流体流速度の挙動の異なる形式が不正確な結果をもたらしてしまうことが見出されている。
【0011】
芯と多孔質膜との両方について使用される材料の一貫性がない特性に起因して、結果を読み取る時間的に最適の点(液体サンプルの塗布の後)は変動してしまう。
【0012】
本質的に、より正確且つ信頼性のあるデバイスを与える関心において、代替的な又は付加的な制御特性を与えることが望ましく、その特性は、液体サンプルが多孔質担持体に沿って移動する程度と率との何れか一方又は両方を決定すると共に、流量率が所定の限界の範囲外にあるものと決定されたときは、これらの読み取りを却下する。
【0013】
結果を読み取る最適時間が信頼性をもって反復可能に決定できる方法を与えることも望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本明細書は、幾つかの実施形態において、分析デバイスを与え、これは測流検査ストリップと共に使用するリーダーを含み、これは分析物濃度の測定を定量的及び/又は定性的に且つ高い度合いの信頼性及び精度でなす。
【0015】
本明細書は、特に側流ストリップと共に使用する分析リーダー及び分析物測定を実行する方法を与え、ここでは検査ストリップに沿う液体流れの程度と率との何れか一方又は両方を決定してもよく、流体流量率が所定の限界の範囲外にあるものと決定されたときは、最終的な分析結果は却下してもよい。
【0016】
或る実施形態においては、液体移送担持体を用いて実行された分析の結果のための分析結果読み取りデバイスは、担持体の2つ以上の空間的に隔てられた領域のうちの少なくとも1つへ入射する光を発する能力のある少なくとも1つの光源と、2つの前記領域の各々から発する光を検出するように位置すると共に、各領域における液体サンプルの有無を表す信号を発生する光検出器と、その信号に応答して担持体に沿う流体流についての流量率を計算し、この計算された流量率を上限及び下限と比較して、その計算された流量率が上限及び下限の範囲外にあるならば、分析結果を却下する計算回路とを含む。
【0017】
或る実施形態においては、液体サンプルにおける対象の分析物についての分析を実行する方法は、液体移送担持体を分析結果リーダーとの関係で位置決めし、その担持体は空間的に隔てられた少なくとも2つの領域を有し、リーダーは、少なくとも1つの光源及び少なくとも1つの光検出器を被包するハウジングを含み、担持体は、少なくとも1つの光源が少なくとも1つの領域へ入射する光を発するように、且つ少なくとも1つの領域から発する光が光検出器へ入射するように位置決めされること、;液体サンプルを液体移送担持体へ塗布又は導入すること、;少なくとも1つの光検出器により生成されて、各領域内の液体サンプルの有無を表す信号に応答して、担持体に沿う液体サンプルの流量率を計算すること、及び;計算された流量率が所定の許容限界内にあるか否かを決定することを含む。
【0018】
好ましくは液体移送担持体は、多孔質担持体、例えば当業者には良く知られた形式の側流分析検査ストリップを含む。これに代えて、液体移送担持体は、毛管充填チャンバ、チャンネルその他を含んでもよい(例えば米国特許US6113885号に開示された如し)。液体移送担持体は例えば米国特許US5580794号に開示された方式で分析結果読み取りデバイスの一体的部分としてもよい。このような実施形態においては、組み合わせ読み取りデバイス/液対輸送担持体は代表的には使い捨てである。或いは、液体移送担持体は個別の部品としてもよく、この部品は通常は分析の実行途上で分析結果読み取りデバイスへ導入される。後者の実施形態では、液体移送担持体(代表的には側流分析検査ストリップ)は一般に安価であり、一回の使用の後は使い捨てであり、一方、分析結果読み取りデバイスは再使用可能であり、比較的に高価である。
【0019】
発明の詳細な説明
疑義を避ける目的で、「好ましい」「望ましい」「適宜」「有益」等として本明細書に説明した何れの特性も他の特性又はそのように説明された特性との組み合わせの実施形態に採用し得るものであり、或いは特に断らない限りは単独でも採用し得ることを言明しておく。
【0020】
様々な実施形態を説明するにあたり、用語を以下のように定義する。
【0021】
「液体サンプル」は対象の分析物を含有するものと思われる任意の液体材料を指す。このようなサンプルは、ヒト、動物、或いは人工サンプルを含む。代表的にはサンプルは水性溶液又は生物学的流体である。
【0022】
生物学的流体の例は、尿、血液、漿液、血漿、唾液、間質性(interstitial)流体等を含む。他の使用可能なサンプルは、工業、環境又は食品製造分析及び医療診断分析の性能についての水、食品製品、土壌抽出物その他を含む。更に、分析物を含有すると思われる固体材料は検査サンプルとして用いることができ、液体媒体を形成するように修正されると、分析物を解放する目的で更なる処理を含み得る。
【0023】
対象の任意の適宜な1つ又は複数の分析物を測定してもよい。特に対象となる分析物は、蛋白質、ハプテン、免疫グロブリン、ホルモン、ポリヌクレオチド、ステロイド、薬物、(例えばバクテリア源又はウイルス源である)伝染病原体(例えば連鎖球菌、Neisseria、Chlamydia)、薬物濫用、生物学的マーカー(例えば心臓マーカー)等を含む。
【0024】
代表的には、開示された分析結果読み取りデバイス及び方法は、診断分析の実行、即ち哺乳類(典型的にはヒト)個体の健康状態についての情報を与えるのに適している。
【0025】
液体サンプルの液体移送担持体に沿う(その広がりではなく)進行の速さを計算することが好ましい。
【0026】
通常は、流量率は液体移送担持体上の二つの領域の間で計算し、第1(上流側)領域における液体サンプルの存在又は通過を検出し、同様に、第2(下流側)領域における液体サンプルの存在又は通過を検出する。二つの領域の間の距離が固定されているか又は既知であるか、或いはその両方であるならば、液体サンプルの相対的又は絶対的な流量率は、第1領域と第2領域とにおける液体サンプルの検出の間に経過した時間の長さを測定することにより、容易に計算できる。
【0027】
原理的には、第1及び第2領域は液体移送担持体上の任意の場所であり、例えば第1領域を最上流端におき、第2領域を最下流端におくことができる。二つの領域の間の距離(ひいては液体サンプルの移動時間)は、適宜に選択され、これは判定すべき分析物の性質と液体移送担持体の物理的寸法及び特性に依存し易い。例えば液体移送担持体は、1つ又は複数の様々なマイクロ流体要素、例えば赤血球分離手段、時間ゲート、又は流速制御手段(これらは全てサンプルの移動速度に影響する)を選択的に包含する少なくとも1つのマイクロ流体チャンネルを含む。実際には、2つの領域が分離状態にあって、標準流速においては、充分に正確な流量率を分析の時間フレーム内で計算して、分析処理又は分析結果判定を遅延させないようにすることが望ましい。妊娠ホルモンhCGの検出と定量化との何れか一方、或いはその両方のための分析については、望ましい時間は例えば5乃至60秒の間である。
【0028】
液体移送担持体上の少なくとも1つの付加的な領域における液体サンプルの存在又は通過が有益に検出される。これは流量率のより正確な計算を可能とする。多数の流量率計算領域は、流量率の許容範囲がむしろ狭いとき、或いは流量率が液体移送担持体の様々な点で変動し得る(例えば、マイクロ流体要素の組み込みなどに起因して、異なる流れ特性を有する部分が存在する)場合に有益である。
【0029】
更に、複数の「点検領域」を備えることは、液体サンプルが予期されたシーケンスで各領域を進行することを点検して、液体サンプルが特定の上流領域における検出に先立ち、下流領域で検出されたならば、ユーザーに対して不規則流パターンを警告することを可能にする。このような不規則流パターンは、多孔質担持体から液体サンプルが溢れ出す(採取過剰)ときなどに生じる。
【0030】
計算された流量率が所定の許容限界の範囲外にあるならば、その分析結果には無効を表明し得る。従って流量率計算は制御特徴として働くことができる。多孔質担持体の満液(これは例えば採取過剰の結果、又は製造状の不具合に起因する欠陥分析デバイスの結果、或いは保管又は使用における損傷による)に起因して、計算された流量率が高すぎるなら、ユーザーは警告を受けて分析結果を無視することができる。同様に、計算された流量率が低すぎる(これは例えば採取不足に起因する)ならば、分析結果を無視することができる。従って例えば採取過剰又は採取不足に起因するエラーを回避し得る。
【0031】
液体の進行の率と程度との何れか一方又は両方の計算のためには、原理的には液体サンプルの任意の特性(例えば電気容量、伝導率又は抵抗)を測定することができる。多孔質担持体又は他の液体移送担持体は、液体サンプルの存在の検出可能な変化を物質を含んでもよい。例えばニトロセルローズは、側流分析ストリップにおける多孔質担持体として普通に用いられており、乾燥しているときは不透明(又は実質的に不透明)であるが、その不透明さは、湿ったときには大きく減少する。従って液体サンプルにより湿ったときはニトロセルローズ担持体の光学的反射性又は透過性の変化の測定又は検出は液体サンプルの進行の率と程度との何れか一方又は両方を検出するのに充分であろう。
【0032】
液体移送担持体へ塗布された液体サンプルの進行の率と程度との何れか一方又は両方を計算する手段は、光学的検出システムを含むことが好ましい。このような光学的検出システムは、代表的には、液体サンプルの進行の率と程度との何れか一方又は両方に応答する方式で少なくとも1つの信号(有益には電気信号)を発生する。好ましい実施形態においては、適切な光学システムは少なくとも2つの光源と、少なくとも1つの光検出器とを含むか、或いは反対に、少なくとも1つの光源と、少なくとも2つの光検出器とを含むことにより、液体移送担持体の空間的に隔てられた少なくとも2つの領域における光学的測定をなすことが可能になるようにする。
【0033】
原理的には光源は分析結果リーダーに対して外部のもの、例えば周光とすることができる。しかしながら、これは極めて変動をもたらし易いので、大いに好ましいことは、(a)分析結果読み取りデバイスに少なくとも1つの一体的光源を設ける(これに関してはLEDが特に適宜であることが解っている)こと、(b)分析結果読み取りデバイスにハウジング又は被包体を設け、これは読み取りデバイスの内部へ入る周光を実質的に除外するか、或いは大きく制限することである。この目的のために、ハウジング又は被包体は、デバイスの外部からデバイスの内部へ浸透する可視光入射光の10%未満、好ましくは5%未満、最も好ましくは1%未満であれば、周光を実質的に排除するものと見倣す。光透過性合成プラスチック材料、例えばポリカーボネイト、ABS、ポリスチレン、ポリスチロール、高密度ポリエチレン、又は適宜な光遮蔽色素を含有するポリプロピレンがハウジングの製作に使用するために適する選択である。アパーチュアをハウジングの外部に設けてもよく、これはハウジング内の内質空間と連通する。検査ストリップ又は類似の多孔質担持体は分析を実行するようにアパーチュアを通じて挿入し得る。
【0034】
液体サンプルそれ自体が、液体移送担持体に沿った進行の光学的検出又は監視の何れか一方、又は両方に影響を受けやすい光学的特性(例えば、色)を持ち得る。例えば血液サンプルはヘモグロビンの存在に起因して、400nm乃至600nmの範囲で強く吸収される。代替的に、液体サンプルは、液体移送担持体への塗布に先立って、容易に検出可能な物質(例えば色素、又は蛍光色素等)でドープしてもよく、この物質は分析の性能に干渉することはないが、液体サンプルの進行の率又は程度の何れか一方又は両方の検出(特に光学的検出)を促進するものである。
【0035】
更に他の配置においては、液体位相担持体には液体サンプルにより移送される容易に検出可能な物質を設ける。これに関しても色素、又は蛍光色素等がやはり適するであろう。容易に検出可能な物質は、多孔質担持体等に適宜に解放可能に固定して、液体サンプルとの接触に際して解放されるようにしてもよい。容易に検出可能な物質は、例えば分析に干渉しない着色物質である。好ましい実施形態においては、容易に検出可能な物質は粒子標識であり、これは移動可能な特定結合試薬(分析のための特定結合を有する)へ付着されて、検出領域におけるその標識の検出は分析の基本的な特性に寄与する。
【0036】
粒子標識はこの目的に適する任意のものとしてもよく、これは着色ラテックス、色素ゾル、又は粒子状金である。これに代えて、粒子標識はフルオロフォア(fluorophore)を含んでもよく、これは適切な波長の輻射を発するLEDにより励起することができる。
【0037】
好ましい光学的検出システムは、少なくとも1つの光源と、少なくとも1つの光検出器(例えば光ダイオード)を含む。好ましい光源は発光ダイオード又はLEDである。反射光又は透過光の何れか一方或いは両方は、光検出器により検出し得る。この開示事項の目的のために、反射光とは、光源からの光が多孔質担持体又は他の液体移送担持体から光検出器へ反射した光を意味するものとする。この状況では、検出器は代表的には担持体上に光源と同じ側で設けられている。透過光とは担持体を透過した光を意味し、通常は光検出器は光源に対して担持体の反対側に設けられている。反射性測定の目的では、担持体には白色反射MYLER(登録商標)プラスチック層などの裏打ちを設けてもよい。従って光源からの光は担持体へ入射し、部分的には疎の面から反射して、部分的には担持体へ浸透して、反射層が設けられた深さを含む任意の深さにおいて反射する。従って測定の反射形式は多孔質担持体の少なくとも部分的な厚さにおける光の透過に実際に関係する。
【0038】
1つの実施形態においてはリーダーはハウジングを含み、この中には少なくとも2つの光源(例えばLED)と、このLEDからの光を受光するように配置された各々の光検出器とが包含されている。
【0039】
一方の光源が液体移送担持体の第1上流側領域を照明し、他方の光源が液体移送担持体の第2下流側領域を照明し、各光検出器は各領域からの反射光又は透過光の何れか一方或いは両方を検出するように設けられ、このような反射又は透過の何れか一方或いは両方の光の量は、液体サンプル(それにより移送された任意の光吸収物質又は発光物質を選択に伴う)が問題の領域へ到達したか否かに依存する。
【0040】
特に好ましい実施形態においては、分析結果読み取りデバイスは、液体移送担持体の第1、第2、及び第3の領域をそれぞれ照明する3つの光源を含み、少なくとも2つの領域の間の液体サンプルの流量率が測定される。都合の良いことに、流量率の計算の測定がなされた一方の領域は、分析結果の判定の測定がなされた領域でもあり、例えば第1の領域は、サンプル内に分析物が存在するならば、分析物特定指標付け結合試薬が固定される領域としてもよい。このような領域は検査領域と称することができよう。
【0041】
望ましくは、流量率の計算のために測定がなされた一方の領域は、分析が正確に実行されたか否かを判定するのに用いられる調整値を得る目的で調整測定がなされる領域でもある。このような領域は調整領域と称することができよう。
【0042】
有益なことには、流量率の計算のために測定がなされる領域であって、分析結果リーダーの較正のための測定がなされる領域でもある領域が存在する。このような領域は参照領域と称することができよう。
【0043】
対象の分析物の検出又は定量化の何れか一方或いは両方に用いた分析結果リーダーの部品は、液体の流量率の計算にも用いられることが望ましい。これは単純化及び経済性の利点を与え、このことは使い捨てデバイスには特に望ましい。詳しくは、好ましい分析結果リーダーは対象の分析物の存在又は量の何れか一方或いは両方の検出のための光学的検出システムを有し、同一の光学的検出システムが流量率計算の目的のための測定をなすのに採用される。
【0044】
特に好ましい実施形態においては、分析結果リーダーは、調整領域、参照領域、及び検査領域からの測定を得て、その調整領域は参照領域から下流にあり、その参照領域自体は検査領域の下流にある(即ち参照領域は検査領域と調整領域との間にある)。参照領域は、とりわけ、湿っている場合の液体移送担持体(例えば湿多孔質担持体)の光学的特性(例えば反射性又は透過性の何れか一方或いは両方)の測定を可能とする。好都合には、検査領域及び調整領域から得られた結果を参照領域に関して規格化し、これはサンプルの光学的特性の変動を考慮し、且つこの変動を補償するようにする。このことは、組成(例えば濃度)が広範に変動し得るので、ひいては色又は色の強度が変動する生物学的サンプル、例えば尿を用いるときに特に重要である。
【0045】
分析結果リーダーのハウジングは代表的にはアパーチュアを含み、検査ストリップが解除可能にハウジングへ挿入され、且つ(好ましくは)ハウジングと係合するようにしてある。ハウジングは、リーダーの内室へ入射する周光が絶対最小限に保たれるように設計してある。望ましくは適宜なアライメント及び固定手段をハウジング内に設けて、検査ストリップが挿入された際にこれを固定位置に留めるようにする。光源はハウジング内に配置してあり、この配置は、検査ストリップが正しく挿入された際に、測定すべき各領域に光源が正確に整合するようにしてある。
【0046】
分析検査ストリップは、例えば欧州特許EP291194号又は米国特許US6352862号に開示された従来の側流分析検査ストリップとしてもよい。検査ストリップは好ましくは、粒子標識付け特定結合試薬及び非標識付け特定結合試薬を包含する多孔質担持体を含む。光源及び対応する光検出器は、その使用期間中に、一つ又は複数の光源からの光が多孔質担持体上の各領域に入射し、且つ各光検出器へ反射又は透過するように整合されていることが好ましい。光検出器は、それに入射した光量に概ね比例する電流を生成し、これがレジスタへ与えられて電圧が生成される。光検出器に到達する光量は、色付き粒子標識の存在量、従って分析物の量に依存する。従ってサンプル内の分析物の存在量を決定し得る。この分析物濃度の光学的判定方法は欧州特許EP653625号に更に詳しく説明されている。
【0047】
代替的に、欧州特許EP291194号により開示されたような側流多孔質担持体を含む検査ストリップの使用に代えて、例えば米国特許US6113885号に開示されたように、毛細管内に配置された結合試薬を有する検査ストリップを用いることもできる。
【0048】
幾つかの好ましい特徴に従い分析結果読み取りデバイスを用いる分析測定を導くためには、検査ストリップをリーダーへ挿入して、次いで液体サンプルを検査ストリップのサンプル収容部分へ加える。これに代えて、先ず液体サンプルを検査ストリップへ塗布してから、このストリップをリーダーへ挿入してもよい。サンプルは多孔質担持体に沿って移動し、第1の領域、典型的には検査領域へ到達する。サンプルがストリップへ付加されると、色付き粒子標識が再懸架して、流動体と共に担持体に沿って移動する。サンプルの流動面が第1の領域へ到達すると、色付き粒子標識が光の一部を吸収するので、光検出器へ到達する光強度における低減がある。この反射又は透過光強度における変化は記録される。実際に、粒子標識の大きな量が、初期流動面において後続の流体よりも多く存在する。更に、分析物の存在に起因して結合反応が検査領域で生じるならば、粒子標識は検査領域に留まる傾向にある。従って、観察される結果的な電圧−時間プロファイルの形状は、領域が検査領域、調整領域、又は参照領域の何れであるかに依存する。3つの領域系について、3つの電圧−時間プロファイルが各領域について1つ記録され、測定領域が互いに空間的に隔てられているので、流動面が第1の領域へ到達するのに要する時間は第2及び後続の領域へ到達するのに要する時間よりも短いということに起因して、時間遅れを有する。
【0049】
各領域についての電圧−時間プロファイルの解析及び領域の間の距離の知識からは、流量率を決定し得る。単純なアルゴリズムの使用により、計算された流量率が低すぎるか高すぎると判定されたならば、最終的な分析読み取りを却下してもよい。
【0050】
代表的な実施形態において、分析結果読み取りデバイスは、以下のうちの少なくとも1つを含む。即ち中央処理ユニット(CPU)又はマイクロコントローラ、少なくとも2つのLED、少なくとも2つの光検出器、電源、関連する電気回路系である。電源は、バッテリ又は他の適切な電源(例えば光電セル)を含んでもよい。CPUは典型的には、液体サンプルの進行の計算された率又は程度の何れか一方或いは両方が所定の限度内にあるか否かを判定するようにプログラムする。
【0051】
適宜には分析結果読み取りデバイスは、分析の結果をユーザーへ示す幾つかの方式を持つ。これは例えば可聴又は可視信号の形態を採り得る。望ましくはデバイスは分析結果を表示する可視ディスプレイを含む。これは単純に少なくとも1つのLED又は他の光源の形態として、特定の光源又は光源の組み合わせの照明が必要な情報をユーザーへもたらすようにしてもよい。これに代えて、デバイスには文字又は他のディスプレイ、たとえばLCDを設けてもよい。分析結果を表示する更なる例又は代替例として、デバイスは、液体サンプルの進行の計算された率又は程度の何れか一方或いは両方が所定の許容限界内にあるか否か、ひいては特定の分析の結果を無視すべきか否かを何らかの他の方法でユーザーへ表示又は指示してもよい。読み取りデバイスが特定の分析結果を無視するように判定したならば、デバイスはユーザーへ分析を繰り返すことを促すようにしてもよい。この種の情報を表示するために適するディスプレイは当業者には公知であり、例えばWO99/51989号に開示されている。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】図1は本発明による分析結果読み取りデバイスの1実施形態の斜視図である。
【図2】図2は図1に図示された実施形態の読み取りデバイスの幾つかの内部部品を模式的に示す模式図である。
【図3】図3は図1及び図2に示された読み取りデバイスへ挿入された検査棒の異なる部分から帰還した様々な信号を時間の変化と共に示すグラフである。
【図4】図4は図3と同様なグラフである。
【図5】図5は図3と同様なグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0053】

例1
本開示事項による分析結果読み取りデバイスの実施形態を図1に示す。
【0054】
読み取りデバイスは、長さ約12cm、幅約2cmであり、概ね指状又はタバコ形状である。好ましい実施形態においては、ハウジングは、長さ約12cm、幅約2.5cm、高さ約2.2cmよりも大きくはない。しかしながら、クレジットカード形状のリーダーなど、都合の良い任意の形状を採用してもよい。このデバイスは、光不透過性合成プラスチック材料から形成されたハウジング2を含む(光不透過性合成プラスチック材料は例えばポリカーボネイト、ABS、ポリスチレン、高密度ポリエチレン、炭素のごとき適宜な光遮蔽色素を包含するポリプロピレン又はポリスチロールである)。読み取りデバイスの一端は、狭いスロット又はアパーチュア4であり、これにより検査ストリップ(図示せず)をリーダーへ挿入できる。
【0055】
リーダーは、その上面において楕円形状の2つのアパーチュアを含む。一方のアパーチュアは液晶ディスプレイ6のスクリーンを収容し、これはユーザーへ情報(例えば定性的又は定量的な分析結果)を表示する。他方のアパーチュアは排出機構8を収容し、これを起動すると、挿入済分析デバイスが分析結果読み取りデバイスから強制的に排出される。
【0056】
読み取りデバイスと共に使用する分析デバイスは一般的には従来の側流検査棒であり、これは例えば米国特許US6,156,271号、米国特許US5,504,013号、欧州特許EP728309号又は欧州特許EP782707号に開示された形式である。分析デバイスと、この分析デバイスが挿入されるリーダーにおけるスロットの1つ又は複数の面とは、次のように形状付けられて寸法付けられている。即ち(1)分析デバイスが適切な向きにおいてのみリーダーへ首尾よく挿入され、且つ(2)リーダーと挿入済分析デバイスとの正確な3次元整合があり、これは分析結果がリーダーに正確に読まれることを保証する。
【0057】
この正確な3次元整合を示す適切な分析デバイス/リーダーデバイス組み合わせが欧州特許EP833145号に開示されている。
【0058】
分析デバイスがリーダーへ正確に挿入されたときに、スイッチが閉止してリーダーをその通常の状態として採用された「休止」モードから起動させるので、エネルギ消費が低減する。
【0059】
リーダーのハウジング内に包含された(従って図1では見えない)ものは、図2に模式的に図示された複数の更なる部品である。
【0060】
図2を参照すると、リーダーは3つのLED10a,10b,10cを含む。検査棒がリーダーへ挿入されると、各LED10は検査棒の各領域に整合する。LED10aは検査領域と整合し、LED10bは検査棒の参照領域と整合し、LED10cは調整領域と整合する。各光ダイオード12は様々な領域から反射した光を検出して電流を生成し、その大きさは光ダイオード12へ入射した光量に比例する。電流は電圧へ変換されて、バッファー14により緩衝されて、アナログ対ディジタル変換器(ADC16)へ供給される。その結果的なディジタル信号はマイクロコントローラ18により読み取られる。
【0061】
単純な配置においては、個別の光ダイオードが各領域からの検出のために設けられている(即ち光ダイオードの数が、反射光測定のなされる領域の数に等しい)。図2に示された配置は、更に複雑であり、好ましいものである。2つの光ダイオード12が設けられている。一方の光ダイオードが、検査領域からの反射光を検出し、且つ参照領域からの反射光の一部を検出する。他方の光ダイオード12は参照領域からの反射光の一部と調整領域からの反射光とを検出する。マイクロコントローラ18はLED10を一度に起動して、3つの領域の1つのみが所定の時間で照明されるようにする。この方式では、各領域からの反射光により生成された信号は、時間的に分離可能である。
【0062】
図2は更にスイッチ20を模式的に示し、このスイッチ20は、分析デバイスをリーダーへ挿入することにより閉止して、マイクロコントローラ18を起動する。図2には図示していないが、デバイスは、電源(代表的には1つ又は2つのボタン電池)と、マイクロコントローラ18からの出力に応答するLCDデバイスとを更に含む。
【0063】
使用においては、乾燥検査棒(即ちサンプルとの接触に先立つ)をリーダーへ挿入すると、これは、リーダーデバイスを起動するスイッチ20を閉止して、初期化較正が実行される。別個のLCDからの光出力が同一であることは稀である。同様に各光検出器が同一の検知性を持つ見込みは低い。このような変動が分析読み取りに影響するので、3つのLEDの各々が照明する時間の長さをマイクロコントローラが調整する初期較正が有効であり、3つの領域(検査、参照及び調整)の各々からの測定信号は概ね等しく、システムの応答特性曲線の線形領域における適切な操作位置にあるようにする(様々な領域からの反射光の強度が、信号に直接に比例する変化をもたらすようにする)。
【0064】
初期較正の実行後、デバイスは更に微細な較正を実行する。これは、検査棒が乾燥しているときに各領域についての反射光強度の測定値(「較正値」)をとり、後続の測定値(「検査値」)を各領域についての較正領域を参照することにより規格化することに関する(即ち、規格化値=検査値/較正値)。
【0065】
分析へ導くためには、検査棒のサンプル収容部分を液体サンプルへ接触させる。尿サンプルの場合には、サンプル収容部分を尿流中に保持してもよく、或いは容器内に尿サンプルを集めて、サンプル収容部分をサンプルに短時間(約5乃至10秒間)浸漬してもよい。サンプリングは検査棒をリーダーへ挿入しながら実行してもよく、或いは、さほど好ましくはないが、検査棒をサンプリングのためにリーダーから短時間抜き出してからリーダーへ再挿入してもよい。
【0066】
次いで、少なくとも1つ(好ましくは全て)の領域からの反射光強度の測定を開始し、これは代表的には検査棒のリーダーへの挿入に続く所定の時間間隔の後である。望ましくは、この測定は規則的間隔(例えば1乃至10秒の間の間隔、好ましくは1乃至5秒の間の間隔)でなされる。この測定は、短時間(10ミリ秒以下)に亘る一連の様々な読み取りとして、領域ごとに交互になされるので、リーダーのハウジング内へ浸透し得る周光強度の変動に起因する影響が最小化される。
【0067】
図3は対象の分析物を包含しないサンプルを用いて、3つの領域の各々から検出された反射光の強度(任意の値)対時間を示すグラフである。検査領域についてのプロファイルを×印で示し、参照領域についてのプロファイルを丸印、調整領域についてのプロファイルを三角印で示す。
【0068】
検査領域プロファイルを考慮すると、液体サンプルが多孔質担持体に沿って移動する間の初期遅延相が存在する。この期間において、検査領域により反射された光のレベルは基本的に一定である。サンプルが検査領域へ到達するにつれて、反射光の量は急峻に減少する。その主な原因は、液体サンプルにより移送された色付き粒子標識による光の吸収である。しかしながら、反射光強度の減少の一部は、単にニトロセルローズ多孔質担持体の湿気に起因している。というのは、乾いたニトロセルローズは更に反射性であるためである。
【0069】
流動面が検査領域を通過すると、反射光のレベルが減少を開始し、色付き標識はサンプルと共に検査領域を下流側へ通過する。反射光強度は初期レベルへは復帰しない。これはニトロセルローズの湿気のためと、少量の色付き粒子標識が液体の前進と共に背後に残されるためである。
【0070】
一般に、参照領域及び調整領域は同様なプロファイルを示すが、これらは検査領域の下流であるので、遅延は更に背後である。特に、調整領域プロファイルは、その反射光強度の初期レベルに復帰しない。これは「調整ライン」の形成のためである(即ち色付き粒子標識の調整領域における沈積である。
【0071】
図4は基本的に同様であり、%規格化結果(即ち検査値を較正値×100で除してある)を用いて得られたプロファイルを示す。このプロファイルは時間対較正値の%の項で表してある。図4は初期較正読み取りに対する検査読み取りの規格化は、検査領域、参照領域、調整領域からの信号の変動を低減させることを示している(やはり調整領域値は調整領域における標識試薬の沈着に起因して低く留まる)。
【0072】
多孔質担持体に沿う液体サンプルの流量率を計算する目的で、例示的な読み取りデバイスに検査領域(Test)及び調整領域からの規格化結果を参照領域(Ref)から得られた結果と比較させ、「反射光強度の相対的減衰」(%A)に到達させた。
【0073】
[%A=(Ref(t)/Ref(cal)−Test(t)/Test(cal))/(Ref(t)/Ref(cal))]
【0074】
対象の関連する分析物を包含するサンプルについて、代表的な%Aプロファイル(対時間)を図5に示す。正の減衰は、問題の領域では光の反射が参照領域よりも少ないことを意味し、一方、負の減衰は、問題の領域では光の反射が参照領域よりも大きいことを意味する。
【0075】
検査領域の%Aプロファイルを参照すると、(色付き粒子標識を伴う)液体サンプルが検査領域に到達したが、未だ参照領域には達していないときは、検査領域信号は(参照領域に関して)先ず大きく減衰することが明らかである。約35秒後、液体サンプルは参照領域に到達し始め、これは検査領域の相対減衰の急激な下降をもたらす。約40秒後、流動面は参照領域を離れ始めて、参照領域の反射性の減少ひいては検査領域の相対減衰の減少をもたらす。これは水平になって30%直下の正の減衰において最終的にはプラトーに達し、対象の分析物のサンプルにおける存在に起因して、検査領域は色付き粒子標識の一部を捕捉する。
【0076】
調整領域についてのプロファイルを考慮すると、液体サンプルが調整領域の前に参照領域に到達するので、初期急峻下降(負の減衰)が存在することが明らかである。液体サンプルが調整領域の前に参照領域を離れ始めると、調整領域からの信号における相対的負減衰が零に復帰し始めて、液体サンプルが調整領域に達すると、調整領域における標識試薬の沈着が正の調整結果を与えることに起因して、相対的低減衰は正になり、約15%のプラトーレベルに達する。
【0077】
現在の例示的なリーダーにおいて検査領域の結果を参照領域の結果と比較したが、有益な代替例も検査領域の結果を調整領域の結果と比較できるであろう。
【0078】
一般に、流量率は特定の領域における液体サンプルの出現に関連して反射光強度の変化を検出することにより計算され、様々な領域における液体サンプルの到達の間に経過した時間を決定する。
【0079】
全ての3つの領域における信号は検査ストリップ上の液体の位置に拘わりなく測定される。検査領域における信号減衰は参照領域における信号減衰に関して測定される。流動面が検査領域に到達したとき、流動面が未だ参照領域に到達していない(検査領域から下流に位置している)ことに起因して、信号減衰は参照領域に関して変化する。参照領域に関する検査領域の信号減衰が10%より大きくなったとき、計時を開始する。この10%の値は、測定読み取り付加される誤差(この誤差自体が様々な測定パラメータ、例えば検査ストリップ、光学素子に依存する)の余裕を含む信頼性の度合いを示していることを述べておく。これは変化させてもよく、任意の都合のよい値を選択し得るであろう。
【0080】
液体が次いで参照領域へ前進し、且つ参照領域に関する調整領域の信号減衰がマイナス10%(−10%)より大きいとき、デバイスは液体が調整領域に到達したとみなす(マイナスの値は、調整領域が検査領域から下流に位置することを反映している)。参照領域に関する調整領域の信号減衰が零よりも大きい(即ち更に正)とき、デバイスは液体が調整領域に到達したとみなす。従ってデバイスによる時間測定は、液体が各領域に到達したときの時間に正確に対応させる必要はないであろう。
【0081】
この例においてはリーダーは検査領域と調整領域との間の液体の通過の率を測定したが、これをリーダーは参照領域から得られた信号に関して測定する。しかしながら、検査領域及び調整領域における液体の到達は絶対的に決定できる(即ち、参照領域に関する測定によらない)。
【0082】
リーダーは、液体サンプルが参照領域で検出される前に調整領域で検出された(これは液体サンプルが不規則な流路を流れたことを示す)ならば、分析結果の無効を表明するようにもプログラムしてある。
【0083】
例2
一組の光学素子を用いて信号及び流量率の両方を決定した。最大流量率及び最小流量率はそれぞれ5秒及び40秒に設定した。従って40秒より長く要するサンプルは遅すぎる(これは採取不足に起因するであろう)として却下し、5秒より短いサンプルは早すぎるとして却下した。流量率は多数の因子に影響され、その因子は多孔質、調整ラインと検査ラインとの間の距離、及び流れを変形させ得る多孔質ストリップ内の化学物質を含む。
【0084】
流体が検査ラインに到達したとき、計時を決定して零に設定した。次いでタイマーを設定し、流体が調整ラインへ到達する時間を測定した。更なる制御点検として、デバイスは流体が参照領域を通過するのを監視した。また更なる制御特性として、5秒と40秒との間の流量率範囲が満足されたとしても、正確な流量率測定を可能にする前に、デバイスは流体が検査領域、参照領域、調整領域をこの順序で通過することも監視した。
【0085】
他の実施形態においては、上限及び下限流量率限界は、検査流体の特定の特性又は上述の要因の何れか一方或いは両方に従い広範な範囲の値に設定できることは勿論である。
【符号の説明】
【0086】
10a,10b,10c:LED
12:光ダイオード
18:マイクロコントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体移送担持体を用いて実行された分析の結果を読み取る分析結果読み取りデバイスであって、
担持体の2つ以上の空間的に隔てられた領域のうちの少なくとも1つへ入射する光を発する少なくとも1つの光源と、
2つの前記領域の各々から発する光を検出するように位置すると共に、各領域における液体サンプルの有無を表す信号を発生する光検出器と、
その信号に応答して担持体に沿う流体流についての流量率を計算し、この計算された流量率を上限及び下限と比較して、その計算された流量率が上限及び下限の範囲外にあるならば、分析結果を却下する計算回路とを備えるデバイス。
【請求項2】
請求項1のデバイスにおいて、前記担持体が多孔質担持体を含むデバイス。
【請求項3】
請求項1又は2のデバイスにおいて、前記少なくとも1つの光源が発光ダイオードを含むデバイス。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか一項に記載のデバイスにおいて、前記少なくとも1つの光検出器が光ダイオードを含むデバイス。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか一項に記載のデバイスにおいて、前記少なくとも1つの光源が少なくとも2つの光源を含み、前記少なくとも1つの光検出器が少なくとも2つの光検出器を含むデバイス。
【請求項6】
請求項5に記載のデバイスにおいて、
第1の光源は第1の領域へ入射する光を発し、且つ第1の光検出器は第1の領域から発せられる光を検出すると共に、
第2の光源は第2の領域へ入射する光を発し、且つ第2の光検出器は第2の領域から発せられる光を検出するデバイス。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか一項に記載のデバイスにおいて、前記少なくとも1つの光源が少なくとも2つの発光ダイオードを含み、前記少なくとも1つの光検出器が少なくとも2つの光ダイオードを含むデバイス。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか一項に記載のデバイスにおいて、領域における流体サンプルの有無を表す信号が、前記担持体の光学的反射性又は透過性との何れか一方或いは両方に基づいて計算されるデバイス。
【請求項9】
請求項1乃至8の何れか一項に記載のデバイスにおいて、前記少なくとも1つの光源及び前記少なくとも1つの光検出器を包囲するハウジングを更に備えるデバイス。
【請求項10】
請求項9に記載のデバイスにおいて、前記ハウジングが、約12cm長、約2.5cm幅、約2.2cm高よりも大きくないデバイス。
【請求項11】
請求項1乃至10の何れか一項に記載のデバイスにおいて、前記少なくとも1つの光源及び前記少なくとも1つの光検出器が、約1平方センチメートルより大きくない範囲内に配置されているデバイス。
【請求項12】
請求項11に記載のデバイスにおいて、前記少なくとも1つの光源及び前記少なくとも1つの光検出器が、約0.7平方センチメートルより大きくない範囲内に配置されているデバイス。
【請求項13】
請求項1乃至12の何れか一項に記載のデバイスにおいて、前記少なくとも1つの光検出器により生成された信号が領域内に存在する分析物の量を表すデバイス。
【請求項14】
液体サンプルにおける対象の分析物についての分析を実行する方法であって、
液体移送担持体を分析結果リーダーとの関係で位置決めし、その担持体は空間的に隔てられた少なくとも2つの領域を有し、リーダーは、少なくとも1つの光源及び少なくとも1つの光検出器を被包するハウジングを含み、担持体は、少なくとも1つの光源が少なくとも1つの領域へ入射する光を発するように、且つ少なくとも1つの領域から発する光が光検出器へ入射するように位置決めする段階と、
液体サンプルを液体移送担持体へ塗布又は導入する段階と、
少なくとも1つの光検出器により生成されて、閣僚域内の液体サンプルの有無を表す信号に応答して、担持体に沿う液体サンプルの流量率を計算する段階と、
計算された流量率が所定の許容限界内にあるか否かを決定する段階とを含む方法。
【請求項15】
請求項14に記載の方法において、前記計算された流量率が所定の許容限度内にないならば分析結果を却下する段階を更に含む方法。
【請求項16】
請求項14又は15に記載の方法において、前記検査ストリップが少なくとも部分的に前記分析結果リーダーの内側に部分的に位置している方法。
【請求項17】
請求項14乃至16の何れか一項に記載の方法において、前記分析結果リーダーが第2の光検出器を備え、前記少なくとも1つの光源が第1、第2、第3の光源を含み、前記検査ストリップが空間的に隔てられた3つの領域を有し、各光源が対応する検査ストリップ領域に対して整合且つ側方にオフセットし、
第1の光検出器は第1の領域及び第2の領域から発する光を受光するように位置し、
第2の光検出器は第2の領域及び第3の領域から発する光を受光するように位置する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−257414(P2011−257414A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156548(P2011−156548)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【分割の表示】特願2004−167288(P2004−167288)の分割
【原出願日】平成16年6月4日(2004.6.4)
【出願人】(302044591)アレル・スウイツツアーランド・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング (38)
【Fターム(参考)】