分析装置、プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体
【課題】 測定値を評価するための基準値を的確に設定することが容易な分析装置を提供する。
【解決手段】 試料の所定の測定項目についての測定値を評価するための第1および第2の基準値を記憶する記憶手段と、前記第1および第2の基準値に基づいて前記測定値を評価する評価手段と、前記評価手段による測定値の評価結果を出力する出力手段とを備え、前記第1の基準値は固定値であり、前記第2の基準値は変更可能な値である、分析装置を提供する。
【解決手段】 試料の所定の測定項目についての測定値を評価するための第1および第2の基準値を記憶する記憶手段と、前記第1および第2の基準値に基づいて前記測定値を評価する評価手段と、前記評価手段による測定値の評価結果を出力する出力手段とを備え、前記第1の基準値は固定値であり、前記第2の基準値は変更可能な値である、分析装置を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置、プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体に関し、特に測定値を評価する機能を有する分析装置、プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、測定値のランク付けを行うための閾値(上限値および下限値)を設定可能に構成された装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,851,487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、上記特許文献1の装置は、上記の閾値を設定することが可能であるため、ランクの使用目的に応じて閾値を変更することが可能となる。
測定値のランク付けを行うための閾値には、任意に変更してもよい閾値と、任意に変更しない方がよい閾値とがある。
例えば、測定値が、最も低値を表すランクや最も高値を表すランクに該当する場合は、装置が正常に動作していない場合が多いため、これらのランクの閾値は、任意に変更しない方がよい。
【0005】
しかし、従来の装置では、この点については考慮されていなかった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、測定値を評価するための基準値を的確に設定することを容易にした分析装置、プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明の第1の局面における分析装置は、試料の所定の測定項目についての測定値を評価するための第1および第2の基準値を記憶する記憶手段と、前記第1および第2の基準値に基づいて前記測定値を評価する評価手段と、前記評価手段による測定値の評価結果を出力する出力手段とを備え、前記第1の基準値は固定値であり、前記第2の基準値は変更可能な値である。
【0007】
この第1の局面による分析装置では、上記のように、試料の所定の測定項目についての測定値を評価するための第1および第2の基準値を記憶する記憶手段と、前記第1および第2の基準値に基づいて前記測定値を評価する評価手段と、前記評価手段による測定値の評価結果を出力する出力手段とを備え、前記第1の基準値は固定値であり、前記第2の基準値は変更可能な値であるので、測定値を評価するための基準値を的確に設定することが容易となる。
【0008】
この発明の第2の局面による試料を分析する方法を実行するプログラムは、試料の所定の測定項目についての測定値を評価するための第1および第2の基準値を記憶する記憶ステップと、前記第1および第2の基準値に基づいて前記測定値を評価する評価ステップと、前記評価手段による測定値の評価結果を出力する出力ステップとを備え、前記第1の基準値は固定値であり、前記第2の基準値は変更可能な値である、試料を分析する方法を実行する。
【0009】
この第2の局面による試料を分析する方法を実行するプログラムは、上記のように、試料の所定の測定項目についての測定値を評価するための第1および第2の基準値を記憶する記憶ステップと、前記第1および第2の基準値に基づいて前記測定値を評価する評価ステップと、前記評価手段による測定値の評価結果を出力する出力ステップとを備え、前記第1の基準値は固定値であり、前記第2の基準値は変更可能な値である、試料を分析する方法を実行するので、測定値を評価するための基準値を的確に設定することが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態では、本発明による分析装置の一例として尿中の有形成分を分析するための尿分析装置について説明する。
【0011】
本実施形態による尿中の有形成分を分析するための尿分析装置は、図1に示すように、装置本体1と、レーザ電源3と、空圧源5とを備えている。
装置本体1は、電源スイッチ6と、試料としての尿を収容した検体容器を移送して自動的に吸引部11に供給するための搬送ユニット10と、尿を検体容器から吸引するための吸引部11と、吸引部11による尿の吸引を開始させるためのスタートスイッチ7と、使用者からの操作指示の入力を受け付けるとともに、尿の分析結果などの情報を表示するタッチパネル式液晶ディスプレイ9(以下、ディスプレイ9とよぶ)とを備えている。
【0012】
装置本体1には、装置本体1に陽圧および陰圧を供給する空圧源5が図示しないチューブを介して接続されている。また、装置本体1には、後述するアルゴンレーザに電力を供給するレーザ電源3が図示しないコードを介して接続されている。さらに、装置本体1には、図示しない試薬容器が接続されており、装置本体1は、空圧源5から供給される陰圧を利用して試薬容器に収容された試薬を吸引する。
装置本体1は、図2に示すように、搬送ユニット10と、吸引部11と、試料調製機構13と、検出部15と、制御部21と、アラーム24と、ディスプレイ9とを備えている。
【0013】
試料調製部13は、吸引部11によって吸引された尿と試薬容器から吸引した試薬とを混合することによって測定用試料を調製し、その測定用試料を検出部15に移送する。
検出部15は、試料調製部13から移送された測定用試料から散乱光データ、蛍光データおよび電圧などの検出データを検出し、その検出データを制御部21に出力する。
【0014】
制御部21は、検出部15から出力された検出データを分析して分析結果を取得し、その分析結果をディスプレイ9に出力する。
制御部21は、CPU23と、A/D変換回路26と、メモリ27とを備えている。A/D変換回路26は、検出部15から出力された検出データをアナログ値からデジタル値に変換してメモリ27に出力する。
【0015】
メモリ27は、ROMとRAMとを備えている。ROMには、装置本体1を後述するように動作させるためのプログラムが記憶されている。RAMには、後述する基準値が記憶される基準値記憶領域27が設けられている。また、検出部15から出力された検出データはRAMに記憶される。
アラーム24は、制御部21からの指示に従って警告音や操作音を発生する音発生器である。
【0016】
検出部15は、図3に示すように、導電率センサ19と、直流電源回路29と、電極30a,30bと、アルゴンレーザ31と、照射レンズ系33と、サンプルノズル34と、フローセル35と、ビームストッパ36と、コレクターレンズ37と、ピンホール38と、ダイクロイックミラー39と、フィルタ41と、フォトマル43と、レンズ45と、フォトダイオード47と、アンプ49、51、53とを備えている。
試料調製部13から移送された測定用試料は、導電率センサ19およびサンプルノズル34を介してフローセル35を流れる。
【0017】
アルゴンレーザ31から発せられた光は、照射レンズ系33によって集束され、フローセル35を流れる測定用試料を照射する。測定用試料を照射した光は散乱し、コレクターレンズ37によって集束され、ピンホール38によって測定に必要のない光が除去され、ダイクロイックミラー39を照射する。ビームストッパ36は、アルゴンレーザ31から直接照射される光を遮断する。アルゴンレーザ31は、レーザ電源3から供給される電力を使用してレーザ光を発生する。なお、アルゴンレーザ31に代えてヘリウムネオンレーザ、赤色半導体レーザ、または青色半導体レーザなどのレーザや発光ダイオード(LED)を用いてもよい。
【0018】
ダイクロイックミラー39を照射した光は、散乱光成分と蛍光成分に分けられる。散乱光成分は、レンズ45によって集束され、フォトダイオード47を照射する。蛍光成分は、フィルタ41によって所定の波長の光のみが通過し、フォトマル43を照射する。
フォトダイオード47およびフォトマル43は、照射された光の強度に応じた電気信号を出力する。出力された電気信号は、アンプ49およびアンプ51によって増幅され、制御部21に送られる。
【0019】
直流電源回路29は、電極30aおよび電極30bを介して、フローセル35を流れる測定用試料に直流電流を流す。直流電源回路29は、電極30aと電極30bとの間の電圧を検出する機能を備え、検出された電圧は、アンプ53によって増幅され、制御部21に送られる。
導電率センサ19は、測定用試料の導電率を算出するために用いられるセンサである。導電率センサ19は、その中を流れる測定用試料の電圧を検出する。導電率センサ19によって検出された電圧は、直流電源回路29を介してアンプ53に送られ、アンプ53によって増幅され、制御部21に送られる。制御部21は、その電圧から導電率を算出する。
【0020】
導電率センサ19は、図4に示すように、チューブ61と、電極63と、電極65と、検出回路67とを備えている。
チューブ61は、セラミック製の内径が1mm、長さが1cmのチューブである。図4において、チューブ61は、その一部が断面で示されている。電極63および65は、ステンレス製の内径が1mmの中空の電極であり、チューブ61の両端に接続されている。測定用試料は、電極63、チューブ61、および電極65の内部を流れ、サンプルノズル34を介してフローセル35に移送される。
検出回路67は、電極63および65に接続されている。検出回路67は、電極63、チューブ61内の測定用試料、および電極65を流れる電流を供給し、その際に得られる電極63と65との間の電圧を検出し、出力する機能を有する。
【0021】
図1〜図15を参照して、本実施形態の尿分析装置の動作について説明する。
図5を使用して制御部21が実行する処理の概要を説明する。
使用者が電源スイッチ6を操作することによって装置本体1の電源が投入されると(ステップS1)、制御部21は、モード切替処理を実行する(ステップS2)。モード切替処理は、装置本体1をユーザモードまたはサービスモードに設定する処理である。
【0022】
次に、制御部21は、初期処理を実行する(ステップS3)。初期処理は、ソフトウエアを初期化する処理(但し、後述するサービスフラグは変更しない)や、吸引部11や試料調製部13などの機構を初期位置に戻す処理などを含む。この初期処理が終了すると、ディスプレイ9には測定を開始するための測定画面が表示される。この測定画面は、装置本体1がサービスモードに設定されていれば、後述するパラメータキーを含み、装置本体1がユーザモードに設定されていればパラメータキーを含まない。
【0023】
次に、制御部21は、ディスプレイ9の測定画面に表示されたいずれかのキーまたはスタートスイッチ7(以下、キー等とよぶ)が入力されたか否かを判断する(ステップS4)。
ステップS4において、キー等の入力があると、制御部21は、入力されたキー等が設定キーであるか否かを判断する(ステップS5)。設定キーは、装置本体1がユーザモードに設定されていてもサービスモードに設定されていてもディスプレイ9に表示されるキーであり、後述するユーザ用基準値設定画面を表示させるためのキーである。入力されたキー等が設定キーであると判断されると、制御部21は、ユーザ設定処理を実行する(ステップS6)。ユーザ設定処理は、ユーザモードおよびサービスモードにおいて、測定用試料の導電率を評価するための基準値のうち所定の基準値(第2の基準値)を設定する処理である。
【0024】
ステップ5において、入力されたキー等が設定キーでないと判断されると、制御部21は、入力されたキー等が、パラメータキーであるか否かを判断する(ステップS7)。パラメータキーは、装置本体1がサービスモードに設定されている場合にのみディスプレイ9に表示されるキーであり、後述するサービス用基準値設定画面を表示させるためのキーである。入力されたキー等がパラメータキーであると判断されると、制御部21は、サービス設定処理を実行する(ステップS8)。サービス設定処理は、サービスモードにおいて、測定用試料の導電率を評価するための基準値のうち所定の基準値(第1の基準値)を設定する処理である。
【0025】
ステップS7において、入力されたキー等がパラメータキーでないと判断されると、制御部21は、入力されたキー等が検体番号入力キーであるか否かを判断する(ステップS9)。入力されたキー等が検体番号入力キーであると判断されると、制御部21は、検体番号受付処理を実行する(ステップS10)。検体番号受付処理は、測定しようとする尿(検体)を特定するための検体番号を受け付ける処理である。この処理は、サービスモードからユーザモードへの切替処理を含む。
【0026】
ステップS9において、入力されたキー等が検体番号入力キーでないと判断されると、制御部21は、入力されたキー等がスタートスイッチ7であるか否かを判断する(ステップS11)。入力されたキー等がスタートスイッチ7であると判断されると、制御部21は、測定処理を実行する(ステップS12)。測定処理は、尿を測定して赤血球数(RBC)、白血球数(WBC)、上皮細胞数(EC)、円柱数(CAST)、細菌数(BACT)および導電率(Cond.)などの測定値を取得し、基準値を用いて測定値を評価する処理である。
【0027】
ステップS11において、入力されたキー等がスタートスイッチ7でないと判断されると、制御部21は、入力されたキー等がシャットダウンキーであるか否かを判断する(ステップS13)。入力されたキー等がシャットダウンキーであると判断されると、制御部21は、シャットダウン処理を実行する(ステップS14)。シャットダウン処理は、吸引部11や試料調製部13などを洗浄する処理や、所定のプログラムを終了する処理を含み、シャットダウン処理が終了すると、装置本体1の電源はオフになる。
【0028】
図6を使用して、ステップS2におけるモード切替処理の詳細について説明する。
ステップS201では、制御部21は、ディスプレイ9に初期画面を表示する処理を実行する。
ステップS202では、制御部21は、サービスフラグ(以下、「フラグ」をFと表記する)を0に設定する。
ステップS203では、制御部21は、タイマーTを開始する処理を実行する。
【0029】
ステップS204では、制御部21は、タイマーTが終了したか否かを判断する処理を実行する。なお、タイマーTは、開始から5秒後に停止する。
タイマーTが終了していなければ、ステップS205において、制御部21は、ディスプレイ9の所定位置(ディスプレイ9の右下)が触れられたか否かを判断する処理を実行する。ステップS205において所定位置が触れられていなければ、再度タイマーTが終了したか否かを判断する処理を実行する(ステップS204)。
【0030】
ステップS204においてタイマーが終了した場合、サービスFが0に設定されたまま、ステップS3の処理に進む。これによって、装置本体1は、ユーザモードの下で動作する。
ディスプレイ9の右下の所定位置には、触れる位置を使用者に示唆する表示(例えば、キーやボタン)はない。この所定位置を触れることを例えば尿分析装置のメンテナンス業者の特定の者のみに知らせておけば、特定の者は尿分析装置をサービスモードへ切り替えることができるが、通常の使用者はサービスモードへ切り替えることができない。従って、特定の者は、前記の第1の基準値と第2の基準値の両方を設定することができる一方、通常の使用者は、第2の基準値のみを設定することができ、第1の基準値を設定することができない。
【0031】
ステップS205においてディスプレイ9の所定位置が触れられていれば、図11に示すテンキー90をディスプレイ9に表示させる(ステップS206)。テンキー90は、0〜9までの数字を入力するための10個の数字キー100〜109と、入力された数字をキャンセルするためのキャンセルキー110と、入力された数字を確定するための入力キー111と、入力された数字を表示するための表示部112と、パスワードの入力を終了するための終了キー113とを備える。
【0032】
次に、制御部21は、ディスプレイ9に表示されたテンキー90によってパスワード(数字等)が入力され、入力キー111が入力されたか否かを判断する処理を実行する(ステップS207)。
パスワード(数字等)が入力され、入力キー111が入力されると、制御部21は、入力されたパスワード(数字等)が所定のパスワード(第1パスワード)と一致するか否かを判断する処理を実行する(ステップS208)。なお、第1パスワードは、例えば4桁の数字で構成され、予めメモリ25に記憶されている。
【0033】
入力されたパスワード(数字等)が第1パスワードと一致すれば、制御部21は、サービスFを1に設定する(ステップS209)。これによって、装置本体1は、サービスモードの下で動作する。
入力されたパスワード(数字等)が第1パスワードと一致しなければ、制御部21は、テンキー90の表示部112の表示を初期化し(ステップS210)、再度ステップS207の処理を実行する。
【0034】
ステップS207においてパスワード(数字等)が入力されていなければ、制御部21は、終了キー113が入力されたか否かを判断する処理を実行する(ステップS211)。パスワードの入力は、テンキー90に設けられた終了キー113に使用者が触れることによって終了する。
終了キー113が触れられると、制御部21は、モード切替処理(ステップS2)を終了し、初期処理(ステップS3)に進む。これによって、装置本体1は、ユーザモードの下で動作する。
ステップS211において終了キー113が入力されていなければ、制御部21は、再度ステップS207の処理を実行する。
【0035】
図7を使用して、ステップS6におけるユーザ設定処理の詳細について説明する。
ステップS401では、制御部21は、メモリ25の基準値記憶領域27に記憶されている基準値を読み出す。
図12は、基準値記憶領域27に記憶されている基準値テーブル71を示している。基準値テーブル71に含まれている基準値は、導電率センサ19によって検出される測定用試料の電圧をもとに制御部21によって算出される導電率を評価するための基準値である。基準値テーブル71は、導電率が最も低い領域にあることを示すランクであるRANK1の下限値(基準値)として0を、上限値(基準値)として5を含む。同様に、基準値テーブル71は、導電率が2番目に低い領域にあることを示すランクであるRANK2の下限値(基準値)として5.1を、上限値(基準値)として16を、導電率が3番目に低い領域にあることを示すランクであるRANK3の下限値(基準値)として16.1を、上限値(基準値)として27を、導電率が2番目に高い領域にあることを示すランクであるRANK4の下限値(基準値)として27.1を、上限値(基準値)として38を、導電率が最も高い領域にあることを示すランクであるRANK5の下限値(基準値)として38.1を含んでいる。なお、RANK5の上限値が存在しないことは、RANK5には、38.1以上の全ての数値が含まれることを示している。また、導電率は、小数点以下2桁目が四捨五入されるので、上記RANK1からRANK5のいずれかに分類される。
【0036】
尿を測定した場合の導電率は、RANK1やRANK5に分類される可能性は非常に低く、例えば、導電率がRANK1に該当する場合には、尿ではなく水を測定していることや尿分析装置が故障していることが考えられる。一方、導電率がRANK5に該当する場合には、尿分析装置が故障していることが考えられる。従って、このようなランクの範囲を尿分析装置の使用者が任意に変更することは好ましくない。
【0037】
RANK2、RANK3、およびRANK4の範囲については、その使用目的に応じて尿分析装置の使用者が任意に変更することができることが好ましい。例えば、入院患者の尿を測定した場合の導電率を評価する場合の基準値と、健康診断の被験者の尿を測定した場合の導電率を評価する場合の基準値とを別の値としてもよい。
【0038】
次に、ステップS402において、制御部21は、ユーザ用基準値設定画面をディスプレイ9に表示する処理を実行する。
図13は、ステップS402においてディスプレイ9に表示されるユーザ用基準値設定画面75を示す図である。ユーザ用基準値設定画面75は、基準値が表示される基準値表示部77と、テンキー93とを含む。基準値表示部77は、RANK1からRANK5を意味する1から5の数値を表示するランク表示部79と、ランク表示部79の右隣に表示され、RANK1からRANK5の下限値を表示する下限値表示部81と、下限値表示部81の右隣に表示され、RANK1からRANK4の上限値を表示する上限値表示部83と、上矢印キー87と、下矢印キー89とを含む。下限値表示部81には、ステップS401において基準値記憶領域27から読み出した下限値が表示され、上限値表示部83には、ステップS401において基準値記憶領域27から読み出した上限値が表示されている。
【0039】
上限値表示部83には、カーソル85が表示されている。カーソル85は、使用者が上矢印キー87を1回触れるごとに1行上に移動し、下矢印キー89を1回触れるごとに1行下に移動する。但し、カーソル85は、RANK2の上限値の位置(すなわち、カーソル85が数値18に重なる位置)およびRANK3の上限値の位置(すなわち、カーソル85が数値30に重なる位置)のみを移動可能である。カーソル85がRANK2の上限値の位置にある場合に、使用者が上矢印キー87に触れると、カーソル85は移動しないとともに、アラーム24によって警告音が発せられる。同様に、カーソル85がRANK3の上限値の位置にある場合に、使用者が下矢印キー89に触れると、カーソル85は移動しないとともに、アラーム24によって警告音が発せられる。これによって、使用者は、RANK1およびRANK4の上限値は変更不可であることを容易に理解することができる。
【0040】
テンキー93は、前述したテンキー90と同じ構成である。
次に、ステップS403において、制御部21は、基準値の変更(設定)を受け付ける処理を実行する。
カーソル85をRANK2の上限値の位置に合わせた状態で、使用者がテンキー93によって数値を入力し、テンキー93の入力キーに触れると、RANK2の上限値は、入力された数値に変更される。そして、RANK3の下限値が自動的に入力された数値に0.1を加えた数値に変更される。同様に、カーソル85をRANK3の上限値の位置に合わせた状態で、使用者がテンキー93によって数値を入力し、テンキー93の入力キーに触れると、RANK3の上限値は、入力された数値に変更される。そして、RANK4の下限値が自動的に入力された数値に0.1を加えた数値に変更される。
【0041】
次に、ステップS404において、制御部21は、テンキー93の終了キーが入力されたか否かを判断する処理を実行する。使用者がテンキー93の終了キーに触れると、基準値の設定は終了する。
テンキー93の終了キーが入力されると、ステップS405において、制御部21は、基準値の設定を終了する処理を実行し、ステップS4の処理に戻る。
基準値の設定を終了する処理は、ステップS403において設定された基準値を基準値テーブル71のRANK2の上限値、RANK3の下限値、RANK3の上限値、およびRANK4の下限値に設定してメモリ25の基準値記憶領域27に記憶させる処理を含む。
【0042】
また、基準値の設定を終了する処理は、測定を開始するための測定画面をディスプレイ9に表示させる処理を含む。
ステップS404において、テンキー93の終了キーが入力されていなければ、制御部21は、再度ステップS403の処理を実行する。
【0043】
図8を使用して、ステップS8におけるサービス設定処理の詳細について説明する。
ステップS501では、制御部21は、サービスFが“1”に設定されているか否かを判断する処理を実行する。
サービスFが“1”に設定されていると判断されると、ステップS502において、制御部21は、メモリ25の基準値記憶領域27に記憶されている基準値のうち、RANK1の上限値とRANK4の上限値とを読み出す。
次に、ステップS503において、制御部21は、サービス用基準値設定画面をディスプレイ9に表示する処理を実行する。
【0044】
図14は、ステップS503においてディスプレイ9に表示されるサービス用基準値設定画面121を示す図である。サービス用基準値設定画面121は、各種のパラメータが表示されるパラメータ表示部123と、テンキー125とを含む。パラメータ表示部123は、RANK1の上限値を示す「DC LL」を表示する基準値表示部127と、RANK4の上限値を示す「DC UL」を表示する基準値表示部129と、カーソル131と、上矢印キー135と、下矢印キー137と、その他の各種パラメータを表示する領域とを含む。基準値表示部127には、ステップS502において基準値記憶領域27から読み出したRANK1の上限値が表示され、基準値表示部129には、ステップS502において基準値記憶領域27から読み出したRANK4の上限値が表示されている。
【0045】
カーソル131は、使用者が上矢印キー135を1回触れるごとに1行上に移動し、下矢印キー135を1回触れるごとに1行下に移動する。
テンキー125は、前述したテンキー90と同じ構成である。
次に、ステップS504では、制御部21は、基準値の変更を受け付ける処理を実行する。
カーソル131を基準値表示部127の位置に合わせた状態で、使用者がテンキー125によって数値を入力し、テンキー125の入力キーに触れると、RANK1の上限値「DC LL」は、入力された数値に変更される。同様に、カーソル131を基準値表示部129の位置に合わせた状態で、使用者がテンキー125によって数値を入力し、テンキー125の入力キーに触れると、RANK4の上限値「DC UL」は、入力された数値に変更される。
【0046】
次に、ステップS505において、制御部21は、テンキー125の終了キーが入力されたか否かを判断する処理を実行する。使用者がテンキー125の終了キーに触れると、基準値の設定は終了する。
テンキー125の終了キーが入力されると、ステップS506において、制御部21は、基準値の設定を終了する処理を実行し、ステップS4の処理に戻る。
基準値の設定を終了する処理は、変更された上限値を基準値テーブル71のRANK1の上限値およびRANK4の上限値に設定するとともに、RANK2の下限値をRANK1の上限値に0.1を加えた数値に、RANK5の下限値をRANK4の上限値に0.1を加えた数値に設定してメモリ25の基準値記憶領域27に記憶させる処理を含む。
【0047】
また、基準値の設定を終了する処理は、測定を開始するための測定画面をディスプレイ9に表示させる処理を含む。
ステップS505において、テンキー125の終了キーが入力されていなければ、制御部21は、再度ステップS504の処理を実行する。
なお、ステップS501において、サービスFが“1”に設定されていないと判断されると、サービス設定処理(ステップS8)を終了し、ステップS4の処理に戻る。
【0048】
本実施形態の分析装置は、サービスモードの下で動作していなければパラメータキーがディスプレイ9に表示されないので、使用者は、測定装置1がサービスモードの下で動作していなければ、RANK1およびRANK4の上限値を設定することができない。すなわち、測定装置1がユーザモードの下で動作している場合、RANK1およびRANK4の上限値は固定値である。その一方、RANK2およびRANK3の上限値は、測定装置1がユーザモードで動作している場合であってもサービスモードの下で動作している場合であっても変更可能な数値である。
【0049】
さらに、本実施形態の分析装置は、サービスFが1に設定されていなければ、基準値変更受付処理(ステップS504)を実行しないので、ユーザモードの下でRANK1およびRANK4の上限値が変更されてしまうことを確実に防ぐことができる。
【0050】
また、本実施形態の分析装置は、RANK1およびRANK4の上限値を設定するためのサービス用基準値設定画面121を、RANK2およびRANK3の上限値を設定するためのユーザ用基準値設定画面75とは別に表示させるので、RANK1およびRANK4の上限値を変更する際に誤ってRANK2およびRANK3の上限値を変更してしまうことを防止できる。
【0051】
図9を使用して、ステップS10における検体番号設定処理の詳細について説明する。
ステップS601では、制御部21は、図11に示すテンキー90と同じ構成のテンキーをディスプレイ9に表示する処理を実行する。
次に、制御部21は、ディスプレイ9に表示されたテンキーによって検体番号(数字等)が入力され、入力キーが入力されたか否かを判断する処理を実行する(ステップS602)。
ステップS603では、制御部21は、サービスFが1に設定されているか否かを判断する。サービスFが1に設定されていれば、ステップS604の処理に進み、サービスFが1に設定されていなければ、ステップS606の処理に進む。
【0052】
ステップS604では、制御部21は、入力された検体番号(数字等)が所定のパスワード(第2パスワード)と一致するか否かを判断する処理を実行する(ステップS604)。なお、第2パスワードは、モード切替処理(ステップS2)で使用される第1パスワードとは異なるパスワードである。
入力された検体番号(数字等)が第2パスワードと一致すれば、制御部21は、サービスFを0に設定する(ステップS605)。これによって、装置本体1は、ユーザモードの下で動作する。
【0053】
入力された検体番号(数字等)が第2パスワードと一致しなければ、制御部21は、入力された検体番号(数字等)を次に測定する尿(検体)の検体番号としてメモリ25に記憶する(ステップS606)。
ステップS602において検体番号(数字等)が入力されていなければ、制御部21は、テンキーに設けられた終了キーが入力されたか否かを判断する処理を実行する(ステップS607)。検体番号の受付は、終了キーに使用者が触れることによって終了する。
終了キーが触れられると、検体番号受付処理(ステップS10)を終了し、ステップS4の処理に戻る。
【0054】
図10を使用して、ステップS12における測定処理の詳細について説明する。
ステップS701では、制御部21は、吸引部11に検体容器から尿を吸引させる処理を実行する。
次に、ステップS702において、制御部21は、試料調製部13に尿と試薬とを混合して測定用試料を調製させる処理を実行する。
次に、ステップS703において、制御部21は、検出部15に測定用試料から検出データを検出させる処理を実行する。
【0055】
次に、ステップS704において、制御部21は、検出データから測定値を取得する処理を実行する。
具体的には、制御部21は、検出部15で得られた散乱光情報および蛍光情報に基づいてスキャッタグラムを作成する。そして、そのスキャッタグラムと、直流電流回路29で検出された電圧とに基づいて、測定値として赤血球数(RBC)、白血球数(WBC)、上皮細胞数(EC)、円柱数(CAST)、および細菌数(BACT)を取得(算出)する。また、制御部21は、導電率センサ19で検出された測定用試料の電圧に基づいて、測定値として測定用試料の導電率(Cond.)を算出する。
【0056】
次に、ステップS705において、制御部21は、メモリ25の基準値記憶領域27に記憶されている基準値の全てを読み出す。
次に、ステップS706において、制御部21は、導電率と基準値とに基づいて、導電率をRANK1からRANK5までのいずれかにランク付け(評価)する処理を実行する。
具体的には、例えば、基準値が図12に示す基準値テーブル71のように設定されている場合、導電率が0以上5以下であればRANK1を付与し、導電率が5.1以上16以下であればRANK2を付与し、導電率が16.1以上27以下であればRANK3を付与し、導電率が27.1以上38以下であればRANK4を付与し、導電率が38.1以上であればRANK5を付与する。
【0057】
次に、ステップS707において、制御部21は、導電率が信頼できる値であるかを判断する処理を実行する。
具体的には、導電率が、RANK1の上限値以下である場合、およびRANK4の上限値以上である場合には、導電率の信頼性は低いと判断する。導電率がこのような値になる場合、尿分析装置が故障しているか、尿以外の液体(例えば水)を測定していることが考えられるからである。
次に、ステップS708において、制御部21は、ステップS704で取得した測定値と、ステップS706で取得したランク付けの結果と、ステップS707で判断した信頼性とを示す分析結果画面をディスプレイ9に表示させる。
【0058】
図15は、ディスプレイ9に表示される分析結果画面151を示す図である。
分析結果画面151は、尿の属性を示す属性表示部153、散乱光情報や蛍光情報などに基づいて作成されたスキャッタグラムを表示するスキャッタグラム表示部155,157、尿の分析結果を示す分析結果表示部159とを含んでいる。
属性表示部153は、検体番号、検体を測定した時刻、被験者の性別、尿の種類、および尿の色などの情報を含んでいる。検体番号としては、検体番号設定処理(ステップS10)で設定された番号が表示される。
【0059】
分析結果表示部159は、赤血球数(RBC)、白血球数(WBC)、上皮細胞数(EC)、円柱数(CAST)、および細菌数(BACT)が表示される5項目表示部161と、導電率(Cond.)が表示される導電率表示部163とを含んでいる。
導電率表示部163には、ステップS704で算出された導電率(図15では、26.8)と、導電率の右隣に表示される導電率の単位(図15では、mS/cm)と、単位の右隣に表示され、ステップS706で決定されたランク(図14では、RANK3)とが表示されている。導電率にRANK1またはRANK5が付与されている場合には、導電率と単位との間に、信頼性が低いことを示すマークとして「*」が表示される。
【0060】
本実施形態では、上記のように、ユーザモードにおいては、RANK1の上限値とRANK4の上限値とは固定値であり、RANK2の上限値とRANK3の上限値とは変更可能な値であるので、任意に変更しない方がよい基準値であるRANK1の上限値とRANK4の上限値とは変更できず、任意に変更してもよい基準値であるRANK2の上限値とRANK3の上限値とは任意に変更でき、基準値を的確に設定することが容易となる。
【0061】
例えば、サービスモードへの切替方法を尿分析装置の使用者には教えず、尿分析装置のメンテナンス業者の特定の者だけがサービスモードへの切替方法を習得しておけば、使用者は、任意に変更しない方がよい基準値であるRANK1の上限値とRANK4の上限値とは変更できず、任意に変更してもよい基準値であるRANK2の上限値とRANK3の上限値とは任意に変更できる。
一方、RANK1の上限値とRANK4の上限値の変更が必要となった場合は、メンテナンス業者の特定の者によってそれらの基準値を変更することも可能である。
【0062】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって限定的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれる。
【0063】
たとえば、上記実施形態では、電源投入後の所定時間内にディスプレイ9の所定位置に触れた後に所定のパスワードを入力するとサービスモードに移行する尿分析装置について説明したが、本発明はこれに限らず、ユーザモードのみで動作可能であり、サービスモードへの移行はできない尿分析装置に本発明を適用してもよい。
また、電源投入後の所定時間内にディスプレイ9の所定位置に触れると自動的にサービスモードに移行する尿分析装置に本発明を適用してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、サービスモードからユーザモードに切り替えるためにパスワードの入力が必要であったが、本発明はこれに限らず、所定のボタンに触れると自動的にユーザモードへの切り替えが行われるようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、ユーザモードにおいてはRANK1の上限値とRANK4の上限値とを固定値とし、サービスモードにおいてはこれらの基準値を変更可能な値としたが、本発明はこれに限らず、サービスモードにおいてもこれらの基準値を固定値としてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、サービスモードにおいてはRANK1の上限値とRANK4の上限値とを変更可能な値としたが、本発明はこれに限らず、RANK1の上限値またはRANK4の上限値のいずれか一方のみを変更可能な値としてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、ユーザモードにおいてRANK1の上限値とRANK4の上限値とを固定値とし、RANK2の上限値とRANK3の上限値とを変更可能な値としたが、本発明はこれに限らず、ユーザモードにおいてRANK1の上限値とRANK4の上限値とを変更可能な値とし、RANK2の上限値とRANK3の上限値とを固定値としてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、RANK2の上限値およびRANK3の上限値はユーザモードおよびサービスモードの両方で変更可能な値であるが、本発明はこれに限らず、これらの基準値を、ユーザモードでは変更可能な値とし、サービスモードでは固定値としてもよい。これによってサービスモードで誤ってRANK2の上限値とRANK3の上限値とを変更してしまうことを防止できる。なお、本実施形態のように、RANK2の上限値とRANK3の上限値とをユーザモードおよびサービスモードの両方で変更可能な値とすれば、サービスモードで全ての基準値を変更できるので、サービスモードでの基準値の設定が容易になり、好ましい。
【0069】
また、上記実施形態では、ディスプレイ9には、RANK2の上限値およびRANK3の上限値を設定するための画面としてユーザ用基準値設定画面75が、RANK1の上限値およびRANK4の上限値を設定するための画面としてサービス用基準値設定画面121が表示されるが、本発明はこれに限らず、これらの基準値を同一の画面で設定可能にしてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、各ランクの上限値を変更すると自動的に1つ上のランクの下限値が変更されるように構成されているが、本発明はこれに限らず、各ランクの下限値を変更すると自動的に1つ下のランクの上限値が変更されるように構成されていてもよい。また、上限値と下限値の両方を任意に変更可能としてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、メモリ25は、1セットの基準値のみを記憶しているが、本発明はこれに限らず、被験者(患者)の性別、年齢、および病状などの属性に応じて複数種類の基準値を記憶してもよい。例えば、女性患者用の基準値と男性患者用の基準値とをそれぞれメモリ25に記憶してもよいし。この場合、制御部21は、患者の性別に応じて自動的に女性用または男性用の基準値を選択し、選択された基準値を用いて導電率にランク付けしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、導電率の評価結果はRANK1からRANK5の文字で表示されるが、本発明はこれに限らず、大、中、および小などの文字で表示してもよいし、「+」の数によって導電率の大小を示してもよいし、評価結果を示す線を設け、その線の長さによって導電率の大小を示してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、測定結果画面151には、導電率とランクの両方が表示されるが、本発明はこれに限らず、導電率を表示せずにランクのみを表示してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、導電率にのみランク付けを行っているが、赤血球数(RBC)、白血球数(WBC),上皮細胞(EC)、円柱数(CAST)、および細菌数(BACT)にランク付けを行ってもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、本発明の分析装置の一例として尿中の有形成分を分析するための尿分析装置について説明したが、本発明はこれに限らず、測定項目別の反応試験紙を貼付した試験紙を所定時間、被験尿試料に浸し、試験紙の色を判定用基準色と比較し、各項目について測定値として色変化の度合を自動的に得る尿定性装置に本発明を適用してもよい。この場合、色変化の度合は、“−”、“±”、“+”、“2+”および“3+”などに分類することができ、これらの度合を分類するための基準値として固定値と変更可能な値とを設けてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、本発明の分析装置の一例として尿中の有形成分を分析するための尿分析装置について説明したが、本発明はこれに限らず、血液分析装置などの尿分析装置以外の分析装置に本発明を適用してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、本発明の分析装置の一例として尿中の有形成分を分析するための尿分析装置について説明したが、本発明はこれに限らず、上記の尿分析装置のメモリ25のROMに記憶されているプログラムに本発明を適用してもよい。また、そのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体(例えば、CD−ROMやDVD−ROM)に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態による尿分析装置の全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による尿分析装置の内部構成を説明するためのブロック図である。
【図3】図2に示した検出部15の構成を説明するための構成説明図である。
【図4】図3に示した導電率センサ19の構成を説明するための構成説明図である。
【図5】制御部21が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【図6】モード切替処理(ステップS2)の詳細を示すフローチャートである。
【図7】ユーザ設定処理(ステップS6)の詳細を示すフローチャートである。
【図8】サービス設定処理(ステップS8)の詳細を示すフローチャートである。
【図9】検体番号設定処理(ステップS10)の詳細を示すフローチャートである。
【図10】測定処理(ステップS12)の詳細を示すフローチャートである。
【図11】テンキー90の構成を説明するための構成説明図である。
【図12】基準値テーブル71の構成を説明するための構成説明図である。
【図13】ユーザ用基準値設定画面75を示す図である。
【図14】サービス用基準値設定画面121を示す図である。
【図15】分析結果画面151を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
1 装置本体
3 レーザ電源
5 空圧源
6 電源スイッチ
7 スタートスイッチ
9 ディスプレイ
10 搬送ユニット
11 吸引部
13 試料調製機構
15 検出部
21 制御部
23 CPU
25 メモリ
26 A/D変換回路
27 基準値記憶領域
31 アルゴンレーザ
33 照射レンズ系
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置、プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体に関し、特に測定値を評価する機能を有する分析装置、プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、測定値のランク付けを行うための閾値(上限値および下限値)を設定可能に構成された装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
【特許文献1】米国特許第5,851,487号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、上記特許文献1の装置は、上記の閾値を設定することが可能であるため、ランクの使用目的に応じて閾値を変更することが可能となる。
測定値のランク付けを行うための閾値には、任意に変更してもよい閾値と、任意に変更しない方がよい閾値とがある。
例えば、測定値が、最も低値を表すランクや最も高値を表すランクに該当する場合は、装置が正常に動作していない場合が多いため、これらのランクの閾値は、任意に変更しない方がよい。
【0005】
しかし、従来の装置では、この点については考慮されていなかった。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の目的は、測定値を評価するための基準値を的確に設定することを容易にした分析装置、プログラムおよびそのプログラムを記録した記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0006】
上記の目的を達成するために、この発明の第1の局面における分析装置は、試料の所定の測定項目についての測定値を評価するための第1および第2の基準値を記憶する記憶手段と、前記第1および第2の基準値に基づいて前記測定値を評価する評価手段と、前記評価手段による測定値の評価結果を出力する出力手段とを備え、前記第1の基準値は固定値であり、前記第2の基準値は変更可能な値である。
【0007】
この第1の局面による分析装置では、上記のように、試料の所定の測定項目についての測定値を評価するための第1および第2の基準値を記憶する記憶手段と、前記第1および第2の基準値に基づいて前記測定値を評価する評価手段と、前記評価手段による測定値の評価結果を出力する出力手段とを備え、前記第1の基準値は固定値であり、前記第2の基準値は変更可能な値であるので、測定値を評価するための基準値を的確に設定することが容易となる。
【0008】
この発明の第2の局面による試料を分析する方法を実行するプログラムは、試料の所定の測定項目についての測定値を評価するための第1および第2の基準値を記憶する記憶ステップと、前記第1および第2の基準値に基づいて前記測定値を評価する評価ステップと、前記評価手段による測定値の評価結果を出力する出力ステップとを備え、前記第1の基準値は固定値であり、前記第2の基準値は変更可能な値である、試料を分析する方法を実行する。
【0009】
この第2の局面による試料を分析する方法を実行するプログラムは、上記のように、試料の所定の測定項目についての測定値を評価するための第1および第2の基準値を記憶する記憶ステップと、前記第1および第2の基準値に基づいて前記測定値を評価する評価ステップと、前記評価手段による測定値の評価結果を出力する出力ステップとを備え、前記第1の基準値は固定値であり、前記第2の基準値は変更可能な値である、試料を分析する方法を実行するので、測定値を評価するための基準値を的確に設定することが容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の実施形態では、本発明による分析装置の一例として尿中の有形成分を分析するための尿分析装置について説明する。
【0011】
本実施形態による尿中の有形成分を分析するための尿分析装置は、図1に示すように、装置本体1と、レーザ電源3と、空圧源5とを備えている。
装置本体1は、電源スイッチ6と、試料としての尿を収容した検体容器を移送して自動的に吸引部11に供給するための搬送ユニット10と、尿を検体容器から吸引するための吸引部11と、吸引部11による尿の吸引を開始させるためのスタートスイッチ7と、使用者からの操作指示の入力を受け付けるとともに、尿の分析結果などの情報を表示するタッチパネル式液晶ディスプレイ9(以下、ディスプレイ9とよぶ)とを備えている。
【0012】
装置本体1には、装置本体1に陽圧および陰圧を供給する空圧源5が図示しないチューブを介して接続されている。また、装置本体1には、後述するアルゴンレーザに電力を供給するレーザ電源3が図示しないコードを介して接続されている。さらに、装置本体1には、図示しない試薬容器が接続されており、装置本体1は、空圧源5から供給される陰圧を利用して試薬容器に収容された試薬を吸引する。
装置本体1は、図2に示すように、搬送ユニット10と、吸引部11と、試料調製機構13と、検出部15と、制御部21と、アラーム24と、ディスプレイ9とを備えている。
【0013】
試料調製部13は、吸引部11によって吸引された尿と試薬容器から吸引した試薬とを混合することによって測定用試料を調製し、その測定用試料を検出部15に移送する。
検出部15は、試料調製部13から移送された測定用試料から散乱光データ、蛍光データおよび電圧などの検出データを検出し、その検出データを制御部21に出力する。
【0014】
制御部21は、検出部15から出力された検出データを分析して分析結果を取得し、その分析結果をディスプレイ9に出力する。
制御部21は、CPU23と、A/D変換回路26と、メモリ27とを備えている。A/D変換回路26は、検出部15から出力された検出データをアナログ値からデジタル値に変換してメモリ27に出力する。
【0015】
メモリ27は、ROMとRAMとを備えている。ROMには、装置本体1を後述するように動作させるためのプログラムが記憶されている。RAMには、後述する基準値が記憶される基準値記憶領域27が設けられている。また、検出部15から出力された検出データはRAMに記憶される。
アラーム24は、制御部21からの指示に従って警告音や操作音を発生する音発生器である。
【0016】
検出部15は、図3に示すように、導電率センサ19と、直流電源回路29と、電極30a,30bと、アルゴンレーザ31と、照射レンズ系33と、サンプルノズル34と、フローセル35と、ビームストッパ36と、コレクターレンズ37と、ピンホール38と、ダイクロイックミラー39と、フィルタ41と、フォトマル43と、レンズ45と、フォトダイオード47と、アンプ49、51、53とを備えている。
試料調製部13から移送された測定用試料は、導電率センサ19およびサンプルノズル34を介してフローセル35を流れる。
【0017】
アルゴンレーザ31から発せられた光は、照射レンズ系33によって集束され、フローセル35を流れる測定用試料を照射する。測定用試料を照射した光は散乱し、コレクターレンズ37によって集束され、ピンホール38によって測定に必要のない光が除去され、ダイクロイックミラー39を照射する。ビームストッパ36は、アルゴンレーザ31から直接照射される光を遮断する。アルゴンレーザ31は、レーザ電源3から供給される電力を使用してレーザ光を発生する。なお、アルゴンレーザ31に代えてヘリウムネオンレーザ、赤色半導体レーザ、または青色半導体レーザなどのレーザや発光ダイオード(LED)を用いてもよい。
【0018】
ダイクロイックミラー39を照射した光は、散乱光成分と蛍光成分に分けられる。散乱光成分は、レンズ45によって集束され、フォトダイオード47を照射する。蛍光成分は、フィルタ41によって所定の波長の光のみが通過し、フォトマル43を照射する。
フォトダイオード47およびフォトマル43は、照射された光の強度に応じた電気信号を出力する。出力された電気信号は、アンプ49およびアンプ51によって増幅され、制御部21に送られる。
【0019】
直流電源回路29は、電極30aおよび電極30bを介して、フローセル35を流れる測定用試料に直流電流を流す。直流電源回路29は、電極30aと電極30bとの間の電圧を検出する機能を備え、検出された電圧は、アンプ53によって増幅され、制御部21に送られる。
導電率センサ19は、測定用試料の導電率を算出するために用いられるセンサである。導電率センサ19は、その中を流れる測定用試料の電圧を検出する。導電率センサ19によって検出された電圧は、直流電源回路29を介してアンプ53に送られ、アンプ53によって増幅され、制御部21に送られる。制御部21は、その電圧から導電率を算出する。
【0020】
導電率センサ19は、図4に示すように、チューブ61と、電極63と、電極65と、検出回路67とを備えている。
チューブ61は、セラミック製の内径が1mm、長さが1cmのチューブである。図4において、チューブ61は、その一部が断面で示されている。電極63および65は、ステンレス製の内径が1mmの中空の電極であり、チューブ61の両端に接続されている。測定用試料は、電極63、チューブ61、および電極65の内部を流れ、サンプルノズル34を介してフローセル35に移送される。
検出回路67は、電極63および65に接続されている。検出回路67は、電極63、チューブ61内の測定用試料、および電極65を流れる電流を供給し、その際に得られる電極63と65との間の電圧を検出し、出力する機能を有する。
【0021】
図1〜図15を参照して、本実施形態の尿分析装置の動作について説明する。
図5を使用して制御部21が実行する処理の概要を説明する。
使用者が電源スイッチ6を操作することによって装置本体1の電源が投入されると(ステップS1)、制御部21は、モード切替処理を実行する(ステップS2)。モード切替処理は、装置本体1をユーザモードまたはサービスモードに設定する処理である。
【0022】
次に、制御部21は、初期処理を実行する(ステップS3)。初期処理は、ソフトウエアを初期化する処理(但し、後述するサービスフラグは変更しない)や、吸引部11や試料調製部13などの機構を初期位置に戻す処理などを含む。この初期処理が終了すると、ディスプレイ9には測定を開始するための測定画面が表示される。この測定画面は、装置本体1がサービスモードに設定されていれば、後述するパラメータキーを含み、装置本体1がユーザモードに設定されていればパラメータキーを含まない。
【0023】
次に、制御部21は、ディスプレイ9の測定画面に表示されたいずれかのキーまたはスタートスイッチ7(以下、キー等とよぶ)が入力されたか否かを判断する(ステップS4)。
ステップS4において、キー等の入力があると、制御部21は、入力されたキー等が設定キーであるか否かを判断する(ステップS5)。設定キーは、装置本体1がユーザモードに設定されていてもサービスモードに設定されていてもディスプレイ9に表示されるキーであり、後述するユーザ用基準値設定画面を表示させるためのキーである。入力されたキー等が設定キーであると判断されると、制御部21は、ユーザ設定処理を実行する(ステップS6)。ユーザ設定処理は、ユーザモードおよびサービスモードにおいて、測定用試料の導電率を評価するための基準値のうち所定の基準値(第2の基準値)を設定する処理である。
【0024】
ステップ5において、入力されたキー等が設定キーでないと判断されると、制御部21は、入力されたキー等が、パラメータキーであるか否かを判断する(ステップS7)。パラメータキーは、装置本体1がサービスモードに設定されている場合にのみディスプレイ9に表示されるキーであり、後述するサービス用基準値設定画面を表示させるためのキーである。入力されたキー等がパラメータキーであると判断されると、制御部21は、サービス設定処理を実行する(ステップS8)。サービス設定処理は、サービスモードにおいて、測定用試料の導電率を評価するための基準値のうち所定の基準値(第1の基準値)を設定する処理である。
【0025】
ステップS7において、入力されたキー等がパラメータキーでないと判断されると、制御部21は、入力されたキー等が検体番号入力キーであるか否かを判断する(ステップS9)。入力されたキー等が検体番号入力キーであると判断されると、制御部21は、検体番号受付処理を実行する(ステップS10)。検体番号受付処理は、測定しようとする尿(検体)を特定するための検体番号を受け付ける処理である。この処理は、サービスモードからユーザモードへの切替処理を含む。
【0026】
ステップS9において、入力されたキー等が検体番号入力キーでないと判断されると、制御部21は、入力されたキー等がスタートスイッチ7であるか否かを判断する(ステップS11)。入力されたキー等がスタートスイッチ7であると判断されると、制御部21は、測定処理を実行する(ステップS12)。測定処理は、尿を測定して赤血球数(RBC)、白血球数(WBC)、上皮細胞数(EC)、円柱数(CAST)、細菌数(BACT)および導電率(Cond.)などの測定値を取得し、基準値を用いて測定値を評価する処理である。
【0027】
ステップS11において、入力されたキー等がスタートスイッチ7でないと判断されると、制御部21は、入力されたキー等がシャットダウンキーであるか否かを判断する(ステップS13)。入力されたキー等がシャットダウンキーであると判断されると、制御部21は、シャットダウン処理を実行する(ステップS14)。シャットダウン処理は、吸引部11や試料調製部13などを洗浄する処理や、所定のプログラムを終了する処理を含み、シャットダウン処理が終了すると、装置本体1の電源はオフになる。
【0028】
図6を使用して、ステップS2におけるモード切替処理の詳細について説明する。
ステップS201では、制御部21は、ディスプレイ9に初期画面を表示する処理を実行する。
ステップS202では、制御部21は、サービスフラグ(以下、「フラグ」をFと表記する)を0に設定する。
ステップS203では、制御部21は、タイマーTを開始する処理を実行する。
【0029】
ステップS204では、制御部21は、タイマーTが終了したか否かを判断する処理を実行する。なお、タイマーTは、開始から5秒後に停止する。
タイマーTが終了していなければ、ステップS205において、制御部21は、ディスプレイ9の所定位置(ディスプレイ9の右下)が触れられたか否かを判断する処理を実行する。ステップS205において所定位置が触れられていなければ、再度タイマーTが終了したか否かを判断する処理を実行する(ステップS204)。
【0030】
ステップS204においてタイマーが終了した場合、サービスFが0に設定されたまま、ステップS3の処理に進む。これによって、装置本体1は、ユーザモードの下で動作する。
ディスプレイ9の右下の所定位置には、触れる位置を使用者に示唆する表示(例えば、キーやボタン)はない。この所定位置を触れることを例えば尿分析装置のメンテナンス業者の特定の者のみに知らせておけば、特定の者は尿分析装置をサービスモードへ切り替えることができるが、通常の使用者はサービスモードへ切り替えることができない。従って、特定の者は、前記の第1の基準値と第2の基準値の両方を設定することができる一方、通常の使用者は、第2の基準値のみを設定することができ、第1の基準値を設定することができない。
【0031】
ステップS205においてディスプレイ9の所定位置が触れられていれば、図11に示すテンキー90をディスプレイ9に表示させる(ステップS206)。テンキー90は、0〜9までの数字を入力するための10個の数字キー100〜109と、入力された数字をキャンセルするためのキャンセルキー110と、入力された数字を確定するための入力キー111と、入力された数字を表示するための表示部112と、パスワードの入力を終了するための終了キー113とを備える。
【0032】
次に、制御部21は、ディスプレイ9に表示されたテンキー90によってパスワード(数字等)が入力され、入力キー111が入力されたか否かを判断する処理を実行する(ステップS207)。
パスワード(数字等)が入力され、入力キー111が入力されると、制御部21は、入力されたパスワード(数字等)が所定のパスワード(第1パスワード)と一致するか否かを判断する処理を実行する(ステップS208)。なお、第1パスワードは、例えば4桁の数字で構成され、予めメモリ25に記憶されている。
【0033】
入力されたパスワード(数字等)が第1パスワードと一致すれば、制御部21は、サービスFを1に設定する(ステップS209)。これによって、装置本体1は、サービスモードの下で動作する。
入力されたパスワード(数字等)が第1パスワードと一致しなければ、制御部21は、テンキー90の表示部112の表示を初期化し(ステップS210)、再度ステップS207の処理を実行する。
【0034】
ステップS207においてパスワード(数字等)が入力されていなければ、制御部21は、終了キー113が入力されたか否かを判断する処理を実行する(ステップS211)。パスワードの入力は、テンキー90に設けられた終了キー113に使用者が触れることによって終了する。
終了キー113が触れられると、制御部21は、モード切替処理(ステップS2)を終了し、初期処理(ステップS3)に進む。これによって、装置本体1は、ユーザモードの下で動作する。
ステップS211において終了キー113が入力されていなければ、制御部21は、再度ステップS207の処理を実行する。
【0035】
図7を使用して、ステップS6におけるユーザ設定処理の詳細について説明する。
ステップS401では、制御部21は、メモリ25の基準値記憶領域27に記憶されている基準値を読み出す。
図12は、基準値記憶領域27に記憶されている基準値テーブル71を示している。基準値テーブル71に含まれている基準値は、導電率センサ19によって検出される測定用試料の電圧をもとに制御部21によって算出される導電率を評価するための基準値である。基準値テーブル71は、導電率が最も低い領域にあることを示すランクであるRANK1の下限値(基準値)として0を、上限値(基準値)として5を含む。同様に、基準値テーブル71は、導電率が2番目に低い領域にあることを示すランクであるRANK2の下限値(基準値)として5.1を、上限値(基準値)として16を、導電率が3番目に低い領域にあることを示すランクであるRANK3の下限値(基準値)として16.1を、上限値(基準値)として27を、導電率が2番目に高い領域にあることを示すランクであるRANK4の下限値(基準値)として27.1を、上限値(基準値)として38を、導電率が最も高い領域にあることを示すランクであるRANK5の下限値(基準値)として38.1を含んでいる。なお、RANK5の上限値が存在しないことは、RANK5には、38.1以上の全ての数値が含まれることを示している。また、導電率は、小数点以下2桁目が四捨五入されるので、上記RANK1からRANK5のいずれかに分類される。
【0036】
尿を測定した場合の導電率は、RANK1やRANK5に分類される可能性は非常に低く、例えば、導電率がRANK1に該当する場合には、尿ではなく水を測定していることや尿分析装置が故障していることが考えられる。一方、導電率がRANK5に該当する場合には、尿分析装置が故障していることが考えられる。従って、このようなランクの範囲を尿分析装置の使用者が任意に変更することは好ましくない。
【0037】
RANK2、RANK3、およびRANK4の範囲については、その使用目的に応じて尿分析装置の使用者が任意に変更することができることが好ましい。例えば、入院患者の尿を測定した場合の導電率を評価する場合の基準値と、健康診断の被験者の尿を測定した場合の導電率を評価する場合の基準値とを別の値としてもよい。
【0038】
次に、ステップS402において、制御部21は、ユーザ用基準値設定画面をディスプレイ9に表示する処理を実行する。
図13は、ステップS402においてディスプレイ9に表示されるユーザ用基準値設定画面75を示す図である。ユーザ用基準値設定画面75は、基準値が表示される基準値表示部77と、テンキー93とを含む。基準値表示部77は、RANK1からRANK5を意味する1から5の数値を表示するランク表示部79と、ランク表示部79の右隣に表示され、RANK1からRANK5の下限値を表示する下限値表示部81と、下限値表示部81の右隣に表示され、RANK1からRANK4の上限値を表示する上限値表示部83と、上矢印キー87と、下矢印キー89とを含む。下限値表示部81には、ステップS401において基準値記憶領域27から読み出した下限値が表示され、上限値表示部83には、ステップS401において基準値記憶領域27から読み出した上限値が表示されている。
【0039】
上限値表示部83には、カーソル85が表示されている。カーソル85は、使用者が上矢印キー87を1回触れるごとに1行上に移動し、下矢印キー89を1回触れるごとに1行下に移動する。但し、カーソル85は、RANK2の上限値の位置(すなわち、カーソル85が数値18に重なる位置)およびRANK3の上限値の位置(すなわち、カーソル85が数値30に重なる位置)のみを移動可能である。カーソル85がRANK2の上限値の位置にある場合に、使用者が上矢印キー87に触れると、カーソル85は移動しないとともに、アラーム24によって警告音が発せられる。同様に、カーソル85がRANK3の上限値の位置にある場合に、使用者が下矢印キー89に触れると、カーソル85は移動しないとともに、アラーム24によって警告音が発せられる。これによって、使用者は、RANK1およびRANK4の上限値は変更不可であることを容易に理解することができる。
【0040】
テンキー93は、前述したテンキー90と同じ構成である。
次に、ステップS403において、制御部21は、基準値の変更(設定)を受け付ける処理を実行する。
カーソル85をRANK2の上限値の位置に合わせた状態で、使用者がテンキー93によって数値を入力し、テンキー93の入力キーに触れると、RANK2の上限値は、入力された数値に変更される。そして、RANK3の下限値が自動的に入力された数値に0.1を加えた数値に変更される。同様に、カーソル85をRANK3の上限値の位置に合わせた状態で、使用者がテンキー93によって数値を入力し、テンキー93の入力キーに触れると、RANK3の上限値は、入力された数値に変更される。そして、RANK4の下限値が自動的に入力された数値に0.1を加えた数値に変更される。
【0041】
次に、ステップS404において、制御部21は、テンキー93の終了キーが入力されたか否かを判断する処理を実行する。使用者がテンキー93の終了キーに触れると、基準値の設定は終了する。
テンキー93の終了キーが入力されると、ステップS405において、制御部21は、基準値の設定を終了する処理を実行し、ステップS4の処理に戻る。
基準値の設定を終了する処理は、ステップS403において設定された基準値を基準値テーブル71のRANK2の上限値、RANK3の下限値、RANK3の上限値、およびRANK4の下限値に設定してメモリ25の基準値記憶領域27に記憶させる処理を含む。
【0042】
また、基準値の設定を終了する処理は、測定を開始するための測定画面をディスプレイ9に表示させる処理を含む。
ステップS404において、テンキー93の終了キーが入力されていなければ、制御部21は、再度ステップS403の処理を実行する。
【0043】
図8を使用して、ステップS8におけるサービス設定処理の詳細について説明する。
ステップS501では、制御部21は、サービスFが“1”に設定されているか否かを判断する処理を実行する。
サービスFが“1”に設定されていると判断されると、ステップS502において、制御部21は、メモリ25の基準値記憶領域27に記憶されている基準値のうち、RANK1の上限値とRANK4の上限値とを読み出す。
次に、ステップS503において、制御部21は、サービス用基準値設定画面をディスプレイ9に表示する処理を実行する。
【0044】
図14は、ステップS503においてディスプレイ9に表示されるサービス用基準値設定画面121を示す図である。サービス用基準値設定画面121は、各種のパラメータが表示されるパラメータ表示部123と、テンキー125とを含む。パラメータ表示部123は、RANK1の上限値を示す「DC LL」を表示する基準値表示部127と、RANK4の上限値を示す「DC UL」を表示する基準値表示部129と、カーソル131と、上矢印キー135と、下矢印キー137と、その他の各種パラメータを表示する領域とを含む。基準値表示部127には、ステップS502において基準値記憶領域27から読み出したRANK1の上限値が表示され、基準値表示部129には、ステップS502において基準値記憶領域27から読み出したRANK4の上限値が表示されている。
【0045】
カーソル131は、使用者が上矢印キー135を1回触れるごとに1行上に移動し、下矢印キー135を1回触れるごとに1行下に移動する。
テンキー125は、前述したテンキー90と同じ構成である。
次に、ステップS504では、制御部21は、基準値の変更を受け付ける処理を実行する。
カーソル131を基準値表示部127の位置に合わせた状態で、使用者がテンキー125によって数値を入力し、テンキー125の入力キーに触れると、RANK1の上限値「DC LL」は、入力された数値に変更される。同様に、カーソル131を基準値表示部129の位置に合わせた状態で、使用者がテンキー125によって数値を入力し、テンキー125の入力キーに触れると、RANK4の上限値「DC UL」は、入力された数値に変更される。
【0046】
次に、ステップS505において、制御部21は、テンキー125の終了キーが入力されたか否かを判断する処理を実行する。使用者がテンキー125の終了キーに触れると、基準値の設定は終了する。
テンキー125の終了キーが入力されると、ステップS506において、制御部21は、基準値の設定を終了する処理を実行し、ステップS4の処理に戻る。
基準値の設定を終了する処理は、変更された上限値を基準値テーブル71のRANK1の上限値およびRANK4の上限値に設定するとともに、RANK2の下限値をRANK1の上限値に0.1を加えた数値に、RANK5の下限値をRANK4の上限値に0.1を加えた数値に設定してメモリ25の基準値記憶領域27に記憶させる処理を含む。
【0047】
また、基準値の設定を終了する処理は、測定を開始するための測定画面をディスプレイ9に表示させる処理を含む。
ステップS505において、テンキー125の終了キーが入力されていなければ、制御部21は、再度ステップS504の処理を実行する。
なお、ステップS501において、サービスFが“1”に設定されていないと判断されると、サービス設定処理(ステップS8)を終了し、ステップS4の処理に戻る。
【0048】
本実施形態の分析装置は、サービスモードの下で動作していなければパラメータキーがディスプレイ9に表示されないので、使用者は、測定装置1がサービスモードの下で動作していなければ、RANK1およびRANK4の上限値を設定することができない。すなわち、測定装置1がユーザモードの下で動作している場合、RANK1およびRANK4の上限値は固定値である。その一方、RANK2およびRANK3の上限値は、測定装置1がユーザモードで動作している場合であってもサービスモードの下で動作している場合であっても変更可能な数値である。
【0049】
さらに、本実施形態の分析装置は、サービスFが1に設定されていなければ、基準値変更受付処理(ステップS504)を実行しないので、ユーザモードの下でRANK1およびRANK4の上限値が変更されてしまうことを確実に防ぐことができる。
【0050】
また、本実施形態の分析装置は、RANK1およびRANK4の上限値を設定するためのサービス用基準値設定画面121を、RANK2およびRANK3の上限値を設定するためのユーザ用基準値設定画面75とは別に表示させるので、RANK1およびRANK4の上限値を変更する際に誤ってRANK2およびRANK3の上限値を変更してしまうことを防止できる。
【0051】
図9を使用して、ステップS10における検体番号設定処理の詳細について説明する。
ステップS601では、制御部21は、図11に示すテンキー90と同じ構成のテンキーをディスプレイ9に表示する処理を実行する。
次に、制御部21は、ディスプレイ9に表示されたテンキーによって検体番号(数字等)が入力され、入力キーが入力されたか否かを判断する処理を実行する(ステップS602)。
ステップS603では、制御部21は、サービスFが1に設定されているか否かを判断する。サービスFが1に設定されていれば、ステップS604の処理に進み、サービスFが1に設定されていなければ、ステップS606の処理に進む。
【0052】
ステップS604では、制御部21は、入力された検体番号(数字等)が所定のパスワード(第2パスワード)と一致するか否かを判断する処理を実行する(ステップS604)。なお、第2パスワードは、モード切替処理(ステップS2)で使用される第1パスワードとは異なるパスワードである。
入力された検体番号(数字等)が第2パスワードと一致すれば、制御部21は、サービスFを0に設定する(ステップS605)。これによって、装置本体1は、ユーザモードの下で動作する。
【0053】
入力された検体番号(数字等)が第2パスワードと一致しなければ、制御部21は、入力された検体番号(数字等)を次に測定する尿(検体)の検体番号としてメモリ25に記憶する(ステップS606)。
ステップS602において検体番号(数字等)が入力されていなければ、制御部21は、テンキーに設けられた終了キーが入力されたか否かを判断する処理を実行する(ステップS607)。検体番号の受付は、終了キーに使用者が触れることによって終了する。
終了キーが触れられると、検体番号受付処理(ステップS10)を終了し、ステップS4の処理に戻る。
【0054】
図10を使用して、ステップS12における測定処理の詳細について説明する。
ステップS701では、制御部21は、吸引部11に検体容器から尿を吸引させる処理を実行する。
次に、ステップS702において、制御部21は、試料調製部13に尿と試薬とを混合して測定用試料を調製させる処理を実行する。
次に、ステップS703において、制御部21は、検出部15に測定用試料から検出データを検出させる処理を実行する。
【0055】
次に、ステップS704において、制御部21は、検出データから測定値を取得する処理を実行する。
具体的には、制御部21は、検出部15で得られた散乱光情報および蛍光情報に基づいてスキャッタグラムを作成する。そして、そのスキャッタグラムと、直流電流回路29で検出された電圧とに基づいて、測定値として赤血球数(RBC)、白血球数(WBC)、上皮細胞数(EC)、円柱数(CAST)、および細菌数(BACT)を取得(算出)する。また、制御部21は、導電率センサ19で検出された測定用試料の電圧に基づいて、測定値として測定用試料の導電率(Cond.)を算出する。
【0056】
次に、ステップS705において、制御部21は、メモリ25の基準値記憶領域27に記憶されている基準値の全てを読み出す。
次に、ステップS706において、制御部21は、導電率と基準値とに基づいて、導電率をRANK1からRANK5までのいずれかにランク付け(評価)する処理を実行する。
具体的には、例えば、基準値が図12に示す基準値テーブル71のように設定されている場合、導電率が0以上5以下であればRANK1を付与し、導電率が5.1以上16以下であればRANK2を付与し、導電率が16.1以上27以下であればRANK3を付与し、導電率が27.1以上38以下であればRANK4を付与し、導電率が38.1以上であればRANK5を付与する。
【0057】
次に、ステップS707において、制御部21は、導電率が信頼できる値であるかを判断する処理を実行する。
具体的には、導電率が、RANK1の上限値以下である場合、およびRANK4の上限値以上である場合には、導電率の信頼性は低いと判断する。導電率がこのような値になる場合、尿分析装置が故障しているか、尿以外の液体(例えば水)を測定していることが考えられるからである。
次に、ステップS708において、制御部21は、ステップS704で取得した測定値と、ステップS706で取得したランク付けの結果と、ステップS707で判断した信頼性とを示す分析結果画面をディスプレイ9に表示させる。
【0058】
図15は、ディスプレイ9に表示される分析結果画面151を示す図である。
分析結果画面151は、尿の属性を示す属性表示部153、散乱光情報や蛍光情報などに基づいて作成されたスキャッタグラムを表示するスキャッタグラム表示部155,157、尿の分析結果を示す分析結果表示部159とを含んでいる。
属性表示部153は、検体番号、検体を測定した時刻、被験者の性別、尿の種類、および尿の色などの情報を含んでいる。検体番号としては、検体番号設定処理(ステップS10)で設定された番号が表示される。
【0059】
分析結果表示部159は、赤血球数(RBC)、白血球数(WBC)、上皮細胞数(EC)、円柱数(CAST)、および細菌数(BACT)が表示される5項目表示部161と、導電率(Cond.)が表示される導電率表示部163とを含んでいる。
導電率表示部163には、ステップS704で算出された導電率(図15では、26.8)と、導電率の右隣に表示される導電率の単位(図15では、mS/cm)と、単位の右隣に表示され、ステップS706で決定されたランク(図14では、RANK3)とが表示されている。導電率にRANK1またはRANK5が付与されている場合には、導電率と単位との間に、信頼性が低いことを示すマークとして「*」が表示される。
【0060】
本実施形態では、上記のように、ユーザモードにおいては、RANK1の上限値とRANK4の上限値とは固定値であり、RANK2の上限値とRANK3の上限値とは変更可能な値であるので、任意に変更しない方がよい基準値であるRANK1の上限値とRANK4の上限値とは変更できず、任意に変更してもよい基準値であるRANK2の上限値とRANK3の上限値とは任意に変更でき、基準値を的確に設定することが容易となる。
【0061】
例えば、サービスモードへの切替方法を尿分析装置の使用者には教えず、尿分析装置のメンテナンス業者の特定の者だけがサービスモードへの切替方法を習得しておけば、使用者は、任意に変更しない方がよい基準値であるRANK1の上限値とRANK4の上限値とは変更できず、任意に変更してもよい基準値であるRANK2の上限値とRANK3の上限値とは任意に変更できる。
一方、RANK1の上限値とRANK4の上限値の変更が必要となった場合は、メンテナンス業者の特定の者によってそれらの基準値を変更することも可能である。
【0062】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって限定的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内のすべての変更が含まれる。
【0063】
たとえば、上記実施形態では、電源投入後の所定時間内にディスプレイ9の所定位置に触れた後に所定のパスワードを入力するとサービスモードに移行する尿分析装置について説明したが、本発明はこれに限らず、ユーザモードのみで動作可能であり、サービスモードへの移行はできない尿分析装置に本発明を適用してもよい。
また、電源投入後の所定時間内にディスプレイ9の所定位置に触れると自動的にサービスモードに移行する尿分析装置に本発明を適用してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、サービスモードからユーザモードに切り替えるためにパスワードの入力が必要であったが、本発明はこれに限らず、所定のボタンに触れると自動的にユーザモードへの切り替えが行われるようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施形態では、ユーザモードにおいてはRANK1の上限値とRANK4の上限値とを固定値とし、サービスモードにおいてはこれらの基準値を変更可能な値としたが、本発明はこれに限らず、サービスモードにおいてもこれらの基準値を固定値としてもよい。
【0066】
また、上記実施形態では、サービスモードにおいてはRANK1の上限値とRANK4の上限値とを変更可能な値としたが、本発明はこれに限らず、RANK1の上限値またはRANK4の上限値のいずれか一方のみを変更可能な値としてもよい。
【0067】
また、上記実施形態では、ユーザモードにおいてRANK1の上限値とRANK4の上限値とを固定値とし、RANK2の上限値とRANK3の上限値とを変更可能な値としたが、本発明はこれに限らず、ユーザモードにおいてRANK1の上限値とRANK4の上限値とを変更可能な値とし、RANK2の上限値とRANK3の上限値とを固定値としてもよい。
【0068】
また、上記実施形態では、RANK2の上限値およびRANK3の上限値はユーザモードおよびサービスモードの両方で変更可能な値であるが、本発明はこれに限らず、これらの基準値を、ユーザモードでは変更可能な値とし、サービスモードでは固定値としてもよい。これによってサービスモードで誤ってRANK2の上限値とRANK3の上限値とを変更してしまうことを防止できる。なお、本実施形態のように、RANK2の上限値とRANK3の上限値とをユーザモードおよびサービスモードの両方で変更可能な値とすれば、サービスモードで全ての基準値を変更できるので、サービスモードでの基準値の設定が容易になり、好ましい。
【0069】
また、上記実施形態では、ディスプレイ9には、RANK2の上限値およびRANK3の上限値を設定するための画面としてユーザ用基準値設定画面75が、RANK1の上限値およびRANK4の上限値を設定するための画面としてサービス用基準値設定画面121が表示されるが、本発明はこれに限らず、これらの基準値を同一の画面で設定可能にしてもよい。
【0070】
また、上記実施形態では、各ランクの上限値を変更すると自動的に1つ上のランクの下限値が変更されるように構成されているが、本発明はこれに限らず、各ランクの下限値を変更すると自動的に1つ下のランクの上限値が変更されるように構成されていてもよい。また、上限値と下限値の両方を任意に変更可能としてもよい。
【0071】
また、上記実施形態では、メモリ25は、1セットの基準値のみを記憶しているが、本発明はこれに限らず、被験者(患者)の性別、年齢、および病状などの属性に応じて複数種類の基準値を記憶してもよい。例えば、女性患者用の基準値と男性患者用の基準値とをそれぞれメモリ25に記憶してもよいし。この場合、制御部21は、患者の性別に応じて自動的に女性用または男性用の基準値を選択し、選択された基準値を用いて導電率にランク付けしてもよい。
【0072】
また、上記実施形態では、導電率の評価結果はRANK1からRANK5の文字で表示されるが、本発明はこれに限らず、大、中、および小などの文字で表示してもよいし、「+」の数によって導電率の大小を示してもよいし、評価結果を示す線を設け、その線の長さによって導電率の大小を示してもよい。
【0073】
また、上記実施形態では、測定結果画面151には、導電率とランクの両方が表示されるが、本発明はこれに限らず、導電率を表示せずにランクのみを表示してもよい。
【0074】
また、上記実施形態では、導電率にのみランク付けを行っているが、赤血球数(RBC)、白血球数(WBC),上皮細胞(EC)、円柱数(CAST)、および細菌数(BACT)にランク付けを行ってもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、本発明の分析装置の一例として尿中の有形成分を分析するための尿分析装置について説明したが、本発明はこれに限らず、測定項目別の反応試験紙を貼付した試験紙を所定時間、被験尿試料に浸し、試験紙の色を判定用基準色と比較し、各項目について測定値として色変化の度合を自動的に得る尿定性装置に本発明を適用してもよい。この場合、色変化の度合は、“−”、“±”、“+”、“2+”および“3+”などに分類することができ、これらの度合を分類するための基準値として固定値と変更可能な値とを設けてもよい。
【0076】
また、上記実施形態では、本発明の分析装置の一例として尿中の有形成分を分析するための尿分析装置について説明したが、本発明はこれに限らず、血液分析装置などの尿分析装置以外の分析装置に本発明を適用してもよい。
【0077】
また、上記実施形態では、本発明の分析装置の一例として尿中の有形成分を分析するための尿分析装置について説明したが、本発明はこれに限らず、上記の尿分析装置のメモリ25のROMに記憶されているプログラムに本発明を適用してもよい。また、そのプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体(例えば、CD−ROMやDVD−ROM)に本発明を適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の一実施形態による尿分析装置の全体構成を示した斜視図である。
【図2】図1に示した一実施形態による尿分析装置の内部構成を説明するためのブロック図である。
【図3】図2に示した検出部15の構成を説明するための構成説明図である。
【図4】図3に示した導電率センサ19の構成を説明するための構成説明図である。
【図5】制御部21が実行する処理の概要を示すフローチャートである。
【図6】モード切替処理(ステップS2)の詳細を示すフローチャートである。
【図7】ユーザ設定処理(ステップS6)の詳細を示すフローチャートである。
【図8】サービス設定処理(ステップS8)の詳細を示すフローチャートである。
【図9】検体番号設定処理(ステップS10)の詳細を示すフローチャートである。
【図10】測定処理(ステップS12)の詳細を示すフローチャートである。
【図11】テンキー90の構成を説明するための構成説明図である。
【図12】基準値テーブル71の構成を説明するための構成説明図である。
【図13】ユーザ用基準値設定画面75を示す図である。
【図14】サービス用基準値設定画面121を示す図である。
【図15】分析結果画面151を示す図である。
【符号の説明】
【0079】
1 装置本体
3 レーザ電源
5 空圧源
6 電源スイッチ
7 スタートスイッチ
9 ディスプレイ
10 搬送ユニット
11 吸引部
13 試料調製機構
15 検出部
21 制御部
23 CPU
25 メモリ
26 A/D変換回路
27 基準値記憶領域
31 アルゴンレーザ
33 照射レンズ系
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の所定の測定項目についての測定値を評価するための第1および第2の基準値を記憶する記憶手段と、
前記第1および第2の基準値に基づいて前記測定値を評価する評価手段と、
前記評価手段による測定値の評価結果を出力する出力手段とを備え、
前記第1の基準値は固定値であり、前記第2の基準値は変更可能な値である、分析装置。
【請求項2】
前記第1の基準値を固定値から変更可能な値に切り替えるための切替手段をさらに備える請求項1記載の分析装置。
【請求項3】
前記切替手段は、パスワードの入力を受け付け、所定のパスワードが入力されると、前記第1の基準値を固定値から変更可能な値に切り替える請求項2記載の分析装置。
【請求項4】
前記出力手段は表示手段を含み、
前記第2の基準値を設定する基準値設定手段をさらに備え、
前記基準値設定手段は、前記第2の基準値の設定を受け付けるための基準値設定画面を前記表示手段に表示させ、
前記基準値設定画面には、前記記憶手段に記憶されている第2の基準値が表示される請求項1〜3のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項5】
前記評価手段は、前記第1と第2の基準値とに基づいて、前記測定値がどの程度の大きさであるかを示すランクを、前記測定値に付与する請求項1〜4のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項6】
前記第1の基準値は、測定値が最も小さい領域にあることを示すランクと、2番目に小さい領域にあることを示すランクとを区分するための値である請求項5記載の分析装置。
【請求項7】
前記第1の基準値は、測定値が最も大きい領域にあることを示すランクと、2番目に大きい領域にあることを示すランクとを区分するための値である請求項5記載の分析装置。
【請求項8】
前記第1の基準値は、2つの基準値を含み、前記2つの基準値は、測定値が最も小さい領域にあることを示すランクと、2番目に小さい領域にあることを示すランクとを区分するための値と、測定値が最も大きい領域にあることを示すランクと、2番目に大きい領域にあることを示すランクとを区分するための値とからなる請求項5記載の分析装置。
【請求項9】
前記出力手段は、前記評価結果とともに前記測定値を出力する請求項1〜8のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項10】
前記第1の基準値に基づいて、前記測定値が信頼できるものであるか否かを判定する判定手段をさらに備える請求項1〜9のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項11】
前記試料を試薬と混合して測定用試料を調製するための試料調製手段と、
前記測定用試料の導電率を測定するための導電率測定手段とをさらに備え、
前記測定値は、前記導電率を含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項12】
試料を分析する方法を実行するプログラムであって、
試料の所定の測定項目についての測定値を評価するための第1および第2の基準値を記憶する記憶ステップと、
前記第1および第2の基準値に基づいて前記測定値を評価する評価ステップと、
前記評価手段による測定値の評価結果を出力する出力ステップとを備え、
前記第1の基準値は固定値であり、前記第2の基準値は変更可能な値である、試料を分析する方法を実行するプログラム。
【請求項13】
請求項12記載のプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項1】
試料の所定の測定項目についての測定値を評価するための第1および第2の基準値を記憶する記憶手段と、
前記第1および第2の基準値に基づいて前記測定値を評価する評価手段と、
前記評価手段による測定値の評価結果を出力する出力手段とを備え、
前記第1の基準値は固定値であり、前記第2の基準値は変更可能な値である、分析装置。
【請求項2】
前記第1の基準値を固定値から変更可能な値に切り替えるための切替手段をさらに備える請求項1記載の分析装置。
【請求項3】
前記切替手段は、パスワードの入力を受け付け、所定のパスワードが入力されると、前記第1の基準値を固定値から変更可能な値に切り替える請求項2記載の分析装置。
【請求項4】
前記出力手段は表示手段を含み、
前記第2の基準値を設定する基準値設定手段をさらに備え、
前記基準値設定手段は、前記第2の基準値の設定を受け付けるための基準値設定画面を前記表示手段に表示させ、
前記基準値設定画面には、前記記憶手段に記憶されている第2の基準値が表示される請求項1〜3のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項5】
前記評価手段は、前記第1と第2の基準値とに基づいて、前記測定値がどの程度の大きさであるかを示すランクを、前記測定値に付与する請求項1〜4のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項6】
前記第1の基準値は、測定値が最も小さい領域にあることを示すランクと、2番目に小さい領域にあることを示すランクとを区分するための値である請求項5記載の分析装置。
【請求項7】
前記第1の基準値は、測定値が最も大きい領域にあることを示すランクと、2番目に大きい領域にあることを示すランクとを区分するための値である請求項5記載の分析装置。
【請求項8】
前記第1の基準値は、2つの基準値を含み、前記2つの基準値は、測定値が最も小さい領域にあることを示すランクと、2番目に小さい領域にあることを示すランクとを区分するための値と、測定値が最も大きい領域にあることを示すランクと、2番目に大きい領域にあることを示すランクとを区分するための値とからなる請求項5記載の分析装置。
【請求項9】
前記出力手段は、前記評価結果とともに前記測定値を出力する請求項1〜8のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項10】
前記第1の基準値に基づいて、前記測定値が信頼できるものであるか否かを判定する判定手段をさらに備える請求項1〜9のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項11】
前記試料を試薬と混合して測定用試料を調製するための試料調製手段と、
前記測定用試料の導電率を測定するための導電率測定手段とをさらに備え、
前記測定値は、前記導電率を含む請求項1〜10のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項12】
試料を分析する方法を実行するプログラムであって、
試料の所定の測定項目についての測定値を評価するための第1および第2の基準値を記憶する記憶ステップと、
前記第1および第2の基準値に基づいて前記測定値を評価する評価ステップと、
前記評価手段による測定値の評価結果を出力する出力ステップとを備え、
前記第1の基準値は固定値であり、前記第2の基準値は変更可能な値である、試料を分析する方法を実行するプログラム。
【請求項13】
請求項12記載のプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2006−84394(P2006−84394A)
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−271334(P2004−271334)
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月17日(2004.9.17)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】
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