説明

分析装置、分析プログラム及び分析方法

【課題】着脱可能な測定用デバイスを用いた測定において、測定用デバイス交換時の校正の煩雑さを低減する。
【解決手段】分析装置1は、装着された測定用デバイス4の識別子を取得する識別データ取得部13と、測定用デバイス4の校正データと測定用デバイスの識別子とを対応付けて記録手段3に記録する校正部11と、検出器2による測定対象成分の検出により得られる測定データと、識別データ取得部13が取得した測定用デバイスの識別子に対応付けられた校正データとを用いて、測定対象成分に関する情報を示す値を計算する演算部12と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着脱可能な測定デバイスを用いて試料に含まれる成分を分析する分析装置、及び分析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
分離分析法を用いた分析装置では、試料中の測定対象成分を分離するための分離デバイスが用いられる。例えば、キャピラリ電気泳動法を用いた測定では、分離デバイスとしてキャピラリが用いられる。試料はキャピラリに注入され、流路方向に電圧が印加されることで試料中の各成分が分離される。
【0003】
また、液体クロマトグラフィを用いた装置では、分離デバイスとして、充填剤が詰められたカラムが用いられる。試料は、カラムに注入され、各成分に分画溶出される。さらに、キャピラリ電気クロマトグラフィを用いた装置では、分離デバイスとして、充填剤が詰められたキャピラリが用いられる。試料はキャピラリに注入され、流路方向に電圧が印加されることで、試料中の各成分が分離される。
【0004】
このような分離分析法を用いた分析装置において、分離デバイスは、交換可能であることが多い。例えば、キャピラリ電気泳動法のキャピラリをマイクロチップ化する技術が開発されている(例えば、非特許文献1、特許文献1参照)。このようなマイクロチップは、交換が容易である。また、分離分析法を臨床検査分野に応用した例として、HbA1c測定装置、グリコアルブミン測定装置等が挙げられる(例えば、非特許文献2参照)。これらの装置では、カラムを用いたHPLC法等が用いられる。また、分離分析法を用いない分析装置であっても、試料を保持する測定用デバイスが交換可能である場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−189401号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】荒井昭博ら「マイクロチップ電気泳動装置MCE-2010の開発とその応用例」島津評論、Vol.58,No.3・4,p101―109,2003年3月
【非特許文献2】「ADAMS A1c HA−8170によるHbA1cの基礎的検討」医学と薬学,Vo.58,No.2,p.355−361,2007
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
交換可能な分離デバイスを用いた分析においては、分離デバイスの交換の度に分析装置の校正が必要となる。すなわち、校正結果(例えば、補正係数)は、特定の分離デバイスと特定の分析装置(例えば、制御装置または電気泳動装置)の組み合わせにより決定される場合が多い。そのため、分離デバイスが頻繁に交換される状況においては、交換の度に校正を行う必要が生じ、煩雑さが増す。例えば、マイクロチップ化された分離デバイスは、容易に交換可能であり、それが最大の特徴である。しかし、交換の度に校正を行う煩雑さから、分離デバイス交換の容易性から生まれる利便性を十分に発揮できないといった結果を招く。このことは、分離分析法を用いない、その他の交換可能な測定用デバイスを用いた分析装置においても生じうる。
【0008】
そこで、本発明は、分離デバイスを一例とする測定用デバイスの交換時の校正の煩雑さを軽減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本願開示の分析装置は、試料を測定可能な状態で保持する、着脱可能な測定用デバイスを用い、前記測定用デバイスで保持された前記試料の測定対象成分を検出する検出器を制御して、測定データを取得し、前記測定対象成分を分析する分析装置であって、
分析装置に装着された測定用デバイスの識別子を取得する識別データ取得部と、
校正データと、前記測定用デバイスの識別子とを対応付けて、前記分析装置に設けられた記録手段及び前記分析装置からアクセス可能な記録手段の少なくとも一方に、記録する校正部と、
前記検出器による前記測定対象成分の検出により得られる測定データと、識別データ取得部が取得した測定用デバイスの識別子に対応付けられ前記記録手段に記録された校正データとを用いて、前記測定対象成分に関する情報を示す値を計算する演算部と、を備える。
【0010】
上記構成では、装着された測定用デバイスの識別子を取得し、その測定用デバイスを用いて校正用試料を測定して得られた校正データと測定用デバイスの識別子とを対応付けて記録することができる。そのため、分析装置に装着された測定用デバイスで、一度校正が実施されると、その測定用デバイスを用いた測定の際には、記録された校正データを用いることができる。その結果、測定用デバイスの装着の度に校正を行う必要がなくなり、煩雑さを軽減することができる。
【0011】
本願開示の分析装置は、試料から測定対象成分を分離する、着脱可能な分離デバイスを用い、前記分離デバイスで分離された前記測定対象成分を検出する検出器を制御して、測定データを取得し、前記測定対象成分を分析する分析装置であって、
分析装置に装着された分離デバイスの識別子を取得する識別データ取得部と、
校正データと、前記分離デバイスの識別子とを対応付けて、前記分析装置に設けられた記録手段及び前記分析装置からアクセス可能な外部の記録手段の少なくとも一方に、記録する校正部と、
前記検出器による前記測定対象成分の検出により得られる測定データと、識別データ取得部が取得した分離デバイスの識別子に対応付けられ前記記録手段に記録された校正データとを用いて、前記測定対象成分に関する情報を示す値を計算する演算部と、を備える。
【0012】
上記構成では、装着された分離デバイスの識別子を取得し、その分離デバイスを用いて校正用試料の成分を分離して得られた校正データと分離デバイスの識別子とを対応付けて記録することができる。そのため、分析装置に装着された分離デバイスで、一度校正が実施されると、その分離デバイスを用いた測定の際には、記録された校正データを用いることができる。その結果、分離デバイスの装着の度に校正を行う必要がなくなり、煩雑さを軽減することができる。
【0013】
なお、記録手段は、分析装置からアクセス可能であればよく、分析装置に設けられていてもよいし、分析装置からアクセス可能な前記分析装置以外の装置に設けられていてもよい。例えば、記録手段は、分析装置または測定用デバイスのいずれかに設けられてもよいし、分析装置及び測定用デバイス双方が記録手段を備える構成であってもよい。
【0014】
また、校正部は、前記測定用デバイスにおいて校正用試料の測定対象成分の検出により得られる測定データを用いて前記校正データを生成または更新することができる。このように、校正データは、分析装置に装着された測定用デバイスで測定した校正用試料の測定データを用いて生成または更新することができる。
【0015】
上記分析装置において、前記校正部は、前記測定用デバイスが装着されたとき、装着された測定用デバイスの識別子と対応付けられた校正データが前記記録手段に記録されているか否かを判断し、当該校正データが前記記録手段に記録されていない場合に、前記装着された測定用デバイスで保持された校正用試料の測定対象成分の検出により得られる測定データを基に、前記校正データを生成し、前記記録手段へ前記装着された測定用デバイスの識別子と対応付けて記録することができる。
【0016】
これにより、新たな測定用デバイスが装着された場合に、その測定用デバイスを用いた校正を行い、校正データと測定用デバイスの識別子とを対応付けて記録することができる。
【0017】
上記分析装置において、前記識別データ取得部は、分析装置の識別子を取得し、前記校正部は、前記装着された測定用デバイスが備える記録手段に対して、前記分析装置の識別子を前記校正データに対応付けて記録し、前記演算部は、前記検出器による前記測定対象成分の検出により得られる測定データと、識別データ取得部が取得した分析装置の識別子に対応付けられ前記測定用デバイスの記録手段に記録された校正データとを用いて、前記測定対象成分に関する情報を示す値を計算することができる。
【0018】
これにより、測定用デバイスに校正データと、校正を行った分析装置の識別子とを対応付けて記録することできる。そのため、例えば、測定用デバイスを様々な分析装置に装着してそれぞれ測定する場合にも、測定用デバイス及び分析装置の組み合わせに応じて適切な校正データを用いることができる。
【0019】
上記分析装置において、前記校正部は、前記測定用デバイスが装着されたとき、分析装置の識別子と対応付けられた校正データが前記測定用デバイスの記録手段に記録されているか否かを判断し、当該校正データが前記記録手段に記録されていない場合に、前記校正データを生成し、前記測定用デバイスの記録手段へ前記分析装置の識別子と対応付けて記録することができる。
【0020】
これにより、新たな測定用デバイスが装着された場合に、その測定用デバイスを用いた校正を行い、校正データと分析装置の識別子とを対応付けて記録することができる。
【0021】
上記分析装置において、前記演算部は、前記測定用デバイスを用いた測定対象成分の測定回数を、前記測定用デバイスの識別子に対応付けて記録手段に記録し、前記測定回数に応じて当該測定用デバイスを用いた測定の可否を判断することができる。
【0022】
これにより、測定用デバイスを測定に使う回数を適切に制御することができる。
【0023】
上記分析装置において、前記演算部は、前記測定用デバイスの前回校正時から後の測定回数、又は/及び経過時間を、前記記録手段に前記測定用デバイスの識別子に対応付けて記録し、前記校正部は、前記前回校正時から後の測定回数、又は/及び経過時間に応じて校正の適否を判断することができる。
【0024】
これにより、任意の測定検体数毎、あるいは任意の期間毎に、適切な校正を行うことが可能となる。
【0025】
上記分析装置において、前記校正部は、前記測定用デバイスの識別子及び前記校正データにさらに、前記分析装置の識別子も対応付けて記録し、前記測定用デバイスが装着されたとき、前記記録手段に、装着された測定用デバイスの識別子及び前記分析装置の識別子に対応付けられた校正データが記録されているか否かを判断し、当該校正データが記録手段に記録されていない場合に、前記校正データを生成し、前記記録手段へ前記装着された測定用デバイスの識別子及び前記分析装置の識別子と対応付けて記録することができる。これにより、例えば、測定用デバイスの校正のタイミング及び頻度を適切に制御することができる。
【0026】
上記分析装置において、前記測定用デバイスは、試料を分離するための流路を複数備え、前記測定用デバイスの識別子は、前記測定用デバイスが備える流路それぞれを識別する各流路の識別子を含み、前記校正部は、前記流路ごとに、前記校正データを生成または更新し、前記流路の識別子と前記校正データとを対応付けて記録し、前記演算部は、前記検出器による前記測定対象成分の1の流路における検出により得られる測定データと、識別データ取得部が取得した測定用デバイスの識別子に含まれる前記1の流路の識別子に対応付けられ前記記録手段に記録された校正データとを用いて、前記測定対象成分の量を示す値を計算することができる。
【0027】
コンピュータを、上記分析装置として機能させる分析プログラム、及びそれを記録した記録媒体も、本発明に含まれる。また、上記分析装置が実行する分析方法も、本発明に含まれる。
【0028】
なお、本願明細書において、測定対象成分に関する情報は、測定対象成分に関する分析の結果得られるあらゆる情報を含む。例えば、このような情報の例として、「量」、「大きさ」、「重さ」、「光学特性」等が挙げられる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、着脱可能な測定用デバイスを用いた測定において、測定用デバイス交換時の校正の煩雑さを軽減させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】図1は、本発明の第1の実施形態における分析装置を含む分析システムの構成例を示す機能ブロック図である。
【図2】図2は、分析装置の動作例を示すフローチャートである。
【図3】図3は、対応付けて記録された校正データ及び分離デバイスのIDの一例を示す図である。
【図4】図4は、第2の実施形態における分析装置を含む分析システムの構成例を示す機能ブロック図である。
【図5】図5は、分離デバイスにおいて、分析装置のIDを対応付けて記録された校正データの一例を示す図である。
【図6】図6は、第3の実施形態における分析装置を含む分析システムの構成例を示す機能ブロック図である。
【図7】図7は、測定回数を記録するデータの一例を示す図である。
【図8】図8は、第3の実施形態における分析装置の動作例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、第4の実施形態における校正データの一例を示す図である。
【図10】図10は、第5の実施形態における、マイクロチップ化された分離デバイス(以下、分析チップと称する)の構成例を示す図である。
【図11】図11は、第5の実施形態における校正データの一例を示す図である。
【図12】図12は、本発明に適用可能な医療機器の例を示す斜視図である。
【図13】図13は、本発明に適用可能なイオン活量測定器具の一例を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
[第1の実施形態]
図1は、本発明の第1の実施形態における分析装置を含む分析システムの構成例を示す機能ブロック図である。図1に示す分析システム10は、分離分析法を用いた分析システムであり、試料に含まれる成分を分離し、分離した成分の定量を行う。分析装置1は、検出器2、分離デバイス4及び記録手段3と接続されている。分離デバイス4は、試料から測定対象成分を分離するデバイスであり、分析装置1に対して着脱可能となっている。検出器2は、分離デバイス4で分離された測定対象成分を検出する。分析装置1は、検出器2を制御して、測定データを取得し、試料の測定対象成分を分析する。ここでは、分析装置1は、分離デバイス4を制御してもよい。本発明の実施形態として、分析装置は、検出器のみを制御してもよいし、検出器と分離デバイス(測定用デバイス)の両方を制御してもよい。
【0032】
なお、本明細書において「分離分析法」とは、試料に含まれる分析対象物を個別に分離しながら分析を行う方法であって、例えば、液体クロマトグラフィ法(HPLC法)、キャピラリ電気泳動法(CE法)、又はキャピラリ電気クロマトグラフィ法が挙げられる。液体クロマトグラフィ法としては、例えば、陽イオン交換クロマトグラフィ法、陰イオン交換クロマトグラフィ法、分配クロマトグラフィ法、逆相分配クロマトグラフィ法、ゲルろ過クロマトグラフィ法、及びアフィニティクロマトグラフィ法等が挙げられる。キャピラリ電気泳動法としては、例えば、キャピラリゾーン電気泳動法、キャピラリ等速電気泳動法、キャピラリ等電点電気泳動法、キャピラリ動電クロマトグラフィ法、及びキャピラリゲル電気泳動法等が挙げられる。
【0033】
分離デバイスは、試料を測定可能な状態で保持する測定用デバイスの一例である。分離デバイスは、試料中の測定対象成分を分離するためのデバイスである。例えば、液体クロマトグラフィでは、分離デバイスとしてカラムを含むデバイスが用いられる。この場合、図示しないが、例えば、カラムに溶離液や洗浄液等を供給する液体供給ユニットや、試料をカラムに供給する試料供給ユニット、試料と溶離液の流量を調整するバルブ等の調整機構、その他必要な部材が、カラムともに設けられてもよい。
【0034】
キャピラリ電気泳動法では、キャピラリを含むデバイスが分離デバイスとして用いられる。この場合、図示しないが、例えば、高電圧電源、検体供給ユニット、その他必要な部材が分離デバイスとともに設けられてもよい。また、分離デバイスには、キャピラリ及びキャピラリに電圧を印加するための電極等が設けられる。
【0035】
キャピラリ動電クロマトグラフィ法では、充填剤が詰められたキャピラリを含むデバイスが分離デバイスとして用いられる。この場合、図示しないが、例えば、高電圧電源、検体供給ユニット、その他必要な部材が分離デバイスとともに設けられてもよい。また、分離デバイスには、キャピラリ及びキャピラリに電圧を印加するための電極等が設けられる。
【0036】
また、分離デバイスは、マイクロチップ化されていてもよい。これにより、分離デバイスの交換容易性が向上する。そのため、例えば、測定用途の異なる複数の分離デバイスを頻繁に交換して測定を行ったり、デリケートなデバイスチップである分離デバイスを電気泳動装置のような分析装置から取り外して保管したりすることも可能になる。
【0037】
検出器2は、例えば、分離デバイスで分離された試料の吸光度を検出することで、試料の各成分を検出することができる。例えば、透過率又は蛍光法等を用いて試料の分離された成分を検出することができる。
【0038】
検出器2が試料から分離された測定対象成分を検出することにより得られる測定データは、例えば、試料から分離された対象成分を検出して得られる信号強度の時間変化または位置変化(分布)を記録したデータ(例えば、クロマトグラムやフェログラム)であってもよいし、このデータから得られる対象成分の分離状態に関する値であってもよい。具体的には、例えば、試料から分離された対象成分の検出量の時系列データまたは波形データ、あるいは、対象成分の検出量がピークに達するのに要する時間、ピークの半値幅、ピークの面積(全成分のピーク面積に対する対象成分のピークの面積比を含む)、ピークの信号強度、ピークのボトム時間の少なくとも何れか1つを、検出器2の測定データとして得ることができる。このように、測定データは、試料から測定対象成分を分離して得られる分離結果を表すデータであればよい。測定データの形式は特定のものに限定されない。なお、検出器2が測定データを出力する構成であってもよいし、検出器2の外部(例えば、分析装置1)で、検出器2が検出した信号を基に測定データが生成される構成であってもよい。
【0039】
記録手段3は、分析装置1がアクセス可能な記録媒体であればよい。例えば、分析装置1が内部に備えるメモリであってもよいし、外部の記録装置であってもよい。あるいは、分析装置内部の記録装置と、外部の記録装置の双方を記録手段として用いることもできる。具体的には、EEPROM等を記録手段3とすることができる。
【0040】
分析装置1は、校正部11、演算部12、識別データ取得部13、出力部14を備える。
【0041】
識別データ取得部13は、分析装置1に装着された分離デバイスの識別子を取得する。本実施形態では、識別データ取得部13は、データ読取インタフェース(データ読取IF)5を介して、分析装置1に装着されている分離デバイス4の記録部41から、分離デバイス4の識別子(以下、IDと称する)を取得する。分離デバイス4の識別子は、分離デバイス固有のIDである。データ読取IF5及び記録部41の形態は、特に限定されない。記録部41は、電子チップ(メモリ等)、印刷(バーコード等)、刻印、電子スイッチまたは機械スイッチ等とすることができる。なお、記録部41は、分析装置1からアクセス可能な記録手段の一例である。データ読取IF5は、記録部41が印刷の場合は、印刷内容を読込むリーダとすることができ、記録部41が電子チップ(メモリ)の場合は、メモリコントローラとすることができる。
【0042】
校正部11は、検出部2に制御信号を送り、分離デバイス4で校正用試料から分離された測定対象成分を検出部2に検出させることにより、校正用試料の測定データを取得することができる。校正部11は、校正用試料の測定データを用いて校正データを生成または更新し、当該校正データと、前記分離デバイス4のIDとを対応付けて記録手段3に記録する。校正用試料として、測定対象成分の量が既知である試料を用いることができる。これにより、分離デバイスで分離された校正用試料の対象成分の検出量と、前記校正用試料の対象成分の量との関係が得られる。この関係をデータ化したものを校正データとすることができる。
【0043】
校正データは、分離デバイスによる検出値の校正に用いられるので、ほとんどの校正データは、分離デバイスごとに固有のデータとなる。校正データは、例えば、検出器2により検出された対象成分の検出量を、試料における対象成分に関する情報を示す値に変換するためのデータである。具体的には、検出器2の検出量の値と、対象成分の量の値との対応関係を示す計算式又はテーブルを、校正データとして、記録手段3に記録することができる。なお、対象成分の量を示す値は、相対量の値でもよいし、絶対量の値でもよい。校正データは、検出値と対象成分の量との関係に限らない。校正データは、検出値と、対象成分に関する情報を示す値(例えば、分析結果として得られる対象成分の特性値等)との関係を示すデータであってもよい。
【0044】
演算部12は、検出器2による検出で得られた試料の測定データと、記録手段3に記録された校正データとを用いて、対象成分の量を示す値を計算する。このとき、演算部は、識別データ取得部13が取得した分離デバイスのIDに対応付けられた校正データを記録手段3から読み出して、対象成分の量を示す値の計算に用いることができる。これにより、装着されている分離デバイス4に適合した校正データを用いることができる。
【0045】
出力部14は、演算部12が計算した定量値を、ユーザに対して出力する。例えば、分析装置1が備えるディスプレイ(図示せず)に定量値を表示してもよいし、分析装置1に接続されたディスプレイやプリンタ、スピーカ等の出力デバイス、あるいはネットワークを介して接続された他のコンピュータに、定量値を出力することもできる。
【0046】
図1に示す分析装置1の機能は、例えば、パーソナルコンピュータ等のCPUを備えた汎用コンピュータあるいは測定装置に内蔵されたマイクロプロセッサが、所定のプログラムを実行することにより実現することができる。すなわち、分析装置1は、検出器2や分離デバイス4と連携動作可能なコンピュータにより構成することができる。分析装置1と検出器2とのデータ通信及び分析装置1と分離デバイス4とのデータ通信は、有線または無線で行うことができる。
【0047】
記録手段3は、コンピュータのプロセッサからアクセス可能なメモリ、HDD等の記録装置により構成することができる。分析システム10は、分析装置1、検出器2、分離デバイス4及び記録手段3が一体となった構成であってもよいし、検出器2及び分離デバイス4に汎用コンピュータが接続された構成であってもよい。また、コンピュータを上記分析装置1として機能させるためのプログラムまたはプログラムを記録した記録媒体も本発明の実施形態に含まれる。また、コンピュータが実行する分析方法も、本発明の一側面である。ここで、記録媒体は、信号そのもののような、一時的な(non-transitory)メディアは含まない。
【0048】
[動作例]
図2は、分析装置1の動作例を示すフローチャートである。図2に示す例では、分析装置1に装着された分離デバイスが検出される(S1)。例えば、電気的または機械的な接触を検知することにより、分離デバイスの装着を検出することができるが、検出方法は特に限定されない。また、分離デバイスは、複数同時に装着できる構成であってもよい。分離デバイスが複数装着された場合は、測定対象とする分離デバイスを選択する処理を、ステップS1の検出処理としてもよい。
【0049】
装着された分離デバイス4のIDを、識別データ取得部13が取得する(S2)。例えば、データ読取IF5がバーコードリーダであり、分離デバイス4の記録部41がバーコードである場合、識別データ取得部13は、バーコードリーダを制御して、装着された分離デバイス4のバーコードを読取らせ、読取ったバーコードの情報を取得することができる。
【0050】
校正部11は、記録手段3を参照し、識別データ取得部13が取得した分離デバイス4のIDに対応する校正データが記録されているか判断する(S3)。図3は、記録手段3に対応付けて記録された校正データ及び分離デバイスのIDの一例を示す図である。図3に示す例では、校正情報(ここでは、一例として検量線を示す式の係数a、b)が、分離デバイスのIDごとに記録されている。例えば、校正部11は、S2で取得された分離デバイスのIDが、図3に示すようなデータに存在するか否かによりS4の判断をすることができる。S4の判断により、装着された分離デバイス4が、分析装置1に初めて装着されたか否かを判断することができる。
【0051】
記録手段3に、分離デバイスのIDに対応する校正データがない場合(S4でNO)、校正部11は、校正を実行する(S5)。校正は、例えば、オペレータに対して、校正を促すメッセージを出力することにより実行してもよいし、自動校正処理を実行してもよい。自動校正処理は、例えば、分離デバイス4及びその他の駆動手段に制御信号を送って、校正用試料を分離デバイス4で分離させ、分離された測定対象成分を検出器2に検出させることによって実行することができる。校正用試料の測定対象成分を検出して得られる測定データを基に、校正データが生成される。
【0052】
例えば、校正部11は、測定データとして、校正用試料のフェログラムまたはクロマトグラムを得て、これを用いて検量線を計算し、検量線を校正データとして記録手段3に記録することができる。例えば、HbA1c測定の場合、フェログラムまたはクロマトグラムから得られる校正用試料のHbA1c測定結果(=HbA1c分画の面積÷Hbの全分画面積×100)と、リファレンス法により予め求めておいた校正用試料のHbA1c値(表記値)との対応関係を示す検量線を作成することができる。検量線は、例えば、2点以上の校正点を用いて検量線を作成する場合、2点以上の校正点それぞれについて多重測定を行い、それを最小二乗法等で直線回帰させることによって直線の検量線を得ることができる。また、それぞれの多重測定により得られた値の平均値を求め、それらを直線で繋ぐことによって作成してもよい。
【0053】
検量線を示すデータは、例えば、検量線を示す直線の式y=ax+bの係数a、bの値として記録することができる。また、これらのa、bの値のうち、いずれか一方は固定として予め記録していた値を用いて、他方の値のみを計算し、分離デバイスのIDと対応付けて記録することもできる。このように、校正データの一部のパラメータには、予め分析装置1または記録デバイス4に記録された固定値を用いることもできる。なお、校正データは、検量線を示す値に限られない。例えば、分離結果と補正値とを対応付けるテーブルあるいはマトリクスであってよい。
【0054】
校正部11は、分離デバイス4で校正用試料を分離することによって得られた校正データを、その分離デバイス4のIDと対応付けて、記録手段3に記録する(S6)。例えば、図3に示すように、校正情報(検量線を示す式の係数a、b)を、分離デバイスのIDに対応付けたデータを記録手段3に記録することができる。
【0055】
演算部12は、校正部11により記録手段3に記録された校正データを読み出す(S7)。また、演算部12は、分離デバイス4に、測定したい試料の測定対象成分を分離させ、検出器2に検出させることにより、試料の測定データを得る。この測定データと読み出した校正データを用いて、試料中の対象成分の量を表す値に変換する。例えば、分析部12は、HbA1c測定の場合、クロマトグラムにおけるHbA1c測定結果(=HbA1c分画の面積÷Hbの全分画面積×100)を、上記検量線を用いてリファレンス法にトレーサブルなHbA1c値に変換することができる。このようにして、試料の測定データと検量線を用いたデータ補正を実行することができる。なお、S8の試料の測定は1回に限られず、複数の試料について連続して測定してもよい。
【0056】
上記実施形態によれば、装着された分離デバイスについて、分析装置1で一度校正を行うと、分離デバイスを取り外して再び装着した場合に再度の校正が不要になる。これにより、例えば、以下のような効果が得られる。まず、校正の手間が省け、頻繁に分離デバイスを交換することが可能になる。また、分離デバイスを再装着した後、試料の測定が速やかに実行できる。さらに、測定終了時には、デリケートな分離デバイスを分析装置から外して保管することができる。またさらに、校正回数が減り、コストダウン(例えば、校正用試料費用削減等)につながる。
【0057】
[第2の実施形態]
図4は、第2の実施形態における分析装置を含む分析システムの構成例を示す機能ブロック図である。図4において、図1と同じ機能ブロックには同じ番号を付している。図4に示す例では、校正データが、分離デバイス4の記録部41に、分析装置の識別子に対応付けられて記録される。すなわち、本実施形態では、分離デバイス4に、校正データ及び校正を行った分析装置1のIDが記録される。これにより、分離デバイス4を分析装置に装着した場合、分析装置1は、自身の固有IDに対応する校正データを分離デバイス4の記録部41から読み出して、測定を行うことができる。
【0058】
例えば、分析システム10がキャピラリ電気泳動装置である場合、分離デバイス4は、マイクロチップで構成することができる。マイクロチップには、記録部41(記録手段の一例)として、例えば、EEPROM等の記録デバイスが配置される。この場合、データ読取IF5は、EEPROMコントローラとすることができる。このように、本実施形態では、校正データを記録する記録手段を分離デバイスが備える構成である。この分離デバイスの記録手段は、分析装置に装着された状態で分析装置からアクセス可能であればよい。すなわち、分離デバイスが分析装置1に装着されていない状態でも、記録手段分析装置からアクセス可能である必要はない。
【0059】
校正部11は、分離デバイス4が装着されると、データ読取IF5を介して、分離デバイス4の記録部41(EEPROM)にアクセスし、分析装置1のIDに対応する校正データが記録されているか否かを判断することができる。分離デバイス4のEEPROMに、分析装置1のIDに対応する校正データがない場合は、校正部11による校正処理が実行される。
【0060】
校正処理は、上記第1の実施形態と同様に実行することができる。校正部11は、分離デバイス4の校正データを生成すると、分析装置1のIDと対応付けて、分離デバイス4の記録部41へ記録する。
【0061】
演算部12は、データ読取IF5を介して、分離デバイス4の記録部41から分析装置1のIDに対応する校正データを取得し、これを用いて測定対象成分の定量値を計算することもできる。あるいは、校正部11は、分析装置1の記録手段3に校正データを記録し、演算部12は、記録手段3の校正データを用いて測定対象成分の定量値を計算することもできる。
【0062】
なお、本実施形態においても、分析装置1は、例えば、上記第1の実施形態で図2を用いて説明した動作例と同様に動作することができる。本実施形態の場合、図2のS3において、校正部11は、まず、分析装置1の記録手段3に記録されている分析装置1自身のIDを読み込み、さらに、分離デバイス4の記録部41にアクセスして、読み込んだ分析装置1のIDに対応する校正データがあるか否かを判断することができる(図2のS4)。分析装置1のIDに対応する校正データがない場合(S4でNO)、校正部11は、校正処理を実行する(S5)。また、S6においては、校正部11は、校正データに、分析装置1のID及び分離デバイス4のIDを対応付けて、分離デバイス4の記録部41へ記録する。図5は、分離デバイスにおいて、分析装置1のIDを対応付けて記録された校正データの一例を示す図である。図5に示す例では、分析装置1のIDごとに、校正情報が記録されている。
【0063】
以上の第2の実施形態においても、第1の実施形態と同様の効果を奏することができる。また、分離デバイスの記録手段に校正データを、校正を行った装置のIDと対応付けて記録するので、分離デバイスが、例えば、様々な分析装置に装着される場合等には、装着された分析装置に応じた適切な校正データを各分析装置に提供することができる。また、第2の実施形態の分離デバイスのような、校正データを分析装置1のIDと対応付けて記録する記録手段を有する測定用デバイスも本発明の実施形態の一つである。
【0064】
[第3の実施形態]
図6は、第3の実施形態における分析装置を含む分析システムの構成例を示す機能ブロック図である。図6において、図1と同じ機能ブロックには同じ番号を付している。図6に示す例では、記録手段3に、測定回数がさらに記録されている。本実施形態は、第1の実施形態または第2の実施形態において、記録手段3または記録部41に、分離デバイスを用いて測定した回数を記録し、これに基づいて、校正や測定を制御するようにしたものである。
【0065】
本実施形態において、演算部12は、分離デバイス4を用いた測定対象成分の測定回数を、分離デバイス4のIDに対応付けて記録手段に記録しておき、この測定回数に応じて当該分離デバイス4を用いた測定の可否を判断することができる。
【0066】
また、上記演算部の機能に換えてまたは加えて、演算部12は、前回校正時から後の分離デバイス4の測定回数、又は/及び前回校正時からの経過時間を、記録手段に前記分離デバイス4の識別子に対応付けて記録し、前記校正部は、前記前回校正時から後の測定回数、又は/及び前回校正時からの経過時間に応じて校正の適否を判断することができる。
【0067】
例えば、分離デバイス4を用いて測定した試料数の累計及び前回校正時からの測定試料数を、分離デバイスの累計測定回数、及び前回校正時からの測定回数として、それぞれ記録することができる。これらの測定回数は記録手段3または記録部41に、分離デバイス又は分析装置1と対応付けて記録することができる。また、分離デバイス4を用いた前回校正時からの経過時間を、記録手段3または記録部41に、分離デバイスのID又は分析装置1のIDと対応付けて記録することもできる。
【0068】
図7は、これらの測定回数を記録するデータの一例を示す図である。図7に示す例では、分離デバイスのIDごとに、校正情報、前回校正からの測定回数c及び累計測定回数dが対応付けられて記録されており、これらのデータは記録手段3に記録される。また、分析装置1のIDごとに、校正情報、前回校正からの測定回数c及び累計測定回数dを対応付けて記録することもでき、この場合には、データは記録部41に記録される。また、例えば、図7に示す測定回数c及び累計測定回数dの代わりにあるいは、これらに加えて、前回校正からの経過時間p、初回校正時からの経過時間の累計qを記録してもよい。
【0069】
演算部12は、試料を1検体測定する度に、累計測定回数に“+1”を加算する(記録手段に記録された測定回数を更新する)ことができる。また、校正部11が校正を実行すると、記録手段に記録された前回校正時からの測定回数を“0”に初期化し、その後、1検体測定が終了するたびに、前回校正時からの測定回数に“+1”を加算することができる。
【0070】
これら累計測定回数、及び前回校正時からの測定回数の値は、分離デバイス4を校正するコンピュータにて常時監視されることが好ましい。累計測定回数が所定の値に達した場合には、例えば、その分離デバイスの使用を中止し、別の分離デバイスで以降の測定を行うよう、演算部12が制御することもできる。また、前回校正時からの測定回数の値が所定の値に達した場合には、校正部11がオペレータに再校正を促したり、自動再校正処理を実施したりすることもできる。
【0071】
図8は、本実施形態における分析装置の動作例を示すフローチャートである。図8において、図2に示す処理ステップと同じ処理ステップには同じ番号を付す。図8に示す例では、校正データ読み出し(S7)及び測定(S8)の前に、演算部12は、前回校正時からの測定回数c及び経過時間pの判定(S11)及び、累計測定回数d及び累計経過時間qの判定を実行する。
【0072】
S11において、演算部12が、前回校正時からの測定回数cが所定の閾値Tcを越えているか、または前回校正時からの経過時間pが所定の閾値Tpを越えていると判断すると、測定回数c及び経過時間pを初期化、すなわち“0”に更新し(S12)、校正部11が校正処理(S5)を実行する。
【0073】
S13において、演算部12が、累計測定回数dが所定の閾値Tdを越えているかまたは、初回校正時からの累計経過時間qが所定の閾値Tqを越えていると判断すると、分離デバイスの使用を中止し(S14)、新たな分離デバイスを選択する(S1)。本実施形態では、分離デバイス4が複数装着可能なケースあるいは、分離デバイス4がキャピラリを複数含むケースを想定している。この構成では、1つの分離デバイスまたはキャピラリの測定回数が上限を超えた場合に、別の分離デバイスまたはキャピラリを用いて測定が行われる。
【0074】
前回校正時からの測定回数cも累計測定回数dも上限に達していない場合(S11でNOかつS13でNO)、演算部12は、校正データ読み出し(S7)及び測定(S8)を実行する。測定が終了すると、測定回数c、dに“+1”を加算する(S15)。測定及び測定回数判定処理(S7、S8、S11〜S15)は、未測定試料がなくなるまで(S16でNO)繰り返し実行される。
【0075】
上記図8に示した動作は一例であり、分析装置の動作はこれに限られない。例えば、S11及びS13の判定のうちいずれか1つのみを実行することもできる。また、累計測定回数が上限を超えた場合の処理として、上記処理に換えてまたは加えて、オペレータに対して警告メッセージを出力してもよい。
【0076】
また、S11において、上記例では、c>Tcまたはp>Tpの真偽を判定しているが、この代わりに、c>Tcかつp>Tpの真偽を判定してもよい。同様に、S13についても、d>Tdかつq>Tqの真偽を判定してもよい。さらに、S11及びS13において、測定回数または経過時間いずれか一方のみを判定してもよい。すなわち、S11でc>Tcの真偽判定、S13でd>Tdの真偽判定としてもよいし、あるいは、S11でp>Tpの真偽判定、S13でq>Tqの真偽判定をしてもよい。
【0077】
以上のような本実施形態における付加機能は、測定データの高い正確性及び高い精密性が求められる臨床検査分野において、特に有用性が高い。また、臨床検査分野で分離分析法が実用化されている例として、糖尿病治療マーカであるHbA1c、グルコアルブミンや、β―サラセミア診断マーカのHbA2、HbF、異常Hb血症マーカのHbS、HbC等を挙げることができる。これらのマーカ測定に本機能を適用することで、正確性及び精密性診の高い測定が可能になる。なお、本実施形態の適用分野は、臨床検査分野に限られない。また、本実施形態は、上記第1、第2の実施形態及び、下記第4、第5の実施形態いずれにも適用することができる。
【0078】
[第4の実施形態]
本実施形態は、校正データの記録形態の変形例である。図9は、本実施形態における校正データの一例を示す図である。図9に示す例では、分析装置1のID及び分離デバイス4のIDの組み合わせごとに、校正情報が記録されている。分析装置1のID及び分離デバイス4のIDを校正データと対応付けて記録することで、分析装置1のID及び分離デバイス4のIDの組み合わせに応じた適切な校正データの読み出しが可能になる。例えば、校正データが記録される記録手段3が、複数の分析装置からアクセス可能な記録媒体である場合に、それぞれの分析装置は、分析装置及び分離デバイスの組み合わせに応じて、適切な校正データを読み出すことができる。
【0079】
このように、分析装置と分離デバイスの組み合わせにより測定データは変化するため、この組み合わせごとに校正データを記録しておくことで、一度、ある組み合わせについて校正を行えば、再度、同じ組み合わせ測定するときに、校正が不要になる。なお、本実施形態は、上記第1〜第3の実施形態、下記第5の実施形態、及びこれらの変形例のいずれにも適用することができる。
【0080】
[第5の実施形態]
本実施形態では、分離デバイス4は、試料を分離するための流路を複数備える。そのため、分離デバイス4のIDは、分離デバイスが備える流路それぞれを識別する各流路のIDを含む。校正部11は、流路ごとに、校正データを生成または更新し、流路のIDと各校正データとを対応付けて記録する。演算部12は、検出器2による測定対象成分の、1つの流路における検出により得られる測定データを取得する。そして、演算部12は、識別データ取得部13が取得した分離デバイス4のIDに含まれる、前記1つの流路のIDに対応付けられた校正データを記録手段3または記録部41から取得する。この校正データと測定データとを用いて、対象成分の量を示す値が計算される。これにより、複数の流路を有する分離デバイスが接続された場合に、流路ごとに適切な校正データを記録しておくことができる。
【0081】
図10は、本実施形態における、マイクロチップ化された分離デバイス(以下、分析チップと称する)の構成例を示す図である。図10は、キャピラリ電気泳動法を用いた分析装置の分離デバイスの例である。図10(A)は、この例の分析チップの平面図であり、図10(B)は、図10(A)のI−Iにおける断面図であり、図10(C)は、図10(A)のII−IIにおける断面図である。また、同図において、分かりやすくするために、各構成要素の大きさや比率等は、実際と異なっている。
【0082】
図10に示す例では、分析チップは、下基板K1上に上基板K4が積層されて、構成されている。前記上基板K4には、複数(この例では4つ)の貫通孔が形成されている。前記上基板K4に形成された6つの貫通孔の底部が、下基板K1で封止されることで、6つの液槽2a〜fが形成されている。下基板K1上には、平行な2本の溝とこれらに垂直に交差する溝とが形成されている。下基板K1上に形成された溝の上部が、上基板4で封止されることで、試料分析用のキャピラリ流路3x、3zと試料導入用のキャピラリ流路3yとが形成されている。前記6つの液槽2a〜fは、第1の導入槽2a、第1の回収槽2b、第2の導入槽2c、第2の回収槽2d、第3の導入槽2e、第3の回収槽2fを含む。前記第1の導入槽2aと前記第1の回収槽2bとは、前記試料分析用のキャピラリ流路3xで連通されている。前記第1の導入槽2cと前記第2の回収槽2dとは、前記試料導入用のキャピラリ流路3yで連通されている。前記第3の導入槽2eと第3の回収槽2fとは、試料導入用のキャピラリ流路3zで連通されている。キャピラリ流路3zと、キャピラリ流路3xとは平行に配置されており、いずれも、試料導入用のキャピラリ流路3yと交差し、かつ、キャピラリ流路3yと前記交差部分において連通されている。
【0083】
なお、図示しないが、分析チップには、キャピラリ電気泳動用の電極がさらに設けられてよい。例えば、6本の電極を、それぞれ、その一端が液槽2a〜f内に位置するように配置することができる。
【0084】
また、分析チップに泳動液及び試料を供給するための液体供給ユニット、及びキャピラリ流路に電圧を印加するための電圧印加部が設けられてもよい。また、キャピラリ流路3y、3zそれぞれの一部は測定部位とし、測定部位上に検出器2による検出部位が位置するよう、検出器2を配置することができる。このように、分析チップが、複数の測定部位を有する場合、少なくとも電圧印加中の測定部位は、互いに独立した流路となるよう構成することが好ましい。
【0085】
それぞれのキャピラリ流路3y、3zにおける、供給する試料、及び印加電圧、液の流量等の分析条件は、例えば、分析装置1から制御信号により制御することができる。例えば、校正部11は、複数のキャピラリ流路を有する分析チップが装着された際に、分析チップに加えて、各キャピラリ流路のIDも取得する。各キャピラリ流路のIDは、例えば、識別データ取得部13が取得する分析チップのIDとともに取得されてもよいし、識別データ取得部13による取得とは異なるルートで取得されてもよい。校正部11は、キャピラリ流路ごとに校正データを生成するか否かを判断することができる。例えば、キャピラリ流路のIDに対応する校正データが記録手段3にない場合に、校正データを生成することができる。
【0086】
演算部12は、分析チップの各キャピラリ流路による測定を制御し、キャピラリ流路ごとに、試料の分離及び測定対象成分の検出をさせて、測定データを得る。あるキャピラリ流路について測定データが得られた場合、そのキャピラリ流路のIDに対応する校正データを記録手段3から読み出して、この校正データを用いて測定データを補正することができる。
【0087】
図11は、記録手段3に記録される校正データの例を示す図である。図11に示す例では、分離デバイスID及び流路IDの組み合わせごとに、校正情報が記録されている。このように、分離デバイスIDに加えて流路IDも校正情報と対応付けて記録することで、流路ごとに適切な校正データを記録することができる。
【0088】
上記の第1〜第5の実施形態において、ヘモグロビン、特に、HbA1c値測定について説明したが、本発明の分析対象物は上記例に限定されない。例えば、下記のような分析対象物も、上記第1〜第5のいずれかの実施形態に記載の分析装置を用いて、測定することができる。「分析対象物」としては、例えば、生体由来成分の一例である、タンパク質、生体内物質、血液中物質等が挙げられる。タンパク質の具体例としてはヘモグロビン、アルブミン、グロブリン等が挙げられる。ヘモグロビンの例としては、糖化ヘモグロビン、変異ヘモグロビン、修飾ヘモグロビン、その他のヘモグロビンマイナーコンポーネンツ等が挙げられ、より具体的には、ヘモグロビンA0(HbA0)、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、ヘモグロビンA2(HbA2)、ヘモグロビンS(HbS、鎌状赤血球ヘモグロビン)、ヘモグロビンF(HbF、胎児ヘモグロビン)、ヘモグロビンM(HbM)、ヘモグロビンC(HbC)、メト化ヘモグロビン、カルバミル化ヘモグロビン、アセチル化ヘモグロビン等が挙げられる。HbA1cとしては、安定型HbA1c、不安定型HbA1cがある。HbA1cは、ヘモグロビンのβ鎖のN末にグルコースが結合したものをいい、好ましくは安定型HbA1c(s−HbA1c)のことをいう。アルブミンの例としては、グリコアルブミン及びノングリコアルブミン等が上げられる。生体内物質及び血中物質等の具体例としては、ビリルビン、ホルモン、代謝物質等が挙げられる。ホルモンとしては、甲状腺刺激ホルモン、副腎皮質刺激ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、インスリン、グルカゴン、副腎髄質ホルモン、エピネフリン、ノルエピネフリン、アンドロゲン、エストロゲン、プロゲステロン、アルドステロン、コルチゾール等が挙げられる。
【0089】
また、「試料」も上記例に限られない。上記実施形態において「試料」としては、試料原料から調製したものをいう。試料原料としては、生体由来成分を含む生体試料が挙げられ、上記分析対象物を含むものが好ましく、より好ましくはヘモグロビンを含む試料である。生体試料としては、血液、赤血球成分を含む血液由来物、唾液、髄液等が含まれる。血液としては、生体から採取された血液が挙げられ、好ましくは動物の血液、より好ましくは哺乳類の血液、さらに好ましくはヒトの血液である。赤血球成分を含む血液由来物としては、血液から分離又は調製されたものであって赤血球成分を含むものが挙げられ、例えば、血漿が除かれた血球画分や、血球濃縮物、血液又は血球の凍結乾燥物、全血を溶血処理した溶血試料、遠心分離血液、自然沈降血液などを含む。
【0090】
また、上記第1〜第5の実施形態では、HbA1c値を測定する場合について説明したが、その他の糖化タンパク質の量や糖化タンパク質値も、同様にして測定することができる。「糖化タンパク質の量」は、例えば、試料又は校正物質中の糖化タンパク質の割合のことをいい、具体例としては糖化タンパク質濃度が挙げられる。糖化タンパク質としては、例えば、糖化ヘモグロビン、ヘモグロビンA1c(HbA1c)、糖化アルブミン、糖化グロブリン等が挙げられる。
【0091】
「糖化タンパク質値」は、例えば、対象タンパク質に対する糖化タンパク質の比率を表す値とすることができ、測定対象となるタンパク質の糖化率を示すものである。糖化タンパク質値としては、例えば、ヘモグロビンあたりのHbA1cの割合(HbA1c濃度/ヘモグロビン濃度、単位:mmol/mol又は%)、アルブミンあたりの糖化アルブミンの割合(糖化アルブミン濃度/アルブミン濃度)等が挙げられる。
【0092】
また、上記第1〜第5の実施形態では、試料を保持する測定用デバイスが分離デバイスである場合について説明したが、その他の分離分析法以外の分析方法を用いた測定用デバイス及び分析装置にも、本発明を適用することができる。例えば、血糖測定メータに対応するセンサ、生化学測定用具、遺伝子検出装置のチップ、蛍光法を用いた測定装置のチップ等を、測定用デバイスとすることができる。以下、分離分析法以外の分析方法を用いた測定デバイスの例を説明する。下記の例は、いずれも、上記第1〜第5の実施形態の少なくとも1つに適用することができる。
【0093】
[携帯型の医療機器]
図12は、本発明に適用可能な医療機器の例を示す斜視図である。図12に示す例では、医療機器10は、生体の状態を計測するための医療機器、例えば、血糖値計、血圧計、乳酸値計、ケトン体測定装置、体温計、尿試験紙計、脂質測定装置などである。医療機器10の本体31内部には、用途に応じた分析装置1及び検出器2が収納されている。また、医療機器10は、手の平サイズで形成されており、例えば、患者、医師、看護師等の使用者によって携帯されることができる。
【0094】
医療機器10は、一例として、患者の血液の血糖値を測定する携帯型の血糖値計とすることができる。この場合、患者の血液は、センサ9によって提供され、本体31は、短冊状のセンサ9を挿入するためのセンサ挿入口8を備えている。センサ9は内部に試薬を有しており、血液は予めセンサ9内部で試薬と反応する。ここで、センサ9は、測定用デバイス4の一例である。本体2内部の検出器2及び分析装置1は、比色方式又は電気化学方式によって、試薬と反応した血液から血糖値を測定する機能を備えている。測定装置による測定は、センサ9がセンサ挿入口8に挿入されると直ちに開始される。測定結果は、本体31に設けられた表示画面32に表示される。
【0095】
センサ9には、記録部41として、例えば、電子チップ(ICタグ、メモリ等)、印刷(バーコード等)、刻印等が付加される。センサ9が、本体31に挿入された状態で、本体31内の分析装置が記録部41の情報を読み取りできる構成とすることができる。センサ9の記録部41には、センサ9の識別子(ID)を記録することができる。センサ9の識別子は、例えば、センサの種類を識別する情報であってもよい。また、センサ9の識別子の代わりに、分析装置1の識別子及び校正データの組を記録してもよい。
【0096】
本体31内の検出器2は、センサ9で試薬と反応した血液の色を検出し、分析装置1は、検出器2による検出値から血糖値を計算することができる。その際、上記実施形態と同様に、センサ9の記録部41からセンサ9の識別子を取得し、センサ9の識別子に対応する校正データを用いて、検出値を血糖値に変換することができる。或いは、分析装置1は、センサ9の記録部41に記録された分析装置1の識別子に対応する校正データを用いて、血糖値を計算することもできる。これにより、センサ9ごと或いは、センサ9の種類ごとに適切な校正データを用いて、血糖値を計算することができる。
【0097】
[イオン活性測定用具の例]
図13は、本発明に適用可能なイオン活量測定器具の一例を示す分解斜視図である。図13に示すイオン活量測定器具では、基板21に、電極部22、端子部23および導線部24からなる電極金属層(a)、第1レジスト膜25(b)並びにイオン選択性膜が形成される。これにより、3対の電極が構成される。基板21に、第2レジスト膜26(c)及びカバー板27(d)が貼り合わされる。カバー板27は、試料供給孔28、空気抜き用孔29および端子露出孔30が設けられた絶縁性材料のフィルムで形成することができる。これらの第1レジスト膜25、カバー板27および第2レジスト膜26により液溜めが形成されている。
【0098】
このようなイオン活量測定器具は、少なくとも1対の電極を有し、電極の一方は液体試料に接触し、他方は参照液に接触するようにされている。液体試料に接触する電極はイオン選択性にされているのが通常である。液体試料と参照液とがそれぞれの電極に接触したときに電極間に生じたイオン活量の差に応じた電位差が測定され、この電位差が濃度に換算される。イオン活量測定器具は、測定用デバイスの一例である。
【0099】
検出器2は、例えば、前記起電力を測定する電圧計とすることができる。分析装置1は、校正データとして前記検量線を用いて、前記起電力から濃度を算出する。
【0100】
イオン活量測定器具には、記録部41として、例えば、電子チップ(ICタグ、メモリ等)、印刷(バーコード等)、刻印等が付加される。記録部41のデータ、検出器2及び分析装置1の動作及び機能について、上記第1〜第5の実施形態の少なくとも1つを適用することができる。これにより、例えば、測定された電位差を濃度に変換するのに用いられる校正データを、イオン活量測定器具に応じて適切に設定することができる。
【0101】
この他にも、上記第1〜第5の実施形態は、着脱可能な測定デバイスを用いて試料に含まれる成分を分析するあらゆる分析装置に適用できる。このことは、本発明の特徴から、当業者には明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0102】
本発明は、例えば、医療機器、臨床検査機器等の分野において、分析装置の測定精度のために、利用または使用することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を測定可能な状態で保持する、着脱可能な測定用デバイスに保持された前記試料の測定対象成分を検出する検出器を制御して、測定データを取得し、前記測定対象成分を分析する分析装置であって、
分析装置に装着された測定用デバイスの識別子を取得する識別データ取得部と、
校正データと、前記測定用デバイスの識別子とを対応付けて、前記分析装置に設けられた記録手段及び前記分析装置からアクセス可能な記録手段の少なくとも一方に、記録する校正部と、
前記検出器による前記測定対象成分の検出により得られる測定データと、識別データ取得部が取得した測定用デバイスの識別子に対応付けられ前記記録手段に記録された校正データとを用いて、前記測定対象成分に関する情報を示す値を計算する演算部と、を備える分析装置。
【請求項2】
前記校正部は、前記測定用デバイスが装着されたとき、装着された測定用デバイスの識別子と対応付けられた校正データが前記記録手段に記録されているか否かを判断し、当該校正データが前記記録手段に記録されていない場合に、前記校正データを生成し、前記記録手段へ前記装着された測定用デバイスの識別子と対応付けて記録する、請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記測定用デバイスが、前記分析装置に装着された状態のときに前記分析装置からアクセス可能な記録手段を有し、
前記識別データ取得部は、分析装置の識別子を取得し、
前記校正部は、前記装着された測定用デバイスが備える前記記録手段に対して、前記分析装置の識別子を前記校正データに対応付けて記録し、
前記演算部は、前記検出器による前記測定対象成分の検出により得られる測定データと、識別データ取得部が取得した分析装置の識別子に対応付けられ前記測定用デバイスの記録手段に記録された校正データとを用いて、前記測定対象成分に関する情報を示す値を計算する、請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
前記校正部は、前記測定用デバイスが装着されたとき、分析装置の識別子と対応付けられた校正データが前記測定用デバイスの記録手段に記録されているか否かを判断し、当該校正データが前記記録手段に記録されていない場合に、前記校正データを生成し、前記測定用デバイスの記録手段へ前記分析装置の識別子と対応付けて記録する、請求項3に記載の分析装置。
【請求項5】
前記演算部は、前記測定用デバイスを用いた測定対象成分の測定回数を、前記測定用デバイスの識別子に対応付けて記録手段に記録し、前記測定回数に応じて当該測定用デバイスを用いた測定の可否を判断する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項6】
前記演算部は、前記測定用デバイスの前回校正時から後の測定回数、又は/及び経過時間を、前記記録手段に前記測定用デバイスの識別子に対応付けて記録し、前記校正部は、前記前回校正時から後の測定回数、又は/及び経過時間に応じて校正の適否を判断する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項7】
前記校正部は、前記測定用デバイスの識別子及び前記校正データにさらに、前記分析装置の識別子も対応付けて記録し、
前記測定用デバイスが装着されたとき、前記記録手段に、装着された測定用デバイスの識別子及び前記分析装置の識別子に対応付けられた校正データが記録されているか否かを判断し、当該校正データが記録手段に記録されていない場合に、前記校正データを生成し、前記記録手段へ前記装着された測定用デバイスの識別子及び前記分析装置の識別子と対応付けて記録する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項8】
前記測定用デバイスは、試料の流路を複数備え、
前記測定用デバイスの識別子は、前記測定用デバイスが備える流路それぞれを識別する各流路の識別子を含み、
前記校正部は、前記流路ごとに、前記校正データを生成または更新し、前記流路の識別子と前記校正データとを対応付けて記録し、
前記演算部は、前記検出器による前記測定対象成分の1の流路における検出により得られる測定データと、識別データ取得部が取得した測定用デバイスの識別子に含まれる前記1の流路の識別子に対応付けられ前記記録手段に記録された校正データとを用いて、前記測定対象成分に関する情報を示す値を計算する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項9】
前記校正部は、前記測定用デバイスに保持された校正用試料の測定対象成分の検出により得られる測定データを用いて前記校正データを生成または更新し、当該校正データと、前記測定用デバイスの識別子とを対応付けて記録する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の分析装置。
【請求項10】
分析装置に対して着脱可能であり、試料を測定可能な状態で保持する測定用デバイスであって、
測定用デバイスで保持される試料の測定対象成分の検出により得られる測定データから、測定対象成分を計算する際に用いられる校正データを、前記分析装置の識別子に対応付けて記録する記録手段を備える、測定用デバイス。
【請求項11】
試料を測定可能な状態で保持する、着脱可能な測定用デバイスで保持された試料の測定対象成分を検出する検出器を制御して、測定データを取得し、前記測定対象成分を分析する処理を、コンピュータに実行させる分析プログラムであって、
分析装置に装着された測定用デバイスの識別子を取得する識別データ取得処理と、
校正データと、前記測定用デバイスの識別子とを対応付けて記録手段に記録する校正処理と、
前記検出器による前記測定対象成分の検出により得られる測定データと、識別データ取得処理で取得した測定用デバイスの識別子に対応付けられ前記記録手段に記録された校正データとを用いて、前記測定対象成分に関する情報を示す値を計算する演算処理と、コンピュータに実行させる分析プログラム。
【請求項12】
コンピュータが、試料を測定可能な状態で保持する、着脱可能な測定用デバイスで保持された試料の測定対象成分を検出する検出器を制御して、測定データを取得し、前記測定対象成分を分析する分析方法であって、
分析装置に装着された測定用デバイスの識別子を取得する識別データ取得工程と、
校正データと、前記測定用デバイスの識別子とを対応付けて記録手段に記録する校正工程と、
前記検出器による前記測定対象成分の検出により得られる測定データと、識別データ取得工程で取得した測定用デバイスの識別子に対応付けられ前記記録手段に記録された校正データとを用いて、前記測定対象成分に関する情報を示す値を計算する演算工程と、を含む分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−163556(P2012−163556A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−7217(P2012−7217)
【出願日】平成24年1月17日(2012.1.17)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)