説明

分析装置、分析方法及びコンピュータプログラム

【課題】検体、試薬等の無駄な消費を抑えつつ、試薬の精度管理を適切に実行することができる分析装置、分析方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】複数の検体の連続測定の開始指示を受け付け、第一の試薬容器から第二の試薬容器に切り替えるか否かを判断する。第一の試薬容器から第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、測定部に精度管理用の検体を吸引させ、第二の試薬容器に収容された試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得させる指示を送信する。第一の試薬容器から第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、測定部に検体の吸引を停止させる指示を送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体と試薬とを混合して調製された測定試料の測定結果を分析する分析装置、分析方法及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
検体と試薬とを混合して調製された測定試料の測定結果を分析する分析装置では、検体及び試薬は、専用の検体容器、試薬容器等に収容されている。試薬によっては、試薬容器の栓を開封した直後から質の劣化が始まる試薬も存在する。従来は、同一の種類の試薬を収容した試薬容器が複数載置されている場合、一の試薬容器の試薬が所定量より少なくなった時点で残存している試薬の精度管理を実行することで、使用する試薬が劣化しているか否かを判断している。
【0003】
例えば特許文献1では、一の試薬容器に収容されている試薬の残テスト数が設定したテスト数を下回ったとき、他の試薬容器に収容されている試薬を用いて精度管理用の検体の分析を実行する自動分析装置が開示されている。精度管理用の検体に関する分析結果が異常であると判断された場合、他の試薬容器に収容されている試薬の劣化等の疑いがあることから、試薬の交換が必要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−271265号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1に開示されている自動分析装置では、設定した残テスト数が小さすぎる場合、精度管理用の検体に関する分析結果が出るまで分析処理は停止されず、他の試薬容器に収容されている試薬を用いて検体に関する分析処理が継続して実行される。したがって、精度管理用の検体に関する分析結果が異常であると判断された場合、劣化等の疑いがある試薬を用いて測定された検体は、再度測定する必要が生じる。よって、検体、他の試薬容器に収容されている試薬等を無駄に消費するという問題点があった。
【0006】
一方、設定した残テスト数が大きすぎる場合、一の試薬容器に収容されている試薬が十分に残存しているときに、精度管理用の検体が分析される。これにより、他の試薬容器に収容されている試薬を用いて検体を分析する前に精度管理用の検体に関する分析結果を取得することができる。しかし、精度管理用の検体に関する分析処理から他の試薬容器を用いた検体の分析処理までに相当の時間が経過するような場合、精度管理用の検体に関する分析実行後に試薬が劣化する等、試薬の精度管理を適切に実行することが困難になるという問題点も残されていた。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、検体、試薬等の無駄な消費を抑えつつ、試薬の精度管理を適切に実行することができる分析装置、分析方法及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために第1発明に係る分析装置は、同一種類の試薬を収容した第一の試薬容器及び第二の試薬容器を保持することが可能な試薬容器保持部と、測定対象の検体を吸引し、前記試薬と混合して調製された測定試料を測定する測定部とを有し、該測定部での測定結果を分析する分析装置において、複数の検体の連続測定の開始指示を受け付ける開始指示受付手段と、前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えるか否かを判断する試薬切替判断手段と、該試薬切替判断手段で前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、前記測定部に精度管理用の検体を吸引させ、前記第二の試薬容器に収容された試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得させる指示を送信する精度管理手段と、前記試薬切替判断手段で前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、前記測定部に検体の吸引を停止させる指示を送信する停止指示送信手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
また、第2発明に係る分析装置は、第1発明において、精度管理用の測定試料の分析結果を取得したか否かを判断する判断手段を備え、前記停止指示送信手段は、前記判断手段で精度管理用の測定試料の分析結果を取得していないと判断した場合、前記測定部に検体の吸引を停止させる指示を送信することを特徴とする。
【0010】
また、第3発明に係る分析装置は、第1又は第2発明において、前記試薬切替判断手段で前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、精度管理用の検体を吸引するか否かを、検体の測定項目ごとに設定する設定手段を備えることを特徴とする。
【0011】
また、第4発明に係る分析装置は、第1乃至第3発明のいずれか1つにおいて、取得した精度管理用の測定試料の分析結果が正常範囲内であるか否かを判断する分析結果判断手段と、該分析結果判断手段で分析結果が正常範囲内であると判断した場合、前記測定部に検体の吸引を再開させる指示を送信する再開指示送信手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、第5発明に係る分析装置は、第4発明において、前記分析結果判断手段で分析結果が正常範囲外であると判断した場合、前記測定部に測定試料の測定を中止する指示を送信する中止指示送信手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、第6発明に係る分析装置は、第4又は第5発明において、前記分析結果判断手段で分析結果が正常範囲外であると判断した場合、精度管理用の測定試料の分析結果が正常範囲外である旨を示すメッセージを表示出力する表示部を備えることを特徴とする。
【0014】
また、第7発明に係る分析装置は、第4乃至第6発明のいずれか1つにおいて、前記試薬容器保持部は、第一の試薬容器及び第二の試薬容器に収容された試薬と同一種類の試薬を収容した第三の試薬容器を保持することが可能としてあり、前記分析結果判断手段で、前記第二の試薬容器に収容された試薬と混合して調製された精度管理用の測定試料の分析結果が正常範囲外であると判断した場合、前記精度管理手段は、前記測定部に精度管理用の検体を吸引させ、第三の試薬容器に収容された試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得することを特徴とする。
【0015】
また、第8発明に係る分析装置は、第1乃至第7発明のいずれか1つにおいて、前記試薬切替判断手段は、前記第一の試薬容器及び前記第二の試薬容器の残量を検出する残量検出手段と、該残量検出手段で検出した前記第一の試薬容器の残量が所定量より少なくなったか否かを判断する残量判断手段とを備え、該残量判断手段で前記第一の試薬容器の残量が所定量より少なくなったと判断した場合、前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断することを特徴とする。
【0016】
また、第9発明に係る分析装置は、第8発明において、前記所定量は、1回の測定に必要な試薬量であり、前記残量判断手段で前記第一の試薬容器の残量が所定量より少なくなったと判断した場合、前記精度管理手段は、前記測定部に精度管理用の検体を吸引させ、前記第二の試薬容器に収容された試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得することを特徴とする。
【0017】
次に、上記目的を達成するために第10発明に係る分析装置は、同一種類の試薬を収容した第一の試薬容器及び第二の試薬容器を保持することが可能な試薬容器保持部と、測定対象の検体を吸引し、前記試薬と混合して調製された測定試料を測定する測定部とを有し、該測定部での測定結果を分析する分析装置において、複数の検体の連続測定の開始指示を受け付ける開始指示受付手段と、前記測定部に一の検体の吸引を開始する吸引開始指示を送信する吸引開始指示送信手段と、前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えるか否かを判断する試薬切替判断手段と、該試薬切替判断手段で前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、前記測定部に精度管理用の検体を吸引させ、前記第二の試薬容器に収容された試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得させる指示を送信する精度管理手段と、精度管理用の測定試料の分析結果が正常範囲内であるか否かを判断する分析結果判断手段とを備え、前記吸引開始指示送信手段は、前記分析結果判断手段で分析結果が正常範囲内であると判断した場合、前記測定部に次の検体の吸引を開始させる指示を送信することを特徴とする。
【0018】
次に、上記目的を達成するために第11発明に係る分析方法は、同一種類の試薬を収容した第一の試薬容器及び第二の試薬容器を保持することが可能な試薬容器保持部と、測定対象の検体を吸引し、前記試薬と混合して調製された測定試料を測定する測定部とを有し、該測定部での測定結果を分析する分析装置で実行することが可能な分析方法において、複数の検体の連続測定の開始指示を受け付け、前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えるか否かを判断し、前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、前記測定部に精度管理用の検体を吸引させ、前記第二の試薬容器に収容された試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得させる指示を送信し、前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、前記測定部に検体の吸引を停止させる指示を送信することを特徴とする。
【0019】
次に、上記目的を達成するために第12発明に係るコンピュータプログラムは、同一種類の試薬を収容した第一の試薬容器及び第二の試薬容器を保持することが可能な試薬容器保持部と、測定対象の検体を吸引し、前記試薬と混合して調製された測定試料を測定する測定部とを有し、該測定部での測定結果を分析する分析装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、前記分析装置を、複数の検体の連続測定の開始指示を受け付ける開始指示受付手段、前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えるか否かを判断する試薬切替判断手段、該試薬切替判断手段で前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、前記測定部に精度管理用の検体を吸引させ、前記第二の試薬容器に収容された試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得させる指示を送信する精度管理手段、及び前記試薬切替判断手段で前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、前記測定部に検体の吸引を停止させる指示を送信する停止指示送信手段として機能させることを特徴とする。
【0020】
第1発明、第11発明及び第12発明では、複数の検体の連続測定の開始指示を受け付け、第一の試薬容器から第二の試薬容器に切り替えるか否かを判断する。第一の試薬容器から第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、測定部に精度管理用の検体を吸引させ、第二の試薬容器に収容された試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得させる指示を送信する。また、第一の試薬容器から第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、測定部に検体の吸引を停止させる指示を送信する。これにより、例えば第一の試薬容器の残量が所定量より少なくなる等により、第一の試薬容器から第二の試薬容器に切り替えると判断した場合には、精度管理を実行したか否かにかかわらず検体の吸引を停止させることができるので、余分な検体の吸引を未然に防止することができるとともに試薬の精度管理を適切に実行することが可能となる。
【0021】
第2発明では、精度管理用の測定試料の分析結果を取得したか否かを判断し、精度管理用の測定試料の分析結果を取得していないと判断した場合、測定部に検体の吸引を停止させる指示を送信する。これにより、精度管理用の検体に関する分析結果を取得していない場合には、測定部に検体の吸引を停止させることができるので、精度管理用の検体に関する分析結果が出るまで分析処理を停止することができ、劣化等の疑いがある試薬を用いて無駄に測定試料を調製することを未然に回避することができる。したがって、検体を無駄に消費することがなく、試薬の精度管理を適切に実行することが可能となる。
【0022】
第3発明では、第一の試薬容器から第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、精度管理用の検体を吸引するか否かを、検体の測定項目ごとに設定する設定手段を備えることにより、試薬の残量が少なくなる等により第一の試薬容器から第二の試薬容器に切り替えると判断した場合に継続して測定を実行するか否かを測定項目ごとに設定することが可能となる。
【0023】
第4発明では、精度管理用の測定試料の分析結果が正常範囲内である場合、測定部に検体の吸引を再開させる指示を送信することにより、試薬容器を交換することなく測定を再開することができ、使用者が煩雑な作業を行う必要が無い。
【0024】
第5発明では、分析結果が正常範囲外である場合、測定部に測定試料の測定を中止する指示を送信することにより、劣化等の疑いがある試薬を用いて測定試料を調製することを未然に回避することができ、試薬容器を交換する等により精度良く測定を実行することが可能となる。
【0025】
第6発明では、分析結果が正常範囲外である場合、精度管理用の測定試料の分析結果が正常範囲外である旨を示すメッセージを表示出力することにより、劣化等の疑いがある試薬が収容されている試薬容器が存在する旨を目視で確認することが可能となる。
【0026】
第7発明では、試薬容器保持部は、第一の試薬容器及び第二の試薬容器に収容された試薬と同一種類の試薬を収容した第三の試薬容器を保持することが可能となっており、第二の試薬容器に収容された試薬と混合して調製された精度管理用の測定試料の分析結果が正常範囲外であると判断した場合、測定部に精度管理用の検体を吸引させ、第三の試薬容器に収容された試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得する。これにより、試薬容器を交換することなく第三の試薬容器に収容されている試薬を用いて精度管理を実行することができ、使用者が煩雑な作業を行う必要がなく、使用可能な試薬を用いて精度管理を適切に実行することが可能となる。
【0027】
第8発明では、第一の試薬容器及び第二の試薬容器の残量を検出し、検出した第一の試薬容器の残量が所定量より少なくなったか否かを判断する。第一の試薬容器の残量が所定量より少なくなったと判断した場合、第一の試薬容器から第二の試薬容器に切り替えると判断する。これにより、第一の試薬容器の残量が所定量より少なくなったと判断した場合には、第一の試薬容器から第二の試薬容器に切り替えると判断され、精度管理を実行したか否かにかかわらず検体の吸引を停止させることができるので、余分な検体の吸引を未然に防止することができるとともに試薬の精度管理を適切に実行することが可能となる。
【0028】
第9発明では、所定量は、1回の測定に必要な試薬量であり、第一の試薬容器の残量が所定量より少なくなったと判断した場合、測定部に精度管理用の検体を吸引させ、第二の試薬容器に収容された試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得することにより、1回分の試薬が残存していない状態となった時点で精度管理を実行することができ、試薬を十二分に使い切ることが可能となる。
【0029】
第10発明では、複数の検体の連続測定の開始指示を受け付け、測定部に一の検体の吸引を開始する吸引開始指示を送信する。第一の試薬容器から第二の試薬容器に切り替えるか否かを判断し、第一の試薬容器から第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、測定部に精度管理用の検体を吸引させ、第二の試薬容器に収容された試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得させる指示を送信する。これにより、一検体ごとに精度管理を実行する必要性があるか否かを判断し、必要性があると判断した場合には精度管理用の測定試料の分析結果が正常範囲内であるときに、測定部に次の検体の吸引を開始させることができるので、精度管理用の検体に関する分析結果が正常範囲内である場合にのみ次の検体の吸引を開始することができ、検体を無駄に消費することがなく、試薬の精度管理を適切に実行することが可能となる。
【発明の効果】
【0030】
上記構成によれば、例えば第一の試薬容器の残量が所定量より少なくなる等により、第一の試薬容器から第二の試薬容器に切り替えると判断した場合には、精度管理を実行したか否かにかかわらず検体の吸引を停止させることができるので、余分な検体の吸引を未然に防止することができるとともに試薬の精度管理を適切に実行することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施の形態1に係る分析装置の全体構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施の形態1に係る分析装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に係る分析装置の駆動部の概略構成を示すブロック図である。
【図4】本発明の実施の形態1に係る分析装置の概要を示す部分平面図である。
【図5】第1容器ラックの構成を示す斜視図である。
【図6】第2容器ラックの構成を示す斜視図である。
【図7】試薬の残量の算出方法を説明するための図である。
【図8】本発明の実施の形態1に係る分析装置の制御部のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図9】精度管理用の情報の設定を受け付ける精度管理情報設定画面の例示図である。
【図10】本発明の実施の形態2に係る分析装置の制御部のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施の形態3に係る分析装置の制御部のCPUの処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態に係る分析装置について、血液の凝固・線溶機能に関連する特定の物質の量、活性の度合等を光学的に測定して分析する場合を一例とし、図面に基づいて具体的に説明する。
【0033】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に係る分析装置の全体構成を示す斜視図である。図1に示すように、本実施の形態1に係る分析装置1は、測定機構部(測定部)2と、測定機構部2の前面側に配置された検体搬送機構部3と、測定機構部2に電気的に接続された制御装置4とで構成されている。また、測定機構部2には、測定対象となる検体を収容する検体容器を投入する検体容器投入部5が設けられている。
【0034】
検体容器投入部5の前面側には、緊急停止ボタン1aと、測定開始ボタン1bとが設けられている。緊急停止ボタン1aは、緊急の場合に測定を停止させる機能を有する。測定開始ボタン1bは、測定を開始させる機能を有する。なお、制御装置4の操作によっても測定の開始及び停止が可能である。
【0035】
制御装置4は、例えばパーソナルコンピュータであり、制御部4aと、表示部4bと、キーボード4cと、マウス4dとを含んでいる。図2は、本発明の実施の形態1に係る分析装置1の制御部4aの構成を示すブロック図である。
【0036】
制御部4aは、少なくとも、CPU(中央演算装置)41、RAM42、記憶装置43、入力インタフェース44、出力インタフェース45、通信装置46、可搬型ディスクドライブ47及び上述したハードウェアを接続する内部バス48で構成されている。CPU41は、内部バス48を介して制御部4aの上述したようなハードウェア各部と接続されており、上述したハードウェア各部の動作を制御するとともに、記憶装置43に記憶されているコンピュータプログラム100に従って、接続されている駆動部8、バーコードリーダ9の動作を制御する。
【0037】
RAM42は、SRAM、フラッシュメモリ等の揮発性メモリで構成され、コンピュータプログラム100の実行時にロードモジュールが展開され、コンピュータプログラム100の実行時に発生する一時的なデータ等を記憶する。
【0038】
記憶装置43は、内蔵される固定型記憶装置(ハードディスク)等で構成されている。記憶装置43に記憶されているコンピュータプログラム100は、プログラム及びデータ等の情報を記録したDVD、CD−ROM等の可搬型記録媒体90から、可搬型ディスクドライブ47によりダウンロードされ、実行時には記憶装置43からRAM42へ展開して実行される。もちろん、通信装置46を介して外部のコンピュータからダウンロードされたコンピュータプログラムであっても良い。
【0039】
通信装置46は内部バス48に接続されており、インターネット、LAN、WAN等の外部のネットワーク網に接続されることにより、外部のコンピュータ等とデータ送受信を行うことが可能となっている。例えば上述した記憶装置43は、制御部4aに内蔵される構成に限定されるものではなく、通信装置46を介して接続されている外部のストレージ等の外部記録媒体であっても良い。
【0040】
入力インタフェース44は、キーボード4c、マウス4d等のデータ入力装置と接続されている。出力インタフェース45は、CRTモニタ、LCD等の表示部4b、レーザプリンタ、インクジェットプリンタ等の印刷装置等に接続されている。
【0041】
検体容器を収容する検体収容部6、及び試薬容器を収容する試薬収容部7は、駆動部8にて移動可能としてあり、制御部4aにより駆動部8の動作が制御される。また、検体収容部6及び試薬収容部7に収容されている検体容器、試薬容器等に貼付されているバーコードラベルの情報を読み取るバーコードリーダ9が設けてある。
【0042】
駆動部8は、定電流駆動のステッピングモータを用いて検体収容部6及び試薬収容部7を移動させる。駆動部8の動作及びバーコードリーダ9の動作の制御は、信号線で接続されている制御部4aにより行われる。
【0043】
図3は、本発明の実施の形態1に係る分析装置1の駆動部8の概略構成を示すブロック図である。図3に示すように、制御部4aのCPU41から動作信号を受信したPPMC(パルス発振器)81は、動作信号を指令パルス信号に変換してモータドライバ82へ送信する。指令パルス信号を受信したモータドライバ82は、指令パルス信号のパルス数に応じてステッピングモータ83を回転させる。
【0044】
例えば指令パルス信号が回転方向制御信号であった場合、回転方向を示すデジタル値‘1’又は‘0’に応じてステッピングモータ83の回転方向を決定する。また、指令パルス信号の周波数に応じて、ステッピングモータ83の回転速度を変更することができる。
【0045】
図4は、本発明の実施の形態1に係る分析装置1の概要を示す部分平面図である。本実施の形態1では、試薬収容部7は円形状の第1テーブル71、円環状の第2テーブル72、及び試薬容器を収容することが可能な複数の第1容器ラック73、73、・・・、第2容器ラック74、74、・・・で構成されており、駆動部8は、第1テーブル71を回転させる第1ステッピングモータと、第2テーブル72を回転させる第2ステッピングモータとを有している。すなわち、駆動部8が、複数のモータドライバ82、82、・・・及びステッピングモータ83、83、・・・を有する構成となっている。
【0046】
そして、制御部4aのCPU41から動作信号を送信することにより、駆動部8にて変換された指令パルス信号に応じて各ステッピングモータ83が動作し、それぞれ第1テーブル71及び第2テーブル72を回転させる。駆動部8は、第1テーブル71及び第2テーブル72を、それぞれ時計回り方向及び反時計回り方向の両方に回転させることができ、互いに独立して回転させることができる。
【0047】
第1テーブル71及び第2テーブル72の上には、それぞれ試薬容器を収容して保持する試薬容器保持部として複数の第1容器ラック73、73、・・・、及び第2容器ラック74、74、・・・が脱着することが可能に配置されている。複数の第1容器ラック73、73、・・・、及び第2容器ラック74、74、・・・には、それぞれバーコード情報が印刷されているバーコードラベルが貼付されている。貼付されているバーコードラベルを読み取るため、第2テーブル72の側面の近傍に、所定の距離を隔ててバーコードリーダ9を設けている。バーコードリーダ9も、制御部4aとデータ通信することが可能に接続してあり、例えば読み取ったバーコード情報をパルス信号に変換して、CPU41へ送信する。
【0048】
図5は、第1容器ラック73の構成を示す斜視図である。第1容器ラック73は、試薬容器200を保持するための2つの保持部731、732と、保持部731、732の前面側にそれぞれ設けてある切欠部731a、732aと、上方に突出するよう設けてある把持部733とで構成されている。保持部731、732は、円筒型の試薬容器200を保持することができるよう、収容可能部分が上から見て略円形状となっている。保持部731、732の内径よりも小さい外径を有する試薬容器200を保持する場合には、別途アダプタ等を介することにより安定して保持することができる。
【0049】
保持部731、732の外周面には、それぞれバーコードラベル731b、732bが貼付されている。保持部731、732の内周面にも、それぞれバーコードラベル731c、732cが貼付されている。例えば試薬容器200が第1容器ラック73の保持部731に保持された場合、保持部731の内周面に貼付されているバーコードラベル731cを読み取ることができない。
【0050】
したがって、バーコードリーダ9がバーコードラベル731bを読み取った後、バーコードラベル731cを読み取ることなく試薬容器200に貼付してあるバーコードラベル200aを読み取った場合には、制御部4aのCPU41は、バーコードラベル200aにて読み取られるバーコード情報に対応する試薬を収容する試薬容器200が保持部731に保持されていると判断することができる。
【0051】
図6は、第2容器ラック74の構成を示す斜視図である。第2容器ラック74は、試薬容器200を保持するための6つの保持部741〜746と、保持部741〜746の前面側にそれぞれ設けてある切欠部741a〜746aと、上方に突出するよう設けてある把持部747とで構成されている。保持部741〜746は、円筒型の試薬容器200を保持することができるよう、収容可能部分が上から見て略円形状となっている。保持部741〜746の内径よりも小さい外径を有する試薬容器200を保持する場合には、別途アダプタ等を介することにより安定して保持することができる。
【0052】
保持部741〜746の外周面には、それぞれバーコードラベル741b〜746bが貼付されている。保持部741〜746の内周面にも、それぞれバーコードラベル741c〜746cが貼付されている。例えば3個の試薬容器200、200、200が、第2容器ラック74の保持部741、744、745に保持された場合、保持部741、744、745の内周面に貼付されているバーコードラベル741c、744c、745cを読み取ることができない。
【0053】
したがって、バーコードリーダ9がバーコードラベル741b、744b又は745bを読み取った後、バーコードラベル741c、744c又は745cを読み取ることなく試薬容器200に貼付してあるバーコードラベル200a、200a、200aを読み取った場合には、制御部4aのCPU41は、バーコードラベル200a、200a、200aにて読み取られるバーコード情報に対応する試薬を収容する試薬容器200、200、200が保持されていると判断することができる。
【0054】
図4に戻って、測定機構部2は、検体容器搬送部60と、検体分注アーム70と、第1光学的情報取得部80と、ランプユニット95と、加温部105と、検体容器移送部110と、試薬分注アーム120と、第2光学的情報取得部130とを備えている。検体分注アーム70を図示しないステッピングモータにより回転上下させることにより、検体搬送機構部3により所定の吸引位置に搬送された試験管250(図1参照)に収容されている検体を吸引し、吸引した検体を検体容器搬送テーブル61の検体容器保持部62に保持された検体容器210内に分注する。試薬分注アーム120を図示しないステッピングモータにより回転上下させることにより、試薬収容部7に収容されている試薬を分注して、測定試料が調製される。
【0055】
試薬分注アーム120の下部にはピペット部が設けてあり、ステッピングモータによる試薬分注アーム120の上下動に伴って試薬容器200に差し込まれ、収容されている試薬を吸引する。試薬の吸引時に、ピペット部の先端に設けてある液面センサにより液面が検知され、試薬の残量が算出される。図7は、試薬の残量の算出方法を説明するための図である。
【0056】
試薬分注アーム120のピペット部121は、試薬を吸引するための初期位置(高さH1)から下方に移動する。ピペット部121は、ステッピングモータに単位パルスが入力される都度、移動距離Dだけ移動する。したがって、ステッピングモータに入力されるパルス数Pによりピペット部121の下方への移動距離P×Dを求めることができる。そして、ピペット部121の先端に設けられた液面センサによって試薬の液面が検知される。すなわち、ピペット部121の先端に設けてある液面センサが試薬の液面を検知した時点でのパルス数Pを取得することにより、初期位置H1から下方への移動距離P×Dを求めることができる。
【0057】
液面センサが試薬の液面を検知した時点でのステッピングモータに入力されたパルス数P及びピペット部121の単位パルス当たりの移動距離Dを制御部4aに送信し、制御部4aは、試薬容器200の水平方向の内面積Sを用いて試薬の残量Tを算出する。まず、制御部4aは、(式1)によって液面の高さHを算出する。
H = H1 − P × D・・・(式1)
【0058】
次に、制御部4aは、記憶してある試薬容器200の内面積Sと算出した試薬の液面の高さHとに基づいて、(式2)によって試薬の残量Tを算出する。
T = H × S・・・(式2)
【0059】
試薬の残量Tが求まることにより、該試薬を用いて所定の測定項目について残り何回測定することができるか算出することができ、ピペット部121が試薬を吸引する試薬容器200を変更する必要があるか否か、試薬容器200を交換する必要があるか否か等を判断することができ、精度管理用の試薬を吸引するタイミングを特定することができる。
【0060】
図4に戻って、測定機構部2は、図1に示す検体搬送機構部3から供給された検体に対して光学的な測定を行うことにより、供給された検体に関する光学的な情報を取得する。本実施の形態1では、図1に示す検体搬送機構部3のラック251に載置された試験管250から測定機構部2の検体容器210内に分注された検体に対して光学的な測定が行われる。
【0061】
検体分注アーム70により分注された検体容器210は、検体容器搬送部60にて分析装置1内を搬送される。検体容器搬送部60は、円環状の第2テーブル72の外側に配置された円環状の検体容器搬送テーブル61と、検体容器搬送テーブル61上に円周方向に沿って所定の間隔を隔てて設けられた円筒型の複数の検体容器保持部62とで構成される。検体容器保持部62は、検体容器210を1つずつ保持する。
【0062】
第1光学的情報取得部80は、試薬を添加する前の検体中の干渉物質(乳び、ヘモグロビン及びビリルビン)の有無、干渉物質の濃度等を測定するために、検体から光学的な情報を取得する。第1光学的情報取得部80は、検体容器搬送テーブル61の検体容器保持部62に保持された検体容器210内の検体から光学的な情報(検体の透過光による情報)を取得する。また、第1光学的情報取得部80は、制御装置4の制御部4aに電気的に接続されており、第1光学的情報取得部80において取得されたデータを制御装置4の制御部4aに送信する。これにより、制御装置4において、第1光学的情報取得部80で取得したデータを分析(解析)することができ、分岐光ファイバ91から出射される5種類の光に対する検体容器210内の検体の吸光度を求めることにより、検体中の干渉物質の有無、干渉物質の濃度等が分析される。そして、検体中の干渉物質の有無、干渉物質の濃度等に基づいて、第2光学的情報取得部130で測定した光学的な情報を分析するか否かを判断する。
【0063】
ランプユニット95は、第1光学的情報取得部80及び第2光学的情報取得部130で行われる光学的な測定に用いられる5種類の波長を有する光(340nm、405nm、575nm、660nm及び800nm)を供給する。すなわち、1つのランプユニット95が、第1光学的情報取得部80及び第2光学的情報取得部130に対して共通に用いられる。また、ランプユニット95の光は、分岐光ファイバ91及び分岐光ファイバ92によって、それぞれ第1光学的情報取得部80及び第2光学的情報取得部130に供給される。
【0064】
第2光学的情報取得部130は、調製された測定試料を載置する測定試料載置部131の下方に配置された検出部により、検体容器210内の測定試料に対して複数の条件下で光学的な測定(本測定)を行う。第2光学的情報取得部130も、制御装置4の制御部4aに電気的に接続されており、取得したデータ(光学的な情報)を制御装置4の制御部4aに送信する。これにより、制御装置4において、予め取得済みの第1光学的情報取得部80からのデータ(光学的な情報)の分析結果に基づいて、第2光学的情報取得部130から送信されたデータ(光学的な情報)が分析され、表示部4bに表示される。
【0065】
なお、分岐光ファイバ92から照射される660nmの波長を有する光は、Fbg(フィブリノーゲン量)、PT(プロトロンビン時間)及びAPTT(活性化部分トロンボプラスチン時間)を測定する場合に用いるメイン波長である。また、800nmの波長を有する光は、Fbg、PT及びAPTTを測定する場合に用いるサブ波長である。合成基質法の測定項目であるATIIIの測定波長は405nmであり、免疫比濁法の測定項目であるDダイマー及びFDPの測定波長は800nmである。また、血小板凝集の測定波長は、575nmである。
【0066】
加温部105は、保温可能なプレート101からなり、10個の凹形状の検体容器保持部101aが設けられている。各検体容器保持部101aは、それぞれ1つの検体容器210を保持することができ、検体が分注された検体容器210を検体容器保持部101aに数分間保持することによって、検体容器210内の検体を約37℃に加温する。また、加温部105で加温された検体は、加温が終了してから一定時間内に試薬の分注及び測定が行われる。これにより、検体、及び検体と試薬とから調製される測定試料の変質を抑制するとともに、測定データを安定させることが可能となる。
【0067】
また、検体容器移送部110は、検体容器210を、検体容器搬送部60と、加温部105と、第2光学的情報取得部130との間で移送する。検体容器移送部110は、検体容器210を把持する移送用キャッチャ部111と、移送用キャッチャ部111を移動させるための駆動部112とで構成される。移送用キャッチャ部111は、駆動部112の駆動により移動領域110a内を移動することができ、検体容器搬送部60と、加温部105と、第2光学的情報取得部130の測定試料載置部131との間で検体容器210を移送する。
【0068】
上述した構成の分析装置1での分析処理について詳細に説明する。従来の分析装置では、精度管理の実行時には、精度管理用の検体を吸引して精度管理用の測定試料を調製して分析処理を実行して、分析結果が出るまで他の分析処理を停止することがない。すなわち、他の試薬容器に収容されている試薬を用いて他の検体に関する分析処理も継続して実行される。したがって、精度管理用の検体に関する分析結果が異常であると判断された場合、劣化等の疑いがある試薬を用いて分析された検体については、再度分析処理を実行する必要がある。
【0069】
この場合、劣化等の疑いのある試薬が収容されている試薬容器200から分注された試薬は再利用することができず、廃棄せざるを得ないことから、精度管理用の検体に関する分析処理の実行時には検体の吸引自体を停止させ、劣化していないと判断された時点で検体の吸引を再開させることにより、検体を無駄に消費することを回避することができる。
【0070】
図8は、本発明の実施の形態1に係る分析装置1の制御部4aのCPU41の処理手順を示すフローチャートである。制御部4aのCPU41は、複数の検体の連続測定の開始指示を受け付ける(ステップS801)。開始指示の受付方法は特に限定されるものではないが、メニュー画面に表示されている開始指示ボタンに対するマウス4dのクリック操作等により受け付ける。
【0071】
CPU41は、連続測定の開始指示を測定機構部(測定部)2へ送信する(ステップS802)。開始指示を受信した測定機構部2は、検体を収容している容器に貼付されているバーコードラベル(図示せず)をバーコードリーダ(図示せず)に読み取らせ、検体の識別情報(試料ID)を取得し、制御部4aのCPU41へ送信する。
【0072】
制御部4aのCPU41は、識別情報(試料ID)を受信したか否かを判断する(ステップS803)。CPU41が、識別情報(試料ID)を受信していないと判断した場合(ステップS803:NO)、CPU41は、受信待ち状態となる。CPU41が、識別情報(試料ID)を受信したと判断した場合(ステップS803:YES)、CPU41は、記憶装置43を照会して記憶してある被験者情報を取得し、被験者情報を測定機構部2へ送信する(ステップS804)。これにより、測定対象となる検体の測定項目を特定することができる。
【0073】
被験者情報を受信した測定機構部2は、測定対象となる被験者の検体を吸引し、測定に用いる試薬を試薬分注アーム120のピペット部121にて吸引する。測定機構部2は、ピペット部121の先端に設けてある液面センサが試薬の液面を検知した時点で、パルス数P及びピペット部121の単位パルス当たりの移動距離Dを制御部4aに送信する。
【0074】
制御部4aのCPU41は、パルス数P及びピペット部121の単位パルス当たりの移動距離Dを受信する(ステップS805)。CPU41は、記憶装置43に記憶してある試薬容器200の水平方向の内面積Sを読み出し、(式1)によって液面の高さHを算出する。
H = H1 − P × D・・・(式1)
【0075】
CPU41は、読み出した試薬容器200の内面積Sと算出した試薬の液面の高さHとに基づいて、(式2)によって試薬の残量Tを算出する(ステップS806)。
T = H × S・・・(式2)
【0076】
CPU41は、試薬容器200の試薬の残量Tが所定量より少なくなったか否かを判断し(ステップS807)、CPU41が、試薬の残量Tが所定量以上であると判断した場合(ステップS807:NO)、CPU41は、次の測定の開始指示を測定機構部2へ送信し(ステップS808)、処理をステップS805へ戻して上述した処理を繰り返す。CPU41が、試薬の残量Tが所定量より少なくなったと判断した場合(ステップS807:YES)、CPU41は、精度管理の開始指示を測定機構部2へ送信する(ステップS809)。精度管理の開始指示を受信した測定機構部2は精度管理用の検体を吸引し、他の試薬容器200に収容されている試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製して測定を開始し、測定データに基づく分析結果を制御部4aに送信する。
【0077】
なお、残量Tの判断基準となる所定量は特に限定されるものではないが、例えば1回の測定に必要な試薬量であっても良い。この場合、試薬容器200の残量が1回の測定に必要な試薬量より少なくなったと判断したときに、測定機構部2に精度管理用の検体を吸引させ、他の試薬容器200に収容されている試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得する。これにより、試薬が1回の測定に必要な量も残存していない状態まで試薬容器200内の試薬を使い切ることができる。
【0078】
また、試薬容器200の残量が所定量より少なくなったと判断した場合、精度管理用の検体を吸引するか否かを、検体の測定項目ごとに設定するようにしても良い。測定項目によって必要とする試薬の量が相違するので、一の測定項目では不十分な試薬の残量であっても、他の測定項目については十分な残量であることも想定できるからである。
【0079】
図9は、精度管理用の情報の設定を受け付ける精度管理情報設定画面の例示図である。図9に示すように、検体の測定項目は、測定項目表示領域901にて一覧表示されている。測定項目表示領域901に表示されている測定項目ごとに複数の設定パラメータを有しており、設定パラメータ表示領域902にて一覧表示される。
【0080】
使用者は、精度管理設定領域903にて、マウス4dのクリック操作により、精度管理の対象として設定された設定項目ごとに「定期自動QC」又は「バイアルQC」を選択する。「定期自動QC」とは、一定時間間隔で自動的に精度管理を実行する設定である。一方、「バイアルQC」とは試薬容器200ごとに精度管理を実行する設定である。「バイアルQC」の選択を受け付けた場合、一の試薬容器200の残量が所定量より少なくなったと判断したときには、精度管理用の検体を吸引する設定となる。
【0081】
図8に戻って、制御部4aのCPU41は、精度管理用の測定試料の分析結果を受信したか否かを判断し(ステップS810)、CPU41が、精度管理用の測定試料の分析結果を受信していないと判断した場合(ステップS810:NO)、CPU41は、検体の吸引を停止させる吸引停止指示を測定機構部2へ送信する(ステップS811)。
【0082】
吸引停止指示を受信した測定機構部2は、検体分注アーム70による検体の吸引を停止させる。これにより、精度管理用の測定試料の分析結果を制御部4aが取得したと判断するまで、検体の吸引を停止することができ、試薬の劣化等が検出された場合であっても検体を無駄に消費することを未然に回避することができる。
【0083】
CPU41が、精度管理用の測定試料の分析結果を受信したと判断した場合(ステップS810:YES)、CPU41は、受信した分析結果が正常範囲内であるか否かを判断する(ステップS812)。分析結果が正常範囲内であるか否かは、例えば事前に分析結果が判明している精度管理用の検体に関する分析結果の許容範囲内に、受信した分析結果が含まれているか否かで判断すれば良い。
【0084】
CPU41が、受信した分析結果が正常範囲内であると判断した場合(ステップS812:YES)、CPU41は、検体の吸引を再開させる吸引再開指示を測定機構部2へ送信する(ステップS813)。これにより、試薬容器200を交換することなく測定を再開することができ、使用者が煩雑な作業を行う必要が無い。
【0085】
CPU41が、受信した分析結果が正常範囲外であると判断した場合(ステップS812:NO)、CPU41は、検体に関する測定自体を中止する測定中止指示を測定機構部2へ送信し(ステップS814)、精度管理用の検体に関する分析結果が正常範囲外である旨を示すメッセージを表示部4bに表示出力する(ステップS815)。これにより、劣化等の疑いがある試薬を用いて測定試料を調製することを未然に回避することができ、試薬容器200を交換する等により適切に分析処理を実行することが可能となる。
【0086】
なお、試薬容器保持部は、同一種類の試薬を収容した三以上の試薬容器200、200、・・・を保持することが可能としてあり、制御部4aのCPU41が、精度管理用の測定試料の分析結果が正常範囲外であると判断した場合、CPU41は、再度、測定機構部2に精度管理用の検体を吸引させ、他の試薬容器200に収容されている試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得する。これにより、試薬容器200を交換することなく他の試薬を用いて精度管理を実行することができ、使用者が試薬容器200を交換する等の煩雑な作業を行うことなく、使用可能な試薬を用いて精度管理を実行することが可能となる。
【0087】
以上のように本実施の形態1によれば、精度管理用の測定試料の分析結果を取得していない場合には、測定機構部2にて検体の吸引を停止させることができるので、精度管理用の検体に関する分析結果が出るまで分析処理を停止することができ、劣化等の疑いがある試薬を用いて測定試料を調製することを未然に回避することができる。したがって、検体を無駄に消費することがなく、試薬の精度管理を適切に実行することが可能となる。
【0088】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2に係る分析装置1の構成は、実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することにより詳細な説明は省略する。本実施の形態2は、検体の吸引停止指示を分析結果を受信する前に実行する点で実施の形態1と相違する。
【0089】
実施の形態2に係る分析装置1での分析処理について詳細に説明する。従来の分析装置では、精度管理の実行時には、精度管理用の検体を吸引して精度管理用の測定試料を調製して分析処理を実行して、分析結果が出るまで他の分析処理を停止することがない。すなわち、他の試薬容器に収容されている試薬を用いて他の検体に関する分析処理も継続して実行される。したがって、精度管理用の検体に関する分析結果が異常であると判断された場合、劣化等の疑いがある試薬を用いて分析された検体については、再度分析処理を実行する必要がある。
【0090】
この場合、劣化等の疑いのある試薬が収容されている試薬容器200から分注された試薬は再利用することができず、廃棄せざるを得ないことから、一の試薬容器の残量が所定量より少なくなったと判断した場合、測定部に検体の吸引を停止させ、精度管理を実行した結果として試薬が劣化していないと判断された時点で検体の吸引を再開させることにより、検体を無駄に消費することを回避することができる。
【0091】
図10は、本発明の実施の形態2に係る分析装置1の制御部4aのCPU41の処理手順を示すフローチャートである。制御部4aのCPU41は、実施の形態1と同様、ステップS801からステップS807までの処理を実行する。CPU41は、試薬容器200の試薬の残量Tが所定量より少なくなったか否かを判断し(ステップS807)、CPU41が、試薬の残量Tが所定量以上であると判断した場合(ステップS807:NO)、CPU41は、次の測定の開始指示を測定機構部2へ送信し(ステップS808)、処理をステップS805へ戻して上述した処理を繰り返す。
【0092】
CPU41が、試薬の残量Tが所定量より少なくなったと判断した場合(ステップS807:YES)、CPU41は、精度管理の開始指示を測定機構部2へ送信するとともに(ステップS1001)、検体の吸引を停止する吸引停止指示を測定機構部2へ送信する(ステップS1002)。精度管理の開始指示を受信した測定機構部2は精度管理用の検体を吸引し、試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製して測定を開始し、測定データに基づく分析結果を制御部4aに送信する。また、検体の吸引停止指示を受信した測定機構部2は、検体の吸引を停止し、吸引再開指示を受信するまで新たな検体を吸引しない。
【0093】
なお、残量Tの判断基準となる所定量は特に限定されるものではないが、例えば1回の測定に必要な試薬量であっても良い。この場合、試薬容器200の残量が1回の測定に必要な試薬量より少なくなったと判断したときに、測定機構部2に精度管理用の検体を吸引させ、他の試薬容器200に収容されている試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得する。これにより、他の試薬について精度管理測定が行われてから、他の試薬が検体の測定に使用されるまでの時間を短くすることができ、劣化等の疑いがある試薬を用いて無駄に測定試料を調整することを軽減することができる。
【0094】
また、試薬容器200の残量が所定量より少なくなったと判断した場合、精度管理用の検体を吸引するか否かを、検体の測定項目ごとに設定するようにしても良い。測定項目によって必要とする試薬の量が相違するので、一の測定項目では不十分な試薬の残量であっても、他の測定項目については十分な残量であることも想定できるからである。
【0095】
CPU41は、精度管理用の測定試料の分析結果を受信したか否かを判断し(ステップS1003)、CPU41が、精度管理用の測定試料の分析結果を受信していないと判断した場合(ステップS1003:NO)、CPU41は、受信待ち状態となる。CPU41が、精度管理用の測定試料の分析結果を受信したと判断した場合(ステップS1003:YES)、CPU41は、受信した分析結果が正常範囲内であるか否かを判断する(ステップS1004)。分析結果が正常範囲内であるか否かは、例えば事前に分析結果が判明している精度管理用の検体に関する分析結果の許容範囲内に、受信した分析結果が含まれているか否かで判断すれば良い。
【0096】
CPU41が、受信した分析結果が正常範囲内であると判断した場合(ステップS1004:YES)、CPU41は、検体の吸引を再開させる吸引再開指示を測定機構部2へ送信する(ステップS1007)。これにより、試薬容器200を交換することなく測定を再開することができ、使用者が煩雑な作業を行う必要が無い。
【0097】
CPU41が、受信した分析結果が正常範囲外であると判断した場合(ステップS1004:NO)、CPU41は、検体に関する測定自体を中止する測定中止指示を測定機構部2へ送信し(ステップS1005)、精度管理用の検体に関する分析結果が正常範囲外である旨を示すメッセージを表示部4bに表示出力する(ステップS1006)。これにより、劣化等の疑いがある試薬を用いて測定試料を調製することを未然に回避することができ、試薬容器200を交換する等により適切に分析処理を実行することが可能となる。
【0098】
以上のように本実施の形態2によれば、一の試薬容器の残量が所定量より少なくなったと判断した場合には、精度管理を実行したか否かにかかわらず検体の吸引を停止させることができるので、余分な検体の吸引を未然に防止することができるとともに試薬の精度管理を適切に実行することが可能となる。
【0099】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3に係る分析装置1の構成は、実施の形態1と同様であることから、同一の符号を付することにより詳細な説明は省略する。本実施の形態3は、一検体ごとに吸引指示を送信する点で実施の形態1及び2と相違する。
【0100】
実施の形態3に係る分析装置1での分析処理について詳細に説明する。従来の分析装置では、精度管理の実行時には、精度管理用の検体を吸引して精度管理用の測定試料を調製して分析処理を実行して、分析結果が出るまで他の分析処理を停止することがない。すなわち、他の試薬容器に収容されている試薬を用いて他の検体に関する分析処理も継続して実行される。したがって、精度管理用の検体に関する分析結果が異常であると判断された場合、劣化等の疑いがある試薬を用いて分析された検体については、再度分析処理を実行する必要がある。
【0101】
この場合、劣化等の疑いのある試薬が収容されている試薬容器200から分注された試薬は再利用することができず、廃棄せざるを得ないことから、一検体ごとに検体を吸引し、一の試薬容器の残量が所定量より少なくなったと判断した場合、精度管理を実行した結果として試薬が劣化していないと判断された時点で次の検体の吸引を開始させることにより、検体を無駄に消費することを回避することができる。
【0102】
図11は、本発明の実施の形態3に係る分析装置1の制御部4aのCPU41の処理手順を示すフローチャートである。制御部4aのCPU41は、実施の形態1と同様、ステップS801からステップS804までの処理を実行する。CPU41は、記憶装置43を照会して記憶してある被験者情報を取得し、被験者情報を測定機構部2へ送信する(ステップS804)。
【0103】
CPU41は、吸引対象となる検体、すなわち分析対象である検体を収容している検体容器210を吸引位置へ移動させる移動指示を、測定機構部2へ送信する(ステップS1101)。CPU41は、吸引位置に移動した検体容器210に収容されている検体の吸引を開始する吸引開始指示を測定機構部2へ送信する(ステップS1102)。
【0104】
吸引開始指示を受信した測定機構部2は、測定対象となる被験者の検体の吸引を開始し、測定に用いる試薬を試薬分注アーム120のピペット部121にて吸引する。測定機構部2は、ピペット部121の先端に設けてある液面センサが試薬の液面を検知した時点で、パルス数P及びピペット部121の単位パルス当たりの移動距離Dを制御部4aに送信する。
【0105】
CPU41は、パルス数P及びピペット部121の単位パルス当たりの移動距離Dを受信する(ステップS1103)。CPU41は、記憶装置43に記憶してある試薬容器200の水平方向の内面積Sを読み出し、(式1)によって液面の高さHを算出する。
H = H1 − P × D・・・(式1)
【0106】
CPU41は、読み出した試薬容器200の内面積Sと算出した試薬の液面の高さHとに基づいて、(式2)によって試薬の残量Tを算出する(ステップS1104)。
T = H × S・・・(式2)
【0107】
CPU41は、試薬容器200の試薬の残量Tが所定量より少なくなったか否かを判断し(ステップS1105)、CPU41が、試薬の残量Tが所定量より少なくなったと判断した場合(ステップS1105:YES)、CPU41は、精度管理の開始指示を測定機構部2へ送信する(ステップS1106)。精度管理の開始指示を受信した測定機構部2は精度管理用の検体を吸引し、試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製して測定を開始し、測定データに基づく分析結果を制御部4aに送信する。
【0108】
なお、残量Tの判断基準となる所定量は特に限定されるものではないが、例えば1回の測定に必要な試薬量であっても良い。この場合、試薬容器200の残量が1回の測定に必要な試薬量より少なくなったと判断したときに、測定機構部2に精度管理用の検体を吸引させ、他の試薬容器200に収容されている試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得する。これにより、試薬が1回の測定に必要な量も残存していない状態まで試薬容器200内の試薬を使い切ることができる。
【0109】
また、試薬容器200の残量が所定量より少なくなったと判断した場合、精度管理用の検体を吸引するか否かを、検体の測定項目ごとに設定するようにしても良い。測定項目によって必要とする試薬の量が相違するので、一の測定項目では不十分な試薬の残量であっても、他の測定項目については十分な残量であることも想定できるからである。
【0110】
CPU41は、精度管理用の測定試料の分析結果を受信したか否かを判断し(ステップS1107)、CPU41が、精度管理用の測定試料の分析結果を受信していないと判断した場合(ステップS1107:NO)、CPU41は、受信待ち状態となる。CPU41が、精度管理用の測定試料の分析結果を受信したと判断した場合(ステップS1107:YES)、CPU41は、受信した分析結果が正常範囲内であるか否かを判断する(ステップS1108)。分析結果が正常範囲内であるか否かは、例えば事前に分析結果が判明している精度管理用の検体に関する分析結果の許容範囲内に、受信した分析結果が含まれているか否かで判断すれば良い。
【0111】
CPU41が、受信した分析結果が正常範囲外であると判断した場合(ステップS1108:NO)、CPU41は、精度管理用の検体に関する分析結果が正常範囲外である旨を示すメッセージを表示部4bに表示出力する(ステップS1109)。これにより、劣化等の疑いがある試薬を用いて測定試料を調製することを未然に回避することができ、試薬容器200を交換する等により適切に分析処理を実行することが可能となる。
【0112】
CPU41が、試薬の残量Tが所定量以上であると判断した場合(ステップS1105:NO)、受信した分析結果が正常範囲内であると判断した場合(ステップS1108:YES)、CPU41は、全ての検体について吸引したか否かを判断する(ステップS1110)。CPU41が、まだ吸引していない検体が存在すると判断した場合(ステップS1110:NO)、CPU41は、次の検体を収容している検体容器210を吸引位置へ移動させる移動指示を、測定機構部2へ送信して(ステップS1111)、処理をステップS1102へ戻して上述した処理を繰り返す。CPU41が、全て吸引したと判断した場合(ステップS1110:YES)、CPU41は、処理を終了する。
【0113】
以上のように本実施の形態3によれば、一検体ごとに精度管理を実行する必要性があるか否かを判断し、必要性がある場合には精度管理用の測定試料の分析結果が正常範囲内であるときに、測定部に次の検体の吸引を開始させることができるので、精度管理用の検体に関する分析結果が正常範囲内である場合にのみ次の検体の吸引を開始することができ、検体を無駄に消費することがなく、試薬の精度管理を適切に実行することが可能となる。
【0114】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨の範囲内であれば多種の変形、置換等が可能である。例えば、上述した実施の形態では、キーボード4c又はマウス4dにより画面に表示されたボタン等の指定を受け付けることによって操作可能な構成としているが、特にこれに限定されるものではなく、例えば表示部4bにタッチパネルを採用し、画面に表示されたボタン等を使用者が直接触れることによって操作可能な構成としても良い。
【0115】
また、上述した実施の形態1乃至3では、CPU41が試薬の残量Tが所定量より少なくなったと判断した場合、CPU41が精度管理の開始指示を測定機構部2へ送信する構成としているが、特にこれに限定されるものではなく、例えば試薬の有効期間が経過したと判断した場合に、CPU41が精度管理の開始指示を測定機構部2へ送信する構成としても良い。
【0116】
さらに、上述した実施の形態1乃至3では、CPU41が、ステップS807において試薬の残量Tが所定量より少なくなったと判断した場合、ステップS811において、全ての検体の吸引を停止する指示を送信するように構成されているが、特にこれに限定されるものではなく、例えば残量Tが所定量よりも少なくなった試薬を用いる測定項目が測定される検体の吸引のみを停止し、当該試薬を用いない測定項目のみが測定される検体の吸引は継続する構成としても良い。これにより、精度管理測定を行う場合の検体の処理能力を向上させることが可能となる。
【符号の説明】
【0117】
1 分析装置
2 測定機構部(測定部)
4 制御装置
4a 制御部
4b 表示部
6 検体収容部
7 試薬収容部
9 バーコードリーダ
41 CPU(中央演算装置)
42 RAM
43 記憶装置
44 入力インタフェース
45 出力インタフェース
46 通信装置
47 可搬型ディスクドライブ
48 内部バス
90 可搬型記録媒体
100 コンピュータプログラム
200 試薬容器
200a、731b、731c、732b、732c、741b〜746b、741c〜746c バーコードラベル
210 検体容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
同一種類の試薬を収容した第一の試薬容器及び第二の試薬容器を保持することが可能な試薬容器保持部と、
測定対象の検体を吸引し、前記試薬と混合して調製された測定試料を測定する測定部と
を有し、該測定部での測定結果を分析する分析装置において、
複数の検体の連続測定の開始指示を受け付ける開始指示受付手段と、
前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えるか否かを判断する試薬切替判断手段と、
該試薬切替判断手段で前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、前記測定部に精度管理用の検体を吸引させ、前記第二の試薬容器に収容された試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得させる指示を送信する精度管理手段と、
前記試薬切替判断手段で前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、前記測定部に検体の吸引を停止させる指示を送信する停止指示送信手段と
を備えることを特徴とする分析装置。
【請求項2】
精度管理用の測定試料の分析結果を取得したか否かを判断する判断手段を備え、
前記停止指示送信手段は、
前記判断手段で精度管理用の測定試料の分析結果を取得していないと判断した場合、前記測定部に検体の吸引を停止させる指示を送信することを特徴とする請求項1記載の分析装置。
【請求項3】
前記試薬切替判断手段で前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、精度管理用の検体を吸引するか否かを、検体の測定項目ごとに設定する設定手段を備えることを特徴とする請求項1又は2記載の分析装置。
【請求項4】
取得した精度管理用の測定試料の分析結果が正常範囲内であるか否かを判断する分析結果判断手段と、
該分析結果判断手段で分析結果が正常範囲内であると判断した場合、前記測定部に検体の吸引を再開させる指示を送信する再開指示送信手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の分析装置。
【請求項5】
前記分析結果判断手段で分析結果が正常範囲外であると判断した場合、前記測定部に測定試料の測定を中止する指示を送信する中止指示送信手段と
を備えることを特徴とする請求項4記載の分析装置。
【請求項6】
前記分析結果判断手段で分析結果が正常範囲外であると判断した場合、精度管理用の測定試料の分析結果が正常範囲外である旨を示すメッセージを表示出力する表示部を備えることを特徴とする請求項4又は5記載の分析装置。
【請求項7】
前記試薬容器保持部は、第一の試薬容器及び第二の試薬容器に収容された試薬と同一種類の試薬を収容した第三の試薬容器を保持することが可能としてあり、
前記分析結果判断手段で、前記第二の試薬容器に収容された試薬と混合して調製された精度管理用の測定試料の分析結果が正常範囲外であると判断した場合、前記精度管理手段は、前記測定部に精度管理用の検体を吸引させ、第三の試薬容器に収容された試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得することを特徴とする請求項4乃至6のいずれか一項に記載の分析装置。
【請求項8】
前記試薬切替判断手段は、
前記第一の試薬容器及び前記第二の試薬容器の残量を検出する残量検出手段と、
該残量検出手段で検出した前記第一の試薬容器の残量が所定量より少なくなったか否かを判断する残量判断手段と
を備え、
該残量判断手段で前記第一の試薬容器の残量が所定量より少なくなったと判断した場合、前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の分析装置。
【請求項9】
前記所定量は、1回の測定に必要な試薬量であり、
前記残量判断手段で前記第一の試薬容器の残量が所定量より少なくなったと判断した場合、前記精度管理手段は、前記測定部に精度管理用の検体を吸引させ、前記第二の試薬容器に収容された試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得することを特徴とする請求項8記載の分析装置。
【請求項10】
同一種類の試薬を収容した第一の試薬容器及び第二の試薬容器を保持することが可能な試薬容器保持部と、
測定対象の検体を吸引し、前記試薬と混合して調製された測定試料を測定する測定部と
を有し、該測定部での測定結果を分析する分析装置において、
複数の検体の連続測定の開始指示を受け付ける開始指示受付手段と、
前記測定部に一の検体の吸引を開始する吸引開始指示を送信する吸引開始指示送信手段と、
前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えるか否かを判断する試薬切替判断手段と、
該試薬切替判断手段で前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、前記測定部に精度管理用の検体を吸引させ、前記第二の試薬容器に収容された試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得させる指示を送信する精度管理手段と、
精度管理用の測定試料の分析結果が正常範囲内であるか否かを判断する分析結果判断手段と
を備え、
前記吸引開始指示送信手段は、前記分析結果判断手段で分析結果が正常範囲内であると判断した場合、前記測定部に次の検体の吸引を開始させる指示を送信することを特徴とする分析装置。
【請求項11】
同一種類の試薬を収容した第一の試薬容器及び第二の試薬容器を保持することが可能な試薬容器保持部と、
測定対象の検体を吸引し、前記試薬と混合して調製された測定試料を測定する測定部と
を有し、該測定部での測定結果を分析する分析装置で実行することが可能な分析方法において、
複数の検体の連続測定の開始指示を受け付け、
前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えるか否かを判断し、
前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、前記測定部に精度管理用の検体を吸引させ、前記第二の試薬容器に収容された試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得させる指示を送信し、
前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、前記測定部に検体の吸引を停止させる指示を送信することを特徴とする分析方法。
【請求項12】
同一種類の試薬を収容した第一の試薬容器及び第二の試薬容器を保持することが可能な試薬容器保持部と、
測定対象の検体を吸引し、前記試薬と混合して調製された測定試料を測定する測定部と
を有し、該測定部での測定結果を分析する分析装置で実行することが可能なコンピュータプログラムにおいて、
前記分析装置を、
複数の検体の連続測定の開始指示を受け付ける開始指示受付手段、
前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えるか否かを判断する試薬切替判断手段、
該試薬切替判断手段で前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、前記測定部に精度管理用の検体を吸引させ、前記第二の試薬容器に収容された試薬と混合して精度管理用の測定試料を調製させ、精度管理用の測定試料の分析結果を取得させる指示を送信する精度管理手段、及び
前記試薬切替判断手段で前記第一の試薬容器から前記第二の試薬容器に切り替えると判断した場合、前記測定部に検体の吸引を停止させる指示を送信する停止指示送信手段
として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−190641(P2010−190641A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−33722(P2009−33722)
【出願日】平成21年2月17日(2009.2.17)
【出願人】(390014960)シスメックス株式会社 (810)
【Fターム(参考)】