説明

分析装置および分析方法

【課題】大規模な分析システムを用いずとも装置内に設置された試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができる分析装置および分析方法を提供すること。
【解決手段】この発明にかかる分析装置1は、試薬容器35内の試薬を用いて検体を分析する分析装置であって、試薬容器35に付され、所定周波数の電波を介して外部と通信可能であるRFIDタグと、RFIDタグに対して試薬容器35内の試薬の使用によって発生する経過情報を書き込むとともに、使用対象の試薬が収容された試薬容器35に付されたRFIDタグから経過情報を読み取るRFIDリーダライタと、RFIDリーダライタによって読み取られた経過情報をもとにRFIDタグが付された試薬容器35内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができるか否かを判断する制御部41と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試薬容器内の試薬を用いて検体を分析する分析装置および分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や体液等の検体を自動的に分析する装置として、試薬が分注された反応容器に検体を加え、反応容器内の試薬と検体の間で生じた反応を光学的に検出する分析装置が知られている。
【0003】
ところで、開封後における空気接触による試薬の活性状態変化などの影響を考慮し、分析装置において使用する各試薬には試薬開封後の有効期限がそれぞれ設定されている。分析処理の精度維持のためには、開封後有効期限内の試薬を用いて測定を行うことが望ましい。このため、従来の分析装置においては、有効期限を記録したバーコードを試薬容器に付し、試薬容器の初回セット時に、このバーコードの有効期限を読み取り使用開始後の経過時間を計測することによって、測定に使用する試薬が開封後有効期限内であるか否かを判断していた(特許文献1参照)。
【0004】
また、このような分析装置は、測定中に試薬が不足した場合には試薬が不足した検体の測定が行なわれないため、受け付けた検体すべての測定に対し装置内に設置されている試薬容器内の試薬が足りるか否かを判断する必要があった。このため、従来の分析装置においては、試薬容器の初回セット時に試薬容器内の試薬量を検出し、この初回セット時の試薬量から試薬分注処理で消費した試薬量を減算して試薬残量を演算し、分析装置内で試薬残量を管理していた。
【0005】
さらに、従来においては、各試薬容器内の試薬を用いて適正に分析処理を行なうため、分析装置をネットワーク回線などで管理装置に接続し、この管理装置において、各分析装置に設置された試薬容器ごとに開封後有効期間および試薬残量を一括して管理する方法が提案されていた(特許文献2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2000−310643号公報
【特許文献2】特開2003−315345号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献1によれば、バーコードが記録する情報をもとに、個々の分析装置それぞれ別個に開封後有効期限および試薬残量を管理していた。このため、分析装置間で開封後有効期限および試薬残量の情報の受け渡しができず、分析装置で一旦使用した試薬容器を別の分析装置へ移し変えて再セットした場合、試薬容器が移し変えられた分析装置においては、この試薬容器の開封後有効期限および試薬残量に関する情報を受け取ることができず、開封後有効期限および試薬残量を正確に把握することができなかった。この結果、従来の分析装置においては、開封後有効期限を超過した試薬を使用してしまう場合や試薬残量が少なく測定中に試薬が不足してしまう場合があった。
【0008】
また、特許文献2にかかる分析システムにおいては、各試薬管理を行なうためには、各分析装置をネットワーク回線で接続し管理装置で管理するため、大規模かつ複雑なシステムを構成する必要があるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記した従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、大規模な分析システムを用いずとも装置内に設置された試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができる分析装置および分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる分析装置は、試薬容器内の試薬を用いて検体を分析する分析装置において、前記試薬容器に付され、所定周波数の電波を介して外部と通信可能である情報記憶媒体と、前記情報記憶媒体に対して前記試薬容器内の試薬の使用によって発生する経過情報を書き込む書込手段と、使用対象の試薬が収容された前記試薬容器に付された前記情報記憶媒体から前記経過情報を読み取る読取手段と、前記読取手段によって読み取られた前記経過情報をもとに前記情報記憶媒体が付された試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができるか否かを判断する判断手段と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる分析装置は、前記経過情報は、前記試薬容器内の試薬の使用開始時期であり、前記書込手段は、前記試薬容器開封時をもとに前記使用開始時期を前記情報記憶媒体に書き込み、前記読取手段は、前記試薬容器内の試薬使用前に前記情報記憶媒体から前記使用開始時期を読み取り、前記判断手段は、前記試薬容器内の試薬使用前に、前記読取手段によって読み取られた前記使用開始時期をもとに該試薬容器内の試薬が所定の開封後有効期限を超過しているか否かを判断することを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる分析装置は、前記経過情報は、前記試薬容器内の試薬残量であり、前記書込手段は、前回書込時の試薬残量から前回書込時と今回書込時との間に使用された試薬量を減算した値を新たな前記試薬残量として前記情報記憶媒体に書き込み、前記読取手段は、前記試薬容器内の試薬使用前に該試薬容器に付された前記情報記憶媒体から前記試薬残量を読み取り、前記判断手段は、前記試薬容器内の試薬使用前に、前記読取手段によって読み取られた前記試薬残量をもとに分析において前記試薬が足りるか否かを判断することを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる分析装置は、前記判断手段が前記試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができないと判断した場合に前記試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができない旨を報知する警告を出力する出力手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる分析装置は、前記読取手段は、当該分析装置が起動するごとに前記情報記憶媒体から前記経過情報を読み取り、前記判断手段は、当該分析装置が起動するごとに、前記読取手段によって読み取られた前記経過情報をもとに該情報記憶媒体が付された試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができるか否かを判断することを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる分析装置は、前記書込手段は、試薬分注処理後に前回書込時の試薬残量から該試薬分注処理によって分注された試薬量を減じた量を新たな前記試薬残量として前記情報記憶媒体に書き込み、前記読取手段は、試薬分注処理前に、分注対象である試薬が収容された前記試薬容器に付された前記情報記憶媒体から前記試薬残量を読み取り、前記判断手段は、試薬分注処理前に、前記読取手段によって読み取られた前記試薬残量をもとに分析において前記試薬が足りるか否かを判断することを特徴とする。
【0016】
また、この発明にかかる分析方法は、試薬容器内の試薬を用いて検体を分析する分析方法において、前記試薬容器に付され所定周波数の電波を介して外部と通信可能である情報記憶媒体に対して、前記試薬容器内の試薬の使用によって発生する経過情報を書き込む書込ステップと、使用対象の試薬が収容された前記試薬容器に付された前記情報記憶媒体から前記経過情報を読み取る読取ステップと、前記読取ステップにおいて読み取られた前記経過情報をもとに前記情報記憶媒体が付された試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができるか否かを判断する判断ステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、この発明にかかる分析方法は、前記経過情報は、前記試薬容器内の試薬の使用開始時期であり、前記書込ステップは、前記試薬容器開封時をもとに前記使用開始時期を前記情報記憶媒体に書き込み、前記読取ステップは、前記試薬容器内の試薬使用前に前記情報記憶媒体から前記使用開始時期を読み取り、前記判断ステップは、前記試薬容器内の試薬使用前に、前記読取ステップにおいて読み取られた前記使用開始時期をもとに該試薬容器内の試薬が所定の開封後有効期限を超過しているか否かを判断することを特徴とする。
【0018】
また、この発明にかかる分析方法は、前記経過情報は、前記試薬容器内の試薬残量であり、前記書込ステップは、前回書込時の試薬残量から前回書込時と今回書込時との間に使用された試薬量を減算した値を新たな前記試薬残量として前記情報記憶媒体に書き込み、前記読取ステップは、前記試薬容器内の試薬使用前に前記情報記憶媒体から前記試薬残量を読み取り、前記判断ステップは、前記試薬容器内の試薬使用前に、前記読取ステップにおいて読み取られた前記試薬残量をもとに分析において前記試薬が足りるか否かを判断することを特徴とする。
【0019】
また、この発明にかかる分析方法は、前記判断ステップにおいて前記試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができないと判断された場合に前記試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができない旨を報知する警告を出力する出力ステップをさらに含むことを特徴とする。
【0020】
また、この発明にかかる分析方法は、前記読取ステップは、分析装置起動ごとに前記情報記憶媒体から前記経過情報を読み取り、前記判断ステップは、分析装置起動ごとに、前記読取ステップにおいて読み取られた前記経過情報をもとに該情報記憶媒体が付された試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができるか否かを判断することを特徴とする。
【0021】
また、この発明にかかる分析方法は、前記書込ステップは、試薬分注処理後に前回書込時の試薬残量から該試薬分注処理によって分注された試薬量を減じた量を新たな前記試薬残量として前記情報記憶媒体に書き込み、前記読取ステップは、試薬分注処理前に、分注対象である試薬が収容された前記試薬容器に付された前記情報記憶媒体から前記試薬残量を読み取り、前記判断ステップは、試薬分注処理前ごとに、前記読取ステップにおいて読み取られた前記試薬残量をもとに分析において前記試薬容器内の試薬が足りるか否かを判断することを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、各分析装置それぞれにおいて、試薬容器に付された情報記憶媒体に試薬容器内の試薬の使用によって発生する経過情報を随時書き込めるとともに、使用対象の試薬が収容された試薬容器の情報記憶媒体から経過情報を読み取って該試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができるか否かを判断して試薬管理を行なうため、大規模な分析システムを用いずとも適正な分析を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である分析装置について、血液や尿などの検体に対して生化学分析を行なう分析装置を例に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0024】
図1は、本実施の形態にかかる分析装置1の構成を示す模式図である。図1に示すように、分析装置1は、分析対象である検体を収容した検体容器を順次移送する検体移送機構2と、検体および試薬を反応容器30にそれぞれ分注し反応容器30内で生じる反応を光学的に測定する測定機構3と、検体移送機構2および測定機構3を含む分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構3における測定結果の分析を行う制御機構4とを備える。分析装置1は、これらの機構が連携することによって複数の検体の生化学分析を自動的に行う。
【0025】
検体移送機構2は、血液や尿等、液体である検体を収容した複数の検体容器21aを保持し、図中の矢印方向に順次移送する複数の検体ラック21bを備える。検体移送機構2上の所定位置に移送された検体容器21a内の検体は、検体分注部32によって、反応テーブル33上に配列して搬送される反応容器30に分注される。
【0026】
そして、測定機構3は、大別して検体分注部32、反応テーブル33、試薬庫34、試薬分注部37、攪拌部38、測光部39および洗浄部40を備える。検体分注部32は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアーム32aを備える。このアーム32aの先端部には、検体の吸引および吐出を行う検体ノズルが取り付けられている。検体分注部32は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。検体分注部32は、上述した検体移送機構2上の所定位置に移送された検体容器21aの中から検体ノズルによって検体を吸引し、アーム32aを図中時計回りに旋回させ、反応容器30に検体を吐出する。
【0027】
反応テーブル33は、反応容器30への検体や試薬の分注、反応容器30の攪拌、洗浄または測光を行うために反応容器30を所定の位置まで移送する。この反応テーブル33は、制御部41の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、反応テーブル33の中心を通る鉛直線を回転軸として回動自在である。反応テーブル33の上方と下方には、図示しない開閉自在な蓋と恒温槽がそれぞれ設けられている。
【0028】
試薬庫34は、反応容器30内に分注される試薬が収容された試薬容器35を複数収納できる。試薬庫34には、複数の収納室が等間隔で配置されており、各収納室には試薬容器35が着脱自在に収納される。試薬庫34は、制御部41の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、試薬庫34の中心を通る鉛直線を回転軸として時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の試薬容器35を試薬分注部37による試薬吸引位置まで移送する。試薬庫34の上方には、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられている。また、試薬庫34の下方には、恒温槽が設けられている。このため、試薬庫34内に試薬容器35が収納され、蓋が閉じられたときに、試薬容器35内に収容された試薬を恒温状態に保ち、試薬容器35内に収容された試薬の蒸発や変性を抑制することができる。
【0029】
また、図2に示すように、試薬容器35の底面部には、試薬容器35に収容された試薬に関する試薬情報を記憶するRFIDタグ35aが付されている。RFIDタグ35aは、RFID(Radio Frequency Identification)システムにおいて用いられるタグ形状の情報記憶媒体である。RFIDタグ35aが記憶する各種情報は、書き込みおよび読み取りを指示する所定周波数の電波を介して、読出しが可能であるとともに、書き込み、書き換えが可能である。このRFIDタグ35aは、試薬情報として、試薬の種別、使用対象である分析項目、ロット番号、ボトル番号を記憶するとともに、試薬容器35内の試薬の使用によって発生する経過情報を記憶する。RFIDタグ35aは、このRFIDタグ35aが付された試薬容器35内の試薬の使用開始時期、このRFIDタグ35aが付された試薬容器35内の試薬残量を経過情報として記憶する。
【0030】
図2に示すように、試薬庫34の下部には、このRFIEタグ35aを読み書きするRFIDリーダライタ36が設けられている。RFIDリーダライタ36は、所定周波数の電波を介して、試薬容器35内の試薬の使用によって発生する経過情報を、この試薬容器35に付されたRFIDタグ35aに書き込むとともに、RFIDタグ35aに記憶された、この試薬容器35内の試薬に関する経過情報を読み取る。
【0031】
RFIDリーダライタ36は、試薬容器35開封時をもとに使用開始時期をRFIDタグ35aに書き込むとともに、試薬容器35内の試薬使用前にRFIDタグ35aから使用開始時期を読み取る。また、RFIDリーダライタ36は、前回書込時の試薬残量から前回書込時と今回書込時との間に使用された試薬量を減算した値を試薬残量としてRFIDタグ35aに書き込むとともに、試薬容器35内の試薬使用前にRFIDタグ35aから試薬残量を読み取る。RFIDリーダライタ36は、当該分析装置が起動するごとにRFIDタグ35aから経過情報を読み取る。また、RFIDリーダライタ36は、試薬分注処理後に前回書込時の試薬残量から該試薬分注処理によって分注された試薬量を減じた量を新たな試薬残量としてRFIDタグ35aに書き込むとともに、試薬分注処理前に分注対象である試薬が収容された試薬容器35のRFIDタグ35aから試薬残量を読み取る。RFIDリーダライタ36は、後述する制御部41の制御によって、RFIDタグ35aの読み取り、RFIDタグ35aへの情報の書き込み、書き換えを行ない、RFIDタグ35aから読み取った情報を制御部41に出力する。
【0032】
試薬分注部37は、検体分注部32と同様に、試薬の吸引および吐出を行う試薬ノズルが先端部に取り付けられたアーム37aを備える。アーム37aは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行う。試薬分注部37は、試薬庫34上の所定位置に移動された試薬容器35内の試薬を試薬ノズルによって吸引し、アーム37aを図中時計回りに旋回させ、反応テーブル33上の所定位置に搬送された反応容器30に分注する。攪拌部38は、反応容器30に分注された検体と試薬との攪拌を行い、反応を促進させる。
【0033】
測光部39は、所定の測光位置に搬送された反応容器30内の反応液の光学的特性を測定する。この測光部39による測定結果は、制御部41に出力され、分析部43において分析される。
【0034】
洗浄部40は、図示しないノズルによって、測光部39による測定が終了した反応容器30内の混合液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで洗浄を行う。この洗浄した反応容器30は再利用されるが、検査内容によっては1回の測定終了後に反応容器30を廃棄してもよい。
【0035】
つぎに、制御機構4について説明する。制御機構4は、制御部41、入力部42、分析部43、記憶部44および出力部45を備える。測定機構3および制御機構4が備えるこれらの各部は、制御部41に電気的に接続されている。
【0036】
制御部41は、CPU等を用いて構成され、分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部41は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。
【0037】
制御部41は、RFIDリーダライタ36によって読み取られたRFIDタグ35aの経過情報をもとに該RFIDタグ35aが付された試薬容器35内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができるか否かを判断する。具体的には、制御部41は、試薬容器35内の試薬使用前に、RFIDリーダライタ36によって読み取られた使用開始時期をもとに、この試薬容器35内の試薬が開封後有効期限を超過しているか否かを判断する。この開封後有効期間は、試薬容器35を開封後、この試薬容器35の試薬を使用可能な有効日数を示すものであり、この開封後有効期間内であれば、分析処理においては、試薬の活性状態変化などの影響を受けることが少ない。さらに、制御部41は、試薬容器35内の試薬使用前に、RFIDリーダライタ36によって読み取られた試薬残量をもとに分析において試薬が足りるか否かを判断する。
【0038】
また、制御部41は、当該分析装置1が起動するごとに、RFIDリーダライタ36によって読み取られた経過情報をもとに該RFIDタグ35aが付された試薬容器35内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができるか否かを判断する。さらに、制御部41は、試薬分注処理前ごとに、RFIDリーダライタ36によって読み取られた試薬残量をもとに分析において試薬が足りるか否かを判断する。
【0039】
入力部42は、キーボード、マウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。分析部43は、測光部39から取得した吸光度測定結果に基づいて検体の成分分析等を行う。
【0040】
記憶部44は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部44は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体から情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。
【0041】
出力部45は、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力する。出力部45は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがった情報を外部装置に出力してもよい。出力部45は、制御部41が試薬容器35内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができないと判断した場合に試薬容器35内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができない旨を報知する警告を出力する。出力部45は、ディスプレイを用いて構成された表示部46を備える。
【0042】
以上のように構成された分析装置1では、列をなして順次搬送される複数の反応容器30に対して、検体分注部32が検体移送機構2によって所定位置に移送された検体容器21a中の検体を分注し、試薬分注部37が試薬容器35中の試薬を分注し、攪拌部38が反応容器30内を攪拌した後に、測光部39が検体と試薬との反応液に対して光学的測定を行ない、この測定結果を分析部43が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行われる。また、洗浄部40が測光部39による測定が終了した後に搬送される反応容器30を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。
【0043】
つぎに、図3を参照して、図1に示す分析装置1における試薬管理処理について説明する。まず、図3に示すように、分析装置1起動後に、RFIDリーダライタ36は、使用対象である各試薬が収容された各試薬容器35に付されたRFIDタグ35aをそれぞれ読み取り、制御部41に出力するRFIDタグ読取処理を行なう(ステップS2)。RFIDリーダライタ36が読み取った情報は、各試薬の試薬庫34における位置情報と対応づけて制御部41に出力される。
【0044】
制御部41は、前回書込時における各RFIDタグ35aの情報と、今回読取時における各RFIDタグ35aの情報とを比較し、分析装置1内に新たに設置された試薬容器35があるか否かを判断する(ステップS4)。試薬容器35は、分析装置1内への開封後初回セット時に使用開始時期がRFIDリーダライタ36によって書き込まれるため、この使用開始時期がRFIDタグ35aから読み取られた情報の中にない場合には、このRFIDタグ35aが付された試薬容器35は、開封後であって初めて装置内に設置された試薬容器35である考えられる。したがって、制御部41は、RFIDタグ35aから読み取られた情報をもとに、分析装置1内に新たに設置された試薬容器35があると判断した場合(ステップS4:Yes)、RFIDリーダライタ36に対して、新たに設置されたと判断された試薬容器35に付されたRFIDタグ35aへ使用開始時期を書き込ませる(ステップS6)。一方、制御部41は、分析装置1内に新たに設置された試薬容器35がないと判断した場合(ステップS4:No)、そのままステップS8に進む。
【0045】
つぎに、制御部41は、RFIDタグ35aから読み取られた情報のうち使用開始時期をもとに、各試薬容器35内の試薬が対応する開封後有効期限を超過しているか否かを判断する(ステップS8)。この開封後有効期限は、分析装置1内の記憶部44内に各試薬に対応づけて記憶されるほか、各RFIDタグ35a内に記憶されていてもよい。制御部41は、使用開始時期から今回読取時までの期間が開封後有効期限を超過していると判断した場合(ステップS8:Yes)、試薬容器35内の試薬が開封後有効期限を超過している旨を報知するエラーを出力部45に出力させる(ステップS10)。出力部45は、たとえば、このエラーとともに開封後有効期限を超過している試薬を収容した試薬容器35の位置情報を示したエラー画面またはエラー音声を出力する。このように、分析装置1においては、分析装置1が起動するごとに、各試薬容器35に付されたRFIDタグ35aの試薬開始時期を読み取り、この試薬開始時期をもとに開封後有効期限を超過している試薬容器35の有無を確認するため、開封後有効期限を超過した試薬の使用を防止した適正な分析処理を行なうことができる。
【0046】
そして、制御部41は、各試薬容器35内の試薬が開封後有効期限を超過していないと判断した場合(ステップS8:No)、または、エラー出力(ステップS10)による対応が終了した場合、試薬分注指示があるか否かを判断する(ステップS12)。
【0047】
制御部41は、試薬分注指示があるまで、ステップS12の判断処理を繰り返し、試薬分注指示があると判断した場合(ステップS12:Yes)、RFIDリーダライタ36に対して、分注対象である試薬が収容された試薬容器35に付されたRFIDタグ35aから使用開始時期と試薬残量とを読み取らせる(ステップS14)。
【0048】
次いで、制御部41は、RFIDリーダライタ36が読み取った情報のうち試薬開始時期をもとに、分注対象である試薬が収容された試薬容器35の試薬が対応する開封後有効期限を超過しているか否かを判断する(ステップS16)。制御部41は、試薬が開封後有効期限を超過していると判断した場合(ステップS16:Yes)、分注を指示された試薬が開封後有効期限を超過している期限超過エラーと判断する(ステップS18)。
【0049】
そして、制御部41は、試薬が開封後有効期限を超過していないと判断した場合(ステップS16:No)、または、期限超過エラー判断処理(ステップS18)が終了した場合、RFIDリーダライタ36が読み取った情報のうち試薬残量をもとに、分析において分注を指示された試薬が足りるか否かを判断する(ステップS20)。この場合、制御部41は、分注対象である試薬が用いられる分析項目で分析が受け付けされた検体数と、一度の分注処理において分注される試薬量と、試薬残量とをもとに、分析において分注を指示された試薬が足りるか否かを判断する。
【0050】
制御部41は、分析において分注を指示された試薬が足りないと判断した場合(ステップS20:No)、分注を指示された試薬が測定中に不足する試薬不足エラーと判断する(ステップS22)。そして、制御部41は、分析において分注を指示された試薬が足りると判断した場合(ステップS20:Yes)、または、試薬不足エラー判断処理(ステップS22)が終了した場合、期限超過エラーまたは試薬不足エラーがあるか否かを判断する(ステップS24)。
【0051】
制御部41は、期限超過エラーまたは試薬不足エラーがあると判断した場合(ステップS24:Yes)、出力部45に対してエラーを出力させ(ステップS26)、分析装置1を停止させる。この場合、表示部46は、たとえば図4に示すように、エラーが発生した試薬容器35の位置をマップ化した画像とともに、期限超過エラー、試薬不足エラーに起因する試薬容器35の試薬庫34内の位置、名称、ロット情報、ボトル情報、各エラー内容を対応づけて示したエラーメッセージM1を表示する。分析装置1の操作者は、このエラーメッセージM1を確認することによって、エラーの内容や、エラーが発生した試薬容器35の位置などを的確に認識することができる。また、出力部45は、各エラー内容を報知するエラー音声を出力してもよい。
【0052】
これに対し、制御部41は、期限超過エラーまたは試薬不足エラーがないと判断した場合(ステップS24:No)、分注を指示された試薬を用いて適正に分析を行なうことができると判断し、分注指示にしたがって試薬分注処理を行なう(ステップS28)。そして、制御部41は、前回のRFIDタグ書込時の試薬残量から今回の試薬分注処理において分注された試薬量を減じた量を新たな試薬残量として演算する(ステップS30)。そして、RFIDリーダライタ36は、分注処理が終了した試薬容器35に付されたRFIDタグ35a内の試薬残量を、制御部41によって演算された試薬残量に書き換える(ステップS32)。このように、分析装置1においては、分注処理が指示されるごとに各試薬容器35に付されたRFIDタグ35aの試薬残量を読み書きし、読み取った試薬残量で測定可能か否かを判断するため、測定中における試薬不足を回避した適正な分析処理を行なうことができる。
【0053】
次いで、制御部41は、測定終了を指示されたか否かを判断し(ステップS34)、測定終了を指示されたと判断した場合には(ステップS34:Yes)、装置の測定処理を終了し、測定終了を指示されていないと判断した場合には(ステップS34:No)、ステップS12に戻り、次に分注される試薬に対する指示の有無を判断する。
【0054】
このように、実施の形態にかかる分析装置1においては、各分析装置それぞれにおいて、試薬容器35に付されたRFIDタグ35aに試薬容器35内の試薬の使用によって発生する経過情報を随時書き込めるとともにRFIDタグ35aから経過情報を読み取って該RFIDタグ35aが付された試薬容器35内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができるか否かを判断している。言い換えると、分析装置1においては、個々の分析装置1内でRFIDタグ35aを読み書きして試薬管理を行なうことができる。
【0055】
すなわち、分析装置1においては、試薬容器35に付されたRFIDタグ35aに実際の使用開始時期および現試薬残量を記憶させているため、試薬開封時から設置された試薬容器35でない場合であっても、この試薬容器35のRFIDタグ35aを読み取ることによって、試薬容器35内の試薬の実際の使用開始時期および現試薬残量を個々の分析装置1それぞれで把握することができる。したがって、実施の形態によれば、RFIDタグ35aの情報を読み書きすることによって、分析装置1間で試薬開始時期および試薬残量の情報の受け渡しができる。
【0056】
このため、実施の形態にかかる分析装置1においては、図5に示すように、別の分析装置1で一旦使用した試薬容器35が移し変えられて再セットされた場合であっても、再セットされた試薬容器35のRFIDタグ35aを読み取ることによって、この試薬容器35の実際の使用開始時期および現試薬残量を正確に把握することができる。そして、分析装置1においては、読み取った使用開始時期および試薬残量をもとに、開封後有効期間超過および分析中の試薬不足発生の有無を判断するため、開封後有効期限を超過した試薬の使用を防止するとともに、分析中の試薬不足を回避することが可能になる。もちろん、図6に示すように、本実施の形態によれば、試薬容器35に付されたRFIDタグ35aの経過情報を読み取ることによって、複数の測定機構3を備えた分析装置1aにおいて他の測定機構3において使用されていた試薬容器35を異なる測定機構3に再セットした場合であっても、再セットされた試薬を用いて適正に分析を行なうことができる。
【0057】
また、分析装置1においては、個々の分析装置1内でRFIDタグ35aを読み書きして試薬管理を行なえるため、従来のように各分析装置をネットワーク回線で接続した大規模かつ複雑なシステムを構築する必要がなく、簡易な構成とすることできる。
【0058】
なお、本実施の形態においては、RFIDタグ35aから読み取った試薬残量および一検体あたりに使用される試薬量をもとに、試薬不足を予測し、試薬の補充を指示する警告を出力させて、操作者に対して試薬交換時期把握および試薬交換時期判断の支援を行なってもよい。この場合、表示部46は、制御部41の制御のもと、たとえば、図7に例示するように、試薬不足が予測される試薬容器35の試薬庫内の位置をマップ化した画像とともに、この試薬容器の位置、名称、現試薬残量で測定可能である検体数などを示した試薬補充メニューM2を表示する。操作者は、このような試薬補充メニューM2を確認することによって、試薬不足が予測される試薬容器35の位置、名称を把握できるとともに、この試薬で残り何検体の測定が可能であるかを認識することができるため、効率的かつ計画的な試薬交換処理を行なうことができる。
【0059】
また、上記実施の形態で説明した分析装置1は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。このコンピュータシステムは、所定の記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することで分析装置の処理動作を実現する。ここで、所定の記録媒体とは、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステムの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などのように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを保持する「通信媒体」など、コンピュータシステムによって読み取り可能なプログラムを記録する、あらゆる記録媒体を含むものである。また、このコンピュータシステムは、ネットワーク回線を介して接続した管理サーバや他のコンピュータシステムからプログラムを取得し、取得したプログラムを実行することで分析装置の処理動作を実現する。なお、上記実施の形態においては、図3に示すステップS12の後にステップS14,16の処理を行なっているが、ステップS8における有効期限超過の判断処理からステップS12の試薬分注指示までの経過時間が短い場合(たとえば、1日以内)には、有効期限超過の判断を繰り返す必要がないため、ステップS8において有効期限を超過していると判断した後にそのままステップS20に進んでもよい。この場合、ステップS14およびステップS16の処理を省略することができるため、全体の処理時間を短縮化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】実施の形態にかかる分析装置の要部構成を示す模式図である。
【図2】図1に示す試薬庫の要部を示す模式図である。
【図3】図1に示す分析装置における試薬の管理処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図1に示す表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図5】図1に示す試薬容器の移し変えを説明する図である。
【図6】図1に示す試薬容器の移し変えを説明する図である。
【図7】図1に示す表示部の表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0061】
1 分析装置
2 検体移送機構
3 測定機構
4 制御機構
21a 検体容器
21b 検体ラック
30 反応容器
32 検体分注部
32a,37a アーム
33 反応テーブル
34 試薬庫
35 試薬容器
35a RFIDタグ
36 RFIDリーダライタ
37 試薬分注部
38 攪拌部
39 測光部
40 洗浄部
41 制御部
42 入力部
43 分析部
44 記憶部
45 出力部
46 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬容器内の試薬を用いて検体を分析する分析装置において、
前記試薬容器に付され、所定周波数の電波を介して外部と通信可能である情報記憶媒体と、
前記情報記憶媒体に対して前記試薬容器内の試薬の使用によって発生する経過情報を書き込む書込手段と、
使用対象の試薬が収容された前記試薬容器に付された前記情報記憶媒体から前記経過情報を読み取る読取手段と、
前記読取手段によって読み取られた前記経過情報をもとに前記情報記憶媒体が付された試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができるか否かを判断する判断手段と、
を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記経過情報は、前記試薬容器内の試薬の使用開始時期であり、
前記書込手段は、前記試薬容器開封時をもとに前記使用開始時期を前記情報記憶媒体に書き込み、
前記読取手段は、前記試薬容器内の試薬使用前に前記情報記憶媒体から前記使用開始時期を読み取り、
前記判断手段は、前記試薬容器内の試薬使用前に、前記読取手段によって読み取られた前記使用開始時期をもとに該試薬容器内の試薬が所定の開封後有効期限を超過しているか否かを判断することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記経過情報は、前記試薬容器内の試薬残量であり、
前記書込手段は、前回書込時の試薬残量から前回書込時と今回書込時との間に使用された試薬量を減算した値を新たな前記試薬残量として前記情報記憶媒体に書き込み、
前記読取手段は、前記試薬容器内の試薬使用前に該試薬容器に付された前記情報記憶媒体から前記試薬残量を読み取り、
前記判断手段は、前記試薬容器内の試薬使用前に、前記読取手段によって読み取られた前記試薬残量をもとに分析において前記試薬が足りるか否かを判断することを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記判断手段が前記試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができないと判断した場合に前記試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができない旨を報知する警告を出力する出力手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項5】
前記読取手段は、当該分析装置が起動するごとに前記情報記憶媒体から前記経過情報を読み取り、
前記判断手段は、当該分析装置が起動するごとに、前記読取手段によって読み取られた前記経過情報をもとに該情報記憶媒体が付された試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができるか否かを判断することを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項6】
前記書込手段は、試薬分注処理後に前回書込時の試薬残量から該試薬分注処理によって分注された試薬量を減じた量を新たな前記試薬残量として前記情報記憶媒体に書き込み、
前記読取手段は、試薬分注処理前に、分注対象である試薬が収容された前記試薬容器に付された前記情報記憶媒体から前記試薬残量を読み取り、
前記判断手段は、試薬分注処理前に、前記読取手段によって読み取られた前記試薬残量をもとに分析において前記試薬が足りるか否かを判断することを特徴とする請求項3〜5のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項7】
試薬容器内の試薬を用いて検体を分析する分析方法において、
前記試薬容器に付され所定周波数の電波を介して外部と通信可能である情報記憶媒体に対して、前記試薬容器内の試薬の使用によって発生する経過情報を書き込む書込ステップと、
使用対象の試薬が収容された前記試薬容器に付された前記情報記憶媒体から前記経過情報を読み取る読取ステップと、
前記読取ステップにおいて読み取られた前記経過情報をもとに前記情報記憶媒体が付された試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができるか否かを判断する判断ステップと、
を含むことを特徴とする分析方法。
【請求項8】
前記経過情報は、前記試薬容器内の試薬の使用開始時期であり、
前記書込ステップは、前記試薬容器開封時をもとに前記使用開始時期を前記情報記憶媒体に書き込み、
前記読取ステップは、前記試薬容器内の試薬使用前に前記情報記憶媒体から前記使用開始時期を読み取り、
前記判断ステップは、前記試薬容器内の試薬使用前に、前記読取ステップにおいて読み取られた前記使用開始時期をもとに該試薬容器内の試薬が所定の開封後有効期限を超過しているか否かを判断することを特徴とする請求項7に記載の分析方法。
【請求項9】
前記経過情報は、前記試薬容器内の試薬残量であり、
前記書込ステップは、前回書込時の試薬残量から前回書込時と今回書込時との間に使用された試薬量を減算した値を新たな前記試薬残量として前記情報記憶媒体に書き込み、
前記読取ステップは、前記試薬容器内の試薬使用前に前記情報記憶媒体から前記試薬残量を読み取り、
前記判断ステップは、前記試薬容器内の試薬使用前に、前記読取ステップにおいて読み取られた前記試薬残量をもとに分析において前記試薬が足りるか否かを判断することを特徴とする請求項7または8に記載の分析方法。
【請求項10】
前記判断ステップにおいて前記試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができないと判断された場合に前記試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができない旨を報知する警告を出力する出力ステップをさらに含むことを特徴とする請求項7〜9のいずれか一つに記載の分析方法。
【請求項11】
前記読取ステップは、分析装置起動ごとに前記情報記憶媒体から前記経過情報を読み取り、
前記判断ステップは、分析装置起動ごとに、前記読取ステップにおいて読み取られた前記経過情報をもとに該情報記憶媒体が付された試薬容器内の試薬を用いて適正に分析を行なうことができるか否かを判断することを特徴とする請求項7〜10のいずれか一つに記載の分析方法。
【請求項12】
前記書込ステップは、試薬分注処理後に前回書込時の試薬残量から該試薬分注処理によって分注された試薬量を減じた量を新たな前記試薬残量として前記情報記憶媒体に書き込み、
前記読取ステップは、試薬分注処理前に、分注対象である試薬が収容された前記試薬容器に付された前記情報記憶媒体から前記試薬残量を読み取り、
前記判断ステップは、試薬分注処理前ごとに、前記読取ステップにおいて読み取られた前記試薬残量をもとに分析において前記試薬容器内の試薬が足りるか否かを判断することを特徴とする請求項9〜11のいずれか一つに記載の分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−224384(P2008−224384A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−62220(P2007−62220)
【出願日】平成19年3月12日(2007.3.12)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】