説明

分析装置および分析方法

【課題】装置内で使用する容器内の液体温度に起因してキャリブレーション測定値にばらつきが生じた場合における処理時間、キャリブレーター、試薬および試薬の無駄を低減することができる分析装置および分析方法を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる分析装置1は、BF液通過部位の温度が、所定の条件を満足している場合には正しいキャリブレーション測定値を得ることができるため、そのままキャリブレーション処理を実行し、BF液通過部位の温度が所定の条件を満足していないと判定した場合には、キャリブレーターを使用したダミーキャリブレーション処理を実行し、このダミーキャリブレーション処理後のBF液通過部位の温度が所定の条件を満足している場合にはダミーキャリブレーション処理における測定結果をもとに検量線を作成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、既知の結果を示すキャリブレーターに対する測定結果をもとに検量線を作成するキャリブレーション処理を行なって分析精度を維持する分析装置および分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
分析装置は、多数の検体に対する分析処理を同時に行ない、さらに、多成分を迅速に、かつ、高精度で分析できるため、免疫検査、生化学検査、輸血検査などさまざまな分野での検査に用いられている。たとえば、免疫検査を行なう分析装置は、反応容器内で検体と試薬とを反応させる反応機構、反応容器内への緩衝液の吐出・吸引によって反応容器内の未反応物質を除去する除去機構、各試薬と検体とが反応して生成される免疫複合体の作用による発光基質の発光量を測定する測光部をそれぞれ複数のターンテーブル上に配置し、さらに検体、試薬および反応液を各機構に分注または移送する複数の分注部を備え、様々な分析内容の免疫検査を行っている。
【0003】
このような分析装置においては、分析精度を確保するため、試薬補充時に既知の結果を示すキャリブレーターを分析した分析結果をもとに測光処理の基準となる検量線を設定するキャリブレーション処理を行なう必要がある。このキャリブレーション処理を正常に行なうため、従来では、取得したキャリブレーション測定値が正常値範囲を超えてしまった場合に手動でキャリブレーション処理再開の受付を行なう方式や予め記憶されているデータを異常値データと置き換える方式、キャリブレーション測定値を周期的に取得して検量線を自動先に再作成する方式、キャリブレーション測定値を複数回取得してデータが正常値に入るまでスリット幅や発光機構の出力等のハードウェア側の調整を行ないながら再測定を繰り返す方式が提案されている(特許文献1〜5参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2007−078375号公報
【特許文献2】特開2002−196005号公報
【特許文献3】特開昭62−144071号公報
【特許文献4】特許第1856357号公報
【特許文献5】特公平5−70097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、検量線設定のために取得されるキャリブレーション測定値は、キャリブレーション処理実行時の装置温度、試薬状態、外気温、湿度などの外的要因によって、大きくばらついてしまう場合がある。特に、洗浄液などの液体を大型の容器を用いて装置内に保持する分析装置の場合には、容器内の液体温度と装置外温とは大きく異なるため、キャリブレーション測定値にばらつきが生じやすくなってしまう。キャリブレーション測定値にばらつきがあることは、実際に検体を分析することによって容易に発見できるものの、このようなばらついたキャリブレーション測定値をもとに作成された検量線を用いて検体を分析した場合には、検体の分析結果もばらついてしまう。したがって、検体に対する正確な分析結果を得るには、再度キャリブレーション処理を行なって正確な検量線を作成した後に改めて検体を分析する必要があることから、キャリブレーション測定値にばらつきがある場合には、検体に対する正しい分析結果を得るまでに、処理時間、キャリブレーター、試薬および試薬に無駄が生じてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、装置内で使用する容器内の液体温度に起因してキャリブレーション測定値にばらつきが生じた場合における処理時間、キャリブレーター、試薬および試薬の無駄を低減することができる分析装置および分析方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる分析装置は、既知の結果を示すキャリブレーターに対する測定結果をもとに検量線を作成するキャリブレーション処理を行なって分析精度を維持する分析装置において、分析処理に使用される所定の液体が通過する部位の温度を測定する温度測定手段と、前記温度測定手段によって測定された温度が所定の条件を満足しているか否かを判定する判定手段と、前記判定手段が前記温度測定手段によって測定された温度が所定の条件を満足していると判定した場合にキャリブレーション処理を実行させ、前記判定手段が前記温度測定手段によって測定された温度が所定の条件を満足していないと判定した場合に前記キャリブレーターを使用したダミーキャリブレーション処理を実行させる制御手段と、を備え、前記温度測定手段は、前記ダミーキャリブレーション処理後に前記所定の液体が通過する部位の温度を再度測定し、前記判定手段は、前記ダミーキャリブレーション処理後に前記温度測定手段によって測定された温度が所定の条件を満足しているか否かを再度判定し、前記制御手段は、前記判定手段が前記ダミーキャリブレーション処理後に前記温度測定手段によって測定された温度が所定の条件を満足していると判定した場合には前記ダミーキャリブレーション処理における測定結果をもとに検量線を作成することを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかる分析装置は、分析結果を含む情報を出力する出力手段をさらに備え、前記制御手段は、前記判定手段が前記ダミーキャリブレーション処理後に前記温度測定手段によって測定された温度が所定の条件を満足していないと判定した場合には、キャリブレーション処理を中止し、前記出力手段は、前記分析処理に使用される所定の液体が通過する部位の温度が前記所定の条件を満足していないためキャリブレーション処理を中止する旨を示す警告を出力することを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる分析装置は、前記判定手段が前記ダミーキャリブレーション処理後に前記温度測定手段によって測定された温度が所定の条件を満足していないと判定した場合には、前記ダミーキャリブレーション処理における測定結果をもとに作成された検量線を補正する補正手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる分析装置は、前記所定の液体は、緩衝液であることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる分析方法は、既知の結果を示すキャリブレーターに対する測定結果をもとに検量線を作成するキャリブレーション処理を行なって分析精度を維持する分析方法において、分析処理に使用される所定の液体が通過する部位の温度を測定する第1の温度測定ステップと、前記第1の温度測定ステップによって測定された温度が所定の条件を満足しているか否かを判定する第1の判定ステップと、前記判定ステップにおいて前記温度測定ステップで測定された温度が所定の条件を満足していると判定した場合にキャリブレーション処理を実行させ、前記判定ステップが前記温度測定ステップで測定された温度が所定の条件を満足していないと判定した場合に前記キャリブレーターを使用したダミーキャリブレーション処理を実行させる第1の制御ステップと、前記ダミーキャリブレーション処理後に前記所定の液体が通過する部位の温度を測定する第2の温度測定ステップと、前記第2の温度測定ステップにおいて測定された温度が前記所定の条件を満足しているか否かを再度判定する第2の判定ステップと、前記第2の判定ステップにおいて、前記第2の温度測定ステップで測定された温度が前記所定の条件を満足していると判定した場合には前記ダミーキャリブレーション処理における測定結果をもとに検量線を作成する第2の制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、分析処理に使用される所定の液体が通過する部位の温度が、所定の条件を満足している場合には正しいキャリブレーション測定値を得ることができるため、そのままキャリブレーション処理を実行し、所定の液体が通過する部位の温度が所定の条件を満足していないと判定した場合には、キャリブレーターを使用したダミーキャリブレーション処理を実行し、このダミーキャリブレーション処理後の所定の液体が通過する部位の温度が所定の条件を満足している場合にはダミーキャリブレーション処理における測定結果をもとに検量線を作成することによって、ばらつき値の少ないキャリブレーション測定値をもとに正しい検量線を作成することができるため、装置内で使用する容器内の液体温度に起因してキャリブレーション測定値にばらつきが生じた場合における処理時間、キャリブレーター、試薬および試薬の無駄を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である分析装置について、生化学検査、輸血検査などの各分野のうち、被検血液の抗原抗体反応などの免疫検査を行なう分析装置を例に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0014】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。実施の形態1においては、分析処理に使用される所定の液体が通過する部位の温度が所定の条件を満足していないと判定した場合には、ダミーのキャリブレーション処理を実行する場合について説明する。
【0015】
図1は、本実施の形態1にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる分析装置1は、検体と試薬との間の反応物の作用による発光基質の発光量を測定する測定機構2と、測定機構2を含む分析装置1全体の制御を行なうとともに測定機構2における測定結果の分析を行なう制御機構4とを備える。分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の免疫学的な分析を自動的に行なう。
【0016】
まず、測定機構2について説明する。測定機構2は、大別して検体移送部21、チップ格納部22、検体分注部23、免疫反応テーブル24、BFテーブル25、第1試薬庫26、第2試薬庫27、第1試薬分注部28、第2試薬分注部29、酵素反応テーブル30、測光部31、第1反応管移送部32および第2反応管移送部33を備える。測定機構2の各構成部位は、所定の動作処理を行なう単数または複数のユニットを備える。
【0017】
検体移送部21は、検体を収容した複数の検体容器21aを保持し、図中の矢印方向に順次移送される複数の検体ラック21bを備える。検体容器21aに収容された検体は、検体の提供者から採取した血液または尿などである。
【0018】
チップ格納部22は、複数のチップを整列したチップケースを設置しており、このケースからチップを供給される。このチップは、感染症項目測定時のキャリーオーバー防止のため、検体分注部23のノズル先端に装着され、検体分注ごとに交換されるディスポーザブルのサンプルチップである。
【0019】
検体分注部23は、検体の吸引および吐出を行なうプローブが先端部に取り付けられ鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。検体分注部23は、検体移送部21によって所定位置に移動された検体容器21a内の検体をプローブによって吸引し、アームを旋回させ、BFテーブル25によって所定位置に搬送された反応管に分注して検体を所定タイミングでBFテーブル25上の反応管内に移送する。
【0020】
免疫反応テーブル24は、それぞれ配置された反応管内で検体と分析項目に対応する所定の試薬とを反応させるための反応ラインを有する。免疫反応テーブル24は、免疫反応テーブル24の中心を通る鉛直線を回転軸として反応ラインごとに回動自在であり、免疫反応テーブル24に配置された反応管を所定タイミングで所定位置に移送する。免疫反応テーブル24においては、図1に示すように、前処理、前希釈用の外周ライン24a、検体と固相担体試薬との免疫反応用の中周ライン24bおよび検体と標識試薬との免疫反応用の内周ライン24cを有する3重の反応ライン構造を形成してもよい。
【0021】
BFテーブル25は、所定の洗浄液を吸引吐出して検体または試薬における未反応物質を分離するBF(bound−free)分離を実施するBF洗浄処理を行なう。BFテーブル25は、BFテーブル25の中心を通る鉛直線を回転軸として反応ラインごとに回動自在であり、BFテーブル25に配置された反応管を所定タイミングで所定位置に移送する。BFテーブル25は、BF分離に必要な磁性粒子を集磁する集磁機構と、緩衝液であるBF液を反応管内に吐出・吸引してBF分離を実施するBF洗浄ノズルを有するBF洗浄部251とを有する。このBFテーブル25におけるBF洗浄処理として、第1BF洗浄処理および第2BF洗浄処理が行われる。
【0022】
第1BF洗浄処理および第2BF洗浄処理において緩衝液として使用されるBF液は、分析装置1内に設置された大型の容器内に保持されたものである。図2を参照して、BF液保持機構について説明する。図2に示すように、BF液保持機構は、BF液を保持するBF液タンク254と、BF液タンク254とBF洗浄部251とを接続する管258とを有する。BF洗浄処理においては、BF液タンク254内のBF液は、管258を介してBF洗浄部251に供給され、BF液吐出ノズル251aから反応管10内に吐出された後、BF液吸引ノズル251bから吸引され廃棄される。
【0023】
ここで、このBF液が通過する各部位には、この各部位の温度を測定する温度センサが設けられている。具体的には、BF液を保持するBF液タンク254には、内部に保持されるBF液の温度を検出する温度センサ254tが設けられており、BF液タンク254から送出されたBF液が通過する管258には、この管258の温度を測定する温度センサ258tが設けられており、さらに、BF液を反応管10内に吐出するBF液吐出ノズル251aには、BF液吐出ノズル251a先端部分の温度を測定する温度センサ251tが設けられている。これらの各温度センサ251t,254t,258tは、制御部41の制御のもと、測定対象の温度を測定し、測定した各測定対象の温度を制御部41に出力する。
【0024】
第1試薬庫26は、BFテーブル25に配置された反応管内に分注される第1試薬が収容された第1試薬容器26aを複数収納できる。第2試薬庫27は、BFテーブル25に配置された反応管内に分注される第2試薬が収容された第2試薬容器27aを複数収納できる。第1試薬庫26および第2試薬庫27は、図示しない駆動機構が駆動することによって、時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の試薬容器を第1試薬分注部28または第2試薬分注部29による試薬吸引位置まで移送する。第1試薬は、分析対象である検体内の抗原または抗体と特異的に結合する反応物質を固相した不溶性担体である磁性粒子を含む試薬である。第2試薬は、磁性粒子と結合した抗原または抗体と特異的に結合する標識物質(たとえば酵素)を含む試薬である。また、第2試薬庫27は、標識物質との酵素反応によって発光する基質を含む基質液が収容された基質液容器27bを収納し、時計回りまたは反時計回りに回動して所定の基質液容器27bを第1試薬分注部28による基質液吸引位置まで搬送する。
【0025】
第1試薬分注部28は、第1試薬の吸引および吐出を行なうプローブが先端部に取り付けられ鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。第1試薬分注部28は、第1試薬庫26によって所定位置に移動された第1試薬容器26a内の試薬をプローブによって吸引し、アームを旋回させ、BFテーブル25によって所定位置に搬送された反応管に分注する。また、第1試薬分注部28は、第2試薬庫27によって所定位置に移動された基質液容器27b内の基質液をプローブによって吸引し、アームを旋回させ、BFテーブル25によって基質液吐出位置に搬送された反応管に分注する。
【0026】
第2試薬分注部29は、第1試薬分注部28と同様の構成を有し、第2試薬庫27によって所定位置に移動された試薬容器内の試薬をプローブによって吸引し、アームを旋回させ、BFテーブル25によって所定位置に搬送された反応管に分注する。
【0027】
酵素反応テーブル30は、反応管内に注入された基質液内の基質が発光可能となる酵素反応処理を行なうための反応ラインである。測光部31は、反応管内の反応液内の基質から発する発光を測定する。測光部31は、たとえば、化学発光で生じた微弱な発光を検出する光電子倍増管を有し、カウント法を用いて発光量を測定する。また、測光部31は、光学フィルターを保持し、発光強度に応じて光学フィルターにより減光された測定値によって真の発光強度を算出する。
【0028】
第1反応管移送部32は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行ない、液体を収容した反応管を所定タイミングで、免疫反応テーブル24、BFテーブル25、酵素反応テーブル30、図示しない反応管供給部および図示しない反応管廃棄部の所定位置に移送するアームを備える。また、第2反応管移送部33は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行ない、液体を収容した反応管を所定タイミングで、酵素反応テーブル30、測光部31、図示しない反応管廃棄部の所定位置に移送するアームを備える。
【0029】
つぎに、制御機構4について説明する。制御機構4は、制御部41、入力部43、分析部44、記憶部46、出力部47および送受信部49を備える。測定機構2および制御機構4が備えるこれらの各部は、制御部41に電気的に接続されている。制御機構4は、一または複数のコンピュータシステムを用いて実現され、測定機構2に接続する。制御機構4は、分析装置1の各処理にかかわる各種プログラムを用いて、測定機構2の動作処理の制御を行なうとともに測定機構2における測定結果の分析を行なう。
【0030】
制御部41は、制御機能を有するCPU等を用いて構成され、分析装置1の各構成部位の処理および動作を制御する。制御部41は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行ない、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行なう。制御部41は、記憶部46が記憶するプログラムをメモリから読み出すことにより分析装置1の制御を実行する。制御部41は、判定部42を備える。
【0031】
ここで、分析装置1は既知の結果を示すキャリブレーターに対して分析項目に応じた試薬を実際に用いて分析を行ない、このキャリブレーターに対する分析結果をもとに、測光処理の基準となる検量線を設定するキャリブレーション処理を分析項目ごとに行なって、分析精度を確保している。このキャリブレーション処理において検量線設定のために取得されるキャリブレーション測定値は、キャリブレーション処理実行時の装置温度、試薬状態、外気温、湿度などの外的要因によって、大きくばらついてしまう場合がある。特に、BF液などの液体を大型の容器を用いて装置内に保持する場合には、容器内のBF液温度と装置外温とは大きく異なるため、BF液温度が設定温度より低くなってしまう場合がある。このようにBF液温度が設定温度よりも低くなってしまう場合には、BF分離が正確に行なわれず、キャリブレーション測定値にばらつきが生じやすくなってしまう。
【0032】
このため、分析装置1においては、キャリブレーション処理実行前に、BF液が通過する各部位の温度を温度センサ251t,254t,258tに測定させる。そして、分析装置1は、BF液が通過する部位の温度が所定の条件を満足しているか否かに応じて、キャリブレーション処理の実行を制御している。
【0033】
制御部41が備える判定部42は、各温度センサ251t,254t,258tによって測定されたBF液が通過する部位の温度またはBF液温度が、所定の条件を満足しているか否かを判定する。この所定の条件は、予め設定されているほか、分析装置1の操作者の操作によって入力部43から入力された指示情報をもとに設定される。
【0034】
制御部41は、判定部42の判定結果に応じてキャリブレーション処理の実行を制御している。具体的には、制御部41は、判定部42が温度センサ251t,254t,258tによって測定された温度が所定の条件を満足していると判定した場合には、BF分離が正確に行なわれることから、正しいキャリブレーション測定値を得ることができるため、そのままキキャリブレーション処理を実行させる。
【0035】
これに対し、制御部41は、判定部42が温度センサ251t,254t,258tによって測定された温度が所定の条件を満足していないと判定した場合には、BF分離が正確に行なわれないおそれがあることから、キャリブレーション処理ではなく、キャリブレーターを使用したダミーキャリブレーション処理を実行する。そして、制御部41は、ダミーキャリブレーション処理後、再度、温度センサ251t,254t,258tに、BF液が通過する部位の温度およびBF液温度を測定させる。判定部42は、このダミーキャリブレーション処理後のBF液が通過する部位およびBF液の温度が所定の条件を満足しているか否かを判定する。
【0036】
制御部41は、ダミーキャリブレーション処理後に判定部42が温度センサ251t,254t,258tによって測定された温度が所定の条件を満足していると判定した場合には、ダミーキャリブレーション処理におけるキャリブレーション測定値がBF液温度に起因するばらつきを含まない正確なものであることから、そのままダミーキャリブレーション処理における測定結果をもとに検量線を作成する。一方、制御部41は、ダミーキャリブレーション処理後に判定部42が温度センサ251t,254t,258tによって測定された温度が所定の条件を満足していないと判定した場合には、ダミーキャリブレーション処理におけるキャリブレーション測定値がBF液温度に起因するばらつきを有するものであるおそれがあることから、ダミーキャリブレーション処理における測定結果を廃棄するとともに、キャリブレーション処理自体も中止する。
【0037】
このように、分析装置1は、BF液温度に起因するばらつきを含まない正確なキャリブレーション測定値のみを採用して検量線を正確に作成するため、BF液の温度に起因したばらつきを含むキャリブレーション測定値を用いて検量線を作成することを防止し、ばらつきを含むキャリブレーション測定値を用いて作成された検量線を使用して検体を分析した場合における処理時間、キャリブレーター、試薬および試薬の無駄を低減することができる。
【0038】
入力部43は、種々の情報を入力するためのキーボード、出力部47を構成するディスプレイの表示画面上における任意の位置を指定するためのマウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。また、入力部43は、判定部42による判定で使用される温度センサ251t,254t,258tによって測定された温度に対する所定の条件を制御部41に入力する。分析部44は、測定機構2から取得した測定結果に基づいて検体に対する分析処理等を行なう。
【0039】
記憶部46は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部46は、判定部42における判定処理のもととなる温度センサ251t,254t,258tによって測定された温度に対する所定の条件を記憶する。記憶部46は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。
【0040】
出力部47は、ディスプレイを用いて構成された表示部48を有するほか、プリンタ、スピーカー等を用いて構成される。出力部47は、制御部41の制御のもと、分析に関する諸情報を出力する。出力部47は、判定部42がダミーキャリブレーション処理後に前記温度測定手段によって測定された温度が所定の条件を満足していないと判定した場合には、分析処理に使用されるBF液が通過する部位の温度が所定の条件を満足していないためキャリブレーション処理を中止する旨を示す警告を出力する。送受信部49は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがった情報の送受信を行なうインターフェースとしての機能を有する。
【0041】
つぎに、分析装置1によるキャリブレーション処理の処理手順について説明する。図3は、分析装置1によるキャリブレーション処理の処理手順を示すフローチャートである。図3に示すように、まず、制御部41は、入力部43からの指示情報などをもとに、キャリブレーション処理の開始指示があるか否かを判断する(ステップS2)。入力部43は、操作者の入力部43の操作によって、キャリブレーション処理の開始が指示された場合には、キャリブレーション処理の開始を指示する指示情報を制御部41に入力する。
【0042】
制御部41は、キャリブレーション処理の開始指示があると判断するまでステップS2の判断処理を繰り返し、キャリブレーション処理の開始指示があると判断した場合(ステップS2:Yes)、判定部42による温度判定処理を行なう(ステップS4)。
【0043】
この温度判定処理においては、まず、制御部41が、各温度センサ251t,254t,258tに対し、BF液が通過する部位の温度またはBF液温度を測定させる。そして、判定部42は、各温度センサ251t,254t,258tによって測定されたBF液が通過する部位の温度またはBF液温度が、所定の条件を満足しているか否かを判定し、判定結果を制御部41に出力する。
【0044】
ここで、判定処理において使用される所定の条件は、分析装置1内で分析処理に使用されるデバイスや液習熟者ごとに予め設定された条件式であり、たとえば図4に例示する条件入力メニューM1に対する入力部43の操作によって設定される。この条件入力メニューM1は、条件設定の指示情報が制御部41に入力された場合に、表示部48の画面上に表示される。条件入力メニューM1には、BF液分注器であるBF液吐出ノズル251aの先端温度、装置洗浄液温度であるBF液タンク254内のBF液温度、および、装置内配管である管258の温度に対する条件を設定できる欄C11,C12,C21,C22,C31,C32がそれぞれ設けられており、各欄の左側には、各部位に対応するチェックボックスCb1,Cb2,Cb3が設けられている。たとえば、ユーザは、BF液温度の条件を設定する場合には、マウスを操作してカーソルCを移動し、マウスのボタンをクリックすることによって、チェックボックスCb2を選択した後、欄C21でBF液の下限温度を指定し、欄C22でBF液の上限温度を指定する。そして、ユーザは、マウスを操作して、OK欄C4を選択する。これによって、ユーザに指定されたBF液の下限温度および上限温度が、入力部43から制御部41に入力されBF液の温度判定における条件、すなわち、温度センサ254tが測定した温度に対する条件として設定される。
【0045】
制御部41は、判定部42から出力された判定結果をもとに、判定対象となる全ての部位の温度およびBF液の温度が、各所定の条件を満足しているか否かを判断する(ステップS6)。
【0046】
制御部41は、判定対象となる全ての部位の温度およびBF液の温度が、各所定の条件を満足していると判断した場合には(ステップS6:Yes)、BF分離が正確に行なわれることから、正しいキャリブレーション測定値を得ることができるため、そのままキャリブレーション処理を実行させて(ステップS8)、キャリブレーション測定値をもとに検量線を作成した後、通常分析処理を許可し(ステップS20)、このキャリブレーション処理において作成した検量線を用いて検体に対する分析処理を行なう。
【0047】
これに対し、制御部41は、判定対象となる全ての部位の温度およびBF液の温度が、各所定の条件を満足していないと判断した場合には(ステップS6:No)、BF分離が正確に行なわれないおそれがあることから、キャリブレーション処理ではなく、ダミーキャリブレーション処理を実行させる(ステップS10)。このダミーキャリブレーション処理は、本来のキャリブレーション処理と同様に、キャリブレーターおよび試薬を用いてキャリブレーション処理と同様の処理手順でキャリブレーション測定値を取得する。
【0048】
その後、判定部42は、再度、温度判定処理を行なう(ステップS12)。すなわち、各温度センサ251t,254t,258tに対し、BF液が通過する部位の温度またはBF液温度を測定させてから、判定部42は、各温度センサ251t,254t,258tによって測定されたBF液が通過する部位の温度またはBF液温度が、前述した所定の条件を満足しているか否かを判定し、判定結果を制御部41に出力する。
【0049】
制御部41は、判定部42から出力された再度の判定結果をもとに、ダミーキャリブレーション処理後の各部位の温度およびBF液の温度が、各所定の条件を満足しているか否かを判断する(ステップS14)。
【0050】
制御部41は、判定部42がダミーキャリブレーション処理後の各部位の温度およびBF液の温度が、各所定の条件を満足していると判断した場合には(ステップS14:Yes)、ダミーキャリブレーション処理におけるキャリブレーション測定値がBF液温度に起因するばらつきを含まない正確なものであることから、そのままダミーキャリブレーション処理における測定結果を採用し(ステップS16)、このダミーキャリブレーション処理の結果をもとに検量線を作成する(ステップS18)。そして、制御部41は、通常分析処理を許可し(ステップS20)、このダミーキャリブレーション処理の測定結果をもとに作成した検量線を用いて検体に対する分析処理を行なう。
【0051】
一方、制御部41は、判定部42がダミーキャリブレーション処理後の各部位の温度およびBF液の温度が各所定の条件を満足していないと判断した場合には(ステップS14:No)、ダミーキャリブレーション処理におけるキャリブレーション測定値にも、BF液温度に起因するばらつきが含まれるおそれがあることから、出力部47に、分析処理に使用されるBF液が通過する部位の温度が所定の条件を満足していないためキャリブレーション処理を中止する旨を示す警報を出力させる(ステップS22)。この場合、表示部48は、図5に例示するように、BF液低温のためにキャリブレーション処理を中止する旨を示すエラーメッセージM2を表示出力する。操作者は、このエラーメッセージM2を確認することによって、BF液低温のためにキャリブレーション処理が実行されないことを認識でき、BF液温度を所定温度として再度キャリブレーション処理を行なうために、BF液温度の調製処理などの各処理を円滑に実行することができる。
【0052】
次いで、制御部41は、ダミーキャリブレーション処理における測定結果を廃棄して、キャリブレーション処理自体も中止する(ステップS24)。そして、制御部41は、正確な検量線作成が行なえなかったため、通常分析処理も不許可とする設定を行い(ステップS26)、ばらついたキャリブレーション測定値をもとに作成された検量線を用いた検体分析処理を防止する。
【0053】
このように、分析装置1は、BF液温度に起因するばらつきを含まない正確なキャリブレーション測定値のみを採用して検量線を正確に作成するため、BF液の温度に起因したばらつきを含むキャリブレーション測定値を用いて検量線を作成することを防止し、ばらつきを含むキャリブレーション測定値を用いて作成された検量線を使用して検体を分析した場合における処理時間、キャリブレーター、試薬および試薬の無駄を低減することができる。
【0054】
また、分析装置1は、BF液温度が所定の条件を満たしていない場合であっても、ダミーキャリブレーション処理を実行し、ダミーキャリブレーション処理後に再度行なったBF液に関する判定処理でBF液温度が所定の条件を満たす場合には、ダミーキャリブレーション処理におけるキャリブレーション測定値を採用して検量線を作成するため、ダミーキャリブレーション処理の測定結果を無駄にすることなく有効に利用することができる。
【0055】
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2について説明する。図6は、本実施の形態2にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図6に示すように、実施の形態2にかかる分析装置201は、補正部245をさらに備えた制御機構204を有する。なお、制御部241は、図1に示す制御部41と同様の機能を有するとともに、補正部245の制御を行なう。また、分析装置201は、分析装置1と同様に、図2に示すBF液保持機構を有する。
【0056】
補正部245は、ダミーキャリブレーション処理後に判定部42が温度センサ251t,254t,258tによって測定された各部位の温度およびBF液温度が所定の条件を満足していないと再度判定した場合には、ダミーキャリブレーション処理における測定結果をもとに作成された検量線を補正する。
【0057】
つぎに、分析装置201によるキャリブレーション処理の処理手順について説明する。図7は、分析装置201によるキャリブレーション処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0058】
図7に示すように、分析装置201は、図3に示すステップS2〜ステップS6と同様に、制御部241によるキャリブレーション開始指示有無の判断処理(ステップS202)、温度判定処理(ステップS204)、条件満足判断処理(ステップS206)を行い、制御部241によって判定対象となる全ての部位の温度およびBF液の温度が、各所定の条件を満足していると判断された場合には(ステップS206:Yes)、キャリブレーション処理(ステップS208)を実行した後、通常分析処理を許可する(ステップS220)。
【0059】
一方、分析装置201は、図3に示すステップS8〜ステップS14と同様に、制御部241によって判定対象となる全ての部位の温度およびBF液の温度が各所定の条件を満足していないと判断された場合には(ステップS206:No)、ダミーキャリブレーション処理(ステップS210)、温度判定処理(ステップS212)、条件満足判断処理(ステップS214)を行なう。そして、分析装置201は、制御部241によって、判定対象となる全ての部位の温度およびBF液の温度が各所定の条件を満足していると判断された場合には(ステップS214:Yes)、図3に示すステップS16〜ステップS20と同様に、ダミーキャリブレーション結果採用処理(ステップS216)、検量線作成処理(ステップS218)を行なった後、通常分析処理を許可する(ステップS220)。
【0060】
これに対し、制御部241は、判定対象となる全ての部位の温度およびBF液の温度が各所定の条件を満足していないと判断した場合には(ステップS214:No)、入力部43から入力された指示情報などをもとに、キャリブレーションの補正指示があるか否かを判断する(ステップS221)。たとえば、制御部241は、判定対象となる全ての部位の温度およびBF液の温度が各所定の条件を満足していないと判断した場合に、表示部48に対して、BF液温度などが所定の条件を満足しない旨およびキャリブレーションの補正処理を行なうか否かを選択できる選択欄を示したメニューを表示出力させる。そして、操作者は、このメニューの各選択欄を入力部43の操作によって選択することによって、キャリブレーションの補正処理を行なうか否かを選択する。操作者による入力部43の操作によって、キャリブレーションの補正処理実施に対応する選択欄が選択された場合には、入力部43からキャリブレーションの補正処理実施を指示する指示情報が入力される。また、操作者による入力部43の層さによって、キャリブレーションの補正処理不実施に対応する選択欄が選択された場合には、入力部43からキャリブレーションの補正処理不実施を指示する指示情報が入力される。
【0061】
分析装置201は、制御部241がキャリブレーションの補正指示がないと判断した場合(ステップS221:No)、図3に示すステップS22〜ステップS26と同様に、出力部47によるキャリブレーション中止に関する警報出力処理(ステップS222)、キャリブレーション処理中止処理(ステップS224)および通常分析処理不許可処理(ステップS226)を行なう。
【0062】
これに対し、緊急検体測定対応時などの場合のように早急に検体分析を行なわなければならない場合など、制御部241がキャリブレーションの補正指示があったと判断した場合(ステップS221:Yes)、制御部241は、ダミーキャリブレーション処理の結果をもとに検量線を作成し、次いで、補正部245は、ダミーキャリブレーション処理における測定結果をもとに作成された検量線を補正する補正処理を行なう(ステップS228)。補正部245は、たとえば、操作者の入力部43の操作によって、各パラメータの再設定が行なわれた場合には、この再設定された各パラメータにもとづいて検量線を補正する。また、補正部245は、温度センサ251t,254t,258tによって測定された各部位の温度およびBF液温度の所定条件からの外れ量に応じて予め設定されていた各パラメータにもとづいて自動的に検量線を補正してもよい。そして、制御部241は、通常分析処理を許可し(ステップS220)、この補正された検量線を用いて検体に対する分析処理を行なう。
【0063】
このように、実施の形態2にかかる分析装置201においては、ダミーキャリブレーション処理後に各部位の温度およびBF液温度が再度所定条件を満たさなかった場合であってもダミーキャリブレーション処理結果をもとに作成された検量線を補正し、補正した検量線を用いて分析処理を実行できるため、緊急検体などを分析する場合であっても分析処理を中止することなくそのまま継続することができるとともに、ダミーキャリブレーション処理に要したキャリブレーター、試薬および時間の無駄を確実になくすことが可能になる。
【0064】
なお、本実施の形態1および2においては、免疫検査を行なうBF液が通過する部位の温度に応じてキャリブレーション処理内容を変更する場合を例に説明したが、もちろんBF液に限らず、他の洗浄液や他の使用液体などが通過する部位の温度に応じてキャリブレーション処理内容を変更してもよい。
【0065】
また、本実施の形態1および2においては、BF液を使用する免疫検査を行なう分析装置を例に説明したが、もちろん、生化学検査、輸血検査などを行なう他の分析装置であって、使用する液体の温度に応じてキャリブレーション処理の測定結果にばらつきが生じる装置にも同様に適用可能である。
【0066】
また、上記実施の形態で説明した分析装置1,201は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。このコンピュータシステムは、所定の記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することで分析装置の処理動作を実現する。ここで、所定の記録媒体とは、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステムの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などのように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを保持する「通信媒体」など、コンピュータシステムによって読み取り可能なプログラムを記録する、あらゆる記録媒体を含むものである。また、このコンピュータシステムは、ネットワーク回線を介して接続した管理サーバや他のコンピュータシステムからプログラムを取得し、取得したプログラムを実行することで分析装置の処理動作を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施の形態1にかかる分析装置の構成を示す模式図である。
【図2】図1に示す分析装置におけるBF液保持機構の構成を示す模式図である。
【図3】図1に示す分析装置によるキャリブレーション処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図4】図1に示す表示部の表示画面の一例である。
【図5】図1に示す表示部の表示画面の一例である。
【図6】本実施の形態2にかかる分析装置の構成を示す模式図である。
【図7】図6に示す分析装置によるキャリブレーション処理の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0068】
1,201 分析装置
2 測定機構
4,204 制御機構
21 検体移送部
21a 検体容器
21b 検体ラック
22 チップ格納部
23 検体分注部
24 免疫反応テーブル
24a 外周ライン
24b 中周ライン
24c 内周ライン
25 BFテーブル
26 第1試薬庫
26a 第1試薬容器
27 第2試薬庫
27a 第2試薬容器
27b 基質液容器
28 第1試薬分注部
29 第2試薬分注部
30 酵素反応テーブル
31 測光部
32 第1反応管移送部
33 第2反応管移送部
41,241 制御部
42 判定部
43 入力部
44 分析部
46 記憶部
47 出力部
48 表示部
49 送受信部
245 補正部
251 BF洗浄部
251a BF液吐出ノズル
251b BF液吸引ノズル
251t,254t,258t 温度センサ
254 BF液タンク
258 管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
既知の結果を示すキャリブレーターに対する測定結果をもとに検量線を作成するキャリブレーション処理を行なって分析精度を維持する分析装置において、
分析処理に使用される所定の液体が通過する部位の温度を測定する温度測定手段と、
前記温度測定手段によって測定された温度が所定の条件を満足しているか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段が前記温度測定手段によって測定された温度が所定の条件を満足していると判定した場合にキャリブレーション処理を実行させ、前記判定手段が前記温度測定手段によって測定された温度が所定の条件を満足していないと判定した場合に前記キャリブレーターを使用したダミーキャリブレーション処理を実行させる制御手段と、
を備え、
前記温度測定手段は、前記ダミーキャリブレーション処理後に前記所定の液体が通過する部位の温度を再度測定し、
前記判定手段は、前記ダミーキャリブレーション処理後に前記温度測定手段によって測定された温度が所定の条件を満足しているか否かを再度判定し、
前記制御手段は、前記判定手段が前記ダミーキャリブレーション処理後に前記温度測定手段によって測定された温度が所定の条件を満足していると判定した場合には前記ダミーキャリブレーション処理における測定結果をもとに検量線を作成することを特徴とする分析装置。
【請求項2】
分析結果を含む情報を出力する出力手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記判定手段が前記ダミーキャリブレーション処理後に前記温度測定手段によって測定された温度が所定の条件を満足していないと判定した場合には、キャリブレーション処理を中止し、
前記出力手段は、前記分析処理に使用される所定の液体が通過する部位の温度が前記所定の条件を満足していないためキャリブレーション処理を中止する旨を示す警告を出力することを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記判定手段が前記ダミーキャリブレーション処理後に前記温度測定手段によって測定された温度が所定の条件を満足していないと判定した場合には、前記ダミーキャリブレーション処理における測定結果をもとに作成された検量線を補正する補正手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
前記所定の液体は、緩衝液であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項5】
既知の結果を示すキャリブレーターに対する測定結果をもとに検量線を作成するキャリブレーション処理を行なって分析精度を維持する分析方法において、
分析処理に使用される所定の液体が通過する部位の温度を測定する第1の温度測定ステップと、
前記第1の温度測定ステップによって測定された温度が所定の条件を満足しているか否かを判定する第1の判定ステップと、
前記判定ステップにおいて前記温度測定ステップで測定された温度が所定の条件を満足していると判定した場合にキャリブレーション処理を実行させ、前記判定ステップが前記温度測定ステップで測定された温度が所定の条件を満足していないと判定した場合に前記キャリブレーターを使用したダミーキャリブレーション処理を実行させる第1の制御ステップと、
前記ダミーキャリブレーション処理後に前記所定の液体が通過する部位の温度を測定する第2の温度測定ステップと、
前記第2の温度測定ステップにおいて測定された温度が前記所定の条件を満足しているか否かを再度判定する第2の判定ステップと、
前記第2の判定ステップにおいて、前記第2の温度測定ステップで測定された温度が前記所定の条件を満足していると判定した場合には前記ダミーキャリブレーション処理における測定結果をもとに検量線を作成する第2の制御ステップと、
を含むことを特徴とする分析方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2009−281763(P2009−281763A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−131819(P2008−131819)
【出願日】平成20年5月20日(2008.5.20)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】