分析装置および分析方法
【課題】コストを削減し、設置面積を縮小し、正確かつ迅速な分析が実現可能な分析装置および分析方法を提供する。
【解決手段】1台の装置で、少なくとも1つのサンプルにつき多重分析を同時または連続して行う。すなわち、本発明の分析装置は、複数のサンプルホルダーと、前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、1つの散乱光測定光源および少なくとも2つの蛍光励起光源の組合せの光源と、前記複数のサンプルホルダー間に設けられ、前記蛍光励起光源からの励起光の通過または遮断を切り替える遮光板と、を備える。
【解決手段】1台の装置で、少なくとも1つのサンプルにつき多重分析を同時または連続して行う。すなわち、本発明の分析装置は、複数のサンプルホルダーと、前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、1つの散乱光測定光源および少なくとも2つの蛍光励起光源の組合せの光源と、前記複数のサンプルホルダー間に設けられ、前記蛍光励起光源からの励起光の通過または遮断を切り替える遮光板と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分析装置および分析方法に関し、例えば、細胞、免疫、抗体、タンパク、核酸、糖等の生体関連物質を分析する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的な研究や診断を行うには、核酸やタンパクを初めとする生体物質の分析が重要である。生体物質の分析方法として、例えば、DNAシーケンサーを用いる分析方法(非特許文献1)、フローサイトメーターを用いる分析方法(特許文献1)、蛍光発色するビーズなどの蛍光微小球体とともにフローサイトメーターを用いる分析方法(特許文献2、特許文献3)、およびPCR法やLAMP法等の核酸増幅技術を用いる分析方法がある。これらの分析法は、分析する生体物質や分析目的により選択される。
【0003】
近年、生物学的な研究や診断は、ますます高度化、複雑化してきており、これに伴い複数の分析法を組み合わせた分析が行われるようになってきている。例えば、癌を初めとする悪性腫瘍の分析を行う場合は、はじめにフローサイトメーターを用いた細胞学的検査により、組織、細胞の異常が分析される。次に、リアルタイムPCR装置やDNAシーケンサーを用いた遺伝学的検査により、遺伝的な変異の有無等が分析される。一方、悪性腫瘍の診断を行う場合は、フローサイトメーターにより病気の診断が行われた後、遺伝子検査によりその病気の確定診断が可能である。または、フローサイトメーターにより病気の診断が行われた後、診断された病気に対する治療薬として投与される薬の薬物応答を遺伝子検査で診断することが可能である。
【0004】
このように、分析装置及び分析法が進化するとともに、これらの分析装置及び分析法の組み合わせによってより深い生物の理解や診断が可能になってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,284,412号
【特許文献2】米国特許第5,747,349号
【特許文献3】特許第4215397号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Nature 361(1993)565−566
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した複数の分析を行うには、それぞれの分析に対応する分析装置を個別に用意しなければならない。このため、複数の分析装置を導入することで、コストが増加し、また設置面積も大きくなる。したがって、研究者、診断者の負担が増大する問題がある。
【0008】
また、各分析装置が個別に成り立っていることから、分析装置間でサンプルを橋渡しするため、人手を介する作業が発生する。この人手を介する作業によって、次の2つの問題が生じる。1つは、サンプルの取り間違いが発生し、研究結果や診断結果を誤判断するおそれがあるという問題である。患者に的確な治療を行うためには、正確な分析結果を得る必要がある。もう1つは、トータルの分析時間が増加し、研究結果や診断結果が出るまでの迅速性に欠けるという問題である。緊急患者に対する緊急処置の実施や感染症の急拡大を防ぐためにも、迅速な分析を行う必要がある。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、コストを削減し、設置面積を縮小し、正確かつ迅速な分析を実現可能な分析装置および分析方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するため、本発明では、1台の装置で、少なくとも1つのサンプルにつき多重分析を同時または連続して行う。
【0011】
すなわち、本発明に係る分析装置は、複数のサンプルホルダーと、前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、1つの散乱光測定光源および少なくとも2つの蛍光励起光源の組合せの光源と、前記複数のサンプルホルダー間に設けられ、前記蛍光励起光源からの励起光の通過または遮断を切り替える遮光板と、を備える。
【0012】
また、本発明に係る分析装置は、複数のサンプルホルダーと、前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、少なくとも2つの蛍光励起光源の組合せの光源と、前記複数のサンプルホルダー間に設けられ、前記蛍光励起光源からの励起光の通過または遮断を切り替える遮光板と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明の分析装置および分析方法によれば、コストを削減し、設置面積を縮小し、正確かつ迅速な分析を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る分析装置の概略構成図である。
【図2】粒子分析と核酸配列分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置を示す図である(励起光が同一波長の場合)。
【図3】粒子分析後に核酸配列分析を行う手順を示す本発明の実施形態に係るフローチャートである。
【図4】粒子分析と核酸配列分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置を示す図である(異波長の励起光を含む場合)。
【図5】粒子分析と核酸増幅による定量・定性分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。
【図6】粒子分析後に核酸増幅による定量・定性分析を行う手順を示す本発明の実施形態に係るフローチャートである。
【図7】粒子分析と核酸増幅による定量・定性分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。
【図8】核酸配列分析と核酸増幅による定量・定性分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。
【図9】粒子分析を多重化した本発明の実施形態に係る多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。
【図10】粒子分析と核酸増幅による定量・定性分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。
【図11】粒子分析と核酸増幅による定量・定性分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、光源によって発せられる蛍光や散乱光を検出する分析装置および分析方法に関する。以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、本実施形態は、本発明を実施するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。また、各図において共通の構成については同一の参照番号が付されている。
【0016】
分析対象となるサンプルは、例えば、全血、血漿、血清、涙、粘液、唾液、尿、脊髄液、胃液、汗、精液、抗原、抗体、自己抗体、ペプチド、プロテイン、核酸、核酸増幅物、酵素および、上記サンプルとの反応物や微小球体(ビーズ)との反応物等を含む。また、通常または悪性の疑わしい組織の生検サンプルのような組織の抽出物も含む。
【0017】
また、上記サンプルを保持するサンプルホルダーは、管状または容器状であり、例えば
、粒子分析用泳動管、電気泳動用泳動管、核酸増幅検知試験管、核酸増幅検知反応容器、またはこれら複数をアレイ状に束ねたものも含む。
【0018】
<分析装置の概略構成>
図1は、本発明の実施形態に係る分析装置の概略構成図である。本発明の分析装置100は、分析を行うための各機器を有する分析ユニット101、分析ユニット101を制御する制御手段102、分析ユニット101を操作するためのGUIやサンプルの画像を表示する表示装置103、マウスやキーボード等のポインティングデバイス104、分析条件、分析レシピ、および画像等を保存するための記憶装置105を備える。
【0019】
分析ユニット101は、サンプルから散乱光を得るための散乱光測定光源106、サンプルを励起するための蛍光励起光源107、光源を遮光するための遮光板108、載置したサンプルを水平方向および垂直方向に移動するサンプルローダー109、サンプルの励起光を観察するCCDカメラ等の画像取得機構110、サンプルの温度を調整する温度調節機構111、前方へ散乱された散乱光を検出する前方散乱光検出器112、側方へ散乱された散乱光を検出する側方散乱光検出器113、圧力によって送液するコンプレッサーポンプ114、サンプルを注入するサンプルインジェクション機構115、ポリマーを送液するポリマーポンプ116、サンプルを電気泳動させるための高圧電源117を備える。
【0020】
なお、サンプルローダー109は、カローセル形状を含む。温度調節機構111は、ペルチェ素子または空気温調等を含む。サンプルは、マイクロタイタープレート、サンプルチューブ、試験管等に架設される。光源は、水銀、キセノンアーク灯、標準閃光ランプを含むレーザダイオード、He−Ne、Arイオン、Ar/Kr、UV、YAGレーザーおよび他の適切な標準光源を含むレーザダイオード、広帯域スペクトルアーク灯、固体レーザー、並びに半導体レーザーを含む。前方散乱光検出器112および側方散乱光検出器113は、アバランシュフォトダイオード、フォトダイオード、光電子倍増管、CMOS、およびNMOSカメラを含む。
【0021】
制御手段102は、散乱光測定光源106を制御する散乱光制御部118、蛍光励起光源107を制御する励起光制御部119、遮光板108を制御する遮光板制御部120、サンプルローダー109を制御するサンプルローダー制御部121、画像取得機構110を制御する画像制御部122、温度調節機構111を制御する温度制御部123、前方散乱光検出器112からの光を検出する前方散乱光検出部124、側方散乱光検出器113からの光を検出する側方散乱光検出部125、コンプレッサーポンプ114を制御するコンプレッサーポンプ制御部126、サンプルインジェクション機構115を制御するサンプルインジェクション制御部127、ポリマーポンプ116を制御するポリマーポンプ制御部128、高圧電源117を制御する高圧電源制御部129を備える。
【0022】
<第1の実施形態>
図2は、粒子分析と核酸配列分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置を示す図である。本装置では、同一装置内で、粒子分析と核酸配列分析の両方を行うことが可能である。粒子分析とは、微細な粒子を泳動管内の流体中に分散させ、その流体を細く流して、個々の粒子を光学的に分析することをいう。
【0023】
ここでは、粒子分析後に核酸配列分析を行う場合について説明する。また、粒子分析および核酸配列分析で用いる励起波長は同一波長であるとする。したがって、各分析で用いる蛍光励起光源107を共用化し、蛍光励起光源107からの励起光を粒子分析用泳動管201および電気泳動用泳動管202の両方を貫通させるように照射させている。
【0024】
本装置は、シース液タンク203のシース液を粒子分析用泳動管201に充填させるコンプレッサーポンプ114、粒子分析用サンプル204、電気泳動用サンプル214、廃液受け210を移動させるサンプルローダー109、粒子分析用サンプル204を粒子分析用泳動管201に注入するサンプルインジェクション機構115、粒子分析用泳動管201を温度調整する温度調整機構111、粒子分析用泳動管201に励起光を照射する散乱光測定光源106、粒子分析用泳動管201および電気泳動用泳動管202の両方に励起光を照射する蛍光励起光源107、粒子分析用サンプル204からの散乱光を集光するレンズ205、散乱光を反射するダイクロイックミラー206、散乱光を検出する前方散乱光検出器112および側方散乱光検出器113、蛍光励起光源107からの励起光を通過するフィルタ207、分光するグレーティング208、および集光するレンズ209、励起光に基づき画像を取得する画像取得機構110、核酸サンプルを分離させるためのポリマー211を電気泳動用泳動管202に充填するポリマーポンプ116、ポリマー211が逆流するのを防ぐ逆止弁212、電気泳動用サンプル214を電気泳動させるための高圧電源117および電気泳動用バッファー213を備える。
【0025】
粒子分析用泳動管201の一端は、サンプルインジェクション機構115の付近で2つに分岐され、一方の開口はシース液タンク203に浸され、他方の開口はサンプルインジェクション機構115を通過し、サンプルローダー109に載置された粒子分析用サンプル204の上方に配置される。粒子分析用泳動管201の他端は、温度調整機構111の配置位置を通過するように延長し、サンプルローダー109に載置された廃液受け210の上方に配置される。
【0026】
電気泳動用泳動管202は、電気泳動用バッファー213Aから延び、温度調整機構111の配置位置を通過するように延長し、一端はもう一つの電気泳動用バッファー213Bに浸される。また、電気泳動用泳動管202は、電気泳動用バッファー213Bの手前で分岐される。分岐路の一方は、さらに2つの分岐路に分かれる。1つは、ポリマーポンプ116に繋がる経路であり、他方は逆止弁212を介してポリマー211に繋がる経路である。
【0027】
図2の装置を用いて粒子分析後に核酸配列分析を行う方法について、図3を用いて説明する。図3は、粒子分析後に核酸配列分析を行う際に用いられる本発明の実施形態に係るフローチャートである。
【0028】
(粒子分析)
S301では、コンプレッサーポンプ制御部126が、コンプレッサーポンプ114を駆動し、シース液タンク203のシース液を粒子分析用泳動管201に充填させる。ここでは、シース液を用いた粒子の整列の列を指すが、これに限定されるものではない。例えば、泳動管の内径を細くしたキャピラリを用いる方法や、泳動管に音波をあて、整列する方法も含む。
【0029】
S302では、温度制御部123が、温度調整機構111を駆動し、粒子分析用泳動管201を温度調整する。
【0030】
S303では、サンプルローダー制御部121が、サンプルローダー109を水平に移動してサンプル注入口の下に粒子分析用サンプル204を位置決めし、その後上方に移動して粒子分析用サンプル204を粒子分析用泳動管201に接触させる。
【0031】
S304では、サンプルインジェクション制御部127が、サンプルインジェクション機構115を駆動し、粒子分析用サンプル204を粒子分析用泳動管201に注入する。
【0032】
S305では、散乱光制御部118が、散乱光測定光源106を点灯し、粒子分析用泳動管201内の粒子分析用サンプル204に励起光を照射する。
【0033】
S306では、粒子分析用サンプル204からの散乱光は、レンズ205を通り、前方用および側方用のダイクロイックミラー206に反射した後、前方散乱光検出器112および側方散乱光検出器113によって検出される。前方散乱光検出部124および側方散乱光検出部125は、検出された散乱光を処理する。ここで、前方散乱光検出器112では、個々の細胞のサイズに関する情報を含む前方散乱光強度が検出可能である。一方、側方散乱光検出器113では、個々の細胞の相対的なサイズと屈折特性に関する情報を含む側方散乱光強度を検出可能である。
【0034】
S307では、励起光制御部119が、蛍光励起光源107を点灯し、粒子分析用泳動管201内の粒子分析用サンプル204に励起光を照射する。
【0035】
S308では、蛍光または微小球体が有する蛍光を含んだ粒子分析用サンプル204は励起され、フィルタ207を通過し、グレーティング208により分光され、レンズ209により画像取得機構110に集光される。画像制御部122は、画像取得機構110により検出された蛍光を処理し、画像を取得する。
【0036】
S309では、サンプルローダー制御部121が、廃液受け210を所定の位置に移動する。光検出された粒子分析用サンプル204は、粒子分析用泳動管201を流れ、サンプルローダー109によって所定の位置に移動された廃液受け210に回収される。回収される粒子分析用サンプル204は、マイクロタイタープレート、サンプルチューブ、試験管等に保持されるものを含む。
【0037】
S310では、サンプルローダー制御部121が、ユーザからの指示またはS308の検出結果に基づき、再度粒子分析を行うか否かを判定する。回収された粒子分析用サンプル204は、再度粒子分析を行わない場合は、そのまま廃棄される。再度粒子分析を行う場合は、サンプルローダー制御部121は、サンプルローダー109を水平に移動してサンプル注入口の下に廃液受け210を位置決めし、その後上方に移動して廃液受け210を粒子分析用泳動管201に接触させる。そして、廃液受け210のサンプルを粒子分析用泳動管201に再度取込み、S304に戻る。
【0038】
(核酸配列分析)
S311では、ポリマーポンプ制御部128が、ポリマーポンプ116を駆動し、核酸サンプルを分離させるためのポリマー211を電気泳動用泳動管202に充填する。充填時には逆止弁212によりポリマー211が逆流するのを防ぐ。
【0039】
S312では、電気泳動用泳動管202から電気泳動用バッファー213をいったん取り外した後、サンプルローダー制御部121が、サンプルローダー109を水平に移動してサンプル注入口の下に電気泳動用サンプル214を位置決めし、その後上方に移動して電気泳動用サンプル214を電気泳動用泳動管202に接触させる。なお、廃液受け210に回収された粒子分析用サンプル204を再利用する場合は、サンプルローダー109に組み込まれた温度調節可能なサーマルサイクラー等を用いて、廃液受け210上でPCRなどの核酸増幅反応を行い、蛍光色素を付加する前処理をしておく。その後、サンプルローダー制御部121が、サンプルローダー109を水平に移動してサンプル注入口の下に廃液受け210を位置決めし、その後上方に移動して廃液受け210を電気泳動用泳動管202に接触させてもよい。
【0040】
S313では、高圧電源制御部129が、高圧電源117を駆動すると、電気泳動用サンプル214または廃液受け210が電気的に電気泳動用泳動管202に取り込まれる。
その後、電気泳動用泳動管202を電気泳動用バッファ213に浸す。
【0041】
S314では、温度制御部123が、温度調整機構111を駆動し、電気泳動用泳動管202を温度制御する。
【0042】
S315では、高圧電源制御部129が、高圧電源215のスイッチをONにし、電気泳動用バッファー213を帯電させ、電気泳動用泳動管202内の電気泳動用サンプル214を泳動させる。
【0043】
S316では、泳動する電気泳動用サンプル214に、S307で点灯した状態の蛍光励起光源107からの励起光が照射されるので、励起光はグレーティング208により分光される。画像制御部122は、画像取得機構110により検出された蛍光を処理し、画像を取得する。
【0044】
S317では、サンプルローダー制御部121が、廃液受け210を所定の位置に移動する。光検出された電気泳動用サンプル214は、電気泳動用泳動管202を流れ、電気泳動用バッファ213Bに回収される。
【0045】
S318では、サンプルローダー制御部121が、ユーザからの指示またはS316の検出結果に基づき、再度核酸配列分析を行うか否かを判定する。再度核酸配列分析を行う場合は、サンプルローダー制御部121は、サンプルローダー109を水平に移動してサンプル注入口の下に再度、電気泳動用サンプル214を位置決めし、その後上方に移動して電気泳動用サンプル214を電気泳動用泳動管202に接触させる。そして、電気泳動用サンプル214を電気泳動用泳動管202に再度取込み、S313に戻る。以上で多重分析が終了する。
【0046】
以上の通り、本実施形態の多重分析装置では、粒子分析と核酸配列分析とで用いる蛍光励起光源107を共有化し、粒子分析用サンプル204および核酸配列分析用の電気泳動用サンプル214を各分析時に所望の位置へ移動させるサンプルローダー109を設けることを特徴とする。
【0047】
この多重分析装置によれば、粒子分析および核酸配列分析で用いる励起波長は同一波長であるため、粒子分析により細胞等の異常を検出し、異常が検出されたサンプルに対し、散乱光および蛍光を同時または連続的に検出することが可能である。よって、核酸配列分析または核酸配列分析によるフラグメント解析が同時または連続的に実施可能である。
【0048】
したがって、装置コストを削減し、設置面積を縮小することができる。また、サンプルを橋渡しするサンプルローダーにより、人手を介して複数の装置間でサンプルを移動させる必要がないため、正確かつ迅速な分析を実現することが可能となる。
【0049】
なお、ここでは、粒子分析後に核酸配列分析をする場合について説明したが、この場合に限らない。例えば、核酸配列分析後に粒子分析をしたり、各分析を同時または連続的に処理したりすることも可能である。また、ここでは、よりコンパクトな手段として、また複数の分析手法および試薬に対応する手段として、グレーティングと画像取得機構の組み合わせを図示したが、複数のダイクロイックミラーおよび光電子増倍管を用いてもよい。また、直線状の泳動管を平行に配置しているが、直線状でなくてもよく、また、泳動管同士に所定の角度を付けて配置してもよい。
【0050】
<第2の実施形態>
上記の多重分析装置では、粒子分析および核酸配列分析で用いる励起波長は同一波長として説明した。しかしながら、各分析で用いる励起波長が異波長である場合、分析法ごとに異なる波長の励起光を照射すると、他の分析法の励起光により本来励起される蛍光とは異なる蛍光を発し、分析が困難になるおそれがある。
【0051】
図4は、粒子分析と核酸配列分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置を示す図である。図4では、図2と異なり、粒子分析および核酸配列分析で用いる励起波長は同一波長だけでなく異波長も含むとする。したがって、蛍光励起光源107に加えて異波長の蛍光励起光源401を設け、互いの蛍光励起光源からの励起光が干渉しないように、粒子分析用泳動管201および電気泳動用泳動管202の間には薄い四角形状の遮光板108を設けている。ここでは、四角形状としているが、これに限らない。例えば、円板形状としてもよく、切り欠けまたは開口部を設けてもよい。その他の構成は、図2と同様であるが、図を簡略化するため温度調節機構111は図示していない。
【0052】
(遮光板の構成)
遮光板108は、例えば、アルマイト処理を施した光吸収材を材料とし、遮光性を備える。なお、遮光性とは、完全遮光性および選択的透過性も含む。また、遮光性だけでなく、絶縁性、断熱性も有してもよい。よって、粒子分析用泳動管201と電気泳動用泳動管202の励起光だけでなく帯電および熱の流れも遮断できるので、高精度な分析と温度制御が可能になる。
【0053】
遮光板108の駆動機構には、例えば、ソレノイドコイルを用いる。ソレノイドコイルには遮光板108を取り付け、ソレノイドコイルに流す電流を調整することで発生する電磁力により、遮光板108を粒子分析用泳動管201および電気泳動用泳動管202から遮光板の面に対して平行に出し入れする。または、ステッピングモーター先端部に切り欠けまたは開口部を設けた円板状の遮光板をステッピングモーター取り付け、当該円板を回転させて、励起光の通過または遮断を切り替える。
【0054】
(遮光板の使用方法)
遮光板108は、遮光板制御部120によって、粒子分析および核酸配列分析で用いる励起波長が異波長の場合は粒子分析用泳動管201と電気泳動用泳動管202の間に挿入され、同一波長の場合は粒子分析用泳動管201と電気泳動用泳動管202の間から除去される。
【0055】
以上の通り、本実施形態の多重分析装置では、第1の実施形態に加え、蛍光励起光源107とは異波長の蛍光励起光源401と、粒子分析用泳動管201および電気泳動用泳動管202の間に遮光板108とを設けることを特徴とする。
【0056】
この多重分析装置によれば、粒子分析および核酸配列分析で用いる励起波長が同一波長だけでなく異波長の場合も対応可能である。したがって、一つのサンプルに対し、異なる前処理および異波長の照射が可能になる。よって、蛍光励起光源の選択肢および蛍光試薬の選択肢が増える。また、遮光板108は、絶縁性および断熱性も有しているため、各泳動管同士の帯電および熱の流れを遮断できる。よって、高精度な分析と温度制御が可能になる。
【0057】
各分析方法については、第1の実施形態で説明したとおりであるので、説明を省略する。
【0058】
<第3の実施形態>
図5は、本発明の実施形態に係る粒子分析と核酸増幅による定量・定性分析を行う多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。ここで図示しない構成については、特記しない限り、図2および図4と同一とする。図5では、図4と異なり、電気泳動管202の代わりに核酸増幅検知試験管501を設け、蛍光励起光源502を追加している。核酸増幅検知試験管501は、例えば、ガラスキャピラリー等の泳動管、およびキャピラリーアレイ状の反応容器(例えばロシュアプライドサイエンス社製LightCyclerキャピラリーアレイ(20μl))等を含む。図5の装置を用いて粒子分析後に核酸増幅による定量・定性分析を行う方法について、図6を用いて説明する。
【0059】
図6は、本発明の実施形態に係る粒子分析後に核酸増幅による定量・定性分析を行うフローチャートである。粒子分析は、図3のS301〜310で説明したとおりである。
【0060】
(核酸増幅による定量・定性分析)
S601では、サンプルローダー制御部121が、サンプルローダー109を水平に移動してサンプル注入口の下に定量・定性分析用サンプル503(図示しない)を位置決めし、その後上方に移動して定量・定性分析用サンプル503を核酸増幅検知試験管501に接触させる。なお、廃液受け210に回収された粒子分析用サンプル204を再利用する場合は、サンプルローダー109に組み込まれた温度調節可能なサーマルサイクラー等を用いて、廃液受け210上で核酸抽出、核酸増幅検知試薬の分注動作等の前処理をしておく。その後、サンプルローダー109を水平に移動してサンプル注入口の下に廃液受け210を位置決めし、その後上方に移動して廃液受け210を核酸増幅検知試験管501に接触させてもよい。
【0061】
S602では、サンプルインジェクション制御部127が、サンプルインジェクション機構115を駆動し、定量・定性分析用サンプル503または廃液受け210内のサンプルを核酸増幅検知試験管501に注入する。
【0062】
S603では、核酸増幅検知試験管501に取込まれた定量・定性分析用サンプルは、温度調整機構111との接触により温度制御される。また、PCR反応、恒温増幅反応(LAMP法、NASBA法、ICAN法、TMA法など)等の核酸増幅反応が行われる。
【0063】
S604では、遮光板制御部120が、遮光板108を切り替えるとともに、励起光制御部119が、蛍光励起光源107、401、502の3つの光源を交互に点灯させ、各光源からの励起光を核酸増幅検知試験管501に照射する。核酸増幅検知試験管501に対しては、二種類の光源が同時に照射されることはない。核酸増幅反応による分析では、複数の目的増幅対象やコントロールサンプルの増幅を行うため、各々の増幅対象に適した複数の蛍光励起光源を用いる。
【0064】
S605では、画像制御部122は、S602で交互に点灯する光源によって励起された、定量・定性分析用サンプル503からの蛍光について、グレーティング208を介して画像取得機構110により検出し、画像を取得する。
【0065】
S606では、サンプルローダー制御部121が、廃液受け210を所定の位置に移動する。光検出された定量・定性分析用サンプル503は、核酸増幅検知試験管501を流れ、サンプルローダー109によって所定の位置に移動された廃液受け210に回収される。
【0066】
S607では、サンプルローダー制御部121が、ユーザからの指示またはS605の検出結果に基づき、再度定量・定性分析を行うか否かを判定する。回収された定量・定性分析用サンプル503は、再度定量・定性分析を行わない場合は、そのまま廃棄される。再度定量・定性分析を行う場合は、サンプルローダー制御部121は、サンプルローダー109を水平に移動してサンプル注入口の下に廃液受け210を位置決めし、その後上方に移動して廃液受け210を核酸増幅検知試験管501に接触させる。そして、廃液受け210のサンプルを核酸増幅検知試験管501に再度取込み、S602に戻る。以上で多重分析が終了する。
【0067】
次に、S604および605において、粒子分析と定量・定性分析で用いる励起波長が同一波長の場合、3つの光源を切り替え、画像を取得する方法について説明する。
【0068】
(3−1)粒子分析において、蛍光励起光源107が点灯している状態のまま、遮光板108を粒子分析用泳動管と核酸増幅検知試験管の間から除去する。
(3−2)核酸増幅検知試験管501内のサンプルに蛍光励起光源107からの励起光を照射させ、励起する蛍光を検出する。
(3−3)遮光板108を粒子分析用泳動管201と核酸増幅検知試験管501の間に挿入し、蛍光励起光源401を点灯し、核酸増幅検知試験管501内のサンプルから励起する蛍光を検出する。
(3−4)蛍光励起光源401を消灯し、蛍光励起光源502を点灯し、核酸増幅検知試験管501内のサンプルから励起する蛍光を検出する。その後、蛍光励起光源502を消灯する。
【0069】
必要に応じて、上記(3−1)〜(3−4)の動作を繰り返し、蛍光検出が行われる。なお、ここでは、各蛍光励起光源を点灯および消灯させる例を記載したが、各光源を常時点灯させ、各光源の直前に架設したシャッターを切り替えて、各蛍光励起光源の照射を制御しても良い。また、蛍光励起光源は3つに限られない。
【0070】
以上の通り、本実施形態の多重分析装置では、粒子分析と核酸増幅による定量・定性分析とで用いる蛍光励起光源107を共有化し、粒子分析用泳動管201および核酸増幅検知試験管501の間に遮光板108を設けることを特徴とする。
【0071】
この多重分析装置によれば、粒子分析により細胞等の異常を検出し、異常が検出されたサンプルに対し、核酸増幅による定量・定性分析(例えば発現解析、SNP解析、変異解析、目的遺伝子の定量・定性解析など)が同時または連続的に実施される。
【0072】
したがって、装置コストを削減し、設置面積を縮小することができる。また、サンプルを橋渡しするサンプルローダー109により、人手を介して複数の装置間でサンプルを移動させる必要がないため、正確かつ迅速な分析を実現することが可能となる。
【0073】
なお、ここでは、粒子分析後に核酸増幅による定量・定性分析をする場合について説明したが、この場合に限らない。例えば、核酸増幅による定量・定性分析後に粒子分析をしたり、各分析を同時または連続的に実施したりすることも可能である。
【0074】
<第4の実施形態>
図7は、本発明の実施形態に係る粒子分析と核酸増幅による定量・定性分析を行う多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。ここで図示しない構成については、特記しない限り、図2および図4と同一とする。図7では、図5と異なり、核酸増幅検知試験管501の代わりに核酸増幅検知反応容器701および核酸増幅蛍光検知器702を設けている。また、3種の蛍光励起光源107、401、502は同一方向に設置し、遮光板108は第1〜第3の遮光板703〜705に分割している。核酸増幅検知反応容器701は、PCR反応容器(例えばAxygen社製0.2ml PCR with Flat Cap,Thin-Wall,Non-Sterile,MaxyClear)等を含む。
【0075】
ここでは、粒子分析において3種の蛍光励起光源107、401、502と1種の散乱光測定光源106を粒子分析用泳動管201に常時照射させ、そこから通過する励起光を核酸増幅検知反応容器701に照射する。図5と同様に、核酸増幅検知反応容器701には、二種類の蛍光励起光源からの励起光が同時に照射されることはない。したがって、各蛍光励起光源の光路に第1〜第3の遮光板703〜705を設け、これら遮光板を出し入れすることで、粒子分析用泳動管201を通過する各蛍光励起光源からの励起光を適宜遮断する。
【0076】
各分析方法については、第3の実施形態で説明したとおりである。ただし、S604および605において、粒子分析と定量・定性分析で用いる励起波長が同一波長の場合、3つの光源を切り替え、画像を取得する方法が異なる。以下、説明する。
【0077】
(4−1)粒子分析において、3種の蛍光励起光源107、401、502が点灯している状態のまま、第1の遮光板703を粒子分析用泳動管と核酸増幅検知反応容器の間から除去する。
(4−2)核酸増幅検知反応容器701内のサンプルに蛍光励起光源107からの励起光を照射させ、励起する蛍光を検出する。
(4−3)第1の遮光板703を粒子分析用泳動管201と核酸増幅検知反応容器701の間に挿入し、第2の遮光板704を粒子分析用泳動管201と核酸増幅検知反応容器701の間から除去する。
(4−4)核酸増幅検知反応容器701内のサンプルに蛍光励起光源401からの励起光を照射させ、励起する蛍光を検出する。
(4−5)第2の遮光板704を粒子分析用泳動管201と核酸増幅検知反応容器701の間に挿入し、第3の遮光板705を粒子分析用泳動管201と核酸増幅検知反応容器701の間から除去する。
(4−6)核酸増幅検知反応容器701内のサンプルに蛍光励起光源502からの励起光を照射させ、励起する蛍光を検出する。
【0078】
必要に応じて、上記(4−1)〜(4−6)の動作を繰り返し、蛍光検出が行われる。なお、蛍光励起光源は3種に限られない。
【0079】
以上の通り、本実施形態の多重分析装置では、粒子分析と核酸増幅による定量・定性分析とで用いる3種の蛍光励起光源107、401、502を共有化し、粒子分析用泳動管201および核酸増幅検知反応容器701の間に第1〜第3の遮光板703〜705を設けることを特徴とする。
【0080】
この多重分析装置によれば、粒子分析により細胞等の異常を検出し、異常が検出されたサンプルに対し、核酸増幅による定量・定性分析(例えば発現解析、SNP解析、変異解析、目的遺伝子の定量・定性解析など)が同時または連続的に実施される。また、各蛍光励起光源を同一方向に設置できるので、装置をよりコンパクト化することができる。さらに、各蛍光励起光源に各遮光板が個別に対応しているので、光源の使用性が向上する。
【0081】
したがって、装置コストを削減し、設置面積を縮小することができる。また、サンプルを橋渡しするサンプルローダー109により、人手を介して複数の装置間でサンプルを移動させる必要がないため、正確かつ迅速な分析を実現することが可能となる。
【0082】
なお、ここでは、粒子分析後に核酸増幅による定量・定性分析をする場合について説明したが、この場合に限らない。例えば、核酸増幅による定量・定性分析後に粒子分析をしたり、各分析を同時または連続的に実施したりすることも可能である。
【0083】
<第5の実施形態>
図8は、本発明の実施形態に係る核酸配列分析と核酸増幅による定量・定性分析を行う多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。ここで図示しない構成については、特記しない限り、図2および図4と同一とする。図8では、図5と異なり、粒子分析用泳動管201の代わりに電気泳動用泳動管202を設け、核酸増幅検知試験管501の代わりに核酸増幅検知反応容器701を設けている。また、ここでは、粒子分析を行わないため、散乱光測定光源は不要である。各分析方法については、第1および第3の実施形態で説明したとおりである。
【0084】
以上の通り、本実施形態の多重分析装置では、核酸配列分析と核酸増幅による定量・定性分析とで用いる蛍光励起光源107を共有化し、電気泳動用泳動管202および核酸増幅検知反応容器701の間に遮光板108を出し入れ可能に設けることを特徴とする。
【0085】
この多重分析装置によれば、ウイルス等による感染症が流行した場合、核酸増幅による定量・定性分析により血液中に含まれるウイルスの定性・定量分析を行い、その後核酸配列分析によりそのウイルスの核酸配列の変異解析等を同時または連続的に実施可能である。また、核酸増幅では複数の蛍光励起光源が必要となるが、遮光板108を出し入れすることで、核酸配列分析用の蛍光励起光源107を核酸増幅による定量・定性分析に使用することが可能となる。つまり、蛍光励起光源107を共有化できる。
【0086】
したがって、装置コストを削減し、設置面積を縮小することができる。また、サンプルを橋渡しするサンプルローダー109により、人手を介して複数の装置間でサンプルを移動させる必要がないため、正確かつ迅速な分析を実現することが可能となる。
【0087】
なお、ここでは、核酸増幅による定量・定性分析後に核酸配列分析をしたり、核酸配列分析後に核酸増幅による定量・定性分析をしたり、各分析を同時または連続的に実施したりすることが可能である。また、制御手段102が、核酸増幅による定量・定性分析の結果、核酸配列分析が必要か否かを自動で判断し、必要と判断した場合に以降の核酸配列分析を行っても良い。
【0088】
<第6の実施形態>
図9は、本発明の実施形態に係る粒子分析を多重化した多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。ここで図示しない構成については、特記しない限り、図2および図4と同一とする。図9では、粒子分析用泳動管201、前方散乱光検出器112、側方散乱光検出器113をそれぞれ2つずつ設けている。また、散乱光測定光源106からの励起光は、2つのダイクロイックミラー206Aおよび206Bによって2本に分割される。分割後の励起光は、それぞれ粒子分析用泳動管201Aおよび201Bにおいて、直進する光と散乱する光に分かれる。直進する光は、それぞれダイクロイックミラー206Cおよび206Dによって反射され、前方散乱光検出器112Aおよび112Bによって検出される。散乱する光は、それぞれ側方散乱光検出器113Aおよび113Bによって検出される。粒子分析方法については、第1の実施形態で説明したとおりである。
【0089】
以上の通り、本実施形態の多重分析装置では、粒子分析で用いる散乱光測定光源106を共有化し、2つの粒子分析用泳動管201の間に遮光板108を設けることを特徴とする。
【0090】
この多重分析装置によれば、細胞等の異常を検出する粒子分析を同時または連続的に実施可能である。また、散乱光測定光源106を共有化できる。さらに、2種の蛍光励起光源107および401を交互に点灯させ、遮光板108を2つの粒子分析用泳動管201の間から遮光板の面に平行に出し入れすることにより、一つのサンプルに対し、異なる前処理および異波長の照射が可能になる。よって、蛍光励起光源の選択肢および蛍光試薬の選択肢が増える。
【0091】
したがって、コストを削減し、設置面積を縮小することができる。また、サンプルを橋渡しするサンプルローダー109により、人手を介して複数の装置間でサンプルを移動させる必要がないため、正確かつ迅速な分析を実現することが可能となる。
【0092】
<第7の実施形態>
前述の各実施形態においては、2つのサンプルホルダーでそれぞれ実行される2つの分析(種類が異なる分析のみならず、異なる波長を使用する同種の分析も含む。)に、1つの励起光を共用する場合について説明した。
【0093】
その際、以下に示す2つの条件を満たす構造を採用した。
(1)2つの分析で共用する励起光が、1つ目(前列)のサンプルホルダーを貫通した後に、2つ目(後列)のサンプルホルダーに入射するように光路を設定する。
(2)1つ目のサンプルホルダーを貫通した励起光の2つ目のサンプルホルダーへの通過又は遮断を選択的に切り替え可能な遮光板108を、2つのサンプルホルダー間に配置する。
【0094】
ところが、この励起光は、1つ目のサンプルホルダーの貫通時に拡散を受ける。このため、2つ目のサンプルホルダーを照射する励起光の光量は、2つのサンプルホルダー間の間隔が広いほど減少してしまう。以上の理由により、2つのサンプルホルダーの間隔には限りがある。
【0095】
そこで、本実施形態では、遮光板108に設けた切り欠け又は開口にレンズを配置し、1つ目のサンプルホルダーを貫通した励起光をレンズに入射し、当該レンズを通過した励起光により2つ目のサンプルホルダーを照射する仕組みを提案する。すなわち、1つ目のサンプルホルダーを貫通する際に拡散した励起光をレンズにより集光し、2つ目のサンプルホルダーの照明に使用する仕組みを提案する。
【0096】
この仕組みを採用した多重分析装置では、1つ目のサンプルホルダーを貫通した励起光を、2つ目のサンプルホルダーに効率的に導くことができる。このため、2つのサンプルホルダーの間隔を、前述した各実施形態に比して広げることができる。この結果、2つのサンプルホルダーの配置上の自由度を高めることができる。また、2つのサンプルホルダー間の光路長さの拡大により、当該空間内で光軸を折り曲げることも可能になる。この遮光板108へのレンズの実装により、多重分析装置の構成上の自由度を高めることができる。
【0097】
以下、当該仕組みを採用した多重分析装置の部分構造例を説明する。なお、本実施形態に係る仕組みは、以下に例示する装置だけでなく、前述した各実施形態のうち遮光板108を使用する全ての装置に適用することができる。
【0098】
図10に、粒子分析と拡散配列分析を行う多重分析装置の形態例を示す。図10は、図4に示す多重分析装置(第2の実施形態)のうち光学系だけを抜き出して示したものである。従って、図10に示す多重分析装置のその他の構成は、図4に示す多重分析装置(第2の実施形態)と同様である。
【0099】
図10と図4の違いは、遮光板108の構造と駆動方式である。すなわち、図4に示す遮光板108は薄い四角形状であり、その本体には開口が形成されていないものを使用した。このため、図4の場合には、平行に配置された粒子分析用泳動管201及び電気泳動用泳動管202の隙間に対して遮光板108を出し入れすることにより、又は、隙間に沿って遮光板108を上下に移動させることにより、励起光の通過と遮断を切り替えていた。
【0100】
一方、図10に示す遮光板108は円板形状であり、その中心点にはステッピングモータ1002の回転軸が固定されている。遮光板108には円形状の開口が形成されており、当該開口にレンズ1001が嵌め込まれている。なお、開口は、回転軸に対してオフセットした位置に形成されている。このため、遮光板108が回転すると、その開口位置(すなわち、レンズ1001の位置)も円周方向に移動される。
【0101】
遮光板108は、その回転面が粒子分析用泳動管201と電気泳動用泳動管202の隙間と平行になるように配置されている。さらに、遮光板108は、その回転駆動によって、粒子分析用泳動管201を貫通した励起光の遮断と通過が可能なように、その可動範囲が定められている。
【0102】
図10の(a)は、蛍光励起光源107から射出され、粒子分析用泳動管201を貫通した励起光を遮断する場合を示している。この場合、励起光は、電気泳動用泳動管202を照射することはない。
【0103】
図10の(b)は、蛍光励起光源107から射出され、粒子分析用泳動管201を貫通した励起光が、開口(すなわち、レンズ1001)を更に通過し、電気泳動用泳動管202を照射する場合を示している。この場合、電気泳動用泳動管202を照射する励起光はレンズ1001の通過時に集光される。従って、粒子分析用泳動管201の貫通時に拡散を受けた励起光を効率的に電気泳動用泳動管202に集光することができる。
【0104】
この結果、この実施形態の場合には、粒子分析用泳動管201と電気泳動用泳動管202の隙間を第2の実施形態に比して広げることができ、装置構成の自由度を高めることができる。
【0105】
図11に、粒子分析と拡散配列分析を行う多重分析装置の他の形態例を示す。図11も、図4に示す多重分析装置(第2の実施形態)のうち光学系だけを抜き出して示したものである。従って、図11に示す多重分析装置のその他の構成は、図4に示す多重分析装置(第2の実施形態)と同様である。
【0106】
図11と図4の違いは、遮光板108の構造と駆動方式である。図11に示す遮光板108も、図4に示す遮光板108と同様、薄い四角形状の外観を有している。ただし、図11に示す遮光板108の場合には、その本体に開口が形成され、当該開口にレンズ1001が嵌め込まれている。この点が、構造上の違いである。
【0107】
一方、駆動方式は以下の点で異なっている。図4の場合、平行に配置された粒子分析用泳動管201及び電気泳動用泳動管202の隙間に対して遮光板108を出し入れすることにより、又は、隙間に沿って遮光板108を上下に移動させることにより、励起光の通過と遮断を切り替えていた。この際、第2の実施形態に係る多重分析装置では、遮光板108の全体を、粒子分析用泳動管201を貫通した励起光に対して出し入れする駆動方式を採用した。
【0108】
しかし、この実施形態に係る多重分析装置の場合には、遮光板108に形成した開口(レンズ1001)を、蛍光励起光源107から射出された励起光の光路と交差させるか否かによって励起光の遮断と通過を実現する。なお、遮光板108の駆動にはリニアソレノイド1003を使用する。ここで、遮光板108の上下方向への移動には、リニアソレノイド1003の可動軸の先端に固定されている。従って、可動軸の伸び縮みに応じ、粒子分析用泳動管201及び電気泳動用泳動管202の隙間に沿うように遮光板108が上下方向に駆動され、励起光に対するレンズ1001の位置が可変される。
【0109】
図11の(a)は、蛍光励起光源107から射出され、粒子分析用泳動管201を貫通した励起光を遮断する場合を示している。この場合、励起光は、電気泳動用泳動管202を照射することはない。
【0110】
図11の(b)は、蛍光励起光源107から射出され、粒子分析用泳動管201を貫通した励起光が、開口(すなわち、レンズ1001)を更に通過し、電気泳動用泳動管202を照射する場合を示している。この場合、電気泳動用泳動管202を照射する励起光はレンズ1001の通過時に集光される。従って、粒子分析用泳動管201の貫通時に拡散を受けた励起光を効率的に電気泳動用泳動管202に集光することができる。
【0111】
この結果、この実施形態の場合には、粒子分析用泳動管201と電気泳動用泳動管202の隙間を第2の実施形態に比して広げることができ、装置構成の自由度を高めることができる。
【0112】
<その他の実施形態>
なお、本発明は上述した形態例に限定されるものでなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある形態例の一部を他の形態例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある形態例の構成に他の形態例の構成を加えることも可能である。また、各形態例の構成の一部について、他の構成を追加、削除又は置換することも可能である。
【符号の説明】
【0113】
106:散乱光測定光源
107:蛍光励起光源
108:遮光板
109:サンプルローダー
110:画像取得機構
111:温度調整機構
112:前方散乱光検出器
113:側方散乱光検出器
114:コンプレッサーポンプ
115:サンプルインジェクション機構
116:ポリマーポンプ
117:高圧電源
201:粒子分析用泳動管
202:電気泳動用泳動管
203:シース液タンク
204:粒子分析用サンプル
205:レンズ
206:ダイクロイックミラー
207:フィルタ
208:グレーティング
209:レンズ
210:廃液受け
211:ポリマー
212:逆止弁
213:電気泳動用バッファ
214:電気泳動用サンプル
401:蛍光励起光源
1001:レンズ
1002:ステッピングモーター
1003:リニアソレノイド
【技術分野】
【0001】
本発明は分析装置および分析方法に関し、例えば、細胞、免疫、抗体、タンパク、核酸、糖等の生体関連物質を分析する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
生物学的な研究や診断を行うには、核酸やタンパクを初めとする生体物質の分析が重要である。生体物質の分析方法として、例えば、DNAシーケンサーを用いる分析方法(非特許文献1)、フローサイトメーターを用いる分析方法(特許文献1)、蛍光発色するビーズなどの蛍光微小球体とともにフローサイトメーターを用いる分析方法(特許文献2、特許文献3)、およびPCR法やLAMP法等の核酸増幅技術を用いる分析方法がある。これらの分析法は、分析する生体物質や分析目的により選択される。
【0003】
近年、生物学的な研究や診断は、ますます高度化、複雑化してきており、これに伴い複数の分析法を組み合わせた分析が行われるようになってきている。例えば、癌を初めとする悪性腫瘍の分析を行う場合は、はじめにフローサイトメーターを用いた細胞学的検査により、組織、細胞の異常が分析される。次に、リアルタイムPCR装置やDNAシーケンサーを用いた遺伝学的検査により、遺伝的な変異の有無等が分析される。一方、悪性腫瘍の診断を行う場合は、フローサイトメーターにより病気の診断が行われた後、遺伝子検査によりその病気の確定診断が可能である。または、フローサイトメーターにより病気の診断が行われた後、診断された病気に対する治療薬として投与される薬の薬物応答を遺伝子検査で診断することが可能である。
【0004】
このように、分析装置及び分析法が進化するとともに、これらの分析装置及び分析法の組み合わせによってより深い生物の理解や診断が可能になってきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許第4,284,412号
【特許文献2】米国特許第5,747,349号
【特許文献3】特許第4215397号
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Nature 361(1993)565−566
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した複数の分析を行うには、それぞれの分析に対応する分析装置を個別に用意しなければならない。このため、複数の分析装置を導入することで、コストが増加し、また設置面積も大きくなる。したがって、研究者、診断者の負担が増大する問題がある。
【0008】
また、各分析装置が個別に成り立っていることから、分析装置間でサンプルを橋渡しするため、人手を介する作業が発生する。この人手を介する作業によって、次の2つの問題が生じる。1つは、サンプルの取り間違いが発生し、研究結果や診断結果を誤判断するおそれがあるという問題である。患者に的確な治療を行うためには、正確な分析結果を得る必要がある。もう1つは、トータルの分析時間が増加し、研究結果や診断結果が出るまでの迅速性に欠けるという問題である。緊急患者に対する緊急処置の実施や感染症の急拡大を防ぐためにも、迅速な分析を行う必要がある。
【0009】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、コストを削減し、設置面積を縮小し、正確かつ迅速な分析を実現可能な分析装置および分析方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を達成するため、本発明では、1台の装置で、少なくとも1つのサンプルにつき多重分析を同時または連続して行う。
【0011】
すなわち、本発明に係る分析装置は、複数のサンプルホルダーと、前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、1つの散乱光測定光源および少なくとも2つの蛍光励起光源の組合せの光源と、前記複数のサンプルホルダー間に設けられ、前記蛍光励起光源からの励起光の通過または遮断を切り替える遮光板と、を備える。
【0012】
また、本発明に係る分析装置は、複数のサンプルホルダーと、前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、少なくとも2つの蛍光励起光源の組合せの光源と、前記複数のサンプルホルダー間に設けられ、前記蛍光励起光源からの励起光の通過または遮断を切り替える遮光板と、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本発明の分析装置および分析方法によれば、コストを削減し、設置面積を縮小し、正確かつ迅速な分析を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態に係る分析装置の概略構成図である。
【図2】粒子分析と核酸配列分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置を示す図である(励起光が同一波長の場合)。
【図3】粒子分析後に核酸配列分析を行う手順を示す本発明の実施形態に係るフローチャートである。
【図4】粒子分析と核酸配列分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置を示す図である(異波長の励起光を含む場合)。
【図5】粒子分析と核酸増幅による定量・定性分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。
【図6】粒子分析後に核酸増幅による定量・定性分析を行う手順を示す本発明の実施形態に係るフローチャートである。
【図7】粒子分析と核酸増幅による定量・定性分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。
【図8】核酸配列分析と核酸増幅による定量・定性分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。
【図9】粒子分析を多重化した本発明の実施形態に係る多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。
【図10】粒子分析と核酸増幅による定量・定性分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。
【図11】粒子分析と核酸増幅による定量・定性分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明は、光源によって発せられる蛍光や散乱光を検出する分析装置および分析方法に関する。以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、本実施形態は、本発明を実施するための一例に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではないことに注意すべきである。また、各図において共通の構成については同一の参照番号が付されている。
【0016】
分析対象となるサンプルは、例えば、全血、血漿、血清、涙、粘液、唾液、尿、脊髄液、胃液、汗、精液、抗原、抗体、自己抗体、ペプチド、プロテイン、核酸、核酸増幅物、酵素および、上記サンプルとの反応物や微小球体(ビーズ)との反応物等を含む。また、通常または悪性の疑わしい組織の生検サンプルのような組織の抽出物も含む。
【0017】
また、上記サンプルを保持するサンプルホルダーは、管状または容器状であり、例えば
、粒子分析用泳動管、電気泳動用泳動管、核酸増幅検知試験管、核酸増幅検知反応容器、またはこれら複数をアレイ状に束ねたものも含む。
【0018】
<分析装置の概略構成>
図1は、本発明の実施形態に係る分析装置の概略構成図である。本発明の分析装置100は、分析を行うための各機器を有する分析ユニット101、分析ユニット101を制御する制御手段102、分析ユニット101を操作するためのGUIやサンプルの画像を表示する表示装置103、マウスやキーボード等のポインティングデバイス104、分析条件、分析レシピ、および画像等を保存するための記憶装置105を備える。
【0019】
分析ユニット101は、サンプルから散乱光を得るための散乱光測定光源106、サンプルを励起するための蛍光励起光源107、光源を遮光するための遮光板108、載置したサンプルを水平方向および垂直方向に移動するサンプルローダー109、サンプルの励起光を観察するCCDカメラ等の画像取得機構110、サンプルの温度を調整する温度調節機構111、前方へ散乱された散乱光を検出する前方散乱光検出器112、側方へ散乱された散乱光を検出する側方散乱光検出器113、圧力によって送液するコンプレッサーポンプ114、サンプルを注入するサンプルインジェクション機構115、ポリマーを送液するポリマーポンプ116、サンプルを電気泳動させるための高圧電源117を備える。
【0020】
なお、サンプルローダー109は、カローセル形状を含む。温度調節機構111は、ペルチェ素子または空気温調等を含む。サンプルは、マイクロタイタープレート、サンプルチューブ、試験管等に架設される。光源は、水銀、キセノンアーク灯、標準閃光ランプを含むレーザダイオード、He−Ne、Arイオン、Ar/Kr、UV、YAGレーザーおよび他の適切な標準光源を含むレーザダイオード、広帯域スペクトルアーク灯、固体レーザー、並びに半導体レーザーを含む。前方散乱光検出器112および側方散乱光検出器113は、アバランシュフォトダイオード、フォトダイオード、光電子倍増管、CMOS、およびNMOSカメラを含む。
【0021】
制御手段102は、散乱光測定光源106を制御する散乱光制御部118、蛍光励起光源107を制御する励起光制御部119、遮光板108を制御する遮光板制御部120、サンプルローダー109を制御するサンプルローダー制御部121、画像取得機構110を制御する画像制御部122、温度調節機構111を制御する温度制御部123、前方散乱光検出器112からの光を検出する前方散乱光検出部124、側方散乱光検出器113からの光を検出する側方散乱光検出部125、コンプレッサーポンプ114を制御するコンプレッサーポンプ制御部126、サンプルインジェクション機構115を制御するサンプルインジェクション制御部127、ポリマーポンプ116を制御するポリマーポンプ制御部128、高圧電源117を制御する高圧電源制御部129を備える。
【0022】
<第1の実施形態>
図2は、粒子分析と核酸配列分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置を示す図である。本装置では、同一装置内で、粒子分析と核酸配列分析の両方を行うことが可能である。粒子分析とは、微細な粒子を泳動管内の流体中に分散させ、その流体を細く流して、個々の粒子を光学的に分析することをいう。
【0023】
ここでは、粒子分析後に核酸配列分析を行う場合について説明する。また、粒子分析および核酸配列分析で用いる励起波長は同一波長であるとする。したがって、各分析で用いる蛍光励起光源107を共用化し、蛍光励起光源107からの励起光を粒子分析用泳動管201および電気泳動用泳動管202の両方を貫通させるように照射させている。
【0024】
本装置は、シース液タンク203のシース液を粒子分析用泳動管201に充填させるコンプレッサーポンプ114、粒子分析用サンプル204、電気泳動用サンプル214、廃液受け210を移動させるサンプルローダー109、粒子分析用サンプル204を粒子分析用泳動管201に注入するサンプルインジェクション機構115、粒子分析用泳動管201を温度調整する温度調整機構111、粒子分析用泳動管201に励起光を照射する散乱光測定光源106、粒子分析用泳動管201および電気泳動用泳動管202の両方に励起光を照射する蛍光励起光源107、粒子分析用サンプル204からの散乱光を集光するレンズ205、散乱光を反射するダイクロイックミラー206、散乱光を検出する前方散乱光検出器112および側方散乱光検出器113、蛍光励起光源107からの励起光を通過するフィルタ207、分光するグレーティング208、および集光するレンズ209、励起光に基づき画像を取得する画像取得機構110、核酸サンプルを分離させるためのポリマー211を電気泳動用泳動管202に充填するポリマーポンプ116、ポリマー211が逆流するのを防ぐ逆止弁212、電気泳動用サンプル214を電気泳動させるための高圧電源117および電気泳動用バッファー213を備える。
【0025】
粒子分析用泳動管201の一端は、サンプルインジェクション機構115の付近で2つに分岐され、一方の開口はシース液タンク203に浸され、他方の開口はサンプルインジェクション機構115を通過し、サンプルローダー109に載置された粒子分析用サンプル204の上方に配置される。粒子分析用泳動管201の他端は、温度調整機構111の配置位置を通過するように延長し、サンプルローダー109に載置された廃液受け210の上方に配置される。
【0026】
電気泳動用泳動管202は、電気泳動用バッファー213Aから延び、温度調整機構111の配置位置を通過するように延長し、一端はもう一つの電気泳動用バッファー213Bに浸される。また、電気泳動用泳動管202は、電気泳動用バッファー213Bの手前で分岐される。分岐路の一方は、さらに2つの分岐路に分かれる。1つは、ポリマーポンプ116に繋がる経路であり、他方は逆止弁212を介してポリマー211に繋がる経路である。
【0027】
図2の装置を用いて粒子分析後に核酸配列分析を行う方法について、図3を用いて説明する。図3は、粒子分析後に核酸配列分析を行う際に用いられる本発明の実施形態に係るフローチャートである。
【0028】
(粒子分析)
S301では、コンプレッサーポンプ制御部126が、コンプレッサーポンプ114を駆動し、シース液タンク203のシース液を粒子分析用泳動管201に充填させる。ここでは、シース液を用いた粒子の整列の列を指すが、これに限定されるものではない。例えば、泳動管の内径を細くしたキャピラリを用いる方法や、泳動管に音波をあて、整列する方法も含む。
【0029】
S302では、温度制御部123が、温度調整機構111を駆動し、粒子分析用泳動管201を温度調整する。
【0030】
S303では、サンプルローダー制御部121が、サンプルローダー109を水平に移動してサンプル注入口の下に粒子分析用サンプル204を位置決めし、その後上方に移動して粒子分析用サンプル204を粒子分析用泳動管201に接触させる。
【0031】
S304では、サンプルインジェクション制御部127が、サンプルインジェクション機構115を駆動し、粒子分析用サンプル204を粒子分析用泳動管201に注入する。
【0032】
S305では、散乱光制御部118が、散乱光測定光源106を点灯し、粒子分析用泳動管201内の粒子分析用サンプル204に励起光を照射する。
【0033】
S306では、粒子分析用サンプル204からの散乱光は、レンズ205を通り、前方用および側方用のダイクロイックミラー206に反射した後、前方散乱光検出器112および側方散乱光検出器113によって検出される。前方散乱光検出部124および側方散乱光検出部125は、検出された散乱光を処理する。ここで、前方散乱光検出器112では、個々の細胞のサイズに関する情報を含む前方散乱光強度が検出可能である。一方、側方散乱光検出器113では、個々の細胞の相対的なサイズと屈折特性に関する情報を含む側方散乱光強度を検出可能である。
【0034】
S307では、励起光制御部119が、蛍光励起光源107を点灯し、粒子分析用泳動管201内の粒子分析用サンプル204に励起光を照射する。
【0035】
S308では、蛍光または微小球体が有する蛍光を含んだ粒子分析用サンプル204は励起され、フィルタ207を通過し、グレーティング208により分光され、レンズ209により画像取得機構110に集光される。画像制御部122は、画像取得機構110により検出された蛍光を処理し、画像を取得する。
【0036】
S309では、サンプルローダー制御部121が、廃液受け210を所定の位置に移動する。光検出された粒子分析用サンプル204は、粒子分析用泳動管201を流れ、サンプルローダー109によって所定の位置に移動された廃液受け210に回収される。回収される粒子分析用サンプル204は、マイクロタイタープレート、サンプルチューブ、試験管等に保持されるものを含む。
【0037】
S310では、サンプルローダー制御部121が、ユーザからの指示またはS308の検出結果に基づき、再度粒子分析を行うか否かを判定する。回収された粒子分析用サンプル204は、再度粒子分析を行わない場合は、そのまま廃棄される。再度粒子分析を行う場合は、サンプルローダー制御部121は、サンプルローダー109を水平に移動してサンプル注入口の下に廃液受け210を位置決めし、その後上方に移動して廃液受け210を粒子分析用泳動管201に接触させる。そして、廃液受け210のサンプルを粒子分析用泳動管201に再度取込み、S304に戻る。
【0038】
(核酸配列分析)
S311では、ポリマーポンプ制御部128が、ポリマーポンプ116を駆動し、核酸サンプルを分離させるためのポリマー211を電気泳動用泳動管202に充填する。充填時には逆止弁212によりポリマー211が逆流するのを防ぐ。
【0039】
S312では、電気泳動用泳動管202から電気泳動用バッファー213をいったん取り外した後、サンプルローダー制御部121が、サンプルローダー109を水平に移動してサンプル注入口の下に電気泳動用サンプル214を位置決めし、その後上方に移動して電気泳動用サンプル214を電気泳動用泳動管202に接触させる。なお、廃液受け210に回収された粒子分析用サンプル204を再利用する場合は、サンプルローダー109に組み込まれた温度調節可能なサーマルサイクラー等を用いて、廃液受け210上でPCRなどの核酸増幅反応を行い、蛍光色素を付加する前処理をしておく。その後、サンプルローダー制御部121が、サンプルローダー109を水平に移動してサンプル注入口の下に廃液受け210を位置決めし、その後上方に移動して廃液受け210を電気泳動用泳動管202に接触させてもよい。
【0040】
S313では、高圧電源制御部129が、高圧電源117を駆動すると、電気泳動用サンプル214または廃液受け210が電気的に電気泳動用泳動管202に取り込まれる。
その後、電気泳動用泳動管202を電気泳動用バッファ213に浸す。
【0041】
S314では、温度制御部123が、温度調整機構111を駆動し、電気泳動用泳動管202を温度制御する。
【0042】
S315では、高圧電源制御部129が、高圧電源215のスイッチをONにし、電気泳動用バッファー213を帯電させ、電気泳動用泳動管202内の電気泳動用サンプル214を泳動させる。
【0043】
S316では、泳動する電気泳動用サンプル214に、S307で点灯した状態の蛍光励起光源107からの励起光が照射されるので、励起光はグレーティング208により分光される。画像制御部122は、画像取得機構110により検出された蛍光を処理し、画像を取得する。
【0044】
S317では、サンプルローダー制御部121が、廃液受け210を所定の位置に移動する。光検出された電気泳動用サンプル214は、電気泳動用泳動管202を流れ、電気泳動用バッファ213Bに回収される。
【0045】
S318では、サンプルローダー制御部121が、ユーザからの指示またはS316の検出結果に基づき、再度核酸配列分析を行うか否かを判定する。再度核酸配列分析を行う場合は、サンプルローダー制御部121は、サンプルローダー109を水平に移動してサンプル注入口の下に再度、電気泳動用サンプル214を位置決めし、その後上方に移動して電気泳動用サンプル214を電気泳動用泳動管202に接触させる。そして、電気泳動用サンプル214を電気泳動用泳動管202に再度取込み、S313に戻る。以上で多重分析が終了する。
【0046】
以上の通り、本実施形態の多重分析装置では、粒子分析と核酸配列分析とで用いる蛍光励起光源107を共有化し、粒子分析用サンプル204および核酸配列分析用の電気泳動用サンプル214を各分析時に所望の位置へ移動させるサンプルローダー109を設けることを特徴とする。
【0047】
この多重分析装置によれば、粒子分析および核酸配列分析で用いる励起波長は同一波長であるため、粒子分析により細胞等の異常を検出し、異常が検出されたサンプルに対し、散乱光および蛍光を同時または連続的に検出することが可能である。よって、核酸配列分析または核酸配列分析によるフラグメント解析が同時または連続的に実施可能である。
【0048】
したがって、装置コストを削減し、設置面積を縮小することができる。また、サンプルを橋渡しするサンプルローダーにより、人手を介して複数の装置間でサンプルを移動させる必要がないため、正確かつ迅速な分析を実現することが可能となる。
【0049】
なお、ここでは、粒子分析後に核酸配列分析をする場合について説明したが、この場合に限らない。例えば、核酸配列分析後に粒子分析をしたり、各分析を同時または連続的に処理したりすることも可能である。また、ここでは、よりコンパクトな手段として、また複数の分析手法および試薬に対応する手段として、グレーティングと画像取得機構の組み合わせを図示したが、複数のダイクロイックミラーおよび光電子増倍管を用いてもよい。また、直線状の泳動管を平行に配置しているが、直線状でなくてもよく、また、泳動管同士に所定の角度を付けて配置してもよい。
【0050】
<第2の実施形態>
上記の多重分析装置では、粒子分析および核酸配列分析で用いる励起波長は同一波長として説明した。しかしながら、各分析で用いる励起波長が異波長である場合、分析法ごとに異なる波長の励起光を照射すると、他の分析法の励起光により本来励起される蛍光とは異なる蛍光を発し、分析が困難になるおそれがある。
【0051】
図4は、粒子分析と核酸配列分析を行う本発明の実施形態に係る多重分析装置を示す図である。図4では、図2と異なり、粒子分析および核酸配列分析で用いる励起波長は同一波長だけでなく異波長も含むとする。したがって、蛍光励起光源107に加えて異波長の蛍光励起光源401を設け、互いの蛍光励起光源からの励起光が干渉しないように、粒子分析用泳動管201および電気泳動用泳動管202の間には薄い四角形状の遮光板108を設けている。ここでは、四角形状としているが、これに限らない。例えば、円板形状としてもよく、切り欠けまたは開口部を設けてもよい。その他の構成は、図2と同様であるが、図を簡略化するため温度調節機構111は図示していない。
【0052】
(遮光板の構成)
遮光板108は、例えば、アルマイト処理を施した光吸収材を材料とし、遮光性を備える。なお、遮光性とは、完全遮光性および選択的透過性も含む。また、遮光性だけでなく、絶縁性、断熱性も有してもよい。よって、粒子分析用泳動管201と電気泳動用泳動管202の励起光だけでなく帯電および熱の流れも遮断できるので、高精度な分析と温度制御が可能になる。
【0053】
遮光板108の駆動機構には、例えば、ソレノイドコイルを用いる。ソレノイドコイルには遮光板108を取り付け、ソレノイドコイルに流す電流を調整することで発生する電磁力により、遮光板108を粒子分析用泳動管201および電気泳動用泳動管202から遮光板の面に対して平行に出し入れする。または、ステッピングモーター先端部に切り欠けまたは開口部を設けた円板状の遮光板をステッピングモーター取り付け、当該円板を回転させて、励起光の通過または遮断を切り替える。
【0054】
(遮光板の使用方法)
遮光板108は、遮光板制御部120によって、粒子分析および核酸配列分析で用いる励起波長が異波長の場合は粒子分析用泳動管201と電気泳動用泳動管202の間に挿入され、同一波長の場合は粒子分析用泳動管201と電気泳動用泳動管202の間から除去される。
【0055】
以上の通り、本実施形態の多重分析装置では、第1の実施形態に加え、蛍光励起光源107とは異波長の蛍光励起光源401と、粒子分析用泳動管201および電気泳動用泳動管202の間に遮光板108とを設けることを特徴とする。
【0056】
この多重分析装置によれば、粒子分析および核酸配列分析で用いる励起波長が同一波長だけでなく異波長の場合も対応可能である。したがって、一つのサンプルに対し、異なる前処理および異波長の照射が可能になる。よって、蛍光励起光源の選択肢および蛍光試薬の選択肢が増える。また、遮光板108は、絶縁性および断熱性も有しているため、各泳動管同士の帯電および熱の流れを遮断できる。よって、高精度な分析と温度制御が可能になる。
【0057】
各分析方法については、第1の実施形態で説明したとおりであるので、説明を省略する。
【0058】
<第3の実施形態>
図5は、本発明の実施形態に係る粒子分析と核酸増幅による定量・定性分析を行う多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。ここで図示しない構成については、特記しない限り、図2および図4と同一とする。図5では、図4と異なり、電気泳動管202の代わりに核酸増幅検知試験管501を設け、蛍光励起光源502を追加している。核酸増幅検知試験管501は、例えば、ガラスキャピラリー等の泳動管、およびキャピラリーアレイ状の反応容器(例えばロシュアプライドサイエンス社製LightCyclerキャピラリーアレイ(20μl))等を含む。図5の装置を用いて粒子分析後に核酸増幅による定量・定性分析を行う方法について、図6を用いて説明する。
【0059】
図6は、本発明の実施形態に係る粒子分析後に核酸増幅による定量・定性分析を行うフローチャートである。粒子分析は、図3のS301〜310で説明したとおりである。
【0060】
(核酸増幅による定量・定性分析)
S601では、サンプルローダー制御部121が、サンプルローダー109を水平に移動してサンプル注入口の下に定量・定性分析用サンプル503(図示しない)を位置決めし、その後上方に移動して定量・定性分析用サンプル503を核酸増幅検知試験管501に接触させる。なお、廃液受け210に回収された粒子分析用サンプル204を再利用する場合は、サンプルローダー109に組み込まれた温度調節可能なサーマルサイクラー等を用いて、廃液受け210上で核酸抽出、核酸増幅検知試薬の分注動作等の前処理をしておく。その後、サンプルローダー109を水平に移動してサンプル注入口の下に廃液受け210を位置決めし、その後上方に移動して廃液受け210を核酸増幅検知試験管501に接触させてもよい。
【0061】
S602では、サンプルインジェクション制御部127が、サンプルインジェクション機構115を駆動し、定量・定性分析用サンプル503または廃液受け210内のサンプルを核酸増幅検知試験管501に注入する。
【0062】
S603では、核酸増幅検知試験管501に取込まれた定量・定性分析用サンプルは、温度調整機構111との接触により温度制御される。また、PCR反応、恒温増幅反応(LAMP法、NASBA法、ICAN法、TMA法など)等の核酸増幅反応が行われる。
【0063】
S604では、遮光板制御部120が、遮光板108を切り替えるとともに、励起光制御部119が、蛍光励起光源107、401、502の3つの光源を交互に点灯させ、各光源からの励起光を核酸増幅検知試験管501に照射する。核酸増幅検知試験管501に対しては、二種類の光源が同時に照射されることはない。核酸増幅反応による分析では、複数の目的増幅対象やコントロールサンプルの増幅を行うため、各々の増幅対象に適した複数の蛍光励起光源を用いる。
【0064】
S605では、画像制御部122は、S602で交互に点灯する光源によって励起された、定量・定性分析用サンプル503からの蛍光について、グレーティング208を介して画像取得機構110により検出し、画像を取得する。
【0065】
S606では、サンプルローダー制御部121が、廃液受け210を所定の位置に移動する。光検出された定量・定性分析用サンプル503は、核酸増幅検知試験管501を流れ、サンプルローダー109によって所定の位置に移動された廃液受け210に回収される。
【0066】
S607では、サンプルローダー制御部121が、ユーザからの指示またはS605の検出結果に基づき、再度定量・定性分析を行うか否かを判定する。回収された定量・定性分析用サンプル503は、再度定量・定性分析を行わない場合は、そのまま廃棄される。再度定量・定性分析を行う場合は、サンプルローダー制御部121は、サンプルローダー109を水平に移動してサンプル注入口の下に廃液受け210を位置決めし、その後上方に移動して廃液受け210を核酸増幅検知試験管501に接触させる。そして、廃液受け210のサンプルを核酸増幅検知試験管501に再度取込み、S602に戻る。以上で多重分析が終了する。
【0067】
次に、S604および605において、粒子分析と定量・定性分析で用いる励起波長が同一波長の場合、3つの光源を切り替え、画像を取得する方法について説明する。
【0068】
(3−1)粒子分析において、蛍光励起光源107が点灯している状態のまま、遮光板108を粒子分析用泳動管と核酸増幅検知試験管の間から除去する。
(3−2)核酸増幅検知試験管501内のサンプルに蛍光励起光源107からの励起光を照射させ、励起する蛍光を検出する。
(3−3)遮光板108を粒子分析用泳動管201と核酸増幅検知試験管501の間に挿入し、蛍光励起光源401を点灯し、核酸増幅検知試験管501内のサンプルから励起する蛍光を検出する。
(3−4)蛍光励起光源401を消灯し、蛍光励起光源502を点灯し、核酸増幅検知試験管501内のサンプルから励起する蛍光を検出する。その後、蛍光励起光源502を消灯する。
【0069】
必要に応じて、上記(3−1)〜(3−4)の動作を繰り返し、蛍光検出が行われる。なお、ここでは、各蛍光励起光源を点灯および消灯させる例を記載したが、各光源を常時点灯させ、各光源の直前に架設したシャッターを切り替えて、各蛍光励起光源の照射を制御しても良い。また、蛍光励起光源は3つに限られない。
【0070】
以上の通り、本実施形態の多重分析装置では、粒子分析と核酸増幅による定量・定性分析とで用いる蛍光励起光源107を共有化し、粒子分析用泳動管201および核酸増幅検知試験管501の間に遮光板108を設けることを特徴とする。
【0071】
この多重分析装置によれば、粒子分析により細胞等の異常を検出し、異常が検出されたサンプルに対し、核酸増幅による定量・定性分析(例えば発現解析、SNP解析、変異解析、目的遺伝子の定量・定性解析など)が同時または連続的に実施される。
【0072】
したがって、装置コストを削減し、設置面積を縮小することができる。また、サンプルを橋渡しするサンプルローダー109により、人手を介して複数の装置間でサンプルを移動させる必要がないため、正確かつ迅速な分析を実現することが可能となる。
【0073】
なお、ここでは、粒子分析後に核酸増幅による定量・定性分析をする場合について説明したが、この場合に限らない。例えば、核酸増幅による定量・定性分析後に粒子分析をしたり、各分析を同時または連続的に実施したりすることも可能である。
【0074】
<第4の実施形態>
図7は、本発明の実施形態に係る粒子分析と核酸増幅による定量・定性分析を行う多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。ここで図示しない構成については、特記しない限り、図2および図4と同一とする。図7では、図5と異なり、核酸増幅検知試験管501の代わりに核酸増幅検知反応容器701および核酸増幅蛍光検知器702を設けている。また、3種の蛍光励起光源107、401、502は同一方向に設置し、遮光板108は第1〜第3の遮光板703〜705に分割している。核酸増幅検知反応容器701は、PCR反応容器(例えばAxygen社製0.2ml PCR with Flat Cap,Thin-Wall,Non-Sterile,MaxyClear)等を含む。
【0075】
ここでは、粒子分析において3種の蛍光励起光源107、401、502と1種の散乱光測定光源106を粒子分析用泳動管201に常時照射させ、そこから通過する励起光を核酸増幅検知反応容器701に照射する。図5と同様に、核酸増幅検知反応容器701には、二種類の蛍光励起光源からの励起光が同時に照射されることはない。したがって、各蛍光励起光源の光路に第1〜第3の遮光板703〜705を設け、これら遮光板を出し入れすることで、粒子分析用泳動管201を通過する各蛍光励起光源からの励起光を適宜遮断する。
【0076】
各分析方法については、第3の実施形態で説明したとおりである。ただし、S604および605において、粒子分析と定量・定性分析で用いる励起波長が同一波長の場合、3つの光源を切り替え、画像を取得する方法が異なる。以下、説明する。
【0077】
(4−1)粒子分析において、3種の蛍光励起光源107、401、502が点灯している状態のまま、第1の遮光板703を粒子分析用泳動管と核酸増幅検知反応容器の間から除去する。
(4−2)核酸増幅検知反応容器701内のサンプルに蛍光励起光源107からの励起光を照射させ、励起する蛍光を検出する。
(4−3)第1の遮光板703を粒子分析用泳動管201と核酸増幅検知反応容器701の間に挿入し、第2の遮光板704を粒子分析用泳動管201と核酸増幅検知反応容器701の間から除去する。
(4−4)核酸増幅検知反応容器701内のサンプルに蛍光励起光源401からの励起光を照射させ、励起する蛍光を検出する。
(4−5)第2の遮光板704を粒子分析用泳動管201と核酸増幅検知反応容器701の間に挿入し、第3の遮光板705を粒子分析用泳動管201と核酸増幅検知反応容器701の間から除去する。
(4−6)核酸増幅検知反応容器701内のサンプルに蛍光励起光源502からの励起光を照射させ、励起する蛍光を検出する。
【0078】
必要に応じて、上記(4−1)〜(4−6)の動作を繰り返し、蛍光検出が行われる。なお、蛍光励起光源は3種に限られない。
【0079】
以上の通り、本実施形態の多重分析装置では、粒子分析と核酸増幅による定量・定性分析とで用いる3種の蛍光励起光源107、401、502を共有化し、粒子分析用泳動管201および核酸増幅検知反応容器701の間に第1〜第3の遮光板703〜705を設けることを特徴とする。
【0080】
この多重分析装置によれば、粒子分析により細胞等の異常を検出し、異常が検出されたサンプルに対し、核酸増幅による定量・定性分析(例えば発現解析、SNP解析、変異解析、目的遺伝子の定量・定性解析など)が同時または連続的に実施される。また、各蛍光励起光源を同一方向に設置できるので、装置をよりコンパクト化することができる。さらに、各蛍光励起光源に各遮光板が個別に対応しているので、光源の使用性が向上する。
【0081】
したがって、装置コストを削減し、設置面積を縮小することができる。また、サンプルを橋渡しするサンプルローダー109により、人手を介して複数の装置間でサンプルを移動させる必要がないため、正確かつ迅速な分析を実現することが可能となる。
【0082】
なお、ここでは、粒子分析後に核酸増幅による定量・定性分析をする場合について説明したが、この場合に限らない。例えば、核酸増幅による定量・定性分析後に粒子分析をしたり、各分析を同時または連続的に実施したりすることも可能である。
【0083】
<第5の実施形態>
図8は、本発明の実施形態に係る核酸配列分析と核酸増幅による定量・定性分析を行う多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。ここで図示しない構成については、特記しない限り、図2および図4と同一とする。図8では、図5と異なり、粒子分析用泳動管201の代わりに電気泳動用泳動管202を設け、核酸増幅検知試験管501の代わりに核酸増幅検知反応容器701を設けている。また、ここでは、粒子分析を行わないため、散乱光測定光源は不要である。各分析方法については、第1および第3の実施形態で説明したとおりである。
【0084】
以上の通り、本実施形態の多重分析装置では、核酸配列分析と核酸増幅による定量・定性分析とで用いる蛍光励起光源107を共有化し、電気泳動用泳動管202および核酸増幅検知反応容器701の間に遮光板108を出し入れ可能に設けることを特徴とする。
【0085】
この多重分析装置によれば、ウイルス等による感染症が流行した場合、核酸増幅による定量・定性分析により血液中に含まれるウイルスの定性・定量分析を行い、その後核酸配列分析によりそのウイルスの核酸配列の変異解析等を同時または連続的に実施可能である。また、核酸増幅では複数の蛍光励起光源が必要となるが、遮光板108を出し入れすることで、核酸配列分析用の蛍光励起光源107を核酸増幅による定量・定性分析に使用することが可能となる。つまり、蛍光励起光源107を共有化できる。
【0086】
したがって、装置コストを削減し、設置面積を縮小することができる。また、サンプルを橋渡しするサンプルローダー109により、人手を介して複数の装置間でサンプルを移動させる必要がないため、正確かつ迅速な分析を実現することが可能となる。
【0087】
なお、ここでは、核酸増幅による定量・定性分析後に核酸配列分析をしたり、核酸配列分析後に核酸増幅による定量・定性分析をしたり、各分析を同時または連続的に実施したりすることが可能である。また、制御手段102が、核酸増幅による定量・定性分析の結果、核酸配列分析が必要か否かを自動で判断し、必要と判断した場合に以降の核酸配列分析を行っても良い。
【0088】
<第6の実施形態>
図9は、本発明の実施形態に係る粒子分析を多重化した多重分析装置における、各光源および各検出器の周辺図である。ここで図示しない構成については、特記しない限り、図2および図4と同一とする。図9では、粒子分析用泳動管201、前方散乱光検出器112、側方散乱光検出器113をそれぞれ2つずつ設けている。また、散乱光測定光源106からの励起光は、2つのダイクロイックミラー206Aおよび206Bによって2本に分割される。分割後の励起光は、それぞれ粒子分析用泳動管201Aおよび201Bにおいて、直進する光と散乱する光に分かれる。直進する光は、それぞれダイクロイックミラー206Cおよび206Dによって反射され、前方散乱光検出器112Aおよび112Bによって検出される。散乱する光は、それぞれ側方散乱光検出器113Aおよび113Bによって検出される。粒子分析方法については、第1の実施形態で説明したとおりである。
【0089】
以上の通り、本実施形態の多重分析装置では、粒子分析で用いる散乱光測定光源106を共有化し、2つの粒子分析用泳動管201の間に遮光板108を設けることを特徴とする。
【0090】
この多重分析装置によれば、細胞等の異常を検出する粒子分析を同時または連続的に実施可能である。また、散乱光測定光源106を共有化できる。さらに、2種の蛍光励起光源107および401を交互に点灯させ、遮光板108を2つの粒子分析用泳動管201の間から遮光板の面に平行に出し入れすることにより、一つのサンプルに対し、異なる前処理および異波長の照射が可能になる。よって、蛍光励起光源の選択肢および蛍光試薬の選択肢が増える。
【0091】
したがって、コストを削減し、設置面積を縮小することができる。また、サンプルを橋渡しするサンプルローダー109により、人手を介して複数の装置間でサンプルを移動させる必要がないため、正確かつ迅速な分析を実現することが可能となる。
【0092】
<第7の実施形態>
前述の各実施形態においては、2つのサンプルホルダーでそれぞれ実行される2つの分析(種類が異なる分析のみならず、異なる波長を使用する同種の分析も含む。)に、1つの励起光を共用する場合について説明した。
【0093】
その際、以下に示す2つの条件を満たす構造を採用した。
(1)2つの分析で共用する励起光が、1つ目(前列)のサンプルホルダーを貫通した後に、2つ目(後列)のサンプルホルダーに入射するように光路を設定する。
(2)1つ目のサンプルホルダーを貫通した励起光の2つ目のサンプルホルダーへの通過又は遮断を選択的に切り替え可能な遮光板108を、2つのサンプルホルダー間に配置する。
【0094】
ところが、この励起光は、1つ目のサンプルホルダーの貫通時に拡散を受ける。このため、2つ目のサンプルホルダーを照射する励起光の光量は、2つのサンプルホルダー間の間隔が広いほど減少してしまう。以上の理由により、2つのサンプルホルダーの間隔には限りがある。
【0095】
そこで、本実施形態では、遮光板108に設けた切り欠け又は開口にレンズを配置し、1つ目のサンプルホルダーを貫通した励起光をレンズに入射し、当該レンズを通過した励起光により2つ目のサンプルホルダーを照射する仕組みを提案する。すなわち、1つ目のサンプルホルダーを貫通する際に拡散した励起光をレンズにより集光し、2つ目のサンプルホルダーの照明に使用する仕組みを提案する。
【0096】
この仕組みを採用した多重分析装置では、1つ目のサンプルホルダーを貫通した励起光を、2つ目のサンプルホルダーに効率的に導くことができる。このため、2つのサンプルホルダーの間隔を、前述した各実施形態に比して広げることができる。この結果、2つのサンプルホルダーの配置上の自由度を高めることができる。また、2つのサンプルホルダー間の光路長さの拡大により、当該空間内で光軸を折り曲げることも可能になる。この遮光板108へのレンズの実装により、多重分析装置の構成上の自由度を高めることができる。
【0097】
以下、当該仕組みを採用した多重分析装置の部分構造例を説明する。なお、本実施形態に係る仕組みは、以下に例示する装置だけでなく、前述した各実施形態のうち遮光板108を使用する全ての装置に適用することができる。
【0098】
図10に、粒子分析と拡散配列分析を行う多重分析装置の形態例を示す。図10は、図4に示す多重分析装置(第2の実施形態)のうち光学系だけを抜き出して示したものである。従って、図10に示す多重分析装置のその他の構成は、図4に示す多重分析装置(第2の実施形態)と同様である。
【0099】
図10と図4の違いは、遮光板108の構造と駆動方式である。すなわち、図4に示す遮光板108は薄い四角形状であり、その本体には開口が形成されていないものを使用した。このため、図4の場合には、平行に配置された粒子分析用泳動管201及び電気泳動用泳動管202の隙間に対して遮光板108を出し入れすることにより、又は、隙間に沿って遮光板108を上下に移動させることにより、励起光の通過と遮断を切り替えていた。
【0100】
一方、図10に示す遮光板108は円板形状であり、その中心点にはステッピングモータ1002の回転軸が固定されている。遮光板108には円形状の開口が形成されており、当該開口にレンズ1001が嵌め込まれている。なお、開口は、回転軸に対してオフセットした位置に形成されている。このため、遮光板108が回転すると、その開口位置(すなわち、レンズ1001の位置)も円周方向に移動される。
【0101】
遮光板108は、その回転面が粒子分析用泳動管201と電気泳動用泳動管202の隙間と平行になるように配置されている。さらに、遮光板108は、その回転駆動によって、粒子分析用泳動管201を貫通した励起光の遮断と通過が可能なように、その可動範囲が定められている。
【0102】
図10の(a)は、蛍光励起光源107から射出され、粒子分析用泳動管201を貫通した励起光を遮断する場合を示している。この場合、励起光は、電気泳動用泳動管202を照射することはない。
【0103】
図10の(b)は、蛍光励起光源107から射出され、粒子分析用泳動管201を貫通した励起光が、開口(すなわち、レンズ1001)を更に通過し、電気泳動用泳動管202を照射する場合を示している。この場合、電気泳動用泳動管202を照射する励起光はレンズ1001の通過時に集光される。従って、粒子分析用泳動管201の貫通時に拡散を受けた励起光を効率的に電気泳動用泳動管202に集光することができる。
【0104】
この結果、この実施形態の場合には、粒子分析用泳動管201と電気泳動用泳動管202の隙間を第2の実施形態に比して広げることができ、装置構成の自由度を高めることができる。
【0105】
図11に、粒子分析と拡散配列分析を行う多重分析装置の他の形態例を示す。図11も、図4に示す多重分析装置(第2の実施形態)のうち光学系だけを抜き出して示したものである。従って、図11に示す多重分析装置のその他の構成は、図4に示す多重分析装置(第2の実施形態)と同様である。
【0106】
図11と図4の違いは、遮光板108の構造と駆動方式である。図11に示す遮光板108も、図4に示す遮光板108と同様、薄い四角形状の外観を有している。ただし、図11に示す遮光板108の場合には、その本体に開口が形成され、当該開口にレンズ1001が嵌め込まれている。この点が、構造上の違いである。
【0107】
一方、駆動方式は以下の点で異なっている。図4の場合、平行に配置された粒子分析用泳動管201及び電気泳動用泳動管202の隙間に対して遮光板108を出し入れすることにより、又は、隙間に沿って遮光板108を上下に移動させることにより、励起光の通過と遮断を切り替えていた。この際、第2の実施形態に係る多重分析装置では、遮光板108の全体を、粒子分析用泳動管201を貫通した励起光に対して出し入れする駆動方式を採用した。
【0108】
しかし、この実施形態に係る多重分析装置の場合には、遮光板108に形成した開口(レンズ1001)を、蛍光励起光源107から射出された励起光の光路と交差させるか否かによって励起光の遮断と通過を実現する。なお、遮光板108の駆動にはリニアソレノイド1003を使用する。ここで、遮光板108の上下方向への移動には、リニアソレノイド1003の可動軸の先端に固定されている。従って、可動軸の伸び縮みに応じ、粒子分析用泳動管201及び電気泳動用泳動管202の隙間に沿うように遮光板108が上下方向に駆動され、励起光に対するレンズ1001の位置が可変される。
【0109】
図11の(a)は、蛍光励起光源107から射出され、粒子分析用泳動管201を貫通した励起光を遮断する場合を示している。この場合、励起光は、電気泳動用泳動管202を照射することはない。
【0110】
図11の(b)は、蛍光励起光源107から射出され、粒子分析用泳動管201を貫通した励起光が、開口(すなわち、レンズ1001)を更に通過し、電気泳動用泳動管202を照射する場合を示している。この場合、電気泳動用泳動管202を照射する励起光はレンズ1001の通過時に集光される。従って、粒子分析用泳動管201の貫通時に拡散を受けた励起光を効率的に電気泳動用泳動管202に集光することができる。
【0111】
この結果、この実施形態の場合には、粒子分析用泳動管201と電気泳動用泳動管202の隙間を第2の実施形態に比して広げることができ、装置構成の自由度を高めることができる。
【0112】
<その他の実施形態>
なお、本発明は上述した形態例に限定されるものでなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上述した形態例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある形態例の一部を他の形態例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある形態例の構成に他の形態例の構成を加えることも可能である。また、各形態例の構成の一部について、他の構成を追加、削除又は置換することも可能である。
【符号の説明】
【0113】
106:散乱光測定光源
107:蛍光励起光源
108:遮光板
109:サンプルローダー
110:画像取得機構
111:温度調整機構
112:前方散乱光検出器
113:側方散乱光検出器
114:コンプレッサーポンプ
115:サンプルインジェクション機構
116:ポリマーポンプ
117:高圧電源
201:粒子分析用泳動管
202:電気泳動用泳動管
203:シース液タンク
204:粒子分析用サンプル
205:レンズ
206:ダイクロイックミラー
207:フィルタ
208:グレーティング
209:レンズ
210:廃液受け
211:ポリマー
212:逆止弁
213:電気泳動用バッファ
214:電気泳動用サンプル
401:蛍光励起光源
1001:レンズ
1002:ステッピングモーター
1003:リニアソレノイド
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサンプルホルダーと、
前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、1つの散乱光測定光源および少なくとも2つの蛍光励起光源の組合せの光源と、
前記複数のサンプルホルダー間に設けられ、前記蛍光励起光源からの励起光の通過または遮断を切り替える遮光板と、を備えた分析装置。
【請求項2】
複数のサンプルホルダーと、
前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、少なくとも2つの蛍光励起光源の組合せの光源と、
前記複数のサンプルホルダー間に設けられ、前記蛍光励起光源からの励起光の通過または遮断を切り替える遮光板と、を備えた分析装置。
【請求項3】
制御手段が、目的の分析ごとに前記遮光板を駆動して、前記励起光の通過または遮断を切り替えることで、前記複数のサンプルホルダーを貫通する前記蛍光励起光源からの励起光を制御し、同時にまたは連続的に検出された前記サンプルからの散乱光および励起光、または励起光に基づき前記サンプルの分析を行う請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記分析は、粒子分析、核酸配列分析、または核酸増幅による定量・定性分析のうち、少なくとも2つの同種または異種の分析であることを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項5】
前記遮光板は、ソレノイドコイルに取り付けられ、該ソレノイドコイルに流す電流を調整することで、電磁力によって前記サンプルホルダー間を出し入れ可能である請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項6】
前記遮光板は、開口部もしくは切り欠けが設けられ、ステッピングモーター先端部に取り付けられることで、前記サンプルホルダー間で回転可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項7】
前記遮光板は、複数設けられており、前記各蛍光励起光源から照射される光の光路上にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項8】
前記サンプルホルダーは、粒子分析用泳動管、電気泳動用泳動管、核酸増幅検知試験管、核酸増幅検知反応容器、またはこれらのキャピラリーアレイのうち、いずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項9】
さらに、前記サンプルを載置し、前記サンプルを温度制御可能であり、前記サンプルを水平および垂直方向に移動可能なサンプルローダーを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項10】
前記サンプルローダーを駆動することで、前記サンプルローダーに載置された前記サンプルまたは分析後の廃液を水平および垂直方向に移動させ、前記サンプルホルダーに前記サンプルまたは分析後の廃液を取り込むことを特徴とする請求項9に記載の分析装置。
【請求項11】
管状または容器状に形成され、同一または異種サンプルを保持するための複数のサンプルホルダーと、
前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、1つの散乱光測定光源および1つの蛍光励起光源と、を備え、
制御手段が、同時にまたは連続的に検出された前記サンプルからの散乱光および励起光に基づき、前記サンプルの分析を行う分析装置。
【請求項12】
管状または容器状に形成され、同一または異種サンプルを保持するための複数のサンプルホルダーに、サンプルローダー制御部が、サンプルを注入するステップと、
前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、1つの散乱光測定光源および少なくとも2つの蛍光励起光源の組合せ、または少なくとも2つの蛍光励起光源の組合せうち、いずれかの組合せの光源を、散乱光制御部または励起光制御部の少なくとも一方が、前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するステップと、
遮光板制御部が、前記複数のサンプルホルダー間に設けられた遮光板を駆動し、前記蛍光励起光源からの励起光の通過または遮断を切り替えるステップと、を備え、
制御手段が、同時にまたは連続的に検出された前記サンプルからの散乱光および励起光、または励起光に基づき前記サンプルの分析を行う分析方法。
【請求項13】
複数のサンプルホルダーと、
前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、1つの散乱光測定光源および少なくとも2つの蛍光励起光源を組合せた光源と、
前記複数のサンプルホルダー間に設けられる遮光板であって、前記複数の蛍光励起光源の少なくとも1つから射出され、少なくとも1つのサンプルホルダーを貫通した励起光の他のサンプルホルダーへの通過または遮断を切り替える遮光板とを有し、
前記遮光板の開口にはレンズが配置されており、当該遮光板を通過する前記励起光は、当該レンズを通過する
ことを特徴とする分析装置。
【請求項14】
複数のサンプルホルダーと、
前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、少なくとも2つの蛍光励起光源を組合せた光源と、
前記複数のサンプルホルダー間に設けられる遮光板であって、前記複数の蛍光励起光源の少なくとも1つから射出され、少なくとも1つのサンプルホルダーを貫通した励起光の他のサンプルホルダーへの通過または遮断を切り替える遮光板とを有し、
前記遮光板の開口にはレンズが配置されており、当該遮光板を通過する前記励起光は、当該レンズを通過する
ことを特徴とする分析装置。
【請求項1】
複数のサンプルホルダーと、
前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、1つの散乱光測定光源および少なくとも2つの蛍光励起光源の組合せの光源と、
前記複数のサンプルホルダー間に設けられ、前記蛍光励起光源からの励起光の通過または遮断を切り替える遮光板と、を備えた分析装置。
【請求項2】
複数のサンプルホルダーと、
前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、少なくとも2つの蛍光励起光源の組合せの光源と、
前記複数のサンプルホルダー間に設けられ、前記蛍光励起光源からの励起光の通過または遮断を切り替える遮光板と、を備えた分析装置。
【請求項3】
制御手段が、目的の分析ごとに前記遮光板を駆動して、前記励起光の通過または遮断を切り替えることで、前記複数のサンプルホルダーを貫通する前記蛍光励起光源からの励起光を制御し、同時にまたは連続的に検出された前記サンプルからの散乱光および励起光、または励起光に基づき前記サンプルの分析を行う請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記分析は、粒子分析、核酸配列分析、または核酸増幅による定量・定性分析のうち、少なくとも2つの同種または異種の分析であることを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項5】
前記遮光板は、ソレノイドコイルに取り付けられ、該ソレノイドコイルに流す電流を調整することで、電磁力によって前記サンプルホルダー間を出し入れ可能である請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項6】
前記遮光板は、開口部もしくは切り欠けが設けられ、ステッピングモーター先端部に取り付けられることで、前記サンプルホルダー間で回転可能であることを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項7】
前記遮光板は、複数設けられており、前記各蛍光励起光源から照射される光の光路上にそれぞれ設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項8】
前記サンプルホルダーは、粒子分析用泳動管、電気泳動用泳動管、核酸増幅検知試験管、核酸増幅検知反応容器、またはこれらのキャピラリーアレイのうち、いずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項9】
さらに、前記サンプルを載置し、前記サンプルを温度制御可能であり、前記サンプルを水平および垂直方向に移動可能なサンプルローダーを備えることを特徴とする請求項1または2に記載の分析装置。
【請求項10】
前記サンプルローダーを駆動することで、前記サンプルローダーに載置された前記サンプルまたは分析後の廃液を水平および垂直方向に移動させ、前記サンプルホルダーに前記サンプルまたは分析後の廃液を取り込むことを特徴とする請求項9に記載の分析装置。
【請求項11】
管状または容器状に形成され、同一または異種サンプルを保持するための複数のサンプルホルダーと、
前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、1つの散乱光測定光源および1つの蛍光励起光源と、を備え、
制御手段が、同時にまたは連続的に検出された前記サンプルからの散乱光および励起光に基づき、前記サンプルの分析を行う分析装置。
【請求項12】
管状または容器状に形成され、同一または異種サンプルを保持するための複数のサンプルホルダーに、サンプルローダー制御部が、サンプルを注入するステップと、
前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、1つの散乱光測定光源および少なくとも2つの蛍光励起光源の組合せ、または少なくとも2つの蛍光励起光源の組合せうち、いずれかの組合せの光源を、散乱光制御部または励起光制御部の少なくとも一方が、前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するステップと、
遮光板制御部が、前記複数のサンプルホルダー間に設けられた遮光板を駆動し、前記蛍光励起光源からの励起光の通過または遮断を切り替えるステップと、を備え、
制御手段が、同時にまたは連続的に検出された前記サンプルからの散乱光および励起光、または励起光に基づき前記サンプルの分析を行う分析方法。
【請求項13】
複数のサンプルホルダーと、
前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、1つの散乱光測定光源および少なくとも2つの蛍光励起光源を組合せた光源と、
前記複数のサンプルホルダー間に設けられる遮光板であって、前記複数の蛍光励起光源の少なくとも1つから射出され、少なくとも1つのサンプルホルダーを貫通した励起光の他のサンプルホルダーへの通過または遮断を切り替える遮光板とを有し、
前記遮光板の開口にはレンズが配置されており、当該遮光板を通過する前記励起光は、当該レンズを通過する
ことを特徴とする分析装置。
【請求項14】
複数のサンプルホルダーと、
前記サンプルホルダー内のサンプルに照射するための光源であって、少なくとも2つの蛍光励起光源を組合せた光源と、
前記複数のサンプルホルダー間に設けられる遮光板であって、前記複数の蛍光励起光源の少なくとも1つから射出され、少なくとも1つのサンプルホルダーを貫通した励起光の他のサンプルホルダーへの通過または遮断を切り替える遮光板とを有し、
前記遮光板の開口にはレンズが配置されており、当該遮光板を通過する前記励起光は、当該レンズを通過する
ことを特徴とする分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−118046(P2012−118046A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−149695(P2011−149695)
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月6日(2011.7.6)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】
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