説明

分析装置および分析方法

【課題】攪拌異常を検出することが可能な分析装置および分析方法を提供すること。
【解決手段】反応タイムコースの終了後に、試薬と検体との反応過程には必要とされない「追加攪拌」が行われる。この「追加攪拌」の前後で、反応容器内の反応液の光学的性質(例えば、吸光度)が測定される。「追加攪拌」の前に測定された反応容器内の反応液の光学的性質(例えば、吸光度)と「追加攪拌」の後に測定された反応容器内の反応液の光学的性質(例えば、吸光度)との比較に基づいて、反応タイムコース内の試薬および検体の攪拌の異常が検出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、攪拌異常を検出することが可能な分析装置および分析方法に関する。
【背景技術】
【0002】
反応容器内の反応液の攪拌は、検体や試薬が反応容器に分注された後で行われる。一般に、攪拌は、分注された検体と試薬、あるいは、分注された試薬と希釈液など、反応容器の中にある物質を均一にすることによって、求められる反応を正しく行うことを可能にする作用がある。このような攪拌は、例えば、反応容器に攪拌棒と呼ばれるへら状あるいは棒状の物体を反応液に自動で差込み、攪拌棒を振動させる、あるいは、回転させることで行われる。
【0003】
血液自動分析機などの分析装置において、反応容器内の反応液の攪拌は、正確なデータを得るために必要不可欠な重要要素であるが、攪拌性能を確認するための方法は確立されていないのが現状である。
【0004】
特に、超音波を用いたり、反応容器そのものを振動攪拌するなど反応液に対して非接触の状態で反応液の攪拌を行う方法も提案され、実現されているが、このような非接触状態での反応液の攪拌は、目視で攪拌状態を確認することができないため、本当に攪拌が行われているのかどうかを確認するための方法が存在しない。また、目視で攪拌状態を確認することができたとしても、肉眼による確認には限界がある。
【0005】
特許文献1には、検体を反応容器に分注する検体分注処理が正常に行われたか否かを判定すること、試薬を反応容器に分注する試薬分注処理が正常に行われたか否かを判定することが記載されている。しかしながら、特許文献1には、どのようにして攪拌異常を検出するかについては何も記載されていない。
【0006】
特許文献2には、攪拌異常を検出することが可能な分析装置が記載されている。しかしながら、特許文献2に記載の分析装置は、攪拌異常を検出するために攪拌性能評価用の専用の溶液を用いることを必要とし、攪拌異常の検出を実際の検査とは別の時間帯に行うことを必要とする。このように、特許文献2に記載の分析装置による攪拌異常の検出は、時間、費用、作業者の手間がかかる上に、リアルタイムの検査結果を保証するものとはなっていない。
【0007】
特許文献3には、試料と試薬の液性に応じて不必要な攪拌を排除することが可能な分析装置が記載されている。しかしながら、特許文献3には、どのようにして攪拌異常を検出するかについては何も記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−292495号公報
【特許文献2】特開2009−150730号公報
【特許文献3】特開平9−127124号公報
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の分析装置は、試薬を反応溶液に分注する手段と、検体を反応容器に分注する手段と、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体を攪拌する手段と、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体が反応することによって得られる反応液を分析する手段と、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体を攪拌してから所定の時間が経過した後に、前記反応容器内の反応液の光学的性質を測定することによって、第1の測定結果を取得する手段と、前記反応容器内の反応液の光学的性質を測定した後に、前記反応容器内の反応液をさらに攪拌する手段と、前記反応容器内の反応液をさらに攪拌した後に、前記反応容器内の反応液の光学的性質を測定することによって、第2の測定結果を取得する手段と、前記第1の測定結果と前記第2の測定結果との比較に基づいて、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体の攪拌の異常を検出する手段とを含む。
【0010】
前記分析装置は、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体の攪拌の異常が検出された場合に、前記反応容器内の反応液の光学的性質をさらに測定することによって、第3の測定結果を取得する手段と、前記第3の測定結果に基づく前記反応液の分析結果を参考データとして出力する手段とをさらに含んでいてもよい。
【0011】
前記分析装置は、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体の攪拌の異常が検出された場合に、前記攪拌が異常であることを示す情報を出力する手段をさらに含んでいてもよい。
【0012】
前記反応容器内の反応液の光学的性質は、吸光度であり、前記攪拌の異常を検出する手段は、前記第1の測定結果として取得された吸光度と前記第2の測定結果として取得された吸光度との差分が所定の閾値より大きい場合に、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体の攪拌が異常であると判定してもよい。
【0013】
前記反応容器内の反応液の光学的性質は、吸光度の安定性であり、前記攪拌の異常を検出する手段は、前記第1の測定結果として取得された吸光度の安定性と前記第2の測定結果として取得された吸光度の安定性との差分が所定の閾値より大きい場合に、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体の攪拌が異常であると判定してもよい。
【0014】
前記第2の測定結果を取得する手段は、前記反応容器内の反応液をさらに攪拌した後の最初の測定ポイントで測定された測定値を使用せず、前記反応容器内の反応液をさらに攪拌した後の2番目以降の測定ポイントで測定された測定値を使用して、前記第2の測定結果を取得してもよい。
【0015】
前記装置は、前記反応容器内の反応液をさらに攪拌するタイミングを前記分析装置のユーザが設定することを可能にする手段をさらに含んでいてもよい。
【0016】
前記反応容器内の反応液をさらに攪拌するタイミングは、固定されていてもよい。
【0017】
前記反応容器内の反応液をさらに攪拌することは、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体が反応する周回において行われず、前記周回において前記反応容器を洗浄することなく、前記周回の次の周回において行われてもよい。
【0018】
本発明の分析方法は、試薬を反応溶液に分注する工程と、検体を反応容器に分注する工程と、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体を攪拌する工程と、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体が反応することによって得られる反応液を分析する工程と、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体を攪拌してから所定の時間が経過した後に、前記反応容器内の反応液の光学的性質を測定することによって、第1の測定結果を取得する工程と、前記反応容器内の反応液の光学的性質を測定した後に、前記反応容器内の反応液をさらに攪拌する工程と、前記反応容器内の反応液をさらに攪拌した後に、前記反応容器内の反応液の光学的性質を測定することによって、第2の測定結果を取得する工程と、前記第1の測定結果と前記第2の測定結果との比較に基づいて、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体の攪拌の異常を検出する工程とを含む。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、反応タイムコースの終了後に、試薬と検体との反応過程には必要とされない「追加攪拌」が行われる。この「追加攪拌」の前後で、反応容器内の反応液の光学的性質(例えば、吸光度)が測定される。「追加攪拌」の前に測定された反応容器内の反応液の光学的性質(例えば、吸光度)と「追加攪拌」の後に測定された反応容器内の反応液の光学的性質(例えば、吸光度)との比較に基づいて、反応タイムコース内の試薬および検体の攪拌の異常が検出される。このように、本発明によれば、攪拌異常を検出することが可能な分析装置および分析方法を提供することができる。さらに、本発明において、攪拌異常が検出された場合に、反応容器内の反応液の光学的性質(例えば、吸光度)をさらに測定し、この測定結果に基づく反応液の分析結果を参考データとして出力するようにしてもよい。このように、本発明によれば、攪拌異常が検出された場合に、正しいデータを推認するための参考データを分析装置のユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の分析装置1の基本的な構成の一例を示す図
【図2】図1に示される分析装置1の論理的な構成の一例を示す図
【図3】図1に示される分析装置1の動作フローの一例を示す図
【図4a】追加攪拌設定画面の一例を示す図
【図4b】項目名設定画面の一例を示す図
【図4c】項目詳細条件設定画面の一例を示す図
【図5a】従来の分析装置の動作フローに基づくタイムシーケンスを示す図
【図5b】本発明の実施の形態1の動作フローに基づくタイムシーケンスを示す図
【図5c】本発明の実施の形態3の動作フローに基づくタイムシーケンスを示す図
【図6a】攪拌速度を正常な攪拌速度よりも低い速度(攪拌速度5割減)に設定した場合における吸光度の変化を示す図
【図6b】図6aの拡大図
【図6c】攪拌速度を正常な攪拌速度に設定した場合における吸光度の変化を示す図
【図6d】図6cの拡大図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を説明する。
(本発明の分析装置1の基本的な構成)
図1は、本発明の分析装置1の基本的な構成の一例を示す。
【0022】
分析装置1は、試薬テーブル2、3と、反応テーブル4と、試薬分注機構6、7と、検体容器移送機構8と、検体分注機構11と、分析光学系12と、洗浄機構13と、制御部15と、入力部6と、表示部17と、攪拌機構20とを備えている。
【0023】
試薬テーブル2、3は、それぞれ、試薬テーブル2、3の周方向に沿って配列されている複数の試薬容器2a、3aを保持し、図示しない駆動手段によって回転される。試薬テーブル2、3が回転されることによって、複数の試薬容器2a、3aが試薬テーブル2、3の周方向に沿って搬送される。
【0024】
反応テーブル4は、反応テーブル4の周方向に沿って配列されている複数の反応容器5を保持し、図示しない駆動手段によって矢印で示す正方向または負方向に回転される。反応テーブル4が回転されることによって、複数の反応容器5が反応テーブル4の周方向に沿って搬送される。
【0025】
反応容器5には、反応テーブル4の近傍に設けられた試薬分注機構6、7によって試薬テーブル2、3の試薬容器2a、3aから試薬が分注される。試薬分注機構6、7は、それぞれ、水平面内を矢印方向に回動するアーム6a、7aと、アーム6a、7aに取り付けられ、試薬を分注するプローブ6b、7bと、洗浄水によってプローブ6b、7bを洗浄する洗浄手段(図示せず)とを含んでいる。
【0026】
反応容器5は、液体を保持するように構成されている。また、反応容器5は、光学的に透明な材料で形成されている。例えば、反応容器5は、後述する分析光学系12から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する材料、例えば、耐熱ガラスを含むガラス、環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂で形成されている。
【0027】
検体容器移送機構8は、フィーダ9に配列された複数のラック10を矢印方向に沿って1つずつ移送する。ラック10は、検体を収容した複数の検体容器10aを保持している。検体容器移送機構8によって移送されたラック10が停止する度に、水平方向に回動するアーム11aとプローブ11bとを有する検体分注機構11によって検体容器10a内の検体が各反応容器5へ分注される。このため、検体分注機構11は、洗浄水によってプローブ11bを洗浄する洗浄手段(図示せず)を有している。
【0028】
分析光学系12は、試薬と検体とが反応した結果として得られる反応液を光学的に分析する。分析光学系12は、反応液を分析するための分析光(例えば、340nm〜800nmの波長を有する分析光)を出射する光源12aと、分光部12bと、受光部12cとを有している。光源12aから出射された分析光は、分析装置1の測定ポイントにある反応容器5内の反応液を透過し、分光部12bと対向する位置に設けられている受光部12cによって受光される。受光部12cは、制御部15に接続されている。
【0029】
洗浄機構13は、ノズル13aによって反応容器5内の反応液を吸引して排出した後、ノズル13aによって洗剤や洗浄水等の洗浄液等を繰り返し注入し、吸引することにより、分析光学系12による分析が終了した反応容器5を洗浄する。
【0030】
制御部15は、分析装置1の各部の動作を制御するとともに、受光部12cによって受光された分析光に基づいて反応容器5内の反応液の光学的性質(例えば、吸光度)を測定し、その測定結果に基づいて反応液の特性(例えば、反応液の成分や濃度)を分析する。制御部15は、例えば、マイクロコンピュータ等によって実装されることが可能である。制御部15は、ユーザからの入力(例えば、分析項目や分析条件等)を入力するための入力部16(例えば、キーボード)と、分析結果を表示するための表示部17(例えば、ディスプレイパネル)とに接続されている。
【0031】
攪拌機構20は、反応容器5に分注された試薬および検体を攪拌するように構成されている。このように、反応容器5内で試薬と検体とが攪拌されることによって、試薬と検体とが反応する。また、攪拌機構20は、反応容器5内で試薬と検体とが反応することによって得られる反応液をさらに攪拌するように構成されている。ここで、攪拌装置20による攪拌のタイミングは、制御部15からの制御信号に従って制御される。なお、攪拌装置20としては、公知の任意のタイプの攪拌装置を用いることが可能である。例えば、攪拌機構20は、攪拌棒を用いるものであってもよいし、振動を用いるものであってもよいし、音波を用いるものであってもよい。なお、攪拌機構20の位置、個数は、図1に示される実施形態には限定されず、任意の位置、個数であり得る。
【0032】
図2は、図1に示される分析装置1の論理的な構成の一例を示す。制御部15は、試薬テーブル2、3と、反応テーブル4と、試薬分注機構6、7と、検体容器移送機構8と、検体分注機構11と、分析光学系12と、洗浄機構13と、入力部16と、表示部17と、攪拌機構20とに制御信号を出力することによって、これらを制御する。
(本発明の分析装置1の基本的な動作)
次に、図1に示される分析装置1の基本的な動作を説明する。
【0033】
回転する反応テーブル4によって反応テーブル4の周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器5には、試薬分注機構6、7によって試薬容器2a、3aから試薬が順次分注される。試薬が分注された反応容器5には、検体分注機構11によってラック10に保持された複数の検体容器10aから検体が順次分注される。そして、反応容器5内に分注された試薬と検体とは、分析装置1の測定ポイント間で反応テーブル4が停止する度に、攪拌機構20によって順次攪拌される。これにより、試薬と検体とが反応する。反応容器5が分析光学系12を通過するとき、反応容器5内の反応液を透過した分析光が、受光部12cによって受光され、制御部15によって反応液の特性(例えば、反応液の成分や濃度)が分析される。そして、分析が終了した反応容器5は、洗浄機構13によって洗浄された後、再度、検体の分析に使用される。
【0034】
なお、図1を参照して分析装置1の構成の一例を説明したが、分析装置1の構成は上述した構成に限定されない。例えば、図1に示す例では、試薬テーブルの数は2つだが、試薬テーブルの数は、2つに限定されない。試薬テーブルの数は、1つでもよいし、3つ以上でもよい。
(本発明の実施の形態1)
図3は、図1に示される分析装置1の動作フローの一例を示す。この動作フローは、攪拌のタイミングを自由に設定することができる分析装置1において、分析項目ごとに追加攪拌を行うポイントを分析装置1のユーザが設定することができる場合を前提としている。この動作フローは、図3に示される手順に従って、制御部15が、図2に示される各部を制御することによって達成されることが可能である。本発明の実施の形態1は、主として、項目の最終の測定ポイントでの測定値(例えば、吸光度)が変化しない測定系に適用することが好ましい。
【0035】
ステップS1:分析装置1の動作フローがスタートする。
【0036】
ステップS2:追加攪拌設定画面が表示される。例えば、図4aに示されるように、「追加攪拌を使用しますか? YES NO」という画面が追加攪拌設定画面として表示部17に表示される。ここで、本願明細書において、「追加攪拌」とは、試薬と検体との反応過程には必要とされない攪拌をいう。言い換えると、従来の「攪拌」は、反応タイムコース内で試薬と検体とを反応させることを目的とした攪拌であるのに対し、本発明の「追加攪拌」は、試薬と検体との反応が終了した後(すなわち、反応タイムコース終了後)の攪拌である点で、両者は根本的に異なっている。図4aに示される追加攪拌設定画面において「YES」が選択されると、処理はステップS3に進む。図4aに示される追加攪拌設定画面において「NO」が選択されると、追加攪拌の設定は行われず、追加攪拌を伴わない通常の分析動作が実行される。
【0037】
ステップS3:追加攪拌の前後で測定されるべき項目名が設定される。例えば、図4bに示されるように、項目名を設定するための画面として「項目名設定画面」が表示部17に表示される。なお、「項目名設定画面」には、その項目名の最終の測定ポイントが分析装置1の最終の測定ポイントよりも2ポイント以上前の項目名のみが表示される。ユーザは、「項目名設定画面」に表示される項目名の中から、追加攪拌の前後で測定されるべき1つの項目名を選択することができる。以下、ユーザが項目Aを選択した場合を例にとり説明する。
【0038】
ステップS4:追加攪拌が行われるタイミングが設定される。例えば、図4cに示されるように、追加攪拌が行われるポイントを設定するための画面として「項目詳細条件設定画面」が表示部17に表示される。追加攪拌が行われるポイントは、項目の最終の測定ポイントと、分析装置1の最終の測定ポイントとの間で任意に設定することが可能である。項目の最終の測定ポイントおよび分析装置1の最終の測定ポイントの両方は、予め決められている。例えば、項目Aの最終の測定ポイントがポイント15であり、分析装置1の最終の測定ポイントがポイント27である場合には、追加攪拌が行われるポイントとして、ポイント15〜27のうちの任意のポイントを設定することが可能である。ユーザは、入力部16を介して、「項目詳細条件設定画面」の領域40に追加攪拌が行われるポイントを示す数字を入力することによって、追加攪拌が行われるポイントを設定することが可能である。以下、ユーザが項目Aの追加攪拌が行われるポイントとして、ポイント20を設定した場合を例にとり説明する。追加攪拌が行われるポイントとしてポイント20が設定された場合には、攪拌は、測定ポイント19と測定ポイント20との間で行われる。
【0039】
ステップS5:分析装置1の分析動作がスタートする。
【0040】
ステップS6:分析装置1の項目Aの分析動作がスタートする。
【0041】
ステップS7:項目Aの最終の測定ポイント15において、測定データが取り込まれる。ここで、項目Aの最終の測定ポイントは、この項目Aの最終の測定ポイントよりも前に、試薬の分注・攪拌が行われ、検体の分注・攪拌が行われ、試薬と検体との反応が終了しているように予め決められている。
【0042】
ステップS8:項目Aの最終の測定ポイント15よりも後で、かつ、追加攪拌が行われるように設定されたポイント20よりも前の測定ポイント(例えば、測定ポイント19)において、反応容器5内の反応液の光学的性質が分析光学系12によって測定される。分析光学系12による測定結果は、制御部15によって分析され、第1の測定結果として取得される。
【0043】
ステップS9:追加攪拌が行われるように設定されたポイント20において、攪拌機構20によって追加攪拌が行われる。攪拌機構20による追加攪拌のタイミングは、制御部15によって制御される。
【0044】
ステップS10:追加攪拌が行われるように設定されたポイント20よりも後の測定ポイント(例えば、測定ポイント21)において、反応容器5内の反応液の光学的性質が分析光学系12によって測定される。分析光学系12による測定結果は、制御部15によって分析され、第2の測定結果として取得される。ここで、追加攪拌が行われるように設定されたポイント20の直後の測定ポイントは、測定ポイント21ではなく、測定ポイント20であるが、測定ポイント20で測定された測定値を使用せず、測定ポイント21で測定された測定値、もしくは、測定ポイント21以降の測定ポイントで測定された測定値を使用することが好ましい。その理由は、追加攪拌の直後の測定ポイント20では、追加攪拌による液のゆれが収まっていなかったり、反応液への攪拌棒の侵入による温度の低下や攪拌棒を洗浄した際の水の持ち込みなどの影響で、安定しない測定値が得られることが多いからである。これらの測定値は、例えば、吸光度である。
【0045】
ステップS11:ステップS8で取得された第1の測定結果(例えば、測定ポイント19で測定された測定値)とステップS10で取得された第2の測定結果(例えば、測定ポイント21で測定された測定値)とが比較される。
【0046】
ステップS12:ステップS11における比較に基づいて、攪拌異常の有無が判定される。例えば、第1の測定結果(例えば、測定ポイント19で測定された測定値)と第2の測定結果(例えば、測定ポイント21で測定された測定値)との差分が所定の閾値よりも大きい場合に、攪拌異常ありと判定するようにしてもよい。なお、所定の閾値は、図4cに示されるような「項目詳細条件設定画面」を用いて、分析装置1のユーザによって設定可能であるようにしてもよい。なお、攪拌異常の有無の判定ロジックの詳細については、後述する。
【0047】
ステップS12における判定結果が「YES」の場合(すなわち、攪拌異常ありと判定された場合)には、処理はステップS15に進む。ステップS15では、項目Aの測定データに攪拌不良のリマークがつけられる。ステップS12における判定結果が「NO」の場合(すなわち、攪拌異常なしと判定された場合)には、処理はステップS13に進む。
【0048】
ステップS13:分析装置1の分析動作が終了か否かが判定される。最後の検体が処理されたところで、分析装置1の分析動作は終了となる。
【0049】
ステップS14:分析装置1の動作フローが終了する。
【0050】
図5aは、従来の分析装置の動作フローに基づくタイムシーケンスを示す。図5bは、本発明の実施の形態1の動作フローに基づくタイムシーケンスを示す。図5aと図5bとを対比すると、図5bのタイムシーケンスは、(i)追加攪拌が追加されている点、(ii)追加攪拌の前後の2つのポイントで測定された測定値(例えば、ポイント19で測定された測定値およびポイント21で測定された測定値)が攪拌異常の判定に使用されている点で、図5aのタイムシーケンスと異なっていることが分かる。
<確認実験>
以下、本発明の実施の形態1に基づいて、攪拌異常の有無を判定するための確認実験の一例を説明する。
【0051】
この確認実験において、測定項目は、血清アルブミンとし、測定法は、BCG(bromcresol green)法とした。また、全体の反応時間は約15分とし、各測定ポイントは、全体反応時間を均等に28分割して設定した。
【0052】
また、この確認実験において、以下の条件設定を行った。
【0053】
反応終了位置:測定ポイント3
データ取り込み位置:測定ポイント5
追加攪拌位置:測定ポイント10と測定ポイント11との間
攪拌異常の判定の仕方:測定ポイント10での吸光度と測定ポイント13での吸光度との差分が0.005以上である場合、攪拌異常であると判定する。
【0054】
図6aは、攪拌速度を正常な攪拌速度よりも低い速度(攪拌速度5割減)に設定した場合における吸光度の変化を示す。図6bは、図6aの拡大図である。図6aおよび図6bに示される例では、測定ポイント10での吸光度と測定ポイント13での吸光度との差分は、0.0356である。従って、攪拌異常であると判定される。
【0055】
図6cは、攪拌速度を正常な攪拌速度に設定した場合における吸光度の変化を示す。図6dは、図6cの拡大図である。図6cおよび図6dに示される例では、測定ポイント10での吸光度と測定ポイント13での吸光度との差分は、0.0006である。従って、攪拌異常でないと判定される。
【0056】
このように、上記確認実験によれば、攪拌速度5割減の条件で攪拌を行った場合(すなわち、攪拌が十分に行われなかった場合)には、攪拌異常であると判定され、正常な攪拌速度の条件で攪拌を行った場合(すなわち、攪拌が十分に行われた場合)には、攪拌異常でないと判定されることが分かる。
(本発明の実施の形態2)
本発明の実施の形態2は、本発明の実施の形態1の変形例である。本発明の実施の形態1では、追加攪拌が行われるタイミングを分析装置1のユーザが設定することが可能である例を説明した。本発明の実施の形態2では、追加攪拌が行われるタイミングが固定されている(すなわち、ユーザが設定することが不可能である)例を説明する。
【0057】
本発明の実施の形態2では、図3に示されるステップS4の代わりに、ステップS4’が実行される。ステップS4’では、追加攪拌が行われるポイントが表示部17に表示される。例えば、項目Bの追加攪拌が行われるポイントがポイント20に固定されている場合には、ポイント20が表示部17に表示される。
【0058】
なお、図3に示されるステップS4以外のステップは、図3に示される動作フローと同様である。
(本発明の実施の形態3)
本発明の実施の形態3は、本発明の実施の形態1の変形例である。本発明の実施の形態3では、本発明の実施の形態2と同様に、追加攪拌が行われるタイミングが固定されている(すなわち、ユーザが設定することが不可能である)例を説明する。
【0059】
本発明の実施の形態3では、図3に示されるステップS3の代わりに、ステップS3”が実行される。ステップS3では、「項目名設定画面」には、その項目名の最終の測定ポイントが分析装置1の最終の測定ポイントよりも2ポイント以上前の項目名のみが表示されるように項目名の表示が制限されていた。これとは対照的に、ステップS3”では、「項目名設定画面」には、分析装置1の最終の測定ポイントにかかわらず、すべての項目名が表示される。例えば、項目Cの最終の測定ポイントが、分析装置1の最終の測定ポイントと同じポイント27である場合には、項目Cもまた「項目名設定画面」に表示される。
【0060】
本発明の実施の形態3では、図3に示されるステップS4の代わりに、ステップS4”が実行される。ステップS4”では、追加攪拌が行われるポイントが表示部17に表示される。例えば、項目Cの最終の測定ポイントが、分析装置1の最終の測定ポイントと同じポイント27である場合には、反応テーブル4の1周目の測定ポイント(すなわち、ポイント0からポイント27まで)に加えて、自動的に、反応テーブル4の2周目の測定ポイント(すなわち、ポイント28からポイント54まで)が追加表示される。例えば、項目Cの追加攪拌が行われるポイントがポイント28に固定されている場合には、ポイント28が表示部17に表示される。項目Cの追加攪拌が行われるポイントがポイント28に固定されている場合には、攪拌は、反応テーブル4の1周目の分析装置1の最終の測定ポイント27と反応テーブル4の2周目の最初のポイント28との間で行われる。ただし、この場合、反応テーブル4の1周目の最後に通常行われる反応容器5の洗浄動作はスキップされ、反応容器5が洗浄されないままで、反応テーブル4の2周目に入ることになる。
【0061】
なお、図3に示されるステップS3、S4以外のステップは、図3に示される動作フローと同様である。
【0062】
図5cは、本発明の実施の形態3の動作フローに基づくタイムシーケンスを示す。図5aと図5cとを対比すると、図5cのタイムシーケンスは、(i)1周目の最後の洗浄動作がスキップされている点、(ii)2周目に追加攪拌が追加されている点、(iii)追加攪拌の前後の2つのポイントで測定された測定値(例えば、1周目のポイント27で測定された測定値および2周目のポイント1(ポイント29)で測定された測定値)が攪拌異常の判定に使用されている点で、図5aのタイムシーケンスと異なっていることが分かる。
(本発明の実施の形態4)
本発明の実施の形態4は、本発明の実施の形態1の変形例である。本発明の実施の形態1との違いは、攪拌異常の有無の判定ロジックの部分である。
【0063】
本発明の実施の形態4では、図3に示されるステップS8の代わりに、ステップS8’が実行される。ステップS8’では、測定ポイント16〜19のそれぞれにおいて、反応容器5内の反応液の光学的性質が分析光学系12によって測定される。分析光学系12による測定結果は、制御部15によって分析され、測定ポイント16〜19で測定された測定値の平均値が算出される。測定ポイント16〜19で測定された測定値の平均値が第1の測定結果とされる。
【0064】
本発明の実施の形態4では、図3に示されるステップS10の代わりに、ステップS10’が実行される。ステップS10’では、測定ポイント20〜23のそれぞれにおいて、反応容器5内の反応液の光学的性質が分析光学系12によって測定される。分析光学系12による測定結果は、制御部15によって分析され、測定ポイント20〜23で測定された測定値の平均値が算出される。測定ポイント20〜23で測定された測定値の平均値が第2の測定結果とされる。
【0065】
なお、図3に示されるステップS8、S10以外のステップは、図3に示される動作フローと同様である。
【0066】
このように、本発明の実施の形態4によれば、複数の測定ポイントで測定された測定値の平均値の比較に基づいて、攪拌異常の有無が判定される。
(本発明の実施の形態5)
本発明の実施の形態5は、本発明の実施の形態1の変形例である。本発明の実施の形態1との違いは、攪拌異常の有無の判定ロジックの部分である。本発明の実施の形態5は、主として、項目の測定ポイントにおいて、測定値(例えば、吸光度)が変動(上昇または下降)している測定系に適用することが好ましい。
【0067】
本発明の実施の形態5では、図3に示されるステップS8の代わりに、ステップS8”が実行される。ステップS8”では、測定ポイント18、19のそれぞれにおいて、反応容器5内の反応液の光学的性質が分析光学系12によって測定される。分析光学系12による測定結果は、制御部15によって分析され、測定ポイント18で測定された測定値(P18)および測定ポイント19で測定された測定値(P19)から、測定ポイント21で測定される測定値が予測される。例えば、測定ポイント21で測定される測定値の予測値(P21)は、P21=P19+(P19−P18)×2という式によって算出される。このようにして算出された予測値(P21)が、ステップS11において測定ポイント21で実際に測定された測定値と比較されることになる。
【0068】
なお、図3に示されるステップS8以外のステップは、図3に示される動作フローと同様である。
【0069】
このように、本発明の実施の形態5によれば、複数の測定ポイントで測定された測定値から算出された予測値と実際の測定値との比較に基づいて、攪拌異常の有無が判定される。
(本発明の実施の形態6)
本発明の実施の形態6は、本発明の実施の形態1の変形例である。
【0070】
本発明の実施の形態6では、図3に示されるステップS15の代わりに、ステップS15’が実行される。ステップS15’では、項目Aの測定データに攪拌不良のリマークがつけられることに代えて、あるいは、項目Aの測定データに攪拌不良のリマークがつけられることに加えて、項目Aの測定データの出力が防止される。これにより、不正確な検出結果の出力を防止することができる。
【0071】
あるいは、本発明の実施の形態6では、図3に示されるステップS15の代わりに、ステップS15”が実行されるようにしてもい。ステップS15”では、項目Aの測定データに攪拌不良のリマークがつけられることに代えて、あるいは、項目Aの測定データに攪拌不良のリマークがつけられることに加えて、攪拌異常ありと判定された後の測定ポイント(例えば、測定ポイント23)において、反応容器5内の反応液の光学的性質が分析光学系12によってさらに測定される。分析光学系12による測定結果は、制御部15によって分析され、第3の測定結果として取得される。この第3の測定結果に基づく反応液の分析結果は、分析装置1のユーザが認識することが可能な態様で参考データとして出力される(例えば、その分析結果は、正しいデータを推認するための参考データとして表示部17に表示される)。これにより、攪拌異常が検出された場合に、攪拌異常が検出されたことを単に分析装置1のユーザに知らせるばかりでなく、追加攪拌後の測定データを正しいデータを推認するための参考データとして分析装置1のユーザに提供することが可能になる。
【0072】
なお、攪拌異常が検出された場合、追加攪拌後の測定データを採用するかどうかの選択肢を事前にユーザに示すようにしてもよいし、追加攪拌後の測定データを採用する場合に、どの測定ポイントの測定データを採用するかをユーザが設定できるようにしてもよい。このようなことは、例えば、図4cに示される「項目詳細条件設定画面」において、設定項目を追加することによって容易に実現することが可能である。
(攪拌異常の有無の判定ロジック)
図3に示されるステップS12における攪拌異常の有無の判定ロジックとしては、以下に示す種々の判定ロジックを採用することができる。これらの中から、ユーザが判定ロジックを設定できるようにしてもよい。
【0073】
判定ロジック1:追加攪拌が行われるポイント(P)の1つ前の測定ポイント(Pn−1)での測定値と追加攪拌が行われるポイント(P)の1つ後の測定ポイント(Pn+1)での測定値との差分が所定の閾値より大きいか否か。
【0074】
判定ロジック2:追加攪拌が行われるポイント(P)よりも前のいくつかの測定ポイント(Pn−1,Pn−2,Pn−3,・・・)での測定値から算出される測定値の平均値と追加攪拌が行われるポイント(P)よりも後のいくつかの測定ポイント(Pn+1,Pn+2,Pn+3,・・・)での測定値から算出される測定値の平均値との差分が所定の閾値より大きいか否か。
【0075】
判定ロジック3:追加攪拌が行われるポイント(P)よりも前のいくつかの測定ポイント(Pn−1,Pn−2,Pn−3,・・・)での測定値から算出される測定値の標準偏差と追加攪拌が行われるポイント(P)よりも後のいくつかの測定ポイント(Pn+1,Pn+2,Pn+3,・・・)での測定値から算出される測定値の標準偏差との差分が所定の閾値より大きいか否か。
【0076】
判定ロジック4:追加攪拌が行われるポイント(P)よりも前のいくつかの測定ポイント(Pn−1,Pn−2,Pn−3,・・・)での測定値から算出される、追加攪拌が行われるポイント(P)の1つ後の測定ポイント(Pn+1)の測定値の予測値と追加攪拌が行われるポイント(P)の1つ後の測定ポイント(Pn+1)の実際の測定値との差分が所定の閾値より大きいか否か。
【0077】
判定ロジック5:追加攪拌が行われるポイント(P)よりも前のいくつかの測定ポイント(Pn−1,Pn−2,Pn−3,・・・)での測定値から算出される追加攪拌前の吸光度平均変化量と追加攪拌が行われるポイント(P)よりも後のいくつかの測定ポイント(Pn+1,Pn+2,Pn+3,・・・)での測定値から算出される追加攪拌後の吸光度平均変化量との差分が所定の閾値より大きいか否か。
【0078】
上述した判定ロジック1〜3は、主として、測定ポイントでの測定値(例えば、吸光度)が既に安定している項目(例えば、マグネシウムなどの血中金属成分の測定系)に適した判定ロジックである。特に、判定ロジック3は、測定値のばらつきが平均化されるため、厳密な評価が可能であるという利点を有する一方で、追加攪拌後にもいくつかの測定ポイントでの測定を必要とするため、追加攪拌が行われるポイントの設定範囲が狭まるという欠点を有している。判定ロジック1は、追加攪拌が行われるポイントの設定範囲が広いという利点を有している一方で、追加攪拌が行われるポイントの1つ前後の測定ポイントでの測定値で評価するため、測定値のばらつきの影響を受けやすいという欠点を有している。
【0079】
上述した判定ロジック4〜5は、主として、測定ポイントでの測定値(例えば、吸光度)が収束せずにまだ上昇または下降している項目(例えば、イムノグロブリンなど抗体蛋白系の項目)に適した判定ロジックである。判定ロジック4における予測値の計算式は、(本発明の実施の形態5)において記載した計算式と同一である。判定ロジック4の利点は、追加攪拌が行われるポイントの設定範囲が広いことである。判定ロジック5の利点は、測定値のばらつきの影響が軽減されるということである。
【0080】
本発明の実施の形態1〜6において上述したように、本発明によれば、従来の分析装置では検出することが不可能であった攪拌異常を検出することが可能である。特に、非接触タイプの攪拌機構を採用した従来の分析装置では検出することが不可能であった攪拌異常を検出することが可能である。また、攪拌棒などの接触タイプの攪拌機能を採用した従来の分析装置でも実質的に検出することが不可能であった攪拌異常を検出することが可能である。攪拌異常が検出された場合には、分析装置のユーザは、分析装置の攪拌機構を点検し、必要があればサービス部門に連絡して分析装置の攪拌機構の修理に当たらせることができる。
【0081】
さらに、本発明によれば、攪拌異常が検出された場合には、測定データの出力を防止することができる。これにより、不正確な検出結果の出力を防止することができる。その結果、臨床側での誤判定、誤診断が発生しなくなり、被検査者の健康に寄与することができる。
【0082】
さらに、従来、反応終了後の反応容器内の反応液は、洗浄機構によってただ排出されるのを待つだけであったが、本発明によれば、反応終了後の反応容器内の反応液を測定値が正しいかどうかを保証するために使用することが可能である。
【0083】
さらに、日常検査終了後に、新たに攪拌評価用の試験液を装置にセットして、攪拌機能が正常であるかどうか確認する従来の方法では、時間も費用も作業者の手間もかかっていたが、本発明によれば、リアルタイムに攪拌機能を評価することが可能であるため、時間も費用も作業者の手間もかからないようにすることが可能である。
【0084】
さらに、本発明によれば、検査終了後(検査データ取り込み後)に、反応容器内の反応液に対して追加で攪拌を行うため、攪拌異常が無かった場合の検査データにはなんらの影響を及ぼさないようにすることが可能である。
【0085】
さらに、本発明によれば、日常検査における、リアルタイムの検査を保証することができるとともに、リアルタイムで攪拌異常を検出することができる。このため、作業者は、迅速に再検査や異常の対処を行うことができる。
【0086】
さらに、本発明によれば、再検査による正確なデータを待っていられない緊急検体などについては、追加攪拌後の追加測定ポイントを設定しておくことによって、より真値に近い結果を得ることが可能である。
【0087】
以上のように、本発明の好ましい実施の形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施の形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施の形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。
【符号の説明】
【0088】
1 分析装置
2、3 試薬テーブル
2a、3a 試薬容器
4 反応テーブル
5 反応容器
6、7 試薬分注機構
6a、7a アーム
6b、7b プローブ
8 検体容器移送機構
9 フィーダ
10 ラック
10a 検体容器
11 検体分注機構
11a アーム
11b プローブ
12 分析光学系
12a 光源
12b 分光部
12c 受光部
13 洗浄機構
13a ノズル
15 制御部
16 入力部
17 表示部
20 攪拌機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬を反応溶液に分注する手段と、
検体を反応容器に分注する手段と、
前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体を攪拌する手段と、
前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体が反応することによって得られる反応液を分析する手段と、
前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体を攪拌してから所定の時間が経過した後に、前記反応容器内の反応液の光学的性質を測定することによって、第1の測定結果を取得する手段と、
前記反応容器内の反応液の光学的性質を測定した後に、前記反応容器内の反応液をさらに攪拌する手段と、
前記反応容器内の反応液をさらに攪拌した後に、前記反応容器内の反応液の光学的性質を測定することによって、第2の測定結果を取得する手段と、
前記第1の測定結果と前記第2の測定結果との比較に基づいて、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体の攪拌の異常を検出する手段と
を含む分析装置。
【請求項2】
前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体の攪拌の異常が検出された場合に、前記反応容器内の反応液の光学的性質をさらに測定することによって、第3の測定結果を取得する手段と、
前記第3の測定結果に基づく前記反応液の分析結果を参考データとして出力する手段と
をさらに含む、請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体の攪拌の異常が検出された場合に、前記攪拌が異常であることを示す情報を出力する手段をさらに含む、請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
前記反応容器内の反応液の光学的性質は、吸光度であり、
前記攪拌の異常を検出する手段は、前記第1の測定結果として取得された吸光度と前記第2の測定結果として取得された吸光度との差分が所定の閾値より大きい場合に、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体の攪拌が異常であると判定する、請求項1に記載の分析装置。
【請求項5】
前記反応容器内の反応液の光学的性質は、吸光度の安定性であり、
前記攪拌の異常を検出する手段は、前記第1の測定結果として取得された吸光度の安定性と前記第2の測定結果として取得された吸光度の安定性との差分が所定の閾値より大きい場合に、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体の攪拌が異常であると判定する、請求項1に記載の分析装置。
【請求項6】
前記第2の測定結果を取得する手段は、前記反応容器内の反応液をさらに攪拌した後の最初の測定ポイントで測定された測定値を使用せず、前記反応容器内の反応液をさらに攪拌した後の2番目以降の測定ポイントで測定された測定値を使用して、前記第2の測定結果を取得する、請求項1に記載の分析装置。
【請求項7】
前記反応容器内の反応液をさらに攪拌するタイミングを前記分析装置のユーザが設定することを可能にする手段をさらに含む、請求項1に記載の分析装置。
【請求項8】
前記反応容器内の反応液をさらに攪拌するタイミングは、固定されている、請求項1に記載の分析装置。
【請求項9】
前記反応容器内の反応液をさらに攪拌することは、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体が反応する周回において行われず、前記周回において前記反応容器を洗浄することなく、前記周回の次の周回において行われる、請求項8に記載の分析装置。
【請求項10】
試薬を反応溶液に分注する工程と、
検体を反応容器に分注する工程と、
前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体を攪拌する工程と、
前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体が反応することによって得られる反応液を分析する工程と、
前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体を攪拌してから所定の時間が経過した後に、前記反応容器内の反応液の光学的性質を測定することによって、第1の測定結果を取得する工程と、
前記反応容器内の反応液の光学的性質を測定した後に、前記反応容器内の反応液をさらに攪拌する工程と、
前記反応容器内の反応液をさらに攪拌した後に、前記反応容器内の反応液の光学的性質を測定することによって、第2の測定結果を取得する工程と、
前記第1の測定結果と前記第2の測定結果との比較に基づいて、前記反応容器に分注された前記試薬および前記検体の攪拌の異常を検出する工程と
を含む分析方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4a】
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【図4b】
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【図4c】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図6a】
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【図6b】
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【図6c】
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【図6d】
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