説明

分析装置とその反応容器洗浄方法

【課題】分析感度の高低に応じて反応容器の洗浄レベルを変更することが可能な分析装置とその反応容器洗浄方法を提供すること。
【解決手段】キュベットホイール5上に保持した複数の反応容器6内で検体と試薬とを含む液体試料を反応させ、反応液を分析後の反応容器を洗浄する洗浄装置を備えた自動分析装置1とその反応容器洗浄方法。複数の反応容器6は、キュベットホイール5に上下2段に配置され、自動分析装置1は、キュベットホイール近傍の少なくとも2箇所に上下2段の二つの反応容器を一組として上下方向に回転させて入れ替える入替部17,21を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置とその反応容器洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動分析装置は、血液や尿等の生体成分からなる検体を分析しており、検体と試薬を反応容器中で反応させ、反応液の光学的特性を測定することにより検体中の特定成分の含有量等を測定している。そして、自動分析装置は、洗浄装置によって洗浄して反応容器を再使用している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2008−128662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、近年、分析装置は、分析感度の低い検査項目と分析感度の高い検査項目を分析する機能を備えた分析装置が提供されるようになった。このような複合機能を備えた分析装置は、例えば、分析感度の低い従来通りの生化学検査項目用の洗浄を行うと、分析感度の高い遺伝子検査項目用に使用する反応容器の洗浄がコンタミネーションを回避するうえで不十分となる場合があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、分析感度の高低に応じて反応容器の洗浄レベルを変更することが可能な分析装置とその反応容器洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の分析装置は、キュベットホイール上に保持した複数の反応容器内で検体と試薬とを含む液体試料を反応させ、反応液を分析後の反応容器を洗浄する洗浄装置を備えた分析装置であって、前記複数の反応容器は、前記キュベットホイールに上下2段に配置され、前記キュベットホイール近傍の少なくとも2箇所に前記上下2段の二つの反応容器を一組として上下方向に回転させて入れ替える入替手段を備えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明の分析装置は、上記の発明において、前記上段の反応容器に蓋を被せる被着手段と、被せた蓋を前記反応容器から外す取外手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の分析装置は、上記の発明において、前記上下2段の二つの反応容器は、中心軸の廻りに回転する2枚の支持板間に、それぞれの開口を上方と下方に向けて固定されていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の分析装置は、上記の発明において、前記上下2段の二つの反応容器は、中心軸の廻りに回転する2枚の支持板間に、それぞれの開口を上方に向けて揺動自在に支持されていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の分析装置は、上記の発明において、前記洗浄装置は、前記キュベットホイールの上段の反応容器側と下段の反応容器側の上下両側に配置されていることを特徴とする。
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の分析装置の反応容器洗浄方法は、検体と試薬とを反応容器内で反応させ、反応液を光学的に測定することによって前記検体の成分を分析し、測光終了後の反応容器を洗浄する分析装置の反応容器洗浄方法であって、前記反応容器を洗浄する通常洗浄工程と、検体を分析する前記反応容器の搬送経路と別の搬送経路に沿って搬送し、前記反応容器を特別洗浄する特別洗浄工程と、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の分析装置は、複数の反応容器がキュベットホイールに上下2段に配置され、キュベットホイール近傍の少なくとも2箇所に上下2段の二つの反応容器を一組として上下方向に回転させて入れ替える入替手段を備え、本発明の分析装置の反応容器洗浄方法は、反応容器を洗浄する通常洗浄工程と、検体を分析する反応容器の搬送経路と別の搬送経路に沿って搬送し、反応容器を特別洗浄する特別洗浄工程とを含むので、分析感度の高低に応じて反応容器の洗浄レベルを変更することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の分析装置にかかる実施の形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の自動分析装置を示す概略構成図である。図2は、図1の分析装置のキュベットホイールを洗浄部の部分で周方向に沿って切断した断面図である。
【0014】
自動分析装置1は、図1に示すように、第1試薬テーブル2、第2試薬テーブル3、キュベットホイール5、第1試薬分注装置7、第2試薬分注装置9、検体容器移送部11、撹拌部13、測光部14、洗浄部15、キャップ被着部16、下段移動入替部17、キャップ取外部20、上段移動入替部21及び制御部25を備えている。ここで、キャップ被着部16、下段移動入替部17、キャップ取外部20及び上段移動入替部21は、反応容器を特別洗浄する際に使用される。
【0015】
第1試薬テーブル2及び第2試薬テーブル3は、それぞれ構造が同一であるので、第1試薬テーブル2について説明し、第2試薬テーブル3については、対応する構成要素に対応する符号を使用する。
【0016】
第1試薬テーブル2は、図1に示すように、第1試薬の複数の試薬容器2aを保持する試薬テーブルであり、駆動手段に回転されて複数の試薬容器2aを周方向に搬送する。このとき、第1試薬テーブル2は、外周に第1読取部2cが配置されている。第1読取部2cは、複数の試薬容器2aに添付されたバーコードラベル等の情報記録媒体の情報を読み取る。
【0017】
キュベットホイール5は、図1に示すように、複数の反応容器6が周方向に沿って配列され、試薬テーブル2,3の駆動手段とは異なる駆動手段によって正転或いは逆転されて反応容器6を搬送する。キュベットホイール5は、例えば、一周期で時計方向に(1周−1反応容器)/4回転し、四周期で反時計方向に(1周−1反応容器)回転する。このとき、キュベットホイール5は、図2に示すように、複数の反応容器6が上下2段に配置されている。
【0018】
反応容器6は、四角筒形状の容量が数nL〜数十μLと微量なキュベットであり、測光部14が出射する分析光の80%以上を透過する透明素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。反応容器6は、キュベットホイール5の近傍に設けた第1試薬分注装置7や第2試薬分注装置9によって第1試薬テーブル2や第2試薬テーブル3の試薬容器2a,3aから第1試薬や第2試薬が分注される。反応容器6は、図3に示すように、中心軸Aを有する2枚の支持板P間に、それぞれの開口6aを上方と下方に向けて固定され、中心軸Aを介してキュベットホイール5に取り付けられる。このとき、支持板P間に固定された2つの反応容器6は、上段移動入替部21又は下段移動入替部17に駆動されて中心軸Aの廻りに回転し、キュベットホイール5の上側或いは下側に入れ替えられる。
【0019】
一方、第1試薬分注装置7及び第2試薬分注装置9は、それぞれ構造が同一であるので、第1試薬分注装置7について説明し、第2試薬分注装置9については、対応する構成要素に対応する符号を使用する。
【0020】
第1試薬分注装置7は、第1試薬を分注する専用の分注装置であり、図1に示すように、水平面内を矢印方向に回動されると共に、上下方向に昇降されるアーム7aと、アーム7aに支持され、試薬を分注するプローブ7bとを有し、プローブ7bを洗浄する洗浄槽8がプローブ7bの移動軌跡上に配置されている。洗浄槽8は、プローブ7bから吐出させてプローブ7bの内側を洗浄した洗浄水を廃棄すると共に、槽内に噴出する洗浄水によってプローブ7bの外側を洗浄する。
【0021】
検体容器移送部11は、図1に示すように、複数のラック11aを矢印方向に沿って移送する移送手段であり、ラック11aを歩進させながら移送する。ラック11aは、検体を収容した複数の検体容器11bを保持している。ここで、検体容器11bは、検体分注装置12によって検体が各反応容器6へ分注される。
【0022】
検体分注装置12は、検体容器移送部11によって移送されるラック11aの歩進が停止するごとに反応容器6へ検体を分注する検体分注専用の装置であり、水平方向に回動すると共に、上下方向に昇降する駆動アーム12aと、駆動アーム12aに支持されたプローブ12bとを有している。このため、検体分注装置12は、洗浄水によってプローブ12bを洗浄する洗浄槽を有している。
【0023】
撹拌部13は、図1に示すように、キュベットホイール5外周の第2試薬分注装置9近傍に配置され、反応容器6に分注された検体と試薬とを含む液体試料を撹拌する。撹拌部13は、例えば、表面弾性波素子によって液体試料を非接触で撹拌する撹拌装置や、撹拌棒によって液体試料を撹拌する撹拌装置が使用される。
【0024】
測光部14は、図1に示すように、キュベットホイール5外周の撹拌部13と洗浄部15との間に配置され、試薬と検体とが反応した反応容器6内の反応液を分析するための分析光を出射する。測光部14は、反応容器6内の反応液を透過した分析光の光量に関する光信号を制御部25へ出力する。
【0025】
洗浄部15は、図1に示すように、キュベットホイール5上側の検体分注装置12近傍に配置され、希釈洗剤を分注して測光が終了した反応容器6を洗浄する。洗浄部15は、図2に示すように、2対の洗剤ノズル対15A,15B、3対の洗浄ノズル対15C〜15E、吸引ノズル15F及び空気ノズル15Gを有し、これらは保持部材15Hに一体に保持されて矢印で示すように上下動する。
【0026】
洗剤ノズル対15A,15Bは、図2に示すように、希釈洗剤を反応容器6に吐出する吐出ノズル15aと、吐出ノズル15aよりも長く、底部近くまで挿入され、反応容器6内の液体を吸引する吸引ノズル15bとを有し、反応容器6内を希釈洗剤によって洗浄する。洗浄ノズル対15C〜15Eは、構成が同一であり、例えば、洗浄ノズル対15Cは、洗浄水を反応容器6に吐出する吐出ノズル15aと、反応容器6内の洗浄水を吸引する吸引ノズル15bとを有し、反応容器6内を洗浄水によってすすぎ洗浄する。吸引ノズル15Fは、反応容器6内の洗浄水を吸引する吸引ノズル15bを有し、すすぎ洗浄後の反応容器6内の洗浄水を吸引する。空気ノズル15Gは、乾燥空気を吐出してすすぎ洗浄後の反応容器6を乾燥させる。
【0027】
キャップ被着部16は、図1及び図2に示すように、キュベットホイール5近傍の洗浄部15を挟む一方に配置され、キュベットホイール5の上段に位置する反応容器6に封止キャップC(図5参照)を被せる被着手段である。キャップ被着部16は、図3に示すように、封止キャップCを挟持するチャック爪を有するチャック装置16aと、チャック装置16aを支持しながら伸縮するアーム部材16bと、アーム部材16bを上下動させる昇降装置16cとを備えている。
【0028】
下段移動入替部17は、上下2段の二つの反応容器6を一組として上下方向に回転させて入れ替える入替手段であり、図1及び図3に示すように、キャップ被着部16に隣接して配置されており、アクチュエータ18と昇降装置19を備えている。
【0029】
アクチュエータ18は、キュベットホイール5の内側に配置され、支持板P間に固定された2つの反応容器6のうち対向する位置にある下側の反応容器6の下部をキュベットホイール5の半径方向外方へ押圧し、昇降装置19と協働して2つの反応容器6を一組として支持板Pと共に中心軸Aの廻りに上下方向に回転させる。このようなアクチュエータ18として、例えば、空気圧や油圧を利用したシリンダを使用することができる。
【0030】
昇降装置19は、支柱19aに上下動自在に支持される伸縮アーム19bを有している。昇降装置19は、キュベットホイール5の半径方向外方へ押し出された下側の反応容器6の側面を伸縮アーム19bによって支えながら伸縮アーム19bを上昇させながら2つの反応容器6を支持板Pと共に矢印で示すように上下方向に回転させ、最後は伸縮アーム19bを伸張させて反応容器6の側面をキュベットホイール5の半径方向内方へ押圧する。これにより、下段移動入替部17は、キャップ被着部16が封止キャップCを被せた上段の反応容器6を下段へ移動させ、下段の反応容器6と入れ替える。
【0031】
キャップ取外部20は、図1に示すように、キュベットホイール5近傍の洗浄部15を挟んでキャップ被着部16の反対側に配置され、キュベットホイール5の上段に位置する反応容器6から封止キャップC(図5参照)を外す取外手段である。キャップ取外部20は、キャップ被着部16と構成が同じであるので、対応する部分に対応する符号を付している。
【0032】
上段移動入替部21は、キュベットホイール5の下段に位置する反応容器6を上段の反応容器6と入れ替える上段移動入替手段であり、図1に示すように、キュベットホイール5近傍の洗浄部15を挟んで下段移動入替部17の反対側に配置されている。上段移動入替部21は、下段移動入替部17と同じ構成のアクチュエータ22と昇降装置23を備えている。
【0033】
制御部25は、例えば、マイクロコンピュータ等が使用され、図1に示すように自動分析装置1と接続され、自動分析装置1の各構成部の作動を制御すると共に、測光部14が出力した光信号に基づく反応液の吸光度から検体の成分濃度等を分析する。また、制御部25は、キーボード等の入力部26から入力される分析指令に基づいて自動分析装置1の各構成部の作動を制御しながら分析動作を実行させると共に、分析結果や警告情報の他、入力部26から入力される表示指令に基づく各種情報等をディスプレイパネル等の表示部27に表示する。このとき、制御部25は、ホストコンピュータから入力される分析情報や入力部26から入力される分析指令に基づいて反応容器6を通常洗浄とするか特別洗浄とするかを決定し、洗浄時にキュベットホイール5の上段側を搬送させるか下段側を搬送させるかという反応容器6の搬送方向を決定する。
【0034】
以上のように構成される自動分析装置1は、制御部25の制御の下に作動し、回転するキュベットホイール5によって周方向に沿って搬送されてくる上段に配置された複数の反応容器6に第1試薬分注装置7によって第1試薬が分注された後、検体分注装置12によって複数の検体容器11bから検体が順次分注される。検体が順次分注された反応容器6は、撹拌部13によって撹拌された後、第2試薬分注装置9によって第2試薬が分注される。
【0035】
このようにして、試薬と検体が分注された反応容器6は、キュベットホイール5が停止する都度、撹拌部13によって順次撹拌されて試薬と検体とが反応し、キュベットホイール5が再び回転したときに測光部14を通過する。このとき、反応容器6内の試薬と検体とが反応した反応液は、測光部14で測光され、制御部25によって成分濃度等が分析される。そして、反応液の測光が終了した反応容器6は、洗浄部15に移送されて洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0036】
このとき、分析感度の高い遺伝子検査項目を分析する反応容器6は、生化学検査項目を分析する反応容器6に比べて格段に清浄な状態まで特別洗浄する必要がある。この場合、自動分析装置1は、制御部25の制御の下に作動し、図4に示すように、キュベットホイール5の回転停止によって特別洗浄対象の反応容器6Aが洗浄部15の洗剤ノズル対15Aの位置に停止すると、洗剤ノズル対15Aが反応容器6Aから反応液を吸引した後、特別洗浄対象の反応容器6Aに希釈洗剤Dtを分注する。
【0037】
ここで、上述のように、キュベットホイール5は、例えば、一周期で時計方向に(1周−1反応容器)/4回転し、四周期で反時計方向に(1周−1反応容器)回転する。このため、キュベットホイール5の回転に伴う特別洗浄対象の反応容器6Aと洗浄部15、キャップ被着部16及びキャップ取外部20の位置とは時間的に複雑な位置変化をするが、図4を含め以下に説明する図5〜図9は、特別洗浄の工程を分かり易く説明するために、これらの位置関係を無視して簡略化して描いている。
【0038】
次に、自動分析装置1は、希釈洗剤Dtが分注された反応容器6Aがキュベットホイール5の回転停止によってキャップ被着部16の位置に停止すると、図5に示すように、キャップ被着部16が反応容器6Aに封止キャップCを被せる。これにより、反応容器6Aは、希釈洗剤Dtが封止キャップCによって封止される。
【0039】
次いで、自動分析装置1は、下段移動入替部17が2つの反応容器6を一組として支持板Pと共に上下方向に回転させ、図6に示すように、封止キャップCを被せた特別洗浄対象の反応容器6Aを下段の反応容器6と入れ替える。これにより、特別洗浄対象の反応容器6Aは、上段側から下段側へ移動され、通常洗浄の対象となる反応容器6の搬送経路とは別の特別洗浄の搬送経路を搬送される。このとき、反応容器6Aは、下段へ移動することによって上下が転倒されるが、封止キャップCによって封止されているので希釈洗剤Dtが漏れ出すことはない。
【0040】
そして、キュベットホイール5の回転によって反応容器6Aが、図7に示すように、上段移動入替部21の位置に停止する。すると、自動分析装置1は、図8に示すように、上段移動入替部21が反応容器6Aを上段の反応容器6と入れ替える。これにより、特別洗浄対象の反応容器6Aは、下段から上段へ移動され、通常洗浄の対象となる反応容器6の搬送経路へ戻る。
【0041】
次に、特別洗浄対象の反応容器6Aがキャップ取外部20の位置に停止すると、図9に示すように、キャップ取外部20が反応容器6Aから封止キャップCを外す。これにより、反応容器6Aは、封止キャップCによる希釈洗剤Dtの封止が開放され、引き続いて洗浄部15において洗浄水によって通常洗浄される。このようにして通常洗浄が終了した反応容器6Aは、再度測定に使用される。
【0042】
従って、希釈洗剤Dtが分注された反応容器6Aは、キュベットホイール5の下段側を搬送される間、希釈洗剤Dtによって特別洗浄されるので、分析感度の高い遺伝子検査項目を分析に使用しても分析上の問題はない。また、反応容器6Aは、特別洗浄の間、キュベットホイール5の下段側を搬送される。このため、自動分析装置1は、反応容器6Aを特別洗浄している間であっても、キュベットホイール5の上段側を分析感度の低い生化学検査項目の分析に使用することができるという利点を有している。
【0043】
このように、自動分析装置1は、複数の反応容器6がキュベットホイール5に上下2段に配置され、反応容器6を特別洗浄するためのキャップ被着部16、下段移動入替部17、キャップ取外部20及び上段移動入替部21を備えている。従って、自動分析装置1は、キュベットホイール5の上段側で分析処理と分析感度の低い検査項目に使用した反応容器6の洗浄を行いながら、キュベットホイール5の下段側で分析感度の高い検査項目に使用する反応容器6の特別洗浄を並行して時間を掛けて行うことができる。このため、自動分析装置1は、コンタミネーションを回避しながらスループットを低下させることなく検体を分析処理することができる。
【0044】
尚、反応容器6は、図10に示すように、中心軸Aを有する2枚の支持板P間に、それぞれの開口6aを上方に向けて上部を中心として揺動自在に支持され、中心軸Aを介してキュベットホイール5に取り付けられる構成にしてもよい。このように構成すると、2つの反応容器6は、キュベットホイール5の上側或いは下側に入れ替えるために支持板Pを回転させても、開口6aが常に上方を向いている。このため、自動分析装置1は、キャップ被着部16とキャップ取外部20が不要になる。
【0045】
また、自動分析装置1は、図11に示すように、洗浄部15をキュベットホイール5の上側と下側に配置し、上側の洗浄部15は洗浄液または洗浄水を吐出し吸引する通常の洗浄を行うとともに、下側の洗浄部15は洗浄液または洗浄水を反応容器6に噴きつけて洗浄を行ってもよい。この場合、上側の洗浄部15の吐出ノズル15aと吸引ノズル15bとを分析感度の低い検査項目に使用した反応容器6の洗浄用に使用し、下側の洗浄部15の吐出ノズル15aを分析感度の高い検査項目に使用する反応容器6の洗浄に使用する。このようにすると、自動分析装置1は、分析感度の高低に応じて反応容器6の洗浄部15を分けることができ、コンタミネーションを回避するうえで好ましい。
【0046】
また、特別洗浄の際、反応容器6は、希釈洗剤Dtによって洗浄したが、洗浄水によって浸け置き洗浄してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の自動分析装置を示す概略構成図である。
【図2】図1の分析装置のキュベットホイールを洗浄部の部分で周方向に沿って切断した断面図である。
【図3】キャップ被着部と下段移動入替部の概略構成を示す斜視図である。
【図4】特別洗浄の対象となる反応容器に希釈洗剤を分注した本発明の分析装置の反応容器洗浄方法を説明する断面図である。
【図5】図4に示す反応容器に封止キャップを被せた本発明の分析装置の反応容器洗浄方法を説明する断面図である。
【図6】図5に示す反応容器が下段の反応容器と入れ替わった本発明の分析装置の反応容器洗浄方法を説明する断面図である。
【図7】図6に示す反応容器が上段移動入替部の位置に停止した本発明の分析装置の反応容器洗浄方法を説明する断面図である。
【図8】図7に示す反応容器が上段の反応容器と入れ替わった本発明の分析装置の反応容器洗浄方法を説明する断面図である。
【図9】図8に示す反応容器から封止キャップを外した本発明の分析装置の反応容器洗浄方法を説明する断面図である。
【図10】キュベットホイールに上下2段に配置される反応容器の他の支持態様を示す斜視図である。
【図11】洗浄部をキュベットホイールの上側と下側に配置する変形例を示す図2に対応する断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 自動分析装置
2 第1試薬テーブル
3 第2試薬テーブル
5 キュベットホイール
6 反応容器
7 第1試薬分注装置
8 洗浄槽
9 第2試薬分注装置
10 洗浄槽
11 検体容器移送部
12 検体分注装置
13 撹拌部
14 測光部
15 洗浄部
16 キャップ被着部
16a チャック装置
16b アーム部材
16c 昇降装置
17 下段移動入替部
18 アクチュエータ
19 昇降装置
19a 支柱
19b 伸縮アーム
20 キャップ取外部
20a チャック装置
20b アーム部材
20c 昇降装置
21 上段移動入替部
22 アクチュエータ
23 昇降装置
25 制御部
26 入力部
27 表示部
A 中心軸
C 封止キャップ
Dt 希釈洗剤
P 支持板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キュベットホイール上に保持した複数の反応容器内で検体と試薬とを含む液体試料を反応させ、反応液を分析後の反応容器を洗浄する洗浄装置を備えた分析装置であって、
前記複数の反応容器は、前記キュベットホイールに上下2段に配置され、
前記キュベットホイール近傍の少なくとも2箇所に前記上下2段の二つの反応容器を一組として上下方向に回転させて入れ替える入替手段を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記上段の反応容器に蓋を被せる被着手段と、
被せた蓋を前記反応容器から外す取外手段と、
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記上下2段の二つの反応容器は、中心軸の廻りに回転する2枚の支持板間に、それぞれの開口を上方と下方に向けて固定されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記上下2段の二つの反応容器は、中心軸の廻りに回転する2枚の支持板間に、それぞれの開口を上方に向けて揺動自在に支持されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の分析装置。
【請求項5】
前記洗浄装置は、前記キュベットホイールの上段の反応容器側と下段の反応容器側の上下両側に配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項6】
検体と試薬とを反応容器内で反応させ、反応液を光学的に測定することによって前記検体の成分を分析し、測光終了後の反応容器を洗浄する分析装置の反応容器洗浄方法であって、
前記反応容器を洗浄する通常洗浄工程と、
検体を分析する前記反応容器の搬送経路と別の搬送経路に沿って搬送し、前記反応容器を特別洗浄する特別洗浄工程と、
を含むことを特徴とする分析装置の反応容器洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−127868(P2010−127868A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−305618(P2008−305618)
【出願日】平成20年11月28日(2008.11.28)
【出願人】(510005889)ベックマン・コールター・インコーポレーテッド (174)
【Fターム(参考)】