説明

分析装置用カートリッジ

【課題】 いわゆるディスポーザブルタイプとしての使用に適しており、手軽に分析することが可能な分析装置用カートリッジを提供すること。
【解決手段】 試料液に含まれる特定成分の分析を行う分析装置に装填される分析装置用カートリッジAであって、上記試料液が導入される液導入口3と、上記試料液を希釈する希釈手段4と、希釈手段4により希釈された希釈試料液に含まれる特定成分を分析するための1以上の分析部5A,5B,5C,5Dと、分析された上記希釈試料液を貯蔵しておくための1以上の貯蔵手段61と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば血液中の特定成分を分析するための分析装置に装填される分析装置用カートリッジであって、特にディスポーザブルタイプの分析装置用カートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
人体の健康状態を把握し、あるいは特定の病気を治療するには、血液中の特定成分を分析することが有効である。このような用途に用いられる血液分析装置には、血液中の赤血球または白血球などの血球を計数する血球カウンタと呼ばれるものがある。
【0003】
図25は、従来の血球カウンタに装填されるカートリッジの一例を示している。同図に示されたカートリッジXは、シリコン基板91と透明なガラス板92とが貼りあわされたものであり、電気抵抗検出法を用いた血球カウンタ(図示略)のケーブルコネクタYにコネクタ97が接続されて使用される。カートリッジXには、導入口93aと排出口93bとが形成されている。あらかじめ分析すべき血液が希釈液によって希釈された検体血液が導入口93aから導入される。上記検体血液は、流路94aから細孔94cを経て流路94bへと流れる。流路94a,94bには、1対の電極95a,95bが設けられている。上記検体血液の大部分を占める上記希釈液は導電性であるため、上記検体血液が流れると、1対の電極95a,95b間が導通状態となる。一方、上記検体血液中の赤血球または白血球は、絶縁体とみなせるため、これらの赤血球および白血球が細孔94cを通過するときには、一時的に1対の電極95a,95b間の電気抵抗値が大きくなる。この電気抵抗値の変動を時系列的に検出し、所定時間における電気抵抗値の瞬時上昇回数、いわゆるパルス数と、導入口93aから導入した上記検体血液の流量とから、上記検体血液の単位体積あたりの赤血球数または白血球数が算出される。この算出結果に、上記検体血液の希釈倍率を乗算することにより、血液中の赤血球数または白血球数が計数される。カートリッジXは、比較的単純な構造の流路94a,94bと1対の電極95a,95bとを主要な構成要素とするものであり、一回きりの使用に用いられるいわゆるディスポーザブルタイプのカートリッジとして構成されている。
【0004】
しかしながら、カートリッジXを利用した血球カウンタを用いて、使用者が頻繁に血球を計数するには、以下のような不具合があった。
【0005】
第1に、導入口93aから導入された上記検体血液は、全て排出口93bからカートリッジX外へと排出される。このため、分析済みの検体血液を貯蔵しておくためのタンクなどを、上記血球カウンタ本体、あるいはその周辺に常備しておく必要がある。上記検体血液は、血液を数百から数万倍に希釈したものであり、その量は決して少なくない。したがって、上記タンクとしても、カートリッジXと比べて非常に大型であるものを常備しておくことが強いられる。
【0006】
第2に、上記検体血液を準備するには、カートリッジXとは別に、希釈手段を用意する必要がある。この希釈手段には、たとえば希釈液タンクと、希釈液および血液を混合するための希釈槽とが含まれる。特に、血球を正確に計数するには、希釈倍率を正確に設定することが不可欠であり、上記希釈液あるいは血液の計量手段も含まれる場合がある。すなわち、カートリッジXの小型化を図っても、外出先などで計数するにはこれらの備品を携行することが強いられる。このようなことでは、血球の計数を頻繁に行うには、はなはだ不便である。
【0007】
第3に、計数される血球としては、赤血球、白血球、および血小板などがある。健康状態の正確な把握、またはより緻密な治療には、これらの血球を一括して計数することが好ましい。しかし、カートリッジXは、1対の電極95a,95bを備えるだけである。複数種類の血球を計数するには、各血球を計数するたびにカートリッジXを取り替えるか、計数と計数の間に流路94a,94bなどを洗浄する必要がある。カートリッジXを外出先などで適切に洗浄することは困難であり、複数種類の血球の計数は現実的ではない。さらに、血液の特定成分を分析するには、電気抵抗検出法を用いた血球計数のほかに、ヘモグロビン(以下Hb)やC反応タンパク(以下CRP)などを対象として光学的手法を用いた分析も行われている。カートリッジXには、光学的手法による分析機能は備えられていないため、血球カウンタとは別に、光学的手法を用いた分析装置を用いることが必要な場合もあった。
【0008】
【特許文献1】特開2002−277380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、いわゆるディスポーザブルタイプとしての使用に適しており、手軽に分析することが可能な分析装置用カートリッジを提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明では、次の技術的手段を講じている。
【0011】
本発明によって提供される分析装置用カートリッジは、試料液に含まれる特定成分の分析を行う分析装置に装填される分析装置用カートリッジであって、上記試料液が導入される液導入口と、上記試料液を希釈する希釈手段と、上記希釈手段により希釈された希釈試料液に含まれる特定成分を分析するための1以上の分析部と、分析された上記希釈試料液を貯蔵しておくための1以上の貯蔵手段と、を備えていることを特徴としている。
【0012】
このような構成によれば、上記分析装置用カートリッジを用いた分析を行っても、上記希釈試料液は、上記分析装置用カートリッジ外には流出しない。このため、上記分析装置用カートリッジ以外に、分析済みの上記希釈試料液を貯蔵しておくためのタンクなどが不要である。したがって、上記分析に要する機器およびそのためのスペースを削減することができる。また、上記希釈試料液は、上記分析装置に付着することがない。このため、上記分析装置には、使用後の乾燥により上記希釈液に含まれていた塩が析出することや、これによる配管の閉塞などのおそれがない。これは、上記分析装置のメンテナンスを容易化するのに適している。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記希釈手段は、上記試料液を希釈するための希釈液が貯蔵された希釈液槽を含む。このような構成によれば、上記希釈液用のタンクなどが不要である。したがって、上記分析装置用カートリッジと、これを装填する分析装置とを携帯すれば、外出先などでの血球計数などを手軽に行うことが可能であり、便利である。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記希釈手段は、上記試料液と上記希釈液との少なくとも一部ずつを混合するための1以上の希釈槽を含む。このような構成によれば、上記分析装置用カートリッジ内において、希釈された希釈試料液を生成することが可能であり、上記分析装置用カートリッジ以外に専用の希釈手段を用意する必要がない。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記希釈手段は、上記液導入口から導入された上記試料液から一定量を分離する試料液計量手段を含む。このような構成によれば、たとえば、血液中の血球の計数など、正確な希釈倍率で希釈することが必然となる分析を適切に行うことができる。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記試料液計量手段は、上記液導入口から延びる導入流路と、上記導入流路に対して分岐部を介して繋がる計量流路およびオーバーフロー流路とを含んでおり、上記計量流路は上記希釈槽へと向かっている。このような構成によれば、上記計量流路内に所定量の上記試料液を滞留させることにより、上記試料液の計量を正確かつ簡便に行うことができる。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記計量流路と上記希釈槽との間には、オリフィスが介在する。このような構成によれば、上記計量流路内に所定量の上記試料液を滞留させるのに有利である。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記オーバーフロー流路のうち上記分岐部から少なくとも上記計量流路の長さに相当する部分は、その断面積が上記計量流路の断面積と同じである。このような構成によれば、上記オーバーフロー流路内に上記試料液の大部分が流入してしまうことを防止することができる。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記希釈手段は、上記希釈液槽の上記希釈液から一定量を分離する希釈液計量手段を含む。このような構成によれば、たとえば、血液中の血球の計数など、正確な希釈倍率で希釈することが必然となる分析を適切に行うことができる。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記希釈液計量手段は、大断面部と、この大断面部の流れ方向両端につながる1対のテーパ部とを有する計量流路を含む。このような構成によれば、上記希釈液を上記計量流路内に比較的大量に滞留させることが可能である。これにより、たとえば100倍程度の高倍率希釈をすることができる。また、上記希釈液が上記大断面部に流入するときや、上記大断面部から流出するときに、不当に流れが乱れることを防止することができる。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記希釈手段は、第1および第2希釈槽を含んでおり、上記第1希釈槽には、上記液導入口から導入された上記試料液が流入する流路と、上記希釈液槽から上記希釈液が流入する流路とが繋がっており、上記第2希釈槽には、上記第1希釈槽において希釈された希釈試料液が流入する流路と、上記希釈液槽から上記希釈液が流入する流路とが繋がっている。このような構成によれば、上記試料液をいわゆる2段階に希釈することが可能である。したがって、たとえば、100倍希釈を2回行うことにより、1万倍希釈という格段に高倍率の希釈を達成できる。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記第1希釈槽において希釈された希釈試料液を分析するための第1分析部と、上記第2希釈槽において希釈された希釈試料液を分析するための第2分析部と、を備えている。このような構成によれば、互いに希釈倍率の異なる2種類の希釈試料液について分析を行うことが可能である。これにより、上記試料液について、多岐にわたる分析が可能となる。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記分析部を通過した上記希釈試料液の流量を計測するための流量計測部をさらに備えている。このような構成によれば、一定流量で上記希釈試料液を流さなくても、所定時間内に上記分析部を通過した上記希釈試料液の流量を正確に把握することが可能である。これは、体積あたりの濃度または分布数を分析するのに有利であり、上記分析装置に備えられるポンプなどを簡便化することができる。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記流量計測部は、蛇行流路と、上記蛇行流路の流れ方向において離間した位置に配置された2以上の希釈試料液検知手段とを含む。このような構成によれば、上記流量計測部の流れ方向長さを比較的長くしつつ、その平面的配置をたとえば正方形状に近い配置とすることが可能である。したがって、分析精度の向上と、上記分析装置用カートリッジの小型化とを図ることができる。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記希釈試料液検知手段は、電極を含む。このような構成によれば、上記希釈試料液を容易に検知することができる。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記蛇行流路は、上記貯蔵手段となっている。このような構成によれば、上記分析装置用カートリッジの小型化に有利である。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記分析部は、細孔と、この細孔を挟んで離間した1対の電極とを有する電気抵抗式分析部を含む。このような構成によれば、たとえば電気抵抗の変動を利用した血球の計数を適切に行うことができる。
【0028】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記分析部は、反射膜と、透光部と、上記反射膜または上記投光部に塗布された試薬とを有する、光学式分析部をさらに含む。このような構成によれば、たとえばHbやCRPなどの分析を適切に行うことができる。
【0029】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記試料液および上記希釈試料液が流される流路は、水の接触角が60度以上の疎水性の面により構成されている。このような構成によれば、上記試料液または希釈試料液が毛細管現象により不当に流れ出すことを防止することができる。
【0030】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記流路は、その幅/深さが、1以上5以下であるものを含む。このような構成によれば、上記試料液または上記希釈試料液を、上記流路内において不当に蛇行することなく一様流として流すことができる。
【0031】
本発明の好ましい実施の形態においては、本体と、上記本体に貼りあわされたプリント配線基板とを備えており、上記本体には、複数の凹部または溝部が形成されており、上記複数の凹部または溝部を上記プリント配線基板が覆うことにより、複数の流路または槽が構成されている。このような構成によれば、上記分析装置用カートリッジを、簡便な構造としつつ、多岐にわたる分析を行うのに適した構成とすることができる。
【0032】
本発明の好ましい実施の形態においては、複数の凹部または溝部を有する本体と、上記複数の凹部または溝部内に露出するようにインサート成形により上記本体と一体的に形成された電極と、上記本体に貼り合わされた被覆部材とを備えており、上記複数の凹部または溝部を上記被覆部材が覆うことにより、複数の流路または槽が構成されている。このような構成によれば、上記本体と上記電極とを一括して形成可能であり、製造効率の向上に適している。
【0033】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記試料液は、人体の血液である。
【0034】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記特定成分は、赤血球、白血球、および血小板などの血球である。
【0035】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記特定成分は、ヘモグロビンまたはC反応タンパクである。
【0036】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0038】
図1および図2は、本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を示している。同図に示されたカートリッジAは、本体1とプリント配線基板2とが貼りあわされており、液導入口3、希釈手段4、複数の分析部5A,5B,5C,5D、および2つの流量計測部6A,6Bとを具備して構成されている。
【0039】
本体1は、扁平矩形状であり、たとえばアクリルなどの透明樹脂からなる。本体1の図2における図中下面には、後述する流路や槽を形成するための複数の凹部または溝部が形成されている。本実施形態においては、本体1は、70mm角程度のサイズとされ、その厚さが3mm程度とされる。
【0040】
プリント配線基板2は、エポキシ樹脂などからなる複数の基材が積層されており、これらの基材の間に銅箔などからなる配線パターンが形成されている。また、プリント配線基板2には、後述する複数の電極51,62が形成されている。これらの電極51,62は、いわゆるスルーホール構造とされている。プリント配線基板2の延出部には、コネクタ8が形成されている。コネクタ8は、カートリッジAを血球カウンタ(図示略)などの分析装置に接続するために用いられる。本体1とプリント配線基板2とは、たとえば接着剤を用いて液密に接合されている。また、本体1およびプリント配線基板2は、いずれも少なくとも後述する流路などを形成する表面が水の接触角が60度以上の疎水性表面とされている。
【0041】
液導入口3は、分析すべき血液をカートリッジAに導入するためのものである。液導入口3は、本体1に形成された貫通口であり、その直径が3mm程度とされる。
【0042】
希釈手段4は、液導入口3から導入された血液を各種分析に適した濃度に希釈するためのものであり、希釈液槽41、第1および第2希釈槽42A,42B、血液計量手段43、および希釈液計量手段44を具備して構成されている。本実施形態の希釈手段4は、後述するように第1および第2希釈槽42A,42Bを用いた2段階希釈が可能なタイプとされている。
【0043】
希釈液槽41は、血液を希釈するための希釈液40をカートリッジA内に内蔵しておくためのものである。希釈液槽41は、直径12mm程度、深さ2mm程度とされており、200μL程度の希釈液40を内蔵可能である。希釈液40は、たとえば生理食塩水などである。希釈液槽41における希釈液40の内蔵には、たとえば希釈液槽41の内面に沿った形状とされたアルミパックが用いられる。
【0044】
血液計量手段43は、液導入口3と第1希釈槽42Aとの間に配置されており、導入流路43a、計量流路43c、およびオーバーフロー流路43dを含んでいる。導入流路43aは、液導入口3から血液を導入する流路となっており、その幅が250μm程度、その深さが250μm程度とされており、幅/深さが1である。以下に説明する各流路は、特に説明する場合を除き、導入流路43aと同様の幅および深さとされている。なお、各流路内における一様流を確保するためには、上記幅/深さが5以下であることが好ましい。導入流路43aからは、分岐部43bを介して計量流路43cとオーバーフロー流路43dとが延びている。計量流路43cは、血液を分析に適した所定量だけ一時的に滞留させるためのものである。計量流路43cは、その長さが8mm程度とされており、その容積が0.5μL程度とされる。計量流路43cと第1希釈槽42Aとの間には、オリフィス43eが設けられている。オリフィス43eは、その幅が50μm程度とされており、計量流路43cから第1希釈槽42Aへの圧損抵抗を意図的に高めるためのものである。オーバーフロー流路43dは、蛇行流路であり、ドレインD1に繋がっている。
【0045】
希釈液計量手段44は、希釈液槽41の下流側に配置されており、バルブV1,V2を介して第1および第2希釈槽42A,42Bのそれぞれに繋がっている。希釈液計量手段44は、導入流路44a、計量流路44c、およびオーバーフロー流路44dを含んでいる。導入流路44aは、希釈液槽41から希釈液40を導入する流路となっている。導入流路44aからは、分岐部44bを介して計量流路44cとオーバーフロー流路44dとが延びている。計量流路44cは、上記血液を所定濃度に希釈するために正確な量の希釈液40を一時的に滞留させるためのものである。図3および図4に示すように、計量流路44cは、大断面部44caと2つのテーパ部44cbとを有する。大断面部44cは、その幅が2mm程度、深さが2mm程度とされており、その容積が50μL程度となっている。2つのテーパ部44cbは、大断面部44caの前後端にそれぞれ繋がっており、希釈液40が大断面部44caに流入し、また大断面部44caから流出するときにその流れが不当に乱れることを防止するためのものである。図1および図2に示すように、オーバーフロー流路44dは、ドレインD2に繋がっている。
【0046】
第1および第2希釈槽42A,42Bは、血液の希釈がなされる槽であり、いずれもその直径が6mm程度、深さが2mm程度とされており、その容積が50μL以上となっている。第1希釈槽42Aは、血液計量手段43および希釈液計量手段44と繋がっており、血液計量手段43により計量された血液が、希釈液計量手段44により計量された希釈液40により希釈される槽である。第2希釈槽42Bは、第1希釈槽42Aおよび希釈液計量手段44と繋がっており、第1希釈槽42Aにおいて希釈された検体血液が、希釈液計量手段44により計量された希釈液40により希釈される槽である。第1希釈槽42Aと第2希釈槽42Bとの間には、計量流路46が設けられている。本実施形態においては、第1および第2希釈槽42A,42Bにおける希釈倍率が同じである構成であるため、計量流路46は、上述した計量流路43cと同一のサイズとされている。
【0047】
複数の分析部5A,5B,5C,5Dは、血液中の特定成分の分析が行われる部位である。第1および第2分析部5A,5Bは、電気抵抗検出法を用いた分析部であり、第1分析部5Aが白血球用、第2分析部5Bが赤血球用である。一方、第3および第4分析部5C,5Dは、光学的手法を用いた分析部であり、第3分析部5CがHb用、第4分析部がCRP用である。
【0048】
第1分析部5Aは、バッファ槽45を介して第1希釈槽42Aに繋がっており、第1希釈槽42Aにおいて希釈された検体血液を用いて白血球の計数を行うための部位である。図5および図6に示すように、第1分析部5Aは、細孔53とこの細孔53を挟む1対の電極51とを有しており、電気抵抗検出法を用いた計数が可能に構成されている。細孔53は、その前後の流路の幅が250μm程度であるのに対して、その幅が50μm程度の狭幅とされている。この幅は、白血球が通過したときに1対の電極51間の電気抵抗の変化が顕著に大きくなるように決定されている。細孔53前後の略円形状に拡大された流路部分には、1対の電極51が設けられている。1対の電極51は、たとえば金、白金、パラジウム、カーボンから選ばれた1種または複数種類のものからなり、印刷の手法により形成されている。図6に示すように、各電極51は、スルーホール52を介して配線パターン22に導通している。スルーホール52および配線パターン22は、たとえば銅からなる。
【0049】
第2分析部5Bは、第2希釈槽42Bに繋がっており、第2希釈槽42Bにおいて第2回目の希釈がなされた検体血液を用いて赤血球の計数を行うための部位である。第2分析部5Bは、図5および図6を用いて説明した第1分析部とほぼ同一構造を有している。
【0050】
第3および第4分析部5C,5Dは、バッファ槽45にそれぞれ独立に繋がっている。図7および図8に示すように第3および第4分析部5C,5Dは、略円形状に拡大された流路部分に設けられた反射膜55を有しており、光学的手法によりそれぞれHbおよびCRPを計測するための部位である。反射膜55は、たとえば金、白金、パラジウムから選ばれた1種または複数種類のものからなり、電極51と一括して印刷の手法により形成されている。図8に示すように、拡大された流路部分の図中上面には、試薬56が塗布されている。試薬56は、検体血液と混合されてHbまたはCRPについて光学的手法により計測を行うことを可能とするものである。本実施形態においては、透明とされた本体1を通して、第3および第4分析部5C,5Dに光が照射され、その反射光を検出することにより、HbおよびCRPの計測が可能となっている。
【0051】
第1および第2分析部5A,5Bには、流量計測部6A,6Bがそれぞれ繋がっている。流量計測部6A,6Bは、それぞれ第1および第2分析部5A,5Bを通過した検体血液の流量を計測するための部位であり、蛇行流路61と複数の電極62とを有している。蛇行流路62は、流れ方向の長さを大としつつ、十分な容積を有する。本実施形態においては、蛇行流路62は、第1分析部5Aまたは第2分析部5Bを通過した分析済みの検体血液を少なくとも50μL以上貯蔵可能な貯蔵手段となっている。複数の電極62は、互いに蛇行流路61の流れ方向において一定ピッチで配置されている。各電極62は、上述した電極51と同様の構造である。
【0052】
次に、カートリッジAを用いた血液分析について、以下に説明する。
【0053】
まず、図1において、液導入口3から試料液としての血液をスポイトなどを用いて導入する。血液が導入されたカートリッジAを分析装置(図示略)に装填する。この装填においては、コネクタ8を上記分析装置のコネクタ(図示略)に接続する。この際に、図2に示す液導入口3およびドレインD1〜D7は、上記分析装置に備えられたポンプに繋がる複数のエア吐出ノズルまたはエア吸引ノズルに接続される。上記分析装置は、上記ポンプと上記エア吐出ノズルおよびエア吸引ノズルとの接続状態が適宜切り替え可能に構成されている。
【0054】
次に、血液計量手段43による血液の計量を行う。その手順を、図9〜図13を参照しつつ説明する。本体1およびプリント配線基板2が疎水性表面を有するため、液導入口3から導入された血液Sには、毛細管現象による流動は生じることが無く、液導入口3に滞留する。血液Sを導入した後は、液導入口3からエアの吐出を行う。これにより、図9に示すように、液導入口3から導入流路43aを経て計量流路43cおよびオーバーフロー流路43dへと血液Sが流れ出す。計量流路43cとオーバーフロー流路43dとは、互いの断面積が略同じであるため、血液Sが流れるときの圧損抵抗も略同一である。したがって、計量流路43cとオーバーフロー流路43dとに含まれる血液Sの流れ方向長さが略同じとなるように、血液Sが流れる。
【0055】
上記吐出を継続すると、図10に示すように、計量流路43c内に血液Sが満たされた状態となる。このとき、オーバーフロー流路43dには、計量流路43cに相当する長さ分だけ血液Sが存在する。
【0056】
図10に示された状態からさらに吐出を継続すると、図11に示す状態となる。すなわち、計量流路43cの下流側には、オリフィス43eが設けられているため、血液Sが流れるときの圧損抵抗が非常に大きい。一方、オーバーフロー流路43dは、流れ方向において一様断面とされているため、オリフィス43eと比べて圧損抵抗が顕著に小さい。これにより、計量流路43c内に血液Sが滞留されたままの状態で、オーバーフロー流路43d内を血液Sが流れ続けることとなる。
【0057】
さらに上記吐出を継続すると、液導入口3から全ての血液Sが流出し、図12に示す状態となる。本図においては、上記吐出の継続により、導入流路43aおよびオーバーフロー流路43dの上流寄りの部分には血液Sの代わりにエアが侵入しており、計量流路43c内に滞留した血液Saが血液Sから分離されている。液導入口3に注入する血液Sの量はほぼ一定であるため、図9に示したエア吐出開始時から図12に示す状態となるまでの時間は、ほぼ一定である。この一定時間を上記分析装置に備えられたタイマにより計測し、一定時間経過後に上記吐出を停止する。
【0058】
そして、図13に示すように、上記分析装置によりドレインD1を閉状態とした上で、再び液導入口3からエアを吐出すると、計量流路43cに滞留していた血液Saがオリフィス43eを通して第1希釈槽42Aへと流出させられる。以上の手順により、所定量の血液Saの計量が完了し、第1希釈槽42Aには所定量である0.5μL程度の血液Saが滞留する。
【0059】
次に、希釈液計量手段44による希釈液40の計量を行う。その手順を図14〜図18を参照しつつ説明する。図14は、希釈液40の計量を開始する状態を示している。この状態とするには、たとえば、希釈液槽41内において希釈液40が封入されたアルミパック(図示略)を破裂させ、希釈液40を流出可能な状態とする。本体1およびプリント配線基板2は、疎水性表面を有するため、上記アルミパックを破裂させても、希釈液40が毛細管現象などにより不当に流れ出すことはない。
【0060】
希釈液40を流出可能とした後は、ドレインD2を閉状態、ドレインD3を開状態として、希釈液槽41からエアの吐出を開始する。これにより、図15に示すように、希釈液40は、希釈液槽41から押し出され、導入流路44aを通って、計量流路44cへと流れる。
【0061】
さらに上記吐出を継続すると、図16に示す状態となる。計量流路44cには、テーパ部44cbの下流側に大断面部44caが形成されている。上述したとおり、大断面図44caを形成する面は疎水性表面であるため、希釈液40には、図中上方に留まらせる表面張力がはたらき、毛細管現象による進行は生じない。上記吐出による推進力が、上記表面張力に抗して、希釈液40を図中下方へと序々に送り出す。このまま上記吐出を継続すると、図17に示すように、計量流路44c内が希釈液40により満たされ、希釈液40はドレインD3へと向かう。希釈液40の先端部分がドレインD3の手前に到達したことを、たとえば電極(図示略)を用いた電気抵抗手段、あるいは反射膜(図示略)を用いた光学的手段により検知する。この検知をもって上記吐出を停止する。
【0062】
そして、図18に示すように、希釈液槽41へのエア吐出経路を閉状態とし、かつバルブV1を開状態とした上で、たとえばドレインD2からエアを吐出する、あるいは、第1希釈槽42Aより下流側に位置するいずれかのドレインから吸引する。これにより、計量流路44cに滞留していた希釈液40が第1希釈槽42Aへと送り出される。以上の手順により希釈液40の計量が完了し、第1希釈槽42Aには、所定量である50μL程度の希釈液40aが滞留する。
【0063】
この後は、第1希釈槽42A内において、0.5μL程度の血液Saと50μL程度の希釈液40aとを混合し、100倍に希釈された希釈試料液としての検体血液を得る。この混合は、たとえば、第1希釈槽42Aに内蔵された鉄球を磁力を利用して第1希釈槽42A内を円運動させることなどにより行えばよい。以上の手順による希釈を、第1回目の希釈と呼ぶこととする。
【0064】
第1希釈槽42Aにおける第1回目の希釈が完了した後は、第1分析部5Aによる白血球の計数と、第3および第4分析部5C,5DによるHbおよびCRPの分析とを行う。図1に示すように、第1希釈槽42Aにはバッファ槽45が繋がっている。このバッファ槽45に100倍に希釈された上記検体血液を送出する。白血球を計数するには、上記検体血液中の赤血球を破壊する溶血処理を施しておく必要がある。本実施形態においては、たとえばバッファ槽45に溶血剤が塗布されている。
【0065】
バッファ槽45に蓄えられた上記検体血液の一部を用いて、第1分析部5Aにより白血球を計数する手順を、図19〜図23を参照しつつ説明する。この計数には、第1分析部5Aと、その下流側に設けられた第1流量計測部6Aとを用いる。図19は、白血球の計数を開始する状態を示しており、バッファ槽45に100倍に希釈された希釈試料液としての検体血液DSが滞留している。この状態において、たとえばドレインD4からエアの吸引を開始する。すると、図20に示すようにバッファ槽45から検体血液DSが流出し、第1分析部5Aを流れる。
【0066】
さらにドレインD4からの吸引を継続すると図21に示すように検体血液DSの先端部分が、複数の電極62のうち最も上流側に位置する電極62aに到達する。たとえば、電極62aと電極51との導通を監視することにより、検体血液DSの先端部分が電極62aに到達したことを検出することができる。この検出を目安として、第1分析部5Aによる白血球の計数を開始する。上述したとおり、細孔53は狭幅であるため白血球が通過すると、1対の電極51間の電気抵抗が瞬間的に大きくなる。これにより、1対の電極51間の電気抵抗を時系列的に監視すると、白血球の通過に対応してパルス信号が発生する。このパルス信号の数を積算する。
【0067】
上記パルス信号を積算しつつ、上記吸引を継続すると、図22に示すように、検体血液DSの先端部分は、複数の電極62のうち上流側から数えて2番目にある電極62bに到達する。この到達は、たとえば、電極62a,62b間の導通を監視することにより検出することができる。検体血液DSの先端部分が電極62aに到達してから電極62bに到達するまでの間に第1分析部5Aを通過した検体血液DSの流量は、電極62a,62b間に滞留可能な検体血液DSの量と同じである。電極62a,62b間の流れ方向距離は既知であるため、第1分析部5Aを通過した検体血液DSの流量を知ることができる。この流量と積算されたパルス数とにより、血液検体DSの単位体積あたりの白血球数が得られる。これにより血液Sの単位体積あたりの白血球の個数を計数することができる。
【0068】
この後は、上記吸引を継続し計数を重ねることにより、さらに計数の精度を向上させることも可能である。本実施形態においては、第1流量計測部6Aは、多数の電極62を備えている。したがって、検体血液DSの先端部分が電極62a,62b以降の各電極62に到達するごとに上記パルス数を記憶させると、多数回の計数が可能である。これは、より多量の血液検体DSを用いて計数することと同義であるため、計数精度の向上を図ることができる。そして、たとえば図23に示すように、血液検体DSの先端部分が、複数の電極62のうち最も下流側に位置する電極62nに到達したことを検知したことをもって、第1分析部5Aによる計数処理を終了すればよい。また、本図から明らかなように、第1分析部5Aによる計数が終了したときには、分析済みの検体血液DSは、蛇行流路61内に滞留した状態とされる。
【0069】
一方、第3および第4分析部5C,5Dによる分析は、たとえば、第1分析部5Aによる計数が終了した後に、ドレインD5,D6からそれぞれ吸引し、血液検体DSを第3および第4分析部5C,5Dそれぞれの反射膜55に到達させて行う。この際、図8に示すように、血液検体DSは、試薬56と反応し、HbおよびCRPのそれぞれを分析可能な状態となる。この状態で、上記分析装置から本体1を透してそれぞれの反射膜55に光を照射し、その反射光を本体1を透して上記分析装置に備えられた受光素子などにより受光する。この光を適宜処理することにより、HbおよびCRPの分析を行うことができる。なお、本実施形態とは異なり、プリント配線基板2に代えて、透明な材質からなる基板を備える構成としてもよい。この場合、反射膜55は不要である。第3および第4分析部5C,5Dは、いずれも透明である本体1および上記基板により挟まれた構造となる。したがって、HbおよびCRPの分析をいわゆる透過測定により行うことが可能である。
【0070】
次に、第2分析部5Bによる赤血球の計数手順を以下に説明する。この計数に先立ち、図1に示す希釈手段4により、第2回目の希釈を行う。この第2回目の希釈の手順は、図9〜図18を参照して説明した第1回目の希釈の手順と類似している。すわなち、第1回目の希釈においては、血液Sを希釈液40を用いて100倍程度に希釈したのに対し、第2回目の希釈においては、第1回目の希釈により得られた100倍希釈の検体血液DSを希釈液40を用いてさらに100倍程度希釈する。これにより得られる検体血液は、血液Sを1万倍に希釈したものに相当する。第1希釈槽42Aに100倍希釈の検体血液DSが滞留している状態で、図1に示す計量流路46を利用して、第2希釈槽42Bに50μL程度の検体血液DSを送出する。計量流路46を利用した検体血液DSの計量は、図9〜図13を参照して説明した計量手順とほぼ同様である。一方、図14〜図18を参照して説明した希釈液計量手段44による計量において、図18に示すバルブV1を閉状態とし、その一方で、バルブV2を開状態とする。これにより、50μL程度の希釈液40を、第2希釈槽42Bへと送出することができる。第2希釈槽42Bにおいては、5μLの検体血液DSと50μL程度の希釈液40とにより、実質的に1万倍の希釈を行う。
【0071】
以上の手順により得られた1万倍希釈の検体血液を用いて、第2分析部5Bによる赤血球の計数を行う。この計数手順は、第1分析部5Aよる計数手順とほぼ同一である。第2流量計測部6Bを利用して流量計測する点についても、第1流量計測部6Aを利用した流量計測と同様である。
【0072】
次に、カートリッジAの作用について説明する。
【0073】
本実施形態によれば、カートリッジAを用いた分析を行っても、血液検体DSは、カートリッジA外には流出しない。このため、カートリッジA以外に、分析済みの上記希釈試料液を貯蔵しておくためのタンクなどが不要である。したがって、上記分析に要する機器およびそのためのスペースを削減することができる。また、希釈液槽41を備えることにより、希釈液40用の専用のタンクなどが不要である。さらに、カートリッジA内において、希釈された検体血液DSを生成することが可能であり、カートリッジA以外に専用の希釈手段を用意する必要がない。したがって、カートリッジAと、これを装填する分析装置とを携帯すれば、外出先などでの血球計数などを手軽に行うことが可能であり、便利である。カートリッジAは、ディスポーザルタイプとして使用されるのに好適である。ディスポーザルタイプであれば、洗浄手段が不要である。
【0074】
また、本実施形態によれば、第1および第2希釈槽42A,42Bを利用して2段階の希釈を行うことができる。したがって、たとえば100倍希釈と1万倍希釈という、比較的高倍率の2種類の希釈が可能である。これにより、白血球の計数と赤血球の計数という、それぞれに適した希釈倍率が顕著に異なる分析を一括して行うことができる。また、血液計量手段43および希釈液計量手段44を備えることにより、十分に正確な希釈倍率で希釈することが可能である。大断面部44caを用いた計量は、高倍率希釈に特に有効である。
【0075】
第1および第2流量計測部6A,6Bを用いた流量計測は、非常に簡便かつ正確である。これにより、たとえば赤血球および白血球の正確な計数が可能となるのみならず、上記分析装置内に、一定流量を実現するための機構が不要となる。したがって、上記分析装置の簡便化にも有利である。
【0076】
スルーホール52を備えるプリント配線基板2を用いることにより、電極51,62以外の部分は平滑面とすることができる。これは、本体1とプリント配線基板2とを液密に接合するのに好適である。
【0077】
図24は、本発明に係る分析装置用カートリッジの変形例を示す部分拡大図である。この変形例においては、本体1とリード54とが、インサート成形により一体的に形成されている。リード54のうち流露に露出した一端部が上述した電極51となっている。リード54の他端部は、本体1から露出し、図1および図2に示すコネクタ8を構成している。このような構成によれば、電極51を形成するための専用の印刷工程などを経ることなく、本体1と電極51とを一括して形成することが可能であり、製造効率の向上に適している。
【0078】
本発明に係る分析装置用カートリッジは、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る分析装置用カートリッジの各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0079】
本体の材質は、透明であるものに限定されず、一部が不透明であってもよい。この場合、少なくとも光学的分析部に相当する部分は透明部とする。プリント配線基板を用いれば、薄型化に好ましいが、いわゆるリジッド基板を用いてもよい。希釈試料液検知手段としては、電極を含むもののほかに、たとえば光学的手段を用いたものでもよい。
【0080】
希釈手段における希釈倍率は、流路などのサイズを適宜設定することにより、さらなる高倍率化が可能である。また、2段階の希釈に限定されず、たとえば1回のみの希釈、あるいは3回以上の希釈を行う構成としてもよい。
【0081】
本発明に係る分析装置用のカートリッジは、血液の計数などに限定されず、さまざまな試料液の分析に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を示す全体平面図である。
【図2】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を示す全体斜視図である。
【図3】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例の計量流路を示す要部平面図である。
【図4】図3のIV−IV線に沿う要部断面図である。
【図5】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例の電気抵抗式分析部を示す要部平面図である。
【図6】図3のVI−VI線に沿う要部断面図である。
【図7】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例の光学式分析部を示す要部平面図である。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う要部断面図である。
【図9】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を用いた血液計量手順において、血液導入状態を示す要部平面図である。
【図10】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を用いた血液計量手順において、計量流路が充填された状態を示す要部平面図である。
【図11】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を用いた血液計量手順において、オーバーフロー流路への継続流入を示す要部平面図である。
【図12】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を用いた血液計量手順において、計量流路内に血液が分離された状態を示す要部平面図である。
【図13】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を用いた血液計量手順において、第1希釈槽に血液が送出された状態を示す要部平面図である。
【図14】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を用いた希釈液計量手順において、その開始状態を示す要部平面図である。
【図15】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を用いた希釈液計量手順において、希釈液導入状態を示す要部平面図である。
【図16】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を用いた希釈液計量手順において、計量流路への継続流入を示す要部平面図である。
【図17】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を用いた希釈液計量手順において、計量流路が充填された状態を示す要部平面図である。
【図18】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を用いた希釈液計量手順において、第1希釈槽に希釈液が送出された状態を示す要部平面図である。
【図19】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を用いた血球計数手順において、その初期状態を示す要部平面図である。
【図20】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を用いた血球計数手順において、検体血液が第1分析部に到達した状態を示す要部平面図である。
【図21】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を用いた血球計数手順において、その開始状態を示す要部平面図である。
【図22】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を用いた血球計数手順において、検体血液の先端部分が上流から2個目の電極に到達した状態を示す要部平面図である。
【図23】本発明に係る分析装置用カートリッジの一例を用いた血球計数手順において、検体血液の先端部分が最下流側の電極に到達した状態を示す要部平面図である。
【図24】本発明に係る分析装置用カートリッジの変形例を示す要部断面図である。
【図25】従来の分析装置用カートリッジの一例を示す全体斜視図である。
【符号の説明】
【0083】
A (分析装置用)カートリッジ
D1〜D7 ドレイン
DS 検体血液(希釈試料液)
S 血液(試料液)
Sa 血液(分離された試料液)
V1,V2 バルブ
1 本体
2 プリント配線基板
3 液導入口
4 希釈手段
5A 第1分析部(電気抵抗式分析部)
5B 第2分析部(電気抵抗式分析部)
5C 第3分析部(光学式分析部)
5D 第4分析部(光学式分析部)
6A 第1流量計測部
6B 第2流量計測部
8 コネクタ
22 配線
40 希釈液
40a 分離された希釈液
41 希釈液槽
42A 第1希釈槽
42B 第2希釈槽
43 血液計量手段(試料液計量手段)
43a 導入流路
43b 分岐部
43c 計量流路
43d オーバーフロー流路
43e オリフィス
44 希釈液計量手段
44a 導入流路
44b 分岐部
44c 計量流路
44ca 大断面部
44cb テーパ部
44d オーバーフロー流路
45 バッファ槽
46 計量流路
51 電極
52 スルーホール
53 オリフィス
54 リード
55 反射膜
56 試薬
61 蛇行流路(貯蔵手段)
62 電極(希釈試料液検知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料液に含まれる特定成分の分析を行う分析装置に装填される分析装置用カートリッジであって、
上記試料液が導入される液導入口と、
上記試料液を希釈する希釈手段と、
上記希釈手段により希釈された希釈試料液に含まれる特定成分を分析するための1以上の分析部と、
分析された上記希釈試料液を貯蔵しておくための1以上の貯蔵手段と、を備えていることを特徴とする、分析装置用カートリッジ。
【請求項2】
上記希釈手段は、上記試料液を希釈するための希釈液が貯蔵された希釈液槽を含む、請求項1に記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項3】
上記希釈手段は、上記試料液と上記希釈液との少なくとも一部ずつを混合するための1以上の希釈槽を含む、請求項1または2に記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項4】
上記希釈手段は、上記液導入口から導入された上記試料液から一定量を分離する試料液計量手段を含む、請求項3に記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項5】
上記試料液計量手段は、上記液導入口から延びる導入流路と、上記導入流路に対して分岐部を介して繋がる計量流路およびオーバーフロー流路とを含んでおり、上記計量流路は上記希釈槽へと向かっている、請求項4に記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項6】
上記計量流路と上記希釈槽との間には、オリフィスが介在する、請求項5に記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項7】
上記オーバーフロー流路のうち上記分岐部から少なくとも上記計量流路の長さに相当する部分は、その断面積が上記計量流路の断面積と同じである、請求項6に記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項8】
上記希釈手段は、上記希釈液槽の上記希釈液から一定量を分離する希釈液計量手段を含む、請求項3に記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項9】
上記希釈液計量手段は、大断面部と、この大断面部の流れ方向両端につながる1対のテーパ部とを有する計量流路を含む、請求項8に記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項10】
上記希釈手段は、第1および第2希釈槽を含んでおり、
上記第1希釈槽には、上記液導入口から導入された上記試料液が流入する流路と、上記希釈液槽から上記希釈液が流入する流路とが繋がっており、
上記第2希釈槽には、上記第1希釈槽において希釈された希釈試料液が流入する流路と、上記希釈液槽から上記希釈液が流入する流路とが繋がっている、請求項3に記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項11】
上記第1希釈槽において希釈された希釈試料液を分析するための第1分析部と、
上記第2希釈槽において希釈された希釈試料液を分析するための第2分析部と、を備えている、請求項10に記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項12】
上記分析部を通過した上記希釈試料液の流量を計測するための流量計測部をさらに備えている、請求項1に記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項13】
上記流量計測部は、蛇行流路と、上記蛇行流路の流れ方向において離間した位置に配置された2以上の希釈試料液検知手段とを含む、請求項12に記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項14】
上記希釈試料液検知手段は、電極を含む、請求項13に記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項15】
上記蛇行流路は、上記貯蔵手段となっている、請求項13または14に記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項16】
上記分析部は、細孔と、この細孔を挟んで離間した1対の電極とを有する電気抵抗式分析部を含む、請求項1ないし15のいずれかに記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項17】
上記分析部は、反射膜と、透光部と、上記反射膜または上記投光部に塗布された試薬とを有する、光学式分析部をさらに含む、請求項1ないし16のいずれかに記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項18】
上記試料液および上記希釈試料液が流される流路は、水の接触角が60度以上の疎水性の面により構成されている、請求項1ないし17のいずれかに記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項19】
上記流路は、その幅/深さが、1以上5以下であるものを含む、請求項18に記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項20】
本体と、上記本体に貼りあわされたプリント配線基板とを備えており、
上記本体には、複数の凹部または溝部が形成されており、
上記複数の凹部または溝部を上記プリント配線基板が覆うことにより、複数の流路または槽が構成されている、請求項1ないし19のいずれかに記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項21】
複数の凹部または溝部を有する本体と、
上記複数の凹部または溝部内に露出するようにインサート成形により上記本体と一体的に形成された電極と、
上記本体に貼り合わされた被覆部材とを備えており、
上記複数の凹部または溝部を上記被覆部材が覆うことにより、複数の流路または槽が構成されている、請求項1ないし19のいずれかに記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項22】
上記試料液は、人体の血液である、請求項1ないし21のいずれかに記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項23】
上記特定成分は、赤血球、白血球、および血小板などの血球である、請求項22に記載の分析装置用カートリッジ。
【請求項24】
上記特定成分は、ヘモグロビンまたはC反応タンパクである、請求項22に記載の分析装置用カートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【公開番号】特開2007−3414(P2007−3414A)
【公開日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−185264(P2005−185264)
【出願日】平成17年6月24日(2005.6.24)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】