説明

分析装置,オートフォーカス装置、及びオートフォーカス方法

【課題】本発明の目的は、コントラスト検出方式オートフォーカスでのフォーカスずれ方向検出に関する。
【解決手段】本発明の手法は、観察対象の近傍に高さが異なる複数の構造体、あるいは掘り込みを配置し、それら各々のフォーカス評価値をそれぞれ算出する。これらのフォーカス評価値の差異により、フォーカスずれ方向を識別する。フォーカスずれ方向が判別できることにより、像を喪失することなく観察対象を観察し続けることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺伝子診断/解析装置などの核酸分析装置において、光学センサ素子による反応の観察を行うための、反応デバイスへのオートフォーカス装置およびそれを備えた分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年の核酸分析装置では、ガラス基板等で作製された反応デバイスに多数のDNAプローブもしくはポリメラーゼを固定し、ここで塩基伸長反応を行い、配列を決定する方法が提案されている。この固定および反応を行う領域を以下反応スポットと呼ぶ。反応スポットは、単一分子を固定する場合(単分子方式)もあれば、同一種複数分子を固定する場合(複数分子方式)もある。また多数の反応スポットを配置し、各々の反応スポットで並列に塩基伸長および配列決定を行う超並列方式核酸分析装置が開発されている。
【0003】
反応スポットに単一分子を固定した具体的な例である非特許文献1では、全反射エバネッセント照射検出方式を用いた単分子レベルのDNA配列解読を行っている。励起光として波長532nmおよび635nmのレーザを用い、それぞれ蛍光体Cy3および蛍光体Cy5の蛍光励起に用いている。屈折率境界平面上の溶液層側に、単一のターゲットDNA分子をビオチン−アビジンのタンパク質結合を利用して固定化し、反応スポットを形成する。溶液中にCy3標識されたプライマを溶液交換によって導入すると、単一の蛍光標識プライマ分子がターゲットDNA分子にハイブリダイズする。ある一定時間このハイブリダイズ反応を行った後に、未反応の余剰なプライマを洗い流す。その後、励起光532nmを用いた全反射エバネッセント照射するとCy3はエバネッセント場に存在するため、ターゲットDNA分子の結合位置を蛍光検出によって確認することができる。確認後、Cy3を高出力の励起光で照射することによって蛍光退色させ、以降の蛍光発光を抑制する。次に、溶液中に、ポリメラーゼ、およびCy5一分子で標識された一種類の塩基のdNTP(NはA,C,G,Tのいずれか)を、溶液交換によって導入すると、ターゲットDNA分子に対して相補関係である場合に限り、蛍光標識dNTP分子がプライマ分子の伸長鎖に取り込まれる。ある一定時間この伸長反応を行った後に、未反応の余剰なdNTPを洗い流す。その後、励起光633nmを用いた全反射エバネッセント照射すると、Cy5はエバネッセント場に存在するため、ターゲットDNA分子の結合位置における蛍光検出によって相補関係を確認することができる。確認後、Cy5を高出力の励起光で照射することによって蛍光退色させ、以降の蛍光発光を抑制する。以上のdNTPの取り込み反応プロセスを、塩基の種類を例えばA→C→G→T→A→のように順次段階的に繰り返すことによって(段階的伸長反応)、ターゲットDNA分子と相補関係にある塩基配列を決定することが可能である。蛍光計測する検出器が一度に観察できる領域(以下、計測視野とする)内に複数の反応スポットを形成し、各反応スポットには異なるターゲットDNA分子が存在する状態で、上記のdNTPの取り込み反応プロセスを並列処理することによって、複数のターゲットDNA分子の同時DNAシーケンシングが可能となる。この際の同時並列処理数は、従来の電気泳動をベースにしたDNAシーケンシングと比較して飛躍的に大きくすることできると期待されている。
【0004】
さらに先端的な研究では、1分子単位でのDNA塩基配列解読において、プラズモン共鳴等を発生させるための微細構造を有する半導体チップを組み合わせたものがある。この例として特許文献1では、局在型表面プラズモンの数倍から数十倍程度の蛍光増強効果を利用している。蛍光増強の影響が及ぶ範囲は10nmから20nm程度である。ターゲットDNAを固定した金属の微細構造体の表面で、局在型表面プラズモンが発生すれば、ターゲットDNAに取り込まれた蛍光標識dNTPだけが蛍光増強の恩恵を受け、浮遊する蛍光標識dNTPとは数倍から数十倍以上の蛍光強度の差がもたらされる。この方式により、未反応の蛍光標識dNTPを除去しなくとも、塩基伸長反応を計測することが可能となる。
【0005】
一方、ターゲット分子を任意の形状,配置に整列する様々な方法も提案されている。非特許文献2では、始めに基板上に所望のパターンの電極を設け、PLL-g-PEG(Poly-L-Lysin-g-polyethylene glycol)を基板全面に塗布する。その後、前記電極に電圧を印加することで、前記電極部PLL-g-PEGを退ける。これにより、蛍光分子などを電極部のみに特異的に吸着する方法を提示している。また、非特許文献5では、基板に光解離性の分子を塗布後、近接場走査光によるリソグラフィ手法を用いて、ナノスケールのターゲット分子の固定領域パターンを作製している。これらの手法では、基板上に100nm以下のDNAもしくはタンパク質のパターンを作製する方法が示されている。
【0006】
さらに、伸長反応はポリメラーゼによるdNTPの取り込みで進行するが、最近の研究によりdNTPの取り込みが連続的かつ自動的に行われる反応系が種々提唱されている。このような、新しく研究が行われている反応方式では、スループットおよび信頼性向上を目的として、1回の観察で読み取る塩基数を数1000塩基程度まで伸ばす研究も行われている。読み取り塩基数を伸ばすには、反応方式の改良はもとより、反応を観察する検出装置も安定して連続観察ができなければならない。
【0007】
これらの核酸分析装置では、レンズや検出器で構成される光学検出系によりDNAの伸長反応を正しく捉えることが重要であり、このためには特にDNAの伸長反応が起こる標識蛍光体近傍に正確に焦点を合わせることが必須となる。さらに塩基伸長反応をステップ制御せずに行う、いわゆるリアルタイム反応系では、塩基伸長反応の一旦停止は困難である。このため観察を開始した後は、伸長反応が終了するまで観察を停止させることが不可能である。この間にも、ナノオーダーでの物体の観察では、室温の微妙な変化や周囲の地面の振動などの影響を敏感に受け、刻々と合焦位置が変化する場合がある。
【0008】
このため、対象物を観察しながら、それと並行して常にフォーカスずれ量を検出し、そのずれを補正しつづけるオートフォーカスを行うことが必要となる。この方式として、赤外線などの補助光を用いたオートフォーカス方式(以下、アクティブ方式オートフォーカスという)が一般的に用いられている。本方式では、赤外線などの補助光を観察対象物に照射し、その反射光の特性、あるいは位相からフォーカスずれ量を確認するものである。この例として、特開昭61−112112がある。この発明では、撮像レンズを通じて被写体に赤外光を照射し、その反射光を結像させた際のスポット位置シフト量でずれ量を検出する。本方式によれば、フォーカスずれ量および方向を検出できるため、ずれ量を補正する方向にレンズ繰り出し量を修正することにより、常に焦点を持った状態で対象物の観察が可能である。
【0009】
しかしながら、この方式では追加の光学系および発光素子,検出素子が必要であるため、構造が複雑となりコストも増大する。また観察対象へオートフォーカスのための光を照射する必要があるため、その光が観察対象への無用な影響を及ぼさないよう、波長および強度には十分配慮する必要がある。本発明が対象とするような核酸分析装置では、複数の蛍光およびそれらを励起する励起光を用いるため、微弱な反応信号の検出に影響を及ぼす場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開昭61−112112号公報
【特許文献2】特開2007−171158号公報
【非特許文献1】P.N.A.S. 2003, Vol. 100, pp. 3960-3964.
【非特許文献2】Analytical Chemistry, Vol.78, No.3, February 1, 2006, pp. 711-717
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
前述の課題を原理的に持たないオートフォーカス方式として、コントラスト検出方式オートフォーカスがある。この方式では、カメラで取得した画像から高周波成分を抽出し、高周波成分の強度の大小をフォーカス評価値として定義する。そして画像を撮影しつつフォーカス評価値が最も高くなるようレンズ繰り出し量を調整する。画像中の高周波成分は、主に撮影対象物の輪郭等であり、これらが最も強く検出される点が合焦点であることに基づいている。
【0012】
核酸分析装置へ本方式を適用する場合、観察のための光学系および検出器がそのまま利用可能であるため、追加の光学系や検出器が不要となり安価にオートフォーカスを実現することが可能である。またアクティブ方式オートフォーカスのように補助光を入射させる必要がないため、観察対象への影響は皆無である。
【0013】
このような利点から、コントラスト検出方式によるオートフォーカスは核酸分析装置に好適であるが、適用の際の課題として、合焦点から外れている場合には、そのずれ方向がどちらにずれているか不明であるという欠点があった。
【0014】
アクティブ方式オートフォーカスでは、対象物に当たって反射した戻り光から、たとえばナイフエッジ法などにより、ずれ方向を検出することができる。これにより、対象物と焦点の位置関係が遠すぎるか、あるいは近すぎるのかが判別可能であった。これに対しコントラスト検出方式では、フォーカスがずれているということは分かるものの、そのずれ方向は不明であり、レンズの繰り出し量をいずれかの方向へ移動し、フォーカス評価値の変化を試行的に調べ、フォーカスずれ方向を推定するしか方法がなかった。
【0015】
レンズの繰り出し量を変化させた場合、それが仮にフォーカスをはずす方向であった場合には観察の継続が不能となり、観察中の塩基伸長反応の情報を失うこととなる。このため、コントラスト検出方式オートフォーカスを核酸分析装置に適用するためには、フォーカスずれ方向がどちら方向なのかを知ることができる手段を有することが必須である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記課題に対し、本発明の手法は、観察対象の近傍、たとえば反応基板上に高さが異なる複数の凸部、あるいは凹部を配置し、それらコントラスト検出部位のフォーカス評価値をそれぞれ算出する。これらのフォーカス評価値の差異により、フォーカスずれ方向を識別する。
【発明の効果】
【0017】
以上のような構造とすることで、観察対象物である塩基伸長反応による蛍光発光を捉えつつ、フォーカス位置を確認できる。またフォーカス位置が何らかの影響により変化した場合には、そのずれ方向が判別できる。このため、反応観察を停止することなくフォーカス位置を再調整することができ、長時間にわたる安定した観察が可能となる。
【0018】
本方式を利用することにより、アクティブ方式オートフォーカスのような追加の光学系および発光素子、検出素子が不要となるため、検出光学系の構造が簡単となり調整箇所も少なくなる。また対象物に不要な補助光を照射しないため、光化学的影響をまったく与えることなく対象物への合焦状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の最も基本的な構成の例。
【図2】塩基配列解読を行う装置の例。
【図3】反応基板101および2次元センサカメラ221周辺の詳細。
【図4】本発明で用いることができる構造体の製作手順。
【図5】フォーカス位置判別方法の概念図。
【図6】撮影条件が異なった場合での問題を解決できる構造体例。
【図7】コントラスト検出方式でのフォーカス位置判別方法の概念図。
【図8】フォーカスずれ量を検出可能な反応基板構造。
【図9】ビーズ等を使ったオートフォーカスターゲットの例。
【図10】オートフォーカス用ビーズによるフォーカス位置判別方法の概念図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施するに最良の形態を以下に示す。なお、本形態は発明の理解のために用いるものであり、本実施例の形態に権利範囲を限定するものではない。
【0021】
本実施形態では、反応基板上に(1)基板平面と同一の高さの照準(2)基板を掘り込んだ位置の照準(3)基板平面から突出した位置の照準の3種の照準を作成する。(2)および(3)の構造は、いずれか一方でも良い。このような構造を作製した上で、実際の観察段階では、反応基板を上部から観察し、3種あるいは2種の照準のフォーカス評価値を個別に算出する。表面より突出しているコントラスト検出部位のフォーカス評価値が高い場合には、合焦位置が手前方向にあると判断できる。このため、フォーカスを再調整するためにはより遠方に合焦するようレンズ繰り出し量を調整すればよい。また、反応基板上に配置した掘り込み構造の底面部位のフォーカス評価値が高い場合、合焦位置が遠方にあると判断できる。このため、フォーカスを再調整するためにはより近方に合焦するようレンズ繰り出し量を調整すればよい。
【0022】
コントラスト検出部位となる照準の形状は、フォーカス評価値を算出できる形状であれば特に限定はなく、任意の形状で生成すればよい。また他の目的により配置した構造体をコントラスト検出部位として兼用してもよい。コントラスト検出部位の凹凸の高さは、光学的分解能から導き出される被写用深度より、例えば10nm以上、100μm以下が望ましい。またコントラスト検出部位の配置については、理想的には基板表面に加え、表面より高い位置、および低い位置を準備することが望ましいが、構造の簡略化のために、高さが高い位置のみ、あるいは低い位置のみでもかまわない。
【0023】
さらに発展させた形態として、コントラスト検出部位の高さを小刻みに変化させ、複数の高さの照準を配置することにより、フォーカスずれ量を推定できる構造とすることもできる。具体的には、例えば反応基板平面に対し1μmピッチで±5μmの範囲で、高さが異なる照準を作成する。観察の際に、例えば+2μmの位置の照準が最もフォーカス評価値が高ければ、それはおよそ+2μmだけフォーカスずれを起こしていると推定できる。このため、レンズ繰り出し量をマイナス方向に2μm分繰り出せば、不要な動きをすることなく瞬時に合焦させることが可能となる。
【実施例1】
【0024】
図1は本発明の最も基本的な構成の例である。反応基板101上には、遺伝子配列または遺伝子多型を解析するためのナノ構造体あるいはパッド104がグリッド上,ハニカム上、あるいはランダムに配置されている。この領域の例えば中心にオートフォーカス用ターゲット103が配置されている。この領域は、上面から見たときには上部に異なる材質で作製された十字ターゲットが確認できる構造となっており、また側面から見たときは、掘り込み部102の底面に配置されている構造となっており、高さ方向の差異が付く構造となっている。
【0025】
この十字ターゲットは励起光を照射すると、蛍光を発する金属で形成されている。この十字ターゲットは、励起光を照射すると、蛍光を発しない金属であって、蛍光色素を吸着させたものでもよい。
【0026】
また、本反応デバイスを使い塩基配列解読を行う装置の例を図2に示す。図2の装置例は単分子DNAシーケンサの一例であり、分析装置240と解析用コンピュータ222からなる。分析装置240では反応基板214での反応を2次元センサカメラ221で観測する。反応基板214への試薬の供給は、試薬保管ユニット216内の各容器に格納された試薬を分注ユニット217によって分注し、送液チューブ218によって行う。また供給した試薬は反応を進行させるのに最適な温度となるよう温度制御ユニット215により適切に温度調整される。反応が完了した後の廃液は、廃液チューブ219を経由し廃液容器220へ廃棄される。
【0027】
このような装置に利用する前記反応基板は、たとえばエバネッセント光による計測が行われる場合には全反射プリズム229に光学的に結合され、励起光用レーザーユニット224,225による全反射照明により照明される。励起光を照射すると、基板上面側の屈折率境界平面上で全反射が起こるが、このとき、およそ入射光の1波長程度までの高さだけ低媒質側の内部に電磁波が浸透する。これにより、金属構造体を含めた極々限られた領域のみが照明される。この領域をエバネッセント場と呼ぶ。
【0028】
本装置上で、前述した方法により塩基伸長反応を進行させると、反応基板214の構造体上に取り付けられたターゲットDNAおよびポリメラーゼにより取り込まれた蛍光色素が、レーザ光により励起され発光する。これを、蛍光波長のみを透過する光学フィルターである蛍光波長フィルター232および結像レンズ233、および2次元センサカメラ221からなる光学検出系により2次元画像として捉える。
【0029】
上記の十字ターゲットも同じ2次元センサカメラ221で検出することができる。この2次元センサカメラ221は、塩基伸長反応の蛍光観察中、常に十字ターゲットの蛍光の観察を行っている。
【0030】
反応基板101および2次元センサカメラ221周辺の詳細を図3に示す。ナノ構造体あるいはパッド104が配置されている反応基板101で塩基伸長反応を行った際の蛍光信号を、対物レンズユニット310で集光し、2次元センサカメラ221で観測する。対物レンズユニット310は、図2に示す対物レンズ231,蛍光波長フィルター232、および結像レンズ233を1つのユニットとしたものである。オートフォーカスのためのフォーカス位置駆動は、反応基板を移動301する、あるいは対物レンズユニットを移動302する方法がある。本発明の方式は何れのフォーカス位置駆動方式にも適用可能である。
【0031】
図4に、本発明で用いることができるコントラスト検出部位の製作手順を示す。本発明の基板は図示および以下に説明する手順により製作が可能である。
【0032】
(1)レジスト塗布1
石英あるいはシリコン等の平滑な支持基体401上にレジスト402を塗布する。レジスト402としては、電子線用のネガ型ポジストを用いることができる。具体的には、TEBN−1(株式会社トクヤマ社製)が挙げられる。レジストをスピンナーで塗布した後、ホットプレートで2〜5分程度プリベイクする。
【0033】
(2)パターニング1
加速電圧50〜100KVの電子線で描画した後、乳酸エチル,イソプロパノール、またはエタノールで現像する。
【0034】
(3)エッチング1
パターニングされたレジストをマスクとして支持基体401をエッチングする。このエッチングで作成する掘りこみは、オートフォーカス時のフォーカス評価値参照用に用いるのみであるため、深さおよび寸法の精度はあまり必要としない。このため、深さおよそ500nm±10%程度の精度で十分であり、掘りこみ深さの制御はエッチングレートから算出されるエッチング時間で簡易に管理すればよい。
【0035】
(4)レジスト除去1
レジスト除去には、広く一般的に用いられるオゾンアッシングのプロセスを用いることができる。
【0036】
(5)金属膜形成
金属膜403を形成する。この膜の厚さは、最終的に生成されるナノ構造体421の高さを制御するものである。局在型表面プラズモンを利用する場合は、金属体の高さが効果的に生じる厚さは、計測時に用いる励起波長により異なるものの、望ましい厚さは1000nm以下である。薄膜形成方法としては、蒸着,スパッタリング,CVD,PVDなどを用いることができる。
【0037】
(6)レジスト塗布2
手順(1)と同様の手法によりレジストを塗布する。
【0038】
(7)パターニング2
このパターニングでは、塩基伸長反応観察に必要なナノ構造体421の形状を描画すると同時に、オートフォーカスでのフォーカス評価値を算出するためのターゲット422を描画する。このときのターゲットの大きさは、レンズ性能や光学系構築精度等による分解能の低下、およびターゲットを自動探索する際の容易性を考慮し、少なくとも5μm平方以上の寸法とすることが望ましい。
【0039】
(8)エッチング2
パターニングされたレジストをマスクとして金属膜403をエッチングする。これにより、塩基伸長反応観察に必要なナノ構造体421およびオートフォーカスでのフォーカス評価値を算出するためのターゲット422が残されたまま、それ以外の金属膜が除去される。
【0040】
(9)レジスト除去2
最後に不要となったレジストを除去する。(4)と同様の手法により除去可能である。
【0041】
以上の手法により、本発明に最適な反応基板を生成することができる。
【0042】
本例では、オートフォーカス用ターゲットを形成することを目的としたプロセスを追加したが、特願2009−084002に示されているような複雑な構造を持つ反応基板を生成する際には、各プロセス間の位置合わせのために反応基板上にアライメントマークを掘り込む必要がある。このような場合においては、あえてこれらのマークを実際に分析を行う際の観察視野内に配置し、コントラスト検出部位として兼用することで、プロセス数を削減することが可能である。
【0043】
また、本方法で作成した反応基板へのDNAプローブの固定方法、または局在型表面プラズモンを利用した蛍光増強構造体の配置などについては、特開2007−171158,特願2009−084002、等に示されている方法を用いればよい。
【0044】
オートフォーカス用ターゲット103による、コントラスト検出方式でのフォーカス位置判別方法の概念図を図5に示す。オートフォーカス用ターゲット103を、反応基板上にフォーカスが合焦した状態で観察した場合、図5の良に示す通り、パッドは合焦した状態で、またオートフォーカス用ターゲットはわずかにデフォーカスした状態で観察される。このときのそれぞれのフォーカス評価値の大小関係は、図示の通りである。仮に、反応基板表面が良好なフォーカス位置より近い場合には、次第にオートフォーカス用ターゲットのフォーカス評価値が上昇し、その一方でパッドのフォーカス評価値は低下する。これとは逆に、反応基板表面が良好なフォーカス位置より遠い場合には、図5の近に示すように、パッドおよびオートフォーカス用ターゲットのいずれもフォーカス評価値が低下する。
【0045】
このフォーカス評価値の変化の傾向により、フォーカスが何れの方向にずれているかを検出することができ、合焦させる方向へ間違いなく駆動することが可能である。
【0046】
これらの処理を行うためには、撮影した画像から当該十字ターゲットを自動探索する機能があると望ましい。しかしながら、機器組み込み用コンピュータなどでは画像処理に関する性能が十分でない場合があり、十字ターゲットを自動探索する機能の実現が難しい場合もある。このような場合には、予め画像上の特定の座標位置に十字ターゲットが撮影されるよう、正確な位置合わせを行える装置構造とし、画像中の座標領域固定でオートフォーカス位置判定処理することも可能である。
【0047】
繰り返しになるが、本実施例によれば、界面の蛍光のオートフォーカス評価値と、ターゲットのオートフォーカス評価値の値と、両者の関係からフォーカスがずれている場合でも、どちらにずれているのか(近いのか、遠いのか)を知ることができる。例えば、ターゲットが一つで、かつ、光学センサとの距離が界面よりも遠い場合には、次の通りである。ターゲットのオートフォーカス評価値>界面の蛍光のオートフォーカス評価値の場合には、光学センサと界面との距離が近すぎる。また、ターゲットのオートフォーカス評価値<界面の蛍光のオートフォーカス評価値で、かつ界面の蛍光のオートフォーカス評価値が所定の閾値以下の場合には、光学センサと界面との距離が遠すぎる。それ以外の場合には、フォーカスが合っている。
【0048】
なお、図5の丸印で示されるナノ構造体は、100nmであり、一方、伸長反応で伸びる距離は1baseあたり0.5nmとナノ構造体に比して非常に小さいため、伸長反応により、取り込まれた蛍光色素の位置が変化する影響はほとんどない。
【0049】
また、本実施例では、簡単のため、反応基板上に観察視野が一つとして説明した。このように観察視野が一つの場合には十字ターゲットは一つで良いが、反応基板上に複数の観察視野がある場合には、その観察視野毎に十字ターゲットが必要となる。この点は、以下説明する他の実施例でも同じである。
【0050】
なお、本実施例では、伸長反応の際に取り込まれる蛍光色素も、フォーカスに用いたが、これ以外にも、上述した十字ターゲット以外に該十字ターゲットとは垂直方向の距離が異なる別の十字ターゲットを設け、これをフォーカスに用いてもよい。
【実施例2】
【0051】
実施例1では、オートフォーカス用ターゲットを掘りこみ位置に配置し、反応基板表面との高さの差異を利用しフォーカスずれ方向を識別した。この方式ではフォーカス位置が近い方向にずれた場合、適当な位置でのフォーカス評価値と比較し、パッド、およびターゲット共にフォーカス評価値が低下することで判別した。しかしながらフォーカス評価値は、照明法や画面全体の輝度等が一定である場合にのみ、その値の直接比較が可能であるが、撮影条件が異なった場合には絶対値としての比較は意味をなさない。この問題を解決できるオートフォーカス用ターゲット例を図6に示す。
【0052】
図6に示す反応基板では、実施例1での構造と比較し、掘りこみ部ターゲット603は同一であるが、それに加え、反応基板平面と同一高さのターゲット601および突起部ターゲット602を追加している。
【0053】
この構造をもった反応基板を製作するには、(5)金属膜形成の時点で異なる2種の金属膜を形成しておき、突起部オートフォーカス用ターゲットの作成のためのレジスト塗布,パターニング,エッチングおよびレジスト除去を行い、この後パッドおよび掘りこみ部ターゲット作成のためのレジスト塗布,パターニング,エッチングおよびレジスト除去を行えばよい。
【0054】
本構造を用いたコントラスト検出方式でのフォーカス位置判別方法の概念図を図7に示す。本方式の構造を持つ反応基板において、フォーカス位置が適切な状態でターゲットを捉えた場合、反応基板表面にある中心部の十字ターゲットのフォーカス評価値bが最も高くなり、反応基板表面と高さが異なる十字ターゲットのフォーカス評価値aおよびcは低くなる。仮に、反応基板表面が良好なフォーカス位置より近い場合には、図7の近に示すように突起部として作成されている十字ターゲットのフォーカス評価値aが最も高くなり、反応基板平面と同一高さの十字ターゲットのフォーカス評価値bおよび掘り込み部の十字ターゲットのフォーカス評価値cは、より低い値となる。これとは逆に、反応基板表面が良好なフォーカス位置より遠い場合には、突起部として作成されている十字ターゲットのフォーカス評価値aが最も低くなり、反応基板平面と同一高さの十字ターゲットのフォーカス評価値bおよび掘り込み部の十字ターゲットのフォーカス評価値cの順でフォーカス評価値が高くなる。
【0055】
本方式を用いることで、照明の状態や輝度などの撮影条件が頻繁に変化する場合においても、これら3点のフォーカス評価値の相対比較のみでフォーカスずれ方向を判別することができる。
【0056】
本実施例によれば、上記のように、界面の両側に界面よりも撮影機構との距離が近いターゲット部材と、界面よりも撮影機構との距離が遠いターゲット部材を設けることにより、明るさが変わったとしても、その大小関係を見るだけで、どちらにずれているかを正確に把握することができる。
【0057】
なお、本実施例でも、伸長反応の際に取り込まれる蛍光色素も、フォーカスに用いたが、これ以外にも、2つの十字ターゲット以外に2つの十字ターゲットとは垂直方向の距離が異なる別の(第3の)十字ターゲットを設け、これをフォーカスに用いてもよい。
【実施例3】
【0058】
実施例1および2では、フォーカスずれ方向は判別できたものの、ずれ量がどのくらいであるかは不明であった。この問題を解決し、フォーカスずれ量を検出可能な反応基板構造を図8に示す。
【0059】
本方法では、高さが異なる5点,7点,9点、あるいはさらに他の点数のオートフォーカス用ターゲット801を配置する。図8では反応基板802の平面と同一高さのターゲットを含め9点のターゲットを作成した構造例を示している。このような構造例は、前述の半導体製作プロセスか、あるいはその発展技術であるMEMS技術、あるいはナノインプリント技術等を使って作成してもよい。
【0060】
このようなオートフォーカス用ターゲット801に対し、各々のフォーカス評価値を算出すると、距離に応じ図8に示す近,良,遠のようなフォーカス評価値プロファイルを得ることができる。このプロファイルをGaussフィットあるいは2次関数での最小二乗近似などによりピーク位置を算出することで、フォーカスずれ量に比例したずれ距離係数を算出することができる。例えば、各ターゲットの高さの差がすべて100μmであり、かつ図8の近のパターンでのGaussフィット時のピークが−1.8であった場合、−1.8×100μmから、およそ180μmだけ近い位置にフォーカス位置がずれていると判別できる。この場合、レンズ繰り出し量を180μm分だけ遠距離方向にずらすことにより、最も良好なフォーカス位置へ短時間に移動することができる。
【0061】
本方式における各オートフォーカス用ターゲットの高さの変化量は、単調増加だけでなく、多項式的、あるいは指数関数的でもよい。例えば前記実施形態のケースにおいて、各ターゲットの高さを−800μm,−400μm,−200μm,−100μm,0μm,100μm,200μm,400μm,800μmとする。このように配置することで、高さの変化量が大きい場合には、フォーカスずれがより広範囲に捕捉できる。しかしながら、合焦位置が0μmより遠くなるに従い、位置分解能が粗くなりずれ量算出精度が低下する。このように指数関数的変化量とすることで、より広範囲のフォーカスずれに対応しつつ、かつ合焦目標付近での高精度なオートフォーカスを両立することが可能である。
【0062】
なお、本実施例でも、伸長反応の際に取り込まれる蛍光色素も、フォーカスに用いたが、実施例1,2と同様に、別のターゲット部材を設け、これをフォーカス用に用いてもよい。
【実施例4】
【0063】
反応基板へ高さが異なるオートフォーカス用ターゲットを作成するためには、電子線描画、あるいはフォトリソグラフィなどでマスクを作成し、エッチングする工程を複数回繰り返す必要がある。このため、他の構造体作成のための工程とオートフォーカス用ターゲットの作成工程を兼用できない場合には、オートフォーカス用ターゲット作成のために製造プロセスを追加する必要があり、反応基板製造コストが増大する。
【0064】
コスト増大が問題となる場合、より安価な方法で本方式を実現することが望まれる。核酸分析装置においては、例えば反応基板上にビーズ等をバラまき、これをオートフォーカス用ターゲットとして用いることにより実現することが可能である。図9にこの例を示す。反応スポット903と比較し、フォーカス評価値に差異が得られる程度のオートフォーカス用ビーズ901を用意する。このビーズの大きさは、例えば直径が100nm〜10μm程度、好ましくは1μm程度のマイクロビーズを用いる。ビーズ材質はアクリル系,セラミック,ポリスチレン,ポリプロピレンなどが利用可能である。
【0065】
このようなビーズを、試薬導入にあわせ流路内へ導入し、反応基板902上の任意の位置、あるいは化学的結合を利用し特異的に吸着させる、あるいは磁性ビーズを用いることで特定位置に固定する。またはフローセル内の流路を2系統とし、片方をビーズ導入専用として反応スポットとビーズの配置を全く別個にしてもよい。ただしこの場合においても、反応スポット平面とビーズ配置平面は同一高さでなければならない。
【0066】
オートフォーカス用ビーズ901による、フォーカス位置判別方法の概念図を図10に示す。反応基板上にフォーカスが合焦した状態で、オートフォーカス用ビーズ901を観察した場合、図10の良に示す通り、反応スポットは合焦した状態で、またオートフォーカス用ビーズ901はわずかにデフォーカスした状態で観察される。このときのそれぞれのフォーカス評価値の大小関係は、図示の通りである。
【0067】
仮に、反応基板表面が良好なフォーカス位置より近い場合には、図10の近に示すように、パッドおよびオートフォーカス用ターゲットのいずれもフォーカス評価値が低下する。これとは逆に、反応基板表面が良好なフォーカス位置より遠い場合には、次第にオートフォーカス用ビーズ901のフォーカス評価値が上昇し、その一方でパッドのフォーカス評価値は低下する。
【0068】
このフォーカス評価値の変化の傾向により、フォーカスが何れの方向にずれているかを検出することができ、合焦させる方向へ間違いなく駆動することが可能である。
【0069】
このオートフォーカス用ターゲットビーズも蛍光を発する金属、または、励起光を照射すると、蛍光を発しない金属であって、蛍光色素を吸着させたもので形成することができる。
【0070】
大きさの異なるオートフォーカス用のマイクロビーズを複数用い、これらを基にフォーカスを行ってもよい。つまり、必ずしも反応スポットはフォーカス用に用いる必要は無い。
【0071】
本明細書では、ターゲットは十字について説明したが、エッジのコントラストが検出できる形状であればよく、線状,円形,ドーナツ型などでもよい。
【符号の説明】
【0072】
101,214,802,902 反応基板
102 掘り込み部
103 オートフォーカス用ターゲット
104 ナノ構造体あるいはパッド
215 温度制御ユニット
216 試薬保管ユニット
217 分注ユニット
218 送液チューブ
219 廃液チューブ
220 廃液容器
221 2次元センサカメラ
222 解析用コンピュータ
223 装置制御用コンピュータ
224 励起光用レーザーユニット1
225 励起光用レーザーユニット2
226 λ/4波長版
227 ミラー
228 ダイクロイックミラー
229 全反射プリズム
230 計測光路
231 対物レンズ
232 蛍光波長フィルター
233 結像レンズ
234 カメラコントローラ
240 分析装置
301 反応基板を移動
302 対物レンズユニットを移動
310 対物レンズユニット
401 支持基体
402 レジスト
403 金属膜
421 ナノ構造体
422 ターゲット
601 反応基板平面と同一高さのターゲット
602 突起部ターゲット
603 掘りこみ部ターゲット
801 オートフォーカス用ターゲット
901 オートフォーカス用ビーズ
903 反応スポット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光透過性基板上で塩基伸長反応させ、取り込まれた蛍光色素の蛍光をエバネッセント場を利用して観察する分析装置であって、
光透過性基板へ励起光を全反射照射する照射機構と、
塩基伸長反応で取り込まれた蛍光色素を撮影する撮影機構とを有し、
光透過性基板上には、撮影機構との垂直方向の距離が反応界面とは異なる位置に、励起光を照射すると蛍光を発するターゲット部材を備え、
少なくともターゲット部材から得られるフォーカス評価値を基に少なくともフォーカスずれ方向を検出し、光透過性基板と照射機構との距離を変更することを特徴とする、分析装置。
【請求項2】
光透過性基板上で塩基伸長反応させ、取り込まれた蛍光色素の蛍光をエバネッセント場を利用して観察する分析装置であって、
光透過性基板へ励起光を全反射照射する照射機構と、
塩基伸長反応で取り込まれた蛍光色素を撮影する撮影機構とを有し、
光透過性基板上には、光透過性基板上に対して垂直方向の撮影機構との距離が反応界面とは異なる位置に、励起光を照射すると蛍光を発する、ターゲット部材を備えていることを特徴とする、分析装置。
【請求項3】
光透過性基板上でナノ構造体を塩基伸長反応させ、取り込まれた蛍光色素の蛍光をエバネッセント場を利用して観察する分析装置であって、
光透過性基板へ励起光を全反射照射する照射機構と、
塩基伸長反応でナノ構造体に取り込まれた蛍光色素を撮影する撮影機構とを有し、
光透過性基板上には、光透過性基板上に対して垂直方向の撮影機構との距離がナノ構造体とは異なる位置に、励起光を照射すると蛍光を発するターゲット部材を備え、
少なくともターゲット部材から得られるフォーカス評価値を基に少なくともフォーカスずれ方向を検出し、光透過性基板と照射機構との距離を変更することを特徴とする、分析装置。
【請求項4】
光透過性基板上でナノ構造体を塩基伸長反応させ、取り込まれた蛍光色素の蛍光をエバネッセント場を利用して観察する分析装置であって、
光透過性基板へ励起光を全反射照射する照射機構と、
塩基伸長反応でナノ構造体に取り込まれた蛍光色素を撮影する撮影機構とを有し、
光透過性基板上には、光透過性基板上に対して垂直方向の撮影機構との距離がナノ構造体とは異なる位置に、励起光を照射すると蛍光を発する、ターゲット部材を備えていることを特徴とする、分析装置。
【請求項5】
請求項1または2において、
光透過性基板の反応界面とターゲット部材との、光透過性基板に対して垂直方向の距離は、10nm以上100μm以下であることを特徴とする、分析装置。
【請求項6】
請求項1または2において、
ナノ構造体とターゲット部材との、光透過性基板に対して垂直方向の距離は、10nm以上100μm以下であることを特徴とする、分析装置。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかに記載の分析装置であって、
ターゲット部材は、金属であることを特徴とする、分析装置。
【請求項8】
請求項1〜4のいずれかに記載の分析装置であって、
ターゲット部材は、蛍光色素を吸着させた物質であることを特徴とする、分析装置。
【請求項9】
請求項1〜4のいずれかに記載の分析装置であって、
光透過性基板上に凸部が設けられており、凸部の頂上にターゲット部材が設けられていることを特徴とする分析装置。
【請求項10】
請求項1〜4のいずれかに記載の分析装置であって、
光透過性基板上に凹部が設けられており、凹部の底部に前記ターゲット部材が設けられていることを特徴とする分析装置。
【請求項11】
請求項1〜4のいずれかに記載の分析装置であって、
ターゲット部材は、撮影機構の反応視野毎に設けられていることを特徴とする、分析装置。
【請求項12】
請求項1または2に記載の分析装置であって、
ターゲット部材が撮影機構の一つの反応視野に複数設けられ、互いに撮影機構との垂直方向の距離が異なることを特徴とする、分析装置。
【請求項13】
請求項12に記載の分析装置であって、
反応界面よりも撮影機構との距離が近いターゲット部材と、反応界面よりも撮影機構との距離が遠いターゲット部材が設けられ、これらのターゲット部材の間に反応界面が配置されていることを特徴とする、分析装置。
【請求項14】
請求項13に記載の分析装置であって、
反応界面よりも撮影機構との距離が近いターゲット部材と、反応界面よりも撮影機構との距離が遠いターゲット部材が、それぞれ複数設けられ、反応界面から遠くなるにつれて、反応界面よりも撮影機構との距離が近いターゲット部材は撮影機構との距離が近くなり、反応界面よりも撮影機構との距離が遠いターゲット部材は撮影機構との距離が遠くなることを特徴とする、分析装置。
【請求項15】
請求項12に記載の分析装置であって、
ナノ構造体よりも撮影機構との距離が近いターゲット部材と、ナノ構造体よりも撮影機構との距離が遠いターゲット部材が設けられ、これらのターゲット部材の間にナノ構造体が配置されていることを特徴とする、分析装置。
【請求項16】
請求項15に記載の分析装置であって、
ナノ構造体よりも撮影機構との距離が近いターゲット部材と、ナノ構造体よりも撮影機構との距離が遠いターゲット部材が、それぞれ複数設けられ、反応界面から遠くなるにつれて、ナノ構造体よりも撮影機構との距離が近いターゲット部材は撮影機構との距離が近くなり、ナノ構造体よりも撮影機構との距離が遠いターゲット部材は撮影機構との距離が遠くなることを特徴とする、分析装置。
【請求項17】
請求項1〜4のいずれかに記載の分析装置であって、
ターゲット部材として、半導体製造プロセスによる金属構造体を配置することを特徴とする、分析装置。
【請求項18】
請求項1〜4のいずれかに記載の分析装置であって、
核酸の配列解読を行うことを特徴とする、分析装置。
【請求項19】
請求項9に記載の分析装置であって、
凸部は、液体流路形成にも用いることを特徴とする、分析装置。
【請求項20】
請求項10に記載の分析装置であって、
凹部は、液体流路形成にも用いることを特徴とする、分析装置。
【請求項21】
請求項1〜4のいずれかに記載の分析装置であって、
撮影機構は、少なくとも対物レンズ,光学フィルター、および結像レンズを備え、
フォーカスの制御は、これら対物レンズ,光学フィルター、および結像レンズを垂直方向へ移動させることにより行うことを特徴とする、分析装置。
【請求項22】
請求項1〜4のいずれかに記載の分析装置であって、
撮影機構は、少なくとも対物レンズ,光学フィルター、および結像レンズを備え、
フォーカスの制御は、光透過性基板を垂直方向へ移動させることにより行うことを特徴とする、分析装置。
【請求項23】
請求項1〜4のいずれかに記載の分析装置であって、
ターゲット部材を自動探索する機能を備えていることを特徴とする、分析装置。
【請求項24】
請求項1または3において、
少なくともターゲット部材から得られるフォーカス評価値を基に少なくともフォーカスずれ方向を検出し、光透過性基板と照射機構との距離を変更することを特徴とする、分析装置。
【請求項25】
請求項1〜4のいずれかに記載の分析装置であって、
ターゲット部材は、マイクロビーズであることを特徴とする、分析装置。
【請求項26】
請求項25に記載の分析装置であって、
マイクロビーズの直径は、100nm以上10μm以下であることを特徴とする、分析装置。
【請求項27】
請求項25に記載の分析装置であって、
マイクロビーズの材質は、アクリル系,セラミック,ポリスチレン、またはポリプロピレンのいずれかであることを特徴とする、分析装置。
【請求項28】
請求項1または2に記載の分析装置であって、
光透過性基板上には、撮影機構との垂直方向の距離が反応界面と同じ位置に別のターゲット部材が配置されていることを特徴とする、分析装置。
【請求項29】
請求項3または4に記載の分析装置であって、
光透過性基板上には、撮影機構との垂直方向の距離がナノ構造体と同じ位置に別のターゲット部材が配置されていることを特徴とする、分析装置。
【請求項30】
請求項1または3に記載の分析装置であって、
塩基伸長反応で取り込まれた蛍光色素と、ターゲット部材のそれぞれから得られるフォーカス評価値を基に少なくともフォーカスずれ方向を検出し、光透過性基板と照射機構との距離を変更することを特徴とする、分析装置。
【請求項31】
光透過性基板上で塩基伸長反応させ、取り込まれた蛍光色素の蛍光をエバネッセント場を利用して観察する分析装置に用いるオートフォーカス装置であって、
塩基伸長反応で取り込まれた蛍光色素を撮影する撮影機構とを有し、
光透過性基板上には、撮影機構との垂直方向の距離が反応界面とは異なる位置に、励起光を照射すると蛍光を発するターゲット部材を備え、
少なくともターゲット部材から得られるフォーカス評価値を基に少なくともフォーカスずれ方向を検出し、光透過性基板と照射機構との距離を変更することを特徴とする、オートフォーカス装置。
【請求項32】
光透過性基板上で塩基伸長反応させ、取り込まれた蛍光色素の蛍光をエバネッセント場を利用して観察する分析装置に用いるオートフォーカス装置であって、
塩基伸長反応で取り込まれた蛍光色素を撮影する撮影機構とを有し、
光透過性基板上には、光透過性基板上に対して垂直方向の撮影機構との距離が反応界面とは異なる位置に、励起光を照射すると蛍光を発する、ターゲット部材を備えていることを特徴とする、オートフォーカス装置。
【請求項33】
光透過性基板上でナノ構造体を塩基伸長反応させ、取り込まれた蛍光色素の蛍光をエバネッセント場を利用して観察する、オートフォーカス装置であって、
光透過性基板上には、光透過性基板上に対して垂直方向の撮影機構との距離がナノ構造体とは異なる位置に、励起光を照射すると蛍光を発するターゲット部材を備え、
少なくともターゲット部材から得られるフォーカス評価値を基に少なくともフォーカスずれ方向を検出し、光透過性基板と照射機構との距離を変更することを特徴とする、オートフォーカス装置。
【請求項34】
光透過性基板上でナノ構造体を塩基伸長反応させ、取り込まれた蛍光色素の蛍光をエバネッセント場を利用して観察する、オートフォーカス装置であって、
塩基伸長反応でナノ構造体に取り込まれた蛍光色素を撮影する撮影機構とを有し、
光透過性基板上には、光透過性基板上に対して垂直方向の撮影機構との距離がナノ構造体とは異なる位置に、励起光を照射すると蛍光を発する、ターゲット部材を備えていることを特徴とする、オートフォーカス装置。
【請求項35】
光透過性基板上の蛍光を観察する装置であって、蛍光反応を行う界面と、前記界面を撮影することを目的とする光学センサと、前記界面近傍に保持され、前記撮影界面と距離を異にしたオートフォーカス用ターゲットと、該光学センサと前記界面の距離を可変できる機構を有する、分析装置。
【請求項36】
請求項35の分析装置であって、
撮影界面とオートフォーカス用ターゲット1箇所を有し、前記撮影界面を第2のオートフォーカス用ターゲットとして兼用することを特徴としたオートフォーカス機構を有する、分析装置。
【請求項37】
請求項35の分析装置であって、
該オートフォーカス用ターゲットとして半導体製造プロセスによる金属構造体を配置することを特徴とする、分析装置。
【請求項38】
請求項35の分析装置であって、
該オートフォーカス用ターゲットとして金属、あるいは樹脂のビーズを配置することを特徴とする、分析装置。
【請求項39】
請求項35の分析装置であって、
核酸を分析することを特徴とする、分析装置。
【請求項40】
光透過性基板上の蛍光を観察する装置であって、蛍光反応を行う界面と、前記界面を撮影する光学センサと、前記界面近傍に保持される、光学センサとの距離の差を有する2つ以上のオートフォーカス用ターゲットと、該光学センサと前記界面の距離を可変できる機構を含み、該オートフォーカス用ターゲット各々の距離差を利用しオートフォーカスを行うことを特徴とする、オートフォーカス方法。
【請求項41】
請求項40のオートフォーカス方法であって、
界面への液体の保持を目的とした保護材を該オートフォーカス用ターゲットとして兼用することを特徴とした、オートフォーカス方法。
【請求項42】
請求項40のオートフォーカス方法であって、
液体流路形成のための掘りこみ、あるいは突起を該オートフォーカス用ターゲットとして兼用することを特徴とした、オートフォーカス方法。
【請求項43】
請求項40の分析装置であって、
観察界面と、距離が異なる他の観察対象の距離差を利用することを特徴とした、オートフォーカス方法。
【請求項44】
請求項40〜43のいずれかに記載オートフォーカス方法であって、
合焦状態を保持するためのフォーカスずれ方向を検出することを特徴とする、オートフォーカス方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−99720(P2011−99720A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−253579(P2009−253579)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(501387839)株式会社日立ハイテクノロジーズ (4,325)
【Fターム(参考)】