説明

分析装置

【課題】 測定データの改ざんを容易に確認できる分析装置を提供する。
【解決手段】 試料に対して測定を行って測定データを得る測定装置2と、測定データ及び測定関連データを記憶する第1記憶領域21と、測定データ及び測定関連データを第1記憶領域21とは異なったファイル形式で記憶する第2記憶領域22と、第1記憶領域21内のデータ及び第2記憶領域22内のデータを画像として表示する表示装置4と、それらのデータを印字して表示するプリンタ6とを有する分析装置1である。第1記憶領域21内のファイルと、そのファイルに対応する第2記憶領域22内のファイルには、共通の履歴情報が記憶される。第1記憶領域21内のデータ及び第2記憶領域22内のデータを表示して比較することにより、データの改ざんを判断する。第2記憶領域22はXMLファイルによって構成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線分析装置、熱分析装置、その他、各種の分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
X線分析装置、熱分析装置等といった分析装置においては、ユーザの指示に従って所定の一連の処理が行われて、所望の測定データが分析結果として得られる。この求められた測定データは、一般に、電子データの形で所定の記憶媒体、例えば、ハードディスク型記憶装置、光磁気ディスク型記憶装置等といった機械式の記憶装置や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等といった半導体記憶装置等、の内部に保存される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特許第3048029号公報(第3頁、図5)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の分析装置において、記憶媒体の内部に記憶された測定データは、キーボード等といった入力装置を操作することにより、比較的容易に改変できるようになっていた。このため、第三者が改ざんの意図をもって測定データを改めることが可能であった。そして、このように測定データが改ざんされたとき、その改ざんを発見することが非常に難しかった。
【0005】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、測定データの改ざんを容易に確認できる分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る分析装置は、試料に対して測定を行って測定データを得る測定手段と、前記測定データ及び測定関連データを記憶すると共に前記測定データ及び前記測定関連データのそれぞれに対して履歴情報をさらに記憶する第1記憶手段と、前記測定データ及び前記測定関連データを前記第1記憶手段とは異なったファイル形式で記憶すると共に前記測定データ及び前記測定関連データのそれぞれに対して履歴情報をさらに記憶する第2記憶手段と、前記第1記憶手段内のデータ及び前記第2記憶手段内のデータを表示する表示手段とを有することを特徴とする。
【0007】
上記構成において、「測定手段」は、例えば、X線分析装置、熱分析装置によって構成できる。X線分析装置は、試料にX線を照射したときにその試料から出る2次X線、例えば回折線、散乱線、蛍光X線等を検出することにより試料を分析するものである。また、熱分析装置は、試料の温度を変化させたときにその試料に発生する変化を測定するものである。
【0008】
上記「第1記憶手段」及び上記「第2記憶手段」は、任意の構造の記憶媒体、例えば、ハードディスク型記憶装置、光磁気ディスク型記憶装置等といった機械式の記憶装置や、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等といった半導体記憶装置等によって構成できる。
【0009】
「測定データ」とは、測定の結果として得られたデータであって、測定目的である主たるデータのことである。例えば、X線分析装置を考えれば、何度の回折角度の所にどのくらいの強さのX線が発生したかを表わすデータが測定データである。また、熱分析装置を考えれば、試料温度が何度のときに試料に重量変化があったとか、試料温度が何度のときに試料に熱的な変化が発生したか等を表わすデータが測定データである。
【0010】
また、「測定関連データ」とは、上記の測定データを求めるにあたって、付随的に発生するデータのことである。例えば、試料の周りの温度条件のデータや、測定データをどのように較正したかを表示するデータや、測定データを画像データとして規定するデータ等がこの測定関連データに相当する。測定データを画像データとして規定するデータとは、例えば、Adobe社製のドキュメントフォーマットであるPDF(Portable Document Format)によって規定されたデータがこのデータに相当する。
【0011】
「第1記憶手段と第2記憶手段との間でファイル形式が異なる」とは、例えば、第1記憶手段の記憶形式がバイナリ形式であるときに、第2記憶手段の記憶形式がXML(eXtensible Markup Language)形式である場合のことである。なお、第2記憶手段は、データベース形式の言語を使うことができるファイル形式であれば任意のファイル形式とすることができ、上記のXML形式はもとより、マイクロソフト社製のデータベースアプリケーションであるアクセスで用いられているMDB形式を用いることも可能である。
【0012】
なお、XMLのようなマークアップ言語として、XML以外にHTML(Hyper Text Markup Language)が知られている。XMLとHTMLとの間には、XMLがデータベース言語によって規定されたデータ等といったテキストデータ以外の任意のデータを使用できるのに対し、HTMLはテキストデータだけしか使用できないという違いがある。この違いに鑑み、本発明において第2記憶手段で使用する言語としては、XMLであることが望ましい。
【0013】
次に、上記「表示手段」としては、例えばデータを画像として表示するものとしてCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、その他任意の構造のディスプレイを用いることができる。また、例えば印字によって表示を行うものとして、静電転写方式のプリンタ、インクジェット式のプリンタ、その他任意の構造の印字装置を用いることができる。
【0014】
上記構成の本発明に係る分析装置によれば、測定データ及び測定関連データが第1記憶手段及び第2記憶手段の2つの記憶手段に記憶されると共に、それらの記憶手段によって記憶された内容を表示手段によって表示できるようにしたので、いずれか一方のデータが改ざんされたとしても、その改ざんされたデータを他方のデータと共に表示してそれらのデータを比較することにより、測定データ等の改ざんがあったことを容易に確認できる。
【0015】
また、第1記憶手段と第2記憶手段はファイル形式が異なるので、一方の記憶手段は改ざんされ易いかもしれないが扱い易いファイル形式によって構成し、他方の記憶手段は扱い難いかもしれないが容易には改ざんできないファイル形式によって構成するというファイル構造を構築できる。こうすれば、第1記憶手段と第2記憶手段とを1つのデータ管理構造として見た場合に、全体として改ざんし難いデータ管理構造を構築できる。
【0016】
また、第1記憶手段と第2記憶手段の両方に共通の履歴情報を記憶するようにしたので、一方の記憶手段に記憶されたデータに改ざんその他の変更が加えられた場合には、そのことを極めて容易且つ確実に確認できる。
【0017】
次に、上記構成の分析装置において、前記第2記憶手段は前記測定データ及び前記測定関連データのそれぞれに対して履歴情報をさらに記憶することが望ましい。ここで、「履歴情報」とは、いつ、誰が、どのようにして測定を行ったかを特定する情報のことである。すなわち、測定日、測定者、及び測定条件を表わす情報のことである。なお、これらの条件は、常に全部が履歴情報として含まれるものではなく、それらの少なくとも1つが含まれれば良い。このように測定データと測定関連データとのそれぞれに履歴情報を付属させて形成すれば、それらの履歴情報を比較することにより、測定データ及び測定関連データのいずれか又は双方に改ざんが有ったか否かを簡単に判断できる。
【0018】
次に、本発明に係る分析装置において、前記第2記憶手段はチェックサムを含むことが望ましい。こうすれば、第2記憶手段に測定データ及び測定関連データを一旦記憶した後、それらのデータを第2記憶手段から読み出したときに生成されるチェックサムと最初に記憶したチェックサムとを比較することにより、測定データ及び測定関連データに改ざんが有ったか否かを容易に判断できる。
【0019】
次に、本発明に係る他の分析装置は、試料に対して測定を行って測定データを得る測定手段と、前記測定データ及びそれに基づいて生成される少なくとも1つの副次データを記憶する第1記憶手段と、前記測定データ及び前記副次データを前記第1記憶手段とは異なったファイル形式で記憶する第2記憶手段と、前記第1記憶手段内のデータ及び前記第2記憶手段内のデータを表示する表示手段とを有し、前記第1記憶手段に記憶された測定データ及び前記第2記憶手段に記憶された測定データの少なくとも一方にはファイル名が付随して記憶され、前記第1記憶手段に記憶された副次データ及び前記第2記憶手段に記憶された副次データの少なくとも一方にはファイル名が付随して記憶され、前記少なくとも1つの副次データに付随するファイル名は、基礎となる前記測定データ又は基礎となる他の副次データに付随するファイル名に関連して記憶されることを特徴とする。
【0020】
この分析装置によれば、測定の結果得られた測定データ及びその測定データに基づいて得られた1つ又は複数の副次データのそれぞれに対してファイル名が付与されると共に、それらのファイル名が互いに関連した状態で記憶される。このため、この分析装置によれば、個々の副次データがどのような履歴で生成されたかを簡単に知ることができる。
【0021】
しかも、第1記憶手段内に記憶された測定データ及び副次データの個々に対応して、第2記憶手段内にそれら測定データ及び副次データに対応するデータを記憶するようにしたので、第1記憶手段内のデータを第2記憶手段内のデータとを比較することにより、各データに改変や改ざんが加えられたかどうかを、正確に検査することができる。
【0022】
以上のように、複数のデータに対してファイル名を互いに関連する形式で付与すると共に、それら複数のデータを第1記憶手段と第2記憶手段の両方に記憶するようにすれば、任意のデータファイルがどのデータファイルに基づいて生成されたものであるかを、簡単且つ正確に確認できる。また、データの改ざん等があった場合には、そのことを確実に発見できる。このように上記構成の分析装置は、簡単で信頼性の高いファイル管理を実現できる。
【発明の効果】
【0023】
本発明に係る分析装置によれば、測定データ及び測定関連データが第1記憶手段及び第2記憶手段の2つの記憶手段に記憶されると共に、それらの記憶手段の内容を表示手段によって表示できるようにしたので、いずれか一方のデータが改ざんされたとしても、その改ざんされたデータを他方のデータと共に表示してそれらのデータを比較することにより、データの改ざんがあったことを容易に確認できる。
【0024】
また、第1記憶手段と第2記憶手段はファイル形式が異なるので、一方の記憶手段は改ざんされ易いかもしれないが扱い易いファイル形式によって構成し、他方の記憶手段は扱い難いかもしれないが容易には改ざんできないファイル形式によって構成するというファイル構造を構築できる。こうすれば、第1記憶手段と第2記憶手段とを1つのデータ管理構造として見た場合に、全体として改ざんし難いデータ管理構造を構築できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
(第1実施形態)
以下、本発明に係る分析装置の一実施形態を図面を用いて説明する。なお、本発明がその実施形態に限定されないことは、もちろんである。
【0026】
図1は、本発明に係る分析装置の一実施形態を示している。この分析装置1は、適宜の物質を試料として測定を行う測定装置2と、キーボード、マウス等によって構成される入力装置3と、表示手段としての画像表示装置4と、同じく表示手段としてのプリンタ6と、CPU(Central Processing Unit)7と、RAM(Random Access Memory)8と、ROM(Read Only Memory)9と、外部記憶媒体としてのハードディスク11とを有する。これらの要素はバス12によって互いにつながれている。
【0027】
画像表示装置4は、CRTディスプレイ、液晶ディスプレイ等といった画像表示機器によって構成されており、画像制御回路13によって生成される画像信号に従って画面上に画像を表示する。なお、ハードディスク11は、光磁気ディスク、半導体メモリ、その他任意の構造の記憶媒体によって構成することもできる。
【0028】
ハードディスク11の内部には、本実施形態に係る分析装置の全般的な動作を司る分析用アプリケーションソフト16と、測定装置2を用いた測定処理の動作を司る測定用アプリケーションソフト17と、そして、ハードディスク11内に格納されたデータを比較するための比較用アプリケーションソフト18とが格納される。また、ハードディスク11の内部には、第1記憶手段として機能する第1記憶領域21と、第2記憶手段として機能する第2記憶領域22とが設けられる。
【0029】
測定用アプリケーションソフト17は、測定装置2が所定の動作を行って所望の測定が行われるようにするプログラムソフトである。例えば、測定装置2がX線分析用の測定装置であれば、測定用アプリケーションソフト17は、測定装置2を用いてX線分析を実行するためのプログラムである。また、測定装置2が熱分析用の測定装置であれば、測定用アプリケーションソフト17は、測定装置2を用いて熱分析を実行するためのプログラムである。
【0030】
X線分析測定として、いわゆるθ―2θ系のゴニオメータを用いた粉末測定を考えれば、X線分析測定は、例えば、次のようにして行われる。すなわち、試料を一定の速度で連続的又は間欠的に回転(いわゆる、θ回転)させながら、X線源から発生するX線をその試料に照射する。試料に入射するX線とθ回転する試料との間で、いわゆるブラッグの回折条件が満足されるタイミングが到来すると試料から2次X線、例えば回折線が出る。この回折線は、試料に対して一定の速度で連続的又は間欠的に回転(いわゆる、2θ回転)するX線検出器によって受光され、さらに、そのX線検出器の出力に現れる電気信号に基づいて回折線のX線強度(I)が演算される。この結果、試料で回折した回折線の回折角度(2θ)とX線強度(I)とが一対のデータとして求められる。こうして得られた(2θ,I)のデータが測定データということになる。
【0031】
X線分析測定としては、上記の粉末測定の他に、多くの異なった種類の測定方法がある。例えば、単結晶物質を試料とするX線測定、X線を線状に受光するX線検出器(いわゆる、1次元X線検出器)を用いたX線測定、X線を平面的に受光するX線検出器(わゆる、2次元X線検出器)を用いたX線測定、X線小角測定、微小部X線回折測定、X線応力測定、X線トポグラフ測定、その他、種々のX線測定方法がある。測定方法が異なれば、得られる測定結果も種々に変化する。例えば、上記の(2θ,I)のデータ以外に、試料に入射するX線の入射角度ωが測定データに入ることもある。また、試料の温度を変化させながらX線測定が行われる場合には、温度条件が測定データに入ることもある。
【0032】
他方、熱分析として、いわゆる熱重量測定(TG:Thermogravimetry)を考えれば、熱分析測定は、例えば、次のようにして行われる。すなわち、天秤機構の試料皿に試料を載せ、その試料の温度を変化させ、その試料に重量変化があったときにはその重量変化が天秤機構によって測定される。この結果、温度(T)の変化に応じて生じる試料の重量(G)の変化が測定される。こうして得られた(T,G)のデータが測定データということになる。
【0033】
熱分析測定としては、上記の熱重量測定の他に、多くの異なった種類の測定方法がある。例えば、示差熱分析(DTA:Differential Thermal Analysis)、示差走査熱量測定(DSC:Differential Scanning Calorimetry)、熱膨張測定等といった各種の測定がある。測定方法が異なれば、得られる測定データもそれに対応して変化する。
【0034】
次に、第1記憶領域21の中には、測定装置2によって求められた測定データを格納するための測定ファイル23と、測定データに関連するデータを格納するための補助ファイル24と、上記の測定データをPDFデータとして記憶するためのPDFファイル25とが設けられる。PDFファイルとは、Adobe社製のドキュメントフォーマットであって、1つの同じ画像を特定のプラットフォームに依存せずに表示できるフォーマットである。測定ファイル23はデータをバイナリ形式で記憶する。また、補助ファイル24は、測定データに関連するデータである、温度データ、較正データ等といった各種のデータを記憶するものであり、記憶形式としてはバイナリ形式、テキスト形式等が採用される。
【0035】
第2記憶領域22は、第1記憶領域21とは異なったファイル形式、例えばXMLファイルによって形成される。XMLは、HTMLと同様なマークアップ言語であるが、HTMLがテキストデータしか使用できないのに対し、XMLはデータベース形式のデータはもとより、あらゆる形式のデータを使用できるという特性を有する。本実施形態では、この特性を利用して、XML形式の第2記憶領域内に、測定ファイル23と同じ内容のデータ23x、補助ファイル24と同じ内容のデータ24x、及びDPFファイル25と同じ内容のデータ25xを格納するようにしている。なお、第2記憶領域22内に格納する測定データ23x、補助データ24x、PDFデータ25xには、例えば通常のデータ圧縮技術あるいはその他のデータ加工技術で見られるようなエンコード化が施されるものとする。
【0036】
また、第2記憶領域22を構成するXMLファイルには、測定ファイル23x及びPDFファイル25xのそれぞれに対して履歴情報26が付属的に形成される。この履歴情報26とは、測定装置2を用いて行われた測定によって求められた測定データ及びその他のデータが、いつ、誰によって、どのような条件で作成されたデータであるかを表示するものである。この履歴情報26は、コンピュータシステム内の適所に備えられたクロックからの情報や、ユーザによって入力装置3を介してコンピュータシステム内に入力されて適所に保存された情報等に基づいて、XMLファイル22内に測定データ等を書き込んで測定ファイル23x等を生成する毎に、その測定ファイル23x等に付属するように形成される。本実施形態では、XMLファイル22内に測定ファイル23x及びPDFファイル25xを書き込む毎に新たな履歴情報26がそれらのファイルの個々に対して付属的に形成されるものとする。
【0037】
また、第2記憶領域22内にはチェックサム27が設けられる。このチェックサム27は周知のようにファイル内に含まれるデータ数の合計値を記憶する領域である。第2記憶領域22内に測定データ23x、PDFファイル25x、及び補助ファイル24xが書き込まれたとき、このチェックサム27内にそれらのファイル内のデータ数を合計した値が書き込まれて保存される。
【0038】
以下、上記構成より成る分析装置についてその動作を説明する。
図2は、図1の分析装置1によって実行される制御の流れを示している。まず、ステップS1において、図1の入力装置3を通してユーザによって測定の指示がなされたか否かが判断され、成されていれば(ステップS1でYES)、ステップ2に進んで測定用アプリケーションを起動する。これにより、図1の測定装置2を用いてX線分析や熱分析が行われる。ステップS2の測定用アプリケーションについての詳しい説明は後述する。
【0039】
その後、ステップS3において、ユーザによって履歴チェックの要求があったか否かが判断され、有ったと判断されれば(ステップS3でYES)、ステップS4に進んで、図1のXMLファイル22内の履歴情報26を、測定ファイル23x及びPDFファイル25xのそれぞれについて、図1の画像表示装置4の画面上に表示する。又は、それらの履歴情報26をプリンタ6によって印字する。ユーザは表示されたそれぞれの履歴情報26を比較できる。
【0040】
これらの履歴情報26は、基本的には、図1のXMLファイル22内に測定ファイル23x及びPDFファイル25xを作成したときに同時に作成されたものであるので、測定ファイル23xについての履歴情報26とPDFファイル25xについての履歴情報26は同じはずである。仮に、これらの履歴情報26,26の間で何等かの違いがあれば、測定ファイル23x及びPDFファイル25xのいずれかのデータに手が加えられたもの、場合によっては改ざんが加えられたものと判断できる。ステップS3において、履歴チェックの要求がなければ(ステップS3でNO)、履歴情報の表示は行われない。
【0041】
次に、ステップS5において、ユーザによってデータ比較の要求があったか否かが判断され、有ったと判断されれば(ステップS5でYES)、ステップS6に進んで、比較用アプリケーションを起動する。この比較用アプリケーションは、ハードディスク11内に格納された測定ファイル23、補助ファイル24、PDFファイル25等の内部のデータが正しいものかどうかをチェックするための処理を実行するものであるが、詳しくは後述する。
【0042】
ステップS2において測定用アプリケーションが起動されると、図3のステップS11において、図1のXMLファイル22内に格納するための履歴情報26の読込みを行う。既述の通り、この履歴情報26は、「いつ、誰が、どのような条件」で測定を行ったかを表示するものである。「いつ」の情報はコンピュータシステム内の適所に設けられたクロックからの情報によって採取できるので、「いつ」についての情報の読込みはステップS11では、特に、行われない。「誰が」の情報は、入力装置3を通してユーザからの指示によって行われ、その「誰が」の情報はRAM8内に一時的に記憶される。
【0043】
また、「どのような条件で」とは、例えば測定装置2がX線測定装置であれば、測角範囲を何度から何度までの間に設定するかといった条件や、モノクロメータ、コリメータ、試料高温装置、サンプルチェンジャ等といったアタッチメントを使うか否かといった条件等である。この情報も、入力装置3を通してユーザからの指示によって行われ、その情報はRAM8内に一時的に記憶される。
【0044】
なお、「誰が」及び「どのような条件で」の情報は、予めそれらについての所定の複数の内容をハードディスク11内の適宜の領域に記憶しておいて、測定にあたって、ユーザが入力装置3の簡単な操作によってそれらのうちから所望のものを選択するという操作によって決定させることもできる。
【0045】
以上のような履歴情報の読込みが完了すると(ステップS12でYES)、ステップS13において図1の測定装置2を用いた実際の測定が行われる。このときの測定は、ステップS11で読み込まれてRAM8内に記憶された「どのような条件で」の情報に従って行われる。測定装置2がX線測定装置であるとすれば、測定の結果、例えば、回折角度2θに対する回折線強度Iのデータ(2θ,I)が測定データとして求められる。この測定データ(2θ,I)はRAM8内に一時的に記憶される。
【0046】
また、上記の測定データを得たときの条件に関する情報、例えば温度条件に関する情報や、データの較正条件に関する情報等、を補助データとしてRAM8内に一時的に記憶する。さらに、CPU7は、求められた測定データ(2θ,I)に基づいて画像データであるPDFデータを生成する。そして、このPDFデータもRAM8内に一時的に記憶する。
【0047】
その後、CPU7は、RAM8内に記憶した上記測定データ、上記補助データ、及び上記PDFデータをステップS14において、図1のハードディスク11の第1記憶領域21内に書き込んで、測定ファイル23、補助ファイル24、そしてPDFファイル25を作成する。ここで、測定ファイル23はバイナリ形式であり、補助ファイル24はバイナリ形式及びテキスト形式の混合であり、PDFファイル25はAdobe社によって提供されたフォーマットである。
【0048】
また、CPU7は、第1記憶領域21内に上記の各ファイルを形成するのと同時に、XMLファイルである第2記憶領域22内に、測定ファイル23x、補助ファイル24x、そしてPDFファイル25xを作成する。このとき、これらのファイルは所定の処理に従ってエンコード化された状態でXMLファイル22内に格納される。周知の通りマークアップ言語としてのXMLはデータベース形式の言語で表わされたデータはもとより、任意の言語で記述されたデータを使用できるので、上記のエンコード化された各ファイルは支障なくXMLファイル22内に格納される。
【0049】
また、CPU7は、XMLファイル22内に各ファイル23x、24x及び25xを作成するのと同時に、「いつ、誰が、どのような条件で」測定を行ったかという情報、すなわち履歴情報26を、測定ファイル23x及びPDFファイル25xのそれぞれに対して書き込む。さらに、CPU7はそれと同時に、測定ファイル23x、PDFファイル25x及び補助ファイル24x内のデータ数の合計を演算し、その値をチェックサム27として記憶する。以上により、測定装置2を用いて行われた測定の結果が、第1記憶領域21及び第2記憶領域22のそれぞれの領域内に格納される。
【0050】
ところで、一般の分析では、測定によって得られた測定データ、すなわち生データに対してデータ処理が行われたり、データ解析が行われたりする。ここで、データ処理とは、生データに対して付随的な処理を行うことであり、そのような付随的な処理としては、平滑化処理、バックグラウンド除去処理等が考えられる。データ処理が生データを加工するだけで何等の新しいデータを生成しないのに対し、データ解析とは、得られた生データ又はデータ処理が施された後の測定データに基づいて、異なった新たなデータを作成する処理のことである。このようなデータ解析としては、例えば、X線回折プロファイルに対するピークサーチ処理が考えられる。
【0051】
ユーザが上記のようなデータ処理及びデータ解析を希望する場合には、ユーザは図1の入力装置3を通してそのことを指示する。CPU7は、図3のステップS15において、データ処理及びデータ解析の指示があったか否かを判断し、指示があれば(ステップS15でYES)、ステップS16においてそれらの処理を実行する。処理の結果として得られたデータは、必要に応じて、図1の第1記憶領域21及び第2記憶領域22内に格納される。
【0052】
以上により、測定に関する全ての処理が終了し、図1の第1記憶領域21内に所望のデータが得られる。ユーザは、必要に応じてこのデータを読み出して種々の研究を行うことができる。しかしながら、産業界においては、測定の結果として得られたデータが不幸にして第三者によって改ざんされるという事態が生じることがある。このような改ざんが発生すると、健全な研究を継続して行うことができなくなる。
【0053】
そのため、測定の結果として得られたデータが改ざんされることなく適正に保存されているか否かをチェックしたいという要望が従来からあった。本実施形態では、以下の処理によりそのような要望に応えている。すなわち、ユーザがデータのチェックを行いたいと希望する場合には、図1の入力装置3に対して所定の操作を行う。この操作が行われると、CPU7は図2のステップS5においてデータ比較の要求があったことを認知し(ステップS5でYES)、ステップS6において比較用アプリケーションを起動する。
【0054】
比較用アプリケーションが起動すると、図4のステップS21において、CPU7は図1のXMLファイル22内の全データを読み出してRAM8内に一時的に記憶する。このとき、エンコード化されていたデータは、コンピュータによって処理可能な形にデコードされる。また、このとき、読み出された全データに対して新たにチェックサムが演算される。
【0055】
次に、ステップ22において、XMLファイル22内に保存されていたチェックサムと、ステップS21で新たに作成されたチェックサムとを比較する。この比較の結果、チェックサムが異なっていれば、第1記憶領域21内の何等かのデータ又は第2記憶領域22内の何等かのデータに改変が加えられた可能性が高いと考えられる。従って、このときには、ステップS27へ進んで、図1の画像表示装置4の画面上に改ざんがあった旨の表示を行う。
【0056】
ステップS22で2つのチェックサムが同じであると判断されたとき(ステップS22でYES)、CPU7は、ユーザによって画像表示の要求があったか否かをステップS23で判断し、さらに、印字表示の要求があったか否かをステップS25において行う。画像表示の要求があったときには(ステップS23でYES)、ステップS24において、ステップS21で読み出した新しいデータと、図1の第1記憶領域21内に保存されているデータとの両方を、画像表示装置4の同じ画面上に並べて、あるいは、異なった画面上に別々に表示する。また、印字表示の要求があったときには(ステップS25でYES)、ステップS26において、ステップS21で読み出した新しいデータと、図1の第1記憶領域21内に保存されているデータとの両方を、プリンタ6によって印刷する。
【0057】
ユーザは、画像表示装置4の画面上に表示された2つのデータを見比べて、あるいは、印刷された2つのデータを見比べて、両者が同じであるか異なっているかを判断する。表示された2つのデータが同じであれば、図1の第1記憶領域21及び第2記憶領域22のそれぞれに格納されているデータには改変が加えられていないものと判断できる。一方、比較された2つのデータに違いがあれば、いずれかのデータに改変が加えられたものと判断できる。改変が加えられたデータは信頼性が低いので、破棄しても良い。
【0058】
なお、本発明の目的、すなわち「測定データの改ざんを容易に確認できるようにする」という目的に照らして、当然のことながら、第1記憶領域21の中には第2記憶領域22の中に記憶された履歴情報26と同様の履歴情報が記憶される。
【0059】
(第2実施形態)
次に、本発明に係る分析装置の他の実施形態を説明する。
図5は、本発明に係る分析装置の一実施形態を示している。ここに示す分析装置41において図1に示した分析装置1と同じ構成要素は同じ符号を付して示すことにして、その説明は省略することにする。
【0060】
まず、図1に示した実施形態に関連して次のことを説明した。すなわち、一般の分析では、測定によって得られた測定データ、すなわち生データに対してデータ処理が行われたり、データ解析が行われたりする。ここで、データ処理とは、生データに対して付随的な処理を行うことであり、そのような付随的な処理としては、平滑化処理、バックグラウンド除去処理等が考えられる。データ処理が生データを加工するだけで何等の新しいデータを生成しないのに対し、データ解析とは、得られた生データ又はデータ処理が施された後の測定データに基づいて、異なった新たなデータを作成する処理のことである。このようなデータ解析としては、例えば、X線回折プロファイルに対するピークサーチ処理が考えられる。
【0061】
ユーザが上記のようなデータ処理及びデータ解析を希望する場合には、ユーザは図1の入力装置3を通してそのことを指示する。CPU7は、図3のステップS15において、データ処理及びデータ解析の指示があったか否かを判断し、指示があれば(ステップS15でYES)、ステップS16においてそれらの処理を実行する。処理の結果として得られたデータは、必要に応じて、図1の第1記憶領域21及び第2記憶領域22内に格納される。
【0062】
これから説明する第2実施形態は、このようなデータ処理及びデータ解析を受けた後のデータの処理を行うにあたって好適な実施形態である。なお、本明細書では、データ解析及びデータ処理を受けた後に得られるデータを副次データと呼ぶことにする。この副次データは1つのこともあるし、2つ以上のこともある。副次データが1つということは、1つの生の測定データに対してデータ処理及び/又はデータ解析を1回行った後に1つの副次データが得られる場合のことである。また、副次データが2つ以上あるということは、1つの生の測定データに対してデータ処理及び/又はデータ解析を2回以上行って2つ以上の副次データが得られる場合や、1つの生の測定データから得られた副次データに対してデータ処理及び/又はデータ解析を行って別の副次データを得る場合等がある。
【0063】
例えば、測定データを基礎として第1の副次データを生成し、その第1の副次データを基礎として第2の副次データを生成するというデータ処理が考えられる。この場合、第2の副次データから見れば第1の副次データが「基礎となる他の副次データ」ということになる。
【0064】
図5に示す分析装置41が図1に示した分析装置1と異なる点は、次の点である。
(1) ハードディスク11の中にアンパックアプリケーション59が格納されている。このアンパックアプリケーション59は、1つの測定データに基づいて複数の副次データが生成された場合に、ある任意の副次データがその1つの測定データを基礎として生成されたデータであることを確認するためのアプリケーションソフトである。
(2) ハードディスク11の中に第1記憶領域61が設けられ、その第1記憶領域61の中に測定ファイル63、補助ファイル64及びPDFファイル65の各ファイルが設けられる。これらのファイルはバイナリ形式、テキスト形式等といったファイル形式で形成される。
(3) ハードディスク11の中に第2記憶領域62が設けられる。この第2記憶領域62は第1領域61とは異なったファイル形式、例えばXMLファイルによって形成される。XMLファイルについては図1の実施形態に関連して既に説明したのでここではその説明は省略する。
【0065】
本実施形態において、測定ファイル63には、1つ又は複数の生の測定データ及びそれらの測定データを基礎として生成された1つ又は複数の副次データが記憶される。図5の測定装置2によって行われる測定が、例えばX線回折測定であれば、測定データとしては、例えば(2θ,I)のデータが得られて記憶される。ここで、「2θ」は試料で回折するX線の回折角度、「I」は試料で回折したX線の強度である。
【0066】
また、測定ファイル63には、測定データ及び副次データのそれそれに対してファイル名履歴、使用者履歴、測定内容、解析内容、印刷履歴等に関するデータが付随して記憶される。「ファイル名履歴」とはファイル名がどのような順番、あるいはどのような経緯で付けられたかを表示するデータのことである。例えば、1つの測定データから第1副次データが生成され、次いで第1副次データから第2副次データが生成された場合を考えると、各データの生成順番が分かるようにファイル名履歴が測定データ及び各副次データのそれぞれに付与される。
【0067】
例えば、「測定データ」→「第1副次データ」→「第2副次データ」の順番で各データが生成される場合には、例えば、測定データに対して「¥DATA0」のファイル名履歴が付与され、第1副次データに対して「¥DATA0¥DATA1」のファイル名履歴が付与され、第2副次データに対して「¥DATA0¥DATA1¥DATA2」のファイル名履歴が付与される。
【0068】
また、ファイル名履歴の中には、どのような条件で(すなわち、どのような処理又は操作を行うことによって)副次データが作成されたか、についての情報も記憶される。例えば、データAに解析処理であるピークサーチが行われてデータA’が作成されたとするならば、データA’のファイル名履歴の中に、「ピークサーチ処理を行った」旨の情報が記憶される。
【0069】
次に、「使用者履歴」とは、(1)該当するファイルが生成されるまでに1つ又は複数のファイルが生成される場合に、それら複数のファイルの生成に携わった使用者を表示するデータである。なお、ファイルが測定データを記憶したファイルであれば、使用者履歴の中には、測定者が使用者として記憶される。通常、測定者又は使用者はコンピュータシステムにログインした後にそのコンピュータシステムを用いて測定を行う。使用者名又は測定者名は、そのログイン時に登録されたオペレータの名称とすることができる。
【0070】
(2)また、「使用者履歴」の中には、使用者がいつデータ加工を行ったかの情報も記憶される。(3)また、1つの測定が終わって1つのファイル内に測定データ等を記憶してファイルを閉じる前に第三者がそのファイルを利用するためにログイン、すなわち当該ファイルにアクセスしようとした場合には、そのことも使用者履歴の中に記憶される。
【0071】
次に、「測定内容」とは、測定データを生成する際の測定条件及びその他の情報に関するデータである。「解析内容」とは、得られた測定データに対してデータ解析を行った場合のその解析条件及びその他の情報に関するデータである。「印刷履歴」とは、該当するファイルが生成されるまでに印刷物を作成する旨の指示があったかどうか、あるいは、印刷物を作成する旨の指示がいつあったかを表示するデータである。
【0072】
図5の補助ファイル64には、測定データ及び副次データに関連する補助データ、例えば温度データ、較正データ等が記憶される。これらの補助データについても、測定データ及び副次データのそれそれに対して付与されるファイル名履歴と同様のファイル名履歴が付随して記憶される。また、PDFファイル65には、測定データや副次データに対応するPDF形式の画像データが記憶される。このPDFデータについても、測定データ及び副次データのそれそれに対して付与されるファイル名履歴と同様のファイル名履歴が付随して記憶される。
【0073】
次に、XML形式の第2記憶領域62内には、測定ファイル63と同じ内容のデータ63x、補助ファイル64と同じ内容のデータ64x、及びPDFファイル65と同じ内容のデータ65xが格納される。なお、第2記憶領域62内に格納する測定データ63x、補助データ64x、PDFデータ65xには、例えば通常のデータ圧縮技術あるいはその他のデータ加工技術で見られるようなエンコード化が施されるものとする。また、第2記憶領域62内にはチェックサム27が設けられる。このチェックサム27は周知のようにファイル内に含まれるデータ数の合計値を記憶する領域である。第2記憶領域62内に測定ファイル63x、PDFファイル65x、及び補助ファイル64xが書き込まれたとき、このチェックサム27内にそれらのファイル内のデータ数を合計した値が書き込まれて保存される。
【0074】
また、第2記憶領域62を構成するXMLファイルには、測定ファイル63x及びPDFファイル65xのそれぞれに対して履歴情報66が付属的に形成される。この履歴情報66とは、測定装置2を用いて行われた測定によって求められた測定データ及びそれを基礎とする副次データが、「いつ、誰によって、どのような条件で」作成されたデータであるかを表示するものである。
【0075】
この履歴情報66は、コンピュータシステム内の適所に備えられたクロックからの情報や、ユーザによって入力装置3を介してコンピュータシステム内に入力されて適所に保存された情報等に基づいて、XMLファイル62内に測定データ及び副次データ等を書き込んで測定ファイル63x等を生成する毎に、その測定ファイル63x等に付属するように形成される。本実施形態では、XMLファイル62内に測定ファイル63x及びPDFファイル65xを書き込む毎に新たな履歴情報66がそれらのファイルの個々に対して付属的に形成されるものとする。
【0076】
第1記憶領域61内の測定ファイル63の中に測定データ及び副次データが記憶されることは既述した。また、それらの測定データ及び副次データに付随してファイル名履歴及び使用者履歴が記憶されることも既述した。また、ファイル名履歴の中に、そのファイルに含まれるデータが「どのような条件」で作成されたかについての情報が記憶されることも既述した。また、その使用者履歴の中に、測定者又は使用者の名前が記憶されること、及び使用者がいつデータ加工を行ったかの情報が記憶されることも既述した。このように、第1記憶領域61の中には、「いつ、誰が、どのような条件で」データを作成したかの情報が記憶される。つまり、本実施形態では、第2記憶領域62内に記憶された履歴情報66と共通する「いつ、誰が、どのような条件で」副次データ等を作成したかの履歴情報が記憶されるということである。
【0077】
図6は、図5の分析装置41を用いて行われる処理の一例をフローチャートの形式で示している。以下、上記構成より成る分析装置41の動作を図6を用いて説明する。
図6のステップS31において、図5の測定装置2によって測定が行われる。例えば、X線回折装置を用いたX線回折測定や、熱分析装置を用いた熱分析等が行われる。この測定が終了すると、ステップ32において、図5の測定ファイル63内にファイルAが生成され、さらに、ファイルAに関連するXMLファイルAXMLがXMLファイル62内に生成される。
【0078】
ここで、ファイルA内には、(1)測定の結果得られた(2θ,I)等のデータ、(2)測定に際して作成されたファイル名履歴、(3)測定に際して作成された使用者履歴等のデータが含まれる。また、ファイルAXML内には、(1)ファイルAのデータ、(2)Aファイルの印刷イメージ、(3)履歴情報、(4)測定情報等のデータが含まれる。今、ファイルAのファイル名を「DATA0」とすれば、上記のファイル名履歴として、例えば「¥DATA0」が記憶される。また、ファイルA内の「ファイル名履歴」及び「使用者履歴」の中には、AXMLファイル内の「履歴情報」と共通する「いつ、誰が、どのような条件で」測定をしたかの情報が記憶される。
【0079】
次に、ファイルA内に記憶されたデータに対してステップS33においてデータ解析、例えばピークサーチ処理が行われる。得られた解析データはステップS34においてオペレータの指示に従って図5のハードディスク11内に保存される。これにより、第1の副次ファイルA’が図5の測定ファイル63内に生成され、その第1副次ファイルA’に関連するファイルA’XMLがXMLファイル62内に生成される。
【0080】
ここで、ファイルA’内には、(1)解析の結果得られた(2θ,I)等の第1の副次データ、(2)ファイルAから改変されたファイル名履歴、(3)ファイルAから改変された使用者履歴、(4)解析内容等のデータが含まれる。また、ファイルA’XML内には、(1)ファイルA’のデータ、(2)A’ファイルの印刷イメージ、(3)履歴情報等のデータが含まれる。今、ファイルA’のファイル名を「DATA1」とすれば、上記のファイル名履歴として、例えば「¥DATA0¥DATA1」が記憶される。この履歴は、DATA1のファイルがDATA0のファイルを基礎として作成されたことを示している。また、ファイルA’内の「ファイル名履歴」及び「使用者履歴」の中には、A’XMLファイル内の「履歴情報」と共通する「いつ、誰が、どのような条件で」データ解析をしたかの情報が記憶される。
【0081】
次に、ステップS33のデータ解析が終了した後にステップS35においてオペレータによって印刷の指示が図5の入力装置3を介して行われると、図5のプリンタ6が作動して印刷物46が作成される。この印刷物46には、視覚によって捕らえられる状態、例えば表、グラフ等の形で解析データが印刷される。また、それと同時に、それまでのファイル名履歴及び印刷した年月日時刻が印刷物46の適所に印刷される。
【0082】
また、ステップS35において印刷の指示が成されると、図5のCPU7は自動的に、第2の副次ファイルAを図5の測定ファイル63内に生成し、第2副次ファイルAに関連するファイルAXMLをXMLファイル62内に生成する。
【0083】
ここで、ファイルA内には、(1)ステップS33のデータ解析の結果得られた(2θ,I)等の第2の副次データ、(2)ファイルAから改変されたファイル名履歴、(3)ファイルAから改変された使用者履歴、(4)解析内容、(5)印刷履歴等のデータが含まれる。「印刷履歴」とは、印刷したときの年月日時分秒のデータである。印刷が複数回行われたのであれば、それら複数回分のデータが連続して記憶される。また、ファイルAXML内には、(1)ファイルA+のデータ、(2)Aファイルの印刷イメージ、(3)履歴情報等のデータが含まれる。今、ファイルAのファイル名を「DATA2」とすれば、上記のファイル名履歴として、例えば「¥DATA0¥DATA2」が記憶される。この履歴は、DATA2のファイルがDATA0のファイルを基礎として作成されたことを示している。また、ファイルA内の「ファイル名履歴」及び「使用者履歴」の中には、AXMLファイル内の「履歴情報」と共通する「いつ、誰が、どのような条件で」データ解析をしたかの情報が記憶される。
【0084】
次に、ステップS35においてオペレータが印刷の指示を行った後、それに引き続いてオペレータがステップS36において保存の指示を行うと、第3の副次ファイルA”が図5の測定ファイル63内に生成され、第3副次ファイルA”に関連するファイルA”XMLがXMLファイル62内に生成される。
【0085】
ここで、ファイルA”内には、(1)ステップS33のデータ解析の結果得られた(2θ,I)等の第3の副次データ、(2)ファイルAから改変されたファイル名履歴、(3)ファイルAから改変された使用者履歴、(4)解析内容等のデータが含まれる。また、ファイルA”XML内には、(1)ファイルA”のデータ、(2)A”ファイルの印刷イメージ、(3)履歴情報等のデータが含まれる。今、ファイルA”のファイル名を「DATA3」とすれば、上記のファイル名履歴として、例えば「¥DATA0¥DATA3」が記憶される。この履歴は、DATA3のファイルがDATA0のファイルを基礎として作成されたことを示している。また、ファイルA”内の「ファイル名履歴」及び「使用者履歴」の中には、A”XMLファイル内の「履歴情報」と共通する「いつ、誰が、どのような条件で」データ解析をしたかの情報が記憶される。
【0086】
以上のようにして、第1副次データを含む第1副次ファイルA’が作成され、第2副次データを含む第2副次ファイルA+が作成され、そして第3副次データを含む第3副次ファイルA”が作成される。第1副次データ、第2副次データ及び第3副次データは、いずれも、測定ファイルAに含まれる測定データを基礎として生成された副次データである。
【0087】
以上のようにして作成されたファイルA’、ファイルA’XML、ファイルA、ファイルAXML、ファイルA”、ファイルA”XMLの各ファイルに関しては、それらにさらに加工、例えばデータ処理、データ解析等を加えることができる(ステップS37)。こうして得られるデータは、副次データを基礎として得られる他の副次データということになる。こうして得られた副次データ及びそれに関連するデータは図5の第1記憶領域61及び第2記憶領域62に記憶することができる。
【0088】
例えば、第1副次ファイルA’に加工が加えられて第4の副次ファイルA++を作成することができる。そしてこの場合、この第4副次ファイルA++のファイル名を「DATA4」とすれば、ファイル名履歴には「¥DATA0¥DATA1¥DATA4」が記憶される。この履歴は、第4副次ファイルA++が第1副次ファイルA’及び測定ファイルAを基礎とすることを示している。
【0089】
次に、図5のハードディスク11内に格納されたアンパックアプリケーション59が入力装置3によって指示されて起動されると、ハードディスク11内に記憶されている複数のデータファイルに関する情報を個々に確認するための処理が実行される。例えば、図5のCPU7は画像制御回路13へ所定の画像信号を供給し、これにより、画像表示装置4に図7に示すようなダイアログ画面51を表示する。オペレータはこのダイアログ画面51に対して入力操作を行うことができる。
【0090】
例えば、オペレータがダイアログ画面51内の「XMLファイル名」の「参照」のアイコンをクリックして、図6に示した複数のXMLファイル、すなわちAXML、A’XML、AXML、A”XMLの4種類のXMLファイル、のうちのいずれかを選択すると、その選択されたXMLファイルの情報がダイアログ画面51の所定の位置に表示される。
【0091】
例えば、ファイル操作履歴53の欄を見れば、そこに、選択された当該XMLファイルのファイル名履歴が表示される。例えば、オペレータが「参照」アイコン52の操作によって図6の第2副次ファイルAを選択すれば、ファイル操作履歴欄53には、「¥DATA0¥DATA02」が表示される。これを見たオペレータは、第2副次ファイルAは測定ファイルAを基礎として生成されたものであることを、即座に知ることができる。このように、アンパックアプリケーションを利用すれば、複数のファイルの履歴管理を簡単に行うことができ、監査証跡を自動的且つ高い信頼性で形成できる。ここで、監査証跡とは、複数のデータファイルを監督して検査する際にその検査の証拠となる痕跡のことである。監査証跡は、例えば、データがどのような履歴を経て作成されたのかとか、データが改ざんされたものであるかどうか等を検査する際にその検査の根拠として利用される。
【0092】
なお、複数の副次ファイルが生成された場合に、それらの副次ファイルのファイル履歴を管理するにあたっては、副次ファイルそれ自体に含まれるファイル名履歴を確認することだけでも、その管理を行うことができる。つまり、測定ファイル及び副次ファイルの個々に対して、わざわざXMLファイルを作成しなくてもファイル履歴管理を行うことができると考えられる。
【0093】
しかしながら、測定ファイルや副次ファイルの個々に対してXMLファイルを生成しない場合には、測定ファイルや副次ファイルが改ざんされた場合に、正確なファイル管理ができなくなるおそれがある。つまり、信頼性の高いファイル管理を行うことができないと考えられる。これに対し、本実施形態のように測定ファイル及び副次ファイルの個々に対してXMLファイルを作成することにすれば、測定ファイルとXMLファイルとの比較及び副次ファイルとXMLファイルとの比較により、ファイルの改ざん又はファイルに何等かの手が加えられたことを確実に確認できるので、複数のファイル間で極めて正確なファイル管理を行うことが可能となる。
【0094】
また、図5の第1記憶領域61の測定ファイル63と、第2記憶領域62の履歴情報66のファイルには、共通の履歴情報が記憶されるので、それらの履歴情報を比較することにより、それらのファイルに改変や改ざんが加えられたか否かを、極めて容易に且つ正確に判定できる。
【0095】
(第3実施形態)
次に、図8は複数のファイルの生成形態の一例を模式的に示す図であって、図6に示したファイルの生成形態とは異なったファイル生成形態を示している。図5のアンパックアプリケーション59は、このような生成形態で作成された複数のファイルに対してファイル管理を行う場合にも有効に利用できる。以下、そのファイル管理について説明する。
【0096】
図8のステップS41において、図5の測定装置2を用いた測定、例えば、X線回折測定、熱分析測定等が行われる。そして、その測定の結果、ステップ42において、図5の測定ファイル63内に測定ファイルAが生成され、さらに、ファイルAに関連するファイルAXMLがXMLファイル62内に生成される。測定ファイルAの中には測定データが含まれる。なお、ファイルAとAXMLファイルの中に共通の履歴情報が記憶される。
【0097】
オペレータは、ステップS43に示すように、AXMLファイルから第1副次ファイルとしてデータファイルA’を抽出することができる。このデータファイルA’は、測定結果として見ればデータファイルAと同じ内容であるが、XMLファイルAXMLから抽出されたデータであるという履歴情報が付加される点でデータファイルAと異なっている。オペレータは、XMLファイルAXMLから抽出したそのデータファイルA’に対してデータ解析及び保存を行うことができ、また、必要に応じて得られた解析結果を印刷することができる。データ解析を行った場合には、測定データを基礎とする第1の副次データが生成される。オペレータが保存又は印刷の指示を行うと、ステップS44において第2副次ファイルとしてのデータファイルA’s及びそれに付随するXMLファイルA’sXMLが図5のハードディスク11内に記憶される。なお、ファイルA’sとA’sXMLファイルの中に共通の履歴情報が記憶される。
【0098】
ステップS45及びステップS46は、上記説明と同様の処理が繰り返された状態を示している。これらの処理により、第3副次ファイルとしてのデータファイルA’1’及び第4副次ファイルとしてのデータファイルA’1’sがそれぞれに生成され、そして図5のハードディスク11にそれぞれに記憶される。なお、ステップS46でデータ解析が行われた場合には、第2の副次データが生成されるが、この第2副次データは、ステップS45のファイルA’1’内のデータ、すなわちステップS44のファイルA’s内の第1副次データを基礎として生成された他の副次データである。
【0099】
また、ステップS47に示すように、オペレータは第2副次ファイルA’sに対してデータ解析及び保存を行うことができ、また、必要に応じて印刷を行うことができる。オペレータが保存又は印刷の指示を行うと、ステップS47において第5副次ファイルとしてのデータファイルA’ss及びそれに付随するXMLファイルA'ssXMLが図5のハードディスク11内に記憶される。なお、ファイルA’ssとA’ssXMLファイルの中に共通の履歴情報が記憶される。
【0100】
また、オペレータはステップS48において第5副次ファイルA’ssに対してファイル名を変更する処理を行うことができる。このファイル名変更を行った後に保存の指示を行うと、第6副次ファイルとしてのデータファイルBが図5のハードディスク11内に記憶される。そしてその後、オペレータはファイル名変更したデータファイルBに対してステップS49において、データ解析及び保存、又は必要に応じて印刷を行うことができ、それに応じて第7副次ファイルとしてのデータファイルB’及びそれに付随するXMLファイルB'XMLが図5のハードディスク11内に記憶される。なお、ファイルB’とB’XMLファイルの中に共通の履歴情報が記憶される。
【0101】
以下、同様にして、オペレータは、ステップS50において測定データAに基づいて第8副次データとしてのデータファイルA1を作ることができ、ステップS51において第9副次データとしてのデータファイルA1’を作ることができ、さらに、ステップS52において第10副次データとしてのデータファイルA11を作ることができる。
【0102】
以上のように、1つの測定データAが実際の測定によって得られると、それを基礎として多くの副次データが生成されて、それらが図5のハードディスク11に記憶されることがある。これらのデータファイルを監査証跡として利用することを考える場合には、これらのデータファイルは互いに連結して管理されなければならない。本実施形態では、図6に関連して説明したように、各データファイルのファイル名が個々に単体として記憶されるのではなく、¥DATA0¥DATA1¥DATA2のような、いわゆるツリー構造、すなわち連結構造、すなわち互いに関連する形でハードディスク11内に記憶され、さらに、その連結構造を図5のアンパックアプリケーション59によって画像表示装置4に簡単に表示できる。このため、多数のデータファイルが生成されても個々のデータファイルがどのような経過を経て作成されたものであるのかを、極めて簡単に確認できる。
【0103】
しかも、個々のデータファイルにはXMLファイルが付随して生成され、それらのXMLファイルにはデータファイルと同じデータ及びデータファイルに関連するデータがデータファイルとは異なったファイル形式で記憶されているので、データファイルとXMLファイルとを比較することにより、データファイルに改ざんが加えられたかどうかを確実に検査できる。従って、本実施形態によれば、極めて信頼性の高いファイル管理を行うことができる。
【0104】
また、図5の第1記憶領域61の測定ファイル63に含まれるファイルA等と、XMLファイルである第2記憶領域62の履歴情報66のファイルには、共通の履歴情報が記憶されるので、それらの履歴情報を比較することにより、それらのファイルに改変や改ざんが加えられたか否かを、極めて容易に且つ正確に判定できる。
【0105】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
例えば、上記の実施形態では図1の測定装置2として主にX線分析装置を考えたが、これに代えて熱分析装置、あるいはその他の任意の分析用機器を測定装置2とすることもできる。
【0106】
また、上記の実施形態では、図1の第2記憶領域22をXMLファイルによって構成したが、第2記憶領域22は他のファイル形式によって構成することもできる。このようなファイル形式として、例えば、マイクロソフト社のデータベースソフトであるアクセスにおいて使用されているMDB形式を使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0107】
本発明に係る分析装置は、コンピュータによって管理される分析装置においてデータの信頼性を高めるために好適に用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】本発明に係る分析装置の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1の分析装置によって実行される制御の流れを示すフローチャートである。
【図3】図2のフローチャート内のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図4】図2のフローチャート内の他のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】本発明に係る分析装置の他の実施形態を示すブロック図である。
【図6】図5の分析装置によって実行される制御の流れの一例を示すフローチャートである。
【図7】図5の画像表示装置の画面上に表示される画面の一例を示す図である。
【図8】図5の分析装置によって実行される制御の流れの他の例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0109】
1,41.分析装置、 2.測定装置(測定手段)、 4.画像表示装置(表示手段)、
6.プリンタ(表示手段)、 11.ハードディスク、 12.バス、
21,61.第1記憶領域(第1記憶手段)、
22,62.第2記憶領域(第2記憶手段)、 46.印刷物、
51.ダイアログ画面、 52、アイコン、



【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料に対して測定を行って測定データを得る測定手段と、
前記測定データ及び測定関連データを記憶すると共に前記測定データ及び前記測定関連データのそれぞれに対して履歴情報をさらに記憶する第1記憶手段と、
前記測定データ及び前記測定関連データを前記第1記憶手段とは異なったファイル形式で記憶すると共に前記測定データ及び前記測定関連データのそれぞれに対して履歴情報をさらに記憶する第2記憶手段と、
前記第1記憶手段内のデータ及び前記第2記憶手段内のデータを表示する表示手段と
を有することを特徴とする分析装置。
【請求項2】
請求項1記載の分析装置において、前記第2記憶手段のファイル形式はXML(eXtensible Markup Language)ファイルであることを特徴とする分析装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の分析装置において、前記第2記憶手段はチェックサムを含むことを特徴とする分析装置。
【請求項4】
試料に対して測定を行って測定データを得る測定手段と、
前記測定データ及びそれに基づいて生成される少なくとも1つの副次データを記憶すると共に前記測定データ及び前記副次データのそれぞれに対して履歴情報をさらに記憶する第1記憶手段と、
前記測定データ及び前記副次データを前記第1記憶手段とは異なったファイル形式で記憶すると共に前記測定データ及び前記副次データのそれぞれに対して履歴情報をさらに記憶する第2記憶手段と、
前記第1記憶手段内のデータ及び前記第2記憶手段内のデータを表示する表示手段とを有し、
前記第1記憶手段に記憶された測定データ及び前記第2記憶手段に記憶された測定データの少なくとも一方にはファイル名が付随して記憶され、
前記第1記憶手段に記憶された副次データ及び前記第2記憶手段に記憶された副次データの少なくとも一方にはファイル名が付随して記憶され、
前記少なくとも1つの副次データに付随するファイル名は、基礎となる前記測定データ又は基礎となる他の副次データに付随するファイル名に関連して記憶される
ことを特徴とする分析装置。
【請求項5】
請求項4記載の分析装置において、前記第2記憶手段のファイル形式はXMLファイルであることを特徴とする分析装置。
【請求項6】
請求項4又は請求項5記載の分析装置において、前記第2記憶手段はチェックサムを含むことを特徴とする分析装置。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−10671(P2006−10671A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−335611(P2004−335611)
【出願日】平成16年11月19日(2004.11.19)
【出願人】(000250339)株式会社リガク (206)
【Fターム(参考)】