説明

分析装置

【課題】レンズを使用しても容器に入射する光束を全波長帯域に亘って小さなスポット径とすることができ、検体や試薬を微量化することが可能な分析装置を提供すること。
【解決手段】液体を保持した容器を透過した光について測定した吸光度をもとに液体の分析を行う分析装置。容器7を透過した可視光を測定する可視光光学系81と、容器を透過した紫外光を測定する紫外光光学系82とをそれぞれ備えている。可視光光学系81は、可視域の連続スペクトル光を出射する可視光光源81aを有し、紫外光光学系82は、紫外域の単色スペクトル光を出射する少なくとも一つ以上の紫外光光源82aを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液等の生体試料(検体)を分析する分析装置は、容器に検体と試薬とをそれぞれ分注して反応させ、反応後の液体試料を光学的に測定することによって検体の成分濃度等を分析している(例えば、特許文献1参照)。このとき、特許文献1に開示された分析装置は、光源から出射された測定光をレンズで集光して容器に照射し、前記容器を透過した透過光をレンズによって集光する。そして、特許文献1の分析装置は、集光した透過光をスリットから反射型回折格子に導いて分光した後、分光した特定波長の光を光検出器によって測定し、吸光度をもとに検体の成分濃度等を分析している。
【0003】
【特許文献1】特開2001−91455号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の分析装置は、340〜800nmに亘る波長帯域の光を測定光として用い、集光光学系としてレンズを使用している。このため、測定光は、波長ごとに光束のビーム径が異なる色収差が発生する。この場合、紫外域の光を色収差なしに透過させる硝材が限られていることから、レンズを使用した集光光学系は、紫外域の光に対する色収差の補正が難しく、容器に入射する光束を全波長帯域に亘って細く絞ることで小さなスポットとすることができなかった。
【0005】
特に、分析装置は、装置の小型化を図る目的で検体の微量化や試薬の微量化が注目されるようになってきた。このため、測定光の色収差によって容器に入射する光束を細く絞ることができないと、これに伴って容器が大きくなり、検体や試薬を微量化することが難しくなるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、レンズを使用しても容器に入射する光束を全波長帯域に亘って小さなスポット径とすることができ、検体や試薬を微量化することが可能な分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る分析装置は、液体を保持した容器を透過した光について測定した吸光度をもとに前記液体の分析を行う分析装置において、前記容器を透過した可視光を測定する可視光光学系と、前記容器を透過した紫外光を測定する紫外光光学系と、をそれぞれ備えていることを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る分析装置は、上記の発明において、前記可視光光学系は、可視域の連続スペクトル光を出射する可視光光源を有し、前記紫外光光学系は、単一波長の紫外光を出射する少なくとも一つ以上の紫外光光源を有することを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る分析装置は、上記の発明において、前記紫外光光源は、波長340nm及び波長380nmの少なくとも一方の紫外光を出射する紫外光発光素子を備えたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項4に係る分析装置は、上記の発明において、前記紫外光発光素子は、半導体発光素子であることを特徴とする。
【0011】
また、請求項5に係る分析装置は、上記の発明において、前記可視光光学系は、400〜800nmの範囲の可視光を分光する分光器を備えることを特徴とする。
【0012】
また、請求項6に係る分析装置は、上記の発明において、前記紫外光光学系は、340nmを中心とする波長帯域の紫外光を透過する第1のフィルタと、380nmを中心とする波長帯域の紫外光を透過する第2のフィルタと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明にかかる分析装置は、容器を透過した可視光を測定する可視光光学系と、容器を透過した紫外光を測定する紫外光光学系とをそれぞれ備えているので、測定対象の液体に可視光と紫外光とを分けて照射することで色収差なく測光することができるため、レンズを使用しても容器に入射する光束を全波長帯域に亘って小さなスポット径とすることができ、検体や試薬を微量化することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、本発明の分析装置にかかる実施の形態を、図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、実施の形態1に係る自動分析装置の概略構成図である。図2は、図1の自動分析装置の測光部を拡大した拡大図である。
【0015】
自動分析装置1は、図1に示すように、作業テーブル2上に検体テーブル3、検体文注機構5、反応テーブル6、測光部8、洗浄装置11、試薬分注機構12及び試薬テーブル13が設けられている。
【0016】
検体テーブル3は、図1に示すように、駆動手段によって矢印で示す方向に回転され、外周には周方向に沿って等間隔で配置される収納室3aが複数設けられている。各収納室3aは、検体を収容した検体容器4が着脱自在に収納される。
【0017】
検体分注機構5は、検体を反応容器7に分注する手段であり、検体テーブル3の複数の検体容器4から検体を順次反応容器7に分注する。
【0018】
反応テーブル6は、検体テーブル3とは異なる駆動手段によって図1に矢印で示す方向に回転され、外周には周方向に沿って等間隔で配置される収納部6aが複数設けられている。各収納部6aは、検体を試薬と反応させる反応容器7が着脱自在に収納される。
【0019】
反応容器7は、検体や試薬を含む液体試料を保持して反応させる容器であり、光源部8から出射された測定光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する透明素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂を使用した四角筒状の容器である。
【0020】
測光部8は、反応容器7に保持された液体試料を光学的に測定する部分であり、図2に示すように、可視光光学系81と紫外光光学系82とを備えている。
【0021】
可視光光学系81は、波長400〜800nmの可視光を測定する光学系であり、図2に示すように、光源81a、集光光学系Os1,Os2、スリット板81f、凹面回折格子81g及び受光センサ81hを有している。
【0022】
光源81aは、例えば、輝点が小さく、明るいキセノンランプが使用される。集光光学系Os1,Os2は、図2及び図3に示すように、フッ化物を加えたクラウンガラス(株式会社オハラ製,S−FSL5)からなる正レンズ81b,81c,81eとバリウムを含むフリントガラス(株式会社オハラ製,S−BAM12)からなる負レンズ81dとを有する2種類の硝材によって色消しを施した光学系であり、反応容器7を挟んで共役位置に配置されている。スリット板81fは、集光光学系Os2の光軸上に配置され、集光光学系Os2を通過した可視光をスリットで平行にすることによって凹面回折格子81gによる波長分解能を向上させる。ここで、光源81aと反応容器7との距離は、反応容器7とスリット板81fとの距離と等しく設定してあるため、集光光学系Os1,Os2は向きが異なるだけで同一のものを使用することができる。これは、集光光学系Os3,Os4も同じである。
【0023】
凹面回折格子81gは、スリット板81fから出射される平行な可視光(波長400〜800nm)を回折によって分光し、分光したスペクトル毎に受光センサ81h上に集光させる。受光センサ81hは、凹面回折格子81gによって分光された可視光をスペクトル毎に測定し、その光量に関する光信号を制御部16に出力する。このような、受光センサ81hとして、複数の受光素子をスペクトルの方向に沿って配列した受光素子アレイ、CCDセンサ、CMOSセンサ等を好適に使用することができる。
【0024】
このとき、集光光学系Os1,Os2は、波長400,600,800nmの光に対して図4に示す縦球面収差特性を有している。図4において、横軸は、合焦位置を基準とした光軸方向に沿った焦点距離であり、縦軸は、NA比である。また、集光光学系Os1,Os2は、スポット径と像高比とが図5に示す関係を有している。ここで、図5は、図4において基準とした合焦位置における光軸に垂直な面内における各波長の光のスポット径と像高比との関係を示している。図5において、像高比1.0の場合における各波長の光のスポット径は殆ど1つの点として重なり合っている。図4及び図5から明らかなように、集光光学系Os1,Os2は、波長400〜800nmの範囲で色収差が補正され、各波長の光が形成するスポット径が最大で約0.1mmに抑えられている。
【0025】
紫外光光学系82は、紫外光、例えば、波長340nmと波長380nmの紫外光を測定する光学系であり、光源82a、集光光学系Os3,Os4、ビームスプリッタ82f、バンドパスフィルタ82g,82h及びフォトダイオード82i,82jを有している。
【0026】
光源82aは、LED等の半導体発光素子が使用される。集光光学系Os3,Os4は、図2及び図6に示すように、フッ化物を加えたクラウンガラス(株式会社オハラ製,S−FSL5)からなる正レンズ82b,82c,82eと石英ガラス(SiO2)からなる負レンズ82dとを有する2種類の硝材によって色消しを施した光学系であり、反応容器7を挟んで共役位置に配置されている。
【0027】
ビームスプリッタ82fは、集光光学系Os4の正レンズ82bに隣接して配置され、集光光学系Os4から出射された反応容器7の透過光を分岐してフォトダイオード82i,82jに入射させる。このとき、分岐された光の一方は、バンドパスフィルタ82gによって主として波長380nmの光がフォトダイオード82iに入射する。また、分岐された光の他方は、バンドパスフィルタ82hによって主として波長340nmの光がフォトダイオード82jに入射する。フォトダイオード82i,82jは、このようにして入射する主として波長380nmの光や波長340nmの光の光量を測定し、それらの光量に関する光信号を制御部16に出力する。ここで、所定波長の光を分岐することができれば、ビームスプリッタ82fに限定されるものではなく、例えば、ダイクロイックミラーを使用してもよい。
【0028】
このとき、集光光学系Os3,Os4は、波長340,380nmの光に対して図7に示す縦球面収差特性を有している。また、集光光学系Os3,Os4は、スポット径と像高比とが図8に示す関係を有している。図8に示す像高比0,0.5,1.0の各位置に示す点において、各点の内側が波長380nmの光のスポットを示し、外側が波長340nmの光のスポットを示している。図7及び図8から明らかなように、集光光学系Os3,Os4は、波長340,380nmの色収差が補正され、各波長の光が形成するスポット径が最大で約0.1mmに抑えられている。
【0029】
洗浄装置11は、図示しない排出ノズルを備えており、反応容器7から反応終了後の液体試料を前記排出ノズルによって吸引して廃棄容器(図示せず)に廃棄し、反応容器7の内部を洗浄する。洗浄された反応容器7は、再度、新たな検体の分析に使用される。
【0030】
試薬分注機構12は、試薬を反応容器7に分注する手段であり、試薬テーブル13の所定の試薬容器14から試薬を順次反応容器7に分注する。
【0031】
試薬テーブル13は、図1に示すように、扇形に成形された収納室13aが周方向に沿って複数設けられ、反応テーブル6とは異なる駆動手段によって矢印で示す方向に回転される。各収納室13aは、試薬容器14が着脱自在に収納される。複数の試薬容器14は、それぞれ検査項目に応じた所定の試薬が満たされ、外面には収容した試薬に関する情報を表示するバーコードラベル(図示せず)が貼付されている。
【0032】
ここで、試薬テーブル13の外周には、図1に示すように、読取装置15が設置されている。読取装置15は、試薬容器14に貼付した前記バーコードラベルに記録された試薬の種類,ロット及び有効期限等の情報を読み取り、制御部16へ出力する。
【0033】
制御部16は、検体分注機構5、測光部8、洗浄装置11、試薬分注機構12、読取装置15、分析部17、入力部18及び表示部19等と接続され、例えば、分析結果を記憶する記憶機能を備えたマイクロコンピュータ等が使用される。制御部16は、自動分析装置1の各部の作動を制御すると共に、前記バーコードラベルの記録から読み取った情報に基づき、試薬のロットや有効期限等が設置範囲外の場合、分析作業を規制するように自動分析装置1を制御し、或いはオペレータに警告を発する。また、制御部16は、受光センサ81hやフォトダイオード82i,82jから出力される光量に基づいて液体試料の可視光や紫外光に関する吸光度を求める。
【0034】
分析部17は、制御部16が求めた反応容器7内の液体試料の吸光度から検体の成分濃度等を分析し、分析結果を制御部16に出力する。入力部18は、制御部16へ検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。表示部19は、分析内容や警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。
【0035】
以上のように構成される自動分析装置1は、回転する反応テーブル6によって周方向に沿って搬送されてくる反応容器7に検体分注機構5が検体テーブル3の複数の検体容器4から検体を順次分注する。検体が分注された反応容器7は、反応テーブル6によって試薬分注機構12の近傍へ搬送されて所定の試薬容器14から試薬が分注される。そして、試薬が分注された反応容器7は、反応テーブル6によって周方向に沿って搬送される間に試薬と検体とが攪拌されて反応し、測光部8を通過する。
【0036】
このとき、可視光光学系81においては、反応容器7に入射した測定光は、液体試料に一部が吸収され、吸収されずに透過した可視光が凹面回折格子81gによって分光される。分光された測定光は、受光センサ81hによってスペクトル毎に光量が測定され、受光センサ81hの出力に基づいて制御部16によって可視光の吸光度が演算される。
【0037】
一方、紫外光光学系82においては、反応容器7を透過し、ビームスプリッタ82fによって分岐され、バンドパスフィルタ82gによってフィルタされた主として波長380nmの光と、バンドパスフィルタ82hによってフィルタされた主として波長340nmの光の光量が、それぞれフォトダイオード82i,82jによって測定される。そして、フォトダイオード82i,82jが出力した光量に関する光信号に基づいて、制御部16が波長340nm及び波長380nmの光の吸光度を演算する。
【0038】
分析部17は、制御部16が求めた可視光及び紫外光の吸光度に基づいて検体の成分濃度等を分析し、分析結果を制御部16へ出力する。そして、分析が終了した反応容器7は、洗浄装置11によって反応終了後の液体試料が排出され、洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0039】
このとき、測光部8は、可視光光学系81によって可視光を、紫外光光学系82によって紫外光を、それぞれ色収差を補正した状態で、各波長の光が形成するスポット径を最小の状態で測定している。このため、測光部8は、波長340〜800nmの範囲の光を色収差の影響を受けることなく反応容器7に最小のスポット径で集光させることができる。従って、自動分析装置1は、測光部8がレンズを使用していても、反応容器7に入射する光束を全波長帯域に亘って小さなスポット径とすることができ、検体や試薬を微量化することが可能になる。
【0040】
ここで、比較のため、測光部8は、可視光光学系81と紫外光光学系82の2種類に代えて可視光光学系81単独とし、集光光学系Os1,Os2に代えて、図9に示す集光光学系85を使用し、波長340〜800nmの範囲の光を単一の測光部8のみによって測光する従来の自動分析装置と同様に構成した。このとき、集光光学系85は、集光光学系Os3,Os4と同様に、フッ化物を加えたクラウンガラス(株式会社オハラ製,S−FSL5)からなる正レンズ85b,85c,85eと石英ガラス(SiO2)からなる負レンズ85dとを有する2種類の硝材によって色消しを施した光学系であり、反応容器7を挟んで共役位置に配置した。
【0041】
集光光学系85は、波長340,380,570,800nmの光に対して図10に示す縦球面収差特性を有していた。また、集光光学系85は、スポット径と像高比とが図11に示す関係を有していた。従って、集光光学系85は、図10及び図11から明らかなように、波長340,380nmにおける色収差が大きく、図11に示すように、各波長の光が形成するスポット径が最大で約0.2〜0.3mmと大きくなった。図11において外側の点の部分が波長340nmの光のスポットであり、内側の濃い点の部分が波長380nmの光のスポットであって、波長570,800nmの光のスポットは、図11では明確ではないが、波長380nmの光のスポット内に集束している。このため、自動分析装置1は、集光光学系85を使用して波長340〜800nmの範囲の光を単一の測光部8のみによって測定すると、紫外光のスポット径が大きくなり、光束を全波長帯域に亘って小さなスポット径とすることができず、検体や試薬を微量化することが難しい。
【0042】
また、従来の自動分析装置は、ハロゲンランプやキセノンランプ等の光源を用い、単一の光学系によって液体を分析しているが、光源が出射する光の成分中、可視光に比べて紫外光の光量が非常に少ない。このため、従来の自動分析装置は、紫外光による測定精度を高めるために、光源に印加する電力を増加させて紫外光の光量を増すと、可視光の光量が必要以上に多くなって消費電力が無駄になる。しかし、本発明の自動分析装置1は、測光部8を、可視光を測定する可視光光学系81と紫外光を測定する紫外光光学系82とに分け、紫外光光学系82はLED等の半導体発光素子を用いている。このため、自動分析装置1は、紫外光光学系82によって十分な光量の紫外光を用いて消費電力の無駄なく紫外光を精度よく測定することができるという利点がある。
【0043】
(実施の形態2)
次に、本発明の自動分析装置にかかる実施の形態2を、図面を参照しつつ詳細に説明する。実施の形態1の自動分析装置1は、可視光光学系81と紫外光光学系82とで測光部8を構成した。これに対し、実施の形態2の自動分析装置は、可視光光学系91と2つの紫外光光学系92,93とで測光部9を構成している。図12は、実施の形態2の自動分析装置で使用する測光部を拡大した拡大図である。図13は、測光部を構成する紫外光光学系の集光光学系を示す拡大図である。なお、実施の形態2の自動分析装置は、測光部の構成が部分的に異なるだけで実施の形態1の自動分析装置1と構成が同一である。このため、実施の形態2の自動分析装置は、測光部について説明し、実施の形態1の自動分析装置1と同一の構成部分には同一の符号を用いている。
【0044】
測光部9は、可視光光学系91と2つの紫外光光学系92,93とを備えている。
【0045】
可視光光学系91は、波長400〜800nmの可視光を測定する光学系であり、図12に示すように、光源91a、集光光学系Os1,Os2、スリット板91f、凹面回折格子91g及び受光センサ91hを有し、可視光光学系81と同様に構成されている。
【0046】
紫外光光学系92,93は、紫外光を測定する光学系である。紫外光光学系92は、光源92a、集光光学系Os3,Os4及びフォトダイオード92eを有しており、波長380nmの紫外光を測定する。紫外光光学系93は、光源93a、集光光学系Os5,Os6及びフォトダイオード93eを有しており、波長340nmの紫外光を測定する。
【0047】
光源92a,93aは、光源82aと同様に、LED等の半導体発光素子が使用される。集光光学系Os3〜Os6は、図13に示すように、フッ化物を加えたクラウンガラス(株式会社オハラ製,S−FSL5)からなる正レンズ82b,82cと負レンズ82dとによって球面収差を補正した光学系であり、反応容器7を挟んで共役位置に配置されている。このとき、集光光学系Os3〜Os6は、単色での測定であるため、反応容器7に対する配置を調整することによって簡単に色収差が抑えられるうえ、光源92a,93aとフォトダイオード92e,93eに対する向きを変えて配置するだけで同じものを使用することができる。フォトダイオード92e,93eは、主として波長380nmの光や波長340nmの光の光量を測定し、それらの光量に関する光信号を制御部16に出力する。
【0048】
このとき、集光光学系Os3〜Os6は、波長380,340nmの光に対して図14に示す縦球面収差特性を有している。また、集光光学系Os3〜Os6は、スポット径と像高比とが図15に示す関係を有している。図14及び図15から明らかなように、集光光学系Os3〜Os6は、波長340,380nmの球面収差が補正され、図15に示すように、各波長の光が形成するスポット径は直径0.1mm以下の点となっている。
【0049】
また、集光光学系Os3〜Os6は、非球面レンズを使用すれば、図16に示すように、1枚の正レンズ92f(93f)によって球面収差を補正することができる。このとき、図16に示す正レンズ92f(93f)を使用した集光光学系Os3〜Os6は、波長380,340nmの光に対して図17に示す縦球面収差特性を有している。また、集光光学系Os3〜Os6は、波長380,340nmの光に対するスポット径と像高比とが図18に示す関係を有し、スポット径が0.1mm以下の点となっている。従って、図16に示す正レンズ92f(93f)を使用した集光光学系Os3〜Os6は、波長340,380nmの光を球面収差の影響を受けることなく反応容器7上に0.1mm以下に抑えて集光させることができる。
【0050】
以上より、集光光学系Os1〜Os6を使用した自動分析装置は、測光部9がレンズを使用しているにも拘わらず、消費電力の無駄なく紫外光を精度よく測定することができるという実施の形態1における利点に加え、反応容器7に入射する光束を全波長帯域に亘って小さなスポット径とすることができ、検体や試薬を微量化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】実施の形態1に係る自動分析装置の概略構成図である。
【図2】図1の自動分析装置の測光部を拡大した拡大図である。
【図3】測光部を構成する可視光光学系の集光光学系を示す拡大図である。
【図4】図3に示す集光光学系の縦球面収差特性図である。
【図5】図3に示す集光光学系のスポット径と像高比との関係を示す図である。
【図6】測光部を構成する紫外光光学系の集光光学系を示す拡大図である。
【図7】図6に示す集光光学系の縦球面収差特性図である。
【図8】図6に示す集光光学系のスポット径と像高比との関係を示す図である。
【図9】波長340〜800nmの範囲の光を測定する単一の測光部を構成する集光光学系を示す拡大図である。
【図10】図9に示す集光光学系の縦球面収差特性図である。
【図11】図9に示す集光光学系のスポット径と像高比との関係を示す図である。
【図12】実施の形態2に係る自動分析装置の測光部を拡大した拡大図である。
【図13】測光部を構成する紫外光光学系の集光光学系を示す拡大図である。
【図14】図13に示す集光光学系の波長340nm又は380nmの光に関する縦球面収差特性図である。
【図15】図13に示す集光光学系の波長340nm又は380nmの光に関するスポット径と像高比との関係を示す図である。
【図16】測光部を構成する紫外光光学系を1枚の非球面レンズからなる集光光学系とした場合の拡大図である。
【図17】図16に示す非球面レンズの波長340nm又は380nmの光に関する縦球面収差特性図である。
【図18】図16に示す非球面レンズの波長340nm又は380nmの光に関するスポット径と像高比との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 自動分析装置
2 作業テーブル
3 検体テーブル
4 検体容器
5 検体分注機構
6 反応テーブル
7 反応容器
8 測光部
81 可視光光学系
82 紫外光光学系
9 測光部
91 可視光光学系
92,93 紫外光光学系
11 洗浄装置
12 試薬分注機構
13 試薬テーブル
14 試薬容器
15 読取装置
16 制御部
17 分析部
18 入力部
19 表示部
Os1,Os2 集光光学系
Os3〜Os6 集光光学系

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を保持した容器を透過した光について測定した吸光度をもとに前記液体の分析を行う分析装置において、
前記容器を透過した可視光を測定する可視光光学系と、
前記容器を透過した紫外光を測定する紫外光光学系と、
をそれぞれ備えていることを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記可視光光学系は、可視域の連続スペクトル光を出射する可視光光源を有し、
前記紫外光光学系は、紫外域の単色スペクトル光を出射する少なくとも一つ以上の紫外光光源を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記紫外光光源は、波長340nm及び波長380nmの少なくとも一方の紫外光を出射する紫外光発光素子を備えたことを特徴とする請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記紫外光発光素子は、半導体発光素子であることを特徴とする請求項3に記載の分析装置。
【請求項5】
前記可視光光学系は、400〜800nmの範囲の可視光を分光する分光器を備えることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項6】
前記紫外光光学系は、340nmを中心とする波長帯域の紫外光を透過する第1のフィルタと、380nmを中心とする波長帯域の紫外光を透過する第2のフィルタと、を備えることを特徴とする請求項5に記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−225338(P2007−225338A)
【公開日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−44387(P2006−44387)
【出願日】平成18年2月21日(2006.2.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】