説明

分析装置

【課題】試薬トレイの空き領域の位置と広さを容易に把握することができ、空き領域を無駄のないように活用して試薬トレイに試薬容器を格納することが可能な分析装置を提供すること。
【解決手段】着脱自在な仕切り板16によって内容量の異なる複数種類の試薬容器18,19を格納する格納部15dを周方向に沿って仕切り、周方向に沿って回転されて各試薬容器を分注位置へ搬送する試薬トレイ15を備えた分析装置1。各試薬容器に貼付される情報ラベルから容量を含む内容情報を読み取る読取り装置23と、読取り装置が読み取った内容情報と、内容情報に関して出力される信号とに基づいて各試薬容器の周方向に沿った格納位置と最小の試薬容器を基準とする各試薬容器の大きさとを求め、新たな試薬容器が格納可能な空き領域の位置と広さとを特定する制御部25と、制御部25が特定した空き領域の位置と広さとを表示する表示部27とが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、血液等の生体試料(検体)を分析する分析装置は、反応容器に検体と試薬とをそれぞれ分注して反応させ、反応後の液体試料を光学的に測定することによって検体の成分や濃度等を分析している(例えば、特許文献1参照)。このとき、分析装置は、多数の検査項目に対処すべく内容量の異なる複数種類の試薬ボトルを格納する試薬トレイを用いている。試薬トレイは、周方向に沿って複数種類の試薬ボトルを多数格納すると共に、駆動手段によって回転されて多数の試薬ボトルを分注位置へ搬送し、検査項目に対応した所定の試薬が試薬プローブによって反応容器に分注される。
【0003】
【特許文献1】特開2001−116757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の分析装置は、塵埃の混入や検体や試薬の蒸発を避けるため蓋が被せられ、内部全体を見通すことができない場合がある。このため、分析装置では、蓋を開けないと試薬ボトルを格納し得る試薬トレイの空き領域の有無や位置が分かり難いという問題があった。
【0005】
また、試薬ボトルは、周方向の幅が薄い略扇形の容器を単位とし、この容器の数倍の幅とすることによって内容量が複数種類となるように設定されている。そして、試薬ボトルは、試薬トレイを回転させることによって分注位置へ搬送されることから、試薬の分注に伴って試薬トレイの回転方向における見掛けの位置が変化してゆく。このため、試薬トレイは、格納部における試薬ボトルの空き領域の位置や広さを特定し難いという問題があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、試薬トレイの空き領域の位置と広さを容易に把握することができ、空き領域を無駄のないように活用して試薬トレイに試薬容器を格納することが可能な分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る分析装置は、着脱自在な仕切り板によって内容量の異なる複数種類の試薬容器を格納する格納部を周方向に沿って仕切り、周方向に沿って回転されて前記各試薬容器を分注位置へ搬送する試薬トレイを備えた分析装置において、前記各試薬容器に貼付される情報ラベルから容量を含む内容情報を読み取る読取り手段と、前記読取り手段が読み取った内容情報と、該内容情報に関して出力される信号とに基づいて前記各試薬容器の周方向に沿った格納位置と最小の試薬容器を基準とする前記各試薬容器の大きさとを求め、新たな試薬容器が格納可能な空き領域の位置と広さとを特定する特定手段と、前記特定手段が特定した前記空き領域の位置と広さとを表示する表示手段と、を設けたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る分析装置は、上記の発明において、前記特定手段は、前記試薬トレイの回転位置と対応させて前記表示手段に前記空き領域の位置を同期表示させる当該分析装置の制御手段であることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る分析装置は、上記の発明において、前記特定手段は、前記読取り手段が読み取った前記各試薬容器の内容情報に基づいて前記各試薬容器の吸引口の位置を特定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明にかかる分析装置は、特定手段が特定した空き領域の位置と広さを表示手段が表示するので、空き領域の位置と広さとを容易に把握することができ、空き領域を無駄のないように活用して試薬容器を格納することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の分析装置に係る実施の形態を図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は、本発明の分析装置の一例を示す自動分析装置の概略構成図である。図2は、試薬トレイと試薬トレイを回転させるターンテーブルとを示す斜視図である。図3は、図2の試薬トレイに仕切り板を用いて内容量の異なる2種類の試薬ボトルを格納した状態を示す部分拡大平面図である。
【0012】
自動分析装置1は、図1に示すように、作業テーブル2上に検体テーブル3、反応テーブル6及び試薬トレイ15が互いに離間してそれぞれ周方向に沿って回転、かつ、位置決め自在に設けられている。また、自動分析装置1は、検体テーブル3と反応テーブル6との間に検体分注機構5が設けられ、反応テーブル6と試薬トレイ15との間には試薬分注機構13が設けられ、上部には図示しない蓋が開閉自在に被着される。
【0013】
検体テーブル3は、駆動手段(図示せず)によって図1に矢印で示す反時計方向に回転され、外周には周方向に沿って等間隔で配置される収納室3aが複数設けられている。各収納室3aは、検体を収容した検体容器4が着脱自在に収納される。
【0014】
検体分注機構5は、検体テーブル3の複数の検体容器4に保持された検体を順次反応容器7に分注する。このとき、検体分注機構5は、検体を分注する都度、洗浄液によって分注ノズル(図示せず)が洗浄される。
【0015】
反応テーブル6は、駆動手段(図示せず)によって図1に矢印で示す反時計方向に回転され、外周には周方向に沿って等間隔で配置される収納室6aが複数設けられている。各収納室6aは、検体と試薬とを反応させる反応容器7が着脱自在に収納される。また、反応テーブル6には、光源8及び排出装置11が設けられている。光源8は、試薬と検体とが反応した反応容器7内の液体試料を分析するための分析光(340〜800nm)を出射する。光源8から出射された分析光は、反応容器7内の液体試料を透過し、光源8と対向する位置に設けた受光素子9によって受光される。制御部25は、受光素子9が受光した光量に対応した信号が入力され、この信号に基づいて検体の成分や濃度等を分析する。一方、排出装置11は、図示しない排出ノズルを備えており、反応容器7から反応終了後の液体試料を前記排出ノズルによって吸引し、排出容器(図示せず)に排出する。ここで、排出装置11を通過した反応容器7は、図示しない洗浄装置に移送されて洗浄された後、再度、新たな検体の分析に使用される。
【0016】
試薬分注機構13は、試薬を反応容器7に分注する手段であり、後述する試薬トレイ15の試薬ボトル18,19から試薬を順次反応容器7に分注する。
【0017】
試薬トレイ15は、複数の試薬ボトルを周方向に配置して格納するもので、図2に示すように、図示しない駆動手段によって回転されるターンテーブル17に載置されている。試薬トレイ15は、図1及び図2に示すように、基板15a上に形成した内周壁15bと外周壁15cとによって複数の試薬ボトルを格納する格納部15dが周方向に形成されている。内周壁15b及び外周壁15cは、仕切り板16(図3参照)を着脱自在に係合させる係合溝15e,15fが最小の試薬ボトルの内周幅及び外周幅を単位とする間隔で周方向に沿って設けられている。格納部15dは、係合溝15e,15f間に仕切り板16を放射状に配置することにより最小の試薬ボトルを単位として周方向に沿って仕切られる。従って、試薬トレイ15は、仕切り板16の配置位置を変更することにより、例えば、図3に示すように、内容量の異なる複数種類の試薬ボトル18,19を格納部15dに格納することができる。また、外周壁15cは、隣接する係合溝15f間に読取窓15gが形成されている。仕切り板16は、予め係合溝15e,15f間に装着しておき、試薬ボトル19を格納するときに余分の仕切り板16を引き抜くか、図2に示すように、始めから係合溝15e,15f間に装着せず、試薬ボトル18,19を格納するときに装着するようにしてもよい。
【0018】
ターンテーブル17は、図2に示すように、パルスモータ等の駆動手段に接続される駆動軸17aの上部にテーブル17bが支持され、テーブル17bの上面には試薬トレイ15の基板15a下面に設けた凹部(図示せず)と嵌合する複数のピン17cが設けられている。なお、ターンテーブル17は、試薬トレイ15の内周壁15b内側に係合する凸部17dが中央に形成されている。また、前記駆動手段は、制御部25によって作動が制御される。
【0019】
試薬ボトル18は、試薬トレイ15の格納部15dに格納し得る最小の試薬容器であり、図3及び図4−1に示すように、本体18aの上部に試薬の吸引口18bが設けられ、試薬トレイ15の外周壁15cに臨む外面には情報ラベル21が貼付されている。情報ラベル21には、試薬ボトルの内容量,試薬の種類,ロット及び有効期限等の内容情報が記録されている。一方、試薬ボトル19は、試薬ボトル18の2倍の内容量を有し、試薬ボトル18と同様に、図3及び図4−2に示すように、本体19aの上部に試薬の吸引口19bが設けられ、試薬トレイ15の外周壁15cに臨む外面には情報ラベル21が貼付されている。情報ラベル21には、バーコード,ドットコード或いは文字等によって試薬ボトル18,19の内容量,試薬の種類,ロット及び有効期限等の内容情報が記録されている。
【0020】
ここで、試薬ボトル19は、試薬ボトル18を2つ連結した大きさに成形されており、吸引口19bは外面から見て同じ側、例えば、右側に設けられると共に、情報ラベル21は吸引口19bを設けた側に貼付する。また、試薬ボトルは、試薬ボトル18を3つ連結した大きさに成形してもよく、このような場合であっても吸引口及び情報ラベル21を設ける位置は外面から見て同じ側に設ける。これにより、試薬ボトルは、大きさが同じであれば吸引口及び情報ラベル21が常に同じ位置に存在することになる。このため、制御部25は、読取装置23が読み取った試薬容器18,19の内容情報に基づいて吸引口18b,19bの位置を特定し、試薬分注に伴う制御部25による試薬トレイ15、即ち、ターンテーブル17の停止位置の制御に利用することができる。
【0021】
ここで、試薬トレイ15の外周部には、読取装置23が設置されている。読取装置23は、バーコード,ドットコード或いは文字等によって情報ラベル21に記録された複数種類の試薬ボトルの各試薬ボトルの内容量,試薬の種類,ロット及び有効期限等の内容情報を読み取り、前記内容情報に関する信号を制御部25へ出力する。
【0022】
制御部25は、試薬トレイ15に存在する空き領域の位置と広さとを特定する特定手段であり、キーボード等の入力部26と液晶ディスプレイ等の表示部27とを有し、自動分析装置1の作動を制御する、例えば、マイクロコンピュータ等が使用される。制御部25は、読取装置23が情報ラベル21から読み取った前記内容情報と、読取装置23から出力される前記内容情報に関する信号とに基づいて格納部15dに周方向に沿って格納された試薬ボトル18,19の格納位置と最小の試薬ボトル18を基準とする試薬ボトル18,19の大きさ(以下、単に「試薬ボトルの大きさ」という)とを求める。そして、制御部25は、求めた試薬ボトル18,19の格納位置と大きさから試薬トレイ15における新たな試薬ボトル18,19が格納可能な空き領域の位置と広さとを特定する。表示部27は、制御部25から出力される出力信号に基づいて制御部25が特定した新たな試薬ボトル18,19を格納し得る空き領域の位置と広さとを表示する。
【0023】
以上のように構成される自動分析装置1は、スイッチをオンした後、試薬トレイ15の格納部15dに試薬ボトルが格納され、制御部25の制御の下に検体の分析が実行される。以下、自動分析装置1における試薬ボトルのセットから検体の分析終了に至る制御部25の制御を図5に示すフローチャートに基づいて説明する。
【0024】
先ず、制御部25は、試薬トレイ15の格納部15dに格納された試薬ボトル18,19の情報ラベル21の読取り指示があったか否かを判定する(ステップS40)。この読取り指示は、入力部26のキー操作によって行われ、制御部25は入力部26のキー操作によって入力される信号の有無によって判定を行う。読取り指示がないときにはこの判定が否定(No)となり、制御部25はステップS40を繰り返す。一方、情報ラベル21の読取り指示があったときにはこの判定が肯定(Yes)となり、制御部25は情報ラベル21の読取り処理を実行する(ステップS42)。情報ラベル21の読取り処理は、制御部25が、駆動手段に作動信号を出力してターンテーブル17を1回転させ、読取装置23によって試薬ボトル18,19に貼付した情報ラベル21を読み取らせることによって実行される。ここで、ステップS40における情報ラベル21の読取り指示は、自動分析装置1の蓋を閉じることにより自動的に実行されるようにしてもよい。
【0025】
次に、制御部25は、読取装置23から出力される内容情報に関する信号に基づき、予め設定してある基準位置からのターンテーブル17の回転位置を演算して格納部15dにおける周方向に沿った試薬ボトル18,19の格納位置を求めると共に、読取装置23が情報ラベル21から読み取った内容情報から試薬ボトル18,19の大きさを求め、新たな試薬ボトル18,19を格納し得る空き領域の位置と広さとを特定する(ステップS44)。このため、自動分析装置1は、自動分析装置1のスイッチをオンするとターンテーブル17が基準位置に戻った後、この基準位置から回転を開始し、読取装置23が試薬ボトル18や試薬ボトル19の情報ラベル21を読み取るように設定しておく。このように設定すると、制御部25は、ターンテーブル17の回転を開始した後、読取装置23から出力される内容情報に関する信号が入力される迄の時間に基づいて試薬ボトル18,19の周方向に沿った格納位置を求めることができる。また、試薬ボトル19は、吸引口19bが外面から見て右側に設けられているので、試薬ボトル19の格納位置と大きさとを特定することによって吸引口19bの位置も特定されることになる。
【0026】
ここで、情報ラベル21は、試薬ボトルの内容量に代えて、試薬ボトル18の大きさを基準とする他の試薬容器の大きさの倍数を内容情報として記録しておいてもよい。例えば、試薬ボトル18に貼付する情報ラベル21は内容情報として「1」を記録し、試薬ボトル19に貼付する情報ラベル21は内容情報として「2」を記録しておく。このようにすると、制御部25は、例えば、情報ラベル21に記録された内容情報としての倍数に関する信号を読取装置23から入力するだけで試薬ボトル18,19の大きさを求めることができる。このため、制御部25は、格納部15dにおける周方向に沿った試薬ボトル18,19の格納位置を特定するだけでよいので、特定作業を迅速に実行することが可能となる。
【0027】
次いで、制御部25は、特定した新たな試薬ボトル18,19を格納し得る空き領域の位置と広さの表示処理を実行する(ステップS46)。この表示処理は、制御部25が、空き領域の位置と広さに関する信号を表示部27に出力し、表示部27がディスプレイ上に空き領域の位置と広さを表示することによって実行される。このとき、表示部27は、例えば、図6に示すように、試薬トレイ15の試薬ボトル18,19が格納された部分をディスプレイ上に格納領域Aoとして示し、試薬ボトルが未格納の部分を空き領域Avとして示す。
【0028】
ここで、試薬トレイ15は、格納部15dが最小の試薬容器である試薬ボトル18の大きさを単位として周方向に沿って多数に仕切られている。このため、試薬ボトル18を配置する領域が連続して存在していると、試薬ボトル18を1単位とする空き領域Avが幾つ存在しているのか見分け難い。このため、表示部27は、空き領域Avが試薬ボトル18の何個分に相当するかを明示するため、ディスプレイ上に仕切り板16を点線等によって示してもよい。また、表示部27は、試薬トレイ15の空き領域Avを容易に把握することができるように、ディスプレイ上で空き領域Avを点滅させ、或いは、表示の際の色を格納領域Aoと異ならせることにより強調させてもよい。但し、表示部27は、空き領域Avを構成する単位領域の数を示すだけであることから、必ずしも仕切り板16を示す必要はない。
【0029】
更に、試薬トレイ15は、ターンテーブル17の回転に伴って回転することから、空き領域Avの見掛けの位置がターンテーブル17の回転に伴って変化する。このため、制御部25は、表示部27が試薬トレイ15における試薬ボトル18,19の格納位置と試薬ボトル18,19の大きさとを表示する際、前記蓋を開けたときの試薬トレイ15の回転位置とディスプレイ等における表示とが同期するように表示部27を制御する。このように、試薬トレイ15の回転位置と対応させて表示部27に空き領域Avの位置を同期表示させると、自動分析装置1は、前記蓋を開いた状態が表示部27に表示される画像と一致しているため、自動分析装置1のオペレータが新たな試薬ボトルをセットする際に、表示部27に表示された格納位置と実際の試薬トレイ15における格納位置とを誤るおそれが低減する。
【0030】
以上のようにして試薬ボトル18,19を試薬トレイ15の格納部15dに格納した後、図1に示すように、検体テーブル3の各収納室3aに検体を収容した検体容器4を収納し、反応テーブル6の各収納室6aに反応容器7を収納し、検体の分析を開始する。
【0031】
これにより、制御部25は、検体分注機構5に分注信号を出力し、回転する反応テーブル6によって周方向に沿って搬送されてくる反応容器7に検体テーブル3の複数の検体容器4から検体を順次分注させる。検体が分注された反応容器7は、制御部25の制御の下に反応テーブル6によって試薬分注機構13の近傍へ搬送され、試薬分注機構13によって試薬ボトル18或いは試薬ボトル19の吸引口18b,19bから試薬が分注される(ステップS48)。
【0032】
このとき、新たな検体の分析が追加され、新たな試薬ボトルを試薬トレイ15の格納部15dに追加する必要が生じた場合、自動分析装置1のオペレータは表示部27に試薬トレイ15を表示させる。これにより、自動分析装置1のオペレータは、空き領域Avの位置と広さを一目で容易に把握することができ、空き領域Avを無駄のないように活用して新たな試薬ボトルを試薬トレイ15に格納することができる。
【0033】
そして、試薬が分注された反応容器7は、反応テーブル6によって周方向に沿って搬送される間に試薬と検体とが攪拌されて反応し、光源8と受光素子9との間を通過する。これにより、反応容器7内の液体試料を透過して受光素子9が受光した透過光の信号が制御部25に出力され、制御部25によって検体の成分や濃度等が分析される(ステップS50)。これにより、1つの検体の分析が終了する。
【0034】
このようにして、検体の分析が終了した反応容器7は、排出装置11によって反応終了後の液体試料が排出されて図示しない洗浄装置によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。自動分析装置1は、以下同様の操作を繰り返して、検体テーブル3の各収納室3aにセットされた多数の検体容器4に収容された検体を分析してゆく。
【0035】
ここで、自動分析装置1は、新たな試薬ボトルを試薬トレイ15に格納する際、入力部26から新たな試薬ボトルの大きさに関するデータを入力し、或いは新たな試薬ボトルに貼付した情報ラベル21を読取り装置23と同じ機能を有する別の読取り装置によって読み取らせると、制御部25が、表示部27の画面上に新たな試薬ボトルを格納すべき位置を表示するようにしてもよい。このとき、制御部25は、試薬トレイ15に格納される複数の試薬ボトルの配置上のバランスや、試薬の分注動作における無駄や複雑な制御とならないことを考慮した最適位置或いは優先順位をつけた複数の候補位置を表示するようにする。
【0036】
一般に、分析装置は、試薬トレイに大きな空き領域がなく、内容量の大きいボトルを格納できない場合、内容量の小さい試薬ボトルを試薬トレイ上の複数個所に分けて格納しなければならず、試薬分注のためのシーケンスが複雑となってロスタイムが発生し、分析効率が低下する。しかし、制御部25が試薬分注等の制御を考慮して試薬ボトルを格納すべき最適位置或いは優先順位をつけた位置を提示するようにすると、自動分析装置1は、ロスタイムの発生や分析効率の低下を回避することができる。このとき、自動分析装置1は、前記最適位置や候補位置を試薬トレイ15にLED等の発光手段によって表示させると、前記最適位置や候補位置に試薬ボトルを誤りなく格納することができる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
以上のように、本発明にかかる分析装置は、試薬トレイの空き領域の位置と広さを把握し、空き領域を無駄のないように活用して試薬トレイに試薬容器を格納するのに有用であり、特に、自動分析装置に適している。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の分析装置の一例を示す自動分析装置の概略構成図である。
【図2】試薬トレイと試薬トレイを回転させるターンテーブルとを示す斜視図である。
【図3】図2の試薬トレイに仕切り板を用いて内容量の異なる2種類の試薬ボトルを格納した状態を示す部分拡大平面図である。
【図4−1】図3に示す内容量が最小の試薬ボトルの斜視図である。
【図4−2】最小の試薬ボトルの2倍の内容量を有する図3に示す試薬ボトルの斜視図である。
【図5】自動分析装置における試薬ボトルのセットから検体の分析終了に至る一連の動作を示すフローチャートである。
【図6】表示手段における試薬ボトルが格納された領域と未格納の空き領域の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 自動分析装置
2 作業テーブル
3 検体テーブル
4 検体容器
5 検体分注機構
6 反応テーブル
7 反応容器
8 光源
9 受光素子
11 排出装置
13 試薬分注機構
15 試薬トレイ
15d 格納部
15e,15f 係合溝
16 仕切り板
17 ターンテーブル
18,19 試薬ボトル
18b,19b 吸引口
21 情報ラベル
23 読取装置
25 制御部
26 入力部
27 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着脱自在な仕切り板によって内容量の異なる複数種類の試薬容器を格納する格納部を周方向に沿って仕切り、周方向に沿って回転されて前記各試薬容器を分注位置へ搬送する試薬トレイを備えた分析装置において、
前記各試薬容器に貼付される情報ラベルから容量を含む内容情報を読み取る読取り手段と、
前記読取り手段が読み取った内容情報と、該内容情報に関して出力される信号とに基づいて前記各試薬容器の周方向に沿った格納位置と最小の試薬容器を基準とする前記各試薬容器の大きさとを求め、新たな試薬容器が格納可能な空き領域の位置と広さとを特定する特定手段と、
前記特定手段が特定した前記空き領域の位置と広さとを表示する表示手段と、
を設けたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記特定手段は、前記試薬トレイの回転位置と対応させて前記表示手段に前記空き領域の位置を同期表示させる当該分析装置の制御手段であることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記特定手段は、前記読取り手段が読み取った前記各試薬容器の内容情報に基づいて前記各試薬容器の吸引口の位置を特定することを特徴とする請求項1又は2に記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−1】
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【図4−2】
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【図5】
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【図6】
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