説明

分析装置

【課題】装置構成を複雑化することなく操作者の試薬補充判断に関する負荷を低減した分析装置を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる分析装置1は、操作者による試薬補充判断の支援のために、分析受付が行なわれた検体に試薬量が不足すると判断した場合に該試薬量が不足する試薬の追加または測定実行のいずれかを選択肢として表した選択メニューを表示することによって、装置構成を複雑化することなく操作者の試薬補充判断に関する負荷を低減することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、設置される試薬容器内の試薬量を検出する検出手段を備え、試薬容器内の試薬を用いて分析受付が行なわれた検体を分析する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や体液等の検体を自動的に分析する装置として、検体および1種類以上の試薬を反応容器に分注し、検体と試薬との化学変化を生じさせた後、この検体と試薬との反応液の光学的特性を測定して自動的に検体を分析する分析装置が知られている。このような分析装置においては、測定の途中で試薬がなくなった場合、操作者は、装置を一度停止させ新しい試薬をセットし、キャリブレーション処理や精度管理測定を実施してからでないと、試薬不足によって測定されなかった検体の測定を再開できなかった。
【0003】
このため、従来においては、試薬不足による測定停止を防止するため、現に装置内に設置されている試薬の残存量を出力する分析装置や予備の試薬庫を設けて予備の試薬庫から補充したい試薬を自動的に取り出し試薬庫に移動させてセットするオートローディング機能を備えた分析装置が提案されている(たとえば、特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2003−315344号公報
【特許文献2】特開2004−340649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、現に装置内に設置されている試薬の残存量を出力する分析装置においては、操作者は、出力された試薬残存量をもとに測定予定の検体数や分析項目数に加えキャリブレーション処理および精度管理試料測定処理のために要する試薬量も想定した上で、試薬残存量が測定に足りるか否かを判断する必要があり、この判断は操作者に大きな負担となっていた。特に、この分析装置においては、装置操作に慣れていない人が操作した場合には、試薬の残存量が測定に足りるか否かをうまく判断できず、測定中に試薬が不足してしまう場合があった。
【0006】
また、オートローディング機能を備えた分析装置においては、予備の試薬庫、試薬の取り出し機構および試薬庫への移動機構が必要になり、装置構成が複雑および装置サイズが大型化するため、装置の製造コストが増加するという問題があった。
【0007】
本発明は、上記した従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、装置構成を複雑化することなく操作者の試薬補充判断に関する負荷を低減した分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる分析装置は、設置される試薬容器内の試薬量を検出する検出手段を備え、前記試薬容器内の試薬を用いて分析受付が行なわれた検体を分析する分析装置において、前記分析受付が行なわれた検体に対し前記検出手段によって検出された前記試薬量では試薬が不足すると判断した場合に不足する試薬の追加または測定実行のいずれかを選択肢として表した選択メニューを表示手段に表示させる制御手段と、不足する試薬の追加または測定実行のいずれかを選択できる選択手段と、を備えたことを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる分析装置は、前記制御手段は、前記選択手段によって不足する試薬の追加が選択された場合にキャリブレーション処理の内容を設定できるキャリブレーション設定メニューを前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる分析装置は、前記キャリブレーション処理の内容設定を指示する指示手段をさらに備え、前記検出手段は、前記選択手段によって不足する試薬の追加が選択され新たに前記試薬が追加された場合に該追加された試薬を含む試薬量を検出し、前記制御手段は、検出された前記試薬量の試薬を用いて前記指示手段によって指示されたキャリブレーション処理と前記分析受付が行なわれた検体に対する測定処理とを行なった場合における測定時間、測定可能である検体数および不足する試薬量を演算した後に該演算した測定時間、測定可能である検体数および不足する試薬量を前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる分析装置は、前記制御手段は、キャリブレーション処理と試薬ブランク測定による検量線検証処理と精度管理用試料測定による精度管理処理との少なくとも一つを設定できる、または、前記キャリブレーション処理と前記試薬ブランク測定による検量線検証処理と前記精度管理用試料測定による精度管理処理とのいずれも設定しない選択ができる第1の前記キャリブレーション設定メニューを前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる分析装置は、前記制御手段は、キャリブレーターの測定回数、試薬ブランクの測定回数、精度管理用試料の種別および前記精度管理用試料の測定回数のうち少なくとも一つを設定できる第2の前記キャリブレーション設定メニューを前記表示手段に表示させることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる分析装置は、前記制御手段は、前記選択手段によって測定実行が選択された場合、前記分析受付が行なわれた検体のうち試薬が不足する検体を示す一覧を作成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明にかかる分析装置においては、操作者による試薬補充判断支援のために、分析受付が行なわれた検体に対し試薬が不足すると判断した場合に不足する試薬の追加または測定実行のいずれかを選択肢として表した選択メニューを表示することによって、装置構成を複雑化することなく操作者の試薬補充判断に関する負荷を低減することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である分析装置について、血液や尿などの検体に対して生化学分析を行なう分析装置を例に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0016】
本実施の形態においては、操作者による試薬補充判断支援のために各種選択メニューを表示している。図1は、実施の形態にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、実施の形態にかかる分析装置1は、分析対象である検体および試薬を反応容器21にそれぞれ分注し、反応容器21内で生じる反応を光学的に測定する測定機構2と、測定機構2を含む分析装置1全体の制御を行なうとともに測定機構2における測定結果の分析を行なう制御機構3とを備える。分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって検体内における検出対象物の濃度を検出する生化学分析を順次自動的に行なう。
【0017】
まず、測定機構2について説明する。測定機構2は、大別して反応テーブル10、第1試薬庫11、第1試薬分注機構12、検体移送部13、検体分注機構14、第2試薬庫15、第2試薬分注機構16、攪拌部17、測光部18および洗浄部19を備える。
【0018】
反応テーブル10は、反応容器21への検体や試薬の分注、反応容器21の攪拌、洗浄または測光を行なうために反応容器21を所定の位置まで移送する。この反応テーブル10は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、反応テーブル10の中心を通る鉛直線を回転軸として回動自在である。反応テーブル10の上方と下方には、図示しない開閉自在な蓋と恒温槽がそれぞれ設けられている。
【0019】
第1試薬庫11は、反応容器21内に分注される2種類の試薬のうち、最初に分注される第1試薬が収容された第1試薬容器11aを複数収納できる。第1試薬庫11には、複数の収納室が等間隔で配置されており、各収納室には第1試薬容器11aが着脱自在に収納される。第1試薬庫11は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、第1試薬庫11の中心を通る鉛直線を回転軸として時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の第1試薬容器11aを第1試薬分注機構12による試薬吸引位置まで移送する。第1試薬庫11の上方には、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられている。また、第1試薬庫11は保冷されている。このため、第1試薬庫11内に第1試薬容器11aが収納され、蓋が閉じられたときに、第1試薬容器11a内に収容された試薬を保冷状態に保ち、第1試薬容器11a内に収容された試薬の蒸発や変性を抑制することができる。
【0020】
第1試薬容器11aの側面部には、第1試薬容器11aに収容された試薬に関する試薬情報が記録された記録媒体が付されている。たとえば、記録媒体は、第1試薬容器11aに収容された試薬が使用される分析項目、試薬の名称、Lot情報、ボトル情報などを記録する。記録媒体は、符号化された各種の情報を表示しており、光学的に読み取られる。
【0021】
第1試薬庫11の外周部には、この記録媒体を光学的に読み取る第1試薬読取部11bが設けられている。第1試薬読取部11bは、記録媒体に対して赤外光または可視光を発し、記録媒体からの反射光を処理することによって、記録媒体の情報を読み取る。また、第1試薬読取部11bは、記録媒体を撮像処理し、撮像処理によって得られた画像情報を解読して、記録媒体の情報を取得してもよい。第1試薬読取部11bは、読み取った記録媒体の情報を、この記録媒体が付された第1試薬容器11aの第1試薬庫11内のポジションに対応づけて制御部31に出力する。
【0022】
第1試薬分注機構12は、第1試薬の吸引および吐出を行なうプローブが先端部に取り付けられたアーム12aを備える。アーム12aは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なう。第1試薬分注機構12は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。第1試薬分注機構12は、第1試薬庫11上の所定位置に移動された分析対象である検体に指示された分析項目に対応する第1試薬容器11a内の試薬をプローブ内に吸引し、アーム12aを図中時計回りに旋回させ、反応テーブル10上の所定位置に搬送された反応容器21に分注する。また、第1試薬分注機構12は、プローブ先端に静電容量変化などを利用して液面高さを検出できるセンサーが設けられており、検出した各第1試薬容器11aに収容された試薬の液面高さを制御部31に出力する。
【0023】
検体移送部13は、血液や尿等、液体である検体を収容した複数の検体容器13aを保持し、図中の矢印方向に順次移送する複数の検体ラック13bを備える。検体移送部13上の所定位置に移送された検体容器13a内の検体は、検体分注機構14によって、反応テーブル10上に配列して搬送される反応容器21に分注される。検体容器13aの側面部には、検体容器13aに収容された検体に関する検体情報が記録された記録媒体が付されている。検体情報として、検体を提供した提供者に関する情報、検体容器13aに収容された検体に対して分析を指示された分析項目、該検体の採取日などがある。
【0024】
検体移送部13外には、この検体容器13aに付された記録媒体を光学的に読み取る検体読取部13cが設けられている。この検体読取部13cは、第1試薬読取部11bと同様に、記録媒体に対して赤外光または可視光を発し、記録媒体からの反射光を処理することによって、記録媒体の情報を読み取る。また、検体読取部13cは、記録媒体を撮像処理し、撮像処理によって得られた画像情報を解読して、記録媒体の情報を取得してもよい。検体読取部13cは、読み取った検体情報を制御部31に出力する。
【0025】
検体分注機構14は、第1試薬分注機構12と同様に、検体の吸引および吐出を行なうプローブが先端部に取り付けられたアーム14aと、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。検体分注機構14は、上述した検体移送部13上の所定位置に移送された検体容器13aの中からプローブ内に検体を吸引し、アーム14aを図中反時計回りに旋回させ検体を分注する。
【0026】
第2試薬庫15は、反応容器21内に分注される2種類の試薬のうち検体が分注された後に分注される第2試薬が収容された第2試薬容器15aを複数収納できる。第2試薬庫15には、第1試薬庫11と同様に、第2試薬容器15aが着脱自在に収納される複数の収納室が設けられている。第2試薬庫15は、第1試薬庫11と同様に、時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の第2試薬容器15aを第2試薬分注機構16による試薬吸引位置まで移送する。第1試薬庫11と同様に、第2試薬庫15の上方には、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられ、第2試薬庫15は保冷されている。第2試薬容器15aの側面部には、第1試薬容器11aと同様に、第2試薬容器15aに収容された第2試薬に関する試薬情報が記録された記録媒体が付されている。また、第2試薬庫15の外周部には、第1試薬読取部11bと同様の機能を有し第2試薬容器15aに付された記録媒体を光学的に読み取る第2試薬読取部15bが設けられている。
【0027】
第2試薬分注機構16は、第1試薬分注機構12と同様に、第2試薬の吸引および吐出を行なうプローブが先端部に取り付けられたアーム16aと、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備え、第2試薬庫15上の所定位置に移動された分析対象である検体に指示された分析項目に対応する第2試薬容器15a内の試薬をプローブ内に吸引後、反応テーブル10上の所定位置に搬送された反応容器21に分注する。また、第2試薬分注機構16は、プローブ先端に静電容量変化などを利用して液面高さを検出できるセンサーが設けられており、検出した各第2試薬容器15aに収容された試薬の液面高さを制御部31に出力する。攪拌部17は、反応容器21に分注された第1試薬、検体および第2試薬の攪拌を行ない、反応を促進させる。
【0028】
測光部18は、所定波長の光を反応容器21に発し、この反応容器21内の試薬と検体との反応液を通過した光を受光して分光強度測定を行なって、吸光度等を測定する。測光部18による測定結果は、制御部31に出力され、分析部34において分析される。測光部18は、反応容器21に白色光を照射し、反応液を透過後に分光して所定波長の出力を検出するようにしたものでもよい。
【0029】
洗浄部19は、図示しないノズルによって、測光部18による測定が終了した反応容器21内の混合液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで洗浄を行なう。この洗浄した反応容器21は再利用される。検査内容によっては1回の測定終了後に反応容器21を廃棄し、図示しないが、新たな反応容器21を自動供給するようにしてもよい。
【0030】
つぎに、制御機構3について説明する。制御機構3は、制御部31、入力部33、分析部34、記憶部35、出力部36および送受信部38を備える。測定機構2および制御機構3が備えるこれらの各部は、制御部31に電気的に接続されている。
【0031】
制御部31は、CPU等を用いて構成され、分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部31は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行ない、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行なう。制御部31は、また、第1試薬分注機構12および第2試薬分注機構16によって検出された各第1試薬容器11aおよび各第2試薬容器15aに収容された試薬の液面高さをもとに、分析装置1内に設置された各第1試薬容器11a内および各第2試薬容器15a内の試薬量を検出する。
【0032】
入力部33は、キーボード、マウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。分析部34は、測光部18によって測定された吸光度などをもとに、検体内における検出対象物の濃度を求め、検体の成分分析等を行なう。記憶部35は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部35は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。
【0033】
出力部36は、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力する。出力部36は、ディスプレイを用いて構成され、検体の分析結果や各種選択メニューを表示出力する表示部37を備える。送受信部38は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがった情報の送受信を行なうインターフェースとしての機能を有する。
【0034】
また、制御部31は、表示部37の表示処理を制御する表示制御部32を備える。表示制御部32は、制御部31が分析受付が行なわれた検体に対し検出した試薬量では試薬が不足すると判断した場合に、不足する試薬の追加または測定実行のいずれかを選択肢として表した選択メニューを表示部37に表示させる。この場合、入力部33は、特許請求の範囲における選択手段として機能し、不足する試薬の追加または測定実行のいずれかを選択した選択情報を制御部31に入力する。表示制御部32は、入力部33によって不足する試薬の追加を選択する選択情報が入力された場合、キャリブレーション処理の内容を設定できるキャリブレーション設定メニューを表示部37に表示させる。入力部33は、特許請求の範囲における指示手段として機能し、キャリブレーション処理の内容設定を指示する指示情報を制御部31に入力する。表示制御部32は、キャリブレーション設定メニューとして、キャリブレーション処理、試薬ブランク測定による検量線検証処理および精度管理用試料測定による精度管理処理の少なくとも一つを設定できる第1のキャリブレーション設定メニュー、キャリブレーターの測定回数、試薬ブランクの測定回数、精度管理用試料の種別および精度管理用試料の測定回数を設定できる第2のキャリブレーション設定メニューを表示部37に表示させる。なお、第1のキャリブレーション設定メニューにおいては、キャリブレーション処理、試薬ブランク測定による検量線検証処理および精度管理用試料測定による精度管理処理のいずれも設定しない選択をすることができる。
【0035】
制御部31は、入力部33によって不足する試薬の追加を指示する指示情報が入力され、新たに試薬が追加された場合に、第1試薬分注機構12および第2試薬分注機構16によって検出された新たに追加された試薬の液面高さをもとに、該追加された試薬を含む試薬量を検出する。そして、制御部31は、検出した試薬量の試薬を用いて入力部33によって指示されたキャリブレーション処理と分析受付が行なわれた検体に対する測定処理を行なった場合における測定時間、測定可能である検体数および不足する試薬量を演算する。表示制御部32は、制御部31が演算した測定時間、設置されている試薬量で測定可能である検体数および不足する試薬量を表示部37に表示させる。さらに、制御部31は、入力部33の選択情報によって測定実行が選択された場合、分析受付が行なわれた検体のうち試薬が不足する検体を示す一覧を作成する。
【0036】
つぎに、分析装置1による測定処理について説明する。図2は、分析装置1における測定処理に関する処理手順を示すフローチャートである。図2に示すように、分析装置1においては、分析装置1起動後、第1試薬分注機構12、第2試薬分注機構16および制御部31は、現に装置内に設置される各第1試薬容器11a内および各第2試薬容器15a内の試薬量を検出する試薬チェック処理を行なう(ステップS2)。つぎに、制御部31は、検出した各第1試薬容器11a内および各第2試薬容器15a内の試薬量で測定可能である検体数を演算する(ステップS4)。つぎに、操作者による入力部33の入力処理によって入力部33から入力された分析項目および検体数などの分析受付を指示する情報をもとに、制御部31は、検体受付処理を行なう(ステップS6)。
【0037】
制御部31は、検出した各第1試薬容器11a内および各第2試薬容器15a内の試薬量で測定可能である検体数Nと受付検体数Mとを比較し、測定可能数N>受付検体数Mであるか否かを判断する(ステップS8)。制御部31は、測定可能数N>受付検体数Mであると判断した場合(ステップS8:Yes)、分析を受け付けた検体は途中で試薬不足が発生しない試薬充足検体として識別し(ステップS10)、測定処理を行なう(ステップS26)。
【0038】
これに対し、測定可能数N>受付検体数Mでないと判断した場合(ステップS8:No)、分析を受け付けた検体は測定途中で試薬不足が見込まれる試薬不足見込検体として識別する(ステップS12)。そして、表示制御部32は、試薬不足である旨を表示部37に表示させる(ステップS14)。
【0039】
この結果、表示部37は、たとえば図3に例示するような試薬補充選択メニューM1を画面上に表示出力する。この試薬補充選択メニューM1には、分析を受け付けた検体に対し測定途中で試薬不足が見込まれる分析項目、試薬不足量を対応づけたテーブルT1が示されている。テーブルT1には、分析を受け付けた検体に対し測定途中で試薬不足が見込まれる分析項目を示す列L11、各分析項目に対応する各試薬の第1試薬庫11、第2試薬庫15におけるポジションを示す列L12および各分析項目における不足テスト数および不足試薬量を示す列L13が設けられている。さらに、テーブルT1には、試薬不足が見込まれる分析項目に対する各アクションを選択できる選択欄が設けられている。操作者は、この試薬補充選択メニューM1を確認することによって、分析を受け付けた検体に対し測定途中で試薬不足が見込まれる分析項目および試薬不足量を認識することができる。
【0040】
つぎに、分析装置1においては、分析を受け付けた検体に対し測定途中で試薬不足が見込まれる分析項目に対応する試薬を追加するか否かを判断する試薬追加判断処理が行なわれる(ステップS16)。そして、制御部31は、試薬追加判断処理において、試薬追加があったか否かを判断する(ステップS17)。制御部31は、試薬追加判断処理において試薬追加がないと判断した場合(ステップS17:No)、分析を受け付けた検体は測定途中で試薬不足が発生する試薬不足発生検体として識別し(ステップS18)、測定処理を行なう(ステップS26)。
【0041】
制御部31は、試薬追加判断処理において試薬追加があったと判断した場合(ステップS17:Yes)、キャリブレーション処理の内容などを判断するキャリブレーション判断処理を行なう(ステップS20)。このキャリブレーション判断処理においては、キャリブレーション処理の内容とともに、キャリブレーション処理の内容に対応させた試薬不足量表示、試薬不足が発生する試薬に対する試薬再追加判断処理、および、試薬再追加判断が行なわれた検体を試薬追加検体として識別する識別処理が行なわれる。そして、制御部31は、キャリブレーション判断処理において、分析を受け付けた検体は試薬追加検体であるか否かを判断する(ステップS22)。制御部31は、分析を受け付けた検体は試薬追加検体であると判断した場合(ステップS22:Yes)、追加した試薬に対する試薬チェック処理を行なった後(ステップS23)、ステップS8に戻り、測定可能数N>受付検体数Mであるか否かを判断する。
【0042】
一方、制御部31は、分析を受け付けた検体は試薬追加検体でないと判断した場合(ステップS22:No)、分析を受け付けた検体に対し分析装置内に設置または追加された試薬が充足しているか否かを判断する(ステップS24)。制御部31は、分析を受け付けた検体に対し分析装置内に設置または追加された試薬が充足していると判断した場合(ステップS24:Yes)、分析を受け付けた検体は試薬充足検体として識別し(ステップS10)、測定処理を行なう(ステップS26)。これに対し、制御部31は、分析を受け付けた検体に対し分析装置内に設置または追加された試薬が充足していないと判断した場合(ステップS24:No)、分析を受け付けた検体は試薬不足発生検体として識別し(ステップS18)、測定処理を行なう(ステップS26)。
【0043】
つぎに、図4を参照して、図2に示す試薬追加判断処理について説明する。図4に示すように、試薬追加判断処理においては、制御部31は、分析を受け付けた検体が試薬追加検体であるか否かを判断する(ステップS32)。
【0044】
制御部31が分析を受け付けた検体が試薬追加検体でないと判断した場合(ステップS32:No)、表示制御部32は、たとえば図3に例示する試薬補充の判断支援のために試薬補充選択メニューを表示部37に表示させる(ステップS34)。
【0045】
図3に示すように、試薬補充選択メニューM1のテーブルT1には、前述したように、試薬不足が見込まれる分析項目に対する各アクションを選択できる選択欄が設けられている。操作者は、この試薬補充選択メニューM1を確認することによって、試薬不足が見込まれる各分析項目の試薬に対する対応処理を操作者自身が判断することなく、各分析項目の試薬に対する適切な対応処理を認識することができる。そして、操作者は、入力部33を構成するマウス、キーボード、タッチパネルボタンを操作して、試薬不足が見込まれる分析項目に対するアクションを選択する。具体的には、まず、操作者は、編集ボタンSe1を選択後、各アクションを選択できる各選択欄C11〜C19を選択する。テーブルT1には、分析項目「ALB」に対しては、試薬交換を選択できる選択欄C11、試薬渡りを選択できる選択欄C12および試薬不足を無視して試薬補充を行なわないままの試薬実行を選択できる選択欄C13が設けられている。操作者が、分析項目「ALB」に対して試薬交換を選択する場合には、マウスを操作し、選択欄C11上にカーソルを移動させて選択欄C11を選択後、確定ボタンSd1を選択すればよい。この結果、入力部33から、分析項目「ALB」に対して試薬交換を選択する旨を示す選択情報が制御部31に入力される。
【0046】
このように、制御部31は、試薬不足が見込まれる分析項目に対する各アクションを示す選択情報を受信する(ステップS36)。つぎに、制御部31は、選択情報をもとに、試薬追加の有無を判断する(ステップS38)。
【0047】
制御部31は、試薬不足無視のため試薬追加なしと判断した場合(ステップS38:No)、そのまま試薬追加判断処理を終了する。この場合、この検体は、図2におけるステップS18において試薬不足発生検体として識別される。
【0048】
一方、制御部31は、試薬交換または試薬渡りによって試薬追加が行われたと判断した場合(ステップS38:Yes)、追加された試薬の試薬量を検出する試薬チェック処理を行なう(ステップS40)。この場合、第1試薬庫11、第2試薬庫15に補充された第1試薬容器11a、第2試薬容器15aの試薬情報および試薬庫内のポジションは、各補充された試薬に付された記録媒体が第1試薬読取部11b、第2試薬読取部15bによって読み取られる。そして、制御部31は、再度検出した試薬量で測定可能である検体数を演算して(ステップS42)、試薬追加判断処理を終了する。
【0049】
これに対し、制御部31は、分析を受け付けた検体が試薬追加検体であると判断した場合(ステップS32:Yes)、表示制御部32は、試薬補充選択メニューを表示部37に表示させる(ステップS44)。試薬追加検体は、キャリブレーション判断処理に試薬再追加判断が行なわれた検体として識別された検体であり、試薬不足を無視して試薬追加を行なわないままの試薬実行を選択されたものではない。このため、ステップS36において表示される試薬補充選択メニューは、図3に示すテーブルT1のアクションのうち試薬不足を無視して試薬追加を行なわないままの試薬実行を選択できる選択欄C13,C16,C19を削除したテーブルを表示したものとなる。そして、制御部31は、ステップS44と同様に試薬不足が見込まれる分析項目に対する各アクションを示す選択情報を受信し(ステップS46)、補充された試薬の試薬量を検出する試薬チェック処理を行なう(ステップS40)。そして、制御部31は、再度検出した試薬量で測定可能である検体数を演算して(ステップS42)、試薬追加判断処理を終了する。
【0050】
つぎに、図5を参照して、図2に示すキャリブレーション判断処理について説明する。キャリブレーション判断処理においては、まず、表示制御部32は、たとえば図6に例示するキャリブレーション選択メニューM2を表示部37に表示させる(ステップS52)。
【0051】
図6に例示するように、キャリブレーション選択メニューM2のテーブルT2には、測定途中で試薬不足が見込まれた分析項目を示す列L21、各分析項目に対応する各試薬の第1試薬庫11、第2試薬庫15におけるポジションを示す列L22、各分析項目に対応する各試薬のLot情報を示す列L24、キャリブレーション処理の内容変更に対するアクションを選択できる列L26、各分析項目における試薬不足テスト数を示す列L27が設けられている。なお、第1試薬庫11、第2試薬庫15におけるポジション、および各試薬のLot情報などは、第1試薬読取部11bおよび第2試薬読取部15bによる読取情報にもとづいて表示される。そして、列L26には、キャリブレーション処理、試薬ブランク測定処理および精度管理測定処理をそれぞれ選択可能である各選択欄が設けられている。たとえば分析項目「ALB」においては、列L26の欄C12に、キャリブレーターと試薬ブランクとの双方を測定し検量線を設定するキャリブレーション処理を選択できる選択欄CB1、試薬ブランクのみを測定し検量線を検証する試薬ブランク測定処理を選択できる選択欄CB2、および、既知の濃度である精度管理用試料を測定し分析精度を管理する精度管理処理を選択できる選択欄CB3が設けられている。ここで、選択欄CB1または選択欄CB2と、選択欄CB3とは、重複選択が可能である。このため、操作者は、キャリブレーション処理のみ、試薬ブランク測定処理のみ、精度管理処理のみをそれぞれ選択できるとともに、キャリブレーション処理および精度管理処理の選択、または試薬ブランク測定処理および精度管理処理の選択が可能である。操作者は、編集ボタンSe2を選択後、所望の処理に対応する各選択欄を選択し、確定ボタンSd2を選択すればよい。この結果、入力部33から、各分析項目に対するキャリブレーション処理内容の設定を指示するキャリブレーション選択情報が制御部31に入力される。また、操作者は、キャリブレーション処理、試薬ブランク測定処理、精度管理処理のいずれも設定しない場合には、いずれの選択欄も変更せず、そのまま確定ボタンSd2を選択すればよい。この場合、入力部33から、キャリブレーション処理、試薬ブランク測定処理、精度管理処理とのいずれも新たに設定せず前回設定条件をそのまま用いることを指示するキャリブレーション選択情報が制御部31に入力される。
【0052】
このように、制御部31は、各分析項目のキャリブレーション処理内容を設定するキャリブレーション選択情報を受信する(ステップS54)。そして、制御部31は、検出した試薬量の試薬を用いて入力部33によって指示されたキャリブレーション処理と分析受付が行なわれた検体に対する測定処理とを行なった場合における試薬不足量を演算し、表示制御部32は、たとえばキャリブレーション選択メニューM2における列L27の各欄に演算した試薬不足量を表示部37に表示させる(ステップS56)。
【0053】
たとえば、分析項目「ALB」において、キャリブレーション処理と精度管理測定処理とが選択された場合、制御部31は、キャリブレーション処理と精度管理測定処理とにおいて使用される試薬量を勘案して、分析受付が行なわれた検体に対する測定処理を行なった場合における試薬不足量を演算して、表示制御部32は、表示部37に対して、制御部31によって演算された試薬不足量を欄C22に表示させる。また、制御部31は、試薬不足量とともに、検出した試薬量の試薬を用いて入力部33によって指示されたキャリブレーション処理と分析受付が行なわれた検体に対する測定処理を行なった場合における測定時間、測定可能である検体数を演算し、表示制御部32は、制御部31が演算した測定時間、測定可能である検体数を表示部37に表示させる。たとえば、制御部31が演算した測定時間は、キャリブレーション選択メニューM2内のボックスB2内に表示される。このように、キャリブレーション選択メニューM2には、選択した各キャリブレーション処理の内容に対応させて試薬不足量、測定時間などが表示されるため、操作者は、キャリブレーション内容を検体分析状態に対応させて自由に選択できるとともに、操作者自身が設定したキャリブレーション内容での試薬不足発生や正確な測定時間などを迅速に認識することができる。
【0054】
つぎに、表示制御部32は、たとえば図7に例示するキャリブレーション設定メニューM3を表示部37に表示させる(ステップS58)。図7に例示するように、キャリブレーション設定メニューM3のテーブルT3には、測定途中で試薬不足が見込まれた分析項目を示す列L31、各分析項目に対応する各試薬のLot情報を示す列L32、キャリブレーターの測定回数を選択できる選択欄を示す列L33、試薬ブランクの測定回数を選択できる選択欄を示す列L34、精度管理試料の種別および測定回数を選択できる選択欄を示す列L35、各分析項目における試薬不足テスト数を示す列L36が設けられている。操作者は、編集ボタンSe3を選択後、各測定回数に対応する選択欄の数値を変更すればよい。たとえば、操作者は、分析項目「ALB」において、選択欄C31のキャリブレーションの測定回数を4回に、選択欄C32の試薬ブランクの測定回数を4回に、選択欄C33の精度管理試料の種別を「A」に、選択欄C34の精度管理試料「A」の測定回数を10回に変更したい場合には、カーソルCを各欄上に移動させた後に所望の回数をキーボードの操作などによって入力すればよい。この結果、入力部33から、分析項目「ALB」に対するキャリブレーション処理、試薬ブランク測定処理、精度管理測定処理における測定回数が入力される。なお、操作者は、キャリブレーション設定メニューM3の前のキャリブレーション選択メニューM2に戻りたいときには、戻るボタンSb3を選択すればよい。
【0055】
このように、制御部31は、各分析項目のキャリブレーション処理、試薬ブランク測定処理、精度管理測定処理における測定回数を設定するキャリブレーション設定情報を受信する(ステップS60)。
【0056】
そして、制御部31は、検出した試薬量の試薬を用いて入力部33によって指示されたキャリブレーション処理、試薬ブランク測定処理、精度管理測定処理における測定回数と分析受付が行なわれた検体に対する測定処理とを行なった場合における試薬不足量を演算し、表示制御部32は、表示部37に、たとえばキャリブレーション設定メニューM3における列L36の各欄に演算した試薬不足量を表示させる(ステップS62)。具体的には、分析項目「ALB」においては、欄C35に各欄C31〜C34によって設定されたキャリブレーション処理に対応させた試薬不足量が表示される。また、制御部31は、試薬不足量とともに、検出した試薬量の試薬を用いて入力部33によって指示されたキャリブレーション処理、試薬ブランク測定処理、精度管理測定処理における測定回数と分析受付が行なわれた検体に対する測定処理とを行なった場合における測定時間、測定可能である検体数を演算し、表示制御部32は、制御部31が演算した測定時間、測定可能である検体数を表示部37に表示させる。たとえば、制御部31が演算した測定時間は、キャリブレーション設定メニューM3内のボックスB3内に表示される。このように、キャリブレーション設定メニューM3には、選択した各キャリブレーション処理の内容に対応させて試薬不足量および測定時間が表示されるため、操作者は、キャリブレーション内容を検体分析状態に対応させて自由に選択できるとともに、操作者自身が設定したキャリブレーション内容での試薬不足発生や正確な測定時間を迅速に認識することができる。
【0057】
そして、制御部31は、キャリブレーション処理の内容を決定する処理決定情報を受信したか否かを判断する(ステップS63)。この処理決定情報は、たとえばキャリブレーション設定メニューM3における終了欄Sd3が選択されることによって、入力部33から制御部31に入力される。制御部31が処理決定情報を受信せず、再度キャリブレーション設定操作を指示する指示情報を受信したと判断した場合(ステップS63:No)、表示制御部32は、ステップS52に戻りキャリブレーション選択メニューを表示部37に表示させ、再度キャリブレーション処理の内容設定を可能とする。
【0058】
一方、制御部31が処理決定情報を受信したと判断した場合(ステップS63:Yes)、キャリブレーション選択情報およびキャリブレーション設定情報によって設定されたキャリブレーション処理と分析受付が行なわれた検体に対する測定処理とを行なった場合に、分析受付が行なわれた検体の測定に対して試薬が充足するか否かを判断する(ステップS64)。制御部31は、試薬が充足すると判断した場合(ステップS64:Yes)、キャリブレーション判断処理を終了する。
【0059】
これに対し、制御部31は、試薬が不足すると判断した場合(ステップS64:No)、試薬再追加を指示されたか否かを判断する(ステップS66)。この場合、表示制御部32は、たとえば、図8に例示する試薬エラーメニューM5を表示部37に表示させる。操作者は、入力部33を操作することによって、試薬追加する旨を選択する選択欄または試薬追加しない旨を選択する選択欄のいずれかを選択する。制御部31は、操作者の入力部33の操作によって入力部33から入力された試薬追加に関する選択情報を受信することによって、試薬再追加を指示されたか否かを判断する。制御部31は、試薬再追加を指示されたと判断した場合(ステップS66:Yes)、この分析受付が行なわれた検体を試薬追加検体として識別し(ステップS68)、キャリブレーション判断処理を終了する。
【0060】
また、制御部31は、試薬再追加を指示されなかったと判断した場合(ステップS66:No)、このまま測定を実行する旨の指示があるか否かを判断する(ステップS70)。この場合、表示制御部32は、たとえば、図9に例示するメニューM6を表示部37に表示させる。操作者は、入力部33を操作することによって、測定を実行する旨を選択する選択欄または測定を実行しない旨を選択する選択欄のいずれかを選択する。制御部31は、操作者の入力部33の操作によって入力部33から入力された測定実行に関する選択情報を受信することによって、測定実行が指示されたか否かを判断する。制御部31は、測定を実行する旨の指示があると判断した場合(ステップS70:Yes)、このままキャリブレーション判断処理を終了する。この場合、この検体は、図2におけるステップS18において試薬不足発生検体として識別される。また、制御部31が測定を実行しない旨の指示があると判断した場合(ステップS70:No)、ステップS52に戻り、表示制御部32はキャリブレーション選択メニューを表示部37に表示させ、再度キャリブレーション処理の内容設定を可能とする。このように、キャリブレーション判断処理においては、キャリブレーション選択メニューおよびキャリブレーション設定メニューを表示し、操作者のキャリブレーション内容設定を支援している。
【0061】
つぎに、図10を参照して、図2に示す測定処理について説明する。図10に示すように、測定処理においては、分析受付が行なわれた検体に対する測定を開始する(ステップS72)。なお、制御部31は、キャリブレーション処理内容が設定されている場合には、分析装置1内の各構成部位に対し、設定されたキャリブレーション処理を行なった上で検体に対する測定処理を実施させる。そして、制御部31は、検体分注機構14に対して各検体の分注処理を行なわせ、検体の分注処理を終了する(ステップS74)。制御部31は、入力部33から入力された情報をもとに、検体の追加受付が行なわれた否かを判断する(ステップS76)。
【0062】
制御部31は、検体の追加受付が行なわれていないと判断した場合(ステップS76:No)、測定が行なわれた検体が試薬不足発生検体として識別されているか否かを判断する(ステップS78)。制御部31は、測定が行なわれた検体が試薬不足発生検体として識別されていないと判断した場合(ステップS78:No)、測定処理を終了する。一方、制御部31は、測定が行なわれた検体が試薬不足発生検体として識別されていると判断した場合(ステップS78:Yes)、分析受付が行なわれた検体のうち試薬不足が発生した検体の一覧を再検リストとして作成して(ステップS80)、測定処理を終了する。操作者は、この再検リストを確認することによって、分析受付が行なわれた検体のうち試薬不足が発生している検体を認識することができ、この再検リストを用いることによって試薬不足のため測定が行なわれなかった検体を正確に再度分析できる。
【0063】
これに対し、制御部31は、検体の追加受付が行なわれたと判断した場合(ステップS76:Yes)、測定によって試薬が使用された後に各第1試薬容器11a内および各第2試薬容器15a内に残っている試薬量をもとに測定可能である検体数Naを演算し、測定可能である検体数Naと追加受付検体数Maとを比較し、測定可能数Na>追加受付検体数Maであるか否かを判断する(ステップS82)。
【0064】
制御部31は、測定可能数Na>追加受付検体数Maであると判断した場合(ステップS82:Yes)、ステップS72に戻り、追加受付した検体に対する測定を開始する。これに対し、制御部31が測定可能数Na>追加受付検体数Maでないと判断した場合(ステップS82:No)、表示制御部32は、残っている試薬量の試薬で測定可能である検体数を表示部37に表示させるとともに(ステップS84)、図11に例示する測定選択メニューM4を表示させる(ステップS86)。図11に示すように、測定選択メニューM4は、測定可能検体数と、試薬不足により測定が行なわれない検体数とを表示するとともに、追加受付された検体に対するアクションを選択できる選択欄が設けられている。測定メニューM4においては、受付可能な検体のみの測定を選択する選択欄、全検体に対する測定実行を選択する選択欄、全検体いずれの測定も行なわないことを選択する選択欄が設けられている。この場合、操作者は、入力部33を操作することによって、所望のアクションを示す選択欄を選択した後、確定ボタンSd4を選択する。この結果、入力部33から、追加受付された検体に対する各アクションを指示する測定選択情報が制御部31に入力される。
【0065】
このように、制御部31は、測定選択情報を受信し(ステップS88)、追加受付検体に対する測定選択内容を判断する(ステップS90)。制御部31は、追加受付検体に対する測定選択内容が測定可能検体のみ測定である場合(ステップS90:測定可能のみ)、ステップS72に戻り、測定可能検体に対する測定を開始する。また、制御部31は、追加受付検体に対する測定選択内容が全検体に対する測定実行である場合(ステップS90:測定実行)、この追加受付された検体を測定途中で試薬不足が発生する試薬不足発生検体として識別し(ステップS92)、ステップS72に戻り、追加受付された全検体対する測定を開始する。なお、この試薬不足発生検体として識別された追加受付された検体に対しては、測定後にステップS80において、再検リストが作成される。また、制御部31は、追加受付検体に対する測定選択内容が追加受付検体を測定しないことを指示する場合(ステップS90:測定しない)、測定処理を終了する。
【0066】
このように、実施の形態にかかる分析装置1においては、分析受付が行なわれた検体に対し試薬が不足すると判断した場合に不足する試薬の追加または測定実行のいずれかを選択肢として表した操作者による試薬補充判断の支援のために試薬補充選択メニューを表示することによって、装置構成を複雑化することなく操作者の試薬補充判断に関する負荷を低減することが可能になる。また、分析装置1においては、試薬補充を行った分析項目のキャリブレーション処理を詳細に設定できるとともに設定されたキャリブレーション内容に対応させた試薬不足量および測定時間が表示されるキャリブレーション選択メニューM2およびキャリブレーション設定メニューM3を表示する。このため、操作者は、キャリブレーション内容を検体分析状態に対応させて自由に選択できるとともに、操作者自身が設定したキャリブレーション内容での試薬不足発生や測定時間を認識することができるため、分析装置1の操作を円滑に行なうことが可能になる。
【0067】
なお、図1に示す分析装置1においては、試薬補充後に自動的に試薬容器に付された記録媒体を読み取り、補充された試薬容器の試薬庫内におけるポジション、Lot情報を試薬不足が見込まれた各分析項目に対応づけて表示した図6のキャリブレーション選択メニューM2および図7のキャリブレーション設定メニューM3を表示する場合について説明した。しかしながら、分析装置1は、試薬容器に付された記録媒体を読み取る機能を有しない場合には、図6のキャリブレーション選択メニューM2に代えて図12に示すキャリブレーション選択メニューM22を表示してもよい。また、分析装置1は、図7のキャリブレーション設定メニューM3に代えて、図13に示すキャリブレーション設定メニューM32を表示してもよい。図12に示すように、キャリブレーション選択メニューM22のテーブルT22においては、試薬補充選択メニューM1で選択したアクションがそれぞれ示す列L212が設けられているとともに、各分析項目に対応する各試薬の第1試薬庫11、第2試薬庫15におけるポジションを示す列L222の各欄が設けられている。列L222においては、試薬庫のポジションをそれぞれ入力できるようになっており、操作者は、たとえば分析項目「LDH」について第2試薬庫15の「23」のポジションに試薬を追加した場合には、編集ボタンSe2を選択後、入力部33を操作して、分析項目「LDH」について第2試薬に対応する欄C24に「23」を入力すればよい。また、図13に示すように、キャリブレーション設定メニューM32は、キャリブレーション設定メニューM3における各試薬のLot情報を示す列L32が削除されたテーブルT32が示されている。
【0068】
また、上記実施の形態で説明した分析装置1は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。このコンピュータシステムは、所定の記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することで分析装置の処理動作を実現する。ここで、所定の記録媒体とは、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステムの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などのように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを保持する「通信媒体」など、コンピュータシステムによって読み取り可能なプログラムを記録する、あらゆる記録媒体を含むものである。また、このコンピュータシステムは、ネットワーク回線を介して接続した管理サーバや他のコンピュータシステムからプログラムを取得し、取得したプログラムを実行することで分析装置の処理動作を実現する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施の形態1にかかる分析装置の構成を示す模式図である。
【図2】図1に示す分析装置における測定処理に関する処理手順を示すフローチャートである。
【図3】図1に示す表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図4】図2に示す試薬追加判断処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】図2に示すキャリブレーション判断処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図1に示す表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図7】図1に示す表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図8】図1に示す表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図9】図1に示す表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図10】図2に示す測定処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図1に示す表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図12】図1に示す表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図13】図1に示す表示部の表示画面の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0070】
1 分析装置
2 測定機構
3 制御機構
10 反応テーブル
11 第1試薬庫
11a 第1試薬容器
11b 第1試薬読取部
12 第1試薬分注機構
13 検体移送部
13a 検体容器
13b 検体ラック
13c 検体読取部
14 検体分注機構
12a,14a,16a アーム
15 第2試薬庫
15a 第2試薬容器
15b 第2試薬読取部
16 第2試薬分注機構
17 攪拌部
18 測光部
19 洗浄部
21 反応容器
31 制御部
32 表示制御部
33 入力部
34 分析部
35 記憶部
36 出力部
37 表示部
38 送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置される試薬容器内の試薬量を検出する検出手段を備え、前記試薬容器内の試薬を用いて分析受付が行なわれた検体を分析する分析装置において、
前記分析受付が行なわれた検体に対し前記検出手段によって検出された前記試薬量では試薬が不足すると判断した場合に不足する試薬の追加または測定実行のいずれかを選択肢として表した選択メニューを表示手段に表示させる制御手段と、
不足する試薬の追加または測定実行のいずれかを選択できる選択手段と、
を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記選択手段によって不足する試薬の追加が選択された場合にキャリブレーション処理の内容を設定できるキャリブレーション設定メニューを前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記キャリブレーション処理の内容設定を指示する指示手段をさらに備え、
前記検出手段は、前記選択手段によって不足する試薬の追加が選択され新たに前記試薬が追加された場合に該追加された試薬を含む試薬量を検出し、
前記制御手段は、検出された前記試薬量の試薬を用いて前記指示手段によって指示されたキャリブレーション処理と前記分析受付が行なわれた検体に対する測定処理とを行なった場合における測定時間、測定可能である検体数および不足する試薬量を演算した後に該演算した測定時間、測定可能である検体数および不足する試薬量を前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記制御手段は、キャリブレーション処理と試薬ブランク測定による検量線検証処理と精度管理用試料測定による精度管理処理との少なくとも一つを設定できる、または、前記キャリブレーション処理と前記試薬ブランク測定による検量線検証処理と前記精度管理用試料測定による精度管理処理とのいずれも設定しない選択ができる第1の前記キャリブレーション設定メニューを前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項2または3に記載の分析装置。
【請求項5】
前記制御手段は、キャリブレーターの測定回数、試薬ブランクの測定回数、精度管理用試料の種別および前記精度管理用試料の測定回数のうち少なくとも一つを設定できる第2の前記キャリブレーション設定メニューを前記表示手段に表示させることを特徴とする請求項2〜4のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記選択手段によって測定実行が選択された場合、前記分析受付が行なわれた検体のうち試薬が不足する検体を示す一覧を作成することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2008−224243(P2008−224243A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−59041(P2007−59041)
【出願日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】