説明

分析装置

【課題】生化学分析項目のためのサンプル採取には繰り返し使用するピペットノズルを用いても、免疫分析項目の分析測定値がサンプル間のキャリオーバによる影響を受けないようにする。
【解決手段】生化学分析項目を分析する分析ユニット200,820へのサンプル採取は、繰り返し使用するピペットノズルを用いる分注装置202,840で行い、免疫分析項目を分析する分析ユニット100,810へのサンプル採取は、ディスポーザブルなノズルチップを用いる分注装置102,830で行う。生化学分析項目と免疫分析項目の両方を分析すべきサンプルを有するサンプル容器は、最初にノズルチップによりサンプル採取され、その後にピペットノズルによりサンプル採取されるように移送される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体サンプルを分析する技術に関係し、特に複数の分注装置を用いて生体サンプルを採取し得るサンプルの分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者由来の血液や尿の如き生体サンプルを分析することは、病態を診断するために広く行われており、自動化された分析装置が病院や臨床検査室にて使用されている。
【0003】
病態診断のためには1台の自動分析装置によって得られる検査結果だけでは不十分である場合が多く、そのような場合には複数の分析装置からの検査データを集める必要がある。特開平9−281113 号公報に記載された分析システムは、1台のシステムで多種類の分析項目を分析できるように構成されている。この特開平9−281113 号公報には、検体ラックの搬送ラインに沿って生化学分析用の複数の分析ユニットを配置しておき、ラック供給部からの検体ラックをいずれかの分析ユニットに立ち寄らせて検体ラック上のサンプルをピペットノズルにより分注するように構成した分析システムが提案されている。
【0004】
また、米国特許第5,470,534 号明細書は、生化学分析計,免疫分析計,核酸分析計などをサンプル容器の搬送路に沿って配置し、同一サンプルを各分析計で測定し得るように構成した分析システムを示している。この例では、第1測定ステージでの分析結果に応じてそのサンプルを第2測定ステージに進めるか否かが決定される。第1測定ステージでは生化学分析項目が分析され、病態の決定のために第2測定ステージへの移行が必要なサンプルは、第2測定ステージにおいて免疫分析計及び/又は核酸分析計により分析される。
【0005】
一方、生体サンプルを自動的に分析する装置では、1本のピペットプローブを用いて次々と多数のサンプルを分注することが一般的であるので、ピペットプローブ上の先のサンプルの残留による後のサンプルの汚染の問題が生ずる。この種のキャリオーバを扱った公知例としては、例えば、特開平4−169851 号公報がある。この例には、同一円周上に形成された反応容器の列を用いて、血液中に通常含まれている成分を測定するような生化学分析項目の分析と、ラテックス粒子の凝集反応を利用した抗原又は抗体を検出するような免疫分析項目の分析とを実行することが示されている。
【0006】
また、この特開平4−169851 号公報は、免疫分析項目の試薬を分注したあとの試薬分注プローブを、十分な洗浄時間をかけて洗浄液で洗浄するか又は洗浄液の吐出量を多くして洗浄すると共に、生化学分析項目用の試薬を分注したあとには、試薬分注プローブを短時間洗浄するか又は洗浄液の吐出量を少なくして洗浄することにより、洗浄液の無駄な消費をなくすということを記載しており、試薬とは別のサンプル分注プローブの場合も、洗浄液の流量の調節により洗浄液の無駄な消費をなくすことが可能である旨を指摘している。
【0007】
生体サンプルを分注する他のタイプとして、ディスポーザブルなノズルチップを用いることが知られている。例えば、特開平8−146010 号公報には、ノズルチップを結合し得る結合管の可動範囲内にチップホルダを設けること、多数のノズルチップが配列されているチップラック上からチップホルダの位置まで可動グリッパによって1本のノズルチップを運搬したあと、チップホルダ上にて結合管の端部にノズルチップを結合すること、結合されたノズルチップ内に吸入したサンプルを反応容器に吐出すること、及びサンプル吐出後にチップ離脱ステーションにてノズルチップを結合管から除去することが示されている。
【0008】
さらに、特開平2−25755号公報は、検体ラックを搬送する搬送ラインの近傍に複数の反応部を配置し、搬送ラインと各反応部との間にバイパスライン及びサンプル希釈部を配置した分析装置を記載している。複数の反応部は、比色法による分析,電極法による分析及び免疫法による分析を行うように構成できることが示唆されている。この例では、検体ラックが搬送ラインに付属されているラックチェンジャによって搬送ラインからバイパスラインに移され、希釈アームがバイパスライン上の検体ラックからサンプル希釈部にサンプルを分注し、別構成の分注アームがサンプル希釈部から反応部にサンプルを分注する。この例では、複数の反応部はサンプル間の相互コンタミネーションを回避する順序となるように配置することが望ましい旨を指摘している。
【特許文献1】特開平2−25755号公報
【特許文献2】米国特許第5,470,534号明細書
【特許文献3】特開平4−169851号公報
【特許文献4】特開平8−146010号公報
【特許文献5】特開平9−281113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
免疫分析項目を測定する方法は、抗原−抗体反応(すなわち、免疫反応)を利用して標識物質を固相に結合させる操作を含むものが多い。そのような方法による免疫分析項目と、化学反応の結果生じた反応液を吸光測定する方法による生化学分析項目とを、分析する必要がある場合、あるいはDNA分析項目と生化学分析項目とを分析する必要がある場合には、分析システム内に複数の分析ユニットを配置し、同じサンプル容器を各分析ユニットのために共通に用いる構成にすることがサンプルの取扱い上便利である。このような分析システムに関係する米国特許第5,470,534 号明細書には、サンプル間のキャリオーバを回避するための対策が何ら記載されていない。また、特開平9−281113 号公報は、複数の分析ユニットを示してはいるが、生化学分析ユニットと免疫分析ユニットを併設すること、あるいは生化学分析ユニットとDNA分析ユニットを併設することを記載していない。
【0010】
特開平4−169851 号公報は、繰り返し使用される同一の分注プローブを生化学分析項目と免疫分析項目の両方に用いて、キャリオーバは洗浄操作だけで回避することを提案しているが、実際的に適用できる洗浄時間や洗浄流量には限りがあるので、極めて微量な残留サンプルが存在しても問題を生ずる免疫分析項目に関し測定値に及ぼすキャリオーバの影響をなくすことは困難である。
【0011】
特開平8−146010 号公報に示されたディスポーザブルなノズルチップを用いる構成によれば、サンプル毎にノズルチップが交換されるので、検体間のキャリオーバの影響の恐れがない。しかしながら、サンプル毎にノズルチップの結合操作及び離脱操作が伴うため、生化学分析項目のように短時間で多量の分析項目を処理しなければならない場合には、十分な処理能力が得られないという点で難点がある。
【0012】
特開平2−25755号公報に示された分析装置では、複数の反応部同士の構成に違いがなく、サンプル間の相互コンタミネーションは各反応部の配置順序だけでもって回避することを意図している。しかしながら、希釈アーム及び分注アームは全検体に対し共通に繰り返し使用されるため、これらのアームが介在されることによって生ずる検体間のキャリオーバを回避することは困難である。
【0013】
本発明の目的は、生化学分析項目のためのサンプル採取には繰り返し使用するピペットノズルを用いても、免疫分析項目の測定値がサンプル間のキャリオーバによる影響を受けないようにすることにある。
【0014】
本発明の他の目的は、生化学分析項目と免疫分析項目を夫々異なる分析ユニットで分析する場合に、生化学分析項目については処理能力を低下させずに済み、免疫分析項目についてはサンプル間のキャリオーバを回避できる分析装置を提供することにある。
【0015】
本発明のもう1つの目的は、繰り返し使用するピペットノズルを用いてサンプルを採取するタイプの分注装置とディスポーザブルなノズルチップを用いてサンプルを採取するタイプの分注装置との両方を用いることによりサンプル間のキャリオーバを回避することを可能にすることにある。
【0016】
本発明の他の目的は、キャリオーバを回避する必要性の高い分析項目と回避の必要性の低い分析項目の両方が分析することを指示されている特定のサンプルを分析するときに、他のサンプルとの間のキャリオーバによる影響を分析結果に与えないように該特定のサンプルを処理することができる分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、サンプルを分析処理する複数の分析ユニットと、前記サンプルを分析項目に応じて前記複数の分析ユニットの内の少なくとも1つに搬送するサンプル搬送装置を備えた分析装置において、前記複数の分析ユニットは、少なくともディスポーザブルなノズルチップを用いる分注装置を有する第1の分析ユニットと、繰り返し使用するピペットノズルを用いる分注装置を有する第2の分析ユニットを含んでおり、前記ノズルチップによるサンプル採取が必要である特定の分析項目を記憶する記憶部を備え、前記特定の分析項目を分析すべきサンプルは、他の分析ユニットへの搬送に先立って前記第1の分析ユニットに搬送され、前記ノズルチップにより前記特定の分析項目のためのサンプル採取を受ける分析装置である。
【0018】
上記において、上記特定の分析項目を指定するための画面を表示する表示装置と、分析することを指示された複数の分析項目の中に上記特定の分析項目が含まれているサンプルを認識し、その認識されたサンプルを有する検体ラックがサンプル採取処理の最初に上記第1の分析ユニットへ搬送されるようにラック搬送装置を制御する制御部を備えても良い。
【0019】
また、上記において、上記表示装置により表示される画面は、複数の分析項目の中から1つ以上の分析項目を選択し得る分析項目選択欄と、選択される分析項目と対応づけてキャリオーバの回避レベルを指示し得るレベル指示欄を有するようにしても良い。
【0020】
また、上記複数の分析ユニットはラック搬送装置の搬送路に沿って配置されており、上記特定の分析項目の分析が不要なサンプルだけを有する検体ラックは、上記複数の分析ユニットの配置順に必要に応じて立ち寄るように搬送されるようにしても良い。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、キャリオーバ回避に対して厳しい分析項目と比較的緩やかな分析項目を測定する際のサンプル間のキャリオーバを好適に回避することができる。また、本発明によれば、サンプル間のキャリオーバを回避する必要性の高い分析項目と回避する必要性の低い分析項目との両方を分析しなればならない特定のサンプルを分析するときに、他のサンプルとの間のキャリオーバによる影響を各分析項目の分析結果に与えないように特定のサンプルを処理することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の望ましい実施例では、血清,血漿又は尿などの生体試料の入ったサンプル容器が、容器ホルダとしての検体ラックに装填された状態で取扱われる。検体ラックは1本以上のサンプル容器を保持できるものであればよいが、以下の実施例では、サンプル容器を5本まで保持し得る例を示す。
【0023】
図1は、本発明を適用した自動分析装置の実施例の概略構成を示す平面図である。図1において、ラック供給装置10は、ラック搬送装置のラック搬送ライン60に、検体ラック2を供給するように動作する。ラック供給装置10は、複数の検体ラックを並べたトレイを載置し得るエリアと、識別読取部15を有する。ラック供給装置10にはサンプルを有する検体ラック2が投入されるので、ラック投入部と称することがある。ラック供給装置に投入された検体ラック2は、既知のラック押出機構により1個ずつラック搬送ライン60の入口側へ押し出される。押し出された検体ラック2は、可動フックの如き移動器により識別読取部15の読取り位置まで移動される。
【0024】
検体ラック2は、例えば直方体状の支持体であって、検体ラックの長さ方向に沿って複数本のサンプル容器5を1列に保持し得るものである。このような検体ラック2には、ラックの種類及びラック番号を含むラック識別情報が符号化されたバーコードのラベルが貼付けされている。また、各サンプル容器5には、容器識別番号,患者コード,診療科コード,サンプル受付番号などの検体情報が符号化されたバーコードラベルが貼付けされている。
【0025】
図1の自動分析装置は、ラック搬送ライン60によって搬送済みの検体ラック2が整然と収納されるラック収納部30を具備している。ラック供給装置10とラック収納部30の間には、ラック搬送ライン60に沿って、電解質項目分析ユニット300,免疫項目又はDNA項目分析ユニット100,生化学項目分析ユニット200及び待機部としての待機ユニット20が、ラック供給装置に近い方からこの順序に配置される。
【0026】
電解質項目分析ユニット300は、ラック搬送ライン60上において、分析ユニット300のサンプル採取位置に停止された検体ラック上から分析ユニット300に内蔵されている希釈容器305へサンプルを分注する分注装置302を有する。この分注装置302は、繰り返し使用するピペットノズル、すなわち異なるサンプルのために共通に使用される分注ノズルを有し、検体ラック上のサンプル容器内のサンプルをピペットノズル内に吸入保持し、その保持した所定量のサンプルを希釈容器305へ吐出する。希釈容器305にて希釈液により希釈されたサンプルは、吸入管(図示せず)によりフローセルへ導かれ、サンプルに含まれるナトリウムイオン,カリウムイオン,塩素イオンなどの電解質成分が、フローセルに配設された各イオン対応のイオン選択電極により測定される。分析ユニット300に内蔵の分析ユニット制御部301は、各イオンの検出信号に基づいて各電解質成分の濃度を求める演算をし、得られた測定値を統括制御部50に報告する。
【0027】
免疫項目又はDNA項目の分析ユニット100は、後述するように、ディスポーザブルなノズルチップを用いており、バイパスライン61のサンプル採取位置に位置づけられた検体ラック上のサンプル容器からノズルチップ内にサンプルを吸入保持し、保持した所定量のサンプルを反応ディスク103上の反応容器へ吐出するように動作する分注装置102を具備する。分注装置102は、サンプルが変更されることに伴ってノズルチップを交換する。例えば、先のサンプルに関し分析ユニット100にて分析すべき分析項目が1つだけである場合には、分注装置102は、先のサンプルのための1回のサンプリング動作後に使用済みノズルチップを除去し、新しいノズルチップを装着する。一方、次のサンプルに関し分析ユニット100にて分析すべき分析項目が3つある場合には、分注装置102は、3個の反応容器への3回のサンプリング動作後に使用済みノズルチップを除去し、その後のサンプルのために新しいノズルチップを装着する。
【0028】
分析ユニット100が免疫分析項目を分析するユニットである場合には、反応ディスク103に採取されたサンプルは、免疫反応用の試薬と混合され、サンプルと試薬の免疫反応の後に、必要に応じてさらなるステップを経て分析項目が測定される。この場合、免疫反応は抗原−抗体反応の同義語である。分析ユニット100がDNA分析項目を分析するユニットである場合には、反応ディスク103に採取されたサンプルが核酸分析用試薬と混合され、ハイブリダイゼーション反応の後に、標識が結合されている部位を制限酵素で切断し、標識の測定に基づいてDNA分析項目の分析結果を得る。
【0029】
サンプルと試薬の免疫反応を利用して免疫分析項目の測定値を得るための1つの態様は、抗体で感作された磁性粒子の如き固相を用いて標識物質を測定する方法である。例えば、サンプル中の分析対象物と固相とを免疫反応によって結合し、その第1複合体に標識物質を有する試薬を免疫反応により結合させた後、固相と液相を分離する。この分離された液相をフローセルに導いて標識物質を蛍光測光や化学発光の測光などにより測定する。あるいは、液相分離後の固相を測光位置に導き、固相上に結合された標識を化学ルミネッセンス法又は電気化学ルミネッセンス法により測定する。分析ユニット100に内蔵されている分析ユニット制御部101は、分析ユニット100内の各機構部の動作制御及び分析項目の測定データの演算などを司どる。
【0030】
生化学項目用の分析ユニット200は、後述するように、繰り返し使用するピペットノズル、すなわち共通に使用される分注ノズルを用いてサンプルを採取する分注装置202を具備する。この分注装置202は、ラック搬送ライン60を経てバイパスライン62のサンプル採取位置に位置づけられた検体ラック上のサンプル容器からピペットノズルの先端付近にサンプルを吸入保持し、保持した所定量のサンプルを反応ディスク203上の反応容器へ吐出するように動作する。反応容器内ではサンプルと試薬の化学反応が進められ、形成された反応液の光学的特性が測定される。この例では、反応液を反応容器内に収容した状態で光学的に反応液を測定し、生化学分析項目の測定値を得る。分析ユニット200に内蔵されている分析ユニット制御部201は、分析ユニット200内の各機構部の動作制御及び分析項目の測定データの演算などを司どる。
【0031】
図1の分析装置において、サンプルを有する検体ラックを搬送するラック搬送装置は、ラック搬送ライン60,分析ユニット100用のバイパスライン61及び分析ユニット200用のバイパスライン62を含む。各バイパスライン61,62はラック搬送ライン60とほぼ平行に形成されており、バイパスラインの上流側においてラック搬送ライン60から検体ラックを受け取り、サンプルの分注処理済みの検体ラックをバイパスラインの下流側においてラック搬送ライン60に引き渡す。ラック搬送ライン60及びバイパスライン61,62上の検体ラックは、ベルトコンベア又は可動フックをモータによって駆動する既知の搬送手段により所定位置に搬送される。
【0032】
サンプルを有する検体ラック2は、複数の分析ユニットの内の少なくとも1つに位置づけられ、該当する分析ユニットにて検体ラック上からサンプルを採取された後、待機ユニット20に搬送される。再検査の可能性がある検体ラックは、再測定の要否が制御部によって判断されるまでの間、待機ユニット20内で待機される。待機ユニット20に入った検体ラックは、u字状に移動される。分析ユニットでの測定結果が検体ラック上の全サンプルについて再測定不要であると判定された検体ラックは、直ちにラック収納部30に収納される。しかし、関連する分析ユニットでの測定結果が再測定を必要とすると判定されたサンプルを有する検体ラックは、待機ユニット20から帰還ライン65へ移され、帰還ライン65によりラック搬送ライン60の入口側へ搬送され、再びラック搬送ライン60に引き渡されて再測定すべき分析ユニットへ搬送されてサンプル採取を受ける。
【0033】
このように、待機ユニット20は、複数の分析ユニットの内のいずれかにてサンプル採取を被った検体ラックを一時的に待機させるが、免疫項目用の分析ユニット100にてサンプル採取を受けた検体ラックは特別に扱う。すなわち、3台の分析ユニット100,200及び300又は、2台の分析ユニット100及び200による分析測定が必要であると指示されているサンプルを特定のサンプルと呼称し、その特定のサンプルを有する検体ラックを特定検体ラックと便宜上呼称した場合、この特定検体ラックは、他の分析ユニットへの搬送に先立って、最初に免疫項目用分析ユニット100へ搬送され、特定のサンプルが分注装置102に結合されたノズルチップによりサンプル採取される。この特定検体ラックは他の分析ユニットに立ち寄ることなく、待機ユニット20へ入れられる。そして、分析ユニット100による測定の結果に対し特定のサンプルの再測定が必要であるとの判定がなされた場合には、待機ユニット20にて待機していた特定検体ラックを帰還ライン65を介してラック搬送装置に引き渡す。
【0034】
再測定用の特定検体ラックは、他の分析ユニットへ立ち寄ることなく、免疫項目用の分析ユニット100へラック搬送装置によって搬送され、再測定のために特定のサンプルが採取される。このとき、分注装置102のノズル結合管には、新しいピペットチップが結合されている。このような動作は、検体ラックに保持されるサンプル容器が1本だけの場合になされ、複数サンプルの場合はそれらのサンプル全体の採取を満足させる必要があるので検体ラックの搬送動作が複雑になる。
【0035】
図1におけるラック供給装置10,待機ユニット20,ラック収納部30,搬送ライン60を含む搬送装置,帰還ライン65の動作は、統括制御部50により制御される。ラック供給装置10の検体ラック及びサンプル容器の識別情報読取装置としてのバーコードリーダ16による読取り結果も統括制御部50に伝達される。統括制御部50は、記憶部51を有し、キーボードを備えた操作部52,画面表示装置としてのCRT53,各サンプルの分析結果を出力するためのプリンタ54、及び分析装置の動作プログラムを記憶しているフロッピーディスクメモリ55などに接続されている。
【0036】
各検体ラック上の各サンプルに対し分析すべき項目は、分析操作の開始前に操作部52から予め指示されており、記憶部51に記憶されているので、統括制御部50はバーコードリーダ16による読取り情報と既に記憶している分析項目情報を照合し、照合結果に基づいて各検体ラックを搬送すべき分析ユニットを決定することができる。
【0037】
図1の例では、免疫分析項目の分析測定用として用いる分析ユニット100及び生化学分析項目の分析測定用として用いる分析ユニット200を、それぞれ1台ずつ配置した例を示しているが、これらの各分析ユニットは、ラック搬送ライン60に沿ってそれぞれ2台以上配置することもできる。
【0038】
次に、免疫分析項目用の分析ユニットの構成例の詳細を図2及び図3を参照して説明する。分析ユニット100は、サンプル採取用の分注装置102,恒温維持機能を有し載置された反応容器105を回転移送し得る反応ディスク103,複数種の試薬を分析項目毎に組合せた試薬ボトル117が円周に沿って配置されており回転自在な試薬ディスク115,試薬を試薬ボトル117から反応ディスク103上の反応容器105へ分注する試薬分注ピペッタ110,反応ディスク103上で形成されたサンプルと試薬の混合液を検出ユニット140内へ導入するシッパ機構130,部品供給エリア135にある未使用の反応容器105及び未使用のノズルチップ125を把持部によって所定位置へ運搬する運搬機構120などを具備する。
【0039】
サンプル採取用の分注装置102は、図3に示すようなディスポーザブルなノズルチップ125を着脱可能に結合し得る連結管104を有する。この連結管104は、吸排機構を有するポンプ系109に連通されており、昇降動作及び水平方向への旋回動作をする可動アーム106に保持されている。
【0040】
分析操作が開始されると、運搬機構120は、部品供給エリア135に置かれているディスポーザブルな未使用の反応容器105を把持部128により把持して反応ディスク103へ運搬し、位置121にて把持を開放して反応ディスクに反応容器を載せる。次いで、運搬機構120は、部品供給エリア135に置かれている未使用のノズルチップ125を把持部128により把持して結合位置107にて把持を開放しノズルチップを載せる。
【0041】
ラック供給装置10からラック搬送ライン60を経て搬送された検体ラック2は、分析ユニット100のバイパスライン61へ移され、サンプル採取位置111へ移動される。分注装置102は、可動アーム106を結合位置107に位置づけ、連結管104を降下して連結管104の先端に未使用のノズルチップ125を嵌合する(図3参照)。次いで、分注装置102は、連結管104を採取位置へ旋回し、ノズルチップ125の先端を検体ラック上のサンプル容器5内のサンプルの液面より僅かに下方まで挿入し、所定量のサンプルをノズルチップ125内に吸入保持する。
【0042】
未使用の反応容器105が位置121から吐出位置112へ移動されているので、分注装置102は、ノズルチップ125内に保持していた所定量のサンプルを、吐出位置112にある反応容器105内へ吐出する。1つのサンプルに対する必要な回数のサンプリングの後、分注装置102は、連結管104を離脱位置108へ移動し、使用済みのノズルチップ125を連結管104から取外す。ノズルチップの除去操作は、連結管104の外径より大きくノズルチップ125の上端の外径より小さい割溝の下面にノズルチップの上端面を当接させ、連結管104を上昇させることにより達成される。取外されたノズルチップは廃棄ボックスに回収される。同一サンプル容器のサンプルに関し分析ユニット100にて分析処理すべき分析項目が複数ある場合は、1本のノズルチップをそれらの分析項目のサンプル採取のために連続して使用した後に、連結管104からノズルチップを取外す。これにより、ノズルチップの消耗数が減ぜられる。
【0043】
サンプルを受け取った反応容器は反応ディスク103により試薬受け入れ位置113へ移動される。試薬分注ピペッタ110は、位置118にてピペットノズル内に固相としての磁性微粒子の分散液を吸入し、試薬受け入れ位置113上の反応容器へ分散液を吐出する。これに伴い、サンプル中の分析対象物である例えば抗原が固相に結合する第1の免疫反応が開始される。所定時間後に再び試薬受け入れ位置113に位置づけられた反応容器に対し、試薬分注ピペッタ110は位置119にてピペットノズル内に吸入した標識物質を含有する試薬を吐出する。これに伴い、反応容器内の分析対象物に標識物質が結合する第2の免疫反応が開始される。試薬分注ピペッタ110のピペットノズルは試薬分注の都度洗浄して使用される。
【0044】
その後、免疫反応の反応液を含む反応容器105は、反応ディスク103により吸引位置114に位置づけられる。シッパ機構130は吸引ノズルを通して吸引位置114の反応容器から反応液を検出ユニット140へ導入する。検出ユニット140では、磁石により磁性粒子が流路の壁面に吸着されている間に、磁性粒子に結合していない物質を含む液相が流れる。これにより、固相と液相の分離がなされる。分離した液相を測定部に導いて、液相中に含まれる標識物質の蛍光又は化学発光を測定する。あるいは、分離場所と測定部を兼用させて、磁性粒子に分析対象物を介在して結合されている標識物質に、化学発光又は電気化学発光を発生させて測定する。その後、シッパ機構130は、洗浄槽131から吸引ノズルを通して洗浄液を吸引し、検出ユニット140の流路内を洗浄する。使用済みの反応容器は、運搬機構により位置121にて反応ディスク103から除去される。
【0045】
次に、図1における生化学分析項目用の分析ユニットの構成例の詳細を、図4を参照して説明する。生化学分析項目を分析処理するための分析ユニット200は、図4に示すように、透光性の反応容器205を同心円状に配列した反応ディスク203を有する。反応ディスク203の恒温浴には恒温水供給装置230から所定温度(例えば37℃)に保たれた水が供給される。試薬供給系は2系列存在し、第1の試薬ディスク215に多数配置された試薬ボトル217の中から分析項目に応じて選択された試薬は、試薬分注ピペッタ210により反応ディスク203上の反応容器205へ分注され、第2の試薬ディスク216に多数配置された試薬ボトル218の中から分析項目に応じて選択された試薬は、試薬分注ピペッタ211により反応ディスク上の反応容器205へ分注される。撹拌装置219は、反応容器内におけるサンプルと試薬の混合物を撹拌する。
【0046】
サンプル採取用の分注装置202は、液体を吸入及び排出し得るピペットノズル225を具備しており、ピペットノズルをバイパスライン62上のサンプル採取位置と反応ディスク203上のサンプル吐出位置204とプローブ洗浄槽207に位置づけることができる。検体ラック2上の1つのサンプルを分注したピペットノズル225は、別のサンプルの採取作業の前に、プローブ洗浄槽207においてピペットノズルの外壁面及び内壁面が洗浄液により洗浄され、多数のサンプルのために繰り返し使用される。
【0047】
反応ディスク203上の反応容器205内で形成されたサンプルと試薬との反応液は、反応容器内に収容されている状態で多波長光源235からの光束を照射される。反応容器を透過した光は多波長光度計240により分光され、分析項目に応じた波長が選択的に検出され、測光信号はアナログ−デジタル変換器245によりデジタル化されて分析ユニット制御部201に入力され演算処理される。測光済みの反応容器は容器洗浄部(図示せず)にて洗浄され、新たなサンプルを受け入れ得るようサンプル吐出位置へ移動される。
【0048】
図4の分析ユニット200において、ラック搬送ライン60を経て搬送されバイパスライン62に移された検体ラック2は、バイパスライン62上のサンプル採取位置に位置づけられる。分注装置202は、サンプル採取位置にあるサンプル容器5内のサンプルの液面より僅かに下方までピペットノズル225の先端を挿入し、ノズル先端付近に所定量のサンプルを吸入保持しピペットノズル225を反応容器列のサンプル吐出位置204へ移動する。そして、吐出位置にある洗浄済みの反応容器205内へノズル内に保持していたサンプルを吐出する。
【0049】
サンプルを受け入れた反応容器205は、反応ディスク203により第1試薬の添加位置まで移動され、試薬分注ピペッタ210により分析項目に該当する第1試薬が分注される。次いで、反応容器内の混合物は撹拌機構219により撹拌され、サンプルと試薬の化学反応が進められる。第2試薬を必要とする分析項目の場合は、さらに第2試薬の添加位置にて試薬分注ピペッタ211により第2試薬が添加される。反応液を収容した反応容器は、測光位置241の光束を横切るように移送され、その際の透過光に基づいて反応液の吸光度が求められ、分析ユニット制御部201によりサンプル中の測定対象物の濃度又は酵素活性値が計算され、統括制御部50の記憶部51に記憶される。
【0050】
次に、図1の実施例における自動分析装置の動作例を図5乃至図7を参照して説明する。分析操作の開始前に、患者由来の各サンプルのために要求されている分析項目が、操作部52を通して入力される。各サンプルは、通常複数の分析項目を分析検査するよう依頼されている。この自動分析装置においてサンプルのキャリオーバ回避の必要性が高い分析項目は、予め設定しておき、統括制御部50の記憶部51に記憶しておく。
【0051】
操作部52から分析条件を設定する旨の指示をすると、画面表示装置であるCRT53に、分析条件設定画面70が表示される。この画面70は、図5に示すように、上方に、ルーチン操作画面呼出しボタン71,試薬管理画面呼出しボタン72,キャリブレーション画面呼出しボタン73,精度管理画面呼出しボタン74、及びユーティリティ画面呼出しボタン75が配置されており、それぞれのボタンをタッチパネル方式により指で押すか、又はマウスなどを操作してポインタでクリックすることにより、該当する画面が中央部に表示される。図5はユーティリティ画面呼出しボタン75を指示して対応画面を呼出した例を示す。分析条件設定画面70の下方にはヘルプボタン76が配置されており、このボタンを指示すると、画面操作のため説明文が表示される。
【0052】
また、分析条件設定画面70の左右いずれかのエリアには、分析装置の停止指示ボタン81,分析操作中におけるサンプリング動作の停止指示ボタン82,アラーム画面の呼出しボタン83,各分析ユニット及びラック搬送の状態を示す画面の呼出しボタン84,プリンタ54への印刷指示ボタン85,分析装置の始動指示ボタン86などが配置されている。上述した各ボタンは、分析条件設定画面70が表示されている間は常時表示される。
【0053】
今、ユーティリティ画面呼出しボタン75を選択すると、表示エリア150には、システム151,メンテナンス152,アプリケーション153,計算項目154,キャリオーバ155,報告書156,ユニット構成157の各画面呼出しボタンが出現すると共に、追加指示ボタン161,フロッピーディスクメモリへのデータベースの書込指示ボタン162,削除指示ボタン163,フロッピーディスクメモリからの読込み指示ボタン164が出現する。この状態で、アプリケーション画面呼出しボタン153を選択すると、複数の分析項目とサンプル種別を示す一覧リスト170が出現すると共に、詳細な画面呼出しボタン171〜174が出現する。
【0054】
さらに、詳細画面呼出しボタンの内、分析のボタン171を選択すると、表示エリア180内に、図5に示すような画面が出現する。すなわち、検体量設定欄181,試薬分注量設定欄182,サンプル間のキャリオーバ回避レベルの設定欄183及び格納指示ボタン184が表示される。
【0055】
図5の画面において、一覧リスト170に表示されている分析項目は、TSHが甲状腺刺激ホルモン(THYROTROPIN)であり、T4がサイロキシン(THYROXINE)であり、FT4が遊離サイロキシン(FREE THYROXINE)であり、T3がトリヨードサイロニン(TRI-IODOTHYRONINE)であり、CEAが胎児性癌抗原(CARCINO- EMBRYONIC ANTIGEN)であり、HCGが妊婦尿性腺刺激ホルモン(HUMAN CHORIONICGONADOTROPIN)であり、TNTがトロポニンT(TROPONIN T)であり、HBsAgがB型肝炎表面抗原(HEPATITIS B SURFACE ANTIGEN)であり、a−HBsがB型肝炎表面抗原の抗体である。因にこれらはいずれも免疫分析項目である。
【0056】
今、一覧リスト170の分析項目の内、HBsAgを選択しておき、検体量設定欄181においてサンプル採取量として、30μlを入力し、試薬分注量設定欄182において第1試薬R1の添加量として70μlを、第2試薬R2の添加量として60μlを、ビーズ試薬の添加量として40μlを夫々入力したものとする。また、キャリオーバ回避レベルの設定欄183において「高」及び「低」の内の「高」のレベルを選択指示したものとする。高,低のレベル選択は、レベル選択ボタン187でなされる。次いで、格納指示ボタン184を選択すると、HBsAgの分析項目に関し、検体量及び試薬分注量と共に、サンプル間のキャリオーバの回避レベルが分析項目に対応づけられて指示されたことになり、記憶部51に記憶される。
【0057】
次いで、一覧リスト170に表示された別の分析項目を選択し、同様にして検体量,試薬分注量、及びキャリオーバ回避レベルを該当項目に応じて設定することにより、これらの条件を次々と設定することができる。また、一覧リスト170の中から複数の分析項目を選択し、共通のキャリオーバ回避レベルを指示し得るように構成することにより、複数の分析項目に対してキャリオーバ回避レベルを一括して指示することが可能になる。
【0058】
キャリオーバ回避レベルの設定欄183において「高」のレベルは、サンプル採取をサンプル間のキャリオーバがない条件下で実行させるものであり、具体的には、サンプル毎に新しいものに交換されるディスポーザブルなノズルチップを用いる分注装置によりサンプル採取を実行するように統括制御部50が該当する検体ラックの搬送先を制御する。「高レベル」が特定の分析項目について指示された場合、記憶部51は、ディスポーザブルなノズルチップによる分注が必要である特定の分析項目を記憶することになる。これに対し、「低」のレベルは、洗浄することにより多数のサンプルのために繰り返し使用するピペットノズルを有する分注装置を用いてサンプル採取を実行してもよいとの指示であり、これに該当する分析項目は、図1における分析ユニット200及び/又は分析ユニット300にて分析測定することが可能である。
【0059】
図5のような設定画面により設定された分析条件は、その後に条件が変更されない限り各分析項目に対応して継続して使用される。したがって、患者サンプルの検査依頼がなされたときに、後述する分析項目の入力があれば、図5で設定した分析条件が自動的に適用される。
【0060】
このように、図1の分析装置においては、サンプル同士のキャリオーバの回避の特別な必要性がある、すなわち「高」のレベルであるとして指示された分析項目は、その指示情報が記憶部に記憶される。そして、その後の新たな分析条件設定のために既指示分析項目と同じ分析項目が分析条件設定画面70を通して選択されたときには、記憶されている情報、すなわちキャリオーバ回避の必要性がある旨の情報が表示装置に出力されるように動作する。図5の例の場合は、分析項目を選択すれば、設定欄183に「高」が表示される。
【0061】
次に、毎日の分析作業開始時のオペレータの作業について説明する。分析条件設定画面70においてルーチン操作画面呼出しボタン71を選択すれば、表示エリア150に図6のような項目選択画面がCRT53に表示される。この画面においては、検体種別の選択欄251,検体番号入力欄252,患者識別番号入力欄253,サンプルカップの種類の選択欄254,分析項目選択エリア255,前検体指示ボタン256,後検体指示ボタン257,登録指示ボタン258が表示される。これらの内、分析項目選択エリア255は、5ページ分の予約登録機能を有しており、各々のページに24個の項目入力欄又は分析項目選択欄を有する。前検体指示ボタン256を選択した場合には、現在表示されているサンプルの1つ前のサンプルに関する分析項目情報が現在の表示内容に代って表示される。後検体指示ボタン257を選択した場合は、現表示サンプルの1つ後のサンプルに関する分析項目情報が表示される。
【0062】
なお、図6の画面は、分析項目選択エリア255の第1頁目で選択した分析項目を示したものである。表示されている分析項目は、ASTがアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(ASPARATATE AMINOTRANSFERASE)であり、ALTがアラニンアミノトランスフェラーゼ(ALANINE AMINOTRANSFERASE)であり、IPが無機りん(INORGANIC PHOSPHORUS)であり、TPが総蛋白(TOTAL PROTEIN)でありAlbがアルブミン(ALBUMIN)であり、LDが乳酸デヒドロゲナーゼ(LACTATE DEHYDROGENASE)であり、UAが尿酸(URIC ACID)であり、CREがクレアチニン(CREATININE)であり、Naがナトリウムイオンであり、Kがカリウムイオンである。
【0063】
図6は、検体番号が1番の血清サンプルに関し、第1頁目に分析すべき生化学分析項目を10項目選択した例である。また、図7は、同じ検体番号のサンプルに関し、分析項目選択エリア255の第2頁目に分析すべき免疫分析項目を7項目選択した例である。同一サンプルについて検査依頼されている全ての分析項目の入力が終った後、登録指示ボタン258を選択することにより、該当サンプルに関する複数の分析項目の分析測定予約がなされ、記憶部51に記憶される。この登録操作により表示エリア150の画面が更新されるので、次の検体番号のサンプルに関する分析項目の選択を行うことができる。かくして、オペレータは検査依頼された全サンプルについて次々と分析項目の選択作業を実行する。図6及び図7の例では、検体番号が1番のサンプルについて17の分析項目の登録がなされたことになる。
【0064】
分析条件設定画面70の試薬管理画面呼出しボタン72を選択すれば、図1の分析装置における各分析ユニットに対して分析測定させるべき分析項目の設定画面が表示される。このような各分析ユニットへの分析項目の割り当ては、図6の如きサンプル毎の依頼分析項目の入力作業に先立って予め実行されている。各分析ユニットにどの分析項目を処理させるかを割り当てる場合には、図5において設定されたサンプル間のキャリオーバ回避のレベルが反映される。つまり、「高」レベルの分析項目は、ディスポーザブルなノズルチップを用いる分注装置を有する分析ユニット100に割り当てられる。
【0065】
一方、ルーチンワークの際に、各サンプル毎に分析すべき項目を指示するときには、分析項目とキャリオーバ回避のレベルの関係及び各分析ユニットに割り当てられた分析項目が、既に自動分析装置の制御部に登録されているので、制御部は、例えば検体番号1番のサンプルに関する依頼分析項目を照合し、このサンプルが複数の分析ユニットの内のどの分析ユニットで分析処理させるかを判定する。因に、検体番号1番のサンプルは、電解質成分が分析ユニット300に、免疫分析項目が分析ユニット100に、生化学分析項目が分析ユニットに関係するので、図1の構成例の場合には全ての分析ユニットで分析処理されることになる。
【0066】
図5〜図7のような画面を通して各分析項目のための分析条件を設定する場合には、分析条件を設定すべき分析項目を選択するための画面を表示装置に表示し、画面上で選択された分析項目に対しサンプル間のキャリオーバの影響を回避する必要性があることを指示し得る指示欄を表示装置に表示する。その後、表示装置を通してキャリオーバを回避する必要性があることを指示された分析項目及び回避の必要性があることを指示されていない分析項目を分析すべきサンプルが、分析ユニット100,200,300などの分析部に採取されるときに、回避の必要性を指示されている分析項目のサンプル採取の終了後に回避の必要性を指示されていない分析項目のサンプル採取を実行する。
【0067】
次に、図1の自動分析装置によるサンプルの取扱い例を説明する。ここでは、便宜上、ラック供給装置10からラック搬送ライン60へ最初に供給される第1検体ラックには、電解質分析項目及び生化学分析項目を分析測定する単一のサンプルが保持されており、2番目に供給される第2検体ラックには、電解質分析項目,免疫分析項目及び生化学分析項目を分析測定する単一のサンプルが保持されているものと仮定する。同一検体ラックに複数のサンプルが装填されている場合には、その検体ラックは全サンプルに関係する分析項目のサンプル採取が実行されるように搬送ルートが定められる。
【0068】
ラック供給装置10から搬送装置入口側へ押し出された第1検体ラックは、識別読取部15の読取り位置に位置づけられ、サンプル容器に付されているバーコードラベルのサンプル情報をバーコードリーダ16により読取る。統括制御部50は、読取られた情報を該サンプルに対し指示されている分析条件の情報と照合し、その照合結果に基づいて、ノズルチップによるサンプル採取が必要である特定の分析項目がないことを認識すると共に、各分析ユニットに割り当てられている分析項目に該当する依頼分析項目を認識し、第1検体ラックが立ち寄るべき分析ユニットを決定する。
【0069】
第1検体ラックは免疫項目用の分析ユニット100による分析が不要なサンプルだけを有するので、ラック供給装置10に近い側から配置されている電解質項目用の分析ユニット300に立ち寄った後に、生化学項目用の分析ユニット200に立ち寄るように搬送することが統括制御部50により決定される。つまり、この場合の検体ラックは、複数の分析ユニットの配置順に、必要に応じて立ち寄るように搬送される。分析ユニット200及び分析ユニット300は、いずれも、繰り返し使用するピペットノズルを用いる分注装置を有する分析ユニットである。
【0070】
識別情報が読取られた第1検体ラックは、電解質項目用の分析ユニット300のサンプル採取位置に移動され、分注装置302により、検体ラック上のサンプルの一部が吸入され受け入れ容器としての希釈容器305に吐出される。分析ユニット300でのサンプル採取を終えた第1検体ラックは、免疫項目用の分析ユニットに立ち寄ることなく、生化学項目用の分析ユニット200へ搬送される。
【0071】
第1検体ラックは、バイパスライン62の入口で一時停止され、続いてバイパスライン62に移され、バイパスライン62上のサンプル採取位置に位置づけられる。分注装置202は、ピペットノズル225により、第1検体ラック上のサンプル容器内のサンプルを、分析すべき複数項目数に対応した数の反応容器205にピペッティングする動作を繰り返す。予定の分析項目数のサンプル採取が済めば、第1検体ラックはラック搬送ライン60へ移され、次いで待機ユニット20内へ搬送される。
【0072】
各分析ユニットによる分析測定の結果が、再測定不要であると制御部により判定された場合は、第1検体ラックは待機ユニット20から出てラック収納部30に収納される。もしも、分析ユニット200による分析測定結果が、1つ以上の分析項目について再測定が必要であると制御部により判定された場合は、待機ユニット20内で待機していた第1検体ラックが帰還ライン65に移され、搬送ライン60の入口側へ搬送され、次いで搬送ラインによって再度分析ユニット200に搬送される。そして、再測定のための分析項目に対応する数だけサンプル採取された後、第1検体ラックは搬送ライン60を経てラック収納部30に収納される。第1検体ラック上のサンプルに関する分析ユニット200及び300による分析結果は、CRT53及びプリンタ54に出力させることができる。
【0073】
第1検体ラックが処理途中である内に、第2検体ラックをラック供給装置10からラック搬送装置の入口側へ供給することができる。識別読取部15の読取り位置に移動された第2検体ラックは、バーコードリーダ16によりサンプル容器外壁にバーコードとして表示されたサンプル情報が読取られる。制御部は、分析条件設定情報と操作部52から入力又は選択された指示情報と読取り情報を、第2検体ラック上のサンプルに関して照合し、第2検体ラックが立ち寄るべき分析ユニットを決定する。第2検体ラックに保持された生体サンプルは、電解質分析項目,免疫分析項目及び生化学分析項目を分析測定するよう指示されているので、図1の構成例では第2検体ラックは3つの分析ユニット100,200及び300に立ち寄ることが決定される。
【0074】
この場合、制御部は、分析することを指示された複数の分析項目の中に、ディスポーザブルなノズルチップによる分注が必要である特定の分析項目が含まれることを認識し、その分注を実行し得る分析ユニット100に第2検体ラックを最初に搬送することを決定する。この決定に基づいて、制御部は、他の分析ユニットへの搬送に先立って分析ユニット100へ第2検体ラックを搬送するようにラック搬送装置の動作を制御する。分析ユニット100に割り当てられる分析項目は、免疫分析項目だけに限られるのではなく、生化学分析項目であっても図5に示したようなサンプル間のキャリオーバ回避レベル「高」であると設定された分析項目であれば、その分析項目のためにサンプル採取する。
【0075】
識別読取部15にあった第2検体ラックは、上述した搬送順序の決定に基づいて、ラック供給装置に最も近い分析ユニット300に立ち寄ることなく、ラック搬送ライン60を経て配列順が2番目の分析ユニット100に対応するバイパスライン61へ搬入され、バイパスライン61上のサンプル採取位置に位置づけられる。分注装置102は、連結管104に未使用のディスポーザブルなノズルチップ125を結合し、指示されている分析項目の数に相当する反応容器105へ第2検体ラック上の同一サンプルの分注操作を繰り返す。ノズルチップによるサンプル採取を受けた第2検体ラックは、バイパスライン61からラック搬送ライン60へ移され、配列順が3番目の分析ユニット200に立ち寄ることなく、待機ユニット20に搬送される。
【0076】
第2検体ラックが待機ユニット20にて一時的に待機している間に該当サンプルに関する分析ユニット100による分析測定結果が得られる。制御部は、分析ユニット100による分析測定結果に基づいて、それぞれ測定された分析項目について再測定の要否を判定する。いずれの分析項目に対しても再測定が不要であるという判定結果が出た場合には、待機ユニット20にて待機していた第2検体ラックは帰還ライン65に移され、帰還ライン65によりラック搬送ライン60の入口側へ搬送される。次いで、第2検体ラックは、電解質項目用の分析ユニット300に立ち寄って、分注装置302のピペットノズルによる特定サンプルの採取を受ける。次いで、第2検体ラックは、分析ユニット100に立ち寄ることなく、配列順が3番目の分析ユニット200へ搬送され、バイパスライン62上のサンプル採取位置に位置づけられ、分注装置202のピペットノズル225による特定サンプルの採取を受ける。
【0077】
分析ユニット300及び分析ユニット200におけるサンプル採取を受けた第2検体ラックは、待機ユニット20に搬送され、一時的に待機する。そして、第2及び第3の分析ユニットによる分析測定結果に基づいて再測定の要否が判定され、再測定不要であればラック収納部30に収納されるが、再測定が要の場合は、帰還ライン65を経て再び分析ユニット300及び/又は分析ユニット200に搬送されて再測定のためのサンプル採取を受ける。その後、第2検体ラックはラック収納部30に搬送され収納される。
【0078】
一方、免疫項目用の分析ユニット100による分析測定結果に基づいて、いずれかの分析項目に対し再測定が必要であるとの判定結果が出た場合は、制御部は第2検体ラックを以下のように搬送処理させる。すなわち、特定のサンプルを保持している第2検体ラックを、待機ユニット20から帰還ライン65に引き渡し、帰還ライン65によりラック搬送ライン60の入口側へ搬送し、ラック搬送ラインに引き渡す。ラック搬送ライン60は、第2検体ラックを分析ユニット300に立ち寄らせることなく、分析ユニット100に対応するバイパスライン61に搬送する。この時点で、第2検体ラックは、他の分析ユニット200及び300によるサンプル採取が実行されていない。
【0079】
分析ユニット100の分注装置102は、バイパスライン61上のサンプル採取位置に位置づけられた第2検体ラック上の特定のサンプルを、再測定が必要であると判定された分析項目の再測定のために、反応ディスク103上の反応容器105へ新たなディスポーザブルなノズルチップを用いて分注する。
【0080】
再測定のためのサンプル採取が済んだ第2検体ラックは、一旦、ラック搬送ライン60に移され、直ちに分析ユニット200に対応するバイパスライン62へ搬送される。そして、分注装置202のピペットノズル225による1回目のサンプル採取を受ける。特定のサンプルに関するサンプル採取を受けた第2検体ラックは、ラック搬送ライン60を経て帰還ライン65に移され、その後ラック搬送ライン60に引き渡され、分析ユニット300へ搬送される。そして、分注装置302のピペットノズルによる特定のサンプルに関する1回目のサンプル採取を受ける。
【0081】
あるいは、分析ユニット100に関する再測定のためのサンプル採取を終えたときに、第2検体ラックはラック搬送ライン60に移された後、引き続いて帰還ライン65に移され、ラック搬送ライン60の入口側から搬送され、分析ユニット300にて、次いで分析ユニット200にて、それぞれ特定のサンプルに関するサンプル採取を受けるように制御することもできる。いずれにしても、分析ユニット200及び300によるサンプル採取を受けた第2検体ラックは、待機ユニット20に搬送され、それらの分析ユニットによる再測定の要否が判定されるまで一時的に待機する。再測定の要否判定後の第2検体ラックに関する搬送動作は、既に述べたものと同様である。
【0082】
患者サンプルによっては、図1の3台の分析ユニットの内の1つだけの分析、免疫と生化学の2台の分析ユニットによる分析、あるいは免疫と電解質の2台の分析ユニットによる分析で済むものがある。分析ユニット100と分析ユニット200又は300により分析測定するサンプルの場合は、まず分析ユニット100でサンプル採取した後、再測定のためのサンプル採取を同じ分析ユニット100で実行し、その後に、他の分析ユニット200又は300にて同一サンプル容器内のサンプルの採取操作がなされるように構成される。
【0083】
このように、図1の実施例装置においては、ディスポーザブルなノズルチップを用いる分注装置を有する分析ユニットでのサンプル採取が完了した後に、洗浄して繰り返し使用するピペットノズルを用いる分注装置を有する分析ユニットにより同一サンプル容器内のサンプルの採取を実行するように構成したので、サンプル間のキャリオーバの影響を厳しく避けなければならない分析項目を高い信頼性を維持して分析測定することができる。また、サンプル間のキャリオーバの影響をそれほど強く受けない分析項目は、繰り返し使用するピペットノズルを用いる分注装置によりサンプル採取するので、分析装置全体としての処理能力をそれほど低下させずに済む。なぜなら、ディスポーザブルなノズルチップを用いる必要がある項目に比べて、ピペットノズルで済む分析項目の方が圧倒的に多数であるからである。
【0084】
次に、本発明に基づく他の実施例の構成を図8を参照して説明する。図8の生体サンプル分析用の自動分析装置は、サンプル容器移送装置800と、免疫分析項目を分析測定する第1の分析ユニット810と、生化学分析項目を分析測定する第2の分析ユニット820を具備する。サンプル容器移送装置800は、サークル状に多数のサンプル容器802を保持し得る回転自在なサンプルディスク801を有する。
【0085】
第1の分注装置830は、ディスポーザブルなノズルチップをサンプル毎に交換して用いる分注装置である。第2の分注装置840は、洗浄して繰り返し使用するピペットノズルを用いる分注装置である。第1の分析ユニット810は、反応ディスク811上に多数の反応容器812を交換可能に配列することができ、使用済みの反応容器を未使用の反応容器に入れ替えるための反応容器交換装置813を具備する。反応ディスク811上の反応容器812には、試薬供給部816から免疫分析項目に応じた必要な試薬が分注される。
【0086】
第1の分注装置830は、チップ連結管にチップ供給装置814上にてディスポーザブルな未使用のノズルチップを結合し得る。使用済みのノズルチップは、連結管から除去され廃棄ボックス815に廃棄される。第1の分析ユニット810は、免疫反応後の反応液又は固相を測定する測定部を備える。第2の分析ユニット820における反応ディスク821は、透光性の反応容器822の列を有する。それらの反応容器822には、試薬供給部826から生化学分析項目に応じた必要な試薬が分注される。第2の分析ユニット820は、化学反応後の反応液の光学的特性を測定する測定部を備える。
【0087】
図8の自動分析装置において、免疫分析項目と生化学分析項目の両方を分析測定する必要がある特定のサンプルは、1つの特定のサンプル容器802に収容されているものとする。そのような特定のサンプルに対し分析開始するときは、該当する特定サンプル容器がサンプルディスク801によってサンプル採取位置aに位置づけられる。そして、未使用のノズルチップを結合した第1分注装置830により特定サンプルの一部をノズルチップ内に吸入し、反応ディスク811上の反応容器812へ吐出する。反応容器内では試料と試薬の免疫反応が進められ、分析対象の免疫分析項目が測定される。
【0088】
上述の特定サンプル容器に対する第1分注装置によるサンプル採取が終了した後に、同じサンプル容器がサンプル採取位置bに位置づけられ、第2分注装置によるサンプル採取が実行されるようにプログラムされている。反応ディスク821上の反応容器822に第2分注装置のピペットノズルにより分注された特定のサンプルは、反応容器内で試薬との化学反応が進められ、形成された反応液の測光に基づいて生化学分析項目が測定される。
【0089】
図8に示す実施例によっても、生化学分析項目と免疫分析項目の両方を測定できるが、免疫分析項目の分析測定値は、サンプル間のキャリオーバの影響を受けない。生化学分析項目と免疫分析項目を測定する場合に、ディスポーザブルなノズルチップを用いる分注装置と繰り返し使用するピペットノズルを用いる分注装置を同一サンプル容器のサンプルに適用し、ディスポーザブルなノズルチップによる分注操作をピペットノズルの使用に先立って実行させることにより、キャリオーバを極度に嫌う分析項目に対してはピペットノズルが介在することによって生ずるサンプル間のキャリオーバを回避でき、生化学分析項目に対しては共通的に使用されるピペットノズルをサンプル採取のために用いることを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明に基づく一実施例の概略構成を示す平面図。
【図2】図1における免疫分析項目用の分析ユニットの拡大平面図。
【図3】図2の分析ユニットにおける分注装置の動作を説明するための図。
【図4】図1における生化学分析項目用の分析ユニットの拡大斜視図。
【図5】検体量,試薬分注量及びキャリオーバ回避レベルを設定する画面の説明図。
【図6】サンプル毎の指定分析項目を選択する画面例を示す図。
【図7】図6のものと同じサンプルに対する指定分析項目を選択する画面例の図。
【図8】本発明に基づく他の実施例の概略構成を示す図。
【符号の説明】
【0091】
2…検体ラック、5,802…サンプル容器、10…ラック供給装置、20…待機ユニット、30…ラック収納部、50…統括制御部、60…ラック搬送ライン、61,62…バイパスライン、65…帰還ライン、70…分析条件設定画面、100,200,300,810,820…分析ユニット、101,201,301…分析ユニット制御部、102,202,302…分注装置、104…連結管、105,205,812,822…反応容器、125…ノズルチップ、800…サンプル容器移送装置、830…第1分注装置、840…第2分注装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
サンプルを分析処理する複数の分析ユニットと、前記サンプルを分析項目に応じて前記複数の分析ユニットの内の少なくとも1つに搬送するサンプル搬送装置を備えた分析装置において、
前記複数の分析ユニットは、少なくともディスポーザブルなノズルチップを用いる分注装置を有する第1の分析ユニットと、繰り返し使用するピペットノズルを用いる分注装置を有する第2の分析ユニットを含んでおり、前記ノズルチップによるサンプル採取が必要である特定の分析項目を記憶する記憶部を備え、前記特定の分析項目を分析すべきサンプルは、他の分析ユニットへの搬送に先立って前記第1の分析ユニットに搬送され、前記ノズルチップにより前記特定の分析項目のためのサンプル採取を受けることを特徴とする分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−249726(P2008−249726A)
【公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−150573(P2008−150573)
【出願日】平成20年6月9日(2008.6.9)
【分割の表示】特願2001−49560(P2001−49560)の分割
【原出願日】平成11年6月10日(1999.6.10)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】