説明

分析装置

【課題】試料中の塩素、硫黄および窒素の量を測定する分析装置であって、1回分の分析試料を使用して1回の操作で3つの分析が可能で且つ高い分析精度が得られる分析装置を提供する。
【解決手段】分析装置は、試料ガス供給機構(1)、塩素分析機構(2)、硫黄分析機構(3)及び窒素分析機構(4)を順次に配置して構成される。試料ガス供給機構(1)は、試料が装入され且つ酸素が供給される反応管(10)及び加熱炉(13)を備え、試料中の塩素、硫黄および窒素を塩化水素、二酸化硫黄および一酸化窒素に変換して試料ガスとして回収する。塩素分析機構(2)は、試料ガス中の塩化水素を電量滴定する滴定セル(22)を備え、硫黄分析機構(3)は、試料ガス中の二酸化硫黄の蛍光強度を測定する紫外蛍光検出器(31)を備え、そして、窒素分析機構(4)は、オゾン発生器(41)及び化学発光検出器(42)を備え、化学発光強度を測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分析装置に関するものであり、詳しくは、1回分の分析試料を使用して当該試料中の微量の塩素、硫黄および窒素を高精度に測定する分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塩素、硫黄、窒素の分析は、例えば、河川水、湖沼水などの環境水や各種の工場排水の水質、あるいは、ディーゼル燃料、オイル、ガソリン等の石油類などの品質を評価する際に行われる。試料中の微量の塩素、硫黄、窒素の分析においては、より効率的に分析を行うため、昨今、複数の機能を備えた1つの分析装置が使用されている。
【0003】
上記の様な分析を行う多機能の分析装置としては、酸素を供給しながら反応管の試料を加熱し、試料中の塩素を塩化水素に、硫黄を二酸化硫黄に、窒素を一酸化窒素にそれぞれ変換した後、試料ガスを硫黄検出器/窒素検出器、または、塩素検出用のクーロメーターセルに導入する様にした分析装置が挙げられる。上記の硫黄検出器は、得られた試料ガス中の二酸化硫黄濃度を紫外線蛍光式センサーで測定する方式のものであり、窒素検出器は、得られた試料ガス中の一酸化窒素と別途供給されたオゾンとの反応で生じる化学発光の強度を測定する方式のものであり、そして、クーロメーターセルは、得られた試料ガス中の塩化水素を滴定セルにより電量滴定する方式のものである。なお、硫黄検出器/窒素検出器への試料ガスの送気と、クーロメーターセルへの試料ガスの送気は、切替弁の操作により流路を選択する様になされている。
【0004】
【非特許文献1】Analytikjena AG、カタログ“multi EA 3100”、[online]、[平成18年9月22日検索]、インターネット〈http://www.analytik-jena.de/frontend/files.php?dl_mg_id=2338&file=dl_mg_1153236833.pdf〉
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記の多機能の分析装置においては、反応管の試料を加熱して得られる試料ガスを流す流路が異なるため、塩素、硫黄および窒素を分析する場合、1回分の試料を使用して硫黄分析と窒素分析を行い、異なる1回分の試料を使用して塩素分析を行う必要がある。すなわち、3つの元素を分析するには少なくとも2回の分析操作を行わなければならない。勿論、装置の運転途中に流路を切り替えることも出来るが、その場合も、少なくとも2回分に相当する量の試料を準備しなければならない。もっとも、1回分の量の試料を使用し、硫黄検出器/窒素検出器とクーロメーターセルとに分割して試料ガスを送気することも出来るが、その場合は、試料ガスの量が少なくなる結果、分析精度が低下する虞がある。
【0006】
本発明は、多機能の分析装置における上記の実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、試料中の塩素、硫黄および窒素の量を測定する分析装置であって、1回分の分析試料を使用して1回の操作で3つの分析が可能で且つ高い分析精度が得られる分析装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明においては、塩素、硫黄および窒素に対する各分析手段を特定し、かつ、これら分析手段を特定の順番に配置することにより、1回分の分析試料から得られた試料ガスを前記の分析手段に順次に流し、塩素、硫黄および窒素の各分析をそれぞれ1回分の量で分析できる様にした。
【0008】
すなわち、本発明の要旨は、試料中の塩素、硫黄および窒素の量を測定する分析装置であって、試料ガス供給機構、塩素分析機構、硫黄分析機構および窒素分析機構から主として構成され、前記試料ガス供給機構は、試料が装入され且つ酸素が供給される反応管と、当該反応管を加熱する加熱炉とを備え、当該加熱炉による加熱により前記反応管内の試料を燃焼させ、試料中の塩素、硫黄および窒素をそれぞれ塩化水素、二酸化硫黄および一酸化窒素に変換して試料ガスとして回収する機能を有し、前記塩素分析機構は、酢酸を含む電解液が収容され且つ前記反応管から回収された試料ガス中の塩化水素を電量滴定する滴定セルを備え、前記硫黄分析機構は、前記滴定セルから回収された試料ガスに紫外線を照射し且つ試料ガス中の二酸化硫黄の蛍光強度を測定する紫外蛍光検出器を備え、前記窒素分析機構は、オゾン発生器および化学発光検出器を備え、前記紫外蛍光検出器から回収された試料ガス中の一酸化窒素と前記オゾン発生器で生成されたオゾンとの反応による化学発光強度を前記化学発光検出器によって測定する様になされていることを特徴とする分析装置に存する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の分析装置によれば、試料ガス供給機構で試料から得られた試料ガスを分割することなく塩素分析機構、硫黄分析機構および窒素分析機構に順次に送気し、試料ガスの全量を使用して塩素、硫黄および窒素の各分析を行うため、1回分の量の分析試料を使用して1回の操作で3つの分析を行うことが出来、高い分析精度を得ることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明に係る分析装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の分析装置の主な構成を模式的に示すフロー図である。
【0011】
本発明の分析装置は、試料中の塩素、硫黄および窒素の量を測定する分析装置であり、図1に示す様に、試料ガス供給機構(1)、塩素分析機構(2)、硫黄分析機構(3)及び窒素分析機構(4)から主として構成される。本発明の分析装置においては、後述する試料ガス供給機構(1)の試料装入手段を選択することにより、河川水、湖沼水などの環境水、工場排水、ディーゼル燃料、オイル、ガソリン等の石油類などの液体試料の他、各種の個体試料、気体試料について分析することが出来る。
【0012】
試料ガス供給機構(1)は、上記の様な試料から塩化水素、二酸化硫黄、一酸化窒素を含む試料ガスを回収する機構であり、試料が装入され且つ酸素が供給される反応管(10)と、当該反応管を加熱する加熱炉(13)とを備え、当該加熱炉による加熱により反応管(10)内の試料を燃焼させ、試料中の塩素、硫黄および窒素をそれぞれ塩化水素、二酸化硫黄、一酸化窒素に変換して試料ガスとして回収する機能を有する。
【0013】
反応管(10)は、試料導入用の内管(11)及び酸素が供給される試料ガス回収用の外管(12)から成る二重管構造を備えている。内管(11)は、長軸の円筒管の頭部に例えば液体試料を装入するための試料装入手段としてのシリンジ構造の試料注入装置(14)を設けて構成される。試料装入手段としては、固体試料の場合はボートにより内管(11)に自動装入する装置が使用される。
【0014】
内管(11)は、外管(12)の内周面との間に気体通過用の隙間を確保するため、外管(12)の内径よりも小さな外径で且つ外管(12)の深さよりも短い長さに設計される。例えば、内管(11)の直径は20〜40mm程度とされ、内管(11)の長さは100〜200mm程度とされる。そして、内管(11)の上部には、燃焼促進用の酸素および移送用のアルゴン等の不活性ガスを導入するためのキャリアガス供給流路(51)が接続される。
【0015】
外管(12)は、上端が封止された長軸の有底円筒状の管で構成される。例えば、外管(12)の直径は30〜50mm程度とされ、外管(12)の長さは300〜450mm程度とされる。外管(12)の上部には、試料燃焼用の酸素を導入するための酸素供給流路(52)が接続され、外管(12)の底部には、燃焼によって得られた試料ガスを取り出すための流路(61)が接続される。また、流路(61)の外周には、試料ガスを完全に酸化させるため、配管加熱用ヒーター(15)が付設される。
【0016】
加熱炉(13)は、上記の反応管(10)を加熱するための加熱手段であり、通常、反応管(10)を挿入する反応管装入穴が中心に設けられた電気炉で構成される。具体的には、加熱炉(13)は、円筒状のケーシング内に保温材を収容し、かつ、保温材の内部に複数のヒーターを埋設して構成される。保温材は、セラミックファイバー、または、セラミックファイバーとアルミナファイバーの混合繊維から成る円柱状の成形体であり、その中心線に沿って上記の反応管装入穴が設けられている。
【0017】
上記のヒーターとしては、例えば、カンタル発熱体、ニクロム発熱体、シルバー発熱体などを金属管に収容して成るシーズドヒーターが使用される。そして、斯かるヒーターは、その表面が反応管装入穴に露出する状態で当該反応管装入穴の周囲に配置される。例えば、ヒーターの数は10〜12本程度とされ、合計出力は1kW程度に設定される。そして、試料ガス供給機構(1)においては、反応管(10)の温度が所定の温度となる様に、反応管(10)の温度を検出してこれらヒーターへの通電を制御する様になされている。
【0018】
上記の試料ガス供給機構(1)においては、試料装入手段である試料注入装置(14)から試料が装入され、キャリアガス供給流路(51)から供給された酸素および不活性ガス(アルゴン)によって前記の試料を内管(11)から外管(12)へ送り込むと共に、加熱炉(13)により外管(12)を加熱しながら、酸素供給流路(52)から供給された酸素により内管(11)の先端側の外管(12)内において酸化燃焼させる様になされている。そして、試料中の塩素、硫黄および窒素を塩化水素、二酸化硫黄および一酸化窒素にそれぞれ変換し、流路(61)を通じて試料ガスとして取り出す様に構成される。
【0019】
試料ガス供給機構(1)の後段(採取した試料ガスの流れ方向の下流側)には、反応管(10)から取り出された試料ガスの脱水および洗気を行うため、脱水剤として例えば硫酸が収容された脱水浴(21)が設けられる。すなわち、反応管(10)の外管(12)から伸長された流路(61)は脱水浴(21)に接続される。そして、脱水浴(21)のガス取出口は、流路(62)を介して塩素分析機構(2)に接続される。
【0020】
塩素分析機構(2)は、酢酸を含む電解液が収容され且つ上記の反応管(10)から回収された試料ガス中の塩化水素を電量滴定する滴定セル(22)と、当該滴定セル内の電解液を撹拌するスターラー(23)とから主に構成される。上記の脱水浴(21)から伸長された流路(62)の先端は、滴定セル(22)の電解液中に浸漬されている。滴定セル(22)は、電解液として70〜90%酢酸を収容した公知の滴定セルであり、電解液中に浸漬される発生電極(Ag電極)及び発生対極(Pt電極)、検出電極(Ag電極)、ならびに、参照電極(Ag/AgCl電極)を備えている。
【0021】
滴定セル(22)による電量滴定では、塩化水素を酢酸に吸収させ、電量的に発生させた銀イオンで滴定してこれに要した電気量を測定することにより、ファラデーの法則に基づいて塩素量を演算する。具体的には、上記の電量滴定においては、電解液の電位が予め設定した電位(終点電位)に保持される様に、銀発生電極と発生対極の間に電解電流を制御して流し、(Ag)と(e)の平行を維持すると共に、塩化水素の導入により(HCl+Ag→AgCl+H)の反応を生起し、電解液の電位が変化した際、電解液の電位が終点電位に戻る様に電解電流を流して銀発生電極より銀イオン(Ag)を発生させる。そして、電位が終点電位に戻って電解電流がブランク電流と等しくなった段階で滴定を終了し、滴定に要した電気量から塩素量を算出する。なお、滴定セル(22)の内容積は50〜200ml程度であり、滴定セル(22)に収容される上記の酢酸の量は20〜40ml程度である。
【0022】
塩素分析機構(2)の後段には、硫黄分析機構(3)が配置される。すなわち、上記の滴定セル(22)には、前述の滴定を終えた試料ガスを回収するため、当該滴定セルの気相部に通じる流路(63)が付設され、斯かる流路(63)は、硫黄分析機構(3)の後述する紫外蛍光検出器(31)に接続される。
【0023】
硫黄分析機構(3)は、上記の滴定セル(22)から回収された試料ガスに紫外線を照射し且つ試料ガス中の二酸化硫黄の蛍光強度を測定する紫外蛍光検出器(31)を備えている。紫外蛍光検出器(31)は、所定波長の紫外線を照射する紫外線ランプと、蛍光紫外線を受光する光電子増倍管とから主に構成される。
【0024】
紫外蛍光検出器(31)における蛍光強度の測定では、酸化燃焼によって生成された試料ガス中の二酸化硫黄に紫外線ランプにより190〜230nmの波長の紫外線を照射し、これによって二酸化硫黄が発した300〜450nmの蛍光をを電子増倍管で受光する。すなわち、(SO+hN→SO+hN (N、Nは振動数;ニュー))における蛍光の強度を測定する。そして、波形処理を行った後にこれをAREA値とし、予め標準試料で作成した検量線を使用して前記のAREA値から試料中の硫黄量を測定する。
【0025】
硫黄分析機構(3)の後段には、窒素量を測定するための窒素分析機構(4)が設けられる。すなわち、上記の紫外蛍光検出器(31)には、前述の蛍光の測定を終えた試料ガスを回収するための流路(64)が付設され、斯かる流路(64)は、窒素分析機構(4)の後述する化学発光検出器(42)に接続される。
【0026】
上記の窒素分析機構(4)は、オゾン発生器(41)及び化学発光検出器(42)を備え、前述の紫外蛍光検出器(31)から回収された試料ガス中の一酸化窒素とオゾン発生器(41)で生成されたオゾンとの反応による化学発光強度を化学発光検出器(42)によって測定する様になされている。
【0027】
オゾン発生器(41)としては、高電圧による放電方式などの装置を使用することも出来るが、低電圧による駆動、装置の小型化、ノイズ防止、NOの発生防止などの観点から、例えば、陽極と陰極との間に固体高分子膜をサンドイッチ接合し、電極間に直流電圧を印加して空気中の水分を電気分解し、陽極にオゾンを発生させる構造のいわゆる超小型オゾナイザー素子を利用した発生器が使用される。
【0028】
化学発光検出器(42)は、酸化反応による発光を電子増倍管で受光し、波形処理を行った後にこれをAREA値とし、予め標準試料で作成した検量線を使用して前記のAREA値から試料中の全窒素量を測定する減圧化学発光方式の検出器である。具体的には、化学発光検出器(42)を使用した窒素分析では、試料ガス中の一酸化窒素にオゾンを接触させ、(NO+O→NO+O+hN (Nは振動数;ニュー))の酸化反応を生起し、590〜2500nmの波長の光を発光させる。そして、発光した光を電子増倍管で受光してその強度を測定し、上記の処理を行う。
【0029】
オゾン発生器(41)には、オゾン生成用の酸素を導入する酸素供給流路(53)が接側される。斯かる酸素供給流路(53)は、前述の酸素供給流路(52)から分岐された流路であってもよい。化学発光検出器(42)には、オゾン発生器(41)から伸長されたオゾン供給用の流路(65)が接続され、また、前述の紫外蛍光検出器(31)から伸長された流路(64)が接続される。更に、化学発光検出器(42)の後段には、余剰のオゾンを無害化処理するための例えば活性炭を充填して成る除害装置(43)が流路(66)を介して配置される。そして、本発明の分析装置においては、除害装置(43)の後段には、流路(67)を介して真空ポンプ(7)が配置される。
【0030】
次に、本発明に係る分析装置の機能について説明する。本発明の分析装置による塩素、硫黄、窒素の測定においては、先ず、下流側に設けられた真空ポンプ(7)を稼働させると共に、試料ガス供給機構(1)において、キャリアガス供給流路(51)を通じて内管(11)にキャリアガスとして酸素および不活性ガス(アルゴン)を供給し、酸素供給流路(52)を通じて外管(12)に酸素を供給する。そして、試料注入装置(14)を操作して、内管(11)に試料(例えば燃料油)を10〜500μl注入する。キャリアガス及び酸素の圧力、流量は、供給流路(51)及び酸素供給流路(52)にそれぞれ付設された流量調整弁(図示省略)の制御により、例えば、0.3〜0.5MPa、0.2〜1.0L/minに設定される。
【0031】
また、試料の注入に当たり、加熱炉(13)に通電し、反応管(10)の内部を600〜1100℃に加熱する。反応管(10)の加熱により、上記の試料を外管(12)において酸化し、試料中に含まれる塩素、硫黄および窒素をそれぞれ塩化水素、二酸化硫黄および一酸化窒素に変換して、これらを含む試料ガスを流路(61)を通じて取り出す。
【0032】
反応管(10)で得られた試料ガスは、脱水浴(21)で脱水処理した後に塩素分析機構(2)の滴定セル(22)に導入する。滴定セル(22)においては、電解液である酢酸に試料ガスを吹き込み、前述した方法により電量滴定する。電量滴定においては、滴定中に電極に流れた電気量を測定することにより、別途設けられたコンピュータを使用し、塩素量を算出し、その結果を試料中の濃度として表示する。
【0033】
次いで、滴定セル(22)を通過した試料ガス、すなわち、二酸化硫黄および一酸化窒素が含まれる試料ガスを流路(63)を通じて取り出し、硫黄分析機構(3)の紫外蛍光検出器(31)に導入する。紫外蛍光検出器(31)においては、前述の様に、試料ガス中の二酸化硫黄に紫外線を照射し、二酸化硫黄が発する蛍光の強度を測定する。そして、別途設けられたコンピュータを使用し、硫黄量を算出する。具体的には、予め標準試料から作成された検量線に基づいて硫黄量を算出し、その結果を試料中の全硫黄濃度として表示する。
【0034】
続いて、紫外蛍光検出器(31)通過した試料ガス、すなわち、一酸化窒素が含まれる試料ガスを流路(64)を通じて取り出し、窒素分析機構(4)の化学発光検出器(42)に導入する。一方、窒素分析機構(4)においては、オゾン発生器(41)でオゾンを生成し、流路(65)を通じて化学発光検出器(42)に導入する。化学発光検出器(42)では、試料ガス中の一酸化窒素とオゾンとの反応による化学発光強度を測定することにより、別途設けられたコンピュータを使用し、窒素量を算出する。具体的には、予め標準試料から作成された検量線に基づいて窒素量を算出し、その結果を試料中の全窒素濃度として表示する。
【0035】
上記の様に、本発明の分析装置においては、電量滴定法を利用した塩素分析機構(2)、紫外線蛍光法を利用した硫黄分析機構(3)、および、化学発光法を利用した窒素分析機構(4)が順次に配置されており、試料ガス供給機構(1)において1回分の分析試料から得られた試料ガスをこれら各機構に順次に流すことにより、塩素、硫黄および窒素の各分析を行う。すなわち、本発明によれば、試料ガス供給機構(1)で試料から得られた試料ガスを分割することなく、1回の分析操作で塩素分析機構(2)、硫黄分析機構(3)及び窒素分析機構(4)に順次に送気し、それぞれ試料ガスの全量を使用して塩素、硫黄および窒素の各分析を行うことが出来る。従って、本発明によれば、試料ガスを分割する方式の分析装置に比べて、一層高い分析精度を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の分析装置の主な構成を模式的に示すフロー図である。
【符号の説明】
【0037】
1 :試料ガス供給機構
10:反応管
11:内管
12:外管
13:加熱炉
14:試料注入装置
15:配管加熱用ヒーター
2 :塩素分析機構
21:脱水浴
22:滴定セル
23:スターラー
3 :硫黄分析機構
31:紫外蛍光検出器
4 :窒素分析機構
41:オゾン発生器
42:化学発光検出器
43:除害装置
51:キャリアガス供給流路
52:酸素供給流路
53:酸素供給流路
7 :真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料中の塩素、硫黄および窒素の量を測定する分析装置であって、試料ガス供給機構、塩素分析機構、硫黄分析機構および窒素分析機構から主として構成され、前記試料ガス供給機構は、試料が装入され且つ酸素が供給される反応管と、当該反応管を加熱する加熱炉とを備え、当該加熱炉による加熱により前記反応管内の試料を燃焼させ、試料中の塩素、硫黄および窒素をそれぞれ塩化水素、二酸化硫黄および一酸化窒素に変換して試料ガスとして回収する機能を有し、前記塩素分析機構は、酢酸を含む電解液が収容され且つ前記反応管から回収された試料ガス中の塩化水素を電量滴定する滴定セルを備え、前記硫黄分析機構は、前記滴定セルから回収された試料ガスに紫外線を照射し且つ試料ガス中の二酸化硫黄の蛍光強度を測定する紫外蛍光検出器を備え、前記窒素分析機構は、オゾン発生器および化学発光検出器を備え、前記紫外蛍光検出器から回収された試料ガス中の一酸化窒素と前記オゾン発生器で生成されたオゾンとの反応による化学発光強度を前記化学発光検出器によって測定する様になされていることを特徴とする分析装置。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2008−82808(P2008−82808A)
【公開日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−261916(P2006−261916)
【出願日】平成18年9月27日(2006.9.27)
【出願人】(595111929)株式会社ダイアインスツルメンツ (8)
【Fターム(参考)】