説明

分析装置

【課題】試薬容器内の液面の揺れを抑制できる分析装置を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる分析装置は、モータ1431、ギア1432,1433および回転用支柱1434によって試薬庫の上蓋141自体を回転させることによって、分注対象である試薬を収納した試薬容器14a上に吸引用開口部142を位置させることによって、試薬容器14aが設置された試薬トレイを回転させることなく試薬分注処理を行なうことができることから、試薬容器内の液面の揺れを格段に抑制することが可能になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試薬容器の試薬を反応容器に分注して検体を分析する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や体液等の検体を自動的に分析する装置として、検体容器内の検体および試薬容器内の試薬をそれぞれ反応容器に分注し、反応容器において試薬と検体の間で生じた反応を光学的に検出する分析装置が知られている。従来においては、試薬容器が設置されている試薬容器内の試薬トレイを回転させて試薬庫の蓋に設けられた吸引用開口部の下方に検査項目に対応する試薬を収容した試薬容器を移送することで、開口部を介して試薬を吸引している。
【0003】
ところで、分析処理の処理能力向上のため、試薬トレイの高速回転化および試薬容器の大容量化が図られている。この試薬トレイの高速回転化によって試薬に対する遠心力が増加してしまい、試薬容器の大容量化と相まって試薬容器内の試薬の揺れが大きくなってしまう結果、試薬分注精度の悪化、試薬プローブの汚れ、試薬のデッドボリュームの増加が問題となっていた。そこで、遠心方向に対して摩擦抵抗を生じさせるように容器の形状を変化させて試薬の揺れ低減を図った試薬容器が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−275251号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1にかかる試薬容器のように容器の形状を変化させて試薬の揺れ低減を図った場合であっても、試薬トレイが高速回転する限り試薬液面の揺れを完全に抑制することはできなかった。
【0006】
本発明は、上記した従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、試薬容器内の液面の揺れを抑制できる分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる分析装置は、試薬容器の試薬を反応容器に分注して検体を分析する分析装置において、試薬吸引用の開口部が設けられるとともに前記開口部が設けられた部分が少なくとも回転可能である蓋部材と、前記開口部が設けられた部分を回転させる回転機構とを有し、内部に前記試薬容器を複数収納可能である試薬庫と、前記試薬を吸引および吐出するプローブを前記試薬庫上に二次元的に移送できるプローブ移送機構と、前記回転機構に対して分注対象である試薬を収納した前記試薬容器上に前記開口部が位置するように前記開口部が設けられた部分を回転させるとともに、前記プローブ移送機構に対して前記分注対象である試薬を収納した試薬容器上に前記プローブを移送させる制御機構と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかる分析装置は、前記開口部は、前記蓋部材の本体部に設けられ、前記回転機構は、回転用モータと、前記回転用モータの回転を伝達する回転伝達部材と、前記蓋部材の中心において前記蓋部材と接続する回転用軸柱であって、前記回転伝達部材から伝達された前記回転用モータの回転にしたがって回転する回転用軸柱と、を備え、前記回転伝達部材を介して前記回転用モータの回転を前記回転用軸柱に伝達して該回転用軸柱を回転させることによって該回転用軸柱と接続する前記蓋部材を回転させることを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる分析装置は、前記蓋部材は、前記開口部が設けられるとともに回転可能である輪状回転部材と、前記輪状回転部材を内部に有するとともに、前記輪状回転部材の回転によって前記開口部が位置する各領域の上部および下部が開口した本体部と、を有し、前記回転機構は、回転用モータと、前記回転用モータの回転を伝達する第1の回転伝達部材と、前記本体部の中央を貫通し前記第1の回転伝達部材から伝達された前記回転用モータの回転にしたがって回転する回転用軸柱と、前記輪状回転部材における内周側面と接触し、前記回転用軸柱の回転を前記輪状回転部材に伝達する第2の回転伝達部材と、を備え、前記回転用モータの回転を前記第1の回転伝達部材および前記回転用軸柱を介して前記第2の回転伝達部材に伝達して該第2の回転伝達部材と接触する前記輪状回転部材を回転させることを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる分析装置は、前記蓋部材は、前記開口部が設けられるとともに回転可能である輪状回転部材であって、内周側面に所定のギアと噛み合える凹凸形状が形成された輪状回転部材と、前記輪状回転部材を内部に有するとともに、前記輪状回転部材の回転によって前記開口部が位置する各領域の上部および下部が開口した本体部と、を有し、前記回転機構は、回転用モータと、前記回転用モータの回転を伝達する第1のギアと、前記本体部の中央を貫通し前記第1のギアから伝達された前記回転用モータの回転にしたがって回転する回転用軸柱と、前記輪状回転部材における内周側面の凹凸形状と噛み合い、前記回転用軸柱の回転を前記輪状回転部材に伝達する第2のギアと、を備え、前記回転用モータの回転を前記第1のギアおよび前記回転用軸柱を介して前記第2のギアに伝達して該第2のギアと噛み合う前記輪状回転部材を回転させることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる分析装置は、前記蓋部材は、前記開口部が設けられるとともに回転可能である輪状回転部材と、前記輪状回転部材を内部に有し、前記輪状回転部材の回転によって前記開口部が位置する各領域の上部および下部が開口するとともに前記輪状回転部材の外周側面の一部を露出させるように開口した本体部材と、を有し、前記回転機構は、回転用モータと、前記輪状回転部材における外周側面と接触し、前記回転用モータの回転を前記輪状回転部材に伝達する回転伝達部材と、を備え、前記回転伝達部材を介して前記回転用モータの回転を前記輪状回転部材に伝達して該輪状回転部材を回転させることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる分析装置は、前記蓋部材は、前記開口部が設けられるとともに回転可能である輪状回転部材であって、外周側面に所定のギアと噛み合える凹凸形状が形成された輪状回転部材と、前記輪状回転部材を内部に有し、前記輪状回転部材の回転によって前記開口部が位置する各領域の上部および下部が開口するとともに前記輪状回転部材の外周側面の一部を露出させるように開口した本体部材と、を有し、前記回転機構は、回転用モータと、前記輪状回転部材における外周側面の凹凸形状と噛み合い、前記回転用モータの回転を前記輪状回転部材に伝達するギアと、を備え、前記ギアを介して前記回転用モータの回転を前記輪状回転部材に伝達して該輪状回転部材を回転させることを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる分析装置は、前記制御機構は、予め取得した試薬庫内における各試薬容器の位置情報をもとに、前記回転機構における回転動作および前記プローブ移送機構における前記プローブの移送動作を制御することを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる分析装置は、前記プローブ移送機構は、鉛直方向の昇降と軸心を中心とした回転とが可能である軸柱と、前記軸柱に接続し該軸柱の昇降および回転にしたがって昇降および回転する第1アームと、前記プローブが先端に設けられた第2アームであって、前記第1アームと接続して前記第1アームとの接続部を中心に回転可能である第2アームと、を備えたことを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる分析装置は、前記プローブ移送機構は、鉛直方向の昇降と軸心を中心とした回転とが可能である軸柱と、前記軸柱に接続し該軸柱の昇降および回転にしたがって昇降および回転する第1アームと、前記プローブが先端に設けられた第2アームであって、前記第1アームから所定長さが突出するようにスライド移動可能である第2アームと、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明にかかる分析装置は、試薬吸引用の開口部が設けられた部分が少なくとも回転可能である試薬庫の蓋部材および開口部が設けられた部分を回転させる回転機構を有する試薬庫と、試薬を吸引および吐出するプローブを試薬庫上に二次元的に移送できるプローブ移送機構とを有し、さらに回転機構に対して分注対象である試薬を収納した試薬容器上に開口部が位置するように開口部が設けられた部分を回転させるとともに、プローブ移送機構に対して分注対象である試薬を収納した試薬容器上にプローブを移送させることによって、試薬容器が設置された試薬トレイを回転させることなく試薬分注処理を行なうことができるため、試薬容器内の液面の揺れを格段に抑制することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態について、液体である試薬を検体と反応させて検体を分析する分析装置を例に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0018】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。実施の形態1においては、試薬トレイではなく試薬吸引用の開口部が設けられた試薬庫の蓋を回転させて、試薬容器自体を回転せずとも試薬吸引を可能とした分析装置について説明する。
【0019】
図1は、本実施の形態1における分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる分析装置1は、分析対象である検体および試薬を反応容器21にそれぞれ分注し、分注した反応容器21内で生じる反応を光学的に測定する測定機構2と、測定機構2を含む分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構2における測定結果の分析を行う制御機構3とを備える。分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の分析を自動的に行う。
【0020】
測定機構2は、血液や尿等の液体検体を収容した複数の検体容器11aを保持し図中の矢印方向に順次移送する複数の検体ラック11bを移送する検体移送機構11と、アーム12aの先端部のプローブによる検体吸引後に反応容器21に検体を吐出して分注を行う検体分注機構12と、反応容器21への検体や試薬の分注、反応容器21の攪拌、測光または洗浄を行うために反応容器21を所定の位置まで移送する反応テーブル13と、反応容器21内に分注される試薬が収容された試薬容器14aを内部に複数収納できる試薬庫14と、図示しない吸排シリンジと接続し試薬を吸引および吐出する試薬プローブを備えた試薬分注機構16と、反応容器21に分注された検体と試薬との攪拌を行なう攪拌部18と、反応容器21内の液体の光学的特性を測定する測光部19と、測光部19による測定が終了した反応容器21を洗浄する洗浄部20とを備える。
【0021】
試薬庫14は、試薬吸引用の吸引用開口部142が設けられた上蓋141を有する。この上蓋141は、矢印Y1のように回転可能である。そして、図1に示す試薬分注機構16における試薬プローブは、アームを構成する第2アーム172の先端に設けられている。この第2アーム172は、軸柱の回転にしたがって矢印Y2のように回転する第1アーム171と接続し、矢印Y3のように第1アーム171との接続部を中心に回転可能である。なお、反応テーブル13には、試薬吐出用の吐出用開口部131が設けられている。
【0022】
制御機構3は、CPU等を用いて構成され分析装置1の各部の処理および動作を制御する制御部31と、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する入力部32と、測光部19の測定結果をもとに検体を分析する分析部33と、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する記憶部34と、検体の分析結果を含む諸情報を出力する出力部35とを備える。測定機構2および制御機構3が備えるこれらの各部は、制御部31に電気的に接続されている。
【0023】
以上のように構成された分析装置1では、列をなして順次搬送される複数の反応容器21に対して、検体分注機構12が検体容器11a中の検体を分注し、試薬分注機構16が試薬容器14a中の試薬を分注した後、測光部19が検体と試薬とを反応させた状態の検体の分光強度測定を行い、この測定結果を分析部33が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行われる。また、洗浄部20が測光部19による測定が終了した後に搬送される反応容器21を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。
【0024】
つぎに、分析装置1における試薬分注に関する機構についてさらに説明する。図2は、図1に示す分析装置1の要部構成を示すブロック図である。分析装置1は、図1に示す各構成部位のほか、図2に示すように上蓋回転機構143を有する。この上蓋回転機構143は、制御部31に接続し、制御部31の制御のもと試薬庫14の上蓋141を回転させる。
【0025】
また、分析装置1は、試薬を吸引および吐出する試薬プローブを試薬庫14上に二次元的に移送できるプローブ移送機構17を備える。このプローブ移送機構17は、前述した第1アーム171および第2アーム172を備える。
【0026】
そして、記憶部34は、入力部32による入力処理、各試薬容器14aに付されたバーコードまたはRFIDタグの読取処理などによって、予め取得された試薬庫14内における各試薬容器14aの位置情報を含む試薬位置情報D1を記憶する。制御部31は、記憶部34内に記憶された試薬位置情報D1をもとに、上蓋回転機構143における回転動作およびプローブ移送機構17における試薬プローブの移送動作を制御する。さらに制御部31は、上蓋回転機構143における回転動作およびプローブ移送機構17における試薬プローブの移送動作に対応させて、試薬分注機構16における試薬の吸引処理および試薬の吐出処理を制御する。
【0027】
つぎに、図3および図4を参照して、図1および図2に示す試薬庫14、上蓋回転機構143、プローブ移送機構17の構造について説明する。図3は、図2に示す試薬庫、上蓋回転機構、プローブ移送機構を説明する図であり、図4は、図3に示す吸引用開口部142を通る直径上で試薬庫14を切断した断面図である。
【0028】
図3に示すように、プローブ移送機構17は、第1アーム171および第2アーム172に加え、矢印Y4のように鉛直方向の昇降と矢印Y2のように軸心を中心とした回転とが可能である支柱173をさらに有する。第1アーム171は、この支柱173に接続し、この支柱173の矢印Y4の昇降にしたがって昇降し、この支柱173の矢印Y2の回転にしたがって回転する。そして、第2アーム172は、第1アーム171と接続部174において接続しており、この接続部174を中心に矢印Y3のように回転可能である。
【0029】
したがって、プローブ移送機構17は、支柱173および接続部174の回転によって、第2アーム172の先端に設けられた試薬プローブ161を試薬庫14上に二次元的に移送することが可能である。制御部31は、支柱173の鉛直方向上下動作、支柱173の回転動作および接続部174の回転動作を制御することによって試薬プローブ161を試薬庫14上の所望の位置に移送させている。
【0030】
上蓋回転機構143は、図4に示すように、回転駆動するモータ1431と、モータ1431の回転を伝達するギア1432と、上蓋141本体の中心において上蓋141と接続する回転用支柱1434と、この回転用支柱1434に取り付けられギア1432と噛み合うギア1433とを備える。
【0031】
上蓋回転機構143においては、モータ1431の回転軸周囲に設置されたギア1432および回転用支柱1434の回転軸周囲に設置されたギア1433を介してモータ1431の回転を回転用支柱1434に伝達する。この結果、回転用支柱1434は、ギア1433から伝達されたモータ1431の回転にしたがって回転する。そして、上蓋回転機構143は、矢印Y5のように回転用支柱1434を回転させることによって、図1、図3および図4に示す矢印Y1のように回転用支柱1434と接続する上蓋141を回転させる。上蓋141の回転にともなって、上蓋141本体に設けられた吸引用開口部142も移動する。制御部31は、モータ1431の回転動作を制御することによって上蓋141を回転させて上蓋141に設けられた吸引用開口部142を所望の位置に移送する。
【0032】
つぎに、図5を参照して、試薬分注時における処理について説明する。まず、制御部31は、試薬分注タイミングであるか否かを判断し(ステップS2)、試薬分注タイミングであると判断するまで、ステップS2の判断処理を繰り返す。制御部31は、試薬分注タイミングであると判断した場合(ステップS2:Yes)、記憶部34における試薬位置情報D1を参照し、分注対象である試薬を収納した試薬容器14aの試薬庫14内における位置を取得する(ステップS4)。
【0033】
そして、制御部31は、分注対象である試薬を収納した試薬容器14aの開口部上に、上蓋141の吸引用開口部142が位置するように、上蓋回転機構143に上蓋141を回転させる(ステップS6)。その後、制御部31は、プローブ移送機構17に対して、試薬プローブ161を分注対象の試薬を収納した試薬容器14aに応じた位置に移送させる(ステップS8)。すなわち、制御部31は、プローブ移送機構17に対して、上蓋141の回転によって分注対象である試薬を収納した試薬容器14a上に位置した上蓋141の吸引用開口部142上に、試薬プローブ161を移送させる。
【0034】
そして、制御部31は、分注対象である試薬を吸引するために、プローブ移送機構17に対して試薬プローブ161を下降させ(ステップS10)、試薬プローブ161に試薬を吸引させた後(ステップS12)、プローブ移送機構17に対して試薬プローブ161を上昇させる(ステップS14)。
【0035】
次いで、制御部31は、反応容器21内に吸引した試薬を吐出するため、プローブ移送機構17に対し、反応テーブル13の吐出用開口部131上に試薬プローブ161を移送させる(ステップS16)。そして、制御部31は、分注対象である試薬を反応容器21内に吐出するために、プローブ移送機構17に対して試薬プローブ161を下降させ(ステップS18)、試薬プローブ161に試薬を吐出させた後(ステップS20)、プローブ移送機構17に対して試薬プローブ161を上昇させ(ステップS22)、試薬分注処理を終了する。なお、試薬の分注を終えた試薬プローブ161は、図示しないプローブ洗浄槽において洗浄される。
【0036】
その後、制御部31は、分析装置1における分析処理を終了するか否かを判断する(ステップS24)。制御部31は、分析処理を終了すると判断した場合には(ステップS24:Yes)、試薬分注処理をそのまま終了する。一方、制御部31は、分析処理が終了していないと判断した場合には(ステップS24:No)、次の反応容器21に対して試薬を分注するためステップS2に戻り、試薬分注タイミングであるか否かを判断する。
【0037】
ここで、従来の分析装置における試薬分注に関する機構について説明する。従来の分析装置1においては、図6に示すように、反応テーブル13における吐出用開口部131に加え試薬庫の上蓋241の吸引用開口部242の位置も固定して設けられていた。そして、従来の分析装置においては、支柱273の矢印Y14のような昇降および回転によってアーム271を昇降および回転させて、吐出用開口部131および吸引用開口部242を結ぶ軌跡T1に沿って試薬プローブ161を移送していた。
【0038】
そして、従来の分析装置においては、図7に示すように、複数の試薬容器14aを収納した試薬庫内部の試薬トレイ243を矢印Y15のように回転させることによって、分注対象である試薬を収納した試薬容器14aを、上蓋241に設けられた吸引用開口部242下方に移動させてから、試薬分注処理を行なっていた。
【0039】
しかしながら、近年においては、分析処理の処理能力向上のための試薬トレイの高速回転化および試薬容器の大容量化にともない、この試薬トレイの高速回転化によって試薬に対する遠心力が増加してしまう結果、試薬容器の大容量化と相まって試薬容器内の試薬の揺れが大きくなってしまい、従来のように試薬容器の形状を変化させた場合であっても、試薬分注精度の悪化、試薬プローブの汚れ、試薬のデッドボリュームの増加を確実に抑制することができず問題となっていた。
【0040】
これに対し、本実施の形態1にかかる分析装置1は、試薬吸引用の吸引用開口部142が設けられた上蓋141を回転させる上蓋回転機構143と、試薬プローブ161を試薬庫14上に二次元的に移送できるプローブ移送機構17とを有し、さらに上蓋回転機構143に対して分注対象である試薬を収納した試薬容器14a上に吸引用開口部142が位置するように上蓋141を回転させるとともに、プローブ移送機構17に分注対象である試薬を収納した試薬容器14a上に試薬プローブ161を移送させることによって、試薬分注処理を行なう。したがって、分析装置1は、試薬容器14aが設置された試薬トレイを回転させることなく試薬分注処理を行なうことができる。すなわち、分析装置1は、試薬庫14内に収納された試薬容器14aの位置を固定したままで試薬分注処理を行なうことができる。このため、分析装置1によれば、試薬容器内の試薬液面の揺れを従来と比較して格段に抑制することが可能になり、試薬容器内の試薬液面の揺れに起因した試薬分注精度の悪化、試薬プローブの汚れ、試薬のデッドボリュームの発生を抑制することができる。
【0041】
また、分析装置1においては、複数の試薬容器14aが配置された重量の重い試薬トレイではなく、比較的重量が軽い上蓋141のみを回転させているため、上蓋141の回転処理を高速化させたとしても、試薬容器14a内の試薬の液揺れに関与しない。したがって、分析装置1においては、上蓋141の回転処理を高速化によって試薬分注処理の高速処理を可能にして分析処理全体の処理能力を高めることができる。
【0042】
なお、図4においては、ギア1432,1433を用いて、モータ1431の回転を回転用支柱1434に伝達した場合を例に説明したが、このギア1432,1433に代えて、図8に示すように、硬質ゴムを素材とした弾性を有する回転伝達部材として機能するローラー1432a,1433aを用いて、モータ1431の回転を回転用支柱1434に伝達してもよい。ローラー1432aは、モータ1431の回転軸の周囲に設置され、モータ1431の回転をローラー1433aに伝達する。そして、ローラー1433aは、回転用支柱1434の周囲に設置され、ローラー1432aから伝達されたモータ1431の回転を回転用支柱1434に伝達する。モータ1431の回転は、ローラー1432aとローラー1433aとの接触面を介して、回転用支柱1434に伝達され、回転用支柱1434の回転によって上蓋141が回転する。
【0043】
(実施の形態2)
つぎに、実施の形態2について説明する。実施の形態2においては、上蓋全体ではなく、吸引用開口部が設けられた部分のみを回転させて、回転対象となる部材全体の重量を軽減している。
【0044】
実施の形態2にかかる分析装置は、図1に示す試薬庫14に代えて、図9に示す試薬庫314を備える。試薬庫314は、吸引用開口部342が設けられるとともに矢印Y31のように回転する輪状回転蓋3413と、輪状回転蓋3413を内部に有する上蓋外周部3411および上蓋内周部3412によって構成される上蓋本体部341とを有する。
【0045】
図10は、図9に示す吸引用開口部342を通る直径上で試薬庫314を切断した断面図である。図11は、図9における試薬庫314から上蓋外周部3411および上蓋内周部3412を取り除いた状態を示す図である。
【0046】
図10および図11に示すように、上蓋本体部341の上面部分は、上蓋外周部3411および上蓋内周部3412に作り分けられた構造となっており、上蓋本体部341は、輪状回転蓋3413の回転によって吸引用開口部342が位置する各領域の上部が開口した構造となっている。そして、上蓋本体部341は、上蓋外周部3411および上蓋内周部3412に加え、試薬庫314内部側の内蓋部3414によって構成されており、内部が中空である構造を有する。なお、上蓋内周部3412は、結合部3417によって内蓋部3414上に支えられている。
【0047】
輪状回転蓋3413は、図10および図11に示すように、輪状の蓋部材であり、上蓋外周部3411、上蓋内周部3412および試薬庫314内部側の内蓋部3414によって構成される上蓋本体部341内に設けられている。輪状回転蓋3413の回転によって矢印Y31のように吸引用開口部342も回転して各試薬容器14a上に移送されることから、輪状回転蓋3413が載る内蓋部3414は、図12に示すように、試薬庫314内部に設置された各試薬容器14aの吸引口に対応して複数の開口部3415が設けられた構成を有する。すなわち、上蓋本体部341は、上蓋本体部341は、輪状回転蓋3413の回転によって吸引用開口部342が位置する各領域の下部が開口した構造となっている。試薬プローブ161は、輪状回転蓋3413の回転によって移送された輪状回転蓋3413の吸引用開口部342および内蓋部3414の開口部3415を介して、分注対象である試薬が収容された試薬容器14a内に挿入されることとなる。
【0048】
そして、実施の形態2においては、図10に示すように、上蓋回転機構として、モータ1431と、モータ1431の回転を伝達するギア1432と、上蓋本体部341の中心において上蓋本体部341と接続するギア伝達用支柱3436と、ギア1433が取り付けられるとともに連結部3435においてギア伝達用支柱3436と連結する回転用支柱3434とが設けられている。ギア伝達用支柱3436には、ギア3432が取り付けられており、このギア3432は、上蓋本体部341の試薬庫314内部側の内蓋部3414上に配置されたギア3433と噛み合うようになっている。
【0049】
図11に示すように、輪状回転蓋3413は、内周側面にギア3433と噛み合える凹凸形状が形成されている。ギア3433は、輪状回転蓋3413における内周側面の凹凸形状と噛み合い矢印Y32に示す回転用支柱3434およびギア伝達用支柱3436の回転を輪状回転蓋3413に伝達する。
【0050】
実施の形態2における上蓋回転機構は、モータ1431の回転をギア1432、ギア1433、回転用支柱3434、この回転用支柱3434と連結部3435で連結するギア伝達用支柱3436および図11の矢印Y33および矢印Y34のようにギア伝達用支柱3436に取り付けられたギア3432を介してギア3433に伝達して、このギア3433に噛み合う輪状回転蓋3413を回転させる。輪状回転蓋3413の回転にともなって、輪状回転蓋3413に設けられた吸引用開口部342も移動する。
【0051】
制御部31は、モータ1431の回転動作を制御することによって、上蓋回転機構に輪状回転蓋3413を回転させて輪状回転蓋3413に設けられた吸引用開口部342を所望の位置に移送する。なお、実施の形態2においても実施の形態1と同様に、図5に示す各処理手順を行なうことによって、制御部31は、実施の形態2における回転機構に対して分注対象である試薬を収納した試薬容器上に吸引用開口部342が位置するように吸引用開口部342が設けられた輪状回転蓋3413を回転させるとともに、プローブ移送機構17に対して分注対象である試薬を収納した試薬容器上に試薬プローブ161を移送させることによって、分注対象である試薬を吸引し、反応テーブル13の吐出用開口部131を介して反応容器21内に吐出して、試薬分注処理を行なう。
【0052】
このように、実施の形態2においても、吸引用開口部342が設けられた輪状回転蓋3413を回転させて試薬分注処理を行なうため、試薬容器14a内の試薬液面の揺れを格段に抑制するという実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0053】
また、実施の形態2においては、上蓋全体ではなく吸引用開口部342が設けられた輪状回転蓋3413のみを回転させ、回転対象となる部材全体の重量を軽減しているため、吸引用開口部342の回転速度を実施の形態1よりも高速化でき、試薬分注処理のさらなる高速処理を可能にして、分析処理全体の処理能力を高めることができる。
【0054】
また、上蓋本体部を回転させたときには、回転する上蓋本体部に人の手や物が接触し、上蓋本体部の回転動作を妨げるおそれがあった。これに対し、実施の形態2においては、回転する輪状回転蓋3413で囲う構成であるため、回転する部材への人の手や物の接触を確実に回避することができる。
【0055】
なお、実施の形態2における内蓋部は、試薬容器14aの各開口部上が開口した構成を有すれば足りる。このため、実施の形態2における内蓋部は、図13に示すように、開口部3415の代わりに開口部3415を複数連結させた切欠部3415aを有する内蓋部3414aであってもよい。切欠部3415aの加工は、サイズが小さい多数の開口部3415の加工よりも簡易であるため、内蓋部の加工の簡易化を図ることができる。
【0056】
また、上蓋本体部341を試薬庫314から取り外す場合には、連結部3435において連結されていたギア伝達用支柱3436も試薬庫314から取り外されることとなる。そして、上蓋本体部341を試薬庫314に取り付ける場合には、連結部3435において回転用支柱3434とギア伝達用支柱3436とを連結できるように、連結部3435にギア伝達用支柱3436を嵌め込む必要がある。
【0057】
また、図10および図11においては、ギア1432,1433を用いてモータ1431の回転を回転用支柱3434に伝達し、ギア3432,3433を用いてギア伝達用支柱3436の回転を輪状回転蓋3413に伝達した場合を例に説明したが、もちろんこれに限らない。
【0058】
たとえば、図14および図15に示すように、このギア1432,1433に代えて、硬質ゴムを素材とした弾性を有する回転伝達部材として機能するローラー1432a,1433aを用いて、モータ1431の回転を回転用支柱3434に伝達してもよい。ローラー1432aは、モータ1431の回転軸の周囲に設置され、モータ1431の回転をローラー1433aに伝達する。そして、ローラー1433aは、回転用支柱3434の周囲に設置される。モータ1431の回転は、ローラー1432aとローラー1433aとの接触面を介して、回転用支柱3434に伝達され、連結部3435において連結する回転伝達用支柱3436aに伝達される。
【0059】
そして、図14および図15に示すように、図10および図11におけるギア3432,3433に代えて、硬質ゴムを素材とした弾性を有する回転伝達部材として機能するローラー3432a,3433aを用いて、回転伝達用支柱3436aの回転を輪状回転蓋3413aに伝達する。ローラー3432aは、回転伝達用支柱3436aの周囲に設置される。ローラー3433aは、ローラー3432aおよび輪状回転蓋3413aの内周側面と接触する。回転伝達用支柱3436aの回転は、ローラー3432a,3433aの接触面を介して輪状回転蓋3413aの内周側面に伝達される。なお、図14および図15に示す場合には、ギアではなくローラー3432a,3433aを用いて回転伝達用支柱3436aの回転を輪状回転蓋3413aに伝達するため、輪状回転蓋3413aに対し、輪状回転蓋3413のように、側面にギアと噛み合うことができる凹凸形状を設ける必要がない。
【0060】
(実施の形態3)
つぎに、実施の形態3について説明する。実施の形態3においては、試薬庫の内蓋内部のギアや回転伝達用の支柱を削除した構成として、上蓋全体の軽量化とともに試薬庫全体の小型化を図っている。
【0061】
実施の形態3にかかる分析装置は、図1に示す試薬庫14に代えて、図16および図17に示す試薬庫414を備える。図16は、実施の形態3における試薬庫の斜視図であり、図17は、図16に示す吸引用開口部442を通る直径上で試薬庫414を切断した断面図である。
【0062】
試薬庫414は、図16に示すように、吸引用開口部442が設けられるとともに矢印Y41のように回転する輪状回転蓋4413と、輪状回転蓋4413を内部に有する上蓋外周部4411および上蓋内周部4412によって構成される上蓋本体部441とを有する。
【0063】
上蓋本体部441の上面部分は、上蓋外周部4411および上蓋内周部4412に作り分けられた構造となっている。すなわち、上蓋本体部441は、輪状回転蓋4413の回転によって吸引用開口部442が位置する各領域の上部が開口した構造となっている。そして、上蓋本体部441は、上蓋外周部4411および上蓋内周部4412に加え、試薬庫414内部側の内蓋部4414によって構成されており、内部が中空である構造を有する。
【0064】
輪状回転蓋4413は、輪状の蓋部材であり、上蓋外周部4411、上蓋内周部4412および試薬庫414内部側の内蓋部4414によって構成される上蓋本体部441内に設けられている。輪状回転蓋4413の回転によって矢印Y41のように吸引用開口部442も回転して各試薬容器14a上に移送されることから、輪状回転蓋4413が載る内蓋部4414は、図18に示すように、試薬庫414内部に設置された各試薬容器14aの吸引口に対応して複数の開口部4415が設けられた構成を有する。すなわち、上蓋本体部441は、輪状回転蓋4413の回転によって吸引用開口部442が位置する各領域の下部が開口した構造となっている。試薬プローブ161は、輪状回転蓋4413の回転によって移送された輪状回転蓋4413の吸引用開口部442および内蓋部4414の開口部4415を介して、分注対象である試薬が収容された試薬容器14a内に挿入されることとなる。なお、内蓋部4414は、図13に示す内蓋部3414aと同様に、開口部3415を複数連結させた切欠部3415aを有していてもよい。
【0065】
さらに、輪状回転蓋4413は、図16に示すように、外周側面全体に所定のギアと噛み合える凹凸形状が形成されている。上蓋本体部441は、輪状回転蓋4413の外周側面の一部を露出させるように開口した構造を有する。この上蓋本体部441の開口領域から、輪状回転蓋4413の外周側面に形成された凹凸形状が外部に露出する。
【0066】
そして、実施の形態3における上蓋回転機構として、モータ1431と、モータ1431の回転を伝達するギア1432と、輪状回転蓋4413における外周側面の凹凸形状と噛み合うギア4432とを有する。図16の矢印Y42および矢印Y43に示すように、ギア4432は、ギア1432を介して伝達されたモータ1431の回転を輪状回転蓋4413に伝達する。
【0067】
このように、実施の形態3における上蓋回転機構は、ギア1432およびギア4432を介して、モータ1431の回転を外部から輪状回転蓋4413に伝達して、輪状回転蓋4413を回転させている。
【0068】
そして、制御部31は、モータ1431の回転動作を制御することによって、上蓋回転機構に輪状回転蓋4413を回転させて輪状回転蓋4413に設けられた吸引用開口部442を所望の位置に移送する。なお、実施の形態3においても実施の形態1と同様に、図5に示す各処理手順を行なうことによって、制御部31は、実施の形態2における回転機構に対して分注対象である試薬を収納した試薬容器上に吸引用開口部442が位置するように吸引用開口部442が設けられた輪状回転蓋4413を回転させるとともに、プローブ移送機構17に対して分注対象である試薬を収納した試薬容器上に試薬プローブ161を移送させる。そして、制御部31は、分注対象である試薬を吸引し、反応テーブル13の吐出用開口部131を介して反応容器21内に吐出して、試薬分注処理を行なう。
【0069】
このように、実施の形態3においても、吸引用開口部442が設けられた輪状回転蓋4413を回転させており、試薬容器14aが設置された試薬トレイを回転させることなく試薬分注処理を行なうことができるため、実施の形態1と同様の効果を奏する。
【0070】
さらに、実施の形態3における上蓋は、実施の形態2において示した内蓋内部のギアや回転伝達用の支柱を持たずとも回転可能である。このため、実施の形態2における上蓋よりもさらに重量を軽減できる。実施の形態3のように上蓋全体を軽量化することによって、試薬庫内の試薬容器交換等のために必要となる上蓋の試薬庫414への取り付けおよび取り外し作業において、使用者の作業負担を軽減することができる。
【0071】
また、実施の形態3においては、実施の形態2において示した試薬庫を貫通する回転伝達用の支柱を必要としないため、この支柱分だけ試薬庫を小型化することができるとともに、支柱を設けることによって必要となった貫通孔を試薬庫に設ける必要がないため、試薬庫の密閉性を高め試薬庫における冷却効率を高めることが可能になる。
【0072】
また、図16および図17においては、ギア1432,4432を用いてモータ1431の回転を輪状回転蓋4413に伝達した場合を例に説明したが、もちろんこれに限らない。図19および図20に示すように、このギア1432,4432に代えて、硬質ゴムを素材とした弾性を有する回転伝達部材として機能するローラー1432a,4432aを用いて、モータ1431の回転を、ローラー1432a,4432aの接触面を介して、輪状回転蓋4413a側面に伝達してもよい。ローラー1432aは、モータ1431の回転軸の周囲に設置され、モータ1431の回転をローラー4432aに伝達する。そして、ローラー4432aは、上蓋本体部441側面から露出した輪状回転蓋4413の側面に回転を伝達する。なお、図19および図20に示す場合には、ギアではなくローラー1432a,4432aを用いるため、輪状回転蓋4413aに対し、輪状回転蓋4413のように、側面にギアと噛み合うことができる凹凸形状を設ける必要がない。
【0073】
なお、実施の形態1〜3におけるプローブ移送機構17として、図3のような接続部174において回転可能である第2アーム172を備えた構成を例に説明したが、これに限らず、図21に示すように、第1アーム171aから矢印Y3aのようにスライド移動可能である第2アーム172aを備えてもよい。
【0074】
この場合、プローブ移送機構17は、支柱173の昇降および回転によって支柱173に接続する第1アーム171aを昇降および回転させ、第2アーム172aを第1アーム171aから所定長さ分突出させることによって、第2アーム172aの先端に設けられた試薬プローブ161を試薬庫14上に二次元的に移送している。制御部31は、支柱173の鉛直方向上下動作、支柱173の回転動作、および第2アーム172aのスライド移動動作を制御することによって、プローブ移送機構17に対して試薬プローブ161を試薬庫14上の所望の位置に移送させている。
【0075】
また、実施の形態1〜3においては、上蓋141、輪状回転蓋3413,4413に一の吸引用開口部142,342,442を設けた場合を例に説明したが、もちろん、複数の吸引用開口部を設けてもよい。この場合、制御部31は、分注対象である試薬が収容された試薬容器に最も近い開口部が、この試薬容器上に位置するように上蓋回転機構143に対し上蓋141、輪状回転蓋3413,4413を回転させればよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】実施の形態1にかかる分析装置の構成を示す模式図である。
【図2】図1に示す分析装置の要部構成を示すブロック図である。
【図3】図2に示す試薬庫、上蓋回転機構、プローブ移送機構を説明する図である。
【図4】図3に示す吸引用開口部を通る直径上で試薬庫を切断した断面図である。
【図5】図1に示す試薬分注時における処理手順を示すフローチャートである。
【図6】従来の試薬庫およびプローブ移送機構を説明する図である。
【図7】従来の試薬庫およびプローブ移送機構を説明する図である。
【図8】図3に示す吸引用開口部を通る直径上で試薬庫を切断した他の例を示す断面図である。
【図9】実施の形態2における試薬庫を説明する図である。
【図10】図9に示す吸引用開口部を通る直径上で試薬庫を切断した断面図である。
【図11】図9における試薬庫から上蓋外周部および上蓋内周部を取り除いた状態を示す図である。
【図12】図10に示す内蓋部の平面図である。
【図13】図10に示す内蓋部の他の例を示す平面図である。
【図14】図9に示す吸引用開口部を通る直径上で試薬庫を切断した他の例を示す断面図である。
【図15】図9における試薬庫から上蓋外周部および上蓋内周部を取り除いた状態の他の例を示す図である。
【図16】実施の形態3における試薬庫を説明する図である。
【図17】図16に示す吸引用開口部を通る直径上で試薬庫を切断した断面図である。
【図18】図17に示す内蓋部の平面図である。
【図19】図17に示す試薬庫の他の例を説明する図である。
【図20】図19に示す吸引用開口部を通る直径上で試薬庫を切断した断面図である。
【図21】図3に示すプローブ移送機構の他の例を説明する図である。
【符号の説明】
【0077】
1 分析装置
2 測定機構
3 制御機構
11b 検体ラック
11 検体移送機構
11a 検体容器
12 検体分注機構
12a アーム
13 反応テーブル
14 試薬庫
14a 試薬容器
16 試薬分注機構
17 プローブ移送機構
18 攪拌部
19 測光部
20 洗浄部
21 反応容器
31 制御部
32 入力部
33 分析部
34 記憶部
35 出力部
131 吐出用開口部
141 上蓋
142 吸引用開口部
143 上蓋回転機構
161 試薬プローブ
171,171a 第1アーム
172,172a 第2アーム
173 支柱
174 接続部
241 上蓋
242 吸引用開口部
243 試薬トレイ
271 アーム
273 支柱
314 試薬庫
341 上蓋本体部
342 吸引用開口部
414 試薬庫
441 上蓋本体部
442 吸引用開口部
1431 モータ
1432,1433 ギア
1432a,1433a,3432a,3433a,4432a ローラー
1434 回転用支柱
3411 上蓋外周部
3412 上蓋内周部
3413,3413a 輪状回転蓋
3414,3414a 内蓋部
3415 開口部
3415a 切欠部
3417 結合部
3432,3433 ギア
3434 回転用支柱
3435 連結部
3436 ギア伝達用支柱
4411 上蓋外周部
4412 上蓋内周部
4413,4413a 輪状回転蓋
4414 内蓋部
4415 開口部
4432 ギア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試薬容器の試薬を反応容器に分注して検体を分析する分析装置において、
試薬吸引用の開口部が設けられるとともに前記開口部が設けられた部分が少なくとも回転可能である蓋部材と、前記開口部が設けられた部分を回転させる回転機構とを有し、内部に前記試薬容器を複数収納可能である試薬庫と、
前記試薬を吸引および吐出するプローブを前記試薬庫上に二次元的に移送できるプローブ移送機構と、
前記回転機構に対して分注対象である試薬を収納した前記試薬容器上に前記開口部が位置するように前記開口部が設けられた部分を回転させるとともに、前記プローブ移送機構に対して前記分注対象である試薬を収納した試薬容器上に前記プローブを移送させる制御機構と、
を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記開口部は、前記蓋部材の本体部に設けられ、
前記回転機構は、
回転用モータと、
前記回転用モータの回転を伝達する回転伝達部材と、
前記蓋部材の中心において前記蓋部材と接続する回転用軸柱であって、前記回転伝達部材から伝達された前記回転用モータの回転にしたがって回転する回転用軸柱と、
を備え、前記回転伝達部材を介して前記回転用モータの回転を前記回転用軸柱に伝達して該回転用軸柱を回転させることによって該回転用軸柱と接続する前記蓋部材を回転させることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記蓋部材は、
前記開口部が設けられるとともに回転可能である輪状回転部材と、
前記輪状回転部材を内部に有するとともに、前記輪状回転部材の回転によって前記開口部が位置する各領域の上部および下部が開口した本体部と、
を有し、
前記回転機構は、
回転用モータと、
前記回転用モータの回転を伝達する第1の回転伝達部材と、
前記本体部の中央を貫通し前記第1の回転伝達部材から伝達された前記回転用モータの回転にしたがって回転する回転用軸柱と、
前記輪状回転部材における内周側面と接触し、前記回転用軸柱の回転を前記輪状回転部材に伝達する第2の回転伝達部材と、
を備え、前記回転用モータの回転を前記第1の回転伝達部材および前記回転用軸柱を介して前記第2の回転伝達部材に伝達して該第2の回転伝達部材と接触する前記輪状回転部材を回転させることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項4】
前記蓋部材は、
前記開口部が設けられるとともに回転可能である輪状回転部材であって、内周側面に所定のギアと噛み合える凹凸形状が形成された輪状回転部材と、
前記輪状回転部材を内部に有するとともに、前記輪状回転部材の回転によって前記開口部が位置する各領域の上部および下部が開口した本体部と、
を有し、
前記回転機構は、
回転用モータと、
前記回転用モータの回転を伝達する第1のギアと、
前記本体部の中央を貫通し前記第1のギアから伝達された前記回転用モータの回転にしたがって回転する回転用軸柱と、
前記輪状回転部材における内周側面の凹凸形状と噛み合い、前記回転用軸柱の回転を前記輪状回転部材に伝達する第2のギアと、
を備え、前記回転用モータの回転を前記第1のギアおよび前記回転用軸柱を介して前記第2のギアに伝達して該第2のギアと噛み合う前記輪状回転部材を回転させることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項5】
前記蓋部材は、
前記開口部が設けられるとともに回転可能である輪状回転部材と、
前記輪状回転部材を内部に有し、前記輪状回転部材の回転によって前記開口部が位置する各領域の上部および下部が開口するとともに前記輪状回転部材の外周側面の一部を露出させるように開口した本体部材と、
を有し、
前記回転機構は、
回転用モータと、
前記輪状回転部材における外周側面と接触し、前記回転用モータの回転を前記輪状回転部材に伝達する回転伝達部材と、
を備え、前記回転伝達部材を介して前記回転用モータの回転を前記輪状回転部材に伝達して該輪状回転部材を回転させることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項6】
前記蓋部材は、
前記開口部が設けられるとともに回転可能である輪状回転部材であって、外周側面に所定のギアと噛み合える凹凸形状が形成された輪状回転部材と、
前記輪状回転部材を内部に有し、前記輪状回転部材の回転によって前記開口部が位置する各領域の上部および下部が開口するとともに前記輪状回転部材の外周側面の一部を露出させるように開口した本体部材と、
を有し、
前記回転機構は、
回転用モータと、
前記輪状回転部材における外周側面の凹凸形状と噛み合い、前記回転用モータの回転を前記輪状回転部材に伝達するギアと、
を備え、前記ギアを介して前記回転用モータの回転を前記輪状回転部材に伝達して該輪状回転部材を回転させることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項7】
前記制御機構は、予め取得した試薬庫内における各試薬容器の位置情報をもとに、前記回転機構における回転動作および前記プローブ移送機構における前記プローブの移送動作を制御することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項8】
前記プローブ移送機構は、
鉛直方向の昇降と軸心を中心とした回転とが可能である軸柱と、
前記軸柱に接続し該軸柱の昇降および回転にしたがって昇降および回転する第1アームと、
前記プローブが先端に設けられた第2アームであって、前記第1アームと接続して前記第1アームとの接続部を中心に回転可能である第2アームと、
を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の分析装置。
【請求項9】
前記プローブ移送機構は、
鉛直方向の昇降と軸心を中心とした回転とが可能である軸柱と、
前記軸柱に接続し該軸柱の昇降および回転にしたがって昇降および回転する第1アームと、
前記プローブが先端に設けられた第2アームであって、前記第1アームから所定長さが突出するようにスライド移動可能である第2アームと、
を備えたことを特徴とする請求項1〜7のいずれか一つに記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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