説明

分析装置

【課題】分析用デバイスが光軸に対して傾いた場合や、分析用デバイスの表面が平坦でなくうねりがある場合であっても、分析精度の低下を低減できる分析装置を提供することを目的とする。
【解決手段】AP1,AP2を介して照射し、分析用デバイス1を透過した光をAP3,AP4を介して検出器113で検出し、AP1,AP2の孔径をa,b、AP1とAP2の距離をc、測定チャンバーの入射側と出射側の幅をd1,d2、AP2から測定チャンバーの入射側,出射側までの距離をe1,e2とした場合に、{(a+b)/c}・e1+b<d1、{(a+b)/c}・e2+b<d2に設定し、AP4の孔径を、分析用デバイスが傾いた姿勢のときの光の通過を制限しない径に設定したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生物などから採取した液体の分析に使用する分析用デバイスなどがセットされる分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生物などから採取した液体を分析する方法として、液体流路を形成した分析用デバイスを用いて分析する方法が知られている。分析用デバイスは、回転装置を使って流体の制御をすることが可能であり、遠心力を利用して、試料液の希釈、溶液の計量、固体成分の分離、分離された流体の移送分配、溶液と試薬の混合等を行うことができるため、種々の生物化学的な分析を行うことが可能である。
【0003】
特許文献1には、図12に示した光学系を有する分析装置が記載されている。
これは、試料液をセットした分析用デバイス200に、光源201から出射した光をレンズ201aにより平行光にし、レンズ203によりアパーチャー202の像をアパーチャー204を介して分析用デバイス200に結像する。分析用デバイス200を通過した光をアパーチャー205を介して図示されていない検出器によって検出される。
【特許文献1】特開2005−291726号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の分析装置では、分析用デバイス200を通過した光をアパーチャー205によって規制しているため、分析用デバイス200が光軸に対して傾いた場合や、分析用デバイス200の表面が平坦でなくうねりがある場合には、光線が分析用デバイス200の表面で曲げられる。そのため、単一の光学測定手段で複数項目の分析を実施するために、分析用デバイス200に試料液が入った複数の測定チャンバーを設け、この分析用デバイス200を回転させて走査して前記複数の測定チャンバーを走査して読み取りを実施しようとした場合には、分析用デバイス200を走査し測定した波形形状もうねってしまい、測定精度が悪化する。
【0005】
本発明は、分析用デバイスが光軸に対して傾いた場合や、分析用デバイスの表面が平坦でなくうねりがある場合であっても、分析精度の低下を低減できる分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の請求項1記載の分析装置は、試料液をセットした分析用デバイスに、光源から出射した光を第1のアパーチャーと第2のアパーチャーを介して照射し、前記分析用デバイスを透過した光を単数または複数のアパーチャーを介して検出器で検出して前記試料液を分析するよう構成するとともに、前記第1のアパーチャーの孔径:a、前記第2のアパーチャーの孔径:b、前記第1のアパーチャーと前記第2のアパーチャーの距離:c、前記分析用デバイスの測定チャンバーの入射側の幅:d1、前記分析用デバイスの測定チャンバーの出射側の幅:d2、前記第2のアパーチャーから測定チャンバーの入射側までの距離:e1、前記第2のアパーチャーから測定チャンバーの出射側までの距離:e2とした場合に、前記分析用デバイスの測定チャンバーの入射側の光束径が、前記d1よりも小さくなるように{(a+b)/c}・e1+b<d1に設定し、前記分析用デバイスの測定チャンバーの出射側の光束径が、前記d2よりも小さくなるように{(a+b)/c}・e2+b<d2に設定するとともに、前記分析用デバイスと前記検出器の間の前記アパーチャーの孔径を、前記分析用デバイスが傾いた姿勢のときの光ならびに分析用デバイスの表面が平坦でなくうねりがある場合の光の通過を制限しない径に設定したことを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項2記載の分析装置は、試料液をセットした分析用デバイスに、光源から出射した光を第1のアパーチャーと第2のアパーチャーを介して照射し、前記分析用デバイスを透過した光を第3のアパーチャーと第4のアパーチャーを介して検出器で検出して前記試料液を分析するよう構成するとともに、前記第1のアパーチャーの孔径:a、前記第2のアパーチャーの孔径:b、前記第1のアパーチャーと前記第2のアパーチャーの距離:c、前記分析用デバイスの測定チャンバーの入射側の幅:d1、前記分析用デバイスの測定チャンバーの出射側の幅:d2、前記第2のアパーチャーから測定チャンバーの入射側までの距離:e1、前記第2のアパーチャーから測定チャンバーの出射側までの距離:e2、とした場合に、前記分析用デバイスの測定チャンバーの入射側の光束径が、前記d1よりも小さくなるように{(a+b)/c}・e1+b<d1に設定し、前記分析用デバイスの測定チャンバーの出射側の光束径が、前記d2よりも小さくなるように{(a+b)/c}・e2+b<d2に設定し、前記分析用デバイスと前記検出器の間の前記アパーチャーの孔径を、前記分析用デバイスが傾いた姿勢のときの光ならびに分析用デバイスの表面が平坦でなくうねりがある場合の光の通過を制限しない径に設定したことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項3記載の分析装置は、請求項2において、前記第3のアパーチャーの孔径を、前記第2のアパーチャーの端から前記第4のアパーチャーの端に引いた直線より外側に前記第3のアパーチャーがくる径としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の分析装置によれば、分析用デバイスに入射光する光線の光束径の広がり角度を第1,第2のアパーチャーで規制し、分析用デバイスと検出器の間のアパーチャーの孔径を、分析用デバイスが傾いた姿勢のときの光の通過を制限しない径に設定したため、分析用デバイスが光軸に対して傾いた場合や、分析用デバイスの表面が平坦でなくうねりがある場合であっても、分析精度の低下を低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の各実施の形態を図1〜図11に基づいて説明する。
(実施の形態1)
図1〜図10は本発明の分析装置を示す。
【0011】
図7は分析用デバイス1を分析用デバイス駆動装置のターンテーブル101にセットした状態を示し、図8(a)(b)は分析用デバイス1の保護キャップ2を閉じた状態と開いた状態を示している。図9は分析用デバイス1のターンテーブル101と接触している面を上側にして分解した状態を示している。
【0012】
分析用デバイス1は、試料液飛散防止用の保護キャップ2と、微細な凹凸形状を表面に有するマイクロチャネル構造が形成されたベース基板3と、ベース基板3の表面を覆うカバー基板4と、希釈液を保持している希釈ユニット5などの部品で構成されている。
【0013】
ベース基板3とカバー基板4は、希釈ユニット5などを内部にセットした状態で接合され、この接合された状態のものに保護キャップ2が取り付けられている。保護キャップ2の片側は、ベース基板3とカバー基板4に形成された軸6a,6bに係合して開閉できるように枢支されている。
【0014】
ベース基板3の上面に形成されている数個の凹部の開口をカバー基板4で覆うことによって、複数の収容エリアとその収容エリアの間を接続する流路などが形成されている(図9を参照)。収容エリアのうちの必要なものには各種の分析に必要な試薬が予め担持されている。
【0015】
この分析用デバイス1は、注入口7から試料液、例えば血液などの溶液を採取することができ、保護キャップ2を閉めて分析装置のターンテーブル101にセットすることで、試料液の成分分析を行うことができる。8はターンテーブル101の回転中の軸心を示している。
【0016】
分析用デバイス1は、注入口7から内部に取り込んだ試料液を、注入口7よりも内周にある前記軸心8を中心に分析用デバイス1を回転させて発生する遠心力と、分析用デバイス1内に設けられた毛細管流路の毛細管力を用いて、分析用デバイス1の内部で溶液を移送していくよう構成されており、保護キャップ2は注入口7の付近に付着した試料液が、分析中に遠心力によって外部へ飛散するのを防止するために取り付けられている。
【0017】
この分析装置は、分析用デバイス1を透過した光を測定する光学的測定方法によって試料液の分析を行うため、ベース基板3およびカバー基板4の材料としては、PC、PMMA、AS、MSなどの透明性が高い樹脂が望ましい。ベース基板3とカバー基板4との接合は、前記収容エリアに担持された試薬の反応活性に影響を与えにくい方法が望ましく、接合時に反応性のガスや溶剤が発生しにくい超音波溶着やレーザー溶着などが望ましい。
【0018】
図7において、分析用デバイス1は、ターンテーブル101の上に、ベース基板3とカバー基板4のうちのカバー基板4の側を下にして装着され、開閉蓋103を閉じた状態で分析が行われる。図4において開閉蓋103は支持軸114の回りに回動して開閉できる。
【0019】
ターンテーブル101の上面には溝102が形成されており、分析用デバイス1をターンテーブル101にセットした状態では分析用デバイス1のカバー基板4に形成された係合部15と保護キャップ2に形成された係合部16が溝102に係合してこれを収容している。
【0020】
図10に示すように、この分析装置100は、ターンテーブル101を回転させるための回転駆動手段106と、分析用デバイス1内の溶液を光学的に測定する光学測定手段108と、ターンテーブル101の回転速度や回転方向、および光学測定手段108の測定タイミングなどを制御する制御手段109と、光学測定手段108によって得られた信号を処理し測定結果を演算する演算部110と、演算部110で得られた結果を表示する表示部111とで構成される。
【0021】
回転駆動手段106は、ターンテーブル101を介して分析用デバイス1を軸心8の回りに任意の方向に所定の回転速度で回転させるだけではなく、所定の停止位置で軸心8を中心に所定の振幅範囲、周期で左右に往復運動をさせて分析用デバイス1を揺動させることができるように構成されている。ここでは回転駆動手段106としてモータ104を使用してターンテーブル101を軸心8の回りに回転させている。
【0022】
なお、ここでは分析用デバイス1の回転動作と揺動動作を1つの回転駆動手段106で行う構成としているが、回転駆動手段106の負荷を軽減させるために、揺動動作用の駆動手段を別に設けてもかまわない。具体的には、ターンテーブル101の上にセットした分析用デバイス1に対して、モータ104とは別に用意したバイブレーションモータなどの加震手段を、直接または間接的に接触させることによって分析用デバイス1を揺動させて分析用デバイス1内の溶液に慣性力を付与する。
【0023】
光学測定手段108には、分析用デバイス1の測定部に光を照射する光源としての発光ダイオード112と、発光ダイオード112から照射された光のうち、分析用デバイス1を通過した透過光の光量を検出する検出器としてのフォトディテクタ113とを備えている。
【0024】
開閉蓋103には、保持板115を介してクランパ116が保持されている。また、開閉蓋103には、クランパ116を押圧する付勢手段としての板バネ117が設けられており、ターンテーブル101に分析用デバイス1をセットした後に、ターンテーブル101の回転させる前に分析装置の開閉蓋103を図7に実線で示すように閉じると、ターンテーブル101の回転の軸心8の軸上で板バネ117がクランパ116に接触して、板バネ117の付勢力によってクランパ116がターンテーブル101の側に押し出されて、クランパ116とターンテーブル101とで分析用デバイス1を挟持して、分析用デバイス1と一体にターンテーブル101が高速回転する。
【0025】
図1は光学測定手段108の詳細を示している。
発光ダイオード112としては、パッケージの先端に凸レンズ112bが形成されている一般的な砲弾型発光ダイオード( Lamp Type LED )が使用されている。112aは光源としてのLEDチップで、背面には反射カップ(図示せず)が設けられている。
【0026】
発光ダイオード112と検出器としてのフォトディテクタ113との間には、分析装置にセットされた分析用デバイス1と発光ダイオード112の間に第1のアパーチャーAP1と第2のアパーチャーAP2が配置され、分析用デバイス1とフォトディテクタ113の間に第3のアパーチャーAP3と第4のアパーチャーAP4が配置されている。発光ダイオード112と第1〜第4のアパーチャーAP1〜AP4およびフォトディテクタ113は、光軸65の上に配置されている。
【0027】
LEDチップ112aの中心から出射した光は、第1,第2のアパーチャーAP1,APの孔を通過し、分析用デバイス1を通過して、さらに第3,第4のアパーチャーAP3,AP4の孔を通過してフォトディテクタ113で検出される。66は分析用デバイス1のベース基板3とカバー基板4との間に形成された測定チャンバーで、前記遠心力によってここに分析対象がセットされている。
【0028】
図7に示したようにターンテーブル101とクランパ116とで挟持して回転駆動中の分析用デバイス1の姿勢が光軸65に対して傾きθが発生することがある。また、実際の分析用デバイス1では、図2に示す分析用デバイス1の入射側と、測定チャンバー66の入射側と、測定チャンバー66の出射側と、分析用デバイス1の出射側には、図2(a)(b)(c)(d)のようにその表面形状が完全な平面ではなく、微小なうねりを有している。
【0029】
ここで、図2(a)の表記の仕方を説明する。
横軸は分析用デバイス1のそのときの回転方向で、ここでは矢印Fで示されている方向へ移動させたときに分析用デバイス1の入射側の面の形状が、この例では最初は設計値センター(高さ=0)から発光ダイオード112の側(高さの極性を−として表記)にうねっており、矢印F方向に分析用デバイス1が僅か回転すると、分析用デバイス1の入射側の面の形状は設計値センターを横切ってフォトディテクタ113の側(高さの極性を+として表記)にうねった後、2000μm移動した時点で設計値センターを横切って発光ダイオード112の側にうねった形状であった。
【0030】
図2(b)(c)(d)についても同様に表記されており、測定チャンバー66の入射側,測定チャンバー66の出射側,分析用デバイス1の出射側も、分析用デバイス1の回転方向に微小なうねりを有している。
【0031】
ここで、分析用デバイス1の回転方向における測定チャンバー66の入射側,出射側の幅がd1,d2として表記されており、その大きさは検体(血液)の量と関係するため、小さくすることが必要であって、d1=1.5mm,d2=1.3mm程度である。
【0032】
第1のアパーチャーAP1の孔径:aと第2のアパーチャーAP2の孔径:bは、分析用デバイス1に入射光する光線の光束径の広がり角度を規制するために次のように設定されている。
【0033】
測定チャンバー66の入射側の光束径が、前記d1よりも小さくなるように
{(a+b)/c}・e1+b < d1
設定されている。さらに、測定チャンバーの出射側の光束径が、前記d2よりも小さくなるように
{(a+b)/c}・e2+b < d2
設定されている。ここで、cは第1のアパーチャーAP1と第2のアパーチャーAP2の距離である。e1は第2のアパーチャーAP2から測定チャンバー66の入射側までの距離である。e2は第2のアパーチャーAP2から測定チャンバーの出射側までの距離である。
【0034】
第4のアパーチャーAP4の孔径は、分析用デバイス1の前記うねりや前記傾きθによる光線方向の変動を許容する径に設定されている。第3のアパーチャーAP3の孔径は、発光ダイオード112以外の光(外光)、発光ダイオード112の光であるが測定チャンバー66以外の経路を通りフォトディテクタ113に入射する光(迷光)の入射を低減する径に設定されている。
【0035】
発光ダイオード112の光量は、30dB程度以上のS/Nが確保できる光量に設定されており、前記a,b,cできまり、シミュレーションなどで光量を求め、各パラメータを振って最適化を行って設定されている。
【0036】
第4のアパーチャーAP4の孔径の決定手順を説明する。
先ず、分析用デバイス1における表面形状を測定する。具体的には、レーザー顕微鏡にて測定して、先に図2(a)(b)(c)(d)に例として挙げた表面形状を得る。次に、測定によって得た分析用デバイス1の表面形状を反映させたシミュレーションを行い、測定チャンバー66を走査したときのフォトディテクタ113の波形を取得する。具体的には、第4のアパーチャーAP4の孔径を大きくしていき、測定チャンバー66を通過したときのピークの波形形状がフラットとなる径を求める。
【0037】
図3に第4のアパーチャーAP4の孔径を1.6mm,2.0mm,2.4mm,3.0mmに設定した場合のフォトディテクタ113の波形を示す。この図3から分かるように第4のアパーチャーAP4の孔径を大きくしていくと、徐々に波形がフラットになり、φ3では完全にフラットとなっており、第4のアパーチャーAP4の孔径がφ3以上であればよいことが分かる。ここではe1=2mm,e2=5mm,測定チャンバー66の出射側から第3のアパーチャーAP3までの距離=3mm,測定チャンバー66の出射側から第4のアパーチャーAP4までの距離=19mm,第4のアパーチャーAP4からフォトディテクタ113までの距離=1mmであった。
【0038】
実際にはこれに、公差(APの径など)をプラスした径を第4のアパーチャーAP4の孔径とする。また、第4のアパーチャーAP4の孔径を大きくすると、フォトディテクタ113もそれ以上に大きくする必要があり、分析装置の製造コストも上がるので、第4のアパーチャーAP4の孔径は必要以上に大きくすることは好ましくない。
【0039】
図4(a)は第4のアパーチャーAP4の孔径が不適切な場合のフォトディテクタ113の出力波形であり、横軸の“0”で示す位置が測定チャンバー66である。そのときのピークの波形の拡大図を図5(a)に示す。
【0040】
図4(b)は第4のアパーチャーAP4の孔径が適切な場合のフォトディテクタ113の出力波形であり、横軸の“0”で示す位置が測定チャンバー66である。そのときのピークの波形の拡大図を図5(b)に示す。
【0041】
第3のアパーチャーAP3の孔径は図6に示すように決定する。
第4のアパーチャーAP4で許容できる分析用デバイス1の前記うねりを規定しているため、第3のアパーチャーAP3の孔径はその光線をさえぎらないような径に設定する。具体的には、第2のアパーチャーAP2の端から第4のアパーチャーAP4の端(第2のアパーチャーAP2と同じ方向)に引いた直線67a,67bより外側に第3のアパーチャーAP3がくるような径とする。
【0042】
このように構成した分析装置を使用して分析用デバイス1が光軸65に対して傾いた場合や、分析用デバイス1の表面にうねりがある場合を測定し、その結果、分析精度の低下を低減できることを確認できた。
【0043】
(実施の形態2)
実施の形態1では分析用デバイス1とフォトディテクタ113の間に複数枚(2枚)のアパーチャーを設けたが、若干のS/Nの低下を許容できる場合には、図11に示すように分析用デバイス1とフォトディテクタ113の間に実施の形態1における第4のアパーチャーAP4だけを設けて、第3のアパーチャーAP3を省いても、分析用デバイス1が光軸に対して傾いた場合や、表面が平坦でなくうねりがある場合であっても、分析精度の低下を低減できる。第1,第2,第4のアパーチャーAP1,AP2,AP4の孔径や相互間の距離などのその他は実施の形態1と同じである。
【0044】
上記の各実施の形態では、光源としてのLEDチップ112aと凸レンズ112bが形成されている砲弾型発光ダイオード( Lamp Type LED )を使用したが、表面実装型発光ダイオード( SMD Type LED )を光源として採用し、表面実装型発光ダイオードとは別体の凸レンズを設けても同様に構成することが出来る。光源には、キセノンランプやハロゲンランプなどその他のものでも使用できる。
【0045】
上記の実施の形態1では、分析用デバイス1と第4のアパーチャーAP4の間に1枚の第3のアパーチャーAP3を設けたが、この第3のアパーチャーAP3を光軸方向に配列された複数枚のアパーチャーで構成して構成することもできる。この場合、この複数枚のアパーチャーの各孔径を、各アパーチャーの光軸上での各位置において、分析用デバイス1が前記光軸に対して傾いた姿勢のときの光ならびに分析用デバイス1の表面が平坦でなくうねりがある場合の光の通過を制限しない径に設定する。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明は、光透過形の各種分析装置の分析精度の向上に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態1の分析装置の光学系の構成図
【図2】同実施の形態の分析用デバイスの表面形状の測定結果説明図
【図3】同実施の形態の第4のアパーチャーの孔径を変化させた場合のフォトディテクタの出力信号の波形図
【図4】同実施の形態の第4のアパーチャーの孔径が適切な場合とそうでない場合のフォトディテクタの出力信号の波形図
【図5】同実施の形態の第4のアパーチャーの孔径が適切な場合とそうでない場合のフォトディテクタの出力信号の拡大波形図
【図6】同実施の形態の第3のアパーチャーの孔径の説明図
【図7】分析用デバイスを同実施の形態の分析装置にセットした状態の断面図
【図8】分析用デバイスの保護キャップを閉じた状態と開いた状態の外観斜視図
【図9】分析用デバイスの分解斜視図
【図10】同実施の形態の分析装置の信号処理回路の構成図
【図11】本発明の実施の形態2の分析装置の光学系の構成図
【図12】従来の分析装置の光学系の構成図
【符号の説明】
【0048】
AP1,AP2,ap3,ap4 第1〜第4のアパーチャー
1 分析用デバイス
66 測定チャンバー
100 分析装置
101 ターンテーブル
112 発光ダイオード
112a LEDチップ(光源)
113 フォトディテクタ(検出器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料液をセットした分析用デバイスに、
光源から出射した光を第1のアパーチャーと第2のアパーチャーを介して照射し、
前記分析用デバイスを透過した光を単数または複数のアパーチャーを介して検出器で検出して前記試料液を分析するよう構成するとともに、
前記第1のアパーチャーの孔径:a
前記第2のアパーチャーの孔径:b
前記第1のアパーチャーと前記第2のアパーチャーの距離:c
前記分析用デバイスの測定チャンバーの入射側の幅:d1
前記分析用デバイスの測定チャンバーの出射側の幅:d2
前記第2のアパーチャーから測定チャンバーの入射側までの距離:e1
前記第2のアパーチャーから測定チャンバーの出射側までの距離:e2
とした場合に、
前記分析用デバイスの測定チャンバーの入射側の光束径が、前記d1よりも小さくなるように
{(a+b)/c}・e1+b < d1
に設定し、前記分析用デバイスの測定チャンバーの出射側の光束径が、前記d2よりも小さくなるように
{(a+b)/c}・e2+b < d2
に設定するとともに、前記分析用デバイスと前記検出器の間の前記アパーチャーの孔径を、前記分析用デバイスが傾いた姿勢のときの光ならびに分析用デバイスの表面が平坦でなくうねりがある場合の光の通過を制限しない径に設定した
分析装置。
【請求項2】
試料液をセットした分析用デバイスに、
光源から出射した光を第1のアパーチャーと第2のアパーチャーを介して照射し、
前記分析用デバイスを透過した光を第3のアパーチャーと第4のアパーチャーを介して検出器で検出して前記試料液を分析するよう構成するとともに、
前記第1のアパーチャーの孔径:a
前記第2のアパーチャーの孔径:b
前記第1のアパーチャーと前記第2のアパーチャーの距離:c
前記分析用デバイスの測定チャンバーの入射側の幅:d1
前記分析用デバイスの測定チャンバーの出射側の幅:d2
前記第2のアパーチャーから測定チャンバーの入射側までの距離:e1
前記第2のアパーチャーから測定チャンバーの出射側までの距離:e2
とした場合に、前記分析用デバイスの測定チャンバーの入射側の光束径が、前記d1よりも小さくなるように
{(a+b)/c}・e1+b < d1
に設定し、前記分析用デバイスの測定チャンバーの出射側の光束径が、前記d2よりも小さくなるように
{(a+b)/c}・e2+b < d2
に設定し、前記分析用デバイスと前記検出器の間の前記アパーチャーの孔径を、前記分析用デバイスが傾いた姿勢のときの光ならびに分析用デバイスの表面が平坦でなくうねりがある場合の光の通過を制限しない径に設定した
分析装置。
【請求項3】
前記第3のアパーチャーの孔径を、
前記第2のアパーチャーの端から前記第4のアパーチャーの端に引いた直線より外側に前記第3のアパーチャーがくる径とした
請求項2記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−122021(P2010−122021A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−295001(P2008−295001)
【出願日】平成20年11月19日(2008.11.19)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】