説明

分析装置

【課題】磁性粒子を含む液体内に挿入される挿入部材の効率的な洗浄処理を可能とした分析装置を提供すること。
【解決手段】本発明は、磁性粒子を含む試薬を用いて検体を分析する分析装置であって、磁性粒子が含まれる容器内に挿入される試薬プローブ22aと、試薬プローブ22aを洗浄するプローブ洗浄部とを備え、プローブ洗浄部は、洗浄液が供給される洗浄槽629a内へ磁力を供給する電磁石629eを備えることによって、洗浄液Wbの液流とともに洗浄槽629a内に磁界を発生させることによって、試薬プローブ22a表面に吸着した磁性粒子51を除去できるため、試薬プローブ22aの効率的な洗浄処理を可能にする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体に含まれる測定対象物と試薬に含まれる磁性粒子との反応物の光学的特性をもとに検体を分析する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分析装置は、血液検体や尿検体などの多数の液体検体に対する分析処理を同時に行い、さらに、多成分を迅速に、かつ、高精度で分析できるため、免疫検査、生化学検査、輸血検査などさまざまな分野での検査に用いられている。このうち、免疫学検査を行う分析装置においては、抗体抗原反応を利用して検体中の分析対象を検出している。すなわち、このような分析装置においては、分析対象と特異的に結合する抗体または抗原を有する磁性粒子を含む試薬と、分析対象と特異的に結合する抗体または抗原を有する標識物質を含む試薬とを検体内に分注し、分析対象の抗原または抗体と磁性粒子、標識物質とを結合させた反応物を生成後、この反応物の光学的特性を取得することによって、検体内の分析対象を検出している。そして、分析装置においては、分析処理が終了するごとに、試薬および検体を分注する各試薬プローブを洗浄することによって、分析装置内の汚染を防止している。
【0003】
ここで、各試薬プローブの洗浄機構として、排液口を有する洗浄槽内に分注処理の終了した試薬プローブを挿入し、排液口からの排液流量よりも洗浄層内への洗浄液の供給流量が多くなるように洗浄槽内へ洗浄液を供給して試薬プローブ外側を洗浄する洗浄機構が提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−240787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、試薬プローブは、金属製であるため、表面に磁性粒子が付着しやすく、磁性粒子を含む試薬を分注した後も、試薬プローブ表面に磁性粒子が付着したまま残存してしまう場合が多い。しかしながら、従来の洗浄機構においては、単に試薬プローブ外側に洗浄液を流すだけであるため、試薬プローブ表面に付着したまま残存する磁性粒子を効率よく除去することが難しかった。特に、試薬プローブの洗浄処理の場合、試薬プローブ内部に対しては洗浄液の吸引および吐出を繰り返すことによって液圧をかけることができ、この液圧で十分に洗浄することができるのに対し、試薬プローブの外部表面は、液圧をかけることができず液流のみで磁性体を除去しなければならず、磁性粒子が残存する場合があった。このため、従来の分析装置においては、分析装置内の汚染を防止するため、分析処理ごとに使い捨ての保護用キャップを試薬プローブ先端に装着し、分注処理を行なっていた。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、磁性粒子を含む液体内に挿入される挿入部材の効率的な洗浄処理を可能とした分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる分析装置は、磁性粒子を含む試薬を用いて検体を分析する分析装置において、前記磁性粒子が含まれる容器内に挿入される挿入部材と、前記挿入部材を洗浄する洗浄手段と、を備え、前記洗浄手段は、洗浄液が供給される洗浄槽と、前記洗浄槽内に磁界を発生させる磁界発生手段と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかる分析装置は、前記洗浄槽内における前記磁界発生手段による磁界の発生を制御する洗浄槽磁界制御手段をさらに備え、前記洗浄槽磁界制御手段は、前記洗浄手段によって前記集磁部材が洗浄される場合に前記磁界発生手段に前記洗浄層内における磁界を発生させることを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる分析装置は、前記磁界発生手段は、電磁石を備え、前記洗浄槽磁界制御手段は、前記電磁石へ供給する電流を制御することによって、前記洗浄槽内における磁界発生手段による磁界の発生を制御することを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる分析装置は、前記磁界発生手段は、永久磁石と、前記永久磁石を、前記洗浄槽に近接した位置または前記永久磁石による磁界が前記洗浄槽内に及ばない位置のいずれかに移送する磁石移送手段と、を備え、前記洗浄槽磁界制御手段は、前記磁石移送手段に、前記永久磁石を前記洗浄槽に近接した位置に移送させることによって前記磁界発生手段に前記洗浄槽内における磁界を発生させ、前記永久磁石を前記永久磁石による磁界が洗浄槽に及ばない位置に移送させることによって前記磁界発生手段に前記洗浄槽内における磁界の発生を停止させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、磁性粒子を含む試薬を用いて検体を分析する分析装置において、磁性粒子が含まれる容器内に挿入される挿入部材と、挿入部材を洗浄する洗浄手段とを備え、洗浄手段は、洗浄槽内に磁界を発生させる磁界発生手段とを備えることによって、洗浄液の液流とともに洗浄槽内に磁界を発生させることによって、挿入部材表面に吸着した磁性粒子を挿入部材表面から除去できるため、磁性粒子を含む液体内に挿入される挿入部材の効率的な洗浄処理を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、実施の形態1にかかる分析装置の構成を示す模式図である。
【図2】図2は、図1に示す集磁棒移送部、測光部および集磁棒洗浄部の概略を示す斜視図である。
【図3】図3は、図1に示す分析装置における検体内の測定対象物、試薬中に含まれる磁性粒子および標識粒子の反応と、測光部による測定処理とを説明する図である。
【図4】図4は、図2に示す集磁棒の断面図である。
【図5】図5は、図2に示す集磁棒の先端部分を示す斜視図である。
【図6】図6は、図2に示す集磁棒の洗浄処理時における磁力の無効化を説明する図である。
【図7】図7は、図1に示す分析装置の要部における複合体の回収処理から集磁棒洗浄処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、図2に示す集磁棒の先端部分の他の例を示す斜視図である。
【図9】図9は、実施の形態1にかかる分析装置の他の構成を示す模式図である。
【図10】図10は、図9に示す集磁棒の断面図である。
【図11】図11は、図9に示す集磁棒の反応容器内での回収処理時における磁力の有効化を説明する図である。
【図12】図12は、図9に示す集磁棒の洗浄処理時における磁力の無効化を説明する図である。
【図13】図13は、図9に示す分析装置の要部における複合体の回収処理から集磁棒洗浄処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】図14は、実施の形態2にかかる分析装置の構成を示す模式図である。
【図15】図15は、図14に示す集磁棒洗浄部に備わる洗浄槽の断面図である。
【図16】図16は、図14に示す集磁棒の洗浄処理時における磁力の無効化を説明する図である。
【図17】図17は、図14に示す分析装置の要部における複合体の回収処理から集磁棒洗浄処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図18】図18は、図14に示す集磁棒洗浄部に備わる洗浄槽の他の例を示す断面図である。
【図19】図19は、図14に示す集磁棒洗浄部に備わる洗浄槽の他の例を示す横断面図である。
【図20】図20は、実施の形態2にかかる分析装置の他の構成を示す模式図である。
【図21】図21は、図20に示す集磁棒洗浄部に備わる洗浄槽の断面図である。
【図22】図22は、図21に示す洗浄槽の要部の説明図である。
【図23】図23は、図20に示す分析装置における集磁棒の洗浄処理を説明する図である。
【図24】図24は、図20に示す分析装置の要部における複合体の回収処理から集磁棒洗浄処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図25】図25は、図14に示す分析装置における集磁棒の他の例を説明する図である。
【図26】図26は、図25に示す集磁棒を備えた分析装置の要部における複合体の回収処理から集磁棒洗浄処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図27】図27は、図20に示す分析装置における集磁棒の他の例を説明する図である。
【図28】図28は、図27に示す集磁棒を備えた分析装置の要部における複合体の回収処理から集磁棒洗浄処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図29】図29は、実施の形態3にかかる分析装置の構成を示す模式図である。
【図30】図30は、図29に示すプローブ洗浄部が備えるプローブ洗浄槽の断面図である。
【図31】図31は、図29に示す分析装置における試薬プローブの洗浄処理を説明する図である。
【図32】図32は、図29に示す分析装置の要部における第1試薬分注処理からプローブ洗浄処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図33】図33は、図29に示すプローブ洗浄部に備わる洗浄槽の他の例を示す断面図である。
【図34】図34は、図29に示すプローブ洗浄部に備わる洗浄槽の他の例を示す横断面図である。
【図35】図35は、実施の形態3にかかる分析装置の他の構成を示す模式図である。
【図36】図36は、図35に示すプローブ洗浄部が備えるプローブ洗浄槽の断面図である。
【図37】図37は、図36に示すプローブ洗浄槽の要部の説明図である。
【図38】図38は、図36に示す分析装置における試薬プローブの洗浄処理を説明する図である。
【図39】図39は、図36に示す分析装置の要部における第1試薬分注処理からプローブ洗浄処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図40】図40は、実施の形態1にかかる分析装置の他の構成を示す模式図である。
【図41】図41は、図40に示す分析装置における検体内の測定対象物、試薬中に含まれる磁性粒子および標識粒子の反応を説明する図である。
【図42】図42は、図40に示す分析装置における測光部による測定処理を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に、本発明にかかる実施の形態である分析装置について、血液、尿または唾液などの体液検体に対して表面増強されたラマン散乱光(SERS)を測定して分析を行なう分析装置を例に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0014】
(実施の形態1)
まず、実施の形態1について説明する。図1は、本実施の形態1にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる分析装置1は、検体に含まれる測定対象物と磁性粒子と標識物質との複合体に対してレーザ光を発し、複合体からの表面増強されたラマン散乱光を測定する測定機構2と、測定機構2を含む分析装置1全体の制御を行なうとともに測定機構2における測定結果の分析を行なう制御機構4とを備える。分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体に対する分析を自動的に行なう。
【0015】
測定機構2について説明する。測定機構2は、大別して、反応テーブル10、検体移送部19、検体分注部20、第1試薬庫21、第1試薬分注部22、プローブ洗浄部23、第2試薬庫24、第2試薬分注部25、プローブ洗浄部26、攪拌部27、集磁棒移送部28、集磁棒洗浄部29、測光部30、容器洗浄部31を備える。
【0016】
反応テーブル10は、反応容器11への検体や試薬の分注、反応容器11の攪拌、洗浄を行うために反応容器11を所定の位置まで移送する。この反応テーブル10は、後述する制御部41の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、反応テーブル10の中心を通る鉛直線を回転軸として回動自在である。
【0017】
検体移送部19は、血液、尿または唾液等の液体検体を収容した複数の検体容器19aを保持し、図中の矢印方向に順次移送する複数の検体ラック19bを備える。検体移送部19上の検体吸引位置に移送された検体容器19a内の検体は、検体分注部20によって、反応テーブル10上に配列して搬送される反応容器11に分注される。
【0018】
検体分注部20は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行うアームを備える。このアームの先端部には、検体の吸引および吐出を行う検体プローブが取り付けられている。検体分注部20は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。検体分注部20は、上述した検体移送部19上の所定位置に移送された検体容器19aの中から検体プローブによって検体を吸引し、アームを図中反時計回りに旋回させ、反応テーブル10上の反応容器11内に検体を吐出する。
【0019】
第1試薬庫21は、第1試薬が収容された第1試薬ボトル21aを複数収納できる。第2試薬庫24は、第2試薬が収容された第2試薬ボトル24aを複数収納できる。この第1試薬ボトル21a内の第1試薬、および、第2試薬ボトル24a内の第2試薬は、反応テーブル10の反応容器11内にそれぞれ分注される。第1試薬庫21および第2試薬庫24は、図示しない駆動機構が駆動することによって、時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の試薬ボトルを第1試薬分注部22または第2試薬分注部25による試薬吸引位置まで移送する。ここで、検体内の測定対象物は、たとえば、抗体、タンパク質、ペプチド、アミノ酸、炭水化物、ホルモン、ステロイド、ビタミン、細菌、DNA、RNA、細胞、ウィルスに加え、任意の抗原物質、ハプテン、抗体およびこれらの組み合わせなどがある。第1試薬は、分析対象である検体内の測定対象物と結合する抗原または抗体を固相した磁性粒子を含む試薬である。第2試薬は、検体内の測定対象物と結合する標識物質を含む試薬である。標識物質は、原子レベルの表面粗さを持つ金または銀を含む粒子であり、この金または銀を含む粒子の表面には、測定対象物と結合可能である抗原または抗体がコーティングされている。
【0020】
第1試薬分注部22は、第1試薬の吸引および吐出を行なう試薬プローブが先端部に取り付けられ鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。第1試薬分注部22は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。第1試薬分注部22は、第1試薬庫21によって所定位置に移動された第1試薬ボトル21a内の試薬を、試薬プローブによって吸引し、アームを旋回させ、反応テーブル10によって第1試薬吐出位置に搬送された反応容器11に分注する。第2試薬分注部25は、第1試薬分注部22と同様の構成を有し、第2試薬庫24によって所定位置に移動された第2試薬ボトル24a内の試薬を、試薬プローブによって吸引し、アームを旋回させ、反応テーブル10によって第2試薬吐出位置に搬送された反応容器11に分注する。
【0021】
プローブ洗浄部23,26は、第1試薬分注部22の試薬プローブの軌跡上、第2試薬分注部25の試薬プローブの軌跡上にそれぞれ配置され、試薬プローブの内側と外側との洗浄を行う。試薬分注が終了した試薬プローブは、プローブ洗浄部23,26によって洗浄された後、次の試薬の分注処理を行なう。
【0022】
攪拌部27は、反応容器11に分注された検体と試薬との攪拌を行い、反応を促進させる。反応容器11内に分注された検体、第1試薬および第2試薬は、攪拌部27によって反応が促進される。この結果、反応容器11内には検体に含まれる測定対象物と磁性粒子と標識物質との複合体が生成する。この複合体は、磁性粒子を有する。この磁性粒子は、磁界が及ぶ領域に位置する場合には、この磁界において磁力を有し、磁界発生源に引き寄せられる。この結果、磁性粒子を有する複合体も磁界発生源に引き寄せられる。
【0023】
集磁棒移送部28は、図2に示すように、反応容器内11に対して磁界を発生する集磁棒28aが先端部に取り付けられ昇降および回転を自在に行なうアーム28bを有する。集磁棒移送部28は、検体および試薬を収容し所定の集磁位置に位置する反応容器11の内部、後述する測光部30による測光位置、または、後述する集磁棒洗浄部29による洗浄位置に集磁棒28aを移送する。具体的には、集磁棒移送部28は、所定の軌跡L2にしたがって、反応テーブル10に移送される反応容器11であって軌跡L1上の所定の集磁位置に位置する反応容器11の内部、測光部30内部の測光位置、または、集磁棒洗浄部29の洗浄槽29a内部に、集磁棒28aを移送する。
【0024】
集磁棒移送部28は、図2に示すように、アーム28bの他端に接続し、このアーム28bの他端を通過する鉛直線が中心軸である支柱28cを有する。そして、集磁棒移送部28は、この支柱28cを回転させる回転機構28dと支柱28cを昇降させる昇降機構28eとを有する。この回転機構28dは、プーリ282dに接続するとともに装置本体の不動部分に固定された回転用モータ281dと、支柱28cに一体となって設けられたプーリ284dと、プーリ282dおよびプーリ284dに掛け渡された回転用ベルト283dとを備える。回転用モータ281dが時計回りまたは反時計回りに対応する向きで回転した場合、回転用モータ281dの回転がプーリ282d、回転ベルト283d、プーリ284dに順次伝達することによって支柱28cが時計回りまたは反時計周りに回転する。この支柱28cの回転によって、支柱28cが接続するアーム28bが矢印Y5のように軌跡L2に沿って回転する。そして、昇降機構28eは、プーリ282eに接続するとともに分析装置1内部の不動部分に固定された昇降用モータ281eと、支柱28c下端に一体となって設けられた昇降板286eと、支柱28cと平行となるように分析装置1内部の不動部分に固定され下端にプーリ284eが設けられたネジ軸285eと、プーリ282eおよびプーリ284eに掛け渡された昇降用ベルト283eとを備える。ネジ軸285eは、昇降板286e内を貫通しており、昇降板286eとネジ軸285eとは、たとえばボールねじ機構を構成している。昇降用モータ281eが上昇方向または下降方向に対応する向きで回転した場合、昇降用モータ281eの回転がプーリ282e、昇降用ベルト283e、プーリ284eに順次伝達することによってネジ軸285eが回転し、このネジ軸285eの回転にともない昇降板286eも上昇または下降することによって、支柱28cが上昇または下降する。この支柱28cの昇降によって、支柱28cが接続するアーム28bも矢印Y6のように昇降する。
【0025】
集磁棒移送部28は、検体、第1試薬および第2試薬が分注され、複合体が生成された反応容器11内に集磁棒28aを挿入する。反応容器11内に挿入された集磁棒28aは、先端から反応容器11内に磁界を発生させることによって、集磁棒28aの先端表面に反応容器11内の複合体における磁性粒子を吸着し、複合体を集磁する。その後、集磁棒移送部28は、アーム28bを回転移動することによって後述する測光部30の開口30c上に集磁棒28cを移送し、アーム28bを下降することによって開口30cを介して測光部30の測光位置まで集磁棒28aを挿入する。そして、測光部30による測光処理が終了した後、集磁棒移送部28は、集磁棒28aを洗浄するため、測光部30による測光位置から、後述する集磁棒洗浄部29における洗浄槽29a内に、複合体が先端表面に吸着した集磁棒28aを移送する。なお、集磁棒移送部28は、後述するように、集磁棒28a内部が筒状となっており、この筒状となった内部を図中上下に移動可能である磁性体の制御棒28hと、この制御棒28hに接合するストッパ部材28jとを備える。
【0026】
集磁棒洗浄部29は、図2に示すように、側面に、洗浄液タンクと接続し洗浄液を供給する洗浄液供給管29bと、底面に、排液タンクと接続し洗浄液等を排出する排液管29cが接続する所定の洗浄槽29aを有し、測光部30による測光処理が終了した集磁棒28aを洗浄する。洗浄槽29aは、上部に開口をもつ略角柱状を有し、集磁棒28aを収容して集磁棒28aの洗浄を行う。なお、集磁棒洗浄部29は、集磁棒28aの制御棒28h上部が装着可能であって軌跡L2上に位置する凹部29fを有し、ストッパ部材28jを凹部29f側上面に掛けることができる板状部材29eと、この板状部材29eと接続し分析装置1内部の不動部分に固定された支柱29dとを有する。図2に示すように、板状部材29eが洗浄槽29a上方から所定距離分、離間して位置するように、支柱29dの高さ、および、支柱29dと板状部材29eとの接続箇所が設定されている。
【0027】
測光部30は、集磁棒28aが集磁した複合体に対して測光処理を行なって、複合体の光学的特性を測定する。測光部30は、複合体が凝集した凝集体の表面増強されたラマン散乱光を測定し、測定結果を制御機構4に出力する。
【0028】
容器洗浄部31は、図示しないノズルによって、集磁棒28aによる複合体の集磁処理によって複合体が取り除かれた反応容器11内の混合液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで反応容器11を洗浄する。この洗浄した反応容器11は再利用されるが、検査内容によっては1回の測定終了後に反応容器11を廃棄してもよい。
【0029】
次に、制御機構4について説明する。制御機構4は、制御部41、入力部42、分析部43、記憶部44および出力部45を備える。測定機構2および制御機構4が備えるこれらの各部は、制御部41に電気的に接続されている。
【0030】
制御部41は、CPU等を用いて構成され、分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部41は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。
【0031】
入力部42は、キーボード、マウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。分析部43は、測光部33から取得したラマン分光結果に基づいて検体の分析を行う。
【0032】
記憶部44は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部44は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体から情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。
【0033】
出力部45は、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力する。出力部45は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがった情報を外部装置に出力してもよい。
【0034】
以上のように構成された分析装置1では、列をなして順次搬送される複数の反応容器11に対して、検体分注部20が検体容器19a中の検体を分注し、第1試薬分注部22が第1試薬ボトル21a中の第1試薬を分注し、第2試薬分注部25が第2試薬ボトル24a中の第2試薬を分注する。具体的には、各反応容器11には、検体分注部20によって検体容器19aから検体が注入されるとともに、図3(1)に示すように、磁性粒子51を含む第1試薬と標識物質である金粒子52を含む第2試薬が注入される。この磁性粒子51および金粒子52は、検体中の測定対象物50と反応し、この結果、図3(2)に示すように、磁性粒子51、金粒子52および測定対象物50が結合した複合体53が形成される。その後、集磁棒移送部28は、図3(2)の矢印Y1に示すように、この複合体53が形成された反応容器11内部に、集磁棒28aを挿入する。そして、図3(3)の矢印Y2に示すように、集磁棒28aが反応容器11内に先端から磁界を発生させることによって集磁棒28a先端表面に複合体53の磁性粒子が引き寄せられて吸着し、集磁棒28aの先端表面に複合体53が凝集した凝集体54が形成される。このようにして、集磁棒28aは先端表面に複合体53を集磁する。その後、集磁棒28aは、表面に凝集体54を吸着させた状態で、集磁棒移送部28によって矢印Y3のように反応容器11内部から引き上げられ、測光部30の測光位置に移送される。
【0035】
そして、図3(4)に示すように、測光部30は、レーザ光源30aと、図示しない集光機構と、ラマン分光計30bとを備える。測光部30では、レーザ光源30aから発せられたレーザ光Liは、集磁棒28a表面に吸着する凝集体54に入射し、凝集体54で表面増強されたラマン散乱光Lfは、ラマン分光計30bによって測定される。ラマン分光計30bによる測定結果は、後述する制御部41に出力される。この測定結果を分析部43が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行われる。また、容器洗浄部31が集磁棒28aによる複合体53の集磁処理が終了し複合体53が取り除かれた後に搬送される反応容器11を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。そして、測光部30によって測定が終了した集磁棒28aは、集磁棒洗浄部29によって洗浄された後に、次の測定対象の反応容器11に対して複合体53の集磁処理を行う。
【0036】
ここで、本実施の形態1にかかる分析装置1においては、集磁棒28aは、常に磁界を発生させているのではなく、反応容器11内に磁界を発生させ、さらに、この磁界の発生を停止させることが可能である。言い換えると、集磁棒28aは、磁界の発生をオンまたはオフとすることができる。そして、制御部41は、反応容器11内における集磁棒28aによる磁界の発生を制御する集磁棒磁界制御部46を備え、この集磁棒磁界制御部46が反応容器11内における集磁棒28aによる磁界の発生、および、この磁界の発生の停止を制御することによって、反応容器11からの複合体53(凝集体54)の集磁と、測光終了後の凝集体54が吸着する集磁棒28aの洗浄を円滑に行っている。
【0037】
次に、この集磁棒28aについて詳細に説明する。図4は、図2に示す集磁棒28aを長手方向に切断した断面図であり、図5は、図2に示す集磁棒28aの先端部分を示す斜視図である。図4および図5に示すように、集磁棒28aは、外筒28gを備える。この外筒28gは、内部が空洞である構造を有するとともに、少なくとも先端が磁性体材料で形成され、さらに上面が開口した円柱形状を有する。この外筒28gの先端部分は、2方向から切り欠くことによって形成された尖形状を有する。また、外筒28g上部は、アーム28b先端に設けられた孔に装着されアーム28bに固定接続されている。
【0038】
外筒28gの空洞内には、外筒28gの空洞内を上下に移動可能である制御棒28hが挿入されている。制御棒28hの下部先端には永久磁石28iが接続されている。この永久磁石28iは、ネオジウム元素から構成される永久磁石であるほか、フェライト磁石であってもよい。制御棒28hと永久磁石28iは、接着剤を介して接合されるほか、溶接によって接合される場合もある。また、制御棒28h先端が磁性体で形成される場合には、永久磁石28iが発生する磁界によって制御棒28hと永久磁石28iとを接続することも可能である。制御棒28hの長さは、制御棒28hの下部先端の永久磁石28iが外筒28g内部の空洞底面に接触した場合であっても、制御棒28hの上部先端がアーム28b条面から突出するように設定されている。制御棒28hは、軸受け28kによってアーム28bに支持されている。そして、制御棒28hの上部先端にはストッパ部材28jが設けられている。
【0039】
集磁棒28aにおいては、制御棒28h下部先端の永久磁石28iの位置が、複合体53の集磁箇所に近接した位置に変更することによって、上記反応容器11内における磁界を発生させ、永久磁石28iの位置が複合体53の集磁箇所から離間した位置であって永久磁石28iの磁界が複合体53の集磁箇所に及ばない位置に変更することによって、反応容器11内における磁界の発生が停止する。
【0040】
まず、集磁棒28aが反応容器11内に磁界を発生させる場合について説明する。図4に示すように、制御棒28hが重力などにしたがって外筒28gの空洞底部まで挿入されている場合には、永久磁石28iが外筒28gの下端に近接して位置することとなる。すなわち、この場合には、永久磁石28iは外筒28g先端の切り欠いた2つの平面28mに近接して位置する。この結果、これらの平面28mからは永久磁石28iの磁界が発せられることとなり、集磁棒28a先端からの磁界の発生が可能となる。複合体53が形成された反応容器11内に、この状態の集磁棒28aを挿入した場合、集磁棒28a先端の平面28mから反応容器11内に磁界を発生させることができる。この結果、外筒28gの2つの平面28m表面に、図3(3)に示す矢印Y2のように磁性体である複合体53が引き寄せられ、集磁棒28aは、平面28m表面に凝集体54を形成して複合体53を集磁することが可能になる。このように、複合体53の集磁処理時に、永久磁石28iの位置が集磁箇所である平面28mに近接した位置となるように、制御棒28hが外筒28gの空洞底部まで挿入されることによって、反応容器11における集磁棒28aによる磁界の発生が可能になる。そして、集磁棒28aは、複合体53の集磁処理、および、測光部30による測光処理においては、この状態を保持する。すなわち、集磁棒磁界制御部46は、アーム28bの移動処理を制御し、外筒28gの空洞底部まで制御棒28hが挿入された状態の集磁棒28aを反応容器11内に挿入することによって、反応容器11内に磁界を発生させ、集磁部材移送部28によって集磁棒28aが測光部30における測光位置に移送時されるまでは、この集磁棒28aの状態を保持することで、集磁棒28a先端からの磁界の発生を維持させている。
【0041】
次に、集磁棒28aが集磁棒28a先端から発生させた磁界が停止される場合について説明する。集磁棒28aは、制御棒28h下部先端の永久磁石28iの位置が、集磁箇所である平面28mから永久磁石28iの磁界の及ばない離間した位置に変更した場合に、集磁棒28a先端からの磁界の発生が停止する。そして、測光部30による平面28m表面の凝集体54の測光処理が終わった後であって集磁棒洗浄部29によって集磁棒28aが洗浄される場合に、集磁棒28a先端からの磁界の発生が停止する。
【0042】
図6は、集磁棒28aの洗浄処理時における集磁棒28a先端からの磁界の発生の停止を説明する図である。この図6および図2を参照して、集磁棒洗浄処理時における集磁棒28a先端からの磁界の発生を説明する。まず、集磁棒磁界制御部46は、測光部30による平面28m表面の凝集体54の測光処理が終了した場合、集磁棒移送部28に対して、集磁棒28aを測光部30による測光位置から集磁棒洗浄部29による洗浄位置まで移動させる。具体的には、集磁棒磁界制御部46は、集磁棒移送部28に対し、アーム28bを上昇させ集磁棒28aを測光部30内から上昇させた後、図2に示す軌跡L2に沿ってアーム28bを回転させることによって、集磁棒洗浄部29上まで集磁棒28aを移動させる。
【0043】
そして、図6に示すように、集磁棒磁界制御部46は、アーム28bの移動動作を制御することによって、板状部材29eの凹部29f内に制御棒28h上部を装着し、板状部材29eの凹部29f側上面にストッパ部材28jを掛ける。その状態で、集磁棒磁界制御部46は、アーム28bを矢印Y8のように下降させる。このアーム28bの下降にしたがって、アーム28bに固定接続される集磁棒28aの外筒28gも矢印Y9のように集磁棒洗浄部29における洗浄槽29a内に下降する。
【0044】
これに対し、集磁棒28a内にあった制御棒28hは、上部のストッパ部材28jが板状部材29eに掛けられているため、アーム28bが下降した場合であっても、下降せず、そのままの高さを保持する。したがって、図6に示すように、制御棒28h下端は、アーム28bの下降にしたがい外筒28gが下降することによって、外筒28gの空洞内上方に位置が変わることとなる。すなわち、制御棒28h全体は、外筒28gに対して相対的に上昇する。これにともない、制御棒28h下端に接続する永久磁石28iの位置も、外筒28gの空洞内上部であって平面28mへ永久磁石28iの磁界が及ばない位置に変わる。言い換えると、永久磁石28iの位置は、外筒28gの空洞底部から空洞上部に変わることによって、複合体53の集磁位置である平面28mから離間した位置であって、永久磁石28iの磁界が平面28mに及ばない位置に変わることになる。この結果、複合体53の集磁処理および測光処理において反応容器11内において発生させた集磁棒28a先端からの磁界の発生は停止する。すなわち、集磁棒磁界制御部46は、集磁棒洗浄部29によって集磁棒28aが洗浄される場合に、制御棒28hのストッパ部材28jが板状部材28eに掛かかるようにアーム28bを回転させ、その後、アーム28bを下降させることによって、外筒28gのみを洗浄槽29a内に挿入して、集磁棒28aから集磁棒28a先端からの磁界の発生を停止させる。
【0045】
分析装置1は、このように集磁棒28aからの磁界の発生が停止した状態で、集磁棒28aが挿入された洗浄槽29a内に洗浄液供給管29bから洗浄液Waを供給させ、集磁棒28aを洗浄している。この場合、平面28m表面から発せられた磁界によって平面28m表面に吸着していた凝集体54は、吸着の要因であった集磁棒28a先端からの磁界の発生が停止し、磁界が及ばないことから、平面28mへの吸着が解除され、集磁棒28a表面から図6の矢印Y10のように剥がれて離脱する。そして、集磁棒28aから離脱した凝集体54は、洗浄液Waの水流にしたがって下方に流される。集磁棒洗浄部29は、この凝集体54を含む洗浄液Waを、排液管29cを介して洗浄槽29a外へ廃棄することによって、集磁棒28a表面に吸着した凝集体54を取り除いている。
【0046】
このように、分析装置1においては、集磁棒28aは、反応容器11内に磁界を発生させることによって反応容器11から複合体53を先端表面に集磁するとともに、この磁界の発生を停止することが可能である。このため、分析装置1においては、集磁棒28a先端から磁界を発生させることによって複合体53(凝集体54)を適切に集磁することができるとともに、集磁棒28a先端からの磁界の発生を停止することによって測光処理後の集磁棒28a表面から複合体53を適切に取り除くことができる。したがって、分析装置1によれば、集磁棒に保護キャップを装着しなくとも、集磁棒28a表面から複合体53を適切に除去できるため、装置内汚染の防止と廃棄物の低減との双方が可能になる。
【0047】
もちろん、分析装置1においては、集磁棒28aを直接、反応容器11の反応液内に挿入することによって複合体53を集磁しているため、反応容器外から複合体を集磁し複合体以外の未反応物質を除去して複合体を残存させていた従来のBF(bound−free)分離処理を行なう場合と比較し、複合体53の集磁を効率よく行うことができる。また、分析装置1においては、従来のBF分離処理を行なう必要がないため、BF分離処理の効率化を図らずとも、高い精度で分析処理を行なうことができる。また、分析装置1においては、集磁棒28a表面に凝集体54が吸着した状態でSERS測光を行うことができるため、従来の液中で複合体の光学的特性を測定する方法と比較して、液中に含まれる夾雑物の影響を大幅に低減することができ、高い精度で分析処理を行なうことができる。
【0048】
なお、図6に示す集磁棒洗浄部29では、洗浄液供給管29bは、洗浄槽29a側面に、洗浄槽29aを貫通して設けられ、洗浄液もしくは水を洗浄槽29a内に供給する。また、排液管29cからの排液量は、排液管29cに設けられる図示しない電磁弁の開閉によって制御される。集磁棒洗浄処理において、この洗浄槽29a内に洗浄液高さPwを超えない量であって一定量の洗浄液が供給されるまでは、電磁弁は閉じたままとする。なお、排液管29cに電磁弁以外の機構を設け、流量制御を行なってもよい。
【0049】
次に、複合体53の集磁処理から集磁棒洗浄処理までにおける分析装置1の要部の動作処理を説明する。図7は、分析装置1の要部における複合体53の集磁処理から集磁棒洗浄処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0050】
図7に示すように、集磁棒磁界制御部46は、集磁棒移送部28のアーム28bを回転移動させることによって、集磁棒28aを反応テーブル10に収容される反応容器11のうち所定の集磁位置に位置する反応容器11上に移送する(ステップS2)。そして、集磁棒磁界制御部46は、アーム28bを下降させることによって集磁棒28aを反応容器11内に下降させる集磁棒下降処理を行う(ステップS4)。この場合、集磁棒28aにおける制御棒28hは重力にしたがい外筒28gの空洞底部まで挿入するため、制御棒28hの底部側先端に接続する永久磁石28iは、複合体53の集磁面である平面28mに近接する。このため、集磁棒28a先端の平面28mから磁界が発せられる状態となっている。したがって、この状態で集磁棒28aが反応容器11内に下降した場合には、集磁棒28a先端から発せられる磁界もともに反応容器11内に移動するため、集磁棒28aは反応容器11内に磁界を発生させることとなる。そして、集磁棒28a先端の平面28m表面には、複合体53が吸着し、凝集体54が形成される。なお、アーム28bは、集磁棒28aの外筒28gの磁性体部分の上端が反応容器11内の液面よりも上方に位置するように、集磁棒28aを反応容器11内に下降する。外筒28gの磁性体部分の上端が液面よりも下方に位置した場合、外筒28m下端の平面28m以外に、外筒28gの磁性体部分の上端にも複合体53が引き寄せられてしまい、複合体53の平面28mにおける集磁効率が低減してしまうためである。また、集磁棒28aの反応容器11内への下降速度は、50m/秒以下であることが望ましい。
【0051】
そして、集磁棒磁界制御部46は、集磁棒28aの先端に凝集体54が形成される所定の集磁時間が経過したか否かを判断する(ステップS6)。この集磁時間は、0.1秒以上である必要があり、複合体53の集磁効率を一定以上とするためには2秒以上であることが望ましい。集磁棒磁界制御部46は、この集磁時間を経過するまでステップS6の判断処理を繰り返し、集磁時間を経過したと判断した場合(ステップS6:Yes)、反応容器11から集磁棒28aを取り出すために、アーム28bを上昇させて集磁棒28aを反応容器11内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS8)。この集磁棒28aの反応容器11からの上昇速度は、下降速度と等しいか、あるいは、それ以下に設定することが望ましい。
【0052】
次いで、集磁棒磁界制御部46は、アーム28bを回転移動させて集磁棒28aを測光部30上に移送し(ステップS10)、アーム28bを下降させることによって集磁棒28aを測光部30内の測光位置まで下降させる集磁棒下降処理を行う(ステップS12)。この場合、集磁棒28aに対する制御棒28h先端の永久磁石28iの位置は変わっていないため、集磁棒28a先端からの磁界の発生は維持される。したがって、集磁棒28aは、先端の平面28m表面に凝集体54を吸着した状態のまま測光部30内に移送され、測光処理が実施される。その後、集磁棒磁界制御部46は、この集磁棒28a先端に吸着する凝集体54への測光処理が終了したか否かを判断する(ステップS14)。たとえば、集磁棒磁界制御部46は、所定の測光時間が経過した場合に測光処理が終了したと判断する。この測光時間は、測光部30の検出手段の種類によって異なり、いずれであっても0.1秒以上である。また、測光時間は、表面増強されたラマン散乱光を検出する場合には1秒以上であることが望ましい。
【0053】
そして、集磁棒磁界制御部46は、測光処理が終了するまでステップS14の判断処理を繰り返し、測光処理が終了したと判断した場合(ステップS14:Yes)、アーム28bを上昇させることによって、集磁棒28aを測光部30内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS16)。その後、集磁棒磁界制御部46は、測光処理が終了した集磁棒28aを洗浄するため、アーム28bを回転させることによって、集磁棒洗浄部29の洗浄槽29a上に集磁棒28aを移送する(ステップS18)。この集磁棒28aの洗浄槽29a上への移送が完了した時点で、集磁棒28aの制御棒28h上部のストッパ部材28jが、集磁棒洗浄部29における板状部材29eの凹部29f側上面に掛けられた状態となる。すなわち、ストッパ部材28jをストッパ回避部材である板状部材29eの凹部29f側上面に装着することができる(ステップS20)。
【0054】
この状態で、集磁棒磁界制御部46は、アーム28bを下降させることによって、集磁棒28aを洗浄槽29a内に下降する(ステップS22)。この場合、集磁棒28a内にあった制御棒28hは、上部のストッパ部材28jが板状部材29eに掛けられているため、アーム28bが下降した場合であっても下降せず、そのままの高さを保持する。これにともない、制御棒28h下端に接続する永久磁石28iも、そのままの高さを保持する。これに対し、外筒28gは、アーム28bの下降にしたがって下降するため、永久磁石28iから、外筒28g先端の平面28mは離れてしまう。このため、集磁棒28a先端からの磁界の発生は停止し、平面28mには、永久磁石28iの磁界は及ばなくなる。なお、この集磁棒28aの洗浄槽29a内の下降速度は、0.1mm/秒以上であり、150mm/秒程度であることが望ましい。また、アーム28bの下降速度を調整することによって、制御棒28hの外筒28gに対する相対的な上昇速度は調整可能である。また、ストッパ部材28jおよび板状部材29eの設置高さを調整することによって、制御棒28hの外筒28gに対する相対的な上昇量は調整可能である。
【0055】
その後、制御部41は、洗浄槽29a内に洗浄液の供給を開始し(ステップS26)、集磁棒28aの洗浄を行う。この場合、集磁棒28a先端からの磁界の発生は停止しているため、外筒28g先端の平面28mに吸着していた凝集体54は、洗浄液内に離脱し、排液管29cを介して廃棄される。また、制御部41は、洗浄液が洗浄槽29a内の洗浄液高さPwを上回ったり下回ったりしないように、排液管29cに設けられた電磁弁を制御し、排液量を調整する。また、制御部41は、電磁弁を制御することによって、洗浄液高さを保持するとともに、洗浄槽29a内に洗浄液の流れを形成する。また、洗浄液高さPwは、集磁棒28aが洗浄槽29a内に挿入された場合、集磁棒28aの外筒28gの磁性体部分の上端を上回る高さとする。
【0056】
集磁棒磁界制御部46は、所定の洗浄時間が経過したか否かを判断する(ステップS28)。この洗浄時間は、0.1秒以上である必要があり、確実な複合体53除去のためには2秒以上であることが望ましい。集磁棒磁界制御部46は、この洗浄時間を経過するまでステップS28の判断処理を繰り返し、集磁時間を経過したと判断した場合(ステップS28:Yes)、洗浄槽29aから集磁棒28aを取り出すために、アーム28bを上昇させて集磁棒28aを洗浄槽29a内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS30)。この集磁棒28aの洗浄槽29aからの上昇速度は、集磁棒28aの外筒28gの先端方面への洗浄液付着を防止するため、外筒28gの先端表面が洗浄液高さPwを越えるまでは、50mm/秒以下とする。そして、アーム28bが上昇することにより、外筒28gも上昇し、制御棒28hが外筒28gの空洞内に永久磁石28iが空洞底部に位置するよう装着される。これによって、集磁棒28aは、集磁棒28a先端から磁界が発せられる状態となる。集磁棒磁界制御部46は、次に分析対象の反応容器がある場合には、ステップS2に戻り、集磁棒28aを反応容器11上に移送する。
【0057】
その後、制御部41は、洗浄槽29aへの洗浄液の供給を停止する(ステップS32)。実質的には、制御部41は、集磁棒28aの外筒28gの先端が洗浄液高さPwよりも高い位置に移動した場合、すなわち、外筒28gの先端と液面との接触がなくなった場合、洗浄液の供給を停止する。外筒28gの先端と液面との接触がなくなったか否かは、静電容量型液面検知法等を用いて判断できる。そして、制御部41は、洗浄槽29aに残存する洗浄液を排水して(ステップS36)、集磁棒28aの洗浄処理を終了する。このように、ステップS2〜ステップS36の一連の処理を繰り返すことによって、集磁棒28aによる集磁処理、測光処理および集磁棒洗浄処理が分析処理ごとに行われる。
【0058】
また、本実施の形態1においては、図5に示すように、外筒28gの先端は、2方向から先端部分を切り欠いた形状としている。これは、永久磁石28iを外筒28gの先端にできるだけ近づけることができるようにするためである。この結果、2つの平面28mから効率よく磁界を発することができるため、これらの2つの平面28m表面に複合体53を円滑に凝集させて集磁することができる。また、凝集箇所が集磁する面を平面とすることによって、測光部30による測光処理において、焦点距離、焦点深度を一定に近づけることができることから、ばらつきの少ない測定が可能となり、分析精度を高めることができる。なお、集磁棒28aは、先端に平面形状を設け複合体53の集磁面とすればよいため、図8に示すように、一方向のみから切り欠いた形状としても良い。
【0059】
また、本実施の形態1においては、集磁棒28aとして、先端部のみに永久磁石28iを接合した制御棒28hを有する場合を例に説明したが、もちろんこれに限らず、制御棒28h全体を永久磁石によって形成してもよい。また、制御棒28h先端のみならず、制御棒28h全体を磁性体で形成してもよく、さらに磁性体を複数接続して形成しても良い。
【0060】
また、本実施の形態1においては、永久磁石28iを用いて集磁棒先端からの磁界の発生および磁界の発生の停止を可能とする場合を例に説明したが、永久磁石に代えて、磁性体によって形成される導線を巻回したコイルによって形成される電磁石を用いることも可能である。以下、電磁石を用いて集磁棒の磁界を制御した場合について説明する。図9は、実施の形態1にかかる分析装置の他の構成を示す模式図である。図9に示すように、実施の形態1にかかる分析装置の他の構成である分析装置101は、図1に示す分析装置1と比較し、集磁棒移送部28に代えて集磁棒移送部128を備え、集磁棒洗浄部29に代えて集磁棒洗浄部129を備えた測定機構102を備える。そして、分析装置101の制御機構104は、分析装置1と比較し、制御部41に代えて、集磁棒磁界制御部146を備えた制御部141を有する。
【0061】
集磁棒移送部128は、永久磁石ではなく電磁石を備えた構成を有する。図10は、図9に示す集磁棒移送部128が有する集磁棒を説明する図であり、この集磁棒を長手方向に切断した断面図である。
【0062】
図10に示すように、集磁棒移送部128は、アーム28b先端に装着された集磁棒128aを備える。この集磁棒128aは、集磁棒28aと同様に内部が空洞である外筒28gを備える。外筒28gの空洞内には、下部先端に電磁石128iが接続された制御棒128hが固定配置されている。制御棒128h内部は、電磁石128iに接続し電磁石128iに電流を供給する接続線128mが貫通しており、この接続線128mは制御棒128h上部からアーム28bに沿って延伸し、集磁棒磁界制御部146に接続する。
【0063】
集磁棒磁界制御部146は、電磁石128iへ供給する電流を制御することによって、反応容器11内における集磁棒128aによる磁界の発生を制御する。集磁棒128aは、電磁石128iへ供給される電流によって磁界の発生が制御されるため、集磁棒28aに備えられたストッパ部材28jを省いた構成である。これにともない、集磁棒洗浄部129は、集磁棒洗浄部29から支柱29dおよび板状部材29eを省いた構成を有する。
【0064】
集磁棒磁界制御部146は、集磁棒128aから磁界を発生させる場合には、制御棒128h先端の電磁石128iに電流が供給されるように制御する。これによって、電磁石128iに電流が流れて磁界が発生し、電磁石128iが近接する外筒28g先端の平面28mから磁界が発せられる。
【0065】
図11に示すように、集磁棒128aは、このように先端から磁界が発せられる状態で集磁棒128aを複合体53が形成された反応容器11内に挿入されることによって、反応容器11内に磁界を発生させる。この結果、集磁棒128aの外筒28gの2つの平面28m表面に、矢印Y12のように磁性体である複合体53が引き寄せられ、平面28m表面に凝集体54が形成されることによって複合体53を集磁することが可能になる。このように、集磁棒128aは、集磁棒磁界制御部146の電流制御のもと、複合体53の集磁処理、および、測光部30による測光処理においては、この磁界が有効化した状態を保持する。
【0066】
これに対し、集磁棒磁界制御部146は、集磁棒128aによる磁界の発生を停止させる場合には、集磁棒128aの電磁石128iへの電流の供給が停止されるように制御する。これによって、電磁石128iには電流が流れなくなり、電磁石128iによる磁界が消失するため、集磁棒128aにおける磁界の発生も停止する。集磁棒磁界制御部146は、測光部30による平面28m表面の凝集体54の測光処理が終わった後であって集磁棒洗浄部129によって集磁棒128aが洗浄される場合に、電磁石128iへの電流供給を停止し、集磁棒128aによる磁界の発生を停止する。
【0067】
具体的には、集磁棒磁界制御部146は、アーム28bに、測光処理が終了した集磁棒128aを洗浄槽29a上に移送させた後、図12の矢印Y8に示すように、アーム28bを下降させる。これにともない、集磁棒128aも洗浄槽29a内に下降する。その後、集磁棒磁界制御部146は、電磁石128iへの電流の供給を停止し、集磁棒128aによる次回の発生を停止する。分析装置101は、この集磁棒128aからの磁界が消失した状態で、洗浄槽29a内に洗浄液供給管29bから洗浄液Waを供給して、集磁棒128aを洗浄している。この場合、集磁棒128a先端から発せられる磁界によって平面28m表面に引き寄せられることによって吸着していた凝集体54は、吸着の要因であった集磁棒128aの磁界が消失することから、平面28mへの吸着が解除され、集磁棒128a表面から図12の矢印Y10のように剥がれて離脱する。そして、集磁棒128aから離脱した凝集体54は、洗浄液Waの水流にしたがって下方に流される。集磁棒洗浄部129は、この凝集体54を含む洗浄液Waを、排液管29cを介して洗浄槽29a外へ廃棄することによって、集磁棒128a表面に吸着した凝集体54を取り除いている。
【0068】
このように、分析装置101においても、分析装置1と同様に、電磁石128iへの電流供給を制御することで反応容器11内における集磁棒128aによる磁界の発生または磁界の発生の停止が可能であるため、集磁棒に保護キャップを装着せずとも、複合体53の集磁とともに集磁棒128aの洗浄も適切に実行できることから、装置内汚染の防止と廃棄物の低減との双方が可能になる。
【0069】
次に、図13を参照して、複合体53の集磁処理から集磁棒洗浄処理までにおける分析装置101の要部の動作処理を説明する。図13に示すように、図7に示すステップS2およびステップS4と同様に、集磁棒磁界制御部146は、アーム28bを制御することによって、集磁棒128aを反応テーブル10の所定の集磁位置に位置する反応容器11上に移送し(ステップS102)、集磁棒128aを反応容器11内に下降させる集磁棒下降処理を行う(ステップS104)。そして、集磁棒磁界制御部146は、反応容器11内の複合体53の集磁のため、集磁棒128aの電磁石128iへの電流供給を開始する(ステップS105)。この結果、電磁石128iから磁界が発せられ、集磁棒128aは反応容器11内に磁界を発生させることとなる。そして、集磁棒磁界制御部146は、ステップS6およびステップS8と同様に、所定の集磁時間が経過したか否かを判断し(ステップS106)、この集磁時間を経過するまでステップS106の判断処理を繰り返し、集磁時間を経過したと判断した場合(ステップS106:Yes)、アーム28bを上昇させて、集磁棒128aを反応容器11内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS108)。
【0070】
次いで、集磁棒磁界制御部146は、ステップS10およびステップS12と同様に、アーム28bを制御することによって、集磁棒128aを測光部30上に移送後(ステップS110)、集磁棒128aを測光部30の測光位置まで下降させる集磁棒下降処理を行う(ステップS112)。この間も、集磁棒磁界制御部146は、電磁石128iへの電流供給を継続させているため、集磁棒128aによる磁界の発生は維持されることから、集磁棒128aには、先端の平面28m表面に凝集体54を吸着した状態を維持する。その後、集磁棒磁界制御部146は、ステップS14と同様に、測光部30による測光処理が終了したか否かを判断し(ステップS114)、測光処理が終了するまでステップS114の判断処理を繰り返し、測光処理が終了したと判断した場合(ステップS114:Yes)、ステップS16と同様に、集磁棒128aを測光部30内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS116)。
【0071】
そして、集磁棒磁界制御部146は、ステップS18およびステップS22と同様に、測光処理が終了した集磁棒128aを洗浄するため、アーム28bを制御することによって、集磁棒洗浄部129の洗浄槽29a上に集磁棒128aを移送後(ステップS118)、集磁棒128aを洗浄槽29a内に下降する(ステップS122)。次いで、集磁棒磁界制御部146は、集磁棒128aの電磁石128iへの電流供給を停止し(ステップS124)、電磁石128iから発せられる磁界は消失するため、集磁棒128aによる磁界の発生は停止する。これによって集磁棒128aからの磁界は消失するため、洗浄液の供給が開始された場合(ステップS126)、集磁棒128a表面から凝集体54が洗浄液内に離脱可能となり、集磁棒128aの洗浄を適切に行うことができる。次に、集磁棒磁界制御部146は、ステップS28と同様に、所定の洗浄時間が経過したか否かを判断し(ステップS128)、この洗浄時間を経過するまでステップS128の判断処理を繰り返し、集磁時間を経過したと判断した場合(ステップS128:Yes)、ステップS30と同様に、アーム28bを上昇させて集磁棒128aを洗浄槽29a内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS130)。その後、制御部41は、ステップS32およびステップS36と同様に、洗浄槽29aへの洗浄液の供給を停止し(ステップS132)、洗浄槽29aに残存する洗浄液を排水して(ステップS136)、集磁棒128aの洗浄処理を終了する。このように、ステップS102〜ステップS136の一連の処理を繰り返すことによって、集磁棒128aによる集磁処理、測光処理および集磁棒洗浄処理が分析処理ごとに行われる。
【0072】
また、実施の形態1では、集磁棒28aを移送する集磁棒移送部として、集磁棒28aを一端に備えたアーム28bの他端に支柱28cを接続し、この支柱28cを回転および昇降させる回転機構28d、昇降機構28eを備えた集磁棒移送部28を例に説明したが、もちろんこれに限らず、xyzステージを用いて集磁棒28aを移送するものであってもよい。
【0073】
(実施の形態2)
次に、実施の形態2について説明する。実施の形態1では、集磁棒の洗浄処理において集磁棒のよる磁界の発生を停止した場合を説明したが、実施の形態2では、集磁棒を洗浄する洗浄槽内に磁界を発生させることによって、集磁棒表面からの凝集体の離脱をさらに確実化させている。
【0074】
図14は、実施の形態2例にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図14に示すように、本実施の形態2にかかる分析装置201は、図1に示す分析装置1と比較し、集磁棒洗浄部29に代えて、洗浄槽内に磁界を発生可能である集磁棒洗浄部229を備えた測定機構202を備える。そして、分析装置201の制御機構204は、分析装置1と比較し、制御部41に代えて、集磁棒磁界制御部46に加え、洗浄槽内における磁界の発生を制御する洗浄槽磁界制御部246をさらに備えた制御部241を有する。
【0075】
図15は、図14に示す集磁棒洗浄部229を説明する図であり、集磁棒洗浄部229を構成する洗浄槽229aを縦方向に切断した断面図である。図15に示すように、洗浄槽229aは、側面に凹部を有し、この凹部に電磁石229eが装着された構成を有する。電磁石229eは、電流が供給されることによって磁界を生じ、装着された洗浄槽229a内に磁界を発生させる。洗浄槽磁界制御部246は、電磁石229eへ供給する電流を制御することによって、洗浄槽229a内における電磁石229eによる磁界の発生を制御する。そして、洗浄槽磁界制御部246は、集磁棒洗浄部229によって集磁棒28aが洗浄される場合に電磁石229eに洗浄槽229a内に磁界を発生させている。
【0076】
具体的には、図16に示すように、洗浄槽磁界制御部246は、測光処理が終了した集磁棒28aを洗浄する場合に、電磁石229eに電流を供給して磁界を発生させている。これによって、洗浄槽229a内に磁界が発生する。ここで、集磁棒洗浄処理においては、矢印Y8に示すアーム28bの下降にともない、矢印Y9のように集磁棒28aの外筒28gのみが洗浄槽229a内に下降する。そして、板状部材29eに掛けられた制御棒28hはそのままの位置を保持するため、永久磁石28iと外筒28g先端とは離間し、集磁棒28aからの磁界の発生は停止する。そして、分析装置201においては、さらに洗浄槽229a内に洗浄槽229a側面方向からの磁界が発生する。この状態において、洗浄槽229a内には洗浄液供給管29bから洗浄液Waが供給される。この結果、平面28m表面に引き寄せられることによって吸着していた凝集体54は、吸着の要因であった集磁棒28aの磁界が消失することから平面28mへの吸着が解除されるとともに、洗浄槽229a側面方向から洗浄槽229a内に発生した磁界によって、洗浄槽229a側面側に矢印Y20のように引き寄せられることによって、集磁棒28a表面から剥がれて離脱する。この場合、洗浄槽229a内には、洗浄液が供給されるため、洗浄液の流れによっても、平面28mから離脱するように力が加えられる。そして、集磁棒28aから離脱した凝集体54は、洗浄槽229aの内部側面のうち電磁石229e装着側に浮遊しながら、洗浄液Waの水流にしたがって下方に流され、排液管29cを介して洗浄槽29a外へ廃棄される。
【0077】
この電磁石229eが洗浄槽229a内に発生させた磁界は、集磁棒28a先端表面からの凝集体54の離脱を確実化するため、集磁棒28aから発せられる磁界に比べて等しいか、より強いことが望ましい。
【0078】
このように、実施の形態2にかかる分析装置201においては、集磁棒28aの洗浄処理時に、集磁棒28aにおける洗浄槽内の磁界の発生を停止させるとともに、洗浄液の水流のみならず洗浄槽229a側面方向から洗浄槽229a内に磁界を発生させることによって、実施の形態1に比して、さらに確実に集磁棒28a先端の平面28mに吸着した凝集体を集磁棒28aから離脱させることができる。したがって、分析装置201によれば、分析装置1と同様に、集磁棒に保護キャップを装着せずとも、複合体53の集磁とともに集磁棒228aの洗浄も適切に実行できることから、装置内汚染の防止と廃棄物の低減との双方が可能になる。
【0079】
次に、図17を参照して、複合体53の集磁処理から集磁棒洗浄処理までにおける分析装置201の要部の動作処理を説明する。図17に示すように、図7に示すステップS2およびステップS4と同様に、集磁棒磁界制御部46は、アーム28bを制御することによって、集磁棒28aを反応テーブル10の所定の集磁位置に位置する反応容器11上に移送し(ステップS202)、集磁棒28aを反応容器11内に下降させる集磁棒下降処理を行う(ステップS204)。この場合、制御棒28hは外筒28gの空洞底部まで挿入し、永久磁石28iは外筒28g先端の平面28mに近接していることから、集磁棒28aは反応容器11内に磁界が発生させることとなる。そして、集磁棒磁界制御部46は、ステップS6およびステップS8と同様に、所定の集磁時間が経過したか否かを判断し(ステップS206)、この集磁時間を経過するまでステップS206の判断処理を繰り返し、集磁時間を経過したと判断した場合(ステップS206:Yes)、アーム28bを上昇させて、集磁棒28aを反応容器11内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS208)。
【0080】
次いで、集磁棒磁界制御部46は、ステップS10およびステップS12と同様に、アーム28bを制御することによって、集磁棒28aを測光部30上に移送後(ステップS210)、集磁棒28aを測光部30の測光位置まで下降させる集磁棒下降処理を行う(ステップS212)。この間も、集磁棒28a先端からの磁界の発生は維持されたままであることから、集磁棒28aは、先端の平面28m表面に凝集体54を吸着した状態を維持する。その後、集磁棒磁界制御部46は、ステップS14と同様に、測光部30による測光処理が終了したか否かを判断し(ステップS214)、測光処理が終了するまでステップS214の判断処理を繰り返し、測光処理が終了したと判断した場合(ステップS214:Yes)、ステップS16と同様に、集磁棒28aを測光部30内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS216)。
【0081】
そして、集磁棒磁界制御部46は、ステップS18〜ステップS22と同様に、測光処理が終了した集磁棒28aを洗浄するため、アーム28bを制御することによって、集磁棒洗浄部229の洗浄槽229a上に集磁棒28aを移送し(ステップS218)、ストッパ部材28jをストッパ回避部材である板状部材29eの凹部29f側上面に装着する(ステップS220)。そして、集磁棒磁界制御部46は、集磁棒28aを洗浄槽29a内に下降する(ステップS222)。このアーム28bの下降にともない、集磁棒28aの外筒28gのみが洗浄槽229a内に下降し、板状部材29eに掛けられた制御棒28hはそのままの位置を保持するため、永久磁石28iと外筒28g先端とは離間し、集磁棒28a先端からの磁界の発生は停止する。
【0082】
そして、洗浄槽磁界制御部246は、洗浄槽229aにおける電磁石229eへの電流を開始する(ステップS225)。これによって、電磁石229eは磁界を発生し、洗浄槽229a内に磁界が発生する。続いて、制御部241によって洗浄液の供給が開始される(ステップS226)。この場合、磁界の発生が停止した集磁棒28a表面の凝集体54の吸着が解除されるとともに、洗浄槽229aの側面方向から発せられる磁界によって凝集体54が洗浄槽229a側面に引き寄せられて、凝集体54は確実に集磁棒28a表面から洗浄液内に離脱する。この結果、集磁棒28aの洗浄を適切に行うことができる。
【0083】
次に、集磁棒磁界制御部46は、ステップS28と同様に、所定の洗浄時間が経過したか否かを判断し(ステップS228)、この洗浄時間を経過するまでステップS228の判断処理を繰り返し、集磁時間を経過したと判断した場合(ステップS228:Yes)、ステップS30と同様に、アーム28bを上昇させて集磁棒28aを洗浄槽229a内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS230)。この場合、洗浄槽229aの電磁石229eによる磁界は発生したままであるため、洗浄液内に離脱した凝集体54は、洗浄槽229a側面側に引き寄せられたままとなり、集磁棒28aに再度付着することはない。
【0084】
その後、制御部241は、ステップS32と同様に、洗浄槽229aへの洗浄液の供給を停止し(ステップS232)、その後、洗浄槽磁界制御部246は、電磁石229eへの電流供給を停止する(ステップS234)。そして、制御部241は、ステップS36と同様に、洗浄槽229aに残存する洗浄液を排水して(ステップS236)、集磁棒28aの洗浄処理を終了する。このように、ステップS202〜ステップS236の一連の処理を繰り返すことによって、集磁棒28aによる集磁処理、測光処理および集磁棒洗浄処理が分析処理ごとに行われる。
【0085】
なお、実施の形態2にかかる集磁棒洗浄部229の洗浄槽として、側面に電磁石229eが装着された洗浄槽229aについて説明したが、もちろんこれに限らない。集磁棒28aから洗浄液内に離脱した凝集体54が再度集磁棒28a表面に再付着しないように洗浄槽内に磁界を発生させることができればよいため、図18に示すように、底部に凹部を有し、この凹部に電磁石229eが装着された洗浄槽2291aを用いてもよい。また、装着する電磁石229eの個数は、2個に限らない。図19は、横方向に切断した洗浄槽の他の例の断面図である。集磁棒洗浄部229の洗浄槽として、図19に示すように、4面の各側面にそれぞれ電磁石229eを装着した洗浄槽2292aを用いてもよい。この洗浄槽2292aのように、洗浄槽の各側面に電磁石を設けることによって、2面にのみ電磁石を設けた場合と比較し、洗浄槽内の洗浄液内にさらに強い磁界を発生させることができるとともに、さらに均一な強さの磁界を発生させることができる。もちろん、洗浄槽に設ける電磁石229eは単数であってもよい。
【0086】
また、本実施の形態2においては、電磁石229eを用いて洗浄槽229a内に磁界を発生させた場合を例に説明したが、電磁石に代えて永久磁石を用いることも可能である。以下、洗浄槽内への磁界発生手段として、永久磁石を用いた場合について説明する。図20は、実施の形態2にかかる分析装置の他の構成を示す模式図である。図20に示すように、実施の形態2にかかる分析装置の他の構成である分析装置301は、図14に示す分析装置201と比較し、集磁棒洗浄部229に代えて集磁棒洗浄部329を備えた測定機構302を備える。そして、分析装置301の制御機構304は、分析装置1と比較し、制御部41に代えて、集磁棒磁界制御部46を備えるとともに、洗浄槽内への磁界の発生を制御する洗浄槽磁界制御部346をさらに備えた制御部341を有する。
【0087】
図21は、図20に示す集磁棒洗浄部329を説明する図であり、集磁棒洗浄部329を構成する洗浄槽329aを縦方向に切断した断面図である。図21に示すように、洗浄槽329aは、側面に凹部を有し、矢印Y31に示すように、この凹部に近接または当接可能である永久磁石329eが設けられている。この永久磁石329eは、ネオジウム元素から構成される永久磁石であるほか、フェライト磁石であってもよい。永久磁石329eは、それぞれ軸柱329fに固定接続されており、各軸柱329fは、図22に示す磁石移送機構329uとそれぞれ接続する。
【0088】
図22に示すように、磁石移送機構329uは、プーリ329jに接続するとともに装置本体の不動部分に固定された移送用モータ329kと、軸柱329f右端に一端が固定接続された移動板329gと、軸柱329fと平行となるように設置された回転ベルト329hとを備える。回転ベルト329hは、装置内の不動部分に固定されたプーリ239iとプーリ329jとに掛け渡されており、移動板329gの他端が接続されている。移送用モータ329kが矢印Y36のように左または右に対応する向きで回転した場合、移送用モータ329kの回転がプーリ329j、回転ベルト329h、プーリ329iに順次伝達することによって、回転ベルト329hが矢印Y37のように回転し、これによって、回転ベルト329hが接続する移動板329gも図中右方向または左方向に移動する。この移動板329gの右または左の移動にともなって、移動板329gに接続する軸柱329fも図中右方向または左方向に移動する。この結果、軸柱329fに固定接続する永久磁石329eも、矢印Y38のように図中右方向または左方向に移動する。
【0089】
洗浄槽329aにおいては、磁石移送機構329uが、永久磁石329eを、洗浄槽329aに近接した位置または永久磁石329eの磁界が洗浄槽329aに及ばない位置のいずれかに移送する。そして、洗浄槽磁界制御部346は、この磁石移送機構329uに、永久磁石329eを洗浄槽329aに近接した位置に移送させることによって洗浄槽329a内に磁界を発生させる。そして、洗浄槽磁界制御部346は、磁石移送機構329uに、永久磁石329eを永久磁石329eの磁界が洗浄槽329aに及ばない位置に移送させることによって洗浄槽329aにおける磁界の発生を停止する。洗浄槽磁界制御部346は、洗浄槽磁界制御部246と同様に、集磁棒洗浄部329によって集磁棒28aが洗浄される場合に、永久磁石329eおよび磁石移送機構329uによって構成される磁界供給機構に、洗浄槽329a内に磁界を発生させ、集磁棒28a表面から離脱した凝集体の集磁棒28aへの再付着を防止している。
【0090】
具体的には、図23に示すように、測光処理が終了した集磁棒28aを洗浄する場合であって、矢印Y8に示すアーム28bの下降にともない矢印Y9のように集磁棒28aの外筒28gのみが洗浄槽329a内に下降したときに、洗浄槽磁界制御部346は、矢印Y34のように、磁石移送機構329uに永久磁石329eを洗浄槽329aに近接した位置に移送させる。これによって、洗浄槽329a内に磁界を発生させる。この状態において、洗浄槽329a内には洗浄液供給管29bから洗浄液Waが供給される。この結果、平面28m表面に引き寄せられることによって吸着していた凝集体54は、吸着の要因であった集磁棒28a先端からの磁界の発生が停止することから平面28mへの吸着が解除されるとともに、洗浄槽329a側面方向から洗浄槽329a内に発生した磁界によって、洗浄槽329a側面側に矢印Y35のように引き寄せられることによって、集磁棒28a表面から剥がれて離脱する。この場合、洗浄槽329a内には、洗浄液Waが供給されるため、洗浄液Waの流れによっても、平面28mから離脱するように力が加えられる。そして、集磁棒28aから離脱した凝集体54は、洗浄槽329aの内部側面のうち永久磁石329e装着側に浮遊しながら、洗浄液Waの水流にしたがって下方に流され、排液管29cを介して洗浄槽329a外へ廃棄される。なお、永久磁石329eが洗浄槽329a内に発生させる磁界は、集磁棒28a先端表面からの凝集体54の離脱を確実化するため、集磁棒28a内部に設けられた磁性体の磁界に比べて等しいか、より強いことが望ましい。
【0091】
このように、分析装置301においても、分析装置201と同様に、集磁棒28aの洗浄処理時に、集磁棒28aにおける洗浄槽内の磁界の発生を停止させるとともに、洗浄液の液流のみならず洗浄槽329a側面方向から洗浄槽329a内に磁界を発生させることによって、実施の形態1に比して、さらに確実に、集磁棒28a先端の平面28mに吸着した凝集体54を集磁棒28aから離脱させることができる。
【0092】
次に、図24を参照して、複合体53の集磁処理から集磁棒洗浄処理までにおける分析装置301の要部の動作処理を説明する。図24に示すように、図7に示すステップS2およびステップS4と同様に、集磁棒磁界制御部46は、アーム28bを制御することによって、集磁棒28aを反応テーブル10の所定の集磁位置に位置する反応容器11上に移送し(ステップS302)、集磁棒28aを反応容器11内に下降させる集磁棒下降処理を行う(ステップS304)。この場合、制御棒28hは外筒28gの空洞底部まで挿入するため、永久磁石28iは外筒28g先端の平面28mに近接していることから、集磁棒28aは反応容器11内に磁界を発生させることとなる。そして、集磁棒磁界制御部46は、ステップS6およびステップS8と同様に、所定の集磁時間が経過したか否かを判断し(ステップS306)、この集磁時間を経過するまでステップS306の判断処理を繰り返し、集磁時間を経過したと判断した場合(ステップS306:Yes)、アーム28bを上昇させて、集磁棒28aを反応容器11内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS308)。
【0093】
次いで、集磁棒磁界制御部46は、ステップS10およびステップS12と同様に、アーム28bを制御することによって、集磁棒28aを測光部30上に移送後(ステップS310)、集磁棒28aを測光部30の測光位置まで下降させる集磁棒下降処理を行う(ステップS312)。この間も、集磁棒28a先端からの磁界の発生は維持されたままであることから、集磁棒28aには、先端の平面28m表面に凝集体54を吸着した状態を維持する。その後、集磁棒磁界制御部46は、ステップS14と同様に、測光部30による測光処理が終了したか否かを判断し(ステップS314)、測光処理が終了するまでステップS314の判断処理を繰り返し、測光処理が終了したと判断した場合(ステップS314:Yes)、ステップS16と同様に、集磁棒28aを測光部30内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS316)。
【0094】
そして、集磁棒磁界制御部46は、ステップS18〜ステップS22と同様に、測光処理が終了した集磁棒28aを洗浄するため、アーム28bを制御することによって、集磁棒洗浄部329の洗浄槽329a上に集磁棒28aを移送し(ステップS318)、ストッパ部材28jをストッパ回避部材である板状部材29eの凹部29f側上面に装着する(ステップS220)。そして、集磁棒磁界制御部46は、集磁棒28aを洗浄槽329a内に下降する(ステップS322)。このアーム28bの下降にともない、集磁棒28a先端からの磁界の発生は停止する。
【0095】
そして、洗浄槽磁界制御部346は、磁石移送機構329uを駆動させて永久磁石329eを洗浄槽329aに近接または当接させて、永久磁石329eを洗浄槽329aに装着する(ステップS325)。これによって、洗浄槽329a内に磁界が発生する。そして、制御部341によって洗浄液の供給が開始された場合(ステップS326)、磁界の発生が停止した集磁棒28a表面の凝集体54の吸着が解除されるとともに、洗浄槽329aの側面方向から発せられる磁界によって、洗浄槽329a側面側に凝集体54が引き寄せられて、確実に集磁棒28a表面から洗浄液内に離脱する。この結果、集磁棒28aの洗浄を適切に行うことができる。
【0096】
次に、集磁棒磁界制御部46は、ステップS28と同様に、所定の洗浄時間が経過したか否かを判断し(ステップS328)、この洗浄時間を経過するまでステップS328の判断処理を繰り返し、集磁時間を経過したと判断した場合(ステップS328:Yes)、ステップS30と同様に、アーム28bを上昇させて集磁棒28aを洗浄槽229a内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS330)。この場合、洗浄槽329aに装着された永久磁石329eによる磁界は洗浄槽329aに発生したままであるため、洗浄液内に離脱した凝集体54は、洗浄槽329a側面側に引き寄せられた状態となることから集磁棒28aに再度付着することはない。
【0097】
その後、制御部341は、ステップS32と同様に、洗浄槽329aへの洗浄液の供給を停止し(ステップS332)、その後、洗浄槽磁界制御部346は、磁石移送機構329uに永久磁石329eを永久磁石329eの磁界が洗浄槽329aに及ばない位置に移送させることによって、洗浄槽329aから永久磁石329eを取り外し(ステップS334)、洗浄槽329a内における磁界の発生を停止する。そして、制御部341は、ステップS36と同様に、洗浄槽329aに残存する洗浄液を排水して(ステップS336)、集磁棒28aの洗浄処理を終了する。このように、ステップS302〜ステップS336の一連の処理を繰り返すことによって、集磁棒28aによる集磁処理、測光処理および集磁棒洗浄処理が分析処理ごとに行われる。
【0098】
また、本実施の形態2においては、永久磁石228iを備えた集磁棒28aを有する集磁棒移送部28に限らず、図9および図10に示す電磁石128iを有する集磁棒移送部128を採用することももちろん可能である。
【0099】
図25は、集磁棒移送部として、図14に示す分析装置201における集磁棒移送部28に代えて集磁棒移送部128を採用した場合について説明する図である。また、図25は、集磁棒128aの集磁棒洗浄部229における洗浄処理を説明する図である。なお、制御部241は、集磁棒磁界制御部46に代えて図9に示す集磁棒磁界制御部146を備える。
【0100】
この図25に示すように、この場合も同様に、洗浄槽磁界制御部246は、矢印Y8のようにアーム28bを下降して洗浄槽229a内に集磁棒128aを下降させて集磁棒128aを洗浄する。そして、集磁棒磁界制御部146は、集磁棒128aの電磁石128iへの電流供給を停止して集磁棒128aからの磁界の発生を停止し、洗浄槽磁界制御部146は、洗浄槽229aの電磁石229eに電流を供給して洗浄槽229a内に磁界を発生させる。この状態において、洗浄槽229a内には洗浄液供給管29bから洗浄液Waが供給された結果、平面28m表面に吸着していた凝集体54は、平面28mへの吸着が解除されるとともに、洗浄槽229a側面方向から洗浄槽229a内に発生させた磁界によって、洗浄槽229a側面側に矢印Y35のように引き寄せられることによって、集磁棒128a表面から剥がれて離脱する。そして、集磁棒128aから離脱した凝集体54は、洗浄液Waの水流にしたがって下方に流され、排液管29cを介して洗浄槽229a外へ廃棄される。
【0101】
この場合も、集磁棒128aの洗浄処理時に集磁棒128aにおける洗浄槽内の磁界の発生を停止させるとともに、洗浄液の液流のみならず洗浄槽229a内に磁界を発生させることによって、さらに確実に集磁棒128a先端の平面28mに吸着した凝集体54を集磁棒128aから離脱させることができる。
【0102】
次に、図26を参照して、図25に示す集磁棒128aおよび洗浄槽229aを有する分析装置における、複合体53の集磁処理から集磁棒洗浄処理までの動作処理を説明する。図26に示すように、図7に示すステップS2およびステップS4と同様に、集磁棒磁界制御部146は、アーム28bを制御することによって、集磁棒128aを反応テーブル10の所定の集磁位置に位置する反応容器11上に移送し(ステップS402)、集磁棒128aを反応容器11内に下降させる集磁棒下降処理を行う(ステップS404)。そして、図13のステップS105と同様に、集磁棒磁界制御部146は、集磁棒128aの電磁石128iへの電流供給を開始する(ステップS105)。集磁棒磁界制御部146は、ステップS6およびステップS8と同様に、所定の集磁時間が経過したか否かを判断し(ステップS406)、この集磁時間を経過するまでステップS406の判断処理を繰り返し、集磁時間を経過したと判断した場合(ステップS406:Yes)、アーム28bを上昇させて、集磁棒128aを反応容器11内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS408)。
【0103】
次いで、集磁棒磁界制御部146は、ステップS10およびステップS12と同様に、アーム28bを制御することによって、集磁棒128aを測光部30上に移送後(ステップS410)、集磁棒128aを測光部30の測光位置まで下降させる集磁棒下降処理を行う(ステップS412)。この間も集磁棒磁界制御部146は電磁石128iへの電流供給を継続させているため集磁棒128a先端からの磁界の発生は維持されたままであることから、集磁棒128aは、先端の平面28m表面に凝集体54を吸着した状態を維持する。その後、集磁棒磁界制御部146は、ステップS14と同様に、測光部30による測光処理が終了したか否かを判断し(ステップS414)、測光処理が終了するまでステップS414の判断処理を繰り返し、測光処理が終了したと判断した場合(ステップS414:Yes)、ステップS16と同様に、集磁棒128aを測光部30内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS416)。
【0104】
そして、集磁棒磁界制御部146は、ステップS18およびステップS22と同様に、測光処理が終了した集磁棒128aを洗浄するため、アーム28bを制御することによって、集磁棒洗浄部329の洗浄槽229a上に集磁棒128aを移送後(ステップS418)、集磁棒128aを洗浄槽229a内に下降する(ステップS422)。次いで、集磁棒磁界制御部146は、集磁棒128aの電磁石128iへの電流供給を停止し(ステップS424)、集磁棒128a先端からの磁界の発生を停止する。さらに、洗浄槽磁界制御部146は、洗浄槽229aにおける電磁石229eへの電流を開始する(ステップS425)。この状態で制御部241によって洗浄液の供給が開始される(ステップS426)。この場合、磁界が消失した集磁棒128a表面から凝集体54が洗浄液内に離脱可能となり、さらに、洗浄槽229a側面方向から発せられる磁界によって、洗浄槽229a側面側に、離脱した凝集体54が洗浄槽229a側面に引き寄せられるため、集磁棒128aの洗浄を適切に行うことができる。
【0105】
次に、集磁棒磁界制御部146は、ステップS28と同様に、所定の洗浄時間が経過したか否かを判断し(ステップS428)、この洗浄時間を経過するまでステップS428の判断処理を繰り返し、集磁時間を経過したと判断した場合(ステップS428:Yes)、ステップS30と同様に、アーム28bを上昇させて集磁棒128aを洗浄槽229a内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS430)。この場合、洗浄槽229a側面の電磁石229eによる磁界は洗浄槽229aに発生したままであるため、集磁棒128a表面から洗浄液内に離脱した凝集体54は、洗浄槽229a側面側に引き寄せられた状態となることから集磁棒128aに再度付着することはない。
【0106】
その後、制御部241は、ステップS32と同様に、洗浄槽229aへの洗浄液の供給を停止し(ステップS432)、その後、洗浄槽磁界制御部146は、電磁石229eへの電流供給を停止し(ステップS434)、洗浄槽229a内における磁界の発生を停止する。そして、制御部241は、ステップS36と同様に、洗浄槽229aに残存する洗浄液を排水して(ステップS436)、集磁棒128aの洗浄処理を終了する。このように、ステップS402〜ステップS436の一連の処理を繰り返すことによって、集磁棒128aによる集磁処理、測光処理および集磁棒洗浄処理が分析処理ごとに行われる。
【0107】
また、図27を参照して、集磁棒移送部として、図20に示す分析装置301における集磁棒移送部28に代えて集磁棒移送部128を採用した場合について説明する。この場合、図20における制御部341は、集磁棒磁界制御部46に代えて図9に示す集磁棒磁界制御部146を備える。
【0108】
この図27に示すように、この場合も同様に、洗浄槽磁界制御部346は、矢印Y8のようにアーム28bを下降して洗浄槽329a内に集磁棒128aを下降させて集磁棒128aを洗浄する。そして、集磁棒磁界制御部146は、集磁棒128aの電磁石128iへの電流供給を停止して集磁棒128aからの磁界の発生を停止し、洗浄槽磁界制御部346は、磁石移送機構329uに永久磁石329eを洗浄槽329aに近接した位置に移送させることによって洗浄槽329a内に磁界を発生させる。この状態において、洗浄槽329a内に洗浄液供給管29bから洗浄液Waが供給された結果、平面28m表面に吸着していた凝集体54は、平面28mへの吸着が解除されるとともに、洗浄槽329a側面方向から洗浄槽329a内に発生させた磁界によって、洗浄槽329a側面側に矢印Y35のように引き寄せられることによって、集磁棒128a表面から剥がれて離脱する。そして、集磁棒128aから離脱した凝集体54は、洗浄液Waの水流にしたがって下方に流され、排液管29cを介して洗浄槽329a外へ廃棄される。
【0109】
この場合も、集磁棒128aの洗浄処理時に集磁棒128aにおける洗浄槽内の磁界の発生を停止させるとともに、洗浄液の液流のみならず洗浄槽329a内に磁界を発生させることによって、さらに確実に集磁棒128a先端の平面28mに吸着した凝集体を集磁棒128aから離脱させることができる。
【0110】
次に、図28を参照して、図27に示す集磁棒128aおよび洗浄槽329aを有する分析装置における、複合体53の集磁処理から集磁棒洗浄処理までの動作処理を説明する。図28に示すように、図7に示すステップS2およびステップS4と同様に、集磁棒磁界制御部146は、アーム28bを制御することによって、集磁棒128aを反応テーブル10の所定の集磁位置に位置する反応容器11上に移送し(ステップS502)、集磁棒128aを反応容器11内に下降させる集磁棒下降処理を行う(ステップS504)。そして、図13のステップS105と同様に、集磁棒磁界制御部146は、集磁棒128aの電磁石128iへの電流供給を開始する(ステップS505)。集磁棒磁界制御部146は、ステップS6およびステップS8と同様に、所定の集磁時間が経過したか否かを判断し(ステップS506)、この集磁時間を経過するまでステップS506の判断処理を繰り返し、集磁時間を経過したと判断した場合(ステップS506:Yes)、アーム28bを上昇させて、集磁棒128aを反応容器11内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS508)。
【0111】
次いで、集磁棒磁界制御部146は、ステップS10およびステップS12と同様に、アーム28bを制御することによって、集磁棒128aを測光部30上に移送後(ステップS510)、集磁棒128aを測光部30の測光位置まで下降させる集磁棒下降処理を行う(ステップS512)。この間も集磁棒磁界制御部146は電磁石128iへの電流供給を継続させているため集磁棒128a先端からの磁界の発生は維持されたままであることから、集磁棒128aには、先端の平面28m表面に凝集体54を吸着した状態を維持する。その後、集磁棒磁界制御部146は、ステップS14と同様に、測光部30による測光処理が終了したか否かを判断し(ステップS514)、測光処理が終了するまでステップS514の判断処理を繰り返し、測光処理が終了したと判断した場合(ステップS514:Yes)、ステップS16と同様に、集磁棒128aを測光部30内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS516)。
【0112】
そして、集磁棒磁界制御部146は、ステップS18およびステップS22と同様に、測光処理が終了した集磁棒128aを洗浄するため、アーム28bを制御することによって、集磁棒洗浄部329の洗浄槽329a上に集磁棒128aを移送後(ステップS518)、集磁棒128aを洗浄槽329a内に下降する(ステップS522)。次いで、集磁棒磁界制御部146は、集磁棒128aの電磁石128iへの電流供給を停止し(ステップS524)、集磁棒128a先端からの磁界の発生を停止する。これによって集磁棒128aからの磁界は消失する。さらに、洗浄槽磁界制御部346は、磁石移送機構329uを駆動させて永久磁石329eを洗浄槽329aに近接または当接させて、永久磁石329eを洗浄槽329aに装着する(ステップS525)。この状態で制御部341によって洗浄液の供給が開始される(ステップS526)。この場合、磁界が消失した集磁棒128a表面から凝集体54が洗浄液内に離脱可能となり、さらに、洗浄槽329a側面に装着された永久磁石329eから発する磁界によって、洗浄槽329a側面側に、離脱した凝集体54が洗浄槽329a側面に引き寄せられるため、集磁棒128aの洗浄を適切に行うことができる。
【0113】
次に、集磁棒磁界制御部146は、ステップS28と同様に、所定の洗浄時間が経過したか否かを判断し(ステップS528)、この洗浄時間を経過するまでステップS528の判断処理を繰り返し、集磁時間を経過したと判断した場合(ステップS528:Yes)、ステップS30と同様に、アーム28bを上昇させて集磁棒128aを洗浄槽329a内から上昇させる集磁棒上昇処理を行う(ステップS530)。この場合、洗浄槽329aに装着された永久磁石329eによる磁界は洗浄槽229aに発生したままであるため、集磁棒128a表面から洗浄液内に離脱した凝集体54は、洗浄槽229a側面側に引き寄せられた状態となることから集磁棒128aに再度付着することはない。
【0114】
その後、制御部341は、ステップS32と同様に、洗浄槽329aへの洗浄液の供給を停止し(ステップS532)、その後、洗浄槽磁界制御部346は、磁石移送機構329uに永久磁石329eを永久磁石329eの磁界が洗浄槽329aに及ばない位置に移送させることによって、洗浄槽329aから永久磁石329eを取り外し(ステップS534)、洗浄槽329a内における磁界の発生を停止する。そして、制御部341は、ステップS36と同様に、洗浄槽329aに残存する洗浄液を排水して(ステップS536)、集磁棒128aの洗浄処理を終了する。このように、ステップS502〜ステップS536の一連の処理を繰り返すことによって、集磁棒128aによる集磁処理、測光処理および集磁棒洗浄処理が分析処理ごとに行われる。
【0115】
(実施の形態3)
つぎに、実施の形態3について説明する。実施の形態1および実施の形態2においては、集磁棒の洗浄について説明したが、実施の形態3では、磁性粒子を含む第1試薬を分注する試薬プローブの洗浄について説明する。実施の形態3では、試薬プローブを洗浄するプローブ洗浄槽内に磁界を発生させることによって、試薬プローブ表面に付着した磁性粒子の除去を効率化させている。
【0116】
図29は、実施の形態3にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図29に示すように、実施の形態3にかかる分析装置601は、図1に示す分析装置1と比較し、プローブ洗浄部23に代えて、プローブ洗浄部623を備えた測定機構602を備える。そして、分析装置601の制御機構604は、分析装置1と比較し、制御部41に代えて、集磁棒磁界制御部46に加えプローブ洗浄槽磁界制御部647をさらに備えた制御部641を有する。
【0117】
図30は、図29に示すプローブ洗浄部623を説明する図であり、プローブ洗浄部623を構成するプローブ洗浄槽623aを縦方向に切断した断面図である。図30に示すように、プローブ洗浄槽623aは、側面に凹部を有し、この凹部に電磁石623eが装着された構成を有する。電磁石623eは、電流が供給されることによって磁界を生じ、装着されたプローブ洗浄槽623a内に磁界を発生させる。プローブ洗浄槽磁界制御部647は、電磁石623eへ供給する電流を制御することによって、電磁石623eによるプローブ洗浄槽623aにおける磁界の発生を制御する。そして、プローブ洗浄槽磁界制御部647は、プローブ洗浄部623によって試薬プローブが洗浄される場合に、電磁石623eに電流を供給して、プローブ洗浄槽623a内に磁界を発生させている。なお、プローブ洗浄槽623aには、側面に、洗浄液タンクと接続し洗浄液を供給する洗浄液供給管623bと、底面に、排液タンクと接続し洗浄液等を排出する排液管623cが接続する。
【0118】
具体的には、図31に示すように、プローブ洗浄槽磁界制御部647は、磁性粒子を含む第1試薬の分注処理が終了し、矢印Y60のようにプローブ洗浄槽623a内に挿入された試薬プローブ22aを洗浄する場合に、プローブ洗浄槽623aの電磁石623eに電流を供給して磁界を生じさせている。これによって、プローブ洗浄槽623a内に磁界が発生する。この状態において、プローブ洗浄槽623a内には、洗浄液供給管623bから洗浄液Wbが供給される。なお、プローブ洗浄槽623aに供給される洗浄液Wbは、洗浄液高さPw2を超えないように供給量と排出量が制御される。
【0119】
ところで、試薬プローブ22aは、金属製であるため、表面に磁性粒子51が吸着しやすく、磁性粒子51を含む試薬を分注した後も、プローブ表面に磁性粒子が吸着したまま残存してしまう場合が多い。
【0120】
そこで、分析装置601においては、磁性粒子51を含む第1試薬を分注する試薬プローブ22aの洗浄処理において、プローブ洗浄槽623a内部に、プローブ洗浄槽623a側面方向から磁界を発生させる。これによって、試薬プローブ22a表面に付着した磁性体である磁性粒子51を、図31の矢印Y61に示すように、プローブ洗浄槽623a側面側に引き寄せて、試薬プローブ22a表面から磁性粒子51を剥がして離脱させている。さらに、プローブ洗浄槽623a内には、洗浄液Wbが供給されるため、洗浄液Wbの流れによっても、試薬プローブ22a表面から磁性粒子51が離脱するように力が加えられる。なお、試薬プローブ22aから離脱した磁性粒子51は、プローブ洗浄槽623aの内部側面のうち電磁石623e装着側に浮遊しながら、洗浄液Wbの水流にしたがって下方に流され、排液管623cを介してプローブ洗浄槽623a外へ廃棄される。そして、電磁石623eが洗浄槽623aに発生させる磁界の大きさは、試薬プローブ22a表面からの磁性粒子51の離脱を確実化するため、プローブ洗浄槽623aの大きさや磁性粒子51の磁性特性、供給される洗浄液の流量などによって設定される。
【0121】
このように、実施の形態3にかかる分析装置601は、洗浄液の液流のみならずプローブ洗浄槽623a側面方向からプローブ洗浄槽623a内に磁界を発生させることによって、試薬プローブ22a表面に吸着した磁性粒子51を試薬プローブ22a表面から効率よく離脱させることができる。したがって、分析装置601によれば、試薬プローブ22aに保護キャップを装着せずとも、試薬プローブ22a表面から磁性粒子51を適切に除去できるため、装置内汚染の防止と廃棄物の低減との双方が可能になる。
【0122】
次に、第1試薬分注処理から第1試薬を分注したプローブの洗浄処理までにおける分析装置601の要部の動作処理を説明する。図32は、分析装置601の要部における第1試薬分注処理からプローブ洗浄処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0123】
図32に示すように、制御部641は、第1試薬分注部22のアーム(図示しない)を回転移動させることによって、試薬プローブ22aを第1試薬庫21に収容される第1試薬ボトルのうち所定の吸引位置に位置する第1試薬ボトル21a上に移送する(ステップS602)。そして、制御部641は、このアームを下降させることによって試薬プローブ22aを第1試薬ボトル21a内に下降させる試薬プローブ下降処理を行う(ステップS604)。その後、制御部641は、第1試薬分注部22における吸排機構を駆動させることによって、所定量の第1試薬を試薬プローブ22a内に吸引する試薬吸引処理を行なう(ステップS606)。そして、制御部641は、第1試薬ボトル21aから試薬プローブ22aを取り出すため、アームを上昇させて試薬プローブ22aを第1試薬ボトル21a内から上昇させる試薬プローブ上昇処理を行う(ステップS608)。
【0124】
次いで、制御部641は、アームを回転移動させて試薬プローブ22aを反応テーブル10に収容される反応容器11のうち所定の第1試薬吐出位置に位置する反応容器11上に移送し(ステップS610)、アームを下降させることによって試薬プローブ22aをこの反応容器11内まで下降させる試薬プローブ下降処理を行う(ステップS612)。その後、制御部641は、第1試薬分注部22における吸排機構を駆動させることによって、プローブ22a内に吸引した所定量の第1試薬を反応容器11内に吐出する試薬吐出処理を行なう(ステップS614)。
【0125】
そして、制御部641は、アームを上昇させることによって、試薬プローブ22aを反応容器11内から上昇させる試薬プローブ上昇処理を行う(ステップS616)。その後、制御部641は、第1試薬分注処理が終了した試薬プローブ22aを洗浄するため、アームを回転させることによって、プローブ洗浄部623の洗浄槽623a上に試薬プローブ22aを移送する(ステップS618)。続いて、制御部641は、アームを下降させることによって、試薬プローブ22aをプローブ洗浄槽623a内に下降する(ステップS622)。
【0126】
そして、プローブ洗浄槽磁界制御部647は、プローブ洗浄槽623aにおける電磁石623eへの電流供給を開始する(ステップS625)。これによって、プローブ洗浄槽623a内に磁界が発生する。続いて、制御部641によって洗浄液の供給が開始される(ステップS626)。また、制御部641は、洗浄液がプローブ洗浄槽623a内の洗浄液高さPw2を上回ったり下回ったりしないように、排液管623cに設けられた電磁弁を制御し、排液量を調整する。また、制御部641は、電磁弁を制御することによって、洗浄液高さを保持するとともに、プローブ洗浄槽623a内に洗浄液の流れを形成する。これによって、洗浄液の液流のみならずプローブ洗浄槽623a側面方向からプローブ洗浄槽623a内に発生させた磁界によって、試薬プローブ22a表面に吸着した磁性粒子51が除去される。制御部641は、所定の洗浄時間が経過したか否かを判断する(ステップS628)。この洗浄時間は、試薬プローブ22aから磁性粒子51が移動する時間を考慮し、0.1秒以上である必要があり、確実な磁性粒子51除去のためには2秒以上であることが望ましい。制御部641は、この洗浄時間を経過するまでステップS628の判断処理を繰り返し、洗浄時間を経過したと判断した場合(ステップS628:Yes)、プローブ洗浄槽623aから試薬プローブ22aを取り出すために、アームを上昇させて試薬プローブ22aをプローブ洗浄槽623a内から上昇させる試薬プローブ上昇処理を行う(ステップS630)。この試薬プローブ22aのプローブ洗浄槽623aからの上昇速度は、試薬プローブ22a表面への洗浄液付着を防止するため、試薬プローブ22aの先端表面が洗浄液高さPw2を越えるまでは、50mm/秒以下とする。なお、制御部641は、次に試薬分注対象の反応容器がある場合には、ステップS602に戻り、試薬プローブ22aを第1試薬ボトル21a上に移送する。
【0127】
その後、制御部641は、プローブ洗浄槽623aへの洗浄液の供給を停止する(ステップS632)。実質的には、制御部641は、試薬プローブ22aの先端が洗浄液高さPw2よりも高い位置に移動した場合、すなわち、試薬プローブ22aの先端と液面との接触がなくなった場合、洗浄液の供給を停止する。試薬プローブ22aの先端と液面との接触がなくなったか否かは、静電容量型液面検知法等を用いて判断できる。その後、洗浄槽磁界制御部646は、電磁石623eへの電流供給を停止して(ステップS634)、プローブ洗浄槽623a内における磁界の発生を停止する。そして、制御部641は、プローブ洗浄槽623aに残存する洗浄液を排水して(ステップS636)、試薬プローブ22aの洗浄処理を終了する。このように、ステップS602〜ステップS636の一連の処理を繰り返すことによって、第1試薬分注処理が分析処理ごとに行われる。
【0128】
なお、実施の形態3にかかるプローブ洗浄部623の洗浄槽として、側面に電磁石623eが装着されたプローブ洗浄槽623aについて説明したが、もちろんこれに限らない。試薬プローブ22aから洗浄液内に離脱した磁性粒子51が試薬プローブ22aから離脱できるようにプローブ洗浄槽内に磁界を発生させることができればよいため、図33に示すように、底部に凹部を有し、この凹部に電磁石623eが装着されたプローブ洗浄槽6231aを用いてもよい。また、装着する電磁石623eの個数は、2個に限らない。図34は、横方向に切断したプローブ洗浄槽の他の例の断面図である。プローブ洗浄部623の洗浄槽として、図34に示すように、4面の各側面にそれぞれ電磁石623eを装着したプローブ洗浄槽6232aを用いてもよい。このプローブ洗浄槽6232aのように、プローブ洗浄槽の各側面に電磁石を設けることによって、2面にのみ電磁石を設けた場合と比較し、プローブ洗浄槽内の洗浄液内にさらに強い磁界を発生させることができるとともに、さらに均一な強さで磁界を発生させることができる。もちろん、洗浄槽に設ける電磁石623eは単数であってもよい。
【0129】
また、本実施の形態3においては、電磁石623eを用いてプローブ洗浄槽623a内に磁界を発生させた場合を例に説明したが、電磁石に代えて永久磁石を用いることも可能である。以下、プローブ洗浄槽内への磁界発生手段として、永久磁石を用いた場合について説明する。図35は、実施の形態3にかかる分析装置の他の構成を示す模式図である。図35に示すように、実施の形態3にかかる分析装置の他の構成である分析装置701は、図29に示す分析装置601と比較し、プローブ洗浄部623に代えてプローブ洗浄部723を備えた測定機構702を備える。そして、分析装置701の制御機構704は、分析装置601と比較し、制御部641に代えて、プローブ洗浄槽内への磁界の発生を制御するプローブ洗浄槽磁界制御部747を備えた制御部741を有する。
【0130】
図36は、図35に示すプローブ洗浄部723を説明する図であり、プローブ洗浄部723を構成するプローブ洗浄槽723aを縦方向に切断した断面図である。図36に示すように、プローブ洗浄槽723aは、側面に凹部を有し、矢印Y71に示すように、この凹部に近接または当接可能である永久磁石723eが設けられている。この永久磁石723eは、ネオジウム元素から構成される永久磁石であるほか、フェライト磁石であってもよい。永久磁石723aは、それぞれ軸柱723fに固定接続されており、各軸柱723fは、図37に示す磁石移送機構723uとそれぞれ接続する。
【0131】
図37に示すように、磁石移送機構723uは、プーリ723jに接続するとともに装置本体の不動部分に固定された移送用モータ723kと、軸柱723f右端に一端が固定接続された移動板723gと、軸柱723fと平行となるように設置された回転ベルト723hとを備える。回転ベルト723hは、装置内の不動部分に固定されたプーリ239iとプーリ723jとに掛け渡されており、移動板723gの他端が接続されている。移送用モータ723kが矢印Y76のように左または右に対応する向きで回転した場合、移送用モータ723kの回転がプーリ723j、回転ベルト723h、プーリ723iに順次伝達することによって、回転ベルト723hが矢印Y77のように回転し、これによって、回転ベルト723hが接続する移動板723gも右または左に移動する。この移動板723gの右または左の移動にともなって、移動板723gに接続する軸柱723fも図中右方向または左方向に移動する。この結果、軸柱723fに固定接続する永久磁石723eも、矢印Y78のように図中右方向または左方向に移動する。
【0132】
プローブ洗浄槽723aにおいては、磁石移送機構723uが、永久磁石723eを、プローブ洗浄槽723aに近接した位置または永久磁石723eの磁界がプローブ洗浄槽723aに及ばない位置のいずれかに移送する。そして、プローブ洗浄槽磁界制御部747は、この磁石移送機構723uに、永久磁石723eをプローブ洗浄槽723aに近接した位置に移送させることによってプローブ洗浄槽723a内に磁界を発生させる。そして、プローブ洗浄槽磁界制御部747は、磁石移送機構723uに、永久磁石723eを永久磁石723eの磁界がプローブ洗浄槽723aに及ばない位置に移送させることによってプローブ洗浄槽723a内における磁界の発生を停止する。プローブ洗浄槽磁界制御部747は、プローブ洗浄部723によって試薬プローブ22aが洗浄される場合に、永久磁石723eおよび磁石移送機構723uによって構成される磁界発生機構に、プローブ洗浄槽723a内に磁界を発生させ、試薬プローブ22a表面から離脱した磁性粒子の試薬プローブ22aへの再付着を防止している。
【0133】
具体的には、図38に示すように、プローブ洗浄槽磁界制御部747は、第1試薬分注処理が終了し、矢印Y70のようにプローブ洗浄槽723a内に挿入された試薬プローブ22aを洗浄する場合に、矢印Y73のように、磁石移送機構723uに永久磁石723eをプローブ洗浄槽723aに近接した位置に移送させる。これによって、プローブ洗浄槽723a内に磁界が発生する。この状態において、プローブ洗浄槽723a内には、洗浄液供給管623bから洗浄液Wbが供給される。この結果、洗浄液Wbの液流とプローブ洗浄槽723a側面方向から発せられた磁界によって、試薬プローブ22a表面に付着した磁性粒子51を、図38の矢印Y74に示すように、プローブ洗浄槽723aの側面側に引き寄せて、試薬プローブ22a表面から磁性粒子51を剥がして離脱させている。なお、永久磁石723eが発する磁界は、試薬プローブ22a表面からの磁性粒子51の離脱を確実化するため、プローブ洗浄槽723aの大きさや磁性粒子51の磁性特性、供給される洗浄液の流量などによって設定される。
【0134】
このように、図35に示す分析装置701においても、分析装置601と同様に、洗浄液の液流のみならずプローブ洗浄槽723a内にプローブ洗浄槽723a側面方向から磁界を発生させることによって、効率よく、試薬プローブ22a表面に吸着した磁性粒子51を試薬プローブ22a表面から離脱させることができる。
【0135】
次に、第1試薬分注処理から第1試薬を分注したプローブの洗浄処理までにおける分析装置701の要部の動作処理を説明する。図39は、分析装置701の要部における第1試薬分注処理からプローブ洗浄処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0136】
図39に示すように、制御部741は、第1試薬分注部22のアーム(図示しない)を駆動することによって、試薬プローブ22aを第1試薬庫21に収容される第1試薬ボトルのうち所定の集磁位置に位置する第1試薬ボトル21a上に移送し(ステップS702)、試薬プローブ22aを第1試薬ボトル21a内に下降させる試薬プローブ下降処理を行う(ステップS704)。その後、制御部741は、第1試薬分注部22における吸排機構を駆動させることによって第1試薬を試薬プローブ22a内に吸引する試薬吸引処理を行なう(ステップS706)。そして、制御部741は、アームを上昇させて試薬プローブ22aを第1試薬ボトル21a内から上昇させる試薬プローブ上昇処理を行い(ステップS708)、試薬プローブ22aを第1試薬ボトル21a内から取り出す。
【0137】
次いで、制御部741は、アームを動作させて、試薬プローブ22aを所定の第1試薬分注位置に位置する反応容器11上に移送し(ステップS710)、試薬プローブ22aをこの反応容器11内まで下降させる試薬プローブ下降処理を行う(ステップS712)。その後、制御部741は、第1試薬分注部22における吸排機構を駆動させることによってプローブ22a内に吸引した所定量の第1試薬を反応容器11内に吐出する試薬吐出処理を行なう(ステップS714)。
【0138】
そして、制御部741は、アームを駆動することによって、試薬プローブ22aを反応容器11内から上昇させる試薬プローブ上昇処理を行い(ステップS716)、第1試薬分注処理が終了した試薬プローブ22aを洗浄するためにプローブ洗浄部723の洗浄槽723a上に試薬プローブ22aを移送する(ステップS718)。続いて、制御部741は、アームを下降させることによって、試薬プローブ22aをプローブ洗浄槽723a内に下降する(ステップS722)。
【0139】
そして、プローブ洗浄槽磁界制御部747は、磁石移送機構723uを駆動させて永久磁石723eをプローブ洗浄槽723aに近接または当接させて、永久磁石723eをプローブ洗浄槽723aに装着する(ステップS725)。これによって、プローブ洗浄槽723a内に磁界を発生させる。続いて、制御部741によって洗浄液の供給が開始される(ステップS726)。また、制御部741は、洗浄液がプローブ洗浄槽723a内の洗浄液高さPw2を上回ったり下回ったりしないように、排液管623cに設けられた電磁弁を制御し、排液量を調整するとともに、プローブ洗浄槽723a内に洗浄液の流れを形成する。制御部741は、所定の洗浄時間が経過したか否かを判断する(ステップS728)。制御部741は、この洗浄時間を経過するまでステップS728の判断処理を繰り返し、洗浄時間を経過したと判断した場合(ステップS728:Yes)、プローブ洗浄槽723aから試薬プローブ22aを取り出すために、アームを上昇させて試薬プローブ22aをプローブ洗浄槽723a内から上昇させる試薬プローブ上昇処理を行う(ステップS730)。制御部741は、次に分析対象の反応容器がある場合には、ステップS2に戻り、試薬プローブ22aを第1試薬ボトル21a上に移送する。
【0140】
その後、制御部741は、プローブ洗浄槽723aへの洗浄液の供給を停止する(ステップS732)。その後、プローブ洗浄槽磁界制御部747は、磁石移送機構723uに永久磁石723eを永久磁石732eの磁界がプローブ洗浄槽723aに及ばない位置に移送させることによって、プローブ洗浄槽723aから永久磁石723eを取り外し(ステップS734)、プローブ洗浄槽723a内における磁界の発生を停止する。そして、制御部741は、プローブ洗浄槽723aに残存する洗浄液を排水して(ステップS736)、試薬プローブ22aの洗浄処理を終了する。このように、ステップS702〜ステップS736の一連の処理を繰り返すことによって、第1試薬分注処理が分析処理ごとに行われる。
【0141】
また、本実施の形態1〜3においては、いわゆるラマン散乱光(SERS)を測定して分析を行なう分析装置を例に説明したが、もちろんこれに限らず、磁性粒子と検体内の測定対象物とを抗原抗体反応を用いて反応させ、反応物の磁性特性をもとに反応物を集磁する分析装置であれば適用可能である。たとえば、磁性粒子と検体内の測定対象物との反応物に、さらに、酵素と作用することによって発光する標識物質を結合させた複合体の発光特性を測定する分析装置に適用可能である。そこで、実施の形態1〜3のうち、実施の形態1で説明した分析装置101に複合体の発光特性を測定する場合について、図40を参照して説明する。図40は、実施の形態1にかかる分析装置の他の構成を示す模式図であり、図40に示す分析装置801は、図9に示す分析装置101と比較し、測光部30に代えて、蛍光などの発光を測定する測光部830を備える。そして、分析装置801の制御機構804は、制御部141に代えて、測光部830を含む測定機構802の各構成部位を制御する制御部841と、測光部830による測定結果をもとに検体を分析する分析部843とを有する。制御部841は、集磁棒磁界制御部146を備える。
【0142】
この分析装置801においては、列をなして順次搬送される複数の反応容器11に対して、検体分注部20が検体容器19a中の検体を分注し、第1試薬分注部22が磁性粒子を含む第1試薬ボトル21a中の試薬を分注し、第2試薬分注部25が標識物質を含む第2試薬ボトル24a中の第2試薬を分注する。すなわち、各反応容器11には、検体分注部20によって検体容器19aから検体が注入されるとともに、図41(1)に示すように、磁性粒子851を含む第1試薬と、酵素と作用することによって発光する標識物質852を含む第2試薬が注入される。この磁性粒子851および標識物質852は、検体中の測定対象物850と反応し、この結果、図41(2)に示すように、磁性粒子851、標識物質852および測定対象物850が結合した複合体853が形成される。その後、集磁棒移送部128は、図41(2)の矢印Y801に示すように、この複合体853が形成された反応容器11内部に、集磁棒128aを挿入する。この場合、集磁棒128aの磁界は、集磁棒磁界制御部146の制御によって有効化されている。そして、図41(3)に示すように、集磁棒128aの磁界によって集磁棒128a先端表面に反応容器11内の複合体853が引き寄せられて吸着する。このように、集磁棒128aは、実施の形態1と同様に、複合体853を集磁する。その後、集磁棒128aは、集磁棒移送部128によって矢印Y803のように反応容器11内部から引き上げられ、測光部830の測光位置に移送される。
【0143】
そして、図42に示すように、測光部830には、標識物質852と作用する酵素866を含む基質液Wsが収容された測定容器811が配置されている。集磁棒128a表面に集磁された複合体853は、この酵素866と作用し反応物854となって発光する。この作用を実現するには、集磁棒128a表面に集磁した複合体853を、酵素866を含む基質液Ws内に再度懸濁させる必要がある。言い換えると、複合体853を表面に集磁した集磁棒128aを、測定容器811内に挿入し、この集磁棒128a表面に吸着する複合体853を集磁棒128a表面から離脱させる必要がある。そこで、分析装置101と同様に、集磁棒磁界制御部146は、集磁棒128a先端からの磁界の発生を停止して、複合体853の集磁棒128a表面への吸着の要因であった集磁棒128aの磁界を消失させる。この結果、複合体853は、集磁棒128a表面への吸着が解除され、集磁棒128a表面から円滑に離脱する。離脱した複合体853は、基質液Ws内に分散し、基質液Ws内の酵素866と作用し反応物854となって光Lsを発する。そして、集磁棒128a先端からの磁界の発生は停止したままであることから、磁性を有する反応物854が集磁棒128aの表面に再度付着することはない。このように、分析装置801では、測定容器811内に集磁棒128aを挿入後に集磁棒128a先端からの磁界の発生を停止することによって、従来の棒磁石からなる集磁棒を使用した場合と比較して、複合体853の基質液Ws内への再懸濁を適切かつ効率的に行うことができる。
【0144】
測光部830には、図示しない集光機構と分光計830bとがさらに設けられており、分光計830bによって、測定容器811内の反応液から発する発光が測定される。分光計830bは、たとえば、化学発光で生じた微弱な発光を検出する光電子倍増管を有しており、発光量を測定する。また、測光部830は、光学フィルターを保持し、発光強度に応じて光学フィルターにより減光された測定値によって真の発光強度を算出する機構を備えていてもよい。なお、測定容器811は、分光計830bによる測定処理ごとに、分析項目に対応する基質液が収容された新たな測定容器に交換される。
【0145】
そして、測定処理が終了した集磁棒128aは、測定容器811から取り出される。この場合、集磁棒磁界制御部146は、集磁棒128a先端からの磁界の発生を停止させたままとし、この状態で集磁棒移送部128に集磁棒128aを集磁棒洗浄部129の洗浄槽29a内に移送する。したがって、集磁棒128a先端からの磁界の発生は停止したままであるため、磁性を有する反応物854が集磁棒128aに再度付着することはない。このため、集磁棒128aの測定容器811からの取り出し速度は、各処理に要する時間に合わせて自由に設定可能であり、たとえば0.1〜50mm/秒の範囲から選択可能である。
【0146】
続いて、集磁棒128aは、集磁棒洗浄部129において、図1に示す分析装置101における集磁棒洗浄処理と同様に磁界の発生が停止した状態で洗浄される。したがって、分析装置801においても、反応容器11から複合体853を磁界によって集磁する集磁棒128aは、集磁棒128aによる磁界の発生によって反応容器11内の複合体853を適切に集磁することができるとともに、集磁棒128aによる磁界の発生を停止することによって測光処理後の集磁棒128a表面から複合体853を適切に取り除くことができる。
【0147】
このため、分析装置801によれば、集磁棒に保護キャップを装着しなくとも、集磁棒128a表面から反応物を適切に除去できるため、装置内汚染の防止と廃棄物の低減との双方が可能になる。もちろん、分析装置801においては、分析装置101と同様に、集磁棒128aを直接、反応容器11の反応液内に挿入して複合体853を集磁しているため、反応容器外から複合体を集磁し複合体以外の未反応物質を除去して複合体を残存させていた従来のBF分離処理を行なう場合と比較し、複合体853の集磁を効率よく行うことができる。
【0148】
また、本実施の形態1〜3として説明した分析装置のレイアウトは一例であり、このレイアウトによって分注順序が拘束されるものではない。
【符号の説明】
【0149】
1,101,201,301,601,701,801 分析装置
2,102,202,302,602,702,802 測定機構
4,104,204,304,604,704,804 制御機構
10 反応テーブル
11 反応容器
19 検体移送部
19a 検体容器
19b 検体ラック
20 検体分注部
21 第1試薬庫
21a 第1試薬ボトル
22 第1試薬分注部
23,26 プローブ洗浄部
24 第2試薬庫
24a 第2試薬ボトル
25 第2試薬分注部
27 攪拌部
28 集磁棒移送部
28a 集磁棒
28b アーム
28c 支柱
28d 回転機構
28e 昇降機構
29 集磁棒洗浄部
29a 洗浄槽
30 測光部
31 容器洗浄部
41,241,341,641,741,841 制御部
42 入力部
43 分析部
44 記憶部
45 出力部
46,146 集磁棒磁界制御部
246,346 洗浄槽磁界制御部
647,747 プローブ洗浄槽磁界制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性粒子を含む試薬を用いて検体を分析する分析装置において、
前記磁性粒子が含まれる容器内に挿入される挿入部材と、
前記挿入部材を洗浄する洗浄手段と、
を備え、
前記洗浄手段は、
洗浄液が供給される洗浄槽と、
前記洗浄槽内に磁界を発生させる磁界発生手段と、
を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記洗浄槽内における前記磁界発生手段による磁界の発生を制御する洗浄槽磁界制御手段をさらに備え、
前記洗浄槽磁界制御手段は、前記洗浄手段によって前記集磁部材が洗浄される場合に前記磁界発生手段に前記洗浄層内における磁界を発生させることを特徴とする請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
前記磁界発生手段は、電磁石を備え、
前記洗浄槽磁界制御手段は、前記電磁石へ供給する電流を制御することによって、前記洗浄槽内における磁界発生手段による磁界の発生を制御することを特徴とする請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
前記磁界発生手段は、
永久磁石と、
前記永久磁石を、前記洗浄槽に近接した位置または前記永久磁石による磁界が前記洗浄槽内に及ばない位置のいずれかに移送する磁石移送手段と、
を備え、
前記洗浄槽磁界制御手段は、前記磁石移送手段に、前記永久磁石を前記洗浄槽に近接した位置に移送させることによって前記磁界発生手段に前記洗浄槽内における磁界を発生させ、前記永久磁石を前記永久磁石による磁界が洗浄槽に及ばない位置に移送させることによって前記磁界発生手段に前記洗浄槽内における磁界の発生を停止させることを特徴とする請求項2に記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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