説明

分析装置

【課題】キャリブレーション分析処理におけるコスト負担低減と分析装置の分析精度確保との双方を実現する分析装置を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる分析装置1は、キャリブレーターを分析するキャリブレーション分析処理とブランク試料を用いたブランク分析処理とを分析項目ごとに行ない分析精度を維持する分析装置であって、分析項目ごとにキャリブレーション分析処理とブランク分析処理との実行タイミングを独立して管理する管理部32を備え管理部32は、ブランク分析結果の精度管理上の有効期限が切れる前および試薬補充時に少なくともブランク分析処理を実行させ、キャリブレーション分析結果の精度管理上の有効期限が切れる前および試薬補充時にキャリブレーション分析処理を実行させることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、分析項目ごとにキャリブレーターを分析するキャリブレーション分析とブランク試料を用いたブランク分析とを行ない分析精度を維持する分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や体液等の検体を自動的に分析する装置として、試薬庫内に複数収納された試薬容器から分析項目に対応する試薬を反応容器に分注後、試薬が分注された反応容器に検体を加え、反応容器内の試薬と検体の間で生じた反応を光学的に検出する分析装置が知られている。このような分析装置においては、既知の結果を示すキャリブレーターを分析した分析結果をもとに測光処理の基準となる検量線を設定するキャリブレーション分析処理とイオン交換水や生理食塩水などのブランク試料を分析した分析結果をもとにキャリブレーション分析処理において設定した検量線を補正するブランク分析処理とを一体として行なうことによって分析精度を確保していた。従来においては、前回キャリブレーション分析処理および前回ブランク分析処理を行なったときから検量線の精度維持を図ることが可能である期間をもとに定められたキャリブレーション安定性期限を越えた場合に、自動的にキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理を併せて受け付けることによって、キャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の準備を行なっていた(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−262028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の分析装置においては、キャリブレーション分析処理とブランク分析処理とを常に一体として行なっていたため、キャリブレーターが高価である場合にはキャリブレーション分析処理におけるコスト負担の増大が問題となっていた。このため、分析装置の操作者から、検量線の設定が不要である場合には、キャリブレーション分析処理とブランク分析とを分けて、検量線を補正するブランク分析処理のみを行ないたいという要望があった。
【0005】
本発明は、上記した従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、キャリブレーション分析処理におけるコスト負担低減と分析装置の分析精度確保との双方を実現する分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる分析装置は、キャリブレーターを分析するキャリブレーション分析処理とブランク試料を用いたブランク分析処理とを分析項目ごとに行ない分析精度を維持する分析装置において、前記分析項目ごとに前記キャリブレーション分析処理と前記ブランク分析処理との実行タイミングを独立して管理する管理手段を備え、前記管理手段は、ブランク分析結果の精度管理上の有効期限が切れる前および試薬補充時に少なくとも前記ブランク分析処理を実行させ、キャリブレーション分析結果の精度管理上の有効期限が切れる前および試薬補充時に前記キャリブレーション分析処理を実行させることを特徴とする。
【0007】
また、この発明にかかる分析装置は、前記管理手段は、前記試薬補充時に、補充された試薬のロット情報またはボトル情報に対応させて前記キャリブレーション分析処理を実行させ、補充された試薬のロット情報またはボトル情報に対応させて前記ブランク分析処理を実行させることを特徴とする。
【0008】
また、この発明にかかる分析装置は、管理手段は、前記試薬のロット情報に対応させて前記キャリブレーション分析処理を実行させる場合、前記補充された試薬のロット情報が既に実行された前記キャリブレーション分析処理に使用された試薬のロット情報と一致しないときに前記キャリブレーション分析処理を実行させ、前記補充された試薬のロット情報が既に実行された前記キャリブレーション分析処理に使用された試薬のロット情報と一致するときに該ロット情報が一致する試薬に対応するキャリブレーション分析結果を使用し当該分析装置の分析精度を管理することを特徴とする。
【0009】
また、この発明にかかる分析装置は、管理手段は、前記試薬のロット情報に対応させて前記ブランク分析処理を実行させる場合、前記補充された試薬のロット情報が既に実行された前記ブランク分析処理に使用された試薬のロット情報と一致しないときに前記ブランク分析処理を実行させ、前記補充された試薬のロット情報が既に実行された前記ブランク分析処理に使用された試薬のロット情報と一致するときに該ロット情報が一致する試薬に対応するブランク分析結果を使用し当該分析装置の分析精度を管理することを特徴とする。
【0010】
また、この発明にかかる分析装置は、前記分析項目ごとに前記キャリブレーション分析処理と前記ブランク分析処理との実行タイミングを設定する設定手段と、前記分析項目ごとに前記キャリブレーション分析処理と前記ブランク分析処理との実行タイミングを記憶する記憶手段をさらに備え、前記管理手段は、前記記憶手段に記憶された各実行タイミングを参照し前記キャリブレーション分析処理と前記ブランク分析処理とを実行させることを特徴とする。
【0011】
また、この発明にかかる分析装置は、前記管理手段は、分析項目ごとに、前記キャリブレーション分析処理日時および前記キャリブレーション分析結果における精度管理上の安定期間をもとに前記キャリブレーション分析結果の有効期限を求め、前記ブランク分析処理日時および前記ブランク分析結果における精度管理上の安定期間をもとに前記ブランク分析結果の有効期限を求めることを特徴とする。
【0012】
また、この発明にかかる分析装置は、前記分析項目ごとに前記管理手段によって求められた前記キャリブレーション分析結果の有効期限および前記ブランク分析結果の有効期限を出力する出力手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0013】
また、この発明にかかる分析装置は、前記管理手段は、前記キャリブレーション分析処理結果の有効期限が第1の所定時間内に切れると判断した場合に前記キャリブレーション分析処理を実行させることを特徴とする。
【0014】
また、この発明にかかる分析装置は、前記管理手段は、前記ブランク分析処理結果の有効期限が第2の所定時間内に切れると判断するとともに前記キャリブレーション分析結果の有効期限が第3の所定時間内に切れると判断した場合、前記ブランク分析処理と併せて前記キャリブレーション分析処理を実行させることを特徴とする。
【0015】
また、この発明にかかる分析装置は、前記第1の所定時間は、前記キャリブレーション分析処理に要する時間をもとに設定され、前記第2の所定時間は、前記ブランク分析処理に要する時間をもとに設定され、前記第3の所定時間は、前記キャリブレーション分析処理に要する時間と前記ブランク分析処理に要する時間とをもとに設定されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、キャリブレーション分析とブランク分析との実行タイミングを独立して管理し、ブランク分析結果の精度管理上の有効期限が切れる前および試薬補充時に少なくともブランク分析処理を実行させ、キャリブレーション分析結果の精度管理上の有効期限が切れる前および試薬補充時にキャリブレーション分析処理を実行させることによって、必要な場合にのみキャリブレーション分析処理を行なうため、キャリブレーション分析処理におけるコスト負担低減と分析装置の分析精度確保との双方を実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】実施の形態にかかる分析装置1の要部構成を示す模式図である。
【図2】図1に示す分析装置におけるキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の管理方法を説明する図である。
【図3】従来におけるキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の処理タイミングを説明する図である。
【図4】図1に示す分析装置におけるキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の処理タイミングを説明する図である。
【図5】図1に示す分析装置におけるキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の処理タイミングを説明する図である。
【図6】図1に示す表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図7】図1に示す分析装置においてキャリブレーション分析処理の有効期限およびブランク分析処理の有効期限が表示出力されるまでの処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図1に示す記憶部内に記憶される情報の一例を説明する図である。
【図9】図1に示す記憶部内に記憶される情報の一例を説明する図である。
【図10】図1に示す表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図11】図1に示す表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図12】図1に示す分析装置におけるキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の管理処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】図12に示すキャリブレーションデータ検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図14】図12に示すブランクデータ検索処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図15】図12に示すキャリブレーションデータ確認処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図16】図12に示すブランクデータ確認処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】図1に示す表示部の表示画面の一例を示す図である。
【図18】図1に示す分析装置におけるキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の管理処理の他の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態である分析装置について、検体の光学的特性を測定する分析装置を例に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0019】
図1は、本実施の形態にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、分析装置1は、分析対象である検体および試薬を反応容器21にそれぞれ分注し、反応容器21内で生じる反応を光学的に測定する測定機構2と、測定機構2を含む分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構2における測定結果の分析を行う制御機構3とを備える。分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の生化学的、免疫学的あるいは遺伝学的な分析を自動的に行う。
【0020】
まず、測定機構について説明する。測定機構2は、大別して反応テーブル10、第1試薬庫11、第1試薬分注機構12、検体移送部13、検体分注機構14、第2試薬庫15、第2試薬分注機構16、攪拌部17、測光部18および洗浄部19を備える。
【0021】
反応テーブル10は、反応容器21への検体や試薬の分注、反応容器21の攪拌、洗浄または測光を行うために反応容器21を所定の位置まで移送する。この反応テーブル10は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、反応テーブル10の中心を通る鉛直線を回転軸として回動自在である。反応テーブル10の上方と下方には、図示しない開閉自在な蓋と恒温槽がそれぞれ設けられている。
【0022】
第1試薬庫11は、反応容器21内に分注される2種類の試薬のうち、最初に分注される第1試薬が収容された第1試薬容器11aを複数収納できる。第1試薬庫11には、複数の収納室が等間隔で配置されており、各収納室には第1試薬容器11aが着脱自在に収納される。第1試薬庫11は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、第1試薬庫11の中心を通る鉛直線を回転軸として時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の第1試薬容器11aを第1試薬分注機構12による試薬吸引位置まで移送する。第1試薬庫11の上方には、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられている。また、第1試薬庫11の下方には、恒温槽が設けられている。このため、第1試薬庫11内に第1試薬容器11aが収納され、蓋が閉じられたときに、第1試薬容器11a内に収容された試薬を恒温状態に保ち、第1試薬容器11a内に収容された試薬の蒸発や変性を抑制することができる。
【0023】
第1試薬容器11aの側面部には、第1試薬容器11aに収容された試薬に関する試薬情報が記録された記録媒体が付されている。記録媒体は、符号化された各種の情報を表示しており、光学的に読み取られる。記録媒体は、たとえば、試薬の種別、試薬の有効期限、ロット情報であるロット番号、ボトル情報であるボトル番号などの試薬情報を記録する。
【0024】
第1試薬庫11の外周部には、この記録媒体を光学的に読み取る第1試薬読取部11bが設けられている。第1試薬読取部11bは、記録媒体に対して赤外光または可視光を発し、記録媒体からの反射光を処理することによって、記録媒体の情報を読み取る。また、第1試薬読取部11bは、記録媒体を撮像処理し、撮像処理によって得られた画像情報を解読して、記録媒体の情報を取得してもよい。
【0025】
第1試薬分注機構12は、第1試薬の吸引および吐出を行うプローブが先端部に取り付けられたアームを備える。アームは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行う。第1試薬分注機構12は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。第1試薬分注機構12は、第1試薬庫11上の所定位置に移動された第1試薬容器11a内の試薬をプローブによって吸引し、アームを図中時計回りに旋回させ、反応テーブル10上の所定位置に搬送された反応容器21に第1試薬を吐出して分注を行う。
【0026】
検体移送部13は、血液や尿等、液体である検体を収容した複数の検体容器13aを保持し、図中の矢印方向に順次移送する複数の検体ラック13bを備える。検体移送部13上の所定位置に移送された検体容器13a内の検体は、検体分注機構14によって、反応テーブル10上に配列して搬送される反応容器21に分注される。
【0027】
検体分注機構14は、第1試薬分注機構12と同様に、検体の吸引および吐出を行うプローブが先端部に取り付けられたアーム14aと、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。検体分注機構14は、上述した検体移送部13上の所定位置に移送された検体容器13aの中からプローブによって検体を吸引し、アーム14aを図中反時計回りに旋回させ、反応容器21に検体を吐出して分注を行う。
【0028】
第2試薬庫15は、反応容器21内に分注される2種類の試薬のうち検体が分注された後に分注される第2試薬が収容された第2試薬容器15aを複数収納できる。第2試薬庫15には、第1試薬庫11と同様に、第2試薬容器15aが着脱自在に収納される複数の収納室が設けられている。第2試薬庫15は、第1試薬庫11と同様に、時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の第2試薬容器15aを第2試薬分注機構16による試薬吸引位置まで移送する。第1試薬庫11と同様に、第2試薬庫15の上方には、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられ、第2試薬庫15の下方には、恒温槽が設けられている。第2試薬容器15aの側面部には、第1試薬容器11aと同様に、第2試薬容器15aに収容された第2試薬に関する試薬情報が記録された記録媒体が付されている。また、第2試薬庫15の外周部には、第1試薬読取部11bと同様の機能を有し第2試薬容器15aに付された記録媒体を光学的に読み取る第2試薬読取部15bが設けられている。
【0029】
第2試薬分注機構16は、第1試薬分注機構12と同様に、第2試薬の吸引および吐出を行うプローブが先端部に取り付けられたアーム16aと、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備え、第2試薬庫15上の所定位置に移動された第2試薬容器15a内の試薬をプローブによって吸引後、反応テーブル10上の所定位置に搬送された反応容器21に第2試薬を吐出して分注を行う。反応容器21には、第1試薬、検体、第2試薬の順に各液が分注される。攪拌部17は、反応容器21に分注された第1試薬、検体および第2試薬の攪拌を行い、反応を促進させる。
【0030】
測光部18は、所定波長の光を反応容器21に発し、この反応容器21内の第1試薬、第1試薬と検体との混合溶液、または、第1試薬と検体と第2試薬との反応溶液を通過した光を受光する分光強度測定などの光学的測定を行う。測光部18による測定結果は、制御部31に出力され、分析部34において分析される。
【0031】
洗浄部19は、図示しないノズルによって、測光部18による測定が終了した反応容器21内の混合液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで洗浄を行う。この洗浄した反応容器21は再利用されるが、検査内容によっては1回の測定終了後に反応容器21を廃棄してもよい。
【0032】
つぎに、制御機構3について説明する。制御機構3は、制御部31、入力部33、分析部34、記憶部35、出力部36および送受信部38を備える。測定機構2および制御機構3が備えるこれらの各部は、制御部31に電気的に接続されている。
【0033】
制御部31は、CPU等を用いて構成され、分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部31は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。制御部31は、管理部32を有する。
【0034】
ここで、分析装置1は、既知の結果を示すキャリブレーターに対して分析項目に応じた試薬を実際に用いて分析を行ない、このキャリブレーターに対する分析結果をもとに、測光処理の基準となる検量線を設定するキャリブレーション分析処理を分析項目ごとに行なう。さらに、分析装置1は、イオン交換水や生理食塩水などのブランク試料を分析した分析結果をもとにキャリブレーション分析処理において設定した検量線を補正するブランク分析処理を分析項目ごとに行なう。本実施の形態にかかる分析装置1においては、キャリブレーション分析処理とブランク分析処理との実行タイミングを独立して管理しており、キャリブレーション分析処理とブランク分析処理とをそれぞれ分けて行なうことが可能である。なお、キャリブレーション分析処理を行なって検量線を設定した場合には、ブランク分析処理を併せて行ない、設定した検量線の補正を行なうことが望ましい。
【0035】
管理部32は、分析項目ごとにキャリブレーション分析処理とブランク分析処理との実行タイミングを独立して管理する。管理部32は、ブランク分析結果の精度管理上の有効期限が切れる前および試薬補充時に少なくともブランク分析処理を実行させ、キャリブレーション分析結果の精度管理上の有効期限が切れる前および試薬補充時にキャリブレーション分析処理を実行させる。
【0036】
キャリブレーション分析結果であるキャリブレーションデータの精度管理上の有効期限は、試薬の安定性や分析装置1を構成する各機構の処理動作の安定性をもとに検量線の精度維持を図ることが可能である期限として求められたものである。管理部32は、分析項目ごとに、キャリブレーション分析処理日時およびキャリブレーション分析結果における精度管理上の安定期間をもとにキャリブレーション分析結果の有効期限を求める。このキャリブレーションデータの安定期間は、試薬の劣化進度、測光部18における測光ばらつきなどをもとに分析項目ごとに設定される。各キャリブレーション分析処理は、前回のキャリブレーション分析処理実行日から、キャリブレーションデータ有効期限が切れる前に行なう必要がある。
【0037】
ブランク分析結果であるブランクデータの精度管理上の有効期限は、試薬の安定性や分析装置1を構成する各機構の処理動作の安定性をもとに検量線補正の精度維持を図ることが可能である期限として求められたものである。管理部32は、分析項目ごとに、ブランク分析処理日時およびブランク分析結果における精度管理上の安定期間をもとにブランク分析結果の有効期限を求める。このブランクデータの安定期間は、試薬の劣化進度、測光部18における測光ばらつきなどをもとに分析項目ごとに設定される。各ブランク分析処理は、前回のブランク分析処理実行日から、ブランクデータ有効期限が切れる前に行なう必要がある。
【0038】
また、管理部32は、補充された試薬のロット情報またはボトル情報に対応させてキャリブレーション分析処理を実行させる。また、管理部32は、補充された試薬のロット情報またはボトル情報に対応させてブランク分析処理を実行させる。なお、ロット情報は、たとえばロット番号であり、ボトル情報は、たとえばボトル番号である。
【0039】
管理部32は、試薬のロット情報に対応させてキャリブレーション分析処理を実行させる場合、補充された試薬のロット情報が既に実行されたキャリブレーション分析処理に使用された試薬のロット情報と一致しないときにキャリブレーション分析処理を実行させる。これに対し、管理部32は、補充された試薬のロット情報が既に実行されたキャリブレーション分析処理に使用された試薬のロット情報と一致するときに該ロット情報が一致する試薬に対応するキャリブレーション分析結果を使用し当該分析装置の分析精度を管理する。また、管理部32は、試薬のロット情報に対応させてブランク分析処理を実行させる場合、補充された試薬のロット情報が既に実行されたブランク分析処理に使用された試薬のロット情報と一致しないときにブランク分析処理を実行させる。これに対し、管理部32は、補充された試薬のロット情報が既に実行されたブランク分析処理に使用された試薬のロット情報と一致するときに該ロット情報が一致する試薬に対応するブランク分析結果を使用し当該分析装置の分析精度を管理する。
【0040】
管理部32は、分析項目ごとにキャリブレーション分析処理とブランク分析処理との実行タイミングを後述する記憶部35に記憶させる。また、管理部32は、分析項目ごとにキャリブレーションデータの有効期限およびブランクデータの有効期限を後述する記憶部35に記憶させる。管理部32は、たとえば、キャリブレーション分析処理の実行タイミングがボトル単位である場合には、キャリブレーションデータの有効期限を該キャリブレーションデータに対応するキャリブレーション分析処理で用いた試薬ボトルのボトル番号に対応づけて記憶部35に記憶させる。また、管理部32は、キャリブレーション分析処理の実行タイミングがロット単位である場合には、キャリブレーションデータの有効期限を該キャリブレーションデータに対応するキャリブレーション分析処理で用いた試薬ボトルのロット番号に対応づけて記憶部35に記憶させる。なお、管理部32は、キャリブレーションデータの有効期限に試薬ボトルのボトル番号および試薬ボトルのロット番号の双方を対応づけて記憶部35に記憶させた場合、キャリブレーション分析処理の実行タイミングによらず、このキャリブレーションデータの有効期限経過までにキャリブレーション分析処理を行なわなければならない設定にしてもよい。
【0041】
同様に、管理部32は、ブランク分析処理の実行タイミングがボトル単位である場合には、ブランクデータの有効期限を該ブランクデータに対応するブランク分析処理で用いた試薬ボトルのボトル番号に対応づけて記憶部35に記憶させ、ブランク分析処理の実行タイミングがロット単位である場合には、ブランクデータの有効期限を該ブランクデータに対応するブランク分析処理で用いた試薬ボトルのロット番号に対応づけて記憶部35に記憶させる。なお、管理部32は、ブランクデータの有効期限に試薬ボトルのボトル番号および試薬ボトルのロット番号の双方を対応づけて記憶部35に記憶させた場合、ブランク分析処理の実行タイミングによらず、このブランクデータの有効期限経過までにブランク分析処理を行なわなければならない設定にしてもよい。
【0042】
管理部32は、キャリブレーションデータの有効期限が第1の所定時間内に切れると判断した場合にキャリブレーション分析処理を実行させる。第1の所定時間は、キャリブレーション分析処理に要する時間をもとに設定される。管理部32は、キャリブレーションデータの有効期限が次に実行されるキャリブレーション分析処理が終了するまでに切れないようにキャリブレーション分析処理を実行させる。
【0043】
管理部32は、ブランクデータの有効期限が第2の所定時間内に切れると判断するとともにキャリブレーションデータの有効期限が第3の所定時間内に切れると判断した場合、ブランク分析処理と併せてキャリブレーション分析処理を実行させる。この第2の所定時間は、ブランク分析処理に要する時間をもとに設定され、第3の所定時間は、キャリブレーション分析処理に要する時間とブランク分析処理に要する時間とをもとに設定される。管理部32は、ブランクデータの有効期限が次に実行されるブランク分析処理が終了するまでに切れないようにブランク分析処理を実行させる。また、管理部32は、キャリブレーションデータの有効期限がブランク分析処理実行中に切れないようにブランク分析処理とともにキャリブレーション分析処理を実行させる。
【0044】
入力部33は、キーボード、マウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。入力部33は、分析項目ごとにキャリブレーション分析処理とブランク分析処理との実行タイミングを設定する設定手段として機能する。
【0045】
分析部34は、測光部18によって測定された分光強度をもとに反応容器21内の第1試薬、第1試薬と検体との混合溶液、または、第1試薬と検体と第2試薬との反応溶液の吸光度等を演算し、検体の成分分析等を行う。分析部34は、演算した吸光度を制御部31に出力する。
【0046】
記憶部35は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部35は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。記憶部35は、各キャリブレーションデータおよび各ブランクデータとともに、分析項目ごとにキャリブレーション分析処理とブランク分析処理との実行タイミングを記憶する。管理部32は、記憶部35に記憶された各実行タイミングを参照し、キャリブレーション分析処理とブランク分析処理とを実行させる。記憶部35は、分析項目ごとにキャリブレーション分析処理日時、ブランク分析処理日時を記憶する。記憶部35は、分析項目ごとに、キャリブレーションデータの安定期間、ブランクデータの安定期間を記憶する。また、記憶部35は、管理部32によって求められた各キャリブレーションデータの有効期限および各ブランクデータの有効期限を分析項目ごとに記憶する。
【0047】
出力部36は、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力する。また、出力部36は、表示部37を有する。表示部37は、ディスプレイ等を用いて構成され、検体の分析結果などを表示する。表示部37は、分析項目ごとに、管理部32によって求められたキャリブレーションデータの有効期限およびブランクデータの有効期限を表示出力する。送受信部38は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがった情報の送受信を行うインターフェースとしての機能を有する。
【0048】
以上のように構成された分析装置1では、列をなして順次搬送される複数の反応容器21に対して、第1試薬分注機構12が第1試薬容器11a内の第1試薬を分注し、検体分注機構14が検体容器13a中の検体を分注し、第2試薬分注機構16が第2試薬容器15a中の第2試薬を分注した後、測光部18が検体と試薬とを反応させた状態の液体の光学的測定を行い、この測定結果を分析部34が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行われる。また、洗浄部19が測光部18による測定が終了した後に搬送される反応容器21を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。
【0049】
つぎに、図2を参照して、分析装置1におけるキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の実行タイミングについて説明する。図2は、分析装置1におけるキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の実行タイミングを説明する図である。図2に示すように、分析装置1においては、キャリブレーション分析処理およびブランク分析処理をボトル単位および/またはロット単位で実行させるように管理している。たとえば、管理方法Aは、キャリブレーション分析処理はボトル単位で行ない、ブランク分析処理はロット単位で行なう場合を示す。管理方法Aにおいては、キャリブレーション分析処理は、試薬ボトルが補充されるごとに行なわれる。また、管理方法Aにおいては、ブランク分析処理は、既に行なわれたブランク分析処理における試薬ボトルのロット番号と異なるロット番号の試薬ボトルが補充されるごとに行なわれる。また、管理方法Bは、キャリブレーション分析処理はロット単位で行ない、ブランク分析処理はボトル単位で行なう場合を示す。管理方法Bにおいては、キャリブレーション分析処理は、既に行なわれたブランク分析処理における試薬ボトルのロット番号と異なるロット番号の試薬ボトルが補充されるごとに行なわれる。また、管理方法Bにおいては、ブランク分析処理は、試薬ボトルが補充されるごとに行なわれる。また、管理方法Cは、キャリブレーション分析処理はロット単位で行ない、ブランク分析処理はロット単位で行なう場合を示す。また、管理方法Dは、キャリブレーション分析処理はボトル単位で行ない、ブランク分析処理はボトル単位で行なう場合を示す。分析装置1においては、分析項目ごとに、管理方法A〜Dのいずれかを用いてキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理を分けて管理している。なお、各試薬の安定性および分析装置1を構成する各機構の処理動作の安定性をもとに、キャリブレーション分析処理およびブランク分析処理をロット単位またはボトル単位で実行するか否かが設定される。
【0050】
図3に示すように、従来においては、一般的に試薬ボトル補充ごとにキャリブレーション処理とブランク分析処理とを分離せず一体として行なっていた。このため、新たに試薬ボトルを補充した時間t1および時間t4に、キャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の双方を行なっていた。さらに、試薬ボトル補充後も、キャリブレーションデータ有効期限経過前である時間t2および時間t3においても、キャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の双方を一体として行なっていた。このように、従来においては、キャリブレーション分析処理とブランク分析処理とを常に一体として行なっていたため、キャリブレーターや試薬が高価である場合にはキャリブレーション分析処理におけるコスト負担の増大が問題となっていた。
【0051】
これに対し、本実施の形態にかかる分析装置1においては、キャリブレーション分析処理とブランク分析処理との実行タイミングを独立して管理しており、必ずしもキャリブレーション分析処理とブランク分析処理とを一体として行なっていない。
【0052】
図4を参照して、キャリブレーション分析処理およびブランク分析処理ともにボトル単位で行なう図2に示す管理方法Dによって管理される分析項目である場合を例に分析装置1におけるキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理について説明する。図4に示すように、キャリブレーション分析処理およびブランク分析処理は、管理方法Dによればボトル単位で行なう必要があるため、試薬ボトル補充時である時間t1、t4において実行される。さらに、分析装置1においては、図4に示すように、ブランク分析処理は、時間t1に行なわれたブランク分析処理におけるブランクデータの有効期限が切れる時間t21に行なわれる。これに対し、キャリブレーション分析処理は、時間t1に行なわれたキャリブレーションデータの有効期限が切れる時間t22に行なわれる。
【0053】
そして、図5を参照して、キャリブレーション分析処理をロット単位で行ないブランク分析処理をボトル単位で行なう図2に示す管理方法Bによって管理される分析項目である場合を例に分析装置1におけるキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理について説明する。図5に示すように、ブランク分析処理は、管理方法Bによればボトル単位で行なう必要があるため、試薬ボトル補充時である時間t1、t4およびt5において実行される。これに対し、キャリブレーション分析処理は、管理方法Bによればロット単位で行なえば足りる。このため、時間t4において、時間t1にブランク分析処理と併せて行なわれたキャリブレーション分析処理における試薬ボトルと同ロットの試薬ボトルが補充された場合、キャリブレーション分析処理は実行されず、時間t1に行なわれたキャリブレーション分析処理における検量線の使用が継続される。そして、時間t5において、時間t1に行なわれたキャリブレーション分析処理において使用された試薬ボトルと異なる新ロットの試薬ボトルが補充された場合に、キャリブレーション分析処理がブランク分析処理と併せて行なわれる。このように、分析装置1においては、設定された管理方法をもとに、試薬補充時にキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の実行をそれぞれ独立して行なっている。さらに、分析装置1においては、図5に示すように、ブランク分析処理は、時間t1に行なわれたブランク分析処理におけるブランクデータの有効期限が切れる時間t31に行なわれる。そして、キャリブレーション分析処理は、時間t1に行なわれたキャリブレーションデータの有効期限が切れる時間t41に行なわれる。
【0054】
このように、分析装置1においては、設定された管理方法および各有効期限をもとにキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の実行タイミングを独立して管理している。このため、分析装置1においては、検量線の設定が不要である場合には、検量線を補正するブランク分析処理のみを行ない、必要な場合にのみキャリブレーション分析処理を行なうため、キャリブレーション分析処理におけるコスト負担低減と分析装置の分析精度確保との双方を実現することが可能になる。
【0055】
つぎに、図6を参照して、管理方法の設定について説明する。操作者による入力部33の操作によって、表示部37のディスプレイ画面上に図6に例示する管理設定メニューM1が表示される。
【0056】
管理設定メニューM1には、カーソルの移動およびマウスのクリックなどによって、実行タイミングの管理の設定を所望する分析項目を選択できる選択欄S1、ブランク分析処理の実行タイミングをボトル単位またはロット単位のいずれかに選択できる選択欄S2、キャリブレーション分析処理の実行タイミングをボトル単位またはロット単位のいずれかに選択できる選択欄S3が表示されている。操作者は、マウスを操作して、各選択欄S1〜S3の各項目を設定できる。具体的には、キャリブレーション分析処理の実行をロット単位に実行したい場合、操作者は、マウスを操作して選択欄S3における「ロット単位」が表示された領域にカーソルCを移動させた後に、マウスの左ボタンをクリックすればよい。操作者は、各選択欄の所望の項目を選択した後、選択した内容の設定を選択できる選択欄S4を選択すればよい。
【0057】
この場合、各選択欄S1〜S3において選択された内容に対応する管理方法の設定を指示する設定指示情報が入力部33から制御部31に出力される。管理部32は、記憶部35内に記憶される管理方法のうち出力された設定指示情報に対応する管理方法の内容を書き換える。なお、操作者は、管理方法の設定を終了したい場合には、管理方法の設定を行なわないことを選択できる選択欄S5を選択すればよい。このように、分析装置1の操作者は、分析項目ごとにキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の実行タイミングを柔軟に設定することができる。また、管理設定メニューM1を介してキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の実行タイミングを設定する場合を例に説明したが、もちろんこれに限らず、予め分析項目ごとに分析装置1におけるキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の実行タイミングが設定されていてもよい。
【0058】
つぎに、分析装置1においてキャリブレーション分析処理の有効期限およびブランク分析処理の有効期限が表示出力されるまでの処理について説明する。図7は、分析装置1においてキャリブレーション分析処理の有効期限およびブランク分析処理の有効期限が表示出力されるまでの処理手順を示すフローチャートである。
【0059】
図7に示すように、管理部32は、キャリブレーションデータ有効期限およびブランクデータ有効期限の表示の指示があるか否かを判断する(ステップS1)。この表示の指示は、たとえば、操作者による入力部33の操作によって、表示部37のディスプレイ画面上に表示されたメニュー欄からキャリブレーションデータ有効期限およびブランクデータ有効期限の表示に対応する選択欄が選択された場合、入力部33からキャリブレーションデータ有効期限およびブランクデータ有効期限の表示を指示する指示情報が制御部31に入力される。
【0060】
管理部32は、キャリブレーションデータ有効期限およびブランクデータ有効期限の表示の指示があるまでステップS1の判断を繰り返し、キャリブレーションデータ有効期限およびブランクデータ有効期限の表示の指示があると判断した場合(ステップS1:Yes)、指示された分析項目における前回のキャリブレーション分析日時を取得する(ステップS2)。各前回のキャリブレーション分析日時は、たとえば図8に示すように、分析項目、各分析項目において使用される第1試薬、第2試薬のロット番号およびボトル番号にそれぞれ対応づけられた状態で記憶部35内に記憶されている。なお、これらの各情報は、第1試薬読取部11bまたは第2試薬読取部15bによる各試薬ボトルに付された記録媒体に対する読取処理によって取得された後に、記憶部35内に記憶される。
【0061】
そして、管理部32は、指示された分析項目におけるキャリブレーションデータの安定期間を取得する(ステップS3)。各キャリブレーションデータの安定期間は、たとえば図8に示すように、分析項目にそれぞれ対応づけられた状態で記憶部35内に記憶されている。
【0062】
つぎに、管理部32は、キャリブレーションデータの有効期限を演算する(ステップS4)。管理部32は、前回のキャリブレーション分析日時にキャリブレーションデータの安定期間を加算することによって、キャリブレーションデータの有効期限を演算している。図8に示すように、管理部32は、たとえば分析項目ALBにおけるロット番号1000、ボトル番号1011の第1試薬およびロット番号1000、ボトル番号1022の第2に試薬に対しては、前回のキャリブレーション分析日時である「11/25 11:50」に安定期間「120時間」を加算して、キャリブレーションデータの有効期限として「11/30 11:50」を取得している。
【0063】
そして、管理部32は、演算したキャリブレーションデータの有効期限を記憶部内に保存する(ステップS5)。この結果、各キャリブレーションデータの有効期限は、たとえば図8に示すように、分析項目および対応する各試薬情報にそれぞれ対応づけられた状態で記憶部35内に記憶される。なお、管理部32は、同一の試薬ボトルの組み合わせに対して複数回キャリブレーション分析処理を行ないキャリブレーションデータが複数ある場合には、すべてのキャリブレーションデータの有効期限を記憶部35に記憶させるほか、最後のキャリブレーション分析処理のキャリブレーションデータの有効期限を記憶させてもよい。また、管理部32は、同一のロットである試薬ボトルの組み合わせに対して複数回キャリブレーション分析処理を行ないキャリブレーションデータが複数ある場合には、すべてのキャリブレーションデータの有効期限を記憶部35に記憶させるほか、最後のキャリブレーション分析処理のキャリブレーションデータの有効期限を記憶させてもよい。
【0064】
つぎに、指示された分析項目における前回のブランク分析日時を取得する(ステップS6)。各前回のブランク分析日時は、たとえば図9に示すように、分析項目、各分析項目において使用される第1試薬、第2試薬のロット番号およびボトル番号にそれぞれ対応づけられた状態で記憶部35内に記憶されている。
【0065】
そして、管理部32は、指示された分析項目におけるブランクデータの安定期間を取得する(ステップS7)。各ブランクデータの安定期間は、たとえば図9に示すように、分析項目にそれぞれ対応づけられた状態で記憶部35内に記憶されている。
【0066】
そして、管理部32は、ブランクデータの有効期限を演算する(ステップS8)。管理部32は、前回のブランク分析日時にブランクデータの安定期間を加算することによって、ブランクデータの有効期限を演算している。図9に示すように、管理部32は、たとえば分析項目ALBにおけるロット番号1000、ボトル番号1011の第1試薬およびロット番号1000、ボトル番号1022の第2に試薬に対しては、前回のブランク分析日時である「11/27 11:50」に安定期間「72時間」を加算して、ブランクデータの有効期限として「11/30 11:50」を取得している。
【0067】
そして、管理部32は、演算したブランクデータの有効期限を記憶部内に保存する(ステップS9)。この結果、各ブランクデータの有効期限は、たとえば図9に示すように、分析項目および対応する各試薬情報にそれぞれ対応づけられた状態で記憶部35内に記憶される。なお、管理部32は、同一の試薬ボトルの組み合わせに対して複数回ブランク分析処理を行ないブランクデータが複数ある場合には、すべてのブランクデータの有効期限を記憶部35に記憶させるほか、最後のブランク分析処理のブランクデータの有効期限を記憶させてもよい。また、管理部32は、同一のロットである試薬ボトルの組み合わせに対して複数回ブランク分析処理を行ないブランクデータが複数ある場合には、すべてのブランクデータの有効期限を記憶部35に記憶させるほか、最後のブランク分析処理のブランクデータの有効期限を記憶させてもよい。また、図1、図8および図9においては、2試薬系の項目について例示したが、記憶部35は、1試薬系の項目である場合には第1試薬の試薬情報のみを記憶すればよく、3試薬系の項目がある場合には第1試薬、第2試薬および第3試薬それぞれの試薬情報を記憶すればよい。
【0068】
次いで、制御部31は、記憶部35内から表示を指示された分析項目のキャリブレーションデータ有効期限およびブランクデータ有効期限を取得し、表示部37に対して表示を指示された分析項目のキャリブレーションデータ有効期限およびブランクデータ有効期限を表示させる(ステップS10)。この場合、表示部37は、図10に例示する有効期限表示メニューM21を表示する。有効期限表示メニューM21は、表示を指示された分析項目ごとに、各試薬のロット番号およびボトル番号にキャリブレーションデータ有効期限およびブランクデータ有効期限を対応づけた表を表示している。操作者は、この有効期限表示メニューM21を確認することによって、分析項目ごとにキャリブレーションデータおよびブランクデータの有効期限を確認することができる。操作者は、有効期限表示メニューM21によって、いずれの分析項目においてキャリブレーション分析処理および/またはブランク分析処理をいつまでに行なえばよいかを明確に把握することができるため、キャリブレーション分析処理および/またはブランク分析処理の実行を計画的に進行することができる。
【0069】
また、表示部37は、図10に示す有効期限表示メニューM21のほか、図11に示す有効期限表示メニューM22を表示させてもよい。この有効期限表示メニューM22においては、試薬庫内における収納位置を示す列L1、分析項目を示す列L2、試薬種別を示す列L3、試薬残量を示す列L4、有効期限を示す列L7とともに、ブランクデータ有効期限までの残り時間であるブランクデータ残時間を示す列L5、キャリブレーション有効期限までの残り時間であるキャリブレーションデータ残時間L6を表示させて、操作者の有効期限把握の容易化を図ることができる。
【0070】
つぎに、分析装置1におけるキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の管理処理について詳細に説明する。図12は、試薬補充時における分析装置1におけるキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の管理処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0071】
まず、分析装置1においては、第1試薬読取部11b、第2試薬読取部15bは、新たに補充された試薬ボトルに付された記録媒体の試薬情報を読み取る読取処理を行なう(ステップS11)。制御部31は、第1試薬読取部11b、第2試薬読取部15bによって読み取られた記録媒体の試薬情報を受信し(ステップS12)、いずれの分析項目に対応する試薬が補充されたかを把握する。次いで、管理部32は、補充された試薬ボトルに対応する分析項目をキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の管理処理の対象として設定する(ステップS13)。そして、管理部32は、記憶部35内に記憶された各管理方法のうち管理処理対象である分析項目のキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の実行タイミングの管理方法を参照する(ステップS14)。
【0072】
管理部32は、参照した管理方法の内容に対応するキャリブレーションデータを記憶部35の中から検索して取得するキャリブレーションデータ検索処理を行なう(ステップS15)。管理部32は、たとえばキャリブレーション分析処理の実行タイミングがロット単位である場合には、試薬ボトルのロット番号と同じロット番号のキャリブレーションデータを検索する。管理部32は、キャリブレーションデータ検索処理において、参照した管理方法の内容に対応するキャリブレーションデータが記憶部35内にない場合には、参照した管理方法に対応させてキャリブレーション分析処理を受け付ける。
【0073】
管理部32は、参照した管理方法の内容に対応するブランクデータを記憶部35の中から検索して取得するブランクデータ検索処理を行なう(ステップS16)。管理部32は、たとえばブランク分析処理の実行タイミングがロット単位である場合には、試薬ボトルのロット番号と同じロット番号のブランクデータを検索する。管理部32は、ブランクデータ検索処理において、参照した管理方法の内容に対応するブランクデータが記憶部35内にない場合には、参照した管理方法に対応させてブランク分析処理を受け付ける。
【0074】
そして、管理部32は、キャリブレーションデータ検索処理(ステップS15)において取得したキャリブレーションデータが有効期限を確認するキャリブレーションデータ確認処理を行なう(ステップS17)。管理部32は、キャリブレーションデータ確認処理において、取得したキャリブレーションデータの有効期限が切れると判断した場合には、参照した管理方法に対応させてキャリブレーション分析処理を受け付ける。
【0075】
次いで、管理部32は、ブランクデータ検索処理(ステップS16)において取得したブランクデータが有効期限を確認するブランクデータ確認処理を行なう(ステップS18)。管理部32は、ブランクデータ確認処理において、取得したブランクデータの有効期限が切れると判断した場合には、参照した管理方法に対応させてブランク分析処理を受け付ける。
【0076】
そして、管理部32は、管理対象である全分析項目においてキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の管理が終了したか否かを判断する(ステップS19)。管理部32は、管理が終了していないと判断した場合には(ステップS19:No)、ステップS13に戻り、各処理を行なう。また、管理部32は、管理が終了したと判断した場合には(ステップS19:Yes)、管理処理を終了する。
【0077】
つぎに、図12に示すキャリブレーションデータ検索処理について説明する。図13は、図12に示すキャリブレーションデータ検索処理の処理手順を示すフローチャートである。図13に示すように、管理部32は、まず参照した分析項目の管理方法をもとに管理対象である分析項目においてキャリブレーション分析処理が必要でありキャリブレーションデータが必要であるか否かを判断する(ステップS20)。管理部32は、管理対象である分析項目においてキャリブレーションデータが必要でないと判断した場合(ステップS20:No)、キャリブレーションデータを取得する必要がないため、キャリブレーションデータ検索処理を終了する。
【0078】
これに対し、管理部32は、管理対象である分析項目においてキャリブレーションデータが必要であると判断した場合(ステップS20:Yes)、参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてキャリブレーション分析処理の実行タイミングがロット単位であるかボトル単位であるかを判断する(ステップS22)。
【0079】
管理部32は、参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてキャリブレーション分析処理の実行タイミングがロット単位であると判断した場合(ステップS22:ロット)、管理対象である分析項目において、管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルとロット番号が一致するキャリブレーションデータを記憶部35内から検索する(ステップS24)。この場合、管理部32は、新たに補充された試薬ボトルのロット番号で検索する。
【0080】
そして、管理部32は、記憶部35内に管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルとロット番号が一致するキャリブレーションデータがあるか否かを判断する(ステップS26)。管理部32は、管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルとロット番号が一致するキャリブレーションデータがあると判断した場合(ステップS26:Yes)、このキャリブレーションデータを管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルのロット番号に対応するキャリブレーションデータとして取得し(ステップS28)、キャリブレーションデータ検索処理を終了する。
【0081】
これに対し、管理部32は、管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルとロット番号が一致するキャリブレーションデータがないと判断した場合(ステップS26:No)、キャリブレーション分析処理を行なってキャリブレーションデータを取得する必要がある。この場合、管理部32は、キャリブレーション分析処理の管理方法がロット単位であるため、本ロット番号に対してキャリブレーション分析処理の受付を行なう(ステップS30)。この場合、表示部37の画面上には、キャリブレーション分析処理の受付を行なう受付メニューが表示される。操作者は、入力部33を構成するマウスやキーボードを操作することによって、受付メニューにおける該管理対象である分析項目におけるキャリブレーション分析受付欄を選択する。この結果、入力部33から、管理対象である分析項目のキャリブレーション分析処理実行を指示する指示情報が制御部31に入力される。そして、操作者によって設置されたキャリブレーターに対して、管理対象である分析項目における試薬を実際に用いて分析を行い、この分析結果をもとに管理対象である分析項目の検量線を設定するキャリブレーション分析処理が実行される。そして、この受付にしたがって行なわれたキャリブレーション分析処理のキャリブレーションデータは、受付時のロット番号に対応づけられて記憶部35内に記憶される。
【0082】
管理部32は、参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてキャリブレーション分析処理の実行タイミングがボトル単位であると判断した場合(ステップS22:ボトル)、管理対象である分析項目において管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルとボトル番号が一致するキャリブレーションデータを記憶部35内から検索する(ステップS32)。
【0083】
そして、管理部32は、記憶部35内に管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルとボトル番号が一致するキャリブレーションデータがあるか否かを判断する(ステップS34)。管理部32は、管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルのボトル番号と一致するボトル番号を有するキャリブレーションデータがあると判断した場合(ステップS34:Yes)、このキャリブレーションデータを管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルのボトル番号に対応するキャリブレーションデータとして取得し(ステップS36)、キャリブレーションデータ検索処理を終了する。
【0084】
これに対し、管理部32は、管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルとボトル番号が一致するキャリブレーションデータがないと判断した場合(ステップS34:No)、キャリブレーション分析処理を行なってキャリブレーションデータを取得する必要がある。この場合、管理部32は、キャリブレーション分析処理の管理方法がボトル単位であるため、本ボトル番号に対してキャリブレーション分析処理の受付を行なう(ステップS38)。この受付にしたがって行なわれたキャリブレーション分析処理のキャリブレーションデータは、受付時のボトル番号に対応づけられて記憶部35内に記憶される。
【0085】
そして、管理部32は、ステップS30およびステップS38におけるキャリブレーション分析処理の受付が終了した後、参照した管理対象である分析項目の管理方法をもとに管理対象である分析項目においてブランク分析処理が必要でありブランクデータが必要か否かを判断する(ステップS40)。キャリブレーションデータを用いた検量線設定に併せて検量線の補正も行なう場合には、ブランクデータが必要となる。管理部32は、ブランクデータが必要でないと判断した場合には(ステップS40:No)、キャリブレーション検索処理を終了する。これに対し、管理部32は、ブランクデータが必要であると判断した場合には(ステップS40:Yes)、参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてブランク分析処理の実行タイミングがロット単位であるかボトル単位であるかを判断する(ステップS42)。
【0086】
管理部32は、管理対象である分析項目においてブランク分析処理の実行タイミングがロット単位であると判断した場合(ステップS42:ロット)、本ロット番号に対してブランク分析処理の受付を行なう(ステップS44)。この場合、表示部37の画面上には、ブランク分析処理の受付を行なう受付メニューが表示される。操作者は、入力部33を構成するマウスやキーボードを操作することによって、受付メニューにおける該管理対象である分析項目におけるブランク分析受付欄を選択する。この結果、入力部33から、管理対象である分析項目のブランク分析処理実行を指示する指示情報が制御部31に入力される。そして、操作者によって設置されたブランク試料に対して、管理対象である分析項目における試薬を実際に用いて分析を行い、この分析結果をもとに管理対象である分析項目の検量線を補正するブランク分析処理を行なう。この受付にしたがって行なわれたブランク分析処理のブランクデータは、受付時のロット番号に対応づけられて記憶部35内に記憶される。一方、管理部32は、管理対象である分析項目においてブランク分析処理の実行タイミングがボトル単位であると判断した場合(ステップS42:ボトル)、本ボトル番号に対してブランク分析処理の受付を行なう(ステップS46)。この受付にしたがって行なわれたブランク分析処理のブランクデータは、受付時のボトル番号に対応づけられて記憶部35内に記憶される。
【0087】
このように、管理部32は、キャリブレーション検索処理において、管理方法に対応したキャリブレーションデータを検索し、管理方法に対応するキャリブレーションデータが検索できない場合に、管理方法に対応させたキャリブレーション分析処理の受付を行なう。
【0088】
つぎに、図12に示すブランクデータ検索処理について説明する。図14は、図12に示すブランクデータ検索処理の処理手順を示すフローチャートである。図14に示すように、管理部32は、まず、参照した分析項目の管理方法をもとに管理対象である分析項目においてブランク分析処理が必要でありブランクデータが必要であるか否かを判断する(ステップS50)。管理部32は、管理対象である分析項目においてブランクデータが必要でないと判断した場合(ステップS50:No)、ブランクデータを取得する必要がないため、ブランクデータ検索処理を終了する。
【0089】
これに対し、管理部32は、管理対象である分析項目においてブランクデータが必要であると判断した場合(ステップS50:Yes)、キャリブレーションデータ検索処理において、この分析項目におけるブランク分析処理が受付済みであるか否かを判断する(ステップS52)。管理部32は、管理対象である分析項目においてブランク分析処理が受付済みであると判断した場合(ステップS52:Yes)、ブランクデータの受付を行なう必要がないため、ブランクデータ検索処理を終了する。
【0090】
一方、管理部32は、ブランク分析処理受付済みでないと判断した場合(ステップS52:No)、ブランクデータを取得するために、まず参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてブランク分析処理の実行タイミングがロット単位であるかボトル単位であるかを判断する(ステップS54)。
【0091】
管理部32は、参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてブランク分析処理の実行タイミングがロット単位であると判断した場合(ステップS54:ロット)、管理対象である分析項目において、管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルとロット番号が一致するブランクデータを記憶部35内から検索する(ステップS56)。この場合、管理部32は、新たに補充された試薬ボトルのロット番号で検索する。
【0092】
そして、管理部32は、記憶部35内に管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルとロット番号が一致するブランクデータがあるか否かを判断する(ステップS58)。管理部32は、管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルとロット番号が一致するブランクデータがあると判断した場合(ステップS58:Yes)、このブランクデータを管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルのロット番号に対応するブランクデータとして取得し(ステップS60)、ブランクデータ検索処理を終了する。
【0093】
これに対し、管理部32は、管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルとロット番号が一致するロット番号のブランクデータがないと判断した場合(ステップS58:No)、ブランク分析処理を行なってブランクデータを取得する必要がある。この場合、管理部32は、ブランク分析処理の管理方法がロット単位であるため、本ロット番号に対してブランク分析処理の受付を行ない(ステップS62)、ブランクデータ検索処理を終了する。この受付にしたがって行なわれたブランク分析処理のブランクデータは、受付時のロット番号に対応づけられて記憶部35内に記憶される。
【0094】
管理部32は、参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてブランク分析処理の実行タイミングがボトル単位であると判断した場合(ステップS54:ボトル)、管理対象である分析項目において管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルとボトル番号が一致するブランクデータを記憶部35内から検索する(ステップS64)。
【0095】
そして、管理部32は、記憶部35内に管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルとボトル番号が一致するブランクデータがあるか否かを判断する(ステップS66)。管理部32は、管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルのボトル番号と一致するボトル番号を有するブランクデータがあると判断した場合(ステップS66:Yes)、このブランクデータを管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルのボトル番号に対応するブランクデータとして取得し(ステップS68)、ブランクデータ検索処理を終了する。
【0096】
これに対し、管理部32は、管理対象である分析項目に用いられる試薬ボトルとボトル番号が一致するブランクデータがないと判断した場合(ステップS66:No)、ブランク分析処理を行なってブランクデータを取得する必要がある。この場合、管理部32は、ブランク分析処理の管理方法がボトル単位であるため、本ボトル番号に対してブランク分析処理の受付を行ない(ステップS70)、ブランクデータ検索処理を終了する。この受付にしたがって行なわれたブランク分析処理のブランクデータは、受付時のボトル番号に対応づけられて記憶部35内に記憶される。
【0097】
このように、管理部32は、ブランクデータ検索処理において、管理方法に対応したブランクデータを検索し、管理方法に対応するブランクデータが検索できない場合に、管理方法に対応させたブランク分析処理の受付を行なう。
【0098】
つぎに、図12に示すキャリブレーションデータ確認処理について説明する。図15は、図12に示すキャリブレーションデータ確認処理の処理手順を示すフローチャートである。図15に示すように管理部32は、まず、参照した分析項目の管理方法をもとに管理対象である分析項目においてキャリブレーション分析処理が必要でありキャリブレーションデータが必要であるか否かを判断する(ステップS72)。管理部32は、管理対象である分析項目においてキャリブレーションデータが必要でないと判断した場合(ステップS72:No)、キャリブレーションデータを取得する必要がないため、キャリブレーションデータ確認処理を終了する。
【0099】
これに対し、管理部32は、管理対象である分析項目においてキャリブレーションデータが必要であると判断した場合(ステップS72:Yes)、キャリブレーションデータ検索処理において、この分析項目におけるキャリブレーション分析処理が受付済みであるか否かを判断する(ステップS74)。管理部32は、管理対象である分析項目においてキャリブレーション分析処理が受付済みであると判断した場合(ステップS74:Yes)、キャリブレーションデータの有効期限の確認を行なう必要がないため、キャリブレーションデータ検索処理を終了する。
【0100】
一方、管理部32は、キャリブレーション分析処理受付済みでないと判断した場合(ステップS74:No)、図13に示すキャリブレーション検索処理において取得したキャリブレーションデータを参照する(ステップS76)。そして、管理部32は、参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてキャリブレーション分析処理の実行タイミングがロット単位であるかボトル単位であるかを判断する(ステップS78)。
【0101】
管理部32は、参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてキャリブレーション分析処理の実行タイミングがロット単位であると判断した場合(ステップS78:ロット)、管理対象である分析項目において使用される試薬ボトルのロット番号をもとに、このキャリブレーションデータの有効期限を記憶部35内から取得する(ステップS80)。そして、管理部32は、取得したキャリブレーションデータの有効期限までの時間が所定の期間Ta以内であるか否かを判断する(ステップS82)。この期間Taは、キャリブレーターの調製時間、キャリブレーション分析処理時間、操作者がキャリブレーション結果確認に要する時間など、検量線が設定されるまでに要する時間、すなわち、キャリブレーション分析処理全体に要する時間をもとに設定される。取得したキャリブレーションデータの有効期限までの時間が所定の期間Ta以内である場合には、キャリブレーションデータの有効期限までの時間が少なくキャリブレーション分析処理を行なわない場合にはキャリブレーションデータの有効期限切れが発生してしまうおそれがあるため、キャリブレーション分析処理を行なう必要がある。これに対し、取得したキャリブレーションデータの有効期限までの時間が所定の期間Taを超える場合には、キャリブレーションデータの有効期限まで十分に時間があるため、キャリブレーション分析処理を行なわなくともよい。
【0102】
このため、管理部32は、取得したキャリブレーションデータの有効期限までの時間が所定の期間Ta以内でないと判断した場合(ステップS82:No)、キャリブレーション分析処理を行なわなくともよいため、キャリブレーションデータ検索処理において取得したキャリブレーションデータの使用を継続し、キャリブレーションデータ確認処理を終了する。
【0103】
これに対し、管理部32は、取得したキャリブレーションデータの有効期限までの時間が所定の期間Ta以内であると判断した場合(ステップS82:Yes)、キャリブレーションデータの有効期限切れを防ぐため、キャリブレーション分析を行なう必要がある。このため、管理部32は、キャリブレーション分析処理の管理方法がロット単位であるため、本ロット番号に対してキャリブレーション分析処理の受付を行なう(ステップS84)。
【0104】
また、管理部32は、参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてキャリブレーション分析処理の実行タイミングがボトル単位であると判断した場合(ステップS78:ボトル)、管理対象である分析項目において使用される試薬ボトルのボトル番号をもとに、このキャリブレーションデータの有効期限を記憶部35内から取得する(ステップS86)。そして、管理部32は、取得したキャリブレーションデータの有効期限までの時間が所定の期間Ta以内であるか否かを判断する(ステップS88)。
【0105】
管理部32は、取得したキャリブレーションデータの有効期限までの時間が所定の期間Ta以内でないと判断した場合(ステップS88:No)、キャリブレーション分析処理を行なわなくともよいため、キャリブレーションデータ検索処理において取得したキャリブレーションデータの使用を継続し、キャリブレーションデータ確認処理を終了する。
【0106】
これに対し、管理部32は、取得したキャリブレーションデータの有効期限までの時間が所定の期間Ta以内であると判断した場合(ステップS88:Yes)、キャリブレーションデータの有効期限切れを防ぐため、キャリブレーション分析処理を行なう必要がある。このため、管理部32は、キャリブレーション分析処理の管理方法がボトル単位であるため、本ボトル番号に対してキャリブレーション分析処理の受付を行なう(ステップS90)。
【0107】
そして、管理部32は、ステップS84またはステップS90に示すキャリブレーション分析処理受付終了後、参照した分析項目の管理方法をもとに管理対象である分析項目においてブランク分析処理が必要でありブランクデータが必要であるか否かを判断する(ステップS91)。管理部32は、管理対象である分析項目においてブランクデータが必要でないと判断した場合(ステップS91:No)、ブランクデータを取得する必要がないため、キャリブレーションデータ確認処理を終了する。
【0108】
これに対し、管理部32は、管理対象である分析項目においてブランクデータが必要であると判断した場合(ステップS91:Yes)、キャリブレーションデータ検索処理またはブランクデータ検索処理において、この分析項目におけるブランク分析処理が受付済みであるか否かを判断する(ステップS92)。管理部32は、管理対象である分析項目においてブランク分析処理が受付済みであると判断した場合(ステップS92:Yes)、ブランクデータの受付を行なう必要がないため、キャリブレーションデータ確認処理を終了する。
【0109】
一方、管理部32は、ブランク分析処理受付済みでないと判断した場合(ステップS92:No)、ブランクデータを取得するために、まず参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてブランク分析処理の実行タイミングがロット単位であるかボトル単位であるかを判断する(ステップS94)。
【0110】
管理部32は、参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてブランク分析処理の実行タイミングがロット単位であると判断した場合(ステップS94:ロット)、ブランク分析処理の管理方法がロット単位であるため、本ロット番号に対してブランク分析処理の受付を行ない(ステップS96)、キャリブレーションデータ確認処理を終了する。この受付にしたがって行なわれたブランク分析処理のブランクデータは、受付時のロット番号に対応づけられて記憶部35内に記憶される。
【0111】
また、管理部32は、参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてブランク分析処理の実行タイミングがボトル単位であると判断した場合(ステップS94:ボトル)、ブランク分析処理の管理方法がボトル単位であるため、本ボトル番号に対してブランク分析処理の受付を行ない(ステップS98)、キャリブレーションデータ確認処理を終了する。この受付にしたがって行なわれたブランク分析処理のブランクデータは、受付時のボトル番号に対応づけられて記憶部35内に記憶される。
【0112】
このように、管理部32は、キャリブレーションデータ確認処理において、キャリブレーションデータの有効期限を確認することによって、キャリブレーションデータの有効期限切れを防止できるように管理方法に対応させてキャリブレーション分析処理の受付を行なう。
【0113】
つぎに、図12に示すブランクデータ確認処理について説明する。図16は、図12に示すブランクデータ確認処理の処理手順を示すフローチャートである。図16に示すように管理部32は、まず、参照した分析項目の管理方法をもとに管理対象である分析項目においてブランク分析処理が必要でありブランクデータが必要であるか否かを判断する(ステップS100)。管理部32は、管理対象である分析項目においてブランクデータが必要でないと判断した場合(ステップS100:No)、ブランクデータを取得する必要がないため、ブランクデータ確認処理を終了する。
【0114】
これに対し、管理部32は、管理対象である分析項目においてブランクデータが必要であると判断した場合(ステップS100:Yes)、キャリブレーションデータ検索処理、ブランクデータ検索処理およびキャリブレーションデータ確認処理において、この分析項目におけるブランク分析処理が受付済みであるか否かを判断する(ステップS102)。管理部32は、管理対象である分析項目においてブランク分析処理が受付済みであると判断した場合(ステップS102:Yes)、ブランクデータの有効期限の確認を行なう必要がないため、ブランクデータ確認処理を終了する。
【0115】
一方、管理部32は、ブランク分析処理受付済みでないと判断した場合(ステップS102:No)、図14に示すブランク検索処理において取得したブランクデータを参照する(ステップS104)。そして、管理部32は、参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてブランク分析処理の実行タイミングがロット単位であるかボトル単位であるかを判断する(ステップS106)。
【0116】
管理部32は、参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてブランク分析処理の実行タイミングがロット単位であると判断した場合(ステップS106:ロット)、管理対象である分析項目において使用される試薬ボトルのロット番号をもとに、このキャリブレーションデータの有効期限を記憶部35内から取得する(ステップS108)。そして、管理部32は、取得したブランクデータの有効期限までの時間が所定の期間Tb以内であるか否かを判断する(ステップS110)。この期間Tbは、ブランク試料の調製時間、ブランク分析処理時間、操作者が検量線精度確認に要する時間など、検量線が補正されるまでに要する時間、すなわちブランク分析処理全体に要する時間をもとに設定される。取得したブランクデータの有効期限までの時間が所定の期間Tb以内である場合には、ブランクデータの有効期限までの時間が少なくブランク分析処理を行なわない場合にはブランクデータの有効期限切れが発生してしまうおそれがあるため、ブランク分析処理を行なう必要がある。これに対し、取得したブランクデータの有効期限までの時間が所定の期間Tbを超える場合には、ブランクデータの有効期限まで十分に時間があるため、ブランク分析処理を行なわなくともよい。なお、この期間Tbとキャリブレーションデータ確認処理における期間Taとを同じ期間とし、判断処理の容易化を図ってもよい。
【0117】
このため、管理部32は、取得したブランクデータの有効期限までの時間が所定の期間Tb以内でないと判断した場合(ステップS110:No)、ブランク分析処理を行なわなくともよいため、ブランクデータ検索処理において取得したブランクデータの使用を継続し、ブランクデータ確認処理を終了する。
【0118】
これに対し、管理部32は、取得したブランクデータの有効期限までの時間が所定の期間Tb以内であると判断した場合(ステップS110:Yes)、ブランクデータの有効期限切れを防ぐため、ブランク分析を行なう必要がある。このため、管理部32は、ブランク分析処理の管理方法がロット単位であるため、本ロット番号に対してブランク分析処理の受付を行なう(ステップS112)。
【0119】
また、管理部32は、参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてブランク分析処理の実行タイミングがボトル単位であると判断した場合(ステップS106:ボトル)、管理対象である分析項目において使用される試薬ボトルのボトル番号をもとに、このブランクデータの有効期限を記憶部35内から取得する(ステップS114)。そして、管理部32は、取得したブランクデータの有効期限までの時間が所定の期間Tb以内であるか否かを判断する(ステップS116)。
【0120】
管理部32は、取得したブランクデータの有効期限までの時間が所定の期間Tb以内でないと判断した場合(ステップS116:No)、ブランク分析処理を行なわなくともよいため、ブランクデータ検索処理において取得したブランクデータの使用を継続し、ブランクデータ確認処理を終了する。
【0121】
これに対し、管理部32は、取得したブランクデータの有効期限までの時間が所定の期間Tb以内であると判断した場合(ステップS116:Yes)、ブランクデータの有効期限切れを防ぐため、ブランク分析を行なう必要がある。このため、管理部32は、ブランク分析処理の管理方法がボトル単位であるため、本ボトル番号に対してブランク分析処理の受付を行なう(ステップS118)。
【0122】
そして、管理部32は、ステップS112またはステップS118に示すブランク分析処理受付終了後、再度、参照した分析項目の管理方法をもとに管理対象である分析項目においてキャリブレーション分析処理が必要でありキャリブレーションデータが必要であるか否かを判断する(ステップS120)。
【0123】
たとえば、ブランク分析処理のみが受け付けられていてブランク分析処理が実行される場合であってブランク分析処理中にキャリブレーションデータの有効期限が期間Ta以内となってしまう場合には、キャリブレーションデータの有効期限切れを防止するため、ブランク分析処理とともにキャリブレーション分析処理を同時に行なうほうが望ましい。また、たとえば、キャリブレーションデータの安定期間がブランク安定期間よりも長い場合には、前回のキャリブレーション分析処理と前回のブランク分析処理とを同時に実施した場合であってもキャリブレーションデータの有効期限とブランクデータの有効期限とは同一とはならない。このため、キャリブレーションデータの安定期間とブランクデータの安定期間との差によって、キャリブレーションデータの有効期限とブランクデータの有効期限とがずれていき、全キャリブレーション分析処理および全ブランク分析処理とを常に別個に行なうことになってしまい、操作者のキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理に対する負担を増大させてしまう。キャリブレーションデータの有効期限とブランクデータの有効期限との間が短い場合には、キャリブレーション分析処理およびブランク分析処理を常に別個に行なうのではなく、キャリブレーション分析処理およびブランク分析処理を常に同時に行なうことが好ましい。
【0124】
管理部32は、ブランク分析処理中におけるキャリブレーションデータの期限切れおよび操作者の処理負担の増大を防止するため、管理部32は、ブランク分析処理受付終了後に、再度キャリブレーションデータの有効期限を確認する。
【0125】
具体的には、まず、管理部32は、管理対象である分析項目においてキャリブレーションデータが必要でないと判断した場合(ステップS120:No)、キャリブレーションデータを取得する必要がないため、ブランクデータ確認処理を終了する。
【0126】
これに対し、管理部32は、管理対象である分析項目においてキャリブレーションデータが必要であると判断した場合(ステップS120:Yes)、キャリブレーションデータ検索処理およびキャリブレーションデータ確認処理において、この分析項目におけるキャリブレーション分析処理が受付済みであるか否かを判断する(ステップS122)。
【0127】
管理部32は、管理対象である分析項目においてキャリブレーション分析処理が受付済みであると判断した場合(ステップS122:Yes)、キャリブレーション分析処理をブランク分析処理と同時に実行できるため、このままブランクデータ確認処理を終了する。
【0128】
一方、管理部32は、キャリブレーション分析処理受付済みでないと判断した場合(ステップS122:No)、キャリブレーションデータ検索処理において取得したキャリブレーションデータを参照する(ステップS123)。そして、管理部32は、参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてキャリブレーション分析処理の実行タイミングがロット単位であるかボトル単位であるかを判断する(ステップS124)。
【0129】
管理部32は、参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてキャリブレーション分析処理の実行タイミングがロット単位であると判断した場合(ステップS124:ロット)、管理対象である分析項目において使用される試薬ボトルのロット番号をもとに、このキャリブレーションデータの有効期限を記憶部35内から取得する(ステップS126)。そして、管理部32は、取得したキャリブレーションデータの有効期限までの時間が所定の期間Tc以内であるか否かを判断する(ステップS128)。キャリブレーションデータのブランク分析処理中の期限切れを確実に防止し、かつ、操作者の処理負担を軽減するため、期間Tcは、たとえばキャリブレーション分析処理に要する時間とブランク分析処理に要する時間との合計時間をもとに設定される。取得したキャリブレーションデータの有効期限までの時間が所定の期間Tc以内である場合には、キャリブレーション分析処理とブランク分析処理とを別々に行なうことによってキャリブレーションデータのブランク分析処理中の期限切れが発生するおそれがあるとともに操作者の処理負担が大きくなるものと考えられる。このため、キャリブレーション分析処理をブランク分析処理と同時に行なうことが望ましい。これに対し、取得したキャリブレーションデータの有効期限までの時間が所定の期間Tcを超える場合には、操作者がキャリブレーション分析処理とブランク分析処理とを別々に行なってもキャリブレーションデータのブランク分析処理中の期限切れの発生および操作者の処理負担増大のおそれはないものと考えられるため、キャリブレーション分析処理とブランク分析処理とを別々に行なってもよい。
【0130】
このため、管理部32は、取得したキャリブレーションデータの有効期限までの時間が所定の期間Tc以内でないと判断した場合(ステップS128:No)、キャリブレーション分析処理をブランク分析処理と同時に行なわなくともよいため、キャリブレーションデータ検索処理において取得したキャリブレーションデータの使用を継続し、ブランクデータ確認処理を終了する。
【0131】
これに対し、管理部32は、取得したキャリブレーションデータの有効期限までの時間が所定の期間Tc以内であると判断した場合(ステップS128:Yes)、操作者の負担を低減するため、キャリブレーション分析処理をブランク分析処理と同時に行なうことが望ましい。このため、管理部32は、キャリブレーション分析処理の管理方法がロット単位であるため、本ロット番号に対してキャリブレーション分析処理の受付を行なう(ステップS130)。
【0132】
管理部32は、参照した管理方法をもとに管理対象である分析項目においてキャリブレーション分析処理の実行タイミングがボトル単位であると判断した場合(ステップS124:ボトル)、管理対象である分析項目において使用される試薬ボトルのボトル番号をもとに、このキャリブレーションデータの有効期限を記憶部35内から取得する(ステップS132)。そして、管理部32は、取得したキャリブレーションデータの有効期限までの時間が所定の期間Tc以内であるか否かを判断する(ステップS134)。管理部32は、取得したキャリブレーションデータの有効期限までの時間が所定の期間Tc以内でないと判断した場合(ステップS134:No)、キャリブレーション分析処理をブランク分析処理と同時に行なわなくともよいため、キャリブレーションデータ検索処理において取得したキャリブレーションデータの使用を継続し、ブランクデータ確認処理を終了する。
【0133】
これに対し、管理部32は、取得したキャリブレーションデータの有効期限までの時間が所定の期間Tc以内であると判断した場合(ステップS134:Yes)、操作者の負担を低減するため、キャリブレーション分析処理をブランク分析処理と同時に行なうことが望ましい。このため、管理部32は、キャリブレーション分析処理の管理方法がボトル単位であるため、本ボトル番号に対してキャリブレーション分析処理の受付を行なう(ステップS136)。
【0134】
このように、管理部32は、ブランクデータ確認処理において、ブランクデータ検索処理において取得したブランクデータの有効期限を確認することによって、ブランクデータの有効期限切れを防止できるように管理方法に対応させてブランク分析処理の受付を行なう。さらに、管理部32は、ブランクデータ確認処理において、操作者の処理負担が重い場合には管理方法に合わせてキャリブレーション分析処理の受付を行ってブランク分析処理と同時にキャリブレーション分析処理を実行可能としている。
【0135】
なお、管理部32におけるキャリブレーション分析処理の受付およびブランク分析処理の受付は、たとえば、表示部37の画面上に受付メニューを表示することによって行なわれる。この受付メニューとして、たとえば図17に示すキャリブレーション分析処理の受付およびブランク分析処理の受付を行なう受付メニューM3が表示部37の画面上に表示される。この受付メニューM3においては、たとえば、受付可能であるキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理に対応する受付欄の表示色が他の欄の受付欄と異なるものとなっている。たとえば、管理部32の管理処理により分析項目ALBにおいてブランク分析処理のみが必要である場合には、他の欄が白く表示されるのに対し、分析項目ALBのブランク分析処理の受付欄C23が青く表示される。このため、操作者は、いずれの分析項目においてブランク分析処理、キャリブレーション分析処理を行なう必要があるのかを迅速に把握することができる。そして、操作者が受付欄C23上にカーソルCを移動させてクリックした後、選択欄C21をクリックすることによって、入力部33から分析項目ALBのブランク分析処理の実行を指示する指示情報が制御部31に入力される。また、管理部32の管理処理により分析項目GOTにおいてブランク分析処理とともにキャリブレーション分析処理が必要である場合には、操作者の選択処理負担軽減および選択ミス防止のため、操作者が分析項目GOTのキャリブレーション分析処理の受付欄C32上にカーソルCを移動させて受付欄C32を選択すると自動的に分析項目GOTのブランク分析処理の受付欄C33も選択されてもよい。
【0136】
このように、実施の形態にかかる分析装置1においては、分析項目ごとにキャリブレーション分析処理とブランク分析処理との実行タイミングを独立して管理するため、必要な場合にのみキャリブレーション分析処理を行なうため、キャリブレーション分析処理におけるコスト負担低減を実現することができる。また、分析装置1においては、キャリブレーションデータの有効期限およびブランクデータの有効期限を判断し、各データの有効期限切れが発生しないようにキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理を受け付けるため、分析装置の分析精度を十分確保することができる。
【0137】
なお、図12において、試薬補充時を例に管理部32におけるキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の管理処理を説明したが、もちろん、管理部32は、試薬補充時に限らずキャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の管理処理を行なってもよい。管理部32は、たとえば、操作者による入力部33の操作によって、有効期限の確認を指示する指示情報が入力された場合に、キャリブレーション分析処理およびブランク分析処理の管理処理を行なう。具体的には、図18に示すように、管理部32は、入力部33からキャリブレーションデータおよびブランクデータの有効期限の確認を指示する指示情報が入力されたか否かを判断する(ステップS211)。管理部32は、入力部33から所定の分析項目におけるキャリブレーションデータおよびブランクデータ有効期限の確認を指示する指示情報が入力されたと判断した場合には(ステップS211:Yes)、記憶部35内に記憶された各試薬情報のうち管理対象である分析項目における試薬情報を参照する(ステップS212)。そして、図12に示すステップS13〜ステップS19と同様に、管理対象として指示された分析項目を設定する分析項目設定処理(ステップS213)、管理方法参照処理(ステップS214)、キャリブレーションデータ検索処理(ステップS215)、ブランクデータ検索処理(ステップS216)、キャリブレーションデータ確認処理(ステップS217)、ブランクデータ確認処理(ステップS218)、管理対象として指示された全分析項目に対する管理処理が終了したか否かを判断する判断処理(ステップS219)を行なう。
【0138】
また、本実施の形態では、管理部32は、図7に示すように、演算したキャリブレーションデータの有効期限およびブランクデータの有効期限を記憶部35に記憶させ、図15におけるキャリブレーションデータ確認処理および図16におけるブランクデータ確認処理において、記憶部35からキャリブレーションデータ有効期限とブランクデータ有効期限を取得した場合について説明したが、これに限らない。たとえば、分析装置1においては、キャリブレーション分析日時とキャリブレーションデータ安定期間とを外部記憶装置に保持しておき、管理部32は、図15のステップS80、ステップS86、図16におけるステップS126およびステップS132におけるキャリブレーションデータの有効期限取得処理に代えて、外部記憶装置に保持したキャリブレーション分析日時とキャリブレーションデータ安定期間とを取得した後に図7におけるステップS4と同様の処理を行なうキャリブレーションデータ有効期限演算処理を行なってもよい。また、分析装置1においては、ブランク分析日時とブランクデータ安定期間とを外部記憶装置に保持しておき、管理部32は、図16におけるステップS108およびステップS114におけるブランクデータの有効期限取得処理に代えて、外部記憶装置に保持したブランク分析日時とブランクデータ安定期間とを取得した後に図7におけるステップS8と同様の処理を行なうブランクデータ有効期限演算処理を行なってもよい。
【0139】
また、上記実施の形態で説明した分析装置1は、あらかじめ用意されたプログラムをコンピュータシステムで実行することによって実現することができる。このコンピュータシステムは、所定の記録媒体に記録されたプログラムを読み出して実行することで分析装置の処理動作を実現する。ここで、所定の記録媒体とは、フレキシブルディスク(FD)、CD−ROM、MOディスク、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」の他に、コンピュータシステムの内外に備えられるハードディスクドライブ(HDD)などのように、プログラムの送信に際して短期にプログラムを保持する「通信媒体」など、コンピュータシステムによって読み取り可能なプログラムを記録する、あらゆる記録媒体を含むものである。また、このコンピュータシステムは、ネットワーク回線を介して接続した管理サーバや他のコンピュータシステムからプログラムを取得し、取得したプログラムを実行することで分析装置の処理動作を実現する。
【符号の説明】
【0140】
1 分析装置
2 測定機構
3 制御機構
10 反応テーブル
11 第1試薬庫
11a 第1試薬容器
11b 第1試薬読取部
12 第1試薬分注機構
13 検体移送部
13a 検体容器
13b 検体ラック
14 検体分注機構
14a,16a アーム
15 第2試薬庫
15a 第2試薬容器
15b 第2試薬読取部
16 第2試薬分注機構
17 攪拌部
18 測光部
19 洗浄部
21 反応容器
31 制御部
32 管理部
33 入力部
34 分析部
35 記憶部
36 出力部
37 表示部
38 送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−163576(P2012−163576A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−105169(P2012−105169)
【出願日】平成24年5月2日(2012.5.2)
【分割の表示】特願2007−1728(P2007−1728)の分割
【原出願日】平成19年1月9日(2007.1.9)
【出願人】(510005889)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (174)
【Fターム(参考)】