説明

分析装置

【課題】全体の外観や操作画面のデザイン性を良くするとともに、多種類の入力可能な操作があっても、直観的に操作のしやすい分析装置を提供する。
【解決手段】各種化学測定に用いられる分析装置100であって、画像が表示されるとともに、操作者によるタッチスライド動作を検出可能なタッチパネルディスプレイ3と、予め設定された複数の入力受付方向のうち、どの方向にタッチスライド動作が入力されたかを検出する入力方向検出部4と、前記タッチパネルディスプレイ3に前記画像を表示するものであり、前記入力方向検出部により検出されたタッチスライド動作の方向に応じて前記画像の表示態様を変更する表示制御部5と、前記タッチパネルディスプレイに操作者がタッチした場合に、前記画像上に前記入力受付方向を示すガイドをさらに表示するガイド表示部6と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、pHや酸化還元電位、イオン濃度、導電率等その他様々な化学測定に用いられる分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種の分析装置では、各種化学測定により測定された値を表示する表示器と、前記表示器の表示態様を切り替えたり、分析装置の動作を制御したりするための操作部とを別々に備えたものが用いられている(特許文献1参照)。
【0003】
ところで、この種の分析装置等においては、よりデザイン性に優れており、分析装置の操作も行いやすいものが求められている。このようなニーズに応えるために、例えば、前記表示器と操作部とを一体にすることができるタッチパネルディスプレイを用いた分析装置がある。より具体的には、従来であれば物理的な測定開始スイッチ等が画面とは別に設けられていたが、タッチパネルディスプレイ内に表示されるアイコンへと置き換えられる等している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−325077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、タッチパネルディスプレイを採用し、アイコンを単にタッチするだけの入力方法では、分析装置のような複雑な操作を必要とするものの場合、直観的に操作しづらい場合がある。例えば、校正、測定、設定等といった複数種類の操作をタッチパネルで行えるようにしようとすると、見やすさ等といった観点からそれぞれを別のページとして、多層構造の画面構成にしておく必要がある。すると、ある操作を行うことができる階層から、別の操作を行うことができる階層へとスムーズに移動しようとすると、操作者はアイコンの場所やそれを押す順番等をしっかり覚えておく必要があり、直観的に使用する事は難しい。
【0006】
また、タッチパネルディスプレイに表示されている測定値について詳しく知りたい場合には、その測定レンジや、表示されている区間等を適宜調整する必要がある。このような場合でも、アイコンをタッチする入力方法ではその拡大縮小量に応じて複数回タッチする必要がある等、操作が煩雑になる場合がある。
【0007】
加えて、分析装置において操作できる機能や、グラフ等の解析機能をより付加していくと、タッチ入力だけでは、更に用途ごとにアイコンを追加していく必要があり、表示画面が込み入ってしまい美観の損なわれたものとなってしまうといった問題もある。
【0008】
本願発明は上述したような問題を鑑みてなされたものであり、タッチパネルディスプレイを用いることにより全体の外観や操作画面のデザイン性を良くするとともに、多種類の入力可能な操作があっても、直観的に操作のしやすい分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明の分析装置は、各種化学測定に用いられる分析装置であって、画像が表示されるとともに、操作者によるタッチスライド動作を検出可能なタッチパネルディスプレイと、予め設定された複数の入力受付方向のうち、どの方向にタッチスライド動作が入力されたかを検出する入力方向検出部と、前記タッチパネルディスプレイに前記画像を表示するものであり、前記入力方向検出部により検出されたタッチスライド動作の方向に応じて前記画像の表示態様を変更する表示制御部と、前記タッチパネルディスプレイに操作者がタッチした場合に、前記画像上に前記入力受付方向を示すガイドをさらに表示するガイド表示部と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
このようなものであれば、前記ガイド表示部が前記タッチパネルディスプレイに操作者がタッチした倍に前記画像上に前記入力受付方向を示すように構成されているので、どの方向にタッチスライド動作すれば、表示されている画像の表示態様を変更することができるのかについて直観的に理解することができる。また、タッチされていない間はガイドが表示されないので、例えば操作用のアイコン等を画面上に常に配置しておく必要がなく、その他の測定値等の情報をより大きく配置し見やすくすることもできる。また、操作用のアイコンを新たに付加する必要がないので、画面上に操作の複雑さや煩雑さが表れてしまうのを防ぐことができる。
【0011】
加えて、タッチスライド動作を操作入力として受け付けられるようにしているので、例えば画像をタッチスライド方向に合わせて移動させてページめくりを行う等といった操作を直観的に行うこともできる。
【0012】
タッチスライド動作によって、多くの画面の操作を可能とするには、前記画像には複数の表示領域があり、前記入力方向検出部は、前記表示領域ごとに入力受付方向がそれぞれ設定されており、前記ガイド表示部は、操作者がタッチした表示領域に設定されている入力受付方向を示すガイドを表示するように構成されたものであればよい。
【0013】
表示領域ごとに異なる態様で前記画像の表示態様を変更できるようにしても、操作者に操作方法が分かりやすく直観的に理解できるようにするには、前記ガイド表示部が、操作者がタッチした表示領域に設定されている入力受付方向を示すガイドを、タッチされている表示領域内に表示するように構成されたものであればよい。
【0014】
タッチスライド動作により前記画像の表示態様の変化と、前記ガイドの関連性を強くし、より操作者が直観的に操作することができるようにするための具体的な実施の態様としては、前記複数の表示領域が、前記化学測定により測定された測定値を表示する測定値表示領域と、前記化学測定により測定された測定値以外の情報を表示する情報表示領域とからなり、前記入力方向検出部が前記測定値表示領域において前記入力受付方向へのタッチスライド動作を検出した場合には、前記表示制御部が前記測定値表示領域のみ表示態様を変更するように構成されており、前記入力方向検出部が前記情報表示領域において前記入力受付方向へのタッチスライド動作を検出した場合には、前記表示制御部が前記画像全体の表示態様を変更するように構成されているものであればよい。
【発明の効果】
【0015】
このように本発明によれば、どの方向にタッチスライド動作すれば、表示されている画像の表示態様を変更することができるのかについて直観的に理解することができる。また、前記ガイドがタッチされていない間は表示されないように構成されているので、多種の操作をタッチスライド操作に設定したとしてもアイコン等の操作ボタンが画像上に増えることがなく、画面表示のデザイン性や美観をよいものにしやすい。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態に係る分析装置の模式的全体斜視図。
【図2】同実施形態の分析装置の機能ブロック図。
【図3】同実施形態におけるタッチパネルディスプレイに表示される各ページの具体例。
【図4】同実施形態におけるアナログ計表示ページにおいてタッチされていない状態とタッチされている状態を示す模式図。
【図5】同実施形態におけるアナログ計表示ページにおいて測定値表示領域で左方向、右方向にタッチスライド動作が入力された際の変化を示す模式図。
【図6】同実施形態におけるアナログ計表示ページにおいて測定値表示領域で上方向、下方向にタッチスライド動作が入力された際の変化を示す模式図。
【図7】同実施形態におけるアナログ計表示ページにおいて情報表示領域にタッチされている状態を示す模式図。
【図8】同実施形態におけるアナログ計表示ページにおいて情報表示領域で左方向、右方向にタッチスライド動作が入力された際の変化を示す模式図。
【図9】同実施形態における時系列表示ページにおいてタッチされていない状態と、タッチされている状態とを示す模式図。
【図10】同実施形態における時系列表示ページにおいて測定値表示領域で左方向、右方向にタッチスライド動作が入力された際の変化を示す模式図。
【図11】同実施形態における時系列表示ページにおいて測定値表示領域で上方向、下方向にタッチスライド動作が入力された際の変化を示す模式図。
【図12】同実施形態における時系列表示ページにおいて情報表示領域にタッチされている状態を示す模式図。
【図13】同実施形態における数値表示ページにおいて情報表示領域にタッチされている状態を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0018】
本実施形態の分析装置100は、図1に示すように、測定対象物に接触させるプローブ2と、そのプローブ2に無線又は有線ケーブルCLで接続された本体1とを備えたものであり、前記測定対象物のpH、酸化還元電位、イオン濃度、導電率、溶存酸素を測定して前記本体1に設けたタッチパネルディスプレイ3にその測定値を表示するものである。
【0019】
各部を詳述すると、プローブ2は測定目的に応じて複数種類、すなわちpH測定用プローブ2、酸化還元電位用プローブ、イオン濃度測定用プローブ、導電率測定用プローブ、溶存酸素測定用プローブが用意してあり、測定目的に対応するプローブ2を本体1に接続して使用するように構成してある。本実施形態では、pH測定用プローブを代表例として以下の説明を行う。
【0020】
このpH測定用プローブは、pH電極と比較電極とを一体化して備えたいわゆる複合電極と称されるものであり、先端部に前記pH電極及び比較電極の感応部を露出させてあり、これを水溶液などの測定対象物に接触させ得るように構成してある。前記pH電極、及び比較電極で発生した電位差は、プローブ信号として出力されるようにしてある。なお、図1中では、通常のガラス電極のものを示しているが、これに限られるものではなく、例えば先端の尖ったニードル型のものであってもよいし、pH電極と比較電極とが別体のもの等、その他種々のタイプのプローブであってもよいことは言うまでもない。
【0021】
前記本体1は、ハードウェア構成として、CPU、A/Dコンバータ、メモリ、入出力手段とディスプレイが一体となったタッチパネルディスプレイ3等を一体的に備えたものである。そして、前記CPUや必要に応じてその周辺機器が、前記メモリに記憶されているプログラムに基づいて動作することにより、図2の機能ブロック図に示すように少なくとも入力方向検出部4、表示制御部5、ガイド表示部6としての機能を発揮するように構成してある。
【0022】
各部について説明する。
【0023】
前記タッチパネルディスプレイ3は、表面型静電容量方式のものであり、シングルタッチ方式のものである。そして、前記タッチパネルディスプレイ3は、少なくともタッチ、タッチスライド動作を検出可能に構成してある。ここで、タッチとはマウスにおけるクリック、タッチスライド動作とはマウスにおけるドラッグ等に相当する動作である。また、タッチ、タッチスライド動作は操作者が指等で直接タッチパネルディスプレイ3を触ることにより行われるが、他の検出方式のものであれば、例えばペンやスタイラス等を用いてタッチ、タッチスライド動作を行い検出するようにしても構わない。
【0024】
前記入力方向検出部4は、前記タッチパネルディスプレイ3から出力されるタッチ検出信号に基づいて、タッチスライド動作の入力方向を検出するものであり、予め設定された複数の入力受付方向のうち、どの方向にタッチスライド動作が入力されたかを検出するように構成してある。つまり、前記入力方向検出部4は、予め定められた入力受付方向以外の方向へタッチスライド動作が入力されてもタッチスライド動作としては検出しないことになる。また、前記入力方向検出部4は、入力受付方向へとタッチスライド動作が入力された際にそのタッチスライド動作がされた距離についても検出するようにしてある。
【0025】
前記表示制御部5は、前記タッチパネルディスプレイ3に前記画像を表示するものであり、前記入力方向検出部4により検出されたタッチスライド動作の方向に応じて前記画像の表示態様を変更するものである。
【0026】
本実施形態では、前記表示制御部5の表示する画像はpH測定値を表示するものであり、図3(a)(b)(c)で順に示すようにpH測定値をアナログ計表示するアナログ計表示ページと、pH測定値を時系列データのグラフとして表示する時系列表示ページと、現時点でのpH測定値の値そのものを表示する数値表示ページとを少なくとも含むものである。これらの各ページはタッチスライド動作により切り替えられるように構成してある。
【0027】
そして、前記画像の各ページは、複数の表示領域が設定してあり、pH測定値又はpH測定値をグラフ表示する又はアナログ計により表示がされる測定値表示領域A1と、前記測定値表示領域A1の周囲に設定されており、その他の情報、例えば、日時、各種アイコンで表示される操作キー、周囲温度、操作モード表示等も含んで表示する情報表示領域A2とが設定してある。これらの各表示領域にはそれぞれ別々に前記入力受付方向が複数設定してあり、それぞれの入力受付方向ごとに前記表示制御部5が画像の表示態様を変更する際の動作を異ならせてある。なお、前記入力方向検出部4により入力受付方向へタッチスライド動作が入力されたことが検出された場合において前記表示制御部5が前記画像の表示態様を変更する構成及び動作の詳細については、後述する前記ガイド表示部6の構成及び動作の説明と併せて説明する。また、以下の説明では測定値表示領域A1を示すために図面において二点鎖線により仮想的に示しているが、実際の画面ではこの二点鎖線は表示されていない。
【0028】
前記ガイド表示部6は、前記タッチパネルディスプレイ3に操作者がタッチした場合に、前記画像上に前記入力受付方向を示すガイド41をさらに表示するものである。より具体的には、前記ガイド表示部6は、操作者がタッチした表示領域に設定されている入力受付方向のみを示すようにガイド41を表示するようにしてある。以下では、前記画像がアナログ計表示ページの場合を例として具体的に説明する。図4(a)はタッチパネルディスプレイ3に対して操作者がタッチしていない状態を示すものである。操作者がタッチしていない場合には、ガイド41は何も表示されていないが、操作者が前記測定値表示領域A1をタッチすると、図4(b)に示すように前記ガイド表示部6は、当該測定値表示領域A1内に入力受付方向が設定されている方向にガイド41である矢印を表示する。本実施形態では、アナログ計表示ページ及び時系列表示ページにおける前記測定値表示領域A1にタッチすると上下左右4方向に入力受付方向が予め設定してあるので、それぞれに対応した4つの矢印が表れることになる。
【0029】
次に、このアナログ計表示ページの測定値表示領域A1においてタッチスライド動作が各入力受付方向に行われた際の前記表示制御部5の動作について説明する。
【0030】
図5に示すように前記測定値表示領域A1内において左右方向へのタッチスライド動作が検出されると、前記表示制御部5は、アナログ計の数値表示範囲を変更するように構成してある。より具体的には、図5(a)に示すように前記入力方向検出部4により左方向へのタッチスライド動作が検出されると、前記表示制御部5は、アナログ計のレンジ及び目盛34ごとの単位を保ったまま、最大表示値31と最小表示値32が所定量だけ小さくなるように数値表示範囲を変更する。逆に、図5(b)に示すように前記入力方向検出部4により右方向へのタッチスライド動作が検出されると、前記表示制御部5は、アナログ計のレンジ及び目盛34ごとの単位を保ったままアナログ計の最大表示値31と最小表示値32が所定量だけ大きくなるように数値表示範囲を変更する。
【0031】
一方、図6に示すように前記測定表示領域内において上下方向へのタッチスライド動作が検出されると、前記表示制御部5は、アナログ計の中央値33の値を保ったまま前記目盛34の1目盛りの変化量を変更して表示するようにしてある。より具体的には、図6(a)に示すように上方向にタッチスライド動作が入力された場合には、前記表示制御部5はアナログ計の1目盛り当たりの変化量を小さくし、逆に図6(b)に示すようにした方向にタッチスライド動作が入力された場合には、1目盛当たりの変化量を大きくするように構成してある。
【0032】
また、図7に示すように前記情報表示領域A2に操作者がタッチすると、前記ガイド41表示は、前記タッチパネルディスプレイ3の左右端にガイド41が表示する。本実施形態では、前記入力方向検出部4には、前記情報表示領域A2において左右方向にのみ入力受付方向が設定してあるので、2つの矢印のみが前記ガイド表示部6によって表示されることになる。
【0033】
次に、このアナログ計表示ページの情報表示領域A2においてタッチスライド動作が各入力受付方向に行われた際に、前記表示制御部5の動作について説明する。
【0034】
図8に示すように、前記情報表示領域A2において左右方向へのタッチスライド動作が入力方向検出部4により検出されると、前記表示制御部5は、現在表示されているページから別のページへ切り替えて表示するようにしてある。この切り替えの際、前記表示制御部5は、現在表示しているページを画面外へと移動させつつ、別のページが画面内へと入ってくるように連続的に変化させながら表示の切り替えを行う。
【0035】
より具体的には、前記アナログ計表示ページの情報表示領域A2において左方向へのタッチスライド動作が検出された場合には、図8(a)に示すように前記表示制御部5は、前記アナログ計表示ページを画面の左側へと移動させて、アナログ計表示ページのページ左端から順に画面外にでて表示されないようにしつつ、同時に画面の右側から数値表示ページをページ左端から順に入ってくるように表示する。逆に右方向へのタッチスライド動作が前記情報表示領域A2で検出された場合には、図8(b)に示すように前記表示制御部5は、前記アナログ計表示ページを右側へと移動させて右端から順に外面外にでて表示されないようにしつつ、同時に左側から時系列表示ページのページ右端から順に入ってくるように表示する。
【0036】
次に、この時系列表示ページの測定値表示領域A1においてタッチスライド動作が各入力受付方向に行われた際の前記表示制御部5の動作について説明する。
【0037】
前記アナログ計表示ページと同様にこの時系列表示ページでも、前記タッチパネルディスプレイ3にタッチがされていない場合には、図9(a)に示すようにガイド41は表示されない。また、この時系列表示ページでも、前記測定値表示領域A1にタッチされると上下左右4方向に入力受付方向が設定してあるので、図9(b)に示すように前記ガイド表示部6は4方向にそれぞれ矢印を表示する。
【0038】
図10に示すように前記測定値表示領域A1内において左右方向へのタッチスライド動作が検出されると、前記表示制御部5は、前記アナログ計表示ページの場合と同様に時系列データのグラフの数値表示範囲を変更するように構成してある。より具体的には、図10(a)に示すように前記入力方向検出部4により左方向へのタッチスライド動作が検出されると、前記表示制御部5は表示点数を保ったまま、最新データ側へと表示範囲を変更する。逆に、図(b)に示すように前記入力方向検出部4により右方向へのタッチスライド動作が検出されると、前記表示制御部5は表示点数を保ったまま、過去データ側へと表示範囲を変更する。
【0039】
一方、図11に示すように前記測定表示領域内において上下方向へのタッチスライド動作が検出されると、前記表示制御部5は、時系列表示を行うグラフの中央値33の値を保ったまま1目盛り当たりの変化量を変更して表示するようにしてある。より具体的には、図11(a)に示すように上方向にタッチスライド動作が入力された場合には、前記表示制御部5はグラフにおけるY軸方向の1目盛り当たりの変化量を小さくし、逆に図11(b)に示すように下方向にタッチスライド動作が入力された場合には、1目盛り当たりの変化量を大きくするように構成してある。
【0040】
このように、前記アナログ計表示ページと前記時系列表示ページの双方の測定値表示領域A1におけるタッチスライド動作に対する動作は、それぞれ対応させて設定してある。すなわち、左右方向にタッチスライド動作を行った場合には、前記目盛34の1目盛り当たりの単位を変化させることなく表示区間を変更させるものであり、上下方向にタッチスライド動作を行った場合には、表示分解能を変更するように共通させて設定してある。このようにそれぞれのページの入力方向とその対応する変化を共通にしてあるので、ガイド41の表示によりタッチスライド動作の入力受付方向がより明確になり操作者が直観的に操作できるようになる。
【0041】
また、図12及び図13に示すように前記時系列表示ページ及び前記数値表示ページにおける情報表示領域A2にタッチされた場合にも、前記ガイド表示部6は、画面の左右両端にガイド41を表示し、別のページの切り替えをタッチスライド動作で行うことができることを示すようにしてある。
【0042】
このように構成された本実施形態の分析装置100によれば、表示領域をタッチした時点で前記ガイド表示部6がタッチスライド動作を入力すべき方向を示すガイド41を画像上にさらに表示するよう構成してあるので、操作者は特に説明を受けなくてもどのように操作すれば画面表示等が変化することを簡単に察することができる。従って、初めて使用する人であっても直観的に操作方法を理解することができる。
【0043】
しかも、前記ガイド41はタッチされない間は表示されないので、上述したように表示領域に複数の動作を設定しても、操作ガイド41によって画面が埋め尽くされないようにできる。
【0044】
つまり、従来であれば表示領域ごとに複数の操作を設定して多機能にしようとすると、画面構成が複雑化しデザイン性もよくないものになってしまうところ、本実施形態の分析装置100であれば、前述したような前記ガイド表示部6により生じる効果によって、多彩な操作を可能にしつつ、使いやすいさとデザイン性とを両立したものとすることができる。
【0045】
その他の実施形態について説明する。
【0046】
前記実施形態では、前記入力受付方向は上下方向又は左右方向のいずれかに設定してあったがその他の方向に入力受付方向を設定しても構わない。具体的には、斜め方向等に設定しても構わない。また、前記タッチパネルディスプレイでは、シングルタッチのものを用いていたが例えばダブルタッチの検出ができるものであっても構わない。この場合、前記タッチパネルディスプレイにおいてダブルタッチが検出された場合には、前記ガイド表示部が、同時に二つの方向への入力を促すようなガイドを表示するにしてもよい。例えば、回転や2つの入力方向が逆向きのタッチスライド動作を促すようなガイドを表示すればよい。さらに、前記ガイド表示部は、ガイドとして予め設定されている入力受付方向を矢印により示すものであったが、その他の表記によりガイド機能を果たすようにしても構わない。例えばガイドが矢印とともに操作後の動作内用等を図示又は言葉で表示するようにしても構わない。
【0047】
前記実施形態では、2つの表示領域を設定していたが、1つしか設定していない場合、あるいは更に多数の表示領域が設定してあってもよい。また、タッチスライド動作の入力距離に応じて、グラフやアナログ計の表示区間の変更量を比例させて変更してもよい。ページ切り替えの速さ等も入力距離に応じて変更してもよい。
【0048】
前記実施形態では、携帯型の分析装置を例として説明を行っているが、例えば据え置き型の分析装置において本発明を用いても構わない。
【0049】
その他、本発明の趣旨に反しない限りにおいて、様々な変形や実施形態の組み合わせを行っても構わない。
【符号の説明】
【0050】
100・・・分析装置
3 ・・・タッチパネルディスプレイ
4 ・・・入力方向検出部
5 ・・・表示制御部
6 ・・・ガイド表示部
A1 ・・・測定値表示領域
A2 ・・・情報表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各種化学測定に用いられる分析装置であって、
画像が表示されるとともに、操作者によるタッチスライド動作を検出可能なタッチパネルディスプレイと、
予め設定された複数の入力受付方向のうち、どの方向にタッチスライド動作が入力されたかを検出する入力方向検出部と、
前記タッチパネルディスプレイに前記画像を表示するものであり、前記入力方向検出部により検出されたタッチスライド動作の方向に応じて前記画像の表示態様を変更する表示制御部と、
前記タッチパネルディスプレイに操作者がタッチした場合に、前記画像上に前記入力受付方向を示すガイドをさらに表示するガイド表示部と、を備えたことを特徴とする分析装置。
【請求項2】
前記画像には複数の表示領域があり、
前記入力方向検出部は、前記表示領域ごとに入力受付方向がそれぞれ設定されており、
前記ガイド表示部は、操作者がタッチした表示領域に設定されている入力受付方向を示すガイドを表示するように構成された請求項1記載の分析装置。
【請求項3】
前記ガイド表示部が、操作者がタッチした表示領域に設定されている入力受付方向を示すガイドを、タッチされている表示領域内に表示するように構成された請求項2記載の分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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