分析装置
【課題】 複数回の分析を適切かつ効率よく行うことが可能な分析装置を提供すること。
【解決手段】 試料Sを滞留させる導入槽11と、電源部21、および試料Sに接触することにより試料Sの分析に必要な電圧を印加する接触印加部32を含む電圧印加手段2と、を備えており、電圧印加手段2は、ある分析を終えた後、次の分析を開始する前に、接触印加部32を使用済み状態から未使用状態へと更新する。
【解決手段】 試料Sを滞留させる導入槽11と、電源部21、および試料Sに接触することにより試料Sの分析に必要な電圧を印加する接触印加部32を含む電圧印加手段2と、を備えており、電圧印加手段2は、ある分析を終えた後、次の分析を開始する前に、接触印加部32を使用済み状態から未使用状態へと更新する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば電気泳動法を用いた分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料に含まれる特定成分の濃度もしくは量を分析する分析方法として、たとえば、キャピラリー電気泳動法を用いた分析方法が広く実施されている。キャピラリー電気泳動法は、断面積が比較的小である分離流路に泳動液を充填し、さらに上記分離流路の一端寄りに上記試料を導入する。上記分離流路の両端に電圧を加えると、電気泳動により上記泳動液が正極側から負極側へと移動する電気浸透流が生じる。また、上記電圧が印加されることにより、上記特定成分は、それぞれの電気泳動移動度に応じて移動しようとする。したがって、上記特定成分は、上記電気浸透流の速度ベクトルと上記電気泳動による移動の速度ベクトルとを合成した速度ベクトルにしたがって移動する。この移動によって、上記特定成分が他の成分から分離される。この分離された特定成分をたとえば光学的手法によって検出することにより、上記特定成分の量や濃度を分析することができる。
【0003】
図13は、従来の分析装置の一例を示している(たとえば、特許文献1参照)。同図に示された分析装置Xは、マイクロチップ91および電圧印加手段92を備えている。マイクロチップ91には、導入槽911、排出槽913、およびこれらを繋ぐ分離流路912が形成されている。導入槽911および分離流路912には、分析に先立って泳動液が充填される。試料容器Bには、たとえば血液などの分析対象である試料Sが貯蔵されている。試料Sは、導入ノズル93を介して導入槽911に導入される。電圧印加手段92は、電源921および2つの電極922,923を備えている。分析に際しては、電極922が導入槽911に浸漬され、電極923が排出槽913に浸漬される。2つの電極922,923間に所定の電圧を印加すると、電気泳動による特定成分の分離が開始する。分離流路912の途中部分を挟むように、発光部941および受光部942が配置されている。発光部941には、光源943からの光が供給される。受光部942は、検出部944に接続されている。検出部944によってたとえば試料Sの吸光度を測定することにより、試料Sの特定成分の濃度を測定することができる。
【0004】
しかしながら、ある分析を行うと電極922には、試料Sが付着する。また、電気泳動のために電圧を印加すると、試料Sや上記泳動液の成分が電極922に析出する。このような状態の電極922を用いて次の分析を行ったのでは、異なる試料Sが混ざり合ってしまったり、次の分析に供される試料Sに上記析出した成分が混入したりするおそれがある。このような事態を避けるには、たとえば使用者が手作業で電極922を分析のたびに交換することが強いられ、不便である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−145245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、複数回の分析を適切かつ効率よく行うことが可能な分析装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供される分析装置は、液体を滞留させる滞留槽と、電源、および上記液体に接触することにより上記液体の分析に必要な電圧を印加する接触印加部を含む電圧印加手段と、を備えており、上記電圧印加手段は、ある分析を終えた後、次の分析を開始する前に、上記接触印加部を使用済み状態から未使用状態へと更新する。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記電圧印加手段は、複数の電極を備えており、これらの電極を上記滞留槽に順次浸漬させ、上記電極のうち上記液体に浸漬させた部分を上記接触印加部として用いる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記電圧印加手段は、同心円状に配置された上記複数の電極を保持し、かつ上記同心円の中心廻りに回転自在とされた保持部をさらに備える。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保持部は、上記電源と上記各電極とを導通させるための導電部を有する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各電極は、棒状であり、かつ、その長手方向が上記保持部の回転軸と平行である。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各電極は、棒状であり、かつ、その長手方向が上記保持部の回転軸と直角である径方向に沿って配置されている。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各電極には、長手方向に貫通する貫通孔が設けられており、上記電圧印加手段は、上記貫通孔を通して上記液体を導入する導入ノズルをさらに備えている。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記導入ノズルは、上記各電極を上記滞留槽に向かって前進させる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記電圧印加手段は、上記複数の電極のうち上記接触印加部として用いられていないものを洗浄する洗浄機構をさらに備える。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記洗浄機構は、上記洗浄対象である上記電極に対して洗浄液の注入および排出を行う。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記洗浄機構は、上記洗浄対象である上記電極に対して電圧を印加する。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数の電極は、それぞれが棒状であり、
上記電圧印加手段は、上記複数の電極をそれらの長手方向に沿って直列に配置された状態で、この長手方向において摺動可能に保持する保持部をさらに備える。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保持部は、上記電源と上記各電極とを導通させる導電部を有する。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各電極には、長手方向に貫通する貫通孔が設けられており、上記電圧印加手段は、上記貫通孔を通して上記液体を導入する導入ノズルをさらに備えている。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記電圧印加手段は、棒状の電極、およびこの電極を長手方向に分割するように切断する切断手段を備えている。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記電極には、長手方向に互いに離間配置されており、かつ長手方向と直角である断面における断面積が部分的に小とされた複数のくびれ部が形成されており、上記切断手段は、上記くびれ部において上記電極を切断する。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記電圧印加手段は、帯状の電極、巻かれた状態の上記電極を収容し、かつ送り出す送出ホイール、および上記送出ホイールから送り出された上記電極を巻き取る巻取ホイールを備えており、上記電極のうち上記液体に浸漬させた部分を上記接触印加部として用いる。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記電極のうち上記送出ホイールおよび上記巻取ホイールの間に位置する部分を、上記滞留槽へと迂回させる突出バーをさらに備える。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記突出バーは、導電性材料からなり、かつ上記電源に接続されている。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記分析は、電気泳動法が用いられている。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記滞留槽には、上記分析に供される試料が導入される。
【0028】
このような構成によれば、上記分析装置による分析を行うたびに、新しい状態の上記接触印加部を用いることができる。このため、ある分析を行うことによって上記接触印加部に試料が付着したり、泳動液に含まれる成分が析出したりしても、これらが次の分析に供される泳動液や試料に混入するおそれがない。したがって、複数の試料に対する分析を適切にかつ効率よく行うことができる。
【0029】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る分析装置の一例を示す全体構成図である。
【図2】図1のII−II線に沿う要部断面図である。
【図3】導入ノズルが前進した状態を示す要部断面図である。
【図4】試料を導入する状態を示す要部断面図である。
【図5】洗浄機構を備えた電圧印加手段の変形例を示す要部断面図である。
【図6】電極の洗浄を示す要部断面図である。
【図7】電極印加手段の他の変形例を示す要部断面図である。
【図8】電極印加手段のさらに他の変形例を示す要部断面図である。
【図9】図8の変形例における電極の交換を示す要部断面図である。
【図10】電極印加手段のさらに他の変形例を示す要部断面図である。
【図11】図10の変形例において電極を切断した状態を示す要部断面図である。
【図12】電極印加手段のさらに他の変形例を示す要部断面図である。
【図13】従来の分析装置の一例を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0032】
図1は、本発明に係る分析装置の一例を示している。本実施形態の分析装置Aは、マイクロチップ1、電圧印加手段2、分析手段6、および制御部7を備えている。本実施形態においては、分析装置Aは、キャピラリー電気泳動法を用いた分析を行う。
【0033】
マイクロチップ1は、たとえばシリカからなり、導入槽11、分離流路12、および排出槽13を有する。導入槽11は、キャピラリー電気泳動法においていわゆるバッファとして機能する泳動液Lq、および分析の対象である試料Sが導入される槽であり、本発明で言う滞留槽の一例に相当する。泳動液Lqとしては、たとえば100mMりんご酸−アルギニンバッファ(pH5.0)+1.5%コンドロイチン硫酸Cナトリウムが挙げられる。試料Sは、たとえば血液である。
【0034】
分離流路12は、キャピラリー電気泳動法を用いた分析が行われる場であり、一般的に微細な流路として形成されている。分離流路12の寸法の一例を挙げると、断面形状が直径25〜100μmの円形、または辺の長さが25〜100μmの矩形であることが好ましく、長さが30mm程度であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0035】
排出槽13は、分離流路12に対してキャピラリー電気泳動法における流動下流側に位置している。排出槽13には、たとえば図示しない排出ノズルが取り付けられる。この排出ノズルは、図外の吸引ポンプによって分析が終了した試料Sおよび泳動液Lqを排出するためのものである。
【0036】
電圧印加手段2は、分離流路12を挟んで導入槽11および排出槽12からキャピラリー電気泳動法に必要な電圧を印加するためのものであり、電源部21、複数の電極3、保持部4、排出側電極22、導入ノズル23、モータ24、およびアクチュエータ25を備えている。
【0037】
電源部21は、キャピラリー電気泳動法に必要な電圧を発生するためのものであり、たとえば1.5kV程度の電圧を発生する。排出側電極22は、たとえばCuからなり、電源部21の端子に接続されており、排出槽13に浸漬される。
【0038】
複数の電極3は、導入槽11に浸漬されるものであり、たとえばCuからなる。図2に示すように、各電極3には、貫通孔31が形成されている。これにより、各電極3は、後述するように試料Sを分注するための分注ノズルとしても機能する。本実施形態においては、各電極3は、全体が略円筒形とされており、下方部分が下端に向かうほど径が小さい形状となっている。
【0039】
保持部4は、複数の電極3を保持するためのものであり、本体41、回転軸42、および導電部43を有している。本体41は、たとえば樹脂からなり肉厚の円盤形状とされている。回転軸42は、本体41の中央に取り付けられている。本実施形態においては、回転軸42は、全体がCuなどの導電材料からなり、あるいはその一部に導電部分を有しており、電源部21の端子に接続されている。図1に示すように、回転軸42の上端には、モータ24が連結されている。モータ24は、たとえばサーボモータであり、保持部4を所望の角度だけ回転させることが可能である。
【0040】
本体41には、複数の保持孔411が形成されている。本実施形態においては、保持孔411の個数は8個である。複数の保持孔411は、回転軸24を中心として同心円状に配置されている。各保持孔411は、本体41を回転軸24と平行に貫通しており、電極3を摺動可能に保持している。これにより、本実施形態においては、8本の電極3が、互いに平行な姿勢で、回転軸24を中心として同心円状に配置されている。導電部43は、たとえばCuからなり、回転軸24と接する部分、および各保持孔411の内面に露出した部分を有している。これにより、回転軸24および導電部43を介して、複数の電極3は電源部21の端子と導通している。
【0041】
導入ノズル23は、電極3を介して試料Sを導入するためのものであり、図1に示すように、ホースなどを介して試料Sが貯蔵された試料容器Bに接続されている。本実施形態においては、導入ノズル23の下方部分の外径は、電極3の貫通孔31の内径よりも若干小さい程度とされている。分析に際して試料Sとしての血液を所定濃度に希釈することが必要な場合、導入ノズル23には図示しない試料希釈手段が接続される。アクチュエータ25は、導入ノズル23を昇降させるための駆動源である。
【0042】
分析手段6は、たとえば吸光度の測定を実行するものであり、図1に示すように、発光部61、受光部62、光源部63、および検出部64によって構成されている。光源部63は、吸光度測定に用いられる光を発生するためのものであり、たとえばレーザー素子(図示略)を備える。たとえばA1cなどのヘモグロビンの濃度を分析する場合、光源部63は、波長が415nmの光を発生するが、これに限定されるものではない。発光部61は、たとえば光ファイバーを介して光源部63と接続されており、光源部63からの光を分離流路12の一部に向けて照射する。受光部62は、分離流路12からの光を受光する部位であり、たとえば光ファイバーを介して検出部64と接続されている。検出部64は、受光部62が受けた光を検出する。
【0043】
制御部7は、分析装置Aの各部の動作を制御するためのものであり、分析装置Aによる分析を実現するための一連の制御を行う。制御部7は、たとえばCPU、メモリ、入出力インターフェースなどによって構成されている。
【0044】
次に、分析装置Aによる分析を行う際の動作を以下に説明する。
【0045】
まず、図2に示すように、マイクロチップ1の導入槽11および分離流路12に、バッファとしての泳動液Lqを充填しておく。また、複数の電極3のいずれかを導入槽11の直上に位置させておく。次いで、図3に示すように、前述した制御部7からの指令によりアクチュエータ25によって導入ノズル23を導入槽11の直上に位置する電極3に向けて下降させる。すると、導入ノズル23の下方部分が、電極3の貫通孔31に侵入する。これにより、導入ノズル23と電極3とが一体化される。
【0046】
アクチュエータ25によって導入ノズル23をさらに下降させると、図4に示すように電極3の下端部分が導入槽11の泳動液Lqに浸漬する。この浸漬した部分が接触印加部32となる。次いで、図示しないポンプの送り動作により、導入ノズル23および電極3を通して所定量の試料Sを導入槽11に分注する。すなわち、電極3は、試料Sを分注する分注ノズルとしても機能する。これにより、導入槽11に滞留された試料Sに電極3の接触印加部32が浸漬された状態となる。この状態で、制御部7からの指令により、電源部21から電極3および排出側電極22を介して電圧を印加する。これにより、分離流路12において電気泳動が生じる。この電気泳動により、たとえばA1cなどのヘモグロビンが分離流路12を移動する。そして、分析手段6による吸光度測定を行うことにより、試料Sのヘモグロビン(A1c)濃度を分析することができる。
【0047】
分析を終えた後は、制御部7からの指令により、アクチュエータ25によって導入ノズル23を上昇させる。この上昇とともに、電極3を上昇させる。この上昇を実現するための機構としては、たとえば、各電極3を図4に示した状態から図2に示した状態へと押し上げる弾性力を付与するバネ(図示略)を保持部4に設けておくことが挙げられる。あるいは、電極3を上昇させるための別のアクチュエータ(図示略)を設けてもよい。そして、次の分析を実施するのに先立ち、制御部7の指令によりモータ24によって保持部4を所定角度(本実施形態においては45度)だけ回転させる。これにより、上述の分析に用いた電極3の隣に保持された電極3が導入槽11の直上に位置する。この結果、接触印加部32を使用済み状態から未使用の状態に更新する作業が完了する。接触印加部32の更新が完了したのちは、上述した分析動作を再び実施する。これらの分析と接触印加部32の更新とを繰り返すことにより、たとえば複数の異なる試料Sを対象とした分析が連続して実施される。
【0048】
次に、分析装置Aの作用について説明する。
【0049】
本実施形態によれば、分析装置Aによる分析を行うたびに、新しい状態の電極3を用いることができる。このため、ある分析を行うことによって電極3に試料Sが付着したり、泳動液Lqに含まれる成分が析出したりしても、これらが次の分析に供される泳動液Lqや試料Sに混入するおそれがない。したがって、複数の試料Sに対する分析を適切に行うことができる。また、電極3の交換は、制御部7の指令にしたがってモータ24によって保持部4を回転させることにより自動的に行う。このため、たとえば電極3を使用者が手作業で交換する場合と比べて短時間で効率よく複数の分析を行うことができる。
【0050】
複数の電極3を保持部4に同心円状に保持させることにより、保持部4を回転させれば新しい電極3を使用可能な位置に配置することが可能であり、便利である。保持部4に導電部43を設けておくことにより、複数の電極3を保持部4に保持させれば、各電極3と電源部21とを導通させることができる。
【0051】
上述した通り、電極3は分注ノズルとしての機能を果たす。これにより、電圧印加が可能な状態に電極3を位置させると、すみやかに試料Sの分注を行うことができる。これは分析時間の短縮に有利である。導入ノズル23を用いて電極3を下降させる構成は、電圧印加と分注の双方の処理を可能とする動作を一括して行うのに適している。
【0052】
図5〜図12は、分析装置Aの電圧印加手段2の変形例を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0053】
図5は、分析装置Aの電圧印加手段の一変形例を示している。本変形例においては、電圧印加手段2は、洗浄機構5をさらに備えている。洗浄機構5は、洗浄槽51および注入ノズル52を有する。洗浄槽51は、たとえばマイクロチップ1の導入槽11の直上に位置する電極3に対して回転軸42を挟んで反対側に位置する電極3の直下に配置されている。注入ノズル52は、洗浄槽51の直上に位置する電極3のさらに上方に配置されており、たとえば泳動液Lqなどの洗浄液が蓄えられた洗浄液槽(図示略)が接続されている。
【0054】
図6は、洗浄機構5を用いた洗浄動作を示している。同図に示すように、洗浄を行う際には、注入ノズル52がたとえばアクチュエータ25と同様のアクチュエータ(図示略)によって電極3に向かって下降させられる。そして、電極3を洗浄槽51に進入させる。次いで、注入ノズル52から電極3を通して洗浄液としてのたとえば泳動液Lqを洗浄槽51に注入する。また、所定量の泳動液Lqを洗浄槽51に導入した後は、電極3および注入ノズル52を通して、洗浄槽51の泳動液Lqを排出する。この注入および排出は、たとえば図示しないポンプによって行う。
【0055】
このような構成によれば、この注入および排出を繰り返すことにより、電極3に付着した試料Sや析出した成分を洗浄することができる。したがって、分析に使用した電極3を再び分析に用いることが可能であり、分析の効率をさらに高めることができる。
【0056】
本発明で言う洗浄機構としては、上述した洗浄機構5のほかに、電圧印加を利用した構成を適用することができる。たとえば、泳動液Lqまたは試料Sの成分が、複数回の分析における電圧印加によって電極3の表面に析出する場合がある。このような場合、泳動液Lqなどが満たされた洗浄槽51に電極3を進入させた状態で、分析時とは反対の極性の電圧を電極3に印加する。これにより、電極3に析出した物質を電気分解により除去することが可能である。また他の方法としては、たとえば空気中などにおいて分析時よりも顕著に高い電圧を電極3に印加する手法が適用可能である。このような構成によれば、電極3に付着した物質を分解または燃焼させることにより除去することができる。
【0057】
図7は、電圧印加手段の他の変形例を示している。本変形例においては、複数の電極3の配置が上述した電圧印加手段2と異なっている。同図に示すように、保持部4には、放射状に複数の保持孔411が形成されている。これらの保持孔に保持されることにより、複数の電極3は放射状に配置されている。本変形例においも、保持部4を所定角度だけ回転させることにより、新しい電極3を使用位置へと配置することが可能であり、適切な分析を効率よく行うことができる。
【0058】
また、本変形例においては、洗浄機構5は、洗浄ノズル53からなる。洗浄ノズル53は、制御部7の指令により、使用位置にある電極3以外のいずれかの電極3に対して、泳動液Lqなどの洗浄液を噴射するものである。このような洗浄機構5によっても、使用済みの電極3を使用可能な状態に洗浄することができる。
【0059】
図8は、電圧印加手段2のさらに他の変形例を示している。本変形例の電圧印加手段2は、保持部4の構成、および複数の電極3の保持形態が上述した電圧印加手段と異なっている。同図に示すように、保持部4は、長尺の円筒形状とされている。本体41は、円筒形状であり、その内側に導電部43が設けられている。複数の電極3は、その長手方向が保持部4の長手方向に一致する姿勢で直列に並べられた状態で、保持部4に保持されている。また、複数の電極3は、保持部4に対して摺動可能に保持されている。本変形例においては、導入ノズル23のうち保持部4の保持孔411に進入する部分が、保持部4と同じ程度の長さとされている。また、導入ノズル23は、上述したアクチュエータ25によって所定距離ずつ段階的に下降自在とされている。
【0060】
本変形例の電圧印加手段2を用いた分析においては、もっとも下位に位置する電極3の下端部分が接触印加部32として導入槽11の泳動液Lqに浸漬される。分析を終えた後は、図9に示すように保持部4を導入槽11の直上から別の位置に退避させる。そして、導入ノズル23を、所定距離だけ下降させる。これにより、もっとも下位にあった電極3が保持部4から外れる。そして、あらたにもっとも下位に位置することとなった電極3が、次の分析に用いられる。このような変形例によっても、複数の分析を適正に、かつ効率よく行うことができる。
【0061】
図10は、電圧印加手段2のさらに他の変形例を示している。本変形例の電圧印加手段2は、おもに電極3の構成が上述した電圧印加手段と異なっている。同図に示す電圧印加手段2は、1つの電極3を備えている。この電極3は、比較的長尺であり、複数の切断部33を有している。複数の切断部33は、電極3の長手方向において等ピッチをおいて離間配置されている。各切断部33は、部分的にくびれており、その周囲部分よりも断面積が小となっている。また、保持部4は、それ全体が導電部43として構成されており、電極3を保持しつつ、昇降自在とされている。また、本変形例においては、電圧印加手段2は、一対の切断刃34を備えている。一対の切断刃34は、本発明で言う切断手段の一例に相当し、複数の切断部33のうちもっとも下位に位置するものにおいて電極3を切断可能とされている。電極3の接触印加部32を導入槽11に進入させることにより、分注および電圧印加を行う点については、上述した電圧印加手段2と同様である。
【0062】
ある分析を終えた後は、図11に示すように、保持部4および電極3を導入槽11の直上から別の位置に移動させる。そして、一対の切断刃34によって切断部33において電極3を切断する。これにより、分析によって試料Sが付着したり泳動液Lqの成分が析出したりした部分を電極3から分離することができる。そして、電極3のうち新たに下端となった部分が、次の分析において接触印加部32として用いられる。このような変形例によっても、複数の分析を適正に、かつ効率よく行うことができる。
【0063】
図12は、電圧印加手段2のさらに他の変形例を示している。同図に示された電圧印加手段は、送出ホイール35、巻取ホイール36、突出バー37、および一対のローラ38を備えている。本変形例においては、電極3は、長尺帯状であり、各部が屈曲可能に構成されている。送出ホイール35は、巻かれた状態の電極3を収納しており、かつ電極3を送り出すことが可能である。巻取ホイール36は、送出ホイール35から送り出された電極3を巻き取るものであり、たとえば図示しないモータを備えている。このモータは、制御部7の指令により、電極3を所定量だけ巻き取る動作を実現する。
【0064】
突出バー37は、電極3を導入槽11へと迂回させるためのものである。具体的には、突出バー37は、送出ホイール35から巻取ホイール36へと向かう電極3の経路に対してほぼ直角な方向に突出しており、その先端が導入槽11へと向かっている。一対のローラ38は、突出バー37の両脇に設けられている。電極3は、上流側のローラ38から突出バーの先端を経て下流側のローラ38へとかけまわされている。この状態において、電極3のうち突出バー37の先端を覆っている部分が、接触印加部32として機能する。
【0065】
ある分析を終えた後は、制御部7からの指令にしたがい、巻取ホイール36に備えられた上記モータによって電極3を所定長さだけ巻き取る。これにより、電極3のうち突出バー37の先端を覆っていた部分が下流側へと移動し、突出バー37の先端は、電極3の別の部分によって覆われる。この結果、接触印加部32が使用済みの状態から未使用の状態に更新される。このような変形例によっても、複数の分析を適正に、かつ効率よく行うことができる。また、本変形例によれば、ある電極3を廃棄したり、電極3を切断する必要がなく、接触印加部32の更新をスムーズに行うことができる。
【0066】
本発明に係る分析装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る分析装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0067】
電極3は、分注ノズルとして機能するものに限定されず、電圧を印加する機能のみを果たすものであってもよい。本発明に係る分析装置は、キャピラリー電気泳動法を用いた分析を行うのに適しているが、本発明はこれに限定されず、液体の試料に電圧を印加する工程を有するさまざまな分析法を実施する分析装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
A 分析装置
B 試料容器
Lq 泳動液
S 試料
1 マイクロチップ
11 導入槽(滞留槽)
12 分離流路
13 排出槽
2 電圧印加手段
21 電源部
22 排出側電極
23 導入ノズル
24 モータ
25 アクチュエータ
3 電極
31 貫通孔
32 接触印加部
33 切断部
34 切断刃(切断手段)
35 送出ホイール
36 巻取ホイール
37 突出バー
38 ローラ
4 保持部
41 本体
411 保持孔
42 回転軸
43 導電部
5 洗浄機構
51 洗浄槽
52 注入ノズル
53 洗浄ノズル
6 分析手段
61 発光部
62 受光部
63 光源部
64 検出部
7 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえば電気泳動法を用いた分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
試料に含まれる特定成分の濃度もしくは量を分析する分析方法として、たとえば、キャピラリー電気泳動法を用いた分析方法が広く実施されている。キャピラリー電気泳動法は、断面積が比較的小である分離流路に泳動液を充填し、さらに上記分離流路の一端寄りに上記試料を導入する。上記分離流路の両端に電圧を加えると、電気泳動により上記泳動液が正極側から負極側へと移動する電気浸透流が生じる。また、上記電圧が印加されることにより、上記特定成分は、それぞれの電気泳動移動度に応じて移動しようとする。したがって、上記特定成分は、上記電気浸透流の速度ベクトルと上記電気泳動による移動の速度ベクトルとを合成した速度ベクトルにしたがって移動する。この移動によって、上記特定成分が他の成分から分離される。この分離された特定成分をたとえば光学的手法によって検出することにより、上記特定成分の量や濃度を分析することができる。
【0003】
図13は、従来の分析装置の一例を示している(たとえば、特許文献1参照)。同図に示された分析装置Xは、マイクロチップ91および電圧印加手段92を備えている。マイクロチップ91には、導入槽911、排出槽913、およびこれらを繋ぐ分離流路912が形成されている。導入槽911および分離流路912には、分析に先立って泳動液が充填される。試料容器Bには、たとえば血液などの分析対象である試料Sが貯蔵されている。試料Sは、導入ノズル93を介して導入槽911に導入される。電圧印加手段92は、電源921および2つの電極922,923を備えている。分析に際しては、電極922が導入槽911に浸漬され、電極923が排出槽913に浸漬される。2つの電極922,923間に所定の電圧を印加すると、電気泳動による特定成分の分離が開始する。分離流路912の途中部分を挟むように、発光部941および受光部942が配置されている。発光部941には、光源943からの光が供給される。受光部942は、検出部944に接続されている。検出部944によってたとえば試料Sの吸光度を測定することにより、試料Sの特定成分の濃度を測定することができる。
【0004】
しかしながら、ある分析を行うと電極922には、試料Sが付着する。また、電気泳動のために電圧を印加すると、試料Sや上記泳動液の成分が電極922に析出する。このような状態の電極922を用いて次の分析を行ったのでは、異なる試料Sが混ざり合ってしまったり、次の分析に供される試料Sに上記析出した成分が混入したりするおそれがある。このような事態を避けるには、たとえば使用者が手作業で電極922を分析のたびに交換することが強いられ、不便である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−145245号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記した事情のもとで考え出されたものであって、複数回の分析を適切かつ効率よく行うことが可能な分析装置を提供することをその課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によって提供される分析装置は、液体を滞留させる滞留槽と、電源、および上記液体に接触することにより上記液体の分析に必要な電圧を印加する接触印加部を含む電圧印加手段と、を備えており、上記電圧印加手段は、ある分析を終えた後、次の分析を開始する前に、上記接触印加部を使用済み状態から未使用状態へと更新する。
【0008】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記電圧印加手段は、複数の電極を備えており、これらの電極を上記滞留槽に順次浸漬させ、上記電極のうち上記液体に浸漬させた部分を上記接触印加部として用いる。
【0009】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記電圧印加手段は、同心円状に配置された上記複数の電極を保持し、かつ上記同心円の中心廻りに回転自在とされた保持部をさらに備える。
【0010】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保持部は、上記電源と上記各電極とを導通させるための導電部を有する。
【0011】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各電極は、棒状であり、かつ、その長手方向が上記保持部の回転軸と平行である。
【0012】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各電極は、棒状であり、かつ、その長手方向が上記保持部の回転軸と直角である径方向に沿って配置されている。
【0013】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各電極には、長手方向に貫通する貫通孔が設けられており、上記電圧印加手段は、上記貫通孔を通して上記液体を導入する導入ノズルをさらに備えている。
【0014】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記導入ノズルは、上記各電極を上記滞留槽に向かって前進させる。
【0015】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記電圧印加手段は、上記複数の電極のうち上記接触印加部として用いられていないものを洗浄する洗浄機構をさらに備える。
【0016】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記洗浄機構は、上記洗浄対象である上記電極に対して洗浄液の注入および排出を行う。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記洗浄機構は、上記洗浄対象である上記電極に対して電圧を印加する。
【0018】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記複数の電極は、それぞれが棒状であり、
上記電圧印加手段は、上記複数の電極をそれらの長手方向に沿って直列に配置された状態で、この長手方向において摺動可能に保持する保持部をさらに備える。
【0019】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記保持部は、上記電源と上記各電極とを導通させる導電部を有する。
【0020】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記各電極には、長手方向に貫通する貫通孔が設けられており、上記電圧印加手段は、上記貫通孔を通して上記液体を導入する導入ノズルをさらに備えている。
【0021】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記電圧印加手段は、棒状の電極、およびこの電極を長手方向に分割するように切断する切断手段を備えている。
【0022】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記電極には、長手方向に互いに離間配置されており、かつ長手方向と直角である断面における断面積が部分的に小とされた複数のくびれ部が形成されており、上記切断手段は、上記くびれ部において上記電極を切断する。
【0023】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記電圧印加手段は、帯状の電極、巻かれた状態の上記電極を収容し、かつ送り出す送出ホイール、および上記送出ホイールから送り出された上記電極を巻き取る巻取ホイールを備えており、上記電極のうち上記液体に浸漬させた部分を上記接触印加部として用いる。
【0024】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記電極のうち上記送出ホイールおよび上記巻取ホイールの間に位置する部分を、上記滞留槽へと迂回させる突出バーをさらに備える。
【0025】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記突出バーは、導電性材料からなり、かつ上記電源に接続されている。
【0026】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記分析は、電気泳動法が用いられている。
【0027】
本発明の好ましい実施の形態においては、上記滞留槽には、上記分析に供される試料が導入される。
【0028】
このような構成によれば、上記分析装置による分析を行うたびに、新しい状態の上記接触印加部を用いることができる。このため、ある分析を行うことによって上記接触印加部に試料が付着したり、泳動液に含まれる成分が析出したりしても、これらが次の分析に供される泳動液や試料に混入するおそれがない。したがって、複数の試料に対する分析を適切にかつ効率よく行うことができる。
【0029】
本発明のその他の特徴および利点は、添付図面を参照して以下に行う詳細な説明によって、より明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る分析装置の一例を示す全体構成図である。
【図2】図1のII−II線に沿う要部断面図である。
【図3】導入ノズルが前進した状態を示す要部断面図である。
【図4】試料を導入する状態を示す要部断面図である。
【図5】洗浄機構を備えた電圧印加手段の変形例を示す要部断面図である。
【図6】電極の洗浄を示す要部断面図である。
【図7】電極印加手段の他の変形例を示す要部断面図である。
【図8】電極印加手段のさらに他の変形例を示す要部断面図である。
【図9】図8の変形例における電極の交換を示す要部断面図である。
【図10】電極印加手段のさらに他の変形例を示す要部断面図である。
【図11】図10の変形例において電極を切断した状態を示す要部断面図である。
【図12】電極印加手段のさらに他の変形例を示す要部断面図である。
【図13】従来の分析装置の一例を示す全体構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の好ましい実施の形態につき、図面を参照して具体的に説明する。
【0032】
図1は、本発明に係る分析装置の一例を示している。本実施形態の分析装置Aは、マイクロチップ1、電圧印加手段2、分析手段6、および制御部7を備えている。本実施形態においては、分析装置Aは、キャピラリー電気泳動法を用いた分析を行う。
【0033】
マイクロチップ1は、たとえばシリカからなり、導入槽11、分離流路12、および排出槽13を有する。導入槽11は、キャピラリー電気泳動法においていわゆるバッファとして機能する泳動液Lq、および分析の対象である試料Sが導入される槽であり、本発明で言う滞留槽の一例に相当する。泳動液Lqとしては、たとえば100mMりんご酸−アルギニンバッファ(pH5.0)+1.5%コンドロイチン硫酸Cナトリウムが挙げられる。試料Sは、たとえば血液である。
【0034】
分離流路12は、キャピラリー電気泳動法を用いた分析が行われる場であり、一般的に微細な流路として形成されている。分離流路12の寸法の一例を挙げると、断面形状が直径25〜100μmの円形、または辺の長さが25〜100μmの矩形であることが好ましく、長さが30mm程度であることが好ましいが、これに限定されるものではない。
【0035】
排出槽13は、分離流路12に対してキャピラリー電気泳動法における流動下流側に位置している。排出槽13には、たとえば図示しない排出ノズルが取り付けられる。この排出ノズルは、図外の吸引ポンプによって分析が終了した試料Sおよび泳動液Lqを排出するためのものである。
【0036】
電圧印加手段2は、分離流路12を挟んで導入槽11および排出槽12からキャピラリー電気泳動法に必要な電圧を印加するためのものであり、電源部21、複数の電極3、保持部4、排出側電極22、導入ノズル23、モータ24、およびアクチュエータ25を備えている。
【0037】
電源部21は、キャピラリー電気泳動法に必要な電圧を発生するためのものであり、たとえば1.5kV程度の電圧を発生する。排出側電極22は、たとえばCuからなり、電源部21の端子に接続されており、排出槽13に浸漬される。
【0038】
複数の電極3は、導入槽11に浸漬されるものであり、たとえばCuからなる。図2に示すように、各電極3には、貫通孔31が形成されている。これにより、各電極3は、後述するように試料Sを分注するための分注ノズルとしても機能する。本実施形態においては、各電極3は、全体が略円筒形とされており、下方部分が下端に向かうほど径が小さい形状となっている。
【0039】
保持部4は、複数の電極3を保持するためのものであり、本体41、回転軸42、および導電部43を有している。本体41は、たとえば樹脂からなり肉厚の円盤形状とされている。回転軸42は、本体41の中央に取り付けられている。本実施形態においては、回転軸42は、全体がCuなどの導電材料からなり、あるいはその一部に導電部分を有しており、電源部21の端子に接続されている。図1に示すように、回転軸42の上端には、モータ24が連結されている。モータ24は、たとえばサーボモータであり、保持部4を所望の角度だけ回転させることが可能である。
【0040】
本体41には、複数の保持孔411が形成されている。本実施形態においては、保持孔411の個数は8個である。複数の保持孔411は、回転軸24を中心として同心円状に配置されている。各保持孔411は、本体41を回転軸24と平行に貫通しており、電極3を摺動可能に保持している。これにより、本実施形態においては、8本の電極3が、互いに平行な姿勢で、回転軸24を中心として同心円状に配置されている。導電部43は、たとえばCuからなり、回転軸24と接する部分、および各保持孔411の内面に露出した部分を有している。これにより、回転軸24および導電部43を介して、複数の電極3は電源部21の端子と導通している。
【0041】
導入ノズル23は、電極3を介して試料Sを導入するためのものであり、図1に示すように、ホースなどを介して試料Sが貯蔵された試料容器Bに接続されている。本実施形態においては、導入ノズル23の下方部分の外径は、電極3の貫通孔31の内径よりも若干小さい程度とされている。分析に際して試料Sとしての血液を所定濃度に希釈することが必要な場合、導入ノズル23には図示しない試料希釈手段が接続される。アクチュエータ25は、導入ノズル23を昇降させるための駆動源である。
【0042】
分析手段6は、たとえば吸光度の測定を実行するものであり、図1に示すように、発光部61、受光部62、光源部63、および検出部64によって構成されている。光源部63は、吸光度測定に用いられる光を発生するためのものであり、たとえばレーザー素子(図示略)を備える。たとえばA1cなどのヘモグロビンの濃度を分析する場合、光源部63は、波長が415nmの光を発生するが、これに限定されるものではない。発光部61は、たとえば光ファイバーを介して光源部63と接続されており、光源部63からの光を分離流路12の一部に向けて照射する。受光部62は、分離流路12からの光を受光する部位であり、たとえば光ファイバーを介して検出部64と接続されている。検出部64は、受光部62が受けた光を検出する。
【0043】
制御部7は、分析装置Aの各部の動作を制御するためのものであり、分析装置Aによる分析を実現するための一連の制御を行う。制御部7は、たとえばCPU、メモリ、入出力インターフェースなどによって構成されている。
【0044】
次に、分析装置Aによる分析を行う際の動作を以下に説明する。
【0045】
まず、図2に示すように、マイクロチップ1の導入槽11および分離流路12に、バッファとしての泳動液Lqを充填しておく。また、複数の電極3のいずれかを導入槽11の直上に位置させておく。次いで、図3に示すように、前述した制御部7からの指令によりアクチュエータ25によって導入ノズル23を導入槽11の直上に位置する電極3に向けて下降させる。すると、導入ノズル23の下方部分が、電極3の貫通孔31に侵入する。これにより、導入ノズル23と電極3とが一体化される。
【0046】
アクチュエータ25によって導入ノズル23をさらに下降させると、図4に示すように電極3の下端部分が導入槽11の泳動液Lqに浸漬する。この浸漬した部分が接触印加部32となる。次いで、図示しないポンプの送り動作により、導入ノズル23および電極3を通して所定量の試料Sを導入槽11に分注する。すなわち、電極3は、試料Sを分注する分注ノズルとしても機能する。これにより、導入槽11に滞留された試料Sに電極3の接触印加部32が浸漬された状態となる。この状態で、制御部7からの指令により、電源部21から電極3および排出側電極22を介して電圧を印加する。これにより、分離流路12において電気泳動が生じる。この電気泳動により、たとえばA1cなどのヘモグロビンが分離流路12を移動する。そして、分析手段6による吸光度測定を行うことにより、試料Sのヘモグロビン(A1c)濃度を分析することができる。
【0047】
分析を終えた後は、制御部7からの指令により、アクチュエータ25によって導入ノズル23を上昇させる。この上昇とともに、電極3を上昇させる。この上昇を実現するための機構としては、たとえば、各電極3を図4に示した状態から図2に示した状態へと押し上げる弾性力を付与するバネ(図示略)を保持部4に設けておくことが挙げられる。あるいは、電極3を上昇させるための別のアクチュエータ(図示略)を設けてもよい。そして、次の分析を実施するのに先立ち、制御部7の指令によりモータ24によって保持部4を所定角度(本実施形態においては45度)だけ回転させる。これにより、上述の分析に用いた電極3の隣に保持された電極3が導入槽11の直上に位置する。この結果、接触印加部32を使用済み状態から未使用の状態に更新する作業が完了する。接触印加部32の更新が完了したのちは、上述した分析動作を再び実施する。これらの分析と接触印加部32の更新とを繰り返すことにより、たとえば複数の異なる試料Sを対象とした分析が連続して実施される。
【0048】
次に、分析装置Aの作用について説明する。
【0049】
本実施形態によれば、分析装置Aによる分析を行うたびに、新しい状態の電極3を用いることができる。このため、ある分析を行うことによって電極3に試料Sが付着したり、泳動液Lqに含まれる成分が析出したりしても、これらが次の分析に供される泳動液Lqや試料Sに混入するおそれがない。したがって、複数の試料Sに対する分析を適切に行うことができる。また、電極3の交換は、制御部7の指令にしたがってモータ24によって保持部4を回転させることにより自動的に行う。このため、たとえば電極3を使用者が手作業で交換する場合と比べて短時間で効率よく複数の分析を行うことができる。
【0050】
複数の電極3を保持部4に同心円状に保持させることにより、保持部4を回転させれば新しい電極3を使用可能な位置に配置することが可能であり、便利である。保持部4に導電部43を設けておくことにより、複数の電極3を保持部4に保持させれば、各電極3と電源部21とを導通させることができる。
【0051】
上述した通り、電極3は分注ノズルとしての機能を果たす。これにより、電圧印加が可能な状態に電極3を位置させると、すみやかに試料Sの分注を行うことができる。これは分析時間の短縮に有利である。導入ノズル23を用いて電極3を下降させる構成は、電圧印加と分注の双方の処理を可能とする動作を一括して行うのに適している。
【0052】
図5〜図12は、分析装置Aの電圧印加手段2の変形例を示している。なお、これらの図において、上記実施形態と同一または類似の要素には、上記実施形態と同一の符号を付している。
【0053】
図5は、分析装置Aの電圧印加手段の一変形例を示している。本変形例においては、電圧印加手段2は、洗浄機構5をさらに備えている。洗浄機構5は、洗浄槽51および注入ノズル52を有する。洗浄槽51は、たとえばマイクロチップ1の導入槽11の直上に位置する電極3に対して回転軸42を挟んで反対側に位置する電極3の直下に配置されている。注入ノズル52は、洗浄槽51の直上に位置する電極3のさらに上方に配置されており、たとえば泳動液Lqなどの洗浄液が蓄えられた洗浄液槽(図示略)が接続されている。
【0054】
図6は、洗浄機構5を用いた洗浄動作を示している。同図に示すように、洗浄を行う際には、注入ノズル52がたとえばアクチュエータ25と同様のアクチュエータ(図示略)によって電極3に向かって下降させられる。そして、電極3を洗浄槽51に進入させる。次いで、注入ノズル52から電極3を通して洗浄液としてのたとえば泳動液Lqを洗浄槽51に注入する。また、所定量の泳動液Lqを洗浄槽51に導入した後は、電極3および注入ノズル52を通して、洗浄槽51の泳動液Lqを排出する。この注入および排出は、たとえば図示しないポンプによって行う。
【0055】
このような構成によれば、この注入および排出を繰り返すことにより、電極3に付着した試料Sや析出した成分を洗浄することができる。したがって、分析に使用した電極3を再び分析に用いることが可能であり、分析の効率をさらに高めることができる。
【0056】
本発明で言う洗浄機構としては、上述した洗浄機構5のほかに、電圧印加を利用した構成を適用することができる。たとえば、泳動液Lqまたは試料Sの成分が、複数回の分析における電圧印加によって電極3の表面に析出する場合がある。このような場合、泳動液Lqなどが満たされた洗浄槽51に電極3を進入させた状態で、分析時とは反対の極性の電圧を電極3に印加する。これにより、電極3に析出した物質を電気分解により除去することが可能である。また他の方法としては、たとえば空気中などにおいて分析時よりも顕著に高い電圧を電極3に印加する手法が適用可能である。このような構成によれば、電極3に付着した物質を分解または燃焼させることにより除去することができる。
【0057】
図7は、電圧印加手段の他の変形例を示している。本変形例においては、複数の電極3の配置が上述した電圧印加手段2と異なっている。同図に示すように、保持部4には、放射状に複数の保持孔411が形成されている。これらの保持孔に保持されることにより、複数の電極3は放射状に配置されている。本変形例においも、保持部4を所定角度だけ回転させることにより、新しい電極3を使用位置へと配置することが可能であり、適切な分析を効率よく行うことができる。
【0058】
また、本変形例においては、洗浄機構5は、洗浄ノズル53からなる。洗浄ノズル53は、制御部7の指令により、使用位置にある電極3以外のいずれかの電極3に対して、泳動液Lqなどの洗浄液を噴射するものである。このような洗浄機構5によっても、使用済みの電極3を使用可能な状態に洗浄することができる。
【0059】
図8は、電圧印加手段2のさらに他の変形例を示している。本変形例の電圧印加手段2は、保持部4の構成、および複数の電極3の保持形態が上述した電圧印加手段と異なっている。同図に示すように、保持部4は、長尺の円筒形状とされている。本体41は、円筒形状であり、その内側に導電部43が設けられている。複数の電極3は、その長手方向が保持部4の長手方向に一致する姿勢で直列に並べられた状態で、保持部4に保持されている。また、複数の電極3は、保持部4に対して摺動可能に保持されている。本変形例においては、導入ノズル23のうち保持部4の保持孔411に進入する部分が、保持部4と同じ程度の長さとされている。また、導入ノズル23は、上述したアクチュエータ25によって所定距離ずつ段階的に下降自在とされている。
【0060】
本変形例の電圧印加手段2を用いた分析においては、もっとも下位に位置する電極3の下端部分が接触印加部32として導入槽11の泳動液Lqに浸漬される。分析を終えた後は、図9に示すように保持部4を導入槽11の直上から別の位置に退避させる。そして、導入ノズル23を、所定距離だけ下降させる。これにより、もっとも下位にあった電極3が保持部4から外れる。そして、あらたにもっとも下位に位置することとなった電極3が、次の分析に用いられる。このような変形例によっても、複数の分析を適正に、かつ効率よく行うことができる。
【0061】
図10は、電圧印加手段2のさらに他の変形例を示している。本変形例の電圧印加手段2は、おもに電極3の構成が上述した電圧印加手段と異なっている。同図に示す電圧印加手段2は、1つの電極3を備えている。この電極3は、比較的長尺であり、複数の切断部33を有している。複数の切断部33は、電極3の長手方向において等ピッチをおいて離間配置されている。各切断部33は、部分的にくびれており、その周囲部分よりも断面積が小となっている。また、保持部4は、それ全体が導電部43として構成されており、電極3を保持しつつ、昇降自在とされている。また、本変形例においては、電圧印加手段2は、一対の切断刃34を備えている。一対の切断刃34は、本発明で言う切断手段の一例に相当し、複数の切断部33のうちもっとも下位に位置するものにおいて電極3を切断可能とされている。電極3の接触印加部32を導入槽11に進入させることにより、分注および電圧印加を行う点については、上述した電圧印加手段2と同様である。
【0062】
ある分析を終えた後は、図11に示すように、保持部4および電極3を導入槽11の直上から別の位置に移動させる。そして、一対の切断刃34によって切断部33において電極3を切断する。これにより、分析によって試料Sが付着したり泳動液Lqの成分が析出したりした部分を電極3から分離することができる。そして、電極3のうち新たに下端となった部分が、次の分析において接触印加部32として用いられる。このような変形例によっても、複数の分析を適正に、かつ効率よく行うことができる。
【0063】
図12は、電圧印加手段2のさらに他の変形例を示している。同図に示された電圧印加手段は、送出ホイール35、巻取ホイール36、突出バー37、および一対のローラ38を備えている。本変形例においては、電極3は、長尺帯状であり、各部が屈曲可能に構成されている。送出ホイール35は、巻かれた状態の電極3を収納しており、かつ電極3を送り出すことが可能である。巻取ホイール36は、送出ホイール35から送り出された電極3を巻き取るものであり、たとえば図示しないモータを備えている。このモータは、制御部7の指令により、電極3を所定量だけ巻き取る動作を実現する。
【0064】
突出バー37は、電極3を導入槽11へと迂回させるためのものである。具体的には、突出バー37は、送出ホイール35から巻取ホイール36へと向かう電極3の経路に対してほぼ直角な方向に突出しており、その先端が導入槽11へと向かっている。一対のローラ38は、突出バー37の両脇に設けられている。電極3は、上流側のローラ38から突出バーの先端を経て下流側のローラ38へとかけまわされている。この状態において、電極3のうち突出バー37の先端を覆っている部分が、接触印加部32として機能する。
【0065】
ある分析を終えた後は、制御部7からの指令にしたがい、巻取ホイール36に備えられた上記モータによって電極3を所定長さだけ巻き取る。これにより、電極3のうち突出バー37の先端を覆っていた部分が下流側へと移動し、突出バー37の先端は、電極3の別の部分によって覆われる。この結果、接触印加部32が使用済みの状態から未使用の状態に更新される。このような変形例によっても、複数の分析を適正に、かつ効率よく行うことができる。また、本変形例によれば、ある電極3を廃棄したり、電極3を切断する必要がなく、接触印加部32の更新をスムーズに行うことができる。
【0066】
本発明に係る分析装置は、上述した実施形態に限定されるものではない。本発明に係る分析装置の各部の具体的な構成は、種々に設計変更自在である。
【0067】
電極3は、分注ノズルとして機能するものに限定されず、電圧を印加する機能のみを果たすものであってもよい。本発明に係る分析装置は、キャピラリー電気泳動法を用いた分析を行うのに適しているが、本発明はこれに限定されず、液体の試料に電圧を印加する工程を有するさまざまな分析法を実施する分析装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0068】
A 分析装置
B 試料容器
Lq 泳動液
S 試料
1 マイクロチップ
11 導入槽(滞留槽)
12 分離流路
13 排出槽
2 電圧印加手段
21 電源部
22 排出側電極
23 導入ノズル
24 モータ
25 アクチュエータ
3 電極
31 貫通孔
32 接触印加部
33 切断部
34 切断刃(切断手段)
35 送出ホイール
36 巻取ホイール
37 突出バー
38 ローラ
4 保持部
41 本体
411 保持孔
42 回転軸
43 導電部
5 洗浄機構
51 洗浄槽
52 注入ノズル
53 洗浄ノズル
6 分析手段
61 発光部
62 受光部
63 光源部
64 検出部
7 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を滞留させる滞留槽と、
電源、および上記液体に接触することにより上記液体の分析に必要な電圧を印加する接触印加部を含む電圧印加手段と、
を備えており、
上記電圧印加手段は、ある分析を終えた後、次の分析を開始する前に、上記接触印加部を使用済み状態から未使用状態へと更新する、分析装置。
【請求項2】
上記電圧印加手段は、複数の電極を備えており、
これらの電極を上記滞留槽に順次浸漬させ、上記電極のうち上記液体に浸漬させた部分を上記接触印加部として用いる、請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
上記電圧印加手段は、同心円状に配置された上記複数の電極を保持し、かつ上記同心円の中心廻りに回転自在とされた保持部をさらに備える、請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
上記保持部は、上記電源と上記各電極とを導通させるための導電部を有する、請求項3に記載の分析装置。
【請求項5】
上記各電極は、棒状であり、かつ、その長手方向が上記保持部の回転軸と平行である、請求項3または4に記載の分析装置。
【請求項6】
上記各電極は、棒状であり、かつ、その長手方向が上記保持部の回転軸と直角である径方向に沿って配置されている、請求項3または4に記載の分析装置。
【請求項7】
上記各電極には、長手方向に貫通する貫通孔が設けられており、
上記電圧印加手段は、上記貫通孔を通して上記液体を導入する導入ノズルをさらに備えている、請求項5または6に記載の分析装置。
【請求項8】
上記導入ノズルは、上記各電極を上記滞留槽に向かって前進させる、請求項7に記載の分析装置。
【請求項9】
上記電圧印加手段は、上記複数の電極のうち上記接触印加部として用いられていないものを洗浄する洗浄機構をさらに備える、請求項7または8に記載の分析装置。
【請求項10】
上記洗浄機構は、上記洗浄対象である上記電極に対して洗浄液の注入および排出を行う、請求項9に記載の分析装置。
【請求項11】
上記洗浄機構は、上記洗浄対象である上記電極に対して電圧を印加する、請求項9に記載の分析装置。
【請求項12】
上記複数の電極は、それぞれが棒状であり、
上記電圧印加手段は、上記複数の電極をそれらの長手方向に沿って直列に配置された状態で、この長手方向において摺動可能に保持する保持部をさらに備える、請求項2に記載の分析装置。
【請求項13】
上記保持部は、上記電源と上記各電極とを導通させる導電部を有する、請求項12に記載の分析装置。
【請求項14】
上記各電極には、長手方向に貫通する貫通孔が設けられており、
上記電圧印加手段は、上記貫通孔を通して上記液体を導入する導入ノズルをさらに備えている、請求項13に記載の分析装置。
【請求項15】
上記電圧印加手段は、棒状の電極、およびこの電極を長手方向に分割するように切断する切断手段を備えている、請求項1に記載の分析装置。
【請求項16】
上記電極には、長手方向に互いに離間配置されており、かつ長手方向と直角である断面における断面積が部分的に小とされた複数のくびれ部が形成されており、
上記切断手段は、上記くびれ部において上記電極を切断する、請求項15に記載の分析装置。
【請求項17】
上記電圧印加手段は、帯状の電極、巻かれた状態の上記電極を収容し、かつ送り出す送出ホイール、および上記送出ホイールから送り出された上記電極を巻き取る巻取ホイールを備えており、
上記電極のうち上記液体に浸漬させた部分を上記接触印加部として用いる、請求項1に記載の分析装置。
【請求項18】
上記電極のうち上記送出ホイールおよび上記巻取ホイールの間に位置する部分を、上記滞留槽へと迂回させる突出バーをさらに備える、請求項17に記載の分析装置。
【請求項19】
上記突出バーは、導電性材料からなり、かつ上記電源に接続されている、請求項18に記載の分析装置。
【請求項20】
上記分析は、電気泳動法が用いられている、請求項1ないし19のいずれかに記載の分析装置。
【請求項21】
上記滞留槽には、上記分析に供される試料が導入される、請求項20に記載の分析装置。
【請求項1】
液体を滞留させる滞留槽と、
電源、および上記液体に接触することにより上記液体の分析に必要な電圧を印加する接触印加部を含む電圧印加手段と、
を備えており、
上記電圧印加手段は、ある分析を終えた後、次の分析を開始する前に、上記接触印加部を使用済み状態から未使用状態へと更新する、分析装置。
【請求項2】
上記電圧印加手段は、複数の電極を備えており、
これらの電極を上記滞留槽に順次浸漬させ、上記電極のうち上記液体に浸漬させた部分を上記接触印加部として用いる、請求項1に記載の分析装置。
【請求項3】
上記電圧印加手段は、同心円状に配置された上記複数の電極を保持し、かつ上記同心円の中心廻りに回転自在とされた保持部をさらに備える、請求項2に記載の分析装置。
【請求項4】
上記保持部は、上記電源と上記各電極とを導通させるための導電部を有する、請求項3に記載の分析装置。
【請求項5】
上記各電極は、棒状であり、かつ、その長手方向が上記保持部の回転軸と平行である、請求項3または4に記載の分析装置。
【請求項6】
上記各電極は、棒状であり、かつ、その長手方向が上記保持部の回転軸と直角である径方向に沿って配置されている、請求項3または4に記載の分析装置。
【請求項7】
上記各電極には、長手方向に貫通する貫通孔が設けられており、
上記電圧印加手段は、上記貫通孔を通して上記液体を導入する導入ノズルをさらに備えている、請求項5または6に記載の分析装置。
【請求項8】
上記導入ノズルは、上記各電極を上記滞留槽に向かって前進させる、請求項7に記載の分析装置。
【請求項9】
上記電圧印加手段は、上記複数の電極のうち上記接触印加部として用いられていないものを洗浄する洗浄機構をさらに備える、請求項7または8に記載の分析装置。
【請求項10】
上記洗浄機構は、上記洗浄対象である上記電極に対して洗浄液の注入および排出を行う、請求項9に記載の分析装置。
【請求項11】
上記洗浄機構は、上記洗浄対象である上記電極に対して電圧を印加する、請求項9に記載の分析装置。
【請求項12】
上記複数の電極は、それぞれが棒状であり、
上記電圧印加手段は、上記複数の電極をそれらの長手方向に沿って直列に配置された状態で、この長手方向において摺動可能に保持する保持部をさらに備える、請求項2に記載の分析装置。
【請求項13】
上記保持部は、上記電源と上記各電極とを導通させる導電部を有する、請求項12に記載の分析装置。
【請求項14】
上記各電極には、長手方向に貫通する貫通孔が設けられており、
上記電圧印加手段は、上記貫通孔を通して上記液体を導入する導入ノズルをさらに備えている、請求項13に記載の分析装置。
【請求項15】
上記電圧印加手段は、棒状の電極、およびこの電極を長手方向に分割するように切断する切断手段を備えている、請求項1に記載の分析装置。
【請求項16】
上記電極には、長手方向に互いに離間配置されており、かつ長手方向と直角である断面における断面積が部分的に小とされた複数のくびれ部が形成されており、
上記切断手段は、上記くびれ部において上記電極を切断する、請求項15に記載の分析装置。
【請求項17】
上記電圧印加手段は、帯状の電極、巻かれた状態の上記電極を収容し、かつ送り出す送出ホイール、および上記送出ホイールから送り出された上記電極を巻き取る巻取ホイールを備えており、
上記電極のうち上記液体に浸漬させた部分を上記接触印加部として用いる、請求項1に記載の分析装置。
【請求項18】
上記電極のうち上記送出ホイールおよび上記巻取ホイールの間に位置する部分を、上記滞留槽へと迂回させる突出バーをさらに備える、請求項17に記載の分析装置。
【請求項19】
上記突出バーは、導電性材料からなり、かつ上記電源に接続されている、請求項18に記載の分析装置。
【請求項20】
上記分析は、電気泳動法が用いられている、請求項1ないし19のいずれかに記載の分析装置。
【請求項21】
上記滞留槽には、上記分析に供される試料が導入される、請求項20に記載の分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−32350(P2012−32350A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−174133(P2010−174133)
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年8月3日(2010.8.3)
【出願人】(000141897)アークレイ株式会社 (288)
【Fターム(参考)】
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