分析装置
【課題】試料識別標記や特異元素で構成されたマスクや試料ホルダを要せず、試料を試料ホルダに搬送する前に試料ホルダを短時間で自動識別する分析装置を提供する。
【解決手段】本発明の分析装置は、カセット21の種類を識別するカセット部20と、試料Sが挿入される挿入口83、および、試料が載置される輪状の台座82を有する試料ホルダ8と、カセット21から試料ホルダ8へ試料Sを搬送する搬送手段23と、試料ホルダの挿入口の径方向端84または輪状の台座の内径方向端85を検出して、載置されるべき試料の直径に対応した試料ホルダの種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する試料ホルダ識別手段35と、カセット識別信号および試料ホルダ識別信号に基づいて、カセット21に収納されるべき試料の直径と試料ホルダ8の台座に載置されるべき試料の直径とが合致しているか、否かを判定する判定手段40とを備える。
【解決手段】本発明の分析装置は、カセット21の種類を識別するカセット部20と、試料Sが挿入される挿入口83、および、試料が載置される輪状の台座82を有する試料ホルダ8と、カセット21から試料ホルダ8へ試料Sを搬送する搬送手段23と、試料ホルダの挿入口の径方向端84または輪状の台座の内径方向端85を検出して、載置されるべき試料の直径に対応した試料ホルダの種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する試料ホルダ識別手段35と、カセット識別信号および試料ホルダ識別信号に基づいて、カセット21に収納されるべき試料の直径と試料ホルダ8の台座に載置されるべき試料の直径とが合致しているか、否かを判定する判定手段40とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハや磁気ディスクなどの円板状の試料を分析する分析装置において、特に試料を保持する試料ホルダを識別する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、X線分析装置などの分析装置において、様々なサイズ、形状の試料を測定するために、試料タイプごとに試料ホルダを用いている。試料タイプに適合しない試料ホルダを用いると、試料や装置を汚染させたり、装置の故障を誘発したりするなどの問題があった。そこで、試料が収納された円筒状の試料容器側面に対向させて読取ヘッドを配置し、試料容器側面に試料識別標記、分析条件指定標記などの表示体を添付し、読取ヘッドの読取結果によって分析装置を制御する蛍光X線分析装置がある(特許文献1)。
【0003】
また、試料ホルダに試料を保持させ、この試料の上部に、そのサイズに応じた孔径をもつマスクを選択して取付け、このマスクに設けた孔から試料の測定面を露出させて測定するX線分析装置において、マスクの少なくとも表面を、試料中の含量が微量またはゼロであり、かつ、マスク径の大きさに応じて異なる種類の特異元素からなる材料により形成して、この特異元素からの2次X線の強度を測定することによりマスク径を判別するマスク径の判別方法がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭54−29828号公報
【特許文献2】特開平8−184573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の蛍光X線分析装置では、試料容器に試料が収納され、試料識別標記、分析条件指定標記などの表示体が添付されており、試料を収納する前に試料容器を識別することができず、試料識別標記、分析条件指定標記などの表示体を試料容器ごとに添付しなければならない。
【0006】
特許文献2に記載のマスク径の判別方法では、試料中の含量が微量またはゼロであり、マスク径の大きさに応じて異なる種類の特異元素からなる材料によりマスクを形成して、1次X線を照射して、この特異元素からの2次X線の強度を測定することによりマスク径を判別している。したがって、特異元素で構成されたマスクが必要であり、さらに、試料ホルダを1次X線が照射される測定位置に搬送して判別するので、余分な時間を要する。
【0007】
そこで、本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、試料識別標記などの表示体や特異元素で構成されたマスクや試料ホルダなどが必要なく、試料を試料ホルダに搬送する前に試料ホルダを短時間で自動識別することができるX線分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の第1構成の分析装置は、円板状の試料を分析する分析装置であって、試料を収納するカセット、および、前記カセットの種類を識別して収納されるべき試料の直径に対応したカセット識別信号を発信するカセット識別手段を有するカセット部と、試料の直径に対応した直径を有して上方から試料が挿入される挿入口、および、試料が載置される輪状の台座を有する試料ホルダと、前記カセットから前記試料ホルダへ試料を搬送する搬送手段と、前記試料ホルダが載置される試料ステージと、前記試料ホルダの挿入口の径方向端または前記輪状の台座の内径方向端を検出して、載置されるべき試料の直径に対応した試料ホルダの種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する試料ホルダ識別手段と、前記カセット識別手段から発信されたカセット識別信号および前記試料ホルダ識別手段から発信された試料ホルダ識別信号に基づいて、前記カセットに収納されるべき試料の直径と前記試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致しているか、否かを判定する判定手段と、を備える。
【0009】
分析装置は、さらに、前記判定手段が前記カセットに収納されるべき試料の直径と前記試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致していると判定すると、前記搬送手段が前記カセットから、前記試料ステージに載置された前記試料ホルダに試料を搬送する。
【0010】
本発明の第1構成の分析装置によれば、試料ホルダの挿入口の径方向端または前記輪状の台座の内径方向端を検出して試料ホルダを自動識別し、カセットに収納されるべき試料の直径と試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致しているか、否かを自動判定することができるので、試料識別標記などの表示体や特異元素で構成されたマスクや試料ホルダなどが必要なく、試料を試料ホルダに搬送する前に試料ホルダを短時間で自動識別することができる。
【0011】
本発明の第2構成の分析装置は、円板状の試料を分析する分析装置であって、試料を収納するカセット、および、前記カセットの種類を識別して収納されるべき試料の直径に対応したカセット識別信号を発信するカセット識別手段を有するカセット部と、試料の直径に対応した直径を有して上方から試料が挿入される挿入口、および、試料が載置される円板状の台座を有する試料ホルダと、前記カセットから前記試料ホルダへ試料を搬送する搬送手段と、前記試料ホルダが載置される試料ステージと、前記試料ホルダの挿入口の径方向端を検出して、載置されるべき試料の直径に対応した試料ホルダの種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する試料ホルダ識別手段と、前記カセット識別手段から発信されたカセット識別信号および前記試料ホルダ識別手段から発信された試料ホルダ識別信号に基づいて、前記カセットに収納されるべき試料の直径と前記試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致しているか、否かを判定する判定手段と、を備え、前記判定手段が前記カセットに収納されるべき試料の直径と前記試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致していると判定すると、前記搬送手段が前記カセットから、前記試料ステージに載置された前記試料ホルダに試料を搬送する。
【0012】
本発明の第2構成の分析装置によれば、試料ホルダの挿入口の径方向端を検出して試料ホルダを自動識別し、カセットに収納されるべき試料の直径と試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致しているか、否かを自動判定することができるので、本発明の第1構成の分析装置と同様の効果を奏することができる。
【0013】
本発明の第2構成の分析装置は、前記試料ホルダが円板状の台座に円形の凹入口を有し、試料ホルダ識別手段が、前記試料ホルダの挿入口の径方向端または前記凹入口の径方向端を検出して、載置されるべき試料の直径に対応した試料ホルダの種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信するのが好ましい。この場合にも、本発明の第1構成の分析装置と同様の効果を奏することができる。
【0014】
本発明の第1および第2構成の分析装置は、前記試料ホルダ交換時に開閉される試料ホルダ交換扉であって、閉鎖状態において前記試料ホルダ識別信号を保持し、開放状態において前記試料ホルダ識別信号を無効にする試料ホルダ交換扉を備えるのが好ましい。この場合には、試料ホルダ交換扉が閉鎖状態から開放状態にされると、試料ホルダが交換されたか、否かが不明となるので、試料ホルダ識別信号を無効にし、再度、試料ホルダ識別を行うことによって試料ホルダ識別を確実にすることができる。
【0015】
本発明の第1および第2構成の分析装置は、前記試料ホルダ交換扉が閉鎖されたときに、前記試料ホルダ識別手段が前記試料ホルダの種類を識別して試料ホルダ識別信号を発信するのが好ましい。この場合には、試料ホルダ交換扉が閉鎖された状態で試料ホルダの種類を識別するので、試料ステージの移動などによる動作時の安全を確保することができる。
【0016】
本発明の第1および第2構成の分析装置は、前記試料ホルダ交換扉が、ロック機構を解除するロック解除スイッチによりロックが解除され、測定者によって開放状態にされ、保持している前記試料ホルダ識別信号を無効にし、測定者によって閉鎖され、前記ロック機構によりロックされ、前記試料ホルダ識別手段によって発信された試料ホルダ識別信号を保持する、という手順によって作動するのが好ましい。この場合には、試料ホルダ交換扉
が開放状態から再度、ロックされると試料ホルダ識別の種類を識別して試料ホルダ識別信号を保持するという手順によって作動されるので、試料ホルダ識別を確実にすることができるとともに試料ステージの移動などによる動作時の安全をより確保することができる。
【0017】
本発明の第1および第2構成の分析装置は、前記試料ホルダ識別手段が、前記挿入口の径方向端、前記輪状の台座の内径方向端および前記凹入口の径方向端のうち少なくとも1つを検出する非接触型検出器を有し、前記非接触型検出器が前記試料ステージに載置された前記試料ホルダ内の試料の有無を検出し、前記非接触型センサが試料有無信号を発信するのが好ましい。この場合には、試料ホルダ内の試料有無を検出できるので、試料を試料ホルダに載置した状態で試料ホルダの識別動作の開始を防止することができ、試料ホルダ識別を確実にすることができる。
【0018】
本発明の第1および第2構成の分析装置は、測定者が前記試料ステージに載置された前記試料ホルダに試料を載置し、試料載置位置から測定位置に前記試料ステージを移動させて測定する手動投入モードを備えるのが好ましい。この場合には、カセットに収納されている以外の試料やカセットに収納できない試料を手動投入して測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態のX線分析装置の概略図である。
【図2】同装置の本体部外観の概略図である。
【図3A】同装置の200mm用試料ホルダの平面図である。
【図3B】図3AのIIIB−IIIB断面図である。
【図4A】同装置の150mm用試料ホルダの平面図である。
【図4B】同装置の100mm用試料ホルダの平面図である。
【図5A】同装置の基準位置における試料ホルダを示す図である。
【図5B】同装置の遮光位置における試料ホルダを示す図である。
【図6A】同装置の装置動作フローを示す第1図である。
【図6B】同装置の装置動作フローを示す第2図である。
【図7】同装置の表示手段に表示された試料ホルダ識別時の同装置の構成を示す図である。
【図8】同装置の試料ホルダ識別のフローを示す図である。
【図9A】同装置の基準位置における試料ホルダを示す図である。
【図9B】同装置の台座の内径方向端における試料ホルダを示す図である。
【図9C】同装置の挿入口の径方向端における試料ホルダを示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態のX線分析装置の概略図である。
【図11A】同装置の200mm用試料ホルダの平面図である。
【図11B】図11AのXIB−XIB断面図である。
【図12A】同装置の基準位置における試料ホルダを示す図である。
【図12B】同装置の挿入口の径方向端における試料ホルダを示す図である。
【図13A】本発明の第3実施形態のX線分析装置の200mm用試料ホルダの平面図である。
【図13B】図13AのXIIIB−XIIIB断面図である。
【図14A】同装置の基準位置における試料ホルダを示す図である。
【図14B】同装置の円板状の台座の凹入口の径方向端における試料ホルダを示す図である。
【図14C】同装置の挿入口の径方向端における試料ホルダを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1実施形態のX線分析装置などの分析装置について説明する。例えば、円板状の試料を分析する蛍光X線分析装置であるX線分析装置の構成について、図面にしたがって説明する。図1に示すように、このX線分析装置は、ウエーハ、磁気ディスクなどの円板状の試料Sを収納するカセット21、および、カセット21の種類を識別して収納されるべき試料Sの直径に対応したカセット識別信号を発信するカセット識別手段22を有するカセット部20と、蛍光X線分析装置の本体部100と、カセット21から蛍光X線分析装置の本体部100へ試料Sを搬送するロボットなどの搬送手段23とで構成されている。
【0021】
試料Sの収納には、試料Sの直径100、125、150、200mmなどのそれぞれに適合したカセット21が用いられ、カセット識別手段22はカセット21を配置する配置部と、この配置部においてカセット21の種類に対応した位置に設けられた検出部、例えば透過型光センサ部(図示なし)とを有し、カセット21の種類を識別する。カセット21がカセット識別手段22に載置されると、カセット識別手段22がカセット21の種類を識別してカセット21に収納されるべき試料Sの直径に対応したカセット識別信号を発信し、その識別信号を保持する。カセット21の識別に用いられる検出部は透過型光センサに限らず、反射型光センサ、静電容量センサなどの非接触型センサでもマイクロスイッチなどの接触型センサでもよい。
【0022】
図2の本体部100の外観図に示すように、本体部100は、搬送手段23(図1)によってカセット21(図1)から搬送された試料S(図1)を投入して試料ホルダ8(図1)に載置する試料投入部101と、試料ホルダ8(図1)に載置された試料S(図1)を分析する分析室105と、試料ホルダ8(図1)交換時に開閉される試料ホルダ交換扉106とを備える。試料投入部101は上方から当該試料投入部101を開閉するリッド102を有し、試料ホルダ交換扉106は閉鎖状態ではロック機構107(図1)によってロックされており、ロック解除スイッチ108によって解除される。
【0023】
図1に示すように、本体部100は、試料Sの直径に対応した直径を有して上方から試料Sが挿入される挿入口83、および、試料Sが載置される輪状の台座82を有する試料ホルダ(図3A、3B)と、試料ホルダ8が載置される試料ステージ25と、試料ステージ25を試料ホルダの台座の孔81の径方向に移動させる移動手段26と、試料ホルダの輪状の台座82の内径方向端85を検出して、載置されるべき試料Sの直径に対応した試料ホルダ8の種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する試料ホルダ識別手段35とを備える。試料ホルダ識別手段35は透過型光センサ30を有する。透過型光センサ30は、試料ホルダの台座の孔81の軸方向に光線を放射する光源31と、台座の孔81を通過した光線を検出する光検出器32とを有し、光検出器32の受光の有無を示す光有無信号を発信する。透過型光センサ30の光源31は、例えばリッド102の上方の装置筐体に取り付けられ、光検出器32は光源31と対向する位置であって試料ステージ25の下方に取り付けられている。なお、本発明の試料ホルダ8とは、個々の試料Sに付随するものではなく、試料Sを載置すべく装置に付随するものであり、試料Sのサイズに応じて交換される。また、試料ホルダの台座の孔81の径方向への移動とは、例えば上面視での台座の孔81のX−Y座標のX方向への移動をいう。
【0024】
図3Aは試料直径200mm用の試料ホルダ8の平面図、図3Bは図3AのIIIB−IIIB断面図を示している。図3A、3Bに示すように、試料ホルダ8は試料Sが挿入される挿入口83、挿入口83の径方向端84、試料Sが載置される輪状の台座82、台座の孔81、孔の径方向端である台座の内径方向端85、および環状縁を有する。図4Aは試料直径150mm用、図4Bは試料直径100mm用の試料ホルダ8の平面図を示している。これらの試料ホルダ8は200mm用の試料ホルダと試料ホルダ挿入口83の径および台座の孔81の径が異なり、材料などは同じである。
【0025】
図1に示すように、分析室105は、試料Sに向けて1次X線2を照射するX線管などのX線源1と、1次X線2の照射によって試料Sから発生する2次X線4を、たとえばLiF分光結晶などの分光素子によって分光し、その2次X線4の強度を検出する検出器を有する検出手段7とを備えている。試料Sの分析時には、移動手段26によって試料ステージ25が試料投入部101から分析室105に移動されて、試料ホルダ8に載置された試料Sに1次X線2が照射される。本実施形態の蛍光X線分析装置は下面照射多元素同時型の波長分散蛍光X線分析装置であり、検出手段7は測定元素毎に設けられた固定型のゴニオメータである。
【0026】
本体部100は、さらに、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ8を載置した試料ステージ25を、透過型光センサ30が光有信号を発信する基準位置Oから光無信号を発信する位置まで移動手段26によって台座の孔81の径方向に移動させ、基準位置Oから移動した移動距離Lに応じて試料ホルダ8の種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する試料ホルダ識別手段35と、カセット識別手段22から発信されたカセット識別信号および試料ホルダ識別手段35から発信された試料ホルダ識別信号に基づいて、カセット21に収納されるべき試料の直径と試料ホルダ8の台座に載置されるべき試料の直径とが合致しているか、否かを判定する判定手段40と、試料ホルダ交換扉106の開閉状態、リッド102の開閉状態、カセット識別手段22によって識別されたカセット21の種類、試料ホルダ識別手段35によって識別された試料ホルダ8の種類、判定手段40によって判定された結果および装置の動作状態の構成図を表示する表示手段60と、リッド102、搬送手段23および移動手段26を制御する制御手段50とを備える。
【0027】
図5Aに示すように、例えば、初期状態の試料ステージ25の分析室側の端面位置を移動距離Lの測長のための基準位置Oとする。試料ホルダ識別手段35は、基準位置Oから試料ステージ25を台座の孔81の径方向に、例えば、図5Aに示されているように光源31から放射される光線33が台座の孔81の中心を通過する位置から、図5Bに示されているように台座82によって光線33が遮光される位置Aまで移動させ、光線33を光検出器32が受光できなくなると、試料ステージ25の基準位置Oから遮光位置Aまでの移動距離Lに応じて試料ホルダ8の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信する。
【0028】
試料ホルダ識別手段35から発信される試料ホルダ識別信号は、試料ホルダ交換扉106の閉鎖状態においては保持されるが、試料ホルダ交換扉106がロック解除スイッチ107によってロック解除され、開放状態にされると無効にされる。
【0029】
次に、第1実施形態のX線分析装置の動作について図6A、6Bに示す装置動作フローに基づいて説明する。図6AのステップS1では、装置の主電源スイッチをオンにして動作を開始する。次に、ステップC1では、測定者は、例えば直径200mmのウエーハの試料Sを試料直径に適合するカセット21に収納して、そのカセット21をカセット識別手段22の配置部へ載置する。次に、ステップC2では、カセット21の種類に対応した位置に設けられた、カセット識別手段22の検出部がカセットの種類を識別する。次に、ステップC3では、カセット識別手段22が直径200mmの試料Sに対応したカセット識別信号を判定手段40に発信し、その識別信号を保持する。カセット21の種類が識別されると、表示手段60に表示された図7の装置の構成図に示すように、画面の左上の太線表示された矩形内(E−1)に、「200mm」と表示され、試料直径200mm用のカセット21の種類が識別されたことが示される。
【0030】
次に、図6BのステップH1では、測定者が試料直径200mm用の試料ホルダ8を試料投入部101の試料ステージ25に配置するために、試料ホルダ交換扉106のロック解除スイッチ108を押す。次に、ステップH2では、リッド102が制御手段50によって制御されて上方に開く。次に、ステップH3では、試料ホルダ交換扉106のロックが解除され、試料ホルダ交換扉106の開放が可能になる。次に、ステップH4では、測定者によって試料ホルダ交換扉106が開放される。次に、ステップH5では、保持されていた試料ホルダ識別信号が無効となる。このように、試料ホルダ8が交換される可能性のない試料ホルダ交換扉106の閉鎖時は試料ホルダ識別信号をそのまま保持し、試料ホルダ8が交換される可能性のある開放時にのみ試料ホルダ識別信号を無効とするので、試料毎に試料ホルダ8を識別する必要がなく、測定時間を短縮することができる。試料ホルダ識別信号が無効となると、試料ホルダ8の有無および種類を不明とすることによって、再度の試料ホルダ識別を義務付けて、誤った試料ホルダの載置を防止し、動作をより確実にしている。
【0031】
次に、ステップH6では、測定者が、既に試料ステージ25に載置されている試料ホルダ8と試料直径200mm用の試料ホルダ8とを交換する。次に、ステップH7では、測定者が試料ホルダ交換扉106を閉じる。次に、ステップH8では、測定者によって試料ホルダ交換扉106が閉じられると、制御手段50はロック機構107を制御して試料ホルダ交換扉106をロックする。次に、ステップH9で、試料ホルダ識別手段35が透過型光センサ30からの光有信号を受信すると、試料ホルダ識別手段35は、試料ホルダ8に試料Sが載置されていないと判別する。
【0032】
また、測定者が万一、誤って、試料ホルダ8に試料Sを保持した状態で試料ステージ25に載置すると、ステップH9で、試料ホルダ識別手段35は透過型光センサ30から光無信号を受信して、ステップH91に進み、試料Sが載置されている旨を表示手段60に表示させ、試料ホルダ8の識別動作を行わず、待機状態になる。
【0033】
ステップH9で、試料ホルダ識別手段35が試料ホルダ8に試料Sが載置されていないと判別すると、ステップH10に進み、試料ホルダ識別手段35は試料ホルダ8の識別を開始し、試料ステージ25を基準位置Oに移動する。つまり、透過型光センサ30からの光有信号を試料ホルダ識別手段35が受信すると、試料ステージ25が移動手段26によって基準位置Oから台座の孔81の径方向に移動される。このように、試料ホルダ交換扉106が閉鎖された状態で試料ホルダ8の種類を識別するので、試料ステージ25の移動などによる動作時の安全を確保することができる。
【0034】
ステップH10および11の試料ホルダ識別について、図8の試料ホルダ識別フロー図に基づいて説明する。ステップD1では、試料ステージ25が移動手段26によって基準位置Oから台座の孔81の径方向へ50mmまで移動される。次に、ステップD2では、透過型光センサ30の光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光されるか、否かを透過型光センサ30が検出する。試料ステージ25が50mm移動した位置で、透過型光センサ30の光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光され、光検出器32が光線33を受光しなくなると、ステップH11−1に進み、試料ホルダ識別手段35が透過型光センサ30から光無信号を受信し、試料直径100mm用の試料ホルダ8が載置されていることを示す試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、その識別信号を保持する。ステップD2で光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光されない場合には、ステップD3に進み、試料ステージ25の移動を75mmまで継続する。
【0035】
次に、ステップD4では、透過型光センサ30の光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光されるか、否かを透過型光センサ30が検出する。基準位置Oから75mm移動した位置で、光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光されると、ステップH11−2に進み、試料直径100mm用の試料ホルダ8と同様にして、試料ホルダ識別手段35が試料直径150mm用の試料ホルダ8が載置されていることを示す試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、その識別信号を保持する。ステップD4で光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光されない場合は、ステップD5に進み、試料ステージ25の移動を100mmまで継続する。
【0036】
次に、ステップD6では、透過型光センサ30の光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光されるか、否かを透過型光センサ30が検出する。基準位置Oから100mm移動した位置で、光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光されると、試料直径100mm用の試料ホルダ8と同様にして、試料ホルダ識別手段35が試料直径200mm用の試料ホルダ8が載置されていることを示す試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、その識別信号を保持する。ステップH11−3で試料ホルダ8が識別されると、表示手段60に表示された図7の装置の構成図に示すように、画面の左下の太線表示された矩形内(E−2)に、「ホルダー200mm」と表示され、試料直径200mm用の試料ホルダ8が識別されたことが示される。このようにして、試料ホルダ識別手段35は試料ホルダ8の種類を識別し、その識別信号を判定手段40に発信し、その識別信号を保持する。
【0037】
ステップD6において、試料ステージ25が100mm移動した位置で、光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光されない場合は、試料ステージ25の移動を継続し、リミット位置まで移動して停止する。このとき、試料ホルダ識別手段35が透過型光センサ30の光有信号を受信していると、ステップD7に進み、試料ホルダ8が載置されていないことを示す信号を判定手段40に発信する。
【0038】
ステップH11−1、H11−2またはH11−3で試料ホルダが識別されると、ステップD8に進み、移動手段26によって試料ステージ25が基準位置Oに移動される。次に、ステップD9でステップH10、H11−1、H11−2またはH11−3による試料ホルダ8の識別動作が正常に終了すると、図6BのステップH12に進み、リッド102が閉じられる。
【0039】
次に、図6AのステップS2では、測定者が測定条件を設定する。次に、ステップS3では、測定者が試料ステージ25に載置された試料ホルダ8に試料Sを載置し、試料載置位置から測定位置に試料ステージ25を移動させて測定する手動投入モードか、否かを選択する。手動投入モードを選択しない場合には、ステップS4に進む。手動投入モードを選択した場合については後述する。
【0040】
ステップS4では、カセット識別手段22によってカセット21が載置されているか、否かを判別する。カセット21が載置されていないと、ステップS41に進み、カセット21が載置されていない旨が表示手段60に表示される。ステップS4でカセット21が載置されていると、ステップS5に進み、測定者が測定を開始するために測定開始ボタンを押す。次に、ステップS6では、ステップH9(図6B)と同様に試料が載置されているか否かを判別する。試料が載置されていると、ステップS61に進み、「投入口に試料Sがあります。投入口の試料を取り除いてください。」と表示手段60に表示される。
【0041】
ステップS6で試料が載置されていないと、ステップS7に進み、判定手段40が、カセット識別手段22から発信された試料Sの直径に対応したカセット識別信号と、試料ホルダ識別信号とに基づいて、カセット21に収納されるべき試料Sの直径と試料ホルダ8の台座に載置されるべき試料Sの直径とが合致しているか、否かを判定する。上記したように直径200mm用のカセット21が配置されていると、カセット識別手段22からの200mm用のカセット21が配置されていることを示すカセット識別信号と、試料直径200mm用の試料ホルダ8が載置されていることを示す試料ホルダ識別信号とに基づいて、200mm用のカセット21と200mm用の試料ホルダ8とが合致しているか、否かを判定する。判定手段40が、合致していないと判定すると、ステップS71に進み、「検出されたサンプルホルダーが設定と異なります。設定を変更するか、サンプルホルダーを交換してください。」と表示手段60に表示される。
【0042】
ステップS7で合致していると、ステップS8に進み、リッド102が開き、試料Sが搬送手段23によってカセット21から搬送されて試料ホルダ8に載置される。次に、ステップS9では、制御手段50は試料ステージ25を移動手段26によって分析室105に移動させる。次に、ステップS10では、試料Sを測定位置に配置して測定条件に順じて試料Sの測定を開始する。
【0043】
次に、ステップS11では、試料ステージ25を移動手段26によって分析室105の測定位置から投入位置に移動させる。次に、ステップS12では、試料Sが搬送手段23によって試料ホルダ8からカセット21へ搬送される。次に、ステップS13では、制御手段50によって処理を終了するか、否かが判断される。次測定の試料がある場合は、ステップ8〜13の段階が繰り返される。ステップS13で次に測定する試料がない場合は、ステップS14に進み、カセット21を載置位置から取り除く。次に、ステップS15では、測定を終了する。
【0044】
第1実施形態のX線分析装置によれば、試料Sの有無を検出する透過型光センサ30によって試料Sが載置されていない試料ホルダ8を自動識別できるので、試料識別標記などの表示体や特異元素で構成されたマスクや試料ホルダなどが必要なく、試料Sを試料ホルダ8に搬送する前に試料ホルダ8を短時間で自動識別することができる。
【0045】
なお、カセット21に収納されるべき試料Sの直径と試料ホルダ8の台座に載置されるべき試料Sの直径とが合致していないと、判定手段40からの信号に基づいて表示手段60が合致していない旨を表示し、制御手段50はリッド102を閉鎖状態に保持して、試料Sをカセット21から試料ホルダ8に搬送させないように搬送手段26を制御する。このように、カセット21に収納されるべき試料Sの直径と試料ホルダ8の台座に載置されるべき試料Sの直径とが合致していないと、試料Sが試料ホルダ8に搬送されない。したがって、試料ホルダ8に収納されるべき試料Sの直径と合致しない試料Sが搬送されないので、試料Sや装置を汚染させたり、装置の故障を誘発したりすることがない。
【0046】
上記では、図1に示すように、透過型光センサ30の光源31はリッド102の上方に取り付けられ、光検出器32は光源31と対向する位置であって試料ステージ25の下方に取り付けられていたが、光検出器32はリッド102の上方に取り付けられ、光源31は光検出器32と対向する位置であって試料ステージ25の下方に取り付けられて試料ホルダ8の輪状の台座の径方向端85を検出して試料ホルダ8の種類を識別してもよい。
【0047】
次に、第1実施形態の変形例として試料ホルダ識別手段として反射型光センサを有する分析装置について説明する。図1で説明した蛍光X線分析装置において試料ホルダ識別手段の構成とその識別動作が異なるだけであるので、試料ホルダ識別手段の構成とその識別動作についてのみ説明する。
【0048】
図9Aにおいて、反射型光センサ70は、例えば、レーザ式変位センサであり、三角測量を応用した方式で、半導体レーザ71と光位置検出素子(PSD)72とを有している。レーザ式変位センサ70は半導体レーザ71の照射光73が対象物に照射され、対象物から反射された反射光74が光位置検出素子72上にスポットを結び、このスポットの位置を検出することで対象物までの変位量が分かるようになっている。
【0049】
まず、試料ホルダ識別手段35がリッド102の上方に取り付けられたレーザ変位センサ70を有し、輪状の台座82の内径方向端85を検出する装置について説明する。図9Aに示すように、図5Aと同様に初期状態の試料ステージ25の分析室側の端面位置を移動距離Lの測長のための基準位置Oとする。図9Bに示すように、試料ホルダ識別手段35は、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ8を載置した試料ステージ25を、半導体レーザ71からの照射光73を照射しながら基準位置Oから台座の孔81の径方向に、光位置検出素子72上の基準位置Oのスポット位置からスポットが変化する位置A、すなわち照射光73が輪状の台座82の内径方向端85に照射される位置まで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ8の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0050】
次に、試料ホルダ識別手段35がレーザ変位センサ70を有し、挿入口83の径方向端84を検出する装置について説明する。図9Cに示すように、試料ホルダ識別手段35は、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ8を載置した試料ステージ25を、半導体レーザ71からの照射光73を照射しながら基準位置Oから挿入口83の径方向に、光位置検出素子72上の基準位置Oのスポット位置からスポットが変化する位置A、すなわち照射光73が輪状の台座82の内径方向端85に照射される位置まで移動させ、さらに輪状の台座82の内径方向端85でのスポット位置からスポットが変化するスポット位置B、すなわち照射光73が挿入口83の径方向端84に照射される位置まで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ8の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0051】
レーザ式変位センサによるステップH10、H11−1、H11−2およびH11−3の試料ホルダ識別は、透過型光センサと検出方法は異なっているが、識別段階は図8の試料ホルダ識別フローと同様のステップで進行する。
【0052】
試料ホルダ識別手段35がレーザ式変位センサ70を有し、輪状の台座の内径方向端85または挿入口の径方向端84のいずれかを検出する装置において、レーザ式変位センサ70によって試料Sが試料ホルダ8に載置されているか、否かを如何に検出するかについて説明する。図6BのステップH9において、試料ステージ25が基準位置Oにあるときに、試料ホルダ識別手段35が光位置検出素子72上の基準位置Oのスポット位置から変化したスポット位置の信号を受信すると、試料ホルダ8に試料Sが載置されたことを判別して試料Sが載置されていることを示す試料有信号を発信し、ステップH91に進む。ステップH91では、試料Sが載置されている旨を表示手段60に表示する。図6AのステップS6では、ステップH9(図6B)と同様に試料が載置されているか否かを判別する。試料が載置されていると、ステップS61に進み、「投入口に試料Sがあります。投入口の試料を取り除いてください。」とエラー表示が表示手段60に表示される。図6AのステップM1では、ステップH9(図6B)と同様に試料が載置されているか否かを判別する。試料が載置されていないと、ステップM11に進み、試料が載置されていない旨が表示手段60に表示される。
【0053】
次に、第1実施形態のさらなる変形例として試料ホルダ識別手段として静電容量センサを有する分析装置について説明する。図1で説明した蛍光X線分析装置において試料ホルダ識別手段35の構成とその識別動作が異なるだけであるので、試料ホルダ識別手段35の構成とその識別動作についてのみ説明する。
【0054】
静電容量センサは、センサ内部の発振回路の電極と検出対象物の間に形成される静電容量が両者間の距離に応じて変化することを検出原理としている。
【0055】
試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90を有し、台座の内径方向端85を検出する装置について説明する。図9Aに示すように、図5Aと同様に初期状態の試料ステージ25の分析室側の端面位置を移動距離Lの測長のための基準位置Oとする。図9Bに示すように、試料ホルダ識別手段35は、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ8を載置した試料ステージ25を、基準位置Oから台座の孔81の径方向に、静電容量センサ90の検出静電容量が基準位置Oの静電容量から増加する位置A、すなわち静電容量センサ90が輪状の台座82の内径方向端85直上にくるまで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ8の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0056】
次に、試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90を有し、挿入口83の径方向端84を検出する装置について説明する。図9Cに示すように、試料ホルダ識別手段35は、試料Sが搬送されていない試料ホルダ8を載置した試料ステージ25を、基準位置Oから挿入口83の径方向に、静電容量センサ90の検出静電容量が基準位置Oの静電容量から増加する位置A、すなわち静電容量センサ90が輪状の台座82の内径方向端85直上にくるまで移動させ、さらに、静電容量センサ90の検出静電容量が輪状の台座82の内径方向端85での静電容量から増加する位置B、すなわち静電容量センサ90が挿入口83の径方向端84直上にくるまで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ8の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0057】
静電容量センサによるステップH10、H11−1、H11−2およびH11−3の試料ホルダ識別は、透過型光センサと検出方法は異なっているが、識別段階は図8の試料ホルダ識別フローと同様のステップで進行する。
【0058】
試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90を有し、輪状の台座の内径方向端85または挿入口の径方向端84のいずれかを検出する装置において、静電容量センサ90によって試料Sが試料ホルダ8に載置されているか、否かを如何に検出するかについて説明する。図6BのステップH9において、初期状態の試料ステージ25が基準位置Oにあるときに、静電容量センサ90が基準位置Oの静電容量から変化した静電容量の信号を受信すると、試料ホルダ識別手段35は試料ホルダ8に試料Sが載置されていることを判別して試料Sが載置されていることを示す試料有信号を発信し、ステップH91に進む。ステップH91では、試料Sが載置されている旨を表示手段60に表示する。図6AのステップS6では、ステップH9(図6B)と同様に試料が載置されているか否かを判別する。試料が載置されていると、ステップS61に進み、「投入口に試料Sがあります。投入口の試料を取り除いてください。」とエラー表示が表示手段60に表示される。図6AのステップM1では、ステップH9(図6B)と同様に試料が載置されているか否かを判別する。試料が載置されていないと、ステップM11に進み、試料が載置されていない旨が表示手段60に表示される。
【0059】
反射型光センサ(レーザ式変位センサ)または静電容量センサを有する装置であっても透過型光センサを有する装置と同様に試料ホルダ8を自動識別できるので、過型光センサを有する装置と同様の作用、効果を奏することができる。
【0060】
第1実施形態の装置は蛍光X線分析装置であり、試料や試料ホルダを汚染させないように、試料や試料ホルダを検出するセンサは、試料や試料ホルダと直接接触しない非接触型センサである透過型光センサ、反射型光センサ(レーザ式変位センサ)、静電容量センサなどを用いるのが好ましい。
【0061】
第2実施形態の分析装置について説明する。図1の第1実施形態の装置としては、下面照射型であり、図3A、3Bに示す孔81を有する試料ホルダを備え、透過型光センサ、反射型光センサ(レーザ式変位センサ)、静電容量センサのいずれか1つを有する試料ホルダ識別手段を備える蛍光X線分析装置について説明したが、第2実施形態の装置は、上面照射型であり、孔81を有さない試料ホルダを備え、反射型光センサ(レーザ式変位センサ)または静電容量センサを有する試料ホルダ識別手段を備える蛍光X線分析装置であり、これらの異なる構成とその動作についてのみ説明する。
【0062】
図10に示すように、第2実施形態の装置は上面照射多元素同時型の波長分散蛍光X線分析装置であり、検出手段7は測定元素毎に設けられた固定型のゴニオメータである。分析室105は、試料Sに向けて1次X線2を照射するX線管などのX線源1と、1次X線2が試料Sの上方から照射されて試料Sから発生する2次X線4を、たとえばLiF分光結晶などの分光素子によって分光し、その2次X線4の強度を検出する検出器を有する検出手段7とを備えている。
【0063】
試料ホルダ識別手段35がレーザ変位センサ70を有し、挿入口123の径方向端124を検出する装置について説明する。図10に示すように、本体部100は、試料Sの直径に対応した直径を有して上方から試料Sが挿入される挿入口123、および、試料Sが載置される円板状の台座122を有する試料ホルダ120(図11A、11B)と、挿入口123の径方向端124を検出して、載置されるべき試料Sの直径に対応した試料ホルダ120の種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する試料ホルダ識別手段35とを備える。
【0064】
図11Aは試料直径200mm用の試料ホルダ120の平面図、図11Bは図11AのXIB−XIB断面図を示している。図11A、11Bに示すように、試料ホルダ120は、試料Sが挿入される挿入口123、挿入口123の径方向端124、試料Sが載置される円板状の台座122および環状縁126を有する。試料直径200mm用、試料直径150mm用、試料直径100mm用の試料ホルダ120において、環状縁126の外径は同一であるが、挿入口123がそれぞれ試料直径に対応した径を有しており、材料などは同じである。
【0065】
図12Aに示すように、試料ホルダ識別手段35は、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ120を載置した試料ステージ25を、半導体レーザ71からの照射光73を照射しながら基準位置Oから挿入口123の径方向に移動させる。そして、図12Bに示すように、光位置検出素子72上の基準位置Oのスポット位置からスポットが変化する位置A、すなわち照射光73が挿入口123の径方向端124に照射される位置まで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ120の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0066】
試料ホルダ識別手段35がレーザ式変位センサ70を有し、挿入口の径方向端124を検出する装置において、レーザ式変位センサ70によって試料Sが試料ホルダ8に載置されているか、否かを如何に検出するかについて説明する。初期状態の試料ステージ25が基準位置Oにあるときに、試料ホルダ識別手段35が光位置検出素子72上の基準位置Oのスポット位置から変化したスポット位置の信号を受信すると、試料ホルダ8に試料Sが載置されていることを判別して試料Sが載置されていることを示す試料有信号を発信し、試料有信号を保持する。
【0067】
次に、第2実施形態の変形例として試料ホルダ識別手段として静電容量センサ90を有する分析装置について説明する。図10で説明した蛍光X線分析装置において試料ホルダ識別手段35の構成とその識別動作が異なるだけであるので、試料ホルダ識別手段35の構成とその識別動作についてのみ説明する。
【0068】
試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90を有し、挿入口123の径方向端124を検出する装置について説明する。図12Aに示すように、試料ホルダ識別手段35は、試料Sが搬送されていない試料ホルダ120を載置した試料ステージ25を、基準位置Oから挿入口123の径方向に、静電容量センサ90の検出静電容量が基準位置Oの静電容量から増加する位置A、すなわち静電容量センサ90が挿入口123の径方向端124直上にくるまで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ120の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0069】
試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90を有し、挿入口の径方向端124を検出する装置において、静電容量センサ90によって試料Sが試料ホルダ120に載置されているか、否かを如何に検出するかについて説明する。初期状態の試料ステージ25が基準位置Oにあるときに、静電容量センサ90が基準位置Oの静電容量から変化した静電容量の信号を受信すると、試料ホルダ識別手段35は試料ホルダ120に試料Sが載置されていることを判別して試料Sが載置されていることを示す試料有信号を発信し、試料有信号を保持する。
【0070】
第2実施形態の装置は第1実施形態の装置と同様に試料ホルダ8を自動識別できるので、第1実施形態の装置と同様の作用、効果を奏することができる。
【0071】
第3実施形態の蛍光X線分析装置について説明する。第3実施形態の装置は、第2実施形態の装置と同様に上面照射型であり、試料の直径に対応した直径を有して上方から試料が挿入される挿入口、および、試料が載置される円板状の台座を有し、この円板状の台座に円形の凹入口を有する試料ホルダ、を備え、反射型光センサ(レーザ式変位センサ)または静電容量センサを有する試料ホルダ識別手段を備える蛍光X線分析装置であり、これらの構成とその動作が第2実施形態の装置と異なるので、その異なる構成とその動作についてのみ説明する。
【0072】
試料ホルダ識別手段35がレーザ変位センサ70を有し、試料ホルダ130の円板状の台座132における円形の凹入口131の径方向端135を検出する装置について説明する。
【0073】
図13Aは試料直径200mm用の試料ホルダ130の平面図、図13Bは図13AのXIIIB−XIIIB断面図を示している。図13A、13Bに示すように、試料ホルダ130は、試料Sが挿入される挿入口133、挿入口133の径方向端134、試料Sが載置される円板状の台座122を有し、この円板状の台座132に円形の凹入口131、凹入口131の径方向端135を有し、環状縁136を有する。試料直径200mm用、試料直径150mm用、試料直径100mm用の試料ホルダ130において、環状縁136の外径は同一であるが、挿入口133および凹入口131がそれぞれ試料直径に対応した径を有しており、材料などは同じである。
【0074】
図14Aに示すように、試料ホルダ識別手段35は、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ130を載置した試料ステージ25を、半導体レーザ71からの照射光73を照射しながら基準位置Oから凹入口131の径方向に移動させる。そして、図14Bに示すように、光位置検出素子72上の基準位置Oのスポット位置からスポットが変化する位置A、すなわち照射光73が凹入口の径方向端135に照射される位置まで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ130の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0075】
次に、試料ホルダ識別手段35がレーザ変位センサ70を有し、円板状の台座132に円形の凹入口131を有する試料ホルダ130における挿入口133の径方向端134を検出する装置について説明する。
【0076】
図14Cに示すように、試料ホルダ識別手段35は、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ130を載置した試料ステージ25を、半導体レーザ71からの照射光73を照射しながら基準位置Oから挿入口133の径方向に、光位置検出素子72上の基準位置Oのスポット位置からスポットが変化する位置A、すなわち照射光73が円板状の台座の凹入口131の径方向端135に照射される位置まで移動させ、さらに凹入口131の径方向端135でのスポット位置からスポットが変化する位置B、すなわち照射光73が挿入口133の径方向端134に照射される位置まで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ130の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0077】
次に、試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90を有し、凹入口の径方向端135を検出する装置について説明する。図14Aに示すように、試料ホルダ識別手段35は、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ130を載置した試料ステージ25を、基準位置Oから円板状の台座の凹入口131の径方向に移動させる。そして、図14Bに示すように、静電容量センサ90の検出静電容量が基準位置Oの静電容量から増加する位置A、すなわち静電容量センサ90が凹入口131の内径方向端135直上にくるまで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ130の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0078】
次に、試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90を有し、円板状の台座132に円形の凹入口131を有する試料ホルダ130における挿入口133の径方向端134を検出する装置について説明する。図14Cに示すように、試料ホルダ識別手段35は、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ130を載置した試料ステージ25を、基準位置Oから挿入口133の径方向に、静電容量センサ90の検出静電容量が基準位置Oの静電容量より増加する位置A、すなわち静電容量センサ90が台座の凹入口131の径方向端135直上にくるまで移動させ、さらに、静電容量センサ90の検出静電容量が凹入口131の径方向端135での静電容量より増加する位置B、すなわち静電容量センサ90が挿入口133の径方向端134直上にくるまで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ130の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0079】
試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90を有し、台座の凹入口131の径方向端135または挿入口の径方向端134のいずれかを検出する装置において、判定手段40が試料Sと試料ホルダ130とが合致していると判定し、試料Sが搬送手段23によってカセット21から搬送されて試料ホルダ130に載置されると、試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90の基準位置Oの静電容量より変化した静電容量の信号を受信する。このとき、試料ホルダ識別手段35は、試料ホルダ130に試料Sが載置されたことを判別し、試料Sが載置されていることを示す信号を制御手段50に発信する。
【0080】
第3実施形態の装置は第1実施形態の装置と同様に試料ホルダ130を自動識別できるので、第1実施形態の装置と同様の作用、効果を奏することができる。
【0081】
本発明の第1〜第3実施形態の分析装置は、図6Aのフロー図に示すように、測定者が試料ステージ25に載置された試料ホルダ8、120、130に試料Sを載置し、試料載置位置から測定位置に試料ステージ25を移動させて測定する、以下のような手動投入モードを備える。
【0082】
まず、ステップS1では、測定者が装置の動作を開始する。次に、ステップS2では、測定者が測定条件を設定する。次に、ステップS3では、測定者が手動投入モードを選択する。次に、ステップM1では、試料ホルダ識別手段35が試料ホルダ8、120、130に試料Sが載置されているか、否かを判別する。試料Sが載置されていないと、ステップM11に進み、表示手段60は、試料Sが載置されていない旨を表示する。
【0083】
ステップM1で試料Sが載置されていると判別されると、ステップM2に進み、測定者は測定開始ボタンを押す。次に、ステップM3では、試料Sが載置された試料ステージ25が、試料投入位置から測定位置に移動する。次に、ステップM4では、測定が開始される。測定が終了すると、ステップM5に進み、試料ステージ25が測定位置から試料投入位置へ移動される。
【0084】
続けて試料Sを測定する場合は、測定済の試料Sを試料ホルダ8,120,130から取り出し、次に測定する試料Sを試料ホルダ8、120、130に載置して、上記と同様のステップで測定する。次に測定する試料Sがない場合は、測定済の試料Sを試料ホルダ8、120、130から取り出し、ステップS14でカセットを取り除き、ステップS15で測定を終了する。
【0085】
第1〜第3実施形態の分析装置では、試料Sを手動で試料ホルダに載置して測定することもできるので、日常分析と異なる試料測定や少数の試料測定の場合に迅速に測定することができる。
【0086】
第1〜第3実施形態の装置では、リッド2を開放した状態で試料ホルダ8の識別動作を行ったが、リッド2を閉じた状態で試料ホルダ8の識別動作を行ってもよい。
【0087】
第1〜第3実施形態の装置は、固定型のゴニオメータを配して同時に多元素を分析する多元素同時型の波長分散蛍光X線分析装置として説明したが、本発明の装置は、走査型のゴニオメータを配した波長分散型蛍光X線分析装置でもよく、エネルギー分散型の蛍光X線分析装置であってもよい。また、本実施形態の試料ホルダ8、120、130のように円板状の試料Sを載置する構造の試料ホルダを用いるX線分析装置であればよく、例えば、蛍光X線分析装置、X線反射率測定装置、X線回折装置などが組み合わされた複合型のX線分析装置であってもよい。さらに、例えば、電子線を試料に照射して分析するEPMAや光線を試料に照射して分析するエリプソメータなどの他の分析装置であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 X線源
2 1次X線
4 2次X線
8 試料ホルダ
20 カセット部
21 カセット
22 カセット識別手段
23 搬送手段
25 試料ステージ
35 試料ホルダ識別手段
40 判定手段
82 輪状の台座
83 挿入口
84 挿入口の径方向端
85 輪状の台座の内径方向端
106 試料ホルダ交換扉
S 試料
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエーハや磁気ディスクなどの円板状の試料を分析する分析装置において、特に試料を保持する試料ホルダを識別する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、X線分析装置などの分析装置において、様々なサイズ、形状の試料を測定するために、試料タイプごとに試料ホルダを用いている。試料タイプに適合しない試料ホルダを用いると、試料や装置を汚染させたり、装置の故障を誘発したりするなどの問題があった。そこで、試料が収納された円筒状の試料容器側面に対向させて読取ヘッドを配置し、試料容器側面に試料識別標記、分析条件指定標記などの表示体を添付し、読取ヘッドの読取結果によって分析装置を制御する蛍光X線分析装置がある(特許文献1)。
【0003】
また、試料ホルダに試料を保持させ、この試料の上部に、そのサイズに応じた孔径をもつマスクを選択して取付け、このマスクに設けた孔から試料の測定面を露出させて測定するX線分析装置において、マスクの少なくとも表面を、試料中の含量が微量またはゼロであり、かつ、マスク径の大きさに応じて異なる種類の特異元素からなる材料により形成して、この特異元素からの2次X線の強度を測定することによりマスク径を判別するマスク径の判別方法がある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実公昭54−29828号公報
【特許文献2】特開平8−184573号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の蛍光X線分析装置では、試料容器に試料が収納され、試料識別標記、分析条件指定標記などの表示体が添付されており、試料を収納する前に試料容器を識別することができず、試料識別標記、分析条件指定標記などの表示体を試料容器ごとに添付しなければならない。
【0006】
特許文献2に記載のマスク径の判別方法では、試料中の含量が微量またはゼロであり、マスク径の大きさに応じて異なる種類の特異元素からなる材料によりマスクを形成して、1次X線を照射して、この特異元素からの2次X線の強度を測定することによりマスク径を判別している。したがって、特異元素で構成されたマスクが必要であり、さらに、試料ホルダを1次X線が照射される測定位置に搬送して判別するので、余分な時間を要する。
【0007】
そこで、本発明は前記従来の問題に鑑みてなされたもので、試料識別標記などの表示体や特異元素で構成されたマスクや試料ホルダなどが必要なく、試料を試料ホルダに搬送する前に試料ホルダを短時間で自動識別することができるX線分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するために、本発明の第1構成の分析装置は、円板状の試料を分析する分析装置であって、試料を収納するカセット、および、前記カセットの種類を識別して収納されるべき試料の直径に対応したカセット識別信号を発信するカセット識別手段を有するカセット部と、試料の直径に対応した直径を有して上方から試料が挿入される挿入口、および、試料が載置される輪状の台座を有する試料ホルダと、前記カセットから前記試料ホルダへ試料を搬送する搬送手段と、前記試料ホルダが載置される試料ステージと、前記試料ホルダの挿入口の径方向端または前記輪状の台座の内径方向端を検出して、載置されるべき試料の直径に対応した試料ホルダの種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する試料ホルダ識別手段と、前記カセット識別手段から発信されたカセット識別信号および前記試料ホルダ識別手段から発信された試料ホルダ識別信号に基づいて、前記カセットに収納されるべき試料の直径と前記試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致しているか、否かを判定する判定手段と、を備える。
【0009】
分析装置は、さらに、前記判定手段が前記カセットに収納されるべき試料の直径と前記試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致していると判定すると、前記搬送手段が前記カセットから、前記試料ステージに載置された前記試料ホルダに試料を搬送する。
【0010】
本発明の第1構成の分析装置によれば、試料ホルダの挿入口の径方向端または前記輪状の台座の内径方向端を検出して試料ホルダを自動識別し、カセットに収納されるべき試料の直径と試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致しているか、否かを自動判定することができるので、試料識別標記などの表示体や特異元素で構成されたマスクや試料ホルダなどが必要なく、試料を試料ホルダに搬送する前に試料ホルダを短時間で自動識別することができる。
【0011】
本発明の第2構成の分析装置は、円板状の試料を分析する分析装置であって、試料を収納するカセット、および、前記カセットの種類を識別して収納されるべき試料の直径に対応したカセット識別信号を発信するカセット識別手段を有するカセット部と、試料の直径に対応した直径を有して上方から試料が挿入される挿入口、および、試料が載置される円板状の台座を有する試料ホルダと、前記カセットから前記試料ホルダへ試料を搬送する搬送手段と、前記試料ホルダが載置される試料ステージと、前記試料ホルダの挿入口の径方向端を検出して、載置されるべき試料の直径に対応した試料ホルダの種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する試料ホルダ識別手段と、前記カセット識別手段から発信されたカセット識別信号および前記試料ホルダ識別手段から発信された試料ホルダ識別信号に基づいて、前記カセットに収納されるべき試料の直径と前記試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致しているか、否かを判定する判定手段と、を備え、前記判定手段が前記カセットに収納されるべき試料の直径と前記試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致していると判定すると、前記搬送手段が前記カセットから、前記試料ステージに載置された前記試料ホルダに試料を搬送する。
【0012】
本発明の第2構成の分析装置によれば、試料ホルダの挿入口の径方向端を検出して試料ホルダを自動識別し、カセットに収納されるべき試料の直径と試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致しているか、否かを自動判定することができるので、本発明の第1構成の分析装置と同様の効果を奏することができる。
【0013】
本発明の第2構成の分析装置は、前記試料ホルダが円板状の台座に円形の凹入口を有し、試料ホルダ識別手段が、前記試料ホルダの挿入口の径方向端または前記凹入口の径方向端を検出して、載置されるべき試料の直径に対応した試料ホルダの種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信するのが好ましい。この場合にも、本発明の第1構成の分析装置と同様の効果を奏することができる。
【0014】
本発明の第1および第2構成の分析装置は、前記試料ホルダ交換時に開閉される試料ホルダ交換扉であって、閉鎖状態において前記試料ホルダ識別信号を保持し、開放状態において前記試料ホルダ識別信号を無効にする試料ホルダ交換扉を備えるのが好ましい。この場合には、試料ホルダ交換扉が閉鎖状態から開放状態にされると、試料ホルダが交換されたか、否かが不明となるので、試料ホルダ識別信号を無効にし、再度、試料ホルダ識別を行うことによって試料ホルダ識別を確実にすることができる。
【0015】
本発明の第1および第2構成の分析装置は、前記試料ホルダ交換扉が閉鎖されたときに、前記試料ホルダ識別手段が前記試料ホルダの種類を識別して試料ホルダ識別信号を発信するのが好ましい。この場合には、試料ホルダ交換扉が閉鎖された状態で試料ホルダの種類を識別するので、試料ステージの移動などによる動作時の安全を確保することができる。
【0016】
本発明の第1および第2構成の分析装置は、前記試料ホルダ交換扉が、ロック機構を解除するロック解除スイッチによりロックが解除され、測定者によって開放状態にされ、保持している前記試料ホルダ識別信号を無効にし、測定者によって閉鎖され、前記ロック機構によりロックされ、前記試料ホルダ識別手段によって発信された試料ホルダ識別信号を保持する、という手順によって作動するのが好ましい。この場合には、試料ホルダ交換扉
が開放状態から再度、ロックされると試料ホルダ識別の種類を識別して試料ホルダ識別信号を保持するという手順によって作動されるので、試料ホルダ識別を確実にすることができるとともに試料ステージの移動などによる動作時の安全をより確保することができる。
【0017】
本発明の第1および第2構成の分析装置は、前記試料ホルダ識別手段が、前記挿入口の径方向端、前記輪状の台座の内径方向端および前記凹入口の径方向端のうち少なくとも1つを検出する非接触型検出器を有し、前記非接触型検出器が前記試料ステージに載置された前記試料ホルダ内の試料の有無を検出し、前記非接触型センサが試料有無信号を発信するのが好ましい。この場合には、試料ホルダ内の試料有無を検出できるので、試料を試料ホルダに載置した状態で試料ホルダの識別動作の開始を防止することができ、試料ホルダ識別を確実にすることができる。
【0018】
本発明の第1および第2構成の分析装置は、測定者が前記試料ステージに載置された前記試料ホルダに試料を載置し、試料載置位置から測定位置に前記試料ステージを移動させて測定する手動投入モードを備えるのが好ましい。この場合には、カセットに収納されている以外の試料やカセットに収納できない試料を手動投入して測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1実施形態のX線分析装置の概略図である。
【図2】同装置の本体部外観の概略図である。
【図3A】同装置の200mm用試料ホルダの平面図である。
【図3B】図3AのIIIB−IIIB断面図である。
【図4A】同装置の150mm用試料ホルダの平面図である。
【図4B】同装置の100mm用試料ホルダの平面図である。
【図5A】同装置の基準位置における試料ホルダを示す図である。
【図5B】同装置の遮光位置における試料ホルダを示す図である。
【図6A】同装置の装置動作フローを示す第1図である。
【図6B】同装置の装置動作フローを示す第2図である。
【図7】同装置の表示手段に表示された試料ホルダ識別時の同装置の構成を示す図である。
【図8】同装置の試料ホルダ識別のフローを示す図である。
【図9A】同装置の基準位置における試料ホルダを示す図である。
【図9B】同装置の台座の内径方向端における試料ホルダを示す図である。
【図9C】同装置の挿入口の径方向端における試料ホルダを示す図である。
【図10】本発明の第2実施形態のX線分析装置の概略図である。
【図11A】同装置の200mm用試料ホルダの平面図である。
【図11B】図11AのXIB−XIB断面図である。
【図12A】同装置の基準位置における試料ホルダを示す図である。
【図12B】同装置の挿入口の径方向端における試料ホルダを示す図である。
【図13A】本発明の第3実施形態のX線分析装置の200mm用試料ホルダの平面図である。
【図13B】図13AのXIIIB−XIIIB断面図である。
【図14A】同装置の基準位置における試料ホルダを示す図である。
【図14B】同装置の円板状の台座の凹入口の径方向端における試料ホルダを示す図である。
【図14C】同装置の挿入口の径方向端における試料ホルダを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の第1実施形態のX線分析装置などの分析装置について説明する。例えば、円板状の試料を分析する蛍光X線分析装置であるX線分析装置の構成について、図面にしたがって説明する。図1に示すように、このX線分析装置は、ウエーハ、磁気ディスクなどの円板状の試料Sを収納するカセット21、および、カセット21の種類を識別して収納されるべき試料Sの直径に対応したカセット識別信号を発信するカセット識別手段22を有するカセット部20と、蛍光X線分析装置の本体部100と、カセット21から蛍光X線分析装置の本体部100へ試料Sを搬送するロボットなどの搬送手段23とで構成されている。
【0021】
試料Sの収納には、試料Sの直径100、125、150、200mmなどのそれぞれに適合したカセット21が用いられ、カセット識別手段22はカセット21を配置する配置部と、この配置部においてカセット21の種類に対応した位置に設けられた検出部、例えば透過型光センサ部(図示なし)とを有し、カセット21の種類を識別する。カセット21がカセット識別手段22に載置されると、カセット識別手段22がカセット21の種類を識別してカセット21に収納されるべき試料Sの直径に対応したカセット識別信号を発信し、その識別信号を保持する。カセット21の識別に用いられる検出部は透過型光センサに限らず、反射型光センサ、静電容量センサなどの非接触型センサでもマイクロスイッチなどの接触型センサでもよい。
【0022】
図2の本体部100の外観図に示すように、本体部100は、搬送手段23(図1)によってカセット21(図1)から搬送された試料S(図1)を投入して試料ホルダ8(図1)に載置する試料投入部101と、試料ホルダ8(図1)に載置された試料S(図1)を分析する分析室105と、試料ホルダ8(図1)交換時に開閉される試料ホルダ交換扉106とを備える。試料投入部101は上方から当該試料投入部101を開閉するリッド102を有し、試料ホルダ交換扉106は閉鎖状態ではロック機構107(図1)によってロックされており、ロック解除スイッチ108によって解除される。
【0023】
図1に示すように、本体部100は、試料Sの直径に対応した直径を有して上方から試料Sが挿入される挿入口83、および、試料Sが載置される輪状の台座82を有する試料ホルダ(図3A、3B)と、試料ホルダ8が載置される試料ステージ25と、試料ステージ25を試料ホルダの台座の孔81の径方向に移動させる移動手段26と、試料ホルダの輪状の台座82の内径方向端85を検出して、載置されるべき試料Sの直径に対応した試料ホルダ8の種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する試料ホルダ識別手段35とを備える。試料ホルダ識別手段35は透過型光センサ30を有する。透過型光センサ30は、試料ホルダの台座の孔81の軸方向に光線を放射する光源31と、台座の孔81を通過した光線を検出する光検出器32とを有し、光検出器32の受光の有無を示す光有無信号を発信する。透過型光センサ30の光源31は、例えばリッド102の上方の装置筐体に取り付けられ、光検出器32は光源31と対向する位置であって試料ステージ25の下方に取り付けられている。なお、本発明の試料ホルダ8とは、個々の試料Sに付随するものではなく、試料Sを載置すべく装置に付随するものであり、試料Sのサイズに応じて交換される。また、試料ホルダの台座の孔81の径方向への移動とは、例えば上面視での台座の孔81のX−Y座標のX方向への移動をいう。
【0024】
図3Aは試料直径200mm用の試料ホルダ8の平面図、図3Bは図3AのIIIB−IIIB断面図を示している。図3A、3Bに示すように、試料ホルダ8は試料Sが挿入される挿入口83、挿入口83の径方向端84、試料Sが載置される輪状の台座82、台座の孔81、孔の径方向端である台座の内径方向端85、および環状縁を有する。図4Aは試料直径150mm用、図4Bは試料直径100mm用の試料ホルダ8の平面図を示している。これらの試料ホルダ8は200mm用の試料ホルダと試料ホルダ挿入口83の径および台座の孔81の径が異なり、材料などは同じである。
【0025】
図1に示すように、分析室105は、試料Sに向けて1次X線2を照射するX線管などのX線源1と、1次X線2の照射によって試料Sから発生する2次X線4を、たとえばLiF分光結晶などの分光素子によって分光し、その2次X線4の強度を検出する検出器を有する検出手段7とを備えている。試料Sの分析時には、移動手段26によって試料ステージ25が試料投入部101から分析室105に移動されて、試料ホルダ8に載置された試料Sに1次X線2が照射される。本実施形態の蛍光X線分析装置は下面照射多元素同時型の波長分散蛍光X線分析装置であり、検出手段7は測定元素毎に設けられた固定型のゴニオメータである。
【0026】
本体部100は、さらに、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ8を載置した試料ステージ25を、透過型光センサ30が光有信号を発信する基準位置Oから光無信号を発信する位置まで移動手段26によって台座の孔81の径方向に移動させ、基準位置Oから移動した移動距離Lに応じて試料ホルダ8の種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する試料ホルダ識別手段35と、カセット識別手段22から発信されたカセット識別信号および試料ホルダ識別手段35から発信された試料ホルダ識別信号に基づいて、カセット21に収納されるべき試料の直径と試料ホルダ8の台座に載置されるべき試料の直径とが合致しているか、否かを判定する判定手段40と、試料ホルダ交換扉106の開閉状態、リッド102の開閉状態、カセット識別手段22によって識別されたカセット21の種類、試料ホルダ識別手段35によって識別された試料ホルダ8の種類、判定手段40によって判定された結果および装置の動作状態の構成図を表示する表示手段60と、リッド102、搬送手段23および移動手段26を制御する制御手段50とを備える。
【0027】
図5Aに示すように、例えば、初期状態の試料ステージ25の分析室側の端面位置を移動距離Lの測長のための基準位置Oとする。試料ホルダ識別手段35は、基準位置Oから試料ステージ25を台座の孔81の径方向に、例えば、図5Aに示されているように光源31から放射される光線33が台座の孔81の中心を通過する位置から、図5Bに示されているように台座82によって光線33が遮光される位置Aまで移動させ、光線33を光検出器32が受光できなくなると、試料ステージ25の基準位置Oから遮光位置Aまでの移動距離Lに応じて試料ホルダ8の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信する。
【0028】
試料ホルダ識別手段35から発信される試料ホルダ識別信号は、試料ホルダ交換扉106の閉鎖状態においては保持されるが、試料ホルダ交換扉106がロック解除スイッチ107によってロック解除され、開放状態にされると無効にされる。
【0029】
次に、第1実施形態のX線分析装置の動作について図6A、6Bに示す装置動作フローに基づいて説明する。図6AのステップS1では、装置の主電源スイッチをオンにして動作を開始する。次に、ステップC1では、測定者は、例えば直径200mmのウエーハの試料Sを試料直径に適合するカセット21に収納して、そのカセット21をカセット識別手段22の配置部へ載置する。次に、ステップC2では、カセット21の種類に対応した位置に設けられた、カセット識別手段22の検出部がカセットの種類を識別する。次に、ステップC3では、カセット識別手段22が直径200mmの試料Sに対応したカセット識別信号を判定手段40に発信し、その識別信号を保持する。カセット21の種類が識別されると、表示手段60に表示された図7の装置の構成図に示すように、画面の左上の太線表示された矩形内(E−1)に、「200mm」と表示され、試料直径200mm用のカセット21の種類が識別されたことが示される。
【0030】
次に、図6BのステップH1では、測定者が試料直径200mm用の試料ホルダ8を試料投入部101の試料ステージ25に配置するために、試料ホルダ交換扉106のロック解除スイッチ108を押す。次に、ステップH2では、リッド102が制御手段50によって制御されて上方に開く。次に、ステップH3では、試料ホルダ交換扉106のロックが解除され、試料ホルダ交換扉106の開放が可能になる。次に、ステップH4では、測定者によって試料ホルダ交換扉106が開放される。次に、ステップH5では、保持されていた試料ホルダ識別信号が無効となる。このように、試料ホルダ8が交換される可能性のない試料ホルダ交換扉106の閉鎖時は試料ホルダ識別信号をそのまま保持し、試料ホルダ8が交換される可能性のある開放時にのみ試料ホルダ識別信号を無効とするので、試料毎に試料ホルダ8を識別する必要がなく、測定時間を短縮することができる。試料ホルダ識別信号が無効となると、試料ホルダ8の有無および種類を不明とすることによって、再度の試料ホルダ識別を義務付けて、誤った試料ホルダの載置を防止し、動作をより確実にしている。
【0031】
次に、ステップH6では、測定者が、既に試料ステージ25に載置されている試料ホルダ8と試料直径200mm用の試料ホルダ8とを交換する。次に、ステップH7では、測定者が試料ホルダ交換扉106を閉じる。次に、ステップH8では、測定者によって試料ホルダ交換扉106が閉じられると、制御手段50はロック機構107を制御して試料ホルダ交換扉106をロックする。次に、ステップH9で、試料ホルダ識別手段35が透過型光センサ30からの光有信号を受信すると、試料ホルダ識別手段35は、試料ホルダ8に試料Sが載置されていないと判別する。
【0032】
また、測定者が万一、誤って、試料ホルダ8に試料Sを保持した状態で試料ステージ25に載置すると、ステップH9で、試料ホルダ識別手段35は透過型光センサ30から光無信号を受信して、ステップH91に進み、試料Sが載置されている旨を表示手段60に表示させ、試料ホルダ8の識別動作を行わず、待機状態になる。
【0033】
ステップH9で、試料ホルダ識別手段35が試料ホルダ8に試料Sが載置されていないと判別すると、ステップH10に進み、試料ホルダ識別手段35は試料ホルダ8の識別を開始し、試料ステージ25を基準位置Oに移動する。つまり、透過型光センサ30からの光有信号を試料ホルダ識別手段35が受信すると、試料ステージ25が移動手段26によって基準位置Oから台座の孔81の径方向に移動される。このように、試料ホルダ交換扉106が閉鎖された状態で試料ホルダ8の種類を識別するので、試料ステージ25の移動などによる動作時の安全を確保することができる。
【0034】
ステップH10および11の試料ホルダ識別について、図8の試料ホルダ識別フロー図に基づいて説明する。ステップD1では、試料ステージ25が移動手段26によって基準位置Oから台座の孔81の径方向へ50mmまで移動される。次に、ステップD2では、透過型光センサ30の光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光されるか、否かを透過型光センサ30が検出する。試料ステージ25が50mm移動した位置で、透過型光センサ30の光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光され、光検出器32が光線33を受光しなくなると、ステップH11−1に進み、試料ホルダ識別手段35が透過型光センサ30から光無信号を受信し、試料直径100mm用の試料ホルダ8が載置されていることを示す試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、その識別信号を保持する。ステップD2で光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光されない場合には、ステップD3に進み、試料ステージ25の移動を75mmまで継続する。
【0035】
次に、ステップD4では、透過型光センサ30の光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光されるか、否かを透過型光センサ30が検出する。基準位置Oから75mm移動した位置で、光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光されると、ステップH11−2に進み、試料直径100mm用の試料ホルダ8と同様にして、試料ホルダ識別手段35が試料直径150mm用の試料ホルダ8が載置されていることを示す試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、その識別信号を保持する。ステップD4で光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光されない場合は、ステップD5に進み、試料ステージ25の移動を100mmまで継続する。
【0036】
次に、ステップD6では、透過型光センサ30の光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光されるか、否かを透過型光センサ30が検出する。基準位置Oから100mm移動した位置で、光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光されると、試料直径100mm用の試料ホルダ8と同様にして、試料ホルダ識別手段35が試料直径200mm用の試料ホルダ8が載置されていることを示す試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、その識別信号を保持する。ステップH11−3で試料ホルダ8が識別されると、表示手段60に表示された図7の装置の構成図に示すように、画面の左下の太線表示された矩形内(E−2)に、「ホルダー200mm」と表示され、試料直径200mm用の試料ホルダ8が識別されたことが示される。このようにして、試料ホルダ識別手段35は試料ホルダ8の種類を識別し、その識別信号を判定手段40に発信し、その識別信号を保持する。
【0037】
ステップD6において、試料ステージ25が100mm移動した位置で、光源31からの光線33が試料ホルダの台座82に遮光されない場合は、試料ステージ25の移動を継続し、リミット位置まで移動して停止する。このとき、試料ホルダ識別手段35が透過型光センサ30の光有信号を受信していると、ステップD7に進み、試料ホルダ8が載置されていないことを示す信号を判定手段40に発信する。
【0038】
ステップH11−1、H11−2またはH11−3で試料ホルダが識別されると、ステップD8に進み、移動手段26によって試料ステージ25が基準位置Oに移動される。次に、ステップD9でステップH10、H11−1、H11−2またはH11−3による試料ホルダ8の識別動作が正常に終了すると、図6BのステップH12に進み、リッド102が閉じられる。
【0039】
次に、図6AのステップS2では、測定者が測定条件を設定する。次に、ステップS3では、測定者が試料ステージ25に載置された試料ホルダ8に試料Sを載置し、試料載置位置から測定位置に試料ステージ25を移動させて測定する手動投入モードか、否かを選択する。手動投入モードを選択しない場合には、ステップS4に進む。手動投入モードを選択した場合については後述する。
【0040】
ステップS4では、カセット識別手段22によってカセット21が載置されているか、否かを判別する。カセット21が載置されていないと、ステップS41に進み、カセット21が載置されていない旨が表示手段60に表示される。ステップS4でカセット21が載置されていると、ステップS5に進み、測定者が測定を開始するために測定開始ボタンを押す。次に、ステップS6では、ステップH9(図6B)と同様に試料が載置されているか否かを判別する。試料が載置されていると、ステップS61に進み、「投入口に試料Sがあります。投入口の試料を取り除いてください。」と表示手段60に表示される。
【0041】
ステップS6で試料が載置されていないと、ステップS7に進み、判定手段40が、カセット識別手段22から発信された試料Sの直径に対応したカセット識別信号と、試料ホルダ識別信号とに基づいて、カセット21に収納されるべき試料Sの直径と試料ホルダ8の台座に載置されるべき試料Sの直径とが合致しているか、否かを判定する。上記したように直径200mm用のカセット21が配置されていると、カセット識別手段22からの200mm用のカセット21が配置されていることを示すカセット識別信号と、試料直径200mm用の試料ホルダ8が載置されていることを示す試料ホルダ識別信号とに基づいて、200mm用のカセット21と200mm用の試料ホルダ8とが合致しているか、否かを判定する。判定手段40が、合致していないと判定すると、ステップS71に進み、「検出されたサンプルホルダーが設定と異なります。設定を変更するか、サンプルホルダーを交換してください。」と表示手段60に表示される。
【0042】
ステップS7で合致していると、ステップS8に進み、リッド102が開き、試料Sが搬送手段23によってカセット21から搬送されて試料ホルダ8に載置される。次に、ステップS9では、制御手段50は試料ステージ25を移動手段26によって分析室105に移動させる。次に、ステップS10では、試料Sを測定位置に配置して測定条件に順じて試料Sの測定を開始する。
【0043】
次に、ステップS11では、試料ステージ25を移動手段26によって分析室105の測定位置から投入位置に移動させる。次に、ステップS12では、試料Sが搬送手段23によって試料ホルダ8からカセット21へ搬送される。次に、ステップS13では、制御手段50によって処理を終了するか、否かが判断される。次測定の試料がある場合は、ステップ8〜13の段階が繰り返される。ステップS13で次に測定する試料がない場合は、ステップS14に進み、カセット21を載置位置から取り除く。次に、ステップS15では、測定を終了する。
【0044】
第1実施形態のX線分析装置によれば、試料Sの有無を検出する透過型光センサ30によって試料Sが載置されていない試料ホルダ8を自動識別できるので、試料識別標記などの表示体や特異元素で構成されたマスクや試料ホルダなどが必要なく、試料Sを試料ホルダ8に搬送する前に試料ホルダ8を短時間で自動識別することができる。
【0045】
なお、カセット21に収納されるべき試料Sの直径と試料ホルダ8の台座に載置されるべき試料Sの直径とが合致していないと、判定手段40からの信号に基づいて表示手段60が合致していない旨を表示し、制御手段50はリッド102を閉鎖状態に保持して、試料Sをカセット21から試料ホルダ8に搬送させないように搬送手段26を制御する。このように、カセット21に収納されるべき試料Sの直径と試料ホルダ8の台座に載置されるべき試料Sの直径とが合致していないと、試料Sが試料ホルダ8に搬送されない。したがって、試料ホルダ8に収納されるべき試料Sの直径と合致しない試料Sが搬送されないので、試料Sや装置を汚染させたり、装置の故障を誘発したりすることがない。
【0046】
上記では、図1に示すように、透過型光センサ30の光源31はリッド102の上方に取り付けられ、光検出器32は光源31と対向する位置であって試料ステージ25の下方に取り付けられていたが、光検出器32はリッド102の上方に取り付けられ、光源31は光検出器32と対向する位置であって試料ステージ25の下方に取り付けられて試料ホルダ8の輪状の台座の径方向端85を検出して試料ホルダ8の種類を識別してもよい。
【0047】
次に、第1実施形態の変形例として試料ホルダ識別手段として反射型光センサを有する分析装置について説明する。図1で説明した蛍光X線分析装置において試料ホルダ識別手段の構成とその識別動作が異なるだけであるので、試料ホルダ識別手段の構成とその識別動作についてのみ説明する。
【0048】
図9Aにおいて、反射型光センサ70は、例えば、レーザ式変位センサであり、三角測量を応用した方式で、半導体レーザ71と光位置検出素子(PSD)72とを有している。レーザ式変位センサ70は半導体レーザ71の照射光73が対象物に照射され、対象物から反射された反射光74が光位置検出素子72上にスポットを結び、このスポットの位置を検出することで対象物までの変位量が分かるようになっている。
【0049】
まず、試料ホルダ識別手段35がリッド102の上方に取り付けられたレーザ変位センサ70を有し、輪状の台座82の内径方向端85を検出する装置について説明する。図9Aに示すように、図5Aと同様に初期状態の試料ステージ25の分析室側の端面位置を移動距離Lの測長のための基準位置Oとする。図9Bに示すように、試料ホルダ識別手段35は、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ8を載置した試料ステージ25を、半導体レーザ71からの照射光73を照射しながら基準位置Oから台座の孔81の径方向に、光位置検出素子72上の基準位置Oのスポット位置からスポットが変化する位置A、すなわち照射光73が輪状の台座82の内径方向端85に照射される位置まで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ8の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0050】
次に、試料ホルダ識別手段35がレーザ変位センサ70を有し、挿入口83の径方向端84を検出する装置について説明する。図9Cに示すように、試料ホルダ識別手段35は、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ8を載置した試料ステージ25を、半導体レーザ71からの照射光73を照射しながら基準位置Oから挿入口83の径方向に、光位置検出素子72上の基準位置Oのスポット位置からスポットが変化する位置A、すなわち照射光73が輪状の台座82の内径方向端85に照射される位置まで移動させ、さらに輪状の台座82の内径方向端85でのスポット位置からスポットが変化するスポット位置B、すなわち照射光73が挿入口83の径方向端84に照射される位置まで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ8の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0051】
レーザ式変位センサによるステップH10、H11−1、H11−2およびH11−3の試料ホルダ識別は、透過型光センサと検出方法は異なっているが、識別段階は図8の試料ホルダ識別フローと同様のステップで進行する。
【0052】
試料ホルダ識別手段35がレーザ式変位センサ70を有し、輪状の台座の内径方向端85または挿入口の径方向端84のいずれかを検出する装置において、レーザ式変位センサ70によって試料Sが試料ホルダ8に載置されているか、否かを如何に検出するかについて説明する。図6BのステップH9において、試料ステージ25が基準位置Oにあるときに、試料ホルダ識別手段35が光位置検出素子72上の基準位置Oのスポット位置から変化したスポット位置の信号を受信すると、試料ホルダ8に試料Sが載置されたことを判別して試料Sが載置されていることを示す試料有信号を発信し、ステップH91に進む。ステップH91では、試料Sが載置されている旨を表示手段60に表示する。図6AのステップS6では、ステップH9(図6B)と同様に試料が載置されているか否かを判別する。試料が載置されていると、ステップS61に進み、「投入口に試料Sがあります。投入口の試料を取り除いてください。」とエラー表示が表示手段60に表示される。図6AのステップM1では、ステップH9(図6B)と同様に試料が載置されているか否かを判別する。試料が載置されていないと、ステップM11に進み、試料が載置されていない旨が表示手段60に表示される。
【0053】
次に、第1実施形態のさらなる変形例として試料ホルダ識別手段として静電容量センサを有する分析装置について説明する。図1で説明した蛍光X線分析装置において試料ホルダ識別手段35の構成とその識別動作が異なるだけであるので、試料ホルダ識別手段35の構成とその識別動作についてのみ説明する。
【0054】
静電容量センサは、センサ内部の発振回路の電極と検出対象物の間に形成される静電容量が両者間の距離に応じて変化することを検出原理としている。
【0055】
試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90を有し、台座の内径方向端85を検出する装置について説明する。図9Aに示すように、図5Aと同様に初期状態の試料ステージ25の分析室側の端面位置を移動距離Lの測長のための基準位置Oとする。図9Bに示すように、試料ホルダ識別手段35は、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ8を載置した試料ステージ25を、基準位置Oから台座の孔81の径方向に、静電容量センサ90の検出静電容量が基準位置Oの静電容量から増加する位置A、すなわち静電容量センサ90が輪状の台座82の内径方向端85直上にくるまで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ8の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0056】
次に、試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90を有し、挿入口83の径方向端84を検出する装置について説明する。図9Cに示すように、試料ホルダ識別手段35は、試料Sが搬送されていない試料ホルダ8を載置した試料ステージ25を、基準位置Oから挿入口83の径方向に、静電容量センサ90の検出静電容量が基準位置Oの静電容量から増加する位置A、すなわち静電容量センサ90が輪状の台座82の内径方向端85直上にくるまで移動させ、さらに、静電容量センサ90の検出静電容量が輪状の台座82の内径方向端85での静電容量から増加する位置B、すなわち静電容量センサ90が挿入口83の径方向端84直上にくるまで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ8の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0057】
静電容量センサによるステップH10、H11−1、H11−2およびH11−3の試料ホルダ識別は、透過型光センサと検出方法は異なっているが、識別段階は図8の試料ホルダ識別フローと同様のステップで進行する。
【0058】
試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90を有し、輪状の台座の内径方向端85または挿入口の径方向端84のいずれかを検出する装置において、静電容量センサ90によって試料Sが試料ホルダ8に載置されているか、否かを如何に検出するかについて説明する。図6BのステップH9において、初期状態の試料ステージ25が基準位置Oにあるときに、静電容量センサ90が基準位置Oの静電容量から変化した静電容量の信号を受信すると、試料ホルダ識別手段35は試料ホルダ8に試料Sが載置されていることを判別して試料Sが載置されていることを示す試料有信号を発信し、ステップH91に進む。ステップH91では、試料Sが載置されている旨を表示手段60に表示する。図6AのステップS6では、ステップH9(図6B)と同様に試料が載置されているか否かを判別する。試料が載置されていると、ステップS61に進み、「投入口に試料Sがあります。投入口の試料を取り除いてください。」とエラー表示が表示手段60に表示される。図6AのステップM1では、ステップH9(図6B)と同様に試料が載置されているか否かを判別する。試料が載置されていないと、ステップM11に進み、試料が載置されていない旨が表示手段60に表示される。
【0059】
反射型光センサ(レーザ式変位センサ)または静電容量センサを有する装置であっても透過型光センサを有する装置と同様に試料ホルダ8を自動識別できるので、過型光センサを有する装置と同様の作用、効果を奏することができる。
【0060】
第1実施形態の装置は蛍光X線分析装置であり、試料や試料ホルダを汚染させないように、試料や試料ホルダを検出するセンサは、試料や試料ホルダと直接接触しない非接触型センサである透過型光センサ、反射型光センサ(レーザ式変位センサ)、静電容量センサなどを用いるのが好ましい。
【0061】
第2実施形態の分析装置について説明する。図1の第1実施形態の装置としては、下面照射型であり、図3A、3Bに示す孔81を有する試料ホルダを備え、透過型光センサ、反射型光センサ(レーザ式変位センサ)、静電容量センサのいずれか1つを有する試料ホルダ識別手段を備える蛍光X線分析装置について説明したが、第2実施形態の装置は、上面照射型であり、孔81を有さない試料ホルダを備え、反射型光センサ(レーザ式変位センサ)または静電容量センサを有する試料ホルダ識別手段を備える蛍光X線分析装置であり、これらの異なる構成とその動作についてのみ説明する。
【0062】
図10に示すように、第2実施形態の装置は上面照射多元素同時型の波長分散蛍光X線分析装置であり、検出手段7は測定元素毎に設けられた固定型のゴニオメータである。分析室105は、試料Sに向けて1次X線2を照射するX線管などのX線源1と、1次X線2が試料Sの上方から照射されて試料Sから発生する2次X線4を、たとえばLiF分光結晶などの分光素子によって分光し、その2次X線4の強度を検出する検出器を有する検出手段7とを備えている。
【0063】
試料ホルダ識別手段35がレーザ変位センサ70を有し、挿入口123の径方向端124を検出する装置について説明する。図10に示すように、本体部100は、試料Sの直径に対応した直径を有して上方から試料Sが挿入される挿入口123、および、試料Sが載置される円板状の台座122を有する試料ホルダ120(図11A、11B)と、挿入口123の径方向端124を検出して、載置されるべき試料Sの直径に対応した試料ホルダ120の種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する試料ホルダ識別手段35とを備える。
【0064】
図11Aは試料直径200mm用の試料ホルダ120の平面図、図11Bは図11AのXIB−XIB断面図を示している。図11A、11Bに示すように、試料ホルダ120は、試料Sが挿入される挿入口123、挿入口123の径方向端124、試料Sが載置される円板状の台座122および環状縁126を有する。試料直径200mm用、試料直径150mm用、試料直径100mm用の試料ホルダ120において、環状縁126の外径は同一であるが、挿入口123がそれぞれ試料直径に対応した径を有しており、材料などは同じである。
【0065】
図12Aに示すように、試料ホルダ識別手段35は、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ120を載置した試料ステージ25を、半導体レーザ71からの照射光73を照射しながら基準位置Oから挿入口123の径方向に移動させる。そして、図12Bに示すように、光位置検出素子72上の基準位置Oのスポット位置からスポットが変化する位置A、すなわち照射光73が挿入口123の径方向端124に照射される位置まで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ120の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0066】
試料ホルダ識別手段35がレーザ式変位センサ70を有し、挿入口の径方向端124を検出する装置において、レーザ式変位センサ70によって試料Sが試料ホルダ8に載置されているか、否かを如何に検出するかについて説明する。初期状態の試料ステージ25が基準位置Oにあるときに、試料ホルダ識別手段35が光位置検出素子72上の基準位置Oのスポット位置から変化したスポット位置の信号を受信すると、試料ホルダ8に試料Sが載置されていることを判別して試料Sが載置されていることを示す試料有信号を発信し、試料有信号を保持する。
【0067】
次に、第2実施形態の変形例として試料ホルダ識別手段として静電容量センサ90を有する分析装置について説明する。図10で説明した蛍光X線分析装置において試料ホルダ識別手段35の構成とその識別動作が異なるだけであるので、試料ホルダ識別手段35の構成とその識別動作についてのみ説明する。
【0068】
試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90を有し、挿入口123の径方向端124を検出する装置について説明する。図12Aに示すように、試料ホルダ識別手段35は、試料Sが搬送されていない試料ホルダ120を載置した試料ステージ25を、基準位置Oから挿入口123の径方向に、静電容量センサ90の検出静電容量が基準位置Oの静電容量から増加する位置A、すなわち静電容量センサ90が挿入口123の径方向端124直上にくるまで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ120の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0069】
試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90を有し、挿入口の径方向端124を検出する装置において、静電容量センサ90によって試料Sが試料ホルダ120に載置されているか、否かを如何に検出するかについて説明する。初期状態の試料ステージ25が基準位置Oにあるときに、静電容量センサ90が基準位置Oの静電容量から変化した静電容量の信号を受信すると、試料ホルダ識別手段35は試料ホルダ120に試料Sが載置されていることを判別して試料Sが載置されていることを示す試料有信号を発信し、試料有信号を保持する。
【0070】
第2実施形態の装置は第1実施形態の装置と同様に試料ホルダ8を自動識別できるので、第1実施形態の装置と同様の作用、効果を奏することができる。
【0071】
第3実施形態の蛍光X線分析装置について説明する。第3実施形態の装置は、第2実施形態の装置と同様に上面照射型であり、試料の直径に対応した直径を有して上方から試料が挿入される挿入口、および、試料が載置される円板状の台座を有し、この円板状の台座に円形の凹入口を有する試料ホルダ、を備え、反射型光センサ(レーザ式変位センサ)または静電容量センサを有する試料ホルダ識別手段を備える蛍光X線分析装置であり、これらの構成とその動作が第2実施形態の装置と異なるので、その異なる構成とその動作についてのみ説明する。
【0072】
試料ホルダ識別手段35がレーザ変位センサ70を有し、試料ホルダ130の円板状の台座132における円形の凹入口131の径方向端135を検出する装置について説明する。
【0073】
図13Aは試料直径200mm用の試料ホルダ130の平面図、図13Bは図13AのXIIIB−XIIIB断面図を示している。図13A、13Bに示すように、試料ホルダ130は、試料Sが挿入される挿入口133、挿入口133の径方向端134、試料Sが載置される円板状の台座122を有し、この円板状の台座132に円形の凹入口131、凹入口131の径方向端135を有し、環状縁136を有する。試料直径200mm用、試料直径150mm用、試料直径100mm用の試料ホルダ130において、環状縁136の外径は同一であるが、挿入口133および凹入口131がそれぞれ試料直径に対応した径を有しており、材料などは同じである。
【0074】
図14Aに示すように、試料ホルダ識別手段35は、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ130を載置した試料ステージ25を、半導体レーザ71からの照射光73を照射しながら基準位置Oから凹入口131の径方向に移動させる。そして、図14Bに示すように、光位置検出素子72上の基準位置Oのスポット位置からスポットが変化する位置A、すなわち照射光73が凹入口の径方向端135に照射される位置まで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ130の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0075】
次に、試料ホルダ識別手段35がレーザ変位センサ70を有し、円板状の台座132に円形の凹入口131を有する試料ホルダ130における挿入口133の径方向端134を検出する装置について説明する。
【0076】
図14Cに示すように、試料ホルダ識別手段35は、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ130を載置した試料ステージ25を、半導体レーザ71からの照射光73を照射しながら基準位置Oから挿入口133の径方向に、光位置検出素子72上の基準位置Oのスポット位置からスポットが変化する位置A、すなわち照射光73が円板状の台座の凹入口131の径方向端135に照射される位置まで移動させ、さらに凹入口131の径方向端135でのスポット位置からスポットが変化する位置B、すなわち照射光73が挿入口133の径方向端134に照射される位置まで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ130の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0077】
次に、試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90を有し、凹入口の径方向端135を検出する装置について説明する。図14Aに示すように、試料ホルダ識別手段35は、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ130を載置した試料ステージ25を、基準位置Oから円板状の台座の凹入口131の径方向に移動させる。そして、図14Bに示すように、静電容量センサ90の検出静電容量が基準位置Oの静電容量から増加する位置A、すなわち静電容量センサ90が凹入口131の内径方向端135直上にくるまで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ130の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0078】
次に、試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90を有し、円板状の台座132に円形の凹入口131を有する試料ホルダ130における挿入口133の径方向端134を検出する装置について説明する。図14Cに示すように、試料ホルダ識別手段35は、搬送手段23によって試料Sが搬送されていない試料ホルダ130を載置した試料ステージ25を、基準位置Oから挿入口133の径方向に、静電容量センサ90の検出静電容量が基準位置Oの静電容量より増加する位置A、すなわち静電容量センサ90が台座の凹入口131の径方向端135直上にくるまで移動させ、さらに、静電容量センサ90の検出静電容量が凹入口131の径方向端135での静電容量より増加する位置B、すなわち静電容量センサ90が挿入口133の径方向端134直上にくるまで移動させて、基準位置Oからの移動距離Lに応じて試料ホルダ130の種類を識別する試料ホルダ識別信号を判定手段40に発信し、識別信号を保持する。
【0079】
試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90を有し、台座の凹入口131の径方向端135または挿入口の径方向端134のいずれかを検出する装置において、判定手段40が試料Sと試料ホルダ130とが合致していると判定し、試料Sが搬送手段23によってカセット21から搬送されて試料ホルダ130に載置されると、試料ホルダ識別手段35が静電容量センサ90の基準位置Oの静電容量より変化した静電容量の信号を受信する。このとき、試料ホルダ識別手段35は、試料ホルダ130に試料Sが載置されたことを判別し、試料Sが載置されていることを示す信号を制御手段50に発信する。
【0080】
第3実施形態の装置は第1実施形態の装置と同様に試料ホルダ130を自動識別できるので、第1実施形態の装置と同様の作用、効果を奏することができる。
【0081】
本発明の第1〜第3実施形態の分析装置は、図6Aのフロー図に示すように、測定者が試料ステージ25に載置された試料ホルダ8、120、130に試料Sを載置し、試料載置位置から測定位置に試料ステージ25を移動させて測定する、以下のような手動投入モードを備える。
【0082】
まず、ステップS1では、測定者が装置の動作を開始する。次に、ステップS2では、測定者が測定条件を設定する。次に、ステップS3では、測定者が手動投入モードを選択する。次に、ステップM1では、試料ホルダ識別手段35が試料ホルダ8、120、130に試料Sが載置されているか、否かを判別する。試料Sが載置されていないと、ステップM11に進み、表示手段60は、試料Sが載置されていない旨を表示する。
【0083】
ステップM1で試料Sが載置されていると判別されると、ステップM2に進み、測定者は測定開始ボタンを押す。次に、ステップM3では、試料Sが載置された試料ステージ25が、試料投入位置から測定位置に移動する。次に、ステップM4では、測定が開始される。測定が終了すると、ステップM5に進み、試料ステージ25が測定位置から試料投入位置へ移動される。
【0084】
続けて試料Sを測定する場合は、測定済の試料Sを試料ホルダ8,120,130から取り出し、次に測定する試料Sを試料ホルダ8、120、130に載置して、上記と同様のステップで測定する。次に測定する試料Sがない場合は、測定済の試料Sを試料ホルダ8、120、130から取り出し、ステップS14でカセットを取り除き、ステップS15で測定を終了する。
【0085】
第1〜第3実施形態の分析装置では、試料Sを手動で試料ホルダに載置して測定することもできるので、日常分析と異なる試料測定や少数の試料測定の場合に迅速に測定することができる。
【0086】
第1〜第3実施形態の装置では、リッド2を開放した状態で試料ホルダ8の識別動作を行ったが、リッド2を閉じた状態で試料ホルダ8の識別動作を行ってもよい。
【0087】
第1〜第3実施形態の装置は、固定型のゴニオメータを配して同時に多元素を分析する多元素同時型の波長分散蛍光X線分析装置として説明したが、本発明の装置は、走査型のゴニオメータを配した波長分散型蛍光X線分析装置でもよく、エネルギー分散型の蛍光X線分析装置であってもよい。また、本実施形態の試料ホルダ8、120、130のように円板状の試料Sを載置する構造の試料ホルダを用いるX線分析装置であればよく、例えば、蛍光X線分析装置、X線反射率測定装置、X線回折装置などが組み合わされた複合型のX線分析装置であってもよい。さらに、例えば、電子線を試料に照射して分析するEPMAや光線を試料に照射して分析するエリプソメータなどの他の分析装置であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
1 X線源
2 1次X線
4 2次X線
8 試料ホルダ
20 カセット部
21 カセット
22 カセット識別手段
23 搬送手段
25 試料ステージ
35 試料ホルダ識別手段
40 判定手段
82 輪状の台座
83 挿入口
84 挿入口の径方向端
85 輪状の台座の内径方向端
106 試料ホルダ交換扉
S 試料
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円板状の試料を分析する分析装置であって、
試料を収納するカセット、および、前記カセットの種類を識別して収納されるべき試料の直径に対応したカセット識別信号を発信するカセット識別手段を有するカセット部と、
試料の直径に対応した直径を有して上方から試料が挿入される挿入口、および、試料が載置される輪状の台座を有する試料ホルダと、
前記カセットから前記試料ホルダへ試料を搬送する搬送手段と、
前記試料ホルダが載置される試料ステージと、
前記試料ホルダの挿入口の径方向端または前記輪状の台座の内径方向端を検出して、載置されるべき試料の直径に対応した試料ホルダの種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する試料ホルダ識別手段と、
前記カセット識別手段から発信されたカセット識別信号および前記試料ホルダ識別手段から発信された試料ホルダ識別信号に基づいて、前記カセットに収納されるべき試料の直径と前記試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致しているか、否かを判定する判定手段と、
を備え、
前記判定手段が前記カセットに収納されるべき試料の直径と前記試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致していると判定すると、前記搬送手段が前記カセットから、前記試料ステージに載置された前記試料ホルダに試料を搬送する分析装置。
【請求項2】
円板状の試料を分析する分析装置であって、
試料を収納するカセット、および、前記カセットの種類を識別して収納されるべき試料の直径に対応したカセット識別信号を発信するカセット識別手段を有するカセット部と、
試料の直径に対応した直径を有して上方から試料が挿入される挿入口、および、試料が載置される円板状の台座を有する試料ホルダと、
前記カセットから前記試料ホルダへ試料を搬送する搬送手段と、
前記試料ホルダが載置される試料ステージと、
前記試料ホルダの挿入口の径方向端を検出して、載置されるべき試料の直径に対応した試料ホルダの種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する試料ホルダ識別手段と、
前記カセット識別手段から発信されたカセット識別信号および前記試料ホルダ識別手段から発信された試料ホルダ識別信号に基づいて、前記カセットに収納されるべき試料の直径と前記試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致しているか、否かを判定する判定手段と、
を備え、
前記判定手段が前記カセットに収納されるべき試料の直径と前記試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致していると判定すると、前記搬送手段が前記カセットから、前記試料ステージに載置された前記試料ホルダに試料を搬送する分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の分析装置において、
前記試料ホルダが円板状の台座に円形の凹入口を有し、
試料ホルダ識別手段が、前記試料ホルダの挿入口の径方向端または前記凹入口の径方向端を検出して、載置されるべき試料の直径に対応した試料ホルダの種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する分析装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の分析装置において、
前記試料ホルダ交換時に開閉される試料ホルダ交換扉であって、閉鎖状態において前記試料ホルダ識別信号を保持し、開放状態において前記試料ホルダ識別信号を無効にする試料ホルダ交換扉を備える分析装置。
【請求項5】
請求項4に記載の分析装置において、
前記試料ホルダ交換扉が閉鎖されたときに、前記試料ホルダ識別手段が前記試料ホルダの種類を識別して試料ホルダ識別信号を発信する分析装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の分析装置において、
前記試料ホルダ交換扉が、
ロック機構を解除するロック解除スイッチによりロックが解除され、
測定者によって開放状態にされ、
保持している前記試料ホルダ識別信号を無効にし、
測定者によって閉鎖され、
前記ロック機構によりロックされ、
前記試料ホルダ識別手段によって発信された試料ホルダ識別信号を保持する、
という手順によって作動する分析装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の分析装置において、
前記試料ホルダ識別手段が、前記挿入口の径方向端、前記輪状の台座の内径方向端および前記凹入口の径方向端のうち少なくとも1つを検出する非接触型検出器を有し、
前記非接触型検出器が前記試料ステージに載置された前記試料ホルダ内の試料の有無を検出し、前記非接触型センサが試料有無信号を発信する分析装置。
【請求項8】
請求項1〜7に記載のいずれか一項に記載の分析装置において、
測定者が前記試料ステージに載置された前記試料ホルダに試料を載置し、試料載置位置から測定位置に前記試料ステージを移動させて測定する手動投入モードを備える分析装置。
【請求項1】
円板状の試料を分析する分析装置であって、
試料を収納するカセット、および、前記カセットの種類を識別して収納されるべき試料の直径に対応したカセット識別信号を発信するカセット識別手段を有するカセット部と、
試料の直径に対応した直径を有して上方から試料が挿入される挿入口、および、試料が載置される輪状の台座を有する試料ホルダと、
前記カセットから前記試料ホルダへ試料を搬送する搬送手段と、
前記試料ホルダが載置される試料ステージと、
前記試料ホルダの挿入口の径方向端または前記輪状の台座の内径方向端を検出して、載置されるべき試料の直径に対応した試料ホルダの種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する試料ホルダ識別手段と、
前記カセット識別手段から発信されたカセット識別信号および前記試料ホルダ識別手段から発信された試料ホルダ識別信号に基づいて、前記カセットに収納されるべき試料の直径と前記試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致しているか、否かを判定する判定手段と、
を備え、
前記判定手段が前記カセットに収納されるべき試料の直径と前記試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致していると判定すると、前記搬送手段が前記カセットから、前記試料ステージに載置された前記試料ホルダに試料を搬送する分析装置。
【請求項2】
円板状の試料を分析する分析装置であって、
試料を収納するカセット、および、前記カセットの種類を識別して収納されるべき試料の直径に対応したカセット識別信号を発信するカセット識別手段を有するカセット部と、
試料の直径に対応した直径を有して上方から試料が挿入される挿入口、および、試料が載置される円板状の台座を有する試料ホルダと、
前記カセットから前記試料ホルダへ試料を搬送する搬送手段と、
前記試料ホルダが載置される試料ステージと、
前記試料ホルダの挿入口の径方向端を検出して、載置されるべき試料の直径に対応した試料ホルダの種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する試料ホルダ識別手段と、
前記カセット識別手段から発信されたカセット識別信号および前記試料ホルダ識別手段から発信された試料ホルダ識別信号に基づいて、前記カセットに収納されるべき試料の直径と前記試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致しているか、否かを判定する判定手段と、
を備え、
前記判定手段が前記カセットに収納されるべき試料の直径と前記試料ホルダの台座に載置されるべき試料の直径とが合致していると判定すると、前記搬送手段が前記カセットから、前記試料ステージに載置された前記試料ホルダに試料を搬送する分析装置。
【請求項3】
請求項2に記載の分析装置において、
前記試料ホルダが円板状の台座に円形の凹入口を有し、
試料ホルダ識別手段が、前記試料ホルダの挿入口の径方向端または前記凹入口の径方向端を検出して、載置されるべき試料の直径に対応した試料ホルダの種類を識別する試料ホルダ識別信号を発信する分析装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか一項に記載の分析装置において、
前記試料ホルダ交換時に開閉される試料ホルダ交換扉であって、閉鎖状態において前記試料ホルダ識別信号を保持し、開放状態において前記試料ホルダ識別信号を無効にする試料ホルダ交換扉を備える分析装置。
【請求項5】
請求項4に記載の分析装置において、
前記試料ホルダ交換扉が閉鎖されたときに、前記試料ホルダ識別手段が前記試料ホルダの種類を識別して試料ホルダ識別信号を発信する分析装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の分析装置において、
前記試料ホルダ交換扉が、
ロック機構を解除するロック解除スイッチによりロックが解除され、
測定者によって開放状態にされ、
保持している前記試料ホルダ識別信号を無効にし、
測定者によって閉鎖され、
前記ロック機構によりロックされ、
前記試料ホルダ識別手段によって発信された試料ホルダ識別信号を保持する、
という手順によって作動する分析装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の分析装置において、
前記試料ホルダ識別手段が、前記挿入口の径方向端、前記輪状の台座の内径方向端および前記凹入口の径方向端のうち少なくとも1つを検出する非接触型検出器を有し、
前記非接触型検出器が前記試料ステージに載置された前記試料ホルダ内の試料の有無を検出し、前記非接触型センサが試料有無信号を発信する分析装置。
【請求項8】
請求項1〜7に記載のいずれか一項に記載の分析装置において、
測定者が前記試料ステージに載置された前記試料ホルダに試料を載置し、試料載置位置から測定位置に前記試料ステージを移動させて測定する手動投入モードを備える分析装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図4A】
【図4B】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図7】
【図8】
【図9A】
【図9B】
【図9C】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図12A】
【図12B】
【図13A】
【図13B】
【図14A】
【図14B】
【図14C】
【公開番号】特開2012−83286(P2012−83286A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231299(P2010−231299)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000250339)株式会社リガク (206)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(000250339)株式会社リガク (206)
【Fターム(参考)】
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