説明

分枝鎖カルボン酸化合物およびその用途

一般式(I)




α−配置、β−配置またはそれらの任意の比率の混合物を表し、nは1〜3の整数を表し、mは0または1〜10の整数を表す。ただし、複数のRは末端炭素原子以外の同一の炭素原子に対して結合しない。)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグに関する。
一般式(I)で示される化合物は、アストロサイト機能改善作用等を有し、脳梗塞若しくは脳梗塞後の神経機能障害、パーキンソン病、パーキンソン症候群、筋萎縮性側索硬化症またはアルツハイマー病等の神経変性疾患の予防および/または治療剤として有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
本発明は、医薬品として有用な一般式(I)

(式中、すべての記号は、後記と同じ意味を表す。)
で示される化合物、その用途およびその製剤に関する。
【背景技術】
2−プロピルオクタン酸誘導体は、アストロサイト機能改善作用を有するため、脳梗塞およびアルツハイマー病などの神経変性疾患の予防および治療剤となり得ることが報告されている(EP0632008号明細書参照)。さらに、2−プロピルオクタン酸誘導体がパーキンソン病またはパーキンソン症候群の予防および治療剤として有用であることが報告されている(EP1174131号明細書参照)。また、2−プロピルオクタン酸誘導体は、細胞内S100β含量の減少作用を有し、異常活性化アストロサイトの機能を改善することにより、上記した脳神経疾患の予防および治療薬となり得ることが報告されている(Journal of cerebral blood flow & metabolism,22,723−734(2002)参照)。さらに(2S)−2−プロピニルヘプタン酸誘導体については、神経栄養因子であることの報告がある(US5,672,746号明細書参照)。
【発明の開示】
これまでに報告されている2−プロピルオクタン酸誘導体や(2S)−2−プロピニルヘプタン酸誘導体は、口腔内の刺激性を有していること等の物性的な改善点や副作用等の薬理学的な改善点を有しており、十分満足されるものではない。
このようなことから、物理化学的性質の改善された副作用のない、より安全性が高く、有用なアストロサイト機能改善作用、脳機能改善作用および/またはS100β発現抑制作用を有する神経変性疾患治療薬の開発が切望されている。
本発明者らは、上記した課題を解決するために、鋭意研究した結果、一般式(I)で示される本発明化合物が、目的を達成することを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、
[1]一般式(I)


α−配置、β−配置またはそれらの任意の比率の混合物を表し、nは1〜3の整数を表し、mは0または1〜10の整数を表す。ただし、複数のRは末端炭素原子以外の同一の炭素原子に対して結合しない。)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグ;
[2]一般式(I−1)

(式中、すべての記号は、前記[1]と同じ意味を表す。)で示される前記[1]記載の化合物;
[3]一般式(I−1−1)


す。)で示される前記[1]記載の化合物;
[4]一般式(I−2)

(式中、R1−1およびR1−2はそれぞれ独立して、水素原子または保護されていてもよい水酸基を表すか、R1−1とR1−2は一緒になって、オキソ基を表し、R1−3は水素原子または保護されていてもよい水酸基を表し、他の記号は前記[1]および[3]と同じ意味を表す。ただし、R1−1とR1−2は一緒になって、オキソ基を表す場合、R1−3は水素原子を表す。)で示される前記[1]記載の化合物;
[5]一般式(I−3)

(式中、R1−4およびR1−5はそれぞれ独立して、水素原子または保護されていてもよい水酸基を表すか、R1−4とR1−5は一緒になって、オキソ基を表し、R1−6は水素原子または保護されていてもよい水酸基を表し、他の記号は前記[1]および[3]と同じ意味を表す。ただし、R1−4とR1−5は一緒になって、オキソ基を表す場合、R1−6は水素原子を表す。)で示される前記[1]記載の化合物;
[6]一般式(I−2)

(式中、R1−1およびR1−2はそれぞれ独立して、水素原子または保護されていてもよい水酸基を表すか、R1−1とR1−2は一緒になって、オキソ基を表し、R1−3は水素原子または保護されていてもよい水酸基を表し、mは0または1

よびR1−3は同時に水素原子を表さず、さらに、R1−1とR1−2は一緒になって、オキソ基を表す場合、R1−3は水素原子を表す。)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグ;
[7]化合物が(2R)−7−オキソ−2−プロピルオクタン酸、(2R,7R)−7−ヒドロキシ−2−プロピルオクタン酸、(2R,7S)−7−ヒドロキシ−2−プロピルオクタン酸および(2R)−8−ヒドロキシ−2−プロピルオクタン酸から選択される前記[6]記載の化合物;
[8]化学合成して得られる前記[6]記載の化合物;
[9]前記[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグを含有してなる医薬組成物;
[10]前記[6]記載の一般式(I−2)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグを含有してなる医薬組成物;
[11]前記[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグを含有してなる神経変性疾患の予防および/または治療剤;
[12]前記[6]記載の一般式(I−2)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグを含有してなる神経変性疾患の予防および/または治療剤;
[13]脳機能改善剤、アストロサイト機能改善剤および/またはS100β発現抑制剤である前記[11]または[12]記載の予防および/または治療剤;
[14]神経変性疾患が、パーキンソン病、パーキンソン症候群、アルツハイマー病、ダウン症、筋萎縮性側索硬化症、家族性筋萎縮性側索硬化症、進行性核上麻痺、ハンチントン病、脊髄小脳変性症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、オリーブ橋小脳萎縮症、皮質基底核変性症、痴呆症、ピック病、脳卒中、脳血管障害、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎、急性小脳炎、横断性脊髄炎、脳腫瘍、髄膜炎、脳膿瘍、クロッツフェルド−ヤコブ病およびエイズ痴呆から選択される1以上の疾患である前記[11]または[12]記載の予防および/または治療剤;
[15]神経変性疾患が、脳血管障害、パーキンソン病、パーキンソン症候群、筋萎縮性側索硬化症またはアルツハイマー病である前記[14]記載の予防および/または治療剤;
[16]脳血管障害が、脳梗塞または脳梗塞後の神経機能障害である前記[15]記載の予防および/または治療剤;
[17]前記[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグとアセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ニコチン受容体調節薬、βセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼ阻害薬、βアミロイド蛋白凝集阻害薬、βアミロイドワクチン、βアミロイド分解酵素、脳機能賦活薬、脳循環代謝改善薬、ドーパミン受容体作動薬、モノアミン酸化酵素阻害薬、抗コリン薬、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害薬、筋萎縮性側索硬化症治療薬、神経栄養因子、アポトーシス阻害薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗てんかん薬、降圧薬、カルシウム受容体拮抗薬、糖尿病治療薬、高脂血症治療薬、アルドース還元酵素阻害薬、非ステロイド性抗炎症薬、疾患修飾性抗リウマチ薬、抗サイトカイン薬、ステロイド薬、抗血栓薬、ファクターXa阻害薬、ファクターVIIa阻害薬、抗酸化薬およびグリセリン製剤から選ばれる1種以上を組み合わせてなる医薬;
[18]抗血栓薬が、組織性プラスミノーゲン活性化因子である前記[17]記載の医薬;
[19]前記[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグを哺乳動物に投与することからなる神経変性疾患の予防および/または治療方法;
[20]神経変性疾患の予防および/または治療剤の製造のための前記[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグの使用;
[21]前記[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグを含有してなる製剤;
[22]前記[6]記載の一般式(I−2)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグを含有してなる製剤;および
[23]前記[1]記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグの製造方法に関する。
本明細書中、アストロサイト機能改善剤とは、アストロサイトが、何らかの理由により活性化され、それが放出する因子により神経細胞が傷害を受けることで生じる疾患の治療に有効な薬剤である。この薬剤は、アストロサイトの活性化を抑制するだけでなく、活性化されたアストロサイトを正常なアストロサイトに戻す作用も有している。
本明細書中、R10、R11、R12およびR15によって表される「置換基を有していてもよい環状基」における「環状基」としては、例えば、炭素環または複素環が挙げられる。炭素環としては、例えばC3〜15の単環、二環または三環式炭素環、スピロ結合した二環式炭素環または架橋した二環式炭素環等が挙げられる。C3〜15の単環、二環または三環式炭素環には、C3〜15の単環、二環または三環式炭素環不飽和炭素環、その一部または全部が飽和している炭素環が含まれる。例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロウンデカン、シクロドデカン、シクロトリドデカン、シクロテトラデカン、シクロペンタデカン、シクロペンテン、シクロヘキセン、シクロヘプテン、シクロオクテン、シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロヘプタジエン、シクロオクタジエン、ベンゼン、ペンタレン、パーヒドロペンタレン、アズレン、パーヒドロアズレン、インデン、パーヒドロインデン、インダン、ナフタレン、ジヒドロナフタレン、テトラヒドロナフタレン、パーヒドロナフタレン、ヘプタレン、パーヒドロヘプタレン、ビフェニレン、as−インダセン、s−インダセン、アセナフチレン、アセナフテン、フルオレン、フェナレン、フェナントレン、アントラセン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、スピロ[5.5]ウンデカン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2−エン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタン、ビシクロ[3.1.1]ヘプタ−2−エン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[2.2.2]オクタ−2−エン、アダマンタン、ノルアダマンタン環等が挙げられる。このうち、C3〜15の単環、二環または三環式芳香族炭素環としては、例えば、ベンゼン、アズレン、ナフタレン、フェナントレン、アントラセン環等が挙げられる。
複素環としては、例えば酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む、3〜15員の単環、二環または三環式複素環、スピロ結合した二環式複素環または架橋した二環式複素環等が挙げられる。酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む3〜15員の単環、二環または三環式複素環には、酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む3〜15員の単環、二環または三環式不飽和複素環、その一部または全部が飽和している複素環が含まれる。例えば、ピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、アゼピン、ジアゼピン、フラン、ピラン、オキセピン、チオフェン、チオピラン、チエピン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、オキサジン、オキサジアジン、オキサゼピン、オキサジアゼピン、チアジアゾール、チアジン、チアジアジン、チアゼピン、チアジアゼピン、インドール、イソインドール、インドリジン、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、ジチアナフタレン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、キノリジン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、クロメン、ベンゾオキセピン、ベンゾオキサゼピン、ベンゾオキサジアゼピン、ベンゾチエピン、ベンゾチアゼピン、ベンゾチアジアゼピン、ベンゾアゼピン、ベンゾジアゼピン、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、β−カルボリン、アクリジン、フェナジン、ジベンゾフラン、キサンテン、ジベンゾチオフェン、フェノチアジン、フェノキサジン、フェノキサチイン、チアンスレン、フェナントリジン、フェナントロリン、ペリミジン、アジリジン、アゼチジン、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、トリアゾリン、トリアゾリジン、テトラゾリン、テトラゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトラヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、オキシラン、オキセタン、ジヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジヒドロピラン、テトラヒドロピラン、ジヒドロオキセピン、テトラヒドロオキセピン、パーヒドロオキセピン、チイラン、チエタン、ジヒドロチオフェン、テトラヒドロチオフェン、ジヒドロチオピラン、テトラヒドロチオピラン、ジヒドロチエピン、テトラヒドロチエピン、パーヒドロチエピン、ジヒドロオキサゾール、テトラヒドロオキサゾール(オキサゾリジン)、ジヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール(イソオキサゾリジン)、ジヒドロチアゾール、テトラヒドロチアゾール(チアゾリジン)、ジヒドロイソチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール(イソチアゾリジン)、ジヒドロフラザン、テトラヒドロフラザン、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール(オキサジアゾリジン)、ジヒドロオキサジン、テトラヒドロオキサジン、ジヒドロオキサジアジン、テトラヒドロオキサジアジン、ジヒドロオキサゼピン、テトラヒドロオキサゼピン、パーヒドロオキサゼピン、ジヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、ジヒドロチアジアゾール、テトラヒドロチアジアゾール(チアジアゾリジン)、ジヒドロチアジン、テトラヒドロチアジン、ジヒドロチアジアジン、テトラヒドロチアジアジン、ジヒドロチアゼピン、テトラヒドロチアゼピン、パーヒドロチアゼピン、ジヒドロチアジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン、オキサチアン、インドリン、イソインドリン、ジヒドロベンゾフラン、パーヒドロベンゾフラン、ジヒドロイソベンゾフラン、パーヒドロイソベンゾフラン、ジヒドロベンゾチオフェン、パーヒドロベンゾチオフェン、ジヒドロイソベンゾチオフェン、パーヒドロイソベンゾチオフェン、ジヒドロインダゾール、パーヒドロインダゾール、ジヒドロキノリン、テトラヒドロキノリン、パーヒドロキノリン、ジヒドロイソキノリン、テトラヒドロイソキノリン、パーヒドロイソキノリン、ジヒドロフタラジン、テトラヒドロフタラジン、パーヒドロフタラジン、ジヒドロナフチリジン、テトラヒドロナフチリジン、パーヒドロナフチリジン、ジヒドロキノキサリン、テトラヒドロキノキサリン、パーヒドロキノキサリン、ジヒドロキナゾリン、テトラヒドロキナゾリン、パーヒドロキナゾリン、ジヒドロシンノリン、テトラヒドロシンノリン、パーヒドロシンノリン、ベンゾオキサチアン、ジヒドロベンゾオキサジン、ジヒドロベンゾチアジン、ピラジノモルホリン、ジヒドロベンゾオキサゾール、パーヒドロベンゾオキサゾール、ジヒドロベンゾチアゾール、パーヒドロベンゾチアゾール、ジヒドロベンゾイミダゾール、パーヒドロベンゾイミダゾール、ジヒドロベンゾアゼピン、テトラヒドロベンゾアゼピン、ジヒドロベンゾジアゼピン、テトラヒドロベンゾジアゼピン、ベンゾジオキセパン、ジヒドロベンゾオキサゼピン、テトラヒドロベンゾオキサゼピン、ジヒドロカルバゾール、テトラヒドロカルバゾール、パーヒドロカルバゾール、ジヒドロアクリジン、テトラヒドロアクリジン、パーヒドロアクリジン、ジヒドロジベンゾフラン、ジヒドロジベンゾチオフェン、テトラヒドロジベンゾフラン、テトラヒドロジベンゾチオフェン、パーヒドロジベンゾフラン、パーヒドロジベンゾチオフェン、ジオキソラン、ジオキサン、ジチオラン、ジチアン、ジオキサインダン、ベンゾジオキサン、クロマン、ベンゾジチオラン、ベンゾジチアン環等が挙げられる。スピロ結合した二環式複素環としては、例えば、アザスピロ[4.4]ノナン、アザスピロ[4.5]デカン、アザスピロ[5.5]ウンデカン環等が挙げられる。架橋した二環式複素環としては、例えば、アザビシクロ[2.2.1]ヘプタン、アザビシクロ[3.1.1]ヘプタン、アザビシクロ[3.2.1]オクタン、アザビシクロ[2.2.2]オクタン環等が挙げられる。このうち、酸素原子、窒素原子および/または硫黄原子から選択される1〜5個のヘテロ原子を含む、3〜15員の単環、二環または三環式芳香族複素環としては、例えばピロール、イミダゾール、トリアゾール、テトラゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、フラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、フラザン、オキサジアゾール、チアジアゾール、インドール、イソインドール、ベンゾフラン、イソベンゾフラン、ベンゾチオフェン、イソベンゾチオフェン、インダゾール、キノリン、イソキノリン、プリン、フタラジン、プテリジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾフラザン、ベンゾチアジアゾール、ベンゾトリアゾール、カルバゾール、β−カルボリン、アクリジン、フェナジン、ジベンゾフラン、ジベンゾチオフェン、フェナントリジン、フェナントロリン、ペリミジン環等が挙げられる。
前記「置換基を有していてもよい環状基」における「置換基」としては、例えば、(a)置換基を有していてもよいアルキル基、(b)置換基を有していてもよいアルケニル基、(c)置換基を有していてもよいアルキニル基、(d)置換基を有していてもよい炭素環基、(e)置換基を有していてもよい複素環基、(f)置換基を有していてもよい水酸基、(g)置換基を有していてもよいチオール基、(h)置換基を有していてもよいアミノ基、(i)置換基を有していてもよいカルバモイル基、(j)置換基を有していてもよいスルファモイル基、(k)カルボキシ基、(l)アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル等のC1〜6アルコキシカルボニル基等)、(m)スルホ基、(n)スルフィノ基、(o)ホスホノ基、(p)ニトロ基、(q)オキソ基、(r)チオキソ基、(s)シアノ基、(t)アミジノ基、(u)イミノ基、(v)−B(OH)基、(w)ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、(x)アルキルスルフィニル基(例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル等のC1〜6アルキルスルフィニル基等)、(y)アリールスルフィニル基(例えば、フェニルスルフィニル等のC6〜10アリールスルフィニル基等)、(z)アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等のC1〜6アルキルスルホニル基等)、(aa)アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル等のC6〜10アリールスルホニル基等)、(bb)アシル基(例えばホルミル、アセチル、プロパノイル、ピバロイル等のC1〜10アルカノイル基、例えばベンゾイル等のC6〜10アリールカルボニル基等)等が挙げられ、これらの任意の置換基は置換可能な位置に1〜5個置換していてもよい。
「置換基を有していてもよいアルキル基」における置換基としての「アルキル基」としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル基等の直鎖状または分枝状のC1〜15アルキル基等が挙げられる。ここでアルキル基の置換基としては水酸基、アミノ基、カルボキシ基、ニトロ基、モノ−またはジ−C1〜10アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ等)、C1〜10アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デカニルオキシ等)、C1〜10アルキルカルボニルオキシ基(例えば、アセトキシ、エチルカルボニルオキシ等)、炭素環(前記した「置換基を有していてもよい環状基」における「環状基」中の炭素環と同じ意味を表す。)、複素環(前記した「置換基を有していてもよい環状基」における「環状基」中の複素環と同じ意味を表す。)、ハロゲン原子(フッ素、塩素、臭素、ヨウ素)、1〜3個のハロゲン原子で置換されたC1〜10アルコキシ基(例えば、モノフルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等)、−O−炭素環(前記した「置換基を有していてもよい環状基」における「環状基」中の炭素環と同じ意味を表す。)、および−O−複素環(前記した「置換基を有していてもよい環状基」における「環状基」中の複素環と同じ意味を表す。)等が挙げられ、これらの任意の置換基は置換可能な位置に1〜4個置換していてもよい。
「置換基を有していてもよいアルケニル基」における置換基としての「アルケニル基」としては、例えば、エテニル、プロペニル、ブテニル、ブタジエニル、ペンテニル、ペンタジエニル、ヘキセニル、ヘキサジエニル、ヘプテニル、ヘプタジエニル、オクテニル、オクタジエニル、ノネニル、ノナジエニル、デセニル、デカジエニル、ウンデセニル、ドデセニル、トリデセニル、テトラデセニル、ペンタデセニル基等の直鎖状または分枝状のC2〜15アルケニル基等が挙げられる。ここでアルケニル基の置換基は、前記「置換基を有していてもよいアルキル基」における置換基と同じ意味を表す。
「置換基を有していてもよいアルキニル基」における置換基としての「アルキニル基」としては、例えばエチニル、プロピニル、ブチニル、ブタジイニル、ペンチニル、ペンタジイニル、ヘキシニル、ヘキサジイニル、ヘプチニル、ヘプタジイニル、オクチニル、オクタジイニル、ノニニル、ノナジイニル、デシニル、デカジイニル、ウンデシニル、ドデシニル、トリデシニル、テトラデシニル、ペンタデシニル基等の直鎖状または分枝状のC2〜15アルキニル基等が挙げられる。ここでアルキニル基の置換基としては、前記「置換基を有していてもよいアルキル基」における置換基と同じ意味を表す。
「置換基を有していてもよい炭素環基」における置換基としての炭素環としては、前記した「置換基を有していてもよい環状基」における「環状基」中の炭素環と同じ意味を表す。ここで炭素環の置換基としては、例えば、直鎖状または分枝状のC1〜10アルキル基(前記「置換基を有していてもよいアルキル基」におけるアルキル基と同じ意味を表す。)、直鎖状または分枝状C2〜10アルケニル基(前記「置換基を有していてもよいアルケニル基」におけるアルケニル基と同じ意味を表す。)、直鎖状または分枝状C2〜10アルキニル基(前記「置換基を有していてもよいアルキニル基」におけるアルキニル基と同じ意味を表す。)、水酸基、C1〜6アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブチルオキシ、tert−ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ等)、チオール基、C1〜6アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、イソプロピルチオ、ブチルチオ、イソブチルチオ、tert−ブチルチオ、ペンチルチオ、ヘキシルチオ等)、アミノ基、モノ−またはジ−C1〜6アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、エチルアミノ、プロピルアミノ、イソプロピルアミノ、ブチルアミノ、イソブチルアミノ、tert−ブチルアミノ、ペンチルアミノ、ヘキシルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、N−メチル−N−エチルアミノ等)、ハロゲン原子(前記したものと同じ意味を表す。)、シアノ基、ニトロ基、トリフルオロメチル基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられ、これらの任意の置換基は置換可能な位置に1〜5個置換していてもよい。
「置換基を有していてもよい複素環基」における置換基としての複素環としては、前記した「置換基を有していてもよい環状基」における「環状基」中の複素環と同じ意味を表す。ここで複素環の置換基としては前記した「置換基を有していてもよい炭素環基」における置換基と同じ意味を表す。
「置換基を有していてもよい水酸基」、「置換基を有していてもよいチオール基」および「置換基を有していてもよいアミノ基」における「置換基」としては、例えば、(i)置換基を有していてもよいアルキル基(前記したものと同じ意味を表す。)、(ii)置換基を有していてもよいアルケニル基(前記したものと同じ意味を表す。)、(iii)置換基を有していてもよいアルキニル基(前記したものと同じ意味を表す。)、(iv)置換基を有していてもよい炭素環基(前記したものと同じ意味を表す。)、(v)置換基を有していてもよい複素環基(前記したものと同じ意味を表す。)、(vi)アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ピバロイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル等のC1〜6アルカノイル基またはそれらの異性体基またはベンゾイル等のC6〜10芳香族炭素環カルボニル等)、(vii)置換基を有していてもよいカルバモイル基(後記したものと同じ意味を表す。)、(viii)アルキルスルホニル基(例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル等のC1〜6アルキルスルホニル基等)、(ix)アリールスルホニル基(例えば、フェニルスルホニル等のC6〜10アリールスルホニル基等)等が挙げられる。
置換基としての「置換基を有していてもよいカルバモイル基」としては、無置換のカルバモイル基、N−モノ−C1〜6アルキルカルバモイル(例えば、N−メチルカルバモイル、N−エチルカルバモイル、N−プロピルカルバモイル、N−イソプロピルカルバモイル、N−ブチルカルバモイル、N−イソブチルカルバモイル、N−(tert−ブチル)カルバモイル、N−ペンチルカルバモイル、N−ヘキシルカルバモイル等)、N−フェニルカルバモイル等のN−モノ−C6〜10アリールカルバモイル、N,N−ジC1〜6アルキルカルバモイル(例えば、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジエチルカルバモイル、N,N−ジプロピルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル、N,N−ジペンチルカルバモイル、N,N−ジヘキシルカルバモイル、N−メチル−N−エチルカルバモイル等)、N,N−ジフェニルカルバモイル等のN−ジ−C6〜10アリールカルバモイル、N−C6〜10アリール−N−C1〜6アルキルカルバモイル(例えば、N−フェニル−N−メチルカルバモイル、N−フェニル−N−エチルカルバモイル、N−フェニル−N−プロピルカルバモイル、N−フェニル−N−ブチルカルバモイル、N−フェニル−N−ペンチルカルバモイル、N−フェニル−N−ヘキシルカルバモイル等)等が挙げられる。
置換基としての「置換基を有していてもよいスルファモイル基」としては、無置換のスルファモイル基、N−モノ−C1〜6アルキルスルファモイル(例えば、N−メチルスルファモイル、N−エチルスルファモイル、N−プロピルスルファモイル、N−イソプロピルスルファモイル、N−ブチルスルファモイル、N−イソブチルスルファモイル、N−(tert−ブチル)スルファモイル、N−ペンチルスルファモイル、N−ヘキシルスルファモイル等)、N−フェニルスルファモイル等のN−モノ−C6〜10アリールスルファモイル、N,N−ジC1〜6アルキルスルファモイル(例えば、N,N−ジメチルスルファモイル、N,N−ジエチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N,N−ジブチルスルファモイル、N,N−ジペンチルスルファモイル、N,N−ジヘキシルスルファモイル、N−メチル−N−エチルスルファモイル等)、N,N−ジフェニルスルファモイル等のN−ジ−C6〜10アリールスルファモイル、N−C6〜10アリール−N−C1〜6アルキルスルファモイル(例えば、N−フェニル−N−メチルスルファモイル、N−フェニル−N−エチルスルファモイル、N−フェニル−N−プロピルスルファモイル、N−フェニル−N−ブチルスルファモイル、N−フェニル−N−ペンチルスルファモイル、N−フェニル−N−ヘキシルスルファモイル等)等が挙げられる。
本明細書中、R10、R11、R12およびR15によって表される「置換基を有していてもよいアルキル基」とは、前記した置換基を有していてもよい環状基の置換基における「置換基を有していてもよいアルキル基」と同じ意味を表す。
本明細書中、R11およびR12は、結合する窒素原子と一緒になって形成する「複素環」とは、例えば、1〜2個の窒素原子と、1個の酸素原子および/または1個の硫黄原子を含む5〜7員の単環複素環アリール、またはその一部または全部が飽和したもの等である。例えば、ピロール、イミダゾール、ピラゾール、ピロリン、ピロリジン、イミダゾリン、イミダゾリジン、ピラゾリン、ピラゾリジン、ジヒドロピリジン、テトラヒドロピリジン、ピペリジン、ジヒドロピラジン、テトロヒドロピラジン、ピペラジン、ジヒドロピリミジン、テトラヒドロピリミジン、パーヒドロピリミジン、ジヒドロピリダジン、テトラヒドロピリダジン、パーヒドロピリダジン、ジヒドロアゼピン、テトラヒドロアゼピン、パーヒドロアゼピン、ジヒドロジアゼピン、テトラヒドロジアゼピン、パーヒドロジアゼピン、テトラヒドロオキサゾール、テトラヒドロイソオキサゾール、テトラヒドロチアゾール、テトラヒドロイソチアゾール、ジヒドロオキサジアゾール、テトラヒドロオキサジアゾール、ジヒドロチオジアゾール、テトラヒドロチオジアゾール、テトラヒドロオキサジアジン、テトラヒドロチアジアジン、テトラヒドロオキサジアゼピン、パーヒドロオキサアゼピン、パーヒドロオキサジアゼピン、テトラヒドロチアジアゼピン、パーヒドロチアアゼピン、パーヒドロチアジアゼピン、モルホリン、チオモルホリン環等が挙げられる。
本明細書中、R、R1−1、R1−2、R1−3、R1−4、R1−5、R1−6、R13および、R14によって表される「保護されていてもよい水酸基」における「保護基」としては、(i)置換基を有していてもよいアルキル基(前記したものと同じ意味を表す。)、(ii)置換基を有していてもよいアルケニル基(前記したものと同じ意味を表す。)、(iii)置換基を有していてもよいアルキニル基(前記したものと同じ意味を表す。)、(iv)置換基を有していてもよい炭素環基(前記したものと同じ意味を表す。)、(v)置換基を有していてもよい複素環基(前記したものと同じ意味を表す。)、(vi)置換されたシリル基(例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基等)、(vii)置換基を有していてもよいアシル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロパノイル、ピバロイル、ブタノイル、ペンタノイル、ヘキサノイル、パルミトイル、ジメチルアミノメチルカルボニル基、アラニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル等のC1〜15アルカノイル基またはそれらの異性体基またはベンゾイル等のC6〜10芳香族炭素環カルボニル等)等が挙げられる。好ましい保護されていてもよい水酸基としては、例えば、脱離能を有する保護基で保護された水酸基等が挙げられる。該脱離能を有する保護基としては、例えば、トリチル基、メトキシメチル(MOM)基、1−エトキシエチル(EE)基、メトキシエトキシメチル(MEM)基、ベンジル(Bn)基、p−メトキシベンジル基、2−テトラヒドロピラニル(THP)基、トリメチルシリル(TMS)基、トリエチルシリル(TES)基、t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)基、t−ブチルジフェニルシリル(TBDPS)基、アセチル(Ac)基、プロパノイル基、ピバロイル基、パルミトイル基、ジメチルアミノメチルカルボニル基、アラニル基、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc)基、ベンゾイル基、アリルオキシカルボニル(Alloc)基が挙げられる。
本明細書中、R14によって表される「C1〜11アルキル基」とは、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル基等の直鎖状または分枝状のC1〜11アルキル基等が挙げられる。
一般式(I)で示される化合物のうち、好ましい化合物としては、一般式(I−1)

(式中、すべての記号は、前記と同じ意味を表す。)で示される化合物、
一般式(I−2)

(式中、すべての記号は、前記と同じ意味を表す。)で示される化合物、または
一般式(I−3)

(式中、すべての記号は、前記と同じ意味を表す。)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグ等が挙げられる。より好ましい化合物は、一般式(I−2)で示される化合物である。
さらに、一般式(I)で示される本発明化合物の好ましい化合物としては、例えば、(2R)−7−オキソ−2−プロピルオクタン酸、(2R,7R)−7−ヒドロキシ−2−プロピルオクタン酸、(2R,7S)−7−ヒドロキシ−2−プロピルオクタン酸、(2R)−8−ヒドロキシ−2−プロピルオクタン酸、(2R)−2−プロピルスベリン酸、(2R)−6−ヒドロキシ−2−プロピルオクタン酸、(2R)−6−オキソ−2−プロピルオクタン酸、(2S)−2−(2−ヒドロキシプロピル)オクタン酸、(2S)−2−(2−オキソプロピル)オクタン酸および(2S)−2−(3−ヒドロキシプロピル)オクタン酸、その塩またはそれらのプロドラッグ等が挙げられる。より好ましくは、例えば、(2R)−7−オキソ−2−プロピルオクタン酸、(2R,7R)−7−ヒドロキシ−2−プロピルオクタン酸、(2R,7S)−7−ヒドロキシ−2−プロピルオクタン酸および(2R)−8−ヒドロキシ−2−プロピルオクタン酸、その塩またはそれらのプロドラッグ等が挙げられる。特に好ましくは、例えば、(2R)−7−オキソ−2−プロピルオクタン酸および(2R)−8−ヒドロキシ−2−プロピルオクタン酸、その塩またはそれらのプロドラッグ等が挙げられる。
本発明においては、特に断わらない限り、当業者にとって明らかなように

とを表す。
一般式(I)で示される本発明化合物の塩には薬理学的に許容されるものすべてが含まれる。薬理学的に許容される塩は毒性のない、水溶性のものが好ましい。適当な塩としては、例えば、アルカリ金属(カリウム、ナトリウム、リチウム等)の塩、アルカリ土類金属(カルシウム、マグネシウム等)の塩、アンモニウム塩(テトラメチルアンモニウム塩、テトラブチルアンモニウム塩等)、有機アミン(トリエチルアミン、メチルアミン、ジメチルアミン、シクロペンチルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ピペリジン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリス(ヒドロキシメチル)メチルアミン、リジン、アルギニン、N−メチル−D−グルカミン等)の塩、酸付加物塩[無機酸塩(塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸塩等)、有機酸塩(酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、シュウ酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、クエン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、トルエンスルホン酸塩、イセチオン酸塩、グルクロン酸塩、グルコン酸塩等)等]が挙げられる。本発明化合物の塩には、溶媒和物、および上記本発明化合物のアルカリ(土類)金属塩、アンモニウム塩、有機アミン塩、酸付加物塩の溶媒和物も含まれる。溶媒和物は非毒性かつ水溶性であることが好ましい。適当な溶媒和物としては、例えば水、アルコール系溶媒(エタノール等)等の溶媒和物が挙げられる。本発明化合物は、公知の方法で薬理学的に許容される塩に変換される。さらに塩には、四級アンモニウム塩も含まれる。
また、一般式(I)で示される本発明化合物のプロドラッグは、生体内において酵素や胃酸等による反応により一般式(I)で示される本発明化合物に変換される化合物をいう。一般式(I)で示される化合物のプロドラッグとしては、一般式(I)で示される本発明化合物が水酸基を有する場合、その水酸基がアシル化、アルキル化、リン酸化、ホウ酸化された化合物(例えば、一般式(I)で示される本発明化合物の水酸基がアセチル化、パルミトイル化、プロパノイル化、ピバロイル化、サクシニル化、フマリル化、アラニル化、ジメチルアミノメチルカルボニル化された化合物など);一般式(I)で示される本発明化合物がカルボキシ基を有する場合、そのカルボキシ基がエステル化、アミド化された化合物(例えば、一般式(I)で示される本発明化合物のカルボキシ基がエチルエステル化、フェニルエステル化、カルボキシメチルエステル化、ジメチルアミノメチルエステル化、ピバロイルオキシメチルエステル化、エトキシカルボニルオキシエチルエステル化、フタリジルエステル化、(5−メチル−2−オキソ−1,3−ジオキソレン−4−イル)メチルエステル化、シクロヘキシルオキシカルボニルエチルエステル化、メチルアミド化された化合物など);等が挙げられる。これらの化合物は公知の方法によって製造することができる。また、一般式(I)で示される本発明化合物のプロドラッグは水和物および非水和物のいずれであってもよい。
例えば、一般式(I)で示される化合物のプロドラッグには、
一般式(II)

(式中、R10は、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよい環状基を表し、他の記号は前記と同じ意味を表す。)で示される化合物、
一般式(III)

(式中、R11およびR12はそれぞれ独立して、水素原子、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよい環状基を表すか、R11およびR12は、結合する窒素原子と一緒になって、複素環を形成してもよく、他の記号は前記と同じ意味を表す。)で示される化合物、
一般式(IV)

(式中、tは0または1〜2の整数を表し、pは1または2を表し、R13は(1)水素原子、(2)水酸基または(3)保護されていてもよい水酸基またはオキソ基を有していてもよいメチル基を表し、Qは−O−または−NR15−(R15は、置換基を有していてもよいアルキル基または置換基を有していてもよい環状基を表す。)他の記号は前記と同じ意味を表す。ただし、一般式(IV)中の総炭素数は、8〜18個であり、かつ保護されていてもよい水酸基またはオキソ基の総数は、0または1〜2個である。)で示される化合物、
一般式(V)

(式中、qは1〜12の整数を表し、R14は(1)水素原子、(2)水酸基または(3)保護されていてもよい水酸基またはオキソ基を有していてもよいC1〜11アルキル基を表し、他の記号は前記と同じ意味を表す。ただし、一般式(V)中の総炭素数は、8〜18個であり、かつ保護されていてもよい水酸基またはオキソ基の総数は、0または1〜2個である。)で示される化合物等が含まれる。
一般式(I)で示される本発明化合物は、溶解性、吸収性に優れた化合物である。また、本発明化合物は、薬物代謝酵素の阻害が弱い化合物である。これらの性質は医薬品として開発するにあたり要求される最も重要な物理的、化学的、薬学的性質であり、本発明化合物は大変優れた医薬品となる条件を持ち合わせている[ザ・メルク・マニュアル・オブ・ダイアグノウシス・アンド・セラピー(17版)、メルク&Co.出版(The Merck Manual of Diagnosis and Therapy(17th Ed),Merck & Co.)参照]。
[本発明化合物の製造方法]
一般式(I)で示される本発明化合物は、公知の方法、例えば、EP0632008号明細書、WO99/58513号パンフレット、WO00/48982号パンフレット、WO03/051852号パンフレット、WO03/097851号パンフレット等に記載の方法、コンプレヘンシブ・オーガニック・トランスフォーメーションズ(Comprehensive Organic Transformations:A Guide to Functional Group Preparations、第2版)(Richard C.Larock著、John Wiley & Sons Inc、1999)に記載された方法、あるいは以下に示す方法および/またはそれに準じた方法を適宜改良して、組み合わせることにより製造することができる。なお、以下の各製造方法において、原料化合物は塩として用いてもよい。このような塩としては、前記した一般式(I)の塩として記載したものが用いられる。
一般式(I)で示される化合物は、一般式(2)

[式中、Rは、C1〜8アルコキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、t−ブチルオキシ基等)、一般式(2−1)

(基中、Rは、イソプロピルまたはベンジル基を表し、*は不斉炭素原子を表す。)、または一般式(2−2)

を表し、その他の記号は前記と同じ意味を表す。]
で示される化合物を加水分解反応に付し、さらに、所望により水酸基の脱保護反応に付すことにより製造することができる。
この加水分解反応は公知であり、例えば、RがC1〜8アルコキシ基の場合は、アルカリ加水分解、酸性条件下における加水分解等が用いられる。アルカリ加水分解は、例えば、有機溶媒(例えば、メタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)中、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等)、アルカリ土類金属の水酸化物(例えば、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等)または炭酸塩(例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)あるいはその水溶液もしくはこれらの混合物を用いて、0〜40℃の温度で行なわれる。酸条件下での加水分解は、例えば、有機溶媒(例えば、メタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン等)中、有機酸(例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルホン酸、p−トシル酸等)、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸等)もしくはこれらの混合物(例えば、臭化水素/酢酸等)あるいはその水溶液もしくはこれらの混合物を用いて、0〜100℃の温度で行なわれる。例えば、Rが一般式(II−1)の場合は、例えば、有機溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、エチレングリコールジメチルエーテル等)中、過酸(例えば、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシドまたはそれらの水溶液等)存在下または非存在下、水酸化テトラアルキルアンモニウム(例えば、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化テトライソプロピルアンモニウム、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラオクチルアンモニウムまたはそれらの水溶液等)を用いて、−20〜40℃で反応させることにより行われる。例えば、Rが一般式(II−2)の場合は、(i)アルカリ金属の水酸化物を用いる方法、または(ii)水酸化テトラアルキルアンモニウムを用いる方法等によって行われる。
(i)水酸化アルカリ金属を用いる方法は公知であり(Tetrahedron,43,1969(1987)およびHelv.Chim.Acta.,72,1337(1989)参照)、例えば、水と混和する溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサンまたはそれらの水との混合溶媒等)中、過酸(例えば、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシドまたはそれらの水溶液等)存在下または非存在下、アルカリ金属の水酸化物(例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムまたはその水溶液等)を用いて、0℃〜40℃の温度で行なわれる。
(ii)水酸化テトラアルキルアンモニウムを用いる方法は公知であり(WO99/158513号パンフレット参照)、例えば、水と混和する溶媒(例えば、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、t−ブタノール、ジオキサンまたはそれらの水との混合溶媒等)中、過酸(例えば、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシドまたはそれらの水溶液等)存在下または非存在下、水酸化テトラアルキルアンモニウム(例えば、水酸化テトラブチルアンモニウム、水酸化テトラオクチルアンモニウム、水酸化テトラデシルアンモニウムまたはその水溶液等)を用いて、−20℃〜40℃の温度で行なわれる。ただし、化合物中に二重結合または三重結合を有する場合、過酸による二重結合または三重結合の酸化防止のために、過剰量の二重結合を有する化合物(2−メチル−2−ブテン等)の存在下で行なわれる。
この水酸基の脱保護反応は公知であり、例えば、(1)アルカリ加水分解による脱保護反応、(2)酸性条件下における脱保護反応、(3)加水素分解による脱保護反応、(4)シリル基の脱保護反応、(5)金属を用いた脱保護反応、(6)金属錯体を用いた脱保護反応等が挙げられる。これらの方法を具体的に説明すると、
(1)アルカリ加水分解による脱保護反応は、例えば、前記したアルカリ加水分解と同様の方法等によって行なわれる。
(2)酸条件下での脱保護反応は、例えば、酸条件下での加水分解と同様の方法等によって行なわれる。
(3)加水素分解による脱保護反応は、例えば、溶媒(エーテル系(テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメトキシエタン、ジエチルエーテル等)、アルコール系(メタノール、エタノール等)、ベンゼン系(ベンゼン、トルエン等)、ケトン系(アセトン、メチルエチルケトン等)、ニトリル系(アセトニトリル等)、アミド系(ジメチルホルムアミド等)、水、酢酸エチル、酢酸またはそれらの2以上の混合溶媒等)中、触媒(パラジウム−炭素、パラジウム黒、水酸化パラジウム、酸化白金、ラネーニッケル等)の存在下、常圧または加圧下の水素雰囲気下またはギ酸アンモニウム存在下、0〜200℃の温度で行なわれる。
(4)シリル基の脱保護反応は、例えば、水と混和しうる有機溶媒(テトラヒドロフラン、アセトニトリル等)中、テトラブチルアンモニウムフルオライドを用いて、0〜40℃の温度で行なわれる。
(5)金属を用いた脱保護反応は、例えば、酸性溶媒(酢酸、pH4.2〜7.2の緩衝液またはそれらの溶液とテトラヒドロフラン等の有機溶媒との混合液)中、粉末亜鉛の存在下、必要であれば超音波をかけながら、0〜40℃の温度で行なわれる。
(6)金属錯体を用いる脱保護反応は、例えば、有機溶媒(ジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、酢酸エチル、アセトニトリル、ジオキサン、エタノール等)、水またはそれらの混合溶媒中、トラップ試薬(水素化トリブチルスズ、トリエチルシラン、ジメドン、モルホリン、ジエチルアミン、ピロリジン等)、有機酸(酢酸、ギ酸、2−エチルヘキサン酸等)および/または有機酸塩(2−エチルヘキサン酸ナトリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム等)の存在下、ホスフィン系試薬(トリフェニルホスフィン等)の存在下または非存在下、金属錯体(テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(0)、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)、酢酸パラジウム(II)、塩化トリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム(I)等)を用いて、0〜40℃の温度で行なわれる。
また、上記以外にも、例えば、T.W.Greene,Protective Groups in Organic Synthesis,Wiley,New York,1999に記載された方法によって、脱保護反応を行なうことができる。当業者には容易に理解できることではあるが、これらの脱保護反応を使い分けることにより、目的とする本発明化合物が容易に製造することができる。
一般式(I)で示される本発明化合物のうち、Rがオキソ基を表す化合物、すなわち一般式(I−A)

(式中、R1−Aはオキソ基を表し、他の記号は前記と同じ意味を表す。)で示される化合物は、前記方法で製造されたRが水酸基を表す化合物、すなわち一般式(I−B)

(式中、R1−Bは水酸基を表し、他の記号は前記と同じ意味を表す。)で示される化合物を酸化反応に付すことよって製造することができる。
上記の酸化反応は公知であり、例えば、(1)スワン酸化(Swern oxidation)を用いる方法、(2)デス−マーチン試薬(Dess−Martin Reagent)を用いる方法、(3)テンポ(TEMPO)試薬を用いる方法等が挙げられる。これらの方法を具体的に説明すると、
(1)スワン酸化を用いる方法は、例えば、有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン等)中、オキザリルクロライドとジメチルスルホキシドを−78℃で反応させ、得られた溶液にアルコール化合物を反応させ、さらに三級アミン(トリエチルアミン、N,N−ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルピペリジン、ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセ−7−エン等)と−78〜20℃で反応させることにより行なわれる。
(2)デス−マーチン試薬を用いる方法は、例えば、有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、t−ブチルアルコール等)中、デス−マーチン試薬(1,1,1−トリアセトキシ−1,1−ジヒドロ−1,2−ベンゾヨードキソール−3−(1H)−オン)の存在下、塩基(ピリジン等)の存在下または非存在下、0〜40℃で反応させることにより行なわれる。
(3)TEMPO試薬を用いる方法は、例えば、有機溶媒(クロロホルム、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトニトリル、酢酸エチル、水等)中またはそれらの混合溶媒中、テンポ試薬(2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ,フリーラジカル)および再酸化剤(過酸化水素水、次亜塩素酸ナトリウム、3−クロロ過安息香酸、ヨードベンゼンジアセテート、ポタシウムパーオキシモノスルフェート(オキソン;商品名)等)を用いて、四級アンモニウム塩(テトラブチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムブロミド等)の存在下または非存在下、無機塩(臭化ナトリウム、臭化カリウム等)の存在下または非存在下、無機塩基(炭酸水素ナトリウム、酢酸ナトリウム等)の存在下または非存在下、20〜60℃で反応させることにより行なわれる。
その他の酸化反応としては、上記した以外にも容易にかつ選択的に酸化できるものであれば特に限定されない。例えば、ジョーンズ酸化、クロロクロム酸ピリジニウム(PCC)による酸化、三酸化イオウ・ピリジン錯体を用いる酸化または「Comprehensive Organic Transformations」(Richard C.Larock,VCH Publishers,Inc.,(1989))に記載されたものが用いられる。
一般式(I)で示される本発明化合物のうち、末端の同一炭素原子にRが2個置換し、かつその置換基がオキソ基と水酸基である化合物(すなわち、末端の炭素原子がカルボキシル基を表す化合物)、すなわち一般式(I−C)

(式中、R1−Cは末端の炭素原子がカルボキシル基を表し、他の記号は前記と同じ意味を表す。)で示される化合物は、一般式(I−B)で示される化合物を酸化反応に付すことよって製造することができる。
上記の酸化反応は公知であり、例えば、(1)クロム酸を用いる方法、(2)過マンガン酸を用いる方法、(3)テンポ(TEMPO)試薬を用いる方法等が挙げられる。クロム酸を用いる方法または過マンガン酸を用いる方法は、「Comprehensive Organic Transformations」(Richard C.Larock,VCH Publishers,Inc.,(1989))に記載された方法によって行われる。テンポ(TEMPO)試薬を用いる方法は、前記の方法によって行なわれる。
一般式(2)で示される本発明化合物は、公知の方法、例えば、以下の反応工程式1に示す方法、これらに準ずる方法または実施例に示す方法によって製造することができる。

上記反応工程式1中、R1−10は、1〜3個の保護されていてもよい水酸基によって任意の位置に置換されてもよいプロピルまたはプロペニル基を表し、Xは、水酸基またはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素原子等)を表し、R1−11は、1〜3個の保護されていてもよい水酸基によって任意の位置に置換されてもよいC3〜13アルキル基またはC3〜13アルケニル基を表し、Yは、脱離基(例えば、ハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、ヨウ素原子等)、p−トルエンスルホニルオキシ基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基、メタンスルホニルオキシ基等)を表し、他の記号は前記と同じ意味を表す。
出発原料として用いられる一般式(3−1)、(3−2)、(4)、(5−1)、(5−2)、(6−1)または(6−2)で示される化合物は、公知化合物であるか、または公知の方法、または実施例記載の方法に準じて製造することができる。
本明細書中の各反応において、加熱を伴う反応は、当業者にとって明らかなように、水浴、油浴、砂浴またはマイクロウェーブを用いて行なうことができる。
本明細書中の各反応において、適宜、高分子ポリマー(例えば、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、ポリプロピレン、ポリエチレングリコール等)に担持させた固相担持試薬を用いてもよい。
本明細書中の各反応において、反応生成物は通常の精製手段、例えば、常圧下または減圧下における蒸留、シリカゲルまたはケイ酸マグネシウムを用いた高速液体クロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー、イオン交換樹脂、スカベンジャー樹脂あるいはカラムクロマトグラフィーまたは洗浄、再結晶などの方法により精製することができる。精製は各反応ごとに行なってもよいし、いくつかの反応終了後に行なってもよい。
[医薬品への適用]
一般式(I)で示される本発明化合物、その塩またはそれらのプロドラッグは、アストロサイト機能改善作用、脳機能改善作用および/またはS100β発現抑制作用を有しており、神経変性疾患治療剤として有用である。なお、本発明における「治療剤」には、病態を治癒の方向へ導く、いわゆる「治療剤」という意味に加え、悪化を抑制し病態の進行をとどめるという、いわゆる「進展防止剤」という意味も含まれる。
ここで、神経変性疾患とは、神経細胞の変性を伴う疾患をすべて包含し、その病因によって限定されるものではない。本発明における神経変性疾患には、神経障害による疾患も含まれる。神経細胞は、生体内の如何なる神経細胞であってもよく、例えば、中枢神経(例えば、脳神経、脊髄神経等)、末梢神経(例えば、自律神経系(例えば、交感神経、副交感神経等)等)等の細胞であってもよい。神経変性疾患として好ましくは、例えば、中枢神経の疾患であり、例えば、パーキンソン病、パーキンソン症候群、アルツハイマー病、ダウン症、筋萎縮性側索硬化症、家族性筋萎縮性側索硬化症、進行性核上麻痺、ハンチントン病、脊髄小脳変性症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、オリーブ橋小脳萎縮症、皮質基底核変性症、家族性痴呆症、前頭側頭型痴呆症、老年性痴呆、びまん性レビー小体病、線条体−黒質変性症、舞踏病−無定位運動症、ジストニア、メージ症候群、晩発性小脳皮質萎縮症、家族性痙性対麻痺、運動神経病、マッカードジョセフ病、ピック病、もやもや病、脳卒中(例えば、脳出血(例えば、高血圧性脳内出血等)、脳梗塞(例えば、脳血栓、脳塞栓等)、一過性虚血発作、クモ膜下出血等)、脳血管障害(例えば、脳出血、脳梗塞、一過性虚血発作、クモ膜下出血等)後の神経機能障害、脳脊髄外傷後の神経機能障害、脱髄疾患(例えば、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎、急性小脳炎、横断性脊髄炎等)、脳腫瘍(例えば、星状膠細胞腫等)、感染症に伴う脳脊髄疾患(例えば、髄膜炎、脳膿瘍、クロイツフェルド−ヤコブ病、エイズ痴呆等)、精神疾患(統合失調症、躁うつ病、神経症、心身症、てんかん等)等が挙げられる。神経変性疾患としてより好ましくは、例えば、脳卒中等であり、特に好ましくは、例えば、脳梗塞等である。とりわけ、急性期脳梗塞が好ましい。厳密に解されるべきでは無いが、急性期脳梗塞とは、発症後2週間以内の脳梗塞を意味する。
神経障害は、神経機能の障害であればすべて包含する。神経障害としては、例えば、一過性失明(例えば、一過性黒内障等)、意識障害、反対側片麻痺、感覚障害、失語、交代性片麻痺、両側性四肢麻痺、感覚障害、同名性半盲、めまい、耳鳴、眼振、複視、昏睡等が挙げられるが、好ましくは、前記神経変性疾患に伴うこれらの神経障害等である。
一般式(I)で示される本発明化合物およびその塩を上記の目的で用いるには、通常、全身的または局所的に、経口または非経口で投与される。
投与量は、本発明に用いる化合物により異なり、また、年齢、体重、症状、治療効果、投与方法、処理時間等により異なるが、経口投与の場合は、通常、成人一人あたり、1回につき、1μgから1000mgの範囲で、1日1回から数回投与される。非経口投与の場合は、成人一人あたり、1回につき、0.1ngから100mgの範囲で、1日1回から数回投与され、その非経口投与形態は、好ましくは静脈内投与であり、1日1時間から24時間の範囲で静脈内に持続投与される。
もちろん前記したように、投与量は種々の条件により変動するので、上記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また範囲を越えて投与の必要な場合もある。
一般式(I)で示される本発明化合物と他の薬剤の併用剤を投与する際には、例えば、経口投与のための内服用固形剤、内服用液剤および非経口投与のための注射剤、外用剤、坐剤、吸入剤または経鼻剤として用いられる。
経口投与のための内服用固形剤には、錠剤、丸剤、カプセル剤、散剤、顆粒剤などが含まれる。カプセル剤には、ハードカプセルおよびソフトカプセルが含まれる。また錠剤には舌下錠、口腔内貼付錠、口腔内速崩壊錠などが含まれる。
このような内服用固形剤においては、一つまたはそれ以上の活性物質はそのままか、または賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。さらにゼラチンのような吸収されうる物質のカプセルも包含される。
舌下錠は公知の方法に準じて製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質に賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、コロイダルシリカ、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(デンプン、L−ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、膨潤剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カーボポール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、グアーガム等)、膨潤補助剤(グルコース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルトース、トレハロース、リン酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、グリシン、グルタミン酸、アルギニン等)安定剤、溶解補助剤(ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルタミン酸、アスパラギン酸等)、香味料(オレンジ、ストロベリー、ミント、レモン、バニラ等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。また、必要に応じて常用される防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を加えることもできる。口腔内貼付錠は公知の方法に準じて製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質に賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、コロイダルシリカ、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(デンプン、L−ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、付着剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カーボポール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルアルコール、キサンタンガム、グアーガム等)、付着補助剤(グルコース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルトース、トレハロース、リン酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、グリシン、グルタミン酸、アルギニン等)安定剤、溶解補助剤(ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルタミン酸、アスパラギン酸等)、香味料(オレンジ、ストロベリー、ミント、レモン、バニラ等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。また、必要に応じて常用される防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘昧剤等の添加物を加えることもできる。
口腔内速崩壊錠は公知の方法に準じて製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質をそのまま、あるいは原末もしくは造粒原末粒子に適当なコーティング剤(エチルセルロース、ヒドキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アクリル酸メタクリル酸コポリマー等)、可塑剤(ポリエチレングリコール、クエン酸トリエチル等)を用いて被覆を施した活性物質に賦形剤(ラクトース、マンニトール、グルコース、微結晶セルロース、コロイダルシリカ、デンプン等)、結合剤(ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム等)、崩壊剤(デンプン、L−ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、クロスカルメロースナトリウム、繊維素グリコール酸カルシウム等)、滑沢剤(ステアリン酸マグネシウム等)、分散補助剤(グルコース、フルクトース、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、マルトース、トレハロース、リン酸塩、クエン酸塩、ケイ酸塩、グリシン、グルタミン酸、アルギニン等)安定剤、溶解補助剤(ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グルタミン酸、アスパラギン酸等)、香味料(オレンジ、ストロベリー、ミント、レモン、バニラ等)等と混合され、常法に従って製剤化して用いられる。また、必要によりコーティング剤(白糖、ゼラチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート等)で被覆していてもよいし、また2以上の層で被覆していてもよい。また、必要に応じて常用される防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤等の添加物を加えることもできる。
経口投与のための内服用液剤は、薬剤的に許容される水剤、懸濁剤、乳剤、シロップ剤、エリキシル剤等を含む。このような液剤においては、ひとつまたはそれ以上の活性物質が、一般的に用いられる希釈剤(精製水、エタノールまたはそれらの混液等)に溶解、懸濁または乳化される。さらにこの液剤は、湿潤剤、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、風味剤、芳香剤、保存剤、緩衝剤等を含有していてもよい。
非経口投与のための外用剤の剤形には、例えば、軟膏剤、ゲル剤、クリーム剤、湿布剤、貼付剤、リニメント剤、噴霧剤、吸入剤、スプレー剤、エアゾル剤、点眼剤、および点鼻剤等が含まれる。これらはひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、公知の方法または通常使用されている処方により製造される。
軟膏剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に研和、または溶融させて製造される。軟膏基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸または高級脂肪酸エステル(アジピン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸エステル、ミリスチン酸エステル、パルミチン酸エステル、ステアリン酸エステル、オレイン酸エステル等)、ロウ類(ミツロウ、鯨ロウ、セレシン等)、界面活性剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸エステル等)、高級アルコール(セタノール、ステアリルアルコール、セトステアリルアルコール等)、シリコン油(ジメチルポリシロキサン等)、炭化水素類(親水ワセリン、白色ワセリン、精製ラノリン、流動パラフィン等)、グリコール類(エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、マクロゴール等)、植物油(ヒマシ油、オリーブ油、ごま油、テレピン油等)、動物油(ミンク油、卵黄油、スクワラン、スクワレン等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保湿剤、保存剤、安定化剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
ゲル剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させて製造される。ゲル基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、低級アルコール(エタノール、イソプロピルアルコール等)、ゲル化剤(カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、エチルセルロース等)、中和剤(トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン等)、界面活性剤(モノステアリン酸ポリエチレングリコール等)、ガム類、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
クリーム剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融または乳化させて製造される。クリーム基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高級脂肪酸エステル、低級アルコール、炭化水素類、多価アルコール(プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール等)、高級アルコール(2−ヘキシルデカノール、セタノール等)、乳化剤(ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、脂肪酸エステル類等)、水、吸収促進剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
湿布剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、練合物とし支持体上に展延塗布して製造される。湿布基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、増粘剤(ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、デンプン、ゼラチン、メチルセルロース等)、湿潤剤(尿素、グリセリン、プロピレングリコール等)、充填剤(カオリン、酸化亜鉛、タルク、カルシウム、マグネシウム等)、水、溶解補助剤、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
貼付剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物質を基剤に溶融させ、支持体上に展延塗布して製造される。貼付剤用基剤は公知あるいは通常使用されているものから選ばれる。例えば、高分子基剤、油脂、高級脂肪酸、粘着付与剤、かぶれ防止剤から選ばれるもの単独または2種以上を混合して用いられる。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
リニメント剤は公知または通常使用されている処方により製造される。例えば、ひとつまたはそれ以上の活性物を水、アルコール(エタノール、ポリエチレングリコール等)、高級脂肪酸、グリセリン、セッケン、乳化剤、懸濁化剤等から選ばれるもの単独または2種以上に溶解、懸濁または乳化させて製造される。さらに、保存剤、抗酸化剤、着香剤等を含んでいてもよい。
噴霧剤、吸入剤、およびスプレー剤は、一般的に用いられる希釈剤以外に亜硫酸水素ナトリウムのような安定剤と等張性を与えるような緩衝剤、例えば塩化ナトリウム、クエン酸ナトリウムあるいはクエン酸のような等張剤を含有していてもよい。スプレー剤の製造方法は、例えば米国特許第2,868,691号明細書および同第3,095,355号明細書に詳しく記載されている。
非経口投与のための注射剤としては、溶液、懸濁液、乳濁液および用時溶剤に溶解または懸濁して用いる固形の注射剤を包含する。注射剤は、ひとつまたはそれ以上の活性物質を溶剤に溶解、懸濁または乳化させて用いられる。溶剤として、例えば注射用蒸留水、生理食塩水、植物油、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノールのようなアルコール類等およびそれらの組み合わせが用いられる。さらにこの注射剤は、安定剤、溶解補助剤(グルタミン酸、アスパラギン酸、ポリソルベート80(登録商標)等)、懸濁化剤、乳化剤、無痛化剤、緩衝剤、保存剤等を含んでいてもよい。これらは最終工程において滅菌するか無菌操作法によって製造される。また無菌の固形剤、例えば凍結乾燥品を製造し、その使用前に無菌化または無菌の注射用蒸留水または他の溶剤に溶解して使用することもできる。
非経口投与のための吸入剤としては、エアロゾル剤、吸入用粉末剤または吸入用液剤が含まれ、当該吸入用液剤は用時に水または他の適当な媒体に溶解または懸濁させて使用する形態であってもよい。
これらの吸入剤は公知の方法に準じて製造される。
例えば、吸入用液剤の場合には、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、着色剤、緩衝化剤(リン酸ナトリウム、酢酸ナトリウム等)、等張化剤(塩化ナトリウム、濃グリセリン等)、増粘剤(カリボキシビニルポリマー等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用粉末剤の場合には、滑沢剤(ステアリン酸およびその塩等)、結合剤(デンプン、デキストリン等)、賦形剤(乳糖、セルロース等)、着色剤、防腐剤(塩化ベンザルコニウム、パラベン等)、吸収促進剤などを必要に応じて適宜選択して調製される。
吸入用液剤を投与する際には通常噴霧器(アトマイザー、ネブライザー)が使用され、吸入用粉末剤を投与する際には通常粉末薬剤用吸入投与器が使用される。
非経口投与のためその他の組成物としては、ひとつまたはそれ以上の活性物質を含み、常法により処方される直腸内投与のための坐剤および腟内投与のためのペッサリー等が含まれる。
一般式(I)で示される化合物、その塩、またはそれらのプロドラッグ(以下、単に「本発明化合物」と略すことがある。)は、(1)予防および/または治療効果の補完および/または増強、(2)動態・吸収改善、投与量の低減、および/または(3)副作用の軽減のために他の薬剤と組み合わせて、併用剤として投与してもよい。
また、併用する他の薬剤の(1)予防および/または治療効果の補完および/または増強、(2)動態・吸収改善、投与量の低減、および/または(3)副作用の軽減のために、「本発明化合物」を組み合わせて、併用剤として投与してもよい。
「本発明化合物」と他の薬剤の併用剤(以下、本発明の併用剤と略記する。)は、1つの製剤中に両成分を配合した配合剤の形態で投与してもよく、また別々の製剤にして投与する形態をとってもよい。この別々の製剤にして投与する場合には、同時投与および時間差による投与が含まれる。また、時間差による投与は、「本発明化合物」を先に投与し、他の薬剤を後に投与してもよいし、他の薬剤を先に投与し、「本発明化合物」を後に投与してもかまわず、それぞれの投与方法は同じでも異なっていてもよい。
本発明の併用剤により、予防および/または治療効果を奏する疾患は特に限定されず、本発明の併用剤によって、それらを単独で投与した場合に比較して、予防および/または治療効果を補完および/または増強する疾患であればよい。
本発明の併用剤に用いられる他の薬剤としては、例えば、アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ニコチン受容体調節薬、βアミロイド蛋白産生、分泌、蓄積、凝集および/または沈着抑制薬(例えば、βセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼ阻害薬、βアミロイド蛋白凝集阻害薬、βアミロイドワクチン、βアミロイド分解酵素等)、脳機能賦活薬、脳循環代謝改善薬、他のパーキンソン病治療薬(例えば、ドーパミン受容体作動薬、モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬、抗コリン薬、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害薬等)、筋萎縮性側索硬化症治療薬、神経栄養因子、痴呆の進行に伴う異常行動、徘徊等の治療薬、アポトーシス阻害薬、神経分化・再生促進薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗てんかん薬、降圧薬、カルシウム受容体拮抗薬、糖尿病治療薬、コレステロール低下薬等の高脂血症治療薬(例えば、スタチン系、フィブラート系、スクワレン合成酵素阻害薬等)、アルドース還元酵素阻害薬、非ステロイド性抗炎症薬、疾患修飾性抗リウマチ薬、抗サイトカイン薬(例えば、TNF阻害薬、MAPキナーゼ阻害薬等)、ステロイド薬、性ホルモンまたはその誘導体、副甲状腺ホルモン(例えば、PTH)、ファクターXa阻害薬、ファクターVIIa阻害薬、抗酸化薬、グリセリン製剤等が挙げられる。
アセチルコリンエステラーゼ阻害薬としては、例えば、塩酸ドネペジル、リバスチグミン、ガランタミン、ザナペジル(TAK−147)が挙げられる。
βセクレターゼ阻害薬としては、例えば、6−(4−ビフェニリル)メトキシ−2−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]テトラリン、6−(4−ビフェニリル)メトキシ−2−(N,N−ジメチルアミノ)メチルテトラリン、6−(4−ビフェニリル)メトキシ−2−(N,N−ジプロピルアミノ)メチルテトラリン、2−(N,N−ジメチルアミノ)メチル−6−(4’−メトキシビフェニル−4−イル)メトキシテトラリン、6−(4−ビフェニリル)メトキシ−2−[2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル]テトラリン、2−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]−6−(4’−メチルビフェニル−4−イル)メトキシテトラリン、2−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]−6−(4’−メトキシビフェニル−4−イル)メトキシテトラリン、6−(2’,4’−ジメトキシビフェニル−4−イル)メトキシ−2−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]テトラリン、6−[4−(1,3−ベンゾジオキソール−5−イル)フェニル]メトキシ−2−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]テトラリン、6−(3’,4’−ジメトキシビフェニル−4−イル)メトキシ−2−[2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル]テトラリン、その光学活性体、その塩およびその水和物、OM99−2(WO01/00663)が挙げられる。
βアミロイド蛋白凝集阻害薬としては、例えば、PTI−00703、ALZHEMED(NC−531)、PPI−368(特表平11−514333号)、PPI−558(特表平2001−500852号)、SKF−74652(Biochem.J.,340(1),283−289,1999)が挙げられる。
脳機能賦活薬としては、例えば、アニラセタム、ニセルゴリンが挙げられる。
脳循環代謝改善薬としては、例えば、イデベノン、ホパンテン酸カルシウム、塩酸アマンタジン、塩酸メクロフェノキサート、メシル酸ジヒドロエルゴトキシン、塩酸ピリチオキシン、γ−アミノ酪酸、塩酸ビフェメラン、マレイン酸リスリド、塩酸インデロキサジン、ニセルゴリン、プロペントフィリンが挙げられる。
ドーパミン受容体作動薬としては、例えば、L−ドーパ、ブロモクリプテン、パーゴライド、タリペキソール、プラシペキソール、カベルゴリン、アマンタジンが挙げられる。
モノアミン酸化酵素(MAO)阻害薬としては、例えば、サフラジン、デプレニル、セルジリン(セレギリン)、レマセミド(remacemide),リルゾール(riluzole)が挙げられる。
抗コリン薬としては、例えば、トリヘキシフェニジル、ビペリデンが挙げられる。
カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ(COMT)阻害薬としては、例えば、エンタカポンが挙げられる。
筋萎縮性側索硬化症治療薬としては、例えば、リルゾール、神経栄養因子(例えば、ABS−205)が挙げられる。
アポトーシス阻害薬としては、例えば、CPI−1189、IDN−6556、CEP−1347が挙げられる。
神経分化・再生促進薬としては、例えば、レテプリニム(Leteprinim)、キサリプローデン(Xaliproden;SR−57746−A)、SB−216763が挙げられる。
抗てんかん薬としては、例えば、フェノバルビタール、メホバルビタール、メタルビタール、プリミドン、フェニトイン、エトトイン、トリメタジオン、エトスクシミド、アセチルフェネトライド、カルバマゼピン、アセタゾラミド、ジアゼパム、バルプロ酸ナトリウムが挙げられる。
スタチン系の高脂血症治療薬としては、例えば、プラバスタチンナトリウム、アトロバスタチン、シンバスタチン、ロスバスタチンが挙げられる。
フィブラート系の高脂血症治療薬としては、例えば、クロフィブラートが挙げられる。
非ステロイド性抗炎症薬としては、例えば、メロキシカム、テオキシカム、インドメタシン、イブプロフェン、セレコキシブ、ロフェコキシブ、アスピリンが挙げられる。
ステロイド薬としては、例えば、デキサメサゾン、ヘキセストロール、酢酸コルチゾンが挙げられる。
性ホルモンまたはその誘導体としては、例えば、プロゲステロン、エストラジオール、安息香酸エストラジオールが挙げられる。
抗酸化薬としては、例えば、エダラボンが挙げられる。
グリセリン製剤としては、例えば、グリセオールが挙げられる。
以上の薬剤は例示であって、本発明の併用剤はこれらに限定されるものではない。
本発明の併用剤における、「本発明化合物」の投与量、投与方法としては、前記と同様のものを用いることができる。
「本発明化合物」と他の薬剤の重量比は特に限定されない。他の薬剤は、任意の2種以上を組み合わせて投与してもよい。また、「本発明化合物」の予防および/または治療効果を補完および/または増強する他の薬剤には、上記したメカニズムに基づいて、現在までに見出されているものだけでなく今後見出されるものも含まれる。
また、「本発明化合物」は、抗血栓薬(血栓溶解薬を含む)と組み合わせて投与することにより、抗血栓薬の血栓溶解作用を抑制することなく、相乗的に患者の生存率あるいは神経症状を改善し、脳梗塞の治療に用いることができる。抗血栓薬としては、例えば、組織性プラスミノーゲン活性化因子(t−PA、アルテプラーゼ)、ウロビリノーゲン、ウロキナーゼ、チソキナーゼ、ヘパリン、経口抗凝固薬(ワーファリン)、合成抗トロンビン薬(メシル酸ガベキサート、メシル酸ナファモスタット、アルガトロバン等)、抗血小板薬(アスピリン、ジピリダモール、塩酸チクロピン、ベラプロストナトリウム、シロスタゾール、オザグレルナトリウム等)が挙げられ、より好ましくは、組織性プラスミノーゲン活性化因子またはワーファリンである。脳梗塞には、脳出血、くも膜下出血、白質異常症が含まれる。
[毒性]
一般式(I)で示される本発明化合物の毒性は非常に低いものであり、医薬として使用するために十分安全であると判断できる。
【発明の効果】
一般式(I)で示される本発明化合物は、口腔内の刺激性などの物理化学的性質が改善され、副作用がなく、より安全性が高いアストロサイト機能改善作用、脳機能改善作用および/またはS100β発現抑制作用を有する神経変性疾患治療薬として有用である。
一般式(I)で示される本発明化合物、その塩またはそれらのプロドラッグが、本明細書に記載した効果を示すことは、例えば、以下に示した方法等によって確認することができる。
(1)アストロサイトの機能改善作用を有することは、例えば、EP0632008号明細書の実験例1記載の方法等により確認することができる。
(2)リアクティブアストロサイトに対するGABAA受容体の応答を回復する能力を有することは、例えば、EP0632008号明細書の実験例2記載の方法等により確認することができる。
(3)神経細胞−アストロサイト共存培養による神経細胞死に対する抑制効果を有することは、例えば、EP0632008号明細書の実験例3記載の方法等により確認することができる。
(4)脳虚血再灌流による能動的条件回避反応獲得の障害に対する改善効果を有することは、例えば、EP0632008号明細書の実験例4記載の方法等により確認することができる。
(5)MPTP投与によるパーキンソン病モデルに対する効果を有することは、例えば、EP1174131号明細書の実施例1記載の方法等により確認することができる。
(6)細胞内S100β含量の減少作用を有することは、例えば、本明細書の後記した実施例記載の方法等により確認することができる。
(7)刺激性改善効果を有することは、例えば、化合物をマウス腹空内に投与し、マウスの行動を観察することまたはヒトの味覚テストを行なうこと等により、確認することができる。
(8)副作用がないことは、例えば、本明細書の後記した実施例記載の方法等により確認することができる。
また、一般式(I)で示される本発明化合物、その塩またはそれらのプロドラッグと血栓溶解剤との組み合わせによって、本明細書に記載した効果を示すことは、例えば、WO03/007992号パンフレットの実施例1記載のトロンビン誘発性局所脳虚血モデルに対する効果等により確認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
以下、実施例によって本発明を詳述するが、本発明はこれに限定されるものではない。
クロマトグラフィーによる分離の箇所およびTLCに示されているカッコ内の溶媒は、使用した溶出溶媒または展開溶媒を示し、割合は体積比を表す。
NMRの箇所に示されているカッコ内は測定に使用した溶媒を示し、特に断わらなければ、重クロロホルム(CDCl)を使用した。
本明細書に記載した本発明化合物の命名は、IUPACの規則に準じた方法または一般的にIUPACの規則の命名を発生させるコンピュータ化されたシステム、ACD/Nameバッチ(商品名;Advanced Chemistry Development Inc社製)に基づいて行った。
[製造実施例]
参考例1:(4S)−N−ペンタノイル−4−イソプロピル−2−オキサゾリジノン
窒素雰囲気下、吉草酸(38g)、テトラヒドロフラン(383ml)(以下、THFと略記する。)、トリエチルアミン(88ml)を加えて、溶解させた。混合物に、塩化ピバロイル(45mL)を−15〜−10℃で滴下した。反応混合物を−10℃にて1時間撹拌した後、無水塩化リチウム(12g)を加えた。混合物に(S)−4−イソプロピル−2−オキサゾリジノン(32.3g)をTHF(118ml)に溶解した溶液を加え、反応混合物を25℃で15時間撹拌した。反応液に飽和炭酸ナトリウム水溶液、水を加えて、18時間撹拌した。反応液に水、n−ヘプタン/酢酸エチル=2/1(300ml)、2N水酸化ナトリウム水溶液(100ml)を加えて抽出した。水層にn−ヘプタン/酢酸エチル=2/1を加えて抽出した。有機層を合わせて、水、3N塩酸、水、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄を行った。得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥後、ろ過して、濃縮し、以下の物性値を有する標題化合物(51.5g)を得た。
TLC:Rf 0.55(n−ヘキサン:酢酸エチル=5:1);
NMR:δ 4.50−4.40(m,1H),4.30−4.10(m,2H),3.10−2.80(m,2H),2.50−2.30(m,1H),1.75−1.60(m,2H),1.50−1.45(m,2H),1.00−0.85(m,9H)。
参考例2:(4S)−N−[(2R)−2−プロピル−7−オクテノイル]−4−イソプロピル−2−オキサゾリジノン
窒素雰囲気下、参考例1で製造した化合物(21.5g)のTHF(200ml)溶液に、1,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロ−2(1H)−ピリミヂノン(36.5mL)、6−ヨード−1−ヘキセン(31.5g)を加えた。この溶液に、−60℃にて、リチウムジイソプロピルアミン(2mol/L(ヘプタン/THF/エチルベンゼン55mLに溶解))を滴下した。−15℃にて17時間撹拌した。反応液を飽和塩化アンモニウム水溶液にあけ、水、n−ヘプタン/酢酸エチル=2/1を加えて抽出した。水層にn−ヘプタン/酢酸エチル=2/1を加えて抽出した。すべての有機層を飽和食塩水で洗浄し、濃縮した。得られた残渣をシリガゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=125/10→10/1)によって精製し、以下の物性値を有する標題化合物(20g)を得た。
TLC:Rf 0.53(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1);
NMR:δ 5.95−5.80(m,1H),5.05−4.90(m,2H),4.50−4.40(m,1H),4.30−4.15(m,2H),3.90−3.80(m,1H),2.50−2.30(m,1H),2.10−2.00(m,2H),1.80−1.60(m,2H),1.60−1.20(m,8H),1.00−0.80(m,9H)。
参考例3:(4S)−N−[(2R)−7−オキソ−2−プロピルオクタノイル]−4−イソプロピル−2−オキサゾリジノン
参考例2で製造した化合物(39.6g)、塩化パラジウム(2.4g)、酢酸銅(II)一水和物(5.2g)、N,N−ジメチルアセトアミド(200ml)および水(26ml)を混合した。混合物を酸素ガス雰囲気下、25℃で、24時間撹拌した。反応混合物に、水、n−ヘプタン/酢酸エチル=2/1を加えて30分撹拌した。析出した固体をろ過し、n−ヘプタン/酢酸エチル=2/1で洗浄した。ろ液を有機層と水層とに分離し、水層にn−ヘプタン/酢酸エチル=2/1を加えて抽出した。すべての有機層を、飽和食塩水で洗浄した。得られた有機層に無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、ろ過し、濃縮した。得られた残渣をシリガゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=6/1→5/1)によって精製し、以下の物性値を有する標題化合物(31g)を得た。
TLC:Rf 0.42(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1);
NMR:δ 4.50−4.45(m,1H),4.30−4.20(m,2H),3.90−3.80(m,1H),2.50−2.30(m,3H),2.12(s,3H),1.80−1.20(m,10H),1.00−0.80(m,9H)。
参考例4:(4S)−N−[(2R)−8−ヒドロキシ−2−プロピルオクタノイル]−4−イソプロピル−2−オキサゾリジノン
窒素雰囲気下、参考例2で製造した化合物(2.95g)のTHF(10mL)溶液に3℃で、9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(0.5mol/L、THF溶液、30mL)を滴下した。反応混合物を25℃にて2時間撹拌した。反応混合物に3℃にて、炭酸水素ナトリウム(4.2g)を水に溶解した溶液を加え、過酸化水素水(30質量%、5.7mL)を滴下した。混合物を、25℃にて17時間撹拌した。反応液に水、酢酸エチルを加えて、抽出した。水層に酢酸エチルを加えて抽出した。すべての有機層を飽和亜硫酸ナトリウム水溶液、飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムを加えて乾燥し、ろ過し、濃縮した。得られた残渣をシリガゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)によって精製し、以下の物性値を有する標題化合物(2.75g)を得た。
TLC:Rf 0.20(n−ヘキサン:酢酸エチル=2:1);
NMR:δ 4.50−4.45(m,1H),4.30−4.20(m,2H),3.90−3.80(m,1H),3.70−3.60(m,2H),2.45−2.35(m,1H),1.80−1.20(m,14H),0.95−0.85(m,9H)。
参考例5:(4R)−N−[(2R,7S)−7−ヒドロキシ−2−プロピルオクタノイル]−4−イソプロピル−2−オキサゾリジノン
吉草酸の代わりに(7S)−7−[t−ブチルジフェニルシリルオキシ]−5−オクテン酸を用いて参考例1と同様の操作をし、6−ヨード−1−ヘキセンの代わりにアリールブロマイドを用いて参考例2と同様の操作をし、2N塩酸を用いてシリル基の脱保護反応に付し、さらに5%白金−炭素を用いて水素添加反応に付し、以下の物性値を有する標題化合物(34g)を得た。
TLC:Rf 0.40(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1);
NMR:δ 4.49−4.45(m,1H),4.26(t,J=8.8Hz,1H),4.19(dd,J=10.4,3.2Hz,1H),3.87−3.81(m,1H),3.79−3.74(m,1H),2.45−2.32(m,1H),1.74−1.63(m,2H),1.52−1.24(m,11H),1.17(d,J=6.0Hz,3H),0.93−0.87(m,9H)。
参考例6:(4R)−N−[(2R,7R)−7−ホルミルオキシ−2−プロピルオクタノイル]−4−イソプロピル−2−オキサゾリジノン
アルゴン雰囲気下、参考例5で製造した化合物(40.0g)のTHF(500mL)溶液に、トリフェニルホスフィン(40.2g)、ギ酸(9.0g)を加え、最後に、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(77.4g)を滴下し、室温で1時間撹拌した。反応混合液を濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=1/1、フラッシュクロマトグラフィー用シリカゲル)で精製して、以下の物性値を有する標題化合物(29.4g)を得た。
TLC:Rf 0.80(n−ヘキサン:酢酸エチル=4:1);
NMR:δ 8.03(s,1H),5.05−4.96(m,1H),4.47(dt,J=8.8,2.8Hz,1H),4.27(t,J=8.8Hz,1H),4.19(dd,J=9.2,3.2Hz,1H),3.87−3.80(m,1H),2.40−2.32(m,1H),1.74−1.26(m,12H),1.24(d,J=3.2Hz,3H),0.93−0.87(m,9H)。
実施例1(1):(2R)−7−オキソ−2−プロピルオクタン酸

参考例3で製造した化合物(31g)のTHF(310ml)、水(31ml)溶液に、6℃で、過酸化水素水(30質量%、45.3mL)を加えた。内温5℃にて2mol/L水酸化リチウム水溶液(100mL)を滴下した。反応混合物を24℃で3時間撹拌した。混合物に6℃で、2mol/L亜硫酸ナトリウム水溶液(300mL)を滴下した。混合物を26℃にて1時間撹拌した。反応液に塩化メチレンを加えて抽出した。水層に氷冷下で6N塩酸を加えて、pH2とし、酢酸エチルで抽出した。抽出物を水、飽和食塩水で順次洗浄し、濃縮した。得られた残渣をシリガゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=2/1)によって精製し、以下の物性値を有する本発明化合物(17.3g)を得た。
TLC:Rf 0.54(クロロホルム:メタノール:酢酸=30:3:1);
NMR:δ 0.91(t,J=7.05Hz,3H)1.48(m,10H)2.13(s,3H)2.40(m,1H)2.43(t,J=7.14Hz,2H)。
実施例1(2):(2R,7R)−7−ヒドロキシ−2−プロピルオクタン酸

参考例6で製造した化合物(29.4g)を用いて実施例1(1)と同様の操作をし、以下の物性値を有する本発明化合物(12.5g)を得た。
TLC:Rf 0.29(メタノール:ジクロロエタン=5:95);
NMR:δ 3.79(1H,m),2.38(1H,m),1.76−1.23(12H,m),1.19(3H,d,J=6.4Hz),0.92(3H,t,J=7Hz)。
実施例1(3):(2R,7S)−7−ヒドロキシ−2−プロピルオクタン酸

参考例5で製造した化合物(40.0g)を用いて実施例1(1)と同様の操作をし、以下の物性値を有する本発明化合物(13.5g)を得た。
TLC:Rf 0.25(n−ヘキサン:酢酸エチル=1:1);
NMR:δ 0.92(t,J=7.23Hz,3H)1.18(d,J=6.23Hz,3H)1.40(m,10H)1.63(m,2H)2.37(m,1H)3.80(m,1H)。
実施例1(4):(2R)−8−ヒドロキシ−2−プロピルオクタン酸

参考例4で製造した化合物(2g)を用いて、実施例1(1)と同様の操作をし、以下の物性知を有する標題化合物(750mg)を得た。
TLC:Rf 0.45(クロロホルム:メタノール:酢酸=30:3:1);
NMR:δ 0.91(t,J=7.05Hz,3H)1.50(m,14H)2.37(m,1H)3.64(t,J=6.50Hz,2H)。
実施例1(5):(2R)−2−プロピルスベリン酸

実施例1(4)で製造した化合物(2.02g)のアセトニトリル(16mL)溶液に35℃にて2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(156mg)を加え、さらに亜塩素酸ナトリウム水溶液(亜塩素酸ナトリウム(2.26g)を水(9mL)に溶解したもの)の2mLを加えた。この溶液に次亜塩素酸ナトリウム水溶液(次亜塩素酸ナトリウム(447mg)を水(4.5mL)に溶解したのもの)の1mLをゆっくり加えた。さらに亜塩素酸ナトリウム水溶液と次亜塩素酸ナトリウム水溶液の残りを滴下した。反応混合物を35℃で5.5時間撹拌した。反応混合物を室温まで冷却し、水を加え、2N水酸化ナトリウムでpH9とした後に、冷却し、亜硫酸ナトリウム水溶液(亜硫酸ナトリウム3.2gを水12mLに溶解したもの)を加えた。混合物を室温で30分撹拌した後にメチル−t−ブチルエーテルで抽出した。水層を氷水バスにて冷却し、2N塩酸を加えてpH2とし、メチル−t−ブチルエーテルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過し、濃縮した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(n−ヘキサン/酢酸エチル=1/1→1/2)によって精製し、以下の物性値を有する本発明化合物(2.11g)を得た。
TLC:Rf 0.37(クロロホルム:メタノール=10:1);
NMR:δ 2.35(t,J=7Hz,2H),2.45−2.30(m,1H),1.75−1.25(m,12H),0.90(t,J=7Hz,3H)。
実施例1(6):(3S)−3−ヘキシル−5−メチルジヒドロフラン−2(3H)−オン

(2S)−2−ヘキシルペンタ−4−イン酸のエタノール溶液を、アルゴンガス雰囲気下、パラジウム−カルシウムカーボネート存在下、反応させ、(3S)−3−ヘキシル−5−メチリデンジヒドロフラン−2−(3H)−オンを得た。得られた化合物をさらに、水素ガス雰囲気下、5%パラジウム−炭素存在下、反応し、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
TLC:Rf 0.28(ヘキサン:酢酸エチル:酢酸=20:4:1);
NMR:δ 4.75−4.38(m,1H),2.70−2.38(m,2H),2.10−1.75(m,1H),1.42(d,J=7Hz,3H),0.88(t,J=7Hz,3H)。
実施例1(7):ナトリウム(2S)−2−(2−ヒドロキシプロピル)オクタノエート

実施例1(6)で製造した化合物のエタノール溶液に、1当量の水酸化ナトリウム水溶液を加え、75℃で3時間撹拌した。反応混合物を濃縮し、以下の物性値を有する本発明化合物を得た。
NMR(CDOD):δ 0.88(t,J=6.59Hz,3H),1.12 and 1.15(d,J=6.2Hz,3H),1.34(m,10H),1.55(m,1H),1.73(m,1H),2.32(m,1H),3.77(m,1H)。
[薬理実施例]
【実施例2】
生後1〜2日の新生仔Wistarラット10匹を断頭後、頭部を消毒用エタノールに浸して殺菌し、次に氷冷DMEM培地(Sigmaより購入)中でエタノールと血液を除去した。その後、脳を取り出し、氷冷DMEM培地(Sigmaより購入)中に浸しながら、実体顕微鏡下で髄膜を完全に剥ぎ、大脳皮質を摘出した。大脳皮質を氷冷DMEM培地(Sigmaより購入)中でフロスト付きスライドグラス(Matsunamiより購入)のフロスト部ですりあわせ懸濁液とした。細胞懸濁液を直径70μmのフィルター(Falcon2350)にてろ過し、瀘液を100gで3分間の遠心分離を行い、沈渣を10%ウシ胎児血清(FCS)−DMEM培地にて懸濁した。10%FCS−DMEM培地による細胞洗浄を3回繰り返した後、洗浄された細胞を10%FCS−DMEM培地にて再懸濁し、75cmフラスコ(Falcon3024)7枚に播種(1新生児あたり1フラスコ(培地量は12ml)の割合)し、37℃、5%CO、95%airの条件下で培養した(培養開始0日目)。培養開始2日後(培養開始2日目)、非接着性の細胞を取り除く(細胞精製)ため、培地を吸引除去した後、フラスコを手で振とうした。フラスコをDMEMで洗浄することにより、浮遊してきた細胞を除去した。顕微鏡観察によって非接着性の細胞を完全に除去できたことが確認できるまで、この操作を3回繰り返した。その後、新たに12ml/フラスコの10%FCS−DMEM培地を加え、37℃、5%CO、95%airの条件下で培養した(培養開始12日目に培地交換した)。
【実施例3】
培養開始19日目の初代培養アストロサイト(フラスコ3枚)を初代培養における細胞精製と同様の操作で細胞精製を行った。その後、接着した細胞がフラスコより剥離されるまで0.05% トリプシン−1mmol/L EDTA液にて37℃で処理した。10%FCS−DMEM培地を加えて細胞懸濁液とし、遠心チューブに回収した。100gで3分間の遠心分離を行った後、沈渣を10%FCS−DMEM培地にて再懸濁した。細胞再懸濁液の一部を等容量のトリパンブルー溶液と混合し、位相差顕微鏡下で血球計算盤を用いて生細胞数を計測した。2×10細胞/mlとなるように10%FCS−DMEM培地で希釈して48穴プレート6枚に播種(0.5ml/ウェル)し、37℃、5%CO、95%airの条件下で培養した。翌日、培養液を各被験物質含有培養液(0.5ml/ウェル)に交換し、37℃、5%CO、95%airの条件下で2週間培養した。培養液の交換は、培養開始から27日目に行なった。
【実施例4】
培養開始から34日目に実施例3で調整した被験物質処理済み2次培養アストロサイトの培養上清を取り除き、氷冷PBSで細胞を2回洗浄した。次に100μl/ウェルのトリス−SDS緩衝液(50mmol/トリス、2mmol/L EDTA−2Na、0.15%SDS)を加え、シェイカーによる振とうまたはピペッティングにより、細胞を可溶化させ、S100β含有測定用サンプルとした。サンプルは測定時まで氷上で保存した。
調製したサンプル中のS100β含量測定は、S100抗体を用いたELISA法により行った。96ウェルプレートに抗S100抗体(βサブユニット)(Sigmaより購入、0.1mol/L NaCO(pH9.6)にて1/1000に希釈)50μL/ウェルを添加し、4℃で一夜静置した。Ca−TPBS(1mmol/L CaCl、0.05%Tween20含有PBS)にて4回洗浄(Ca−TPBS洗浄)後、ブロッキング溶液200μL/ウェルを添加し、室温で4時間静置した。Ca−TPBS洗浄後、サンプル(S100β含量測定用サンプルを2%BSA−Ca−TPBS溶液で希釈したもの)またはS100βスタンダード(ブロッキング・ストック溶液を2%BSA−Ca−TPBS溶液で0.01〜300ng/mlとなるように希釈したもの)50μl/ウェルを添加し、4℃で一夜静置した。Ca−TPBS洗浄後、抗S100抗体(DAKOより購入、2%BSA−Ca−TPBS溶液で1/1000に希釈)50μl/ウェルを添加し、室温で2時間静置した。Ca−TPBS洗浄後、Horseradish peroxidase(HRP)conjugated抗ウサギIgG(Bio−Radより購入、2%BSA−Ca−TPBS溶液で1/2000に希釈)50μL/ウェルを添加し、室温で2時間静置した。Ca−TPBS洗浄後、100μL/ウェルのPeroxidase基質キット(Bio−Radより購入、A液とB液を9:1で混合)で発色させた。100μL/ウェルの2%シュウ酸水溶液を添加すること(終濃度1%)により反応停止し、412nmにおける吸光度を測定した。S100βスタンダードの検量線より、サンプル中S100β量を算出した。データは、単位蛋白質量(mg)当たりのS100β含量(ng)として表した。
総蛋白質量の定量はBCAプロテインアッセイキット(PIERCEより購入)を用いて行った。96ウェルプレートに、25μLのS100β含量測定用サンプル、総蛋白質量測定用スタンダードあるいはトリス−SDS緩衝液を移した。次に200μLのWR液(A液:B液=50:1に混合したもの)を加え、30秒間シェイカーにて振とうした。37℃で30分間保温した。室温に戻した後、562nmにおける吸光度を測定した。総蛋白質量測定用スタンダードにはキット付属のウシ血清アルブミンを用い、検量線より総蛋白質量を算出した。
実施例1(1)の化合物は、コントロール群細胞内S100β含有量2177.0±147.74(ng/mg単位蛋白質)を、30μmol/L処置群(n=4)では1489.0±37.84に、100μmol/L処置群では1053.5±39.57に統計的に有意((P<0.001);コントロール群に対する統計的有意差(Dunnett test)を示す。)に減少させた。さらに、実施例1(2)の化合物は、100μmol/L処置群では1422.5±74.70に、実施例1(4)の化合物の同用量処置群では1192.8±58.78に細胞内S100β含量を統計的に有意(P<0.001)に減少させた。これらの結果は、本発明の化合物が、アストロサイト機能改善作用を有することを示すものである。
【実施例5】
各被験化合物にリン酸三ナトリウム水溶液を加えて溶解し、注射用水で希釈して、薬液を調製し、6週齢の雄ラットに1日1回250mg/kgの長期反復経口投与を行った。その結果、実施例1(1)および1(4)の化合物投与群では、一般的な副作用の所見は見られなかった。
[製剤実施例]
実施例6:錠剤
(2R)−7−オキソ−2−プロピルオクタン酸ナトリウム塩(実施例1(1)の化合物を常法によりナトリウム塩に変換した、100kg)、繊維素グリコール酸カルシウム(崩壊剤、2kg)、ステアリン酸マグネシウム(潤滑剤、1kg)および微結晶セルロース(97kg)を常法により混合し、打錠して一錠中に100mgの活性成分を含有する錠剤100万錠を得た。
実施例7:注射剤(1)
(2R)−7−オキソ−2−プロピルオクタン酸(20kg)、マンニトール(200kg)、蒸留水(5kl)の各成分を常法により混合した後、除塵フィルターでろ過し、5mlずつアンプルに充填し、オートクレーブで加熱滅菌して、1アンプル中20mgの活性成分を含有するアンプル100万本を得た。
実施例8:ソフトカプセル剤
ゼラチン(20kg)および濃グリセリン(6kg)を精製水(20kg)の存在下、70℃で混和し、均一な溶液を得た。(2R)−7−オキソ−2−プロピルオクタン酸(0.9kg)を、ソフトカプセル充填機(ロータリー式軟カプセル成型機H−1型;カマタ)に投入し、(2S)−7−オキソ−2−プロピルオクタン酸を充填したソフトカプセルの生球を得た。得られた生球を、タンブラ乾燥および棚乾燥に順次付すことにより、1カプセル中に300mgの(2S)−7−オキソ−2−プロピルオクタン酸を含有する表題のソフトカプセル剤(2200カプセル)を得た。
実施例9:注射剤(2)
注射用水に、(2R)−7−オキソ−2−プロピルオクタン酸(2kg)およびリン酸三ナトリウム・12水和物(3.54kg)の各成分を加え、注射用水を用いて(40L)とした。均一な溶液とした後、無菌フィルター(デュラポア0.22μmメンブレン)でろ過し、2mLずつプラスチックアンプルに充填し、高圧蒸気滅菌(123℃、15分間)することで、1アンプル中100mgの活性成分を含有するアンプル2万本を得た。
【産業上の利用可能性】
本発明は、以下に示すような医薬品への適用が可能である。一般式(I)で示される本発明化合物は、アストロサイト機能改善作用、脳機能改善作用および/またはS100β発現抑制作用を有しており、神経変性疾患治療剤として有用である。具体的には、例えば、パーキンソン病、パーキンソン症候群、アルツハイマー病、ダウン症、筋萎縮性側索硬化症、家族性筋萎縮性側索硬化症、進行性核上麻痺、ハンチントン病、脊髄小脳変性症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、オリーブ橋小脳萎縮症、皮質基底核変性症、家族性痴呆症、前頭側頭型痴呆症、老年性痴呆、びまん性レビー小体病、線条体−黒質変性症、舞踏病−無定位運動症、ジストニア、メージ症候群、晩発性小脳皮質萎縮症、家族性痙性対麻痺、運動神経病、マッカードジョセフ病、ピック病、もやもや病、脳卒中(例えば、脳出血(例えば、高血圧性脳内出血等)、脳梗塞(例えば、脳血栓、脳塞栓等)、一過性虚血発作、クモ膜下出血等)、脳血管障害(例えば、脳出血、脳梗塞、一過性虚血発作、クモ膜下出血等)後の神経機能障害、脳脊髄外傷後の神経機能障害、脱髄疾患(例えば、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎、急性小脳炎、横断性脊髄炎等)、脳腫瘍(例えば、星状膠細胞腫等)、感染症に伴う脳脊髄疾患(例えば、髄膜炎、脳膿瘍、クロイツフェルド−ヤコブ病、エイズ痴呆等)、精神疾患(統合失調症、躁うつ病、神経症、心身症、てんかん等)等の神経変性疾患や、一過性失明(例えば、一過性黒内障等)、意識障害、反対側片麻痺、感覚障害、同名性半盲等、失語、交代性片麻痺、両側性四肢麻痺、感覚障害、同名性半盲、めまい、耳鳴、眼振、複視、昏睡等の神経障害の治療および/または予防が挙げられる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)


α−配置、β−配置またはそれらの任意の比率の混合物を表し、nは1〜3の整数を表し、mは0または1〜10の整数を表す。ただし、複数のRは末端炭素原子以外の同一の炭素原子に対して結合しない。)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグ。
【請求項2】
一般式(I−1)

(式中、すべての記号は、請求の範囲1と同じ意味を表す。)で示される請求の範囲1記載の化合物。
【請求項3】
一般式(I−1−1)


表す。)で示される請求の範囲1記載の化合物。
【請求項4】
一般式(I−2)

(式中、R1−1およびR1−2はそれぞれ独立して、水素原子または保護されていてもよい水酸基を表すか、R1−1とR1−2は一緒になって、オキソ基を表し、R1−3は水素原子または保護されていてもよい水酸基を表し、他の記号は請求の範囲1および3と同じ意味を表す。ただし、R1−1とR1−2は一緒になって、オキソ基を表す場合、R1−3は水素原子を表す。)で示される請求の範囲1記載の化合物。
【請求項5】
一般式(I−3)

(式中、R1−4およびR1−5はそれぞれ独立して、水素原子または保護されていてもよい水酸基を表すか、R1−4とR1−5は一緒になって、オキソ基を表し、R1−6は水素原子または保護されていてもよい水酸基を表し、他の記号は請求の範囲1および3と同じ意味を表す。ただし、R1−4とR1−5は一緒になって、オキソ基を表す場合、R1−6は水素原子を表す。)で示される請求の範囲1記載の化合物。
【請求項6】
一般式(I−2)

(式中、R1−1およびR1−2はそれぞれ独立して、水素原子または保護されていてもよい水酸基を表すか、R1−1とR1−2は一緒になって、オキソ基を表し、R1−3は水素原子または保護されていてもよい水酸基を表し、mは0または1

よびR1−3は同時に水素原子を表さず、さらに、R1−1とR1−2は一緒になって、オキソ基を表す場合、R1−3は水素原子を表す。)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグ。
【請求項7】
化合物が(2R)−7−オキソ−2−プロピルオクタン酸、(2R,7R)−7−ヒドロキシ−2−プロピルオクタン酸、(2R,7S)−7−ヒドロキシ−2−プロピルオクタン酸および(2R)−8−ヒドロキシ−2−プロピルオクタン酸から選択される請求の範囲6記載の化合物。
【請求項8】
化学合成して得られる請求の範囲6記載の化合物。
【請求項9】
請求の範囲1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグを含有してなる医薬組成物。
【請求項10】
請求の範囲6記載の一般式(I−2)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグを含有してなる医薬組成物。
【請求項11】
請求の範囲1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグを含有してなる神経変性疾患の予防および/または治療剤。
【請求項12】
請求の範囲6記載の一般式(I−2)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグを含有してなる神経変性疾患の予防および/または治療剤。
【請求項13】
脳機能改善剤、アストロサイト機能改善剤および/またはS100β発現抑制剤である請求の範囲11または12記載の予防および/または治療剤。
【請求項14】
神経変性疾患が、パーキンソン病、パーキンソン症候群、アルツハイマー病、ダウン症、筋萎縮性側索硬化症、家族性筋萎縮性側索硬化症、進行性核上麻痺、ハンチントン病、脊髄小脳変性症、歯状核赤核淡蒼球ルイ体萎縮症、オリーブ橋小脳萎縮症、皮質基底核変性症、痴呆症、ピック病、脳卒中、脳血管障害、多発性硬化症、ギラン・バレー症候群、急性散在性脳脊髄炎、急性小脳炎、横断性脊髄炎、脳腫瘍、髄膜炎、脳膿瘍、クロッツフェルド−ヤコブ病およびエイズ痴呆から選択される1以上の疾患である請求の範囲11または12記載の予防および/または治療剤。
【請求項15】
神経変性疾患が、脳血管障害、パーキンソン病、パーキンソン症候群、筋萎縮性側索硬化症またはアルツハイマー病である請求の範囲14記載の予防および/または治療剤。
【請求項16】
脳血管障害が、脳梗塞または脳梗塞後の神経機能障害である請求の範囲15記載の予防および/または治療剤。
【請求項17】
請求の範囲1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグとアセチルコリンエステラーゼ阻害薬、ニコチン受容体調節薬、βセクレターゼ阻害薬、γセクレターゼ阻害薬、βアミロイド蛋白凝集阻害薬、βアミロイドワクチン、βアミロイド分解酵素、脳機能賦活薬、脳循環代謝改善薬、ドーパミン受容体作動薬、モノアミン酸化酵素阻害薬、抗コリン薬、カテコール−O−メチルトランスフェラーゼ阻害薬、筋萎縮性側索硬化症治療薬、神経栄養因子、アポトーシス阻害薬、抗うつ薬、抗不安薬、抗てんかん薬、降圧薬、カルシウム受容体拮抗薬、糖尿病治療薬、高脂血症治療薬、アルドース還元酵素阻害薬、非ステロイド性抗炎症薬、疾患修飾性抗リウマチ薬、抗サイトカイン薬、ステロイド薬、抗血栓薬、ファクターXa阻害薬、ファクターVIIa阻害薬、抗酸化薬およびグリセリン製剤から選ばれる1種以上を組み合わせてなる医薬。
【請求項18】
抗血栓薬が、組織性プラスミノーゲン活性化因子である請求の範囲17記載の医薬。
【請求項19】
請求の範囲1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグを哺乳動物に投与することからなる神経変性疾患の予防および/または治療方法。
【請求項20】
神経変性疾患の予防および/または治療剤の製造のための請求の範囲1記載の一般式(I)で示される化合物、その塩またはそれらのプロドラッグの使用。

【国際公開番号】WO2005/005366
【国際公開日】平成17年1月20日(2005.1.20)
【発行日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−511616(P2005−511616)
【国際出願番号】PCT/JP2004/010366
【国際出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000185983)小野薬品工業株式会社 (180)
【Fターム(参考)】