説明

分注システム、ソフトウェア、および関連する方法

本発明は、正確な容積の流体物質をマルチウェル容器のウェルの中に、又は基材表面上に効率的に送達するため、蠕動ポンプと他の圧力源を具備する分注システムを提供する。これらのシステムは、典型的には、実質的に均一な密度を有する、ある容積の流体を分注するように構成されている。関連するコンピュータプログラム製品および流体物質を分注する方法も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2004年6月7日に出願された米国仮出願第60/577,849号明細書の利益を主張し、この開示は、参照によりその内容全体があらゆる目的のため援用される。
【0002】
本発明は、全般に物質の分注に関する。分注システムの他に、関連するソフトウェア、および、選択された量の物質を効率的に且つ正確に分注する方法を提供する。
【背景技術】
【0003】
高スループットスクリーニングデバイスおよびシステムは、新薬の発見および開発プロセスに重要な分析器具である。薬物発見手順は、典型的には、選択された標的に対する候補薬物化合物の合成とスクリーニングを含む。候補薬物化合物は、所与の標的に影響を与えることによって病状を変化させる潜在能力を有する分子である。標的は、典型的には、酵素およびレセプタなどの蛋白質、又は核酸を含む生物学的分子であり、これらは特定の病気の開始又は進行に、ある役割を果たすと考えられている。標的は、典型的には、病気の進行又は予防において期待される役割に基づいて識別される。分子生物学およびゲノム学における最近の開発によって、薬物発見研究に使用可能な標的数が激増した。
【0004】
標的が識別されると、典型的には、標的に対してスクリーニングするため化合物のライブラリを選択する。天然源から、および、多段階溶液相および固体相のコンビナトリアル合成スキームを含む様々な合成経路により、膨大な化合物ライブラリが収集された。実際、多くの製薬会社および他の機関は、何十万もの化合物を含むライブラリにアクセスする。標的および化合物ライブラリを選択した後、化合物をスクリーニングし、化合物が標的に何らかの影響を与えるかを決定する。標的に影響を与える化合物は、ヒットと称される。特定の標的に対して、より多くの化合物をスクリーニングするのには、ヒットを識別する統計的確率が増大するという基本的な前提がある。
【0005】
標的に対して化合物をスクリーニングする前に、アッセイが開発される。アッセイ開発プロセスは、選択された標的に対する化合物の性能を測定するアッセイを選択し、最適化することを含む。アッセイは、一般に生化学的アッセイ又は細胞アッセイとして分類される。生化学的アッセイは、典型的には、精製された分子標的で行われるが、細胞アッセイは生細胞で行われる。細胞アッセイは、生化学的アッセイよりも生物学的に関連した情報を提供することが多いが、典型的には、生化学的アッセイよりも実施が複雑で時間がかかる。
【0006】
生化学的アッセイおよび細胞アッセイの実施の際に、試料は、蛍光、ルミネセンス、および吸収などの特性を検査することにより、慣例的に特徴付けられる。蛍光分析では、例えば、選択された組織、特定の結合相手、染色体、又は他の構造体を蛍光プローブ又は色素で処理する。次いで、ある波長の光を試料に照射し、蛍光物質にそれよりも長波長の光を放出させ、このようにして、処理された構造体を識別し、少なくともある程度定量化することを可能にする。ルミネセンス分析では、物質による発光を開始させるために試料に照射しない。代わりに、ルミネセンス現象を開始させるため、典型的には、試料に1種類以上の試薬を添加する。吸収分析では、典型的には、選択された波長の電磁放射線源で色素含有試料に照射する。一般に、試料を透過する光の量を、色素なしの標準試料を透過する光の量に対して測定する。試料の蛍光を決定するのに使用される分析デバイスおよびシステムは、典型的には、1つ以上の励起波長の放射線を放出できる少なくとも1つの電磁放射線源と、蛍光放出を監視する検出器を含む。多くの場合、これらのデバイスおよびシステムは、ルミネセンス分析と吸収分析の両方に使用されるように構成され得る。
【0007】
多数の化合物および標的を生成又は収容するために、選択されたウェル密度を有する標準的なマルチウェル容器(例えば、マイクロタイタープレート、反応ブロックなど)のウェル内で、および、膜又は処理ガラスなどの様々な支持体の表面上でも、複数の合成反応又はスクリーニングを並行して行うことが多い。並行合成又はスクリーニングは、典型的には、複数の反応成分(例えば、ビーズ又は他の固体支持体、反応物、緩衝剤など)又は試料を、マルチウェル容器のウェルの中に又は支持体の表面上に分注することを含む。従来の多くのシステムはピペットデバイスを具備し、流体は、シリンジポンプを使用して、例えば、供給源からピペットチップを通して吸引された後、それと同じピペットチップから分注される。幾つかの用途には好適であるが、ピペットチップを交換する費用は、化合物の合成又はスクリーニングを行う総費用を増加させる。典型的には、最終的にヒットを識別するために行われる合成反応又はスクリーニングが多数ある場合、これらの消耗品を交換する費用は相当なものになる可能性がある。更に、ピペットチップ開口部は、ビーズ、細胞、又は沈殿物、又は他の破片によって閉塞する可能性があり、これは、典型的には、閉塞を取り除くか、又はチップを交換するために、合成又はスクリーニングの中止を必要とする。更に、ある一定の分注システムは、コンビナトリアル合成プロトコルのためのビーズ懸濁液などの分注される流体に接触するバルブを具備する。これらの構成に使用されるバルブも詰まり易いことが多く、ビーズは密封能力を損なう可能性がある。これらの分注システムの多くが有する別の例示的な欠点は、それらが分注する容積は、通例、密度が均一でないということである。これらの既存の分注システムの堅牢性は限られているため、ますます自動化されてきた合成又はスクリーニング手順のスループットが極度に制限される可能性がある。
【特許文献1】米国仮出願第60/527,125号明細書
【特許文献2】米国仮出願第60/461,638号明細書
【特許文献3】国際公開第WO01/96880号明細書
【特許文献4】米国仮出願第60/492,586号明細書
【特許文献5】米国仮出願第60/492,629号明細書
【特許文献6】国際公開第WO03/020426号明細書
【特許文献7】米国特許第6,592,324号明細書
【特許文献8】国際公開第WO02/068157号
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、迅速且つ信頼性のある物質分注に関する。幾つかの実施形態では、正確な容積の流体物質(ビーズ懸濁液又は他の流体など)をマルチウェルプレートおよび反応ブロックのウェルの中に、又は、他の種類の流体容器の中に、又は基材表面上に効率的に送達するために、例えば、蠕動ポンプおよび他の圧力源を具備する分注システムが提供される。典型的には、本明細書に記載のシステムは、実質的に均一な密度を有する、ある容積の流体を分注するように構成されている。分注されるある容積の流体間の密度のばらつきは、特定の分注用途に応じて起こり得る他の多くの有害な影響の中でも、偏ったアッセイ結果や一貫していない合成収量に繋がる可能性がある。ある一定の実施形態では、本明細書に記載の分注システムは、例えば、流体を導管からパージするため、又は、導管内に配置されるシステム流体と供給源流体との間に間隙を作り出すためなどに、ガスをシステム導管の中に導入するための流体合流ブロックを具備する。説明すると、ガス間隙(例えば、空気間隙など)を使用してシステム流体と供給源流体を互いに分離し、システム流体が供給源流体を希釈することを防止する。システムソフトウェアの他に、流体物質を分注する方法も提供する。
【0009】
一態様では、本発明は、導管が蠕動ポンプに動作可能に接続され、少なくとも第1の流体物質供給源と流体連通しているとき、少なくとも第1の流体物質を少なくとも1つの導管の少なくとも一部の中に又はそれを通して輸送するように構成されている少なくとも1つの蠕動ポンプを具備する分注システムを提供する。幾つかの実施形態では、蠕動ポンプは、マルチチャネル蠕動ポンプを含む。分注システムは、蠕動ポンプ以外の少なくとも1つの圧力源も具備する。第1の流体物質が導管内に存在するとき、導管の少なくとも1つの開口部から第1の流体物質の選択されたアリコートが分注されるように、圧力源は、圧力源が導管に動作可能に接続されているとき導管内に圧力を印加するように構成されている。幾つかの実施形態では、圧力源は1つ以上のポンプを具備する。
【0010】
更に、分注システムは、圧力源に動作可能に接続された少なくとも1つのコントローラも具備する。コントローラは圧力源の動作を制御し、導管が第1の流体物質供給源と流体連通しているとき、導管の開口部から第1の流体物質を分注するように構成されている。幾つかの実施形態では、コントローラは、蠕動ポンプにも動作可能に接続されている。これらの実施形態では、コントローラは、任意に、ローラ支持体によって支持される隣接するローラ間に配置されている角距離の整数倍に実質的に対応する少なくとも1つの回転増分だけ蠕動ポンプのローラ支持体を回転させ、導管が蠕動ポンプに動作可能に接続され第1の流体物質供給源と流体連通しているとき、回転増分に対応する量の第1の流体物質が導管の中に又は導管を通して輸送されるように構成されている。「隣接するローラ間に配置されている角距離の整数倍」の句は、蠕動ポンプのローラ支持体によって支持される隣接するローラ間に配置されている角距離に、整数、即ち、自然数、これらの数の負の値、又はゼロのいずれかを掛けた積を指す。典型的には、分注システムは、蠕動ポンプ、圧力源、コントローラ、および/又は別のシステム部品が取り付けられる、取り付け部品を具備する。
【0011】
幾つかの実施形態では、分注システムは、導管がピンチバルブに動作可能に接続されているとき、導管を通る流体物質の輸送を調節するように構成されている少なくとも1つのピンチバルブを具備する。典型的には、少なくとも1つのエアテーブルがピンチバルブに動作可能に接続されている。エアテーブルはピンチバルブを動作させるように構成されている。これらの実施形態では、コントローラは、任意に、エアテーブルにも動作可能に接続されている。コントローラは、エアテーブルの動作を制御し、導管がピンチバルブに動作可能に接続されているとき、導管を通した流体物質の輸送を調節するように構成されている。
【0012】
分注システムは、通常、導管を具備する。典型的には、少なくとも1つの分注チップ又はノズルは、導管と流体連通し、導管への開口部を備える。幾つかの実施形態では、例えば、廃棄物流体が処分のため廃棄物捕集部品の中に分注され得るように、少なくとも1つの廃棄物捕集部品が導管の開口部と選択的に連通するように構成されている。更に説明すると、流体リザーバは、任意に導管と流体連通している。
【0013】
ある一定の実施形態では、導管のかなりの部分が、分注システムのZ軸と平行以外の向きに配置されている。説明すると、これらの実施形態の幾つかでは、開口部と蠕動ポンプの間に配置されている導管の少なくとも1つのセグメントは、導管コイルを備える。通常、これらの実施形態では、導管コイルの少なくとも1つのコイルは分注システムのZ軸と平行以外の向きに配置されている。この導管の向きは、均一な密度を有する容積が導管から分注されるように、流体中のビーズ又は他の物質が導管の開口部の方に沈降することを防止する。任意に、開口部を備える導管の少なくとも1つのセグメントは、分注システムのZ軸に対して約0°〜約90°の角度で配置されている。例えば、この構成を有する導管からマルチウェル容器のウェルの中に分注される流体は、ウェルの側部にウェルの他の部分より先に接触する。これは、流体分注中に、ウェル内に配置されている他の物質の撹乱を最小限にする。更に、この構成は、ウェルの壁で流体の運動エネギーが消失することにより、分注中のウェル内での試薬又は媒体(例えば、ブライト・グロ(Bright−Glo)(商標)試薬、牛胎児血清(FBS)媒体など)の発泡も最小限にする。気泡は光学プレート読み取り機などに干渉する可能性があるため、気泡は典型的には望ましくない。
【0014】
更に説明すると、ある一定の実施形態では、分注システムは複数の導管を備える。これらの実施形態の幾つかでは、導管のうちの少なくとも2本の開口部は、少なくとも1つのマルチウェル容器内に配置されている異なるウェルと同時に流体連通するように、ある距離をとって、互いに離間している。導管の開口部は、任意に、複数の流体物質部位、例えば、マルチウェルプレート、反応ブロックなどの中に配置されている複数のウェルと流体連通するように構成されている少なくとも1つのマニホールドを備える。
【0015】
幾つかの実施形態では、蠕動ポンプが少なくとも第1の導管に動作可能に接続され、圧力源が少なくとも第2の導管に動作可能に接続され、第1の導管と第2の導管は互いに流体連通する。これらの実施形態では、少なくとも1つの三方バルブが、任意に、第1の導管に動作可能に接続され、この三方バルブは第1の導管を選択的に通気するように構成されている。
【0016】
ある一定の実施形態では、圧力源は導管と流体連通している。説明すると、圧力源は任意に加圧ガス供給源および/又は第2の加圧流体物質供給源を備える。任意に、少なくとも1つのフィルタ(例えば、0.45μm以下)が、導管に動作可能に接続されている。幾つかの実施形態では、第2の流体物質供給源は、例えば、システム流体として使用される少なくとも1種類の緩衝剤を含む。圧力源は、典型的には、少なくとも1つのソレノイドバルブ又は圧力源によって印加される圧力を調節する他の種類のバルブを介して、導管に操作可能に接続されている。コントローラは、任意に、バルブに操作可能に接続されている。これらの実施形態では、コントローラは、通常、バルブの動作を制御し、印加される圧力を調節するように構成されている。
【0017】
ある一定の実施形態では、導管の少なくとも1つの壁にポートが貫設され、導管に貫設されている少なくとも1つのキャビティと連通する。例えば、ポートは、典型的には蠕動ポンプと圧力源の間で導管に配置されている。ポートは、典型的には約5mm以下の長さを備える。更に、これらの実施形態の幾つかでは、ポートを備える導管の部位は、流体合流ブロックを備える。説明すると、少なくとも1つのガスバルブは、任意に、ポートに動作可能に接続されている。ガスバルブが少なくとも1つの加圧ガス供給源に動作可能に接続されているとき、ガスバルブはポートを通り導管に入るガス流を調節する。幾つかの実施形態では、例えば、ガスバルブは、コンプライアントシール材料を備えるプランジャを具備し、コンプライアントシール材料は、プランジャがコンプライアントシール材料をポートと接触するように押すとき、ポートと面シールを形成する。典型的には、ガスバルブは、ガスバルブに1平方インチ当たり約0ポンド〜1平方インチ当たり約10ポンドの圧力でガス(例えば、空気、窒素、ヘリウム、アルゴンなど)を流す加圧ガス供給源に動作可能に接続されている。ある一定の実施形態では、少なくとも1つのエアテーブルがガスバルブに動作可能に接続されている。エアテーブルは、ガスバルブを動作させるように構成されている。これらの実施形態の幾つかでは、コントローラは、エアテーブルに動作可能に接続され、ガスバルブが加圧ガス供給源に動作可能に接続されているとき、エアテーブルの動作を制御して、ポートを通り導管に入るガス流を調節するように構成されている。
【0018】
幾つかの実施形態では、分注システムは、第1の流体物質源を具備する。説明すると、第1の流体源は、任意に、例えば、ビーズ、細胞、酵素、又は試薬等のうちの1つ以上を含む。これらの実施形態のある一定のものでは、少なくとも1つの流体攪拌機構が第1の流体物質供給源に動作可能に接続されている。
【0019】
分注システムは、任意に、コントローラに動作可能に接続されている少なくとも1つの位置決め部品を具備する。位置決め部品は、1つ以上の導管および/又は1つ以上の流体物質部位を互いに対して移動可能に位置決めするように構成されている。説明すると、位置決め部品は、任意に、分注システムのX軸およびY軸に沿ったX/Y軸直線運動部品の移動を制御する、少なくとも1つの制御駆動装置に動作可能に接続されている少なくとも1つのX/Y軸直線運動部品を備える。これらの実施形態では、コントローラは、典型的には、圧力源に動作可能に接続され、導管および/又は流体物質部位の相対的な移動と同期してある容積の流体が導管から輸送されるように、圧力源から導管内を同時に加圧し、導管および/又は流体物質部位を互いに対して移動可能に位置決めするように構成されている。ある一定の実施形態では、位置決め部品は、導管の少なくともセグメントを支持するように構成され、且つ、分注システムのZ軸に沿って移動する少なくとも1つの導管支持ヘッドを備える少なくとも1つのZ軸直線運動部品を備える。位置決め部品は、任意に、少なくとも1つの流体物質部位を支持するように構成されている少なくとも1つの対象物ホルダを備える。幾つかの実施形態では、少なくとも1つの清掃部品がコントローラに動作可能に接続されている。導管が位置決め部品に動作可能に接続され、位置決め部品が導管セグメントを清掃部品の少なくとも近位に移動させるとき、清掃部品は、導管の少なくともセグメントを清掃するように構成されている。例えば、清掃部品は、任意に、少なくとも1つのオリフィスを備える少なくとも1つの真空チャンバを備え、作用させる真空が導管セグメントの少なくとも外面から付着物質を除去するように、位置決め部品は導管セグメントをオリフィスの中又はオリフィスの近位に移動させる。
【0020】
幾つかの実施形態では、分注システムは、流体物質中で発生する検出可能な信号を検出するように構成されている少なくとも1つの検出器を具備する。典型的には、コントローラは、検出器に動作可能に接続され、検出器を制御して検出可能な信号を検出するように構成されている。
【0021】
別の態様では、本発明は、少なくとも1つの蠕動ポンプを動作させ、導管の少なくとも第1の開口部を通して少なくとも第1の流体物質を少なくとも1つの導管の中に輸送するための、および、蠕動ポンプ以外の少なくとも1つの圧力源を動作させ、第1の流体物質の少なくとも1つのアリコートが導管の少なくとも第2の開口部から分注されるように、導管内の第1の流体物質に圧力を印加するための、1つ以上の論理命令を有するコンピュータ読み取り可能な媒体を備えるコンピュータプログラム製品を提供する。ある一定の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、(i)流体物質部位に輸送される第1の流体物質の量;(ii)第1の流体物質の初期密度;(iii)第1の流体物質の密度を調整するため、第1の流体物質に添加される第2の流体物質の量;(iv)第1の流体物質を第2の流体物質から分離するため導管の中に輸送するガスの量;および(v)流体物質部位フォーマットからなる群から選択される、1つ以上の入力パラメータを受け取るための少なくとも1つの論理命令を具備する。幾つかの実施形態では、コンピュータプログラム製品は、導管に動作可能に接続され、導管の中へのおよび/又は導管からの物質輸送を調節する少なくとも1つのバルブを動作させるための少なくとも1つの論理命令を具備する。ある一定の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、少なくとも1つのX/Y軸直線運動部品および/又は少なくとも1つのZ軸運動部品を動作させ、X/Y軸直線運動部品又はZ軸運動部品に取り付けられている又はその上に位置決めされている他の1つ以上の部品を移動させるための少なくとも1つの論理命令を具備する。
【0022】
別の実施形態では、本発明は、流体材料を分注する方法に関する。本方法は、(a)少なくとも1つの蠕動ポンプを使用して少なくとも第1の流体物質(例えば、ビーズ、細胞、酵素、および/又は試薬等)を導管の少なくとも第1の開口部を通して少なくとも1つの導管の中に輸送することを含む。典型的には、導管の少なくとも1つのセグメントは、第1の流体物質の1つ以上の成分が第2の開口部の近位に沈降することを防止するため、非垂直な流路を備える。本方法は、(b)第1の流体物質の少なくとも1つのアリコートが導管の少なくとも第2の開口部から分注されるように、蠕動ポンプ以外の少なくとも1つの圧力源を使用して導管内の第1の流体物質に圧力を印加することも含む。ある一定の実施形態では、本方法は、第1の流体物質のアリコートを容器の壁に(例えば、マルチウェル容器のウェルなど)に分注し、例えば、容器の底部に配置されている物質の撹乱を最小限にし、試薬又は媒体が発泡することを防止することなどを含む。任意に、本方法は、(a)の前に、ガスを導管の中に輸送し、流体物質を導管の少なくとも1つのセグメントからパージすることを含む。幾つかの実施形態では、本方法は、(b)の間に第1の流体物質の複数のアリコートを分注することを含む。任意に、本方法は、(b)の後に第1の流体物質のアリコート中の1種類以上の成分を使用して少なくとも1つの合成反応又はアッセイを行うことを含む。ある一定の実施形態では、本方法は、(b)の間に蠕動ポンプの方に向かう導管内の流体物質の輸送を制限することを含む。幾つかの実施形態では、本方法は、(a)と(b)を互いに実質的に同時に行うことを含む。任意に、本方法は、(a)と(b)を繰り返すことを含む。幾つかの実施形態では、本方法は、少なくとも1つの流体物質部位を第2の開口部に対して移動可能に位置決めすることを含む。ある一定の実施形態では、本方法は、導管内および/又は第1の流体物質のアリコート内で発生する1つ以上の検出可能な信号を検出することを含む。
【0023】
幾つかの実施形態では、本方法は、(b)の間に第2の流体物質が第1の流体物質のアリコートを導管の第2の開口部から吐出させるように、圧力源を使用して少なくとも第2の流体物質(例えば、緩衝剤など)を導管の1つ以上のセグメントを通して輸送することを含む。これらの実施形態のある一定のものでは、本方法は、(b)の前に又は(b)と実質的に同時に第1の流体物質を第2の流体物質で希釈することを含む。これらの実施形態の幾つかでは、本方法は、ポートを通して導管の中にガスを輸送し、第1の流体物質と第2の流体物質との間に間隙を形成して、第1の流体物質と第2の流体物質が互いに混合することを防止することを含む。
【0024】
別の態様では、本発明は、実質的に均一な密度を有する流体物質のアリコートを分注する方法を提供する。本方法は、流体物質を輸送する少なくとも1つの導管と流体連通する少なくとも1つの分注チップから少なくとも1種類の流体物質の選択されたアリコートを輸送することを含む。分注される前に流体物質中の成分が分注チップの近位に沈降することを防止するように、導管は非垂直な流路を備え、それによって、実質的に均一な密度を有する流体物質のアリコートが分注される。
【0025】
別の態様では、本発明は、流体物質を分注する方法を提供する。本発明は、(a)(i)第1の流体物質供給源と流体連通する第1の導管の少なくとも一部;(ii)(I)少なくとも第1の開口部と第2の開口部、および(II)第2の導管の壁に貫設されている少なくとも1つのポート、を有する第2の導管の少なくとも一部;を備える流体合流ブロックを有する分注システムを提供することを含む。ポートは、第2の導管に貫設されているキャビティと連通する。更に、第1の導管は、ポートと第2の導管の第2の開口部との間で第2の導管と交差し、流体連通する。本方法は、(b)ある容積の第2の流体物質を第2の導管の第1の開口部を通してポートの近位に輸送すること、(c)第2の導管の第1の開口部を通した、および第1の導管を通した流体物質の輸送を制限すること、および(d)少なくとも1種類のガスを、ポートを通して第2の導管の中に輸送し、流体物質を第2の導管からポートの下流に第2の導管の第2の開口部を通してパージすることも含む。更に、本方法は、(e)第2の導管の第1の開口部を通した流体物質の輸送およびポートを通したガスの輸送を制限すること、(f)ある容積のガスが第2の導管内の第1の流体物質と第2の流体物質との間に配置されるように、ある容積の第1の流体物質を第1の流体物質供給源から第1の導管を通して、および第2の導管の中に、第1の導管と第2の導管の交差点の近位およびその下流に輸送すること、(g)第1の導管を通した流体物質の輸送と、ポートを通したガスの輸送を制限すること、および、(h)第1の流体物質の少なくとも1つの選択されたアリコートが第2の導管の第2の開口部から分注されるように、第2の導管内の第2の流体物質に圧力を印加することも含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
1.序説
幾つかの具体的実施形態を参照して本発明を説明するが、説明は本発明を例証するものであり、本発明を限定するものと解釈されるべきではない。添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の真の範囲から逸脱することなく、当業者は本明細書に記載の本発明の実施形態に様々な変更をなし得る。またここで、理解し易くするために、ある一定の同様の部品は様々な図を通して同様の参照文字および/又は参照番号で示されることにも留意されたい。更に、別途定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語および科学用語は、本発明が関係する分野の当業者によって通例理解されるのと同じ意味を有する。本明細書で定義されるある一定の用語、およびその文法上の異形は、本明細書の内容全体を参照することによって更に完全に定義される。
【0027】
本発明は、正確で効率的な流体物質の分注に関する。「流体物質」の用語は、気体、液体、半液体、ペースト、およびこれらの物理的状態の組み合わせの形態の物質を指す。例示的な流体物質としては、所定のアッセイ又は合成反応を行うための試薬、および/又は、細胞、ビーズ若しくは他の粒子の懸濁液等が挙げられる。本発明は、選択された容積の流体物質を様々な種類の容器の中、基材表面上、および他の流体物質部位に送達するため、蠕動ポンプの他に、他の圧力源も具備する分注システムを提供する。幾つかの実施形態では、これらのシステムは、更に、実質的に均一な密度を有する、ある容積の流体を分注するように構成されている。「実質的に均一な密度」の用語は、互いにほぼ等しい密度を指す。幾つかの実施形態では、例えば、実質的に均一な密度を有する流体物質(例えば、粒子懸濁を有する溶液など)の密度は、互いに約20%以下異なる。説明すると、溶解した溶液は、平衡状態では略均一な密度であるが、粒子懸濁を有する溶液の密度は、例えば、不適切な混合又は沈降により変わり得る。分注されるある容積の流体間に密度のばらつきがあると、例えば、偏ったアッセイ結果が得られるか、合成プロトコルにより一貫していない収量が得られるか、又はさもなければ特定の用途の再現性に悪影響が及ぶ可能性がある。更に、本明細書に記載の分注システムは、例えば、流体を導管からパージするため、又は、導管内に配置されるシステム流体と供給源流体との間に間隙を作り出すためなどに、典型的には、ガスをシステム導管の中に導入する流体合流ブロックを具備する。
【0028】
本明細書に記載の分注システムの他に、これらのシステムの動作を制御するためのシステムソフトウェアおよび関連する流体物質分注方法も提供する。
【0029】
II.分注システム
最初に、本発明の分注システムの幾つかの実施形態を概略的に示す図1〜図7を参照する。例えば、図1Aは、分注システム100を概略的に示す。図示されるように、分注システム100は、蠕動ポンプ104と流体連通している流体物質供給源102を具備する。本明細書で使用される時、分注システム部品の文脈における「流体連通」又は「流体連通する」の用語は、流体物質(例えば、液体、気体など)がこれらの部品間で輸送され得ることを指す。幾つかの実施形態では、システム部品は、チュービング又は他の導管を介して互いに流体連通するが、他の実施形態では、少なくとも幾つかのシステム部品は互いに直接接続され、例えば、チュービングがない状態で互いに流体連通する。図1Aに示されるように、分注システム100の部品は、導管を介して互いに流体連通する。
【0030】
動作中、蠕動ポンプ104は、流体物質(例えば、ビーズ懸濁液、細胞懸濁液など)を流体物質供給源102からリザーバ106の中に「T」合流点108を介して流す。幾つかの実施形態では、流体物質供給源102から流れてくる流体物質は、リザーバ106内に配置されている既存の緩衝剤又は他の流体を押し退け、この既存の流体は、分注システム100の廃棄物捕集部品(例えば、廃棄物トレイなど)(図示せず)に向けて送られる。選択された容積の流体物質がリザーバ106の中に流れると、ピンチバルブ114は、典型的には、蠕動ポンプ104と「T」合流点108の間の流れを制限するように係合する。図示されているように、リザーバ106は分注チップ110とも流体連通する。また図示されているように、リザーバ106は導管コイルを具備し、コイルは、リザーバ106を通流する流体物質が非垂直な流路に従うように、分注システム100のZ軸と平行以外の向きに配置されている。「非垂直な流路」の用語は、真直ぐに又は完全に垂直(例えば、Z軸と完全に平行)ではない流路を指す。非垂直な流路は、流体物質中のビーズ、細胞、又は他の粒子がリザーバ106の底部の方に沈降することを防止する。これは、リザーバ106内に配置されている流体物質に実質的に均一な密度を提供する。コイル状のリザーバ設計は、例えば、分注チップ110から分注される流体物質の密度に応じて変わる。本明細書で使用される時、「上(top)」の用語は、流体物質の分注など、設計される又は意図される典型的な実運転(operational use)に適した向きに配置されているときの、デバイス若しくはシステム、又は、デバイス部品若しくはシステム部品の最高の点、レベル、表面又は部分を指す。対照的に、「底」の用語は、本明細書で使用される時、設計される又は意図される典型的な実運転に適した向きに配置されているときの、デバイス若しくはシステム、又は、デバイス部品若しくはシステム部品の最低の点、レベル、表面又は部分を指す。
【0031】
幾つかの実施形態では、例えば、溶解した溶液の分注など、典型的には流体密度の均一性が問題ではない分注用途では、実質的に垂直な流路を有するリザーバが使用される。このようなリザーバの一例は、例えば、図1Bに概略的に示されている。図示されているように、コイルのない管として示されているリザーバ112を、分注システム100のリザーバ106の代わりに使用することができる。リザーバ112は、典型的には、分注チップ110からの一連の分注を取り扱うのに十分な容積容量を具備する。ある一定の実施形態では、リザーバは供給源流体とシステム流体との混合を最小限にするように設計されている。他の実施形態では、供給源流体とシステム流体は、分注するために選択された濃度の流体物質を作製するように意図的に混合される。これらの実施形態のそれぞれを本明細書に更に記載する。
【0032】
図1Aに更に示されているように、分注システム100は、「T」合流点108、および、典型的にはシステム流体(例えば、緩衝剤など)を収容する加圧流体物質供給源118と流体連通しているバルブ116(例えば、ソレノイドバルブ、シリンジバルブなど)も具備する。加圧流体物質供給源118は、加圧流体物質供給源118内に配置されている流体物質に圧力を印加するガス供給源120とも流体連通する。幾つかの実施形態では、分注システム100から流体を分注する前に、リザーバ106に加圧流体物質供給源118からの流体を入れる。ある一定の実施形態では、例えば、廃棄流体が分注チップ110から排除され(例えば、廃棄物捕集部品に向けて送られ)、且つ、流体物質供給源102から流体物質が分注チップ110内に配置されて分注チップ110から分注される準備が整っていることを確実にするため、リザーバ106内に配置されている流体物質の後に、加圧流体物質供給源118からの計算された容積の流体が添加されるように、流体物質供給源102からリザーバ106の中に流体物質を流した後、典型的にはバルブ116を開放する。次いで、典型的には、分注チップ110の位置決め部品(図示せず)で分注チップ110を流体物質部位(例えば、マルチウェル容器のウェル、基材の表面など)上に移動させ、そこで、選択された容積の流体物質が分注される。任意に、本明細書に記載のシステムでは分注チップに対して物質部位を移動させる。そのように位置決めした後、典型的には、選択された容積の流体物質を分注するのに十分な時間、バルブ116を開放する。このプロセスは、通常、選択された容積が全て分注されるまで、又は、流体物質供給源102からの追加の流体物質をリザーバ106に添加する必要がある時まで繰り返される。このプロセスでは、加圧流体物質供給源118からの流体がリザーバ106内の流体物質を押し退け、分注チップ110からの分注が起こる。
【0033】
他の実施形態を更に説明すると、図2は、蠕動ポンプ204と流体連通している流体物質供給源202を具備する分注システム200を概略的に示す。更に、分注システム200は、蠕動ポンプ204と流体連通している分注チップ206を具備する。分注チップ206は、バルブ208および加圧ガス供給源210とも流体連通する。動作中、蠕動ポンプ204は、典型的には、流体物質供給源202から分注チップ206に流体物質を輸送する。分注チップ206に輸送される流体物質の容積は、分注システム200から分注されるように使用者が選択する容積に概ね等しい。バルブ208が開放されるとき、加圧ガス供給源210によって印加される圧力により、分注システム200からの選択された容積の流体物質がマルチウェル容器214のウェル212に入る。自動方式では、例えば、マルチウェル容器214の選択された全てのウェル212の中に分注されるまで、このプロセスが繰り返される。
【0034】
図3は、前述の分注システム200の変形を概略的に示す。図示されている実施形態では、バルブ208は加圧流体物質供給源310と流体連通しており、加圧流体物質供給源310は分注システム300の加圧ガス供給源312と流体連通する。幾つかの実施形態では、加圧流体物質供給源310内に配置される溶媒は、流体物質供給源202内に含まれているのと同じ溶媒である。本明細書で使用される時、「溶媒」の用語は、他の1種類以上の物質又は溶液を提供するものを溶解又は分散させることができる液体物質を指す。これらの実施形態では、流体物質供給源202内に収容される溶液は、典型的には、濃縮されている(例えば、濃縮ビーズ溶液など)。動作中、蠕動ポンプ204は、濃縮溶液を分注チップ206に輸送する。バルブ208が開放されると、加圧流体物質供給源310から溶媒が流れ、分注チップ206内に配置されている、ある容積の濃縮溶液を選択されたレベルに希釈する。更に、加圧流体物質供給源310からの溶媒流によって、また、希釈溶液は分注チップ206からマルチウェル容器214のウェル212の中に分注される。前記のように、ある容積の溶液がマルチウェル容器214の選択された全てのウェルの中に分注されるまで、このプロセスを繰り返すことができる。
【0035】
図4は、分注システムの別の例示的な実施形態を概略的に示す。図示されているように、分注システム400は、蠕動ポンプ404と流体連通している流体物質供給源402を具備する。更に、分注システム400は、ミキシングチャンバ408を介して蠕動ポンプ404と流体連通している分注チップ406を具備する。分注チップ406は、ミキシングチャンバ408を介してバルブ410とも流体連通する。バルブ410は、加圧流体物質供給源412とも流体連通し、加圧流体物質供給源412は分注システム400の加圧ガス供給源414と流体連通する。ある一定の用途では、分注システム400は、流体物質をマルチウェル容器のウェルの中に又は他の流体物質部位で連続的に分注するのに使用される。これらの実施形態では、蠕動ポンプ404とバルブ410は、通常互いに同時に動作する。説明すると、蠕動ポンプ404は、典型的には、濃縮流体物質又は溶液を流体物質供給源402からミキシングチャンバ408の中に連続的に送る。加圧流体物質供給源412内に収容される溶媒は、典型的には、流体物質供給源402内に収容される濃縮溶液中に使用されるものと同じである。制御ソフトウェアは、希釈溶媒が加圧流体物質供給源412からミキシングチャンバ408に入り、流体物質供給源402から輸送される濃縮溶液を選択された量だけ希釈するように、典型的にはバルブ410の開閉を制御する。流体がミキシングチャンバ408の中に輸送される時、また、選択された容積の希釈溶液が、分注チップ406から、マルチウェル容器418の選択されたウェル416の中に分注される。
【0036】
また図4に示されているように、分注システム400は、蠕動ポンプ404とミキシングチャンバ408の間に配置され、それらと流体連通している三方バルブ420も具備する。三方バルブ420が動作するとき、蠕動ポンプ404へのラインは大気と通気される。更に、ライン内の濃縮溶液が流体物質供給源402に戻るように、蠕動ポンプ404は、任意に、逆運転される。これは、例えば、流体物質供給源402から高価な物質が分注され、廃棄物が最小限でなければならないときに、重要となり得る。三方バルブは、任意に、これらの分注システムの他の実施形態にも具備される。
【0037】
更に説明すると、図5Aは、分注システム500の断面図を概略的に示す。図示されているように、分注システム500は、第1の導管504に動作可能に接続されている蠕動ポンプ502を具備し、第1の導管504は第1の流体物質供給源506と流体連通する。蠕動ポンプ502は、第1の流体物質(例えば、ビーズ懸濁液、細胞懸濁液、試薬など)を第1の導管504の少なくとも一部の中に、又はそれを通して可逆的に輸送するように構成されている。本明細書で使用される時、「可逆的に輸送する」の用語は、物質又はその一部が、例えば、流体物質部位で分注された後、流体物質部位から除去されること、および/又は、1つの流体物質部位から除去された後、別の流体物質部位で分注されること等が可能な物質輸送プロセスを指す。ある一定の実施形態では、例えば、流体物質は、流体物質部位(例えば、マイクロウェルプレートのウェル又は他の流体物質供給源)から吸引され、他の部位(例えば、マイクロウェルプレートのウェル、基材の表面、流体物質廃棄物容器など)で分注される。可逆的な物質輸送は、典型的には、特定の流体物質部位に物質を輸送するようにローラ支持体を回転させる方向とは反対の方向に、蠕動ポンプローラ支持体を回転させることによってなされ、その特定の流体物質部位から物質が除去される。また図示されているように、流体攪拌機構508は、第1の流体物質供給源506に動作可能に接続され、第1の流体物質の成分(例えば、ビーズ、細胞など)が第1の流体物質供給源506の底の方に沈降することを防止し、さもなければ、第1の流体物質の成分を混合する。第1の流体物質供給源506中の成分の混合は、例えば、吸引および分注、インペラの運動、超音波、および物理的振盪等を含む様々な手法を使用して分注システム500の動作中に達成され得る。インペラなどの好適な流体攪拌機構は、例えば、ベルコ・ガラス社(米国ニュージャージー州バインランド)(Bellco Glass,Inc.,(Vineland,NJ,USA))、および、フィラデルフィア・ミキシング・ソルーションズ(米国ペンシルバニア州パルミラ)(Philadelphia Mixing Solutions(Palmyra,PA,USA))等を含む多くの様々な供給業者から容易に入手可能である。
【0038】
図5Aに更に示されているように、分注システム500は、第1の導管504を通る流体物質の輸送を調節するように構成されているピンチバルブ510も具備する。エアテーブル512は、ピンチバルブ510に動作可能に接続され、ピンチバルブ510を動作させる。
【0039】
分注システム500は、流体合流ブロック516を介して第1の導管504と流体連通する第2の導管514も具備する。第2の導管514は、バルブ520(例えば、マイクロソレノイドバルブなど)を介して圧力源518(例えば、加圧ガス供給源、第2の加圧流体物質供給源、ポンプなど)とも流体連通する。第1の流体物質の選択されたアリコートが第3の導管524の開口部522から分注されるように、圧力源518は第2の導管514に圧力を印加するように構成されている。説明すると、圧力源は、任意に、システム流体として使用される緩衝剤又は他の流体を具備する加圧流体物質供給源を備える。バルブ520は、圧力源518によって印加される圧力を調節する。
【0040】
図示されているように、分注チップ又はノズル526は分注ヘッド527に配置され、第3の導管524と流体連通し、第3の導管524の開口部522を具備する。幾つかの実施形態では、例えば、開口部522を具備する第3の導管524のセグメントは、分注システム500のZ軸に対して約0°〜約90°の角度で配置され、より典型的にはZ軸に対して約15°〜約75°の角度で配置され、更に典型的にはZ軸に対して約35°〜約55°の角度(例えば、約40°、約41°、約42°、約43°、約44°、約45°、約46°、約47°、約48°、約49°など)で配置されている。また図5Aに示されているように、開口部522を具備する第3の導管524のセグメントは、分注システム500のZ軸に対して約45°の角度で配置されている。例えば、この構成を有する導管からマルチウェル容器のウェルの中に分注される流体は、典型的には、ウェルの側部にウェルの他の部分より先に接触する。このため、流体分注中、ウェル内に配置されているビーズ、細胞など他の物質の撹乱が最小限になる。これらの導管およびチップ構成は、これらの部位に非垂直な流路を提供することによって、分注される溶液の均一な密度を維持することも助ける。ある一定の実施形態では、分注チップは、Z軸と実質的に平行に配置されている。分注システム700の分注チップ716(例えば、図7Aを参照)は、この構成の1つの実施形態を概略的に示しており、それは溶液の液滴がチップに形成されることを防止するのに役立つ可能性がある。分注システム700について更に後述する。
【0041】
前述のように、本明細書に記載の分注システムのある一定の実施形態では、導管のかなりの部分は、Z軸と平行以外の向きに配置されている。説明すると、分注システム500中に流体リザーバを形成する第3の導管524は、導管コイル528を具備する。図示されているように、導管コイル528は、垂直に取り付けられたポスト529の周囲に分注システム500のZ軸と平行以外の向きに配置されている複数のコイルを具備する。また図示されているように、第3の導管524の他のセグメントも、分注システム500のZ軸と平行以外の向きに配置されている。この導管の向きは、均一な密度を有する容積が第3の導管524から分注されるように、分注される流体中のビーズ、細胞又は他の物質が第3の導管524の開口部522の方に沈降することを防止する。
【0042】
ここで、分注システム500の流体合流ブロック516の詳細断面図を概略的に示す図5Bを更に参照する。図示されているように、ポート530が、流体合流ブロック導管532の壁に貫設されており、流体合流ブロック導管532に貫設されているキャビティと連通する。ガスバルブ534は、ポート530に動作可能に接続されている。ガスバルブ534は、加圧ガス供給源536にも動作可能に接続され、ポート530を通り流体合流ブロック導管532に入るガス流を調節する。ガスバルブ534は、通常、流体合流ブロック導管532内に配置されている流体間にガス間隙を導入し、これらの流体が流体合流ブロック導管532内で互いに混合することを防止するのに使用される。幾つかの実施形態では、例えば、このような間隙は、図5Bに示されている距離Vに対応する流体合流ブロック導管532の部分を占める。他の距離を使用することもできるが、距離Vは、典型的には、約5mm〜約50mm、より典型的には約10mm〜約25mmである。典型的には、加圧ガス供給源536は、ガスバルブ534に1平方インチ当たり約0ポンド〜1平方インチ当たり約10ポンドの圧力でガス(例えば、空気、窒素、ヘリウム、アルゴンなど)を流す。ガスバルブの開放時に流体が重力でチップから引き出されることを可能にするほど、分注チップへの開口部が十分に大きい実施形態では、これらのチップから流体を押し出すのに、任意に、印加圧力を使用しない。ガスを流体合流ブロック導管の中に導入し、これらのガス間隙を作り出す方法について更に後述する。
【0043】
ガスバルブ534は、分注サイクル中、流体合流ブロック導管532内の流体流の中に導入されるガスのデッドボリュームが最小になるように設計されている。このように低いガスのデッドボリュームは、距離又は長さWを最小限にすることによって達成される。より具体的には、ポート530は、典型的には約5mm以下の長さW、より典型的には約2.5mm以下の長さW、更に典型的には約1mm以下(例えば、約0.9mm、約0.7mm、約0.5mm、約0.3mm、約0.1mmなど)の長さWを具備する。
【0044】
また図示されているように、ガスバルブ534は、コンプライアントシール材料540を具備するプランジャ538を具備し、コンプライアントシール材料540は、プランジャ538がコンプライアントシール材料540をポート530と接触するように押すとき、ポート530と面シールを形成する。本質的にどのような耐薬品性ゴム又はエラストマー材料(その多くは当該技術分野で周知である)も任意に、コンプライアントシール材料として使用されるように適合される。例えば、好適なコンプライアントシール材料は、任意に、例えば、カルレッツ(KALREZ)(登録商標)、バイトン(VITON)(登録商標)、サントプレーン(SANTOPRENE)(登録商標)、テフロン(TEFLON)(登録商標)、又はセレラス(CELERUS)(商標)等から選択される。これらの材料の多くは、W.L.ゴア・アンド・アソシエーツ(デラウェア州ニューアーク)(W.L.Gore&Associates(Newark,DE))などの様々な供給業者から容易に入手可能である。更に、ガスバルブ534は、プランジャ538の周囲に配置されている直線シール541も具備する。直線シール541は、ガスがプランジャ538の周囲のガスバルブ534から逃げることを防止する。
【0045】
分注システム500は、ガスバルブ534に動作可能に接続されているエアテーブル542も具備する。エアテーブル542は、プランジャ538を移動させてガスバルブ534を動作させるように構成されている。
【0046】
更に説明すると、本明細書に記載の分注システムは、ある一定の実施形態では、複数の導管(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15本又はそれより多くの導管)を具備する。これらの実施形態の幾つかでは、例えば、導管のうちの少なくとも2本の開口部は、マルチウェル容器(例えば、2、4、6、12、24、48、96、384、1536又はそれより多くのウェルを有するマルチウェル容器)内に配置されている異なるウェルと同時に流体連通するように、ある距離、互いに離間している。分注システム700(更に後述する)は、例えば、16×24のウェル配列を有する標準的な384ウェルプレートの中に流体物質を同時に分注するように、ある距離、互いに離間している8本の導管を具備する。幾つかの実施形態では、分注システムは、単一の導管と流体連通するマニホールドを具備する。これらのマニホールドは、また、典型的には、複数の流体物質部位、例えば、マルチウェルプレート、反応ブロックなどの中に配置されている複数のウェルと流体連通するように構成されている。例えば、マニホールドは、マルチウェル容器内に配置されている異なるウェルの中、又は基材表面上等に流体物質を同時に分注するように、ある距離、互いに離間している分注チップを具備する。更に説明すると、図6は、分注チップ604および導管と流体連通するチャンバとして示されている、マニホールド602を具備する分注ヘッド600を概略的に示す。ある一定の実施形態では、例えば、分注ヘッド600が分注システム500の分注ヘッド527の替わりに使用され、第3の導管524がマニホールド602と流体連通するようになっている。動作中、流体物質は第3の導管524からマニホールド602の中に輸送され、分注チップ604から分注される。
【0047】
本発明の態様を更に説明すると、図7A〜図7Cは、本発明の一実施形態による分注システム700を概略的に示す。図示されているように、分注システム700は、取り付け部品704(硬質フレームとして示されている)に取り付けられている蠕動ポンプ702(例えば、マルチチャネル低容積蠕動ポンプ)を具備する。分注システム700は駆動モータ706を備えるフィードバック部品も具備し、駆動モータ706は、典型的には位置エンコーダおよび減速ギヤを具備し、且つ蠕動ポンプ702に動作可能に接続されて、蠕動ポンプ702の回転可能なローラ支持体を精密に制御して回転させる。フィードバック部品は、位置フィードバック制御が可能な駆動モータ706(図7には示されていない)の制御システムも具備する。
【0048】
動作中、導管(図7には示されていない)は、通常、蠕動ポンプ702の圧縮面とローラの間に配置されている。更に、導管の1組の終端は、同じ又は異なる物質供給源(図7には示されていない)と流体連通し、もう1組の末端は、分注部品710の流体合流ブロック708に動作可能に接続され、それと流体連通する。例示的な流体合流ブロックは、前記にも記載されている。また図示されているように、分注システム700は、各蠕動チャネルの流速に関する微調整を使用者に提供するように設計されているチューブストレッチャ703を具備する。より具体的には、チューブストレッチャ703は、関連する蠕動チュービング又は導管の長さを機械的に増加させる。所与の管の長さが増加すると、その管の内径は減少し、パルス又は回転増分当たりの輸送される容積も減少する。これは、各蠕動チャネルの流速に対する微調整を使用者に提供する。幾つかの実施形態では、蠕動ポンプカートリッジとローラの間のスペースを変えることによって更に調製することができる。
【0049】
図7Bおよび図7Cは、それぞれ、分注システム700の分注部品710の詳細底面斜視図および詳細上面斜視図を概略的に示す。ソレノイドバルブ712は、導管(図7には示されていない)を介して同じ又は異なる圧力源(視野に入っていない)(例えば、加圧ガス供給源、第2の加圧流体物質供給源、ポンプなど)と、および、流体合流ブロック708と流体連通する。流体合流ブロック708の出口714は、導管(図7には示されていない)を介して分注ヘッド718内に配置されている分注チップ716と流体連通し、この導管は、垂直に取り付けられたポストの周囲に配置されている導管コイルを形成する。例示的な導管コイルは前記にも記載されている。また図示されているように、分注部品710はエアテーブル722および724も具備する。エアテーブル722はピンチバルブ726を動作させるが、724は、流体合流ブロック708のガスバルブ(視野に入っていない)に動作可能に接続され、流体合流ブロック708に入るガスの流れを調節し、前述のようにガス間隙を導入して流体の混合を防止する。
【0050】
更に、分注システム700の分注部品710は、対象物ホルダ730上に配置されている流体物質部位(例えば、マルチウェルプレート、膜など)に対して分注チップ716をZ軸方向に平行移動させる位置決め部品である、Z軸直線運動部品728(例えば、コンパクトで高速の短距離移動するZ軸運動部品又はシステム)も具備する。対象物ホルダ730は、対象物ホルダ730をX軸およびY軸に沿って分注チップ716に対して移動させる、X/Y軸直線運動部品732(テーブルとして示されている)に動作可能に接続されている。X/Y軸直線運動部品732は、取り付け部品704の一部を形成する支持要素734にも取り付けられている。1つ以上のモータ(例えば、ソレノイドモータなど)が、通常、本発明の分注システムに動作可能に接続され、X/Y軸直線運動テーブル上の対象物ホルダを動かす。例えば、ソレノイドモータ736は、分注システム700の対象物ホルダ730を動かす。図7A〜図7Cの視野に入っていないが、分注システム700は、通常、例えば、X/Y軸直線運動部品732のための制御駆動装置、および、駆動モータ706のための位置フィードバックも具備する。また図示されているように、分注チップ716を清掃するのに使用される清掃部品738も具備する。真空チャンバ740で作用させる真空下で分注チップ716がオリフィス742の近位に配置されているとき、付着物質が少なくとも分注チップ716の外面から除去されるように、特に、清掃部品738は、分注チップ716に対応するオリフィス742を有する真空チャンバ740を具備する。清掃部品738は、真空チャンバ740に隣接して配置される流体容器744も具備する。ある一定の実施形態では、流体容器744は洗浄溶媒を収容し、例えば真空チャンバ740にある分注チップ716に真空を作用させる前に、Z軸直線運動部品728で分注チップ716を降下させて洗浄溶媒に入れることができる。任意に、流体容器744は廃棄物捕集部品として使用される。
【0051】
本発明の分注システムは、典型的には、選択された回転増分での蠕動ポンプローラ支持体の回転、圧力源からの圧力の印加、および/又は、直線運動部品の運動等をさせるように構成されているコントローラ(また図1〜図7に示されていない)も具備する。本発明の前記および他の態様について、より詳細に後述する。
【0052】
A.蠕動ポンプ
本明細書に記載の分注システムは、通常、正確な角変位をするように加速度、速度、および減速度が精密に調節される回転蠕動ポンプを具備する。ある一定の実施形態では、例えば、これらのシステムは、例えば、ローラ係脱事象によって生じる周期的変動の原因となり、回転蠕動ポンプを使用して流体物質の正確で繰り返し可能な輸送が達成される。「周期的変動」の用語は、所与のデバイス又はシステムの出力又は他の特徴における繰り返し変化を指す。説明すると、例えば、変位サイクル中にローラが物質導管から係脱するとき、典型的には、回転蠕動ポンプによって輸送される物質の量に周期的変動がある。より具体的には、リードローラ(即ち、特定の変位サイクルで物質導管との接触が最も前進しているローラ)が物質導管に一定の圧力を印加するとき、角変位と変位サイクル中に輸送される物質の量との間には、通常、実質的に直線的な関係がある。しかし、リードローラが係脱事象を経、その間、リードローラによって物質導管に印加される圧力がゼロまで減少する時、この関係は非直線になる傾向がある。これによって、ポンプの角変位と押し退けられた物質の量に関する関数に、繰り返し起こり得る異常又は周期的変動が生じる。
【0053】
本明細書に記載のシステムに本質的にどのような回転蠕動ポンプを使用することもできる。各回転運動で流体が管を通って移動するように、蠕動ポンプは、典型的には回転機構を使用し、例えば、ポンプのローラ、シューなどと接触して多数の点で圧縮される管又は他の導管を通して流体又は他の物質を移動させる。蠕動ポンプは、通常、少なくとも2つのローラを支持する回転可能なローラキャリア又は支持体を具備する。幾つかの実施形態では、これらのシステムに使用されるコントローラは、ローラ支持体上で支持される隣接するローラ間に配置されている角距離の整数倍に実質的に対応する回転増分でローラ支持体を回転させ、これらの回転増分に対応する量の流体物質がシステム導管の中に又はそれを通して輸送されるように構成されている。これらの実施形態では、実質的に同一のローラ係脱事象は、通常、輸送される各流体容積に対して起こり、それによって、ローラ係脱が、輸送される流体容積間の変動の原因となることを最小限にする。また、蠕動ポンプおよび関連するポンプ制御方法は、例えば、「物質輸送システムおよび方法(MATERIAL CONVEYING SYSTEMS AND METHODS)」と題され、メインキスト(Mainquist)らにより2003年12月4日に出願された米国仮出願第60/527,125号明細書に記載されており、この特許は参照により組み込まれる。
【0054】
幾つかの実施形態では、複数量の物質を同時に輸送することができるように、例えば、蠕動ポンプはマルチチャネル蠕動ポンプを含む。説明すると、図8は、マルチチャネル蠕動ポンプ800の上面斜視図を概略的に示す。図示されている実施形態では、マルチチャネル蠕動ポンプ800は5つのチャネル802を備える。任意に、マルチチャネル蠕動ポンプ800に追加のチャネル802が付け加えられるか、又は、マルチチャネル蠕動ポンプ800からチャネル802の1つ以上が取り除かれる。典型的には、チャネルの数は、特定の分注用途の分注システムに使用される分注チップの数に対応するように選択される。マルチチャネル蠕動ポンプ800のローラ支持体のローラ804および導管806も図8に概略的に示されている。
【0055】
典型的には、ローラ支持体に対して回転する回転可能なローラ(例えば、受動的又は能動的に回転可能)が本発明のシステムに使用されるが、固定ローラ又はシューなどの機能的に同等な非回転部品も任意に使用される。しかし、回転可能なローラの方が、一般に、非回転の同等物よりも、匹敵する使用量に対する物質導管(例えば、可撓性チュービング等)の磨耗が少ない。
【0056】
本発明のシステムに使用するように適合され得る蠕動ポンプは、例えば、ABOインダストリーズ社(米国カリフォルニア州サンディエゴ)(ABO Industries Inc.)(San Diego,CA,USA))、アナロックス・インスツルメンツ社(英国ロンドン)(Analox Instruments Ltd.(London,UK))、ASFトーマス・インダストリーズ社(ドイツ、プーフハイム)(ASF Thomas Industries GmbH(Puchheim,Germany))、バーナント社(米国イリノイ州バーリントン)(Barnant Co.(Barrington,IL,USA))、コール・パーマー・インスツルメント社(米国イリノイ州バーノンヒルズ)(Cole−Parmer Instrument Company(Vernon Hills,IL,USA)、フルーイッド・メータリング社(米国ニューヨーク州ショセット)(Fluid Metering Inc.(Syosset,NY,USA)、ゴーマン・ラップ・インダストリーズ(米国オハイオ州ベルビル)(Gorman−Rupp Industries(Bellville,OH,USA))、I&Jフィスナー社(米国ニュージャージー州フェアローン)(I&J Fisnar Inc.(Fair Lawn,NJ,USA))、メラー・ファインメカニク社(ドイツ、フルダ)(Moeller Feinmechanik GmbH&Co.(Fulda,Germany))、パーキン・エルマー・インスツルメンツ(米国コネチカット州シェルトン)(Perkin Elmer Instruments(Shelton,CT,USA))、およびテラ・ユニバーサル社(米国カリフォルニア州アナハイム)(Terra Universal Inc.(Anaheim,CA,USA)等を含む様々な供給業者から入手可能である。回転ポンプに関する更なる詳細は、例えば、カラシクら(版)、ポンプハンドブック、マグローヒル社(2000年)(Karassik et al.(Eds.)Pump Handbook,The McGraw−Hill Companies(2000))、および、ネリク、遠心ポンプおよび回転ポンプ:基礎と応用、CRC出版(1999年)(Nelik,Centrifugal and Rotary Pumps:Fundamentals with Applications,CRC Press(1999))に記載されており、これらは共に参照により組み込まれる。
【0057】
B.運動制御
本発明の分注システムに使用される運動制御システムは、典型的には、コントローラ、モータ駆動装置、モータ、エンコーダおよびレゾルバ、ユーザインターフェース、並びにソフトウェアなどの適合部品を具備する。コントローラ、ユーザインターフェース、およびソフトウェアについて、より詳細に後述する。蠕動ポンプ駆動モータは、通常、少なくとも1つの位置エンコーダと少なくとも1つの減速ギヤ部品を具備する。本発明のシステムに使用される例示的なモータは、典型的には、例えば、サーボモータ、又はステッパモータ等が挙げられる。幾つかの実施形態では、本発明のシステムのフィードバック部品は、モータに動作可能に接続されている少なくとも1つの駆動機構を具備する。駆動機構は、典型的には、モータの位置フィードバック制御をする少なくとも1つの制御部品を具備する。
【0058】
前述のように、蠕動ポンプローラ支持体の移動は、典型的には、ポンプに動作可能に接続されているモータによってなされる。本発明のシステムに任意に使用される例示的なモータとしては、例えば、DCサーボモータ(例えば、ブラシレス又はギヤモータタイプ)、ACサーボモータ(例えば、誘導モータ又はギヤモータタイプ)、ステッパモータ、又はリニアモータ等が挙げられる。サーボモータは、典型的には、コード化された信号をモータに送ることによって位置決めされ得る出力軸を有する。モータへの入力が変化する時、出力軸の角位置も変化する。ステッパモータは、一般に、磁場を使用してロータを動かす。ステッピングは、典型的には、フルステップ、ハーフステップまたは他の部分ステップの増分で行うことができる。ロータの周囲の極に電圧を印加する。電圧によって各極の極性が変化し、極とロータの間で起こる磁気相互作用によってロータが動く。
【0059】
本発明のシステムは、通常、コントローラとモータの間のインターフェースの役割をするモータ駆動装置(例えば、ACモータ駆動装置、DCモータ駆動装置、サーボ駆動装置、ステッパー駆動装置など)も具備する。ある一定の実施形態では、モータ駆動装置は、統合運動制御機能を具備する。例えば、サーボ駆動装置は、典型的には、閉ループ運動制御システムのサーボモータに電気駆動出力を提供し、そこで位置フィードバックと補正信号により、位置と速度の正確さが最適化される。フィードバックを受け取る統合運動制御回路および/又はソフトウェアを有するサーボ駆動装置は、補償信号および補正信号を提供し、位置、速度および加速度を最適化する。
【0060】
好適なモータおよびモータ駆動装置は、一般に、例えば、米国安川電機(株)(米国イリノイ州ウォーキガン)(Yasukawa Electric America,Inc.(Waukegan,IL,USA))、AMKドライブズ・アンド・コントロールズ社(米国バージニア州リッチモンド)(AMK Drives&Controls,Inc.(Richmond,VA,USA))、エンプロテック・オートメーション・サービス(米国ミシガン州アン・アーバー)(Enprotech Automation Services(Ann Arbor,MI,USA))、エアロテック社(米国ペンシルバニア州ピッツバーグ)(Aerotech,Inc.(Pittsburgh,PA,USA))、クイックシルバー・コントロールズ社(米国カリフォルニア州コビナ)(Quicksilver Controls,Inc.(Covina,CA,USA))、NCサーボ・テクノロジー社(米国ミシガン州ウエストランド)(NC Servo Technology Corp.(Westland,MI,USA))、HDシステムズ社(米国ニューヨーク州ハーパーグ)(HD Systems Inc.(Hauppauge,NY,USA))、および、ISLプロダクツ・インターナショナル社(米国ニューヨーク州ショセット)(ISL Products International,Ltd.(Syosset,NY,USA))等を含む多くの様々な供給業者から入手可能である。モータおよびモータ駆動装置に関する更なる詳細は、例えば、ポルカ、モータおよび駆動装置、ISA(2002年)(Polka,Motors and Drives,ISA(2002))、および、ヘンダーショットら、ブラシレス永久磁石モータの設計、マグナ・フィジクス出版(1994年)(Hendershot et al.,Design of Brushless Permanent−Magnet Motors,Magna Physics Publishing(1994))に記載されており、これらは共に参照により組み込まれる。
【0061】
C.圧力源
本発明の分注システムは、分注する準備として流体物質をシステムの中に輸送する蠕動ポンプの他に圧力源を具備する。本明細書に記載されるように、蠕動ポンプによってシステムの中に輸送された流体物質の選択されたアリコートが、導管から押し出される又はさもなければ分注されるように、これらの追加の圧力源はシステム導管内に圧力を印加するように構成されている。本質的にどのような圧力源もこのように流体物質を分注するように適合させることができる。説明すると、ある一定の実施形態では、圧力源は、流体物質が分注される導管と流体連通する加圧ガス供給源を含む。図2に概略的に示されているように、圧力源210は、この種のシステム構成の一例である。様々な加圧ガスを使用することができる。幾つかの実施形態では、例えば、エアコンプレッサを使用して空気圧を提供し、選択されたアリコートをシステム導管から押し出す。任意に、窒素、ヘリウム、又はアルゴンなどの他のガスも使用して流体物質を輸送する。ある一定の実施形態では、例えば、細菌又はイースト等による分注流体の汚染を防止するため、加圧ガス供給源からのガスを(例えば、22μmのフィルタなどを使用して)濾過する。幾つかの実施形態では、これらの加圧ガス供給源は、システム流体供給源(例えば、緩衝剤又は他の溶媒)などの1つ以上の流体物質供給源を介して、流体物質が分注される導管と流体連通する。これらの実施形態では、加圧ガスは、典型的には、流体物質をこれらの加圧流体物質供給源からこれらの導管の中に押し入れ、導管から流体物質の選択されたアリコートを分注する。このシステム構成の一例を図1Aに概略的に示すが、これは更に前述されている。シリンジポンプ、他の蠕動ポンプなどの様々なポンプも、本明細書に記載の分注システムでこれらの圧力供給源として機能するように構成され得る。
【0062】
選択された流体物質アリコートを分注するためにこれらの圧力源によって印加される圧力は、様々な技術を使用して調節され得る。ある一定の実施形態では、例えば、圧力源と、流体物質が分注される導管の開口部との間にバルブが配置されている。これらの実施形態の幾つかでは、マイクロソレノイドバルブなどのソレノイドバルブが使用される。好適なバルブは、例えば、ザ・リー・カンパニーUSA(米国コネチカット州ウエストブルーク)(The Lee Company USA(Westbrook,CT,USA))を含む様々な供給業者から市販されている。これらの実施形態では、バルブは、典型的には、バルブを動作させるコントローラに動作可能に接続されている。コントローラについて、より詳細に後述する。
【0063】
D.位置決め部品および取り付け部品
幾つかの実施形態では、本発明の分注システムは位置決め部品を具備する。位置決め部品は、通常、導管および/又は流体物質部位を互いに対して移動可能に位置決めするように構成されている。位置決め部品は、典型的には、流体物質部位(例えば、マルチウェルプレート、基材など)を支持するように構成されている少なくとも1つの対象物ホルダを具備する。典型的には、流体物質容積が導管および/又は流体物質部位の相対的な移動と同期して流体物質部位に輸送され、例えば、高スループット「オンザフライ式」の流体物質分注がなされるように、位置決め部品は、導管から同時に流体物質を分注し、導管および/又は流体物質部位を互いに対して移動可能に位置決めするように構成されているシステムコントローラに動作可能に接続されている。
【0064】
2つの異なる軸に沿って位置決めするため、本発明の分注システムの対象物ホルダは、通常、例えば、マルチウェル容器の2つの軸のそれぞれを受容するように位置決めさる1つ以上の位置合わせ部材を有する。例えば、図9は、本明細書に記載の分注システムに使用できる対象物ホルダ900の上面斜視図を示す。対象物ホルダ(即ち、対象物ホルダ730)の別の実施形態は図7Aに概略的に示されており、これは更に前述されている。図9に示されているように、容器ステーション901は対象物ホルダ900の支持構造体902上に配置されている。支持構造体902は、真空プレート904を支持する。突起906および908は、位置合わせ部材として機能する。図示されている容器ステーション901の実施形態は、支持構造体902から延びる2つのx軸突起908と1つのy軸突起906を有する。従って、この実施形態ではマルチウェル容器が位置決めされた後、マルチウェル容器を所定の位置に保持する役割をする真空プレート904に対して、x軸突起908とy軸突起906が固定して位置決めされる。x軸配置決め突起908はマルチウェル容器のx軸表面(例えば、マイクロタイタープレートのy軸壁)と協働するように構成されており、y軸突起906は容器のy軸表面(例えば、マイクロタイタープレートのy軸壁)と協働するように構成されている。
【0065】
位置合わせ部材は、例えば、位置決めピン、タブ、隆起、凹部、又は壁面等とすることができる。幾つかの実施形態では、位置合わせ部材は、適切に位置決めされたマルチウェル容器に接触する曲面を具備する。曲面を使用すると、例えば、位置合わせ部材に接触する容器表面の粗さの影響が最小限になる。図9に示されているように、1つの軸に沿った2つの位置合わせ部材と、第2の軸に沿った1つの位置合わせ部材を使用することは、容器の適切な位置決めに対する表面の不規則さの影響を最小限にする別の手法である。マルチウェル容器は、容器の表面に沿って3点に接触するため、適切な位置合わせは、容器表面全体が規則的であることに依存しない。
【0066】
本発明のある一定の実施形態は、マイクロタイタープレートが流体物質部位として使用されるとき、特にマイクロタイタープレートの位置決めに適用される。説明すると、図10A〜図10Cにマイクロタイタープレート1000を示す。図示されているように、マイクロタイタープレート1000は、試料および試薬を保持するための多くの個々の試料ウェルを有するウェル領域1002を備える。マイクロタイタープレートは、6、12、24、48、96、192、384、768、1536又はそれより多くのウェルを有する一般に入手可能なプレートを含む様々な試料ウェル構成で入手可能である。マイクロタイタープレートは、例えば、グレイナー・アメリカ社(米国フロリダ州レイク・メアリー)(Greiner America Corp.(Lake Mary,FL,USA))、およびナルジェ・ヌンク・インターナショナル(米国ニューヨーク州ローチェスタ)(Nalge Nunc International(Rochester,NY,USA))等を含む様々な製造業者から入手可能であることが分かる。マイクロタイタープレート1000は、底部に位置合わせ縁部1006がある外壁1004を有する。更に、マイクロタイタープレート1000は、ウェル領域の下のプレートの底側に底面1008を具備する。底面1008は、位置合わせ部材受け入れ領域1010によって外壁1004から分離されている。位置合わせ部材受け入れ領域1010は、外壁1004の表面と底面1008の縁部の内壁1012によって画定されている。位置合わせ部材受け入れ領域1010に幾つかの横方向支持体1014が存在してもよいが、これらの領域は、内壁1012と外壁1004の内面との間が概ね開放している。
【0067】
本発明によれば、マイクロタイタープレートを位置決めするため、容器ステーションの位置合わせ部材は、任意にマイクロタイタープレートの内壁1012と協働するように配置されている。内壁1012が、壁1004などのプレート1000の外壁と比較して、典型的には、より正確に形成され、試料ウェル領域の周囲とより密接に関連付けられる時、内壁1012は有利に使用される。従って、壁1004などの外壁と位置合わせするよりも、マイクロタイタープレートの内壁(例えば、内壁1012)を位置合わせ部材に対して位置合わせする方が、一般に好ましい。位置合わせ面として内壁を使用することによって得られる位置決め精度の向上により、1536ウェルプレートなどの高密度マイクロタイタープレートの使用が可能になる。更に、位置合わせ部材(例えば、位置合わせ突起906および908)をプレート1000の内壁1012と協働させることによって、プレートの外側に隣接する構造が最小限ですむ。このようにして、ロボットアーム又は他の移送デバイスは、プレート1000に容易にアクセスすることができる。突起を内壁1012に隣接して位置決めすると、それによって、プレート1000の転置が容易になる。しかし、位置合わせ部材又は突起を代替の位置に配置することができ、それでもなおプレートの精密な位置決めが容易なることが分かる。
【0068】
対象物ホルダは、通常、1つ以上の可動部材を具備する。可動部材は、容器を1つ以上の位置合わせ部材に当接するように移動させる機能をする。例えば、マルチウェル容器が位置合わせ部材のおおよその位置に配置された後、可動部材(本明細書では「プッシャ」と称される)は、容器の位置合わせ面が位置決めデバイスの位置合わせ部材の1つ以上と接触するように容器を移動させる。位置決めデバイスは1つ以上の軸に沿って容器を位置決めするためのプッシャを有することができる。例えば、位置決めデバイスは、x軸に沿って容器を位置決めする1つ以上のプッシャと、y軸に沿って容器を位置決めする1つ以上の追加のプッシャを有することが多い。プッシャを当該技術分野で既知の手段で移動させることができる。例えば、エアシリンダ、スプリング、ピストン、弾性部材、電磁石又は他の磁石、およびギヤ駆動装置等、又はこれらの組み合わせが、容器が所望の位置に移動するようにプッシャを移動させるのに好適である。
【0069】
x軸とy軸の両方に沿ってマイクロタイタープレートを位置決めするためのプッシャを有する対象物ホルダの容器ステーションの一実施形態を図9に示す。マイクロタイタープレートが、概ね、x軸突起とy軸突起に隣接して位置決めされているとき、マイクロタイタープレートの底面は真空プレート904の上面910の真上にある。支持構造体902内のスロット914を通って延びるy軸プッシャ912を使用してマイクロタイタープレートのy軸側壁に圧力を印加する。マイクロタイタープレートをy軸突起906に押し当てるのに十分な力をプレートに印加する。マイクロタイタープレートをy軸突起906に押し当てるとき、支持構造体902のスロット920を通って延びるx軸プッシャ918を使用してマイクロタイタープレートのx軸壁をx軸突起908の方に押す。このようにして、マイクロタイタープレートは、x軸突起とy軸突起の両方に対して正確に且つ精密に位置決めされる。1つ以上のプッシャを外壁ではなくマイクロタイタープレートの内壁に接触させるのが有利なこともあるが、必ずしもそうではない。この配置では、位置合わせ部材とプッシャはマイクロタイタープレートの下にある。このため、プレートの外部を取り囲む領域には突起がなく、突起は、さもなければ、例えば、支持体上にマイクロタイタープレートを配置する他のデバイスに干渉する可能性がある。
【0070】
前述のように、図9に示されている対象物ホルダの実施形態は、適切に位置決めされた容器を所望の位置に保持する保持デバイスとして機能する真空プレート904を具備する。y軸プッシャ912とx軸プッシャ918の両方を用いてマイクロタイタープレートを精密に配置するのに十分な力を印加し、真空源(図示せず)は真空ライン922を通して真空開口部又は穴924の中に真空を作用させる。空気源(図示せず)は空気ライン(図示せず)を通して空気圧を印加し、プッシャを移動させる。
【0071】
ある一定の実施形態では、位置決め部品は、X軸とY軸に沿ったX/Y軸直線運動テーブルの移動を制御する位置フィードバック制御駆動装置に動作可能に接続されているX/Y軸直線運動テーブルも具備する。ある一定の実施形態では、直線運動テーブルは、X軸又はY軸などの1つの軸だけに沿って移動するように構成されている。典型的には、対象物ホルダは、例えば、X/Y軸直線運動テーブル上に取り付けられている。一例として、図7Aは、X/Y軸直線移動テーブル732上に取り付けられている対象物ホルダ730を概略的に示す。位置決め部品は、通常、導管の一部を支持し、Z軸に沿って移動する分注ヘッド(例えば、図7Aに概略的に示されている分注ヘッド718を参照されたい)を具備するZ軸直線運動部品も具備する。Z軸直線移動部品は、通常、z軸に沿って分注ヘッドを移動させるため、ソレノイドモータ等を具備する。ある一定の実施形態では、Z軸直線移動部品は、例えば、分注ヘッドの近位に取り付けられている物質除去ヘッドも具備する。例えば、ある一定の物質除去ヘッドは、マルチウェルプレートのウェルから物質を非侵襲的に除去し、例えば、ある一定の用途の間にプレートを洗浄するように構成されている。物質除去ヘッドは、典型的には、プレートから物質が除去される時、マルチウェルプレートのウェル間の交差汚染を防止するように構成されている。本発明のシステムに使用されるように任意に適合される物質除去ヘッド、システムおよび関連する方法に関する更なる詳細は、例えば、「物質除去デバイス、システム、および方法(MATERIAL REMOVAL DEVICES,SYSTEMS,AND METHODS)」と題され、ミックラッシュ(Micklash II)らにより2003年4月8日に出願された米国仮出願第60/461,638号明細書に記載されており、この特許は参照により組み込まれる。
【0072】
他の様々な位置決め部品又はその一部を本発明のシステムに使用することができる。ある一定の実施形態では、例えば、本明細書に記載のシステムの対象物ホルダ上に配置される流体物質部位(例えば、マルチウェルプレート、基材表面など)で発生する検出可能な信号を検出する。これらの実施形態の幾つかでは、このような検出を容易にするため、対象物ホルダにオリフィスが貫設されている。更に説明すると、本発明の幾つかの実施形態では、対象物ホルダは、任意に、中にマルチウェルプレート又は他の流体物質部位を位置決めすることができる収容部(nest)を備える。本発明のシステムに使用することができるこれらの又は他の種類の対象物ホルダは、例えば、「自動精密対象物ホルダ(AUTOMATED PRECISION OBJECT HOLDER)」と題され、メインキスト(Mainquist)らにより2001年6月15日に出願された国際公開第WO01/96880号明細書、「マルチウェル容器位置決めデバイスおよび関連するシステムおよび方法(MULTI−WELL CONTAINER POSITIONING DEVICES AND RELATED SYSTEMS AND METHODS)」と題され、エバンス(Evans)により2003年8月4日に出願された米国仮出願第60/492,586号明細書、および、「アッセイ検出システムにおける非圧力ベースの流体移送および関連する方法(NON−PRESSURE BASED FLUID TRANSFER IN ASSAY DETECTION SYSTEMS AND RELATED METHODS)」と題され、エバンス(Evans)らにより2003年8月4日に出願された米国仮出願第60/492,629号明細書に記載されており、これらはそれぞれ参照により組み込まれる。
【0073】
幾つかの実施形態では、分注システムは、蠕動ポンプ、圧力源、コントローラ、位置決め部品、および/又は他のシステム部品を互いに対して取り付ける取り付け部品を具備する。取り付け部品は、典型的には、実質的に硬質である、例えば、システムの動作中に他のシステム部品を適切に支持できる鋼又は他の材料から製造されている。例示的な取り付け部品(即ち、取り付け部品704)は図7Aに概略的に示されており、これは更に前述されている。
【0074】
E.清掃部品
本発明の分注システムは、任意に、例えば、位置決め部品が導管を清掃部品の少なくとも近位に移動させるとき、導管(例えば、その分注チップ)を清掃するように構成されている清掃部品も具備する。流体物質が分注される時、幾らかの流体は毛管作用で吸い上げられるか、又は、さもなければ分注チップの外面に付着する可能性がある。チップの表面仕上げ加工は流体で被覆されると、例えば、その後の分注工程の間、更に多くの流体を引き付ける傾向があるため、付着流体がチップから除去されないと、通常、それによって更に吸い上げが起こる。更に、吸い上げられた物質は選択された流体物質部位で分注されないため、および/又は選択されない部位で分注されるため、そのことによって、典型的には、分注される物質の量は不正確になる。流体物質の吸い上げは物質導管チップで様々な速度で起こる傾向があるため、その不正確さは、複数の量の物質が複数の物質導管から同時に分注されるとき複雑になる場合がある。従って、本発明のある一定の実施形態では、吸い上げられた流体物質は、通常、例えば、分注工程と分注工程の間に清掃部品を使用して物質導管チップから清掃される。
【0075】
幾つかの実施形態では、例えば、清掃部品は少なくとも1つのオリフィスを備える真空チャンバを具備し、作用させる真空が、吸い上げられた物質又はさもなければ付着物質を導管又は分注チップの外面から除去されるように、位置決め部品は導管をそのオリフィスの中又は近位に移動させる。典型的には、導管の外側断面寸法は、オリフィスの断面寸法より小さい。説明すると、図11Aは、本発明の一実施形態による清掃部品1100の真空チャンバ1102の部分透視斜視図を示す。図示されているように、複数のオリフィス1104は清掃部品1100内に配置され、典型的には真空源(図示せず)に動作可能に接続されている出口1106と連通する。また、清掃部品1100上に配置されている分注ヘッド1108も図示されている。導管チップ1110を降下させて少なくとも一部オリフィス1104に入れ、作用させる真空下で導管チップ1110から付着物質を除去することができるように、オリフィス1104は分注ヘッド1108の導管チップ1110に対応するように構成されている。図11Bは、オリフィス1104の近位に配置されている導管チップ1110の詳細断面図を概略的に示す。矢印1112は、オリフィス1104を通流する空気の速度Vを表す。導管チップ1110を降下させてオリフィス1104に入れる時、オリフィス1104の面積が減少し、そのため真空チャンバ1102と導管チップ1110の間に残っている間隙でVが増加し、導管チップ1110の外面から付着物質を引き離すか又はさもなければ除去する。真空チャンバは、任意に、例えば、本発明のシステムの位置決め部品の対象物ホルダの表面上に配置される。分注チップに角度が付いている実施形態(例えば、更に前述されている分注チップ526を参照)では、真空チャンバオリフィスは、典型的には、これらのチップを収容するように変更される。これらの実施形態の幾つかでは、例えば、これらのオリフィスは溝状の開口部として製造される。
【0076】
F.導管
本発明のシステムに使用される導管は様々な実施形態を含む。幾つかの実施形態では、例えば、導管の末端は、導管と一体に製造されている、又は、例えば、直接若しくはインサートを介して導管に接続される分注チップ(例えば、ノズルなどのような先細りのチップ)を具備する。使用される導管(例えば、ポンプチュービングなど)および/又はチップのサイズ(例えば、内部断面寸法)は、典型的には、少なくとも一部、例えば、所望の分注容積、および輸送される流体物質の粘度等に依存する。任意に、より大きいサイズも使用されるが、導管および/又はチップに貫設されているキャビティは、典型的には、例えば、約100μm〜約100mm、より典型的には、例えば、約500μm〜約50mm、更に典型的には、約1mm〜約10mmの断面寸法を具備する。任意に、導管又はチップに貫設されるキャビティは少なくとも2つの異なる断面寸法を具備する。
【0077】
導管、チップ、およびインサートは、任意に様々な材料から製造される。導管、分注チップ、および/又はインサートの製造に使用される例示的な材料としては、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリカーボネート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、フッ素化エチレンプロピレン(FEP)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)(テフロン(TEFLON)(商標))、パーフルオロアルコキシ(PFA)、オートプレーン(autoprene)、C−フレックス(C−FLEX)(登録商標)(シリコーン油で変性されたスチレン−エチレン−ブチレン(SEBS)ブロックコポリマー)、ノープレーン(NORPRENE)(登録商標)(ポリプロピレンベースの材料)、ファーメド(PHARMED)(登録商標)(ポリプロピレンベースの材料)、シリコーン、タイゴン(TYGON)(登録商標)、およびバイトン(VITON)(登録商標)(様々なフルオロポリマーエラストマーを含む)等が挙げられる。分注チップおよびインサートは、任意に、ガラスおよび様々な金属(例えば、ステンレス鋼など)を含む他の材料からも製造される。導管、チップ、およびインサートを製造するための材料は、典型的には、例えば、サンゴバン・パフォーマンス・プラスチックス(米国カリフォルニア州ガーデン・グローブ)(Saint−Gobain Performance Plastics(Garden Grove,CA,USA))、および、デュポン・ダウ・エラストマーズL.L.C.(米国デラウェア州ウィルミントン)(DuPont Dow Elastomers L.L.C.(Wilmington,DE,USA))等を含む多くの様々な供給業者から容易に入手可能である。
【0078】
G.流体物質部位
本発明のシステムおよび方法は、本質的にどのような種類の流体物質部位とも使用されるように適合され得る。本発明のシステムに使用される典型的な流体物質部位としては、容器、および基材表面等が挙げられる。例示的な容器としては、マイクロウェルプレート、反応ブロックなどのマルチウェル容器、および、例えば、複数のアッセイ、合成反応、若しくは他のプロセスを並行して行うのに使用される他の容器が挙げられる。これらのものなどのマルチウェル容器は、典型的には、例えば、6、12、24、48、96、192、384、768、1536又はそれより多くのウェルを具備し、一般に、例えば、グレイナー・アメリカ社(米国フロリダ州レイク・メアリー)(Greiner America Corp.(Lake Mary,FL,USA))、およびナルジェ・ヌンク・インターナショナル(米国ニューヨーク州ローチェスタ)(Nalge Nunc International(Rochester,NY,USA))、およびH+Pラボテクニク社(H+P Labortechnik AG)(ドイツ、オーバーシュライスハイム(Oberschleissheim,Germany))等を含む様々な製造業者から入手可能である。本発明のシステムに使用するのに好適な反応ブロックに関する更なる詳細は、例えば、「平行反応装置(PARALLEL REACTION DEVICES)」と題され、ミックラッシュ(Micklash II)らにより2002年9月5日に出願された国際公開第WO03/020426号明細書に記載されており、これは参照により組み込まれている。
【0079】
更に説明すると、本発明のシステムはまた、任意に、基材表面上に流体物質を分注するように構成されている。例えば、本明細書に記載のシステムを使用して基材表面上に様々な異なる密度で点配列等を作り出すことができる。配列された物質は、通例、例えば、当該技術分野で既知の他の多くの用途の他に、臨床試験(例えば、血中コレステロール試験、血糖試験、妊娠試験、排卵試験など)に使用される。本質的にどのような基材材料も、任意に、本発明のシステムに使用されるように適合される。ある一定の実施形態では、例えば、基材は、ケイ素、ガラス、又はポリマー材料(例えば、ガラス又はポリマー顕微鏡スライド、シリコンウェーハなど)から製造される。顕微鏡スライドを含む好適なガラス又はポリマー基材は、フィッシャー・サイエンティフィック(米国ペンシルバニア州ピッツバーグ)(Fisher Scientific(Pittsburgh,PA,USA))等の様々な供給業者から入手可能である。任意に、本発明のシステムに使用される基材は膜である。好適な膜材料は、任意に、例えば、ポリアラミド膜、ポリカーボネート膜、多孔質プラスチックマトリックス膜(例えば、ポーレックス(POREX)(登録商標)ポーラス・プラスチック(Porous Plastic)など)、多孔質金属マトリックス膜、ポリエチレン膜、ポリ(二フッ化ビニリデン)膜、ポリアミド膜、ナイロン膜、セラミック膜、ポリエステル膜、ポリテトラフルオロエチレン(テフロン(TEFLON)(商標))膜、メッシュ織物膜、精密濾過膜、ナノ濾過膜、限外濾過膜、透析膜、複合膜、親水性膜、疎水性膜、ポリマーベースの膜、非ポリマーベースの膜、粉末活性炭膜、ポリプロピレン膜、ガラス繊維膜、ガラス膜、ニトロセルロース膜、セルロース膜、硝酸セルロース膜、酢酸セルロース膜、ポリスルホン膜、ポリエーテルスルホン膜、又はポリオレフィン膜等から選択される。これらの膜材料の多くは、P.J.コバート・アソシエーツ社(米国ミズーリ州セントルイス)(P.J.Cobert Associates,Inc.(St.Louis,MO,USA))、又はミリポア社(米国マサチューセッツ州ベッドフォード)(Millipore Corporation(Bedford,MA,USA))等の様々な供給業者から広く入手可能である。
【0080】
H.コントローラ、コンピュータプログラム製品、および追加のシステム部品
本発明の自動システムのコントローラは、通常、圧力源に動作可能に接続され、その動作を制御するように構成されており、導管の開口部から流体物質を分注する。幾つかの実施形態では、コントローラは、蠕動ポンプ(例えば、モータ駆動装置を介して)にも動作可能に接続されている。コントローラは、また、モータ(例えば、モータ駆動装置を介して)、位置決め部品(例えば、X/Y軸直線運動テーブル、Z軸運動部品など)、清掃部品、検出器、流体センサ、又はロボット転置デバイス等の他のシステム部品と動作可能に接続され、これらの部品の動作を制御する。より具体的には、コントローラは、通常、例えば、流体物質の分注、位置決め部品の移動、検出器が試料容器から受け取る検出可能な信号の検出および/又は分析などをするのに使用される別々のシステム部品又は一体のシステム部品のいずれかとして具備される。コントローラおよび/又は他のシステム部品は、任意に、予めプログラムされた又はユーザが入力した命令(例えば、導管断面寸法、回転増分、輸送される容積など)に従ってこれらの機器の動作を指示し、これらの機器からデータおよび情報を受け取り、翻訳し、処理し、この情報をユーザに報告する機能をする、適切にプログラムされたプロセッサ、コンピュータ、デジタルデバイス、又は他の論理回路若しくは情報機器(例えば、必要に応じて、AD変換器又はDA変換器を含む)に連結される。
【0081】
コントローラ又はコンピュータは任意にモニタを具備し、モニタは陰極線管(「CRT」)ディスプレイ、平面型ディスプレイ(例えば、能動マトリックス液晶ディスプレイ、液晶ディスプレイなど)又はその他であることが多い。コンピュータ回路は、マイクロプロセッサ、メモリ、およびインターフェース回路他などの多数の集積回路チップを具備するボックス内に配置されることが多い。ボックスは、任意に、ハードディスクドライブ、フロッピーディスクドライブ、高容量リムーバブルドライブ(書き込み可能なCD−ROMなど)、および他の一般的な周辺要素も具備する。キーボード又はマウスなどの入力デバイスは、任意に、ユーザからの入力を提供する。図12に、コンピュータを備える例示的なシステムを概略的に示す。
【0082】
コンピュータは、典型的には、1組のパラメータフィールドへのユーザ入力の形態(例えば、GUIの形態)、又は、予めプログラムされた命令(例えば、様々な異なる特定の操作のために予めプログラムされたもの)の形態のいずれかである、ユーザ命令を受け取るのに適切なソフトウェアを具備する。次いで、ソフトウェアは、例えば、位置決め部品の移動の速度又はモードを変えること又は選択すること、蠕動ポンプを用いて導管を通して流体物質を輸送すること、圧力源から印加される圧力で流体物質を分注することができるようにバルブを開放することなどの所望の動作を実施するため、それらの命令を、1つ以上のコントローラの動作を指示するのに適切な言語に変換する。次いで、コンピュータは、例えば、システム内に具備されるセンサ/検出器からデータを受け取り、データを翻訳し、それをユーザに理解されるフォーマットで提供するか、又はそのデータを使用して、例えば、検出可能な信号強度の監視、又はマルチウェル容器位置決め等のプログラミングに従って他のコントローラ命令を開始する。
【0083】
より具体的には、本発明のシステムの動作を制御するのに使用されるソフトウェアは、典型的には、例えば、システムが流体物質を流体物質部位に輸送すること、容器が対象物ホルダ上に位置決めされているとき位置決め部品の対象物ホルダのプッシャが容器を位置合わせ部材と接触するように押すこと、および/又は、ロボット操作デバイスが容器を転置すること等の指示をする論理命令を具備する。更に説明すると、本発明は、少なくとも1つの蠕動ポンプを作動させ、導管の少なくとも第1の開口部を通して少なくとも第1の流体物質を少なくとも1つの導管の中に輸送する、および、第1の流体物質の少なくとも1つのアリコートが導管の少なくとも第2の開口部から分注されるように、蠕動ポンプ以外の少なくとも1つの圧力源を作動させ、導管内の第1の流体物質に圧力を印加するための1つ以上の論理命令を有する制御ソフトウェア、又は、コンピュータ読み取り可能な媒体を具備するコンピュータプログラム製品を提供する。ある一定の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、(i)流体物質部位に輸送される第1の流体物質の量;(ii)第1の流体物質の初期密度;(iii)第1の流体物質の密度を調整するため、第1の流体物質に添加される第2の流体物質の量;(iv)第1の流体物質を第2の流体物質から分離するため導管に輸送するガスの量;および(v)流体物質部位フォーマットからなる群から選択される1つ以上の入力パラメータを受け取るための少なくとも1つの論理命令を具備する。幾つかの実施形態では、コンピュータプログラム製品は、導管に動作可能に接続されている少なくとも1つのバルブを動作させ、導管への物質輸送および/又は導管からの物質輸送を調節するための少なくとも1つの論理命令を具備する。ある一定の実施形態では、コンピュータプログラム製品は、少なくとも1つのX/Y軸直線運動部品、および/又は、少なくとも1つのZ軸運動部品を動作させ、X/Y軸直線運動部品、又は、Z軸運動部品に取り付けられている又はその上に位置決めされている他の1つ以上の部品を移動させるための少なくとも1つの論理命令を具備する。例えば、コンピュータプログラム製品のコンピュータ読み取り可能な媒体としては、任意に、CD−ROM、フロッピーディスク、テープ、フラシュメモリデバイス又は部品、システムメモリデバイス又は部品、ハードドライブ、又は搬送波中に組み込まれるデータシグナル等のうち1つ以上を具備する。
【0084】
コンピュータは、例えば、PC(インテルx86又はペンティアムチップ−互換性DOS(商標)、OS2(商標)、ウインドウズ(WINDOWS)(商標)、ウインドウズ(WINDOWS) NT(商標)、ウインドウズ(WINDOWS)95(商標)、ウインドウズ(WINDOWS)98(商標)、ウインドウズ(WINDOWS)2000(商標)、ウインドウズ(WINDOWS) XP(商標)、リナックス(LINUX)ベースのマシン、マッキントッシュ(MACINTOSH)(商標)、パワー(Power)PC、又は、ユニックス(UNIX)ベースの(例えば、サン(SUN)(商標)ワークステーション)マシン、又は当業者に既知の他の一般的な市販のコンピュータとすることができる。ワードプロセッシングソフトウェア(例えば、マイクロソフト・ワード(Microsoft Word)(商標)又はコーレル・ワード・パーフェクト(Corel Word Perfect)(商標)、および、データベースソフトウェア(例えば、マイクロソフト・エクセル(Microsoft Excel(商標)、コーレル・クワトロ・プロ(Corel Quattro Pro)(商標)などの表計算ソフトウェア、又は、マイクロソフト・アクセス(Microsoft Access(商標)又はパラドックス(Pradox)(商標)などのデータベースプログラム)などの標準的なデスクトップアプリケーションを本発明に適合させることができる。例えば、マルチウェルプレートの選択されたウェルの中への流体物質の分注、アッセイの検出、およびデータデコンボリューションを実行するためのソフトウェアは、任意に、アップル・スクリプト(AppleScript)、ビジュアルベーシック(Visual basic)、C、C++、パール(Perl)、パイソン(Python)、フォートラン(Fortran)、ベーシック(Basic)、又はジャバ(Java)等の標準的なプログラム言語を使用して、当業者によって構成される。
【0085】
本発明の自動システムは、任意に、マルチウェル容器のウェル内、基材表面上、又は他の流体物質部位に配列された試料中における光の吸収、透過、および/又は放出(例えば、ルミネセンス、蛍光など)、および/又は、これらの特性の変化を検出し、定量化するように更に構成されている。択一的に又は同時に、検出器は、化学信号(例えば、pH、又はイオン状態等)、熱(例えば、吸熱又は発熱反応を監視するため、例えば、熱センサを使用)、又は、他のいずれかの好適な物理現象を含む、マルチウェル容器又は他の流体物質部位からの他の様々な信号のいずれかを定量化することができる。本明細書に記載の他のシステム部品の他に、本発明の物質輸送システムは、任意に、照明源又は電磁放射線源、光学系、および検出器も具備する。本発明のシステムおよび方法は融通がきき、本質的にどのような化学物質もアッセイすることができるため、それらは、プロトタイピングおよびマススクリーニングを含む、アッセイ開発の全ての段階に使用することができる。
【0086】
幾つかの実施形態では、本発明のシステムはエリアイメージ用に構成されているが、走査イメージャ(scanning imager)又は非画像計数システムを含む他のフォーマット用にも構成することができる。エリアイメージシステムは、典型的には、一度にマルチウェル容器又は他の試料全体を検出器面上に載置する。従って、典型的には、光電子倍増管(PMT)を移動させる必要もレーザを走査させる必要等もないが、その理由は、検出器が容器全体を多くの小さい検知素子(例えば、電荷結合素子(CCD)など)上に並行して結像させるからである。この並行捕捉段階の後に、典型的には、検出器からの画像全体を読出す逐次処理が続く。走査イメージャは、典型的には、試料上にレーザ又は他の光線を通過させ、一点一点又は線一本一本の方式で、蛍光又は反射率等を励起させる。ある一定の場合は、共焦点光学素子を使用して共焦点面以外からの蛍光(out of focus fluorescence)を最小限にする。点又は線を連続して蓄積することにより、時間が経つにつれ画像が形成される。非画像計数システムは、典型的には、PMT又は感光ダイオードを使用して、例えば、マルチウェル容器のウェル内の光の透過又は放出の変化を検出する。次いで、これらのシステムは、典型的には、各ウェルからの光出力を単一のデータポイントに積算する。
【0087】
様々な照明源又は電磁供給源および光学系を本発明のシステムに使用されるように適合させることができる。従って、本発明のシステムに使用でき、当業者に明らかとなる、可能な変形を全て記載する試みを本明細書では行わない。本発明のシステムに任意に使用される例示的な電磁放射線源としては、例えば、レーザ、レーザダイオード、エレクトロルミネセンス素子、発光ダイオード、白熱ランプ、アークランプ、フラッシュランプ、および蛍光ランプ等が挙げられる。本発明のアッセイシステムに使用される1つの好ましい種類のレーザはアルゴン−イオンレーザである。電磁放射線源から試料容器に、および/又は、マルチウェル容器から検出器に電磁放射線を伝搬する例示的な光学系は、典型的には、必要に応じて電磁放射線を集束させるおよび/又は方向付けるため、1つ以上のレンズおよび/又は鏡を具備する。多くの光学系は、光ファイバー束、光カプラ、およびフィルタ(例えば、フィルタホイールなど)等も具備する。
【0088】
これらのシステムに任意に使用される好適な信号検出器は、例えば、放出、ルミネセンス、透過、蛍光、燐光、又は吸収等を検出する。幾つかの実施形態では、検出器は、所定の位置において「リアルタイム」結果に対応する複数の光学信号を監視する。例示の検出器又はセンサとしては、PMT、CCD、高感度CCD、フォトダイオード、アバランシェフォトダイオード、光センサ、又は走査検出器等が挙げられる。これら、並びに他の種類のセンサはそれぞれ、任意に、本明細書に記載のシステムに容易に組み込まれる。検出器は、任意に、マルチウェルプレート又は他のアッセイ部品などの流体物質部位に対して移動するか、或いは、マルチウェルプレート又は他のアッセイ部品が検出器に対して移動する。ある一定の実施形態では、例えば、検出部品は、本明細書に記載のシステムの容器位置決めデバイス上に位置決めされている流体物質部位に対して検出部品を移動させる平行移動部品に連結されている。任意に、本発明のシステムは、複数の検出器を具備する。これらのシステムでは、このような検出器は、検出器がマルチウェルプレート又は他の容器と感知連通する(即ち、検出器が、プレート若しくは容器又はその一部、又は、検出器で検出しようとするプレート若しくは容器の一部の内容物等の特性を検出できる)ように、典型的には、例えば、マルチウェルプレート又は他の容器内に又はそれに隣接して配置される。ある一定の実施形態では、検出器は、マルチウェル容器のウェル内で発生する電磁放射線を検出するように構成されている。
【0089】
検出器は、任意に、コンピュータを具備するか、又はコンピュータに動作可能に連結され、例えば、コンピュータは、検出器信号情報をアッセイ結果情報等に変換するシステムソフトウェアを有する。例えば、検出器は、任意に、別々の装置として存在するか、又はコントローラと統合されて単一の機器になっている。これらの機能を単一の装置に統合すると、システム部品間で情報を伝達するために使用する通信ポートが少数又は1つだけで済むため、これらの機器のコンピュータとの接続が容易になる。任意に本発明のシステムに具備される検出部品については、例えば、スクーグ(Skoog)ら、機器分析の原理、第5版、ハーコート・ブレース・カレッジ出版社(1998年)(Principles of Instrumental Analysis,5thEd.,Harcourt Brace College Publishers(1998))、およびキュレル、分析機器:性能特性および品質、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ社(2000年)(Currell,Analytical Instrumentation:Performance Characteristics and Quality,John Wiley&Sons,Inc.(2000))に更に記載されており、これらは共に参照により組み込まれている。
【0090】
本発明のシステムは、任意に、マルチウェルプレートなどの流体物質部位を把持し、自動システムの部品間で、および/又はシステムと他の位置(例えば、他のワークステーションなど)との間で転置するように構成されている、少なくとも1つのロボット転置部品又は把持部品も具備する。ある一定の実施形態では、例えば、システムは、更に、マルチウェルプレートを位置決め部品、インキュベーション部品又は貯蔵部品等の間で移動させる把持部品を具備する。様々な入手可能なロボット要素(ロボットアーム、可動プラットホームなど)を使用することができるか、又はこれらのシステムに使用されるように変更することができ、ロボット要素は、典型的には、その移動および他の機能を制御するコントローラに動作可能に接続されている。本発明のシステムに使用されるように任意に適合される例示的なロボット把持デバイスについては、例えば、「グリッパ機構(GRIPPER MECHANISM)」と題され、2003年7月15日にダウンズ(Downs)らに発行された米国特許第6,592,324号明細書、および、「把持機構、装置および方法(GRIPPING MECHANISMS,APPARATUS,AND METHODS)」と題され、ダウンズ(Downs)により2002年2月26日に出願された国際公開第WO02/068157号に更に記載されており、これらは共に参照により組み込まれている。
【0091】
図12は、本発明の様々な態様が具体化され得る、情報機器を具備する代表例の分注システムを概略的に示す。本明細書に記載されている教示から当業者が理解するように、本発明は、任意に、ハードウェアおよびソフトウェアで実施される。幾つかの実施形態では、本発明の様々な態様は、クライアント側ロジック又はサーバ側ロジックのいずれかで実施される。また当該技術分野で理解されるように、適切に構成された演算素子にロードされるとき、装置又はシステムが本発明に従って実行するようにさせる論理命令および/又はデータを含むメディアプログラム部品(例えば、固定メディア部品)で、本発明又はその部品は具体化され得る。更に当該技術分野で理解されるように、論理命令を含む固定媒体は、固定媒体の観察者に配送され、観察者のコンピュータに物理的にロードされてもよく、又は、論理命令を含む固定媒体は遠隔のサーバに存在し、観察者が通信媒体を通してアクセスするプログラム部品をダウンロードしてもよい。
【0092】
図12は、任意に、固定媒体1222を有するサーバ1220に接続され得る、媒体1217および/又はネットワークポート1219から命令を読取ることができる論理装置(例えば、コンピュータなど)として理解され得る情報機器又はデジタルデバイス1200を示す。当該技術分野で理解されるように、情報機器1200は、その後、それらの命令を使用して、本発明の態様を具体化するようにサーバロジック又はクライアントロジックに指示することができる。本発明を具体化し得る論理装置の1種は、CPU1207、任意選択的な入力デバイス1209および1211、ディスクドライブ1215、および任意選択的なモニタ1205を含む、1200に図示されているようなコンピュータシステムである。固定媒体1217又はポート1219上の固定媒体1222は、このようなシステムをプログラムするのに使用されてもよく、ディスクタイプの光学又は磁気媒体、磁気テープ、又は、固体ダイナミック若しくはスタティックメモリ等を表してもよい。特定の実施形態では、本発明の態様は、全部又は一部、固定媒体上に記録されるソフトウェアとして具体化されてもよい。例示的なコンピュータプログラム製品については更に前述されている。通信ポート1219は、このようなシステムをプログラムするのに使用される命令を最初に受け取るのに使用されてもよく、どのような種類の通信接続を表してもよい。任意に、本発明の態様は、特定用途向け集積回路(ACIS)又はプログラム可能な論理回路(PLD)の回路内で、全部又は一部、具体化される。このような場合、本発明の態様は、ASIC又はPLDを作るのに使用され得る、コンピュータ理解可能な記述子言語で具体化されてもよい。図12は、サーバ1220を介して情報機器1200に動作可能に接続されている分注システム700も具備する。任意に、分注システム700は、情報機器1200に直接接続される。動作中、分注システム700は、典型的には、例えば、アッセイ又は他のプロセスの一部として、分注システム700の位置決め部品上の選択された流体物質部位に流体物質を輸送する。図12は、任意に本発明のシステムに具備される検出器1224も示す。図示されているように、検出器1224はサーバ1220を介して情報機器1200に動作可能に接続される。幾つかの実施形態では、検出器1224は情報機器1200に直接接続される。ある一定の実施形態では、検出器1224は、分注システム700の位置決め部品上に位置決めされている流体物質部位で発生する検出可能な信号を検出するように構成されている。他の実施形態では、流体物質が分注システム700の位置決め部品上の流体物質部位で分注される前および/又はその後に、流体物質部位(例えば、マルチウェル容器など)を検出器1224に移送する(例えば、手動で又はロボット転置デバイスを使用)。
【0093】
III.システム部品の製造
システム部品(例えば、分注ヘッド、位置決め部品、清掃部品など)は、任意に、例えば、機械加工、打抜き加工、彫刻、射出成形、注型、エンボス加工、押出し、エッチング(例えば、電気化学エッチングなど)又は他の技術を含む、様々な製造技術又はこのような技術の組み合わせで形成される。これらの又は他の好適な製造技術は、一般に当該技術分野で既知であり、例えば、アルティンタシ、製造自動化:金属切削機構、工作機械振動、およびCNC設計、ケンブリッジ大学出版(2000年)(Altintas,Manufacturing Automation:Metal Cutting Mechanics,Machine Tool Vibrations,and CNC Design,Cambridge University Press(2000))、モリナーリら(版)、金属切削および高速機械加工、クルワー・アカデミック出版社(2000年)(Molinari et al.(Eds.),Metal Cutting and High Speed Machining,Kluwer Academic Publishers(2000))、スティーヴンソンら、金属切削の理論と実際、マーセル・デッカー(1997年)(Stephenson et al.,Metal Cutting Theory and Practice,Marcel Dekker(1997))、ロザート、射出成形ハンドブック、第3版、クルワー・アカデミック出版社(2000年)(Rosato,Injection Molding Handbook,3rd Ed.,Kluwer Academic Publishers(2000))、射出成形の基礎、W.J.T.アソシーエツ(2000年)(Fundamentals of Injection Molding,W.J.T.Associates(2000))、ウィーラン、熱可塑性材料の射出成形、第2巻、チャンプマン・アンド・ホール(1991年)(Whelan,Injection Molding of Thermoplastics Materials,Vol.2,Chapman&Hall(1991))、フィッシャー、プラスチックの押出し、ハルステッド出版(1976年)(Fisher,Extrusion of Plastics,Halsted Press(1976))、および、チャン、ポリマーの押出し、理論と実際、ハンサー−ガードナー出版(2000年)(Chung,Extrusion of Polymers:Theory and Practice,Hanser−Gardner Publications(2000))に記載されており、これらはそれぞれ参照により組み込まれる。ある一定の実施形態では、製造後、システム部品は任意に、例えば、部品表面と試薬又は試料等との相互作用を防止するため、例えば、親水性コーティング、又は疎水性コーティング(例えば、ウィットフォード社(ペンシルバニア州ウエストチェスター)(Whitford Corporation(West Chester,PA))から入手可能なキシラン(Xylan)1010DF/870ブラックコーティングなど)等で表面をコーティングすることにより更に処理される。
【0094】
IV.分注方法
本明細書に記載のシステムおよびコンピュータプログラム製品の他に、本発明は、流体物質を分注する方法にも関する。説明すると、ある一定の方法は、実質的に均一な密度を有する流体物質のアリコートの分注に関する。本明細書に記載したように、分注される流体物質間の密度のばらつきは、偏ったアッセイ結果や一貫しない合成収量に繋がることを含む様々な点で分注用途に悪影響を与える可能性がある。このような密度のばらつきを最小限にするため、これらの方法の幾つかは、非垂直流路を含む導管と流体連通する分注チップから、流体物質の選択されたアリコートを輸送することを含む。これらの非垂直流路は、流体物質中の成分(例えば、ビーズ、細胞など)が、分注される前に分注チップの近位に沈降することを防止する。このようにして、分注される所定の流体物質に関して、後で分注されるアリコートは、通常、前に分注されたアリコートと実質的に同じ密度を有する。
【0095】
幾つかの実施形態では、本発明の分注方法は、蠕動ポンプを使用して第1の流体物質(例えば、ビーズ、細胞、酵素、および/又は試薬等を含む溶液などの供給源流体)を導管の第1の開口部を通して導管の中に輸送することを含む。これらの方法は、例えば、合成反応、スクリーニング、又はアッセイ等の一部として、第1の流体物質の選択されたアリコートが物質部位で導管の第2の開口部からマルチウェル容器のウェルの中、基材表面上などに分注されるように、別の圧力源を使用して導管内の第1の流体物質に圧力を印加することも含む。典型的には、必要に応じてこのプロセスを繰り返す。蠕動ポンプおよび他の圧力源については更に前述されている。
【0096】
更に、これらの分注方法は、任意に、第2の流体物質が第1の流体物質のアリコートを導管の第2の開口部から吐出させるように、圧力源を使用して第2の流体物質(例えば、緩衝剤などのシステム流体など)を導管の1つ以上のセグメントを通して輸送することを含む。これらの実施形態の幾つかでは、本方法は、第1の流体物質のアリコートを導管の第2の開口部から吐出させる前に、又はそれと実質的に同時に、第1の流体物質を第2の流体物質で希釈することを含む。更に、本方法は、任意に、ポートを通してガスを導管の中に輸送し、第1の流体物質と第2の流体物質との間に間隙を形成し、第1の流体物質と第2の流体物質が互いに混合することを防止することを含む。更に、本方法は、任意に、第1の流体物質を導管の中に輸送する前に導管の中にガスを輸送し、流体物質を導管の少なくとも1つのセグメントからパージすることを含む。
【0097】
ある一定の実施形態では、例えば、流体物質が蠕動ポンプおよび流体物質供給源の方に流れることを防止するため、圧力源で圧力を印加する間、蠕動ポンプの方に向かう導管内で流体物質の輸送が制限される。幾つかの実施形態では、これらの方法は、例えば、本明細書に記載の位置決め部品を使用して流体物質部位と導管の第2の開口部を互いに対して移動可能に位置決めすることを含む。移動工程と輸送工程は、例えば、「オンザフライ」流体物質分注をするため、典型的には、互いに実質的に同時に行われる。更に、本方法は、任意に、導管内および/又は導管から分注される第1の流体物質のアリコート内で発生する検出可能な信号を検出することを含む。
【0098】
例示的な実施形態を更に説明すると、流体物質を分注する幾つかの方法は、前記にも記載されている、図5Aおよび図5Bに概略的に示されているものなどの流体合流ブロックを有する分注システムの使用を含む。これらの実施形態では、システム流体が供給源流体を希釈しないように、流体合流ブロックは、典型的には、システムと供給源流体を互いに分離するため、これらのシステムの中に、小さく、精密で繰り返し可能なガス間隙を注入するのに使用される。これらの流体合流ブロックは、典型的には、第1の流体物質供給源(例えば、第1の流体物質供給源506)と流体連通する第1の導管(例えば、第1の導管504)の少なくとも一部を具備する。流体合流ブロックは、典型的には、第2の導管の少なくとも一部(例えば、流体合流ブロック導管532)も具備し、少なくとも第1の開口部と第2の開口部(例えば、第1の開口部531と第2の開口部533)、および第2の導管の壁に貫設されている少なくとも1つのポート(例えば、ポート530)を有する。ポートは第2の導管に貫設されたキャビティと連通する。更に、第1の導管は、通常、ポートと第2の導管の第2の開口部との間で第2の導管と交差し、流体連通する。
【0099】
流体物質を分注するこれらの方法は、ある容積の第2の流体物質(例えば、システム流体など)を第2の導管の第1の開口部を通してポートの近位に輸送することを含む。この工程の間、ポートは典型的には閉鎖され、バルブ(例えば、バルブ520)は、通常、第2の流体物質の供給源(例えば、圧力源518)とポートの間に空気が配置されていない(例えば、システム流体約100%である)ことを確実にするのに十分長く開放される。この段階の間、システムのピンチバルブ(例えば、ピンチバルブ510)は開放又は閉鎖される。これらの方法は、通常、第2の導管の第1の開口部を通した、および第1の導管を通した流体物質の輸送を制限することも含む。この工程の間、典型的には、バルブ(例えば、バルブ520)を閉鎖して第2の導管の第1の開口部を通した流体物質の輸送を制限する。蠕動ポンプはバルブの役割をして流体物質が第1の流体物質供給源に流入することを防止するため、この工程の間、ピンチバルブを開放又は閉鎖することができる。これらの方法は、ポートを通してガス(例えば、約5〜10psiで空気、窒素、アルゴンなど)を第2の導管の中に輸送し、流体物質(存在する場合)を第2の導管からポートの下流に第2の導管の第2の開口部を通してパージすることも含む。
【0100】
更に、これらの方法は、第2の導管の第1の開口部を通した流体物質の輸送(例えば、バルブ520を使用)、および、ポートを通したガスの輸送(例えば、ガスバルブ534を使用)を制限することも含む。ある一定の実施形態では、例えば、第1の導管又は別の導管内に存在し得る供給源流体が輸送されて第1の流体物質供給源の中に戻るように、ピンチバルブを開放し、蠕動ポンプを逆に始動させる。次いで、第2の導管の第1の開口部およびポートを通る流れが制限された状態で、本方法は、典型的には、ある容積のガスが第2の導管内の第1の流体物質と第2の流体物質の間に配置されるように、ある容積の第1の流体物質(例えば、供給源流体など)を第1の流体物質供給源から第1の導管を通して、および第2の導管の中に、第1の導管と第2の導管との交差点の近位およびその下流に輸送することを含む。更に、本方法は、典型的には、例えば、ピンチバルブを閉鎖することによって第1の導管を通した流体物質の輸送を制限すること、および、ポートを閉鎖することによってポートを通したガスの輸送を制限すること、並びに、第1の流体物質の少なくとも1つの選択されたアリコートが第2の導管又は第2の導管と流体連通する別の導管(例えば、第3の導管524)の第2の開口部から分注されるように、(例えば、バルブ520を開放した状態で圧力源518を使用して)第2の導管内の第2の流体物質に圧力を印加することも含む。任意にこの工程の1つ以上を繰り返す。
【0101】
本明細書に記載のシステムおよび方法を使用して他の流体物質容積を輸送してもよいが、分注される容積又はアリコートは、通常、少なくとも約0.1μLの流体物質を含む。本発明のシステムでは、典型的には約10〜約15μL/ウェルの全容積容量を有する1536ウェルプレートなどの高密度マルチウェルプレートに、および/又はそれから流体物質を輸送するとき、マイクロリットルの容積が、通常、望ましい。より大きい容積の流体物質(例えば、ミリリットルの容積、リットルの容積など)も、任意に本発明のシステムを使用して輸送される。
【0102】
本質的にどのような生化学的アッセイ若しくは細胞アッセイ、又は合成反応も本システムで、および本発明の方法に従って行われるように適合され得る。説明すると、例えば、マルチウェルプレート内で行われる一般的な種類のアッセイとしては、当該技術分野で既知の他の多くのもの中でも、情報伝達、細胞接着、アポプトーシス、細胞移動、GPCR、細胞透過性、レセプタ/リガンド結合、細胞間カルシウム流動、膜電位、核酸ハイブリダイゼーション、細胞成長/増殖に関するものが挙げられる。マルチウェルプレートを含む、これらのアッセイおよび他のアッセイのある一定のものに関する更なる詳細については、例えば、パーカーら(2000年)「蛍光偏光を使用する高スループットスクリーニングアッセイの開発:核内レセプタ−リガンド結合およびキナーゼ/ホスファターゼアッセイ」、生体分子スクリーニング誌、5(2):77〜88頁(Parker et al.(2000)“Development of high throughput screening assays using fluorescence polarization:nuclear receptor−ligand binding and kinase/phosphatase assays,”J.Biomolecular Screening 5(2):77−88)、エイサ(2001年)「細胞透過性アッセイの自動化」スクリーニング1:36〜37頁(Asa(2001)“Automating cell permeability assays,”Screening 1:36−37)、ノリントン(1999年)「薬物発見プロセスの自動化」製薬技術の革新、1(2):34〜39頁(Norrington(1999))“Automation of the drug discovery process,”Innovations in Pharmaceutical Technology 1(2):34−39)、フクシマら(2001年)「ヒト星状細胞および膀胱癌細胞の因子によるホースラディッシュペルオキシダーゼに対する低い内皮透過性の誘導:マルチウェルプレート培養物の検出」細胞科学における方法23(4):211〜9頁(Fukushima et al.(2001)“Induction of reduced endothelial permeability to horseradish peroxidase by factor(s) of human astrocytes and bladder carcinoma cells:detection in multi−well plate culture,”Methods Cell Sci.23(4):211−9)、ノイマイヤー(1998年)「蛍光ELISA、2種類の蛍光基質と1種類の発色酵素基質の比較」BPI 10(5号)(Neumayer(1998)“Fluorescence ELISA,a comparison between two fluogenic and one chromogenic enzyme substrate,”BPI 10(Nr.5))、グレーフら(2002年)「ナノモル感度を有するニコチン酸−アデニンジヌクレオチドリン酸の新規なサイクリングアッセイ」生化学誌、367(第1部)163〜8頁(Graeff et al.(2002)“A novel cycling assay for nicotinic acid−adenine dinucleotide phosphate with nanomolar sensitivity,”Biochem J.367(Pt1):163−8)、ロジャーズら(2002年)“ニューロン電位依存性Ca2+チャネルに影響を与える植物抽出物の蛍光検出”、欧州薬学誌15(4):321〜30頁(Rogers et al.(2002)“Fluorescence detection of plant extracts that affect neuronal voltage−gated Ca2+ channels,”Eur.J.Pharm.Sci.15(4)321−30)、および、ラパポートら(2002年)「足場依存性哺乳類細胞の多層化増殖のための新規なパーフルオロカーボン系」バイオ技術32(1):142〜51頁(Rappaport et al.(2002)“New perfluorocarbon system for multilayer growth of anchorage−dependent mammalian cells,”Biotechniques 32(1):142−51)に記載されており、これらはそれぞれ参照により組み込まれる。
【0103】
前記発明を明確にし、理解されるように幾らか詳細に説明してきたが、この開示を読むことにより、当業者には、本発明の真の範囲から逸脱することなく形態および詳細における様々な変更をなし得ることが明らかである。例えば、前述の全ての技術および装置を様々な組み合わせで使用することができる。本出願に列挙される全ての出版物、特許、特許出願、および/又は他の文献は、各個々の出版物、特許、特許出願、および/又は他の文献が参照によりあらゆる目的に組み込まれることが個々に示されているのと同程度まで、参照によりその内容全体があらゆる目的に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】図1Aは本発明の一実施形態による導管コイルを具備する分注システムの概略図である。図1Bは図1Aの分注システムに任意に代用されるリザーバの概略図である。
【図2】本発明の一実施形態による分注システムの概略図である。
【図3】本発明の一実施形態による分注システムの概略図である。
【図4】本発明の一実施形態による分注システムの概略図である。
【図5A】本発明の一実施形態による分注システムの概略断面図である。
【図5B】図5Aの分注システムの流体合流ブロックの概略詳細断面図である。
【図6】本発明の一実施形態による流体マニホールドを具備する分注ヘッドの概略図である。
【図7A】本発明の一実施形態による分注システムの概略斜視図である。
【図7B】図7Aの分注システムの分注部品の概略詳細底面斜視図である。
【図7C】図7Aの分注システムの分注部品の概略詳細上面斜視図である。
【図8】マルチチャネル蠕動ポンプの概略上面斜視図である。
【図9】対象物ホルダの概略上面斜視図である。
【図10】図10Aはマイクロタイタープレートの概略上面図である。図10Bは図10Aに示されているマイクロタイタープレートの概略底面図である。図10Cは図10Aに示されているマイクロタイタープレートの概略断面図である。
【図11】図11Aは本発明の一実施形態による清掃部品の真空チャンバの概略部分透視斜視図である。図11Bは図11Aの真空チャンバの一部のオリフィスの近位に配置されている分注チップの概略詳細断面図である。
【図12】本発明の様々な態様が具体化され得る論理デバイスの代表例の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導管が蠕動ポンプに動作可能に接続され、少なくとも第1の流体物質供給源と流体連通しているとき、少なくとも第1の流体物質を少なくとも1つの導管の少なくとも一部の中に又はそれを通して輸送するように構成されている少なくとも1つの蠕動ポンプ、
前記蠕動ポンプ以外の少なくとも1つの圧力源であって、第1の流体物質が前記導管内に存在するとき前記第1の流体物質の選択されたアリコートが前記導管の少なくとも1つの開口部から分注されるように、前記圧力源が前記導管に動作可能に接続されているとき、前記導管に圧力を印加するように構成されている圧力源、および
前記圧力源に動作可能に接続されている少なくとも1つのコントローラであって、前記導管が前記第1の流体物質供給源と流体連通しているとき、前記導管の開口部から前記第1の流体物質を分注するため、前記圧力源の動作を制御するように構成されているコントローラ、
を備える、分注システム。
【請求項2】
前記蠕動ポンプが、マルチチャネル蠕動ポンプを含む、請求項1に記載の分注システム。
【請求項3】
前記コントローラは、前記蠕動ポンプに動作可能に接続され、ローラ支持体によって支持される隣接するローラ間に配置されている角距離の整数倍に実質的に対応する少なくとも1つの回転増分で前記蠕動ポンプのローラ支持体を回転させ、前記導管が前記蠕動ポンプに動作可能に接続され前記第1の流体物質供給源と流体連通しているとき、前記回転増分に対応する量の前記第1の流体物質が前記導管の中に又は前記導管を通して輸送されるように構成されている、請求項1に記載の分注システム。
【請求項4】
前記蠕動ポンプ、前記圧力源、前記コントローラ、および/又は別のシステム部品が取り付けられる取り付け部品を備える、請求項1に記載の分注システム。
【請求項5】
前記分注システムが前記導管を備える、請求項1に記載の分注システム。
【請求項6】
前記導管の開口部と選択的に連通するように構成されている少なくとも1つの廃棄物捕集部品を備える、請求項5に記載の分注システム。
【請求項7】
前記導管と流体連通している流体リザーバを備える、請求項5に記載の分注システム。
【請求項8】
前記導管のかなりの部分が、前記分注システムのZ軸と平行以外の向きに配置されている、請求項5に記載の分注システム。
【請求項9】
前記開口部を備える前記導管の少なくとも1つのセグメントが、前記分注システムのZ軸に対して約0°〜約90°の角度で配置されている、請求項5に記載の分注システム。
【請求項10】
前記導管の開口部が、少なくとも1つの分注チップを備える、請求項5に記載の分注システム。
【請求項11】
前記導管の開口部が、複数の流体物質部位と流体連通するように構成されている少なくとも1つのマニホールドを備える、請求項5に記載の分注システム。
【請求項12】
前記圧力源が1つ以上のポンプを備える、請求項5に記載の分注システム。
【請求項13】
前記分注システムが、複数の導管を備える、請求項5に記載の分注システム。
【請求項14】
前記導管のうちの少なくとも2本の開口部が、少なくとも1つのマルチウェル容器内に配置されている様々なウェルと同時に流体連通するように、ある距離をとって、互いに離間している、請求項13に記載の分注システム。
【請求項15】
前記開口部と前記蠕動ポンプとの間に配置されている前記導管の少なくとも1つのセグメントが、導管コイルを備える、請求項5に記載の分注システム。
【請求項16】
前記導管コイルの少なくとも1つのコイルが、前記分注システムのZ軸と平行以外の向きに配置されている、請求項15に記載の分注システム。
【請求項17】
前記蠕動ポンプが、少なくとも第1の導管に動作可能に接続され、前記圧力源が少なくとも第2の導管に動作可能に接続され、前記第1の導管と前記第2の導管が互いに流体連通する、請求項5に記載の分注システム。
【請求項18】
少なくとも1つの三方バルブが、前記第1の導管に動作可能に接続され、前記三方バルブが前記第1の導管を選択的に通気するように構成されている、請求項17に記載の分注システム。
【請求項19】
前記圧力源が前記導管と流体連通している、請求項5に記載の分注システム。
【請求項20】
前記導管に動作可能に接続されている少なくとも1つのフィルタを備える、請求項19に記載の分注システム。
【請求項21】
前記圧力源が、加圧ガス供給源および/又は第2の加圧流体物質供給源を備える、請求項19に記載の分注システム。
【請求項22】
前記第2の流体物質供給源が、少なくとも1種類の緩衝剤を含む、請求項21に記載の分注システム。
【請求項23】
前記圧力源が、前記圧力源によって印加される圧力を調節する少なくとも1つのソレノイドバルブを介して前記導管に動作可能に接続されている、請求項5に記載の分注システム。
【請求項24】
前記コントローラが前記ソレノイドバルブに動作可能に接続され、前記コントローラが前記ソレノイドバルブの動作を調節し、前記印加される圧力を調節するように構成されている、請求項23に記載の分注システム。
【請求項25】
少なくとも1つのポートが、前記導管の少なくとも1つの壁に貫設されており、前記ポートが前記導管に貫設されている少なくとも1つのキャビティと連通する、請求項5に記載の分注システム。
【請求項26】
前記ポートが、約5mm以下の長さを備える、請求項25に記載の分注システム。
【請求項27】
前記ポートを備える前記導管の一部位が、流体合流ブロックを備える、請求項25に記載の分注システム。
【請求項28】
前記ポートが、前記蠕動ポンプと前記圧力源の間で前記導管に配置されている、請求項25に記載の分注システム。
【請求項29】
少なくとも1つのガスバルブが前記ポートに動作可能に接続され、前記ガスバルブが少なくとも1つの加圧ガス供給源に動作可能に接続されているとき、前記ガスバルブは前記ポートを通って前記導管に入るガス流を調節する、請求項25に記載の分注システム。
【請求項30】
前記ガスバルブは、コンプライアントシール材料を備えるプランジャを備え、前記コンプライアントシール材料は、前記プランジャが前記コンプライアントシール材料を前記ポートと接触するように押すとき、前記ポートと面シールを形成する、請求項29に記載の分注システム。
【請求項31】
前記ガスバルブが、前記加圧ガス供給源に動作可能に接続され、前記加圧ガス供給源がガスバルブに1平方インチ当たり約0ポンド〜1平方インチ当たり約10ポンドの圧力でガスを流す、請求項29に記載の分注システム。
【請求項32】
前記ガスが、空気、窒素、ヘリウム、又はアルゴンを含む、請求項31に記載の分注システム。
【請求項33】
少なくとも1つのエアテーブルが前記ガスバルブに動作可能に接続され、前記エアテーブルが前記ガスバルブを動作させるように構成されている、請求項29に記載の分注システム。
【請求項34】
前記コントローラが、前記エアテーブルに動作可能に接続され、前記ガスバルブが前記加圧ガス供給源に動作可能に接続されているとき、前記コントローラが前記エアテーブルの動作を制御して、前記ポートを通り前記導管に入るガス流を調節するように構成されている、請求項33に記載の分注システム。
【請求項35】
前記導管がピンチバルブに動作可能に接続されているとき、前記導管を通した流体物質の輸送を調節するように構成されている少なくとも1つのピンチバルブを備える、請求項1に記載の分注システム。
【請求項36】
少なくとも1つのエアテーブルが、前記ピンチバルブに動作可能に接続され、前記エアテーブルが前記ピンチバルブを動作させるように構成されている、請求項35に記載の分注システム。
【請求項37】
前記コントローラが、前記エアテーブルに動作可能に接続され、前記導管が前記ピンチバルブに動作可能に接続されているとき、前記コントローラが前記エアテーブルの動作を制御し、前記導管を通した流体物質の輸送を調節するように構成されている、請求項36に記載の分注システム。
【請求項38】
前記分注システムが、前記第1の流体物質供給源を備える、請求項1に記載の分注システム。
【請求項39】
前記第1の流体物質供給源が、ビーズ、細胞、酵素、又は試薬のうちの1つ以上を含む、請求項38に記載の分注システム。
【請求項40】
少なくとも1つの流体攪拌機構が、前記第1の流体物質供給源に動作可能に接続されている、請求項38に記載の分注システム。
【請求項41】
前記コントローラに動作可能に接続されている少なくとも1つの位置決め部品を備え、前記位置決め部品が1つ以上の導管および/又は1つ以上の流体物質部位を互いに対して移動可能に位置決めするように構成されている、請求項1に記載の分注システム。
【請求項42】
前記位置決め部品が、前記分注システムのX軸およびY軸に沿ってX/Y軸直線運動部品の移動を制御する少なくとも1つの制御駆動装置に動作可能に接続されている少なくとも1つのX/Y軸直線運動部品を備える、請求項41に記載の分注システム。
【請求項43】
前記コントローラが前記圧力源に動作可能に接続され、前記導管および/又は前記流体物質部位の相対的な移動と同期して、ある容積の流体が前記導管から輸送されるように、前記圧力源から前記導管内に圧力を同時に印加し、前記導管および/又は前記流体物質部位を互いに対して移動可能に位置決めするように構成されている、請求項41に記載の分注システム。
【請求項44】
前記位置決め部品が、少なくとも1つの導管支持ヘッドを備える少なくとも1つのZ軸直線運動部品を備え、前記導管支持ヘッドが前記導管の少なくともセグメントを支持するように構成され、且つ前記分注システムのZ軸に沿って移動する、請求項41に記載の分注システム。
【請求項45】
前記位置決め部品が、少なくとも1つの流体物質部位を支持するように構成されている少なくとも1つの対象物ホルダを備える、請求項41に記載の分注システム。
【請求項46】
前記コントローラに動作可能に接続されている少なくとも1つの清掃部品を備え、前記導管が前記位置決め部品に動作可能に接続され、前記位置決め部品が導管セグメントを前記清掃部品の少なくとも近位に移動させるとき、前記清掃部品が前記導管の少なくともセグメントを清掃するように構成されている、請求項41に記載の分注システム。
【請求項47】
前記清掃部品が、少なくとも1つのオリフィスを備える少なくとも1つの真空チャンバを備え、作用させる真空が前記導管セグメントの少なくとも外面から付着物質を除去するように、前記位置決め部品が前記導管セグメントを前記オリフィスの中に又は前記オリフィスの近位に移動させる、請求項46に記載の分注システム。
【請求項48】
流体物質中で発生する検出可能な信号を検出するように構成されている少なくとも1つの検出器を備える、請求項1に記載の分注システム。
【請求項49】
前記コントローラが、前記検出器に動作可能に接続され、前記コントローラが前記検出器を制御し、前記検出可能な信号を検出するように構成されている、請求項48に記載の分注システム。
【請求項50】
少なくとも1つの蠕動ポンプを動作させ、少なくとも第1の流体物質を少なくとも1つの導管の中に、前記導管の少なくとも第1の開口部を通して輸送するため、および
前記蠕動ポンプ以外の少なくとも1つの圧力源を動作させ、前記第1の流体物質の少なくとも1つのアリコートが、前記導管の少なくとも第2の開口部から分注されるように、前記導管内の前記第1の流体物質に圧力を印加するため、
の1つ以上の論理命令を有するコンピュータ読み取り可能な媒体を備えるコンピュータプログラム製品。
【請求項51】
(i)流体物質部位に輸送される前記第1の流体物質の量、
(ii)前記第1の流体物質の初期密度、
(iii)前記第1の流体物質の密度を調整するために前記第1の流体物質に添加される第2の流体物質の量、
(iv)前記第1の流体物質を第2の流体物質から分離するために前記導管の中に輸送するガスの量、および
(v)流体物質部位フォーマット、
からなる群から選択される1つ以上の入力パラメータを受け取るため、
の少なくとも1つの論理命令を含む、請求項50に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項52】
前記導管に動作可能に接続されている少なくとも1つのバルブを動作させ、前記導管の中への、および/又は前記導管からの物質輸送を調節するため、
の少なくとも1つの論理命令を含む、請求項50に記載のコンピュータプログラム製品
【請求項53】
少なくとも1つのX/Y軸直線運動部品および/又は少なくとも1つのZ軸運動部品を動作させ、前記X/Y軸直線運動部品又は前記Z軸運動部品に取り付けられている又はその上に位置決めされている他の1つ以上の部品を移動させるため、
の少なくとも1つの論理命令を含む、請求項50に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項54】
流体物質を分注する方法であって、
(a)少なくとも1つの蠕動ポンプを使用して、少なくとも第1の流体物質を少なくとも1つの導管の中に、前記導管の少なくとも第1の開口部を通して輸送する工程、および
(b)前記第1の流体物質の少なくとも1つのアリコートが前記導管の少なくとも第2の開口部から分注されるように、前記蠕動ポンプ以外の少なくとも1つの圧力源を使用して前記導管内の前記第1の流体物質に圧力を印加する工程、
を含む方法。
【請求項55】
前記第1の流体物質のアリコートを容器の壁に分注する工程を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
(b)の間に前記第1の流体物質の複数のアリコートを分注する工程を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
(a)および(b)を繰り返すことを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項58】
(b)の間に前記蠕動ポンプの方に向かう前記導管内での流体物質の輸送を制限することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
(a)の前に、ガスを前記導管の中に輸送し、前記導管の少なくとも1つのセグメントから流体物質をパージすることを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
少なくとも1つの流体物質部位を前記第2の開口部に対して移動可能に位置決めすることを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
前記導管内および/又は前記第1の流体物質のアリコート中で発生する1つ以上の検出可能な信号を検出することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項62】
(b)の後、前記第1の流体物質のアリコート中の1種類以上の成分を使用して少なくとも1つの合成反応又はアッセイを行うことを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項63】
(a)および(b)を互いに実質的に同時に行うことを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項64】
前記第1の流体物質が、ビーズ、細胞、酵素、又は試薬のうちの1つ以上を含む、請求項54に記載の方法。
【請求項65】
前記導管の少なくとも1つのセグメントが、非垂直流路を備え、前記第1の流体物質の1つ以上の成分が前記第2の開口部の近位に沈降することを防止する、請求項54に記載の方法。
【請求項66】
(b)の間、第2の流体物質が、前記第1の流体物質のアリコートを前記導管の前記第2の開口部から吐出させるように、前記圧力源を使用して少なくとも第2の流体物質を前記導管の1つ以上のセグメントを通して輸送することを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項67】
前記第2の流体物質が緩衝剤を含む、請求項66に記載の方法。
【請求項68】
(b)の前又は(b)と実質的に同時に、前記第1の流体物質を前記第2の流体物質で希釈することを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項69】
ポートを通して前記導管の中にガスを輸送して前記第1の流体物質と前記第2の流体物質との間に間隙を形成し、前記第1の流体物質と前記第2の流体物質が互いに混合することを防止することを含む、請求項66に記載の方法。
【請求項70】
実質的に均一な密度を有する流体物質のアリコートを分注する方法であって、少なくとも1種類の流体物質の選択されたアリコートを、前記流体物質が輸送される少なくとも1つの導管と流体連通する少なくとも1つの分注チップから輸送することを含み、分注される前に前記流体物質中の成分が前記分注チップの近位に沈降することを防止し、それによって、実質的に均一な密度を有する前記流体物質のアリコートを分注するように、前記導管が非垂直な流路を備える方法。
【請求項71】
流体物質の分注方法であって、
(a)
(i)第1の流体物質供給源と流体連通する第1の導管の少なくとも一部、
(ii)以下を有する第2の導管の少なくとも一部、
(I)少なくとも第1の開口部と第2の開口部、および
(II)前記第2の導管の壁に貫設された少なくとも1つのポートであって、前記第2の導管に貫設されたキャビティと連通するポート、
を備える流体合流ブロックを有する分注システムを提供する工程であって、
前記第1の導管が、前記ポートと前記第2の導管の第2の開口部との間で前記第2の導管と交差し、流体連通する工程、
(b)ある容積の第2の流体物質を前記第2の導管の前記第1の開口部を通して前記ポートの近位に輸送する工程、
(c)前記第2の導管の前記第1の開口部を通した、および前記第1の導管を通した流体物質の輸送を制限する工程、
(d)少なくとも1種類のガスを、前記ポートを通して前記第2の導管の中に輸送し、流体物質を前記第2の導管から前記ポートの下流に前記第2の導管の第2の開口部を通してパージする工程、
(e)前記第2の導管の前記第1の開口部を通した流体物質の輸送、および前記ポートを通したガスの輸送を制限する工程、
(f)ある容積のガスが前記第2の導管内の前記第1の流体物質と前記第2の流体物質との間に配置されるように、ある容積の第1の流体物質を前記第1の流体物質供給源から前記第1の導管を通して、および前記第2の導管の中に、第1の導管と第2の導管との交差点の近位およびその下流に輸送する工程、
(g)前記第1の導管を通した流体物質の輸送、および前記ポートを通したガスの輸送を制限する工程、
(h)前記第1の流体物質の少なくとも1つの選択されたアリコートが前記第2の導管の第2の開口部から分注されるように、前記第2の導管内の前記第2の流体物質に圧力を印加する工程、
を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−505345(P2008−505345A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−527662(P2007−527662)
【出願日】平成17年6月6日(2005.6.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/020049
【国際公開番号】WO2005/120710
【国際公開日】平成17年12月22日(2005.12.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.リナックス
2.Linux
3.UNIX
4.JAVA
5.フロッピー
【出願人】(503287649)アイアールエム エルエルシー (7)
【Fターム(参考)】