説明

分注方法、分析装置および分析装置

【課題】血漿サンプルへの血球の混入を防止して分析精度を維持しうる分注方法、分注装置および分析装置を提供する。
【解決手段】2層に分離した検体の各層成分の分注を行なう検体分注装置5であって、上層成分を分注する分注プローブ50aと、下層成分を分注する分注プローブ50bと、前記上層成分の液面高さおよび前記下層成分の液面高さを検出する液面検知部54と、第1分注プローブ50aと第2分注プローブ50bとを支持するアーム51aと、第1分注プローブ50a内に入り込んだ下層成分および上層成分の一部をダミー吐出するよう制御する分注制御部101aと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分注方法、分注装置ならびに該分注装置を備える分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、臨床検査では血液成分を血漿、血球等の複数の成分に分離して血液型の分析などの測定用試料として使用している。血漿、血球等に層分離した検体を分析に使用する場合、液面および界面を検出する電極を兼ねる2本の血漿用プローブと血球用プローブで、各々血漿と血球を分取して分析を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、層分離していない検体を1本の分注プローブにより吸引し反応容器に吐出する前に、余分に吸引したダミー検体を専用の廃棄ポジションや分注プローブ洗浄槽等でダミー吐出を行なうことにより、反応容器に吐出する検体の分注精度を維持して分析精度を確保する方法が開示されている(例えば、特許文献2または3参照)。
【0004】
【特許文献1】特開平5−306950号公報
【特許文献2】特開昭62−228954号広報
【特許文献3】特開2005−249585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1の検体の分取方法では、2本のプローブを層分離した検体中に降下して血漿用プローブで血漿を吸引し、さらに降下させて血球用プローブで血球を吸引しているが、血球中でプローブを停止させるときの衝撃等により血漿を吸引した血漿用プローブに血球が入り込んでしまうことがあった。しかしながらこのような場合であっても、従前は何ら対応策がとられておらず、反応容器中にそのまま吐出され分析が行われるため、混入した血球は血漿反応系で異常反応を引き起こす原因となり、分析結果の異常をもたらすおそれがあった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、血漿サンプルへの血球の混入を防止して分析精度を維持しうる分注方法、分注装置および分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の分注方法は、2本の第1分注プローブと第2分注プローブとが1つのアームに支持された分注手段を用いて2層に分離した検体の各層成分をそれぞれ分注する分注方法であって、上層成分を第1分注プローブで吸引する第1吸引ステップと、下層成分を第2分注プローブで吸引する第2吸引ステップと、前記第1分注プローブ内に入り込んだ下層成分および前記第1吸引ステップで吸引した上層成分の一部をダミー吐出するダミー吐出ステップと、を含むことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の分注方法は、上記発明において、前記ダミー吐出ステップは、前記下層成分外で行なうことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の分注方法は、上記発明において、前記ダミー吐出ステップは、前記上層成分内で行なうことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の分注方法は、上記発明において、前記ダミー吐出ステップ後、前記第1分注プローブと前記第2分注プローブにより各反応容器に各層成分をそれぞれ吐出する検体吐出ステップと、分注プローブ洗浄手段により前記第1分注プローブと前記第2分注プローブとの内外壁を洗浄する洗浄ステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の分注方法は、上記発明において、前記ダミー吐出ステップ後、前記分注プローブ洗浄手段により前記第1分注プローブと前記第2分注プローブとの外壁を洗浄する第1洗浄ステップと、前記第1分注プローブと前記第2分注プローブにより各反応容器に各層成分をそれぞれ吐出する検体吐出ステップと、前記分注プローブ洗浄手段により前記第1分注プローブと前記第2分注プローブとの内外壁を洗浄する第2洗浄ステップと、を含むことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の分注方法は、上記発明において、前記第1吸引ステップで吸引する上層成分吸引量は、前記検体吐出ステップで反応容器に吐出する検体分注量に、前記ダミー吐出ステップで吐出するダミー吐出量を加算したものであることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の分注方法は、上記発明において、前記第2吸引ステップで吸引する下層成分吸引量は、前記検体分注量であることを特徴とする。
【0014】
また、本発明の分注方法は、上記発明において、前記第2吸引ステップで吸引する下層成分吸引量は、前記検体分注量と、余剰吸引量との合計量であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の分注方法は、上記発明において、前記第1吸引ステップで吸引する前記上層成分吸引量は、前記検体分注量と、前記ダミー吐出量と、余剰吸引量との合計量であり、前記第2吸引ステップで吸引する前記下層成分吸引量は、前記検体分注量と、余剰吸引量との合計量であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の分注方法は、上記発明において、前記上層成分の液面高さ情報および/または前記下層成分の液面高さ情報を記憶する記憶ステップと、前記記憶ステップで記憶された前記上層成分の液面高さ情報および/または前記下層成分の液面高さ情報に基づき、第1分注プローブ内に入り込んだ下層成分および上層成分の一部を吐出するダミー吐出位置を算出する算出ステップと、を含むことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の分注方法は、上記発明において、前記算出ステップは、検体容器情報、上層成分吸引量および下層成分吸引量を考慮して前記上層成分内でのダミー吐出位置を決定することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の分注方法は、上記発明において、前記上層成分が血漿であり、前記下層成分が血球であることを特徴とする。
【0019】
また、本発明の分注装置は、2層に分離した検体の各層成分の分注を行なう分注装置であって、上層成分を分注する第1分注プローブと、下層成分を分注する第2分注プローブと、前記第1分注プローブと前記第2分注プローブとを支持する1つのアームと、前記上層成分の液面高さおよび前記下層成分の液面高さを検出する液面検出手段と、前記第1分注プローブ内に入り込んだ下層成分および前記第1分注プローブが吸引した上層成分の一部をダミー吐出するよう制御する分注制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記分注制御手段は、前記下層成分外でダミー吐出するよう制御することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記分注制御手段は、前記上層成分内でダミー吐出するよう制御することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記第1分注プローブと前記第2分注プローブとの内外壁を洗浄する分注プローブ洗浄手段を備えることを特徴とする。
【0023】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記分注プローブ洗浄手段による前記第1分注プローブと前記第2分注プローブの内外壁洗浄は、ダミー吐出後の外壁洗浄と、反応容器内への各層成分分注後の内外壁洗浄とに分けて行なうことを特徴とする。
【0024】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記液面検出手段は、前記第1分注プローブと前記第2分注プローブを電極としたときの静電容量変化またはインピーダンス値の変化により前記上層成分の液面高さおよび前記下層成分の液面高さを検出することを特徴とする。
【0025】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記第1分注プローブが吸引する前記上層成分吸引量は、少なくとも前記反応容器に吐出する検体分注量に、前記ダミー吐出用のダミー吐出量を加算したものとすることを特徴とする。
【0026】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記第2分注プローブで吸引する前記下層成分吸引量は、前記検体分注量であることを特徴とする。
【0027】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記第2分注プローブで吸引する前記下層成分吸引量は、前記検体分注量と、余剰給料との合計量であることを特徴とする。
【0028】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記第1分注プローブで吸引する前記上層成分吸引量は、前記検体分注量と、前記ダミー吐出量と、余剰吸引量との合計量であり、前記第2分注プローブで吸引する前記下層成分吸引量は、前記検体分注量と、余剰吸引量との合計量であることを特徴とする。
【0029】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記上層成分の液面高さ情報および/または前記下層成分の液面高さ情報を記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された前記上層成分の液面高さ情報および/または前記下層成分の液面高さ情報に基づき、第1分注プローブ内に入り込んだ下層成分および上層成分の一部を吐出するダミー吐出位置を算出する算出手段と、を備えることを特徴とする。
【0030】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記算出手段は、検体容器情報、上層成分吸引量および下層成分吸引量を考慮して前記上層成分内でのダミー吐出位置を決定することを特徴とする。
【0031】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記上層成分が血漿であり、前記下層成分が血球であることを特徴とする。
【0032】
また、本発明の分析装置は、上記のいずれか一つに記載の分注装置により分注された検体と、試薬との反応により検体の分析を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0033】
本発明では、上層成分を分注する第1分注プローブに偶発的に入り込む可能性の有る下層成分を余分に吸引した上層成分と共に下層成分外でダミー吐出することにより、反応容器に吐出される上層成分への下層成分のコンタミネーションを防止できるので、分析精度の維持向上を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる検体分注方法および分析装置の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0035】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1にかかる検体分注装置を使用する自動分析装置を示す概略構成図である。図1に示すように、自動分析装置1は、検体と試薬との間の反応物を通過する光を測定する測定機構9と、測定機構9を含む自動分析装置1全体の制御を行なうとともに、測定機構9における測定結果の分析を行なう制御機構10とを備える。自動分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の分析を自動的に行なう。
【0036】
まず、測定機構9について説明する。測定機構9は、大別して検体テーブル2と、反応テーブル3と、試薬テーブル4と、検体分注装置5と、試薬分注装置7と、分注プローブ洗浄装置6および8とを備えている。
【0037】
検体テーブル2は、円盤状のテーブルを有し、該テーブルの周方向に沿って等間隔で複数配置された検体容器収納部21を備えている。各検体容器収納部21には、検体を収容した検体容器22が着脱自在に収納される。検体容器22は、上方に向けて開口する開口部22aを有している。また、検体テーブル2は、検体テーブル2の中心を通る鉛直線を回転軸として検体テーブル駆動部(図示せず)によって図1に矢印で示す方向に回転する。検体テーブル2が回転すると検体容器22は、検体分注装置5によって検体が吸引される検体吸引位置に搬送される。
【0038】
なお、検体容器22には、収容された検体の種類や分析項目に関する検体情報を有する識別ラベル(図示せず)が貼り付けてある。一方、検体テーブル2は、検体容器22の識別ラベルの情報を読み取る読取部23を備えている。
【0039】
反応テーブル3は、円環状のテーブルを有し、該テーブルの周方向に沿って等間隔で複数配置された反応容器収納部31を備えている。各反応容器収納部31には、検体と試薬を収容する透明な反応容器32が上方に向けて開口した形態で着脱自在に収納される。また、反応テーブル3は、反応テーブル3の中心を通る鉛直線を回転軸として反応テーブル駆動部(図示せず)によって図1に矢印で示す方向に回転する。反応テーブル3が回転すると反応容器32は、検体分注装置5によって検体が吐出される検体吐出位置や、試薬分注装置7によって試薬が吐出される試薬吐出位置に搬送される。
【0040】
測光装置33は、光源33aおよび受光部33bを有している。光源33aは、所定波長の分析光を出射し、受光部33bは、光源33aから出射されて、反応容器32に収容された検体と試薬が反応した反応液を透過した光束を測定する。測光装置33は、前記光源33aと受光部33bが反応テーブル3の反応容器収納部31を挟んで半径方向に対向する位置に配置されている。なお、反応テーブル3は、測定後の反応液を反応容器32から排出し、該反応容器32を洗浄する反応容器洗浄装置34を備えている。
【0041】
試薬テーブル4は、円盤状のテーブルを有し、該テーブルの周方向に沿って等間隔で複数配置された試薬容器収納部41を備えている。各試薬容器収納部41には、試薬を収容した試薬容器42が着脱自在に収納される。試薬容器42は、上方に向いて開口する開口部42aを有している。また、試薬テーブル4は、試薬テーブル4の中心を通る鉛直線を回転軸として試薬テーブル駆動部(図示せず)によって図1に矢印で示す方向に回転する。試薬テーブル4が回転すると試薬容器42は、試薬分注装置7によって試薬が吸引される試薬吸引位置に搬送される。
【0042】
なお、試薬容器42には、収容された試薬の種類や収容量に関する試薬情報を有する識別ラベル(図示せず)が貼り付けてある。一方、試薬テーブル4は、試薬容器42の識別ラベルの情報を読み取る読取部43を備えている。
【0043】
検体分注装置5は、検体の吸引および吐出を行なう2本の分注プローブが先端部に取り付けられ、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。検体分注装置5は、検体テーブル2と反応テーブル3との間に設けられ、検体テーブル2によって所定位置に搬送された検体容器22内の検体を分注プローブによって吸引し、アームを旋回させ、反応テーブル3によって所定位置に搬送された反応容器32に分注して検体を所定タイミングで反応テーブル3上の反応容器32内に移送する。
【0044】
試薬分注装置7は、試薬の吸引および吐出を行なう分注プローブが先端部に取り付けられ、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアームを備える。試薬分注装置7は、試薬テーブル4と反応テーブル3との間に設けられ、試薬テーブル4によって所定位置に搬送された試薬容器42内の試薬を分注プローブによって吸引し、アームを旋回させ、反応テーブル3によって所定位置に搬送された反応容器32に分注して試薬を所定タイミングで反応テーブル3上の反応容器32内に移送する。
【0045】
図2は、検体分注装置5の概略構成図である。検体分注装置5は、図2に示すように2本の分注プローブ50a、50bを有している。分注プローブ50a、50bは、ステンレスなどによって棒管状に形成されたもので、先端側はテーパー形状をとる。先端を下方に向けて上方の基端がアーム51aの先端に取り付けてある。アーム51aは、水平配置され、その基端が支軸51bの上端に固定してある。支軸51bは、鉛直配置されており、分注プローブ移送部53によって鉛直軸Oを中心として回転する。支軸51bが回転すると、アーム51aが水平方向に旋回して、分注プローブ50a、50bを水平方向に移動させる。また、支軸51bは、分注プローブ移送部53によって鉛直軸Oに沿って昇降する。支軸51bが昇降すると、アーム51aが鉛直方向に昇降して、分注プローブ50a、50bを鉛直(上下)方向であって分注プローブ50a、50bの長手方向に昇降させる。
【0046】
分注プローブ50aの基端には、チューブ52aの一端が接続される。このチューブ52aの他端は、シリンジ55aに接続される。シリンジ55aは、チューブ52aの他端が接続された筒状のシリンダー55a−1と、シリンダー55a−1の内壁面に摺動しながらシリンダー55a−1内を進退可能に設けられたプランジャー55a−2とを有する。プランジャー55a−2は、プランジャー駆動部56に接続される。プランジャー駆動部56は、例えばリニアモーターを用いて構成され、シリンダー55a−1に対するプランジャー55a−2の進退移動を行うものである。シリンジ55aのシリンダー55a−1には、チューブ52bの一端が接続される。このチューブ52bの他端は、ターミナル52eを介してチューブ52fにより押し出し液L1を収容するタンク57に接続される。
【0047】
分注プローブ50bの基端には、チューブ52cの一端が接続される。このチューブ52cの他端は、シリンジ55bに接続される。シリンジ55bは、チューブ52cの他端が接続された筒状のシリンダー55b−1と、シリンダー55b−1の内壁面に摺動しながらシリンダー55b−1内を進退可能に設けられたプランジャー55b−2とを有する。プランジャー55b−2は、プランジャー駆動部56に接続される。プランジャー駆動部56は、例えばリニアモーターを用いて構成され、シリンダー55b−1に対するプランジャー55b−2の進退移動を行うものである。シリンジ55bのシリンダー55b−1には、チューブ52dの一端が接続される。このチューブ52dの他端は、ターミナル52eを介してチューブ52fにより押し出し液L1を収容するタンク57に接続される。
【0048】
また、チューブ52aおよびチューブ52cの途中には、電磁弁58b、58cがそれぞれ接続され、チューブ52fの途中には、電磁弁58aおよびポンプ59が接続される。なお、押し出し液L1としては、蒸留水や脱気水などの非圧縮性流体が適用される。この押し出し液L1は、分注プローブ50a、50bの内部の洗浄を行う洗浄液としても適用される。
【0049】
検体分注装置5は、ポンプ59を駆動し、電磁弁58a、58b、58cを開状態にすることでタンク57に収容されている押し出し液L1が、チューブ52fからターミナル52eを経て、チューブ52b、52dを介してシリンジ55a、55bのシリンダー55a−1、55b−1内に充填される。さらにシリンダー55a−1、55b−1からチューブ52a、52bを経て分注プローブ50a、50bの先端まで満たされる。このように押し出し液L1が分注プローブ50a、50bの先端まで満たされた状態で、電磁弁58aを閉状態にし、ポンプ59を止めておく。そして、検体の吸引を分注プローブ50aにより行う場合、電磁弁58bを開状態、電磁弁58cを閉状態とした後、プランジャー駆動部56を駆動してプランジャー55a−2をシリンダー55a−1に対して後退移動させることにより、押し出し液L1を介して分注プローブ50aの先端部に吸引圧が印加され、この吸引圧によって検体が吸引される。一方、検体の吐出を分注プローブ50aにより行う場合には、電磁弁58bを開状態、電磁弁58cを閉状態にしたままで、プランジャー駆動部56を駆動してプランジャー55a−2をシリンダー55a−1に対して進出移動させることにより、押し出し液L1を介して分注プローブ50aの先端部に吐出圧が印加され、この吐出圧によって検体が吐出される。
【0050】
検体の吸引を分注プローブ50bにより行う場合、電磁弁58bを閉状態、電磁弁58cを開状態とした後、プランジャー駆動部56を駆動してプランジャー55b−2をシリンダー55b−1に対して後退移動させることにより、押し出し液L1を介して分注プローブ50bの先端部に吸引圧が印加され、この吸引圧によって検体が吸引される。一方、検体の吐出を分注プローブ50bにより行う場合には、電磁弁58bを閉状態、電磁弁58cを開状態にしたままで、プランジャー駆動部56を駆動してプランジャー55b−2をシリンダー55b−1に対して進出移動させることにより、押し出し液L1を介して分注プローブ50bの先端部に吐出圧が印加され、この吐出圧によって検体が吐出される。
【0051】
検体分注装置5は、血漿と血球とに層分離した検体を2本の分注プローブ50a、50bにより個別に分注することを主目的とするものであり、各層サンプル中への他層のサンプルのコンタミネーションおよびキャリーオーバーを防止するために、例えば、分注プローブ50aを血漿用、分注プローブ50bを血球用とすることが望ましい。一方、検体サンプルとして、層分離していないもの、あるいは、層分離していてもいずれか一方の層サンプルのみしか分注しないものもあり、かかる場合においても、分注プローブ50a、50bのどちらで分注するか事前に決めることが好ましい。
【0052】
また、検体分注装置5は、分注プローブ50a、50bで分注する検体の液面を検知する液面検知部54を備えている。液面検知部54は、電極としても機能する分注プローブ50a、50bが、分注プローブ移送部53によって検体容器22内に降下され、検液に接触したときの分注プローブ50a、50b間の導電率の変化により液面を検知する。また、液面検知部54は、空気と血漿境界面である血漿液面だけでなく、血漿と血球境界面である血球液面も、検液の導電率(インピーダンス値)の変化に基づき検知する。実施の形態1の検体分注装置5は、分注プローブを2本備えるため導電率による液面検知法が適しているが、CCDカメラによる液面検知や、LEDを光源として検体を透過した透過光を受光部により測定して、透過光量に基づき液面を検知してもよい。また、静電容量式と併用してもよい。
【0053】
さらに、検体分注装置5は、液面検知部54からの信号を受信し、分注プローブ移送部53、プランジャー駆動部56、ポンプ59、電磁弁58a、58b、58cなどの動作を制御する分注制御部101aを備える。また、分注制御部101aは、検体の液面情報を格納する液面情報記憶部101bと、前記液面情報からダミー吐出位置を算出する算出部101cとを備える。分注制御部101aによる制御は、後述する図1の制御部101に代替させてもよい。
【0054】
分注プローブ洗浄装置6は、検体テーブル2と反応テーブル3との間であって、検体分注装置5における分注プローブ50a、50bの水平移動の軌跡の途中位置に設けられ、検体間のキャリーオーバー防止のために、分注プローブ50a、50bにより検体の分注を行なうたびに該分注プローブ洗浄装置6にて分注プローブ50a、50bの洗浄を行なう。洗浄槽に貯留した洗浄水に分注プローブ50a、50bを浸漬、またはシャワー等の噴射圧力を用いて外壁面を洗浄し、内壁面は、押し出し液L1を分注プローブ50a、50bから噴出させることにより洗浄する。分注プローブ洗浄装置8は、試薬テーブル4と反応テーブル3との間であって、試薬分注装置7における分注プローブの水平移動の軌跡の途中位置に設けられ、試薬間のキャリーオーバー防止のために、分注プローブにより試薬の分注を行なうたびに該分注プローブ洗浄装置8にて分注プローブの洗浄を行なう。
【0055】
つぎに、制御機構10について説明する。図1に示すように、制御機構10は、制御部101、入力部102、分析部103、記憶部104、出力部105および送受信部107を備える。制御機構10が備える各部は、制御部101に電気的に接続されている。制御部101は、CPU等を用いて構成され、自動分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部101は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。分析部103は、制御部101を介して測光装置33に接続され、受光部33bが受光した光量に基づいて検体の成分濃度等を分析し、分析結果を制御部101に出力する。入力部102は、制御部101へ検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。
【0056】
記憶部104は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部104は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。また、記憶部104は、分析可能なすべての分析項目についての分析に要する情報、たとえば、検体分注量、ダミー吐出量、余剰吸引量等の分析条件を記憶する。ここで、検体分注量は、実際の分析に要する検体量を意味し、ダミー吐出量は、偶発的に入り込むおそれのある下層の血球成分とともにダミー吐出するための上層の血漿成分量である。また、余剰吸引量は、押し出し液L1による検体の薄まり等を考慮して余分に吸引される検体量、および/または分注プローブ50a、50b外壁洗浄後に付着する洗浄水除去のために分注プローブ洗浄装置6で検体吐出されるために余分に吸引される検体量を意味する。なお、通常、余剰吸引量は、上層、下層成分とも同量に設定され、要求される分析精度に伴い上層、下層検体とも余剰吸引量なし、または有りとする場合が多いが、上層成分である血漿検体は、押し出し液L1による影響を受けにくいため、血漿成分の検体吸引量は、検体分注量とダミー吸引量との合計量で、血球成分の検体吸引量は、検体分注量と余剰吸引量との合計量とする場合もありうる。
【0057】
出力部105は、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、制御部101の制御のもと、分析に関する諸情報を出力する。出力部105は、ディスプレイ等を用いて構成された表示部106を備える。表示部106は、分析内容や警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。入力部102および表示部106はタッチパネルによって実現するようにしてもよい。送受信部107は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがった情報の送受信を行なうインターフェースとしての機能を有する。
【0058】
このような構成の自動分析装置1では、反応容器32に対して検体分注装置5が、検体容器22から検体を分注する。また、反応容器32には、試薬分注装置7が試薬容器42から試薬を分注する。そして、検体および試薬が分注された反応容器32は、反応テーブル3によって周方向に沿って搬送される間に検体と試薬とが攪拌されて反応し、光源33aと受光部33bとの間を通過する。このとき、光源33aから出射され、反応容器32内の反応液を通過した分析光は、受光部33bによって測光されて成分濃度などが分析される。そして、分析が終了した反応容器32は、反応容器洗浄装置34によって測定後の反応液が排出されて洗浄された後、再度検体の分析に使用される。検体分注後の分注プローブ50a、50bは、検体間のキャリーオーバーや検体成分による分注プローブの詰まりや汚れ付着を防止すべく、分注が行なわれる度に分注プローブ洗浄装置6により洗浄される。
【0059】
次に、分注プローブ50a、50bによる分注動作について図を参照して説明する。図3は、実施の形態1にかかる分注動作を示すフローチャートであり、図4は、実施の形態1にかかる分注方法の分注動作を示す動作図である。
【0060】
図3に示すように分注制御部101aは、液面情報記憶部101bから分注する検体の種類、分析項目、各検体サンプルの分注量、ダミー吐出量、余剰吸引量等の分注情報を取得する(ステップS101)。その後、分注制御部101aは、分注プローブ50a、50bを検体容器22中に降下させ(ステップS102)、液面検知部54は液面検知を開始し(ステップS103)、血漿液面を検知するまで(ステップS103:No)、分注プローブ50a、50bは降下される。液面検知部54が血漿液面検知後(ステップS103:Yes)、液面情報記憶部101bに血漿液面情報が格納される(ステップS104)。続いて、設定された血漿吸引位置まで液面検知位置から所定量分注プローブ50a、50bが降下され(ステップS105)、上層成分である血漿成分が分注プローブ50aにより吸引される(ステップS106)。検体吸引量は、分析に使用される検体分注量にダミー吐出量を加算した量、または検体分注量とダミー吐出量とに余剰吸引量を加算した量である。ダミー吐出量が余分に吸引されることにより、偶発的に分注プローブ50a内に入り込むおそれのある下層成分の血球成分を血漿成分と共にダミー吐出して、血漿成分への血球成分の混入を防止することができる。血漿吸引位置は検体吸引量に基づき設定してもよく、推測される血漿成分の中心位置等、ユーザーの希望により採取位置を定めてもよい。
【0061】
血漿成分吸引後、下層成分である血球成分を吸引するために分注プローブ50a、50bはさらに検体中を降下され(ステップS107)、液面検知部54が血球液面を検知するまで(ステップS108:No)、分注プローブ50a、50bは降下される。液面検知部54が血球液面検知後(ステップS108:Yes)、分注プローブ50a、50bの降下は一旦停止されるが、設定された血球吸引位置まで血球液面検知位置から所定量、分注プローブ50a、50bは降下される(ステップS109)。設定された血球吸引位置にて血球成分は吸引されるが(ステップS110)、血球成分の検体吸引量は、分析に使用される検体分注量、または検体分注量に余剰吸引量を加算した量である。下層成分である血球成分を吸引する分注プローブ50bには血漿成分が入り込むおそれがなく、また入り込んだとしても分注プローブ50b内の血球成分の上層に位置するため、血球成分分注の際血漿成分が混入するおそれがない。したがって、分注プローブ50bによる血球成分の検体吸引量は、検体分注量、または検体分注量に余剰吸引量を加算した量となる。血球吸引位置は検体吸引量に基づき設定してもよく、推測される血球成分の中心位置等、ユーザーの希望により採取位置を定めてもよい。
【0062】
血球成分吸引後、算出部101cは、分注プローブ50a内の血漿成分のダミー吐出位置を算出する(ステップS111)。ダミー吐出位置は、ステップS104で格納した血漿液面位置に基づき算出する。血球層内でのダミー吐出は、血球成分の粘度等によりダミー吐出が完全に行なえないおそれがあるため、ダミー吐出位置は血球層外であればよい。実施の形態1のダミー吐出位置は血漿液面位置から所定量上の位置とするが、実際の血漿液面位置は血漿成分と血球成分とが吸引されているため、格納した血漿液面位置より低下しているので、格納した血漿液面位置でダミー吐出してもよい。検体容器容量、収容される検体量にも左右されるが、検体容器口付近等の上方でダミー吐出を行なうと、検体容器外に検体が飛散するおそれがあるため、なるべく血漿液面位置近辺でダミー吐出を行なうのが望ましい。ダミー吐出位置算出後、分注プローブ50a、50bをダミー吐出位置まで上昇させ(ステップS112)、分注プローブ50aから設定されたダミー吐出量分の血漿成分をダミー吐出する(ステップS113)。このダミー吐出により、分注プローブ50a内に入り込むおそれの有る血球成分を排出することができるので、分析に用いられる血漿成分への血球成分のコンタミネーションを防止することが可能となる。
【0063】
ダミー吐出後、分注プローブ50a、50bは検体容器22上方まで上昇され(ステップS114)、分注プローブ洗浄装置6に搬送の後、分注プローブ50a、50bの外壁が洗浄される(ステップS115)。分注プローブ50a、50bは検体容器22内底部まで挿入されるため、外壁には血漿、血球成分が付着している。この外壁洗浄は、反応容器32内に外壁付着成分の混入を完全に防止するために行なわれる。この外壁洗浄は分析項目に応じて行なわれるものであり省略してもよく、かかる場合は後述するステップS119における内壁洗浄時に外壁も洗浄する。その後、分注プローブ50a、50bは反応テーブル3の検体吐出位置まで搬送され(ステップS116)、まず分注プローブ50aから反応容器32に所定量の血漿成分が吐出される(ステップS117)。その後、分注プローブ50a、50bの上昇、反応テーブル3の回転により、別の反応容器32が検体吐出位置に搬送され、分注プローブ50a、50b降下の後、分注プローブ50bから反応容器32に所定量の血球成分が吐出される(ステップS118)。その後、分注プローブ50a、50bは、分注プローブ洗浄装置6まで再度搬送され、プローブ内壁面が洗浄されて(ステップS119)、分注が終了する。
【0064】
図4の動作図により、実施の形態1にかかる分注を再度説明する。分注プローブ50a、50b内には押し出し液L1が充填され(図(4−1)参照)、押し出し液L1を介して吸引圧、吐出圧が印加される。そのまま検体中に分注プローブ50a、50bを降下させてもよいが、押し出し液L1による検体の薄まりを完全に防止するために、検体中への分注プローブ50a、50bの挿入前に空気を吸引してもよい。液面検知部54が血漿液面検知後、分注プローブ50a、50bの降下は停止され(図(4−2)参照)、血漿成分吸引位置まで分注プローブ50a、50bを降下後、分注プローブ50aにより血漿成分を吸引する(図(4−3)参照)。吸引量は、分析に使用される検体分注量にダミー吐出量を加算した量、または検体分注量とダミー吐出量とに余剰吸引量を加算した量である。血漿成分吸引後、分注プローブ50a、50bを降下させ、液面検知部54が血球液面検知後、分注プローブ50a、50bの降下は停止される(図(4−4)参照)。血球成分吸引位置まで分注プローブ50a、50bを降下後、分注プローブ50bにより血球成分を吸引する(図(4−5)参照)。分注プローブ50bによる血球成分の検体吸引量は、検体分注量、または検体分注量に余剰吸引量を加算した量である。
【0065】
血球成分吸引後、分注プローブ50a、50bをダミー吐出位置まで上昇させる(図(4−6)参照)。実施の形態1では、液面検知部54が検知した血漿液面位置に基づきダミー吐出位置が算出される。ダミー吐出位置は、液面情報記憶部101bに格納される血漿液面位置または該血漿液面位置に所定量上の位置である。分注プローブ50aから血漿成分を所定量ダミー吐出する(図(4−7)参照)。このダミー吐出により、入り込んだ血球成分は血漿成分と共に排出される。その後、分注プローブ50a、50bは検体容器22上方まで上昇され(図(4−8)参照)、分注プローブ50a、50b外壁洗浄の後、検体吐出位置まで搬送され、反応容器32に各層検体がそれぞれ吐出される。各層検体について余剰吸引している場合は、分注プローブ50a、50b外壁洗浄の後、余剰吸引した検体を吐出して外壁に付着する洗浄水を除去してもよい。
【0066】
上記した分注方法により各層検体がそれぞれ分注された反応容器32には、試薬分注装置7により試薬テーブル4に保持される試薬容器42内の試薬がそれぞれ分注される。各層検体および試薬の分注後には、反応容器32内の検体の分析が測光装置33で行われる。
【0067】
また、実施の形態1の変形例として血漿液面と血球液面を分注プローブ50a、50bと液面検知部54からなる液面検知装置ではなく、CCDカメラにより液面検知を行い、血漿と血球のような層分離した検体を分注する例について、図5を参照して説明する。図5は、実施の形態1の変形例にかかる分注方法のフローチャートである。
【0068】
図5に示すように、液面情報記憶部101bから分注する検体の種類、分析項目、各検体サンプルの分注量、ダミー吐出量、余剰吸引量等の分注情報を取得し(ステップS201)、分注プローブ50a、50bを検体容器22中に降下させる前に、CCDカメラにより血漿液面位置および血球液面位置を検知する(ステップS202)。血漿液面位置および血球液面位置の検知後、検知した血漿液面位置および血球液面位置情報に基づき、血漿吸引位置、血球吸引位置、およびダミー吐出位置を算出する(ステップS203)。血漿吸引位置、血球吸引位置、およびダミー吐出位置は、血漿液面位置および血球液面位置からユーザーが個別に設定するものとする。血漿液面情報を液面情報記憶部101bに格納後(ステップS204)、算出した血漿吸引位置まで分注プローブ50a、50bを降下し(ステップS205)、所定量の血漿成分を分注プローブ50aで吸引する(ステップS206)。吸引量はダミー吐出量を加算した量である。その後、さらに算出した血球吸引位置まで分注プローブ50a、50bを降下し(ステップS207)、所定量の血球成分を分注プローブ50bで吸引する(ステップS208)。吸引量には、ダミー吐出量は加算されない。その後、ダミー吐出位置まで分注プローブ50a、50bを上昇させ(ステップS209)、分注プローブ50aからダミー吐出量の血漿成分をダミー吐出する(ステップS210)。
【0069】
ダミー吐出後、分注プローブ50a、50bは検体容器22上方まで上昇され(ステップS211)、分注プローブ洗浄装置6に搬送の後、分注プローブ50a、50bの外壁が洗浄されるが(ステップS212)、分析項目に応じて外壁洗浄は省略されてもよい。その後、反応テーブル3の検体吐出位置まで搬送され(ステップS213)、まず分注プローブ50aから反応容器32に所定量の血漿成分が吐出され(ステップS214)、分注プローブ50a、50bの上昇、反応テーブル3の回転により、別の反応容器32が検体吐出位置に搬送され、分注プローブ50a、50bの降下の後、分注プローブ50bから反応容器32に所定量の血球成分が吐出される(ステップS215)。その後、分注プローブ50a、50bは、分注プローブ洗浄装置6まで再度搬送され、ブローブ内壁面が洗浄されて(ステップS216)、分注が終了する。本変形例では、液面検知手段としてCCDカメラを使用しているが、LEDを光源として透過光量に基づき液面を検知する手段を使用しても同様のフローにより層分離した検体サンプルを分注することができる。
【0070】
(実施の形態2)
次に、上層成分である血漿中でダミー吐出を行なう実施の形態2について説明する。実施の形態2では、血漿成分のダミー吐出を血漿中で行なうことにより、血漿液面位置より上の空気中でダミー吐出を行なう際の検体容器22外への検体サンプルの飛散を防止でき、ダミー吐出された検体による他テストサンプルや他検体へのキャリーオーバーのおそれを排除しうるという効果を奏する。
【0071】
実施の形態2にかかる分注動作について図を参照して説明する。図6は、実施の形態2にかかる分注動作を示すフローチャートであり、図7は、実施の形態2にかかる分注方法の分注動作を示す動作図である。
【0072】
図6に示すように、分注制御部101aは、液面情報記憶部101bから分注する検体の種類、分析項目、各検体サンプルの分注量、ダミー吐出量、余剰吸引量等の分注情報を取得する(ステップS301)。その後、分注制御部101aは、分注プローブ50a、50bを検体容器22中に降下させ(ステップS302)、液面検知部54は液面検知を開始し(ステップS303)、血漿液面を検知するまで(ステップS303:No)、分注プローブ50a、50bは降下される。液面検知部54が血漿液面検知後(ステップS303:Yes)、液面情報記憶部101bに血漿液面情報が格納される(ステップS304)。続いて、設定された血漿吸引位置まで液面検知位置から所定量分注プローブ50a、50bが降下され(ステップS305)、上層成分である血漿成分が分注プローブ50aにより吸引される(ステップS306)。検体吸引量は、分析に使用される検体分注量にダミー吐出量を加算した量、または検体分注量とダミー吐出量とに余剰吸引量を加算した量である。ダミー吐出量が余分に吸引されることにより、偶発的に分注プローブ50a内に入り込むおそれのある下層成分の血球成分を血漿成分と共にダミー吐出して、血漿成分への血球成分の混入を防止することができる。血漿吸引位置は検体吸引量に基づき設定してもよく、推測される血漿成分の中心位置等、ユーザーの希望により採取位置を定めてもよい。
【0073】
血漿成分吸引後、下層成分である血球成分を吸引するために分注プローブ50a、50bはさらに検体中を降下され(ステップS307)、液面検知部54が血球液面を検知するまで(ステップS308:No)、分注プローブ50a、50bは降下される。液面検知部54が血球液面検知後(ステップS308:Yes)、分注プローブ50a、50bの降下は停止される。血球液面情報は液面情報記憶部101bに格納され(ステップS309)、その後、設定された血球吸引位置まで所定量分注プローブ50a、50bは降下される(ステップS310)。設定された血球吸引位置にて血球成分は吸引されるが(ステップS311)、血球成分の検体吸引量は、分析に使用される検体分注量、または検体分注量に余剰吸引量を加算した量である。下層成分である血球成分を吸引する分注プローブ50bには血漿成分が入り込むおそれがなく、また入り込んだとしても分注プローブ50b内の血球成分の上層に位置するため、血球成分分注の際血漿成分が混入するおそれがない。したがって、分注プローブ50bによる血球成分の検体吸引量は、検体分注量、または検体分注量に余剰吸引量を加算した量となる。血球吸引位置は検体吸引量に基づき設定してもよく、推測される血球成分の中心位置等、ユーザーの希望により採取位置を定めてもよい。
【0074】
血球成分吸引後、算出部101cは、分注プローブ50a内の血漿成分のダミー吐出位置を算出する(ステップS312)。ダミー吐出位置は、ステップS304、ステップS309で格納した血漿液面位置および血球液面位置に基づき算出する。ダミー吐出位置は、例えば、血漿液面位置と血球液面位置の中間位置で行なうものとする。実施の形態2では、ダミー吐出を上層成分である血漿中で行なう。血漿中でダミー吐出を行なうことにより、検体容器22外への検体サンプルの飛散を防止でき、ダミー吐出された検体による他テストサンプルや他検体へのキャリーオーバーのおそれを排除しうる。また、ダミー吐出の際、ダミー吐出された血球サンプルがうまく吐出されず、分注プローブ50aに付着する場合がある。分注プローブ50aに血球サンプルが付着したまま反応容器32に血漿サンプルを吐出すると、吐出時の振動により付着している血球サンプルも吐出された血漿サンプルとともに滴下することがあり、コンタミネーション防止の目的が阻害される。しかしながら、血漿中でダミー吐出を行なうことにより、血球サンプルが分注プローブ50aに付着した場合であっても、その後の分注プローブ50a、50bの血漿液面からの引上げの際に、付着した血球サンプルが表面張力等により除去しうるので、血漿中でのダミー吐出はより好ましい。ダミー吐出位置算出後、分注プローブ50a、50bをダミー吐出位置まで上昇させ(ステップS313)、分注プローブ50aから設定されたダミー吐出量分の血漿成分をダミー吐出する(ステップS314)。このダミー吐出により、分注プローブ50a内に入り込むおそれの有る血球成分を排出することができるので、分析に用いられる血漿成分への血球成分のコンタミネーションを防止することが可能となる。
【0075】
ダミー吐出後、分注プローブ50a、50bは検体容器22上方まで上昇され(ステップS315)、分注プローブ洗浄装置6に搬送の後、分注プローブ50a、50bの外壁が洗浄されるが(ステップS316)、分析項目に応じて省略されてもよい。分注プローブ50a、50bは検体容器22内底部まで挿入されるため、外壁には血漿、血球成分が付着している。この外壁洗浄は、反応容器32内に外壁付着成分の混入を防止するために行なわれる。その後、反応テーブル3の検体吐出位置まで搬送され(ステップS317)、まず分注プローブ50aから反応容器32に所定量の血漿成分が吐出される(ステップS318)。その後、分注プローブ50a、50bの上昇、反応テーブル3の回転により、別の反応容器32が検体吐出位置に搬送され、分注プローブ50a、50bの降下の後、分注プローブ50bから反応容器32に所定量の血球成分が吐出される(ステップS319)。その後、分注プローブ50a、50bは、分注プローブ洗浄装置6まで再度搬送され、プローブ内壁面が洗浄されて(ステップS320)、分注が終了する。
【0076】
図7の動作図により、実施の形態1にかかる分注を再度説明する。分注プローブ50a、50b内には押し出し液L1が充填され(図(7−1)参照)、押し出し液L1を介して吸引圧、吐出圧が印加される。そのまま検体中に分注プローブ50a、50bを降下させてもよいが、押し出し液L1による検体の薄まりを完全に防止するために、検体中への分注プローブ50a、50bの挿入前に空気を吸引してもよい。液面検知部54が血漿液面検知後、分注プローブ50a、50bの降下は停止され(図(7−2)参照)、血漿成分吸引位置まで分注プローブ50a、50bを降下後、分注プローブ50aにより血漿成分を吸引する(図(7−3)参照)。吸引量は、分析に使用される検体分注量にダミー吐出量を加算した量、または検体分注量とダミー吐出量とに余剰吸引量を加算した量である。血漿成分吸引後、分注プローブ50a、50bを降下させ、液面検知部54が血球液面検知後、分注プローブ50a、50bの降下は停止される(図(7−4)参照)。血球成分吸引位置まで分注プローブ50a、50bを降下後、分注プローブ50bにより血球成分を吸引する(図(7−5)参照)。分注プローブ50bによる血球成分の検体吸引量は、検体分注量、または検体分注量に余剰吸引量を加算した量である。
【0077】
血球成分吸引後、分注プローブ50a、50bをダミー吐出位置まで上昇させる(図(7−6)参照)。実施の形態2では、液面検知部54が検知した血漿液面位置および血球液面位置に基づきダミー吐出位置が算出される。ダミー吐出位置は、液面情報記憶部101bに格納される血漿液面位置と血球液面位置の中間とする。分注プローブ50aから血漿成分を所定量ダミー吐出する(図(7−7)参照)。このダミー吐出により、入り込んだ血球成分は血漿成分と共に排出される。また、血漿中でダミー吐出を行なうため、検体容器22外への検体の飛散を防止できると共に、分注プローブ50aにダミー吐出された血球サンプルの除去が可能となる。ダミー吐出の後、分注プローブ50a、50bは検体容器22上方まで上昇され(図(7−8)参照)、分注プローブ洗浄装置6で外壁洗浄後、検体吐出位置まで搬送され、反応容器32に各層検体がそれぞれ吐出される。各層検体について余剰吸引している場合は、分注プローブ50a、50b外壁洗浄の後、余剰吸引した検体を吐出して外壁に付着する洗浄水を除去してもよい。
【0078】
さらにまた、実施の形態2の変形例として、血漿成分および血球成分を分注プローブ50a、50bで吸引後、分注プローブ50a、50bを上昇させながら液面検知部54で血球液面を再度検知してダミー吐出位置を算出する分注方法が例示される。本変形例では、液面情報を格納する必要がなく、図2に示す液面情報記憶部101bおよび算出部101cを必須の構成とする必要がない。図8に実施の形態2の変形例にかかる分注方法のフローチャートを示す。
【0079】
図8に示すように、分注制御部101aは、液面情報記憶部101bから分注する検体の種類、分析項目、各検体サンプルの分注量、ダミー吐出量、余剰吸引量等の分注情報を取得し(ステップS401)、その後、分注制御部101aは、分注プローブ50a、50bを検体容器22中に降下させ(ステップS402)、液面検知部54は液面検知を開始する(ステップS403)。血漿液面を検知するまで(ステップS403:No)、分注プローブ50a、50bは降下され、液面検知部54が血漿液面検知後(ステップS403:Yes)、設定された血漿吸引位置までさらに所定量分注プローブ50a、50bが降下される(ステップS404)。血漿吸引位置で上層成分である血漿成分が分注プローブ50aにより吸引される(ステップS405)。
【0080】
血漿成分吸引後、下層成分である血球成分を吸引するために分注プローブ50a、50bをさらに降下し(ステップS406)、液面検知部54が血球液面を検知するまで(ステップS407:No)、分注プローブ50a、50bは降下される。液面検知部54が血球液面検知後(ステップS407:Yes)、分注プローブ50a、50bは設定された血球吸引位置までさらに所定量降下される(ステップS408)。血球吸引位置にて血球成分は吸引される(ステップS409)。血球成分吸引後、分注プローブ50a、50bを上昇させながら(ステップS410)、液面検知部54は血球液面を検知する(ステップS411)。液面検知部54が血球液面を検知するまで(ステップS411:No)、分注プローブ50a、50bは上昇され、液面検知部54が血球液面検知後(ステップS411:Yes)、さらに分注プローブ50a、50bを所定量上昇させる(ステップS412)。所定量は、ダミー吐出位置としてユーザーが設定するものであり、血球液面位置から所定量上の位置である。ダミー吐出位置で分注プローブ50aから設定されたダミー吐出量分の血漿成分をダミー吐出し(ステップS413)、ダミー吐出後、実施の形態2と同様に、ステップS414〜S419が行なわれ、分注が終了する。
【0081】
(実施の形態3)
次に、上層成分である血漿中でのダミー吐出位置を、血漿液面位置、血球液面位置情報に加え、検体容器情報および各層の検体吸引量情報に基づき算出する実施の形態3について説明する。実施の形態3では、種々の情報に基づきダミー吐出位置を算出するため、より正確なダミー吐出位置でダミー吐出を行なうことが可能となる。
【0082】
実施の形態3にかかる分注動作について図を参照して説明する。図9は、実施の形態3にかかる分注動作を示すフローチャートである。
【0083】
図9に示すように、分注制御部101aは、液面情報記憶部101bから分注する検体の種類、分析項目、各検体サンプルの分注量、ダミー吐出量、余剰吸引量、検体容器情報等の分注情報を取得する(ステップS501)。その後、分注制御部101aは、分注プローブ50a、50bを検体容器22中に降下させ(ステップS502)、液面検知部54は液面検知を開始し(ステップS503)、血漿液面を検知するまで(ステップS503:No)、分注プローブ50a、50bは降下される。液面検知部54が血漿液面検知後(ステップS503:Yes)、液面情報記憶部101bに血漿液面情報が格納される(ステップS504)。続いて、設定された血漿吸引位置まで液面検知位置から所定量分注プローブ50a、50bが降下され(ステップS505)、上層成分である血漿成分が分注プローブ50aにより吸引される(ステップS506)。検体吸引量は、分析に使用される検体分注量にダミー吐出量を加算した量、または検体分注量とダミー吐出量とに余剰吸引量を加算した量である。ダミー吐出量が余分に吸引されることにより、偶発的に分注プローブ50a内に入り込むおそれのある下層成分の血球成分を血漿成分と共にダミー吐出して、血漿成分への血球成分の混入を防止することができる。血漿吸引位置は検体吸引量に基づき設定してもよく、推測される血漿成分の中心位置等、ユーザーの希望により採取位置を定めてもよい。
【0084】
血漿成分吸引後、下層成分である血球成分を吸引するために分注プローブ50a、50bはさらに検体中を降下され(ステップS507)、液面検知部54が血球液面を検知するまで(ステップS508:No)、分注プローブ50a、50bは降下される。液面検知部54が血球液面検知後(ステップS508:Yes)、分注プローブ50a、50bの降下は停止される。血球液面情報は液面情報記憶部101bに格納され(ステップS509)、その後、設定された血球吸引位置まで所定量分注プローブ50a、50bは降下される(ステップS510)。設定された血球吸引位置にて血球成分は吸引されるが(ステップS511)、血球成分の検体吸引量は、分析に使用される検体分注量、または検体分注量に余剰吸引量を加算した量である。下層成分である血球成分を吸引する分注プローブ50bには血漿成分が入り込むおそれがなく、また入り込んだとしても分注プローブ50b内の血球成分の上層に位置するため、血球成分分注の際血漿成分が混入するおそれがない。したがって、分注プローブ50bによる血球成分の検体吸引量は、検体分注量、または検体分注量に余剰吸引量を加算した量となる。血球吸引位置は検体吸引量に基づき設定してもよく、推測される血球成分の中心位置等、ユーザーの希望により採取位置を定めてもよい。
【0085】
血球成分吸引後、算出部101cは、分注プローブ50a内の血漿成分のダミー吐出位置を算出する(ステップS512)。ダミー吐出位置は、ステップS501で抽出した各層の検体吸引量および検体容器の内側断面積等の検体容器情報、ならびにステップS504、ステップS509で格納した血漿液面位置および血球液面位置に基づき算出する。ダミー吐出位置を血漿液面位置と血球液面位置の中間点とすることは実施の形態2と同様であるが、実施の形態3では、分注プローブ50a、50bによる検体吸引後の血漿液面位置と血球液面位置を、各層の検体吸引量および検体容器の内側断面積により算出してより正確なダミー吐出位置を算出するものである。検体吸引後の血漿液面位置および血球液面位置は、下記式(1)、(2)のようになる。
血漿液面位置=格納された血漿液面位置−(血漿吸引量+血球吸引量)/検体容器の内側断面積・・・(1)
血球液面位置=格納された血球液面位置−血球吸引量/検体容器の内側断面積・・・(2)
【0086】
また、ダミー吐出位置は、(1)および(2)で求められた血漿液面位置、血球液面位置から下記式(3)で求める。
ダミー吐出位置=(血漿液面位置−血球液面位置)/2・・・・(3)
実施の形態3では、実施の形態2と同様に、ダミー吐出を上層成分である血漿中で行なうことにより、検体容器22外への検体サンプルの飛散を防止でき、ダミー吐出された検体による他テストサンプルや他検体へのキャリーオーバーのおそれを排除しうる。また、血漿中でダミー吐出を行なうことにより、分注プローブ50aに血球サンプルが付着した場合であっても、その後の分注プローブ50a、50bの血漿液面からの引上げの際に、付着した血球サンプルが表面張力等により除去しうる。さらに、より正確にダミー吐出位置を算出しうるので、確実に血漿中でのダミー吐出を行ないうる。
【0087】
ダミー吐出位置算出後、分注プローブ50a、50bをダミー吐出位置まで上昇させ(ステップS513)、分注プローブ50aから設定されたダミー吐出量分の血漿成分をダミー吐出する(ステップS514)。このダミー吐出により、分注プローブ50a内に入り込むおそれの有る血球成分を排出することができるので、分析に用いられる血漿成分への血球成分のコンタミネーションを防止することが可能となる。ダミー吐出後、実施の形態2と同様に、ステップS515〜S520が行なわれ、分注が終了する。
【図面の簡単な説明】
【0088】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる分注装置を使用する自動分析装置の概略構成図である。
【図2】図1の自動分析装置で使用する検体分注装置の概略構成図である。
【図3】実施の形態1にかかる分注動作を示すフローチャートである。
【図4】実施の形態1にかかる分注方法の分注動作を示す動作図である。
【図5】実施の形態1の変形例にかかる分注方法のフローチャートである。
【図6】実施の形態2にかかる分注動作を示すフローチャートである。
【図7】実施の形態2にかかる分注方法の分注動作を示す動作図である。
【図8】実施の形態2の変形例にかかる分注方法のフローチャートである。
【図9】実施の形態3にかかる分注動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0089】
1 自動分析装置
2 検体テーブル
4 試薬テーブル
5 検体分注装置
6、8 分注プローブ洗浄装置
7 試薬分注装置
9 測定機構
10 制御機構
21 検体容器収納部
22 検体容器
22a、42a 開口部
23、43 読取部
31 反応容器収納部
32 反応容器
33 測光装置
33a 光源
33b 受光部
34 反応容器洗浄装置
41 試薬容器収納部
42 試薬容器
50a、50b 分注プローブ
51a アーム
51b 支軸
52a、52b、52c、52d、52f チューブ
52e ターミナル
53 分注プローブ移送部
54 液面検知部
55a、55b シリンジ
55a−1、55b−1 シリンダー
55a−2、55b−2 プランジャー
56 プランジャー駆動部
57 タンク
58a、58b、58c 電磁弁
59 ポンプ
101 制御部
101a 分注制御部
101b 液面情報記憶部
101c 算出部
102 入力部
103 分析部
104 記憶部
105 出力部
106 表示部
107 送受信部
L1 押し出し液
O 鉛直軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2本の第1分注プローブと第2分注プローブとが1つのアームに支持された分注手段を用いて2層に分離した検体の各層成分をそれぞれ分注する分注方法であって、
上層成分を前記第1分注プローブで吸引する第1吸引ステップと、
下層成分を前記第2分注プローブで吸引する第2吸引ステップと、
前記第1分注プローブ内に入り込んだ下層成分および前記第1ステップで吸引した上層成分の一部をダミー吐出するダミー吐出ステップと、
を含むことを特徴とする分注方法。
【請求項2】
前記ダミー吐出ステップは、前記下層成分外で行なうことを特徴とする請求項1に記載の分注方法。
【請求項3】
前記ダミー吐出ステップは、前記上層成分内で行なうことを特徴とする請求項2に記載の分注方法。
【請求項4】
前記ダミー吐出ステップ後、前記第1分注プローブと前記第2分注プローブにより各反応容器に各層成分をそれぞれ吐出する検体吐出ステップと、
分注プローブ洗浄手段により前記第1分注プローブと前記第2分注プローブとの内外壁を洗浄する洗浄ステップと、
を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の分注方法。
【請求項5】
前記ダミー吐出ステップ後、前記分注プローブ洗浄手段により前記第1分注プローブと前記第2分注プローブとの外壁を洗浄する第1洗浄ステップと、
前記第1分注プローブと前記第2分注プローブにより各反応容器に各層成分をそれぞれ吐出する検体吐出ステップと、
前記分注プローブ洗浄手段により前記第1分注プローブと前記第2分注プローブとの内外壁を洗浄する第2洗浄ステップと、
を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の分注方法。
【請求項6】
前記第1吸引ステップで吸引する上層成分吸引量は、前記検体吐出ステップで反応容器に吐出する検体分注量に、前記ダミー吐出ステップで吐出するダミー吐出量を加算したものであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の分注方法。
【請求項7】
前記第2分注プローブで吸引する前記下層成分吸引量は、前記検体分注量であることを特徴とする請求項6に記載の分注方法。
【請求項8】
前記第2吸引ステップで吸引する下層成分吸引量は、前記検体分注量と余剰吸引量の合計量であることを特徴とする請求項6に記載の分注方法。
【請求項9】
前記第1吸引ステップで吸引する前記上層成分の検体量は、前記検体分注量と、前記ダミー吐出量と、余剰吸引量との合計量であり、前記第2吸引ステップで吸引する前記下層成分吸引量は、前記検体分注量と、余剰吸引量との合計量であることを特徴とする請求項6に記載の分注方法。
【請求項10】
前記上層成分の液面高さ情報および/または前記下層成分の液面高さ情報を記憶する記憶ステップと、
前記記憶ステップで記憶された前記上層成分の液面高さ情報および/または前記下層成分の液面高さ情報に基づき、第1分注プローブ内に入り込んだ下層成分および上層成分の一部を吐出するダミー吐出位置を算出する算出ステップと、
を含むことを特徴とする請求項1〜9のいずれか一つに記載の分注方法。
【請求項11】
前記算出ステップは、検体容器情報、上層成分吸引量および下層成分吸引量を考慮して前記上層成分内でのダミー吐出位置を決定することを特徴とする請求項10に記載の分注方法。
【請求項12】
前記上層成分が血漿であり、前記下層成分が血球であることを特徴とする請求項1〜11のいずれか一つに記載の分注方法。
【請求項13】
2層に分離した検体の各層成分の分注を行なう分注装置であって、
上層成分を分注する第1分注プローブと、
下層成分を分注する第2分注プローブと、
前記第1分注プローブと前記第2分注プローブとを支持する1つのアームと、
前記上層成分の液面高さおよび前記下層成分の液面高さを検出する液面検出手段と、
前記第1分注プローブ内に入り込んだ下層成分および前記第1分注プローブで吸引した上層成分の一部をダミー吐出するよう制御する分注制御手段と、
を備えることを特徴とする分注装置。
【請求項14】
前記分注制御手段は、前記下層成分外でダミー吐出するよう制御することを特徴とする請求項13に記載の分注装置。
【請求項15】
前記分注制御手段は、前記上層成分内でダミー吐出するよう制御することを特徴とする請求項14に記載の分注装置。
【請求項16】
前記第1分注プローブと前記第2分注プローブとの内外壁を洗浄する分注プローブ洗浄手段を備えることを特徴とする請求項13〜15のいずれか一つに記載の分注装置。
【請求項17】
前記分注プローブ洗浄手段による前記第1分注プローブと前記第2分注プローブの内外壁洗浄は、ダミー吐出後の外壁洗浄と、反応容器内への各層成分分注後の内外壁洗浄とに分けて行なうことを特徴とする請求項16のいずれか一つに記載の分注装置。
【請求項18】
前記液面検出手段は、前記第1分注プローブと前記第2分注プローブを電極としたときの静電容量変化またはインピーダンス値の変化により前記上層成分の液面高さおよび前記下層成分の液面高さを検出することを特徴とする請求項13〜17のいずれか一つに記載の分注装置。
【請求項19】
前記第1分注プローブが吸引する前記上層成分吸引量は、少なくとも前記反応容器に吐出する検体分注量に、前記ダミー吐出用のダミー吐出量を加算したものとすることを特徴とする請求項13〜18のいずれか一つに記載の分注装置。
【請求項20】
前記第2分注プローブで吸引する前記下層成分吸引量は、前記検体分注量であることを特徴とする請求項19に記載の分注装置。
【請求項21】
前記第2分注プローブで吸引する前記下層成分吸引量は、前記検体分注量と、余剰吸引量との合計量であることを特徴とする請求項19に記載の分注装置。
【請求項22】
前記第1分注プローブで吸引する前記上層成分吸引量は、前記検体分注量と、前記ダミー吐出量と、余剰吸引量との合計量であり、前記第2分注プローブで吸引する前記下層成分吸引量は、前記検体分注量と、余剰吸引量との合計量であることを特徴とする請求項19に記載の分注装置。
【請求項23】
前記上層成分の液面高さ情報および/または前記下層成分の液面高さ情報を記憶する記憶手段と、
前記記憶手段に記憶された前記上層成分の液面高さ情報および/または前記下層成分の液面高さ情報に基づき、第1分注プローブ内に入り込んだ下層成分および上層成分の一部を吐出するダミー吐出位置を算出する算出手段と、
を備えることを特徴とする請求項13〜22のいずれか一つに記載の分注装置。
【請求項24】
前記算出手段は、検体容器情報、上層成分吸引量および下層成分吸引量を考慮して前記上層成分内でのダミー吐出位置を決定することを特徴とする請求項23に記載の分注装置。
【請求項25】
前記上層成分が血漿であり、前記下層成分が血球であることを特徴とする請求項13〜24のいずれか一つに記載の分注装置。
【請求項26】
請求項13〜25のいずれか一つに記載の分注装置により分注された検体と、試薬との反応により検体の分析を行うことを特徴とする分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−197047(P2010−197047A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−38607(P2009−38607)
【出願日】平成21年2月20日(2009.2.20)
【出願人】(510005889)ベックマン・コールター・インコーポレーテッド (174)
【Fターム(参考)】