説明

分注装置、分析装置、および分注方法

【課題】血球検体の個体差の影響を受けることなく、所定量の血球検体を分注しうる分注装置、分析装置、および分注方法を提供する。
【解決手段】分注プローブ12cによる液体吸引時における配管内の圧力を測定する圧力センサと、圧力センサが測定した液体吸引時の圧力平均値を算出する算出部34と、所望する吐出量毎の液体吸引時の圧力平均値と吐出動作量との相関関係を記憶する記憶部37と、算出部34が算出した吸引時の圧力平均値と記憶部37に記憶された相関関係に基づき吐出動作量を補正する補正部38と、補正部38が補正した吐出動作量に基づき、シリンジポンプを制御して所望する吐出量を吐出させる制御部31と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体または試薬を含む液体を分注する分注装置、および前記分注装置を備える分析装置、ならびに分注方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体と試薬との反応物を分析する分析装置において、検体または試薬を分注する分注装置は、シリンジポンプ等により分注プローブと接続される配管内に充填された押し出し水に負圧または正圧を印加して、分注プローブから押し出し水による希釈を考慮した余剰量を加えた試料を吸引後、所定量の検体を吐出している。分注装置の分注精度は、当該液体試料を使用して行う分析の精度に大きな影響を及ぼすため、分注装置における分注精度の向上は非常に重要な課題である。特に、血液分析装置において血球検体の分注を行なう場合、血球検体は血漿検体に比べ粘度が大きいだけでなく、個体差による粘度のバラツキも大きいため、分注量の検体間差が大きいという問題があった。
【0003】
これに対して、分注精度を向上するものとして、吸引・吐出部と、液体吸引機構とを備え、分注する液体吸引時の圧力を圧力検知手段により測定し、吐出圧発生機構により吐出圧を発生させ、吐出量調整機構により吐出量を調整することができる分注装置であって、吸引時圧力に基づき液体吐出時の吐出圧と吐出時間を調整することにより、分注する液体の粘度にかかわらず精度よく分注を行いうる分注装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−291998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、吐出量調整機構として使用される開閉弁の開閉時間を調整して液体の吐出量を調整しているが、開閉弁の開閉時間による吐出量の調整では、配管内に残圧が印加されるので、分注機構の故障が発生しやすくなり好ましくない。さらにまた、上記文献では、液体吸引時の圧力に基づき、制御部が、吐出量調整機構により加圧時間を制御するとともに、吐出圧発生機構における吐出時の吐出圧を調整すると記載されているが、吐出圧発生機構として使用されるシリンジポンプの吐出圧と加圧時間の制御方法については何ら開示されておらず、その制御は非常に困難と推測される。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、血球検体の個体差の影響を受けることなく、所定量の血球検体を分注しうる分注装置、分析装置、および分注方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の分注装置は、分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、圧力発生手段により吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブにより検体または試薬を含む液体を吸引し、吐出を行なう分注装置において、前記分注プローブによる液体吸引時における前記配管内の圧力を測定する圧力測定手段と、前記圧力測定手段が測定した液体吸引時の圧力平均値を算出する算出手段と、所定吐出量毎に設定された液体吸引時の圧力平均値と吐出動作量との相関関係を記憶する記憶手段と、前記算出手段により算出された吸引時の圧力平均値を用いて、前記記憶手段に記憶された相関関係に基づき、前記圧力発生手段の吐出動作量を補正する補正手段と、前記補正手段が補正した吐出動作量に基づき、前記圧力発生手段を制御して所定の吐出量を前記分注プローブから吐出させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の分注装置は、分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、圧力発生手段により吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブにより検体または試薬を含む液体を吸引し、吐出を行なう分注装置において、前記分注プローブによる液体吸引時における前記配管内の圧力を測定する圧力測定手段と、前記圧力測定手段が測定した液体吸引時の圧力積分値を算出する算出手段と、所定吐出量毎に設定された液体吸引時の圧力積分値と吐出動作量との相関関係を記憶する記憶手段と、前記算出手段により算出された吸引時の圧力積分値を用いて、前記記憶手段に記憶された相関関係に基づき、前記圧力発生手段の吐出動作量を補正する補正手段と、前記補正手段が補正した吐出動作量に基づき、前記圧力発生手段を制御して所定の吐出量を前記分注プローブから吐出させる制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記圧力発生手段はシリンジポンプであることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記分注プローブによる液体吐出は、所定の吐出速度下で行なうことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記検体は、血球検体または全血検体であることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の分析装置は、検体と試薬との反応物を光学的な測定に基づいて分析する分析装置であって、上記のいずれか一つに記載の分注装置を使用して検体または試薬を分注することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の分注方法は、分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、圧力発生手段により吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブにより検体または試薬を含む液体を吸引し、吐出を行なう分注装置における分注方法であって、前記分注プローブによる液体吸引時における前記配管内の圧力を測定する圧力測定ステップと、前記圧力測定ステップにより測定した液体吸引時の圧力平均値を算出する算出ステップと、記憶手段に記憶された、所定吐出量毎に設定された液体吸引時の圧力平均値と吐出動作量との相関関係に基づき、前記算出ステップで算出された吸引時の圧力平均値を用いて、前記圧力発生手段の吐出動作量を補正する補正ステップと、前記補正ステップにより補正した吐出動作量に基づき、前記圧力発生手段を制御して所定の吐出量を前記分注プローブから吐出させる吐出ステップと、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の分注方法は、分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、圧力発生手段により吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブにより検体または試薬を含む液体を吸引し、吐出を行なう分注装置における分注方法であって、前記分注プローブによる液体吸引時における前記配管内の圧力を測定する圧力測定ステップと、前記圧力測定ステップにより測定した液体吸引時の圧力積分値を算出する算出ステップと、記憶手段に記憶された、所定吐出量毎に設定された液体吸引時の圧力積分値と吐出動作量との相関関係に基づき、前記算出ステップで算出された吸引時の圧力積分値を用いて、前記圧力発生手段の吐出動作量を補正する補正ステップと、前記補正ステップにより補正した吐出動作量に基づき、前記圧力発生手段を制御して所定の吐出量を前記分注プローブから吐出させる吐出ステップと、を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、圧力測定手段が測定した液体吸引時の配管内の圧力データから、算出手段が圧力平均値を算出し、記憶手段に記憶された所望する吐出量における液体吸引時の圧力平均値と吐出動作量との相関関係に基づき、補正手段が所定の吐出量を吐出するための前記圧力発生手段の吐出動作量を補正して、制御部が、該吐出動作量に基づき前記圧力発生手段を制御して所定の吐出量を前記分注プローブから吐出させることができるので、血球検体の個体差(粘度の高低)にかかわらず、所定量の検体の分注が可能となり、安定した分析結果を取得できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかる分析装置の概略図である。
【図2】図2は、検体分注機構の概略図である。
【図3】図3は、血球検体の分注処理のフローチャートである。
【図4】図4は、血球検体における希釈検体調製処理のフローチャートである。
【図5】図5は、粘度が異なる血球検体の検体吸引時の圧力波形と時間の関係を表した図である。
【図6】図6は、吐出動作量と吸引圧力平均値の関係を示す図である。
【図7】図7は、吐出動作量と実際の吐出量の関係を示す図である(吸引時圧力センサ出力平均0.8Vの検体)。
【図8】図8は、本発明の実施の形態の変形例にかかる分析装置の概略図である。
【図9】図9は、本発明の実施の形態の変形例における吐出動作量と吸引圧力積分値の関係を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる分注装置、分析装置および分注方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。なお、本明細書における「液体」には、全血などのコロイド溶液のほか、分散粒子である血球も含むものとする。
【0018】
図1は、本実施の形態にかかる分析装置の構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施の形態にかかる分析装置1は、分析対象である検体および試薬を、マイクロプレート20の所定のウェルW(反応容器)にそれぞれ分注し、ウェルW内で生じる反応を光学的に測定する測定機構2と、測定機構2を含む分析装置1全体の制御を行うとともに測定機構2における測定結果の分析を行う制御機構3とを備える。分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の免疫学的な分析を自動的に行う。なお、マイクロプレート20は、アクリル等の透明な材料によって構成したプレートで、その表面に開口したウェルWと称する孔を多数有する。ウェルWは、検体を収容するもので傾斜面が形成された孔であり、マイクロプレート20の表面にマトリクス状に配列されている。
【0019】
測定機構2は、大別してプレート搬送レーン10、検体移送部11、検体分注機構12、試薬移送部13、試薬分注機構14、反応促進部15、測光部16、プレート回収部17、検体希釈部18およびプローブ洗浄部19を備える。また、制御機構3は、制御部31、出力部32、分析部33、算出部34、送受信部35、入力部36、記憶部37および補正部38を備える。測定機構2および制御機構3が備えるこれらの各部は、制御部31に電気的に接続されている。
【0020】
プレート搬送レーン10は、マイクロプレート20における各ウェルWへの検体や試薬の分注、ウェルW内の液体の反応促進および測光を行うためにマイクロプレート20を所定の位置まで搬送する。このプレート搬送レーン10は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、たとえば図1中の矢印に示すように左方向にマイクロプレート20を搬送する。
【0021】
検体移送部11は、検体を収容した複数の検体容器11aを保持し、図中の矢印方向に順次移送される複数の検体ラック11bを備える。検体容器11aに収容された検体は、検体の提供者から採取した血液に抗凝固剤を加え遠心分離を行い、上澄み液となる血漿と堆積物となる血球(赤血球)粒子とに分離したものである。検体移送部11上の所定位置に移送された検体容器11a内の検体は、検体分注機構12によって、プレート搬送レーン10上に配列して搬送されるマイクロプレート20の所定のウェルWに分注される。
【0022】
検体容器11aの側面部には、検体容器11aに収容された検体に関する検体情報が記録された記録媒体が付されている。記録媒体は、符号化された各種の情報を表示しており、光学的に読み取られる。検体情報は、たとえば、検体を提供した患者の氏名、性別、年齢、分析項目などである。
【0023】
検体移送部11の対応箇所には、この記録媒体を光学的に読み取る検体読取部11cが設けられている。検体読取部11cは、記録媒体に対して赤外光または可視光を発し、記録媒体からの反射光を処理することによって、記録媒体の情報を読み取る。また、検体読取部11cは、記録媒体を撮像処理し、撮像処理によって得られた画像情報を解読して、記録媒体の情報を取得してもよい。検体読取部11cは、この検体読取部11cの前を通過する際に、検体容器11aに付された記録媒体の情報を読み取る。
【0024】
検体分注機構12は、検体の吸引および吐出を行う分注プローブ12b、12cと、分注プローブ12b、12cを保持するプローブ保持部12aと、プローブ保持部12aを図1の矢印Y方向へ移動自在に支持するアーム12dと、アーム12dの基端部を矢印Y方向へ移動自在に支持するアーム保持部12eとを有する。分注プローブ12b、12cは、それぞれ血漿または血球検体を分注する分注プローブであって、図2に記載されるプローブ移送部12pにより検体容器11a上に移送され、検体容器11a内の上澄み液である血漿内に降下された後、分注プローブ12bにより血漿検体を吸引し、さらに下層の血球内まで降下されて分注プローブ12cにより血球検体を吸引する。吸引した血漿検体は、マイクロプレート20の所定のウェルWに吐出するが、血球検体は、希釈検体調製のために検体希釈部18に吐出される。検体希釈部18には、図示しない希釈液ノズルにより希釈液が分注されて、血球検体の希釈検体が調製される。分注プローブ12cは、分注プローブ洗浄部19により洗浄された後、検体希釈部18から希釈検体を吸引し、マイクロプレート20の所定のウェルWに吐出する。
【0025】
試薬移送部13は、マイクロプレート20中における各ウェルWに分注される試薬がそれぞれ収容された試薬セット13aを試薬分注機構14により試薬吸引位置まで移送する。試薬セット13aには、各種の分析項目に応じて所要の試薬がそれぞれ所定量収容され、1セットの試薬セット13aに含まれる各試薬は、所定回数の分注に対応する場合のほか、一度の分注に対応する場合もある。試薬移送部13は、所定回数の分注処理が終了した試薬セット13aを回収し、次に分注対象となる試薬セット13aを試薬吸引位置まで移送する。
【0026】
試薬セット13aの側面部には、試薬セット13aに収容された各試薬に関する試薬情報が記録された記録媒体が付されている。記録媒体は、符号化された各種の情報を表示しており、光学的に読み取られる。試薬移送部13の対応箇所には、この記録媒体を光学的に読み取る試薬読取部13bが設けられている。試薬読取部13bは、記録媒体に対して赤外光または可視光を発し、記録媒体からの反射光を処理することによって、記録媒体の情報を読み取る。また、試薬読取部13bは、記録媒体を撮像処理し、撮像処理によって得られた画像情報を解読して、記録媒体の情報を取得してもよい。
【0027】
試薬分注機構14は、試薬の吸引および吐出を行うプローブが先端部に取り付けられたアーム14aを備える。アーム14aは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行う。試薬分注機構14は、図示しない吸排シリンジまたは圧電素子を用いた吸排機構を備える。試薬分注機構14は、試薬移送部13上の所定位置に移動された試薬セット13a内の試薬を対応する各プローブによって吸引し、アーム14aを図中反時計回りに旋回させ、プレート搬送レーン10上の所定位置に搬送されたマイクロプレート20の各ウェルWに対応する各試薬を吐出して分注を行う。
【0028】
反応促進部15は、マイクロプレート20に分注された検体および試薬の反応を促進し、抗原抗体反応を行わせ、マイクロプレート20の各ウェルW底面に凝集パターンを形成させる。反応促進部15は、たとえば、マイクロプレート20を振動させてウェルW内の検体および試薬を攪拌する。また、反応促進部15は、たとえば、分析方法の内容に対応させた所定時間の間、マイクロプレート20を恒温静置し、血球粒子の自然沈降などを促進する。また、反応促進部15は、たとえば、所定の磁場を印加することによってウェルW内に存在する微粒子を操作する。
【0029】
測光部16は、反応促進部15において形成された凝集パターンを測光検出する。測光部16は、たとえばCCDカメラによって構成され、マイクロプレート20の各ウェルWを上方から撮像し、各ウェルWに形成された凝集パターンを撮像した画像情報を出力する。また、測光部16は、マイクロプレート20の各ウェルWに所定の光を照射する発光部と各ウェルW内の検液に発生する光を受光する受光部とを備え、検液に発生した光の輝度を測光結果として出力してもよい。
【0030】
プレート回収部17は、測光部16による測光処理が終了したマイクロプレート20を回収する。回収されたマイクロプレート20は、図示しない洗浄部によって、各ウェルWの混合液の吸引および排出、洗浄液の注入および吸引によって洗浄される。洗浄されたマイクロプレート20は再利用される。なお、検査内容によっては1回の測定終了後にマイクロプレート20が廃棄される場合もある。
【0031】
つぎに、制御機構3について説明する。制御部31は、CPU等を用いて構成され、分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部31は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行う。
【0032】
出力部32は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、分析部33が生成した分析情報を含む諸情報を出力する。
【0033】
分析部33は、測光部16によって測定された測光結果をもとに抗原抗体反応を分析する。なお、分析部33は、測光部16が画像情報を出力する場合、測光部16によって出力された画像情報を処理し、検体の輝度に応じた測光値を取得する。また、分析部33は、凝集反応の陰性、陽性の判定に用いる、SPC(中心部の像のエッジの明りょうさ)、P(周辺部の明るさ)、C(中心部の明るさ)、LIA(中心部の像の面積)等のパラメータを算出し、記憶部37に記憶されているSPC,P,C,LIAの各パラメータの閾値と比較する。なお、SPC,P,Cのパラメータは、0〜99の値で求められ、LIAのパラメータは0〜999の値で求められる。算出したパラメータの数値と、パラメータの閾値とを比較して、検査項目ごとに+(陽性)、−(陰性)、不明(陽性と陰性の間であってどちらとも判定できない場合)を判定可能である。
【0034】
送受信部35は、図示しない通信ネットワークを介して所定の形式にしたがった情報の送受信を行うインターフェースとしての機能を有する。入力部36は、キーボード、マウス、マイクロフォン等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。また、画面に表示するための抽出項目を制御部31に出力する。
【0035】
記憶部37は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成される。記憶部37は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。また、記憶部37は、吐出動作量データD1を有する。吐出動作量データD1は、検体分注機構12における、液体吸引時の圧力平均値と吐出動作量との相関関係であり、吐出設定量毎に設定される。吐出動作量データD1は、血球検体を分注する分注プローブ12cにより粘度の異なる液体を吐出する際の、後述するシリンジポンプ12s等を含む圧力発生手段の吐出動作量と実吐出量との関係から求められる。本明細書において、吐出動作量とは、圧力発生手段として使用されるシリンジポンプ12s(図2参照)のシリンダー円柱部の断面積とプランジャー移動距離の積である。
【0036】
算出部34は、検体分注機構12が備える圧力センサ12f(図2参照)により測定された、分注プローブ12cが血球検体を吸引する際の配管内圧力の平均値を算出する。
【0037】
補正部38は、算出部34が算出した血球検体吸引時の圧力平均値を用いて、記憶部37に記憶された吐出動作量データD1に基づき、所定の吐出量を吐出するためのプランジャー駆動部12qの吐出動作量を補正する。制御部31は、補正部38が補正した吐出動作量をシリンジポンプ12sに動作させるよう、プランジャー駆動部12qに制御信号を送信して所望の吐出量を分注プローブ12cから吐出させる。
【0038】
以上のように構成された分析装置1では、順次搬送される複数のマイクロプレート20に対して、検体分注機構12が検体容器11a中の検体を分注し、試薬分注機構14が試薬セット13a中の各試薬を分注した後、測光部16が検体と試薬とを反応させた状態の検体の輝度測定を行い、この測定結果を分析部33が分析することで、検体の抗原抗体反応分析等が自動的に行われる。
【0039】
次に、血球検体の分注処理について、図2〜図6を参照して説明する。図2は、検体分注機構12の概略図である。図2では、説明の簡易化のために、血漿検体分注用の分注プローブ12b、アーム12dおよびアーム保持部12eは省略している。
【0040】
検体分注機構12は、図2に示すように、大別して分注プローブ12c、圧力センサ12f、送液ポンプ12k、タンク12l、プローブ移送部12pおよびシリンジポンプ12sを備えている。
【0041】
分注プローブ12cの基端には、配管12gの一端が接続される。この配管12gの他端は、シリンジ12mに接続される。また、配管12gの途中には、圧力センサ12fが配置され、圧力センサ12fは、配管12g内の圧力を電圧に変換して出力する。シリンジ12mは、配管12gの他端が接続された筒状のシリンダー12nと、シリンダー12nの内壁面を摺動しながらシリンダー12n内を進退可能に設けられたプランジャー12oとを有する。プランジャー12oは、プランジャー駆動部12qに接続される。シリンジポンプ12sは、上述したシリンダー12n、プランジャー12oおよびプランジャー駆動部12qから構成される。プランジャー駆動部12qには、例えばリニアモーターを用いて構成され、シリンダー12nに対するプランジャー12oの進退移動を行うものである。シリンジ12mのシリンダー12nには、配管12hの一端が接続される。この配管12hの他端は、押し出し水L1を収容するタンク12lに接続される。また、配管12hの途中には、電磁弁12iおよび送液ポンプ12kが接続される。なお、押し出し水L1としては、蒸留水や脱気水などの非圧縮性流体が適用される。この押し出し水L1は、分注プローブ12cの内部の洗浄を行う洗浄液としても適用される。
【0042】
検体分注機構12は、送液ポンプ12kを駆動し、電磁弁12iを開状態にすることでタンク12lに収容されている押し出し水L1が、配管12hを経てシリンジ12mのシリンダー12n内に充填され、さらにシリンダー12nから配管12gを経て分注プローブ12cの先端まで満たされる。このように押し出し水L1が分注プローブ12cの先端まで満たされた状態で、電磁弁12iを閉状態とし、ポンプ12kにより送液される押し出し水L1は、戻り配管12tでタンク12lに循環させておく。血球検体の吸引を行う場合、プランジャー駆動部12qを駆動してプランジャー12oをシリンダー12nに対して後退移動させることにより、押し出し水L1を介して分注プローブ12cの先端部に吸引圧が印加され、この吸引圧によって血球検体が吸引される。一方、血球検体の吐出を行う場合には、プランジャー駆動部12qを駆動してプランジャー12oをシリンダー12nに対して進出移動させることにより、押し出し水L1を介して分注プローブ12cの先端部に吐出圧が印加され、この吐出圧によって血球検体が吐出される。
【0043】
なお、図には明示しないが検体分注機構12は、分注プローブ12b(図1参照)、12cで分注する検体の液面および血漿−血球界面を検知する液面検知機能を備えている。液面検知機能には、例えば分注プローブ12b、12cが検体に接した際の分注プローブ12b、12c間のインピーダンスの変化によって液面および界面を検知するものがある。
【0044】
制御部31は、プローブ移送部12pを制御することにより、分注プローブ12cを検体吸引位置、検体吐出位置、希釈検体吸引位置および分注プローブ洗浄位置に移送し、電磁弁12iの開閉および送液ポンプ12kの駆動を制御することにより、押し出し水L1を配管12h、12gおよび分注プローブ12c内に充填する。さらに、制御部31は、プランジャー駆動部12qを駆動制御して、分注プローブ12cにより血球検体の吸引および吐出を行なう。本実施の形態では、分析装置1の制御機構が備える制御部31が、検体分注機構12の各構成部位を制御しているが、検体分注機構12内に検体分注機構12の各構成部位を制御する制御機構を備えていてもよい。
【0045】
つぎに、図3〜図7を参照して、血球検体の分析処理について説明する。図3は、血球検体の分析処理のフローチャート、図4は、血球検体における希釈検体調製処理のフローチャートである。図5は、粘度が異なる血球検体A、Bの検体吸引時の圧力波形と時間の関係を表した図である。図6は、吐出動作量と吸引時の圧力平均の関係を示す図である。図7は、検体吸引時の圧力平均が電圧値換算で0.8Vの検体Aについての、吐出動作量と実吐出量の関係を示す図である。
【0046】
まず、検体読取部11cは、分析を行う検体の検体容器11aに付された記憶媒体から分析項目等の検体情報を読み取り、該検体情報を制御部31に送信する(ステップS101)。制御部31は、送信された検体情報に基づき、血球検体を対象とする分析項目がオーダーされているかを確認する(ステップS102)。血球検体について、分析がオーダーされていない場合は(ステップS102、No)、血球検体の分析処理を終了する。血球検体について、分析がオーダーされている場合は(ステップS102、Yes)、制御部31は、検体希釈部18において血球検体の希釈検体を調製するよう制御する(ステップS103)。希釈検体調製後、血球検体の分注を行なう分注プローブ12cにて希釈検体を吸引し、マイクロプレート20中のウェルWに吐出して分注を行なう(ステップS104)。その後、希釈検体が分注されたウェルWに、試薬分注機構14により試薬が分注され(ステップS105)、反応促進部15により反応促進後(ステップS106)、測光部16は、ウェルW内の凝集パターンを測光検出して(ステップS107)、血球検体の分析処理は終了する。なお、上述したステップS104の希釈検体の分注は、希釈検体吸引時の圧力平均に基づいて吐出動作量補正を行なうことなく分注してもよく、あるいは、後述する吐出動作量の補正により分注を行なうことも可能である。
【0047】
ステップS103の検体希釈処理は、まず、制御部31の制御のもと、プランジャー駆動部12qの駆動により、プランジャー12oをシリンダー12nに対して後退移動させることにより、分注プローブ12cが検体容器11a内に収容される下層成分の血球検体を吸引する(ステップS201)。検体吸引量は、希釈検体調製用に設定された量に余剰検体量を加えた分量である。たとえば、余剰検体量10μLで所定検体量が20μLである場合には、30μL吸引する。余剰検体量は、通常、押し出し水等による検体の薄まりを考慮して設定されるものであるが、本実施の形態においては、分析に要する所定量の検体を確実に吸引することも考慮して余剰に吸引する検体量を設定する。
【0048】
圧力センサ12fは、血球検体吸引時の配管12g内の圧力を測定し(ステップS202)、圧力信号(電圧)として制御部31に送信する。図5は、粘度が異なる血球検体A、Bの検体吸引時の圧力と時間の関係を表した図であり、時間0.00秒から0.19秒までシリンジポンプ12sにより血球検体の吸引を行なっている。図5に示すように、血球検体の粘度が高い血球検体Aは吸引時圧力が高く、粘度が低い血球検体Bでは吸引時圧力は低くなる。血球検体により吸引時圧力が大きく異なるため、同一のシリンジポンプ12sにより同一の吸引動作量で吸引を行なってもシリンダー12n内に吸引される量が異なるだけでなく、同一のシリンジポンプ12sで同一の吐出動作量で吐出を行なっても分注プローブ12cから吐出される検体量が異なることになる。そのため、本実施の形態では、血球検体吸引時の圧力平均を求め、吸引時圧力平均から所定の検体量を吐出できる吐出動作量に補正する。
【0049】
算出部34は、制御部31を介して得た図5に示すような圧力信号データに基づき、検体吸引時の圧力平均値を算出する(ステップS203)。
【0050】
補正部38は、算出部34が算出した検体吸引時の圧力平均値を用いて、記憶部37に記憶された吐出動作量データD1に基づき、所定の吐出量を吐出するためのプランジャー駆動部12qの吐出動作量を補正する(ステップS204)。
【0051】
吐出動作量データD1は、所望する吐出量毎に設定された液体吸引時の圧力平均値と吐出動作量との相関関係である。吐出動作量データD1は、粘度の異なる血球検体を吐出する際のシリンジポンプ12sの吐出動作量と実吐出量との関係から求めたものであり、図6に示すようなグラフで表される。図6の横軸は検体吸引時の圧力平均値(圧力センサの出力平均値)であり、縦軸は、制御部31からプランジャー駆動部12qに出力されるシリンジポンプ12sの吐出動作量である。図6において、直線l1は血球吐出量20μLの関係式を表し、直線l2は血球吐出量15μLの関係式を表す。
【0052】
血球検体の所定吐出量が20μLの場合には、補正部38は、吐出量20μLの関係式である図6の直線l1を参照して、シリンジポンプ12sの吐出動作量を補正する。たとえば、血球検体吸引時の圧力センサ出力平均が0.4Vの場合は、直線l1の関係式からシリンジポンプ12sの吐出動作量は21.6μLに補正され、制御部31は補正後の吐出動作量21.6μLに対応する制御信号によりプランジャー駆動部12qが駆動されると、20μLの血球検体が吐出される。また、同様に、血球検体吸引時の圧力センサ出力平均が0.8Vの場合は、吐出動作量は25.3μLに補正される。血球検体の所定吐出量が15μの場合には、吐出量15μLの関係式である図6の直線l2を参照して、シリンジポンプ12sの吐出動作量を補正する。血球検体吸引時の圧力センサ出力平均が0.4Vの場合は、直線l2の関係式から、シリンジポンプ12sの吐出動作量は16.6μLに補正される。
【0053】
図6は、血球吐出量20μL(直線l1)、15μL(直線l2)の関係式のみ示しているが、分析装置1で吐出されるすべての検体吐出量に応じた関係式が設定されて吐出動作量データD1として記憶部37に記憶され、吐出量に応じて血球検体吸引時の圧力センサ出力平均値から吐出動作量が補正される。
【0054】
上記のように、補正部38により所定の吐出量の吐出動作量を補正した後、制御部31は、プランジャー駆動部12qに補正後の吐出動作量に応じた制御信号を送信することにより、分注プローブ12cから所定量の血球検体が検体希釈部18に吐出される(ステップS205)。血球検体の吐出と前後して希釈液が検体希釈部18に分注され(ステップS206)、攪拌機構により分注された検体と希釈液とを攪拌して(ステップS207)、希釈検体を調製する。なお、分注プローブ12cによる血球検体の検体希釈部18への分注後、プローブ洗浄槽19内で分注プローブ12c内に残存する検体の廃棄および洗浄が行なわれる。
【0055】
以下に、簡単に、図6に示す圧力平均値と吐出動作量との相関関係の求め方について説明する。
【0056】
まず、粘度、すなわち、吸引時の圧力平均値が異なる複数の血球検体を準備し、検体毎に、吸引時の圧力をモニタしながら検体の吸引を行なう。ここで、検体の吸引量は、余剰検体量10μL+所要検体量20μL=30μLとしているが、この30μLは制御部31からプランジャー駆動部12qに送信された吸引動作量であって、吸引動作量の補正は行なわないため、吸引する血球検体の粘度によって実際に吸引された検体量とは異なる。
【0057】
吸引した検体について、吐出動作量を変動させて試験管に夫々血球吐出を行う。吐出動作量を変動させた吐出試験は、吐出速度(プランジャー12oの移動速度)を一定条件にして行なう。実際に試験管に吐出された血球検体に、所定量(例えば1000μL)の生理食塩水を添加し、十分に攪拌した後、血球カウンターにて赤血球数(個/μL)と平均赤血球容積(fL)を計測する。計測されたデータから、下記(1)式により実際に吐出された赤血球量を求める。
吐出血球量=赤血球数×(平均赤血球容積×10−9)×生理食塩液添加量÷(1−赤血球数×(平均赤血球容積×10−9))・・・・(1)
【0058】
上記(1)式により算出した赤血球量から、実際に吐出された検体量と吐出動作量との関係を求める。結果の一例を図7に示す。図7は、検体吸引時の圧力平均値が0.8Vである検体の、吐出動作量と実際の吐出量の関係を示す図である。
【0059】
図7に示すように、吸引時の圧力平均値が0.8Vに達するような粘度が高い検体では、15μL分の吐出動作量がプランジャー駆動部12qに送信された場合でも、実際に吐出された検体分量は10μLであり、分注プローブ12cから吸引時の圧力平均値が0.8Vの検体を15μL吐出させるためには、15μLより大きな吐出動作量をプランジャー駆動部12qに送信する必要がある。圧力平均値が0.8Vの検体を15μL吐出させるためには、吐出動作量を20μLに補正すればよいことがわかる(図7参照)。
【0060】
粘度の異なる複数の検体について、同様の試験を行い、吐出動作量と実際に吐出された検体量の関係を求め、得られたデータから、図6に示す吸引圧力平均と吐出動作量との関係を得る。
【0061】
本発明では、あらかじめ記憶された検体吸引時の圧力平均と吐出動作量の相関関係(吐出動作量データD1)に基づき、検体吸引時の圧力平均から所望する量を吐出しうる吐出動作量を補正して、シリンジポンプを制御することができるので、検体の個体差(粘度の高低)にかかわらず、所定の分注量を正確に分注することが可能となる。なお、試薬分注機構14において、検体分注機構12と同様に圧力センサを設置して、吸引時圧力平均値を算出することにより、吐出動作量データD1(試薬用に別途吐出動作量データを有していてもよい)により吐出動作量を補正した後分注することも可能であり、かかる場合は、高粘度な試薬の分注の際にも分注精度を保持することができる。
【0062】
上述した本発明の実施の形態の変形例として、図8に示す分析装置1Aが例示される。図8は、分析装置1Aの概略図である。分析装置1Aは、圧力センサ12fが測定した検体吸引時の圧力データから算出部34Aが圧力積分値を算出し、記憶部37Aに記憶された吐出動作量データD2に基づき該圧力積分値から補正部38Aが吐出動作量を補正し、制御部31Aが補正された吐出動作量に応じた制御信号を検体分注機構12に送信することにより、検体を所定量吐出して分析を行う。
【0063】
記憶部37Aに記憶される吐出動作量データD2は、図9に示すような吐出動作量と吸引圧力積分値との相関関係として記憶される。図9は、本発明の実施の形態の変形例における吐出動作量と吸引圧力積分値の関係を示す図である。上述した分析装置1Aによっても、検体の個体差(粘度の高低)にかかわらず、所定の分注量を正確に分注することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0064】
以上のように、本発明の分注装置、分析装置、および分注方法は、血球検体や全血検体を分析対象とする分析装置に有用であり、特に、分析精度が要求される分野に適している。
【符号の説明】
【0065】
1、1A 分析装置
2 測定機構
3 制御機構
10 プレート搬送レーン
11 検体移送部
11a 検体容器
11b 検体ラック
11c 検体読取部
12 検体分注機構
12a プローブ保持部
12b,12c 分注プローブ
12d アーム
12e アーム保持部
13 試薬移送部
13a 試薬セット
13b 試薬読取部
14 試薬分注機構
15 反応促進部
16 測光部
17 プレート回収部
18 検体希釈部
19 プローブ洗浄部
20 マイクロプレート
31、31A 制御部
32 出力部
33 分析部
34、34A 算出部
35 送受信部
36 入力部
37、37A 記憶部
38、38A 補正部
L1 押し出し水
D1、D2 吐出動作量データ
W ウェル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、圧力発生手段により吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブにより検体または試薬を含む液体を吸引し、吐出を行なう分注装置において、
前記分注プローブによる液体吸引時における前記配管内の圧力を測定する圧力測定手段と、
前記圧力測定手段が測定した液体吸引時の圧力平均値を算出する算出手段と、
所定吐出量毎に設定された液体吸引時の圧力平均値と吐出動作量との相関関係を記憶する記憶手段と、
前記算出手段により算出された吸引時の圧力平均値を用いて、前記記憶手段に記憶された相関関係に基づき、前記圧力発生手段の吐出動作量を補正する補正手段と、
前記補正手段が補正した吐出動作量に基づき、前記圧力発生手段を制御して所定の吐出量を前記分注プローブから吐出させる制御手段と、
を備えることを特徴とする分注装置。
【請求項2】
分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、圧力発生手段により吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブにより検体または試薬を含む液体を吸引し、吐出を行なう分注装置において、
前記分注プローブによる液体吸引時における前記配管内の圧力を測定する圧力測定手段と、
前記圧力測定手段が測定した液体吸引時の圧力積分値を算出する算出手段と、
所定吐出量毎に設定された液体吸引時の圧力積分値と吐出動作量との相関関係を記憶する記憶手段と、
前記算出手段により算出された吸引時の圧力積分値を用いて、前記記憶手段に記憶された相関関係に基づき、前記圧力発生手段の吐出動作量を補正する補正手段と、
前記補正手段が補正した吐出動作量に基づき、前記圧力発生手段を制御して所定の吐出量を前記分注プローブから吐出させる制御手段と、
を備えることを特徴とする分注装置。
【請求項3】
前記圧力発生手段はシリンジポンプであることを特徴とする請求項1または2に記載の分注装置。
【請求項4】
前記分注プローブによる液体吐出は、所定の吐出速度下で行なうことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の分注装置。
【請求項5】
前記検体は、血球検体または全血検体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の分注装置。
【請求項6】
検体と試薬との反応物を光学的な測定に基づいて分析する分析装置であって、
請求項1〜5のいずれか一つに記載の分注装置を使用して検体または試薬を分注することを特徴とする分析装置。
【請求項7】
分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、圧力発生手段により吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブにより検体または試薬を含む液体を吸引し、吐出を行なう分注装置における分注方法であって、
前記分注プローブによる液体吸引時における前記配管内の圧力を測定する圧力測定ステップと、
前記圧力測定ステップにより測定した液体吸引時の圧力平均値を算出する算出ステップと、
記憶手段に記憶された、所定吐出量毎に設定された液体吸引時の圧力平均値と吐出動作量との相関関係に基づき、前記算出ステップで算出された吸引時の圧力平均値を用いて、前記圧力発生手段の吐出動作量を補正する補正ステップと、
前記補正ステップにより補正した吐出動作量に基づき、前記圧力発生手段を制御して所定の吐出量を前記分注プローブから吐出させる吐出ステップと、
を含むことを特徴とする分注方法。
【請求項8】
分注プローブと接続される配管内に充填される押し出し水を介して、圧力発生手段により吸引圧力または吐出圧力を印加することにより、前記分注プローブにより検体または試薬を含む液体を吸引し、吐出を行なう分注装置における分注方法であって、
前記分注プローブによる液体吸引時における前記配管内の圧力を測定する圧力測定ステップと、
前記圧力測定ステップにより測定した液体吸引時の圧力積分値を算出する算出ステップと、
記憶手段に記憶された、所定吐出量毎に設定された液体吸引時の圧力積分値と吐出動作量との相関関係に基づき、前記算出ステップで算出された吸引時の圧力積分値を用いて、前記圧力発生手段の吐出動作量を補正する補正ステップと、
前記補正ステップにより補正した吐出動作量に基づき、前記圧力発生手段を制御して所定の吐出量を前記分注プローブから吐出させる吐出ステップと、
を含むことを特徴とする分注方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−80964(P2011−80964A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−235626(P2009−235626)
【出願日】平成21年10月9日(2009.10.9)
【出願人】(510005889)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (174)
【Fターム(参考)】