説明

分注装置、分析装置および液面検知方法

【課題】静電気の急峻なノイズと液面接触時の信号とを判別して、液体の液面を正しく検知することが可能な分注装置、分析装置ならびに液面検知方法を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる分注装置12は、検体種毎の電圧補正係数および検体を収容する容器の種類に基づく電圧補正係数を記憶する記憶部35と、検体情報および容器情報を取得する情報読取装置と、記憶部35から抽出された検体の電圧補正係数および容器の電圧補正係数に基づき閾値電圧を算出する算出部12uと、分注プローブ12bが受信した信号が閾値電圧を所定期間以上出力した場合に液面検知と判定する判定部12tと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体または試薬の液面を検知後液体の分注を行なう分注装置、該分注装置を使用する分析装置ならびに液面検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、血液や体液等の検体を自動的に分析する装置として、試薬が分注されたキュベットに検体を加え、キュベット内の試薬と検体の間で生じた反応を光学的に検出する分析装置が知られている。このような分析装置においては、検体および試薬の正確な分注処理を行なうために、液体の液面を検知する液面検知装置を使用している(例えば、特許文献1参照)。特許文献1の液面検知装置は、発振器に接続した電極から誘導される信号を受信電極である分注プローブで受信し、この受信した信号を増幅、整流して得られる出力を時定数の異なる複数の時定数回路を介して比較器に接続し、入力信号の差を検知情報としての出力信号として得ている。
【0003】
【特許文献1】特開平06−174531号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の液面検知装置は、発振器に接続した電極から誘導される信号を受信電極で受信するが、分析装置で生ずる静電気放電等に起因したノイズも受信電極が受信する結果、液体の液面を誤検知してしまう場合があった。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、静電容量方式による液面検知機構において、ノイズ発生時においても液体の液面を正しく検知することが可能な分注装置、分析装置ならびに液面検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、この発明にかかる分注装置は、導電性を有し容器に収容された液体を吸引または吐出する分注プローブと、前記容器と一体にまたは前記容器の近傍に配設される電極と、を備え、前記電極に接続される発振器から発振された信号を前記分注プローブで受信しながら前記分注プローブを前記容器内に降下させたときの出力信号を測定して前記液体の液面位置を検知する液面検知機構を備える分注装置であって、分注する液体の電圧補正係数および前記液体を収容する容器の電圧補正係数を記憶する記憶手段と、分注する液体の[種類を含む液体情報および前記液体を収容する容器情報を取得する情報取得手段と、前記情報取得手段が取得した分注する液体の液体情報および容器情報をもとに、前記記憶手段から該液体の電圧補正係数および容器の電圧補正係数を抽出し、該電圧補正係数に基づき液体接触を判定する閾値電圧を算出する算出手段と、前記分注プローブからの出力信号を受信し、前記出力信号が前記算出手段により算出された閾値電圧を所定期間以上出力した場合に液面を検知したと判定する判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記分注プローブから出力される電気信号を、増幅およびA/D変換を含む信号処理を施す信号処理回路を備え、前記判定手段は、該信号処理回路により信号処理された出力信号に基づき液面検知を判定し、前記記憶手段は、前記信号処理回路で処理された電気信号を所定期間記憶することを特徴とする。
【0008】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記記憶手段は、前記容器の種別に応じた初期液面高さ、および、各容器に収容される液体の液面高さを記憶し、前記算出手段は、前記液体の電圧補正係数および容器の電圧補正係数に加えて、前記容器に収容される液面高さに応じた電圧補正係数に基づき閾値電圧を算出することを特徴とする。
【0009】
また、本発明の分析装置は、検体と試薬との反応物を光学的に分析する分析装置であって、上記に記載の分注装置をそれぞれ使用して検体と試薬とを分注することを特徴とする。
【0010】
また、本発明の液面検知方法は、導電性を有し容器に収容された液体を吸引または吐出する分注プローブと、前記容器と一体にまたは前記容器の近傍に配設される電極と、を備え、前記電極に接続される発振器から発振された信号を前記分注プローブで受信しながら前記分注プローブを前記容器内に降下させたときの出力信号を測定して前記液体の液面を検知する液面検知機構による液面検知方法であって、分注する液体の種類を含む液体情報および前記液体を収容する容器情報を取得する情報取得ステップと、前記情報取得ステップが取得した分注する液体の液体情報および容器情報をもとに、記憶手段から該液体の電圧補正係数および容器の電圧補正係数を抽出し、該電圧補正係数に基づき液体接触を判定する閾値電圧を算出する算出ステップと、前記分注プローブからの出力信号を受信し、前記出力信号が前記算出ステップにより算出された閾値電圧を所定期間以上出力した場合に液面を検知したと判定する判定ステップと、を含むことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の液面検知方法は、上記発明において、前記分注プローブからの出力信号を、増幅およびA/D変換を含む信号処理を施す信号処理ステップと、前記信号処理ステップで処理した出力信号を所定期間記憶する記憶ステップと、を含み、前記判定ステップは、該信号処理ステップにより信号処理された出力信号に基づき液面検知を判定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の液面検知方法は、上記発明において、分注終了後、各容器に収容される液体の液面高さを記憶する液面記憶ステップを含み、前記算出ステップは、前記液体の電圧補正係数および容器の電圧補正係数に加え、前記容器に収容される液面高さに応じた電圧補正係数に基づき閾値電圧を算出することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、分注対象となる液体の電圧補正係数および前記液体を収容する容器の電圧補正係数を記憶し、該電圧補正係数に基づき閾値電圧を算出して、判定手段が算出された閾値電圧に基づき液面検知を判定するため、静電気等の急峻なノイズと液体の液面との判別を正確に行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して、この発明の実施の形態として、血液や尿などの液体検体または試薬を分注する分注装置を有した分析装置を例に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付している。
【0015】
図1は、実施の形態1にかかる分析装置の構成を示す模式図である。図1に示すように、実施の形態1にかかる分析装置1は、分析対象である検体および試薬をキュベット21にそれぞれ分注し、分注したキュベット21内で生じる反応を光学的に測定する測定機構2と、測定機構2を含む分析装置1全体の制御を行なうとともに測定機構2における測定結果の分析を行なう制御機構3とを備える。分析装置1は、これらの二つの機構が連携することによって複数の検体の生化学分析を自動的に行なう。なお、キュベット21は、容量が数nL〜数mLと微量な容器であり、測光部18の光源から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する透明素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等の合成樹脂が使用される。
【0016】
まず、測定機構2について説明する。測定機構2は、大別して検体移送部11、検体分注装置12、反応テーブル13、試薬庫14、試薬分注装置16、攪拌部17、測光部18および洗浄部19を備える。
【0017】
検体移送装置11は、血液や尿などの液体検体を収容した複数の検体容器11aを保持し、図中の矢印方向に順次移送する複数の検体ラック11bを備える。検体移送部11上の所定位置に移送された検体容器11a内の検体は、検体分注装置12によって、反応テーブル13上に配列して搬送されるキュベット21に分注される。また、検体移送部11は、検体容器11aに付された情報記憶媒体から情報を読み取る情報読取装置11cを有する。この情報記憶媒体は、符号化された各種の情報を表示し光学的に読み取られるバーコード記号であるほか、所定周波数の電波を介して記憶する試薬情報の送信および記憶する試薬情報の書替えを行なうRFIDタグであってもよい。情報読取装置11cは、情報記憶媒体から検体情報および検体を収容する検体容器11aの種別を読取り、制御部31に出力する。情報読取装置11cは、情報記憶媒体に対して赤外光または可視光を発し、情報記憶媒体からの反射光を処理することによって、情報記憶媒体の情報を読み取る。また、情報読取装置11cは、情報記憶媒体を撮像処理し、撮像処理によって得られた画像情報を解読して、記憶媒体の情報を取得してもよい。また、情報読取装置11cは、所定周波数の電波を介して、記憶媒体の情報の読み取りおよび記憶媒体の情報の書替えを行なってもよい。
【0018】
検体分注装置12は、図2に示すように、ステンレス等の導電性金属材料からなる分注プローブ12b、検体を収容した検体容器11aを設置する電極12x、シリンジポンプ12h、電磁弁12k、ポンプ12m、洗浄液タンク12n、電圧検出回路12p、増幅回路12q、A/D変換器12r、及び分注制御部12oを備えている。
【0019】
分注プローブ12bは、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアーム12aに支持され、プローブ駆動部12dによってアーム12aを昇降または回転することにより、検体を収容する検体容器11a内の検体を分注プローブ12bで吸引して、所定位置のキュベット21に吐出することにより、検体分注を行なう。
【0020】
シリンジポンプ12hは、シリンダ12fとピストン12gとを有し、配管12eによって分注プローブ12bに接続されている。シリンジポンプ12hは、ピストン駆動部12iによって駆動され、ピストン12gがシリンダ12fの内部を鉛直方向に摺動することにより、押し出し液L1を介して分注プローブ12bに検体を吸引し、又は吐出するための圧力を伝達する。
【0021】
電磁弁12kは、配管12jによってシリンジポンプ12hと、配管12lによってポンプ12mを介して洗浄液タンク12nと接続され、分注制御部12oによって切り替えられる電磁弁である。洗浄液タンク12nは、脱気水,イオン交換水或いは蒸留水等の非圧縮性流体からなる押し出し液Lを収容している。
【0022】
電極12xには、分注制御部12oによる制御のもとに作動する発振器12sが発振する所定周波数の交流信号が印加される。発振器12sから発振された交流信号は電極12xを介し分注プローブ12bによって受信され、コンデンサ12vと抵抗12wを備える電圧検出回路12pに出力される。電圧検出回路12pは電圧信号(アナログ)を検出し、増幅回路12qへ出力する。増幅回路12qは、電圧検出回路12pから出力される電圧信号(アナログ)を増幅し、増幅した圧力信号をA/D変換器12rへ出力する。A/D変換器12rは、増幅回路12qから入力される電圧信号(アナログ)をデジタル信号に変換処理後、電圧信号(デジタル)を分注制御部12oに出力する。
【0023】
分注制御部12oは、プローブ駆動部12d、ピストン駆動部12i、電磁弁12k、ポンプ12mおよび発振器12sの作動を制御する制御手段であり、CPU、RAM、ROM等を用いて構成される。分注制御部12oは、判定部12tと、算出部12uとを備える。算出部12uは、図1に示す、情報読取装置11cが検体容器11aに付された情報記憶媒体から取得した検体情報および容器情報により、記憶部35から抽出された該検体の電圧補正係数および容器の電圧補正係数に基づき、液体接触を判定する閾値電圧を算出する。判定部12tは、分注プローブ12bからの出力信号を受信し、前記出力信号が算出部12uにより算出された閾値電圧を所定期間以上出力した場合に液面を検知したと判定する。記憶部35には、検体種別および検体容器種別に電圧補正係数が記憶される。図3および図4に例示するように、記憶部35に、電圧補正係数を検体の種別、検体容器の種別に対応づけて記憶しておく。後述する制御部31は、記憶部35に記憶された図3および図4を参照することによって、分注対象の検体および容器の電圧補正係数を抽出する。図5は、図2の検体分注装置12における分注プローブ12b位置と出力電圧の関係を示す図である。図5に示すように、電圧検出回路12pにより検出された電圧信号は、分注プローブ12bが降下され、検体容器11aに収容される検体に近づくに従い大きくなり、分注プローブ12bが液面に接触したhで到達電圧となる。この到達電圧は、検体の種類、検体容器11aの材質や形状により異なるため、算出部12uは、抽出した検体の電圧補正係数および容器の電圧補正係数に基づき、到達電圧およびその閾値電圧を算出する。
【0024】
図6は、分注プローブ12bを検体容器11a中に降下させたときの時間と出力電圧の関係を示す図である。算出部12uは、抽出した検体の電圧補正係数および容器の電圧補正係数に基づき、到達電圧V1および閾値電圧V1’を算出する。判定部12tは、出力電圧が、算出部12uにより算出された閾値電圧V1’を所定期間(ΔTh)以上出力した場合(t4時)に液面を検知したと判定する。これにより、たとえば、図6に示すような、t1〜t2時に発生した静電気等によるノイズは、所定期間(ΔTh)以上閾値電圧V1’以上出力されないため、判定部12tはt1〜t2時の出力電圧の変化を液面検知と判定せず、液面接触時(t3〜t4)と判別が可能になる。
【0025】
反応テーブル13は、キュベット21への検体や試薬の分注、キュベット21の攪拌、測光、洗浄および汚れ検出用測光を行なうためにキュベット21を所定の位置まで移送する。この反応テーブル13は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、反応テーブル13の中心を通る鉛直線を回転軸として回動自在である。反応テーブル13の上方と下方には、図示しない開閉自在な蓋と恒温槽がそれぞれ設けられている。
【0026】
試薬庫14は、キュベット21内に分注される試薬が保持された試薬容器15を複数収納できる。試薬庫14には、複数の収納室が等間隔で配置されており、各収納室には試薬容器15が着脱自在に収納される。試薬庫14は、制御部31の制御のもと、図示しない駆動機構が駆動することによって、試薬庫14の中心を通る鉛直線を回転軸として時計回りまたは反時計回りに回動自在であり、所望の試薬容器15を試薬分注装置16による試薬吸引位置まで移送する。試薬庫14の上方には、開閉自在な蓋(図示せず)が設けられている。また、試薬庫14は保冷機能を有し、試薬庫14は、内部に試薬容器15が収納され、蓋が閉じられたときに、試薬容器15内に保持された試薬を冷却し、試薬の蒸発や変性を抑制する。
【0027】
試薬容器15の側面部には、試薬容器15に保持された試薬に関する試薬情報が記録された情報記憶媒体が付されている。たとえば、情報記憶媒体は、試薬容器15に保持された試薬が使用される分析項目、試薬の名称、ロット情報等の試薬情報、および試薬容器情報などを記憶する。この情報記憶媒体は、符号化された各種の情報を表示し光学的に読み取られるバーコード記号であるほか、所定周波数の電波を介して記憶する試薬情報の送信および記憶する試薬情報の書替えを行なうRFIDタグであってもよい。
【0028】
試薬庫14の外周部には、この記憶媒体を読み取る情報読取装置14aが設けられている。情報読取装置14aは、情報記憶媒体から試薬情報および試薬を収容する試薬容器115の種別を読取り、制御部31に出力する。情報読取装置14aは、情報記憶媒体に対して赤外光または可視光を発し、情報記憶媒体からの反射光を処理することによって、情報記憶媒体の情報を読み取る。また、情報読取装置14aは、情報記憶媒体を撮像処理し、撮像処理によって得られた画像情報を解読して、記憶媒体の情報を取得してもよい。また、情報読取装置14aは、所定周波数の電波を介して、記憶媒体の情報の読み取りおよび記憶媒体の情報の書替えを行なってもよい。情報読取装置14aは、読み取った記憶媒体の情報を、この記憶媒体が付された試薬容器15の試薬庫14内のポジションに対応づけて制御部31に出力する。
【0029】
試薬分注装置16は、図7に示すように、ステンレス等の導電性金属材料からなる分注プローブ16b、試薬を収容した試薬容器15を設置する電極板16、シリンジポンプ16h、電磁弁16k、ポンプ16m、洗浄液タンク16n、電圧検出回路16p、増幅回路16q、A/D変換器16r、及び分注制御部16oを備え、上述した検体分注装置12と同様にして、試薬容器15中の試薬の液面を検知し、試薬を分注する。
【0030】
分注制御部16oは、判定部16tと、算出部16uとを備える。算出部16uは、図1に示す、情報読取装置14aが試薬容器15に付された情報記憶媒体から取得した試薬情報および容器情報により、記憶部35から該試薬の電圧補正係数および容器の電圧補正係数を抽出し、該電圧補正係数に基づき液体接触を判定する閾値電圧を算出する。判定部16tは、分注プローブ16bからの出力信号を受信し、前記出力信号が、算出部16uにより算出された閾値電圧を所定期間以上出力した場合に液面を検知したと判定する。記憶部35には、試薬種別の電圧補正係数および試薬容器種別の電圧補正係数が記憶される。図8および図9に例示するように、記憶部35に、電圧補正係数を試薬の種別、試薬容器の種別に対応づけて記憶しておく。後述する制御部31は、記憶部35に記憶された図8および図9を参照することによって、分注対象の試薬の電圧補正係数および容器の電圧補正係数を抽出し、算出部16uは、該電圧補正係数に基づき閾値電圧を算出する。
【0031】
攪拌部17は、キュベット21に分注された検体と試薬との攪拌を行い、反応を促進させる。測光部18は、たとえば、所定の測光位置に搬送されたキュベット21に光源から分析光(340〜800nm)を照射し、キュベット21内の液体を透過した光を分光し、PDAなどの受光素子による各波長光の強度測定を行なうことによって、分析対象である検体と試薬との反応液に特有の波長の吸光度を測定する。
【0032】
洗浄部19は、洗浄ノズルによって、測光部18による測定が終了したキュベット21内の混合液を吸引して排出するとともに、洗剤や洗浄水等の洗浄液を注入および吸引することで分析処理が終了したキュベット21を洗浄する。
【0033】
つぎに、制御機構3について説明する。制御機構3は、制御部31、入力部32、分析部33、記憶部35および出力部36を備える。測定機構2および制御機構3が備えるこれらの各部は、制御部31に電気的に接続されている。
【0034】
制御部31は、CPU等を用いて構成され、分析装置1の各部の処理および動作を制御する。制御部31は、これらの各構成部位に入出力される情報について所定の入出力制御を行い、かつ、この情報に対して所定の情報処理を行なう。
【0035】
入力部32は、キーボード、マウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。分析部33は、測光部18によって測定された吸光度に基づいて検体の成分分析等を行なう。
【0036】
記憶部35は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部35は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。記憶部35は、検体分注装置12または試薬分注装置16で分注する検体種別の電圧補正係数、試薬種別の電圧補正係数、および検体または試薬を収容する各容器の電圧補正係数を記憶する。また、記憶部35は、増幅回路12q、16qで増幅され、A/D変換器12r、16rでアナロク/デジタル変換され、分注制御部12o、16oおよび制御部31を介して出力された電圧信号を所定期間記憶する。出力信号を記憶部35に所定期間記憶保存することにより、液面検知機構における不具合発生時に、記憶された出力信号に基づき不具合の発生要因を解析できるので、不具合の発生要因の究明が容易となる。
【0037】
出力部36は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカー等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力する。また、出力部36は、図示しない通信ネットワークを介して外部装置に諸情報を出力する。
【0038】
以上のように構成された分析装置1では、列をなして順次搬送される複数のキュベット21に対して、検体分注装置12が検体容器11a中の検体を分注し、試薬分注装置16が試薬容器15中の試薬を分注した後、測光部18が検体と試薬とを反応させた状態の検体の分光強度測定を行い、この測定結果を分析部33が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行われる。また、洗浄部19が測光部18による測定が終了した後に搬送されるキュベット21を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。
【0039】
つぎに、検体分注装置12における検体分注処理について説明する。図10は、図2に示す検体分注装置12における検体分注処理の処理手順を示すフローチャートである。図10に示すように、まず、情報読取装置11cは、分注する検体の検体容器11aに付された情報記憶媒体から検体情報および容器情報を読み取る(ステップS100)。続いて、制御部31は、情報読取装置11cが読み取った検体情報および容器情報に基づき、記憶部35から該検体の電圧補正係数および容器の電圧補正係数を抽出し(ステップS101)、抽出した電圧補正係数に基づき、算出部12uは液体接触時の閾値電圧を算出する(ステップS102)。その後、プローブ駆動部12dにより分注プローブ12bを検体容器11a内に降下させる(ステップS103)。分注プローブ12bの降下とともに、分注制御部12oによる制御のもと、発振器12sは所定周波数の交流信号を発振し、分注プローブ12bが受信した信号は電圧検出回路12pで電圧信号(アナログ)として検出取得される(ステップS104)。取得した電圧信号(アナログ)は増幅回路12qで増幅後、A/D変換器12rでデジタル信号に変換される(ステップS105)。なお、変換された電圧信号(デジタル)は、記憶部35に所定期間記憶される。
【0040】
その後、判定部12tは、電圧信号(デジタル)と算出部12uが算出した閾値電圧とを比較して、出力電圧が閾値電圧以上であるか否かを判定する(ステップS106)。出力電圧が閾値電圧以上である場合(ステップS106:Yes)、出力電圧が閾値電圧を所定期間以上出力したか否かを確認する(ステップS107)。出力電圧が閾値電圧以上でない場合(ステップS106:No)、および出力電圧が閾値電圧を所定期間以上出力しない場合(ステップS107:No)は、引き続き分注プローブ12bを降下させ、出力信号を取得して判定を続行する(ステップS103〜ステップS106)。
【0041】
出力電圧が閾値電圧以上で所定期間以上出力された場合(ステップS107:Yes)、判定部12tは、分注プローブ12bが検体液面に接触、すなわち液面を検知したと判定し、分注制御部12oに液面検知信号を出力する(ステップS108)。液面検知信号を受信した分注制御部12oは、プローブ駆動部12dによる分注プローブ12bの降下を停止するよう制御し(ステップS109)、ピストン駆動部12iを介してシリンジポンプ12hを駆動して分注プローブ12bにより検体を吸引後(ステップS110)、キュベット21に検体を吐出し(ステップS111)、図示しない洗浄槽で分注プローブ12bを洗浄する(ステップS112)。その後、制御部31は、すべての検体の分注が終了したか確認し(ステップS113)、終了している場合は(ステップS113:Yes)、検体分注処理は終了し、終了していない場合は(ステップS113:No)、ステップS100から繰り返す。
【0042】
実施の形態1にかかる検体分注装置12において、検体の電圧補正係数および容器の電圧補正係数に基づき、算出部12uが閾値電圧を算出し、判定部12tが算出された閾値電圧に基づき液面か否かの判定を行うことにより、検体分注時に発生する静電気等による急峻なノイズによる液面誤検知を防止することが可能となる。また、試薬分注装置16においても、上述した図10に示すフローチャートと同様にして試薬分注処理を行なうことにより、試薬分注時に発生する静電気等による急峻なノイズによる液面誤検知を、同様に防止することが可能となる。
【0043】
(実施の形態2)
実施の形態2は、閾値電圧の算出に際し、検体の電圧補正係数または試薬の電圧補正係数、および容器種に基づく電圧補正係数に加えて、検体容器または試薬容器に収容される検体液面高さまたは試薬液面高さに応じた電圧補正係数に基づき閾値電圧を算出して液面検知する。
【0044】
図11は、図2の検体分注装置の分注プローブ12b位置と出力電圧の関係を示す図である。図11に示すように、同種の検体(血漿)が同種の検体容器(A)に収容されている場合であっても、検体液量の多少により検体接触時の到達電圧が異なることが確認されている。したがって、実施の形態2では、算出部12u、16uは、検体の電圧補正係数または試薬の補正係数、および容器種に基づく電圧補正係数に加えて、容器内の液面高さに応じた電圧補正係数に基づき閾値電圧を算出し、判定部12t、16tは該閾値電圧に基づき液面を判定する。
【0045】
まず、実施の形態2の検体分注装置12における検体分注処理について説明する。図12は、実施の形態2における検体分注処理の処理手順を示すフローチャートである。図12に示すように、まず、情報読取装置11cは、分注する検体の検体容器11aに付された情報記憶媒体から検体情報および容器情報を読み取る(ステップS200)。続いて、制御部31は、情報読取装置11cが読み取った検体情報および容器情報に基づき、記憶部35から分注する検体の分析項目情報とともに、該検体の電圧補正係数および容器の電圧補正係数を抽出する(ステップS201)。その後、制御部31は、分注する検体について抽出した分析項目情報をもとに、分注する検体について最初の分析項目用の分注か否かを確認する(ステップS202)。最初の分析項目用の分注である場合(ステップS202:Yes)、該検体が収容される検体容器種別に基づく最大液面高さHを記憶部35から抽出し、電圧補正係数を取得する(ステップS203)。記憶部35には、実施の形態1で説明した図3および図4で例示する電圧補正係数のほか、検体容器種別毎の最大液面高さが記憶されている。検体容器は種々の形状を有し(図13参照)、そのサイズにより検体を収容する最大液面高さ(H〜H)が特定される。記憶部35に、検体容器種別に応じた最大液面高さ(図14参照)と、検体容器毎に液面高さと電圧補正係数の関数(図15参照)を記憶させておき、ステップS203では分注する検体が収容される検体容器の最大液面高さに基づく電圧補正係数を取得する。
【0046】
一方、分注する検体について最初の分析項目用の分注でない場合(ステップS202:No)、制御部31は、後述するステップS214で算出された検体容器11aに収容される検体の液面高さを取得する(ステップS204)。その後、ステップS203またはステップS204で取得した液面高さに応じた電圧補正係数と、ステップS201で取得した検体の電圧補正係数および容器の電圧補正係数に基づき、算出部12uは閾値電圧を算出する(ステップS205)。その後、分注制御部12oの制御の元、プローブ駆動部12dにより分注プローブ12bを検体容器11a内に降下させる(ステップS206)。分注プローブ12bの降下とともに、分注制御部12oの制御の元、発振器12sは所定周波数の交流信号を発振し、分注プローブ12bが受信した信号は電圧検出回路12pで電圧信号(アナログ)として検出取得される(ステップS207)。取得した電圧信号(アナログ)は増幅回路12qで増幅後、A/D変換器12rでデジタル信号に変換される(ステップS208)。なお、変換された電圧信号(デジタル)は、記憶部35に所定期間記憶される。
【0047】
その後、判定部12tは、電圧信号(デジタル)と算出部12uが算出した閾値電圧とを比較して、出力電圧が閾値電圧以上であるか否かを判定する(ステップS209)。出力電圧が閾値電圧以上である場合(ステップS209:Yes)、出力電圧が閾値電圧を所定期間以上出力したか否かを確認する(ステップS210)。出力電圧が閾値電圧以上でない場合(ステップS209:No)、および出力電圧が閾値電圧を所定期間以上出力しない場合(ステップS210:No)は、引き続き分注プローブ12bを降下させ、出力信号を取得して判定を続行する(ステップS206〜ステップS209)。
【0048】
出力電圧が閾値電圧を所定期間以上出力した場合(ステップS210:Yes)、判定部12tは、分注プローブ12bが検体液面に接触、すなわち液面検知と判定し、分注制御部12oに液面検知信号を出力する(ステップS211)。液面検知信号を受信した分注制御部12oは、プローブ駆動部12dによる分注プローブ12bの降下を停止するよう制御し(ステップS212)、ピストン駆動部12iを介してシリンジポンプ12hを駆動して分注プローブ12bにより検体を吸引する(ステップS213)。分注終了後、算出部12uは、ステップS211で液面検知と判定した液面高さと、分注した検体量に基づき、検体吸引後における液面高さを演算する(ステップS214)。演算された液面高さは、該検体のすべての分析項目の分注が終了するまで、一時的に記憶部35に記憶される(ステップS215)。その後、吸引した検体をキュベット21に吐出し(ステップS216)、図示しない洗浄槽で分注プローブ12bを洗浄する(ステップS217)。制御部31は、検体分注が同一検体の最後の分注か否かを確認し(ステップS218)、同一検体の最後の分注でない場合には(ステップS218:No)、検体分注処理がステップS204から繰り返される。一方、最後の分注である場合には(ステップS218:Yes)、制御部31は、すべての検体の分注が終了したかを確認し(ステップS219)、すべての検体の分注が終了している場合は(ステップS219:Yes)、検体分注処理は終了し、終了していない場合は(ステップS219:No)、ステップS200から検体分注処理を繰り返す。
【0049】
つぎに、実施の形態2の試薬分注装置16における試薬分注処理について説明する。図16は、実施の形態2における試薬分注処理の処理手順を示すフローチャートである。図16に示すように、まず、情報読取装置14aは、分注する試薬の試薬庫14内のポジションと、該試薬を収容する試薬容器15に付された情報記憶媒体から試薬情報および容器情報を読み取る(ステップS300)。続いて、制御部31は、情報読取装置14aが読み取った、試薬ポジション、試薬情報および容器情報に基づき、記憶部35から試薬の電圧補正係数および容器の電圧補正係数と、試薬の液面高さに応じた電圧補正係数を取得する(ステップS301)。記憶部35には、実施の形態1で説明した図8および図9で例示する電圧補正係数のほか、試薬液面高さが記憶されている。図17に例示するように、試薬庫14内のポジション毎に、保持する試薬種別、該試薬の試薬容器種別、該試薬容器の初期液面高さが記憶され、該試薬容器から試薬分注が行なわれた後は、後述するステップS311で算出する試薬液面高さも保存する。また、記憶部35には、試薬容器毎に液面高さと電圧補正係数の関数(図18参照)も記憶され、制御部31は、情報読取装置14aが読み取った試薬情報および容器情報を元に、分注する試薬の液面高さに基づく電圧補正係数を取得する。
【0050】
取得した試薬の電圧補正係数および容器の電圧補正係数と、試薬液面高さに基づく電圧補正係数とをもとに、算出部16uは閾値電圧を算出する(ステップS302)。その後、分注制御部16oの制御の元、プローブ駆動部16dにより分注プローブ16bを試薬容器15内に降下させる(ステップS303)。分注プローブ16bの降下とともに、分注制御部16oの制御の元、発振器16sは所定周波数の交流信号を発振し、分注プローブ16bが受信した信号は電圧検出回路16pで電圧信号(アナログ)として検出取得される(ステップS304)。取得した電圧信号(アナログ)は増幅回路16qで増幅後、A/D変換器16rでデジタル信号に変換される(ステップS305)。なお、変換された電圧信号(デジタル)は、記憶部35に所定期間記憶される。
【0051】
その後、判定部16tは、電圧信号(デジタル)と算出部16uが算出した閾値電圧とを比較して、出力電圧が閾値電圧以上であるか否かを判定する(ステップS306)。出力電圧が閾値電圧以上である場合(ステップS306:Yes)、出力電圧が閾値電圧を所定期間以上出力したか否かを確認する(ステップS307)。出力電圧が閾値電圧以上でない場合(ステップS306:No)、および出力電圧が閾値電圧を所定期間以上出力しない場合(ステップS307:No)は、引き続き分注プローブ16bを降下させ、出力信号を取得して判定を続行する(ステップS303〜ステップS306)。
【0052】
出力電圧が閾値電圧以上で所定期間以上出力された場合(ステップS307:Yes)、判定部16tは、分注プローブ16bが検体液面に接触、すなわち液面を検知したと判定し、分注制御部16oに液面検知信号を出力する(ステップS308)。液面検知信号を受信した分注制御部16oは、プローブ駆動部16dによる分注プローブ16bの降下を停止するよう制御し(ステップS309)、ピストン駆動部16iを介してシリンジポンプ16hを駆動して分注プローブ16bにより試薬を吸引する(ステップS310)。分注終了後、算出部16uは、ステップS308で液面検知と判定した液面高さと、分注した試薬量に基づき、試薬吸引後における液面高さを演算する(ステップS311)。演算された液面高さは記憶部35に記憶される(ステップS312)。その後、吸引した試薬をキュベット21に吐出し(ステップS313)、図示しない洗浄槽で分注プローブ16bを洗浄する(ステップS314)。制御部31は、すべての分注が終了したか否かを確認し(ステップS315)、すべての分注が終了している場合は(ステップS315:Yes)、試薬分注処理は終了し、終了していない場合は(ステップS315:No)、ステップS300から試薬分注処理を繰り返す。
【0053】
実施の形態2にかかる検体分注装置12および試薬分注装置16において、各検体の電圧補正係数または各試薬の電圧補正係数および容器種に基づく電圧補正係数とともに、検体液面高さまたは試薬液面高さに応じた電圧補正係数に基づき、算出部12uまたは16uが閾値電圧を算出し、判定部12tまたは16tが算出された閾値電圧に基づき液面か否かの判定を行うことにより、検体分注時に発生する静電気等による急峻なノイズによる液面誤検知を、より精密に防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】実施の形態1にかかる分析装置の構成を示す模式図である。
【図2】実施の形態1の検体分注装置の要部を説明する図である。
【図3】実施の形態1の記憶部に記憶される情報の一例を説明する図である。
【図4】実施の形態1の記憶部に記憶される情報の一例を説明する図である。
【図5】図2の検体分注装置での分注プローブ位置と出力電圧の関係を示す図である。
【図6】図2の検体分注装置での時間と出力電圧の関係を示す図である。
【図7】実施の形態1の試薬分注装置の要部を説明する図である。
【図8】実施の形態1の記憶部に記憶される情報の一例を説明する図である。
【図9】実施の形態1の記憶部に記憶される情報の一例を説明する図である。
【図10】実施の形態1における検体分注処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図11】図2の検体分注装置での分注プローブ位置と出力電圧の関係を示す図である。
【図12】実施の形態2における検体分注処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図13】検体容器種別とこれに収容される最大検体量を説明する図である。
【図14】実施の形態2の記憶部に記憶される情報の一例を説明する図である。
【図15】実施の形態2の記憶部に記憶される情報の一例を説明する図である。
【図16】実施の形態2における試薬分注処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】実施の形態2の記憶部に記憶される情報の一例を説明する図である。
【図18】実施の形態2の記憶部に記憶される情報の一例を説明する図である。
【符号の説明】
【0055】
1 分析装置
2 測定機構
3 制御機構
11 検体移送部
11a 検体容器
11b 検体ラック
11c、14a 情報読取装置
12 検体分注装置
12a,16a アーム
12b、16b 分注プローブ
12c、16c 支柱
12d、16d プローブ駆動部
12e、12j、12l、16e、16j、16l 配管
12h、16h シリンジポンプ
12i、16i ピストン駆動部
12k、16k 電磁弁
12m、16m ポンプ
12n、16n 洗浄液タンク
12o、16o 分注制御部
12p、16p 電圧検出回路
12q、16q 増幅回路
12r、16r A/D変換器
12t、16t 判定部
12u,16u 算出部
12s、16s 発振器
12x、16x 電極
12z、16z 液面検知機構
13 反応テーブル
14 試薬庫
15 試薬容器
16 試薬分注装置
17 攪拌部
18 測光部
19 洗浄部
21 キュベット
31 制御部
32 入力部
33 分析部
35 記憶部
36 出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性を有し容器に収容された液体を吸引または吐出する分注プローブと、前記容器と一体にまたは前記容器の近傍に配設される電極と、を備え、前記電極に接続される発振器から発振された信号を前記分注プローブで受信しながら前記分注プローブを前記容器内に降下させたときの出力信号を測定して前記液体の液面位置を検知する液面検知機構を備える分注装置であって、
分注する液体の電圧補正係数および前記液体を収容する容器の電圧補正係数を記憶する記憶手段と、
分注する液体の種類を含む液体情報および前記液体を収容する容器情報を取得する情報取得手段と、
前記情報取得手段が取得した分注する液体の液体情報および容器情報をもとに、前記記憶手段から該液体の電圧補正係数および容器の電圧補正係数を抽出し、該電圧補正係数に基づき液体接触を判定する閾値電圧を算出する算出手段と、
前記分注プローブからの出力信号を受信し、前記出力信号が前記算出手段により算出された閾値電圧を所定期間以上出力した場合に液面を検知したと判定する判定手段と、
を備えることを特徴とする分注装置。
【請求項2】
前記分注プローブから出力される出力信号を、増幅およびA/D変換を含む信号処理を施す信号処理回路を備え、前記判定手段は、該信号処理回路により信号処理された出力信号に基づき液面検知を判定し、
前記記憶手段は、前記信号処理回路で処理された電気信号を所定期間記憶することを特徴とする請求項1に記載の分注装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、前記容器の種別に応じた初期液面高さ、および、各容器に収容される液体の液面高さを記憶し、
前記算出手段は、前記液体の電圧補正係数および前記容器の電圧補正係数に加えて、前記容器に収容される液面高さに応じた電圧補正係数に基づき閾値電圧を算出することを特徴とする請求項1または2に記載の分注装置。
【請求項4】
検体と試薬との反応物を光学的に分析する分析装置において、
請求項1〜3のいずれか一つに記載の分注装置をそれぞれ使用して検体と試薬とを分注することを特徴とする分析装置。
【請求項5】
導電性を有し容器に収容された液体を吸引または吐出する分注プローブと、前記容器と一体にまたは前記容器の近傍に配設される電極と、を備え、前記電極に接続される発振器から発振された信号を前記分注プローブで受信しながら前記分注プローブを前記容器内に降下させたときの出力信号を測定して前記液体の液面を検知する液面検知機構による液面検知方法であって、
分注する液体の種類を含む液体情報および前記液体を収容する容器情報を取得する情報取得ステップと、
前記情報取得ステップが取得した分注する液体の液体情報および容器情報をもとに、記憶手段から該液体の電圧補正係数および容器の電圧補正係数を抽出し、該電圧補正係数に基づき液体接触を判定する閾値電圧を算出する算出ステップと、
前記分注プローブからの出力信号を受信し、前記出力信号が前記算出ステップにより算出された閾値電圧を所定期間以上出力した場合に液面を検知したと判定する判定ステップと、
を含むことを特徴とする液面検知方法。
【請求項6】
前記分注プローブからの出力信号を、増幅およびA/D変換を含む信号処理を施す信号処理ステップと、
前記信号処理ステップで処理した出力信号を所定期間記憶する記憶ステップと、
を含み、前記判定ステップは該信号処理ステップにより信号処理された出力信号に基づき液面検知を判定することを特徴とする請求項5に記載の液面検知方法。
【請求項7】
分注終了後、各容器に収容される前記液体の液面高さを記憶する液面記憶ステップを含み、
前記算出ステップは、前記液体の電圧補正係数および前記容器の電圧補正係数に加えて、前記容器に収容される液面高さに応じた電圧補正係数に基づき閾値電圧を算出することを特徴とする請求項5または6に記載の液面検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−37236(P2012−37236A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−70938(P2009−70938)
【出願日】平成21年3月23日(2009.3.23)
【出願人】(510005889)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (174)
【Fターム(参考)】