説明

分注装置、自動分析装置、および液面検知方法

【課題】液面誤検知を防止して信頼性の高い分析データを取得しうるとともに、迅速な液面検知を可能とする分注装置、自動分析装置、および液面検知方法を提供する。
【解決手段】試薬容器2aに収容された試薬を分注するプローブ6bと試薬容器2aとの間における静電容量の変化を検知し、検知した信号に基づいて前記試薬の液面にプローブ6b下端が接触したか否かを判定する液面検知部6pを備える第1試薬分注装置6は、複数の試薬容器2aに収容される液体の液面高を含む液面情報を、試薬容器2a毎に記憶する液面情報記憶部6rと、前記液面情報に基づき液面検知部6pから送信される信号を無効とする無効時間を算出する算出部6sと、前記無効時間内は液面検知部6pからの液面検知信号を無効とし、前記無効時間が経過した後に受信した液面検知信号に基づき液面を検知するよう送信制御する液面検知信号制御部6tと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液面検知手段により分注する液体の液面を検知した後、液体を分注する分注装置、および前記分注装置を備える自動分析装置、ならびに液面検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、検体または試薬分注の際のキャリーオーバーやコンタミネーションを防止するために、検体または試薬液面を検知した後、所定量プローブを挿入して分注を行なっている。液面検知の方式として、静電容量方式や、プローブが接続された配管内の圧力検出方式、光学的な方式によるものなど種々の方式が提案されているが、これらの方式のうち、静電容量による液面検知方法では、周辺機器からの突発的なノイズや、検体や試薬を収容する容器の帯電による該容器とプローブ間での放電により、静電容量方式による液面検知において液面誤検知が発生する場合があった。
【0003】
この液面誤検知を防止するものとして、プローブの容器内への降下速度を高速から低速に切り替え制御することにより、ノイズ発生時間の許容値を長くして、ノイズによる液面誤検知を防止する自動分析装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、静電容量値に基づき液面検知してプロープ降下を停止した後、所定期間経過後に検出した静電容量値が、液面検知によるものか放電によるものかを再判定し、放電によると判断した場合は、再度プローブを降下させて液面検知を行なう分注装置が開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−171470号公報
【特許文献2】特開2008−70264号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のものでは、液面検知の際、分注プローブの降下速度を低下させるため、液面検知に要する時間が長くなり、分析処理能力の低下を招くおそれがある。
【0007】
また、特許文献2に記載のものは、液面検知後プローブを一時停止させ、その後所定時間経過後に再度液面検知か誤検知かを判定しているため、液面検知に要する時間が長くなり、分析処理能力の低下を招くおそれがある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、静電容量方式の液面検知における液面誤検知を防止して信頼性の高い分析データを取得しうるとともに、迅速な液面検知を可能とする分注装置、自動分析装置、および液面検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の分注装置は、容器に収容された液体を分注するプローブと前記容器との間における静電容量の変化を検知し、検知した信号に基づいて前記液体の液面に前記プローブ下端が接触したか否かを判定する液面検知手段を備える分注装置であって、複数の前記容器に収容される液体の液面高を含む液面情報を、容器毎に記憶する液面情報記憶手段と、前記液面情報記憶手段が容器毎に記憶する液面情報に基づき、前記液面検知手段から送信される信号を無効とする無効時間を算出する算出手段と、前記算出手段が算出した無効時間内は前記液面検知手段からの液面検知信号を無効とし、前記無効時間が経過した後に受信した液面検知信号に基づき液面を検知するよう送信制御する液面検知信号制御手段と、を備えることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記液面情報記憶手段は、前回分注時におけるプローブ駆動手段によるプローブの下降時間を前記容器に収容される液体の液面情報として記憶し、前記算出手段は、前回分注時のプローブ下降時間に基づき無効時間を算出することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記液面情報記憶手段は、前回分注時の無効時間を前記容器に収容される液体の液面情報として記憶し、前記算出手段は、前回分注時の無効時間に、前回分注による液面低下によりプローブ下降に要する時間を加算して無効時間を算出することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記液面情報記憶手段は、前回分注時に前記液面検知手段により検知した液面高を前記容器に収容される液体の液面情報として記憶し、前記算出手段は、前回分注時に検知した液面高に基づき無効時間を算出することを特徴とする。
【0013】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記液面情報記憶手段は、前記容器に収容される液体の初期液面高と分注回数を前記容器に収容される液体の液面情報として記憶し、前記算出手段は、前記容器の初期液面高と分注回数から算出される液面高に基づき無効時間を算出することを特徴とする。
【0014】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、前記算出手段は、プローブ駆動手段の停止精度および前記容器の搬送に伴う液揺れを考慮した補正量を使用して前記無効時間を算出することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の分注装置は、上記発明において、試薬を分注する試薬分注装置であることを特徴とする。
【0016】
また、本発明の自動分析装置は、検体と試薬との反応物を光学的に分析する自動分析装置であって、上記のいずれか一つに記載の分注装置を備えることを特徴とする。
【0017】
また、本発明の液面検知方法は、容器に収容された液体を分注するプローブと前記容器との間における静電容量の変化を検知し、検知した信号に基づいて前記液体の液面に前記プローブ下端が接触したか否かを判定する液面検知方法であって、液面情報記憶手段に記憶された前記容器に収容される液体の液面高を含む液面情報を抽出する抽出ステップと、前記抽出ステップにより抽出した液面情報に基づき、液面検知信号を無効とする無効時間を算出する算出ステップと、前記算出ステップが算出した無効時間内は前記液面検知信号を無効とし、前記無効時間が経過した後に受信した液面検知信号に基づき液面を検知するよう送信制御する液面検知信号制御ステップと、を含むことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の液面検知方法は、上記発明において、前記抽出ステップは、前記液面情報記憶手段に記憶された前回分注時におけるプローブ駆動手段によるプローブの下降時間を抽出し、前記算出ステップは、前記抽出ステップで抽出した前回分注時のプローブ下降時間に基づき無効時間を算出することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の液面検知方法は、上記発明において、前記抽出ステップは、前記液面情報記憶手段に記憶された前回分注時の無効時間を抽出し、前記算出ステップは、前記抽出ステップで抽出した前回分注時の無効時間に、前回分注による液面低下によりプローブ下降に要する時間を加算して無効時間を算出することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の液面検知方法は、上記発明において、前記抽出ステップは、前記液面情報記憶手段に記憶された前回分注時に検知した液面高を抽出し、前記算出ステップは、前記抽出ステップで抽出した前回分注時に検知した液面高に基づき無効時間を算出することを特徴とする。
【0021】
また、本発明の液面検知方法は、上記発明において、前記抽出ステップは、前記液面情報記憶手段に記憶された前記容器に収容される液体の初期液面高と分注回数を抽出し、前記算出ステップは、前記抽出ステップで抽出した前記容器の初期液面高と分注回数から算出される液面高に基づき無効時間を算出することを特徴とする。
【0022】
また、本発明の液面検知方法は、上記発明において、前記算出ステップは、プローブ駆動手段の停止精度および前記容器の搬送に伴う液揺れを考慮した補正量を使用して前記無効時間を算出することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の液面検知方法は、上記発明において、試薬を分注する際に使用されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明は、容器毎にプローブ下降開始から液面検知するまでのおよその液面検知所要時間に基づき、該液面検知所要時間からプローブ駆動手段の停止精度および前記容器の搬送に伴う液揺れを考慮した液面検知の無効時間を算出して、該無効時間内は液面検知信号を無効として液面検知信号の送信を制限することにより、ノイズによる液面誤検知の発生頻度を大幅に低減して信頼性の高い分析データを取得しうるとともに、迅速な液面検知を可能にするという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の実施の形態にかかる第1試薬分注装置を備える自動分析装置の概略構成図である。
【図2】図2は、図1に示す第1試薬分注装置の概略構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、図2に示す静電容量式の液面検知部の概略構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、試薬容器に収容される試薬の液面高と吸引回数の関係を表す図である。
【図5】図5は、試薬容器内へのプローブの下降時間と試薬の吸引回数の関係を表す図である。
【図6】図6は、試薬分注装置での液面検知の際の無効時間を説明する図である。
【図7】図7は、プローブ駆動部の駆動信号と時間の関係を表す図である(n回目分注)。
【図8】図8は、プローブ駆動部の駆動信号と時間の関係を表す図である(n+1回目分注)。
【図9】図9は、実施の形態にかかる試薬分注動作のフローチャートである。
【図10】図10は、液面検知処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる分注装置、自動分析装置および液面検知方法の好適な実施の形態を詳細に説明する。なお、本発明は、これらの実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0027】
図1は、本発明の実施の形態にかかる分注装置を備える自動分析装置の概略構成図である。
【0028】
自動分析装置1は、血球成分を含む血液や尿等の検体を自動分析する装置であり、図1に示すように、第1および第2試薬テーブル2、3、反応テーブル4、第1および第2試薬分注装置6、7、検体容器移送機構8、ラック9、分析光学系11、洗浄機構12、第1および第2攪拌装置13、14、制御部15、入力部16、表示部17、分析部18、記憶部19および検体分注装置20を備えている。
【0029】
第1試薬テーブル2は、図1に示すように、第1試薬の試薬容器2aが周方向に複数配置され、駆動手段により回転されて試薬容器2aを周方向に搬送する。複数の試薬容器2aは、それぞれ検査項目に応じた試薬が満たされ、外面には収容した試薬の種類、ロット及び有効期限等の情報を記録した情報記録媒体(図示せず)が付加されている。ここで、第1試薬テーブル2の外周には、試薬容器2aに付加した情報記録媒体に記録された試薬情報を読み取り、制御部15へ出力する読取装置10aが設置されている。
【0030】
第1試薬分注装置6は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアーム6aを備える。このアーム6aの先端部には、検体の吸引および吐出を行なうプローブ6bが取り付けられている。第1試薬分注装置6は、シリンジポンプなどの吸排機構を備える。第1試薬分注装置6は、上述した第1試薬テーブル2上の所定位置に移送された試薬容器2aの中からプローブ6bによって第1試薬を吸引し、アーム6aを図中時計回りに旋回させ、反応容器5に第1試薬を吐出して分注を行なう。
【0031】
第2試薬テーブル3は、図1に示すように、第2試薬の試薬容器3aが周方向に複数配置され、駆動手段により回転されて試薬容器3aを周方向に搬送する。複数の試薬容器3aは、それぞれ検査項目に応じた試薬が満たされ、外面には収容した試薬の種類、ロット及び有効期限等の情報を記録した情報記録媒体(図示せず)が付加されている。ここで、第2試薬テーブル3の外周には、試薬容器3aに付加した情報記録媒体に記録された試薬情報を読み取り、制御部15へ出力する読取装置10bが設置されている。
【0032】
第2試薬分注装置7は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアーム7aを備える。このアーム7aの先端部には、検体の吸引および吐出を行なうプローブ7bが取り付けられている。第2試薬分注装置7は、シリンジポンプなどの吸排機構を備える。第2試薬分注装置7は、上述した第2試薬テーブル3上の所定位置に移送された試薬容器3aの中からプローブ7bによって第2試薬を吸引し、アーム7aを図中反時計回りに旋回させ、反応容器5に第2試薬を吐出して分注を行なう。
【0033】
反応テーブル4は、図1に示すように、複数の反応容器5が周方向に沿って配列されており、第1および第2試薬テーブル2、3を駆動する駆動手段とは異なる駆動手段によって矢印で示す方向に回転されて反応容器5を周方向に移動させる。反応テーブル4は、光源11aと分光部11bとの間に配置され、反応容器5を保持する保持部4aと光源11aが出射した光束を分光部11bへ導く円形の開口からなる光路4bとを有している。保持部4aは、反応テーブル4の外周に周方向に沿って所定間隔で配置され、保持部4aの内周側に半径方向に延びる光路4bが形成されている。
【0034】
反応容器5は、分析光学系11から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する光学的に透明な素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス、環状オレフィンやポリスチレン等によって四角筒状に成形されたキュベットと呼ばれる容器である。反応容器5は、近傍に設けた第1および第2試薬分注装置6、7によって第1および第2試薬テーブル2、3の試薬容器2a、3aから試薬が分注される。ここで、第1および第2試薬分注装置6、7は、それぞれ水平面内を回動すると共に、上下方向に昇降されるアーム6a、7aに試薬を分注するプローブ6b、7bが設けられ、洗浄水によってプローブ6b、7bを洗浄する洗浄槽(図示せず)を有している。
【0035】
検体容器移送機構8は、図1に示すように、配列された複数のラック9を矢印方向に沿って1つずつ歩進させながら移送する。ラック9は、検体を収容した複数の検体容器9aを保持している。ここで、検体容器9aは、収容した検体の情報を記録したバーコード等が貼付され、検体容器移送機構8によって移送されるラック9の歩進が停止するごとに、検体分注装置20によって検体が各反応容器5へ分注される。血糖やヘモグロビンA1cを分析項目とする血液検体は、予め検体容器9aに収容された状態で遠心分離が行なわれ、血漿層と血球層に分離された血液サンプルから血漿サンプルと血球サンプルが分析項目に応じて個別に分注される。ここで、ラックの外周には、検体容器9aに貼付された情報記録媒体(図示せず)に記録された、検体情報や検体容器9aの容器情報を読み取り、制御部15へ出力する読取装置10cが設置されている。
【0036】
検体分注装置20は、鉛直方向への昇降および自身の基端部を通過する鉛直線を中心軸とする回転を自在に行なうアーム20aを備える。このアーム20aの先端部には、検体の吸引および吐出を行なうプローブ20bが取り付けられている。検体分注装置20は、シリンジポンプなどの吸排機構を備える。検体分注装置20は、検体容器移送機構8により分注位置に移送された検体容器9aの中からプローブ20bによって検体を吸引し、アーム20aを図中時計回りに旋回させ、反応容器5に検体を吐出して分注を行なう。
【0037】
分析光学系11は、試薬と検体とが反応した反応容器5内の液体試料に分析光(340〜800nm)を透過させて分析するための光学系であり、光源11a、分光部11b及び受光部11cを有している。光源11aから出射された分析光は、反応容器5内の液体試料を透過し、分光部11bと対向する位置に設けた受光部11cによって受光される。受光部11cは、制御部15と接続されている。
【0038】
洗浄機構12は、ノズル12aによって反応容器5内の液体試料を吸引して排出した後、ノズル12aによって洗剤や洗浄水等の洗浄液等を繰り返し注入し、吸引することにより、分析光学系11による分析が終了した反応容器5を洗浄する。
【0039】
第1および第2攪拌装置13、14は、分注された検体と試薬とを攪拌棒13a、14aによって攪拌し、反応を促進させる。
【0040】
制御部15は、第1および第2試薬テーブル2、3、第1および第2試薬分注装置6、7、検体容器移送機構8、分析光学系11、洗浄機構12、第1および第2攪拌装置13、14、入力部16、表示部17、分析部18、記憶部19および検体分注装置20等と接続される。これら各部の作動を制御するため、制御部15には、マイクロコンピュータ等が使用される。制御部15は、受光部11cから入力される波長ごとの光量信号をもとに各反応容器5内の液体試料の波長ごとの吸光度を求め、検体の成分濃度等を分析する。また、制御部15は、試薬容器2a、3aに付加した情報記録媒体から読み取った情報に基づき、試薬のロットが異なる場合や有効期限外等の場合に分析作業を停止するように自動分析装置1を制御し、或いはオペレータに警報を発する。
【0041】
入力部16は、キーボード、マウス等を用いて構成され、検体の分析に必要な諸情報や分析動作の指示情報等を外部から取得する。表示部17は、プリンタ、通信機構等を用いて構成され、検体の分析結果を含む諸情報を出力し、ユーザーに報知する。分析部18は、分析光学系11から取得した測定結果に基づいて吸光度等を演算し、検体の成分分析等を行う。記憶部19は、情報を磁気的に記憶するハードディスクと、自動分析装置1が処理を実行する際にその処理にかかわる各種プログラムをハードディスクからロードして電気的に記憶するメモリとを用いて構成され、検体の分析結果等を含む諸情報を記憶する。記憶部19は、CD−ROM、DVD−ROM、PCカード等の記憶媒体に記憶された情報を読み取ることができる補助記憶装置を備えてもよい。
【0042】
以上のように構成された自動分析装置1では、列をなして順次搬送される複数の反応容器5に対して、第1試薬分注装置6が試薬容器2a中の第1試薬を分注した後、検体分注装置20が検体容器9a中の検体を分注し、さらに第2試薬分注装置7が試薬容器3a中の第2試薬を分注して、分析光学系11が検体と試薬とを反応させた状態の試料の分光強度測定を行い、この測定結果を分析部18が分析することで、検体の成分分析等が自動的に行われる。また、洗浄機構12が分析光学系11による測定が終了した後に反応容器5を搬送させながら洗浄することで、一連の分析動作が連続して繰り返し行われる。
【0043】
つぎに、本発明の実施の形態について、第1試薬分注装置6における液面検知を例として、図2および図3を参照して詳細に説明する。図2は、第1試薬分注装置6の概略構成を示すブロック図である。図3は、静電容量式の液面検知部6pの概略構成を示すブロック図である。
【0044】
第1試薬分注装置6は、図2に示すように、プローブ6b、プローブ駆動部6d、分注ポンプ6e、ポンプ駆動部6g、洗浄水ポンプ6l、洗浄水タンク6n、液面検知部6p、液面検知判定部6qを備えている。
【0045】
第1試薬分注装置6は、図1に示すように、水平面内を回動すると共に、上下方向に昇降されるアーム6aに第1試薬を分注するプローブ6bが設けられ、洗浄水によってプローブ6bを洗浄する洗浄槽(図示せず)を有している。図2に示すように、プローブ6bは、配管6cによって分注ポンプ6eと接続され、分注ポンプ6eと洗浄水ポンプ6lは、配管6hを介して接続されている。プローブ6bは、プローブ駆動部6dによって図中矢印Xで示す水平方向およびZで示す上下方向に移動され、プローブ6bの下部に搬送されてくる試薬容器2aから第1試薬を吸引し、この第1試薬を反応テーブル4上の反応容器5に吐出することによって第1試薬を分注する。
【0046】
分注ポンプ6eは、プローブ6bに試薬容器2a内の第1試薬を吸引した後、反応テーブル4により搬送されてくる反応容器5に吸引した第1試薬を吐出するシリンジポンプであり、ポンプ駆動部6gによってピストン6fが往復動される。
【0047】
洗浄水ポンプ6lは、洗浄水タンク6nに貯留された脱気した洗浄水L1を吸い上げ、電磁弁6kを介して配管6h内に圧送する。このとき、電磁弁6kは、制御部15からの制御信号によって、吸い上げた洗浄水L1を配管6h内に圧送する場合には「開」に切り替えられ、分注ポンプ6eによってプローブ6bが第1試薬を吸引し、吐出する場合には「閉」に切り替えられる。
【0048】
液面検知部6pは、試薬容器2aに収容される第1試薬の液面を検知する。図3に示すように、液面検知部6pは、発振回路101、液面検知回路102を備え、試薬容器2aの底部近傍には金属板2cが配置されている。
【0049】
液面検知回路102は、図3に示すように、増幅器102a、ダイオード102b、コンデンサ102c及びコンパレータ102dを有している。
【0050】
液面検知部6pは、発振回路101が発信する発振信号により、プローブ6bと試薬容器2a内の第1試薬との間の静電容量の変化により液面を検知するものであり、増幅器102aは、増幅器102a内に導入された発信信号を増幅し、ダイオード102bは、増幅器102aで増幅された発振信号をコンデンサ102cと協働して整流、平滑化し、平滑化信号をコンパレータ102dに出力する。
【0051】
コンパレータ102dは、入力される平滑化信号(電圧)を別途入力される基準値信号(電圧)と比較する。コンパレータ102dは、入力される平滑化信号(電圧)が基準値信号(電圧)よりも大きい場合に液面検知信号を液面検知判定部6qへ出力するが、後述する液面検知信号制御部6tは、算出部6sが算出した無効時間内はコンパレータ102dから送信された液面検知信号を無効と判定して、制御部15へ該液面検知信号の送信を制限し、無効時間が経過したと判定した後に、コンパレータ102dから送信された液面検知信号を制御部15に送信する。
【0052】
液面検知判定部6qは、図2に示すように、液面情報記憶部6r、算出部6s、および液面検知信号制御部6tを備える。液面情報記憶部6rは、第1試薬テーブル2に載置されるすべての試薬容器2aに収容される第1試薬の液面高を含む液面情報として、前回分注した際のプローブ駆動部6dによるプローブ6bの下降時間を試薬容器2a毎に記憶する。プローブ6bの下降時間は、分注を行なう第1試薬を収容する試薬容器2a上にプローブ6bが搬送され、下降が開始される上死点から液面を検知するまでの下降時間に、第1試薬吸引のための液中への潜り込み時間を加算した時間となる。まだ分注が行なわれていない新規な試薬容器2aの場合は、試薬容器2aの種類毎に定められる初期液面高から予測される下降時間に潜り込み時間を加算した時間とする。試薬容器2aの種類や判別は、図1に示す読取装置10aにより試薬容器2aに付加した情報記録媒体に記録された試薬情報を読み取ることにより行なう。
【0053】
算出部6sは、液面情報記憶部6rが試薬容器2a毎に記憶する前回分注時のプローブ6b下降時間に基づき、液面検知部6pから送信される信号を無効とする無効時間を算出する。液面検知信号制御部6tは、プローブ6bの試薬容器2aへの下降開始時間から、算出部6sが算出した無効時間が経過したか否かを判定し、無効時間未経過の場合は制御部15への液面検知信号の送信を制限し、無効時間が経過した後、液面検知部6pから送信された液面検知信号を制御部15に送信する。
【0054】
制御部15は、液面検知判定部6qから送信された液面検知信号により液面を検知すると、所定量の第1試薬吸引をするために、プローブ駆動部6dの駆動によりプローブ6bをさらに第1試薬内に潜り込ませるよう下降させた後、プローブ6bを停止させるよう制御する。その後、制御部15は、ポンプ駆動部6gの駆動により分注ポンプ6eのピストン6fを後退移動させて、プローブ6bが所定量の第1試薬を吸引するよう制御する。
【0055】
つぎに、液面検知判定部6qの算出部6sによる無効時間の算出方法について説明する。図4は、試薬容器2aに収容される試薬の液面高と吸引回数の関係を表す図である。図5は、試薬容器2a内へのプローブ6bの下降時間と試薬の吸引回数の関係を表す図である。図6は、第1試薬分注装置6での液面検知の際の無効時間を説明する図である。
【0056】
図4に示すように、試薬容器2aから第1試薬が分注されると、収容される第1試薬の液面高は吸引回数に応じて減少し、これに対応して、図5に示すように、プローブ駆動部6dによるプローブ6bの試薬容器2a内への下降時間は増加する。本発明の実施の形態において、プローブ駆動部6dの停止精度および試薬容器2aの搬送に伴う試薬容器2aに収容される第1試薬の液揺れを考慮した補正量△hを導入し、実際の液面h1から補正量の△h分だけ高いhb1までプローブ6bを下降する時間を無効時間として、該無効時間内は、液面検知部6pから液面検知信号が送信されても制御部15に該液面検知信号を送信しないよう制御する。△hは、図4に示すように固定値であり、試薬容器2a毎に定められ、液面情報記憶部6rに各試薬容器2aの液面情報とともに記憶される。補正量△hは、図5に示すように、△hの降下に要する時間Tとして記憶されてもよい。図6は試薬容器2aからの初回分注時の液面検知の状態を示すが、プローブ6bは、液面検知部6pがノイズ検知により液面検知信号を発信した場合でも、上死点hから初期液面高hより△h高いhb1まで停止されることなく△H分降下される。これにより、周辺機器からのノイズや試薬容器2aが帯電した静電気の放電による液面誤検知を防止することができる。特に、静電気の放電は、試薬容器2aの分注口付近で発生し易いため、液面検知信号の無効時間を設けることにより分注口付近で発生する液面誤検知を効果的に遮断することができる。
【0057】
試薬容器2aに収容される試薬の液面情報は、前回分注時におけるプローブ駆動手段によるプローブの下降時間から算出し、試薬容器2a毎に前回の分注の際のプローブ下降時間を液面情報記憶部6rに記憶させる。たとえば、試薬容器2aからn回分注がすでに行なわれ、n+1回目の分注を行なう場合、試薬容器2aのn回目分注時のプローブの下降時間を液面情報記憶部6rから抽出する。
【0058】
図7は、プローブ駆動部6dの駆動信号と時間の関係を表す図であり(n回目分注)、図8は、プローブ駆動部6dの駆動信号と時間の関係を表す図である(n+1回目分注)。図7に示すように、プローブ駆動部6dは時間t0(n)で上死点hから下降開始され、無効時間が終了する時間t1(n)までは、液面検知部6pから液面検知信号が送信された場合であっても、液面検知判定部6qは制御部15に当該信号を送信せず、プローブ6bは停止することなく下降される。時間t1(n)経過後に、液面検知判定部6qは制御部15への液面検知信号の送信制限を解除し、液面検知部6pが静電容量の変化を検知すると、制御部15に液面検知信号が送信され、当該信号の受信により液面が検知される。無効時間Ta(n)にプローブ駆動部6dの停止精度および試薬容器2aの搬送に伴う液揺れを考慮した補正量Tを加算した時間t2(n)近傍で液面が検知され、さらに第1試薬への潜り込み時間Tを加えた時間t3(n)後に、プローブ6bの下降が停止され、第1試薬が吸引される。
【0059】
したがって、プローブ下降時間Tc(n)から、補正量Tおよび潜り込み時間Tを減算することで無効時間Ta(n)が求められる。図4、図5および図8に示すように、n回目の分注により試薬液面は△hだけ低下しているため、無効時間Ta(n+1)は、プローブ6bを△h分降下するのに要する時間Tだけ無効時間Ta(n)より長くなり、無効時間Ta(n)にTを加算することにより無効時間Ta(n+1)を算出する。
【0060】
次に、本発明の実施の形態における試薬分注動作について説明する。図9は、本発明の実施の形態にかかる試薬分注動作のフローチャートである。図10は、図9に示す液面検知処理を説明するフローチャートである。
【0061】
まず、制御部15は、これから分注を行なう第1試薬の種類、分注量等の分注情報を記憶部19から取得し(ステップS101)、第1試薬テーブル2の図示しない駆動手段により、分注する第1試薬を収容する試薬容器2aを分注位置まで搬送するよう制御する(ステップS102)。搬送後、液面検知判定部6qは、液面情報記憶部6rから、分注を行なう試薬容器2aにおける前回分注時のプローブ駆動部6dによるプローブ6bの下降時間Tc(n)を抽出する(ステップS103)。試薬容器2aから初めて分注を行なう場合は、液面情報記憶部6rに記憶される初期液面高と潜り込み深さに基づきTc(1)を算出する。
【0062】
抽出した下降時間Tc(n)に基づき、算出部6sは、無効時間Ta(n+1)を算出する(ステップS104)。無効時間Ta(n+1)は、下降時間Tc(n)から補正量Tおよび潜り込み時間Tを減じ、Tを加算した時間となる。ついで、液面検知処理が行なわれ(ステップS105)、第1試薬の吸引を行なう(ステップS106)。プローブ駆動部6dの駆動によりプローブ6bは吐出位置まで搬送され、図示しない反応テーブル4の駆動手段により吐出位置まで搬送された所定の反応容器5に、吸引した第1試薬を吐出する(ステップS107)。その後、プローブ6bは図示しない洗浄槽で洗浄が行なわれる(ステップS108)。制御部15は、第1試薬のすべての分注が終了したか否かを確認し(ステップS109)、終了していない場合は(ステップS109、No)、ステップS101から第1試薬の分注が繰り返される。すべての分注が終了した場合は(ステップS109、Yes)、第1試薬の分注動作を終了する。
【0063】
つぎに、試薬分注動作における液面検知処理について、図10を参照して説明する。図9に示すステップS105の液面検知処理においては、まず、プローブ駆動部6dの駆動により試薬容器2a内にプローブ6bが下降され(ステップS201)、下降とともに液面検知部6pによる液面検知が開始される(ステップS202)。液面検知部6pが静電容量の変化により液面を検知するまで(ステップS203、No)、プローブ6bは下降され、液面を検知すると(ステップS203、Yes)、液面検知信号制御部6tは、プローブ6b降下開始から算出手段6sが算出した無効時間が経過したか否かを判定する(ステップS204)。無効時間が経過していないと判定した場合は(ステップS204、No)、液面検知信号制御部6tは制御部15に液面検知信号を送信せず、プローブ6bの下降は続行される。液面検知信号制御部6tが、無効時間が経過したと判定した場合は(ステップS204、Yes)、制御部15に液面検知信号が送信されることにより(ステップS205)、制御部15は第1試薬の液面を認識し、プローブ駆動部6dの駆動によりプローブ6bを第1試薬内に所定量潜り込ませた後、プローブ6bの降下を停止するよう制御する(ステップS206)。その後、分注に際し測定されたプローブ下降時間は液面情報記憶部6rに格納され(ステップS207)、図9に示すステップS106の処理が行なわれる。
【0064】
本発明の実施の形態によれば、静電気や外来ノイズによる液面誤検知を防止することができるため、プローブ6bの空中停止を防ぐことが可能となる。また、これにより、空吸引を防止できるため、分析結果の安定化を図ることができる。さらに、分注動作時間を一定化できるため、スループットの低下防止という効果も奏するものである。
【0065】
本発明の実施の形態について、第1試薬分注装置6を例として説明したが、第2試薬分注装置7においても同様の構成を採用することにより、本発明の目的を達成しうる。また、検体分注装置20においても、検体容器9aの種類ごとに収容しうる最大収容量を、初期液量として記憶させ、その後、同一の検体容器9aから検体分注を行う際に、上記実施の形態と同様にプローブの下降時間を基に無効時間を算出して、液面検知信号の送信の可否を判定することにより、ノイズによる液面誤検知の発生を低減しうるものである。
【0066】
また、上述した実施の形態の変形例1として、算出部6sが、前回分注時の無効時間を基に無効時間を算出し、液面検知信号制御部6tは、該無効時間内は液面検知部6pからの液面検知信号を制御部15に送信しないよう制御する第1試薬分注装置6が例示される。変形例1では、液面情報記憶部6rは、プローブ下降時間に替えて前回分注時の無効時間(Ta(n)、図5および図7参照)を記憶する。算出部6sは、前回分注時の無効時間Ta(n)に、前回分注による液面低下に応じたプローブ降下に要する時間T(図8参照)を加算して無効時間Ta(n+1)を算出する。液面検知信号制御部6tによる液面検知信号の送信制御は上述した実施の形態と同様である。
【0067】
さらに、上述した実施の形態の変形例2として、算出部6sが、前回分注時に検知した液面高を基に無効時間を算出し、液面検知信号制御部6tは、該無効時間内は液面検知部6pからの液面検知信号を制御部15に送信しないよう制御する第1試薬分注装置6が例示される。変形例2では、液面情報記憶部6rは、プローブ下降時間に替えて前回分注時に検出した第1試薬の液面高(h、図4参照)または液面高hの降下に要する時間(Tb(n)、図5および図7参照)を記憶する。算出部6sは、前回分注時の液面高hまたは液面高hの降下に要する時間Tb(n)から、補正量△hまたはTを減じて無効時間Ta(n+1)を算出する。液面検知信号制御部6tによる液面検知信号の送信制御は上述した実施の形態と同様である。
【0068】
さらにまた、上述した実施の形態の変形例3として、算出部6sが、試薬容器2aに収容される第1試薬の初期液面高と分注回数を基に無効時間を算出し、液面検知信号制御部6tは、該無効時間内は液面検知部6pからの液面検知信号を制御部15に送信しないよう制御する第1試薬分注装置6が例示される。変形例3では、液面情報記憶部6rは、プローブ下降時間に替えて初期液面高と分注回数(hおよびn、図4および6参照)を記憶する。算出部6sは、初期液面高hと分注回数nを基に、前回分注時の液面高hまたは液面高hの降下に要する時間Tb(n)を算出し、補正量△hまたはTを減じて無効時間Ta(n+1)を算出する。液面検知信号制御部6tによる液面検知信号の送信制御は上述した実施の形態と同様である。
【0069】
なお、上記の実施の形態では、プローブ駆動部6dの停止精度および試薬容器2aの搬送に伴う液揺れを考慮した補正量△hまたはTは固定値としているが、試薬容器2a内に収容される第1試薬の液量を考慮して、液量による関数として液面情報記憶部6rに記憶させておいてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0070】
以上のように、本発明の分注装置、自動分析装置、および液面検知方法は、検体と試薬との反応物を分析する分析装置に有用であり、特に、分析精度が要求される分野に適している。
【符号の説明】
【0071】
1 自動分析装置
2、3 第1および第2試薬テーブル
2a、3a 試薬容器
2c 金属板
4 反応テーブル
4a 保持部
4b 光路
5 反応容器
6、7 第1および第2試薬分注装置
6a、7a、20a アーム
6b、7b、20b プローブ
6c、6h 配管
6d プローブ駆動部
6e 分注ポンプ
6f ピストン
6g ポンプ駆動部
6k 電磁弁
6l 洗浄水ポンプ
6n 洗浄水タンク
6p 液面検知部
6q 液面検知判定部
6r 液面情報記憶部
6s 算出部
6t 液面検知信号制御部
8 検体容器移送機構
9 ラック
9a 検体容器
10a、10b、10c 読取装置
11 分析光学系
12 洗浄機構
13、14 第1および第2攪拌装置
15 制御部
16 入力部
17 表示部
18 分析部
19 記憶部
20 検体分注装置
101 発振回路
102 液面検知回路
L1 洗浄水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器に収容された液体を分注するプローブと前記容器との間における静電容量の変化を検知し、検知した信号に基づいて前記液体の液面に前記プローブ下端が接触したか否かを判定する液面検知手段を備える分注装置であって、
複数の前記容器に収容される液体の液面高を含む液面情報を、容器毎に記憶する液面情報記憶手段と、
前記液面情報記憶手段が容器毎に記憶する液面情報に基づき、前記液面検知手段から送信される信号を無効とする無効時間を算出する算出手段と、
前記算出手段が算出した無効時間内は前記液面検知手段からの液面検知信号を無効とし、前記無効時間が経過した後に受信した液面検知信号に基づき液面を検知するよう送信制御する液面検知信号制御手段と、
を備えることを特徴とする分注装置。
【請求項2】
前記液面情報記憶手段は、前回分注時におけるプローブ駆動手段によるプローブの下降時間を前記容器に収容される液体の液面情報として記憶し、
前記算出手段は、前回分注時のプローブ下降時間に基づき無効時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の分注装置。
【請求項3】
前記液面情報記憶手段は、前回分注時の無効時間を前記容器に収容される液体の液面情報として記憶し、
前記算出手段は、前回分注時の無効時間に、前回分注による液面低下によりプローブ下降に要する時間を加算して無効時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の分注装置。
【請求項4】
前記液面情報記憶手段は、前回分注時に前記液面検知手段により検知した液面高を前記容器に収容される液体の液面情報として記憶し、
前記算出手段は、前回分注時に検知した液面高に基づき無効時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の分注装置。
【請求項5】
前記液面情報記憶手段は、前記容器に収容される液体の初期液面高と分注回数を前記容器に収容される液体の液面情報として記憶し、
前記算出手段は、前記容器の初期液面高と分注回数から算出される液面高に基づき無効時間を算出することを特徴とする請求項1に記載の分注装置。
【請求項6】
前記算出手段は、プローブ駆動手段の停止精度および前記容器の搬送に伴う液揺れを考慮した補正量を使用して前記無効時間を算出することを特徴とする請求項1〜5のいずれか一つに記載の分注装置。
【請求項7】
前記分注装置は、試薬を分注する試薬分注装置であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の分注装置。
【請求項8】
検体と試薬との反応物を光学的に分析する自動分析装置であって、
請求項1〜7のいずれか一つに記載の分注装置を備えることを特徴とする自動分析装置。
【請求項9】
容器に収容された液体を分注するプローブと前記容器との間における静電容量の変化を検知し、検知した信号に基づいて前記液体の液面に前記プローブ下端が接触したか否かを判定する液面検知方法であって、
液面情報記憶手段に記憶された前記容器に収容される液体の液面高を含む液面情報を抽出する抽出ステップと、
前記抽出ステップにより抽出した液面情報に基づき、液面検知信号を無効とする無効時間を算出する算出ステップと、
前記算出ステップが算出した無効時間内は前記液面検知信号を無効し、前記無効時間が経過した後に受信した液面検知信号に基づき液面を検知するよう送信制御する液面検知信号制御ステップと、
を含むことを特徴とする液面検知方法。
【請求項10】
前記抽出ステップは、前記液面情報記憶手段に記憶された前回分注時におけるプローブ駆動手段によるプローブの下降時間を抽出し、
前記算出ステップは、前記抽出ステップで抽出した前回分注時のプローブ下降時間に基づき無効時間を算出することを特徴とする請求項9に記載の液面検知方法。
【請求項11】
前記抽出ステップは、前記液面情報記憶手段に記憶された前回分注時の無効時間を抽出し、
前記算出ステップは、前記抽出ステップで抽出した前回分注時の無効時間に、前回分注による液面低下によりプローブ下降に要する時間を加算して無効時間を算出することを特徴とする請求項9に記載の液面検知方法。
【請求項12】
前記抽出ステップは、前記液面情報記憶手段に記憶された前回分注時に検知した液面高を抽出し、
前記算出ステップは、前記抽出ステップで抽出した前回分注時に検知した液面高に基づき無効時間を算出することを特徴とする請求項9に記載の液面検知方法。
【請求項13】
前記抽出ステップは、前記液面情報記憶手段に記憶された前記容器に収容される液体の初期液面高と分注回数を抽出し、
前記算出ステップは、前記抽出ステップで抽出した前記容器の初期液面高と分注回数から算出される液面高に基づき無効時間を算出することを特徴とする請求項9に記載の液面検知方法。
【請求項14】
前記算出ステップは、プローブ駆動手段の停止精度および前記容器の搬送に伴う液揺れを考慮した補正量を使用して前記無効時間を算出することを特徴とする請求項9〜13のいずれか一つに記載の液面検知方法。
【請求項15】
前記液面検知方法は、試薬を分注する際に使用されることを特徴とする請求項9〜14のいずれか一つに記載の液面検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−286325(P2010−286325A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−139605(P2009−139605)
【出願日】平成21年6月10日(2009.6.10)
【出願人】(510005889)ベックマン コールター, インコーポレイテッド (174)
【Fターム(参考)】