説明

分注装置と分析装置

【課題】外乱に対して分注量が安定し、分注精度の確保が容易な分注装置と分析装置を提供すること。
【解決手段】分析用液体を吸引した分注ノズル20bを移動し、分析用液体を吐出して分注を行う分注装置20と分析装置1。分注装置20は、分析用液体を本吐出する吐出条件に合わせて分析用液体をダミー吐出させる制御部15が設けられている。制御部15は、分析用液体を本吐出する際の吐出条件として吐出量又は吐出スピードを用いる。分析装置1は、分注装置20を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分注装置と分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、自動分析装置等の分析装置は、反応容器に検体と試薬を分注し、これらを反応させた反応液の光学的特性を測定することにより検体の成分濃度等を分析しており、検体等を分注するのに分注装置を使用している。このような分析装置で使用する分注装置は、分注ノズルと脱気水を吸引,排出するシリンジポンプとの間を脱気水の配管によって接続し、分注ノズルを検体容器,反応容器,洗浄槽の間を順次移動させながら、シリンジポンプを駆動して分注ノズルから空気層を介して検体を吸引し、反応容器に規定量吐出することによって分注を行っている。そして、分注装置は、分注ノズルに保持した液体の液切れ状態を一定にすることによって分注精度を高める目的から、検体吸引後、反応容器に吐出する本吐出の前に、検体の一部を一定吐出条件の下に一律に吐出するいわゆるダミー吐出を行っている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−48805号公報(段落番号0108,0132)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、近年、分注量の微量化により、検体の分注量が少なくなるのに伴い、分注量が、環境温度,検体の液体上の特性或いは配管内に僅かに存在する気泡等の外乱の影響を受けて変動し易くなり、分注精度の確保が難しくなってきた。このため、本発明者は、検体の分注量を少なくした場合における、ダミー吐出とこのダミー吐出に引き続く反応容器へ規定量吐出する本吐出の際の分注量の変動について鋭意検討した。
【0005】
その結果、ダミー吐出と本吐出とにおける液体の吐出スピードや吐出量を含む吐出条件を同じにすると、外乱の影響があっても本吐出の際の分注量の誤差のばらつきを抑えることができるという事実を見出した。また、ダミー吐出は、通常、検体吸引後、反応容器に規定量の検体を吐出する本吐出までのタイミングで行っている。しかし、自動分析装置における処理速度の高速化により、ダミー吐出の時間を確保するため、移動手段による分注ノズルの移動停止直前或いは停止直後、特に、分注ノズルの上昇停止直後にダミー吐出を行うと、分注装置は、移動手段の振動が分注ノズルに保持された液体に伝搬し、液体の液面が変動する結果、ダミー吐出の際に液体の液切れ状態を変動させる。このダミー吐出の際の液切れ状態が変動すると、分注装置は、分注量が少なくなるほど、本吐出の際に分注量の誤差の変動が大きくなって分注精度が低下してしまうという事実を見出した。
【0006】
本発明は、上記事実に鑑みてなされたものであって、外乱に対して分注量が安定し、分注精度の確保が容易な分注装置と分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に係る分注装置は、分析用液体を吸引した分注ノズルを移動し、前記分析用液体を吐出して分注を行う分注装置において、前記分析用液体を本吐出する吐出条件に合わせて前記分析用液体をダミー吐出させる制御手段を設けたことを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に係る分注装置は、上記の発明において前記制御手段は、前記分析用液体を本吐出する際の吐出条件として吐出量又は吐出スピードを用いることを特徴とする。
【0009】
また、請求項3に係る分注装置は、上記の発明において、前記制御手段は、前記分注ノズルの移動に伴う上昇開始又は上昇停止に起因する前記分注ノズルの振動停止後に少なくとも前記ダミー吐出を実行させることを特徴とする。
【0010】
また、上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項4に係る分析装置は、容器に保持された液体の光学的特性を測定する分析装置であって、前記分注装置を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の分注装置は、分析用液体を本吐出する吐出条件に合わせて分析用液体をダミー吐出させる制御手段を設け、また、本発明の分析装置は、前記分注装置を使用しているので、外乱に対して分注量が安定し、分注精度の確保が容易な分注装置と分析装置を提供することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の分注装置と分析装置にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は、本発明の自動分析装置の概略構成図である。図2は、本発明の分注装置の模式図である。
【0013】
自動分析装置1は、図1に示すように、試薬テーブル2,3、キュベットホイール4、検体容器移送機構8、分析光学系11、洗浄機構12、第一攪拌装置13と第二攪拌装置14、制御部15及び検体分注装置20を備えている。
【0014】
試薬テーブル2,3は、図1に示すように、それぞれ第一試薬の試薬容器2aと第二試薬の試薬容器3aが周方向に複数配置され、駆動手段に回転されて試薬容器2a,3aを周方向に搬送する。複数の試薬容器2a,3aは、それぞれ検査項目に応じた所定の試薬が満たされ、外面には収容した試薬の種類,ロット及び有効期限等の情報を表示する識別コードラベル(図示せず)が貼付されている。ここで、試薬テーブル2,3の外周には、試薬容器2a,3aに貼付した識別コードラベルに記録された試薬情報を読み取り、制御部15へ出力する読取装置が設置されている。
【0015】
キュベットホイール4は、図1に示すように、複数の反応容器5が周方向に沿って配列されており、試薬テーブル2,3を駆動する駆動手段とは異なる駆動手段によって矢印で示す方向に回転されて反応容器5を周方向に移動させる。キュベットホイール4は、光源11aと分光部11bとの間に配置され、反応容器5を保持する保持部4aと光源11aが出射した光束を分光部11bへ導く円形の開口からなる光路4bとを有している。保持部4aは、キュベットホイール4の外周に周方向に沿って所定間隔で配置され、保持部4aの内周側に半径方向に延びる光路4bが形成されている。
【0016】
反応容器5は、分析光学系11から出射された分析光(340〜800nm)に含まれる光の80%以上を透過する光学的に透明な素材、例えば、耐熱ガラスを含むガラス,環状オレフィンやポリスチレン等によって四角筒状に成形されたキュベットと呼ばれる容器である。反応容器5は、近傍に設けた試薬分注機構6,7によって試薬テーブル2,3の試薬容器2a,3aから試薬が分注される。ここで、試薬分注機構6,7は、それぞれ水平面内を回動すると共に、上下方向に昇降されるアーム6a,7aに試薬を分注するノズル6b,7bが設けられ、洗浄水によってノズル6b,7bを洗浄する洗浄手段を有している。
【0017】
検体容器移送機構8は、図1に示すように、配列された複数のラック9を矢印方向に沿って1つずつ歩進させながら移送する。ラック9は、検体を収容した複数の検体容器9aを保持している。ここで、検体容器9aは、検体容器移送機構8によって移送されるラック9の歩進が停止するごとに、検体分注装置20によって検体が各反応容器5へ分注される。
【0018】
分析光学系11は、試薬と検体とが反応した反応容器5内の液体試料に分析光(340〜800nm)を透過させて分析するための光学系であり、図1及び図2に示すように、光源11a、分光部11b及び受光部11cを有している。光源11aから出射された分析光は、反応容器5内の液体試料を透過し、分光部11bと対向する位置に設けた受光部11cによって受光される。受光部11cは、制御部15と接続されている。
【0019】
洗浄機構12は、ノズル12aによって反応容器5内の液体試料を吸引して排出した後、ノズル12aによって洗剤や洗浄水等の洗浄液等を繰り返し注入し、吸引することにより、分析光学系11による分析が終了した反応容器5を洗浄する。
【0020】
第一攪拌装置13及び第二攪拌装置14は、分注された検体と試薬とを攪拌棒13a,14aによって攪拌し、反応させる。
【0021】
制御部15は、試薬テーブル2,3、試薬分注機構6,7、検体容器移送機構8、分析光学系11、洗浄機構12、攪拌装置13,14、入力部16、表示部17及び検体分注装置20等と接続され、演算機能,記憶機能,制御機能及び計時機能等を備えたマイクロコンピュータ等が使用される。制御部15は、上記各部の作動を制御し、特に、検体分注装置20の作動を制御する場合には、入力部16から入力された制御情報に基づき、検体を本吐出させる際の吐出条件、即ち、吐出量及び吐出スピードに合わせて検体をダミー吐出させる。
【0022】
また、制御部15は、受光部11cから入力される波長ごとの光量信号をもとに各反応容器5内の液体試料の波長ごとの吸光度を求め、検体の成分濃度等を分析する。更に、制御部15は、試薬容器2a,3aに貼付した識別コードラベルの記録から読み取った情報に基づき、試薬のロットが異なる場合や有効期限外等の場合に分析作業を停止するように自動分析装置1を制御し、或いはオペレータに警報を発する。
【0023】
入力部16は、制御部15へ検査項目等を入力する操作を行う部分であり、例えば、キーボードやマウス等が使用される。表示部17は、分析内容,分析結果或いは警報等を表示するもので、ディスプレイパネル等が使用される。
【0024】
検体分注装置20は、図2に示すように、アーム20aに検体を分注する分注ノズル20bが設けられている。アーム20aは、駆動モータ21によって水平面内を回動されると共に、昇降モータ22によって上下動される。分注ノズル20bは、配管23を介して脱気水Wを満たしたシリンジポンプ24と接続されている。シリンジポンプ24は、モータ21,22と共に制御部15によって作動が制御され、図3に示すように、検体容器9aから脱気水Wが満たされた分注ノズル20b内に空気層Arを介して検体Sを吸引する。
【0025】
このとき、検体分注装置20は、制御部15による制御の下、アーム20aを下降し、図3に示すように、分注ノズル20bの下端を検体容器9aに保持された検体S中に侵入させる。次に、検体分注装置20は、制御部15による制御の下、脱気水Wが満たされた分注ノズル20b内に空気層Arを介して検体Sを吸引した後、アーム20aを分注ノズル20bと共に所定位置まで低速上昇させる。このとき、検体分注装置20は、規定量の2倍を超える予め設定した量を吸引する。
【0026】
次いで、検体分注装置20は、制御部15による制御の下、検体Sの一部(規定量と同量)を検体容器9a内にダミー吐出した後、更にアーム20aを分注ノズル20bと共に上昇させて分注ノズル20bを検体容器9aから引き出す。そして、検体分注装置20は、制御部15による制御の下、アーム20aを分注ノズル20bと共に回動してキュベットホイール4上へ移動させ、アーム20aを下降させて分注ノズル20b下端を反応容器5内へ挿入した後、分注ノズル20bから反応容器5に規定量の検体Sを本吐出する。このとき、制御部15は、検体Sのダミー吐出と本吐出の吐出スピードが等しくなるようにシリンジポンプ24の作動を制御する。
【0027】
その後、検体分注装置20は、制御部15による制御の下、アーム20aを回動して分注ノズル20bを洗浄槽へ移動させ、分注ノズル20bを洗浄槽で洗浄した後、新たな検体の分注動作に移行する。検体分注装置20は、このような動作を繰り返すことによって検体容器移送機構8によって移送されるラック9に保持された複数の検体容器9aから検体を反応容器5に分注してゆく。
【0028】
以上のように構成される自動分析装置1は、回転するキュベットホイール4によって周方向に沿って搬送されてくる複数の反応容器5に試薬分注機構6が試薬容器2aから第一試薬を順次分注する。第一試薬が分注された反応容器5は、検体分注装置20によってラック9に保持された複数の検体容器9aから検体が順次分注される。検体が分注された反応容器5は、キュベットホイール4が停止する都度、第一攪拌装置13によって攪拌されて第一試薬と検体が反応する。第一試薬と検体が攪拌された反応容器5は、試薬分注機構7によって試薬容器3aから第二試薬が順次分注された後、キュベットホイール4の停止時に第二攪拌装置14によって攪拌され、更なる反応が促進される。
【0029】
次いで、キュベットホイール4が再び回転すると、キュベットホイール4は、反応容器5が光源11aに対して順次相対移動し、反応容器5が分析光学系11を通過する。これにより、受光部11cが制御部15に光信号を出力する。制御部15は、受光部11cから入力される波長ごとの光量信号をもとに各反応容器5内の液体試料の波長ごとの吸光度を求め、検体の成分濃度等を分析する。このとき、制御部15は、分析した検体の成分濃度等の分析結果を記憶し、分析結果を表示部17に表示する。このようにして、分析が終了した反応容器5は、洗浄機構12によって洗浄された後、再度検体の分析に使用される。
【0030】
このとき、従来の検体分注装置は、ダミー吐出の際は、常に一定量の検体を一律に吐出しており、ダミー吐出と本吐出の吐出条件が異なっていることから、検体の分注量が少ないと、外乱の影響を受けて分注量が変動し易かった。例えば、検体分注装置20は、シリンジポンプ24による分注ノズル20bからの検体の吐出スピードを一定とし、ダミー吐出の吐出量が5μLとなるよう制御部15を設定すると共に、本吐出の吐出量を、それぞれ2μLと8μLとなるよう制御部15を設定する。このとき、外乱として分注ノズル20bとシリンジポンプ24とを接続する配管23内に気泡が存在する場合と存在しない場合に、分注ノズル20bが複数回吐出した検体の吐出量を測定したところ、図4に示す結果が得られた。図4に示すように、検体分注装置20は、外乱がない、即ち、配管23内に気泡が存在しない方が、吐出量の変動が小さく、吐出量が安定している。
【0031】
これに対して、検体分注装置20は、ダミー吐出及び本吐出の吐出量が同じ5μLとなるよう制御部15を設定し、配管23内に気泡が存在する場合と存在しない場合とにおける分注ノズル20bが複数回吐出した検体の吐出量を測定したところ、図5に示す結果が得られた。図4及び図5に示す結果から、検体分注装置20は、ダミー吐出と本吐出の吐出条件を同じに設定すると、外乱の影響があっても本吐出の際の分注量の誤差のばらつきを抑えることができることが分かる。
【0032】
一方、検体分注装置20は、検体分注の際のアーム20aの上昇動作に伴う分注ノズル20bの分注動作タイミング、移動タイミング及び移動タイミングに関する上下方向の振動波形は、図6に示すようになる。このとき、分注ノズル20bの上下方向の振動は、例えば、レーザドップラ式の振動センサを用いて測定した。図6から明からなように、分注動作に伴う分注ノズル20bの振動は、検体の吸引に起因した振動よりも、アーム20aの低速上昇やダミー吐出後の上昇に起因した振動が大きいことが分かる。ここで、アーム20aは、水平方向に回動することから回動に起因した上下方向の振動は殆ど無視することができる。
【0033】
分注動作に伴うこのような分注ノズル20bの上下方向の振動は、吸引されて分注ノズル20bに保持された検体に伝搬され、分注ノズル20b内の検体Sを分注ノズル20bに沿って空気層Ar及び脱気水Wと共に振動させ、図7に示すように、検体Sの液面を矢印で示す方向に変動させる。このような液面の変動が生ずると、検体分注装置20は、液面が種々に変動した状態で検体Sを吐出することになり、ダミー吐出の際に検体Sの液切れ状態が変動してしまう。このため、検体分注装置20は、ダミー吐出の際のみならず本吐出の際の分注量の誤差の変動が大きくなる結果、分注精度が低下してしまう。
【0034】
そこで、検体分注装置20は、分注ノズル20bの移動に伴う上昇開始及び上昇停止に起因する分注ノズル20bの振動停止後に少なくともダミー吐出を実行させることとしたのである。このとき、検体分注装置20は、前記振動センサから入力される分注ノズル20bの上下方向の振動情報に基づいて制御部15がシリンジポンプ24の作動を制御することによってダミー吐出を実行させる。
【0035】
ここで、ダミー吐出に際し、検体の一部を一定吐出条件の下に一律に吐出する従来の検体分注装置は、分注ノズルの分注動作タイミング、移動タイミング及び移動タイミングに関する上下方向の振動波形は、図8に示すようになる。即ち、従来の検体分注装置は、図8に示す分注動作タイミング及び移動タイミングから明らかなように、分注ノズルの低速上昇が停止した直後であって、分注ノズルが依然として上下方向に振動しているタイミングでダミー吐出が行われる。この場合のダミー吐出は、検体容器に検体を吐出している。これは、反応容器に検体を分注する本吐出の場合も同じであり、従来の検体分注装置は、図8に示すように、分注ノズルの下降停止によって分注ノズルが依然として上下方向に振動しているタイミングで本吐出を行っている。
【0036】
これに対して、本発明の検体分注装置20は、分注量が少ない場合には、図8に示す従来の検体分注装置の場合と比較して、図9に示すように、分注動作タイミングにおいて検体吸引に要する時間が短時間で済む。このため、検体分注装置20は、制御部15が、図9に示すように、分注ノズル20bの移動に伴う低速上昇停止に起因する分注ノズル20bの振動停止後、検体容器5に検体Sをダミー吐出している。このため、検体分注装置20は、分注ノズル20bの振動がない状態でダミー吐出を行うことから、ダミー吐出の際の検体の液切れ状態が安定し、従って、引き続く本吐出の際の分注量の誤差の変動が小さくなり、分注精度が向上する。
【0037】
ここで、ダミー吐出は、本吐出と同じ吐出条件で行えばよく、吐出先は検体容器9aに限定されないので、アーム20aを分注ノズル20bと共に回動して検体容器9aと反応容器5との間を移動する間に、例えば、分注終了後の分注ノズル20bを洗浄する洗浄槽に吐出してもよい。この場合、検体分注装置20は、図10に示すように、分注ノズル20bの移動タイミングに関して、低速上昇と上昇との時間間隔を図9に示す場合よりも短縮し、短縮した分をアーム20aの回動中に検体をダミー吐出する時間に充てる。従って、このようにしても、検体分注装置20は、時間を延長することなく、検体の吸引開始からダミー吐出を経て本吐出を終了することができる。
【0038】
以上のように、本発明の検体分注装置20及び検体分注装置20を使用した自動分析装置1は、分析用液体を本吐出する吐出条件に合わせて分析用液体をダミー吐出させる制御部15を設けたので、ダミー吐出の際の吐出条件が本吐出の際の吐出条件と同じになる結果、外乱の影響があっても本吐出の際の分注量の誤差のばらつきが抑えられるので、外乱に対して分注量が安定し、分注精度の確保が容易になる。
【0039】
上述の分注装置は、検体を分注する場合について説明したが、試薬の分注に用いても分注精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の自動分析装置の概略構成図である。
【図2】本発明の分注装置の模式図である。
【図3】図2に示す分注装置において分注ノズル内に検体を吸引する様子を示す側面断面図である。
【図4】図2に示す分注装置を用いて分注する際、ダミー吐出と本吐出の吐出条件が異なり、外乱が存在する場合と存在しない場合とにおける検体の吐出量の測定結果を示す図である。
【図5】ダミー吐出の吐出条件を本吐出の吐出条件に合わせて図2に示す分注装置を用いて分注する際、外乱が存在する場合と存在しない場合とにおける検体の吐出量の測定結果を示す図である。
【図6】分注ノズルの分注動作タイミング、移動タイミング及び移動タイミングに関する上下方向の振動波形を示す図である。
【図7】分注動作に伴う分注ノズルの上下方向の振動によって生ずる検体の振動に起因する検体の液面変動を説明する分注ノズルの拡大断面図である。
【図8】従来の検体分注装置における、分注ノズルの分注動作タイミング、移動タイミング及び移動タイミングに関する上下方向の振動波形の一例を示す図である。
【図9】本発明の検体分注装置において、分注量が少ない場合の、分注ノズルの分注動作タイミング、移動タイミング及び移動タイミングに関する上下方向の振動波形の一例を示す図である。
【図10】本発明の検体分注装置において、分注量が少ない場合の、分注ノズルの分注動作タイミング、移動タイミング及び移動タイミングに関する上下方向の振動波形の他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0041】
1 自動分析装置
2,3 試薬テーブル
4 キュベットホイール
5 反応容器
6,7 試薬分注機構
8 検体容器移送機構
9 ラック
11 分析光学系
12 洗浄機構
13,14 攪拌装置
15 制御部
16 入力部
17 表示部
20 検体分注装置
20b 分注ノズル
21 駆動モータ
22 昇降モータ
23 配管
24 シリンジポンプ
Ar 空気層
S 検体
W 脱気水

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分析用液体を吸引した分注ノズルを移動し、前記分析用液体を吐出して分注を行う分注装置において、
前記分析用液体を本吐出する吐出条件に合わせて前記分析用液体をダミー吐出させる制御手段を設けたことを特徴とする分注装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記分析用液体を本吐出する際の吐出条件として吐出量又は吐出スピードを用いることを特徴とする請求項1に記載の分注装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記分注ノズルの移動に伴う上昇開始又は上昇停止に起因する前記分注ノズルの振動停止後に少なくとも前記ダミー吐出を実行させることを特徴とする請求項1又は2に記載の分注装置。
【請求項4】
容器に保持された液体の光学的特性を測定する分析装置であって、請求項1乃至3のいずれか一つに記載の分注装置を備えたことを特徴とする分析装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−316011(P2007−316011A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148360(P2006−148360)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】