説明

分注装置用液滴除去装置、分注装置及び分注方法

【課題】 分注装置において液体の分注量の精度を向上させることができる。
【解決手段】 前記ノズル14,16内に液体収容容器に収容された液体を吸引した後分注容器に吐出可能な分注ヘッド10と、前記ノズルの径よりも大きい開口71を上面に備え前記開口部分に前記開口中心に対して対向する位置にガスを吹き出す吹出口72を有する液滴除去部9とを備え、前記収容容器から前記液体を吸引した前記分注ヘッド10の前記ノズル14,16を前記開口部分71に移動させて前記ノズル14,16に前記ガスを吹き付けることにより前記ノズルに付着した前記液体を除去した後、前記分注容器に前記分注ヘッドを移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生化学分野等で、分析の対象となる試料・検体等を含んだ液体や試薬などの液体を吸引した後分注する分注装置、特に、ノズル先端に吐出した液体のドロップをマイクロプレートに接触させて、当該マイクロプレートに分注するドロップタッチ式分注装置に好適に用いられる分注装置用液滴除去装置、分注装置及び分注方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生化学分野等における分析装置において、分析の対象となる試料・検体等を含んだ液体や試薬等の液体を専用試験容器であるマイクロプレートに小分けして移注する分注操作が用いられる。この分注操作に用いられる分注装置として、例えば、特許文献1(特開2001−242183号公報)に開示されているように、液体を吸引した後で別の容器に分注する場合に、吸引した液体の液滴を吐出して当該分注装置のノズルの先端に液体の液滴を作ったあと、ノズルを下降させて当該液滴を容器の壁面あるいは、予め容器に貯留されている別の液体の表面に接触させて当該液体を容器に分注する分注装置が知られている。
【0003】
図9に分注装置の分注動作の概要を示す。分注装置は、次のようにして液体を分注する。まず、図9(A)に示すように、分注装置132を駆動させてノズル114内に吸引されている液体146を吐出し、ノズル114の先端に液体146のドロップ147を形成する。次いで、図9(B)に示すように、分注装置132を下降させ、容器104のウェル104aにドロップ147を接触させる。次いで、図9(C)に示すように、分注装置132を上昇させると、ドロップ147は、表面張力によって接触面積が大きい容器104のウェル側にのこり、ノズル114の先端から分離する。このようにして、ノズル114の先端に形成されたドロップ147をウェル104aに移動させ、結果としてウェル104aに試薬148が分注される。
【0004】
近年、検体や試料等の分析効率を向上させるため、1回の操作で多くの分注操作を行うことができるようにマイクロプレートに形成する小孔の数量が増加しており、そのため小孔1個あたりの容量が小さくなっている。従って分注装置から吐出すべき液体の量も、微量化していく必要が生じている。
【0005】
しかし、従来の分注装置においては、上述のように、ノズル内に液体を一度吸引した後に、ノズルの先端に液体の液滴を作る動作が求められる。このとき、図10Aに示すように、ノズル114の先端に吸引したときの液体147aがわずかに残る場合がある。この状態で、液体146を吐出してノズルの先端にドロップ147を作成すると、図10Bに示すようにノズルの先端に残存している液体147aと吐出した液体147とが合体し、吐出量に比べて大量の液滴が発生する。この状態で容器の壁面に液滴を接触させると、容器には、吐出量よりも大量の液体が分注されることとなり、分注量の精度が劣化するという問題があった。
【0006】
このような問題を解消すべく例えば、特許文献2(特開平9−229940号公報)には、自動分析装置におけるプローブ(ノズル)の水滴除去を行うために、ワイパーを用いてプローブの動作によりプローブ(ノズル)をワイパーに接触させ、ワイパーの吸引機構によりノズルに残った水滴を除去する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2001−242183号公報
【特許文献2】特開平9−229940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、特許文献2の水滴除去装置は、ワイパーを使用してノズルに付着した液体を除去するため、液滴除去作業に時間を要する。また、ノズルとワイパーを接触させる必要があるため、当該ノズルに外力あるいは、ノズル先端とワイパーとの接触により、ノズル内に貯留されている液体が漏出あるいはノズルの吐出方向奥側に後退するおそれがある。この問題は、ノズルからの液体の吐出量に影響を及ぼして分注量の精度の劣化につながる。特にごく微小な液体を吐出するためのノズルの径は、ごく小さいものであり、わずかな振動により液体に与える影響は大きい。また、ワイパーにノズル外壁に残存した液体が接触するため、例えば、異なる液体を分注する場合、従前にワイパーに残存していた液体が、ワイパーからノズルに付着して液体の混入などをおこすおそれがある。さらに、ワイパーを定期的に、洗浄・交換する必要もある。
【0008】
したがって、本発明が解決しようとする技術的課題は、上記問題を解決するものであり、液体の分注量の精度を向上させることができる分注装置用液滴除去装置、分注装置及び分注方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の分注装置用液滴除去装置、分注装置及び分注方法を提供する。
【0010】
本発明の第1態様によれば、ノズル内に液体収容容器に収容された液体を吸引した後分注容器に吐出可能な分注ヘッドを備えた分注装置に用いられる分注装置用液滴除去装置であって、
前記ノズルの径よりも大きい開口を上面に有する本体部で構成され、前記開口部分にガスを吹き出す吹出口を有し、前記吹出口からガスを吹き出すことによって前記開口内に位置する前記ノズルの外側に付着した前記液滴を除去することを特徴とする、分注装置用液滴除去装置を提供する。
【0011】
本発明の第2態様によれば、前記吹出口は、前記開口中心に対して対向する位置に設けられていることを特徴とする、第1態様の分注装置用液滴除去装置を提供する。
【0012】
本発明の第3態様によれば、前記吹き出し口は、前記ノズルの延在方向に対して直交する方向にガスを吹き出すように構成されていることを特徴とする、第1又は第2態様の分注装置用液滴除去装置を提供する。
【0013】
本発明の第4態様によれば、ノズル内に液体収容容器に収容された液体を吸引した後分注容器に吐出可能な分注ヘッドと、
前記ノズルの径よりも大きい開口を上面に有する本体部で構成され、前記開口部分に前記開口中心に対して対向する位置にガスを吹き出す吹出口を有し、前記吹出口からガスを吹き出すことによって前記開口内に位置する前記ノズルの外側に付着した前記液体を除去する液滴除去部と、
前記液体収容容器と前記分注容器と前記開口とに位置決め可能に前記分注ヘッドの移動を行い、前記収容容器から液体を吸引した前記分注ヘッドの前記ノズルを前記開口部分に移動させて前記液滴除去部により前記ノズルに付着した液体を除去した後、前記分注容器に前記分注ヘッドを移動させるヘッド移動装置と、を備えることを特徴とする分注装置を提供する。
【0014】
本発明の第5態様によれば、前記ヘッド移動装置は、前記ノズルが前記開口の周縁に接触しないように、前記ノズルを前記開口に位置決め可能であることを特徴とする、第4態様の分注装置を提供する。
【0015】
本発明の第6態様によれば、ノズル内に液体収容容器に収容された液体を吸引した後分注容器に吐出可能な分注ヘッドを備えた分注装置において使用される分注方法であって、
前記収容容器から液体を吸引して前記ノズル内に液体を貯留し、
液滴除去部に前記分注ヘッドのノズルを、前記ノズルの径よりも大きい開口を上面に有する本体部で構成され、前記開口部分に前記開口中心に対して対向する位置にガスを吹き出す吹出口を有する液滴除去部の前記開口に挿入し、
前記吹出口からガスを吹き出すことによって前記開口内に位置する前記ノズルの外側に付着した液体を除去し、
前記分注容器に前記分注ヘッドを移動させて前記分注容器に前記ノズル内に収容されている液体を吐出して分注動作を行うことを特徴とする分注方法を提供する。
【0016】
本発明の第7態様によれば、液体収容容器に収容された液体を吸引して保持するノズルの外側に付着した液滴を除去する分注装置用液滴除去装置であって、
ノズルの径よりも大きい開口とガスを吹き出す吹出口を有する管路とを備え、液体を保持したノズルを前記開口に挿入した状態でこのノズルの外側に前記吹出口からガスを吹き付けるように構成された本体部と、
一端が前記管路に接続され他端が圧縮ガスを供給する圧縮ガス供給部に接続された圧縮ガス給送管と、
前記圧縮ガス給送管の途中に配置されたバルブと、
前記バルブを開閉させるバルブ駆動部と、
を備えた分注装置用液滴除去装置を提供する。
【0017】
本発明の第8態様によれば、前記開口中心に対して対向する位置に前記管路の吹出口を設けたことを特徴とする、第7態様の液滴除去装置を提供する。
【0018】
本発明の第9態様によれば、前記吹出口は、前記ノズルの延在方向に対して直交する方向にガスを吹き出すように構成されている第7又は第8態様の液滴除去装置を提供する。
【0019】
本発明の第10態様によれば、ノズル内に液体収容容器に収容された液体を吸引した後分注容器に吐出可能な分注ヘッドと、
ノズルの径よりも大きい開口とガスを吹き出す吹出口を有する管路とを備え、液体を保持したノズルを前記開口に挿入した状態でこのノズルの外側に前記吹出口からガスを吹き付けるように構成された本体部と、
一端が前記管路に接続され他端が圧縮ガスを供給する圧縮ガス供給部に接続された圧縮ガス給送管と、
前記圧縮ガス給送管の途中に配置されたバルブと、
前記バルブを開閉させるバルブ駆動部と、
前記分注ヘッドを前記液体収容容器、前記分注容器ならびに前記開口へ所定の順序で移動させるヘッド移動装置と、を備えることを特徴とする分注装置を提供する。
【0020】
本発明の第11態様によれば、前記ヘッド移動装置は、前記ノズルが前記開口の周縁に接触しないように、前記ノズルを前記開口に位置決め可能であることを特徴とする、第10態様の分注装置を提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明の第1態様、第7態様及び第10態様によれば、ガスを吹き出すことにより液滴を除去することができるため、ワイパーなどにノズルを接触させる必要がない。したがって、液体の吐出量に影響を及ぼさない。また、ワイパーに残存していた液体が、ワイパーからノズルに付着して液体の混入などをおこすことがない。さらに吹き出すガスの風圧によって液滴を吹き飛ばすので、液滴除去作業時間が短時間で済む。また、非接触で液滴を除去するので液滴付着による清掃や部材の交換といった作業が少なくなる。
【0022】
本発明の第2態様及び第8態様によれば、ガスを対向位置から吹き出すことにより、ノズルの周方向全面にガスを吹き付けることができ、周方向における液体の除去にムラを生じさせることがない。
【0023】
本発明の第3態様及び第9態様によれば、ノズルに直交する方向にガスを吹き出すことにより、ガス吹き出しによる液滴除去を効率的に行うことができる。また、ノズル内に保持している液体に対する風圧の影響を最小限に抑えることができる。
【0024】
本発明の第4態様、第6態様によれば、液体を吸引した後に液滴除去部によりノズルに付着した液体を除去するように構成されているため、分注動作時における吐出量に影響を及ぼすことがなく、また、異なる種類の液体同士の混合を防止することができる。さらに吹き出すガスの風圧によって液滴を吹き飛ばすので、液滴除去作業時間が短時間で済む。また、非接触で液滴を除去するので液滴付着による清掃や部材の交換といった作業が少なくなる。
【0025】
本発明の第5態様及び第11態様によれば、ヘッド移動装置を利用して、ノズルが液滴除去部の開口の周縁に接触しないように分注ヘッドを位置決めするので、ノズルを開口部へ位置させるための特別な機構が不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態に係る分注装置について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
本発明の一の実施形態にかかる分注装置の全体構成を模式的に示す模式構成図を図1に示す。図1に示すように、分注装置101は、剛体部材により形成された基台であるベースステージ3を備えており、このベースステージ3上には、ティップ装着ステージS1、液体収容ステージS2、及びプレート載置ステージS3、液滴除去ステージS4とが設けられている。また、分注装置101は、分注処理を行うための単一のノズル部16を備えた分注ヘッド装置10と、この分注ヘッド装置10の図示X軸方向又はY軸方向への移動を行うXYロボット12(ヘッド移動装置の一例である)とが備えられている。XYロボット12によりこの分注ヘッド装置10が、上記それぞれのステージS1〜S4を移動して、分注ヘッド装置10に備えられたそれぞれのノズル部16の下端部に着脱自在に装着されたティップ14によって、液体を吸入して容器に吐出する分注処理が行われる。なお、上記X軸方向とY軸方向とは、ベースステージ3の大略表面沿いの方向であって、互いに直交する方向である。
【0028】
また、図1に示すように、ベースステージ3上のティップ装着ステージS1には、未使用の複数のティップ14を整列配列させた状態で収容するティップ収容容器6が載置されている。液体収容ステージS2には、検体・試料・試薬等の液体が収容された液体収容容器5が例えば3台載置されている。なお、このような液体収容容器5はその内部に収容される液体の温度を調整する(例えば所定の温度に保つ)温度調節機能を備えるように構成されていてもよい。プレート載置ステージS3には、分注対象である液体が分注により所定量だけ供給される多数のウェルが形成されたマイクロプレート4(あるいはマイクロタイタープレート4という場合であってもよい)が複数、例えば、2枚載置されている。液滴除去ステージS4は、液滴除去装置9が設けられており、分注ヘッド装置のノズル(ティップ14)に付着した液体を除去する。
【0029】
次に、ティップ14及びマイクロプレート4について説明する。ティップ14は液体を吸入又は吐出可能な貫通孔を有する先細りのテーパ状のノズル状部品であり、使用の都度交換されるいわゆる使い捨て部品である。ティップ14は、分注ヘッド装置10が備えるシリンダ32のノズル部16の先端に交換自在に装着されて液体の吐出などを行うノズルとして機能する。図2(A)に示すように、分注ヘッド装置10には、ティップ14がノズル部16に装着される。
【0030】
また、図2(B)に示すように、未使用のそれぞれのティップ14は、格子状の配列を有するティップ収容容器6内に収容されており、ティップ収容容器6の上方に分注ヘッド装置10を移動させたあと下降させることにより、それぞれのティップ14を分注ヘッド装置10のノズル部16に自動的に装着することが可能となっている。
【0031】
これらのティップ14の先端部を、例えば、マイクロプレート4(マイクロタイタープレート)に格子状に設けられた凹部であるウェル4a内に下降させて液体を吸入し、あるいは、液体収容容器5内に下降させて収容されている液体を吸入し、上記マイクロプレート4とは異なるマイクロプレート4のウェル4aにそれぞれのティップ14より上記吸入した液体を吐出することにより、異なるマイクロプレート4間で液体の移し替えや、マイクロプレート4への液体の供給等の分注処理を行うことができる。
【0032】
次に、図3Aから図3Cを参照して、本分注装置で用いられるマイクロプレート4の構成例について説明する。図3Aから図3Cに示すマイクロプレートは、タンパク質溶液中のタンパク質を結晶化させるために用いられる結晶化容器であるが、本実施形態にかかる分注装置は、図3Aなどに示すマイクロプレートのほか、本体に格子状に凹部であるウェルが形成された構成のものを用いることができる。図3Aに示すように、マイクロプレート4には複数のウェル4aが格子状に形成されている。ウェル4aは、円形の貯液部4cの中心に円柱状の液保持部4bが設けられたいわゆるカルデラ状の液体収納用の凹部であり、ウェル4a内には、それぞれ液保持部4bと凹状の貯液部4cにそれぞれ異なる液体が分注される。
【0033】
図3Bはこれらの液体を収容した1つのウェル4aの断面を示している。ウェル4a内では、液保持部4bの頂部に設けられたポケット内に液滴状の第1の液体(結晶化溶液)46aが載置状態で保持されており、液保持部4bを囲むリング状の貯液部4cには、他の第2の液体(タンパク質溶液)46bが貯溜される。これらの第1の液体46a及び第2の液体46bは、液体収容容器5に貯留されているものであり、後述するように、本実施形態にかかる分注装置101によってウェル4a内に分注されたものである。後述するように本マイクロプレートを用いてタンパク質の結晶化の開始に際しては、液保持部4bに保持された第1の液体46aに所定量の他の液体46bを貯液部4cから取り出して分注して混合する動作を行う。
【0034】
ティップ収容容器6には、分注操作に使用されるティップ14が格子状配列で複数保持されている。図3Aに示すマイクロプレートを用いた分注には、後述するように大小2種類のティップが用いられ、ティップ収容容器6にはそれぞれ小型サイズ、大型サイズのティップが収納されている。これらのティップは、上述したようにノズル部16に挿入されて分注ヘッド装置10に装着され、分注操作が実行される。
【0035】
なお、使用後の消耗部品を回収するための図示しない廃棄ボックスが設けられており、使用されたティップは、この廃棄ボックス内に投棄される。
【0036】
図3Cは、この分注装置を用いて行われるマイクロプレート作製動作における分注操作を示している。分注ヘッド装置は、ティップ14aを装着して液体収容容器から第2の液体46bを吸引して取り出し、次いで図3C(A)に示すように、ウェル4aの貯液部4c内に第2の液体46bを分注する。このとき、用いられるティップ14aは大型サイズの結晶化溶液用ティップであることから、貯液部4c内への分注量が多い場合でも短時間で分注を完了することができる。
【0037】
次に、液体収容容器から第1の液体46aを取り出し、図3C(B)に示すように、貯液部4c内に第2の液体46baが分注されたウェル4aを対象として、液保持部4bの頂部のポケット内に第1の液体46aを分注する。このときに用いられるティップ14bは小型のものを用いることが好ましい。
【0038】
次いで分注ヘッド装置10は、小型のティップを装着し、図3C(C)に示すように、小型のティップ14bによって貯液部4c内の第2の液体46bの一部を吸引し、所定量の第2の液体46bを液保持部4bに既に分注されている第1の液体46aと加え合わせる。このとき、用いられるティップ14は小型サイズのティップ14bであることから、第1の液体46aに加え合わせる第2の液体46bの量が微量である場合にも、精度の良い分注が行われる。なお、この動作においては、ティップ14bの先端に第2の液体46bのドロップを作成し、その後、ティップ14bを下降させて、第2の液体46bのドロップと液保持部4bに既に分注されている第1の液体46aとを接触させるドロップタッチ方式により分注動作がなされる。この動作については、詳細は後述する。
【0039】
次に、分注装置101が備える分注ヘッド装置10の模式図を図4に示して、分注ヘッド装置10の構成及び駆動機構の制御系について詳細に説明する。
【0040】
図4に示すように、分注ヘッド装置10は、ノズル部16等を備えて分注処理を行うヘッド本体ユニット20と、このヘッド本体ユニット20を昇降させる昇降装置22とを備えている。なお、ヘッド本体ユニット20は、昇降装置22を介して、XYロボット12に支持されている。昇降装置22は、昇降方向に配置されるとともにヘッド本体ユニット20を昇降可能に支持するボールねじ軸23と、ボールねじ軸23に連結されボールネジ軸23を回転駆動させる昇降駆動モータ27とを備えている。また、ボールねじ軸23は、ヘッド本体ユニット20のフレーム28に装着されたナット部24に螺合されている。昇降装置22がこのような構成を有していることにより、昇降駆動モータ27を正逆いずれかの方向に駆動させることにより、ボールねじ軸23に螺合されているナット部24を当該ボールねじ軸23に沿って上方又は下方に移動させることで、フレーム28を介してヘッド本体ユニット20を上昇又は下降させることができる。
【0041】
また、図4に示すように、ヘッド本体ユニット20は、昇降装置22により昇降可能に支持されているフレーム28と、このフレーム28に支持されたシリンダブロック29と、このシリンダブロック29に設けられたシリンダ32内に一方の端部(図示下端部)が挿入されたピストン30と、ピストン30の他方の端部(図示上端部)に結合されたナット部31と、このナット部31を上下動させることで、シリンダ32内に挿入配置されたピストン30をシリンダ32の内壁に沿いながら一体的に上下動させるピストン駆動装置40とを備えている。
【0042】
また、シリンダ32の下方には、ノズル部16が設けられており、上述のようにノズル部16には、先端にティップ14が脱着可能に装着される。なお、フレーム28にはピストン駆動装置40が支持されており、ナット部31、ピストン30、及びシリンダブロック29は、ピストン駆動装置40を介してフレーム28に支持されている。
【0043】
また、フレーム28に装備されたピストン駆動装置40は、昇降方向に配置されるとともに、ナット部31を昇降可能に支持するボールねじ軸33と、ボールねじ軸33を回転駆動させるピストン駆動用モータ37とを備えている。
【0044】
また、ボールねじ軸33はピストン30に結合されたナット部31と螺合している。ピストン駆動装置40がこのような構成を有していることにより、ピストン駆動用モータ37を正逆いずれかの方向に回転駆動させることで、ボールねじ軸33を正逆いずれかの方向に回転駆動させて、このボールねじ軸33に螺合されているナット部33aをボールねじ軸33の軸方向に沿って上昇又は下降させることができる。その結果、ナット部31を上昇又は下降させることができ、シリンダ32内に挿入配置されたピストン30をシリンダ内壁に沿って上昇又は下降させることが可能となっている。
【0045】
次に液滴除去装置について説明する。液滴除去装置は、図4に示すように、内部が空洞になった略箱形形状の本体部70の上面に開口71が設けられ、当該開口71を形成する本体上面の壁の部分に空気を吹き出すための吹出口72が設けられている。吹出口72は、開口71の延在方向に対して直交する方向に空気を吹き出すように設けられており、開口71の中心に対して対向する位置の2箇所に設けられている。空気の吹出口は、図4に示す2箇所でなくてもよく、例えば、4箇所に設けることができる。また、吹出口72につながる管路72aには、風量調節部75が設けられており、吹出口72から吹き出される空気の量を調整することができる。
【0046】
管路72aには、液滴除去装置9の外部に設けられている空圧源63から圧縮ガス給送管74を通って圧縮ガスとしての空気が供給され吹き出される。圧縮ガス給送管74には、途中にプランジャバルブ61、レギュレータ62が設けられている。空気の吹き出し圧は、用いる液体の性質やノズルの形状などの実験条件により適宜設計すればよいが、例えば、吹き出し圧を0.01MPaから0.49MPaまで、風量を100L/分とすることができる。
【0047】
プランジャバルブ61は、バルブ駆動部93から供給される駆動信号を受けて開放状態と閉鎖状態とを切替可能に構成されている。上述のように、圧縮ガス給送管74は、圧縮ガス供給部である空圧源63に接続されているため、プランジャバルブ61が開放状態にあるときは、空気が送られて吹出口72から空気が吹き出す。このとき、風量調節部75によって、2つの吹出口72から吹き出す空気の量をほぼ等しく調整すると共に、ティップ14の外壁に付着した液滴を除去するために適切な風量で空気を吹き出すことが好ましい。一方、プランジャバルブ61が閉鎖状態にあるときは、空気の吹き出しが停止される。
【0048】
また、ティップ14は、開口の周囲の壁71aに接触しないように、開口71に挿入されることが好ましく、ティップ14の位置と開口71との位置が一致するようにXYロボット12により分注ヘッド装置10の位置あわせが行われる。
【0049】
液滴除去装置は、図5に示すように、開口71にティップ14が挿入された状態で空気を吹出口72から吹き出すことによりティップ14の外側に付着した液体を除去するためのものである。ティップ14の外側に付着した液滴状の液体を除去する場合は、空気圧を液滴に効果的に作用させて瞬時に吹き飛ばすのが望ましい。このため、本実施形態においては、ティップ14に対して直交方向に空気を吹き付ける構成を採っている。
【0050】
また、ティップ14に対して直交方向に空気を吹き付ける構成を採っているので、ティップ14の最先端に位置する吐出口には、直接空気があたらないため、ティップ14の吐出口の際まで吸引された第1の液体46a,46bを風圧で除去または移動させるようなことがなく、液体の吐出量に変動を起こさせることがない。
【0051】
なお、図5においては、開口の周囲の壁71aは、ノズルの延在方向に略水平に構成されているが、吹出口72から吹き出された空気を本体部70の内側に向かって導くために、当該壁71aにテーパを設けてもよい。具体的には、上方よりも下方が大径となるように壁71aにテーパを設ければ、吹出口から吹き出された空気を本体内部に導くことができる。さらに、本体内部の空間73内を減圧するための吸引ポンプを設け、負圧により吹出口から吹き出された空気を本体内部に導くように構成することもできる。
【0052】
次に、分注装置101における制御系の構成について説明する。分注装置101は、その分注処理の動作の制御を行う分注装置制御システム90を備えている。この分注装置制御システム90の構成を図4に示す。なお、図4に示す制御ブロックシステムにおいては、その主要な制御構成についてのみ示している。
【0053】
図6に示すように、分注装置制御システム90は、システム全体の各ブロックについて統括的な制御を行う制御部91と当該制御部91に格納されている分注動作に関するプログラムである分注動作プログラム92を備える。制御部91は、XYロボット12による分注ヘッド装置10のXY移動の動作制御を行うXYロボット駆動部96と、分注ヘッド装置10の昇降駆動モータ27の昇降動作制御を行う昇降モータ駆動部95と、分注ヘッド装置10のピストン駆動用モータ37の駆動制御を行うポンプ駆動部94と、プランジャバルブ61に駆動パルスを印加するバルブ駆動部93とを備える。
【0054】
XYロボット駆動部96は、XYロボット12による分注ヘッド装置10のX軸方向又はY軸方向の移動動作の制御を行うことにより、分注ヘッド装置10を各ステージS1〜S4へ位置決めするための動作制御を行う。昇降モータ駆動部95は、昇降装置22によるヘッド本体ユニット20の昇降動作の制御を行う。また、ポンプ駆動部94は、ピストン駆動装置40によるピストン30の昇降動作の制御を行う。バルブ駆動部93は、プランジャバルブ61に駆動信号を印加して、プランジャバルブ61の開閉を切り替える。
【0055】
また、分注装置制御システム90には、ユーザにより設定される制御条件を制御部へ入力する入力部97及び分注装置101の現在の状態及び作業工程を表示するための表示部98が設けられている。入力部97を通して入力される制御条件としては、例えば、分注ヘッド装置10が装備するノズル部16における液体の吸入量あるいは吐出量のデータが例示できる。特に、このような分注処理においては、微少量の液体の吸入及び吐出を正確に行う必要があるとともに、取り扱われる液体の種類に応じて適切な条件を設定する必要がある。このように入力部97を通じて設定される液体の吸入・吐出量のデータは、制御部91において、シリンダ32内におけるピストン30の移動距離すなわちピストンストロークのデータに変換して、上記設定された液体の吸入・吐出量に応じた制御を行うことができる。
【0056】
次に、本実施形態にかかる分注装置の分注方法について図6、図7に示すフローチャートに基づいて以下に説明する。図6、図7に示すフローチャートは、図3Aに示すマイクロプレート4を用いて、図3Cに示す操作を行うための処理である。マイクロプレート4の形状及び処理の内容が異なれば、各工程について若干の相違があることはいうまでもない。
【0057】
まず、図示しない入力部としての操作スイッチなどを操作し、分注作業を開始する要求を制御部91がうけると、分注操作を開始する。制御部91は、XYロボット12を操作して、シリンダ32のノズル部16にティップ14を取り付けるべく、ティップ収容容器6の上方へ分注ヘッド装置10を移動させる。次に昇降駆動モータ27を動作させてヘッド本体ユニット20を下降させ、ノズル部16にティップ14を取り付ける。次に、制御部91がXYロボット12を操作して、分注ヘッド装置10を液体収容ステージS2の第2の液体46bが貯留されている液体収容容器5の上方に移動させた後、昇降モータ27を駆動させてティップ14の先端が第2の液体46bに接触するようにヘッド本体ユニット20を下降させる。その後、ポンプ駆動部94がピストン駆動用モータ37を動作させてピストン30を引き上げ、ティップ14内に第2の液体46bを吸引させる。ティップ14内に第2の液体46bを吸引した後、分注ヘッド装置10をマイクロプレート4の1つめのウェル4aの貯留部4cの上に位置あわせする(#1)。
【0058】
次いで、制御部91は、ピストン30を駆動させて、マイクロプレート4の1つめのウェル4aの貯留部4cに、所定量の第2の液体46bを分注する(#2)。次いで、次に分注すべきウェルが存在する場合(#3)は、分注ヘッド装置10をマイクロプレート4の2つめのウェル4aの貯留部4cの上に位置あわせする(#4)。この動作を繰り返し、分注すべきすべてのウェル4aに第2の液体46bを分注する。なお、この作業において、すべてのウェルの貯留部4cに第2の液体46bを分注するまでに、ティップ14内に吸引した第2の液体46bが不足した場合には、吸引動作をもう一度行い、第2の液体46bを貯留部4cへ分注するようにする。
【0059】
上記動作を繰り返して、分注すべきすべての貯留部4cに第2の液体46bの分注が終了すると、次にティップ14を交換する(#5)。このティップ交換は、ウェル4aに別の第1の液体46aを分注するためであり、先に分注した第2の液体46bと混合しないようにするためである。ティップ交換は、具体的には、図示しないティップ脱離機構によってティップをノズル部16から取り除いた後、先に行ったティップの取り付けと同様に処理を行うが、ティップのサイズが異なる場合は、当該操作において用いられるティップ14を収容しているティップ収容容器6からティップを選択するようにする。
【0060】
次に、制御部91がXYロボット12を操作して、分注ヘッド装置10を液体収容ステージS2の第2の液体46bが貯留されている液体収容容器5の上方に移動させた後、昇降駆動モータ27を駆動させてティップ14の先端が第1の液体46aに接触するようにヘッド本体ユニット20を下降させる。その後、ポンプ駆動部94がピストン駆動用モータ37を動作させてピストン30を引き上げ、ティップ14内に第1の液体46aを吸引する。ティップ14内に第1の液体46aを吸引した後、分注ヘッド装置10をマイクロプレート4の1つめのウェル4aの液保持部4bの上に位置あわせする(#6)。
【0061】
次いで、制御部91は、ピストン30を駆動させて、マイクロプレート4の1つめのウェル4aの液保持部4bに、所定量の第1の液体46aを分注する(#7)。次いで、次に分注すべきウェル4aが存在する場合(#8)は、分注ヘッド装置10をマイクロプレート4の2つめのウェル4aの液保持部4bの上に位置あわせする(#9)。この動作を繰り返し、分注すべきすべてのウェル4aの液保持部4bに第2の液体46bを分注する。なお、この作業において、すべてのウェルに第1の液体46aに分注するまでに、ティップ14内に吸引した第1の液体46aが不足した場合には、吸引動作をもう一度行い、第1の液体46aを液保持部4bへ分注するようにする。
【0062】
これらの動作が終了すると、マイクロプレート4は、分注すべきすべてのウェル4aの液保持部4b及び貯留部4cに液体が分注されている状態となっている。この後、貯留部の第2の液体46bの一部を液保持部4bの液体中に加える動作を行う(#10)。この動作の詳細なフローを図7に示す。
【0063】
まず、ノズル部16のティップを交換した後、制御部91がXYロボット12を操作して、分注ヘッド装置10をマイクロプレート4の1つめのウェル4aの貯留部の上方へ移動させた後、昇降モータ27を駆動させてティップ14の先端が貯液部4cに収容されている第2の液体46bに接触するようにヘッド本体ユニット20を下降させる。その後、ポンプ駆動部94がピストン駆動用モータ37を動作させてピストン30を引き上げ、ティップ14内に第2の液体46bを吸引する(#11)。
【0064】
次いで、吸引が終了すると、ティップ14の先端が液保持部4b内の第2の液体46bから離れるようにヘッド本体ユニット20を上昇させ、XYロボット12を操作して分注ヘッド装置を液滴除去装置9の開口の上方へ移動させた後、ノズル本体ユニット20を下降させて、ティップ14の先端を液滴除去装置9の開口部分へ挿入する(#12)。液滴除去装置9は、上述のように開口71内へティップ14が挿入された状態で、吹出口72から空気を吹き出すことにより、ティップ14の外壁に付着した試薬46bを除去する(#13)。このとき、制御部91は、ティップ14が開口部分71に挿入された後にバルブ駆動部93を駆動させ、吹出口72から空気を吹き出すように制御することが好ましい。
【0065】
吹出口72から吹き出された空気によって、ティップ14の外壁に付着した第2の液体46bが除去されると、ヘッド本体ユニット20を上昇させてティップを開口部71から外し、XYロボット12を操作して分注ヘッド10を液保持部4bの上方へ移動させる(#14)。このとき、空気を吹き出しながらヘッド本体ユニット20をゆっくり上昇させると、ティップの外壁に残存した液滴がノズルの先端方向に吹き飛ばされ、ノズルから除去されやすくなるので好ましい。また、ノズルの上昇速度を段階的にスローダウンさせる動作を組み合わせることにより、最初は高速でノズルを上昇させ、下端部が吹出口72に接近するに従って低速に切換る方法でもよい。なお、この場合において、ノズルの下端部に風圧を作用させるとノズルの内部の液体が移動・除去される可能性があるため、ノズルを徐々に上昇させ、下端部が吹出口と同じくらいの高さもしくは1mm〜2mmほど低い高さに達したらノズルの上昇を停止し、しばらくしてガス吹き出しも停止させる。なお、このときも、ノズルの下端部に風圧が作用しないようにノズルの高さ及び空気の吹き出し量を制御することが好ましい。
【0066】
その後、XYロボット12により、ヘッド本体ユニット20をマイクロプレート4のウェル4aの液保持部4bの上に位置あわせする。その後、ピストン30をわずかに駆動させ、ティップ14の先端に第2の液体46bのドロップを作成する(#15)。
【0067】
ティップ14の先端にドロップが作成されると、ヘッド本体ユニット20をわずかに下降させ、ドロップと液保持部4bに先に分注された第1の液体46aとを接触させるドロップタッチを行う(#16)。このとき、ティップ14の先端が液保持部4bに先に分注された第1の液体46aと接触しないように下降幅を制御する。2つの液滴は、接触して同一化し、ティップ14の先端からドロップが外れて液保持部4bに移動する。
【0068】
ドロップタッチの後、ヘッド本体ユニット20を上昇させて(#17)、1つのウェル4aについて、第2の液体46bの液保持部4bへの分注操作が終了する。他に分注すべきウェルがある場合(#18)は、次のウェルの貯液部4cに分注ヘッド10を移動(#19)させた後、上記分注動作を繰り返し行う。分注すべきウェルにすべて第2の液体46bを分注すると、分注動作を終了させる。
【0069】
なお、本実施形態にかかる分注装置においては、ティップ内に液体を吸引するとき、ティップ14内のウェット性を高め、分注時の吐出量を高精度に制御するため、プリウェット動作を行うようにしてもよい。プリウェット動作は、ピストン30の動作によりティップ14内へ液体を吸引する場合、ティップ14の内壁に吸引・吐出する液体を接触させて、ティップ14の内壁の濡れ性を向上させ、ティップ内壁の撥水性に伴う吐出量の変動を少なくするために行う動作である。
【0070】
プリウェット動作の具体的な処理工程を図8に示す。図8(A)は、ヘッド本体ユニット20が下降して、ティップ14の先端が吸引すべき液体に接触している状態を示している。この後、ピストン30を駆動させて、液体をティップ14内へ吸引動作を行うが、このときの吸引量Vを吸引する(図8(B))。つぎに、ピストン30を下降させ、ティップ14内の液体がVとなるまで液体を吐出する。以下、これらの動作を複数回、例えば3回繰り返し行い、ティップ14の内壁を液体と十分に接触させた後、ティップ14内に吸引される最終的な液体の吸引量がVとなるようにし、ティップ14を液体から外れるようにする(図8(D))。
【0071】
このようにして、ティップ14内への液体の吸引時において、ピストンを往復させて、液体をVだけ吸引させた後、Vとなるまで吐出する動作を繰り返すことにより、ティップ内の圧力を高めにして、液体の分注時における吐出量を安定させることができる。
【0072】
以上説明したように、本実施形態にかかる分注装置によれば、液体を吸引した後、分注する作業を開始するまでに、液滴除去装置9によってティップの外壁に付着した液体を除去するようにしているため、液の混入を防止することができ、また、ドロップタッチ方式により分注動作を行う場合に、当該付着した液体が液滴と同一化して大きな液滴となることを防止することができる。したがって、分注量を均一に制御することが容易であり、高精度の分注動作を行うことができる。
【0073】
また、シリンダ32のノズル部16に、脱着自在なティップ14を装着して、液体の吸引及び吐出を行う構成としているため、液体の種類ごとにティップ14を交換して、液体同士の混入などを防止することができる。
【0074】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施可能である。液滴除去装置に設けられている吹出口は、対向位置に2箇所である必要はなく、3以上の吹出口から空気を吹き出すように構成されていてもよい。さらにバルブとしてプランジャバルブを使用した例を説明したが、パルス信号によって高速開閉動作を行えるバルブであればそれを代用することができる。
【0075】
また、例えば、本実施形態にかかる分注ヘッド装置は、シリンジ32のノズル部16の先端にティップを装着して液体を吸引・吐出するものであるが、必ずしもティップを用いるものでなくてもよく、ノズル部16に直接資料を吸引、吐出するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明の一の実施形態にかかる分注装置の外観構成を示す模式斜視図である。
【図2】(A)は分注ヘッド装置のシリンダの先端部分の構成を模式的に示す部分拡大断面図であり、(B)はティップ収容容器の構成を示す模式図である。
【図3A】図1の分注装置において使用されるマイクロプレートの外観斜視図である。
【図3B】図3Aのマイクロプレートの部分断面図である。
【図3C】図3Aのマイクロプレートを用いた場合の分注操作の説明図である。
【図4】図1の分注装置の分注ヘッド装置10及び駆動制御系の構成を示す模式図である。
【図5】図1の分注装置が備える液滴除去装置の構成を示す断面図である。
【図6】図1の分注装置の分注方法の一例を示すフローチャートである。
【図7】図6のフローチャートの詳細フローチャートである。
【図8】図1の分注操作において行われるプリウェット動作の処理工程を示す説明図である。
【図9】分注装置の分注動作を示す説明図である。図1の分注装置が液体を吐出させるためにマイクロプレートの上方併置している状態を示す模式図である
【図10A】ノズルの外壁に液滴が残存した状態を示す模式図である。
【図10B】ノズルの外壁に残存した液滴による不良状態を説明するための模式図である。
【符号の説明】
【0077】
3 ベースステージ
4 マイクロプレート
5 液体収容容器
9 液滴除去装置
10 分注ヘッド装置
12 XYロボット
14,14a,14b ティップ
16 ノズル部
20 ヘッド本体ユニット
22 昇降装置
25 バッファタンク
26 プランジャバルブ
30 ピストン
32 シリンダ
40 ピストン駆動装置
61 プランジャバルブ(バルブ)
70 本体部
71 開口
72 吹出口
72a 管路
74 圧縮ガス給送管
91 制御部
93 バルブ駆動部
101 分注装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル内に液体収容容器に収容された液体を吸引した後分注容器に吐出可能な分注ヘッドを備えた分注装置に用いられる分注装置用液滴除去装置であって、
前記ノズルの径よりも大きい開口を上面に有する本体部で構成され、前記開口部分にガスを吹き出す吹出口を有し、前記吹出口からガスを吹き出すことによって前記開口内に位置する前記ノズルの外側に付着した前記液滴を除去することを特徴とする、分注装置用液滴除去装置。
【請求項2】
前記吹出口は、前記開口中心に対して対向する位置に設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の液滴除去装置。
【請求項3】
前記吹出口は、前記ノズルの延在方向に対して直交する方向にガスを吹き出すように構成されていることを特徴とする、請求項1又は2記載の液滴除去装置。
【請求項4】
ノズル内に液体収容容器に収容された液体を吸引した後分注容器に吐出可能な分注ヘッドと、
前記ノズルの径よりも大きい開口を上面に有する本体部で構成され、前記開口部分に前記開口中心に対して対向する位置にガスを吹き出す吹出口を有し、前記吹出口からガスを吹き出すことによって前記開口内に位置する前記ノズルの外側に付着した前記液体を除去する液滴除去部と、
前記液体収容容器と前記分注容器と前記開口とに位置決め可能に前記分注ヘッドの移動を行い、前記収容容器から液体を吸引した前記分注ヘッドの前記ノズルを前記開口部分に移動させて前記液滴除去部により前記ノズルに付着した液体を除去した後、前記分注容器に前記分注ヘッドを移動させるヘッド移動装置と、を備えることを特徴とする分注装置。
【請求項5】
前記ヘッド移動装置は、前記ノズルが前記開口の周縁に接触しないように、前記ノズルを前記開口に位置決め可能であることを特徴とする、請求項4に記載の分注装置。
【請求項6】
ノズル内に液体収容容器に収容された液体を吸引した後分注容器に吐出可能な分注ヘッドを備えた分注装置において使用される分注方法であって、
前記収容容器から液体を吸引して前記ノズル内に液体を貯留し、
液滴除去部に前記分注ヘッドのノズルを、前記ノズルの径よりも大きい開口を上面に有する本体部で構成され、前記開口部分に前記開口中心に対して対向する位置にガスを吹き出す吹出口を有する液滴除去部の前記開口に挿入し、
前記吹出口からガスを吹き出すことによって前記開口内に位置する前記ノズルの外側に付着した液体を除去し、
前記分注容器に前記分注ヘッドを移動させて前記分注容器に前記ノズル内に収容されている液体を吐出して分注動作を行うことを特徴とする分注方法。
【請求項7】
液体収容容器に収容された液体を吸引して保持するノズルの外側に付着した液滴を除去する分注装置用液滴除去装置であって、
ノズルの径よりも大きい開口とガスを吹き出す吹出口を有する管路とを備え、液体を保持したノズルを前記開口に挿入した状態でこのノズルの外側に前記吹出口からガスを吹き付けるように構成された本体部と、
一端が前記管路に接続され他端が圧縮ガスを供給する圧縮ガス供給部に接続された圧縮ガス給送管と、
前記圧縮ガス給送管の途中に配置されたバルブと、
前記バルブを開閉させるバルブ駆動部と、
を備えた分注装置用液滴除去装置。
【請求項8】
前記開口中心に対して対向する位置に前記管路の吹出口を設けたことを特徴とする、請求項7に記載の液滴除去装置。
【請求項9】
前記吹出口は、前記ノズルの延在方向に対して直交する方向にガスを吹き出すように構成されていることを特徴とする、請求項7又は8記載の液滴除去装置。
【請求項10】
ノズル内に液体収容容器に収容された液体を吸引した後分注容器に吐出可能な分注ヘッドと、
ノズルの径よりも大きい開口とガスを吹き出す吹出口を有する管路とを備え、液体を保持したノズルを前記開口に挿入した状態でこのノズルの外側に前記吹出口からガスを吹き付けるように構成された本体部と、
一端が前記管路に接続され他端が圧縮ガスを供給する圧縮ガス供給部に接続された圧縮ガス給送管と、
前記圧縮ガス給送管の途中に配置されたバルブと、
前記バルブを開閉させるバルブ駆動部と、
前記分注ヘッドを前記液体収容容器、前記分注容器ならびに前記開口へ所定の順序で移動させるヘッド移動装置と、を備えることを特徴とする分注装置。
【請求項11】
前記ヘッド移動装置は、前記ノズルが前記開口の周縁に接触しないように、前記ノズルを前記開口に位置決め可能であることを特徴とする、請求項10に記載の分注装置。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10A】
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【図10B】
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【公開番号】特開2006−292416(P2006−292416A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−109782(P2005−109782)
【出願日】平成17年4月6日(2005.4.6)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】