説明

分注装置

【課題】ウェル数の多いマイクロプレートに分注する際、容器とウェルとの間の分注ユニット部の往復移動の制御が容易で、分注ユニットを効率よく移動でき、分注ユニットの構造が簡単な分注装置を提供する。
【解決手段】Y軸方向に所定の間隔pで格子状に配列した複数の筒状のウェルを有するマイクロプレートと、分注ユニット部と、移動機構部と、マイクロプレートおよび前記分注ユニット部の移動を制御し、液状試料の吸引および注入を制御する制御部とを備えた分注装置において、ラックは、複数の容器の配列がY軸方向に所定の間隔pのn倍(nは2以上の自然数を表す。)の間隔Pで格子状になるように収容し、分注ユニット部は、ラックに収容した容器のY軸方向の間隔と略同一の間隔に配列した複数のノズルを有し、制御部は、複数のノズルが複数の容器から液状試料を同時に吸引し、複数のウェルに同時に前記液状試料を注入するように制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状の試料や試薬などを所定の容器から吸引して他の容器に注入する分注装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食品や医薬品などの液状の試料や試薬を仕分けする装置として、液状の試料などを容器から吸引し、マイクロプレートのウェルなどに注入するノズルを備えているものが知られている。マイクロプレートの長手方向のウェルの配列をX軸方向、短手方向のウェルの配列をY軸方向とすると、ラックに保持され液状試料を収容した複数の容器から、ノズルで液状試料を吸引し、X軸方向、Y軸方向およびXY軸と垂直なZ軸方向にノズルを移動し、仕分け先のウェルなどの容器に注入する分注装置が知られている。
このような従来の分注装置は、具体的には、基台に鉛直フレームと片持フレームを設け、片持フレームにX軸、Y軸およびZ軸の3軸方向への移動自在のXYZ軸駆動機構を支持させ、分注のためのピペットチップを有する分注ユニットをXYZ軸駆動機構により移動させるように構成している。以上の構成により、従来の分注装置においては、XYZ軸駆動機構で基台上に配置したラック内の所望の容器の上方に分注ユニットをXY軸方向に移動し、さらにZ軸方向にピペットチップを下降させ、所望の容器から液状試料を吸引し、次いで、ピペットチップを上昇させ、XY軸方向に分注ユニットを、例えばマイクロプレート上方に移動し、さらにZ軸方向にピペットチップを下降させ、マイクロプレート内の所望のウェルに液状試料を注入している。全てのマイクロプレート内の所望のウェルに分注がなされるまで、分注ユニットはXYZ軸駆動機構によりラック内の容器と他の容器との間を繰り返し往復するようになっている(例えば、特許文献1参照)。
また、分注ユニットに複数のノズルを設け、この複数のノズルを昇降させるノズル昇降機構と、複数のノズルの間隔を任意の間隔に設定できるようノズル間隔可変機構とを備え、マイクロプレートの任意のウェルに自在に分注するようにしたものも知られている。
【0003】
【特許文献1】特許第3177608号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のものにおいては、例えば、マイクロプレートのウェルの数が24、48、96、384のように多くなる程、ラック内の容器とマイクロプレート内のウェルとの間の分注ユニットの往復回数が増加し分注のトータル時間が増加してしまうという問題がある。特に、単一のノズルを有する分注装置では、ウェルの数が多くなると比例的に分注の回数が増加してしまう。
また、ラック内の容器の液状試料の種類が多くなる程、分注ユニットの往復回数が増加するとともに、XYZ軸駆動機構の往復移動が複雑となり往復移動に無駄が生じてしまうおそれがある。
また、ノズル昇降機構およびノズル間隔可変機構とを備えた分注装置においては、ノズル間隔を可変にする機構が複雑となり、さらに、液状試料、試薬などを収容している容器と分注するウェルとの往復の移動制御が煩雑となってしまうという問題がある。
【0005】
そこで、本発明は、前述のような従来の諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。すなわち、本発明は、ウェルの数が多いマイクロプレート、例えば、384ウェルのマイクロプレートに分注する際、ラック内の容器とマイクロプレート内のウェルとの間の分注ユニットの往復移動の制御が容易で、分注ユニットを効率よく移動させることができ、分注ユニットの構造が簡単である分注装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る分注装置においては、上記目的を達成するため、(1)Y軸方向に所定の間隔pで格子状に配列した複数の筒状のウェルを有するマイクロプレートと、ラックに収容した複数の容器内の液状試料を吸引し、前記ウェルに前記液状試料を注入する分注ユニット部と、前記マイクロプレートおよび前記分注ユニット部の少なくともいずれか一方をX軸、Y軸およびZ軸の3軸方向に移動させる移動機構部と、前記移動機構部における前記マイクロプレートおよび前記分注ユニット部の少なくともいずれか一方の移動を制御し、前記分注ユニット部における液状試料の吸引および注入を制御する制御部と、を備えた分注装置において、前記ラックは、前記複数の容器の配列がY軸方向に前記所定の間隔pのn倍(nは2以上の自然数を表す。)の間隔Pで格子状になるように前記容器を収容し、前記分注ユニット部は、前記ラックに収容した前記容器のY軸方向の前記間隔Pと略同一の間隔に配列した複数のノズルを有し、前記制御部は、前記複数のノズルが前記複数の容器から前記液状試料を同時に吸引し、前記複数のウェルに同時に前記液状試料を注入するように制御する。
以上の構成により、本発明に係る分注装置においては、マイクロプレートのウェルが少なくともY軸方向に間隔pで格子状に配列され、ラックの容器が少なくともY軸方向に間隔Pで格子状に配列され、分注ユニット部のノズルがラックの容器の間隔と略同一の間隔PでY軸方向に配列されており、間隔Pは間隔pのn倍(nは2以上の自然数を表す。)でウェルとノズルが各々配列されているので、分注ユニット移動機構部により分注ユニット部が、複数のノズルで複数の容器を有するラックに収容された液状試料を吸引し、複数のウェルに略同時に液状試料が注入される。間隔Pが間隔pのn倍の関係を有すると、例えば、ウェルの数が多い384ウェルのマイクロプレートに分注する際、ラック内の容器とマイクロプレート内のウェルとの間の分注ユニット部の往復回数が少なく、分注ユニット部が効率よく移動される。
【0007】
また、本発明に係る分注装置においては、(2)前記制御部は、前記ノズルの前記Y軸方向の移動量が前記所定の間隔pになるよう制御することが好ましい。
以上の構成により、本発明に係る分注装置においては、制御部でノズルのY軸方向の移動量が所定の間隔pになるよう制御すると、間隔pを1単位とするステップ移動がなされるので、移動処理が簡単になるとともに、移動が迅速になされる。
【0008】
また、本発明に係る分注装置においては、(3)前記制御部は、前記分注ユニット部が前記マイクロプレートにおけるY軸方向に配置した第1の列における所定のウェルへの前記液状試料の注入を完了させた後に、前記分注ユニット部をX軸方向に移動させ、前記第1の列に隣接する第2の列における所定のウェルに前記液状試料を注入させるよう制御することが好ましい。
以上の構成により、本発明に係る分注装置においては、第1の列のウェルへの液状試料の注入が完了した後に、第1の列に隣接する第2の列のウェルに液状試料が注入されると、第1の列の全てのウェルへの液状試料の注入が完了するまでは、次の列のウェルに分注しないので、分注ユニット部は容器とウェルとの間を往復する際、分注ユニット部の移動をX軸方向で一定の移動量に制御することができ、従来のようにX軸方向およびY軸方向に異なるような細かな往復移動がなくなり、無駄な動きが解消される。
【0009】
また、本発明に係る分注装置においては、(4)前記制御部は、前記分注ユニット部が前記容器収容ラックに収容した前記液状試料の1回の吸引で、前記マイクロプレートの前記ウェルに前記液状試料を複数回注入させるよう制御することが好ましい。
以上の構成により、本発明に係る分注装置においては、分注ユニット部が、ラックの容器に収容された液状試料の1回の吸引で、マイクロプレートのウェルに液状試料が複数回注入されると、分注ユニット部におけるラックの容器とマイクロプレートのウェルとの間の往復移動が減少する。
【0010】
また、本発明に係る分注装置においては、(5)前記制御部は、前記複数のノズルのうち、任意の数のノズルを動作させるよう制御するようにしてもよい。
以上の構成により、本発明に係る分注装置においては、制御部が、複数のノズルのうち任意の数のノズルを動作させるよう制御すると、各ノズルを他のノズルの動作と切り離して独立に動作させることができる。その結果、選択した任意のノズルのみ使用して分注することも可能となる。
【0011】
また、本発明に係る分注装置においては、(6)前記nが3であることが好ましい。
以上の構成により、本発明に係る分注装置においては、nが3であると、マイクロプレート内のY軸方向のウェルを3個毎に同一の液状試料で配置した場合、ラック内の容器の間隔Pおよび分注ユニット部のノズルの間隔Pとマイクロプレート内のウェル3個毎の間隔が周期的に一致し、例えば、分注ユニット部のノズルが5連ノズルの場合、1列16ウェルのマイクロプレートにおいて、Y軸方向に配列された15個のウェルに対しては、分注ユニット部をY軸方向に3p毎に3回の移動で、全15個のウェルに分注することができる。
【0012】
また、本発明に係る分注装置においては、(7)前記分注ユニット部は、3本〜8本のいずれかのノズルを有することが好ましい。
以上の構成により、本発明に係る分注装置においては、分注ユニット部が3本〜8本のいずれかのノズルで構成されていると、同種または異種の液状試料が3本〜8本のノズルでラック内の3個〜8個の容器から同時に吸引され、マイクロプレート内の3個〜8個のウェルに同時に注入される。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に係る分注装置によれば、間隔Pが間隔pのn倍の関係を有するので、例えば、ウェルの数が多い384ウェルのマイクロプレートに液状試料を分注する際、ラック内の容器とマイクロプレート内のウェルとの間の分注ユニット部の往復回数が少なくなり、分注ユニット部を効率よく移動することができ、従来のようにノズルの間隔を可変にする機構が必要でなく、分注ユニット部の構造が簡単となる。
【0014】
また、請求項2に係る分注装置によれば、制御部でノズルのY軸方向の移動量が所定の間隔pになるよう制御され、間隔pを1単位とするステップ移動がなされるので、移動制御が簡単となるとともに、移動が迅速になされる。
【0015】
また、請求項3に係る分注装置によれば、Y軸方向における第1の列の全てのウェルへの液状試料の注入が完了するまでは、次の列のウェルに分注しないので、分注ユニット部は容器とウェルとの間を往復する際、分注ユニット部の移動をX軸方向で一定の移動量に制御することができ、従来のようにX軸方向およびY軸方向に異なるような細かな往復移動がなくなり、無駄な動きが解消され、請求項1の効果に加え、ラック内の容器とマイクロプレート内のウェルとの間の分注ユニット部の動きが単純化される。
【0016】
また、請求項4に係る分注装置によれば、分注ユニット部が、ラックの容器に収容された液状試料の1回の吸引で、マイクロプレートのウェルに液状試料が複数回注入されるので、請求項1の効果に加え、分注ユニット部におけるラックの容器とマイクロプレートのウェルとの間の往復移動がより減少する。
【0017】
また、請求項5に係る分注装置によれば、制御部が、複数のノズルのうち任意の数のノズルを動作させるよう制御すると、各ノズルを他のノズルの動作と切り離して独立に動作させることができる。その結果、選択した任意のノズルのみ使用して分注することも可能となるので、例えば、試薬ラックなどからマイクロプレートに分注する液状試料がノズル数未満の場合、ディスポーザブルチップを無駄に装着することがなくなる。
【0018】
また、請求項6に係る分注装置によれば、nが3であると、マイクロプレート内のY軸方向のウェルを3個毎に同一の液状試料で配置した場合、ラック内の容器の間隔Pおよび分注ユニット部のノズルの間隔Pとマイクロプレート内のウェル3個毎の間隔を周期的に一致させることができる。特に、分注ユニット部のノズルを5連ノズルで構成すると、1列16ウェルのマイクロプレートにおいて、配列された15個のウェルに対しては、分注ユニット部をY軸方向に3p毎に3回移動するだけで、全15個のウェルに分注することができる。その結果、請求項1の効果に加え、分注ユニット部をより効率よく移動することができる。
【0019】
また、請求項7に係る分注装置によれば、分注ユニット部が3本〜8本のいずれかのノズルで構成されていると、同種または異種の液状試料が3本〜8本のノズルでラック内の3個〜8個の容器から同時に吸引され、マイクロプレート内の3個〜8個のウェルに同時に注入されるので、請求項1の効果に加え、ノズルの本数が多くなる程、分注ユニット部のラック内の容器とマイクロプレート内のウェルとの間の分注ユニット部の往復回数が少なくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る分注装置の第1の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1〜図10は、本発明に係る分注装置の第1の実施の形態の一例を示している。
【0021】
分注装置1は、図1に示すように、装置本体部2と、分注ユニット移動機構部3と、分注ユニット部4と、処理部5と、分注制御部6と、移動制御部7と、表示部8と、操作部9と、マイクロプレート10と、プレート載置部11と、容器12と、ラック13と、チップ収容ラック14と、ディスポーザブルチップ15と、チップ廃棄容器16とにより構成される。
【0022】
装置本体部2は、分注ユニット移動機構部3と、分注ユニット部4と、処理部5と、分注制御部6と、移動制御部7と、表示部8と、操作部9と、マイクロプレート10と、プレート載置部11と、容器12と、ラック13と、チップ収容ラック14と、チップ廃棄容器16とを収納する収納筐体と、図示しない電源ユニットおよびカバーとにより構成される。
【0023】
電源ユニットは、所定の変換器などから構成され、供給される100V〜220V程度の交流電源から、分注ユニット移動機構部3および分注ユニット部4で必要な所定の電源、例えば、サーボモータ駆動用の+12V、メモリIC用の−5V、−12Vなどに変換し供給するようになっている。
【0024】
カバーは、装置本体部2に設けられたカバー取付ボスに回転自在に係合し、一面開口の箱体で構成される。以上の構成により、カバー取付ボスを中心として開閉されるようになっている。このカバーが開放されているときは、処理部5の分注プログラムが起動しないようにし、分注プログラム実行中は開放できないようにし、カバーを閉じた状態で分注装置1の外部環境の影響を受けないよう密閉構造としてもよい。
【0025】
分注ユニット移動機構部3は、分注ユニット部4をX軸、Y軸およびZ軸の3軸方向に移動可能な機構であれば公知の機構で構成してもよい。例えば、図1に示すように、Y軸移動レール部32をX軸方向に移動させるX軸移動レール部31と、Z軸移動レール部33をX軸方向に移動させるY軸移動レール部32と、分注ユニット部4をZ軸方向に移動させるZ軸移動レール部33と、図示しない駆動源としてのサーボモータと、サーボモータを制御するコントローラとで構成される。以上の構成により、分注ユニット移動機構部3は、処理部5における分注プログラムに基づいてコントローラを介してサーボモータを自動的に駆動させ、分注ユニット部4をX軸、Y軸およびZ軸の3軸方向の所定の位置に移動させるようになっている。
【0026】
分注ユニット部4は、図4に示すように、筐体41と、ノズルホルダ42と、ノズルとしてのディスポーザブルチップ15と、図示しないノズル昇降機構とにより構成される。筐体41は、背面41aで分注ユニット移動機構部3のZ軸移動レール部33に支持されている。ノズルホルダ42は複数本のディスポーザブルチップ15を着脱自在に保持する機構からなり、例えば、本第1の実施の形態では、図2〜図5に示すようにノズルN1からN5からなる5本のディスポーザブルチップ15を保持するいわゆる5連ノズルで構成されている。このディスポーザブルチップ15は、分注の都度着脱し廃棄可能なチップで構成され、液状試料Sをラック13の容器12から吸引し、マイクロプレート10のウェル10aに注入するようになっている。
【0027】
このノズル昇降機構は、例えば、図示しない駆動源としてのマイクロモータ、マイクロモータを制御するコントローラおよびディスポーザブルチップ15を昇降させるガイドレールからなり、個々のディスポーザブルチップ15を他のノズルとは別個に独立して昇降させるように構成されている。
駆動モータ62は、例えば、ステッピングモータで構成され、分注ポンプ63を駆動させ液状試料Sの吸引および注入をさせるようになっている。
分注ポンプ63は、例えば、シリンジポンプで構成され、駆動モータ62により駆動されディスポーザブルチップ15で液状試料Sを吸引し注入するようになっている。この分注ポンプ63はノズルN1からN5の各ノズルに各々設け、5個のシリンジポンプで構成してもよく、単一のシリンジポンプで構成してもよい。なお、駆動モータ62および分注ポンプ63を一体的に構成しチューブやバルブなどを含む分注ポンプモジュールで構成してもよい。
【0028】
以上の構成により、分注ユニット部4は、図1に示す分注装置1にセットされているラック13の容器12内の液状試料Sを各ディスポーザブルチップ15で吸引し、マイクロプレート10の筒状のウェル10a内に液状試料Sを各ディスポーザブルチップ15から注入するようになっている。
【0029】
本第1の実施の形態では、図2〜図5に示すようにノズルN1からN5からなる5本のディスポーザブルチップ15を保持するいわゆる5連ノズルで構成されている場合について説明したが、図6に示すように、ノズルN1からN8からなる8本のディスポーザブルチップ15を保持するいわゆる8連ノズルで構成してもよい。
【0030】
処理部5は、中央処理回路51と、メモリ52とにより構成される。
メモリ52は、ハードディスクなどの記録媒体、分注制御部6、移動制御部7、表示部8および操作部9などコントロールする制御プログラム、分注をコントロールする分注プログラム、CPUを立ち上げるOS(Operating System)、制御用パラメータなどを記憶するROM(Read Only Memory)と、CPUの動作に用いるOSやアプリケーションの実行コードやデータなどを記憶するRAM(Randam Access Memory)と、アプリケーションソフトや所定のデータを不揮発かつ書替可能に記憶するEEPROM(Electrycally Erasable Programamble ROM)とで構成される。
【0031】
以上の構成により、このメモリ52には、分注装置の運転条件、分注内容の設定情報、ラックの容器に収容した液状試料Sの種類と配置、マイクロプレート10のウェル10aに注入する液状試料Sの種類と配置、緊急停止情報、エラーやアラーム情報、メンテナンス情報、動作前点検情報、動作自己診断情報、その他の情報などのデータおよび分注プログラムなどの各種プログラムが記憶されるようになっている。
【0032】
中央処理回路51は、分注制御部6、移動制御部7、表示部8および操作部9などの各構成部分を制御するCPU(Central Processing Unit)、その他の所定の信号を入出力するインターフェース及びこれらの構成部分を接続するバスとにより構成され、装置本体部2内に設けられる。
以上の構成により、処理部5は、メモリ52に記憶された分注装置の運転条件などの分注データの読み出しおよびメモリ52への書き込みと、OSによりCPUを動作させ、分注プログラムを読み出し実行させ、分注制御部6、移動制御部7、表示部8および操作部9を統括的に制御するようになっている。
【0033】
分注制御部6は、分注制御回路61と、駆動モータ62と、分注ポンプ63とにより構成される。
分注制御回路61は、駆動モータ62および分注ポンプ63を制御するCPU、その他の所定の信号を入出力するインターフェースとにより構成され、装置本体部2内に設けられる。以上の構成により、分注制御回路61は、容器12に収容された液状試料Sの吸引量、ウェル10aへの注入量、液状試料Sの1回の吸引で、ウェル10aへの注入の回数、駆動モータ62の駆動力および分注ポンプ63の吸引量、注入量を制御するようになっている。
駆動モータ62は、例えば、ステッピングモータで構成され、分注ユニット部4のディスポーザブルチップ15の上昇および下降、分注ポンプ63の吸引および注入をさせるようになっている。
分注ポンプ63は、例えば、シリンジポンプで構成され、駆動モータ62により駆動されディスポーザブルチップ15で液状試料Sを吸引し注入するようになっている。この分注ポンプ63はノズルN1からN5の各ノズルに各々設け、5個のシリンジポンプで構成してもよく、単一のシリンジポンプで構成してもよい。なお、駆動モータ62および分注ポンプ63を一体的に構成しチューブやバルブなどを含む分注ポンプモジュールで構成してもよい。
【0034】
移動制御部7は、移動制御回路71と、駆動モータ72とにより構成される。
移動制御回路71は、駆動モータ72を制御するCPU、その他の所定の信号を入出力するインターフェースとにより構成され処理部5における分注プログラムにより分注ユニット移動機構部3を動作させ、X軸、Y軸およびZ軸の3軸方向の所定の位置に、分注ユニット部4を移動させるようになっている。
【0035】
具体的には、図5に示すように、分注ユニット部4のディスポーザブルチップ15のN1ノズルの先端部を基点とするホームポジションとし、このホームポジションのX軸、Y軸およびZ軸の座標を(0,0,0)として、X軸方向にa、Y軸方向にb、Z軸方向にcの距離だけ分注ユニット部4を移動させたとき、移動後のN1ノズルの先端部の座標が(a,b,c)になるように設定して分注ユニット移動機構部3を動作させ、分注ユニット部4を移動させてもよい。また、分注ユニット部4のディスポーザブルチップ15のN1からN5の間隔と、ラック13における容器12の間隔と、マイクロプレート10におけるウェル10aの間隔を所定の関係を有するように配置し、移動制御部7により、分注ユニット部4がより効率よく無駄のない移動になるようにすることができる。特に、ウェルの数が多い384ウェルのマイクロプレートに分注する際、ラック内の容器とマイクロプレート内のウェルとの間の分注ユニットの往復回数が少なく、分注ユニットを効率よく移動させることができる
【0036】
このディスポーザブルチップ15と容器12とウェル10aの間隔の所定の関係について、図5を参照して以下に説明する。
図5に示すように、まず、マイクロプレート10において、右上を基点としてY軸方向にA、B、Cの順にPまでの符号を付した16個のウェル10aを間隔pで等間隔に配置し、さらに、右上を基点としてX軸方向に1、2、3の順に24まで符号を付した24個のウェル10aを間隔pで等間隔に配置する。このように配置することによりマイクロプレート10は、16×24=384個のウェル10aを有する。このマイクロプレート10のウェル10aの個数は、一般に使用される24、48、96、384、1536個のいずれでもよいが、384以上のウェルを有するマイクロプレート10であることが、より効率よく分注ユニット部4を移動させる点で好ましい。
【0037】
他方、ラック13において、右下を基点としてY軸方向にS1、S2、S3の順に不図示のS10までの符号を付した10個の容器12を間隔Pで等間隔に配置し、さらに、右下を基点としてX軸方向に不図示のS1a、S2a、S3aの順に符号を付し、容器12を所定の間隔、例えば間隔Pで等間隔に配置する。また、分注ユニット部4において、右端を基点としてY軸方向にN1、N2、N3、N4、N5の順に符号を付した5個のディスポーザブルチップ15を間隔Pで等間隔に配置する。
【0038】
さらに、マイクロプレート10に配列されたウェル10aの間隔pと、分注ユニット部4に配列されたディスポーザブルチップの所定の間隔Pとが、次式、P=n×p(nは2以上の自然数を表す。)の関係を有するようウェル10aとディスポーザブルチップ15が各々配列されるように構成される。
例えば、図5に示すように、nを3とすると、P=3pとなる。具体的には、間隔Pを13.5mm、間隔pを4.5mmとして配列してもよい。
【0039】
以上の構成により、図5に示すように、ディスポーザブルチップN1からN5までの5本のディスポーザブルチップのうち、ディスポーザブルチップN1が容器12のS1とウェル10aのA−1とに対応し、ディスポーザブルチップN2が容器12のS2とウェル10aのD−1とに対応し、ディスポーザブルチップN3が容器12のS3とウェル10aのG−1とに対応し、ディスポーザブルチップN4が容器12のS4とウェル10aのJ−1に対応し、ディスポーザブルチップN5が容器12のS5とウェル10aのM−1に対応するように配列されている。
【0040】
ウェル10aに注入される液状試料Sの種類はA−1、D−1、G−1、J−1およびM−1は、同一の種類でもよく、各々が異なった種類でもよい。通常は、図6に示すように、同一の種類の液状試料Sは1個より3個の方が、検査の精度を高めるので好ましいので、同一の種類で3個毎に3重のウェル10aがY軸方向に配置されている。具体的には、(A−1、B−1、C−1)が同じ種類a、(D−1、E−1、F−1)が同じ種類b、(G−1、H−1、I−1)が同じ種類c、(J−1、K−1、L−1)が同じ種類d、(M−1、N−1、O−1)が同じ種類eになるようにウェル10aがY軸方向に3個毎に配置されている。なお、ウェル10aにおけるP−1は、使用しないウェルとなっているが、例えば、種類eを(M−1、N−1、O−1、P−1)のように連続した4個のウェルを使用してもよい。以上の説明は、X軸方向の第1列における配列について説明したが、図5に示すように、第2列においても第1列と同様に配列され、第24列まで第1列と同様に配列されている。
【0041】
本第1の実施の形態において、図6に示すように、ディスポーザブルチップN1からN8からなる8本のディスポーザブルチップ15を保持するいわゆる8連ノズルで構成した場合は、ディスポーザブルチップN1からN5までの8本のディスポーザブルチップのうち、ディスポーザブルチップN1が容器12のS1とウェル10aのA−1とに対応し、ディスポーザブルチップN2が容器12のS2とウェル10aのC−1とに対応し、ディスポーザブルチップN3が容器12のS3とウェル10aのE−1とに対応し、ディスポーザブルチップN4が容器12のS4とウェル10aのG−1に対応し、ディスポーザブルチップN5が容器12のS5とウェル10aのI−1に対応し、ディスポーザブルチップN6が容器12のS6とウェル10aのK−1に対応し、ディスポーザブルチップN7が容器12のS7とウェル10aのM−1に対応し、ディスポーザブルチップN8が容器12のS8とウェル10aのO−1に対応するように配列されている。
【0042】
ウェル10aに注入される液状試料Sの種類はA−1、C−1、E−1、G−1、I−1、K−1、M−1およびO−1は、同一の種類でもよく、各々が異なった種類でもよい。通常は、図6に示すように、同一の種類の液状試料Sは1個より2個の方が、検査の精度を高めるので好ましいので、同一の種類で2個毎に2重のウェル10aがY軸方向に配置されている。具体的には、(A−1、B−1)が同じ種類a、(C−1、D−1)が同じ種類b、(E−1、F−1)が同じ種類c、(G−1、H−1)が同じ種類d、(I−1、J−1)が同じ種類e、(K−1、L−1)が同じ種類f、(M−1、N−1)が同じ種類g、(O−1、P−1)が同じ種類hになるようにウェル10aがY軸方向に2個毎に配置されている。以上の説明は、X軸方向の第1列における配列について説明したが、図5に示すように、第2列においても第1列と同様に配列され、第24列まで第1列と同様に配列されている。
【0043】
分注ユニット移動機構部3による分注ユニット部4の移動の動作について説明する。
まず、分注ユニット移動機構部3により分注ユニット部4は、ラック13に移動し、分注ユニット部4のディスポーザブルチップN1の先端部が容器12のS1の真上の位置で停止し、さらに分注ユニット移動機構部3のZ軸移動レール部33で下降して停止する。続いて、ディスポーザブルチップN1からN5までの5本のディスポーザブルチップが分注ユニット部4により下降する。ディスポーザブルチップN1からN5は間隔Pで分注ユニット部4に配置され、ウェル10aのA−1からM−1までは、ディスポーザブルチップN1からN5の間隔Pの1/3の間隔pで配置されているので、ディスポーザブルチップの下降によりディスポーザブルチップN1がA−1に、ディスポーザブルチップN2がD−1に、ディスポーザブルチップN3がG−1に、ディスポーザブルチップN4がJ−1に、ディスポーザブルチップN5がM−1に対応し、各ディスポーザブルチップの先端部が各ウェル内に位置し、分注ユニット部4のシリンジポンプによりディスポーザブルチップの先端部から液状試料Sが注入される。
【0044】
以上説明したようにウェル10aが配置されているので、分注ユニット部4をY軸方向に3回間隔p毎に移動するだけで、すなわち、ラック13の容器12に収容された液状試料Sとマイクロプレート10のウェル10aとの間を3往復するだけで、A−1からO−1までの1列の分注を完了することができる。その結果、分注ユニット移動機構部3の移動が少なくなり、分注の効率が極めて向上する。
次いで、分注ユニット部4のシリンジポンプを作動させディスポーザブルチップN1からN5までの5本の各ディスポーザブルチップの先端部から液状試料Sが各ウェル10aに注入される。液状試料Sの注入後、分注ユニット部により各ディスポーザブルチップが上昇する。
以上の説明は、X軸方向の第1列における分注ユニット移動機構部3および分注ユニット部4の移動について説明したが、図5に示すように、第2列においても第1列と同様に動作する。
【0045】
駆動モータ72は、例えば、サーボモータで構成され、X軸移動レール部31、Y軸移動レール部32およびZ軸移動レール部33に各々設けられ、駆動モータ72を駆動することによりX軸移動レール部31においてY軸移動レール部32をX軸方向に移動させ、Y軸移動レール部32においてZ軸移動レール部33をX軸方向に移動させ、Z軸移動レール部33において分注ユニット部4をZ軸方向に移動させるようになっている。
【0046】
表示部8は、表示デバイスなどで構成され、図1に示すように、例えば、PCの構成部品として液晶ディスプレイなどの表示デバイスで構成してもよい。以上の構成により、表示部8には、分注装置の運転条件、分注内容の設定情報、ラックの容器に収容した液状試料Sの種類と配置、マイクロプレート10のウェル10aに注入する液状試料Sの種類と配置、緊急停止情報、エラーやアラーム情報、メンテナンス情報、動作前点検情報、動作自己診断情報、その他の情報が必要に応じて表示されるようになっている。
【0047】
操作部9は、キーボードなどで構成され、例えば、表示部8とともにPCの構成部品として操作キーなどの押しボタンキーで構成してもよい。
以上の構成により、操作部9から同時に分注する液状試料Sの名称の入力、サンプル数、マイクロプレート10のウェルに注入する液状試料Sの種類および配置、その他の分注条件の設定など、所定の情報を入力されるようになっている。操作部9から所定の情報を入力し、分注条件が決定され、設定操作をすると、処理部5における分注プログラムにより、入力された情報に基づいて分注制御部6、移動制御部7により分注が自動的に実行されるようになっている。
【0048】
次に、第1の実施の形態の分注装置1における特定原材料の分析手順について、図8〜図10のフローチャートを参照して説明する。
【0049】
まず、分注装置1に電源を投入する(ステップS1)。操作部9から分注装置1の運転条件、分注内容の設定、マイクロプレート10のウェル10aに注入する液状試料Sの種類や配置などを入力して設定し、プログラムを実行させる(ステップS2)。表示部8の表示画面の表示に従って、装置本体部2のカバーを開け、所定の容器12に液状試料Sを収容してラック13にセットし(ステップS3)、次いで、マイクロプレート10をプレート載置部11にセットし、ディスポーザブルチップ15をチップ収容ラック14にセットし、カバーを閉じる(ステップS4)。
【0050】
以下、処理部5における分注プログラムが、中央処理回路51により実行され、マイクロプレート10のウェル10aへの分注が全て完了するまで自動的に以下のプロセスが進行する。この分注プログラムは、分注しようとするマイクロプレート10に対応して設定されているので、分注行程の種類や順序などはマイクロプレート10に分注する液状試料Sの種類や配置によって異なっている。
【0051】
以下、分注プログラムの一例を384ウェルのマイクロプレートに適用した実施例について説明する。
まず、図2に示すように、分注ユニット移動機構部3により分注ユニット部4を移動させ、分注ユニット部4のノズルホルダ42にディスポーザブルチップ15を装着させた後(S5)、ラック13の所定の容器12の上方に分注ユニット部4を移動する(ステップS6)。例えば、図5に示すように、ディスポーザブルチップN1からN5までの5本のディスポーザブルチップのうち、ディスポーザブルチップN1が容器S1の真上になるように、分注ユニット部4が分注ユニット移動機構部3により移動して停止する。続いて、ディスポーザブルチップN1からN5までの5本のディスポーザブルチップが下降する(ステップS7)。ディスポーザブルチップN1からN5は間隔Pで分注ユニット部4に配置され、容器S1からS5もディスポーザブルチップN1からN5の間隔と同じ間隔Pで配置されているので、ディスポーザブルチップの下降により各ディスポーザブルチップの先端部が各容器に収容されている液状試料Sに浸かり、分注ユニット部4のシリンジポンプにより各ディスポーザブルチップの先端部から液状試料Sが吸引される(ステップS7)。次いで、分注ユニット部4によりディスポーザブルチップN1からN5を上昇させる(ステップS8)。
【0052】
次いで、分注ユニット移動機構部3により分注ユニット部4がマイクロプレート10における所定のウェル10aの上方に移動させる(ステップS9)。例えば、図5に示すように、ディスポーザブルチップN1からN5までの5本のディスポーザブルチップのうち、ディスポーザブルチップN1がウェル10aのA−1の真上になるように、分注ユニット部4を分注ユニット移動機構部3により移動して停止させる。続いて、ディスポーザブルチップN1からN5までの5本のディスポーザブルチップを下降させる(ステップS10)。ディスポーザブルチップN1からN5は間隔Pで分注ユニット部4に配置され、ウェル10aのA−1からM−1までは、ディスポーザブルチップN1からN5の間隔Pの1/3の間隔pで配置されているので、ディスポーザブルチップN1からN5の下降によりディスポーザブルチップN1がA−1に、ディスポーザブルチップN2がD−1に、ディスポーザブルチップN3がG−1に、ディスポーザブルチップN4がJ−1に、ディスポーザブルチップN5がM−1に対応し、各ディスポーザブルチップの先端部が各ウェル内に位置し、分注ユニット部4のシリンジポンプにより各ディスポーザブルチップの先端部から液状試料Sを注入する(ステップS10)。ウェル10aに注入する液状試料Sの種類はA−1、D−1、G−1、J−1およびM−1は、同一の種類でもよく、各々が異なった種類でもよい。通常は、同一の種類の液状試料Sは1個より3個の方が、検査の精度を高めるので好ましいので、図6に示すように、同一の種類で3個毎にウェル10aがY軸方向に配置されている。具体的には、(A−1、B−1、C−1)が同じ種類a、(D−1、E−1、F−1)が同じ種類b、(G−1、H−1、I−1)が同じ種類c、(J−1、K−1、L−1)が同じ種類d、(M−1、N−1、O−1)が同じ種類eになるようにウェル10aがY軸方向に3個毎配置されている。なお、ウェル10aにおけるP−1は、使用しないウェルとなっているが、例えば、種類eを(M−1、N−1、O−1、P−1)のように4個のウェルを使用してもよい。
【0053】
以上説明したようにウェル10aが配置されているので、分注ユニット部4をY軸方向に3回間隔p毎に移動するだけで、すなわち、ラック13の容器12に収容された液状試料Sとマイクロプレート10のウェル10aとの間を3往復するだけで、A−1からO−1までの1列の分注を完了することができる。分注ユニット移動機構部3の移動が少なくなり、分注の効率が極めて向上する。
次いで、分注ユニット部4のシリンジポンプを作動させディスポーザブルチップN1からN5までの5本の各ディスポーザブルチップの先端部から液状試料Sを各ウェル10aに注入する(ステップS10)。液状試料Sの注入後、分注ユニット部により各ディスポーザブルチップを上昇させる(ステップS11)。
次いで、マイクロプレート10のY軸方向のA−1からP−1までの1列の分注すべき全てのウェル10aに分注がなされたか否かが判断される(ステップS12)。
この列の全てのウェル10aに分注がされていないと判断された場合は、ステップS6に戻り、分注ユニット部4が分注ユニット移動機構部3によりラック13における所定の容器12の上方に移動し、順に次のステップに進む。
【0054】
他方、1列の全てのウェル10aに分注がされていると判断された場合(ステップS12においてYESの場合)は、分注ユニット移動機構部3により分注ユニット部がチップ廃棄容器16の所定の位置に移動する(ステップS13)。次いで、分注ユニット部4のノズルホルダ42からディスポーザブルチップ15が取り外され、チップ廃棄容器16に廃棄される(ステップS14)。
次いで、マイクロプレート10のY軸方向のA−1からP−1までの第1列の他、分注すべき全ての液状試料Sがウェル10aに分注がされているか否かが判断される(ステップS15)。
分注すべき液状試料Sが残っていると判断された場合には、ステップS5に戻り、分注ユニット移動機構部3により分注ユニット部4にディスポーザブルチップ15が装着される。そして、分注ユニット部4が分注ユニット移動機構部3によりラック13における所定の容器12の上方、例えば、ラック13のS1〜S5の容器12に収容された液状試料Sとは異なった液状試料Sが収容されている容器12の上方、すなわち、図5に示すS6、S7および不図示のS8、S9、S10の上方に移動させる(ステップS6)。
続いて、ディスポーザブルチップN1からN5までの5本のディスポーザブルチップを下降させる(ステップS12)。ディスポーザブルチップN1からN5の下降により各ディスポーザブルチップの先端部から液状試料Sを吸引する(ステップS7)。次いで、分注ユニット部4によりディスポーザブルチップN1からN5を上昇させる(ステップS8)。
【0055】
次いで、分注ユニット移動機構部3により分注ユニット部4がマイクロプレート10における所定のウェル10aのA−1からP−1までの第1列に隣接するA−2からP−2までの第2列のA−2の上方に分注ユニット部4のディスポーザブルチップS1が位置するように移動させる(ステップS9)。
【0056】
例えば、図5に示すように、ディスポーザブルチップN1からN5までの5本のディスポーザブルチップのうち、ディスポーザブルチップN1がウェル10aのA−2の真上になるように、分注ユニット部4が分注ユニット移動機構部3により移動して停止させる。続いて、ディスポーザブルチップN1からN5までの5本のディスポーザブルチップを下降させる(ステップS10)。ディスポーザブルチップN1からN5は間隔Pで分注ユニット部4に配置され、ウェル10aのA−2からM−2までは、ディスポーザブルチップN1からN5の間隔Pの1/3の間隔pで配置されているので、ディスポーザブルチップの下降によりディスポーザブルチップN1がA−2に、ディスポーザブルチップN2がD−2に、ディスポーザブルチップN3がG−2に、ディスポーザブルチップN4がJ−2に、ディスポーザブルチップN5がM−2に対応し、各ディスポーザブルチップの先端部が各ウェル内に位置し、分注ユニット部4のシリンジポンプによりディスポーザブルチップの先端部から液状試料Sが注入される(ステップS10)。ウェル10aに注入される液状試料Sの種類はA−2、D−2、G−2、J−2およびM−2は、同一の種類でもよく、各々が異なった種類でもよい。また、A−1〜P−1の第1列と同様に、同一の種類で3個毎にウェル10aがY軸方向に配置されている。具体的には、(A−2、B−2、C−2)が同じ種類g、(D−2、E−2、F−2)が同じ種類h、(G−2、H−2、I−2)が同じ種類i、(J−2、K−2、L−2)が同じ種類j、(M−2、N−2、O−2)が同じ種類になるようにウェル10aがY軸方向に3個毎配置されている。なお、ウェル10aにおけるP−2は、P−1と同様に使用しないウェルとなっているが、例えば、種類eを(M−2、N−2、O−2、P−2)のように4個のウェルを使用してもよい。
【0057】
以上説明したようにウェル10aが配置されているので、A−2〜P−2の列においても分注ユニット部4をY軸方向に3回、間隔p毎に移動するだけで、すなわち、ラック13の容器12に収容された液状試料Sとマイクロプレート10のウェル10aとの間を3往復するだけで、A−2からO−2までの第2列の分注を完了させることができる。このように、分注ユニット移動機構部3の移動を少なくすることができ、分注の効率を著しく向上させることができる。
【0058】
次いで、分注ユニット部4のシリンジポンプを作動させディスポーザブルチップN1からN5までの5本の各ディスポーザブルチップの先端部から液状試料Sを各ウェル10aに注入する(ステップS10)。液状試料Sの注入後、分注ユニット部により各ディスポーザブルチップを上昇させる(ステップS11)。
次いで、再度、マイクロプレート10のY軸方向の所定のウェル10aに対する分注が全てなされたか否かが判断される(ステップS12)。
この列の全てのウェル10aに分注がされていないと判断された場合は、(B)に進み、ステップS6から順に次のステップに進む。
【0059】
他方、この列の全てのウェル10aに分注がされていると判断された場合(ステップS12においてYESの場合)は、分注ユニット移動機構部3により分注ユニット部がチップ廃棄容器16の所定の位置に移動する(ステップS13)。分注ユニット部4のノズルホルダ42からディスポーザブルチップ15が取り外され、チップ廃棄容器16に廃棄される(ステップS14)。
次いで、再度、マイクロプレート10の分注すべき全ての液状試料Sがウェル10aに分注されたか否かが判断される(ステップS15)。
分注すべき液状試料Sが残っていると判断された場合には、(C)に進み、ステップS5から順に次のステップに進み、例えば、分注ユニット部4が分注ユニット移動機構部3によりラック13における所定の容器12の不図示のS11〜S15の上方に移動し、さらに順に次のステップに進む。
【0060】
分注すべき液状試料Sが残っていないと判断された場合(ステップS15でYESの場合)は、分注プログラムが終了する(ステップS16)。その後、マイクロプレート10をプレート載置部11から取り外す(ステップS17)。
最後に、分注装置1による液状試料Sの分注を続行するか否かが判断され(ステップS18)、続行しない場合、分注装置の電源が遮断され、分注は終了する。続行する場合は、(D)に進み、新たに分注プログラムを設定し、分注プログラムを実行する(ステップS2)。
【0061】
第1の実施の形態における特定原材料の分析手順では、図8および図9に示すように、ディスポーザブルチップN1からN5からなる5本のディスポーザブルチップ15が、ラック13の容器12内の液状試料Sを吸引しマイクロプレート10のウェル10aへ注入する動作を、その都度往復して行う場合について説明したが、ディスポーザブルチップ15がラック13の容器12内の液状試料Sを複数回分を1回で吸引したのち、マイクロプレート10の複数のウェル10aへ注入するようにしてもよい。例えば、図8に示すステップS1からステップS4まで実行し、ステップS5からステップS12までのステップを実行する代わりに、図10に示すように、ステップS105から、ステップS112までを実行させてもよい。すなわち、分注ユニット移動機構部3により分注ユニット部4を移動させ、分注ユニット部4のノズルホルダ42にディスポーザブルチップ15を装着させた後(ステップS105)、ラック13の所定の容器12の上方に分注ユニット部4を移動する(ステップS106)。続いて、ディスポーザブルチップN1からN5までの5本のディスポーザブルチップを下降させ、各ディスポーザブルチップの先端部を各容器に収容されている液状試料Sに浸漬させ、分注ユニット部4のシリンジポンプにより各ディスポーザブルチップの先端部から液状試料Sの複数回分を吸引する(ステップS107)。次いで、分注ユニット部4によりディスポーザブルチップN1からN5を上昇させる(ステップS108)。
【0062】
次いで、分注ユニット移動機構部3により分注ユニット部4がマイクロプレート10における所定のウェル10aの上方に移動させる(ステップS109)。続いて、ディスポーザブルチップN1からN5までの5本のディスポーザブルチップを下降させ所定のウェル10aに注入する(ステップS110)。次いで、分注ユニット部4によりディスポーザブルチップN1からN5を上昇させる(ステップS111)。ここで、マイクロプレート10の所定のウェル10aに対する注入が全て完了したかが判断される(ステップS112)。完了していない場合は、ステップS109に進み、完了した場合は、図9に示すステップS13に進むようにして、ディスポーザブルチップへの1回の液状試料Sの吸引で複数回の液状試料Sを吸引し、分注の都度液状試料Sを吸引せず、複数回の分注するようにしてもよい。
【0063】
以下、本発明に係る分注装置の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。
図11〜図13は、本発明に係る分注装置の第2の実施の形態の一例を示している。
【0064】
なお、第2の実施の形態は、分注装置80の装置構成自体は上述の第1の実施の形態とほぼ同様で、分注ユニット部4におけるディスポーザブルチップ15をノズルとしての金属ニードル43で構成し、金属ニードル43を洗浄液容器17で洗浄するようにしたことが前述の第1の実施の形態と異なっている。したがって、各構成要素については図1〜図4に示した第1の実施の形態と同様の符号を用いて説明し、動作についても、図8〜図10に示す第1の実施の形態の特定原材料の分析手順における各ステップと同様のものについては説明を割愛し、特に相違するステップについて詳述する。
分注装置80は、図11に示すように、装置本体部81と、分注ユニット移動機構部3と、分注ユニット部4と、処理部5と、分注制御部6と、移動制御部7と、表示部8と、操作部9と、マイクロプレート10と、プレート載置部11と、容器12と、ラック13と、洗浄液容器17と、洗浄液貯蔵タンク18と、洗浄液廃棄容器19とにより構成される。
【0065】
分注ユニット部4は、図11に示すように、筐体41と、ノズルホルダ42と、金属ニードル43と、図示しないノズル昇降機構とにより構成される。筐体41は、背面41aで分注ユニット移動機構部3のZ軸移動レール部33に支持されている。ノズルホルダ42は複数本の金属ニードル43を着脱自在に保持する機構からなり、例えば、第2の実施の形態では、ノズルN1からN5からなる5本の金属ニードル43を保持するいわゆる5連ノズルで構成されている。この金属ニードル43は、所定の分注が完了した後、洗浄液容器17に浸漬され、洗浄した後、新たな液状試料Sや試薬を分注をするように、金属からなる液体通路を有するニードルで構成され、液状試料Sをラック13の容器12から吸引し、マイクロプレート10のウェル10aに注入するようになっている。
【0066】
このノズル昇降機構は、例えば、図示しない駆動源としてのマイクロモータ、マイクロモータを制御するコントローラおよび金属ニードル43を昇降させるガイドレールからなり、個々の金属ニードル43を他の金属ニードルとは別個に独立して昇降させるように構成されている。
駆動モータ62は、例えば、ステッピングモータで構成され、分注ポンプ63を駆動させ液状試料Sの吸引および注入をさせるようになっている。
分注ポンプ63は、例えば、シリンジポンプで構成され、駆動モータ62により駆動され金属ニードル43で液状試料Sを吸引し注入するようになっている。この分注ポンプ63はノズルN1からN5の各ノズルに各々設け、5個のシリンジポンプで構成してもよく、単一のシリンジポンプで構成してもよい。なお、駆動モータ62および分注ポンプ63を一体的に構成しチューブやバルブなどを含む分注ポンプモジュールで構成してもよい。
【0067】
以上の構成により、分注ユニット部4は、図1に示す分注装置1にセットされているラック13の容器12内の液状試料Sを各金属ニードル43で吸引し、マイクロプレート10のウェル10a内に液状試料Sを各金属ニードル43から注入するようになっている。また、所定の分注が完了した後、各金属ニードル43を洗浄液容器17に浸漬し、洗浄するようになっている。洗浄液容器17内の洗浄液は、洗浄効果を維持するため、所定の回数金属ニードル43の洗浄を行った後、洗浄液廃棄容器19に廃棄されるようになっている。洗浄液容器17内の洗浄液が廃棄されると、洗浄液貯蔵タンク18から新たな洗浄液が、洗浄液容器17に供給されるようになっている。このような金属ニードル43の洗浄は、分注制御部6の指令に基づいて行われる。
【0068】
次に、第2の実施の形態の分注装置80における特定原材料の分析手順について、図12および図13のフローチャートを参照して説明する。なお、第1の実施の形態におけるステップと第2の実施の形態におけるステップと同一の内容の手順、すなわち、ステップS22〜S24、S25〜S31、S34〜S36は説明を割愛し、第1の実施の形態におけるステップと相違するステップS21、S32、S33について詳述する。
【0069】
まず、分注ユニット部のノズルホルダ42に金属ニードル43をセットする(ステップS21)。次いで、分注装置80に電源を投入し、操作部9から所定の条件などを入力して設定し、プログラムを実行させた後、装置本体部81のカバーを開け、所定の容器12に液状試料Sを収容してラック13にセットする。次いで、マイクロプレート10をプレート載置部11にセットし、カバーを閉じる(ステップS24)。
【0070】
以下、処理部5における分注プログラムが、中央処理回路51により実行され、マイクロプレート10のウェル10aへの分注が全て完了するまで自動的に以下のプロセスが進行する。以下、ステップS25〜S31まで実行した後、ステップS31で、この列の全てのウェル10aに分注がされていると判断された場合(ステップS31でYESの場合)は、分注ユニット移動機構部3により分注ユニット部4の金属ニードル43を洗浄液容器17の上方に移動し、下降させ金属ニードル43の先端部を洗浄液に浸漬させる(ステップS32)。次いで、金属ニードル43を、例えば、振動を加えるなどして洗浄する(ステップS33)。マイクロプレート10の予定した全てのウェル10aに対する注入が完了したか否かが判断される(ステップS34)。マイクロプレート10の予定した全てのウェル10aに対する注入が完了していないと判断された場合は、(B)に進む。
【0071】
マイクロプレート10の予定した全てのウェル10aに対する注入が完了していると判断された場合には、(ステップS34でYESの場合)は、分注プログラムが終了する(ステップS35)。その後、マイクロプレート10をプレート載置部11から取り外す(ステップS36)。
最後に、分注装置80による液状試料Sの分注を続行するか否かが判断され(ステップS37)、続行しない場合、分注装置80の電源が遮断され、分注は終了する。続行する場合は、(C)に進み、分注ユニット部4により、ラック13の容器12内の液状試料Sからマイクロプレート10のウェル10aへの分注が完了するまで順次繰り返し分注が行われる。
【0072】
以下、本発明に係る分注装置の第3の実施の形態について図面を参照して説明する。
図14〜図17は、本発明に係る分注装置の第3の実施の形態の一例を示している。
【0073】
なお、第3の実施の形態は、分注装置85の装置構成自体は上述の第1の実施の形態とほぼ同様で、プレート移動機構部90によりマイクロプレート10、ラック13、チップ収容ラック14を移動させ、分注ユニット部4を分注ユニット支持部34で支持するようにしたことが前述の第1の実施の形態と異なっている。したがって、各構成要素については図1〜図4に示した第1の実施の形態と同様の符号を用いて説明し、動作についても、図8〜図10に示す第1の実施の形態の特定原材料の分析手順における各ステップと同様のものについては説明を割愛し、特に相違するステップについて詳述する。
【0074】
分注装置85は、図14に示すように、装置本体部86と、プレート移動機構部90と、分注ユニット部4と、処理部5と、分注制御部6と、移動制御部7と、表示部8と、操作部9と、マイクロプレート10と、プレート載置部11と、容器12と、ラック13と、チップ収容ラック14と、ディスポーザブルチップ15と、チップ廃棄容器16と、分注ユニット部4を支持する分注ユニット支持部34とにより構成される。
【0075】
プレート移動機構部90は、載置プレート94に載置されたマイクロプレート10、ラック13およびチップ収容ラック14をX軸、Y軸およびZ軸の3軸方向に移動可能な機構であれば公知の機構で構成してもよい。例えば、図14および図15に示すように、Z軸移動レール部92をY軸方向に移動させるY軸移動レール部91と、載置プレート94をX軸方向に移動させるX軸移動レール部93と、載置プレート94をZ軸方向に移動させるZ軸移動レール部92と、図示しない駆動源としてのサーボモータと、サーボモータを制御するコントローラとで構成される。以上の構成により、プレート移動機構部90は、処理部5における分注プログラムに基づいてコントローラを介してサーボモータを自動的に駆動させ載置プレート94をX軸、Y軸およびZ軸の3軸方向の所定の位置に移動させるようになっている。
【0076】
分注ユニット支持部34は、図14および図15に示すように、金属などからなる支持部材で構成され、装置本体部86の内側面のほぼ中央部に固定されている。この分注ユニット支持部34は、分注ユニット部4の筐体41の背面41aと連結して分注ユニット部4を装置本体部86に固定している。
【0077】
次に、第3の実施の形態の分注装置85における特定原材料の分析手順について、図16および図17のフローチャートを参照して説明する。なお、第1の実施の形態におけるステップと第3の実施の形態におけるステップと同一の内容の手順、すなわち、ステップS41〜S44、S47、S48、S50〜S52、S54〜S58は説明を割愛し、第1の実施の形態におけるステップと相違するステップS45、S46、S49、S53について詳述する。
【0078】
分注装置85に電源を投入し、操作部9から所定の条件などを入力して設定し、プログラムを実行させた後、装置本体部86のカバーを開け、所定の容器12に液状試料Sを収容してラック13にセットする。次いで、マイクロプレート10をプレート載置部11にセットし、ディスポーザブルチップ15をラックにセットし、カバーを閉じる(ステップS44)。
以下、処理部5における分注プログラムが、中央処理回路51により実行され、マイクロプレート10のウェル10aへの分注が全て完了するまで自動的に以下のプロセスが進行する。
プレート移動機構部90により、載置プレートを移動し、ディスポーザブルチップ15をノズルホルダ42に装着する(ステップS45)。続いて、プレート移動機構部90によりディスポーザブルチップ15が図示しない試薬ラックの所定の位置になるよう載置プレート94を移動させる(ステップS46)。
【0079】
以下、ステップS47、S48を実行した後、プレート移動機構部90によりディスポーザブルチップ15がマイクロプレート10の所定の位置になるよう載置プレート94を移動させる(ステップS49)。
以下、ステップS50〜S52を実行した後、ステップS52で、この列の全てのウェル10aに分注がされていると判断された場合(ステップS52でYESの場合)は、プレート移動機構部90によりディスポーザブルチップ15がチップ廃棄容器16の廃棄受入口に位置するよう載置プレート94を移動し(ステップS53)、ディスポーザブルチップ15をチップ廃棄容器16内に廃棄する(ステップS54)。マイクロプレート10の予定した全てのウェル10aに対する注入が完了したか否かが判断される(ステップS55)。マイクロプレート10の予定した全てのウェル10aに対する注入が完了していないと判断された場合は、(C)に進む。
【0080】
マイクロプレート10の予定した全てのウェル10aに対する注入が完了していると判断された場合(ステップS55でYESの場合)は、分注プログラムが終了する(ステップS56)。その後、マイクロプレート10をプレート載置部11から取り外す(ステップS57)。
最後に、分注装置85による液状試料Sの分注を続行するか否かが判断され(ステップS58)、続行しない場合、分注装置85の電源が遮断され、分注は終了する。続行する場合は、(D)に進み、分注ユニット部4により、ラック13の容器12内の液状試料Sからマイクロプレート10のウェル10aへの分注が完了するまで順次繰り返し分注が行われる。
【0081】
以上説明したように、本実施の形態に係る分注装置1では、マイクロプレート10のウェル10aが、X軸方向およびY軸方向の各々に間隔pで格子状に配列され、ラック13の容器12が、X軸方向およびY軸方向の各々に間隔Pで格子状に配列され、分注ユニット部4のディスポーザブルチップ15が、ラック13の容器12の間隔と略同一の間隔PでY軸方向に配列されており、間隔Pが、間隔pのn倍(nは2以上の自然数を表す。)の関係を有するようウェル10aとディスポーザブルチップ15が各々配列されているので、分注ユニット移動機構部3により分注ユニット部4が、複数のディスポーザブルチップ15で複数の容器12を有するラック13に収容された液状試料Sを吸引し、複数のウェル10aに略同時に液状試料Sが注入される。
間隔Pが、間隔pのn倍の関係を有すると、例えば、ウェル10aの数が多い384ウェルのマイクロプレート10に分注する際、ラック13内の容器12とマイクロプレート10内のウェル10aとの間の分注ユニット部4の往復回数が少なく、分注ユニット部4が効率よく移動される。
【0082】
また、間隔pのn倍におけるnは3であり、間隔PはY軸方向の所定の間隔Pであるため、マイクロプレート10内のY軸方向のウェル10aを3個毎に同一の液状試料Sで配置した場合に、ラック13内の容器12の間隔Pおよび分注ユニット部4のディスポーザブルチップ15の間隔Pとマイクロプレート10内のウェル10aの3個毎の間隔が周期的に一致し、例えば、分注ユニット部4のディスポーザブルチップ15が5連ノズルの場合、1列16ウェルのマイクロプレートでは、Y軸方向に15個のウェル10aが配置され、分注ユニット部4をY軸方向に3p毎に3回の移動だけで全15個のウェル10aに分注することができる。
【0083】
また、分注ユニット部4は、3本〜8本のいずれかのディスポーザブルチップ15で構成されているので、同種または異種の液状試料Sが3本〜8本のディスポーザブルチップ15でラック13内の3個〜8個の容器12から同時に吸引され、マイクロプレート10内の3個〜8個のウェル10aに同時に注入することができる。
【0084】
また、分注ユニット部4は、マイクロプレート10におけるY軸方向に配置された第1の列におけるウェル10aのA−1からO−1までの液状試料Sの注入が完了した後に、X軸方向に移動し第1列に隣接する第2列におけるウェル10aのA−2からO−2までの液状試料Sを注入するので、第1列の全てのウェル10aへの液状試料Sの注入が完了するまでは、次の列のウェルに分注しないので、分注ユニット部は容器とウェルとの間を往復する際、分注ユニット部の移動をX軸方向で一定の移動量に制御することができ、従来のようにX軸方向およびY軸方向に異なるような細かな往復移動がなくなり、無駄な動きが解消される。また、分注ユニット部4をXYZの各軸方向の移動構造を簡単することができる。
【0085】
また、分注ユニット部4は、複数の容器12を有するラック13の容器に収容された液状試料Sを1回吸引するだけで、マイクロプレート10のウェル10aに液状試料Sを複数回注入することができるので、分注ユニット部4におけるラック13の容器12とマイクロプレート10のウェル10aとの間の往復移動を減少させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上説明したように、本発明は、384ウェルのマイクロプレートに分注する際、容器とウェルとの間の分注ユニット部の往復移動の制御が容易で、分注ユニットを効率よく移動でき、分注ユニットの構造が簡単な分注装置を提供することができるという効果を有し、医薬や食品などの液状試料を分注する装置、例えば、自動分注装置などに有用である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明に係る分注装置の第1の実施の形態を示す概念図である。
【図2】本発明に係る分注装置の第1の実施の形態における分注ユニット移動機構部および分注ユニット部の斜視図である。
【図3】本発明に係る分注装置の第1の実施の形態における分注ユニット移動機構部および分注ユニット部の斜視図である。
【図4】(a)は本発明に係る分注装置の第1の実施の形態における全ディスポーザブルチップが同時に昇降する分注ユニット部の斜視図である。(b)は本発明に係る分注装置の第1の実施の形態における各ディスポーザブルチップが独立して昇降する分注ユニット部の斜視図である。
【図5】本発明に係る分注装置の第1の実施の形態におけるマイクロプレートのウェルの配置と、ラックの容器の配置と分注ユニット部における5連ノズルの配置の関係を示す概念図である。
【図6】本発明に係る分注装置の第1の実施の形態におけるマイクロプレートのウェルの配置と、ラックの容器の配置と分注ユニット部における8連ノズルの配置の関係を示す概念図である。
【図7】本発明に係る分注装置の第1の実施の形態におけるマイクロプレートのウェルの配置を示す概念図である。
【図8】本発明に係る分注装置の第1の実施の形態における分注の一例を示すフローチャートである。
【図9】本発明に係る分注装置の第1の実施の形態における分注の一例を示すフローチャートである。
【図10】本発明に係る分注装置の第1の実施の形態における分注の一例を示す部分フローチャートである。
【図11】本発明に係る分注装置の第2の実施の形態を示す概念図である。
【図12】本発明に係る分注装置の第2の実施の形態における分注の一例を示すフローチャートである。
【図13】本発明に係る分注装置の第2の実施の形態における分注の一例を示すフローチャートである。
【図14】本発明に係る分注装置の第3の実施の形態を示す概念図である。
【図15】本発明に係る分注装置の第3の実施の形態におけるプレート移動機構部および分注ユニット部の斜視図である。
【図16】本発明に係る分注装置の第3の実施の形態における分注の一例を示すフローチャートである。
【図17】本発明に係る分注装置の第3の実施の形態における分注の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0088】
1 分注装置
2 装置本体部
3 分注ユニット移動機構部
4 分注ユニット部
5 処理部
6 分注制御部
7 移動制御部
8 表示部
9 操作部
10 マイクロプレート
10a ウェル
11 プレート載置部
12 容器
13 ラック
14 チップ収容ラック
15 ディスポーザブルチップ(ノズル)
16 チップ廃棄容器
17 洗浄液容器
18 洗浄液貯蔵タンク
19 洗浄液廃棄容器
31 X軸移動レール部
32 Y軸移動レール部
33 Z軸移動レール部
34 分注ユニット支持部
41 筐体
41a 背面
42 ノズルホルダ
43 金属ニードル(ノズル)
51 中央処理回路
52 メモリ
61 分注制御回路
62 駆動モータ
63 分注ポンプ
71 移動制御回路
72 駆動モータ
80 分注装置
81 装置本体部
85 分注装置
86 装置本体部
90 プレート移動機構部
91 Y軸移動レール部
92 Z軸移動レール部
93 X軸移動レール部
94 載置プレート
100 分注ユニット部
102 ノズルホルダ
103 ディスポーザブルチップ(ノズル)
S 液状試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Y軸方向に所定の間隔pで格子状に配列した複数の筒状のウェルを有するマイクロプレートと、
ラックに収容した複数の容器内の液状試料を吸引し、前記ウェルに前記液状試料を注入する分注ユニット部と、
前記マイクロプレートおよび前記分注ユニット部の少なくともいずれか一方をX軸、Y軸およびZ軸の3軸方向に移動させる移動機構部と、
前記移動機構部における前記マイクロプレートおよび前記分注ユニット部の少なくともいずれか一方の移動を制御し、前記分注ユニット部における液状試料の吸引および注入を制御する制御部と、を備えた分注装置において、
前記ラックは、前記複数の容器の配列がY軸方向に前記所定の間隔pのn倍(nは2以上の自然数を表す。)の間隔Pで格子状になるように前記容器を収容し、
前記分注ユニット部は、前記ラックに収容した前記容器のY軸方向の前記間隔Pと略同一の間隔に配列した複数のノズルを有し、
前記制御部は、前記複数のノズルが前記複数の容器から前記液状試料を同時に吸引し、前記複数のウェルに同時に前記液状試料を注入するように制御することを特徴とする分注装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記ノズルの前記Y軸方向の移動量が前記所定の間隔pになるよう制御することを特徴とする請求項1に記載の分注装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記分注ユニット部が前記マイクロプレートにおけるY軸方向に配置した第1の列における所定のウェルへの前記液状試料の注入を完了させた後に、前記分注ユニット部をX軸方向に移動させ、前記第1の列に隣接する第2の列における所定のウェルに前記液状試料を注入させるよう制御することを特徴とする請求項1または2に記載の分注装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記分注ユニット部が前記ラックに収容した前記液状試料の1回の吸引で、前記マイクロプレートの前記ウェルに前記液状試料を複数回注入させるよう制御することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の分注装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記複数のノズルのうち、任意の数のノズルを動作させるよう制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の分注装置。
【請求項6】
前記nが3であることを特徴とする請求項1に記載の分注装置。
【請求項7】
前記分注ユニット部は、3本〜8本のいずれかのノズルを有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の分注装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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