説明

分注装置

【課題】分注テーブルの一端側を搬送レールで片持ち状に支持するものでありながら、正確な分注や、確実なチップ装着を可能にする。
【解決手段】チップ置き場23、試薬置き場24及び検体置き場25を備える分注テーブル2と、少なくとも垂直方向に移動自在に構成され、分注テーブル2に置かれたチップ32をシリンジ31に装着した後、検体7を試薬6に分注する等所定動作を行うシリンジユニット3と、分注テーブル2を水平方向に移動自在に支持する搬送レール4とを備える分注装置1であって、分注テーブル2の一端側を搬送レール4で片持ち状に支持すると共に、分注テーブル2の水平移動位置が所定の作業位置であるとき、当該分注テーブル2の他端側を支持する支持部材8を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検体を試薬に分注、及び/又は、試薬を検体に分注する分注装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、免疫等の分析作業にあたっては、分注装置を用いて検体を試薬に分注又は試薬を検体に自動的に分注し、これを生化学分析装置で分析することが行われている。この分注−分析工程における検体等の移し替えは、手作業又は自動で行われている。手作業による移し替えは、作業の効率が悪く、容器等の取扱いが煩雑となるため、大量に検体検査する検査センター等に対しては、移し替えを自動システム化した装置が提供されている。
【0003】
しかしながら、検体等の移し替えを自動化した装置は、装置そのものが高価なものとなり、少量多検体検査が要求される大学、病院等においては過剰品質となり、かえって使い勝手が悪くなるという事態をきたす場合もあり、更には分注装置と分析装置が別々に配置されていたり、分注後の検体を保冷庫に一時保管するなどの要求に対応できるものでなかった。
【0004】
そこで、検体等の移し替えを自動化するのではなく、分注装置における検体や試薬のセット作業や取り出し作業を容易にすることによって、分注−分析工程の効率を向上させることが提案される。例えば、特許文献1では、分注テーブルにおける試薬置き場や検体置き場を着脱自在なカートリッジ(カートリッジラック+カートリッジ容器)とし、該カートリッジの着脱により試薬や検体の移し替えを行えるようにしている。
【0005】
また、図4〜図7に示すように、分注テーブルを搬送レールに沿って移動自在に支持し、チップ装着作業や分注作業位置に対する検体等の搬入・搬出を自動化することも提案される。この場合、チップ装着・分注作業の工程は、下記のようなものとなる。なお、下記に例示する工程は、シリンジユニットが水平方向に移動不能であり、分注テーブルの水平移動にもとづいて、シリンジユニットと分注テーブルの相対的な位置変更を行う場合を示している。
【0006】
(1)分注テーブル(カートリッジラック)の所定位置にチップ、試薬(試薬カートリッジ)及び検体をセット。
(2)チップ置き場がシリンジユニットの真下に来るように、搬送レールに沿って分注テーブルを搬入。
(3)シリンジユニットを下降させ、シリンジにチップを装着。
(4)シリンジユニット及び分注テーブルを移動制御し、吸引した検体を試薬カートリッジの各容器に入っている複数種類の試薬に所定の順番で順次に分注(検体を吐出後、必要において反応試薬を吸引)、または、試薬カートリッジに入っている複数種類の試薬を所定の順番で検体に分注。
(5)分注が完了したら、チップ置き場がシリンジユニットの真下に来るように、搬送レールに沿って分注テーブルを移動。
(6)シリンジユニットを下降させ、分注テーブルのチップ置き場にチップを返却。
(7)分注テーブルを搬送レールに沿って搬出。
なお、図4〜図7に示す分注装置は、搬送レールが分注装置前方に設置されているが、これは分注装置の前方側上方は、ユーザーがチップ、試薬(試薬カートリッジ)及び検体をセットする空間として確保する必要があるため、上方空間を自由に使用できる分注テーブルと搬送レールとを前方側に設置し、図示しない電装部材や、シリンジユニットの駆動機構を分注装置の後方に設置するためである。
また、どの図においても、分注テーブルの前端部を片持ち支持しているが、これは、分注テーブルを、固定ベースの範囲内で水平移動させることが好ましいからである。
【0007】
図4〜図7に示す搬送機構を比較してみると、分注テーブル100の支持構造(両持ち又は片持ち)や搬送レール101の長さに違いがある。ここで、図5や図7に示すように、分注テーブル100を片持ち支持するものでは、図4に示すように両持ち支持するものと同等の搬送ストロークを確保した場合、搬送レール101を短くできるだけでなく、ガイド102の個数も減らすことができるので、コスト的に有利であり、また、搬送レール101を短くすると、図6に示すように、搬送レール101が邪魔になることなく、モータ103やプーリ104をコンパクトに配置できるという利点がある。ただし、図6に示すものでは、分注テーブル100を両持ち支持しているので、必要な搬送ストロークを確保できない。
【0008】
しかしながら、分注テーブル100を片持ち支持するものでは、分注テーブル100の支持が不安定になり易いため、分注工程の作業精度が低下したり、チップの着脱に支障をきたす惧れがあった。例えば、図5に示すように、分注テーブルにおけるチップ置き場の下方位置を搬送レールで片持ち支持した場合、分注作業位置となる分注テーブルの検体置き場や試薬置き場側が不安定になるため、検体が振動して正確な分注ができない可能性がある。つまり、複数の小容器がパッケージ化された試薬カートリッジの上面には、容器内の試薬を密封するための密封シールが貼り付けられており、特に、分注テーブルの端部側に配置された小容器にチップの先端を密封シールに突き刺す際に、僅かに位置ズレを生じて挿入されそのままチップを上昇させると、チップの先端が密封シールに引っ掛かり試薬カートリッジごと上昇させてしまうという不具合を生じる。
また、図7に示すように、分注テーブルにおける検体置き場や試薬置き場の下方位置を搬送レールで片持ち支持した場合、分注テーブルのチップ装着作業位置となるチップ置き場側が不安定になるため、チップの着脱に支障をきたす惧れがあった。つまり、分注テーブルのチップ置き場側が不安定であると、チップを装着すべくシリンジユニットを下降させた際に、装着時に必要とされる大きな下降荷重で分注テーブルが下方に大きく撓むため、チップがシリンジに真っ直ぐに装着されず、シール性に問題が発生するだけでなく、分注テーブル自体をその幅が広くなるほど湾曲変形させてしまう問題がある。また、チップがシリンジに真っ直ぐに装着されていない場合には、シリンジからチップを外す際に、チップが外れなくなったり、チップが勢いよく外れる等のトラブルが発生する可能性がある。

【特許文献1】特開2003−329693号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の如き問題点を一掃すべく創案されたものであって、分注テーブルの一端側を搬送レールで片持ち状に支持するものでありながら、片持ち支持されない分注テーブルの自由端側も支持できるようにして、片持ち支持しない側となる所定の作業位置(チップ装着作業位置、又は、分注作業位置)で、シリンジユニットの上下昇降に伴なって生じる不具合を解消することのできる分注装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために本発明の分注装置は、チップ置き場、及び/又は、試薬置き場を備える分注テーブルと、少なくとも垂直方向に移動自在に構成され、分注テーブルに置かれたチップをシリンジに装着した後、検体を試薬に分注、及び/又は、試薬を検体に分注するシリンジユニットと、分注テーブルを水平方向に進退移動自在に支持する搬送レールとを備える分注装置であって、前記分注テーブルの移動方向一端側を搬送レールで片持ち状に支持すると共に、その片持ち支持しない側となる所定の作業位置に、当該分注テーブルを支持する支持部材を設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、上記のように構成したことにより、分注テーブルの一端側を搬送レールで片持ち状に支持するものでありながら、所定の作業位置(チップ装着作業位置、又は、分注作業位置)では、分注テーブルの片持ち支持しない側も支持することができるようになり、その結果、分注テーブルの下面空間域を部材や配線などの配設空間として従来と同様に有効利用できると共に、搬送レールを分注テーブルの移動ストロークに必要な最短長さに設定することができ、レールやプーリなどの部材コストを削減することが可能となる。しかも、分注テーブルの検体置き場や試薬置き場側を片持ち支持しないものであっても、分注作業位置では、振動が抑制され、チップの先端を試薬カートリッジの上面に貼り付けられた密封シールに位置ズレすることなく真っ直ぐな突き刺しが行え、引き抜き時の引っ掛かりが防止されて、検体や試薬の正確な分注作業を行うことができ、また、分注テーブルのチップ置き場側を片持ち支持しないものであっても、チップ装着作業位置では、その下降荷重による分注テーブルの撓みを抑制し、シリンジにチップを真っ直ぐ正確に装着することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態を好適な実施の形態として例示する分注装置を図面に基づいて詳細に説明する。
【0013】
[第一実施形態]
図1は本発明の第一実施形態に係る分注装置の側面図、図2は本発明の第一実施形態に係る分注装置の断面図である。これらの図に示すように、本発明の第一実施形態に係る分注装置1は、分注テーブル2、シリンジユニット3、搬送レール4及び搬送駆動機構5を備えて構成されている。
【0014】
分注テーブル2は、テーブル部21と、該テーブル部21の左右両端部から下方に延出する脚部22とを有する断面冂型であり、樹脂又は金属性である。また、金属の選定は、モータ51の負荷を考慮して、アルミニウムなどの軽い部材であることが好ましい。
テーブル部21には、後側から順番に、チップ32が置かれるチップ置き場23と、試薬6が置かれる試薬置き場24と、検体7が置かれる検体置き場25とが構成されている。本実施例におけるチップ置き場23では、液体吸引用のピペット状のチップを採用しているが、例えば、フィルタ(濾過器)付のチップなど様々な用途、形状のチップがセットされる。
【0015】
シリンジユニット3は、一又は複数のシリンジ31を備えると共に、少なくとも垂直方向に移動自在に構成され、分注テーブル2に置かれたチップ32をシリンジ31に装着した後、検体7を試薬6に分注(又は試薬6を検体7に分注)するように動作される。なお、本実施形態のシリンジユニット3は、6本のシリンジ31を左右方向に連装した6連構成であり、これに対応して、分注テーブル2のチップ置き場23、試薬置き場24及び検体置き場25も6連構成としてある。
【0016】
搬送レール4は、所定間隔を存して並列する左右一対のレール部材からなり、分注テーブル2を水平方向(前後方向)に移動自在に支持している。ここで、搬送レール4は、ガイド41を介して分注テーブル2の一端側を片持ち状に支持する。具体的には、分注テーブル2の前端側(検体置き場25側)を片持ち支持している。なお、前記左右一対のレール部材のうち、片方のレール部材のみを片持ち状に支持してもよい。
【0017】
搬送駆動機構5は、搬送レール4に支持される分注テーブル2を前後方向に移動させるためのもので、例えば、搬送レール4の前端側に配置されるモータ51と、搬送レール4の後端側に配置されるプーリ52と、該プーリ52とモータ51の出力プーリ53との間に懸回されるベルト54とを備えて構成される。そして、ベルト54を分注テーブル2に連結することにより、モータ51の駆動に応じて、分注テーブル2を所定の水平移動位置に前後移動させることが可能になる。
【0018】
上記のように構成される本実施形態の分注装置1は、チップ32が置かれたチップ置き場を範囲とするチップ装着作業位置、又は試薬6及び検体7が置かれた試薬置き場及び検体置き場を範囲とする分注作業位置が、シリンジユニット3の下方領域に来るように分注テーブル2を搬入してチップ装着作業や分注作業を行った後、当該作業位置から分注テーブル2を搬出させる。具体的には、下記の工程にしたがって分注作業を行う。なお、下記の工程は、シリンジユニット3が水平方向に移動不能であり、分注テーブル2の水平移動にもとづいて、シリンジユニット3と分注テーブル2の相対的な位置変更を行う場合を示している。
【0019】
(1)分注テーブル2の所定位置にチップ32、試薬6及び検体7をセット。
(2)チップ置き場23がシリンジユニット3の真下に来るように、搬送レール4に沿って分注テーブル2を搬入。
(3)シリンジユニット3を下降させ、シリンジ31にチップ32を装着。
(4)シリンジユニット3及び分注テーブル2を移動制御し、吸引した検体7を試薬カートリッジの各容器に入っている複数種類の試薬6を所定の順番で分注(検体7を吐出後、必要において反応試薬6を吸引)、または、試薬カートリッジに入っている複数種類の試薬を所定の順番で検体に分注。
(5)分注が完了したら、チップ置き場23がシリンジユニット3の真下に来るように、搬送レール4に沿って分注テーブル2を移動。
(6)シリンジユニット3を下降させ、分注テーブル2のチップ置き場23にチップ32を返却。
(7)分注テーブル2を搬送レール4に沿って搬出。
【0020】
上記のような分注作業工程を実行するにあたり、本実施形態の分注テーブル2は、その一端側が搬送レール4に片持ち状に支持されるため、分注テーブル2の他端側が不安定になり、チップ32の着脱に支障をきたす可能性がある。具体的には、分注テーブル2のチップ置き場23側が不安定であると、チップ32を装着すべくシリンジユニット3を下降させた際に、その荷重で分注テーブル2が下方に大きく撓むため、チップ32がシリンジ31に真っ直ぐに装着されず、シール性に問題が発生する可能性があり、しかも、チップ32がシリンジ31に真っ直ぐに装着されていない場合には、シリンジ31からチップ32を外す際に、チップ32が外れなくなったり、チップ32が勢いよく外れる等のトラブルが発生する可能性があった。
【0021】
そこで、本発明の分注装置1においては、分注テーブル2の一端側を搬送レール4で片持ち状に支持するにあたり、所定の作業位置で分注テーブル2の他端側を支持する支持部材8を設けている。つまり、本実施例の所定の作業位置であるチップ装着作業位置の下方近傍に、支持部材8が設けられている。もちろん、検体置き場25又は試薬置き場24を、分注テーブル2の後端部に設置して分注作業位置を所定の作業位置としてもよい。本実施形態に係る分注装置1では、支持部材8がシリンジ31の昇降軸線上に配置させ、当接部26をチップ置き場23の領域幅に設定してあるので、分注テーブル2の検体置き場25や試薬置き場24側を搬送レール4で片持ち状に支持するものでありながら、チップ装着時には、分注テーブル2の移動があっても3列配置された各チップ32に対して、シリンジ31、チップ32、支持部材8が常に同一軸線上に位置された状態で、シリンジ31の下降荷重を受けることができ、分注テーブル2のチップ置き場23側を片持ち支持しないものであっても、分注テーブル2の撓みを抑制し、シリンジ31にチップ32を真っ直ぐに装着することが可能になる。
【0022】
支持部材8は、分注テーブル2に設けた当接部26を当接支持するローラ部材81であることが好ましいが、摺動性を有する板状又はブロック状の部材であってもよい。例えば、分注テーブル2のチップ置き場23側から下方に向けて、プレート部材からなる左右一対の当接部26を突設する一方、搬送レール4又はそれを支える固定ベース9に左右一対のローラ部材81を設け、分注作業位置(チップ装着位置)で当接部26の下端部をローラ部材81で当接支持する。このように支持部材8をローラ部材81で構成すると、通過時の引っ掛かりを防止しつつ、分注テーブル2の他端側を確実に支持できるという利点があり、さらに、支持部材8が、磨耗することが防止される。なお、本実施例とは逆に、当節部26をローラ部材としても同等の効果が得られる。
【0023】
また、支持部材8は、所定間隔を存して並列される一対の搬送レール4間に配置され、支持部材8に当接支持される分注テーブル2の当接部26は、分注テーブル2におけるテーブル部21の下面、又は、脚部22の内側面から下方に向けて突設されることが好ましい。このようにすると、支持部材8及び当接部26を、搬送レール4や分注テーブル2の内側に収めることができるので、分注装置1の大型化などを回避することができる。コスト面を重視するのであれば、脚部22の一部を当接部として用いても良い。
【0024】
叙述の如く構成された本発明の実施の形態において、分注テーブル2の一端側を搬送レール4で片持ち状に支持するのであるが、その片持ち支持しない側となる所定の作業位置(チップ装着作業位置、又は、分注作業位置)に、分注テーブル2を支持する支持部材8が設けられているので、
分注テーブル2の一端側を搬送レール4で片持ち状に支持するものであっても、水平移動位置となる所定の作業位置(チップ装着作業位置、又は、分注作業位置など)では、分注テーブル2の他端側も安定に支持することが可能になる。また、分注テーブル2の下面空間域では、所定の作業位置の下方近傍にのみ、支持部材を設けるため、清掃を容易に行うことができ、またこぼれた検体などを受けるプレート部材などを設けることができるため、コンタミネーションなどの事故の防止に有効に機能すると共に、両持ち支持と比べて、搬送レールを分注テーブル2の移動ストロークに必要な最短長さに設定することができるばかりか、搬送レール4などの部材コストを削減することができ、しかも、分注テーブル2の検体置き場25や試薬置き場24側を片持ち支持しないものであっても、分注作業位置では、振動が抑制され、チップ32の先端を試薬カートリッジの上面に貼り付けられた密封シールに位置ズレすることなく真っ直ぐな突き刺しが行え、引き抜き時の引っ掛かりが防止されて、検体や試薬の正確な分注作業を行うことができる。また、分注テーブル2のチップ置き場23側を片持ち支持しないものであっても、チップ装着作業位置では、分注テーブル2の撓みを抑制し、シリンジ31にチップ32を真っ直ぐに装着することができるようになり、その結果、チップ32がシリンジ31に真っ直ぐに装着されない場合に発生するシール性の問題や、シリンジ31からチップ32を外す際のトラブルを解消することができる。
【0025】
また、本実施形態の支持部材8は、分注テーブル2に設けた当接部26を当接支持するローラ部材81で構成されるので、通過時の引っ掛かりや当接部26の摩耗を防止しつつ、分注テーブル2の他端側を確実に支持できるという利点がある。
【0026】
また、本実施形態の支持部材8は、所定間隔を存して並列される一対の搬送レール4間に配置され、支持部材8に当接支持される分注テーブル2の当接部26は、分注テーブル2におけるテーブル部21の下面、又は、脚部22の内側面から下方に向けて突設されるので、支持部材8及び当接部26を、搬送レール4や分注テーブル2の内側に収めることができ、その結果、分注装置1の大型化などを回避することができる。
【0027】
[第二実施形態]
つぎに、本発明の第二実施形態に係る分注装置1Bについて、図3を参照して説明する。
【0028】
図3は本発明の第二実施形態に係る分注装置の断面図である。この図に示すように、第二実施形態に係る分注装置1Bは、支持部材8に当接支持される分注テーブル2の当接部26が、分注テーブル2におけるチップ置き場23の左右中間位置から下方に向けて突設される点が第一実施形態と相違している。つまり、シリンジユニット3の多連化に伴い、分注テーブル2のテーブル部21を幅広にし、多くのチップ32を幅方向に連装すると、その重さでテーブル部21が撓み、チップ32がシリンジ31に真っ直ぐに装着されない惧れがあるが、第二実施形態のように、支持部材8に当接支持される分注テーブル2の当接部26を、分注テーブル2におけるチップ置き場23の左右中間位置から下方に向けて突設した場合には、分注作業位置(チップ装着位置)において、チップ置き場23の左右中間位置が支持部材8で支持され、その撓みが抑制されるので、チップ32をシリンジ31に真っ直ぐに装着することが可能になる。なお、第二実施形態では、支持部材8に当接支持される分注テーブル2の当接部26を左右一対のプレート部材で構成すると共に、これらのプレート部材を分注テーブル2におけるチップ置き場23の左右中間位置から下方に向けて突設し、その下端部を戸車状の支持部材8で当接支持しているが、当接部26及び支持部材8の個数や形状は、これに限定されない。
【0029】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されないことは勿論であって、特許請求の範囲を逸脱しない限り、任意の変更を加えることができる。例えば、第一実施形態及び第二実施形態では、分注テーブル2の検体置き場25や試薬置き場24側の端部を搬送レール4で片持ち支持し、分注テーブル2のチップ置き場23側の端部を支持部材8で支持しているが、逆に、分注テーブル2のチップ置き場23側の端部を搬送レール4で片持ち支持し、分注テーブル2の検体置き場25や試薬置き場24側の端部を支持部材8で支持するようにしてもよい。つまり、分注テーブル2におけるチップ置き場23の下方位置を搬送レール4で片持ち支持した場合、分注テーブル2の検体置き場25や試薬置き場24側が不安定になるため、検体や試薬が振動して正確な分注ができない可能性があるが、分注作業位置で分注テーブル2の検体置き場25や試薬置き場24側を支持部材8で支持するようにすれば、検体の振動が抑制されるので、正確な分注が可能になる。
【0030】
また、前記実施形態では、シリンジユニット3が水平方向に移動不能であり、分注テーブル2の水平移動にもとづいて、シリンジユニット3と分注テーブル2の相対的な位置変更を行うようにしているが、シリンジユニット3の水平移動にもとづいて、シリンジユニット3と分注テーブル2の相対的な位置変更を行うものでも、本発明を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の第一実施形態に係る分注装置の側面図である。
【図2】本発明の第一実施形態に係る分注装置の断面図である。
【図3】本発明の第二実施形態に係る分注装置の断面図である。
【図4】参考例1に係る分注装置の側面図である。
【図5】参考例2に係る分注装置の側面図である。
【図6】参考例3に係る分注装置の側面図である。
【図7】参考例4に係る分注装置の側面図である。
【符号の説明】
【0032】
1 分注装置
2 分注テーブル
21 テーブル部
22 脚部
23 チップ置き場
24 試薬置き場
25 検体置き場
26 当接部
3 シリンジユニット
31 シリンジ
32 チップ
4 搬送レール
41 ガイド
5 搬送駆動機構
51 モータ
52 プーリ
53 出力プーリ
54 ベルト
6 試薬
7 検体
8 支持部材
81 ローラ部材
9 固定ベース
100 分注テーブル
101 搬送レール
102 ガイド
103 モータ
104 プーリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チップ置き場、及び/又は、試薬置き場を備える分注テーブルと、
少なくとも垂直方向に移動自在に構成され、分注テーブルに置かれたチップをシリンジに装着した後、検体を試薬に分注、及び/又は、試薬を検体に分注するシリンジユニットと、
分注テーブルを水平方向に進退移動自在に支持する搬送レールとを備える分注装置であって、
前記分注テーブルの移動方向一端側を搬送レールで片持ち状に支持すると共に、その片持ち支持しない側となる所定の作業位置に、当該分注テーブルを支持する支持部材を設けたことを特徴とする分注装置。
【請求項2】
前記所定の作業位置は、前記分注テーブルの分注作業位置、又は、チップ装着作業位置の何れかであることを特徴とする請求項1に記載の分注装置。
【請求項3】
前記支持部材は、分注テーブルに設けた当接部を当接支持するローラ部材であることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の分注装置。
【請求項4】
前記支持部材は、所定間隔を存して並列される一対の搬送レール間に配置されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の分注装置。
【請求項5】
前記支持部材に当接支持される分注テーブルの当接部は、分注テーブルのテーブル部下面又は脚部内側面から下方に向けて突設されることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の分注装置。
【請求項6】
前記支持部材に当接支持される分注テーブルの当接部は、分注テーブルにおけるチップ置き場の左右中間位置から下方に向けて突設されることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の分注装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−107353(P2010−107353A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−279542(P2008−279542)
【出願日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【出願人】(000229645)日本パルスモーター株式会社 (46)
【Fターム(参考)】