説明

分注装置

【課題】分注ノズルから落下する液滴をキャッチする捕獲ユニットを備えた分注装置において、捕獲ユニットが有する皿状部材について液体の貯留状態を解消する。
【解決手段】分注後において、符号102で示されるような水平搬送の途中で、分注ノズル10を用いた捕獲液吸引動作が実行される。すなわち、分注ノズル10の下方にカップ22が位置決められている状態において、廃棄されるノズルチップ14を利用してその内部に捕獲液を取り込む動作が実行される(符号103参照)。その後、ノズルチップ14が取外しステーション36で取り外される。捕獲液はノズルチップ14と共に廃棄されることになる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は分注装置に関し、特に、ディスポーザブルなノズルチップを利用して液体の分注を行う分注装置に関する。
【背景技術】
【0002】
分注装置は、親容器から液体を吸引し、それを1又は複数の子容器へ吐出する装置である。分注対象となる液体は血液、尿などの検体である。試薬が分注されることもある。典型的には、分注装置は、分析機器の前段階に設けられた検体前処理装置として構成される。分注装置において、金属製の分注ノズルが利用されることもあるが、検体間のコンタミネーション等を防止するために、ディスポーザブルなノズルチップが利用されることも多い。かかる場合には、分注ノズルは、金属製のノズル基部とそれに装着される樹脂性のノズルチップとで構成される。分注前に、ノズル基部に対してノズルチップが装着され、分注後に使用済みノズルチップが取り外され、それが廃棄される。
【0003】
分注後においては、汚染防止の観点から、分注ノズルの先端からの液滴の落下を確実に防止することが望まれる。このために特許文献1にはシャッタ機構付きの分注装置が開示されている。分注ノズルの搬送時に分注ノズルの下側には落下した液滴をキャッチする捕獲部材が差し込まれ、液滴の落下が生じてもそれは捕獲部材によって捕獲される。捕獲部材は凹部構造をもって構成され、その底面には濾紙等の吸着部材が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許文献1:特開平9−211007号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来構成において、捕獲部材の中に実際に液滴が落下することはほとんどないが、稀にそこに液滴が落下することもある。長期間の使用後において捕獲部材の中に多少の検体が残留することも考えられる。捕獲部材が定期的にメンテナンスされない場合、例えば濾紙交換や捕獲部材の洗浄が適時になされない場合、分注ノズルの搬送時において生じる振動あるいはシャッタ動作により、残留した検体が周囲に飛散することも完全には否定できない。
【0006】
本発明の目的は、分注ノズルの下側に差し込まれる捕獲部材に液体が残留しないようにすることにある。
【0007】
あるいは、本発明の目的は、分注ノズルの下側に差し込まれる捕獲部材についてのメンテナンス労力を改善し、あるいは、その捕獲部材からの液体の飛散の可能性をより低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る分注装置は、分注ノズルと、前記分注ノズルに対して吸引力を与える分注ポンプと、前記分注ノズルを搬送する搬送機構と、前記分注ノズルから落下した液滴を捕獲する皿状部材と、前記分注ノズル下側の捕獲位置と前記分注ノズルの昇降経路から外れた退避位置との間で前記皿状部材を運動させる進退機構と、を有する捕獲機構と、前記分注ポンプ、前記搬送機構及び前記捕獲機構を制御する手段であって、前記皿状部材が前記捕獲位置にある状態で前記分注ノズルの先端を前記皿状部材の内部に挿入して前記分注ノズルを吸引動作させる捕獲液吸引制御を実行する制御部と、を含むものである。
【0009】
上記構成によれば、吸引後及び吐出後において、分注ノズルの下方に皿状部材が位置し、分注ノズル先端から液体が流れ出してもあるいは液滴が落下しても、それが皿状部材によって捕獲されるから、液体の落下や飛散による汚染の問題を回避できる。その場合において、皿状部材に仮に液体が溜まっても、その液体(捕獲液)が分注ノズルによって吸い取られるから、皿状部材に捕獲液が滞留することも防止できる。皿状部材に液体が溜まっていると、振動や停止時の衝撃等によってその液体が皿状部材から飛び出すことも考えられるが、上記構成によれば、捕獲液を分注ノズルで吸引除去するので、そのような問題も未然に防止できる。メンテナンスの面でもユーザーの負担を軽減できる。分注ノズルによる捕獲液の吸引動作は、望ましくは、分注ノズルを構成するノズルチップの廃棄前や分注ノズルの洗浄前に実施されるのが望ましい。ノズルチップの搬送途中で上記動作を実施するならば捕獲液吸引除去のための特別な時間を設ける必要がないから動作効率を高められる。分注処理(検体)ごとにそのような吸引動作が毎回実施されてもよいし、例えば複数回の分注動作ごとにそのような吸引動作が間欠的に実施されてもよい。
【0010】
望ましくは、前記分注ノズルは、ノズル基部とそれに対して着脱自在に装着されるノズルチップと、で構成され、前記制御部は、分注後であってノズルチップ廃棄前に前記捕獲液吸引制御を実行する。この構成によれば廃棄するノズルチップ内に捕獲液つまり不要液を取り込んで、それをノズルチップごと廃棄することが可能となる。ノズルチップ内に捕獲液が移動しまた保持されるように吸引後の動作条件が定められる。捕獲液の吸引後においては液滴の再落下を防止するためにノズルチップ内を陰圧に維持するようにしてもよい。
【0011】
望ましくは、前記制御部は、前記ノズルチップを分注位置からノズルチップ廃棄位置まで水平方向に搬送している間に前記捕獲液吸引制御を完結させる。この構成によれば搬送時間を利用して捕獲液を吸引除去できるから装置のスループットを維持できる。
【0012】
望ましくは、前記捕獲液吸引制御は、前記皿状部材に向けて前記分注ノズルを高速で下降させる高速下降制御と、その後に前記分注ノズルの吸引動作を行わせながら前記分注ノズルをその先端が前記皿状部材内の底面直近レベルに位置するまで低速で下降させる低速下降制御と、その後の吸引停止から所定の待機期間を経過するまで前記分注ノズルをそのままの高さに維持する待機制御と、その後に前記分注ノズルを引き上げる上昇制御と、を含む。高速下降制御によって時間短縮を図り、その後、液量が不確定であるためにオーバーフロー防止等の観点から分注ノズルに吸引動作を行わせながら分注ノズルが皿状部材の中へゆっくり差し込まれる。最終的にはノズル先端が皿状部材の底面に近接した状態が形成される。その際、衝突させてもよいが、皿状部材の破損や変位による跳ね返りを防止するためには非接触近接状態を形成するのが望ましい。吸引動作の停止後、粘性等を考慮して液が分注ノズル内に確実に入り込むまでの時間をおいて、その後に分注ノズルが引き上げられる。高速と低速は相対的概念である。
【0013】
望ましくは、前記進退機構は、回転軸を有する駆動源と、前記回転軸に固定された回転部材と、前記回転部材において前記回転軸から変位した位置に取り付けられた回転運動端部と、前記皿状部材の運動方向への運動が許容された直線運動端部と、を有するリンク部材と、前記リンク部材の直線運動端部が連結された基端部と、前記皿状部材を備えた先端部と、を有し、前記スライド運動方向へ運動するアーム部材と、を含む。この構成によれば、回転運動が直線運動に転換されるから、捕獲位置付近及び退避位置付近での運動速度を低下させて、途中状態での運動速度を上昇させて、迅速でありながら不必要な衝撃を緩和させた皿状部材の運動を実現できる。
【0014】
望ましくは、ノズルチップ廃棄位置の上方に分注ノズルが位置決められた後に、分注ノズルが引き下げられ、その際に皿状部材が退避位置へ引き戻される。分注ノズルは皿状部材が存在していた捕獲位置よりも下方へ位置決められる。その後、ノズルチップを取り外すためにノズルチップのヘッドをチップリムーバに引っ掛けた状態においてノズル基部が上方へ引き上げられる。それにより、ノズルチップが脱落し落下する。ノズル基部の上昇過程で、皿状部材が退避位置から捕獲位置へ引き出された上で再び退避位置へ引き戻される。これによりノズル基部にノズルチップが装着されていないことを確認できる。もしノズルチップの取り外し後においてもノズルチップが存在していたならばそこに皿状部材が衝突してその衝突が検知される。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、分注ノズルの下側に差し込まれる捕獲部材に液体が残留しないようにすることができる。あるいは、その捕獲部材についてのメンテナンス労力を改善でき、あるいは、その捕獲部材からの液体の飛散の可能性をより低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る分注装置の好適な実施形態を示す概念図である。
【図2】可動部の構成を示す斜視図である。
【図3】捕獲ユニットを説明するための図である。
【図4】捕獲用のカップを示す斜視図である。
【図5】捕獲ユニットの動作を説明するための図である。
【図6】水平搬送途中において実施される捕獲液吸引動作を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。
【0018】
図1には、本発明に係る分注装置の好適な実施形態が示されており、図1はその全体構成を示す概念図である。この分注装置は親検体から1又は複数の子検体を生成する装置であり、例えば分析装置の前処理を行う装置として分析装置の前段に設けられる。検体は血液、尿などである。
【0019】
分注ノズル10は、金属製のノズル基部12と、その下端に着脱自在に装着される樹脂製のノズルチップ14とで構成される。ノズルチップ14はディスポーザブル型である。すなわち各検体の分注処理ごとにノズルチップ14が交換される。ノズル基部12に対しては配管としてのチューブを介して吸引力・吐出力を発生させる。分注ポンプ16が接続されている。分注ポンプ16は例えばシリンジポンプである。配管の途中には必要に応じて配管内の圧力を検出するセンサが設けられる。
【0020】
搬送機構18は、分注ノズル10を三次元的に自在に搬送するための機構である。搬送機構18の一部として、上下方向につまり昇降経路に沿って分注ノズル10を搬送するZ軸機構が設けられており、当該機構と、分注ノズル10と、以下に説明する捕獲ユニット20と、によって可動部が構成されている。可動部はX方向及びY方向すなわち2つの水平方向に搬送されるものである。制御部24は、図1に示された各構成の動作を制御しており、特に、制御部24は分注完了後において分注ノズル10を取外しステーション36へ搬送する途中において捕獲液吸引動作を実行させる制御を行う。
【0021】
捕獲ユニット20は可動部の一部を構成し、その捕獲ユニット20は皿状部材としてのカップ22を備えている。カップ22は進退機構によりその位置が可変されており、カップ22は前進位置としての捕獲位置と後退位置としての退避位置との間において水平運動を行っている。カップ22は、検体の吸引後、検体の吐出後、分注処理後におけるノズル搬送時、等において分注ノズル10の下方に位置して分注ノズル10からの液滴をキャッチする機能を発揮する。すなわち分注ノズル10の搬送過程において液滴が落下した場合であってもその液滴がカップ22によって捕獲される。このような構成により汚染を効果的に防止することが可能である。捕獲ユニット20はシャッタユニットとして理解することが可能である。
【0022】
ラック26上には複数の親検体容器が保持されている。特定の親検体容器28に対して分注ノズル10を利用して検体の吸引が実行される。その後、分注ノズル10が符号100で示されるように上方に引き上げられた後、ラック30に保持された子検体容器の上方に位置決められ、そこから下方へ引き下げられる。分注ノズル10から子検体容器32内へ検体が所定量吐出される。その後そのような過程が繰り返され、例えば子検体容器34内に検体が吐出される。このような一連の吐出工程が実施された後、符号102で示されるように、ノズルチップ14を交換するために、分注ノズル10が分注完了位置から取外しステーション36へ水平搬送される。
【0023】
吐出後においてカップ22は分注ノズル10の下方に引き出されており、すなわちカップ22が捕獲位置に位置決められている。水平搬送の途中において、符号103で示されるように、分注ノズル10を利用してカップ22内の捕獲液に対する吸引が実行される。通常、そのカップ22内に捕獲液は存在していないため、そのような過程において分注ノズル10はエアを吸引することになる。仮に、カップ22内に捕獲液が存在していた場合、分注ノズル10の先端面からそのような捕獲液が内部に取り込まれ、具体的にはノズルチップ14内に取り込まれ、取外しステーション36においてノズルチップの取外しと共に捕獲液が廃棄されることになる。
【0024】
すなわち取外しステーション36は、フックを構成する溝を有するチップリムーバ38と、その下方に設けられた廃棄用ダクト40とを有しており、廃棄用ダクト40の下方には廃棄ボックス42が設けられている。取り外されたノズルチップは廃棄ボックス42内へ廃棄される。その後新しいノズルチップを装着するために符号104で示されるようにノズル基部12がチップラックへ搬送される。
【0025】
図2には、上述した可動部が斜視図として示されている。この可動部は、上述したノズルチップ14を有し、またその昇降運動を行わせる機構を有している。可動部44内には上述した捕獲ユニット20も搭載されている。捕獲ユニット20の先端部にはカップ22が交換可能に設けられている。カップ22に対して分注ノズル10を相対的に上下に運動させることが可能である。
【0026】
図3には捕獲ユニット20の側面図が示されている。モータ46の回転軸48には円板状の回転部材50が取り付けられている。その回転部材50にはリンク部材52が取り付けられている。具体的には、リンク部材52の一方端部52Aが回転部材50の所定位置に連結されている。その連結位置は回転軸48から変位した位置である。リンク部材52の他方端部52Bにはアーム部材54の一端部54Aが連結されている。アーム部材54は図3において左右方向にのみ運動可能とされている。アーム部材54の他方端部すなわち先端部にはカップ22が設けられている。モータ46において回転力を発生させると、回転部材50が回転運動を行い、リンク部材52がその一方端部52Aにおいて円弧状の回転運動を行う結果、その他方端部52Bが図において左右方向に直線運動することになり、これによりアーム部材54が左右方向に直線運動を行う。カップ22が前進端に位置した場合そこが捕獲位置であり、カップ22が後進端に位置した場合そこが退避位置である。アーム部材54のスライド運動を案内する機構については図示省略されている。
【0027】
図4には、カップ22の斜視図が示されている。上述したように先端部54Bにおいてはカップ22が交換可能に設けられており、具体的にはプレート56とその下方のプレート58との間にカップ22のつば部分22Aが挟み込まれている。もちろん他の構造を採用することも可能である。
【0028】
図5には捕獲ユニット20の動作が示されている。(A)にはカップ22が退避位置にある状態を示されており、(C)にはカップ22が捕獲位置にある状態が示されている。(B)にはカップ22が中間位置にある状態が示されている。上述したように、回転部材50に対してリンク部材52の一端部52Aが連結されており、回転部材50の回転に伴ってリンク部材52が揺動運動を行う。これによりリンク部材52の他方端部52Bが左右方向に運動する結果、アーム部材54が進退運動を行う。符号110はカップ22の退避位置を示しており、符号112はカップ22の捕獲位置を示している。符号114はストローク量を示している。リンク部材52は回転運動を直線運動に転換する部材であり、アーム部材54は直線運動部材である。
【0029】
図6には、分注後において最後の吐出位置から取外しステーションへの分注ノズルの搬送途中において実施される捕獲液吸引動作がフローチャートとして示されている。すなわち図6に示される一連の動作は水平搬送中において実施される。
【0030】
S10においては、上方に引き上げられた状態にある分注ノズルが下方に向けて高速で引き下げられる。下降中においてはS12に示されるようにジャミングすなわち衝突が生じたか否かが監視される。ジャミングが発生した場合、S14においてエラー処理が実行される。すなわちカップの淵(上部開口縁)にノズルチップ先端が衝突した場合にはエラー処理が実行される。S16において、ノズルチップが所定の高さすなわちカップの淵から若干下がった高さに位置決められた時に、いったん分注ノズルの下降が停止され、その後においてS18に示されるように、分注ノズルを低速で下降させる動作が開始される。それと共に分注ノズルによる吸引動作が開始される。吸引を行いながらの下降動作が実施された上で、S20においてカップの底面直前ですなわち不接触の状態で分注ノズルが位置決められ、すなわち下降動作が停止される。それと共にあるいはその後に吸引動作も停止される。捕獲液が存在していた場合においてそれが高い粘性をもっていたとしても十分にノズルチップ内へ吸引するために、S22においてタイムラグとして一定の時間だけ待機する動作が実施された上で、S24において分注ノズルが元の高さまで引き上げられる。したがって、カップ内に仮に液体が存在している場合においてはその液体がノズルチップ内に取り込まれることになり、その上でノズルチップの廃棄が実施される。すなわちノズルチップの廃棄とともに捕獲液も廃棄されることになる。その結果カップ内に液体が存在して振動等によってその液体が飛散してしまう問題を防止することが可能となる。
【0031】
本実施形態においては、捕獲ユニット20のそれ自体の昇降運動は行われておらず、ノズルチップの廃棄時においてはカップの高さよりもノズルチップが下方に引き下げられ、そのノズルチップの上面を引っ掛けた状態においてノズル基部を上方に引き上げることによりノズルチップの取外しが実施される。その後、ノズルチップはそのまま引き上げられるが、引き上げ途中においてノズル基部の下方に対してカップ22を突き出してそこにノズルチップがなお存在していないことが確認される。仮にノズルチップが残留している場合には、カップ22がノズルチップに衝突する結果、その時の衝撃が別途設けられているセンサにより検知され、これによって取外しエラーが判定されることになる。もちろんそのような確認動作は必要に応じて行えばよいものである。
【0032】
上記実施形態においては、図5に示したように、回転運動を直線運動に転換する機構が採用されていたために、捕獲位置への運動あるいは退避位置への運動に際して停止直前において速度を弱めることができるから、急激にカップを停止する際に生じる液の飛散といった問題を効果的に防止することが可能である。上述した実施形態においては、ノズルチップの廃棄の都度、上述したカップへの捕獲液吸引動作が実施されていたが、例えば複数本のノズルチップの交換を単位として1回の捕獲液吸引動作を行わせるようにしてもよい。上述した実施形態においては、ノズルチップ先端面をカップの底面に衝突させないでその直前に位置決める制御が実行されているので、カップへの衝撃力の伝達やその破損といった問題を防止することが可能である。もっとも、カップを比較的頻繁に交換するような態様を採用する場合にはカップへの衝突を生じさせるようにしてもよい。
【0033】
上述した実施形態においては、ノズルチップの廃棄に伴う水平搬送途中において上述した捕獲液の吸引動作を行っていたので、捕獲液吸引動作用の特別な時間を設ける必要がないから、スループットを維持あるいは向上できるという利点が得られる。
【符号の説明】
【0034】
10 分注ノズル、12 ノズル基部、14 ノズルチップ、16 分注ポンプ、18 搬送機構、20 捕獲ユニット、22 カップ、36 取外しステーション。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分注ノズルと、
前記分注ノズルに対して吸引力を与える分注ポンプと、
前記分注ノズルを搬送する搬送機構と、
前記分注ノズルから落下した液滴を捕獲する皿状部材と、前記分注ノズル下側の捕獲位置と前記分注ノズルの昇降経路から外れた退避位置との間で前記皿状部材を運動させる進退機構と、を有する捕獲機構と、
前記分注ポンプ、前記搬送機構及び前記捕獲機構を制御する手段であって、前記皿状部材が前記捕獲位置にある状態で前記分注ノズルの先端を前記皿状部材の内部に挿入して前記分注ノズルを吸引動作させる捕獲液吸引制御を実行する制御部と、
を含むことを特徴とする分注装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記分注ノズルは、ノズル基部とそれに対して着脱自在に装着されるノズルチップと、で構成され、
前記制御部は、分注後であってノズルチップ廃棄前に前記捕獲液吸引制御を実行する、ことを特徴とする分注装置。
【請求項3】
請求項2記載の装置において、
前記制御部は、前記ノズルチップを分注位置からノズルチップ廃棄位置まで水平方向に搬送している間に前記捕獲液吸引制御を完結させる、ことを特徴とする分注装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の装置において、
前記捕獲液吸引制御は、前記皿状部材に向けて前記分注ノズルを高速で下降させる高速下降制御と、その後に前記分注ノズルの吸引動作を行わせながら前記分注ノズルをその先端が前記皿状部材内の底面直近レベルに位置するまで低速で下降させる低速下降制御と、その後の吸引停止から所定の待機期間を経過するまで前記分注ノズルをそのままの高さに維持する待機制御と、その後に前記分注ノズルを引き上げる上昇制御と、
を含むことを特徴とする分注装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の装置において、
前記進退機構は、
回転軸を有する駆動源と、
前記回転軸に固定された回転部材と、
前記回転部材において前記回転軸から変位した位置に取り付けられた回転運動端部と、前記皿状部材の運動方向への運動が許容された直線運動端部と、を有するリンク部材と、
前記リンク部材の直線運動端部が連結された基端部と、前記皿状部材を備えた先端部と、を有し、前記スライド運動方向へ運動するアーム部材と、
を含むことを特徴とする分注装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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