分解輸送変圧器
【課題】現地組立の際に行うコイルの品質管理測定用としての油含浸絶縁サンプルを製作する構成が現地組立完了後に取り外されるようにした分解輸送変圧器を提供する。
【解決手段】コイル２等が収容されると共に、マンホール用蓋３ｃ付きのマンホール３ｂを有するタンク３を備える。現地組立の際に行うコイルの品質管理測定用として、工場組立の際に、コイルに用いられる絶縁物と同等の絶縁サンプル５をコイルと共にタンク内に充填された絶縁油４に含浸させて油含浸絶縁サンプルを製作するために、絶縁サンプルを収容する絶縁サンプル収納空間形成部材６が設けられる。この収納空間形成部材６の一端に形成された第１の開口部６ａがマンホールと連通するように収納空間形成部材６がタンク外に着脱自在に取り付けられる。収納空間形成部材６の他端に形成された第２の開口部６ｂが閉鎖されるようにマンホール用蓋が第２の開口部に取り付けられる。
【解決手段】コイル２等が収容されると共に、マンホール用蓋３ｃ付きのマンホール３ｂを有するタンク３を備える。現地組立の際に行うコイルの品質管理測定用として、工場組立の際に、コイルに用いられる絶縁物と同等の絶縁サンプル５をコイルと共にタンク内に充填された絶縁油４に含浸させて油含浸絶縁サンプルを製作するために、絶縁サンプルを収容する絶縁サンプル収納空間形成部材６が設けられる。この収納空間形成部材６の一端に形成された第１の開口部６ａがマンホールと連通するように収納空間形成部材６がタンク外に着脱自在に取り付けられる。収納空間形成部材６の他端に形成された第２の開口部６ｂが閉鎖されるようにマンホール用蓋が第２の開口部に取り付けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、現地組立の際に行うコイルの品質管理測定用としての油含浸絶縁サンプルを製作する構成を併せ持つ分解輸送変圧器に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、電力需要の増大によって電力用機器の大容量化、高電圧化が進み大形化する傾向の中で、山間部の変電所や発電所に輸送するには、重量及び寸法に対して、非常に厳しい条件を伴う場合が増加している。そのため、例えば超高圧大容量変圧器はその輸送条件から、鉄心、コイル、付属品等が工場で分解され、空のタンクと共にこれらを現地まで輸送している。
【０００３】
このような分解輸送では、コイルを輸送中、また、現地におけるタンク内に収容するまでの組立途中での外部からの湿気の侵入による絶縁特性の低下、また、外部からの塵埃の侵入による品質特性の低下が問題となる。
【０００４】
そこで、工場で分解後、現地で再度組み立てられるまで、コイルを防湿、防塵する方法として、例えば、特許文献１に示されるように、コイルの上下面及び外周面をポリエチレンフィルムからなる防湿シートにて覆い、コイルの内周面には耐油性のあるポリテトラフルオロチレンフィルムと、その端部にポリエチレンフィルムを施した複合シートからなる防湿シートにて覆い、各々の防湿シートを熱圧着接合している。また口出し部には、口出し線を覆うようにポリエチレン製の防湿キャップを装着し、コイル外周面の防湿シートに熱圧着接合して固定し、密封構造を形成している。
【０００５】
現地組立の際に各ステップで行うコイルの品質管理測定用として、工場組立の際に、コイルに用いられる絶縁物と同等の絶縁サンプルが所定形状に形成され、かつ、所定数準備され、コイルと共にタンク内に充填された絶縁油を含浸させることにより、油含浸絶縁サンプルが製作される。油含浸絶縁サンプルは、上記のような防湿シート内にコイルと共に同封され、防湿シート内のコイルと同条件に保たれた状態で輸送される。
【０００６】
図２は、現地組立の際に行うコイルの品質管理測定用としての油含浸絶縁サンプルを製作する構成を併せ持つ従来の分解輸送変圧器の工場組立完了時における概略構成図である。図示するように、鉄心１に巻装されたコイル２がタンク３内に充填された絶縁油４と共に収容されている。なお、図２はブッシングを除いて変圧器の主構成である鉄心１、コイル２、タンク３を主に示している。
【０００７】
タンク３には、変圧器が工場で完成された状態では数多くをまとめた絶縁サンプル５を収容するスペースが確保されないので、この絶縁サンプル５を収納するスペースを別途確保する必要があるために、絶縁サンプル収納室６０が設けられており、タンク３に形成された開口部３ａと連通するように取り付けられている。絶縁サンプル収納室６０には、絶縁サンプル５が収納され、絶縁サンプル５を出し入れするためのハンドホール６０ａが設けられており、そのハンドホール６０ａはハンドホール用蓋６０ｂにより閉鎖されている。またタンク３には、タンク３内を点検するためのマンホール３ｂが設けられており、そのマンホール３ｂはマンホール用蓋３ｃにより閉鎖されている。
【０００８】
このような従来の変圧器により油含浸された絶縁サンプル５を製作するには、ハンドホール６０ａを取り外し、絶縁サンプル収納室６０内に所定数の絶縁サンプル５を入れ、ハンドホール６０ａを取り付けた後、所定の処理をしながら絶縁油４をタンク３内に充填させる。
【０００９】
現地組立完了後は、絶縁サンプル収納室６０がタンク３に取り付けられたままで変圧器が設置される。
【特許文献１】特開平９−５０９１９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
従来の分解輸送変圧器では、絶縁サンプル収納室６を設けるために、例えば、溶接による取付作業となり、油密を考慮しなければならないので、その作業が繁雑となるという問題がある。また、絶縁サンプル収納室６にハンドホール６ａを設けるために、タンク３にシール箇所が増えることになり、吸湿または油漏れを起こす虞を増加させるという問題がある。さらに、現地組立後は絶縁サンプル収納室６０がタンク３に取り付けられたままであるので、変圧器として無駄な空間が生じるという問題が生じる。
【００１１】
本発明の目的は、現地組立の際に行うコイルの品質管理測定用としての油含浸絶縁サンプルを製作する構成が現地組立完了後に取り外されるようにした分解輸送変圧器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
第１の発明は、コイル等が収容されると共に、マンホール用蓋付きのマンホールを有するタンクを備え、工場組立後に分解されたコイル等を輸送し、現地組立を行って変圧器として完成させる分解輸送変圧器を対象とし、現地組立の際に行うコイルの品質管理測定用として、工場組立の際に、コイルに用いられる絶縁物と同等の絶縁サンプルをコイルと共にタンク内に充填された絶縁油に含浸させて油含浸絶縁サンプルを製作するために、絶縁サンプルを収容する絶縁サンプル収納空間形成部材が設けられ、絶縁サンプル収納空間形成部材の一端に形成された第１の開口部がマンホールと連通するように絶縁サンプル収納空間形成部材がタンク外に着脱自在に取り付けられ、絶縁サンプル収納空間形成部材の他端に形成された第２の開口部が閉鎖されるようにマンホール用蓋が第２の開口部に取り付けられるようにしたものである。
【００１３】
第２の発明は、第１の開口部はマンホール蓋に形成された、マンホールに対する取付部と同じように加工され、第２の開口部はマンホールに形成された、マンホール蓋に対する取付部と同じように加工されるようにしたものである。
【発明の効果】
【００１４】
以上のように、第１の発明によれば、絶縁サンプル収納空間形成部材がタンク外に着脱自在に取り付けられようにし、また、マンホール用蓋が絶縁サンプル収納空間形成部材に取り付けられるようにしたので、油密を考慮するタンクへの新たな取付作業を無くすことができる。また、タンク内への吸湿またはタンクの油漏れを新たに起こさせる虞を無くすことができる。さらに、現地組立完了後は変圧器に無駄な空間を生じさせることが防止できる。
【００１５】
第２の発明によれば、絶縁サンプル収納空間形成部材を元のマンホール及びマンホール用蓋と合致させるように形成したので、マンホール及びマンホール用蓋のサイズ変更に伴う作業を無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
図１は、現地組立の際に行うコイルの品質管理測定用としての油含浸絶縁サンプルを製作する構成を併せ持つ本発明に係る分解輸送変圧器の工場組立完了時における実施形態を示す概略構成図である。図示するように、鉄心１に巻装されたコイル２がタンク３内に充填された絶縁油４と共に収容されている。なお、図１はブッシングを除いて変圧器の主構成である鉄心１、コイル２、タンク３を主に示している。
【００１７】
タンク３には、例えば、開口部が矩形状の筒体からなる絶縁サンプル収納空間形成部材６が設けられており、その一端に形成された第１の開口部６ａがマンホール３ｂと連通するように、絶縁サンプル収納空間形成部材６がタンク３の外側に着脱自在に取り付けられている。この着脱自在の取付部としては、既にマンホール３ｂの周縁にはフランジが形成されており、フランジ結合させるように、第１の開口部６ａの周縁にはフランジが形成され、また、両フランジには両フランジ同士をボルト締めするための図示しないボルト貫通孔が適宜の間隔で設けられている。
【００１８】
絶縁サンプル収納空間形成部材６の他端に形成された第２の開口部６ｂの周縁には、フランジが形成されており、その開口部６ｂを閉鎖するように、マンホール３ｂに元々取り付けられていたマンホール用蓋３ｃが取り付けられている。絶縁サンプル５は、絶縁サンプル収納空間形成部材６及びマンホール用蓋３ｃにより形成された空間に収納されている。上記のように構成すると、従来のように油密を考慮するタンク３への新たな取付作業が無くなり、また、タンク３内への吸湿またはタンク３の油漏れを新たに起こさせる虞がない。
【００１９】
上記実施形態では、第１の開口部６ａはマンホール蓋３ｃに形成された、マンホール３ｂに対する取付部と同じように加工され、第２の開口部６ｂはマンホール３ｂに形成された、マンホール蓋３ｃに対する取付部と同じように加工されている。このように構成すると、マンホール３ｂ及びマンホール用蓋３ｃのサイズ変更に伴う作業が無くなる。
【００２０】
このように構成された変圧器により油含浸された絶縁サンプル５を製作するには、マンホール用蓋３ｃを取り外し、絶縁サンプル収納空間形成部材６内に従来と同様に絶縁サンプル５を入れ、マンホール用蓋３ｃを取り付けた後、所定の処理をしながら絶縁油４をタンク３内に充填させる。
【００２１】
ここで、工場組立後に分解されたコイル２等を輸送する際に、輸送条件によりコイル２の３相分をコイル輸送用タンクにそれぞれ収容させる場合には、タンク３から絶縁油４を完全に抜いた後、絶縁サンプル収納空間形成部材６内から取り出された油含浸絶縁サンプル５の全部が、特許文献１に示されるように、防湿シート内にコイル２と共に同封される。
【００２２】
油含浸絶縁サンプル５が取り出された後は、絶縁サンプル収納空間形成部材６が取り外されると共に、絶縁サンプル収納空間形成部材６から取り外されたマンホール用蓋３ｃがマンホール３ｂに取り付けられ、マンホール用蓋３ｃを取り付けたタンク３が輸送される。
【００２３】
現地組立の際及び現地組立完了後は、絶縁サンプル収納空間形成部材６が再度取り付けられることなく、マンホール３ｂに元々取り付けられていたマンホール用蓋３ｃが取り付けられた状態で変圧器が設置される。このように構成すると、従来のように変圧器に無駄な空間が生じない。
【００２４】
また、工場組立後に分解されたコイル等を輸送する際に、例えば、３相分のコイル２のうち１相分または２相分が輸送条件により、タンク３内に収容でき、かつ、残りをコイル輸送用タンクに収容させる場合には、タンク３から絶縁油４を完全に抜いた後、絶縁サンプル収納空間形成部材６内に油含浸絶縁サンプル５の一部を残すと共に、絶縁サンプル収納空間形成部材６内から取り出された油含浸絶縁サンプル５の残りが、特許文献１に示されるように、防湿シート内にコイル２と共に同封される。
【００２５】
油含浸絶縁サンプル５が取り出された後は、残りの油含浸絶縁サンプル５が絶縁サンプル収納空間形成部材６内に収納された状態で、マンホール用蓋３ｃが第２の開口部６ｂに取り付けられ、タンク３が輸送される。
【００２６】
現地組立の際は、絶縁サンプル収納空間形成部材６が取り付けられたままであるが、現地組立完了後は、絶縁サンプル収納空間形成部材６が取り外されると共に、絶縁サンプル収納空間形成部材６から取り外されたマンホール用蓋３ｃがマンホール３ｂに取り付けられる。このように構成すると、従来のように変圧器に無駄な空間が生じない。
【００２７】
上記の実施形態では、３相変圧器としたが、単相変圧器でもよい。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】現地組立の際に行うコイルの品質管理測定用としての油含浸絶縁サンプルを製作する構成を併せ持つ本発明に係る分解輸送変圧器の工場組立完了時における実施形態を示す概略構成図である。
【図２】現地組立の際に行うコイルの品質管理測定用としての油含浸絶縁サンプルを製作する構成を併せ持つ従来の分解輸送変圧器の工場組立完了時における概略構成図である。
【符号の説明】
【００２９】
２ コイル
３ タンク
３ｂ マンホール
３ｃ マンホール用蓋
４ 絶縁油
５ 絶縁サンプル
６ 絶縁サンプル収納空間形成部材
６ａ 第１の開口部
６ｂ 第２の開口部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、現地組立の際に行うコイルの品質管理測定用としての油含浸絶縁サンプルを製作する構成を併せ持つ分解輸送変圧器に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
近年、電力需要の増大によって電力用機器の大容量化、高電圧化が進み大形化する傾向の中で、山間部の変電所や発電所に輸送するには、重量及び寸法に対して、非常に厳しい条件を伴う場合が増加している。そのため、例えば超高圧大容量変圧器はその輸送条件から、鉄心、コイル、付属品等が工場で分解され、空のタンクと共にこれらを現地まで輸送している。
【０００３】
このような分解輸送では、コイルを輸送中、また、現地におけるタンク内に収容するまでの組立途中での外部からの湿気の侵入による絶縁特性の低下、また、外部からの塵埃の侵入による品質特性の低下が問題となる。
【０００４】
そこで、工場で分解後、現地で再度組み立てられるまで、コイルを防湿、防塵する方法として、例えば、特許文献１に示されるように、コイルの上下面及び外周面をポリエチレンフィルムからなる防湿シートにて覆い、コイルの内周面には耐油性のあるポリテトラフルオロチレンフィルムと、その端部にポリエチレンフィルムを施した複合シートからなる防湿シートにて覆い、各々の防湿シートを熱圧着接合している。また口出し部には、口出し線を覆うようにポリエチレン製の防湿キャップを装着し、コイル外周面の防湿シートに熱圧着接合して固定し、密封構造を形成している。
【０００５】
現地組立の際に各ステップで行うコイルの品質管理測定用として、工場組立の際に、コイルに用いられる絶縁物と同等の絶縁サンプルが所定形状に形成され、かつ、所定数準備され、コイルと共にタンク内に充填された絶縁油を含浸させることにより、油含浸絶縁サンプルが製作される。油含浸絶縁サンプルは、上記のような防湿シート内にコイルと共に同封され、防湿シート内のコイルと同条件に保たれた状態で輸送される。
【０００６】
図２は、現地組立の際に行うコイルの品質管理測定用としての油含浸絶縁サンプルを製作する構成を併せ持つ従来の分解輸送変圧器の工場組立完了時における概略構成図である。図示するように、鉄心１に巻装されたコイル２がタンク３内に充填された絶縁油４と共に収容されている。なお、図２はブッシングを除いて変圧器の主構成である鉄心１、コイル２、タンク３を主に示している。
【０００７】
タンク３には、変圧器が工場で完成された状態では数多くをまとめた絶縁サンプル５を収容するスペースが確保されないので、この絶縁サンプル５を収納するスペースを別途確保する必要があるために、絶縁サンプル収納室６０が設けられており、タンク３に形成された開口部３ａと連通するように取り付けられている。絶縁サンプル収納室６０には、絶縁サンプル５が収納され、絶縁サンプル５を出し入れするためのハンドホール６０ａが設けられており、そのハンドホール６０ａはハンドホール用蓋６０ｂにより閉鎖されている。またタンク３には、タンク３内を点検するためのマンホール３ｂが設けられており、そのマンホール３ｂはマンホール用蓋３ｃにより閉鎖されている。
【０００８】
このような従来の変圧器により油含浸された絶縁サンプル５を製作するには、ハンドホール６０ａを取り外し、絶縁サンプル収納室６０内に所定数の絶縁サンプル５を入れ、ハンドホール６０ａを取り付けた後、所定の処理をしながら絶縁油４をタンク３内に充填させる。
【０００９】
現地組立完了後は、絶縁サンプル収納室６０がタンク３に取り付けられたままで変圧器が設置される。
【特許文献１】特開平９−５０９１９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
従来の分解輸送変圧器では、絶縁サンプル収納室６を設けるために、例えば、溶接による取付作業となり、油密を考慮しなければならないので、その作業が繁雑となるという問題がある。また、絶縁サンプル収納室６にハンドホール６ａを設けるために、タンク３にシール箇所が増えることになり、吸湿または油漏れを起こす虞を増加させるという問題がある。さらに、現地組立後は絶縁サンプル収納室６０がタンク３に取り付けられたままであるので、変圧器として無駄な空間が生じるという問題が生じる。
【００１１】
本発明の目的は、現地組立の際に行うコイルの品質管理測定用としての油含浸絶縁サンプルを製作する構成が現地組立完了後に取り外されるようにした分解輸送変圧器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１２】
第１の発明は、コイル等が収容されると共に、マンホール用蓋付きのマンホールを有するタンクを備え、工場組立後に分解されたコイル等を輸送し、現地組立を行って変圧器として完成させる分解輸送変圧器を対象とし、現地組立の際に行うコイルの品質管理測定用として、工場組立の際に、コイルに用いられる絶縁物と同等の絶縁サンプルをコイルと共にタンク内に充填された絶縁油に含浸させて油含浸絶縁サンプルを製作するために、絶縁サンプルを収容する絶縁サンプル収納空間形成部材が設けられ、絶縁サンプル収納空間形成部材の一端に形成された第１の開口部がマンホールと連通するように絶縁サンプル収納空間形成部材がタンク外に着脱自在に取り付けられ、絶縁サンプル収納空間形成部材の他端に形成された第２の開口部が閉鎖されるようにマンホール用蓋が第２の開口部に取り付けられるようにしたものである。
【００１３】
第２の発明は、第１の開口部はマンホール蓋に形成された、マンホールに対する取付部と同じように加工され、第２の開口部はマンホールに形成された、マンホール蓋に対する取付部と同じように加工されるようにしたものである。
【発明の効果】
【００１４】
以上のように、第１の発明によれば、絶縁サンプル収納空間形成部材がタンク外に着脱自在に取り付けられようにし、また、マンホール用蓋が絶縁サンプル収納空間形成部材に取り付けられるようにしたので、油密を考慮するタンクへの新たな取付作業を無くすことができる。また、タンク内への吸湿またはタンクの油漏れを新たに起こさせる虞を無くすことができる。さらに、現地組立完了後は変圧器に無駄な空間を生じさせることが防止できる。
【００１５】
第２の発明によれば、絶縁サンプル収納空間形成部材を元のマンホール及びマンホール用蓋と合致させるように形成したので、マンホール及びマンホール用蓋のサイズ変更に伴う作業を無くすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１６】
図１は、現地組立の際に行うコイルの品質管理測定用としての油含浸絶縁サンプルを製作する構成を併せ持つ本発明に係る分解輸送変圧器の工場組立完了時における実施形態を示す概略構成図である。図示するように、鉄心１に巻装されたコイル２がタンク３内に充填された絶縁油４と共に収容されている。なお、図１はブッシングを除いて変圧器の主構成である鉄心１、コイル２、タンク３を主に示している。
【００１７】
タンク３には、例えば、開口部が矩形状の筒体からなる絶縁サンプル収納空間形成部材６が設けられており、その一端に形成された第１の開口部６ａがマンホール３ｂと連通するように、絶縁サンプル収納空間形成部材６がタンク３の外側に着脱自在に取り付けられている。この着脱自在の取付部としては、既にマンホール３ｂの周縁にはフランジが形成されており、フランジ結合させるように、第１の開口部６ａの周縁にはフランジが形成され、また、両フランジには両フランジ同士をボルト締めするための図示しないボルト貫通孔が適宜の間隔で設けられている。
【００１８】
絶縁サンプル収納空間形成部材６の他端に形成された第２の開口部６ｂの周縁には、フランジが形成されており、その開口部６ｂを閉鎖するように、マンホール３ｂに元々取り付けられていたマンホール用蓋３ｃが取り付けられている。絶縁サンプル５は、絶縁サンプル収納空間形成部材６及びマンホール用蓋３ｃにより形成された空間に収納されている。上記のように構成すると、従来のように油密を考慮するタンク３への新たな取付作業が無くなり、また、タンク３内への吸湿またはタンク３の油漏れを新たに起こさせる虞がない。
【００１９】
上記実施形態では、第１の開口部６ａはマンホール蓋３ｃに形成された、マンホール３ｂに対する取付部と同じように加工され、第２の開口部６ｂはマンホール３ｂに形成された、マンホール蓋３ｃに対する取付部と同じように加工されている。このように構成すると、マンホール３ｂ及びマンホール用蓋３ｃのサイズ変更に伴う作業が無くなる。
【００２０】
このように構成された変圧器により油含浸された絶縁サンプル５を製作するには、マンホール用蓋３ｃを取り外し、絶縁サンプル収納空間形成部材６内に従来と同様に絶縁サンプル５を入れ、マンホール用蓋３ｃを取り付けた後、所定の処理をしながら絶縁油４をタンク３内に充填させる。
【００２１】
ここで、工場組立後に分解されたコイル２等を輸送する際に、輸送条件によりコイル２の３相分をコイル輸送用タンクにそれぞれ収容させる場合には、タンク３から絶縁油４を完全に抜いた後、絶縁サンプル収納空間形成部材６内から取り出された油含浸絶縁サンプル５の全部が、特許文献１に示されるように、防湿シート内にコイル２と共に同封される。
【００２２】
油含浸絶縁サンプル５が取り出された後は、絶縁サンプル収納空間形成部材６が取り外されると共に、絶縁サンプル収納空間形成部材６から取り外されたマンホール用蓋３ｃがマンホール３ｂに取り付けられ、マンホール用蓋３ｃを取り付けたタンク３が輸送される。
【００２３】
現地組立の際及び現地組立完了後は、絶縁サンプル収納空間形成部材６が再度取り付けられることなく、マンホール３ｂに元々取り付けられていたマンホール用蓋３ｃが取り付けられた状態で変圧器が設置される。このように構成すると、従来のように変圧器に無駄な空間が生じない。
【００２４】
また、工場組立後に分解されたコイル等を輸送する際に、例えば、３相分のコイル２のうち１相分または２相分が輸送条件により、タンク３内に収容でき、かつ、残りをコイル輸送用タンクに収容させる場合には、タンク３から絶縁油４を完全に抜いた後、絶縁サンプル収納空間形成部材６内に油含浸絶縁サンプル５の一部を残すと共に、絶縁サンプル収納空間形成部材６内から取り出された油含浸絶縁サンプル５の残りが、特許文献１に示されるように、防湿シート内にコイル２と共に同封される。
【００２５】
油含浸絶縁サンプル５が取り出された後は、残りの油含浸絶縁サンプル５が絶縁サンプル収納空間形成部材６内に収納された状態で、マンホール用蓋３ｃが第２の開口部６ｂに取り付けられ、タンク３が輸送される。
【００２６】
現地組立の際は、絶縁サンプル収納空間形成部材６が取り付けられたままであるが、現地組立完了後は、絶縁サンプル収納空間形成部材６が取り外されると共に、絶縁サンプル収納空間形成部材６から取り外されたマンホール用蓋３ｃがマンホール３ｂに取り付けられる。このように構成すると、従来のように変圧器に無駄な空間が生じない。
【００２７】
上記の実施形態では、３相変圧器としたが、単相変圧器でもよい。
【図面の簡単な説明】
【００２８】
【図１】現地組立の際に行うコイルの品質管理測定用としての油含浸絶縁サンプルを製作する構成を併せ持つ本発明に係る分解輸送変圧器の工場組立完了時における実施形態を示す概略構成図である。
【図２】現地組立の際に行うコイルの品質管理測定用としての油含浸絶縁サンプルを製作する構成を併せ持つ従来の分解輸送変圧器の工場組立完了時における概略構成図である。
【符号の説明】
【００２９】
２ コイル
３ タンク
３ｂ マンホール
３ｃ マンホール用蓋
４ 絶縁油
５ 絶縁サンプル
６ 絶縁サンプル収納空間形成部材
６ａ 第１の開口部
６ｂ 第２の開口部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
コイル等が収容されると共に、マンホール用蓋付きのマンホールを有するタンクを備え、工場組立後に分解された前記コイル等を輸送し、現地組立を行って変圧器として完成させる分解輸送変圧器において、
現地組立の際に行う前記コイルの品質管理測定用として、工場組立の際に、前記コイルに用いられる絶縁物と同等の絶縁サンプルを前記コイルと共に前記タンク内に充填された絶縁油に含浸させて油含浸絶縁サンプルを製作するために、前記絶縁サンプルを収容する前記絶縁サンプル収納空間形成部材が設けられ、
前記絶縁サンプル収納空間形成部材の一端に形成された第１の開口部が前記マンホールと連通するように前記絶縁サンプル収納空間形成部材が前記タンク外に着脱自在に取り付けられ、
前記絶縁サンプル収納空間形成部材の他端に形成された第２の開口部が閉鎖されるように前記マンホール用蓋が前記第２の開口部に取り付けられたことを特徴とする分解輸送変圧器。
【請求項２】
前記第１の開口部は前記マンホール蓋に形成された、前記マンホールに対する取付部と同じように加工され、第２の開口部は前記マンホールに形成された、前記マンホール蓋に対する取付部と同じように加工された請求項１に記載の分解輸送変圧器。
【請求項１】
コイル等が収容されると共に、マンホール用蓋付きのマンホールを有するタンクを備え、工場組立後に分解された前記コイル等を輸送し、現地組立を行って変圧器として完成させる分解輸送変圧器において、
現地組立の際に行う前記コイルの品質管理測定用として、工場組立の際に、前記コイルに用いられる絶縁物と同等の絶縁サンプルを前記コイルと共に前記タンク内に充填された絶縁油に含浸させて油含浸絶縁サンプルを製作するために、前記絶縁サンプルを収容する前記絶縁サンプル収納空間形成部材が設けられ、
前記絶縁サンプル収納空間形成部材の一端に形成された第１の開口部が前記マンホールと連通するように前記絶縁サンプル収納空間形成部材が前記タンク外に着脱自在に取り付けられ、
前記絶縁サンプル収納空間形成部材の他端に形成された第２の開口部が閉鎖されるように前記マンホール用蓋が前記第２の開口部に取り付けられたことを特徴とする分解輸送変圧器。
【請求項２】
前記第１の開口部は前記マンホール蓋に形成された、前記マンホールに対する取付部と同じように加工され、第２の開口部は前記マンホールに形成された、前記マンホール蓋に対する取付部と同じように加工された請求項１に記載の分解輸送変圧器。
【図１】
【図２】
【図２】
【公開番号】特開２００６−２３７０６２（Ｐ２００６−２３７０６２Ａ）
【公開日】平成１８年９月７日（２００６．９．７）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−４５４２４（Ｐ２００５−４５４２４）
【出願日】平成１７年２月２２日（２００５．２．２２）
【出願人】（００００００２６２）株式会社ダイヘン (990)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成１８年９月７日（２００６．９．７）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年２月２２日（２００５．２．２２）
【出願人】（００００００２６２）株式会社ダイヘン (990)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]