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分離可能なさや/ボルトおよび/またはねじ接続のための抗焼つき性を有するコーティング組成物
説明

分離可能なさや/ボルトおよび/またはねじ接続のための抗焼つき性を有するコーティング組成物

【課題】さや/ボルトまたはねじ接続の抗焼つき性を有するコーティング組成物を提供する。
【解決手段】
a)(i)エチレン性不飽和基を有するモノマー、(ii)化学的に硬化もしくは架橋し得るポリマーまたはコポリマー、(iii)物理的に硬化するポリマー、または(iv)無機バインダー物質の少なくとも一つを含んでいるバインダー成分;
b)上昇温度においてガスを放出するマイクロカプセル化された特定の物質;そして
c)グラファイト、金属硫化物、ポリオレフィンまたはフッ素化ポリオレフィンから選ばれた減摩添加剤を含んでいるさや/ボルトまたはねじ接続のための抗焼つき性を有するコーティング組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願の主題は、分離可能なさや/ボルトおよび/またはねじ接続のための抗焼つき性を有するコーティング組成物である。
【背景技術】
【0002】
すべての種類のさや/ボルトおよびねじ接続の係止およびシーリングに課せられた要求は、増大する製造物責任および製造物安全性の結果として、全世界において益々厳しくなっている。係止および/またはシーリングの機能、特に構造ねじ接続の場合におけるそれは、長さが変動するライフサイクルにわたって保証されなければならないので、ポリマーねじ係止剤およびねじシーラントの性質は、環境、老化、化学品および/または温度に起因する様々のストレスに適し、もし適切であればそれらは分離可能であり続けなければならない。ポリマー組成物で係止されそしてシールされた分離可能なさや/ポルトおよびねじ係合された部品カップルは、標準仕様書等に規定された特定の破壊分離および回転続行トルクを持つことがさらに要求される。そのような要求は、中でも機械工学、陸上、空中および水上乗物構造に、そして最近では建築物構造において遭遇する。
【0003】
対照的に、間隙を埋めたさや/ボルトおよびねじ接続の緩めおよび締付けは非常に問題であり続け、そして満足に解決されていない。この理由は、例えば、間隙中の硬化したポリマー組成物中のさや/ボルト/またはねじ締め部品カップルの焼付きにある。この焼付きは“アンダーヘッド”接続でも、例えばねじの頭においても起こる。さらに、ポリマー組成での隙間充填の場合、
───十分な凝集強度を有する積極的なそして摩擦接続、および/または
───界面において接続結合力によって一体の接続が形成する時に、負の施工変動を生ずる。
【0004】
要素、工作物、装置等の焼付いたボルト/および/またはねじ接続は種々の理由で工業的、商業的および運輸の場で再使用できないので、それらは取得に時間およびコストがかかる高価な新しい部品によって交換されなければならない。これらは特に非常に広い種々の分野における修繕および保守の分野にとって、特に高い価値の材料、例えばステンレス鋼からつくられたねじ止め部品カップルおよび特注品の場合における主要な不利益である。追加の不利益は、もしアセンブリのエレメントが異なる材料からできていれば、材料リサイクリングに関して起こる。
【0005】
過去において、ねじ係止剤およびシーラントの製造業者の間で、運輸、商業および工業の実際のために抗焼付き性を有する適切な製品の開発を怠っていた訳ではない。そのような試みは以下を含んでいた。
【0006】
───分離および後でのねじ接続の締付けに続いて焼付きの傾向なしに、例えばグラファイト、二硫化モリブデン、ポリオレフィンおよびポリテトラフルオロエチレンの粉末のような摩擦係数を減らす添加剤によって、界面に特異的なスリップ性をつくること。しかしながら唯一の抗焼付き剤としてのそのような添加剤は十分なねじ係止を保証しなかったので、そのような添加剤を排除する必要がある。
【0007】
───前もって係止およびシーリング組成物を供給したねじの表面上のワックスコーティングによって潤滑性を増強しそして維持すること(EP0480103A1)。
【0008】
これらの事実および知見は、減摩物質は主に潤滑剤およびスリップ剤として作用するため、減摩物質は、さや/ボルトおよび(隙間のある)ねじ接続のための隙間充満ポリマー組成物における唯一の抗焼付き添加剤として不適であることを証明しているだけである。
【0009】
隙間および/またはねじ係合部品カップルを充填しそしてシールするのに使用されるコーティング組成物中の伝統的バインダーは、そのような接続がゆるめられそして締められる時焼付きへ導かれる。この理由は、中でもバインダーのポリマーマトリックスにある。何故ならば、
a)取付けおよび硬化の間、および/または
b)長時間のエージングの機能的ストレス、および化学薬品、水および/または温度へ曝露の結果として、ゆるめおよび締め付けの間焼付きが発生または促進される程度までそれらが変質するからである。
【0010】
このような状況は、数時間、数日、数ヶ月またはそれ以上にわたって温度負荷が>250℃,>300℃,または>400℃である時に特に観察され、または発生する。負荷の高温度および長期において、有機バインダーマトリックスは劣化し、隙間中で炭化され、しばしば焼結される。ゆるめおよび締めつけ時に焼付きをさらに促進するのは精密にこれらのコーキング残渣である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献が分離し得る接着剤結合を形成するための接着剤を記載しているのは真実である。しかしながら結合したジョイント中の硬化した接着剤フィルムのこれらの役目と機能を、さや/ボルトおよび/またはねじ止め部品カップルの隙間中の硬化したポリマーフィルムへ転用することは不可能である。分離し得る接着剤結合の場合、分離のために重要なことは、接着が容易に分離できるため界面における接着力の弱化および/または接着剤フィルムの凝集強度の劣化であるのに対し、硬化した隙間充満組成物の場合はそうではない。さや/ボルトおよび/またはねじ止め部品カップルのゆるめおよび/または締めつけに関連する問題は、部品は相互に焼付き、そして固着し、加えて破壊された隙間充満コンパウンドは一般に高い摩擦係数の原因であるため、このプロセスにおいて環状の隙間内の硬化した隙間充満コンパウンドの破壊で始まる。
【0012】
DE−A−2948405およびDE−A−3021263に記載されているようなエポキシ樹脂系熱硬化可能な接着剤は、この問題を経済性および取扱い性の理由ばかりではないが特に大量生産の場合に解決することができない。このことは、どの場合でも冷却(<−5℃)時のみに輸送および貯蔵が可能な、American Cyanamid Co.からの“シート接着剤FM123−5”のような接着剤シートに優先的にあてはまる。
【0013】
DE19833847Aは、接着剤結合内でガスの熱的放出による接着剤結合の分解を記載する。例えばラミネート中の接着剤結合の場合は、焼付きの問題は当然発生しない。DE−A−19833847の提案でも、ゆるめおよび締め付け時に焼付かず、固着されないようにせず、そしてそれぞれの界面において十分なすべり性を有する隙間充満ポリマー組成物を製造することは不可能である。さらに、接合したジョイントは、一旦硬化すれば、接着剤フィルムが力を均等に受入れおよび/または伝えることができるように設計されなければならない。接合したアセンブリ内のストレスピークが小さく留まるためには、接合したジョイントは、ジョイントの間隙内にできるだけ薄い均質の接着剤フィルムが形成できるように寸法決めされなければならない。対照的に、さや/ボルトおよびねじ止め部品カップルの場合は、違った隙間公差が予期され、そのため隙間充満ポリマー組成物に課せられる要求は接着剤に比較して異なっている。それ故、DE19833847Aの提案は、さや/ボルトまたはねじ接続には不適当である。
【0014】
本発明が基礎としている目的は、一方ではさや/ボルトおよび/またはねじ止め部品カップルを充満し、シールし、および/または係止に適し、他方ではこれらカップルがゆるめられおよび/または締着される時の焼付きおよび固着の危険を減らすコーティング組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
今やこの目的は、驚くべきことに、さや/ボルトおよびねじ止め部品カップルの場合に隙間充満に適したバインダーに加え、温度が上昇した時ガスを放出する抗焼付き剤と、そして減摩添加剤を含んでいるコーティング組成物で達成されることが発見された。
【0016】
それ故本発明は、抗焼付き性を有し、そして
a)少なくとも1種の化学的に反応する、および/または不活性な(物理的に硬化する)バインダー、
b)少なくとも1種の上げた温度においてガスを放出する物質、
c)少なくとも1種の減摩添加剤、
d)もし望むならば、さらに慣用の添加剤、
を含んでいる、分離し得るさや/ボルトおよび/またはねじ止め部品カップルを充満し、シールし、および/または係止するためのコーティング組成物を提供する。
【0017】
成分a)
バインダーa)は、化学的に反応するモノマーもしくはポリマー、および/または物理的に硬化するポリマーである。化学的に反応するバインダーは、冷時、熱時および/または放射線により、例えば重付加、付加重合、および/または重縮合によって硬化もしくは架橋可能である。ポリマーもしくはコポリマーが含まれている場合、それらは約300から約25,000の範囲の比較的低い分子量を一般に有する。反応性バインダーは特に、例えば(メタ)アクリル酸エステル、アリルエステル、不飽和ポリエステルのようなエチレン性不飽和基を含む化合物、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート、ポリウレタン、ポリサルファイド、シリコーン等である。反応性バインダーでは、それぞれの使用条件において再活性化され、そして硬化もしくは架橋する一液、二液および多液性成分システムを処方することができる。嫌気性条件下で硬化するバインダーが好ましく、その例はエチレン性不飽和基を含むモノマーもしくはポリマー、エポキシ樹脂、イソシアネート基を含むポリウレタンなどである。このグループの特別の位置は反応性メルト組成物によって占められる。何故ならば、それらは大気中の湿気によって物理的および化学的に硬化するからである。それらは好ましくは無溶剤型に加工される。これを基にして、少なくとも1つの反応成分がマイクロカプセル化形にあり、そして適用条件下のみにおいてマイクロカプセルが破壊され、そして硬化反応が開始される反応性“1Kシステム”(一液性システム)を処方することも可能である。このマイクロカプセル化システムは、本発明のコーティング組成物でのねじの前処理のために有利に適している。
【0018】
物理的に硬化する系においては、ポリマーは既にそれらのポリマー状最終状態にあり、そしてそれらの溶液、分散液および/または溶融物から処理される。水性溶液および分散液が好ましい。物理的に硬化するバインダーは、特に一般に5000ないし500,000の範囲にある比較的高い分子量を既に持っている熱可塑性ポリマーを含む。これらの例は、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ビニルポリマー、ポリウレタン、ポリハロゲン化ビニル、ポリカーボネートおよびそれらの共重合体である。これらのポリマーは、共重合した形で、ヒドロキシル、カルボキシルまたはアミノ基のような官能基を持っている単位を含むことができる。官能基は極性を上昇させ、そのためバインダーとねじの材料間の接着力を強化する。官能基を含んでいる適切な単位の例は、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートまたはアミノエチル(メタ)アクリレートである。不活性なバインダーは非反応性溶融物質も含んでいる。溶融および軟化範囲がガス放出物質の分解温度より少なくとも10℃低いものが好ましい。
【0019】
そのほかに好ましいものは、優先的に高温抵抗性コーティング組成物に使用される無機バインダーである。この種のバインダーは、特に水力学的に硬化するすべての種類のセメント、石灰、石膏、水ガラス特に20:5ないし40:15重量部の範囲のSiO:MO(M=Na,K,Li)を有するナトリウムおよび/またはカリウム水ガラスである。使用し得る他の無機バインダーは、ケイ酸ナトリウムおよび酸化アルミニウム系のEP−A−246564に記載されているバインダーである。
【0020】
単純化の目的で、以下の説明では一般的に「硬化」と称する。この語により、溶媒、水などの蒸発、溶融組成物の冷却のような物理的硬化と、化学的に反応する骨格バインダーの場合、化学的硬化と架橋等の両方を意味する。
【0021】
成分b)
成分b)によって、ポリマー組成物中に焼つきもしくは固着の危険なくねじ止め部品カップルのゆるめおよび/または締めつけを許容する発泡構造もしくは多孔質構造をつくることが可能になる。
【0022】
成分b)は、室温において固体であり、そして温度を上げた時、少なくとも一部の分解生成物および/または分裂生成物がガスであるように、分解を受けることにより、および/または転化反応の開始により、および/または初期発火を引金することによって自然にガスを放出する、低分子塊、無機、有機金属もしくは有機物質を含む。ガス収量は、好ましくは≧50ml/g,特に≧70ml/g,そして特に好ましくは≧90ml/gでなければならない。成分b)がガスを放出する温度は、一般には≧50℃,特に≧60℃、そして好ましくは≧100℃である。放出されたガスは硬化したコーティング組成物中に発泡構造もしくは多孔質構造の形成をもたらし、部品の分解を容易化し、そして締めつけ時焼きつきおよび固着を防止する。
【0023】
上昇した温度においてガスを放出する物質の選択は、組成物を適用し硬化させる時の条件、およびコーティング組成物で処理された部材が服する作業条件に従ってなされる。大多数の場合、該物質は、コーティング組成物を適用しそして硬化させる時の条件下において、そして部材の作業条件下においてそれは実質上ガスを放出しないが、しかしその代りに適用および硬化の間および作業状態における温度より高い温度においてガスを放出するように選ばれる。この温度は、該物質がコーティング組成物の適用および硬化の間、または部材の作業の間曝される最高温度よりも好ましくは少なくとも20℃、そして特に少なくとも50℃高い。
【0024】
作業条件下で非常に高温(250℃〜1000℃)へ曝される例えば充填した隙間のようないくつかの特別の場合には、驚くべきことに、ガス放出物質の少なくとも一部の量が硬化の間および/または作業条件の取得時に分解することが有利であることが判明した。たとえ部分的に存在する多孔質構造でも、長期間の温度へ曝された後ゆるめおよび締めを促進し、そして焼けつきおよび固着を減らす。
【0025】
温度を上げた時ガスを放出する物質は単一の物質の形または物質の混合物の形で使用することができる。物質の混合物の場合、個々の成分は不活性で、そして混合した時だけガス生成反応を開始しても良い。この場合は、成分の一方は好ましくはマイクロカプセル化され、マイクロカプセルのサイズは<100μm,特に<50μmである。
【0026】
ねじ接続の隙間に高度に均質な気泡形成が望ましい。何故ならばこの手段によって分離作業が支援されるからである。これは、コーティング組成物が硬化時、積極的接続のみならず、隙間中の界面における接着力によって一体接続をもたらす時に特にそのとおりである。均質な気泡生成を得るために、成分b)はコーティング組成物中に非常に均一に分布される。
【0027】
成分b)の量はその物質と用途に依存し、そして分解時に放出されるガスの体積によって同時に決定される。この量は、一方では完全に硬化したコーティング組成物に発泡構造もしくは多孔質構造の効果的形成をもたらすのに十分でなければならない。他方、その量はコーティング組成物の係止およびシーリング性が悪影響される程多くてはならない。一般に成分b)の量は、バインダーの固形分と、そしてもし存在すればフィラーを基準にして、0.5〜50重量%、好ましくは1〜25重量%の範囲内にある。無機ガス放出物質の場合、それらの高い比重の結果特別の位置を占める。この場合、固形分を基準にして100重量%までの添加量を採用することができる。
【0028】
成分b)は特に、発泡材料工業において既知の発泡剤を含んでいる。本発明によれば、採用される成分b)は、特にガスとして本質的に窒素、二酸化炭素および/または一酸化炭素を発生するものである。
【0029】
使用し得る成分b)の例は以下のものである。
(1)アゾジカルボキサマイド、アゾビスイソブチロニトリルまたは1,1−アゾビスホルムアミドのようなアゾ化合物。アゾジカルボキサマイドの分解温度(205〜215℃)は、いわゆるキッカーによって155℃へ低下させることができる。使用し得るキッカーは、酸化亜鉛、ステアリン酸亜鉛、Ba−ZnおよびK−Zn系のような金属化合物、または例えば酸、塩基もしくは尿素のような有機化合物である。
(2)4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)、ジフェニルスルホン−3,3’−ジスルホヒドラジド、ジフェニレンオキサイド−4,4’−ジスルホヒドラジド、トリヒドラジノトリアジンまたはP−トルエンスルホニルセミカルバジドのようなヒドラジン誘導体。
(3)N,N’−ジニトロソジメチルテレフタルアミドのようなニトロソ化合物。
(4)5−フェニルテトラゾールのようなテトラゾール。
(5)マロン酸、α−ケトカルボン酸、β−ケトカルボン酸、α,α,α−トリハロカルボン酸、グリセライドカルボン酸、β,γ−不飽和カルボン酸、β−ヒドロキシカルボン酸、β−ラクトン、または無水イサト酸のような無水カルボン酸のような、カルボン酸およびカルボン酸誘導体。
(6)ペルオキシカルボン酸のような有機ペルオキソ化合物。例えばペルオキシ酢酸またはペルオキシ安息香酸、およびそれらのアルカリ金属およびアンモニウム塩。ペルオキソ化合物は好ましくはマイクロカプセル化した形で採用される。
(7)無機炭酸塩および炭酸水素塩、特に炭酸ナトリウム、炭酸カルシウムのようなアルカリ金属およびアルカリ土類金属炭酸塩、および炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カルシウムのような炭酸水素アルカリ金属または炭酸水素アルカリ土類金属塩、および炭酸アンモニウムおよび炭酸水素アンモニウム。無機炭酸塩および炭酸水素塩を使用する時は、前述した有機化合物の場合よりもガス放出のために高い温度を要する。これらの温度は一般に>400℃,好ましくは>500℃,特に>600℃である。
(8)アルカリ金属ペルオキソカーボネートおよびアルカリ金属ペルオキソサルフェートのような無機ペルオキソ酸およびそれらの塩。
(9)グリセロール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ペンタエリスリトールおよびエチレンジアミンのナイトレート、ニトロセルロース、トリニトロトルエン、ピクリン酸、テトリル、ヘキソゲン、オクトゲン、ニトログアニジン、過塩素酸アンモニウム、およびメラミンナイトレートのような爆発性物質。特に好ましくは、爆発性物質はマイクロカプセル化された形にある。特に好ましい爆発性物質は、ヘキソゲン(ヘキサヒドロ−1,2,3−トリニトロ−1,3,5−トリアジン)、ピクリン酸(2,4,6−トリニトロフェノール)、およびテトリル(N−メチル−N,2,4,6−テトラニトロアニリン)である。使用することができる他の爆発性物質は、Ulmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry,Vo1.A10,p.143 ff.,1987に記載されている。
(10)一般にマイクロスフェアの形で存在する加熱時膨張する物質。その例は商標名Expance1マイクロスフェアのもとに得ることができる市販製品である。これらのマイクロスフェアはポリ塩化ビニリデンシエル系で、そしてコア内にアクリルニトリル、(メタ)アクリレートモノマーと、そして膨張剤としてイソブタンを含んでいる。これら物質の膨張は特に加熱のレベルによって決定される。膨張物質は単独で成分b)として、または他の成分b)への添加物として使用することができる。好ましくは成分b)は、上で(1),(2),(5),(6),(7)および(9)に述べた化合物である。
【0030】
成分b)のガス発生が生起する温度は問題の物質に依存し、そして広い範囲を変動し得る。加えて、この温度は金属酸化物、例えば酸化亜鉛、二酸化チタン、酸化アルミニウム等の添加によって修飾することができる。このようにして分解温度を望むように調節することができる。本発明に従って使用することができる成分b)のいくつかについて、分解範囲およびガス収量を以下の表1に示す。この表は、適切な成分b)の選択により、要求に従って分解温度を調節することが可能なことを示している。
【0031】
【表1】

【0032】
成分c)
減摩添加剤は、分離後部品およびバインダー粒子の界面におけるすべりを改善するように役立つ。減摩添加剤は一般に固体粒子の形にある。成分b)の粒子が減摩添加剤でコーティングされていてもよい。好ましい減摩添加剤は、ポリエチレンおよびポリプロピレンのようなポリオレフィン;ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素化ポリオレフィン;グラファイト;および二硫化モリブデンのような金属硫化物である。
【0033】
減摩添加剤の量は、適用トルクおよびあらかじめ決められた分離および/または回転続行トルクによって大きく決定される。それらは、バインダーの固形分および、存在する場合、フィラーを基準にして、1ないし200重量%、好ましくは2ないし150重量%、特に5ないし120重量%の間にある。驚くべきことに、成分b)およびc)の使用により、分離または締めつけ時、さや/ボルト部品またはねじ止め部品それぞれの焼付きまたは固着が実質上回避され、そして成分c)の存在にもかかわらず、さや/ボルトおよび/またはねじ接続の強度が損なわれないことが判明した。
【0034】
成分d)
成分a)〜c)に加え、本発明のコーティング組成物はさらに、成分d)として慣用の添加剤を含むことができる。その例は、グリコール、エステル、炭化水素のような溶剤、湿潤剤、界面活性剤、レベリング剤、フィラー(BaSO4 、CaSO4 、カオリン、シリケート、酸化アルミニウム、酸化亜鉛、リン酸亜鉛、リン酸カルシウム)、チキソトロピー剤、レオロジー修飾剤等である。
【0035】
本発明のコーティング組成物は、有機溶媒、例えば前述の溶剤の一つ中に、エマルション、ディスパージョンもしくは溶液の形で水系として、または無溶剤形例えば溶融組成物の形で存在することができる。特に好ましいのは、無溶剤コーティング組成物であり、その場合成分a)としてモノマーの反応性バインダーが有利に使用される。代って、バインダーとして不活性なポリマーを含む水性コーティング組成物を有利に採用することができる。
【0036】
抗焼つき性を有する本発明のコーティング組成物は、前処理およびさや/ボルトおよびねじ止め部品カップルの組立て部位への適用の両方に適している。大量生産品の場合、標準品質の前処理した部品だけが組立て場所において処理されることが保証されるから、前処理が最も合理的なそして最も確実なモードである。
【0037】
本発明のコーティング組成物の適用は、係止および/またはシールされる部品へ適用することによって行われる。これは慣用のプロセス、例えばスプレープロセス、浸漬プロセス、刷毛プロセス等によって実施され、溶剤または水を含有するコーティング組成物の場合は、後からの乾燥ステップがあり得る。
【0038】
少なくとも一方の部品が本発明のコーティング組成物を施されているさやとボルトまたはねじ止め部品を合体した後、前述したようにバインダーの硬化によってさや/ボルトまたはねじの隙間に係止またはシールが形成される。この係止またはシールをゆるめべき時、抗焼つき性が活性化される。これはさや/ボルトまたはねじ止め部品の分離前または分離後に実施することができる。この目的のため、部品は成分b)の分解温度(成分b)がガスを放出する温度)に等しいかまたはそれより上の温度へ曝される。これは慣用の態様で加熱によって実施することができる。この目的のため、コーティング組成物中に電気伝導性のおよび/または熱伝導性の物質を均一に入れることが好ましい。この種の物質は、金属または他の電気もしくは熱伝導性の物質でつくられた、繊維、粒子、マイクロビーズ、中空マイクロ体および/またはワイヤーの形で存在することができる。使用することができるこの物質の例は、薄い小さい金属フレーク、金属ワイヤー、グラファイト繊維もしくは他の炭素繊維、伝導性物質でコーティングされた無機物質もしくはポリマー製のマイクロビーズ、例えば銀コートシリケート、および中空マイクロ体である。成分b)の分解によって生じたガス生成の結果、隙間充満硬化コーティング組成物の凝集強度、そして適切であれば接着強度の減少がある。その結果、分離時部品の焼付きもしくは固着の危険が避けられ、そのため部品を問題なく分離し、再び使用することができる。
【実施例】
【0039】
本発明は、実施例1〜13(表2)を参照して例証される。しかしながらそれはこれら実施例へ制限されない。
【0040】
コーティング組成物の調製
a)水性分散液および/または水ガラス系の物理的硬化組成物
ポリマー分散液および水ガラスは異なる固形分含量(20〜70重量%)で存在する。各場合に必要な量をディスパーザーつきプラネタリミキサーの混合室へ仕込み、もし適切てあれば必要なpHか確立される。フィラーおよびレオロジー剤を水中にスラリー化し、そして分散液および水ガラスへ少しづつ加える前にペースト化され、そして完全にペースト化される。保存剤および他の添加剤は好ましくはいわゆるマスターバッチとして添加される。ガス放出物質および減摩添加剤の添加は、好ましくは終りに行われる。これらの物質が完全に混合されるや否や、組成物はディスパーザーを用いて均質に分散され、その後結果、pHのような最終性質が必要により調節される。
【0041】
b)溶融組成物
溶融組成物に対しては、原料物質は加熱し得る溶融コンパウンダー(Zアームニーダー)中でバッチ式に、または1軸もしくは2軸押出機中で連続的に調製することができる。バインダーはガス放出物質の分解温度に従って選択される。バインダーの融点もしくは軟化範囲は、各場合、ガス放出物質の活性を保つため該物質の分解点より約20ないし25℃低い。
【0042】
バインダーの原料物質顆粒は加熱した溶融コンパウンダーへ仕込まれ、30分以内加熱および溶融される。その後少量づつフィラーのそれぞれの量が溶融物へ加えられ、均質な組成物を与えるように練合される。最後にガス放出物質および減摩添加物が速やかにかつ均質に加えられる。仕上がった溶融組成物は3つの異なるプロセスステップによって少単位形に変換することができる。
───冷却浴中で冷却によりストランドを製造し、その後スティックに切断するか、またはチョッピング装置によって顆粒化する。
───冷却したベルト上へ落下させる慣用の装置によってチップ、ドロップ、パール等の製造。
───冷却した型へ注入(口紅の製造に類似)することによるスティックの製造。
【0043】
c)化学反応性組成物 化学反応性組成物は、1,2および多成分系を含み、最初の2つが主に使用される。2成分系(エポキシド、ポリウレタン)の場合、2成分は別々に混合される。1成分系の場合は、製品はいわゆる湿気硬化製品か、または一方の反応性成分がマイクロカプセル化されている製品である。
【0044】
調製のため、ディスパーザーを含むプラネタリミキサーを使用することができる。最初にバインダーもしくは共反応剤例えば硬化剤を導入し、フィラーを均質に加える。ガス放出物質と減摩添加剤は、それらが貯蔵中反応性成分に関して不活性であり続ける限り、一方のもしくは別々に両方の成分中へ加えることができる。
【0045】
例えばポリウレタン系のような湿気硬化型反応性溶融組成物は、溶融組成物に類似して調製することができる。
【0046】
マイクロカプセル化成分を含有する組成物の場合、混合中発生する剪断力によってカプセル壁の損傷を避けるため添加を最後に実施することが重要である。
【0047】
コーティング組成物の適用
ねじ部品カップルが実施例1ないし13の組成物で処理された。
テスト要素の選定:
───ステンレス鋼ボルト、M10×35,A2−70,DIN933
───ステンレス鋼ナット、M10×35,A2−70,DIN934
───鋼ボルト、M10×35、8.8(焼入れし、鍛造した黒鋼)DIN933
───鋼ナット、M10(焼入れし、鍛造した黒鋼)DIN934
【0048】
適用前すべてのテスト要素を脂肪族炭化水素で洗浄し、その後24時間貯蔵した。
【0049】
洗浄したテストボルトのねじ山のコーティングのため、それらを個々に水平に回転する磁石ブロック上に載置し、そして組成物を少なくとも6つのねじ山上に注いだ。組成物の均一な分配の後、テストボルトを除去し、23℃において24時間貯蔵した。水および溶媒を含有する組成物は同時に乾燥することができた。
【0050】
溶融組成物(実施例7および9)でのコーティングのため、製造したスティックを人力ホットメルト接着剤ガンに挿入し、そして140℃(実施例7)および180℃(実施例9)の操作温度へ加熱した。コーティングすべきテストボルトは、熱風ヘヤードライヤーを用いて約60℃ないし70℃へ予熱された。
【0051】
化学反応性組成物の場合は、均質な混合物は当量比の反応成分から調製され、そしてエレメントはこれら混合物でポットライフ以内に処理された。ポットライフの間、実施例10ないし12の組成物の反応温度は60℃以下に保たれた。
【0052】
実施例13は、マイクロカプセル化アクリレートおよび過酸化物を含み、それへマイクロカプセル化ヘキソゲン(添加剤G10)5重量%と、そして減摩添加剤R1およびR2が加えられたアクリレート系ねじ係止およびねじシーリング組成物に関する。
【0053】
各組成物は10本のテストボルトを処理するために使用され、コーティング後23℃において24時間貯蔵された。
【0054】
テストねじの係合およびねじ接続の緊張は、コーティングした外ねじ上へコンスタントな回転スピードで実施された。トルクレンチを使用して、あらかじめ定めた締めつけトルク(LMt)に達するまでカウンターねじを締めつけた。テスト要素は組成物の硬化のため23℃でさらに24時間貯蔵された。平行して比較のため、似た数のテスト要素が実施例1ないし13に従うがしかしガス放出または減摩添加剤を含まない組成物で処理された。
【0055】
テストの有効性のため、テスト要素はテスト前に、熱ストレシングと呼ばれる、当分野で慣行の温度曝露へかけられた。測定した破壊分離および回転続行トルクは表3に要約されている。この試験結果は各場合10テスト要素の算術平均である。
【0056】
実施例1ないし13のテスト要素の破壊分離および回転続行トルクはボルトテストベンチ(Schtz社からのモデルNo.5413−4102)上で測定した。各項目について測定する時の回転スピードは以下のとおりであった。
破壊分離トルク(LMb): 5rpm
回転続行トルク(LMf): 20rpm
ねじ取外し: 50rpm
【0057】
【表2】

【0058】
1)使用した原料
物理的硬化バインダー:
PVC(ポリ塩化ビニル):Wacker−ChemieからのVinnol −Dispersion 50
アクリレートCP:BASF AGからのAcronal 85D
ポリウレタン:Bayer AGからのDispercoll U54
エチレン酢酸ビニル CP:Wacker−ChemieからのVinnap as−Dispersion EP1
水ガラス:Henkel KgaAからのナトリウム水ガラス 37/40ボーメ
溶融組成物:
ポリアミド CP:Elf−AtochemからのPEBAX
エチレン酢酸ビニル CP:DuPont,Wilmington,Del.
からのELVAX
化学反応性バインダー:
エポキシド:Shell ChemicalからのEpikote/Epic ure システム
ポリウレタン:Bayer AGからのDesmodur/Desmophe m
シリコーン:GE/Bayer GmbHからのSilopren
アクリレート CP:Omnitechnik Microverkapselungs GmbHからのPRECOTEフィラー/レオロジー剤:酸化アルミニウム
ガス放出添加剤(G1〜G13):
G1=アゾジカルボキサマイド
G2=アゾジカルボキサマイド、Bayer AGからの修飾したPOROF OR
G3=4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)、生産者Unir oyal Chemical,USA
G4=ジフェニレンオキサイド−4,4’−ジスルホヒドラジド,生産者Ba yer AG
G5=フェニルテトラゾール,生産者Stepan Chemical Co .,USA
G6=無水イサト酸、生産者Bayer AG
G7=マロン酸、生産者Feinchemi Kalien
G8=オキザル酢酸、生産者Feinchemi Kalien
G9=テトリル
G10=ヘキソゲン
G11=オクトゲン
G12=Expancel、生産者Akzo Nobel
G13=炭酸カルシウム、生産者Omya GmbH
減摩添加剤(潤滑剤):
R1=ポリエチレン粉末(PEワックス)、ClariantからのCeri dust
R2=ポリテトラフルオロエチレン粉末(PTFE)、DuPontからのテフロン(登録商標)粉末
R3=グラファイト、Kropfmuhle AGからの粉末グラファイト
R4=二硫化モリブデン、生産者Dow Cornig CP=コポリマー
【0059】
〔表3〕
熱ストレス後の破壊分離および回転続行トルク(DIN 267,パート27)
ねじ係合部品カップル:
1)ステンレス鋼/ステンレス鋼
テストボルト:M10×35,A2−70,DIN933
テストナット:M10,A2−70,DIN934
2)鋼/鋼
テストボルト:M10×35、8.8(焼入れ黒鋼)DIN933
テストナット:M10,10(焼入れ黒鋼)DIN934
【0060】
【表3】

【0061】
本発明のコーティング組成物を使用する時は、ねじ係合した部品の破壊分離トルクおよび回転続行トルク、従って焼付きおよび固着の危険は、成分b)およびc)なしのコーティング組成物を使用する時よりも相当に低いことが明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)(i)エチレン性不飽和基を有する硬化もしくは架橋し得るモノマー、
(ii)(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、ポリサルファイド、またはシリコーンから選ばれた化学的に硬化もしくは架橋し得るポリマーまたはコポリマー、
(iii)ポリ(メタ)アクリレート、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリハロゲン化ビニル、またはそれらのコポリマーから選ばれた物理的に硬化するポリマー、または
(iv)水ガラス、セメント、石灰または石膏から選ばれた無機バインダー物質、
の少なくとも一つを含んでいるバインダー成分;
b)(i)アゾ化合物、(ii)4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)、ジフェニレンオキサイド−4,4’−ジスルホヒドラジド、トリヒドラジノトリアジン、またはp−トルエンスルホニルセミカルバジドから選ばれたヒドラジン化合物、(iii)テトラゾール、(iv)ベンズオキサジン、(v)マロン酸、α−ケトカルボン酸、β−ケトカルボン酸、α,α,α−トリハロカルボン酸、グリセライドカルボン酸、β−ヒドロキシカルボン酸、β−ラクトンまたは無水カルボン酸よりなる群から選ばれた上昇温度においてガスを放出し且つマイクロカプセル化された物質;そして
c)グラファイト、金属硫化物、ポリオレフィン、およびフッ素化ポリオレフィンよりなる群から選ばれた少なくとも1種の減摩添加剤;
を含んでいるさや/ボルトまたはねじ接続のための抗焼つき性を有するコーティング組成物。
【請求項2】
減摩添加剤は、ポリエチレン、ポリテトラフルオロエチレン、グラファイトまたは二硫化モリブデンから選ばれる請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
バインダー成分a)は、(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、またはイソシアネート基を含有するポリウレタンから選ばれた化学的に硬化もしくは架橋し得るポリマーまたはコポリマーである請求項1のコーティング組成物。
【請求項4】
バインダー成分a)は、ポリオレフィン、ポリアミド、飽和ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、またはそれらのコポリマーから選ばれた物理的に硬化するポリマーである請求項1のコーティング組成物。



【公開番号】特開2012−224861(P2012−224861A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−155114(P2012−155114)
【出願日】平成24年7月11日(2012.7.11)
【分割の表示】特願2001−569302(P2001−569302)の分割
【原出願日】平成13年3月23日(2001.3.23)
【出願人】(502336519)オムニテヒニク、ミクロフェアカプセルングスゲゼルシャフト、ミット、ベシュレンクテル、ハフツング (1)
【Fターム(参考)】