説明

分離膜モジュールおよび連結部材

【課題】センサを用いた安定的な測定を行うことができる分離膜モジュールを提供する。
【解決手段】分離膜モジュールは、筒状の圧力容器と、圧力容器の軸方向に並ぶように圧力容器内に装填された複数本の膜エレメントと、隣り合う膜エレメントを連結する連結部材とを備えている。膜エレメントは、中心管および中心管の両端部に固定された一対の端部材3A,3Bを含む。連結部材5Aは、当該連結部材5Aの両側に位置する端部材3A,3Bの少なくとも一方と係合するように構成されている。また、連結部材5Aには、センサが取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原液から透過液を生成する分離膜モジュールおよびこの分離膜モジュールに用いられる連結部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば海水淡水化処理や超純水の製造などに用いられる分離膜モジュールが知られている。例えば、特許文献1には、図8に示すような分離膜モジュール10が開示されている。この分離膜モジュール10では、筒状の圧力容器11内に複数本のスパイラル型膜エレメント12が一列に装填されている。そして、図8中に矢印で示すように、分離膜モジュール10の一方の端部から圧力容器11内に原液が供給されると、その原液がスパイラル型膜エレメント12の分離膜によって濾過されて透過液が生成され、その透過液と濃縮された原液が分離膜モジュール10の他方の端部から別々に排出される。
【0003】
隣り合うスパイラル型膜エレメント12は、連結部材15によって連結される。各スパイラル型膜エレメント12は、分離膜および流路材を含む積層体が中心管13の回りに巻き回された構成を有している。連結部材15は、通常、両端部がスパイラル型膜エレメント12の中心管13と嵌合する短管からなる。図8に示す例では、連結部材15が中心管13に外側から嵌合している。
【0004】
さらに、特許文献1には、原液や透過液の性状を検知するための各種のセンサやこれらのセンサによる検知信号を発信するためのアンテナを連結部材15に設けることが記載されている。この構成により、特許文献1に開示された分離膜モジュール10では、スパイラル型膜エレメント12が取り替えられるときでもセンサなどを再利用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−166034号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記のように膜エレメント間に連結部材(取付部材)などを用いてセンサを設ける場合、スパイラル型膜エレメントに対して連結部材が回転可能であるために、センサの位置が定まらない。圧力容器内では一般に原液や透過液の流れの状態が場所によって異なるため、センサの位置が定まらないと、センサによる測定数値にバラツキが生じ、信頼性の高い数値が得られない場合がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑み、センサを用いた安定的な測定を行うことができる分離膜モジュールおよびこの分離膜モジュールに好適に用いられる連結部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明は、筒状の圧力容器と、前記圧力容器の軸方向に並ぶように前記圧力容器内に装填された複数本の膜エレメントであって、中心管および前記中心管の両端部に固定された一対の端部材を含む膜エレメントと、前記中心管と嵌合することにより隣り合う前記膜エレメントを連結する連結部材であって、当該連結部材の両側に位置する前記端部材の少なくとも一方と係合するように構成された連結部材と、前記連結部材に取り付けられたセンサと、を備える、分離膜モジュールを提供する。
【0009】
また、本発明は、中心管および前記中心管の両端部に固定された一対の端部材を含む膜エレメント同士を連結する連結部材であって、両端部が前記中心管内に嵌合する中空の軸部と、前記端部材間に介在するプレート部と、前記プレート部から突出して前記端部材に係合する突出部と、を備える、連結部材を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の分離膜モジュールによれば、センサが取り付けられた連結部材の膜エレメントに対する回転が規制されるため、センサを用いた安定的な測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1実施形態に係る分離膜モジュールの断面図
【図2】膜エレメントの一例であるスパイラル型膜エレメントの概略構成図
【図3】連結部材およびこの両側に位置する端部材の分解斜視図
【図4】(a)は連結部材の正面図、(b)は(a)のIVB−IVB線断面図
【図5】(a)は図1のVA−VA線断面図、(b)は図1のVB−VB線断面図
【図6】連結部材の両側に位置する端部材同士の位置関係を説明する図
【図7】本発明の第2実施形態における連結部材の正面図
【図8】従来の分離膜モジュールの断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明は本発明の一例に関するものであり、本発明はこれらによって限定されるものではない。
【0013】
(第1実施形態)
図1に、本発明の第1実施形態に係る分離膜モジュール1を示す。この分離膜モジュール1は、ベッセルと呼ばれる筒状の圧力容器7と、圧力容器7の軸方向に並ぶように圧力容器7内に装填された複数本(例えば、3〜8本)の膜エレメント2と、隣り合う膜エレメント2を連結する連結部材5Aとを備えている。
【0014】
圧力容器7の両端には、円盤状のキャップ8,9が取り付けられている。一方(図1では左側)のキャップ8には、原液を圧力容器7内に供給するための供給管81が中心からずれた位置に設けられている。他方(図1では右側)のキャップ9には、後述する分離膜23によって原液が濾過されることにより生成される透過液を取り出すための第1排出管91が中心に設けられており、濃縮された原液を取り出すための第2排出管92が中心からずれた位置に設けられている。すなわち、圧力容器7内には、一方のキャップ8から他方のキャップ9に向かう原液の流れが形成される。なお、供給管81および第2排出管92は、圧力容器7に設けられていてもよい。
【0015】
本実施形態では、膜エレメント2として、スパイラル型の逆浸透膜エレメントが用いられている。ただし、膜エレメント2は、例えばスパイラル型の限外濾過膜エレメントであってもよいし、その他の円筒形エレメントであってもよい。
【0016】
各膜エレメント2は、集水管として機能する中心管21と、中心管21の回りに巻き回された積層体22と、積層体22を挟むように中心管21の両端部に固定された一対の端部材3A,3Bと、積層体22を取り巻く外装材28とを有している。一対の端部材3A,3Bは、積層体22がテレスコピック状に伸張することを防止する役割も果たす。
【0017】
本実施形態では、一対の端部材3A,3Bのうちの上流側の端部材3Aに、シール部材4として、膜エレメント2と圧力容器7の内周面との隙間を原液の上流側の圧力を利用してシールする断面略U字状のパッキンが装着されている。ただし、シール部材4は、断面略U字状のパッキンに限定されるものではなく、膜エレメント2と圧力容器7の内周面との隙間をシール可能なものであればどのような形状を有していてもよい。
【0018】
中心管21には、内部に透過液を流入させる複数の導入孔が形成されている(図2参照)。連結部材5Aの後述する中空の軸部51は、隣り合う膜エレメント1の中心管21に跨って、透過液を流すための連続した流路を構成する。なお、最上流側に位置する膜エレメント2の中心管21にはプラグ82が取り付けられ、最下流側に位置する膜エレメント2の中心管21は連結器93によって第1排出管91と連結されている。
【0019】
図2に示すように、積層体22は、巻き回される方向が一方の対辺方向となる矩形状をなしており、透過側流路材24の両面に分離膜23が重ね合わされた膜リーフと、供給側流路材25とを含む。膜リーフは、一方向に開口する袋状となるように分離膜23同士が3辺で接合された構成を有しており、その開口が中心管21の導入孔と連通している。透過側流路材24は、例えば樹脂からなる網であり、互いに接合される分離膜同士の間に透過液を流すための流路を形成する。供給側流路材25は、例えば樹脂からなる網(透過側流路材24よりも網目の大きな網)であり、巻き回される膜リーフの周回部分同士の間に原液を流すための流路を形成する。
【0020】
分離膜23としては、不織布やポリスルホン多孔質膜支持体上にポリアミド系スキン層を設けた複合逆浸透膜や、透過性に優れたポリビニルアルコール系分離膜、ナノフィルトレーション膜に好適なスルホン化ポリエーテルスルホン系分離膜などが挙げられる。
【0021】
図1に戻って、一対の端部材3A,3Bは、中心管21にそれらの端面が同一平面上に位置するように固定されている。また、一対の端部材3A,3Bは、相互に同一の形状を有しており、互いに逆向きに配置されていることが好ましいが、一対の端部材3A,3Bとしてはそれぞれ実用性に応じて異なる形状のものを用いてもよい。具体的に、各端部材3A,3Bは、中心管21の端部に外側から嵌合する内側筒部31と、内側筒部31を離間しながら取り囲む、内側筒部31と同心の外側筒部32とを有している。
【0022】
図3に示すように、内側筒部31と外側筒部32は、放射状に配置された複数(図例では6つ)のリブ33(図1では作図を省略)によって互いに連結されている。リブ33間には薄板34(図1では作図を省略)が配設されており、この薄板34には、端部材3A,3Bを貫通して原液を流通させるための複数の貫通孔が設けられている。ただし、薄板34は必ずしも設けられている必要はなく、リブ33間の空間が端部材3A,3Bを貫通して原液を流通させる流通口を構成していてもよい。
【0023】
本実施形態では、各リブ33の高さ(中心管21の軸方向の寸法)は、内側筒部31および外側筒部32の軸長と同一であり、各リブ33の両端面は、内側筒部31および外側筒部32の両端面と同一平面上に位置している。また、各リブ33は、膜エレメント2の内側から見たときに、反時計回りの渦巻き状を呈するように湾曲している。上述したように一対の端部材3A,3Bは互いに逆向きに配置されているので、上流側から見たときには、下流側の端部材3Bのリブ33は反時計回りの渦巻き状を形成し、上流側の端部材3Aのリブ33は時計回りの渦巻き状を形成する。なお、リブ33は必ずしも渦巻き状を呈する必要はなく、各リブ33が径方向に直線的に延びていてもよい。
【0024】
図1に示すように、外側筒部32の外周面には、シール部材4を担持するための周方向に延びる溝が形成されていてもよい。さらに、外側筒部32には、外装材28を保持するための段差が形成されていてもよい。また、外側筒部32の後述するプレート部52に当接する端面には、原液を流通させるための溝部を設けることが好ましい。この溝部はプレート部52の壁面に設けてもよい。
【0025】
端部材3A,3Bは、金型を用いてプラスチック樹脂を成型することにより製造することができる。このようなプラスチック樹脂としては、ABS樹脂、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、塩化ビニル(VC)樹脂、ポリスルホン(PSU)樹脂などが挙げられる。
【0026】
連結部材5Aは、中心管21と嵌合することにより隣り合う膜エレメント2を連結する。具体的に、連結部材5Aは、図4(a)および(b)に示すように、両端部が中心管21内に嵌合する軸部51と、軸部51の中央部から広がって、端部材3A,3B間に介在するプレート部52とを有している。本実施形態では、軸部51およびプレート部52が樹脂によって一体的に形成されているが、これらは別々に成型された後に接着剤や溶着などで接合されてもよい。
【0027】
軸部51および展開部53を一体的に形成する方法は、特に限定されるものではないが、例えば、射出成形、押出成形、インサート成形、注型成形、真空注型成形などを挙げることができる。また、使用される樹脂としては、ABS樹脂、ポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン樹脂、変性ポリフェニレンエーテル(PPE)樹脂、塩化ビニル(VC)樹脂、ポリスルホン(PSU)樹脂などが挙げられる。中でも、耐圧性に優れる変性PPE樹脂が特に好ましく用いられる。
【0028】
軸部51は、一定の肉厚の筒状をなしている。なお、図示は省略するが、軸部51の両端部には、軸部51の外周面と中心管21の内周面との隙間をシールするシール部材(例えば、オーリング)がそれぞれ装着されている。一方の端部に装着されるシール部材の数は、1つであってもよいし複数であってもよい。なお、中心管21は、必ずしも全長に亘って一定の内径を有している必要はなく、中心管21の端部には内径が拡大された拡径部が設けられ、この拡径部に軸部51の端部が嵌り込むようになっていてもよい。
【0029】
本実施形態では、プレート部52における端部材3A,3Bと対向する両主面が端部材3A,3Bの端面に当接する。ただし、プレート部52の両主面は、必ずしも端部材3A,3Bの端面に当接する必要はない。例えば、軸部51の周囲にプレート部52の両主面から突出する筒状部が形成されていて、この筒状部の端面が端部材3A,3Bの端面に当接することによりプレート部52の両主面が端部材3A,3Bの端面から離間していてもよい。
【0030】
プレート部52は、軸部51から径方向外向きに延びる複数(図例では3つ)の展開部53を有している。各展開部53は、厚さよりも十分に大きな幅を有している。なお、展開部53の幅は、少なくとも根元部分では軸部51の外径よりも大きいことが好ましい。このようになっていれば、展開部53の根元部分同士が連続して軸部51の周囲に切れ目のないリング部を形成することができるため、このリング部に配線を通したりすることができる。
【0031】
さらに、本実施形態では、連結部材5Aが当該連結部材5Aの両側に位置する端部材3A,3Bと係合し、これにより自身の回転が規制されるように構成されている。具体的には、プレート部52の両主面のそれぞれに、当該主面から突出して端部材3A(または3B)に係合する突出部54が設けられている。本実施形態では、双方の突出部54が同一の展開部53に設けられている。なお、本発明の突出部は、プレート部(連結部材)の回転を抑制する程度に端部材に支持されていればよいが、端部材と連結可能な構造を有していてもよい。
【0032】
各突出部54は、図5(a)および(b)に示すように、端部材3A(または3B)の外側筒部32の内周面に近接する位置で、リブ33間に嵌り込んでいる。本実施形態では、各突出部54が、隣り合うリブ33の双方に接触するような形状に形成されており、隣り合うリブ33に挟持されている。ただし、各突出部54は、必ずしも隣り合うリブ33の双方に接触する必要はなく、リブ33間に遊嵌していてもよい。
【0033】
突出部54は、プレート部52と一体的に形成されてもよいが、プレート部52と別に成型された後にプレート部52に接着剤や溶着などで接合されてもよい。
【0034】
図4(a)および(b)に戻って、突出部54が設けられた展開部53(図4(a)では上に位置する展開部53)内には、突出部54に対応する位置に、双方の突出部54に跨るようにして電源装置64が封入されている。電源装置64は、回路基板63を介して第1流量センサ61および第2流量センサ62に電力を供給する。電源装置64としては、電池や発電機、AC電源との接続や無線送電を利用することができる。中でも使用が簡便であるため、電池の使用が好ましい。
【0035】
第1流量センサ61は、展開部53の他の1つ(図4(a)では左下に位置する展開部53、以下「センサ用展開部53」ともいう。)に取り付けられており、第2流量センサ62は軸部51に取り付けられている。第1流量センサ61は、上流側の膜エレメント2から下流側の膜エレメント2に送り込まれる原液の流量を検知するためのものであり、第2流量センサ62は、上流側の膜エレメント2から下流側の膜エレメント2に送り込まれる透過液の流量を検知するためのものである。
【0036】
具体的に、センサ用展開部53には、当該展開部53を軸部51の軸方向に貫通する貫通孔55が設けられており、第1流量センサ61はこの貫通孔55内に配設されている。一方、第2流量センサ62は、軸部51内に配設されている。
【0037】
第1流量センサ61および第2流量センサとしては、電磁式流量計や羽根車式流量計などの各種の流量計を用いることができるが、簡易な構成の羽根車式流量計を用いることが好ましい。
【0038】
本実施形態では、上述した突出部54によってプレート部52を挟む端部材3A,3B同士の位置関係が、図5(a)および(b)に示すように、一方の端部材におけるリブ33間の1つの空間とセンサ用展開部53とが重なり合うエリアが最大化し、かつ、他方の端部材におけるリブ33間の1つの空間とセンサ用展開部53とが重なり合うエリアが最大化するように決定される。そして、貫通孔55は、それらのエリアの重複範囲内に位置している。換言すれば、第1流量センサ61は、図6に示すように、プレート部52における当該プレート部52を挟む端部材3A,3Bのどちらのリブ33間の空間にも面する領域内に配置されている。
【0039】
なお、本実施形態では、第1流量センサ61が1つだけ設けられているが、第1流量センサ61は大きさの異なるものが複数設けられていることが好ましい。このような形態を用いると、流量センサの個体差から生じる誤差を補正することができる。
【0040】
残りの展開部53(図4(a)では右下に位置する展開部53)には、第1流量センサ61および第2流量センサ62による検知信号などを発信するためのアンテナ65が当該展開部53の先端部に保持されている。ここで、「先端部」とは、軸部51からの展開部53の全長のうちの先端面からおよそ1/3の領域をいう。本実施形態では、アンテナ65が展開部53内に封入されている。
【0041】
アンテナ65は、当該アンテナ65が封入された展開部53の幅方向に延びている。アンテナ65の長さは、無線通信に使用する電波の周波数に依存する。無線通信の方式としては、WiFi方式、ZigBee方式、Bluetooth方式、IrDA方式などが挙げられる。中でも、膜エレメント2ごとの評価のために多数のセンサを管理するという観点や消費電力を抑えるという観点からは、ZigBee方式が特に好ましい。なお、アンテナ65からの情報を集める一次集約機を圧力容器7外に設置し、この一次集約機を有線または無線により集中管理センターと接続すれば、大規模センサネットワークを構築することができる。
【0042】
また、本実施形態では、アンテナ65が封入された展開部53内には、電源装置64、第1流量センサ61および第2流量センサ62、ならびにアンテナ65に接続された回路基板63も封入されている。換言すれば、アンテナ65は回路基板63を介して第1流量センサ61および第2流量センサ62に接続されている。回路基板63には、アンテナ65を使用した無線通信を行うための無線通信回路や、電源装置64から第1流量センサ61および第2流量センサ62への電力の供給を制御する電力制御回路などが形成されている。なお、回路基板63は、当該回路基板63にアンテナ65が直接実装されるようにアンテナ65の直下まで広がっていてもよいし、アンテナ65よりも径方向内側に位置し、アンテナ65と配線で接続されていてもよい。
【0043】
上記のような展開部53内への電気部品の封入を実現する方法としては、例えば、展開部53を軸部51の軸方向に二分割し、そのうちの一方のピースの分割面に電気部品を実装した後に、双方のピースを接合する方法が挙げられる。
【0044】
以上説明した本実施形態の分離膜モジュール1では、第1流量センサ61および第2流量センサ62が取り付けられた連結部材5Aの膜エレメント2に対する回転が規制されるため、センサを用いた安定的な測定を行うことができる。
【0045】
また、本実施形態では、プレート部52内に突出部54に対応する位置に電源装置64が封入されている。電源装置64は、通常、相対的に大きな厚さを有するため、このような電源装置64を突出部54に対応する位置に配置することにより、プレート部52の厚さを薄くすることができる。
【0046】
さらに、本実施形態のように突出部54がプレート部52の両主面のそれぞれに設けられていれば、突出部54をプレート部52の一方の主面に設ける場合に比べ、電源装置64を収めるのに必要な突出部54の突出高さを小さくすることができる。
【0047】
ところで、プレート部52が端部材3A,3Bによって押圧される場合は、プレート部52と端部材3A,3Bとが接触する位置にセンサが配置されていると、センサに圧縮応力がかかってセンサが誤作動したり破損したりするおそれがある。特に、図6に示すように、一方の端部材のリブ33と他方の端部材のリブ33が交差する位置では、そのような不具合が起きる可能性が高い。これに対し、本実施形態では、第1流量センサ61がプレート部52における当該プレート部52を挟む端部材3A,3Bのどちらのリブ33間の空間にも面する領域内に配置されているので、上記のような不具合の発生を防ぐことができる。なお、この効果は、第1流量センサ61がプレート部52における端部材3A,3Bの少なくとも一方のリブ33間の空間に面する領域内に配置されていれば得ることができる。
【0048】
なお、本実施形態では、第1流量センサ61および第2流量センサ62が用いられていたが、本発明のセンサはこれに限られるものではなく、原液および透過液の少なくとも一方の性状を検知可能なものであればどのようなものを採用してもよい。例えば、本発明のセンサは、圧力センサ、温度センサ、電濃度センサなどであってもよい。
【0049】
また、本実施形態では突出部54がプレート部52の両主面のそれぞれに設けられていたが、連結部材5Aが当該連結部材5Aの両側に位置する端部材3A,3Bの少なくとも一方と係合するように突出部54がプレート部52における両主面の少なくとも一方に設けられていてもよい。
【0050】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係る分離膜モジュールを説明する。なお、本実施形態の分離膜モジュールは、第1実施形態の分離膜モジュール1に比べ、連結部材5Aの代わりに図7に示す連結部材5Bが用いられている点だけが異なるので、以下では連結部材5Bについてのみを説明する。なお、図7では、第1実施形態で説明した構成と同一部分には同一符号を付している。
【0051】
本実施形態では、プレート部52が、軸部51から互いに反対向きに径方向外向きに延びる2つの展開部53を有している。さらに、プレート部52には、展開部53の先端部同士を橋架する円弧状の橋架部56が設けられている。そして、展開部53の先端面および橋架部56の外側面によって、連結部材5Bの筒状の外周面が構成されている。また、橋架部56の内側面と展開部53の側面は、連結部材5Bを軸部51の軸方向に貫通する開口57を形成する。
【0052】
一方の展開部53(図7では左に位置する展開部53)には、アンテナ65が先端部に保持されている。第1実施形態と同様に、アンテナ65は、展開部53内に封入されている。また、この展開部53内には、回路基板63が封入されている。
【0053】
他方の展開部53(図7では右に位置する展開部53)には、当該展開部53から端部材3A,3Bのリブ33間に嵌り込むように突出して端部材3A,3Bに係合する一対の突出部54が設けられている(図7では一方の突出部54のみ図示)。また、この展開部53内には、突出部54と対応する位置に、電源装置64が封入されている。
【0054】
本実施形態では、連結部材5Bに、透過液の電気伝導度を検知する電濃度センサ66が取り付けられている。電濃度センサ66は、連結部材5B内に封入された本体部と、この本体部から軸部51の内側に突出する一対の電極とを有している。そして、電濃度センサ66には、回路基板63を介して電源装置64から電力が供給され、一対の電極間に電圧が印加される。電濃度センサ66としては、電極式のものに限らず、電磁誘導式のものを用いることも可能である。ただし、本用途の電濃度の計測レンジの観点から、電極式の電濃度センサを用いることが好ましい。
【0055】
上述した構成の連結部材5Bを用いても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
(その他の実施形態)
前記第1および第2実施形態では、展開部53内にアンテナ65が封入されていたが、アンテナ65に例えば防水処理が施してある場合は、アンテナ65の一部または全部が展開部53から露出していてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1 分離膜モジュール
2 膜エレメント
21 中心管
22 積層体
23 分離膜
24 透過側流路材
25 供給側流路材
3A,3B 端部材
31 内側筒部
32 外側筒部
33 リブ
5A,5B 連結部材
51 軸部
52 プレート部
53 展開部
54 突出部
61 第1流量センサ
62 第2流量センサ
65 アンテナ
66 電濃度センサ
7 圧力容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状の圧力容器と、
前記圧力容器の軸方向に並ぶように前記圧力容器内に装填された複数本の膜エレメントであって、中心管および前記中心管の両端部に固定された一対の端部材を含む膜エレメントと、
前記中心管と嵌合することにより隣り合う前記膜エレメントを連結する連結部材であって、当該連結部材の両側に位置する前記端部材の少なくとも一方と係合するように構成された連結部材と、
前記連結部材に取り付けられたセンサと、
を備える、分離膜モジュール。
【請求項2】
前記連結部材は、両端部が前記中心管内に嵌合する中空の軸部と、前記端部材間に介在するプレート部とを含み、
前記プレート部における前記端部材と対向する両主面の少なくとも一方には、当該主面から突出して前記端部材に係合する突出部が設けられている、請求項1に記載の分離膜モジュール。
【請求項3】
前記端部材は、前記中心管と嵌合する内側筒部、前記内側筒部を離間しながら取り囲む外側筒部、および前記内側筒部と前記外側筒部とを連結する複数のリブを有し、
前記突出部が前記リブ間に配置される、請求項2に記載の分離膜モジュール。
【請求項4】
前記突出部は、前記プレート部の両主面のそれぞれに設けられている、請求項2または3に記載の分離膜モジュール。
【請求項5】
前記センサが、前記プレート部における前記端部材の少なくとも一方の前記リブ間の空間に面する領域内に配置されている、請求項3または4に記載の分離膜モジュール。
【請求項6】
前記プレート部内には、前記突出部に対応する位置に、前記センサに電力を供給する電源装置が封入されている、請求項2〜5のいずれか一項に記載の分離膜モジュール。
【請求項7】
前記プレート部に保持された、前記センサと接続されたアンテナをさらに備える、請求項1〜5のいずれか一項に記載の分離膜モジュール。
【請求項8】
前記プレート部は、前記軸部から径方向外向きに延びる複数の展開部を有し、
前記アンテナは、前記展開部の先端部に保持されている、請求項7に記載の分離膜モジュール。
【請求項9】
前記膜エレメントは、前記中心管の回りに分離膜および流路材を含む積層体が巻き回されたスパイラル型膜エレメントである、請求項1〜8のいずれか一項に記載の分離膜モジュール。
【請求項10】
中心管および前記中心管の両端部に固定された一対の端部材を含む膜エレメント同士を連結する連結部材であって、
両端部が前記中心管内に嵌合する中空の軸部と、
前記端部材間に介在するプレート部と、
前記プレート部から突出して前記端部材に係合する突出部と、
を備える、連結部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−217898(P2012−217898A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84563(P2011−84563)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ZIGBEE
2.Bluetooth
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】