説明

分離膜用洗浄剤組成物及び分離膜の洗浄方法

【課題】飲料等の液体製品の製造過程において、液体製品中から不溶性物質等を分離するための分離膜に蓄積された濾過物の洗浄性に優れ、分離膜を短時間で効率良く洗浄することができる分離膜用洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】本発明の分離膜用洗浄剤組成物は、(A)成分として、アルカリ剤、(B)成分として、次亜塩素酸塩、(C)成分として、重合リン酸塩、(D)成分として、ホスホン酸塩を含有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品加工装置、特に食品の製造又は水の清浄化に用いられる膜フィルターの清浄化をするための分離膜用洗浄剤組成物及び分離膜の洗浄方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ビール等の酒類、果実飲料、炭酸飲料、乳飲料などの液体製品の製造過程における濾過工程では、望ましくない溶解物質や不溶性物質を、分離膜を用いて液体製品中から分離し除去している。分離膜としては、特にポリアミド、ポリビニルピロリドン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどからなるものが用いられている。かかる濾過工程に用いられる分離膜は、目詰まり物質による閉塞によって時間の経過と共に分離効率が悪くなってしまい、最終的に分離膜が使用できなくなってしまう。そのため、濾過によって分離膜上に生じた目詰まり物質を定期的に洗浄する必要がある。
【0003】
分離膜を洗浄する方法として、特許文献1には、次亜塩素酸塩、金属イオン封鎖剤、アルカリの混合水溶液による限外濾過膜の洗浄方法が記載されている。また特許文献2には酸水溶液によって洗浄処理後、弱アルカリ性の次亜塩素酸塩系洗浄剤の水溶液によって浸漬もしくは加圧通液処理する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭58−89920号公報
【特許文献2】特開平7−96120号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら特許文献1記載の方法において用いる、次亜塩素酸塩、金属イオン封鎖剤、アルカリの混合水溶液は、有効塩素の貯蔵安定性が悪くなり洗浄性が低下するだけでなく、すすぎ工程における、スケール抑制性に劣るため、望ましくない。また特許文献2記載の方法は、酸水溶液による洗浄と、次亜塩素酸塩系洗浄剤による洗浄の2工程の洗浄が必要であるだけでなく、第一の工程で用いた酸と、第二の工程で用いる塩素の混合を避けるため、十分なすすぎ時間を必要とするため、洗浄に時間がかかってしまうという問題があった。本発明は上記従来の課題を解決するためになされたもので、洗浄剤組成物中に含まれる塩素の貯蔵安定性に優れ、高い洗浄力を有し、スケール抑制性や貯蔵安定性に優れ、低泡性であるか無泡性であり、1工程の洗浄で分離膜の効果的な洗浄処理が可能な分離膜用洗浄剤組成物及び分離膜の洗浄方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
即ち本発明は、
(1)分離膜を洗浄するための洗浄剤組成物であって、(A)成分として、アルカリ剤、(B)成分として、次亜塩素酸塩、(C)成分として、重合リン酸塩、(D)成分として、ホスホン酸塩を含有することを特徴とする分離膜用洗浄剤組成物、
(2)(A)成分として、アルカリ剤2〜20質量%を含有し、(B)成分として、次亜塩素酸塩を、組成物中の有効塩素濃度が0.2〜3質量%となる量含有することを特徴とする上記(1)の分離膜用洗浄剤組成物、
(3)(A)成分が、水酸化カリウムである上記(1)又は(2)の分離膜用洗浄剤組成物、
(4)(C)成分が、トリポリリン酸塩である上記(1)〜(3)のいずれかの分離膜用洗浄剤組成物、
(5)(E)成分として、アニオン界面活性剤もしくは両性界面活性剤のうちの少なくとも一種よりなる界面活性剤成分0.01〜5質量%を含有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかの分離膜用洗浄剤組成物、
(6)(E)成分の界面活性剤が、炭素数6〜10のアルキルジメチルアミンオキサイドである上記(1)〜(5)のいずれかの分離膜用洗浄剤組成物、
(7)分離膜が、ポリスルホンあるいはポリエーテルスルホンからなる膜であることを特
徴とする上記(1)〜(6)のいずれかの分離膜用洗浄剤組成物、
(8)前記(1)〜(7)のいずれかの分離膜用洗浄剤組成物を、0.5〜50質量%の濃度に希釈し、分離膜を洗浄処理することを特徴とする分離膜の洗浄方法、
を要旨とする物である。
【発明の効果】
【0007】
本発明の分離膜用洗浄剤組成物は、塩素安定性、洗浄性、スケール抑制性、貯蔵安定性に優れ、分離膜上に蓄積された濾過物の洗浄性に優れ、目詰まり物質がたまった分離膜を1工程で効果的に洗浄することができる。また本発明の分離膜の洗浄方法は、目詰まり物質がたまった分離膜を、短時間で効率よく洗浄でき、分離膜の洗浄時間を短縮することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の分離膜洗浄剤組成物は、(A)成分として、アルカリ剤、(B)成分として、次亜塩素酸塩、(C)成分として、重合リン酸塩、(D)成分として、ホスホン酸塩を必須成分とする。(A)成分のアルカリ剤としては、公知の水溶性アルカリ剤であればいずれのものも使用できる。具体例として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属の水酸化物、リン酸三ナトリウム等のリン酸塩、炭酸二ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸二カリウム等の炭酸塩等が挙げられる。二種以上の水溶性アルカリ剤を組み合わせても良い。タンパク質や油脂の分解の点から、アルカリ剤としては水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが好ましく、さらに塩素安定性の点から、より好ましくは水酸化カリウムである。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いても良い。上記(A)成分であるアルカリ剤は、本発明の洗浄剤組成物中において、2〜20質量%の範囲で配合され、好ましくは、洗浄性および貯蔵安定性、塩素安定性の点から5〜15質量%の範囲で配合される。2質量%未満では十分な洗浄力が得られず、20質量%を超えて配合した場合には、塩素安定性および貯蔵安定性が悪くなってしまう虞がある。
【0009】
本発明の分離膜用洗浄剤組成物において、(B)成分である次亜塩素酸塩としては、具体的には次亜塩素酸のナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩が挙げられるが、溶解性の点からナトリウム塩及び/又はカリウム塩が良好である。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いても良い。上記(B)成分の次亜塩素酸塩は、洗浄剤組成物中に有効塩素濃度として0.2〜3質量%、なかでも、タンパク質、多糖類に対する洗浄性および塩素安定性の点から、0.5〜1.5質量%の範囲となる量を配合されることが好ましい。有効塩素濃度が0.2質量%未満では十分な洗浄力が得られず、有効塩素濃度が3質量%を超える量を配合した場合には、貯蔵安定性および膜の材質の劣化、塩素安定性の低下を引き起こす虞がある。一般に、次亜塩素酸塩は約12%の有効塩素量を含む水溶液として供給され、該水溶液には食塩等の塩化アルカリ金属、塩化アルカリ土類金属が約10〜12重量%含有していることが知られている。このため、本発明の分離膜用洗浄剤組成物に次亜塩素酸塩を用いた場合、必然的にこれら塩が混入する。本発明では貯蔵安定性の点から、これら塩を低減化したものを使用することが好ましく、好適にはこれら塩の量は組成物中5重量%以下、特に4重量%以下が良好である。なお、このような塩の量に調整するためには、次亜塩素酸塩として一般に知られている中食次亜塩素酸塩、低食次亜塩素酸塩を用いることが好ましい。
【0010】
本発明の分離膜用洗浄剤組成物において、(C)成分の重合リン酸塩としては、1分子中に少なくとも2個以上、好ましくは3個のリン原子を有する縮合リン酸の塩が挙げられ、塩としてはナトリウム塩やカリウム塩が挙げられる。具体的には、ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、トリポリリン酸カリウム、テトラポリリン酸ナトリウム、テトラポリリン酸カリウム、ペンタポリリン酸ナトリウム、ペンタポリリン酸カリウムが例示できる。好ましくは、トリポリリン酸カリウム、トリポリリン酸ナトリウム等が挙げられるが、特にトリポリリン酸塩が洗浄性および分散性の点で好ましい。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いても良い。上記(C)成分の重合リン酸塩は、組成物中の割合が1〜15質量%の範囲で配合することが好ましく、なかでも、洗浄性の点から5〜15質量%の範囲で配合することが好ましい。1質量%未満で配合した場合には十分な洗浄力が得られず、15質量%を超えると貯蔵安定性が悪くなり、澱が析出してしまう虞がある。
【0011】
本発明において、(D)成分のホスホン酸塩としては、具体的にはオルガノホスホン酸塩、例えば1−ヒドロキシエタン−1、1−ジホスホン酸(HEDP)、アミノトリス(メチレンホスホン酸)(ATMP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMPまたはDETPMP)および2−ホスホノブタン−1、2、4−トリカルボン酸(PBS−AM)の塩等が挙げられるが、ナトリウム塩、カリウム塩の形態で使用されることが好ましい。また、次亜塩素酸塩の安定性の点からHEDP、PBS−AMのナトリウム塩、カリウム塩が好ましい。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いても良い。上記(D)成分のホスホン酸塩の組成物中の配合量は、0.2〜20質量%の範囲が好ましく、なかでも、スケール抑制性および経済性の点から、0.5〜10質量%で配合されることが好ましい。洗浄性の点から0.2質量%未満では十分なスケール防止効果が得られない虞れがある。20質量%を超えて配合した場合には塩素安定性、スケール抑制性として飽和となり、経済的にも乏しいものとなる虞がある。
【0012】
本発明の分離膜用洗浄剤組成物には、上記(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分とともに、更に(E)成分としてアニオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を配合することができる。(E)成分としてアニオン界面活性剤及び/又は両性界面活性剤を含有する洗浄剤組成物は、アルカリ剤や重合リン酸塩の量を低減しても、高い洗浄性や汚れの再付着防止効果がある。アニオン界面活性剤としては、例えばポリオキシアルキレンアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸塩、アルカンスルホン酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリオキシアルキレンアルキルアリール硫酸エステル塩、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテルスルホン酸塩など(アミノ酸誘導体等の含窒素系アニオンは除く)を挙げることができるが、塩素安定性から、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩が好ましい。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いても良い。両性界面活性剤としては、アルキルアミンオキシド、スルフォベタイン、カルボベタイン等を挙げることができる。これらは単独で用いても2種以上を組み合わせて用いても良い。上記(E)成分のアニオン界面活性剤と、両性界面活性剤は併用することができるが、配合量はアニオン界面活性剤、両性界面活性剤の合計量として、組成物中の割合が0.01〜5質量%が好ましく、なかでも、洗浄性および泡立ちの点から0.05〜1質量%で配合されることが好ましい。0.01質量%未満では何らの作用効果も得られず、5質量%を超えて配合した場合には泡立ちが多くなってしまい、すすぎ時間を要し、さらには塩素安定性が悪くなってしまう虞がある。本発明において、(E)成分の界面活性剤としては、塩素安定性が良好なアルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、アルキルジメチルアミンオキサイドが好ましいが、さらに好ましくは、泡立ちが少ない炭素数6〜10のアルキルジメチルアミンオキサイドである。
【0013】
本発明の洗浄剤組成物は、更に(F)成分として、トリエタノールアミンを含有していてもよい。(F)成分としてトリエタノールアミンを更に含有する洗浄剤組成物は、重金属イオンに対して高いキレート力を発揮し、重金属イオンの存在により有効塩素の安定性低下を抑える効果がある。(F)成分のトリエタノールアミンは、組成物中の配合量が0.01〜1質量%の範囲となるように配合されることが好ましく、なかでも、塩素安定性および貯蔵安定性の点から0.05〜0.5質量%の範囲で配合されることが好ましい。0.01質量%未満で配合した場合には何らの作用効果も得られず、1質量%を超えると塩素安定性が悪くなる虞がある。
【0014】
本発明の分離膜用洗浄剤組成物には、更に必要に応じて任意成分として、殺菌剤、金属腐食抑制剤、キレート剤、溶剤、pH調整剤、粘稠剤、香料などを配合してもよい。
【0015】
次に、上記分離膜用洗浄剤組成物を用いた本発明の分離膜の洗浄方法について説明する。本発明の洗浄方法は、上記分離膜用洗浄剤組成物を、0.5〜50質量%の濃度に希釈し、この洗浄剤組成物の希釈液によって目詰まり物質の蓄積した分離膜を洗浄処理する方法である。洗浄剤組成物の希釈には、通常水が用いられる。また洗浄剤組成物の希釈液により分離膜を洗浄処理するには、希釈液に分離膜を浸漬するか、及び/又は加圧通液処理する方法を採用することができる。分離膜を浸漬して処理する時間としては、汚れの量や質により異なるが、例えば1〜24時間の範囲で設定される。また、このときの温度は20〜80℃が好ましく、なかでも洗浄性や膜の劣化を考慮し40〜60℃で浸漬することが好ましい。加圧通液処理する際の好ましい条件としては、所定濃度の分離膜用洗浄剤組成物を0.05〜5.0MPaに加圧し、分離膜の膜面積0.75mに対して、流量を毎分5〜15Lになるように設定し、加圧通液する。また、このときの温度は20〜80℃が好ましく、なかでも洗浄性や膜の劣化を考慮し40〜60℃で浸漬することが好ましい。
本発明の分離膜の洗浄方法において洗浄する分離膜としては、ビール等の酒類、果実飲料、炭酸飲料、乳飲料などの製造過程における濾過工程で使用されるものであればよく、特にポリアミド、ポリビニルピロリドン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどからなる分離膜が挙げられる。好ましくは、薬剤の耐久性の面から、分離膜がポリスルホンあるいはポリエーテルスルホンからなるものが望ましい。
【実施例】
【0016】
以下本発明を実施例、比較例により、更に具体的に説明する。尚、以下の実施例等において%は特に記載が無い限り質量基準である。
【0017】
実施例、比較例において使用した化合物を下記に記す。
A−1:水酸化カリウム
B−1:12%次亜塩素酸ナトリウム溶液
C−1:トリポリリン酸ナトリウム
D−1:1−ヒドロキシエタン−1、1−ジホスホン酸カリウム
D−2:2−ホスホノブタン−1、2、4−トリカルボン酸カリウム
E−1:ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム
E−2:オクチルジメチルアミンオキサイド
F−1:トリエタノールアミン
【0018】
実施例1〜19、比較例1〜4
上記の化合物を使用して、表1及び表2に記された配合で分離膜用洗浄剤組成物を調製し、以下の試験を実施した。表1に実施例1〜10、表2に実施例11〜19の結果を、表3に比較例1〜4の結果をそれぞれ記す。
【0019】
(1)塩素安定性試験
各洗浄剤組成物を40℃で30日間保存し、その時の次亜塩素酸塩の保存安定性を有効塩素残存率から以下の基準で評価した。なお、有効塩素残存率は以下に示す式により求めた。なお、有効塩素濃度はJIS法 JIS K−0101により求めた。
【0020】
(数1)
有効塩素残存率(%)=
保存後の組成物中の有効塩素濃度)/(保存前の組成物中の有効塩素濃度)×100
【0021】
次亜塩素酸塩の保存安定性評価
◎:有効塩素残存率が85%以上
○:有効塩素残存率が70%以上、85%未満
△:有効塩素残存率が50%以上、70%未満
×:有効塩素残存率が50%未満
−:測定不能
【0022】
(2)洗浄性試験
定圧ろ過装置を用い、0.2MPaでβグルカンおよびシュウ酸カルシウムを含有する溶液を5分間ろ過し、メンブランフィルターを閉塞させた。このメンブランフィルターを各洗浄剤組成物の希釈液(5%)により、60℃で、30分間洗浄した。その後再び同条件で定圧ろ過を行い、次の式により回復率を算出し、洗浄性を評価した。
【0023】
(数2)
回復率(%)=洗浄後の全透過液量 / 初回の定圧ろ過における5分間の全透過液量×100
【0024】
尚、メンブランフィルターは、直径:47mm、ポアサイズ:0.45μm、材質:ポリエーテルスルホン(PES)を用いた。
洗浄性評価
◎:回復率が90%以上
○:回復率が80%以上、90%未満
△:回復率が60%以上、80%未満
×:回復率が60%未満
【0025】
(3)スケール抑制性試験
200ppm(炭酸カルシウム換算)の人工硬水で0.01%に希釈した各洗浄剤組成物の希釈液に、スライドガラスを浸漬させ、20℃存在下24時間放置し、蒸留水ですすぎ乾燥後、光沢度計によりスライドガラスの光沢度を測定した。スケール抑制度は、次の式により算出しスケール抑制性を評価した。
【0026】
(数3)
スケール抑制度(%)=
洗浄液浸漬後スライドガラスの光沢度/未処理スライドガラスの光沢度×100
【0027】
スケール抑制性の評価
〇:スケール抑制度が96%以上(スケール付着なし)
△:スケール抑制度が75%以上96%未満(僅かにスケール付着)
×:スケール抑制度が75%未満(スケール付着)
【0028】
(4)低泡性試験
100mlの目盛り付きエプトン管に、各洗浄剤組成物の希釈液(5%、60℃)を20ml採取し、1回/1秒の割合でこのエプトン管を上下に10回振り、直後の泡高(mm)を測定し以下のように評価した。
低泡性の評価
○:泡高が5mm未満(泡が立たない)
△:泡高が5mm以上、10mm未満(少量の泡が立っている)
×:泡高が10mm以上(はっきり確認できる泡が立っている)
【0029】
(5)貯蔵安定性
各洗浄剤組成物を40℃および−5℃で30日間の保存を行い、組成物の外観変化を目視により観察し、以下の評価基準により評価した。
貯蔵安定性の評価
○:外観に変化がみられない
△:濁りがみられるが、均一
×:分離、沈殿などの外観の変化がみられる
【0030】
【表1】

【0031】
【表2】

【0032】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
分離膜を洗浄するための洗浄剤組成物であって、(A)成分として、アルカリ剤、(B)成分として、次亜塩素酸塩、(C)成分として、重合リン酸塩、(D)成分として、ホスホン酸塩を含有することを特徴とする分離膜用洗浄剤組成物。
【請求項2】
(A)成分として、アルカリ剤2〜20質量%を含有し、(B)成分として、次亜塩素酸塩を、組成物中の有効塩素濃度が0.2〜3質量%となる量含有することを特徴とする請求項1に記載の分離膜用洗浄剤組成物。
【請求項3】
(A)成分が、水酸化カリウムである請求項1又は2に記載の分離膜用洗浄剤組成物。
【請求項4】
(C)成分が、トリポリリン酸塩である請求項1〜3のいずれかに記載の分離膜用洗浄剤組成物。
【請求項5】
(E)成分として、アニオン界面活性剤もしくは両性界面活性剤のうちの少なくとも一種よりなる界面活性剤成分0.01〜5質量%を含有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の分離膜用洗浄剤組成物。
【請求項6】
(E)成分の界面活性剤が、炭素数6〜10のアルキルジメチルアミンオキサイドである請求項1〜5のいずれかに記載の分離膜用洗浄剤組成物。
【請求項7】
分離膜が、ポリスルホンあるいはポリエーテルスルホンからなる膜であることを特徴とする請求項1〜6記載の分離膜用洗浄剤組成物。
【請求項8】
前記請求項1〜7のいずれか1項に記載の分離膜用洗浄剤組成物を、0.5〜50質量%の濃度に希釈し、分離膜を洗浄処理することを特徴とする分離膜の洗浄方法。

【公開番号】特開2012−106160(P2012−106160A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−255662(P2010−255662)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【出願人】(593085808)ADEKAクリーンエイド株式会社 (25)
【出願人】(510303578)マイクロピュア株式会社 (1)
【Fターム(参考)】