説明

分離装置

【課題】流体中に存在する粒子を、効率的に捕捉、分離または回収することができ、かつ、目詰まりを生じにくい分離装置を提供すること。
【解決手段】本発明にかかる分離装置は、第1方向に沿って、標的となる粒子を含有する第1流体を流す第1流路と、前記第1流路に接続し、第2流体を前記第1流体に合流させる第2流路と、前記第1流路および前記第2流路の合流位置に対して前記第1方向の下流側に設けられ、前記粒子を濾別する濾過機構と、を有し、前記第2流体は、前記第1方向に垂直な速度成分を有して前記第1流体に合流される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、がんの新しい治療方法として、「樹状細胞療法(がん免疫療法)」が注目されている。樹状細胞療法は、患者末梢血を成分採血し、その中から単球のみを取り出し体外で樹状細胞に分化誘導したのちに患者がん抗原を認識させ、患者体内に投与するというプロトコルを経る治療法である。また、がんの新しい治療としては、がんの再発を防止するために、血液中の循環がん細胞(CTC)(Circulating Tumour Cell)を除去する技術も注目されている。
【0003】
これらの治療法ではいずれも、血液中で多数の血球とともに存在している単球やCTCなどの少数の細胞を、血液中から採取あるいは除去する技術が必要となっており、これに適した分離技術の開発が望まれている。
【0004】
細胞等を捕捉したり分離したりする技術としては、比重遠心法、接着法、磁気ビーズ法、フィルター法などが提案されてきている。これらのうち、フィルター法としては、例えば、マイクロポストと称する構造のフィルターを用いた技術がある。例えば、非特許文献1には、CTCの接着因子が固定化されたマイクロポストをフィルター(濾過機構)として利用したマイクロチップが開示されている。同文献に記載されたフィルターは、複数のマイクロポスト(円柱状)が等間隔に配置され、そのマイクロポストの側壁に、接着因子が固定化されている。そして、同文献に開示された方法では、マイクロポスト間に一定の流量で血液を送液する。そうすると、血液がマイクロポスト間を蛇行して流れ、これによって血液中の血球等が遠心力を受け、マイクロポストの側壁への血球等の接触機会が増大するとしている。同文献には、接着因子に特異的に接着するCTCのみを接着捕獲することができ、CTCを他の血球等と分離することができる旨の記載がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Sun itha Nagrath et al., “Isolation of rare circulating tumour cells in cancer patients by microchip technology”, vol450|20/27 December 2007| doi:10.1038/nature06385 LETTERS
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、非特許文献1に記載のマイクロチップでは、接着因子にCTCを付着させる能力は、血液の流速、並びに円柱状のマイクロポストの大きさおよび間隔に依存する。例えば、血液の流速が小さいと、がん細胞と接着因子との接触機会が少なくなり、マイクロポストに付着するCTCの数が少なくなってしまう場合がある。一方、血液の流速が大きいと、マイクロポストに付着したCTCが流されてしまう場合がある。また、複数のマイクロポストの間の間隔が大きくなると、CTCと接着因子との接触機会が少なくなり、マイクロポストに付着するCTCの数が少なくなってしまう。一方、複数のマイクロポストの間の間隔が小さくなると、血液を流すための抵抗が大きくなるうえ、付着したCTCによって詰まりが生じる場合がある。
【0007】
また、非特許文献1に記載のマイクロチップに限らず、単純にフィルターを用いて、流体中に分散された粒子(細胞等)を捕捉・分離する方法では、フィルターの目詰まりの生じやすさ(通過させる流体を流すための抵抗の増大しやすさ)と、粒子を捕捉・分離する能力(効率)とは、互いにトレードオフの関係となっている。したがって、このようなトレードオフの関係を脱した、目詰まりを生じにくく、かつ、標的粒子(細胞)を捕捉・分離する能力の高い分離装置が求められている。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その幾つかの態様にかかる目的の一つは、流体中に存在する粒子を、効率的に捕捉、分離または回収することができ、かつ、目詰まりを生じにくい分離装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は前述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の態様または適用例として実現することができる。
【0010】
[適用例1]
本発明にかかる分離装置の一態様は、第1方向に沿って、標的となる粒子を含有する第1流体を流す第1流路と、前記第1流路に接続し、第2流体を前記第1流体に合流させる第2流路と、前記第1流路および前記第2流路の合流位置に対して前記第1方向の下流側に設けられ、前記粒子を濾別する濾過機構と、を有し、前記第2流体は、前記第1方向に垂直な速度成分を有して前記第1流体に合流されるものである。
【0011】
本適用例の分離装置によれば、第2流路から導入される第2流体によって、第1流体の第1方向に対して垂直な方向における通過位置を偏らせることができる。これにより、濾過機構における第1流体が到達する位置に偏りを形成することができる。これにより、第1流体に含有される粒子を、濾過機構の偏った領域に導くことができる。したがって、本適用例の分離装置は、濾過機構全体で粒子を捕捉する場合に比べて、第1流体および第2流体が通過しやすい領域と、粒子が多く通過する、すなわち粒子が捕捉される領域を形成することができる。これにより、粒子による濾過機構の目詰まりが抑制され、第1流体および第2流体が濾過機構を通過する場合の抵抗を上昇しにくくすることができる。したがって、本適用例の分離装置によれば、濾過機構が詰まりにくい状態で使用することができるので、粒子を効率的に捕捉、分離または回収することができる。
【0012】
[適用例2]
適用例1において、前記第1流路に接続し、第3流体を前記第1流体に合流させる第3流路をさらに有し、前記第3流体は、前記第1方向に垂直な速度成分を有して前記第1流体に合流され、前記第2流体が有する前記第1方向に垂直な速度成分と、前記第3流体が有する前記第1方向に垂直な速度成分とは、互いに対向していてもよい。
【0013】
本適用例の分離装置によれば、第2流路および第3流路から導入される第2流体および第3流体によって、第1流路内における第1流体の通過位置を変化させることができる。これにより、濾過機構における第1流体が到達する位置を変化させることができ、第1流体の濾過機構における通過位置を調節することができる。したがって、第1流体に含有される粒子を、濾過機構の所定の領域に導くことができる。したがって、本適用例の分離装置によれば、濾過機構の各部分を効率的に使用することができるので、粒子を効率的に捕捉、分離または回収することができる。
【0014】
[適用例3]
適用例1または適用例2において、前記濾過機構は、前記第1方向に交差する方向が長手方向である柱状体を有し、前記粒子は、前記柱状体によって形成される間隙に留まって濾別されてもよい。
【0015】
本適用例の分離装置によれば、柱状体によって形成された濾過機構の間隙に、粒子を停留させて濾過することができる。これにより、粒子を、濾過機構の間隙の幅と粒子の直径の関係にしたがって精密に捕捉、分離または回収することができる。
【0016】
[適用例4]
適用例1または適用例2において、前記濾過機構は、前記第1方向に交差する方向が長手方向である柱状体を有し、前記柱状体の表面には、前記粒子と特異的に結合する接着因子が配置され、前記粒子は、前記接着因子への結合によって濾別されてもよい。
【0017】
本適用例の分離装置によれば、標的となる粒子を、柱状体の表面に配置された接着因子に、化学的に結合させる、または水素結合等によって物理的に吸着させることによって、捕捉することができる。これにより、粒子を表面の性質によってより精密に捕捉、分離または回収することができる。
【0018】
[適用例5]
適用例4において、前記柱状体の表面には、第1接着因子および第2接着因子が配置され、前記第1接着因子および第2接着因子は、前記柱状体の長手方向において異なる位置に配置されていてもよい。
【0019】
本適用例の分離装置によれば、濾過機構を変更することなく、捕捉する粒子の種類を変更することができる。すなわち、粒子をその表面の性質によって捕捉する場合に、第2流路から導入される第2流体によって、第1流路内における第1流体の柱状体の長手方向における通過位置を変更することができ、これにより、第1流体が通過する際に接触する、接着因子の種類を選択することができる。
【0020】
[適用例6]
適用例3ないし適用例5のいずれか1例において、前記第1方向と垂直な平面による断面視において、前記柱状体は、前記柱状体の長手方向に沿って幅に分布を有し、かつ、前記柱状体の長手方向と、前記第2流体が有する前記第1方向に垂直な速度成分の方向とは、互いに平行の関係にあってもよい。
【0021】
本適用例の分離装置によれば、濾過機構を変更することなく、捕捉する粒子の種類を変更することができる。すなわち、粒子をその直径によって捕捉する場合には、第2流路から導入される第2流体によって、第1流路内における第1流体の通過位置を変更することにより、第1流体の通過する柱状体における位置を選択することができ、これにより、第1流体が通過する間隙の幅を選択することができる。
【0022】
[適用例7]
適用例1ないし適用例6のいずれか1例において、前記第1流体は、層流の状態で前記第1流路を通過してもよい。
【0023】
本適用例の分離装置によれば、第1流体の流動の状態が層流であり、流動ベクトルが交差しないため、第1流体の濾過機構における通過位置を、より正確に調節することができる。ここで、層流の状態とは、レイノルズ数が2000程度よりも小さい状態のことを指す。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態に係る分離装置を模式的に示す透視斜視図。
【図2】実施形態に係る分離装置を模式的に示す透視側面図。
【図3】実施形態に係る分離装置を模式的に示す透視平面図。
【図4】実施形態に係る分離装置を模式的に示す透視斜視図。
【図5】実施形態に係る分離装置を模式的に示す透視側面図。
【図6】実施形態に係る分離装置を模式的に示す透視斜視図。
【図7】実施形態に係る分離装置を模式的に示す透視側面図。
【図8】実施形態に係る分離システムを模式的に示す図。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明のいくつかの実施形態について説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の例を説明するものである。本発明は、以下の実施形態になんら限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において実施される各種の変形例も含む。なお以下の実施形態で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0026】
1.第1実施形態
図1は、本実施形態の分離装置100を模式的に示す透視斜視図である。図2および図3は、それぞれ分離装置100の透視側面図および透視平面図(第1方向Xに垂直な平面による断面図、第1方向Xについては後述する。)である。図1ないし図3には、第1流体F1および第2流体F2の流動が、流線または流動ベクトルを用いて模式的に描かれている。
【0027】
分離装置100は、第1流路10と、第2流路20と、濾過機構30と、を有する。
【0028】
1.1.第1流路
第1流路10は、第1方向Xに沿って流体を流すことができる形状を有する。第1方向Xは、重力の方向に無関係に、任意の方向を選ぶことができる。第1流路10は、第1方向Xに沿って流体を流すことができるかぎり、直線状である必要はなく、屈曲したり湾曲したりしていてもよい。また第1流路10の第1方向Xに直交する断面の形状も任意である。
【0029】
第1流路10は、第1構造体(図示せず)によって形成される。第1流路10を形成する第1構造体の形状は、内部に流体を流通させる第1流路10を形成できるかぎり、限定されず、例えば、円管状、角柱管状などとすることができる。また、第1構造体の第1流路10を形成する面は、滑らかであっても凹凸を有していてもよい。図1ないし図3では、第1構造体は、透視されて描かれており、第1構造体の内壁面の形状が、第1流路10の形状(角柱状)として描かれている。また、図1ないし図3では、第1流路10は、直線状の形状を有している。
【0030】
第1構造体の材質としては、特に制限されないが、例えば、無機材料(ガラス、シリコンなど)、樹脂材料(PMMA:ポリメタクリル酸メチル、PC:ポリカーボネート、PDMS:ポリジメチルシロキサンなど)、およびこれらの複合材料などとすることができる。第1構造体の材質に、例示した材質を選択すると、成型が容易で高精度な加工を行うことができる。
【0031】
第1流路10は、分離装置100において、第1流体F1を濾過機構30に導く機能を有する。また、第1流路10には、第1流体F1の他に第2流体F2や第3流体F3が導入されてもよい。
【0032】
第1流路10の第1方向Xに垂直な方向の断面積は、特に制限されないが、第1流体F1が血液等の細胞の分散体であって、その中の標的となる細胞を分離装置100によって採取・捕捉する場合には、1×10−9以上1×10−7以下であることが好ましい。第1流路10の第1方向Xに垂直な方向の断面積が、1×10−9以上1×10−7以下であると、第1流路10を流れる流体のレイノルズ数が2000未満となりやすく層流を形成しやすい。そのため、第1流体F1の流動の状態を層流としやすく、流動ベクトルが交差しにくいため、第1流体F1の濾過機構30における通過位置をさらに正確に調節することができる。
【0033】
第1流路10の第1方向Xにおける長さは、特に限定されないが、第1流体F1が血液等の細胞の分散体であって、その中の標的となる細胞を分離装置100によって採取・捕捉する場合には、50μm以上50mm以下であることが好ましい。
【0034】
1.2.第2流路
第2流路20は、第1流路10に接続している。第2流路20は、第2流体F2を第1流体F1に合流させる。これにより第2流体F2は、第1流体F1とともに、第1流路10内を流れることができる。なお、第1流路10および第2流路20の合流位置とは、第1流路10および第2流路20の接続している位置のことを指し、第1流路10における合流位置という場合には、第1流路10の第1方向Xにおける第2流路20の接続している区間のことを指す。
【0035】
第2流路20は、第1流路10の第1流体F1の流れる方向に対して交差する方向から接続される。例えば、第2流路20は、図1および図2に示すように、第1流路10の第1液体F1が流れる方向に対して垂直に接続されることができる。また、第2流路20は、第1流路10の第1液体F1が流れる方向に対して傾斜して接続されてもよい。
【0036】
第2流路20から第1流路10へ合流される第2流体F2は、第1方向Xに垂直な速度成分を有して第1流体F1に合流される。第1流体F1に、第1方向Xに垂直な速度成分を有するように合流されるかぎり、第2流体F2は、第1流体F1の流れに対して垂直に合流しても傾斜して合流してもよい。第2流路20の第1流路10への接続の態様は、このような合流を行わせることができるように、接続の形状、大きさ、方向などを適宜設計される。
【0037】
第2流路20は、第2構造体によって形成される。第2流路20を形成する第2構造体の形状は、内部に第2流体F2を流通させる第2流路20を形成できるかぎり、限定されず、例えば、円管状、角柱管状などとすることができる。また、第2構造体の第2流路20を形成する面は、滑らかであっても凹凸を有していてもよい。図1および図2では、第2構造体は、透視されて描かれており、第2構造体の内壁面の形状が、第2流路20の形状(角柱状)として描かれている。また、図1および図2では、第2流路20は、直線状の形状を有し、第1流路10に対して垂直に接続されている。
【0038】
第2構造体の材質としては、特に制限されず、第1構造体と同様とすることができる。第1構造体の材質と、第2構造体の材質は同じでも異なってもよい。また、第1構造体と第2構造体は、一体的に構成されてもよいし、別体で構成され、継ぎ手等を用いて適宜に接続されてもよい。
【0039】
第2流路20は、第2流体F2を第1流体F1に合流させることにより、第1流路10における第1流体F1の流れる位置を偏らせる機能を有する。第2流体F2は、第1流体F1とともに濾過機構30に導かれる。第1流路10における第1流体F1の流量に対する第1流路10における第2流体F2の流量の比は、1:9から9:1とすることができる。第1流体F1の流量に対する第1流路10における第2流体F2の流量の比が、このような範囲であれば、第1流路10における第1流体F1の流れる位置を良好な状態で偏らせることができる。
【0040】
第2流路20の第2流体F2が流れる方向に対して垂直な方向の断面積は、特に制限されないが、第1流体F1が血液等の細胞の分散体であって、含有された標的となる細胞を分離装置100によって採取・捕捉する場合には、1×10−9以上1×10−7以下であることが好ましい。第2流路20の長さは、特に限定されない。
【0041】
1.3.第1流体
第1流体F1は、標的となる粒子を含有する流体である。流体とは、静止状態においてせん断応力が発生しない連続体であって、本明細書では、液体、または、液体中に液体若しくは固体が分散した状態のものを指す。粒子としては、固体、ミセル、ベシクル、細胞などが挙げられる。また、「標的となる」との文言は、「分離装置によって、捕捉、採取または除去しようとする」と読み替えることができる。したがって、標的となる粒子とは、例えば、所定の大きさを有する粒子、所定の表面性状を有する粒子、所定の生体物質を表面に有する粒子などのことを指す。標的となる粒子の少なくとも一部は、第1流体F1が分離装置100を通過することによって、捕捉、採取または除去される。
【0042】
第1流体F1には、標的となる粒子の他にも、他の粒子が含有されてもよい。第1流体F1に含有される粒子の量は、第1流体F1が流体としての性質を維持できるかぎり、特に限定されないが、例えば、第1流体F1の全量に対して、1質量%以上50質量%以下とすることができる。
【0043】
第1流体F1の具体例としては、各種の分散体、エマルション、血液、体液、細胞分散液などが挙げられる。第1流体F1が粒度分布を有する粉体の分散体である場合には、本実施形態の分離装置によって、例えば、所定の粒径の粉体が捕捉、採取または除去されることができる。また、第1流体F1が血液、体液等の細胞分散液である場合には、本実施形態の分離装置によって、例えば、所定の抗原を有する細胞を捕捉、採取または除去することができる。特に、第1流体F1が血液である場合には、本実施形態の分離装置によって、例えば、樹状細胞や単球を捕捉、採取または除去することができる。
【0044】
第1流体F1は、公知のポンプ等によって、第1流路10に導入され、濾過機構30へ導かれる。
【0045】
1.4.第2流体
第2流体F2は、流体の性状を有すれば特に限定されない。濾過機構30の目詰まりを生じにくくする観点では、第2流体F2には、粒子が含有されないことが好ましい。
【0046】
第2流体F2は、第1流体F1から粒子を除いたもの(分散媒)であることが好ましい。また、第2流体F2は、第1流体F1が細胞等を含む場合には、浸透圧によって細胞等を変形させないように塩濃度が調整された流体であることが好ましい。第1流体F1が細胞等を含む場合には、第2流体F2は、生理食塩水であってもよい。
【0047】
第2流体F2は、公知のポンプ等によって、第2流路20に導入され、第1流路10を介して濾過機構30へ導かれる。
【0048】
1.5.濾過機構
濾過機構30は、第1流路10および第2流路20の合流位置に対して、第1方向Xの下流側に設けられる。濾過機構30は、例えば、第1流路10を形成する第1構造体の、第1方向Xにおける下流側に接続される。濾過機構30の外形形状は、限定されず、例えば、円管状、角柱管状などとすることができる。
【0049】
濾過機構30は、第1流体F1に含まれる標的となる粒子を捕捉して濾別することができる。濾過機構30による粒子の捕捉は、濾過機構30における液体の通過する間隙の幅よりも大きい粒子が通過しないようにする態様であってもよい。
【0050】
また、濾過機構30による粒子の捕捉は、濾過機構30の構成の表面に、標的となる粒子と特異的に結合する接着因子を配置して、当該粒子を濾過機構30の構成の表面に留まらせる態様であってもよい。当該結合は、化学結合であってもよいし、水素結合であってもよい。この場合では、標的となる粒子としては、白血球(単球、樹状細胞など)、がん細胞などが挙げられ、これらと特異的に結合する接着因子としては抗体を例示することができる。
【0051】
さらに、標的となる粒子ががん細胞である場合には、抗体を分離対象のがん細胞の種類に応じて選択することができる。例えば、上皮がんに共通の表面抗原に対する抗体としては、Ep−CAM抗体、N−カドヘリン抗体、ビメンチン抗体等が挙げられ、乳がん特有の表面抗原に対する抗体としては、HER2抗体等が挙げられ、大腸がん特有の表面抗原に対する抗体としては、NS19−9抗体等が挙げられ、前立腺がん特有の表面抗原に対する抗体としては、CD49、CD54、CD59抗体等が挙げられる。
【0052】
濾過機構30は、液体を透過させることができ、第1流体F1に含有される粒子が接触することができる部材を有する限り特に限定されない。濾過機構30としては、例えば、フィルター、ストレーナー、くし型トラップを挙げることができる。濾過機構30の材質としては、特に制限されず、例えば、無機材料、有機材料、およびこれらの複合材料などとすることができる。第1構造体の材質と、濾過機構30の材質は同じでも異なってもよい。また、第1構造体と濾過機構30は、一体的に構成されてもよいし、別体で構成され、継ぎ手等を用いて適宜に接続されてもよい。
【0053】
図1ないし図3に示すように、濾過機構30は、例えば、第1方向Xに交差する方向が長手方向である柱状体で構成されてもよい。濾過機構30にこのような構成を採用すると、例えば、柱状体32の表面を修飾する場合などにおいて製造が容易で、また、濾過機構30の加工性を向上させることができる。このような構成の濾過機構30においては、柱状体32は、柱状であれば、その断面の形状は限定されず、例えば、円柱状、角柱状であってもよい。さらに、このような構成の濾過機構30においては、柱状体32の断面は、柱状体32の全体で一様である必要はなく、柱状体32の長手方向で異なる断面を有する形状であってもよい。
【0054】
図1ないし図3の例では、濾過機構30は、第1方向Xに直交する方向が長手方向である柱状体32で構成されている。図1ないし図3に例示する濾過機構30は、複数の柱状体32を有するが、柱状体32は単数であってもよい。柱状体32が複数存在する場合には、それらの配置についても、目的に応じて適宜に配置できる。この例では、濾過機構30は、透視されて描かれており、濾過機構30の内部の複数の円柱状の柱状体32が、平行にかつ第1方向Xに平行な平面による断面視において格子状に配置されている。
【0055】
1.6.作用効果
本実施形態の分離装置100は、第1流路10に接続された第2流路20を有し、第1流体F1に第2流体F2が合流され、合流された第1流体F1および第2流体F2が、濾過機構30に到達する構成を有する。そのため、濾過機構30の偏った位置に、第1流体F1が到達する。これにより、第1流体F1に含有される粒子を、濾過機構30の偏った領域に導くことができ、濾過機構30の一部に粒子が到達しにくい領域を形成することができる。したがって、分離装置100は、濾過機構30全体で粒子を捕捉する場合に比べて、第1流体F1および第2流体F2が通過しやすい領域を確保することができ、かつ、第1流体F1が到達した領域において粒子を捕捉することができる。これにより、粒子による濾過機構30の目詰まりが抑制され、第1流体F1および第2流体F2が濾過機構30を通過する場合の抵抗を上昇しにくくすることができる。したがって、分離装置100によれば、濾過機構が詰まりにくい状態で使用することができるので、粒子を効率的に捕捉、分離または回収することができる。
【0056】
2.第2実施形態
図4は、本実施形態の分離装置120を模式的に示す透視斜視図である。図5は、分離装置120の透視側面図である。図4および図5には、第1流体F1、第2流体F2および第3流体F3の流動が、流線または流動ベクトルを用いて模式的に描かれている。
【0057】
分離装置120は、第1流路10と、第2流路20と、第3流路40と、濾過機構30と、を有する。本実施形態の分離装置120は、第3流路40がさらに設けられている以外は、第1実施形態で述べた分離装置100と同様である。第3流路40以外の構成については、第1実施形態で用いたと同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0058】
また、第3流路40から第1流路10に合流される第3流体F3は、第1実施形態で述べた第2流体F2と実質的に同様であり、第3流体F3および第2流体F2は、互いに同じでも異なってもよい。
【0059】
2.1.第3流路
第3流路40は、第1流路10に接続している。第3流路40は、第3流体F3を第1流体F1、または第1流体および第2流体F2に合流させる。これにより第3流体F3は、第1流体F1とともに、第1流路10内を流れることができる。第3流路40は、濾過機構30よりも、第1流体F1の流れにおける(第1方向Xにおける)上流側に設けられる。
【0060】
第3流路40は、第1流路10の第1流体F1の流れる方向に対して交差する方向から接続される。例えば、第3流路40は、図4および図5に示すように、第1流路10の第1液体F1が流れる方向に対して垂直に接続されることができる。また、第3流路40は、第1流路10の第1液体F1が流れる方向に対して傾斜して接続されてもよい。
【0061】
第3流路40から第1流路10へ合流される第3流体F3は、第1方向Xに垂直な速度成分を有して第1流体F1に合流される。第3流体F3が、第1流体F1に、第1方向Xに垂直な速度成分を有するように合流されれば、第1流体F1の流れに対して垂直に合流しても傾斜して合流してもよい。第3流路40の第1流路10への接続の態様は、このような合流が可能な限り限定されず、接続の形状、大きさ、方向などは適宜設計されることができる。
【0062】
第3流路40は、第3構造体によって形成される。第3流路40を形成する第3構造体の形状は限定されず、例えば、円管状、角柱管状などとすることができる。また、第3構造体の第3流路40を形成する面は、滑らかであっても凹凸を有していてもよい。図4および図5では、第3構造体は、透視されて描かれており、第3構造体の内壁面の形状が、第3流路40の形状(角柱状)として描かれている。また、図4および図5では、第3流路40は、直線状の形状を有し、第1流路10に対して垂直に接続されている。
【0063】
第3構造体の材質は、第2構造体と同様とすることができる。第1構造体と第3構造体は、一体的に構成されてもよいし、別体で構成され、継ぎ手等を用いて適宜に接続されてもよい。
【0064】
第3流路40は、第3流体F3を第1流体F1に合流させることにより、第1流路10における第1流体F1の流れる位置を偏らせる機能を有する。第1流路10における第1流体F1の流量に対する第1流路10における第3流体F3の流量の比は、1:9から9:1とすることができる。第1流体F1の流量に対する第1流路10における第3流体F3の流量の比が、このような範囲であれば、第1流路10における第1流体F1の流れる位置を良好な状態で偏らせることができる。
【0065】
第3流路40の第3流体F3が流れる方向に対して垂直な方向の断面積は、特に制限されないが、第1流体F1が血液等の細胞の分散体であって、その中の標的となる細胞を分離装置100によって採取・捕捉する場合には、1×10−9以上1×10−7以下とすることが好ましい。第3流路40の長さは、特に限定されない。
【0066】
第3流路40および第2流路20の位置関係は、特に限定されない。しかし、第2流体F2が有する第1方向Xに垂直な速度成分と、第3流体F3が有する第1方向Xに垂直な速度成分とが、互いに反対を向く(対向する)ように、第3流路40を配置すると、第1流路10内において、第1流体F1を狭窄して(収束させて)流動させることができる。例えば、図4および図5の例では、第3流路40と第2流路20が対向して設けられており、第1流路10内を流れる第1流体F1が、第1流路10の中央付近の高さに面状に収束されて流される様子を示している。そして、第2流体F2および第3流体F3の流量を調節することにより、第1流路10内の任意の高さに第1流体F1を収束させて流すことができる。
【0067】
本実施形態では、第1流路10に対して第2流路20および第3流路40の2つの流路が接続される態様を示しているが、第1流路10に接続される流路は、3つ以上あってもよい。その場合には、一つの流路を、第2流路20とし、他の一つの流路を第3流路40とみなすことができる。そして、図示しないが、第1流路10に接続される流路が3つ以上ある場合には、これらの配置およびそれぞれに流す流体の流量を適宜設計することにより、第1流体F1を線状に収束させることができ、濾過機構30の第1方向Xに垂直な面における任意の点状の領域に第1流体F1を導くことができる。
【0068】
2.2.作用効果
本実施形態の分離装置120によれば、第2流路20および第3流路40から導入される第2流体F2および第3流体F3によって、第1流路10内における第1流体F1の通過位置を変化させることができる。これにより、濾過機構30における第1流体F1が到達する位置を変化させることができ、第1流体F1の濾過機構30における通過位置を調節することができる。したがって、第1流体F1に含有される粒子を、濾過機構30の所定の領域に導くことができる。分離装置120によれば、濾過機構30の各部分を効率的に使用することができるので、粒子を効率的に捕捉、分離または回収することができる。
【0069】
3.その他の実施形態
上記第1実施形態および第2実施形態において、濾過機構30が柱状体によって構成される態様を採用する場合には、以下に例示するようないくつかの変形実施が可能である。
【0070】
図6および図7は、それぞれ変形実施形態にかかる分離装置140を模式的に示す透視斜視図および透視側面図である。図6および図7には、第1流体F1ないし第3流体F3の流動が、流線または流動ベクトルを用いて模式的に描かれている。
【0071】
分離装置140は、第1流路10、第2流路20、濾過機構30、および第3流路40を有する。
【0072】
変形実施形態の分離装置140は、濾過機構30を構成する柱状体が、長手方向に太さの分布を有する柱状体である以外は、上記実施形態で述べた分離装置と実質的に同様である。濾過機構30以外の構成については、第1実施形態および第2実施形態で用いたと同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0073】
分離装置140においては、濾過機構30は、第1方向Xに交差する方向が長手方向である柱状体34で構成されている。図6および図7の例では、柱状体34は、長手方向の一方側に向かって径が小さくなる円錐台の形状を有している。柱状体34が、図6および図7に示すようなテーパー状である場合には、柱状体34の長手方向の位置によって、柱状体34の間隔が連続的に変化する。そのため、柱状体34における第1流体F1が通過する位置を変化させることによって、第1流体F1に含有される標的となる粒子を大きさで捕捉する場合に、閾となる大きさを変化させることができる。
【0074】
例えば、上記第1実施形態では、第2流体F2によって、第1流路10において偏った第1流体F1の流れを形成できる。図示しないが、この場合において、濾過機構30に柱状体34を採用し、第1流体F1の偏りの方向を、柱状体34の長手方向と一致させる(第1方向Xと垂直な平面による断面視において、柱状体の長手方向と、第2流体F2が有する第1方向Xに垂直な方向の速度成分とが互いに平行となるようにする)と、第1流体F1の偏らせ方によって、柱状体34の長手方向における第1流体F1の通過位置を変化させることができ、濾過機構30によって捕捉される粒子の大きさを、濾過機構30を変更することなく、連続的に変化させることができる。なお、ここでの「平行」の程度は、完全に平行でなくてもよい。
【0075】
同様に、例えば、上記第2実施形態では、第2流体F2および第3流体F3によって、第1流路10において第1流体F1の流れる位置を変化させることができる。図6および図7に示すように、濾過機構30に柱状体34を採用し、第1流体F1を偏らせる方向を、柱状体34の長手方向と一致させると、第1流体F1の柱状体34における通過位置を変化させることができる。これにより、例えば、濾過機構30によって捕捉される粒子の大きさを濾過機構30を変更することなく、連続的に変化させることができる。
【0076】
なお、図6および図7の例では、柱状体34は、長手方向の一方側に向かって一様に径が小さくなる円錐台の形状を有しているが、柱状体34の長手方向における径の変化は一様でなくてもよく、長手方向の各位置において、断面形状が異なるように形成されてもよい。
【0077】
さらに、他の変形実施形態としては、柱状体の長手方向に、複数種類の接着因子を配置するものが挙げられる。例えば、互いに異なる第1接着因子および第2接着因子を、柱状体の長手方向において、異なる位置にそれぞれ配置することができる。例えば、上記第2実施形態で、このような柱状体で構成される濾過機構30を採用すると、第2流体F2および第3流体F3によって、第1流路10において第1流体F1の流れる位置を変化させることができるため、第1流体F1に含有される粒子が接触する接着因子の種類を濾過機構30を変更することなく変化させることができる。すなわち、異なる種類の粒子を1つの濾過機構30を用いて捕捉することができる。
【0078】
このように、互いに異なる第1接着因子および第2接着因子を、柱状体の長手方向において、異なる位置にそれぞれ配置する方法としては、特に制限はない。しかし、あらかじめ、柱状体の表面全体に活性化したカルボキシル基を形成しておき、第1流体F1の代わりに、活性化したカルボキシル基と反応することによって接着因子を柱状体の表面に固定することができる化合物を含む流体を用いて柱状体の所定の位置に接着因子を配置することもできる。このような方法では、まず、柱状体の表面全体に例えばカルボジイミド法等により活性化したカルボキシル基を形成する。次に、第1流体F1の代わりに例えば抗Ep−CAM等アミノ基を有するリガンドを含む溶液を用い、第2流体F2、第3流体F3の代わりに燐酸緩衝液を用いて、抗Ep−CAM等のアミノ基を有するリガンドを含む溶液が柱状体の第1接着因子を配置したい位置に到達するように流れを調節すれば、その位置に第1接着因子として抗Ep−CAMを配置することができる。なお、適宜余剰なリガンドを洗浄除去する工程を有してもよく、また、第2接着因子についても同様に所定の位置に配置することができる。
【0079】
以上述べた各実施形態および各変形実施形態は、機能を損なわない限り、互いに組み合わせることができる。
【0080】
4.分離システム
上記実施形態で述べた分離装置を用いて、分離システムを構築することができる。分離システムは、分離装置、各種の容器、およびポンプなどを含んで構成される。このような分離システムの一例として、分離システム1000を図8に模式的に示した。
【0081】
分離システム1000は、上述の分離装置140と、第1容器200と、第2容器300と、第3容器400と、第4容器500と、第1ポンプ210と、第2ポンプ310と第3ポンプ410と、これらをつなぐチューブTと、を有する。
【0082】
第1容器200、第2容器300、第3容器400、および第4容器500は、それぞれ流体を保持することができれば任意である。第1ポンプ210、第2ポンプ310および第3ポンプ410は、それぞれ流体を流動させることができれば任意である。また、チューブTは、特に限定されないが、流体の流量や流体の性質に応じて適宜、径や内壁面の処理が選択される。
【0083】
分離システム1000では、分離装置140の第1流路10の上流側に、第1容器200が、第1ポンプ210およびチューブTを介して接続されている。また、分離装置140の第2流路20の上流側に、第2容器300が、第2ポンプ310およびチューブTを介して接続されている。同様に、分離装置140の第3流路40の上流側に、第3容器400が、第3ポンプ410およびチューブTを介して接続されている。さらに、第4容器500は、濾過機構30の下流側にチューブTを介して接続されている。
【0084】
分離システム1000は、例えば、以下のように使用される。第1容器200には、第1流体F1が蓄えられており、第1ポンプ210によって、分離装置140の第1流路10に第1流体F1が送液される。第2容器300および第3容器400には、それぞれ、第2流体F2および第3流体F3が蓄えられており、第2ポンプ310および第3ポンプ410によって、分離装置140の第2流路20および第3流路40に送液される。そして、第1流体F1に第2流体F2および第3流体F3が合流されてこれらの流体が濾過機構30に到達する。濾過機構30を透過した流体は、第4容器500に回収される。
【0085】
このような動作により、第1流体F1中の標的となる粒子が、濾過機構30によって捕捉される。濾過機構30に捕捉された粒子は、例えば、分離装置140に、粒子を含まない液体を流すこと等によって、他の容器に回収されることができる。これにより、第1流体F1に含有される標的となる粒子を、分離することができる。
【0086】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。例えば、本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成(例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成)を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【符号の説明】
【0087】
10…第1流路、20…第2流路、30…濾過機構、32,34…柱状体、40…第3流路、100,120,140…分離装置、200…第1容器、210…第1ポンプ、300…第2容器、310…第2ポンプ、400…第3容器、410…第3ポンプ、500…第4容器、1000…分離システム、F1…第1流体、F2…第2流体、F3…第3流体、T…チューブ、X…第1方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に沿って、標的となる粒子を含有する第1流体を流す第1流路と、
前記第1流路に接続し、第2流体を前記第1流体に合流させる第2流路と、
前記第1流路および前記第2流路の合流位置に対して前記第1方向の下流側に設けられ、前記粒子を濾別する濾過機構と、
を有し、
前記第2流体は、前記第1方向に垂直な速度成分を有して前記第1流体に合流される、分離装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1流路に接続し、第3流体を前記第1流体に合流させる第3流路をさらに有し、
前記第3流体は、前記第1方向に垂直な速度成分を有して前記第1流体に合流され、
前記第2流体が有する前記第1方向に垂直な速度成分と、前記第3流体が有する前記第1方向に垂直な速度成分とは、互いに対向している、分離装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2において、
前記濾過機構は、前記第1方向に交差する方向が長手方向である柱状体を有し、
前記粒子は、前記柱状体によって形成される間隙に留まって濾別される、分離装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、
前記濾過機構は、前記第1方向に交差する方向が長手方向である柱状体を有し、
前記柱状体の表面には、前記粒子と特異的に結合する接着因子が配置され、
前記粒子は、前記接着因子への結合によって濾別される、分離装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記柱状体の表面には、第1接着因子および第2接着因子が配置され、
前記第1接着因子および第2接着因子は、前記柱状体の長手方向において異なる位置に配置されている、分離装置。
【請求項6】
請求項3ないし請求項5のいずれか1項において、
前記第1方向と垂直な平面による断面視において、前記柱状体は、前記柱状体の長手方向に沿って幅に分布を有し、かつ、前記柱状体の長手方向と、前記第2流体が有する前記第1方向に垂直な速度成分の方向とは、互いに平行の関係にある、分離装置。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれか1項において、
前記第1流体は、層流の状態で前記第1流路を通過する、分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−228197(P2012−228197A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−97878(P2011−97878)
【出願日】平成23年4月26日(2011.4.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】